JP2019059122A - 多層フィルム及び包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】製膜後の幅収縮が抑制された多層フィルム及び包装体を提供する。【解決手段】ポリオレフィン系樹脂を含むシーラント層と、ポリアミド系樹脂を含む外層と、を備え、膜厚方向の位相差平均値(Rth)が、100nm以上であることを特徴とする多層フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、多層フィルム及び包装体に関する。
高齢化社会における生活の質の向上や、災害時のライフラインの確保の点から、常温で長期に保存可能なレトルト食品が求められている。レトルト食品とは、レトルト(加圧加熱)殺菌処理された食品のことをいう。レトルト殺菌処理された商品は、無菌状態にできることから、常温で流通させることができる。
例えば、特許文献1及び2には、レトルト食品包装用のフィルムとして、接着剤層を介して2層以上のポリアミド層を含む多層ポリアミド層と、酸素バリア層と、接着剤層と、シーラント層とを含み、これらがこの順番で積層された複合フィルムが提案されている。
また、特許文献3には、30質量%以上50質量%以下の高密度ポリエチレン、40質量%以上50質量%以下の線状低密度ポリエチレン、及び、10質量%以上20質量%以下の高圧法低密度ポリエチレンからなるポリエチレン樹脂組成物を主体とする樹脂からなるシーラント層を備えたレトルト食品包装用のフィルムが提案されている。
特公平05−075586号公報 特公平05−075587号公報 特開2015−229301号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示された複合フィルムでは、製膜後に幅収縮が生じてしまうという問題があった。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、製膜後の幅収縮が抑制された多層フィルム及び包装体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、膜厚方向に特定の位相差平均値(Rth)を有する多層フィルムを使用することにより、製膜後の幅収縮を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]ポリオレフィン系樹脂を含むシーラント層と、ポリアミド系樹脂を含む外層と、を備え、膜厚方向の位相差平均値(Rth)が、100nm以上であることを特徴とする多層フィルム。
[2]前記シーラント層と前記外層との間に、更に中間層を備える、[1]に記載の多層フィルム。
[3]前記ポリオレフィン系樹脂が、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン、又はポリプロピレン共重合体である、[1]又は[2]に記載の多層フィルム。
[4]前記ポリアミド系樹脂が、6−ナイロン、12−ナイロン、66−ナイロン、共重合ナイロン、又は非晶ナイロンである、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の多層フィルム。
[5]前記中間層がバリア層を含む、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の多層フィルム。
[6][1]〜[5]のいずれか1つに記載の多層フィルムを備えたことを特徴とする包装体。
本発明の多層フィルム及び包装体は、膜厚方向に特定の位相差平均値(Rth)を有するため、製膜後の幅収縮を抑制することができる。
本実施形態の多層フィルムの断面模式図である。 多層フィルムの位相差−変化量プロットである。
以下、本発明を適用した一実施形態である多層フィルム及び包装体について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
<多層フィルム>
本実施形態の多層フィルムの構成について説明する。図1は、本実施形態の多層フィルム1の断面模式図である。図1に示すように、本実施形態の多層フィルム1は、外層2と、接着性樹脂層3と、耐ピンホール層4と、酸素バリア層5と、耐ピンホール層6と、接着層7と、コア層8と、シーラント層9とを備え、これらがこの順に積層されて概略構成されている。
本実施形態の多層フィルム1は、食品包装用、特にレトルト食品包装用のフィルムとして用いることができる。
本実施形態の多層フィルム1は、ポリオレフィン系樹脂を含むシーラント層9と、ポリアミド系樹脂を含む外層2と、を備え、膜厚方向の位相差平均値(Rth)が、100nm以上である。
本実施形態の多層フィルム1は、シーラント層9と外層2との間に、中間層として、接着性樹脂層3と、耐ピンホール層4と、酸素バリア層5と、耐ピンホール層6と、接着層7と、コア層8と、を備えている。これら中間層は、多層フィルム1において、任意の層であり、多層フィルム1は、これらの一又は二以上の層を備えていなくてもよいが、備えていることにより、多層フィルム1に優れた特性を付与できる。
ただし、多層フィルム1は、中間層として、バリア層を備えていることが好ましい。このようにバリア層を備えている多層フィルム1は、フィルムを包装体として用いた際に、内容物劣化を抑制することができる。
外層2は、多層フィルム1の一方側の最表層である。外層2にはポリアミド系樹脂が含まれる。外層2がポリアミド系樹脂を含むことで、多層フィルム1の耐ピンホール性を向上することができる。また、この多層フィルム1を用いて包装体を作製することにより、レトルト処理した際に生じる強度の低下を抑制することができる。また、外層2には、ポリアミド系樹脂以外にその他の樹脂が含まれていてもよい。その他の樹脂としては、例えば、レトルト処理後のカールを抑制する観点から、ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。
なお、本実施形態において「レトルト処理」とは、食品を長期保存させるために、100〜121℃の温度で、1〜60分間、加熱する処理を意味する。
外層2に含まれるポリアミド系樹脂としては、具体的には、例えば、3員環以上のラクタム、アミノ酸、又はジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩を、単独重合又は共重合することによって得られるポリアミド系樹脂等が挙げられる。
3員環以上のラクタムとしては、具体的には、例えば、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、及びα−ピペリドン等が挙げられる。
アミノ酸としては、具体的には、例えば、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸等が挙げられる。
ナイロン塩を構成するジアミンとしては、具体的には、例えば、脂肪族アミン、脂環族ジアミン、及び芳香族ジアミン等が挙げられる。脂肪族アミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。脂環族ジアミンとしては、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、及び2,2−ビス−(4−アミノシクロヘキシル)プロパン等が挙げられる。芳香族ジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、及びパラキシリレンジアミン等が挙げられる。
ナイロン塩を構成するジカルボン酸としては、具体的には、例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環族カルボン酸、及び芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セパチン酸、ウンデカンジオン酸、及びドデカンジオン酸等が挙げられる。脂環族カルボン酸としては、ヘキサヒドロテレフタル酸、及びヘキサヒドロイソフタル酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(1,2−体、1,3−体、1,4−体、1,5−体、1,6−体、1,7−体、1,8−体、2,3−体、2,6−体、又は2,7−体)等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、具体的には、例えば、4−ナイロン、6−ナイロン、7−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、46−ナイロン、66−ナイロン、69−ナイロン、610−ナイロン、611−ナイロン、612−ナイロン、6T−ナイロン、6Iナイロン、共重合ナイロン、非晶ナイロン等が挙げられ、中でも、耐熱性、機械的強度、及び入手の容易性の点から、6−ナイロン、12−ナイロン、66−ナイロン、共重合ナイロン、及び非晶ナイロン等が好ましい。共重合ナイロンとしては、具体的には、例えば、6−ナイロンと66−ナイロンのコポリマー(ナイロン6/66)、6−ナイロンと610−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと611−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと12−ナイロンのコポリマー(ナイロン6/12)、6−ナイロンと612ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと6T−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと6I−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと66−ナイロンと610−ナイロンのコポリマー、6−ナイロンと66−ナイロンと12−ナイロンのコポリマー(ナイロン6/66/12)、6−ナイロンと66−ナイロンと612−ナイロンのコポリマー、66−ナイロンと6T−ナイロンのコポリマー、66−ナイロンと6I−ナイロンのコポリマー、6T−ナイロンと6I−ナイロンのコポリマー、及び66−ナイロンと6T−ナイロンと6I−ナイロンのコポリマー等が挙げられる。
外層2は、上記樹脂を1種類含むものであってもよいし、2種類以上を含むものであってもよい。
また、外層2は酸化防止剤を含んでいてもよい。外層2に含まれる酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ヒドロキシフェニルプロピオン酸エステル、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
ヒドロキシフェニルプロピオン酸エステルとしては、下記式(I)で表されるヒドロキシフェニルプロピオン酸エステル等が挙げられる。
Figure 2019059122
式(I)において、Rは、炭素数1〜3のアルキル基を示し、中でも熱安定性の点から、メチル基が好ましい。ヒドロキシフェニルプロピオン酸エステルとしては、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフエニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−エチルフエニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、及び3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−イソプロピルフエニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン等が挙げられる。
式(I)で表わされるヒドロキシフェニルプロピオン酸エステルは、3−(3−アルキル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、又はその酸塩化物若しくは酸無水物等の反応性誘導体と、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン類とを公知の方法で反応させることにより製造することができる。
フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、及びイオウ系酸化防止剤は、公知のものが使用できる。リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、及びテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンフォスファイト等が挙げられる。
外層2における、ポリアミド系樹脂及び酸化防止剤の含有量は特に限定されるものではないが、レトルト処理後の多層フィルムの強度の低下を低減でき、また耐ピンホール性に優れる点から、ポリアミド系樹脂100質量部に対して、酸化防止剤を0.01〜1.0質量部含むことが好ましく、0.01〜0.5質量部含むことがより好ましく、0.05〜0.25質量部含むことが特に好ましい。
外層2の厚さの比率としては、具体的には、例えば、多層フィルム1の総厚の3〜30%の範囲であることが好ましく、5〜25%の範囲であるであることがより好ましい。外層2の厚さの比率が上記範囲内であると、製膜過程において外観不良の発生を抑制することができるとともに、フィルムの柔軟性を確保することができる。
接着性樹脂層3は、外層2と耐ピンホール層4との間に、これらに隣接するようにして積層されている。接着性樹脂層3により、外層2と耐ピンホール層4との層間の接着力が高まり、この層間での剥離を防止することができる。
接着性樹脂層3は接着性樹脂を含む樹脂層である。接着性樹脂層3に含まれる接着性樹脂としては、特に制限されないが、酸変性されたポリオレフィン系樹脂、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物、及びポリウレタン化合物等が挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及び環状オレフィン系樹脂等が挙げられる。接着性樹脂層は、接着性樹脂を1種類含むものでもよいし、2種類以上を含むものでもよい。
接着性樹脂層3の厚さの比率としては、具体的には、例えば、多層フィルム1の総厚の5〜40%であることが好ましく、10〜20%であることがより好ましい。比率が5%以上であることにより、水蒸気バリア性が向上し、加熱処理した際の酸素バリア層5の吸水を抑制することができる。一方、比率が40%以下であることにより、加熱処理後、常温に戻した際に、酸素バリア層5に吸水された水が抜けやすくなるため、酸素バリア層5が白化から回復しやすい。
耐ピンホール層4は、接着性樹脂層3と酸素バリア層5との間に、これらに隣接するようにして積層されている。耐ピンホール層4により、多層フィルム1の耐ピンホール性を向上することができる。また、この多層フィルム1を用いて包装体を作製することにより、レトルト処理した際に生じる強度の低下を抑制することができる。
耐ピンホール層4はポリアミド系樹脂を含むものが好ましい。耐ピンホール層4に含まれるポリアミド系樹脂としては、具体的には、例えば、外層2に含まれるポリアミド系樹脂と同様のものを用いることができる。
耐ピンホール層4の厚さの比率としては、具体的には、例えば、多層フィルム1の総厚の3〜20%の範囲であることが好ましく、5〜15%の範囲であることがより好ましい。ここで、耐ピンホール層4の厚さの比率が上記範囲内であると、フィルムの強度を向上しつつ、柔軟性の低下を抑制することができる。
バリア層としては、具体的には、例えば、酸素バリア層、水蒸気バリア層等が挙げられる。このうち、バリア層は、酸素バリア層であることが好ましい。
酸素バリア層5は、耐ピンホール層4と耐ピンホール層6との間に、これらに隣接するようにして積層されている。酸素バリア層5により、多層フィルム1に優れた酸素バリア性が付与される。そのため、多層フィルム1を用いて包装体を形成した場合、外層2側からの包装体内部への酸素の侵入を抑制することができる。酸素バリア層5に含まれる樹脂としては、酸素バリア性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂(以下、単に「EVOH」と記載することがある)が挙げられる。酸素バリア層5がEVOHを含むことにより、酸素バリア層5の成膜性を向上させることができる。
EVOHは、エチレンと酢酸ビニルとを共重合した後、酢酸ビニル成分を加水分解してビニルアルコール基を生じさせることにより製造することができる。酸素バリア層5は、共重合の際にナイロンや架橋促進剤を添加して製造したEVOH(以下、単に「耐熱性を有するEVOH」と記載することがある)を併せて含んでいてもよい。これにより、酸素バリア層5の耐熱性及び耐水性が向上する。
酸素バリア層5がEVOHを含む場合、通常のEVOHと耐熱性を有するEVOHを混合してもよい。その際、耐熱性を有するEVOHが、酸素バリア層5の全質量の50質量%以上含まれることが好ましい。耐熱性を有するEVOHが50質量%以上含まれることで、耐レトルト性能(レトルト後の白化抑制、EVOHが溶出しデラミ発生を防止等)を向上させることができる。
EVOHにおけるエチレン含有率は、酸素バリア層5において十分な酸素バリア性が得られ、レトルト処理後における白化等の外観低下を抑制することができる点から、20〜60モル%であることが好ましく、25〜50モル%であることがより好ましい。また、EVOHにおけるケン化度は、ガスバリア層において十分な酸素バリア性が得られ、レトルト処理後における白化等の外観低下を抑制することができる点から、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
また、酸素バリア層5は、ガスバリア性および低吸湿性を有する公知の樹脂、例えば、主鎖中に芳香族環を有する芳香族ポリアミド系樹脂などを含んでいてもよい。この芳香族ポリアミド系樹脂として、例えば、一般式(II)、(III)で示されるものが挙げられる。
Figure 2019059122
(式(1)中、nは2以上の整数である。)
Figure 2019059122
(式(2)中、nは2以上の整数であり、X、Yは、置換基である。)
酸素バリア層5の厚さの比率としては、具体的には、例えば、多層フィルム1の総厚の1〜20%の範囲であることが好ましく、5〜15%の範囲であることがより好ましい。酸素バリア層5の厚さの比率が上記範囲内であると、多層フィルム1に要求される酸素透過率の性能が得られるとともに、生産性(特にコスト)を向上することができる。
耐ピンホール層6は、酸素バリア層5と接着層7との間に、これらに隣接するようにして積層されている。耐ピンホール層6により、多層フィルム1の耐ピンホール性を向上することができる。また、この多層フィルム1を用いて包装体を作製することにより、レトルト処理した際に生じる強度の低下を抑制することができる。
耐ピンホール層6はポリアミド系樹脂を含むものが好ましい。耐ピンホール層6に含まれるポリアミド系樹脂としては、具体的には、例えば、外層2に含まれるポリアミド系樹脂と同様のものを用いることができる。
耐ピンホール層6の厚さの比率としては、具体的には、例えば、多層フィルム1の総厚の3〜20%の範囲であることが好ましく、5〜15%の範囲であることがより好ましい。耐ピンホール層6の厚さの比率が上記範囲内であると、フィルムの強度向上と柔軟性を両立させることができる。
接着層7は、耐ピンホール層6とコア層8との間に、これらに隣接するようにして積層されている。接着層7により、耐ピンホール層6とコア層8との層間の接着力が高まり、この層間での剥離を防止することができる。
接着層7は接着性樹脂を含む。接着層7に含まれる接着性樹脂としては、具体的には、例えば、接着性樹脂層3と同様のものを用いることができる。
接着層7の厚さの比率としては、具体的には、例えば、多層フィルム1の総厚の3〜20%の範囲であることが好ましく、5〜15%の範囲であるであることがより好ましい。接着層7の厚さの比率が上記範囲内であれば、十分な接着力を得ることができる。
コア層8は、接着層7とシーラント層9との間に、これらに隣接するようにして積層されている。コア層8により、多層フィルム1に優れた柔軟性、耐衝撃性及び水蒸気バリア性が付与される。
コア層8は、密度0.95g/cm未満のポリオレフィン系樹脂を含むものが好ましい。密度0.95g/cm未満のポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレン系樹脂、及びポリプロピレン系樹脂、より具体的には、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、及び低密度ポリエチレンが挙げられる。
コア層8の厚さの比率としては、具体的には、例えば、多層フィルム1の総厚の20〜60%の範囲であることが好ましい。ここで、コア層8の比率が上記範囲内であれば、生産性が向上するとともに、他の機能層の比率を維持することができる。
シーラント層9は、多層フィルム1の外層2の反対側の最表層である。シーラント層9は、シーラント層9同士、又は他の部材と接着することができる。接着方法としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ヒートシール、超音波シール、高周波シール、インパルスシール等が挙げられる。このように、シーラント層9を備える多層フィルム1同士を接着することにより、包装体を形成することができる。
シーラント層9は、ポリオレフィン系樹脂を含む。シーラント層9に含まれるポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、例えば、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリプロピレン共重合体が挙げられる。シーラント層9が上記樹脂を含むことにより、シーラント層9同士を、又は他の部材と容易に接着することができる。シーラント層9は、上記樹脂を1種類含むものであってもよいし、2種類以上を含むものであってもよい。
シーラント層9は、イージーピール機能、すなわち開封時の剥離性に優れた機能を有することができる。イージーピール機能を有するとは、例えば、ヒートシールされた部分のヒートシール強さをJIS Z 0238に従って測定した場合に、3N/15mm以上10N/15mm未満であることを表す。
シーラント層9の厚さの比率としては、具体的には、例えば、多層フィルム1の総厚の3%以上60%以下であることが好ましく、4%以上20%以下の範囲であることがより好ましい。シーラント層9の厚さの比率が上記範囲内であれば、シール性能を充分発揮することができるとともに、イージーピール機能を有する場合であっても剥離不良が発生することがない。
多層フィルムの膜厚方向の位相差δは、下式で定義される。
位相差δ=光弾性係数β×厚さd×応力σ
光源から出た光が多層フィルムを透過した際の位相のずれ(位相差)を偏光イメージセンサで計測し、アウトプットする。そして、面内の各点の位相差の面内平均を位相差平均値(Rth)とする。
多層フィルム1の膜厚方向の位相差平均値(Rth)と、製膜後の変化量との間でプロットを実施すると、両者の間で高い負の相関があることが分かった(図2参照)。また、高位相差においても頭打ちの傾向が見られないことが分かった。すなわち、本発明者らは、膜厚方向の位相差を高くすれば、多層フィルムの成膜後の幅収縮を抑制できることを見出した。なお、図2中では、例えば、変化量が3.0mmであることは、3.0mm収縮したことを意味している。
多層フィルムの膜厚方向の位相差平均値(Rth)を高くすると、シーラント層に含まれるポリオレフィン系樹脂が結晶化し、かつ、外層に含まれるポリアミド系樹脂が秩序化(安定化)するため、多層フィルムの成膜時の幅収縮が抑制されるものと推定される。なお、秩序化(安定化)とは、結晶には至らないが、より安定状態となるように分子運動することをいう。
具体的には、多層フィルム1は、膜厚方向の位相差平均値(Rth)が100nm以上であり、好ましくは150nm以上である。膜厚方向の位相差平均値(Rth)が上記範囲内であると、多層フィルムの成膜時の幅収縮を抑制することができる。具体的には、多層フィルムの膜厚が30mmである場合、膜厚方向の位相差平均値(Rth)が100nm以上であると、膜厚方向の収縮量を4.0mm以下とすることができ、膜厚方向の位相差平均値(Rth)が150nm以上であると、膜厚方向の収縮量を3.0mm以下とすることができる。
なお、膜厚方向の位相差平均値(Rth)は高ければ高いほど多層フィルムの成膜時の幅収縮が抑制されるので好ましい。
<多層フィルムの製造方法>
次に、上述した多層フィルム1の製造方法の一例について説明する。
上述した多層フィルム1の製造方法は、特に限定されるものではないが、数台の押出機により、原料となる樹脂等を溶融押出するフィードブロック法やマルチマニホールド法等の共押出Tダイ法、空冷式又は水冷式共押出インフレーション法、及びラミネート法が挙げられる、この中でも、共押出Tダイ法で製膜する方法が各層の厚さ制御に優れる点で特に好ましい。
その後の工程として、各層を形成する単層のシート又はフィルムを適当な接着剤を用いて貼り合せるドライラミネート法、押出ラミネート法、ホットメルトラミネート法、ウエットラミネート法、サーマル(熱)ラミネート法等、及びそれらの方法を組み合わせて用いられる。また、コーティングによる方法で積層してもよい。
<包装体>
次に、本発明を適用した一実施形態である包装体の構成の一例について説明する。本実施形態の包装体は、上述した多層フィルム1を軟化させ、これを真空成型又は圧空成型することにより成型された包装体である。本実施形態の包装体は、具体的には、例えば、スキンパック包装体、及び深絞り包装体等が挙げられる。
深絞り包装とは、包装容器に用いる一対のフィルムのうち一方のフィルムを深絞り包装機の容器形成部で製品に適した形に凹み成形して底材とし、成形した底材の中に製品を収容した後、蓋材となる他方のフィルムをかけて脱気すると共に、一対の上記フィルムの当接部分をヒートシールしてなる包装形態である。
次に、上述した包装体の製造方法の一例について説明する。上述した包装体の製造方法は、特に限定されるものではないが、具体的には、先ず、台紙に被包装物を載置する。次に、上述した多層フィルム1を軟化させ、これを用いてシーラント層9が台紙と対向するように、被包装物を被覆する。次に、吸引により多層フィルム1を被包装物の外形に沿って伸展させ、その後、台紙と多層フィルム1とを接着させる。以上の製造方法によって、本実施形態の包装体を製造することができる。なお、上述した包装体の構成は一例であり、これに限定されるものではない。具体的には、例えば、深絞り成形によって収納部を形成した包装体としてもよい。
<包装体の使用方法>
次に、上述した包装体の使用方法について説明する。上述した包装体の使用方法としては、特に限定されるものではないが、具体的には、先ず、包装体の中に食品を封入する。次に、95〜121℃、1〜60分の条件で加熱処理をする(レトルト処理)。その後、常温に戻すことにより、長期に保存可能なレトルト食品ができあがる。
以上説明したように、本実施形態の多層フィルム1によれば、膜厚方向に特定の位相差平均値を有するため、製膜後の幅収縮を抑制することができる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述した多層フィルム1では、外層2と、接着性樹脂層3と、耐ピンホール層4と、酸素バリア層5と、耐ピンホール層6と、接着層7と、コア層8と、シーラント層9とを備えて構成される例について説明したが、各層の間や最表層に、別の機能を有する層を新たに設けてもよい。
以下、本発明の効果を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<多層フィルムの作製>
以下に示すようにして、実施例1〜5並びに比較例1の多層フィルムを作製した。
(実施例1)
実施例1の多層フィルムとして、上述した図1に示す構成の多層フィルムを作製した。
外層、第1耐ピンホール層、第2耐ピンホール層に含まれる樹脂として、ポリアミド系樹脂(宇部興産社製、品番:ウベナイロン 1022B)を用意した。
接着性樹脂層、接着層に含まれる樹脂として、ポリオレフィン系樹脂(三井化学社製、品番:アドマー NF536)を用意した。
酸素バリア層に含まれる樹脂として、EVOH(クラレ社製、品番:J171B)を用意した。
コア層に含まれる樹脂として、ポリオレフィン系樹脂(プライムポリマー社製、品番:ネオゼックス 2540R、密度:0.923g/cm)を用意した。
シーラント層に含まれる樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE;宇部丸善ポリエチレン社製、品番:ユメリット 1540F、密度:0.913g/cm)を用意した。
次に、外層と、接着性樹脂層と、第1耐ピンホール層と、酸素バリア層と、第2耐ピンホール層と、接着層と、コア層と、シーラント層とを、この順番で共押出成形して多層フィルムを作製した。その際、酸素バリア層の総質量に対して、EVOHが30質量%含まれるように調整した。共押出成形において、溶融樹脂を固化させるロールの温度は90℃とした。
なお、多層フィルムの総厚は120μmであった。多層フィルムの総厚に対する、各層の厚さの比率は、外層が13%、接着性樹脂層が13%、第1耐ピンホール層が8%、酸素バリア層が8%、第2耐ピンホール層が8%、接着層が13%、コア層が24%、シーラント層が13%であった。下記表1に多層フィルムの構成を示す。
(実施例2)
共押出成形において、溶融樹脂を固化させるロールの温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製した。下記表1に多層フィルムの構成を示す。
(実施例3)
共押出成形において、溶融樹脂を固化させるロールの温度を70℃とした以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製した。下記表1に多層フィルムの構成を示す。
(実施例4)
共押出成形において、溶融樹脂を固化させるロールの温度を70℃とし、多層フィルムの総厚150mmとした以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製した。下記表1に多層フィルムの構成を示す。
(実施例5)
共押出成形において、溶融樹脂を固化させるロールの温度を70℃とし、多層フィルムの総厚210mmとした以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製した。下記表1に多層フィルムの構成を示す。
(比較例1)
共押出成形において、溶融樹脂を固化させるロールの温度を30℃とした以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを作製した。下記表1に多層フィルムの構成を示す。
<フィルム特性の評価>
下記方法にて、実施例1〜5及び比較例1の多層フィルムの特性を評価した。
(位相差)
位相差測定は、複屈折評価装置(株式会社フォトニックラティス社製 WPA−100−L)を使用した。前記装置の測定ステージに、実施例1〜5及び比較例1の多層フィルムを設置し、光源から出た光がフィルムを通過する際に生じる位相差を偏光イメージセンサーにて測定することにより、膜厚方向の位相差平均値(Rth)を測定した(複屈折画素数:384×288pixels、測定視野サイズ:340×250mm)。
(幅収縮)
幅収縮の測定は、測定顕微鏡(ニコン社製)によって行った。フィルムの両端部に予め印を付け、測定顕微鏡により2点間距離を計測した。60℃に設定したオーブンにフィルムを保管し、2点間距離の経時変化を計測し、変化が終了した時点での初期値からの変化量を収縮量とした。結果を下記の表1に示す。
また、これら実施例及び比較例の膜厚方向の位相差平均値(Rth)と変化量との間でプロットを実施したものを図2に示す。例えば、変化量が3.0mmであることは、3.0mm収縮したことを意味している。
Figure 2019059122
*各層の数値は、総厚における各層の厚さの比率を表す。
表1に示すように、膜厚方向の位相差平均値(Rth)が100nm以上である実施例1〜5の多層フィルムは、膜厚方向の位相差平均値(Rth)が100nm未満である比較例1の多層フィルムよりも幅収縮が抑制されていることが確認された。
また、実施例1〜5では、酸素バリア層の白化や溶出を示唆するような、多層フィルムの異常は認められなかった。
本発明の多層フィルムは、包装体、特に加熱殺菌処理が必要な食品用の包装体の材料として利用可能性がある。また、本発明の包装体は、食品、特に加熱殺菌処理が必要な食品等を包装するための包装袋、包装容器などへの利用可能性がある。
1…多層フィルム
2…外層
3…接着性樹脂層
4…耐ピンホール層
5…酸素バリア層
6…耐ピンホール層
7…接着層
8…コア層
9…シーラント層

Claims (6)

  1. ポリオレフィン系樹脂を含むシーラント層と、
    ポリアミド系樹脂を含む外層と、を備え、
    膜厚方向の位相差平均値(Rth)が、100nm以上であることを特徴とする多層フィルム。
  2. 前記シーラント層と前記外層との間に、更に中間層を備える、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記ポリオレフィン系樹脂が、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン、又はポリプロピレン共重合体である、請求項1又は2に記載の多層フィルム。
  4. 前記ポリアミド系樹脂が、6−ナイロン、12−ナイロン、66−ナイロン、共重合ナイロン、又は非晶ナイロンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  5. 前記中間層がバリア層を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層フィルムを備えたことを特徴とする包装体。
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