本発明は、仮台車に関し、特に、鉄道車両から台車を取外した車体を検査、修理する検修作業において、仮台車の中央部での作業性を向上できる仮台車に関するものである。
特許文献1には、鉄道車両の保守作業をするために、鉄道車両から台車を取り外した車体を昇降可能に支持すると共に、支持した車体を所望する場所に自走して搬送する電動仮台車が記載されている。電動仮台車には、台車枠の上部に昇降支持台装置が設置され鉄道車両の車体を支持しつつ、昇降できる。また、台車枠の下部には駆動装置が設置され自走可能に構成されている。
特許文献1には、駆動装置が具体的に電動仮台車のどこに設置され、どのように構成されているかが明記されていないが、かかる駆動装置としては、電動モータや減速機などから構成されるものが知られている。
即ち、従来の電動仮台車の駆動装置は、電動モータから出力される回転力の回転速度を減速機で減じ、減速機から出力される回転力を、クラッチを介して車軸に伝達することで、その車軸に取着されている車輪を駆動することで自走させていた。
しかしながら、従来の駆動装置は、電動モータや減速機などが車軸と平行に台車枠に架設されていたので、かかる駆動装置が邪魔になって電動仮台車の中央部において十分な作業スペースが確保できず、検修作業の作業性が悪かった。
即ち、鉄道車両の車体には、その下面から牽引装置(以下「中心ピン」と称す)が垂設され、その中心ピンには制振ダンパ(所謂セミアクティブダンパ)が連結されている。鉄道車両の車体を電動仮台車にセットすると、中心ピンと制振ダンパとが電動仮台車の中央部に位置する。そのため、電動仮台車の中央部で、中心ピンや制振ダンパの検修作業を行う場合、駆動装置が邪魔になって検修作業の作業性が悪かった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、特に、鉄道車両から台車を取外した車体を検査、修理する検修作業において、仮台車の中央部での作業性を向上できる仮台車を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1記載の仮台車は、台車が取り外された鉄道車両の車体を昇降可能に支持すると共に自走可能に形成されるものであり、幅方向に所定間隔を空けて平行に延設される一対の側梁と、その一対の側梁の下方に配設される第1走行装置と、その第1走行装置を駆動させる駆動装置と、前記幅方向と交差する方向に前記第1走行装置から所定間隔を空けて前記一対の側梁の下方に配設される第2走行装置とを備え、
前記駆動装置は、回転力を出力する電動機と、その電動機から出力される前記回転力の回転速度を減じて出力する減速機と、その減速機から出力される前記回転力を前記第1走行装置に伝達する動力伝達機構とを備え、前記電動機と、前記減速機と、前記動力伝達機構とは、前記幅方向の中央部を空けて、前記一対の側梁の一方に沿って並設されている。
請求項2記載の仮台車は、請求項1記載の仮台車において、前記減速機は、一端に前記動力伝達機構が連結される出力軸と、その出力軸の途中に前記出力軸に対して回転可能に配設される減速ギヤとを備え、前記出力軸には、スプラインが形成され、前記駆動装置は、前記スプラインに沿って摺動可能に前記出力軸に配設され、前記減速ギヤと嵌合して前記減速ギヤの回転力を前記出力軸に伝達させる連結位置と、前記減速ギヤから離間して前記減速ギヤの回転力が前記出力軸に伝達されるのを遮断する遮断位置との間で摺動するシフトリングと、操作者によって手動操作され前記シフトリングを前記連結位置と前記遮断位置との間で摺動させるシフトレバーと、そのシフトレバーが操作され前記シフトリングが前記連結位置に摺動した場合に、そのシフトリングを前記減速ギヤ側に付勢する付勢部材とを備えている。
請求項3記載の仮台車は、請求項1又は2に記載の仮台車において、前記電動機と、前記減速機と、前記動力伝達機構とは、前記一対の側梁の一方に沿って前記第1走行装置側から前記動力伝達機構、前記減速機、前記電動機の順番で並設されている。
請求項1記載の仮台車によれば、幅方向に所定間隔を空けて平行に延設される一対の側梁の下方には、駆動装置によって駆動される第1走行装置が配設される。また、一対の側梁の下方であって幅方向と直交する長さ方向に第1走行装置から所定間隔を空けた位置には、第2走行装置が配設されている。駆動装置は、電動機から出力される回転力の回転速度を減速機で減じ、減速機から出力される回転力を動力伝達機構によって第1走行装置に伝達することで、第1走行装置を駆動させる。かかる電動機と減速機と動力伝達機構とは、幅方向の中央部を空けて、一対の側梁の一方に沿って並設されているので、仮台車の中央部において鉄道車両の検修作業を行う場合に、駆動装置が邪魔にならず、仮台車の中央部での作業性を向上できるという効果がある。
請求項2記載の仮台車によれば、請求項1が奏する効果に加え、次の効果を奏する。減速機の出力軸が回転すると、その出力軸の一端に配設されている動力伝達機構を介して回転力が第1走行装置に伝達され、第1走行装置が駆動される。かかる減速機の出力軸の途中には、減速ギヤとシフトリングとが設けられている。減速ギヤは、出力軸に対して回転可能に配設されている。シフトリングは、出力軸に形成されているスプラインに沿って出力軸に対して摺動可能に設けられる。シフトリングは、操作者によってシフトレバーが手動操作されると、出力軸に形成されるスプラインに沿って、減速ギヤと嵌合して減速ギヤの回転力を出力軸へ伝達する連結位置と、減速ギヤから離間して減速ギヤの回転力が出力軸に伝達されるのを遮断する遮断位置との間で摺動される。シフトレバーが操作者によって手動操作されシフトリングが連結位置に摺動すると、シフトリングは付勢部材によって減速ギヤ側に付勢される。よって、操作者としては、シフトレバーを手動操作してシフトリングを連結位置に摺動させれば、シフトレバーを保持していなくても、付勢手段によってシフトリングを連結位置に保持させることができる。従って、検修作業中に仮台車を移動させる場合、シフトレバーを操作してシフトリングを連結位置に摺動させ、その状態でリフトアップされている鉄道車両の車体の下方から離れ、リモコン操作により駆動装置を起動させることで、安全に仮台車を移動させることができるという効果がある。
請求項3記載の仮台車によれば、請求項1又は2が奏する効果に加え、次の効果を奏する。電動機と、減速機と、動力伝達機構とは、一対の側梁の一方に沿って第1走行装置側から動力伝達機構、減速機、電動機の順番で並設されているので、動力伝達機構を第1走行装置に接近して配設でき、省スペースで動力伝達機構から第1走行装置へ動力を伝達できるという効果がある。
(a)は、仮台車の平面図である。(b)は、(a)のIb−Ib線における仮台車の側断面図である。
駆動装置の断面図である。
図2の矢印IIIから視た駆動装置の側面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、仮台車1の平面図であり、図1(b)は、図1(a)のIb−Ib線における仮台車1の側断面図である。尚、図1(b)では、仮台車1にリフトアップされている鉄道車両の車体Bと、仮台車1が走行するレールRとを二点鎖線で図示している。
仮台車1は、鉄道車両の車体Bを検査、修理する検修作業を行うべく、鉄道車両から台車を取外した車体Bを昇降可能に支持すると共に、車体BをレールRに沿って所望する場所に自走して搬送するものであり、特に、仮台車1の中央部(図1(a)のA領域参照)での作業性を向上できるものである。
仮台車1は、主に、台車枠2と、一対の走行装置3,4と、駆動装置5と、一対の昇降装置6,6とによって構成されている。
台車枠2は、仮台車1の骨格を構成するものであり、平面視H型に形成される。台車枠2は、幅方向W(例えば、図1(a)の上下方向の矢印参照)に所定間隔を空けて平行に延設される一対の側梁21,22と、その一対の側梁21,22の間に架設される連結梁23とによって構成されている。台車枠2によって一対の走行装置3,4、駆動装置5、一対の昇降装置6,6などが支持される。
一対の走行装置3,4は、仮台車1をレールRに沿って走行させるものであり、幅方向Wと直交する長さ方向L(例えば、図1(a)の左右方向の矢印参照)に互いに所定間隔を空けて設けられている。走行装置3は、一対の側梁21,22の間に回転可能に懸架される車軸31と、その車軸31に幅方向Wに所定間隔を空けて固定される一対の車輪32,32とによって構成される。車軸31は、駆動装置5から伝達される回転力により回転し、それに伴って一対の車輪32,32がレールR上を転動する。
走行装置4は、一対の側梁21,22の間に回転可能に懸架される車軸41と、その車軸41に幅方向Wに所定間隔を空けて固定される一対の車輪42,42とによって構成される。車輪42,42は、走行装置3の車輪32,32がレールR上を転動すると、それに伴って、レールR上を転動する。即ち、走行装置3の車輪32,32が駆動輪、走行装置4の車輪42,42が従動輪として構成されている。
駆動装置5は、走行装置3を駆動させるものであり、側梁21,22の対向間(幅方向Wの中央部)に空間を設けつつ、走行装置3の上方において側梁21に設けられている。図1(b)に示すように、駆動装置5には、第1スプロケット531が設けられ、その第1スプロケット531と対向する走行装置3の車軸31の途中には、第2スプロケット532が固定され、第1スプロケット531と、第2スプロケット532とには、チェイン533が巻回されている。尚、図1(b)では第1スプロケット531と第2スプロケット532とチェイン533とを覆うカバーを外した状態を示している。
よって、駆動装置5に含まれる電動モータ51(図2参照)を駆動して、第1スプロケット531を回転させることで、チェイン533、第2スプロケット532を介して、走行装置3の車軸31を回転させることができる。
尚、駆動装置5を制御する各種回路が内包されている走行用制御盤7が、一対の側梁21,22の各々に固定されている。また、仮台車1には、駆動装置5の電動モータ51や、後述する一対の昇降装置6,6の電動モータ(図示せず)の電源としてバッテリ8が搭載されている。バッテリ8は、側梁21,22の対向間(幅方向Wの中央部)に空間を設けつつ、走行装置4の上方において側梁22に設けられている。
一対の昇降装置6,6は、鉄道車両の車体Bを支持しつつ、鉄道車両の車体Bを昇降させるものである。昇降装置6,6は、各側梁21,22の長さ方向Lの中央部に設けられている。昇降装置6,6によって鉄道車両の車体Bをリフトアップさせることで鉄道車両の車体Bの下方から検修作業を行うことができる。
各昇降装置6は、鉄道車両の車体Bを支持する架台61と、架台61を下方から昇降させる2本の電動シリンダ62,62とによって構成される。架台61には、車体Bの下面に取り付けられている空気バネ(図示せず)が載せられる。2本の電動シリンダ62,62は、電動モータ(図示せず)を駆動させることでロッドが伸縮し、架台61を昇降させる。尚、昇降装置6を制御する各種回路が内包されている昇降用制御盤9が、一対の側梁21,22の各々に固定されている。
また、図1(b)に示すように、鉄道車両の車体Bには、架台61に載せられる一対の空気バネ(図示せず)の中央部に、中心ピンPが垂設されており、その中心ピンPの走行装置3側に制振ダンパD1が、走行装置4側に制振ダンパD2が、それぞれ連結されている。尚、2つの制振ダンパD1,D2は、いずれか一方が設けられていれば足りるが、2つの制振ダンパD1,D2の一方の故障時に他方がバックアップすることができるように2つ設けられている。
各制振ダンパD1,D2は、車体Bを鉄道車両の正規の台車に取り付けた場合に、かかる正規の台車と車体Bとの幅方向Wの相対振動を減衰させるものである。具体的に、各制振ダンパD1,D2は、シリンダ内にて摺動可能に配置されたピストンにてシリンダ内を2室に分割し、その2室に充満されたオイルを、ピストンに設けられた流路を介して流動させることにより、振動を減衰させるものである。各制振ダンパD1,D2は、ピストンの摺動方向を車体Bの幅方向Wに平行にして設けられ、シリンダは車体Bの中心ピンPに、ピストンはロッドを介して台車にそれぞれ固定される。
また、各制振ダンパD1,D2は、中心ピンPから長さ方向Lにオフセットされた位置に配置されているが、シリンダの軸心と中心ピンPとの距離は僅か(例えば、200mm程度)なので、車体Bを仮台車1にセットした場合、中心ピンPと各制振ダンパD1,D2とは、仮台車1の中央部(図1(a)のA領域参照)に配置されるとみなすことができる。
よって、中心ピンPや制振ダンパD1の検修作業を行う場合には、走行装置3側から車体Bの下方に進入して中心ピンPや制振ダンパD1にアクセスして検修作業を行うことができる。この場合、本実施形態の仮台車1では、駆動装置5が側梁21,22の対向間(幅方向Wの中央部)に空間を設けつつ、走行装置3の上方において側梁21に設けられているので、中心ピンPや制振ダンパD1の検修作業において、駆動装置5が邪魔にならず、検修作業の作業性を向上できる。
また、中心ピンPや制振ダンパD2の検修作業を行う場合には、走行装置4側から車体Bの下方に進入して中心ピンPや制振ダンパD2にアクセスし、中心ピンPや制振ダンパD2の検修作業を行うことができる。この場合も、本実施形態の仮台車1は、バッテリ8が側梁21,22の対向間(幅方向Wの中央部)に空間を設けつつ、走行装置4の上方において側梁22に設けられているので、中心ピンPや制振ダンパD2の検修作業において、バッテリ8が邪魔にならず、検修作業の作業性を向上できる。
仮台車1には、上述した構成の他にも、リモートコントローラ(図示せず)が搭載されている。操作者は、リモートコントローラを操作することで、仮台車1(仮台車1にリフトアップされている車体Bの下方)から離れた位置から駆動装置5や昇降装置6を制御できる。即ち、仮台車1から離れた位置から仮台車1の走行や昇降を制御できるので、安全に検修作業を行うことができる。
次に、図2,3を参照して、駆動装置5について詳細に説明する。図2は、駆動装置5の断面図である。図3は、図2の矢印IIIから視た駆動装置5の側面図である。
駆動装置5は、走行装置3を駆動させるものであり、主に、電動モータ51と、減速機52と、動力伝達機構53と、クラッチ装置54とによって構成される。
電動モータ51は、ロータやステータを内包する本体511と、回転力を出力する出力軸512とによって構成され、出力軸512が幅方向Wと平行になるようにケース56の外面に固定されている。電動モータ51は、バッテリ8から供給される電力により出力軸512を回転させる。
減速機52は、電動モータ51から出力される回転力の回転速度を減じて出力するものであり、平行軸歯車減速機によって構成されている。具体的に減速機52は、小歯車521aが固定された第1軸521と、小歯車521aに噛み合う大歯車522a及び小歯車522bが固定された第2軸522と、小歯車522bに噛み合う大歯車523a及び小歯車523bが固定された第3軸523と、小歯車523bに噛み合う大歯車524aを、ベアリングBRを介して回転可能に支持する第4軸524とによって構成される。
第1軸521は、電動モータ51の出力軸512の延長線上に幅方向Wと平行に配設され、電動モータ51の出力軸512とカップリング57を介して連結されている。第1軸521は、その両端がベアリングBRを介してケース56に回転可能に支持されている。よって、第1軸521は、電動モータ51の出力軸512から出力される回転力を、その途中に固定されている小歯車521aに伝達できる。
尚、第1軸521の電動モータ51側とは反対側の端部には、電磁ブレーキ装置55が設けられている。電磁ブレーキ装置55は、電動モータ51に電圧が印加された状態では電動モータ51を回転可能な状態にし、電動モータ51への電圧の印加が切断されると制動力を発生させ電動モータ51を停止させる。
第2軸522は、大歯車522aが第1軸521の小歯車521aと噛み合うように幅方向Wと平行に配設され、その両端がベアリングBRを介してケース56に回転可能に支持されている。よって、第2軸522は、第1軸521の小歯車521aから出力される回転力の回転速度を減じて、その途中に固定されている小歯車522bに伝達できる。
第3軸523は、大歯車523aが第2軸522の小歯車522bと噛み合うように幅方向Wと平行に配設され、その両端がベアリングBRを介してケース56に回転可能に支持されている。よって、第3軸523は、第2軸522の小歯車522bから出力される回転力の回転速度を減じて、その途中に固定されている小歯車523bに伝達できる。
第4軸524は、大歯車524aが第3軸523の小歯車523bと噛み合うように幅方向Wと平行に配設され、ベアリングBRを介してケース56に回転可能に支持されている。
第4軸524の途中に配設される大歯車524aは、ベアリングBRを介して第4軸524に対して回転可能に設けられている。即ち、大歯車524aは、後述するシフトリング541と嵌合している場合に、第3軸523の小歯車523bから伝達される回転力の回転速度を減じ、シフトリング541を介して第4軸524に回転力を伝達できる。
一方、後述するシフトリング541が遮断位置(図中二点鎖線参照)に位置しており、シフトリング541が大歯車524aと嵌合していない状態にある場合、大歯車524aは第4軸524上を空転し、第3軸523の小歯車523bから伝達される回転力は第4軸524には伝達されない。
このように、減速機52は、電動モータ51から出力される回転力の回転速度を、3つの大歯車522a,523a,524aによって所定の減速比で減速させ、電動モータ51から出力される回転力を所望の回転力にして第4軸524から出力できる。
動力伝達機構53は、減速機52(減速機52の第4軸524)から出力される回転力を走行装置3の車軸31に伝達するものであり、減速機52の第4軸524の一端に固定される第1スプロケット531と、その第1スプロケット531と対向する車軸31の途中に固定される第2スプロケット532(図1(b)参照)と、第1スプロケット531及び第2スプロケット532に巻回されるチェイン533(図1(b)参照)とによって構成される。よって、動力伝達機構53によれば、減速機52の第4軸524が回転すると、それに伴って第1スプロケット531が回転し、チェイン533、第2スプロケット532を介して、走行装置3の車軸31を駆動(回転)させることができる。
クラッチ装置54は、減速機52から動力伝達機構53へ伝達される回転力を断続するものであり、主に、減速機52の第4軸524の途中に軸方向に沿って摺動可能に設けられるシフトリング541と、シフトリング541を第4軸524に沿って摺動させるシフトレバー542と、シフトリング541を減速機52の大歯車524a側に付勢するコイルバネ543とによって構成される。
シフトリング541は、減速機52の第4軸524に形成されているスプライン(図示せず)に沿って減速機52の第4軸524上を軸方向(幅方向W)に沿って摺動可能に配設されている。スプラインは、第1スプロケット531が配設される側とは反対側の端部から減速機52の大歯車524aを支持するベアリングBRの端面付近まで延設されている。
シフトリング541と大歯車524aとは、互いに対向する面に爪が形成されており、その爪が互いに噛み合うことにより嵌合され、両者が一体に回転することで減速機52の第4軸524に回転力を伝達できる。よって、シフトリング541は、減速機52の第4軸524に設けられる大歯車524aと嵌合する位置(図2に示す連結位置)まで摺動すると、大歯車524aに伝達される回転力を第4軸524に出力する。
一方、シフトリング541は、大歯車524aから離間した位置(遮断位置)まで摺動すると(図中二点鎖線参照)、大歯車524aはベアリングBRを介して第4軸524上を空転し、大歯車524aに伝達される回転力は第4軸524に伝達されない。即ち、シフトリング541を連結位置と遮断位置との間で摺動させることで、大歯車524aから第4軸524に伝達される回転力を断続できる。
シフトレバー542は、操作者によって手動操作されシフトリング541を連結位置と遮断位置とに摺動させるものである。シフトレバー542の根本からは、シフトリング541に向けて先端部がコの字に形成された連結部材544が延設されており、シフトリング541は、その連結部材544のコの字における開放部分の間に遊嵌されている。
また、シフトレバー542の根本は、図3に示すように円柱状の支持部材545によって矢印S1方向と、矢印S2方向とに回動可能に支持されている。支持部材545には、インデックスプランジャ546が設けられており、シフトレバー542を矢印S1方向の所定位置まで移動させ、かかる所定位置でインデックスプランジャ546のノブを押し込むことで、その所定位置でシフトレバー542を固定できる。反対に、インデックスプランジャ546のノブを手前に引くことで、シフトレバー542を矢印S2方向に移動させることができる。
即ち、操作者は、シフトレバー542を矢印S1方向に回動させ、インデックスプランジャ546のノブを押し込むことで、連結部材544を介してシフトリング541を遮断位置に摺動させ、かかる遮断位置でシフトリング541を保持できる。一方、インデックスプランジャ546のノブを手前に引き、シフトレバー542を矢印S2方向に移動させることで、シフトリング541を連結位置に摺動させることができる。
コイルバネ543は、シフトリング541を連結位置に付勢するコイルスプリングであり、その内周側に減速機52の第4軸524を挿通させ、シフトリング541の大歯車524a側の面とは反対面からシフトリング541を大歯車524a側に付勢するように設けられている。
よって、操作者は、シフトレバー542を手動操作してシフトリング541を連結位置に摺動させれば、シフトレバー542を保持していなくても、コイルバネ543によってシフトリング541を連結位置に保持させることができる。
従って、検修作業中に仮台車1を移動させる場合、シフトレバー542を操作してシフトリング541を連結位置に摺動させ、その状態でリフトアップされている鉄道車両の車体Bの下方から離れ、リモートコントローラにより駆動装置5を起動させることで、安全に仮台車1を移動させることができる。
また、本実施形態の駆動装置5は、電動モータ51と、減速機52と、動力伝達機構53とが、側梁21に沿って走行装置3側から動力伝達機構53、減速機52、電動モータ51の順番で並設されているので、動力伝達機構53を走行装置3に接近して配設でき、省スペースで動力伝達機構53から走行装置3の車軸31へ動力を伝達できる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施形態では、駆動装置5を幅方向Wの中央部に空間を設けて側梁21の走行装置3側(図1(a)左側)に設ける場合について説明したが、駆動装置5は、幅方向Wの中央部に空間を設けて側梁22の走行装置3側(図1(a)左側)に設けても良い。また、バッテリ8の位置に駆動装置5を設け、駆動装置5の位置にバッテリ8を設けても良い。更に、駆動装置5は幅方向Wの中央部に空間を設けて側梁21の走行装置4側(図1(a)右側)に設けるようにしても良い。
また、上記実施形態では、駆動装置5は電動モータ51の本体511が台車枠2の外側、電磁ブレーキ装置55と、動力伝達機構53とが台車枠2の内側になるように配設されているが、電動モータ51の本体511が台車枠2の内側、電磁ブレーキ装置55と、動力伝達機構53とが台車枠2の外側になるように配設しても良い。
1 仮台車
21,22 側梁
3 走行装置(第1走行装置)
4 走行装置(第2走行装置)
5 駆動装置
51 電動モータ(電動機)
52 減速機
53 動力伝達機構
524 第4軸(出力軸)
524a 大歯車(減速ギヤ)
541 シフトリング
542 シフトレバー
543 コイルバネ(付勢部材)
本発明は、仮台車に関し、特に、鉄道車両から台車を取外した車体を検査、修理する検修作業において、仮台車の中央部での作業性を向上できる仮台車に関するものである。
特許文献1には、鉄道車両の保守作業をするために、鉄道車両から台車を取り外した車体を昇降可能に支持すると共に、支持した車体を所望する場所に自走して搬送する電動仮台車が記載されている。電動仮台車には、台車枠の上部に昇降支持台装置が設置され鉄道車両の車体を支持しつつ、昇降できる。また、台車枠の下部には駆動装置が設置され自走可能に構成されている。
特許文献1には、駆動装置が具体的に電動仮台車のどこに設置され、どのように構成されているかが明記されていないが、かかる駆動装置としては、電動モータや減速機などから構成されるものが知られている。
即ち、従来の電動仮台車の駆動装置は、電動モータから出力される回転力の回転速度を減速機で減じ、減速機から出力される回転力を、クラッチを介して車軸に伝達することで、その車軸に取着されている車輪を駆動することで自走させていた。
しかしながら、従来の駆動装置は、電動モータや減速機などが車軸と平行に台車枠に架設されていたので、かかる駆動装置が邪魔になって電動仮台車の中央部において十分な作業スペースが確保できず、検修作業の作業性が悪かった。
即ち、鉄道車両の車体には、その下面から牽引装置(以下「中心ピン」と称す)が垂設され、その中心ピンには制振ダンパ(所謂セミアクティブダンパ)が連結されている。鉄道車両の車体を電動仮台車にセットすると、中心ピンと制振ダンパとが電動仮台車の中央部に位置する。そのため、電動仮台車の中央部で、中心ピンや制振ダンパの検修作業を行う場合、駆動装置が邪魔になって検修作業の作業性が悪かった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、特に、鉄道車両から台車を取外した車体を検査、修理する検修作業において、仮台車の中央部での作業性を向上できる仮台車を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1記載の仮台車は、台車が取り外された鉄道車両の車体を昇降可能に支持すると共に自走可能に形成されるものであり、幅方向に所定間隔を空けて平行に延設される一対の側梁と、その一対の側梁の下方に配設される第1走行装置と、その第1走行装置を駆動させる駆動装置と、前記幅方向と交差する方向に前記第1走行装置から所定間隔を空けて前記一対の側梁の下方に配設される第2走行装置と、前記駆動装置の電源としてのバッテリとを備え、前記駆動装置は、回転力を出力する電動機と、その電動機から出力される前記回転力の回転速度を減じて出力する減速機と、その減速機から出力される前記回転力を前記第1走行装置に伝達する動力伝達機構とを備え、前記電動機と、前記減速機と、前記動力伝達機構とは、前記幅方向の中央部を空けて、前記第1走行装置の上方であって前記一対の側梁の一方の上方において前記一対の側梁の一方に沿って並設され、前記バッテリは、前記幅方向の中央部に空間を設けつつ、前記第2走行装置の上方において前記一対の側梁に配設されている。
請求項2記載の仮台車は、請求項1記載の仮台車において、前記減速機は、一端に前記動力伝達機構が連結される出力軸と、その出力軸の途中に前記出力軸に対して回転可能に配設される減速ギヤとを備え、前記出力軸には、スプラインが形成され、前記駆動装置は、前記スプラインに沿って摺動可能に前記出力軸に配設され、前記減速ギヤと嵌合して前記減速ギヤの回転力を前記出力軸に伝達させる連結位置と、前記減速ギヤから離間して前記減速ギヤの回転力が前記出力軸に伝達されるのを遮断する遮断位置との間で摺動するシフトリングと、操作者によって手動操作され前記シフトリングを前記連結位置と前記遮断位置との間で摺動させるシフトレバーと、そのシフトレバーが操作され前記シフトリングが前記連結位置に摺動した場合に、そのシフトリングを前記減速ギヤ側に付勢する付勢部材とを備えている。
請求項3記載の仮台車は、請求項1又は2に記載の仮台車において、前記電動機と、前記減速機と、前記動力伝達機構とは、前記一対の側梁の一方に沿って前記第1走行装置側から前記動力伝達機構、前記減速機、前記電動機の順番で並設されている。
請求項1記載の仮台車によれば、幅方向に所定間隔を空けて平行に延設される一対の側梁の下方には、駆動装置によって駆動される第1走行装置が配設される。また、一対の側梁の下方であって幅方向と直交する長さ方向に第1走行装置から所定間隔を空けた位置には、第2走行装置が配設されている。駆動装置は、電動機から出力される回転力の回転速度を減速機で減じ、減速機から出力される回転力を動力伝達機構によって第1走行装置に伝達することで、第1走行装置を駆動させる。かかる電動機と減速機と動力伝達機構とは、幅方向の中央部を空けて、一対の側梁の一方に沿って並設されているので、仮台車の中央部において鉄道車両の検修作業を行う場合に、駆動装置が邪魔にならず、仮台車の中央部での作業性を向上できるという効果がある。
請求項2記載の仮台車によれば、請求項1が奏する効果に加え、次の効果を奏する。減速機の出力軸が回転すると、その出力軸の一端に配設されている動力伝達機構を介して回転力が第1走行装置に伝達され、第1走行装置が駆動される。かかる減速機の出力軸の途中には、減速ギヤとシフトリングとが設けられている。減速ギヤは、出力軸に対して回転可能に配設されている。シフトリングは、出力軸に形成されているスプラインに沿って出力軸に対して摺動可能に設けられる。シフトリングは、操作者によってシフトレバーが手動操作されると、出力軸に形成されるスプラインに沿って、減速ギヤと嵌合して減速ギヤの回転力を出力軸へ伝達する連結位置と、減速ギヤから離間して減速ギヤの回転力が出力軸に伝達されるのを遮断する遮断位置との間で摺動される。シフトレバーが操作者によって手動操作されシフトリングが連結位置に摺動すると、シフトリングは付勢部材によって減速ギヤ側に付勢される。よって、操作者としては、シフトレバーを手動操作してシフトリングを連結位置に摺動させれば、シフトレバーを保持していなくても、付勢手段によってシフトリングを連結位置に保持させることができる。従って、検修作業中に仮台車を移動させる場合、シフトレバーを操作してシフトリングを連結位置に摺動させ、その状態でリフトアップされている鉄道車両の車体の下方から離れ、リモコン操作により駆動装置を起動させることで、安全に仮台車を移動させることができるという効果がある。
請求項3記載の仮台車によれば、請求項1又は2が奏する効果に加え、次の効果を奏する。電動機と、減速機と、動力伝達機構とは、一対の側梁の一方に沿って第1走行装置側から動力伝達機構、減速機、電動機の順番で並設されているので、動力伝達機構を第1走行装置に接近して配設でき、省スペースで動力伝達機構から第1走行装置へ動力を伝達できるという効果がある。
(a)は、仮台車の平面図である。(b)は、(a)のIb−Ib線における仮台車の側断面図である。
駆動装置の断面図である。
図2の矢印IIIから視た駆動装置の側面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、仮台車1の平面図であり、図1(b)は、図1(a)のIb−Ib線における仮台車1の側断面図である。尚、図1(b)では、仮台車1にリフトアップされている鉄道車両の車体Bと、仮台車1が走行するレールRとを二点鎖線で図示している。
仮台車1は、鉄道車両の車体Bを検査、修理する検修作業を行うべく、鉄道車両から台車を取外した車体Bを昇降可能に支持すると共に、車体BをレールRに沿って所望する場所に自走して搬送するものであり、特に、仮台車1の中央部(図1(a)のA領域参照)での作業性を向上できるものである。
仮台車1は、主に、台車枠2と、一対の走行装置3,4と、駆動装置5と、一対の昇降装置6,6とによって構成されている。
台車枠2は、仮台車1の骨格を構成するものであり、平面視H型に形成される。台車枠2は、幅方向W(例えば、図1(a)の上下方向の矢印参照)に所定間隔を空けて平行に延設される一対の側梁21,22と、その一対の側梁21,22の間に架設される連結梁23とによって構成されている。台車枠2によって一対の走行装置3,4、駆動装置5、一対の昇降装置6,6などが支持される。
一対の走行装置3,4は、仮台車1をレールRに沿って走行させるものであり、幅方向Wと直交する長さ方向L(例えば、図1(a)の左右方向の矢印参照)に互いに所定間隔を空けて設けられている。走行装置3は、一対の側梁21,22の間に回転可能に懸架される車軸31と、その車軸31に幅方向Wに所定間隔を空けて固定される一対の車輪32,32とによって構成される。車軸31は、駆動装置5から伝達される回転力により回転し、それに伴って一対の車輪32,32がレールR上を転動する。
走行装置4は、一対の側梁21,22の間に回転可能に懸架される車軸41と、その車軸41に幅方向Wに所定間隔を空けて固定される一対の車輪42,42とによって構成される。車輪42,42は、走行装置3の車輪32,32がレールR上を転動すると、それに伴って、レールR上を転動する。即ち、走行装置3の車輪32,32が駆動輪、走行装置4の車輪42,42が従動輪として構成されている。
駆動装置5は、走行装置3を駆動させるものであり、側梁21,22の対向間(幅方向Wの中央部)に空間を設けつつ、走行装置3の上方において側梁21に設けられている。図1(b)に示すように、駆動装置5には、第1スプロケット531が設けられ、その第1スプロケット531と対向する走行装置3の車軸31の途中には、第2スプロケット532が固定され、第1スプロケット531と、第2スプロケット532とには、チェイン533が巻回されている。尚、図1(b)では第1スプロケット531と第2スプロケット532とチェイン533とを覆うカバーを外した状態を示している。
よって、駆動装置5に含まれる電動モータ51(図2参照)を駆動して、第1スプロケット531を回転させることで、チェイン533、第2スプロケット532を介して、走行装置3の車軸31を回転させることができる。
尚、駆動装置5を制御する各種回路が内包されている走行用制御盤7が、一対の側梁21,22の各々に固定されている。また、仮台車1には、駆動装置5の電動モータ51や、後述する一対の昇降装置6,6の電動モータ(図示せず)の電源としてバッテリ8が搭載されている。バッテリ8は、側梁21,22の対向間(幅方向Wの中央部)に空間を設けつつ、走行装置4の上方において側梁22に設けられている。
一対の昇降装置6,6は、鉄道車両の車体Bを支持しつつ、鉄道車両の車体Bを昇降させるものである。昇降装置6,6は、各側梁21,22の長さ方向Lの中央部に設けられている。昇降装置6,6によって鉄道車両の車体Bをリフトアップさせることで鉄道車両の車体Bの下方から検修作業を行うことができる。
各昇降装置6は、鉄道車両の車体Bを支持する架台61と、架台61を下方から昇降させる2本の電動シリンダ62,62とによって構成される。架台61には、車体Bの下面に取り付けられている空気バネ(図示せず)が載せられる。2本の電動シリンダ62,62は、電動モータ(図示せず)を駆動させることでロッドが伸縮し、架台61を昇降させる。尚、昇降装置6を制御する各種回路が内包されている昇降用制御盤9が、一対の側梁21,22の各々に固定されている。
また、図1(b)に示すように、鉄道車両の車体Bには、架台61に載せられる一対の空気バネ(図示せず)の中央部に、中心ピンPが垂設されており、その中心ピンPの走行装置3側に制振ダンパD1が、走行装置4側に制振ダンパD2が、それぞれ連結されている。尚、2つの制振ダンパD1,D2は、いずれか一方が設けられていれば足りるが、2つの制振ダンパD1,D2の一方の故障時に他方がバックアップすることができるように2つ設けられている。
各制振ダンパD1,D2は、車体Bを鉄道車両の正規の台車に取り付けた場合に、かかる正規の台車と車体Bとの幅方向Wの相対振動を減衰させるものである。具体的に、各制振ダンパD1,D2は、シリンダ内にて摺動可能に配置されたピストンにてシリンダ内を2室に分割し、その2室に充満されたオイルを、ピストンに設けられた流路を介して流動させることにより、振動を減衰させるものである。各制振ダンパD1,D2は、ピストンの摺動方向を車体Bの幅方向Wに平行にして設けられ、シリンダは車体Bの中心ピンPに、ピストンはロッドを介して台車にそれぞれ固定される。
また、各制振ダンパD1,D2は、中心ピンPから長さ方向Lにオフセットされた位置に配置されているが、シリンダの軸心と中心ピンPとの距離は僅か(例えば、200mm程度)なので、車体Bを仮台車1にセットした場合、中心ピンPと各制振ダンパD1,D2とは、仮台車1の中央部(図1(a)のA領域参照)に配置されるとみなすことができる。
よって、中心ピンPや制振ダンパD1の検修作業を行う場合には、走行装置3側から車体Bの下方に進入して中心ピンPや制振ダンパD1にアクセスして検修作業を行うことができる。この場合、本実施形態の仮台車1では、駆動装置5が側梁21,22の対向間(幅方向Wの中央部)に空間を設けつつ、走行装置3の上方において側梁21に設けられているので、中心ピンPや制振ダンパD1の検修作業において、駆動装置5が邪魔にならず、検修作業の作業性を向上できる。
また、中心ピンPや制振ダンパD2の検修作業を行う場合には、走行装置4側から車体Bの下方に進入して中心ピンPや制振ダンパD2にアクセスし、中心ピンPや制振ダンパD2の検修作業を行うことができる。この場合も、本実施形態の仮台車1は、バッテリ8が側梁21,22の対向間(幅方向Wの中央部)に空間を設けつつ、走行装置4の上方において側梁22に設けられているので、中心ピンPや制振ダンパD2の検修作業において、バッテリ8が邪魔にならず、検修作業の作業性を向上できる。
仮台車1には、上述した構成の他にも、リモートコントローラ(図示せず)が搭載されている。操作者は、リモートコントローラを操作することで、仮台車1(仮台車1にリフトアップされている車体Bの下方)から離れた位置から駆動装置5や昇降装置6を制御できる。即ち、仮台車1から離れた位置から仮台車1の走行や昇降を制御できるので、安全に検修作業を行うことができる。
次に、図2,3を参照して、駆動装置5について詳細に説明する。図2は、駆動装置5の断面図である。図3は、図2の矢印IIIから視た駆動装置5の側面図である。
駆動装置5は、走行装置3を駆動させるものであり、主に、電動モータ51と、減速機52と、動力伝達機構53と、クラッチ装置54とによって構成される。
電動モータ51は、ロータやステータを内包する本体511と、回転力を出力する出力軸512とによって構成され、出力軸512が幅方向Wと平行になるようにケース56の外面に固定されている。電動モータ51は、バッテリ8から供給される電力により出力軸512を回転させる。
減速機52は、電動モータ51から出力される回転力の回転速度を減じて出力するものであり、平行軸歯車減速機によって構成されている。具体的に減速機52は、小歯車521aが固定された第1軸521と、小歯車521aに噛み合う大歯車522a及び小歯車522bが固定された第2軸522と、小歯車522bに噛み合う大歯車523a及び小歯車523bが固定された第3軸523と、小歯車523bに噛み合う大歯車524aを、ベアリングBRを介して回転可能に支持する第4軸524とによって構成される。
第1軸521は、電動モータ51の出力軸512の延長線上に幅方向Wと平行に配設され、電動モータ51の出力軸512とカップリング57を介して連結されている。第1軸521は、その両端がベアリングBRを介してケース56に回転可能に支持されている。よって、第1軸521は、電動モータ51の出力軸512から出力される回転力を、その途中に固定されている小歯車521aに伝達できる。
尚、第1軸521の電動モータ51側とは反対側の端部には、電磁ブレーキ装置55が設けられている。電磁ブレーキ装置55は、電動モータ51に電圧が印加された状態では電動モータ51を回転可能な状態にし、電動モータ51への電圧の印加が切断されると制動力を発生させ電動モータ51を停止させる。
第2軸522は、大歯車522aが第1軸521の小歯車521aと噛み合うように幅方向Wと平行に配設され、その両端がベアリングBRを介してケース56に回転可能に支持されている。よって、第2軸522は、第1軸521の小歯車521aから出力される回転力の回転速度を減じて、その途中に固定されている小歯車522bに伝達できる。
第3軸523は、大歯車523aが第2軸522の小歯車522bと噛み合うように幅方向Wと平行に配設され、その両端がベアリングBRを介してケース56に回転可能に支持されている。よって、第3軸523は、第2軸522の小歯車522bから出力される回転力の回転速度を減じて、その途中に固定されている小歯車523bに伝達できる。
第4軸524は、大歯車524aが第3軸523の小歯車523bと噛み合うように幅方向Wと平行に配設され、ベアリングBRを介してケース56に回転可能に支持されている。
第4軸524の途中に配設される大歯車524aは、ベアリングBRを介して第4軸524に対して回転可能に設けられている。即ち、大歯車524aは、後述するシフトリング541と嵌合している場合に、第3軸523の小歯車523bから伝達される回転力の回転速度を減じ、シフトリング541を介して第4軸524に回転力を伝達できる。
一方、後述するシフトリング541が遮断位置(図中二点鎖線参照)に位置しており、シフトリング541が大歯車524aと嵌合していない状態にある場合、大歯車524aは第4軸524上を空転し、第3軸523の小歯車523bから伝達される回転力は第4軸524には伝達されない。
このように、減速機52は、電動モータ51から出力される回転力の回転速度を、3つの大歯車522a,523a,524aによって所定の減速比で減速させ、電動モータ51から出力される回転力を所望の回転力にして第4軸524から出力できる。
動力伝達機構53は、減速機52(減速機52の第4軸524)から出力される回転力を走行装置3の車軸31に伝達するものであり、減速機52の第4軸524の一端に固定される第1スプロケット531と、その第1スプロケット531と対向する車軸31の途中に固定される第2スプロケット532(図1(b)参照)と、第1スプロケット531及び第2スプロケット532に巻回されるチェイン533(図1(b)参照)とによって構成される。よって、動力伝達機構53によれば、減速機52の第4軸524が回転すると、それに伴って第1スプロケット531が回転し、チェイン533、第2スプロケット532を介して、走行装置3の車軸31を駆動(回転)させることができる。
クラッチ装置54は、減速機52から動力伝達機構53へ伝達される回転力を断続するものであり、主に、減速機52の第4軸524の途中に軸方向に沿って摺動可能に設けられるシフトリング541と、シフトリング541を第4軸524に沿って摺動させるシフトレバー542と、シフトリング541を減速機52の大歯車524a側に付勢するコイルバネ543とによって構成される。
シフトリング541は、減速機52の第4軸524に形成されているスプライン(図示せず)に沿って減速機52の第4軸524上を軸方向(幅方向W)に沿って摺動可能に配設されている。スプラインは、第1スプロケット531が配設される側とは反対側の端部から減速機52の大歯車524aを支持するベアリングBRの端面付近まで延設されている。
シフトリング541と大歯車524aとは、互いに対向する面に爪が形成されており、その爪が互いに噛み合うことにより嵌合され、両者が一体に回転することで減速機52の第4軸524に回転力を伝達できる。よって、シフトリング541は、減速機52の第4軸524に設けられる大歯車524aと嵌合する位置(図2に示す連結位置)まで摺動すると、大歯車524aに伝達される回転力を第4軸524に出力する。
一方、シフトリング541は、大歯車524aから離間した位置(遮断位置)まで摺動すると(図中二点鎖線参照)、大歯車524aはベアリングBRを介して第4軸524上を空転し、大歯車524aに伝達される回転力は第4軸524に伝達されない。即ち、シフトリング541を連結位置と遮断位置との間で摺動させることで、大歯車524aから第4軸524に伝達される回転力を断続できる。
シフトレバー542は、操作者によって手動操作されシフトリング541を連結位置と遮断位置とに摺動させるものである。シフトレバー542の根本からは、シフトリング541に向けて先端部がコの字に形成された連結部材544が延設されており、シフトリング541は、その連結部材544のコの字における開放部分の間に遊嵌されている。
また、シフトレバー542の根本は、図3に示すように円柱状の支持部材545によって矢印S1方向と、矢印S2方向とに回動可能に支持されている。支持部材545には、インデックスプランジャ546が設けられており、シフトレバー542を矢印S1方向の所定位置まで移動させ、かかる所定位置でインデックスプランジャ546のノブを押し込むことで、その所定位置でシフトレバー542を固定できる。反対に、インデックスプランジャ546のノブを手前に引くことで、シフトレバー542を矢印S2方向に移動させることができる。
即ち、操作者は、シフトレバー542を矢印S1方向に回動させ、インデックスプランジャ546のノブを押し込むことで、連結部材544を介してシフトリング541を遮断位置に摺動させ、かかる遮断位置でシフトリング541を保持できる。一方、インデックスプランジャ546のノブを手前に引き、シフトレバー542を矢印S2方向に移動させることで、シフトリング541を連結位置に摺動させることができる。
コイルバネ543は、シフトリング541を連結位置に付勢するコイルスプリングであり、その内周側に減速機52の第4軸524を挿通させ、シフトリング541の大歯車524a側の面とは反対面からシフトリング541を大歯車524a側に付勢するように設けられている。
よって、操作者は、シフトレバー542を手動操作してシフトリング541を連結位置に摺動させれば、シフトレバー542を保持していなくても、コイルバネ543によってシフトリング541を連結位置に保持させることができる。
従って、検修作業中に仮台車1を移動させる場合、シフトレバー542を操作してシフトリング541を連結位置に摺動させ、その状態でリフトアップされている鉄道車両の車体Bの下方から離れ、リモートコントローラにより駆動装置5を起動させることで、安全に仮台車1を移動させることができる。
また、本実施形態の駆動装置5は、電動モータ51と、減速機52と、動力伝達機構53とが、側梁21に沿って走行装置3側から動力伝達機構53、減速機52、電動モータ51の順番で並設されているので、動力伝達機構53を走行装置3に接近して配設でき、省スペースで動力伝達機構53から走行装置3の車軸31へ動力を伝達できる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施形態では、駆動装置5を幅方向Wの中央部に空間を設けて側梁21の走行装置3側(図1(a)左側)に設ける場合について説明したが、駆動装置5は、幅方向Wの中央部に空間を設けて側梁22の走行装置3側(図1(a)左側)に設けても良い。また、バッテリ8の位置に駆動装置5を設け、駆動装置5の位置にバッテリ8を設けても良い。更に、駆動装置5は幅方向Wの中央部に空間を設けて側梁21の走行装置4側(図1(a)右側)に設けるようにしても良い。
また、上記実施形態では、駆動装置5は電動モータ51の本体511が台車枠2の外側、電磁ブレーキ装置55と、動力伝達機構53とが台車枠2の内側になるように配設されているが、電動モータ51の本体511が台車枠2の内側、電磁ブレーキ装置55と、動力伝達機構53とが台車枠2の外側になるように配設しても良い。
1 仮台車
21,22 側梁
3 走行装置(第1走行装置)
4 走行装置(第2走行装置)
5 駆動装置
51 電動モータ(電動機)
52 減速機
53 動力伝達機構
524 第4軸(出力軸)
524a 大歯車(減速ギヤ)
541 シフトリング
542 シフトレバー
543 コイルバネ(付勢部材)
8 バッテリ