JP2019031899A - 光透過性遮音シート部材、及びこれを用いた遮音構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的に軽量でありながらも質量則を凌駕する高い遮音性能を有し、さらに、光透過性を有し、柔軟で、設計自由度が高く汎用性に優れ、製造容易で生産性及び経済性を改善可能な、遮音シート部材、及びこれを用いた遮音構造体等を提供する。【解決手段】ゴム弾性を有するシート、及び複数の共振部を少なくとも備え、該共振部は、該シートのシート面に接して設けられ、全光線透過率が40%以上である、遮音シート部材を用いて解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、遮音シート部材、及びこれを用いた遮音構造体に関する。
集合住宅、オフィスビルやホテル等の建物においては、自動車、鉄道、航空機、船舶等からの屋外騒音や建物内部で発生する設備騒音や人声を遮断して、室用途に適した静謐性が要求される。また、自動車、鉄道、航空機、船舶等の乗り物においては、風切り音やエンジン音を遮断して、乗員に静粛で快適な空間を提供するために室内騒音を低減する必要がある。そのため、屋外から屋内、または、乗り物の室外から室内への騒音や振動の伝搬を遮断する手段、すなわち、制振遮音手段の研究開発が進められてきている。近年では、建物においては高層化等に伴い軽量の制振遮音部材が求められており、また、乗り物においてもエネルギー効率向上のため軽量の制振遮音部材が求められている。さらに、建物、乗り物やそれらの設備の設計自由度向上のために、複雑な形状にも対応可能な制振遮音部材が求められている。
一般的に、制振遮音材料の特性は、いわゆる質量則に従う。すなわち、騒音の低減量の指標である透過損失は、制振遮音材料の質量と弾性波や音波の周波数との積の対数により決定される。そのため、ある一定周波数の騒音の低減量をより大きくするためには、制振遮音材料の質量を増やさなければならない。しかしながら、制振遮音材料の質量を増やす方法では、建物や乗り物等の質量の制約から騒音低減量に限界が生じてしまう。
制振遮音部材の質量増加の問題を解決するために、従来から、部材構造の改良がなされている。例えば、石膏ボード、コンクリート、鋼板、ガラス板、樹脂板等の剛性のある平板材を複数枚組み合わせて用いる方法や、石膏ボード等を用いて中空二重壁構造や中空三重壁構造とする方法等が知られている。
そして近年では、質量則を凌駕する遮音性能を実現するために、高剛性の平板材と共振器とを組み合わせて用いた、プレート型音響メタマテリルによる遮音板が提案されている。具体的には、シリコーンゴムとタングステンからなる複数個の独立した切り株状の突起(共振器)又はゴムからなる複数個の独立した切り株状の突起(共振器)を、アルミニウム基板上に設けた遮音板(非特許文献1及び2参照)、シリコーンゴム、又は、シリコーンゴムと鉛キャップとからなる、複数個の独立した切り株状の突起(共振器)をエポキシ基板上に設けた遮音板(非特許文献3参照)が提案されている。
M. B. Assouar, M. Senesi, M. Oudich, M. Ruzzene and Z. Hou, Broadband plate-type acoustic metamaterial for low-frequency sound attenuation, Applied Physics Letters, 2012, volume 101, pp 173505. M. Oudich, B. Djafari-Rouhani, Y. Pennec, M. B. Assouar, andB. Bonello, Negative effective mass density of acoustic metamaterial plate decorated with low frequency resonant pillars, Journal of Applied Physics, 2014, volume 116, pp 184504. M. Oudich, Y. Li, M. B. Assouar, and Z. Hou, A sonic band gap based on the locally resonant phononic plates with stubs, New Journal of Physics, 2010, volume 12, pp 083049.
非特許文献1乃至3においては、切り株状の突起(共振器)の材質やサイズを変更させた際の遮蔽性能の検討が行われている。しかしながら、切り株状の突起(共振器)の材質やサイズの変更のみによる遮音性能の改善には、設計自由度に限界があった。
また、非特許文献1乃至3に記載の遮音板は、接着剤を用いて個々の共振器を基板上に設置しているため、製造工程が煩雑で、生産性及び経済性に劣るものであった。しかも、非特許文献1乃至3に記載の遮音板は、比較的に剛直なアルミニウム基板又はエポキシ基板を用いているため変形させることが困難であり、例えば曲面等の非平坦面に沿って設置させることができない。
これを解消するため、予め湾曲成形されたアルミニウム基板又はエポキシ基板を採用し、これらの基板の湾曲面に複数個の共振器を設置することも考えられる。ところが、このようにすると湾曲面上に個々の共振器を設置する必要があるため、製造工程の困難性がさらに増加し、生産性及び経済性がさらに悪化する。また、設置箇所の湾曲形状に応じた基板をその都度用意するのは、汎用性に欠ける。そのため、工業的利用を拡大するにあって、特に、設計自由度、汎用性、生産性、コスト等の観点から、新たな設計思想に基づく遮音シート部材が希求されていた。
一方、自動車、鉄道、航空機、船舶用窓材、建物用窓材等においては、窓材の音響透過損失向上が求められていた。しかしながら、従来の遮音部材の窓材への貼付や積層による音響透過損失の向上では遮音部材として金属シートが使用されている等の理由により、遮音部材の光透過性が低く、採光性が求められる窓材へは十分に対応できていなかった。
また、光透過性を有する遮音シート部材として、ガラス中間膜を用いることが知られている。ガラス中間膜は、ガラス単板で現れるコインシデンス効果による透過損失低下を抑制できることが知られているものの、質量則を凌駕する遮音特性は得られていなかった。
さらに、建築・土木工事等で発生する騒音を防ぐための防音シートにおいても、採光可能なシートがあるものの、質量則を凌駕する遮音特性は得られていなかった。
本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものである。その目的は、比較的に軽量でありながらも質量則を凌駕する高い遮音性能を有し、さらに、光透過性を有する遮音シート部材、及びこれを用いた遮音構造体を提供することになる。
また、柔軟で、設計自由度が高く汎用性に優れ、製造容易で生産性及び経済性を改善可能な、遮音シート部材、及びこれを用いた遮音構造体を提供することにある。
なお、ここでいう目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも、本発明の他の目的として位置づけることができる。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のゴム弾性を有する樹脂シート上に複数の共振部を設けたシート部材を採用することで、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
[1] ゴム弾性を有するシート、及び複数の共振部を少なくとも備え、
該共振部は、該シートのシート面に接して設けられ、
全光線透過率が40%以上である、遮音シート部材。
[2]前記シートが、熱又は光硬化性エラストマー、及び熱可塑性エラストマーよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[1]に記載の遮音シート部材。
[3]前記シートが、0.01MPa以上100MPa以下のヤング率を有する、[1]又は[2]に記載の遮音シート部材。
[4]前記共振部は、熱又は光硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマー、熱又は光硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[1]〜[3]のいずれか一に記載の遮音シート部材。
[5]前記シート及び前記共振部が一体成形物であり、熱又は光硬化性エラストマー、及び熱可塑性エラストマーよりなる群から選択される少なくとも1種を共に含有するものである、[1]〜[4]のいずれか一に記載の遮音シート部材。
[6]前記遮音シート部材が、少なくとも1以上のリブ状突起部をさらに備え、
該リブ状突起部は、前記シートのシート面に上に接して設けられ、且つ、シート法線方向の高さが前記共振部よりも高いものである、[1]〜[5]のいずれか一に記載の遮音シート部材。
[7]前記シートのシート長さ方向に、前記リブ状突起部が設けられている、[6]に記載の遮音シート部材。
[8]前記シートのシート長さ方向に沿って、複数の前記リブ状突起部が離間配置されている、[6]又は[7]に記載の遮音シート部材。
[9]前記シート、前記共振部及び前記リブ状突起部が一体成形物であり、熱又は光硬化性エラストマー、及び熱可塑性エラストマーよりなる群から選択される少なくとも1種を共に含有するものである、[6]〜[8]のいずれか一に記載の遮音シート部材。
[10] [1]〜[19のいずれか一に記載の遮音シート部材、及び支持体を少なくとも備え、
該支持体は、該遮音シート部材の前記シートの少なくとも一方の面に接して設けられ、且つ、前記シートを支持するものである、遮音構造体。
[11]前記支持体が、1GPa以上のヤング率を有する、[10]に記載の遮音構造体。
[12] 前記支持体が、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂及び塩化ビニル樹脂から選ばれる少なくとも1つを含むものである、[10]又は[11]に記載の遮音構造体。
[13] [1]〜[9]いずれか一項に記載の遮音シート部材を含む積層体である、遮音構造体。
本発明によれば、比較的に軽量でありながらも質量則を凌駕する高い遮音性能、及び光透過性を有し、柔軟で、遮音シート部材設計自由度が高く、汎用性に優れ、製造容易で生産性及び経済性を改善可能な、遮音シート部材、及びこれを用いた遮音構造体を提供することができる。
第1実施形態の遮音シート部材及び遮音構造体を示す概略斜視図である。 図1のII−II矢視断面図である。 遮音シート部材の製造工程の一例を示す図である。 遮音シート部材の製造工程の一例を示す図である。 遮音シート部材の製造工程の一例を示す図である。 遮音シート部材の製造工程の一例を示す図である。 第2実施形態の遮音シート部材及び遮音構造体を示す概略斜視図である。 図7のVIII−VIII矢視断面図である。 第2実施形態の遮音シート部材及び遮音構造体の錘部を示す概略斜視図である。 変形例の錘部を示す概略斜視図である。 変形例の錘部を示す概略斜視図である。 音響バンドギャップの推算に用いたユニットセルの概略構成図である。 第3実施形態の遮音シート部材及び遮音構造体を示す概略斜視図である。 図13のIX−IX矢視断面図である。 遮音構造体の一例を示す図である。 遮音構造体の使用の一例を示す図である。
本発明の遮音シート部材は、ゴム弾性を有するシート、及び複数の共振部を少なくとも備え、該共振部は、該シートのシート面に接して設けられ、遮音シート部材の全光線透過率が40%以上であるものである。
[遮音シート部材の全光線透過率]
本発明の遮音シート部材の全光線透過率は40%以上である。好ましくは60%以上であり、より好ましくは80%以上である。全光線透過率が40%であることで採光性能に優れ、自然光で十分な明るさが確保できる。なお、本発明における遮音シート部材の全光線透過率は、シート面に設置された全共振部を含む最短の閉曲線によって囲まれた面領域にわたって平均化された全光線透過率を表し、測定方法はJIS K 7361が挙げられる。遮音シート部材の全光線透過率は、遮音シート部材を構成するシート、共振部等の材料、形状、共振部の設置位置、設置角度、個数等によって適宜調整することができる。
遮音シート部材の全光線透過率の調整方法として、下記式(I)で表される値が特定の範囲となるように調整する方法が挙げられる。
(A−AОP)/A*Tts +AОP/A*Ttr 式(I)
A : シート面に設置された全共振部を含む最短の閉曲線によって囲まれた面領域の面積
ОP : 全共振部のシート面への正射影が形成する面積
Ttr : 共振部と接触しているシート領域のシート厚み方向にわたるシート部分体積と該共振部とを合わせた体積部分の、シート法線方向に対する全光線透過率の全共振部にわたる平均値
Tts: : シート部のシートの法線方向に対する全光線透過率
上記式(I)で表される値は、40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。遮音シート部材の全光線透過率は、遮音シート部材を構成するシート、共振部等の材料、形状、共振部の設置位置、設置角度、個数等を調整すればよい。
例えば、共振部形状が円柱若しくは角柱形状で、共振部断面の法線方向がシートの法線方向と平行となるように共振部がシートに立設され、且つ、Ttr=Tts=92%である場合は、共振部の設置位置、個数に制限はない。
また、共振部の材料等の変更により、例えばTtr=0%となり、且つTts=92%である場合は、AОP/Aが好ましくは0.56以下、より好ましくは0.34以下、さらに好ましくは0.13以下となるように共振部の個数等を調整すればよい。
本発明の遮音シート部材又は遮音構造体は、着色されていてもよい。例えば、遮音シート部材や遮音構造体を窓材へ適用する場合、窓の装飾性を向上させたり、視認程度を調整したりすることができる。着色の方法は特に限定されないが、各シート、共振部、支持体などの原料に着色剤を添加する方法、有色のシートを積層する等が挙げられる。
以下、本発明の各実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されるものではない。また、以降においては特に断らない限り、上下左右等の位置関係は、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。なお、本明細書において、例えば「1〜100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
(第1実施形態)
図1及び図2は、本実施形態の遮音シート部材100及び遮音構造体200を示す概略斜視図、及びそのII−II矢視断面図である。遮音シート部材100は、ゴム弾性を有するシート11と、このシート11のシート面11a上に接して設けられた複数の共振部21と、同シート面11a上に設けられた少なくとも1以上のリブ状突起部31とを備えている。この遮音シート部材100は、シート11のシート面11b側に設けられた支持体51に支持されており、これにより遮音構造体200が構成されている。
この遮音シート部材100及び遮音構造体200においては、例えば支持体51側にある騒音源から音波が入射された際、シート11及び/又は共振部21の共振が生じる。このとき、支持体51に作用する力の方向とシート11及び/又は共振部21に発生する加速度の方向とが逆となる周波数領域が存在可能となり、特定周波数の振動の一部乃至全部が打ち消されることで、特定周波数の振動がほぼ完全に存在しなくなる完全音響バンドギャップが生じる。そのため、シート11及び/又は共振部21の共振周波数付近において、振動の一部乃至全部が静止し、その結果、質量則を凌駕する高い遮音性能が得られる。このような原理を利用した遮音部材は、音響メタマテリアルと呼ばれている。以下、本実施形態の遮音シート部材100及び遮音構造体200の各構成要素について、詳述する。
[シート]
シート11は、ゴム弾性を有するシートである。特に限定されないが、樹脂(有機高分子)の分子運動等に起因して、ゴム弾性を有するものであってもよい。このシート11は、騒音源から音波が入射された際に、ある周波数で振動する振動子(共振器)としても機能し得るものである。
シート11を構成する材料としては、熱又は光硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマーよりなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
金属型等を用いて注型する場合には、金型表面のキャビティ内をエラストマーで充填する必要があるが、光硬化性エラストマーの方が、硬化前の比較的低粘度の液体の状態でキャビティ内を充填でき、充填率を高められるため好ましい。
シート11を構成する材料として、具体的には、化学架橋された天然ゴム或いは合成ゴム等の加硫系熱硬化性樹脂系エラストマー、ウレタン系熱硬化性樹脂系エラストマー、シリコーン系熱硬化性樹脂系エラストマー、フッ素系熱硬化性樹脂系エラストマー、アクリル系熱硬化性樹脂系エラストマー等の熱硬化性樹脂系エラストマー;
アクリル系光硬化性エラストマー、シリコーン系光硬化性エラストマー、エポキシ系光硬化性エラストマー等の光硬化性エラストマー;
オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
上記、熱又は光硬化性エラストマー、及び熱可塑性エラストマーのさらなる具体例としては、ゴムが挙げられる。具体的には、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、及びこれらの変性体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらにこれらの中でも、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム及びこれらの変性体が好ましく、シリコーンゴム、アクリルゴム及びこれらの変性体がより好ましい。これらの材料を用いることで、耐熱性や耐寒性に優れる傾向にある。
シート11は、所謂ゴム弾性を示すシートである限り、難燃剤、酸化防止剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
難燃剤は、可燃性の素材を燃え難くする又は発火しないようにするために配合される添加剤である。その具体例としては、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン等の臭素化合物、トリフェニルホスフェート等のリン化合物、塩素化パラフィン等の塩素化合物、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、メラミンシアヌレート等の窒素化合物、ホウ酸ナトリウム等のホウ素化合物等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
また、酸化防止剤は、酸化劣化防止のために配合される添加剤である。その具体例としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
さらに、可塑剤は、柔軟性や耐候性を改良するために配合される添加剤である。その具体例としては、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、シリコーン油、鉱物油、植物油及びこれらの変性体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
さらに、着色剤として、色素や顔料等が挙げられる。
これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態において、シート11は平面視で正方形状に形成されているが、その形状はこれに特に限定されない。三角形状、長方形状、矩形状、台形状、ひし形状、5角形状や6角形状等の多角形状、円状、楕円状、これらに分類されない不定形状等、任意の平面視形状を採用することができる。なお、シート11は、音響メタマテリアルとしての特性を失わない限り、伸縮性能の向上や軽量化等の観点から、任意の場所に切り込み部や打ち抜き孔等を有していてもよい。
シート11の厚みは、特に限定されない。シート11の厚みによっても高い遮音性能を発現する周波数帯域(音響バンドギャップ幅や周波数位置)を制御可能であるため、音響バンドギャップが所望の遮音周波数領域に一致するように、シート11の厚みを適宜設定することができる。シート11の厚みが厚いと、音響バンドギャップ幅が狭くなり、且つ、低周波数側にシフトする傾向にある。また、シート11の厚みが薄いと、音響バンドギャップ幅が広くなり、且つ、高周波側にシフトする傾向にある。
遮音性能、機械的強度、柔軟性、ハンドリング性等の観点から、シート11の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは200μm以上である。また、シート11の厚みは、好ましくは10mm以下、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは500μm以下である。
ここで、シート11は、遮音性能、機械的強度、柔軟性、ハンドリング性や生産性等の観点から、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上のヤング率を有することが好ましく、また、好ましくは100MPa以下、より好ましくは10MPa以下のヤング率を有することが好ましい。 ここで、本明細書におけるヤング率とは、一軸方向に外力を加えた際の試料の単位断面積あたりに働く力(応力)と変形率(歪み)の比を意味し、JIS K 6394:2007「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−動的性質の求め方−」の強制振動非共振方法により測定される貯蔵たて弾性係数の25℃、10Hzにおける値を意味している。
また、シート11は、低温における遮音性の温度依存性を低減させる観点から、0℃以下のガラス転移温度を有することが好ましい。シート11のガラス転移温度が低いほど、耐寒性が高められ、弾性率の0℃付近での温度依存性が小さくなり遮音性能が環境温度に依存し難くなる傾向にある。より好ましくは−10℃以下、さらに好ましくは−20℃以下、特に好ましくは−30℃以下である。なお、本明細書において、シート11のガラス転移温度は、上述した周波数10Hzにおける動的粘弾性測定、特に温度依存性測定において、損失正接のピーク温度を意味する。
シート11の全光線透過率は特に限定されないが、採光性の観点から40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。シート11の全光線透過率の測定は、JIS K 7361を用いる。
[共振部]
共振部21は、騒音源から音波が入射された際に、ある周波数で振動する振動子(共振器)として機能するものである。
共振部21は、騒音源から音波が入射された際に、ある周波数で振動する振動子(共振器)として機能するものである。
本発明の共振部21は、基部22と、この基部22に支持され、且つこの基部22より大きな質量を有する錘部23とを備える複合構造体から構成されていてもよいし、単一構造体であってもよい。また、複合構造体と単一構造体が混合していてもよい。
複合構造体とする場合は、共振部21は、錘として働く錘部23の質量と、バネとして働く基部22のバネ定数により決定される共振周波数を持つ共振器として有効に機能する。
共振部21の配列、設置数、大きさ等は、所望性能に応じて適宜設定でき、本発明の遮音シート部材の全光線透過率が40%以上であれば特に限定されない。
共振部21は、シートの少なくとも一方のシート面に接して設けられる。例えば本実施形態では、複数の共振部21を格子状に等間隔に配置しているが、共振部21の配列は、これに特に限定されない。例えば、複数の共振部21が、例えば千鳥状に配置されていても、ランダムに配置されていてもよい。本シートによる遮音機構は所謂フォノニック結晶のようにブラッグ散乱を利用していないため、必ずしも共振部21の間隔が規則正しく周期的に配置されていなくてもよい。
また、シートの単位面積当たりの共振部21の設置数は、共振部21同士が接触する等により干渉しないように配置可能であれば、特に限定されない。単位面積当たりの共振部21の最大数は、共振部21を構成する材料、形状等によっても異なるが、共振部21の全光線透過率が0%である場合には、採光性の観点から、例えば、共振部21が円柱状で、円柱の高さ方向がシート法線方向と平行に設置され、且つ、円柱断面直径が0.8cmの場合には、10cm2当たり100個以下が好ましい。
また、単位面積当たりの共振部21の最小数は、例えば、共振部21が円柱状で、円柱の高さ方向がシート法線方向と平行に設置され、且つ、断面直径が1cmの場合には、10cm2当たり2個以上が好ましく、より好ましくは10個以上、さらに好ましくは50
個以上である。共振部21の設置数が、上記の好ましい下限以上であることで、より高い遮音性能が得られる傾向にある。また、上記の好ましい上限以下であることで、シート全体の採光性向上と軽量化を図ることが容易となる。
共振部21のシート11の法線方向への最大高さH1は、所望性能に応じて適宜設定でき、特に限定されない。成形容易性及び生産性の向上等の観点から、最大高さH1は、50μm以上が好ましく、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは1mm以上である。また、100mm以下が好ましく、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは20mm以下である。上記の好ましい数値範囲内とすることで、共振部21を設けたシート11(すなわち遮音シート部材100)の巻き取りや重ね合わせが容易となり、所謂ロール・トゥ・ロールでの製造や、ロール状での保管ができ、生産性及び経済性が高められる傾向にある。
また、共振部21のシート11の法線方向への高さは共振部すべてが同じでなくてもよく、異なっていてもよい。共振部の高さが異なることで、遮音性能が現れる周波数領域を拡大する等の効果が得られる場合がある。
<共振部21が基部及び錘部を有する場合>
共振部21が基部及び錘部を有する場合、基部及び錘部について以下説明する。
[基部]
本実施形態において、略円柱状の外形形状を有する基部22が、シート11のシート面11a上に複数接して設けられており、この基部22の内部に、略円柱状の外形形状を有する錘部23がそれぞれ埋設されている。基部22の外形形状は、特に限定されず、三角柱状、矩形柱状、台形柱状、5角柱や6角柱等の多角柱状、円柱状、楕円柱状、角錐台状、円錐台状、角錐状、円錐状、中空筒状、分岐形状、これらに分類されない不定形状等、任意の形状を採用することができる。また、基部22の高さ位置によって異なる断面積及び/又は断面形状を有する柱状に形成することもできる。
また、シート面11a上に複数接して設けられた基部の形状や高さは同一でも異なっていてもよい。
基部22の材料は、上記要求特性を満足する限り、特に制限されない。例えば高分子材料が挙げられ、熱又は光硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマー、熱又は光硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
熱又は光硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマーとしては、シートで例示したものが挙げられる。
熱又は光硬化性樹脂としては、アクリル系熱硬化性樹脂、ウレタン系熱硬化性樹脂、シリコーン系熱硬化性樹脂、エポキシ系熱硬化性樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂、アクリル系熱可塑性樹脂、ウレタン系熱可塑性樹脂、ポリカーボネート系熱可塑性樹脂等が挙げられる。
具体例としては、化学架橋された天然ゴム或いは合成ゴム等の加硫ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム及びこれらの変性体等のゴム類;ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリクロロトリフロロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、オキサジン樹脂等のポリマー類等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、基部22は、これらの高分子材料中に空孔(空気等の気体)を含む多孔質体であってもよい。さらに、基部22は、鉱物油、植物油、シリコーン油等の液体材料を含んでいてもよい。なお、基部22が液体材料を含む場合には、液体材料の外部への流出を抑制する観点から、高分子材料中に封じ込めておくことが望ましい。
これらのなかでも、基部22の材料は、上述したシート11と同じ材料であることが好ましく、特にエラストマー類が好ましい。シート11及び基部22が同じエラストマー類を含有するものであれば、シート11と基部22との一体成形が容易となり、生産性が飛躍的に高められる。すなわち、シート11及び共振部21(基部22)が、熱又は光硬化性エラストマー、及び熱可塑性エラストマーよりなる群から選択される少なくとも1種を共に含有する一体成形物であることが、特に好ましい態様の1つである。
エラストマー類の具体例としては、化学架橋された天然ゴム或いは合成ゴム等の加硫ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム及びこれらの変性体、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリクロロトリフロロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、オキサジン樹脂等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
これらのなかでも、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム及びこれらの変性体が好ましく、耐熱性や耐寒性に優れる等の観点から、シリコーンゴム、アクリルゴム及びこれらの変性体がより好ましい。
なお、基部22は、2種又はそれ以上の高分子材料からなる2色成形体又は多色成形体とすることもできる。この場合、シート11と接する側の基部22に上述したシート11と同じエラストマー類を採用することで、シート11と基部22との一体成形が容易となる。
なお、本実施形態の如く断面円形状の共振部21(基部22)を設ける場合、複数の共振部21(基部22)の断面積の総和が最大となる共振部21(基部22)高さ位置におけるシート11のシート面11aに平行な断面において、当該断面に含まれる円(円断面)のうち、直径が最大である円の直径は100mm以下が好ましく、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは20mm以下である。また、直径が最小である円形の直径は10μm以上が好ましく、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは1mm以上である。上記の好ましい数値範囲内とすることで、シート11のシート面11aへ設置する共振部21(基部22)を所定数以上確保することができ、さらに良好な遮音性能を得ることができ、また、成形容易性及び生産性もさらに高められる傾向にある。
[錘部]
錘部23は、上述した基部22より大きな質量を有するものであれば特に限定されない。本実施形態においては、最大直径が基部22よりも小さな略円柱状に形成されており、共振部21の先端側において基部22内に埋設されている。このように共振器の錘として働く錘部23がバネ定数を決定する基部22に支持された構成を採用しているため、例えば基部22の形状或いは素材(弾性率、質量)の変更によるバネ定数の調整や、錘部23の質量の変更によって、共振部21の共振周波数の制御を容易に行うことができる。一般的には、基部22の弾性率が小さくなると音響バンドギャップは低周波数側にシフトする傾向にある。また、錘部23の質量が大きくなると、音響バンドギャップは低周波数側にシフトする傾向にある。
錘部23を構成する素材は、質量やコスト等を考慮して適宜選択すればよく、その種類は特に限定されない。遮音シート部材100及び遮音構造体200の小型化及び遮音性能の向上等の観点から、錘部23を構成する素材は、比重の高い材料が好ましい。具体的には、アルミニウム、ステンレス、鉄、タングステン、金、銀、銅、鉛、亜鉛、真鍮等の金属又は合金;ソーダガラス、石英ガラス、鉛ガラス等の無機ガラス;これらの金属或いは合金の粉体又はこれらの無機ガラス等を上述した基部22の高分子材料中に含むコンポジット;等が挙げられるが、これらに特に限定されない。錘部23の材質、質量、比重は、遮音シート部材100及び遮音構造体200音響バンドギャップが所望する遮音周波数領域に一致するように決定すればよい。これらの中でも、低コスト及び高比重である等の観点から、金属、合金、及び無機ガラスよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。なお、比重は、材料の質量と、それと同体積の圧力1013.25hPaのもとにおける4℃の純水の質量との比を意味し、本明細書においては、JIS K 0061「化学製品の密度及び比重測定方法」により測定される値を用いている。
本実施形態において、錘部23は、共振部21の先端側において基部22内に埋設されているが、その設置位置はこれに特に限定されない。基部22及び錘部23の形状、質量、弾性率等により異なるが、遮音シート部材の厚み低減、重量低減、または遮音性能向上の観点から、共振部21の重心(質量中心)が、少なくとも共振部21の高さ方向の中央よりも先端側に位置するように、基部22及び錘部23を配置することが好ましい。典型的には、錘部23を、共振部21の高さ方向の中央よりも先端側にオフセット配置すればよい。なお、錘部23は、基部22内に完全に埋設されていても、その一部のみが埋設されていても、或いは、基部22内に埋設されることなく基部22上に設けられていてもよい。また、基部22が分岐構造をとる場合には、遮音シート部材の重量低減又は遮音性能向上の観点から、分岐点から設けられた枝部に錘部を設ける場合には、枝部の中央よりも先端側に位置するように錘部23を配置することが好ましい。
なお、共振部21はシート11のシート面11a上に複数個設けられているが、共振部21を構成する材料、共振部21の配列、形状、大きさ、共振部21の設置の方向等は、複数個の共振部21すべてにおいて必ずしも同一でなくてもよい。これらのうち少なくとも1種を相違させた複数種の共振部21を設置することにより、高遮音性能が現れる周波数領域を拡大することが可能である。
<共振部21が単一構造体又は複合構造体と単一構造体が混合している場合>
共振部21が単一構造体である場合、共振部21の材料は、上述した要求特性を満足する限り、特に制限されず、上記基部22の材料として挙げたものが挙げられる。これらのなかでも、共振部21の材料は、上述したシート11と同じ材料であることが好ましく、特にエラストマー類が好ましい。シート11及び基部22が同じエラストマー類を含有するものであれば、シート11と共振部21との一体成形が容易となり、生産性が飛躍的に高められる。これは、シート11及び共振部21が、熱又は光硬化性エラストマー、及び熱可塑性エラストマーよりなる群から選択される少なくとも1種を共に含有する一体成形物であることが、特に好ましい態様の1つである。これらは、共振部21が複合構造体と単一構造体が混合している場合でも同様である。
なお、本実施形態の如く断面円形状の共振部21(複合構造体と単一構造体が混合している場合は、基部22を含む。以下同様。)を設ける場合、複数の共振部21(基部22)の断面積の総和が最大となる共振部21(基部22)高さ位置におけるシート11のシート面11aに平行な断面において、当該断面に含まれる円(円断面)のうち、直径が最大である円の直径は100mm以下が好ましく、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは20mm以下である。また、直径が最小である円形の直径は10μm以上が好ましく、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは1mm以上である。上記の好ましい数値範囲内とすることで、シート11のシート面11aへ設置する共振部21(基部22)を所定数以上確保することができ、さらに良好な遮音性能を得ることができ、また、成形容易性及び生産性もさらに高められる傾向にある。
[リブ状突起部]
本発明の遮音シート部材は、リブ状突起部31を有していてもよい。本実施形態において、リブ状突起部31は、シート11の長さ方向(シート流れ方向、MD方向)に延在するようにそれぞれ外形略板状に成形されている。このリブ状突起部31は、シート11のシート面11a上、より具体的にはシート11の幅方向(シート流れ方向に垂直方向、TD方向)の縁部の2箇所に、それぞれ設けられている。
リブ状突起部31は、シート11の法線方向に対して、上述した共振部21の最大高さH1よりも高い最大高さH2を有する。これにより、遮音シート部材100をシート状に巻き取ったり又は複数枚重ね合わせたりしても、リブ状突起部31がスペーサとして機能するため、シート11の裏面に対する共振部21の接触が抑制される。したがって、リブ状突起部31が設けられていることにより、共振部21の変形、変異、割れ、脱落、破損等の製造トラブルを生じさせることなく、所謂ロール・トゥ・ロールで遮音シート部材100を製造し、巻物として保管することが容易となる。なお、リブ状突起部31の最大高さH2は、共振部21の最大高さH1よりも高ければよく、特に限定されないが、成形容易性及び生産性の向上等の観点から、50μm以上、100mm以下が好ましく、より好ましくは100μm以上、50mm以下、さらに好ましくは1mm以上、20mm以下である。
リブ状突起部31の形状及び設置位置は、共振器として働く共振部21と干渉しないように設置されていればよく、特に制限されない。例えば、リブ状突起部31の外形形状は、特に限定されず、三角柱状、矩形柱状、台形柱状、5角柱や6角柱等の多角柱状、円柱状、楕円柱状、角錐台状、円錐台状、角錐状、円錐状、中空筒状、これらに分類されない不定形状等、任意の形状を採用することができる。また、リブ状突起部31の高さ位置によって異なる断面積及び/又は断面形状を有する柱状に形成することもできる。また、シート11の長さ方向における、リブ状突起部31の最大長さは、シートのMD方向の最大長さ以下であればよく、特に限定されない。
なお、本実施形態においては、シート11の長さ方向に延在する一対のリブ状突起部31を採用しているが、これよりも最大長さが短い複数のリブ状突起部31を、シート11の長さ方向に沿って離間配置してもよい。このとき、各々のリブ状突起部31の配置間隔は、周期的であっても、ランダムであってもよい。このように複数のリブ状突起部31を離間配置する場合、各々のリブ状突起部31の距離は、特に制限されないが、100cm以下が好ましく、より好ましくは50cm以下、さらに好ましくは10cm以下である。
このリブ状突起部31を構成する素材は、特に限定されないが、シート11及び/又は共振部21と同じ高分子材料が好ましく、シート11及び共振部21と同じエラストマー類がより好ましい。シート11及び/又は共振部21と同じ高分子材料を採用すれば、シート11及び/又は共振部21との一体成形が容易となり、生産性が飛躍的に高められる。
[支持体]
本発明の遮音シート部材は、遮音性能を発現させる環境に合わせ適宜設置することができる。例えば、遮音シート部材を装置、構造体上等に直接設置してもよい。遮音シート部材と装置、構造体等の間には、接着層等を設けてもよい。また、遮音シート部材を支持体が支持した形態で用いてもよい。本発明の遮音シート部材を用いて遮音する際に、支持体が遮音シート部材を支持すればよく、製造、保管時等は支持体に支持されていなくてもよい。
支持体は遮音シート部材のシートの少なくとも一方の面に接して設けられていればよく、共振部が接して設けられているシート面上及び/又は共振部が接して設けられているシート面の他方の面に設けられていてもよい。
本実施形態においては、上記のシート11の裏面11b側には、支持体51が設けられている。この支持体51を構成する素材は、シート11を支持可能なものであれば特に限定されないが、遮音性能を高める観点から、シート11よりも剛性の高いものが好ましい。具体的には、支持体51は、1GPa以上のヤング率を有することが好ましく、より好ましくは1.5GPa以上である。上限は特にないが、例えば1000GPa以下が挙げられる。
また、遮音シート部材を装置、構造体上等に直接設置する場合において、遮音シート部材を設置する面は、シートを支持する観点、遮音性能を高める観点等から上記支持体と同様の剛性を有することが好ましい。
支持体51の全光線透過率は特に限定されず、用途等に応じて適宜選択することができる。例えば、採光性を有する遮音構造体として使用する場合には、採光性の観点から、全光線透過率は好ましくは40%以上であり、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%である。
支持体51を構成する素材は特に限定されない。例えば、光硬化性樹脂シート、熱硬化性樹脂シート、熱可塑性樹脂シート、金属板、合金板等が挙げられる。光硬化性樹脂シート、熱硬化性樹脂シート及び熱可塑性樹脂シートは、上記基部で挙げた光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂を用いたシート等が挙げられる。
支持体51を構成する素材の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンサクシネート等のポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリレート樹脂、イソソルバイドを主原料としたポリカーボネート等のポリカーボネート樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリノルボルネン等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、エポキシ樹脂、オキサジン樹脂等の有機材料、これらの有機材料中にアルミニウム、ステンレス、鉄、銅、亜鉛、真鍮等の金属、無機ガラス、無機粒子や繊維を含む複合材料等が挙げられる。
これらの中でも、採光性を有する遮音構造体として使用する場合には、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂及び塩化ビニル樹脂から選ばれる少なくとも1つを含むものであることが好ましい。
ここで、支持体51の厚みは、特に限定されないが、採光性、遮音性能、剛性、成形性、軽量化、コスト等の観点から、通常0.05mm以上、50mm以下であることが好ましい。
さらに、支持体51は光透過性、遮音シート部材との密着性等の観点から、支持体51表面にコーティング層を設けても良い。
なお、支持体51の形状は、遮音構造体200の設置面に応じて適宜設定でき、特に限定されない。例えば、平坦なシート状であっても、湾曲したシート状であっても、曲面部や折り曲げ部等を有するように加工された特殊形状であってもよい。さらに、軽量化等の観点から、切り込みや打ち抜き部等が、支持体51の任意の場所に設けられていてもよい。
また、支持体51の面密度(単位面積当たりの質量)も、所望性能に応じて適宜設定でき、特に限定されない。本発明の効果を高める観点からは、遮音シート部材100の面密度の80%以下が好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下である。
(第2実施形態)
図7及び図8は、本実施形態の遮音シート部材101及び遮音構造体201を示す概略斜視図、及びその矢視断面図である。本実施形態においては、共振部の設置数、基部及び錘部の形状、並びに、リブ状突起部の形状及び設置数が異なること以外は、上述した第1実施形態の遮音シート部材100及び遮音構造体200と同等の構成を有するため、ここでの重複した説明は省略する。
本実施形態の共振部21は、基部24と、この基部24に支持され且つこの基部24より大きな質量を有する錘部25とを備える複合構造体から構成されている。本実施形態においても、略円柱状の外形形状を有する基部24がシート11のシート面11a上に接して複数設けられている。
図9に示すとおり、錘部25は、基部24に向かって設けられた、略円錐状の凸部25aを有する。この凸部25aが基部24内に埋設された状態で、錘部25が基部24の上面側に支持されている。このように構成しても、錘部25の脱落が抑制される。なお、凸部25aの形状は、基部24に向かって設けられている限り、特に限定されない。例えば、図10及び図11に示すように、円柱状の凸部25bや中空筒状の凸部25cとすることができる。これら以外にも、例えば、球状、半球状、楕円球状、三角柱状、矩形柱状、台形柱状、5角柱や6角柱等の多角柱状、楕円柱状、角錐台状、円錐台状、角錐状、これらに分類されない不定形状等、任意の形状を採用することができる。
一方、本実施形態のリブ状突起部32は、外形略円柱状に成形されてなり、それぞれのリブ状突起部32は、シート11の幅方向(シート流れ方向に垂直方向、TD方向)の縁部において、シート11の長さ方向(シート流れ方向、MD方向)に沿って、それぞれ列を為すように、離間配置されている。
本実施形態においても、上述した第1実施形態と同様の作用効果が奏される。それらに加えて、本実施形態においては複数のリブ状突起部32が列を為すように離間配置されているため、遮音シート部材101の追従性(柔軟性)がさらに高められている。そのため、より複雑形状な貼付面に対しても、伸縮可能なフレキシブルなシート11がその表面形状に追随することができ、その結果、シート11を支持体51上に安定して取付け可能である。
(第3実施形態)
図13は、本実施形態の遮音シート部材102を示す概略斜視図、及び図14はそのXX−XX矢視断面図 である。遮音シート部材102は、ゴム弾性を有するシート11と、こ
のシート11のシート面11a上に設けられた複数の共振部21a、21bとを備えている。共振部21a、21bは高さの異なる共振部である。
本実施形態においては、共振部の設置数、並びに、リブ状突起部及び支持体が設置されていないこと以外は、上述した第1及び第2実施形態の遮音シート部材100又は101、遮音構造体200又は201と同等の構成を有するため、ここでの重複した説明は省略する。なお、本実施形態においては、共振部は、単一構造体の例であるが、上述したようにこれに本発明はこれに限定されるわけではない。また、リブ状突起部及び支持体は他の実施形態のように適宜設けることができる。
本実施形態において、共振部21a及び21bは三角錐状である。シート面11a上に接している底面と反対側に位置する部分は面上になっている。共振部21a及び21bの外形形状は特に限定されず、シート面11a上に接している底面と反対側の部分の形状についても特に限定されないが、例えば、点状、半球状、平面状、凸状、凹状等適宜調整することができる。
[製造方法]
本発明の遮音シート部材及び遮音構造体の製造方法は特に限定されないが、例えば、以下製造方法1〜4が挙げられる。
各製造方法で用いられるキャビティの形状は特に限定されないが、例えば底の形状は半球状、平面状、凸状、凹状等適宜選択することができる。
(製造方法1)
製造方法1は、以下(1)〜(3)工程を含んでいてもよい。
(1)複数のキャビティを有する金型を準備し、キャビティ内に樹脂材料及び/又は高分子
材料を流し込む工程。
(2)流し込まれた樹脂材料及び/又は高分子材料を硬化する工程。
(3)得られた硬化物を金型より剥離する工程。
製造方法1において、(2)又は(3)工程の後で、得られた硬化物状に支持体を設ける工程を有していてもよい。
(製造方法2)
製造方法2は、以下(4)〜(7)工程を含んでいてもよい。
(4)複数のキャビティを有する金型を準備し、金型に設けられた複数のキャビティに錘を配置する工程。
(5)キャビティ内に樹脂材料及び/又は高分子材料を流し込む工程。
(6)流し込まれた樹脂材料及び/又は高分子材料を硬化する工程。
(7)得られた硬化物を金型より剥離する工程。
製造方法2において、(6)又は(7)工程の後で、得られた硬化物状に支持体を設ける工程を有していてもよい。
(製造方法3)
製造方法3は、以下(8)〜(11)工程を含んでいてもよい。
(8)複数のキャビティを有する金型に光硬化性エラストマー前駆体又は光硬化性樹脂前駆体を塗布する工程。
(9)金型上で平面化した前記エラストマー前駆体又は樹脂前駆体上に基板を積層する工程。
(10)支持体と金型の積層体を、基板側から加圧ロールにより前記エラストマー前駆体又は樹脂前駆体で前記キャビティを充填する工程。
(11)基板側より光を照射することにより、金型のキャビティ形状が転写形成された前記エラストマー前駆体又は樹脂前駆体を硬化させると共に、前記エラストマー前駆体又は樹脂前駆体の硬化物と前記基板とを重合接着させる工程。
(12)(11)前記エラストマー前駆体又は樹脂前駆体の硬化物と基板を接着させたものを金型より剥離する工程。
(製造方法4)
製造方法4は、以下(13)〜(15)工程を含んでいてもよい。
(13)キャビティが複数配列された外周面を有するロール型を回転させ、前記ロール型の外周面に沿って前記ロール型の回転方向に基板を走行させながら、前記ロール型の外周面に光硬化性エラストマー前駆体又は光硬化性樹脂前駆体を塗布し、
前記キャビティに前記エラストマー前駆体又は樹脂前駆体を充填する工程。
(14)前記ロール型の外周面と前記基板との間に前記エラストマー前駆体又は樹脂前駆体を挟持した状態で、前記ロール型の外周面と前記基板との間の領域に光照射する工程。
(15)前記工程(14)で得られた前記エラストマー前駆体又は樹脂前駆体の硬化物と前記基板とが接着したものを前記ロール型から剥離する工程。
製造方法3の(10)及び(11)工程、製造方法4の(13)及び(14)工程において、共振部及びシートを有する遮音シート部材を形成することができる。
製造方法3及び4で用いられる基板は特に限定されない。基板上に形成された遮音シート部材をそのまま用いてもよく、基板を剥離して用いてもよい。
製造方法3の(11)又は(12)工程、製造方法4の(14)または(15)工程の後で、さらに支持体を設ける工程を有していてもよい。また、上記基板が支持体であってもよい。
製造方法3の(10)及び(11)工程、製造方法4の(13)及び(14)工程は複数回設けてもよい。例えば、製造方法4において、(13)、(14)、(13)、(14)、(15)工程の順番で行ってもよい。
また、複数回設ける場合、用いる光硬化性エラストマー前駆体又は光硬化性樹脂前駆体は異なっていてもよい。例えば、製造方法4において、1回目の(13)工程と2回目の(13)工程にて用いる光硬化性エラストマー前駆体又は光硬化性樹脂前駆体は異なっていてもよい。2回目の光硬化性エラストマー前駆体又は光硬化性樹脂前駆体に金属粉等を混合し、(15)工程で得られる硬化物(共振部)が基部と錘部となるようにしてもよい。
製造方法3,4等は、国際公開2010/3080794号等に記載の製造方法を参考にすることができる。
(実施形態1を用いた遮音シート部材の製造方法の1形態)
上述した実施形態1を用いて遮音シート部材の製造方法の1形態を示す。本発明の遮音シート部材及び遮音構造体の製造方法はこれに限定されるものではない。また、他の実施形態においても適宜準用することができる。
遮音シート部材100は、シート11のシート面11a上に、上述した共振部21とリブ状突起部31を設けることで得ることができる。共振部21及びリブ状突起部31の設置方法は、特に限定されない。例えば、別個成形した各部品を、加熱加圧又は加圧して圧着する方法、各種公知の接着剤を用いて接着する方法、熱溶着、超音波溶着、レーザー溶着等で接合する方法等が例示される。接着剤としては、エポキシ樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、ポリウレタン樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤、ポリオレフィン樹脂系接着剤、ポリビニルブチラール樹脂系接着剤、及び、これらの混合物等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、共振部21の一部若しくは全体、及びリブ状突起部31は、上記成形方法によって得られたゴム板を打ち抜くことによっても形成可能である。また、共振部21の一部が金属や合金である場合には、金属や合金を切削加工等することで形成可能である。
生産性及び経済性を高める等の観点からは、金型成形や注型成形等により、遮音シート部材100を一体成形する方法が好ましい。その一例としては、シート11、共振部21及びリブ状突起部31の一体成形物に対応する形状のキャビティを有する金型又は注型を用いて、共振部21、シート11、共振部21及びリブ状突起部31の一体成形物を成形する方法が挙げられる。このような一体成形方法としては、プレス成形法、圧縮成形法、注型成形法、押出成形法、射出成形法等の各種公知の方法が知られており、その種類は特に限定されない。なお、各部品の原料は、例えばゴム弾性を有する樹脂材料や高分子材料であれば、液状前駆体若しくは加熱溶融体の形態でキャビティ内に流し込むことができる。また、金属や合金や無機ガラスであれば、キャビティ内の所定位置に予め配置(インサート)することができる。
樹脂材料や高分子材料としては、特に限定されない。例えば、本発明の遮音シート部材であるシート、基部等で例示した材料及びそれらの原料・中間体等が挙げられる。
図3〜図6は、遮音シート部材100の製造工程の一例を示す図である。ここでは、上述した共振部21に対応する形状のキャビティ61a及びリブ状突起部31に対応する形状のキャビティ61bを有する金型61を用い(図3参照)、この金型61のキャビティ61a内に錘部23を配置し(図4参照)、その後、ゴム弾性を有する樹脂材料をキャビティ61a及び61b内に流し込み、必要に応じて加熱或いは加圧した後(図5参照)、シート11、共振部21及びリブ状突起部31の一体成形物を離型し、遮音シート部材100を得る。このような一体成形法によれば、生産性及び経済性が高められるのみならず、複雑形状であっても容易に成形でき、また、各部品の密着力が高められ機械的強度に優れる遮音シート部材100が得られ易い傾向にある。これらの観点からも、シート11、共振部21及びリブ状突起部31は、熱硬化性エラストマーや熱可塑性エラストマーを含有する一体成形物であることが好ましい。
[作用効果]
本実施形態の遮音シート部材100〜102及び遮音構造体200〜203においては、ゴム弾性を有するシート11のシート面11a上に接して複数の共振部21が設けられた構成となっている。そのため、騒音源から音波が入射された際に、質量則を凌駕する高い遮音性能を得ることができる。ここで、本実施形態の遮音シート部材100〜102及び遮音構造体200〜201においては、共振部21、基部22の形状、密度分布或いは素材(弾性率、質量)の変更によるバネ定数の調整や、錘部23の質量の変更等によって、共振部21の共振周波数の制御を容易に行うことができる。その上さらに、シート11の素材や厚み等によっても周波数帯域(音響バンドギャップ幅や周波数位置)を制御可能である。したがって、本実施形態の遮音シート部材100〜102及び遮音構造体200〜203は、従来のものに比して、遮音周波数選択の自由度や設計自由度に優れる。
また、本実施形態の遮音シート部材100〜102及び遮音構造体200〜201においては、共振部21及びリブ状突起部31が、ゴム弾性を有するシート11の一方のシート面11aに接して設けられており、他方のシート面11bには設けられていない。そのため、支持体51が例えば曲面等を有する非平坦面であっても、伸縮可能なフレキシブルなシート11がその表面形状に追随することができ、その結果、シート11を支持体51上に安定して取付け可能である。したがって、本実施形態の遮音シート部材100〜102及び遮音構造体200〜201は従来のものに比して、取扱性及び汎用性に優れる。
また、シート11及び共振部21を一体成形した場合には、複数の共振部21(共振器)を一括して設置可能となるため、生産性及び取扱性が格別に向上する。
共振部21の最大高さH1よりも高い最大高さH2を有するリブ状突起部31が配設されているため、遮音シート部材100〜102をシート状に巻き取ったり又は複数枚重ね合わせたりしても、リブ状突起部31がスペーサとして機能し、シート11の裏面に対する共振部21の接触が抑制される。したがって、共振部21の変形、変異、割れ、脱落、破損等の製造トラブルを生じさせることなく、所謂ロール・トゥ・ロールで遮音シート部材100〜101を連続生産し及び保管することが容易となり、枚葉ごとのバッチ生産に比べて生産速度が向上し、生産性及び経済性が高められる。なお、図14及び15の遮音シート部材102には、リブ状突起部31は記載していないが有していてもよく、同様の効果が得られる。
[遮音構造体]
本発明の遮音シート部材は遮音構造体として用いることができる。前述の実施形態に示したように遮音構造体は支持体、リブ状突起部等を有していてもよい。
利用法の一例として、本発明の遮音シート部材は全光線透過率が高いものであるため、車、住宅、ビル等の建築物の窓に取りつけて、建築物や車の外部からの音、車自体から発する音の遮蔽用シートとして用いるといった利用法が考えられる。
遮音構造体は、本発明の遮音シート部材を含む積層体であってもよい。例えば、図15に示す遮音構造体の断面図のように、支持体51の両面に遮音シート部材102を設けてもよい。また、遮音シート部材を支持体上に設けた遮音構造体を複数積層して用いてもよい。複数の遮音シート部材を組み合わせることで、音響バンドギャップ幅や周波数位置等を制御することができる。
また、図15のような支持体の両面に遮音シート部材を有する積層体であっても、支持体、積層体を含む筐体等がフレキシブルであれば、曲面等を有する非平坦面等に追随することができるため、遮音構造体を安定して取付けることも可能である。
遮音構造体として用いる場合の遮音シート部材の共振部、シートの位置関係は特に限定されないが、例えば、図16に示す構造体の断面図のように用いることもできる。
図16の遮音構造体203は、シート11、共振部21、リブ状突起物32及びシート70を有する。遮音構造体203は、遮音構造体設置物(例えば、窓)300に設置されている。遮音構造体設置物300の重量が支持体に対して大きい場合など、図16のようにシートが遮音構造体設置物に直接設置していないことで、音響バンドギャップが生じやすくなり、高い遮音性能が得られる場合がある。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
[実施例1]
実施例1は、図12(a)に示す遮音シート部材を含むユニットセルである。該ユニットセルにおける音響バンドギャップ等を以下の方法にて算出した。該ユニットセルの構成部材のサイズ、材料、物性、及び、遮音シート部材又は遮音構造体の推算された全光線透過率Ttを表1に示す。
<音響バンドギャップと全光線透過率の算出方法>
非特許文献3に記載の方法により、音響バンドギャップを推算した。
遮音シート部材又は遮音構造体の全光線透過率Ttの推算は、以下式より見積もった。
Tt=(1/a2)*{( a2―πr2) +πr2 * Tti * Ttii}* Ttiii *Ttiv
a:ユニットセルiii部の辺の長さ
r:ユニットセルi部の断面半径
π:円周率
Ttx:ユニットセルx部(xはi、ii、iii又はiv)の全光線透過率
実施例1における全光線透過率Ttの推算においては、ゴムとポリカーボネートの屈折率を同一と仮定し推算した。また、実施例2及び3における全光線透過率Ttの推算においては、Tti及びTtivを1(100%)として推算した。
Figure 2019031899
[実施例2及び3]
実施例2及び3は、図12(b)に示す遮音シート部材を含むユニットセルであり、表1に示す構成である。それぞれ実施例1と同様の方法により、該ユニットセルにおける音響バンドギャップ等を算出した。なお、各ユニットセルにおける音響バンドギャップ算出では、部位iiが設けられた部位iiiのシート面の、反対面の変位を固定して算出した。
[比較例1]
比較例1は、図12(a)に示す遮音シート部材を含むユニットセルであり、表1に示す構成である。それぞれ実施例1と同様の方法により、該ユニットセルにおける音響バンドギャップ等を算出した。
実施例1から、共振部の全光線透過率が小さくとも、共振部のサイズや個数(占有面積)により、音響バンドギャップを有しながら、遮音構造体の全光線透過率を40%以上に調整することができることが確認された。
一方、実施例1及び比較例1との対比から、支持体の全光線透過率を高くすることにより、遮音構造体の全光線透過率を40%以上に調整することができ、採光性の高い遮音構造体が実現可能であることが確認された。
一方、支持体の軽量化により音響バンドギャップが広がることが確認され、遮音構造体の設計自由度が増すことが確認された。
さらに、実施例2及び3から、音響バンドギャップを有しながら、全光線透過率が40%以上である柔軟な遮音シート部材が設計可能であることが確認された。
一方、実施例2と3の比較から、音響バンドギャップは共振部の形状によって調整可能であることが確認され、遮音シート部材の設計自由度が増すことが確認された。
[実施例4]
図12(c)に示す遮音シート部材を、表1に示す構成にて作製し、以下の方法にて全光線透過率を評価した。
[使用原料]
以下の材料を原料として使用した。
・EBECRYL 230(ダイセル・オルネクス(株)製、ウレタンアクリレート、重量平均分子量Mw:5000)
・アロニックスM−120(東亜合成(株)製、特殊アクリレート)
・IRGACURE 184(BASF社製、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)
・IRGACURE TPO(BASF社製、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)
・PETフィルム(ダイヤホイル、三菱ケミカル社製。フィルム厚み250μm)
[混合物の作製]
前記原料から、EBECRYL230/アロニックスM-120を重量で1/1となるように計量した。次いで、前記原料に対してIRGACURE184を1重量%、IRGACURETPOを0.1重量%添加し、泡取り練太郎(シンキー社製)を用いて撹拌20分脱泡10分し混合物を得た。
[遮音シートの作製]
前記混合物を、アルミニウム製で直径1.2mm、高さ2mmの凹形状が、2mm間隔で設けられたA4サイズの金型に、該混合物を流し込んだ後、金型上にPETフィルムをのせ、高圧水銀ランプを用いて波長200〜450nmnm、エネルギー量1000mJ/m2で紫外線照射により硬化を行った。その後、金型内で硬化した遮音シート部材を、金型から剥離させた。
得られた遮音シートは、直径1.2mm、高さ2mm、設置間隔2mmの円柱凸形状の共振部を有しており、単位面積当たりの共振部は2500個/100cm2であった。
[全光線透過率の評価方法]
40mm角の試験片を打ち抜き機で打ち抜き、HAZEメーターNDH−5000(日本電色工業製)にて、全光線透過率の測定を行った。
実施例4から、全光線透過率が40%以上である柔軟な遮音シート部材が作製可能であることが確認された。
11 シート
11a シート面
11b シート面
21 共振部
22 基部
23 錘部
24 基部
25 錘部
25a 凸部
25b 凸部
25c 凸部
31 リブ状突起部
32 リブ状突起部
51 支持体
61 金型
61a キャビティ
61b キャビティ
70 シート
101 遮音シート部材
102 遮音シート部材
200 遮音構造体
201 遮音構造体
202 遮音構造体
203 遮音構造体
300 遮音構造体設置物
H1 最大高さ
H2 最大高さ
r 半径
h 高さ
a シート長さ
i 錘部
ii 基部
iii シート
iv 支持体

Claims (13)

  1. ゴム弾性を有するシート、及び複数の共振部を少なくとも備え、
    該共振部は、該シートのシート面に接して設けられ、
    全光線透過率が40%以上である、遮音シート部材。
  2. 前記シートが、熱又は光硬化性エラストマー、及び熱可塑性エラストマーよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載の遮音シート部材。
  3. 前記シートが、0.01MPa以上100MPa以下のヤング率を有する、請求項1又は2に記載の遮音シート部材。
  4. 前記共振部は、熱又は光硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマー、熱又は光硬化性樹脂、及び熱可塑性樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の遮音シート部材。
  5. 前記シート及び前記共振部が一体成形物であり、熱又は光硬化性エラストマー、及び熱可塑性エラストマーよりなる群から選択される少なくとも1種を共に含有するものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の遮音シート部材。
  6. 前記遮音シート部材が、少なくとも1以上のリブ状突起部をさらに備え、
    該リブ状突起部は、前記シートのシート面に上に接して設けられ、且つ、シート法線方向の高さが前記共振部よりも高いものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の遮音シート部材。
  7. 前記シートのシート長さ方向に、前記リブ状突起部が設けられている、請求項6に記載の遮音シート部材。
  8. 前記シートのシート長さ方向に沿って、複数の前記リブ状突起部が離間配置されている、請求項6又は7に記載の遮音シート部材。
  9. 前記シート、前記共振部及び前記リブ状突起部が一体成形物であり、熱又は光硬化性エラストマー、及び熱可塑性エラストマーよりなる群から選択される少なくとも1種を共に含有するものである、請求項6〜8のいずれか一項に記載の遮音シート部材。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の遮音シート部材、及び支持体を少なくとも備え、
    該支持体は、該遮音シート部材の前記シートの少なくとも一方の面に接して設けられ、且つ、前記シートを支持するものである、遮音構造体。
  11. 前記支持体が、1GPa以上のヤング率を有する、請求項10に記載の遮音構造体。
  12. 前記支持体が、ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂及び塩化ビニル樹脂から選ばれる少なくとも1つを含むものである、請求項10又は11に記載の遮音構造体。
  13. 請求項1〜9いずれか一項に記載の遮音シート部材を含む積層体である、遮音構造体。
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