JP2019058917A - 金属成形体表面の粗面化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属成形体表面の粗面化方法であって、金属成形体表面に対して、2000mm/sec以上の照射速度で連続波レーザー光を照射する工程とパルス波レーザー光を照射する工程を有しており、前記金属成形体の所定領域に対して前記連続波レーザー光を照射して粗面化した後、前記連続波レーザー光を照射して粗面化された面の一部に対してパルス波レーザー光を照射する、金属成形体表面の粗面化方法。
【選択図】なし
Description
特許文献1には、厚さ方向に形成された、表面側に開口部を有する幹孔と、幹孔の内壁面から幹孔とは異なる方向に形成された枝孔からなる開放孔と、厚さ方向に形成された、表面側に開口部を有していない内部空間を有しており、さらに前記開放孔と前記内部空間を接続するトンネル接続路と前記開放孔同士を接続するトンネル接続路を有している、表層部が粗面化された金属成形体の発明が記載されている。
表層部が複雑な多孔構造していることから、例えば樹脂と接合したときには高い接合力で接合させることができる。
特許文献2には、特許文献1の複雑な多孔構造内に樹脂を入り込ませることで、金属成形体と樹脂成形体が高い接合強度で接合された複合成形体の発明が記載されている。
金属成形体表面に対して、2000mm/sec以上の照射速度で連続波レーザー光を照射する工程とパルス波レーザー光を照射する工程を有しており、
前記金属成形体の所定領域に対して前記連続波レーザー光を照射して粗面化した後、
前記連続波レーザー光を照射して粗面化された面の一部に対してパルス波レーザー光を照射する、金属成形体表面の粗面化方法を提供する。
また本発明は、金属成形体表面の粗面化方法であって、
金属成形体表面に対して連続波レーザー光を照射する工程とパルス波レーザー光を照射する工程を有しており、
前記金属成形体の所定領域に対してパルス波レーザー光を照射して複数の孔を形成した後、
前記パルス波レーザー光を照射して形成された複数の孔を通る線状に2000mm/sec以上の照射速度で連続波レーザー光を照射する、金属成形体表面の粗面化方法を提供する。
このため、本発明の金属成形体表面の粗面化方法により得られた金属成形体と樹脂などの他材料からなる複合成形体を製造するとき、前記他材料が前記開口部から前記多孔構造部の内部に侵入し易くなっているため、金属成形体と前記他材料の成形体との接合強度を高めることができる。
本発明の金属成形体表面の粗面化方法のうち、第1実施形態の粗面化方法は、前記金属成形体の所定領域に対して2000mm/sec以上の照射速度で連続波レーザー光を照射して粗面化した後、前記連続波レーザー光を照射して粗面化された面の一部に対してパルス波レーザー光を照射する粗面化方法である。
金属成形体の形状や大きさは、金属成形体の用途に応じて選択することができるものであり、前記形状は、例えば、平面、平面同士の角部、曲面およびこれらが組み合わされたものでもよい。
金属成形体の所定領域とは、金属成形体の全面でもよいし、一部面でもよく、一部面であるときは1箇所でもよいし、複数箇所でもよい。
エネルギー密度は1MW/cm2以上にすることが好ましい。レーザー光の照射時のエネルギー密度は、レーザー光の出力(W)と、レーザー光(スポット面積(cm2)(π・〔スポット径/2〕2)から求められる。レーザー光の照射時のエネルギー密度は、2〜1000MW/cm2が好ましく、10〜800MW/cm2がより好ましく、10〜700MW/cm2がさらに好ましい。
レーザー光の照射速度は2,000〜20,000mm/secが好ましく、2,000〜18,000mm/secがより好ましく、3,000〜15,000mm/secがさらに好ましい。
レーザー光の出力は4〜4000Wが好ましく、50〜2500Wがより好ましく、150〜2000Wがより好ましく、200〜1000Wがさらに好ましい。
波長は500〜11,000nmが好ましい。
ビーム径(スポット径)は5〜80μmが好ましい。
焦点はずし距離は、-5〜+5mmが好ましく、−1〜+1mmがより好ましく、−0.5〜+0.1mmがさらに好ましい。焦点はずし距離は、設定値を一定にしてレーザー照射しても良いし、焦点はずし距離を変化させながらレーザー照射しても良い。例えば、レーザー照射時に、焦点はずし距離を小さくしていくようにしたり、周期的に大きくしたり小さくしたりしても良い。
繰り返し回数(一つの孔を形成するための合計のレーザー光の照射回数)は、1〜30回が好ましく、5〜20回がより好ましい。
その他、隣接する溝同士の間隔(レーザー光の照射痕の間隔)、照射パターンなども選択することができる。
(i)レーザー光の非照射面と、金属成形体(インプラント)を構成する金属よりも熱伝導率の大きい材料(熱伝導率が100W/m・k以上である材料)からなる基板(例えば、鋼板、銅板、アルミニウム板)と接触させる方法、あるいは
(ii)金属成形体のレーザー光の非照射面と、金属成形体を構成する金属よりも熱伝導率の小さい材料からなる基板(例えばガラス板)と接触させる方法を適用することができる。
(i)の方法は、特開2016−78090号公報に記載の方法を適用することができ、(ii)の方法は、特開2016−124024号公報に記載の方法を適用することができる。
(i)の方法は、金属成形体にレーザー光を照射するときに生じる熱を放熱させることで、温度の上昇を抑制することができる。
(ii)の方法は、金属成形体にレーザー光を照射するときに生じる熱の放熱を抑制させることができる。
アシストガスを供給しながらレーザー光を照射することで、孔の深さ、大きさおよび配向性の制御を補助することができるほか、炭化物の生成を抑制したり、表面性状を制御したりすることができる。
例えば、アルゴンガスを選択すると表面の酸化を防止することができ、酸素を選択すると表面の酸化を促進することができ、窒素ガスやアルゴンガスを選択すると酸化を防止することができる。
出力は、1〜1000Wが好ましく、1〜500Wがより好ましく、2〜100Wがさらに好ましい。
波長は、300〜1200nmが好ましく、500〜1200nmがより好ましい。
スキャンのパルス幅は、1〜10,000nsecが好ましい。
周波数は、0.001〜1000kHzが好ましい。
焦点はずし距離は、−5〜+5mmが好ましく、−1〜+1mmがより好ましい。
加工速度は、10〜10,000mm/secが好ましく、100〜10,000mm/secがより好ましい。
スキャン回数は、1〜100回が好ましく、3〜80回がより好ましい。
第2工程の処理は、粗面化された金属成形体を使用して樹脂、ゴム、エラストマー、他の金属成形体などの他材料との複合成形体を製造するとき、粗面化処理により形成された多孔構造内に前記他材料が入り込み易くなるようにするための開口部を形成するものである。
パルス波レーザー光を照射する方法は、上記した公知のレーザーを使用した通常のパルス波レーザー光を照射する方法のほか、特許第5848104号公報、特許第5788836号公報、特許第5798534号公報、特許第5798535号公報、特開2016−203643号公報に記載のパルス波レーザー光の照射方法と同様にして実施することができる。
第2工程においても第1工程と同様に上記(i)の方法または(ii)の方法を適用することができるほか、アシストガスを使用することもできる。
第1工程における連続波レーザー光の照射により粗面化された面は、上記した特許文献1、2に記載のとおり、「厚さ方向に形成された、表面側に開口部を有する幹孔と、幹孔の内壁面から幹孔とは異なる方向に形成された枝孔からなる開放孔と、厚さ方向に形成された、表面側に開口部を有していない内部空間を有しており、さらに前記開放孔と前記内部空間を接続するトンネル接続路と前記開放孔同士を接続するトンネル接続路」(以下、「トンネル接続路を有する特定の多孔構造」とする)を有している。
第2工程では、例えば、上記の「表面側に開口部を有する幹孔」に対してパルス波レーザー光を照射することで前記幹孔の開口部をより大きくして拡張された開口部を形成し、前記拡張された開口部から「トンネル接続路を有する特定の多孔構造」内部に樹脂などの他材料が入り込み易くすることが好ましい。
本発明の第1実施形態の粗面化方法を適用して粗面化された金属成形体は、表面から孔深さまでが10〜1000μmの深さ範囲のものであることが好ましい。
図1(a)〜(c)に示す金属成形体10は、粗面化表面12側に開口部31のある開放孔30を有しているが、本発明の粗面化方法を適用することで開口部31が拡げられている。このため、樹脂などの他材料との複合体にするときは、拡張された開口部31から他材料が内部に入り込み易くなっている。
開放孔30は、厚さ方向に形成された開口部31を有する幹孔32と、幹孔32の内壁面から幹孔32とは異なる方向に形成された枝孔33からなる。枝孔33は、1本または複数本形成されていてもよい。
また金属成形体10は、粗面化表面12側に開口部のない内部空間40を有している。内部空間40は、トンネル接続路50により開放孔30と接続されている。なお、第2工程において内部空間40が形成されている部分にパルス波レーザー光が照射されれば、内部空間40は開口部を有する開放孔となる。
例えば、他の条件が同じであれば、レーザー光の照射回数が増加すると空孔率が高くなり、レーザー光の照射回数が減少すると空孔率が低くなる。同様に他の条件が同じであれば、エネルギー密度の増減、レーザー光の照射速度の増減などの他の条件を調整することによっても空孔率を制御できる。
さらに連続波レーザー光とパルス波レーザー光を併用することで、連続波レーザー光の照射により上記した複雑な孔構造を形成できると共に、大まかな空孔率も制御することができ、パルス波レーザー光の照射により細かい空孔率も制御できるようになるため、トンネル接続路などの複雑な孔構造を有し、かつ空孔率が制御された、粗面化された金属成形体を製造することができる。
本発明の金属成形体表面の粗面化方法のうち、第2実施形態の粗面化方法は、第1実施形態とは第1工程と第2工程の順序が逆の粗面化方法である。
第1工程では、第1実施形態の第2工程と同様にして、金属成形体の所定領域に対してパルス波レーザー光を照射して複数の孔を形成する。
例えば、金属成形体の所定領域中の100箇所にパルス波レーザー光を照射して、孔を形成する。この孔が上記した「トンネル接続路を有する特定の多孔構造」内への樹脂などの他材料の導入孔となる。
次の第2工程では、第1実施形態の第1工程と同様にして、第1工程のパルス波レーザー光を照射して形成された複数の孔を通る線状に連続波レーザー光を照射する。
このようにすることで、例えば上記したとおり、「トンネル接続路を有する特定の多孔構造」内部に樹脂などの他材料が導入し易くなるので好ましい。
本発明の第2実施形態の粗面化方法を適用して粗面化された金属成形体は、表面から孔深さまでが10〜1000μmの深さ範囲のものであることが好ましい。
インプラントは、骨または歯を含む生体組織と結合させるために使用するものである。
インプラントとしては、人工股関節(ステム、カップ)、人工膝関節などの人工関節、骨折固定用(プレート、スクリュー)、人工歯根などを挙げることができる。
インプラントは、チタン(純チタン)またはチタン合金、コバルトクロム合金、タンタルから選ばれるものからなるものである。チタン合金は、医療用チタン合金として使用されているものである。
本発明の粗面化方法により粗面化されたインプラント表面に形成された多孔構造は、複雑な構造になっており、かつ一部孔の開口部大きくなっているため、前記開口部から骨または歯を含む生体組織が入り込み易くなっていると共に、複雑な多孔構造が骨または歯を含む生体組織とインプラントの結合力を高めるように作用することが期待される。
純チタンの板または64チタンの板(縦30mm、横30mm、厚み3mm)に対して、下記レーザー装置を使用して、表1に示す条件にて、第1工程で連続波レーザー光を照射し、第2工程でパルス波レーザー光を照射した。なお、焦点はずし距離は、第1工程と第2工程で同じであり、いずれも第1工程の処理前の純チタンの板または64チタンの板の表面に合わせた(焦点はずし距離はゼロ)。
粗面化された純チタンの板または64チタン板表面のSEM写真を図3〜図8(実施例1〜6)に示す。
クロス(クロス照射):0.08mmの間隔をおいて10本の溝(第1群の溝)が形成されるように連続波レーザー光を照射した後、第1群の溝と直交する方向に0.08mmの間隔をおいて10本の溝(第2群の溝)が形成されるように連続波レーザー光を照射した。
双方向照射:一方向に1本の溝が形成されるように連続波レーザー光を直線状に照射した後、0.08mmの間隔をおいて反対方向に同様にして連続波レーザー光を直線状に照射することを繰り返した。0.08mmの間隔は、隣接する溝同士の中心間距離である。
円(図1(c):パルス波レーザー光をスポット径30μm、スキャン速度250mm/secでスポットの中心を直径200μmの円周状にスキャンして、直径が200μm強の円を形成した。前記スキャンを10回繰り返して、直径が約200μmの円を形成した。同様の操作を繰り返して複数の円を形成した。隣接する円同士の中心間距離は0.6mmとした。
穴(一点照射):パルス波レーザー光をスポット径30μmで一点に100回照射して穴を形成した。同様の操作を繰り返して複数の穴を形成した。隣接する穴同士の中心間距離は200μmとした。
発振器:IPG-Ybファイバー;YLR−300−SM
ガルバノミラー:SQUIREEL(ARGES社製)
集光系:fc=80mm/fθ=100mm
発振器:IPG-Ybファイバー;YLP-1-50-30-30-RA
(出力100%,周波数30kHz)
ガルバノミラー:LXD30+SCANLAB社のHurrySCAN10
(ビームエキスパンダ2倍/fθ=100mm)
X線CTスキャナー装置(型番 MicroXCT-400 メーカー名 Xradia社)を用いて、レーザー光照射サンプルのX線CT観察を実施した。
金属成形体表面に平行で、かつ金属成形体表面から所定深さにある面のX線CTスキャン写真を撮影して、前記写真(画面に表示された写真)から金属部分と空孔部分を識別し、所定深さの全体面積のなかで空孔部分の占める面積の割合から空孔率を求めた。測定深さは金属成形体の表面から100μmの深さと200μmの深さとした。
金属成形体に平行な面の上記X線スキャン写真を表面から次第に深くして撮影していき、撮影された写真(画面に表示された写真)の空孔部分がゼロとなる部分の深さ(金属成形体の表面からの距離)から最大深さを求めた。
また、図3〜図8からは、図1に示すとおり、第1工程の連続波レーザー光の照射により複雑な多孔構造が形成された後、第2工程のパルス波レーザー光の照射により大きな開口部31が形成された状態が確認できた。
本発明の方法により粗面化した金属成形体をインプラント用として使用した場合、大きな開口部から生体組織が入り込み易くなるため、実用上の効果が大きいことが考えられる。
64チタンの板(縦30mm、横30mm、厚み3mm)に対して、下記レーザー装置を使用して、表2に示す条件にて、第1工程でパルス波レーザー光を照射し、第2工程で連続波レーザー光を照射した。なお、焦点はずし距離は、第1工程と第2工程で同じであり、いずれも第1工程の処理前の純チタンの板または64チタンの板の表面に合わせた(焦点はずし距離はゼロ)。
粗面化された64チタン板表面のSEM写真を図9〜図11(実施例7〜9)に示す。
四角穴:図2(a)。パルス波レーザー光をスポット径45μmで、直線状に150μm照射した後、0.028mmの間隔(隣接する溝の中心間距離)で反対方向に同様にして照射し、これを5回繰り返した操作を1回として、さらに同様の操作を5回繰り返して、最大深さ180μmの四角穴を形成した。さらに同様の操作を繰り返して、隣接する四角穴同士の間隔150μmである複数の四角穴を形成した。
蛇行:図2(b)に示すようにしてパルス波レーザー光をスポット径45μmで照射して蛇行した線を形成した後、これを60回繰り返した。
円(図1(c):スポット径を45μmとしたこと以外は、上記と同じである。
また、図9〜図11からは、図1に示すとおり、第1工程のパルス波レーザー光の照射により形成された大きな開口部31を含み、さらに第2工程の連続波レーザー光の照射により複雑な多孔構造が形成されたことが確認できる。
本発明の方法により粗面化した金属成形体をインプラント用として使用した場合、大きな開口部から生体組織が入り込み易くなるため、実用上の効果が大きいことが考えられる。
Claims (4)
- 金属成形体表面の粗面化方法であって、
金属成形体表面に対して、2000mm/sec以上の照射速度で連続波レーザー光を照射する工程とパルス波レーザー光を照射する工程を有しており、
前記金属成形体の所定領域に対して前記連続波レーザー光を照射して粗面化した後、
前記連続波レーザー光を照射して粗面化された面の一部に対してパルス波レーザー光を照射する、金属成形体表面の粗面化方法。 - 前記連続波レーザー光を照射して粗面化された面の一部に対してパルス波レーザー光を照射するとき、前記連続波レーザー光を照射して粗面化された面に形成された一部の孔または溝の開口部に対してパルス波レーザー光を照射する、請求項1記載の金属成形体表面の粗面化方法。
- 金属成形体表面の粗面化方法であって、
金属成形体表面に対して連続波レーザー光を照射する工程とパルス波レーザー光を照射する工程を有しており、
前記金属成形体の所定領域に対してパルス波レーザー光を照射して複数の孔を形成した後、
前記パルス波レーザー光を照射して形成された複数の孔を通る線状に2000mm/sec以上の照射速度で連続波レーザー光を照射する、金属成形体表面の粗面化方法。 - 前記金属成形体が、チタンまたはチタン合金、コバルトクロム合金、タンタルから選ばれる金属からなる、骨または歯を含む生体組織と結合させるために使用するインプラント用である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属成形体表面の粗面化方法。
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