JP2019028071A - 生体分子濃度の電気化学的測定方法 - Google Patents

生体分子濃度の電気化学的測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便に微量の生体分子の濃度を測定可能な手段を提供する。【解決手段】試料中の生体分子濃度を測定する方法であって、(a)生体分子と当該生体分子に対する特異的結合物質であってホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)修飾された特異的結合物質2との複合体10に、銀イオンを作用させてHRPと銀イオンとの酵素反応を行う工程、(b)前記酵素反応により銀4を生成させるとともに当該生成された銀を電極上に堆積させる工程、および(c)前記堆積した銀における銀イオン量を電気化学的に測定することにより、前記生体分子濃度を測定する工程、を含む、方法が提供される。【選択図】図1B

Description

本発明は、生体分子濃度を電気化学的に測定する方法、この方法を実施するためのキットおよびデバイスに関する。
タンパク質等の生体分子の濃度は、特定の症状や生命体の状態を測定する指標(バイオマーカー)等として利用されている。このような生体分子の定量法としては、特異性が高いイムノアッセイが広く用いられている。イムノアッセイにおける抗原抗体反応を検出する手法としては、感度、迅速性、または簡便性などの視点から、光学手法(UV、蛍光、発光)を主体とした検討が行われ、イムノクロマト法のようなオンサイトでも簡便・迅速に計測できる技術も進歩してきた。実際にイムノクロマト法は簡便性および迅速性に優れ、目視で半定量的な結果が得られるため、妊娠診断検査やインフルエンザ検査などのオンサイト測定に利用されている。しかしながら、イムノクロマト法は酵素増幅ができないため、従来のイムノアッセイ(ELISA法)と比較するとその感度が低くなることが多い。一方、電気化学法によっても電極材料や検出方法の組合せにより、簡便ながら同等以上の感度が得られる可能性が期待されている。電気化学法は、溶液中の目的成分について、その濃度に対応する変化を電極上での電気的(例えば電流)信号として変換、出力することを特徴としており、簡便かつ高感度化の目標に最適の方法である。
本発明者らは、近年、この電気化学的方法に基づき、微量(ng/mL)でも血液中に混入すると発熱作用を引き起こすエンドトキシンの電気化学的手法による濃度測定法を検討してきた。しかしながら、エンドトキシンの存在濃度はpg/mL〜ng/mLの領域であり、従来の電気化学的方法では正確な濃度を測定することが困難であった。そこで本発明者らは、エンドトキシンの濃度測定の検出感度向上を目的として、以下に示す新たな検出方法を提案した(特許文献1)。すなわち、(1)第一のエンドトキシン認識分子を固定化した担体に試料を接触させ、試料中のエンドトキシンを担体に捕捉・濃縮する工程、(2)重金属化合物と第二のエンドトキシン認識分子を含むエンドトキシン認識プローブを担体に接触させ、担体上のエンドトキシンにエンドトキシン認識プローブを捕捉する工程、(3)エンドトキシン認識プローブに酸性溶液を反応させ、プローブの重金属化合物から重金属イオンを溶出する工程、および(4)重金属イオンを測定する作用電極を用いて、溶出した重金属イオン量を電気化学的に測定する工程を含み、重金属イオン量を指標として試料中のエンドトキシン濃度を測定することを特徴とするエンドトキシン濃度の電気化学測定法である。この特許文献1の方法では200pg/mL程度の濃度のエンドトキシンを測定することが可能である。すなわち、特許文献1の方法は、エンドトキシンとプローブの微粒子上への濃縮、ならびに重金属イオンの作用電極上への濃縮・測定の過程を経ることで、重金属イオンを低濃度まで安定に定量でき、すなわち高感度なエンドトキシン検出が実現されたものである。
一方、生体中には、その存在が極微量(1〜10pg/mL)であっても特定の疾患や生命体の状態の指標となるうる生体分子(例えば、疾病マーカー抗原、ホルモン、サイトカイン類など)が存在する。特許文献1の方法では、このような極微量(例えば10pg/mL以下)の生体分子を測定することはできない。このような極微量の生体分子の測定を可能とするために、さらなる検出感度向上が求められる。そのための最大の課題としては、対象一分子に対する検出系中の重金属イオン濃度を如何に向上させるかという点が挙げられる(応答増幅率の向上)。改善策として、プローブ一分子中に金属錯体部位をより多く導入したプローブ構造とすることが考えられる。これにより原理的には検出系内の重金属イオン濃度が増加するが、反面、対象分子との結合定数の低下が懸念される。
イムノクロマト法においても高感度化が検討されている。従来のイムノクロマト法では、対象分子の標識に金コロイドを利用するが、近年、この金コロイドへの銀の堆積を利用したイムノクロマト法の高感度化の報告が見られる(特許文献2、非特許文献1)。直径約50nmの金コロイドを核として直径10μmの銀粒子にまで成長させ、光学密度(光学濃度)の測定(デンシメトリー)により対象分子の定量を行うものである。従来のイムノクロマト法に比較して1000倍の高感度化に成功している。また、μm間隔で隔離された二つの電極間で対象物質を捕捉し、その後その上に酵素メタリゼーションによって銀を堆積させることで、二電極間が銀によって通電する(コンダクトメトリー)ことを利用したバイオセンサも報告されている(非特許文献2、非特許文献3)。また、銀のストリッピング反応を活用した例として、変換ストリッピング法が公知である(特許文献3、特許文献4)。この方法は、生体分子の電極反応を行うセルおよびストリッピングを行うセルの二つのセルを用意し、セル間の導通を取ることで、生体分子の電極反応を銀のストリッピング反応に変換、定量する方法であるが、装置が複雑である。
特開2016-151482号公報 特開2011-117906号公報 特表2012-530240号公報 特開2015-190939号公報
富士フイルム研究報告 57(2012)5-10 Nano Letters 5 (2005) 1475-1482 Journal of the American Chemical Society 133 (2011) 3238-3241
試料中の微量の生体分子濃度を簡便に測定することのできる手段が求められている。
本発明者らは、対象一分子に対する検出系中の重金属イオン濃度の向上の手段として、銀イオンの酵素メタリゼーション反応によって生成する銀を電極上に堆積させる手法を用い、この堆積した銀における銀イオン量を電気化学的に測定することで、対象生体分子の高感度測定が実施できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の一形態は、従来のイムノクロマト法や電気化学的測定よりも簡便かつ高感度に極微量の生体分子濃度を測定することのできる方法と、この方法を実施するための生体分子濃度測定キットおよびデバイスを提供する。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 試料中の生体分子濃度を測定する方法であって、
(a)生体分子と当該生体分子に対する特異的結合物質であってホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)修飾された特異的結合物質との複合体に、銀イオンを作用させてHRPと銀イオンとの酵素反応を行う工程、
(b)前記酵素反応により銀を生成させるとともに当該生成された銀を電極上に堆積させる工程、および
(c)前記堆積した銀における銀イオン量を電気化学的に測定することにより、前記生体分子濃度を測定する工程
を含む、前記方法。
[2] 前記複合体は、生体分子に対する第二の特異的結合物質を介して担体に固定化されている、[1]に記載の方法。
[3] 生体分子の検出限界濃度が1pg/mLから10pg/mLの範囲である、[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記電極の平均表面粗さ(Ra)が0.05〜5nmである、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 前記電極はナノカーボン電極である、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 工程(c)において反応系における銀イオンの濃度が1〜100ng/mLである、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7] 前記電極のサイズが、1〜100mmである、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 工程(a)における酵素反応は、酸化剤および還元剤の存在下で行われる、[1]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 前記酸化剤は、過酸化水素であり、前記還元剤は、鉄イオン(Fe2+)およびヒドロキノンから選択される少なくとも一つである、[8]に記載の方法。
[10] 工程(a)の酵素反応は、pH3.0〜7.0の緩衝液中で行われ、工程(c)における電気化学的測定は、pH4.0〜5.0の緩衝液中で行われる、[1]〜[9]のいずれかに記載の方法。
[11] 以下の工程、
(1)生体分子に対する特異的結合物質を固定化した担体に試料を接触させ、試料中の生体分子を担体に捕捉する工程、
(2)特異的結合物質を担体に再度接触させ、担体上の生体分子に特異的結合物質を捕捉する工程、
(3)特異的結合物質にホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を修飾する工程、
(4)銀イオンを含む試薬を担体上のHRPと酵素メタリゼーション反応をさせ、銀を生成させる工程、および
(5)生成した銀を電極上に堆積させ、この堆積した銀イオン量を電気化学的に測定する工程、
を含み、銀イオン量を指標として試料中の生体分子濃度を測定することを特徴とする、[1]〜[10]のいずれかに記載の方法。
[11−1] 前記試薬が、酸化剤および還元剤をさらに含む、[11]に記載の方法。
[11−2] 前記酸化剤は、過酸化水素であり、前記還元剤は、鉄イオン(Fe2+)およびヒドロキノンから選択される少なくとも一つである、[11−1]に記載の方法。
[12] [1]〜[11]のいずれかに記載の方法を実施するためのキットであって、生体分子に対する特異的結合物質を固定化した担体と、HRPと、銀イオンを含み、HRPと酵素メタリゼーション反応を実施可能な試薬と、を含むことを特徴とする生体分子濃度測定キット。
[12−1] 前記試薬が、酸化剤および還元剤をさらに含む、[12]に記載のキット。
[12−2] 前記酸化剤は、過酸化水素であり、前記還元剤は、鉄イオン(Fe2+)およびヒドロキノンから選択される少なくとも一つである、[12−1]に記載のキット。
[13] [1]〜[11]のいずれかに記載の方法を実施するためのデバイスであって、生体分子に対する特異的結合物質を固定化した担体および電極を備えた電気化学セルと、電極への電圧印加手段と、電流測定手段と、を含むことを特徴とする生体分子濃度測定デバイス。
[14] 前記生体分子が抗原であり、前記特異的結合物質が前記抗原に結合する抗体またはそのフラグメントである、[1]〜[11][11−1]〜[11−2]のいずれかに記載の方法、[12][12−1][12−2]のいずれかに記載のキット、[13][13−1][13−2]のいずれかに記載のデバイス。
[15] 以下の工程、
(1)生体分子に対する特異的結合物質を固定化した担体に試料を接触させ、試料中の生体分子を担体に捕捉・濃縮する工程、
(2)特異的結合物質を担体に再度接触させ、担体上の生体分子に特異的結合物質を捕捉する工程、
(3)特異的結合物質にホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を修飾する工程、
(4)銀イオンを含む試薬を担体上のHRPと酵素メタリゼーション反応をさせ、銀を生成させる工程、および
(5)生成した銀を作用電極上に堆積させ、この堆積した銀イオン量を電気化学的に測定する工程、
を含み、銀イオン量を指標として試料中の生体分子濃度を測定することを特徴とする生体分子濃度の測定方法。
[16] 生体分子の検出限界濃度は1pg/mLから10pg/mLの範囲である、[15]に記載の測定方法。
[17] [15]または[16]に記載の生体分子濃度測定方法を実施するためのキットであって、生体分子に対する特異的結合物質を固定化した担体、HRPと銀イオンを含む酵素メタリゼーション反応を実施可能な薬品を含むことを特徴とする生体分子濃度測定キット。
[18] [15]または[16]に記載の第一生体分子濃度測定方法を実施するためのデバイスであって、生体分子に対する特異的結合物質を固定化した担体と作用電極を備えた電気化学セル、電極への電圧印加手段および電流測定手段を含むことを特徴とする生体分子濃度測定デバイス。
本発明は、以下の一以上の効果を有する。
(1)従来のイムノクロマト法や電気化学的測定よりも高感度に生体分子濃度を測定することが可能である。特に、本発明の方法によれば、極微量(例えば1〜10pg/mL)の生体分子濃度の測定が可能である。
(2)複雑な機器や光学手法(UV、蛍光、発光)を必要とすることなく簡便な電気化学的測定により微量の生体分子濃度を測定することが可能である。
(3)生体分子の担体表面上への捕捉による濃縮、および銀の酵素反応による生成、さらには生成した銀の電極上への還元堆積による濃縮という複数の濃縮過程の組合せと、最終的に検出系中の重金属イオンを低濃度まで安定に測定可能な作用電極によって、低濃度の生体分子に対しても電気化学応答を増幅させ、より一層の高感度で測定することが可能になる。
(4)本発明の濃度測定キットおよび濃度測定デバイスの使用により、使用者の熟練度を問わずに、簡便かつ高感度(例えばpg/mLオーダー)で極微量(例えば1〜10pg/mL)の生体分子の濃度を測定することができる。
本発明の一形態における生体分子の濃度の測定方法の原理を示した概念図である。 本発明の一形態における生体分子の濃度の測定方法の原理を示した概念図である。 本発明の一形態における生体分子の濃度の測定方法の原理を示した概念図である。 実施例1における矩形波ボルタモグラムを示す。 (a)は実施例2における矩形波ボルタモグラムを示し、(b)は様々な抗原濃度と応答電流値との関係を示す。 実施例3で得られた抗原濃度と応答電流値との関係を示す。
本発明の一形態は、電気化学的方法による、試料中に含まれる生体分子の濃度測定方法である。すなわち、本発明の一形態は、試料中の生体分子濃度を測定する方法に関する。該方法は、(a)生体分子と当該生体分子に対する特異的結合物質であってホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)修飾された特異的結合物質との複合体に、銀イオンを作用させてHRPと銀イオンとの酵素反応を行う工程、(b)前記酵素反応により銀を生成させるとともに当該生成された銀を電極上に堆積させる工程、および(c)前記堆積した銀における銀イオン量を電気化学的に測定することにより、前記生体分子濃度を測定する工程を含む。
本発明は、検出系中の重金属イオンとして銀イオンを使用し、検出系中の重金属イオン濃度の向上の手段として、銀イオンとHRPとの酵素メタリゼーション反応を利用する。すなわち、酵素反応を通じて、検出対象である生体分子一分子に対する銀濃度が高められる(増幅効果)。堆積された銀の量は試料中の生体分子の量に相関していることから、電極上に堆積された銀の量を電気化学的に測定することにより、試料中の生体分子濃度を測定することができる。本発明の方法では、酵素反応による銀の生成量の制御(応答増幅率の向上)と電極上での銀のストリッピング反応による高感度検出(高いS/N比)とが可能であり、結果として対象生体分子の高感度な測定が可能となる。
本発明の極微量の生体分子の濃度測定の原理を以下に説明する。
本形態の方法では、生成した銀を銀の電気化学測定が可能な作用電極へ誘導し堆積させることで、試料中の銀濃度を定量する。ここで、銀の電気化学測定としては、例えば、アノーディックストリッピングボルタンメトリー(ASV)法と同様の方法を用いる。一般的なASV法は金属イオンを電極上に一度還元堆積させ、堆積した金属を酸化させる際に得られる酸化電流値を検出する分析法である。ただし、本発明の方法が一般的な金属イオンのASV検出法と大きく異なる点は、電位印加によって金属イオンを作用電極上に還元堆積させない点である。代わりに、本発明の方法では、酵素メタリゼーション反応によって銀を生成させ、生成させた銀を作用電極上に堆積させる。堆積させた銀の量は、ASV法と同様にして、堆積した銀を酸化させる際に得られる酸化電流値を測定することにより測定することができる。堆積した銀量は試料中の生体分子の量と相関関係にあるため、既知の生体分子量とそれに応じて捕捉されたHRP量に基づき生成した銀量(より具体的には銀を酸化させる際に流れる酸化電流値)との間で検量線を作成し、銀の酸化電流値を測定すれば、該検量線に基づいて試料中の生体分子の量を知ることが可能となる。ASV法は、非常に高感度な分析手法でありながら、安価で測定装置の小型化が可能であり、オンサイト分析に適した分析法である。本発明の方法では、このようなASV法の利点を有しつつ、酵素反応による増幅効果によって一般のASV法よりも低い検出限界を達成することができる。
本発明の方法は、基本的には電子の授受により生ずる、電極に流れる電流を測定することにより銀の量を測定して、生体分子量を把握するものである。この測定電流は銀の酵素反応による生成(増幅)と銀の電極表面への還元堆積(濃縮)過程を経る。したがって、捕捉された生体分子が微量であっても、酵素反応による銀生成の増幅効果と電極表面への銀の堆積(濃縮)効果とにより高感度で生体分子量を測定し得る点に特徴を有する。
具体的には、作用電極上では以下の反応が生ずる。すなわち、HRPが触媒として作用し、銀イオン(Ag)が還元されて、銀(Ag)が作用電極上に堆積する。
(a)Ag+e→Ag(電極上での酵素メタリゼーション反応)
こうして、HRPを触媒とした銀イオン(Ag)の還元反応(酵素メタリゼーション反応)が連続的に生じることにより、検出対象である生体分子一分子に対する銀濃度を高めることができ、望ましい増幅効果を達成する。
好ましい態様では、HRPと還元剤および酸化剤との共存下で、銀生成反応を行う。HRPと還元剤および酸化剤とが共に存在すると、銀イオンの還元反応の効率が向上し得る。例えば、反応系に、HRPと酸化剤である過酸化水素および還元剤であるヒドロキノンとが共存する場合には、HRPが触媒として作用し(特に下記(a2)の反応を触媒する)、以下の反応が進行し得る。
(a1)還元剤(例えばヒドロキノン)+2Ag→還元剤の酸化物(例えば1,4−ベンゾキノン)+2Ag+2H
(a2)酸化剤(例えばH)+2H+2e→酸化剤の還元物(例えば2HO)
上記反応を通じて、HRPを触媒とした銀イオン(Ag)の連続的な還元反応(HRP量に応じた銀の増幅生成)が効率的に進行し、検出対象である生体分子一分子に対する銀濃度を効率的に高めることができ、一層の増幅効果が達成される。
次に、作用電極へ正の電圧を印加すると作用電極上に堆積した銀が酸化されて、銀イオンとなる。例えば、pH5.0のもとでASV測定と同様の方法により堆積された銀の酸化反応を行うと(すなわち電極上へ正の電圧を印加すると)、以下の酸化反応が生ずる(銀の脱離反応)。
(b)Ag→Ag+e
この時に、上記反応式(b)中の電子(e)の量、つまり電極における電流は、電極上に堆積した銀の量、したがって、(a)の酵素反応による銀の生成反応に要する生体分子の量(HRP量)、銀イオン濃度、酵素反応時間などの酵素反応条件に依存する。
すなわち、電極表面に濃縮、堆積された銀が脱離反応を起こす際に酸化電流を与える。このときの酸化電流は電極表面に堆積された銀量にほぼ比例する。堆積された銀の量は、酵素反応に関与する酵素量(HRP量)に相関するが、この酵素量(HRP量)は試料中の生体分子の量と対応関係にある。したがって、試料中の生体分子濃度の増加に応じて、電極表面に堆積される銀量が増加するため、得られる電流も増加する。いいかえれば、電流の増加の度合いから、試料中に存在する生体分子の量(濃度)を把握することが出来る。例えば、既知の生体分子量と銀の酸化電流値との間で検量線を作成し、検量線作成の際と同一の酵素反応条件で酵素反応を行い、堆積された銀の酸化電流値を測定することにより、該検量線に基づいて試料中の生体分子の量を知ることが可能となる。したがって、本発明の方法では、複雑な機器や光学手法(UV、蛍光、発光)を必要とすることなく、簡便な電気化学的測定により、試料中の生体分子濃度の定量が可能である。
生体分子濃度の定量は、これら一連の反応、すなわち、酵素メタリゼーション反応による銀の増幅生成(検出対象である生体分子一分子に対する銀濃度向上)と作用電極上への銀の還元堆積(濃縮)によって可能となったものであり、従来のイムノクロマトグラフィを含むイムノアッセイ法では実現不可能であった測定濃度の検出限界の向上(例えばイムノクロマト法と比較して約10000倍の向上)をもたらすものである。本発明の一形態による測定方法において、生体分子の検出限界濃度は、1pg/mLから10pg/mLの範囲である。本発明の一形態によれば、従来のイムノクロマト法や電気化学的測定では困難であった、このような極微量(1〜10pg/mL)の生体分子濃度の測定が可能である。
なお、本発明の測定方法は、極微量の生体分子濃度の測定に限られず、例えば、1pg/mL〜1000ng/mLの範囲(好ましくは1pg/mL〜100ng/mL)の生体分子濃度の測定にも適用可能である。
以下、図面を用いて本発明の一形態に係る生体分子の濃度の測定方法を詳細に説明する。ただし、本発明は図示した形態に限定されるわけではない。
本発明の方法では、生体分子に対する特異的結合物質を生体分子の捕捉材として用いる。図1Aに示すように、生体分子1は、当該生体分子1に対する特異的結合物質2と結合し、複合体10を形成している。特異的結合物質2はHRPで修飾されている。本明細書では、生体分子とともに複合体を構成する特異的結合物質を「第一の特異的結合物質」ともいう。また、後述の、生体分子を担体に固定化するために介在する特異的結合物質を「第二の特異的結合物質」ともいう。
複合体10の形成方法は特に制限されない。例えば、生体分子1を含有する試料に第一の特異的結合物質2を添加して生体分子1を第一の特異的結合物質2に捕捉させ、次いで、第一の特異的結合物質2にホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を修飾することにより、複合体10が得られる。この時、生体分子1は、その量に応じて、第一の特異的結合物質2に捕捉され、複合体10が形成される。なお、あらかじめHRP標識した特異的結合物質2を使用してもよい。すなわち、第一の特異的結合物質2にあらかじめHRPを修飾し、これを、生体分子1を含有する試料に添加して生体分子1を第一の特異的結合物質2に捕捉させることにより、複合体10を得てもよい。
本発明の一実施形態では、生体分子に対する特異的結合物質(第二の特異的結合物質)を例えば化学架橋により固定した担体を生体分子の捕捉材として用いることができる。本実施形態では、図1Bに示すように、複合体10は、生体分子1に対する第二の特異的結合物質5を介して担体6に固定化されている。複合体10を第二の特異的結合物質5を介して担体6に固定化することにより、各工程で溶液中に存在する生体分子、特異的結合物質(例えばビオチン標識抗体)、HRP修飾抗体を担体表面に捕捉することで濃縮ができ、なおかつ各工程での洗浄操作が容易となる。
担体6は、特異的結合物質を固定化する事が出来れば、その形状に制限はなく、球状・不定形の粒子、微粒子でも良く、繊維状、膜状、平板状、柱状でも良い。担体は、多孔質であっても良く、無孔質であっても良い。入手の容易さを考慮すれば、免疫測定用の微粒子、磁気ビーズ、非磁気ビーズ、球状やモノリス状のクロマトグラフィー用担体、フィルター、繊維などが好ましく利用できる。
第二の特異的結合物質5を担体6に固定化する方法は当業者によく知られている。例えば、結合剤を用いて、担体の表面(活性化した表面、カルボキシル化表面、ヒドロキシル化表面など)に特異的結合物質を固定化させることができる。結合剤の例としては、臭化シアン、スクシンイミド、アルデヒド、トシルクロリド、アビジン−ビオチン、ストレプトアビジン−ビオチン、チオール、光架橋化剤、エポキシドおよびマレイミドがある。例えば、抗体は、抗体上の自由なアミノ基を基板内に存在している反応性側鎖と化学的に架橋させることによって基板に結合させることができる。
生体分子1(複合体10)を担体6に捕捉する方法としては、例えば、第二の特異的結合物質5が固定化された担体6に生体分子1を含有する試料を、例えば滴下または添加することにより接触させて生体分子1を第二の特異的結合物質5を介して担体6に捕捉した後に、第一の特異的結合物質2を接触させ、担体6上の生体分子1を第一の特異的結合物質2に捕捉させる方法が挙げられる。この時、担体6へ捕捉された生体分子1の量に応じて、第一の特異的結合物質2が捕捉される。
続いて、この第一の特異的結合物質2が捕捉された担体6に、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(本明細書において単に「HRP」ともいう)を修飾することにより、図1Bに示すように、生体分子1と、当該生体分子1に結合しかつHRPで修飾されている第一の特異的結合物質2とから構成される複合体10であって、第二の特異的結合物質5を介して担体6に固定化された複合体10が得られる。
なお、HRPによる修飾は第一の特異的結合物質2と生体分子1との結合前に行ってもよい。例えば、あらかじめHRP標識した第一の特異的結合物質2を用いて生体分子1を捕捉(結合)させてもよい。
複合体10の形成およびHRP修飾は溶液中で行われることが好ましい。試料が溶液である場合には試料をそのまま用いて、または、Tris緩衝液生理食塩水(TBS)、リン酸緩衝液生理食塩水(PBS)、HEPES緩衝液等の緩衝液等で希釈して用いることができる。試料が溶液でない場合には上記緩衝液等の溶液に試料を分散または溶解させて用いることができる。
HRPによる修飾の方法は当業者によく知られている。例えば、臭化シアン、スクシンイミド、アルデヒド、トシルクロリド、アビジン−ビオチン、ストレプトアビジン−ビオチン、チオール、光架橋化剤、エポキシドおよびマレイミドなどの結合剤を介して第一の特異的結合物質2にHRPを修飾することができる。例えば、第一の特異的結合物質2としてビオチン標識抗体を用い、これに、アビジンまたはストレプトアビジンで標識されたHRPを作用させることで、アビジン−ビオチンまたはストレプトアビジン−ビオチンの結合により、第一の特異的結合物質2にHRPを修飾することができる。
複合体10の形成、担体6への固定化および/またはHRP修飾の後には、必要に応じて、Tris緩衝液生理食塩水(TBS)、リン酸緩衝液生理食塩水(PBS)、HEPES緩衝液等の緩衝液などの洗浄液を用いて洗浄処理がされ、過剰な(結合していない)特異的結合物質(2,5)、担体6、および/またはHRPなどが除去される。洗浄液には、必要に応じて、ポリソルベート20(Tween20)などの非イオン性界面活性剤、BSAやスキムミルクなどのブロッキング剤が添加される。
生体分子に作用させる特異的結合物質(2,5)およびHRPの濃度に特に制限はないが、特異的結合物質(2,5)の濃度は数10〜数100μg/mL(例えば10〜900μg/mL、好ましくは50〜500μg/mL)が好都合であり、HRPの濃度は数ng/mL程度(例えば1〜10ng/mL、好ましくは1〜5ng/mL)が好都合である。特異的結合物質およびHRPの濃度が大きすぎると、物理的に吸着した過剰な特異的結合物質およびHRPが洗浄処理後にも系に残存し、生体分子に結合していないHRPによる電流応答の増幅を与える場合がある。このような濃度とすることにより、生体分子に結合していないHRPの影響を低減または回避でき、測定対象である生体分子由来の明瞭な電流応答を与え得ることができるため好ましい。
本発明の方法では、図1Aおよび図1Bに示されるように、複合体10に銀イオン(Ag)を作用させることで、複合体10中のHRPと銀イオン(Ag)との酵素反応が生じる(工程(a))。酵素反応により銀4が生成し、当該生成された銀4は電極3上に堆積される(工程(b))。
工程(a)における酵素反応は、銀イオンの還元反応の効率の面から、酸化剤(例えば過酸化水素)および還元剤(例えば鉄イオン(Fe2+)および/またはヒドロキノン)の存在下で行われることが好ましい。
工程(a)は溶液中で行われることが好ましい。
好ましくは、工程(a)の酵素反応の前段階までは、抗体およびHRPの機能維持の点で、Tris緩衝液生理食塩水(TBS)、リン酸緩衝液生理食塩水(PBS)、HEPES緩衝液等のpH(例えばpH6〜8)が制御された緩衝液(例えば濃度10〜100mmol/L)を用いる。
また、工程(a)の酵素反応では、溶液中に塩素イオンが存在すると銀イオンと反応して塩化銀(AgCl)が析出してしまう可能性があり、塩素イオンフリーの緩衝液で行うことが好ましい。具体的には酵素反応を効率よく進行させる観点で、塩素イオンフリーのクエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液(PB)等のpH(例えば、pH3.0〜7.0)が制御された緩衝液(例えば濃度10〜100mmmol/L)を用いることが好ましい。
また、工程(a)および工程(b)は、複合体10を含む緩衝液に銀イオン(Ag)を含む試薬を添加し、得られた溶液を電極上に滴下することにより実施されることが好ましい。
工程(a)において反応系における銀イオンの濃度は、HRPとの反応が進行する濃度であれば特に制限されないが、効率的な酵素メタリゼーション反応の点で、好ましくは1〜50mmol/Lであり、より好ましくは1〜30mmol/Lであり、さらに好ましくは1〜10mmol/Lである。
工程(b)の後、工程(c)の前に、必要に応じて、銀4が堆積された電極3の表面を洗浄し、過剰な(未反応の)銀(イオン)および/または複合体10などが除去される。
酵素反応の時間(工程(a)および工程(b)の合計時間)は特に制限されず、測定対象物質の存在濃度および使用する抗体、HRPの濃度により適宜設定される。一例をあげると、5〜15分である。
続いて、堆積した銀4における銀イオン(Ag)の量を電気化学的に測定することにより、試料中の生体分子1の濃度が測定される(工程(c))。工程(c)は溶液中で行われることが好ましい。溶液としては、銀の電気化学測定を高感度に実施することのできる緩衝液およびpHの使用が好ましい。例えば、弱酸性(例えばpH4.0〜5.0、好ましくはpH5.0程度)の酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液等の緩衝液(例えば、濃度10〜100mmol/L)が好ましい。また、工程(c)において反応系における銀イオンの濃度が1〜100ng/mLとなる条件で電気化学測定を行うことが好ましい。銀4が堆積した電極を作用電極としてpHが制御された緩衝液中に挿入し、適当な対向電極、参照電極と組み合わせて、電気化学測定を行う。銀4が堆積した電極(作用電極)に正の電圧(例えば、0〜300mV対銀塩化銀電極)を印加することにより、銀の酸化反応に基づく酸化電流が流れる。
電気化学的測定法としては、銀の酸化電流を測定できる方法であれば、特に制限されない。例えば、矩形波ボルタンメトリー、サイクリックボルタンメトリー、微分パルスボルタンメトリー、ノーマルパルスボルタンメトリー、交流ボルタンメトリー等の手法が適宜使用可能である。
本発明において利用される電極(作用電極)の材質としては特に制限はないが、例えば、カーボン系の材料、金電極、等が挙げられる。中でも、電極素材上に最終的に銀を堆積させ、その後堆積させた銀を電極反応させる必要があるとの観点から、カーボン系の材料からなるカーボン電極が好都合に使用される。例えば、特許文献1などに開示されたカーボン薄膜(銀イオンが堆積しやすく、かつ酸化溶出反応に基づいた電気化学反応によって測定するのに十分な広い電位窓と低いノイズ電流を有するカーボン薄膜)が挙げられる。具体的には、ボロンドープダイヤモンド薄膜、導電性ダイヤモンドライクカーボン薄膜、スパッタカーボン薄膜またはグラファイト薄膜などを利用することができる。さらには、このカーボン薄膜は、spカーボン結合が多いほうが良く、しかもより低濃度の銀の測定を達成するためには電極由来のノイズ電流の低い平坦な電極表面を有するナノカーボン電極が好ましい。カーボン薄膜におけるsp結合とsp結合との結合比は、例えばスパッタ法における照射イオンの加速電圧を調節することにより制御できる。sp結合の割合(sp結合とsp結合との比率)は、X線光電子分光分析(XPS)により測定することができる。
具体的な好ましいナノカーボン電極の例は、特許4513093号に記載されたスパッタ法(例えば電子サイクロトロン共鳴(ECR)スパッタ法、RFスパッタ法、DCスパッタ法、またはイオンビームスパッタ法)により形成されるカーボン薄膜で構成されたカーボン電極である。
ノイズ電流を低減し、高感度を実現するため、電極(作用電極)の平均表面粗さ(Ra)は0.05〜5nmであることが好ましい。本明細書において、平均表面粗さ(Ra)はJIS B 0601:2013に規定する算術平均粗さ(Ra)をいう。平均表面粗さ(Ra)はより好ましくは0.1〜5nmであり、さらに好ましくは0.1〜2.0nmである。
電極は、低ノイズ(一般的に電流密度で、例えば100nA〜10μA/cm)が達成されるものが好ましい。
電極サイズは、計測する電流の範囲に応じて適宜決定される。電極サイズは、例えば1〜100mmが好ましく、3〜50mmがより好ましく、3〜10mmがさらに好ましい。例えば、微量(1〜10pg/mL)の生体分子の測定を行う場合には通常、数μA〜数100μAで計測するのが好都合であり、その場合、上記の電極のサイズが好ましい。電極の形状は特に制限されず、円形、楕円形、または多角形等でありうる。
電極の厚さは、特に制限されないが、薄膜形状が好ましい。例えば、30nm〜200nm程度が、十分な導電性を確保し極微小な電極を作製するという観点から好ましい。
特異的結合物質は、生体分子と特異的に結合する能力を持つ物質であり、例えば、対象の生体分子に結合する、抗体またはそのフラグメント、糖鎖または複合糖質、DNA、RNA、オリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドまたはその誘導体などの核酸(核酸アプタマー)、ペプチド(ペプチドアプタマー)、タンパク質、酵素、合成分子などを使用することができる。第一の特異的結合物質および第二の特異的結合物質は同一であっても異なっていてもよい。
銀イオン(Ag)を含む試薬(銀を生成させる薬剤)としては、銀イオン(Ag)を含むものであれば特に限定されない。好ましくは銀イオンと還元剤(例えば鉄イオン(Fe2+)、ヒドロキノンなど)と酸化剤(例えば、過酸化水素)とを含有する試薬が好ましい。還元剤および酸化剤がHRPと共に存在すると、銀イオンの還元反応の効率が向上し得る。また、試薬は溶液形態が好ましく、銀イオンとHRPとの酵素反応によって効率よく銀を生成させることのできる溶液組成(例えば、銀イオン(例えば濃度1〜10mmol/L)、過酸化水素(例えば濃度10〜30mmol/L)、およびヒドロキノン(例えば濃度10〜30mmol/L)を含む0.1mol/Lクエン酸緩衝液(例えばpH3〜5))であり、安定で、安価なものが好都合に利用される。具体的には、Nanoprobe社のEnzMetなどが適宜利用できる。
本発明の一実施形態について、図1Cに基づき詳細に説明する。図1Cに示す形態において、爪白癬菌抗原が測定対象である生体分子であり、抗爪白癬菌抗体が第一の特異的結合物質および第二の特異的結合物質であり、磁気微粒子が担体である。抗体に修飾されたビオチンと担体である磁気粒子上のストレプトアビジンとの結合により抗体が担体に固定化されている。図1C中の六角形のシンボルはストレプトアビジンで修飾された磁気微粒子上のストレプトアビジン部位を示し、記号「Ag」は銀イオンを示し、記号「Ag」は銀を示す。ここでは、生体分子として爪白癬菌抗原、作用電極としてスパッタカーボン薄膜を例に説明する。まず、担体として、ストレプトアビジンで修飾された磁気微粒子(直径37〜100μm、GE healthcare製)を調製し(1)、この磁気微粒子にビオチン標識した抗爪白癬菌抗体(ビオチン標識抗体)を作用させることで、抗爪白癬菌抗体固定化磁気微粒子を得る(2)。ここに爪白癬菌抗原試料を滴下し、爪白癬菌抗原を磁気微粒子表面に捕捉する(3)。次に、ビオチン標識抗体を、再度接触させ磁気微粒子上の爪白癬菌抗原にビオチン標識抗体を捕捉させる(4)。次にこの抗体にストレプトアビジン標識されたHRPを作用させ、抗体にHRP修飾を行う(5)。この時、抗原の量に応じたHRPが捕捉される。ここへ銀イオンを含む試薬を添加し(6)、担体上のHRPと酵素メタリゼーション反応をさせ、銀を生成させる。生成した銀はこれの電気化学測定が可能な作用電極であるスパッタカーボン電極表面上へ誘導・堆積させる(7)。このような処理を施して得られた作用電極を適当な緩衝液中に添加し、ここに適当な対向電極、参照電極と組み合わせて、電気化学測定を行うことで、爪白癬菌抗原量に応じて生成堆積した銀の酸化電流値が得られる(8)。銀の酸化電流値から、存在する爪白癬菌抗原の量(濃度)を把握することが出来る。
工程(1)〜(5)における、ビオチン標識抗体を介して磁気微粒子に固定化され、HRP修飾されたビオチン標識抗体と爪白癬菌抗原との複合体の形成において、微粒子担体表面上に捕捉された爪白癬菌抗原に作用させるビオチン標識抗体およびHRPの濃度に特に制限はないが、測定対象である生体分子由来の明瞭な電流応答を与え得る濃度としては、ビオチン標識抗体は数10〜数100μg/mL(例えば10〜900μg/mL)、HRPは数ng/mL程度(例えば1〜10ng/mL)が好都合である。
また、工程(8)において使用する緩衝液の種類とそのpHについては、使用する銀の電気化学測定を高感度に実施することのできる緩衝液の使用が好ましい。例えば、銀の酸化電流測定を行う場合においては、弱酸性のpH5.0、濃度10〜100mmol/Lの酢酸緩衝液が好都合に用いられる。
図1Cの実施形態では、特異的結合物質として抗体と作用電極としてスパッタカーボン電極の組合せによる例を説明したが、もちろん、アプタマーなどの核酸とスパッタカーボン電極、あるいは抗体とボロンドープダイヤモンド電極など、銀の電気化学測定が可能な他の作用電極と特異的結合物質の組み合わせでもよい。
また、本発明における測定対象(標的物)となる生体分子は、特に限定されるものではなく、例えば、抗原、タンパク質、ペプチド、酵素、アミノ酸修飾物、タンパク質のドメイン、タンパク質のモチーフ、核酸分子、核酸配列、DNA、RNA、mRNA、cDNA、代謝物、炭水化物、核酸のモチーフなどが挙げられる。中でも、極微量濃度(1〜10pg/mL)の存在を検出することが有用な、例えば、疾病マーカー抗原、ホルモン、サイトカイン等である。もちろん、特許文献1が対象としたエンドトキシンもその極微量濃度の測定が必要とされる場合は本発明方法の対象となる。
例えば、生体分子と生体分子に対する特異的結合物質との組合せの具体例としては、抗原とそれに結合する抗体またはそのフラグメント、糖鎖または複合糖質とそれに結合するレクチン、レクチンとそれに結合する糖鎖または複合糖質、ホルモンまたはサイトカインとそれに結合する受容体、受容体とそれに結合するホルモンまたはサイトカイン、タンパク質とそれに結合する核酸アプタマーまたはペプチドアプタマー、酵素とそれに結合する基質、基質とそれに結合する酵素、ビオチンとアビジンまたはストレプトアビジン、アビジンまたはストレプトアビジンとビオチン、IgGとプロテインAまたはプロテインG、プロテインAまたはプロテインGとIgG、第1の核酸とそれに結合する(ハイブリダイズする)第2の核酸(第1の核酸と相補的な配列を含む核酸であってもよい)等があげられる。
本発明の一実施形態において、生体分子が抗原であり、前記特異的結合物質(第一の特異的結合物質および第二の特異的結合物質の少なくとも一つ)が前記抗原に結合する抗体またはそのフラグメントである。
生体分子を含む試料としては、任意の供給源からの任意のサンプルを用いることができる。例えば、生体分子を含む試料の具体例としては、細胞サンプル、組織サンプル、細胞抽出液、別のサンプルから精製した成分または分画、環境サンプル、培養物サンプル、体液、バイオプシー・サンプルなどが挙げられる。
本発明の他の一形態は、生体分子に対する特異的結合物質を固定化した担体と、HRPと、銀イオンを含み、HRPと酵素メタリゼーション反応を実施可能な試薬と、を含むことを特徴とする生体分子濃度測定キットを提供する。
例えば、生体分子濃度測定キットは、少なくとも生体分子に対する特異的結合物質を固定化した微粒子や基板などの担体、HRPまたはHRP標識した特異的結合物質、銀イオンの酵素メタリゼーション反応のための試薬、さらに銀を測定するための緩衝液を具有していることを特徴としている。試薬は上述したように、銀イオンと還元剤(例えば鉄イオン(Fe2+)、ヒドロキノンなど)と酸化剤(例えば、過酸化水素)とを含有する試薬が好ましい。還元剤および酸化剤がHRPと共に存在すると、銀イオンの還元反応の効率が向上し得る。さらに、洗浄液、pH調整剤、電流測定装置、フローセル構築のポンプ等、測定系を構築するための部材あるいは試薬、生体分子濃度を測定するための手順や生体分子濃度を定量するための基準(検量線など)を記載した説明書等から選択される少なくとも一つをさらに組み合わせて測定キットとしてもよい。
また、本発明のさらに他の一形態は、生体分子に対する特異的結合物質を固定化した担体および電極を備えた電気化学セルと、電極への電圧印加手段と、電流測定手段と、を含むことを特徴とする生体分子濃度測定デバイスを提供する。さらに、HRPまたはHRP標識した特異的結合物質、銀イオン、銀イオンの酵素メタリゼーション反応のための試薬、銀を測定するための緩衝液、洗浄液、pH調整剤、電流測定装置、フローセル構築のポンプ等、本発明の測定系を構築するための部材あるいは試薬等から選択される少なくとも一つをさらに組み合わせて測定デバイスとしてもよい。
上記のとおりの本発明の測定方法、測定キット、および測定デバイスは試料中の生体分子濃度を簡便に測定することができるものであるため、多様な分析に有用である。例えば、ヒトや動物における疾病の早期診断、あるいは注射液、透析液等の医薬品などの品質管理分析等に係る分野において利用される。例えば、インフルエンザウィルス抗原やサイトカインなどは、極低濃度でも生理活性を示すため、極低濃度域での高精度の定量性の担保は非常に重要である。このような状況の中で、本発明の測定方法は、これら極微量生体分子を測定する上で極めて有効であり、また、本発明の測定キットおよび測定デバイスは、使用者の熟練度を問わずに、生体分子の濃度を測定することができる。その際の具体的な形態は、上記測定キットに特に限定されるものではなく、例えば、フローインジェクション分析用の検出器として使用してもよい。
また、本明細書に用いられる用語は、異なる定義が無い限り、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書および関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、または、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。電気化学的な測定法として下記では矩形波ボルタンメトリーによる実施例を示すが、その他にも、サイクリックボルタンメトリー、微分パルスボルタンメトリー、ノーマルパルスボルタンメトリー、交流ボルタンメトリー等の手法が適宜使用可能である。
以下、本発明について実施例を参照して詳述するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。本明細書において「室温」は通常約10℃から約35℃を示す。%は特記しない限り質量パーセントを示す。
実施例1:スパッタカーボン薄膜電極での銀イオンの測定
作用電極として、シリコンウェハ上に成膜されたスパッタカーボン薄膜電極(平均表面粗さ(Ra):0.1nm、厚さ:40nm)を用いた。なお、平均表面粗さ(Ra)は原子間力顕微鏡(AFM; Atomic Force Microscope)(装置名:SPI4000、SII NanoTechnology, Inc;測定モード:dynamic force AFM mode;掃引速度:0.28Hz(256×256ピクセル))を用い、室温大気中にて測定した。作製されたスパッタカーボン薄膜上に直径2mmの穴を開けた絶縁テープを貼り付けて、電極面積が既知のスパッタカーボン薄膜電極(以下「スパッタカーボン電極1」ともいう;ナノカーボン電極)とした。この薄膜電極を、50mmol/Lの酢酸緩衝液(pH5.0)中に挿入し、ポテンシオスタット(CHIインスツルメンツ社製、ALS1240B)に塩橋を施した参照電極(銀−塩化銀:Ag/AgCl)、対向電極(白金:Pt)とともに接続した。
次に、酢酸緩衝液中に銀イオン(Ag)の濃度が1ng/mLとなるように調整し、還元堆積電位−0.3V、堆積時間240秒に設定して、溶液中の銀イオンを電極表面へ堆積した。続いて、周波数40Hz、電位増加分2mV、振幅25mVに設定して、矩形波ボルタンメトリー測定を行った。測定結果を図2に示した。図2において、横軸は印加電圧、縦軸は銀の酸化溶出に伴う酸化電流である。得られた測定結果より、堆積した銀に由来する酸化電流値が0.19V付近に明確に観測された。この時得られた電流値は42nA(あるいは電流密度で1.3μA/cm)であり、本実施例で使用したスパッタカーボン薄膜電極で得られる銀の検出限界である。
実施例2:爪白癬菌抗原の濃度測定
ストレプトアビジンが修飾された磁気微粒子(直径37〜100μm、GE healthcare製)をよく分散させ、マイクロチューブに10μL秤り取り、磁気微粒子表面をTris緩衝液生理食塩水(TBS)で洗浄・磁気分離した後、ビオチン標識した抗爪白癬菌抗体(TBS溶液、0.04mg/mL)を30分作用させた。その後、未結合のビオチン標識抗体を除去するため磁気微粒子表面をTBSで洗浄・磁気分離し、抗爪白癬菌抗体固定化磁気微粒子を得た。ここに濃度が異なる爪白癬菌抗原を300μL滴下し、室温で60分間振盪し抗原を吸着させた後、未結合の抗原を除去するため磁気微粒子表面を所定の洗浄液(リン酸緩衝液生理食塩水(PBS)+0.05%Tween20+1%BlockAce)で洗浄・磁気分離した。続いてビオチン標識した抗爪白癬菌抗体(PBS+0.05%Tween20+1%BLockAce、0.04mg/mL)を再度60分間接触させ磁気微粒子上の爪白癬菌抗原にビオチン標識抗体を捕捉させた後、未結合のビオチン標識抗体を除去するため磁気微粒子表面を所定の洗浄液(PBS+0.05%Tween20+1%BLockAce)で洗浄・磁気分離した。次にこの抗体にストレプトアビジン標識されたHRP(PBS+1%BlockAce,1.25ng/mL)を30分作用させ、抗体にHRP修飾を行った。こうして、抗爪白癬菌抗体を介して磁気微粒子に固定化された爪白癬菌抗原とHRP修飾された抗爪白癬菌抗体との複合体を得た。磁気微粒子表面を洗浄液(PBS+0.05%Tween20+1%BlockAce)で洗浄・磁気分離し、抗爪白癬菌抗体に結合していないHRPを除去した。ここでさらに塩素イオンフリーのリン酸緩衝液(濃度50mmol/L、pH7.0)で洗浄・磁気分離して塩素イオンを除去した。
ここへ30μLの銀イオン、過酸化水素、およびヒドロキノンをクエン酸緩衝液中に含む試薬(EnzMet、Nanoprobe社製)を添加し、よく懸濁させ、すぐさま磁気微粒子ごと懸濁液をスパッタカーボン電極表面上へ滴下し、15分間酵素メタリゼーション反応を行い、銀を生成させた。反応後電極表面を塩素イオンフリーのリン酸緩衝液で洗浄し、磁気微粒子などを除去し、銀の堆積した作用電極を得た。スパッタカーボン電極としては、実施例1で用いたスパッタカーボン電極1を用いた。
上述の作用電極を50mmol/Lの酢酸緩衝液(pH5.0)中に挿入し、ポテンシオスタットに塩橋を施した参照電極(銀−塩化銀:Ag/AgCl)、対向電極(白金:Pt)とともに接続し、周波数40Hz、電位増加分2mV、振幅25mVに設定して、各濃度の抗原を作用させて得られた作用電極の矩形波ボルタンメトリー測定を行った。測定結果を図3に示した。図3(a)において、横軸は印加電圧、縦軸は抗原濃度が5pg/mlの場合の応答電流である。得られた測定結果より、0.25V付近に酸化電流値の増加が観測された。この結果は図2の銀の還元堆積による銀の酸化溶出の結果と同じ傾向を示している。従って、本実施例による応答電流は、図1A〜Cに示した通り、還元堆積の代わりに、酵素メタリゼーション反応によって銀を生成、作用極上に堆積させる原理を実証するものである。また、図3(b)において、横軸は抗原濃度、縦軸は応答電流値である。図3(b)から明らかなように、抗原濃度に依存した電流増加が認められた。爪白癬菌抗原を対象とした場合には、およそ5pg/mLを検出限界濃度として測定することが可能と見積もられた。爪白癬菌抗原のイムノクロマト法による検出限界は概ね50ng/mLであり、1/10000低い濃度まで検出できることが明らかとなった。
図3(b)を検量線として使用し、未知の抗原濃度を含む試料に対して同一の酵素反応条件のもとで堆積した銀の酸化電流値を測定することで、試料中の抗原濃度を知ることが可能となる。
実施例3:ヒトインターロイキン−6(IL−6)の濃度測定
ストレプトアビジンが修飾された磁気微粒子(直径37〜100μm、GE healthcare製)をよく分散させ、マイクロチューブに10μL秤り取り、磁気微粒子表面をTris緩衝液生理食塩水(TBS)で洗浄・磁気分離した後、ビオチン標識された抗IL−6抗体(TBS、0.01mg/mL)を30分作用させた。その後、未結合のビオチン標識抗体を除去するため磁気微粒子表面をTBSで洗浄・磁気分離し、ビオチン標識抗IL−6抗体固定化磁気微粒子を得た。ここにそれぞれ濃度が異なるIL−6を300μL滴下し、室温で60分間振盪しIL−6を吸着させた後、未結合のIL−6を除去するため磁気微粒子表面を所定の洗浄液(TBS+0.05%Tween20+1%BlockAce)で洗浄・磁気分離した。続いてビオチン標識抗IL−6抗体(TBS+0.05%Tween20+1%BLockAce、0.01mg/mL)を再度180分間接触させ磁気微粒子上のIL−6にビオチン標識抗体を捕捉させた後、未結合のビオチン標識抗体を除去するため磁気微粒子表面を所定の洗浄液(PBS+0.05%Tween20+1%BLockAce)で洗浄・磁気分離した。次にこの抗体にストレプトアビジン標識されたHRP(PBS+1%BlockAce,1.25ng/mL)を30分作用させ、抗体にHRP修飾を行った。磁気微粒子表面を洗浄液(PBS+0.05%Tween20+1%BlockAce)で洗浄し、磁気分離し、ビオチン標識抗体に結合していないHRPを除去した。ここでさらに塩素イオンフリーのリン酸緩衝液(濃度50mmol/L、pH7.0)で洗浄・磁気分離して塩素イオンを除去した。
ここへ30μLの量の銀イオン、過酸化水素、およびヒドロキノンをクエン酸緩衝液中に含む試薬(EnzMet、Nanoprobe社製)を添加し、よく懸濁させ、すぐさま磁気微粒子ごと懸濁液をスパッタカーボン電極表面上へ滴下し、15分間酵素メタリゼーション反応を行い、銀を生成させた。反応後電極表面を洗浄し、磁気微粒子などを除去し、銀の堆積した作用電極を得た。スパッタカーボン電極としては、実施例1で用いたスパッタカーボン電極1を用いた。
上述の作用電極を50mmol/Lの酢酸緩衝液(pH5.0)中に挿入し、ポテンシオスタットに塩橋を施した参照電極(銀−塩化銀:Ag/AgCl)、対向電極(白金:Pt)とともに接続し、周波数40Hz、電位増加分2mV、振幅25mVに設定して、各濃度の抗原を作用させて得られた作用電極の矩形波ボルタンメトリー測定を行った。測定結果を図4に示した。IL−6を対象とした場合には、およそ10pg/mLを検出限界濃度として測定することが可能であると見積もられた。
本発明の範囲は以上の説明に拘束されることはなく、上記例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施し得る。なお、本明細書に記載した全ての文献及び刊行物は、その目的にかかわらず参照によりその全体を本明細書に組み込むものとする。また、本明細書は、本願の優先権主張の基礎となる日本国特許出願である特願2017-145772号(2017年7月27日出願)の特許請求の範囲、明細書の開示内容を包含する。
本発明の方法、キット、およびデバイスは、試料中の微量の生体分子の濃度の測定に好適である。
1 生体分子
2 第一の特異的結合物質
3 電極
4 銀
5 第二の特異的結合物質
6 担体
10 複合体
Ag 銀イオン
Ag
HRP ホースラディッシュペルオキシダーゼ
e 電子

Claims (13)

  1. 試料中の生体分子濃度を測定する方法であって、
    (a)生体分子と当該生体分子に対する特異的結合物質であってホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)修飾された特異的結合物質との複合体に、銀イオンを作用させてHRPと銀イオンとの酵素反応を行う工程、
    (b)前記酵素反応により銀を生成させるとともに当該生成された銀を電極上に堆積させる工程、および
    (c)前記堆積した銀における銀イオン量を電気化学的に測定することにより、前記生体分子濃度を測定する工程
    を含む、前記方法。
  2. 前記複合体は、生体分子に対する第二の特異的結合物質を介して担体に固定化されている、請求項1に記載の方法。
  3. 生体分子の検出限界濃度が1pg/mLから10pg/mLの範囲である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記電極の平均表面粗さ(Ra)が0.05〜5nmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記電極はナノカーボン電極である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 工程(c)において反応系における銀イオンの濃度が1〜100ng/mLである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記電極のサイズが、1〜100mmである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 工程(a)における酵素反応は、酸化剤および還元剤の存在下で行われる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記酸化剤は、過酸化水素であり、前記還元剤は、鉄イオン(Fe2+)およびヒドロキノンから選択される少なくとも一つである、請求項8に記載の方法。
  10. 工程(a)の酵素反応は、pH3.0〜7.0の緩衝液中で行われ、工程(c)における電気化学的測定は、pH4.0〜5.0の緩衝液中で行われる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 以下の工程、
    (1)生体分子に対する特異的結合物質を固定化した担体に試料を接触させ、試料中の生体分子を担体に捕捉する工程、
    (2)特異的結合物質を担体に再度接触させ、担体上の生体分子に特異的結合物質を捕捉する工程、
    (3)特異的結合物質にホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を修飾する工程、
    (4)銀イオンを含む試薬を担体上のHRPと酵素メタリゼーション反応をさせ、銀を生成させる工程、および
    (5)生成した銀を電極上に堆積させ、この堆積した銀イオン量を電気化学的に測定する工程、
    を含み、銀イオン量を指標として試料中の生体分子濃度を測定することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法を実施するためのキットであって、生体分子に対する特異的結合物質を固定化した担体と、HRPと、銀イオンを含み、HRPと酵素メタリゼーション反応を実施可能な試薬と、を含むことを特徴とする生体分子濃度測定キット。
  13. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法を実施するためのデバイスであって、生体分子に対する特異的結合物質を固定化した担体および電極を備えた電気化学セルと、電極への電圧印加手段と、電流測定手段と、を含むことを特徴とする生体分子濃度測定デバイス。
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