JP2019070071A - 硬化性組成物及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】高度の耐熱性、防汚性を有し着色の少ないフッ素含有シルセスキオキサン誘導体及び該誘導体を用いたコート剤の提供。【解決手段】ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基含有構成単位と、フルオロアルキル基含有構成単位と、ケイ素原子に直接結合した水素原子基を一つの分子中に備え、ヒドロシリル化反応により硬化するシルセスキオキサン誘導体を含有する硬化性組成物および該組成物を含むコーティング剤。【選択図】なし

Description

本明細書は、硬化性組成物及び利用等に関する。
シルセスキオキサンは、主鎖骨格がSi−O結合からなり、[R(SiO3/2)](Rは有機基を表す。)という、ケイ素原子1個に対して1.5個の酸素原子を有する構造単位(以下、T単位ともいう。)のみからなるポリシロキサンである。シルセスキオキサンは、無機シリカ(SiO2)と、シリコーン樹脂(R2SiO2/2)とに基づく中間的な特性を有していると考えられている。
ここで、上記したT単位のほか、ケイ素原子1個に対して2個の酸素原子を有する構成単位(Q単位)、同1個の酸素原子を有する構成単位(D単位)及び同0.5個の酸素原子を有する構成単位(M単位)などの他の構成単位を備えるシルセスキオキサン誘導体も種々開発されてきている。
例えば、シルセスキオキサンにフルオロアルキル基などのフッ素含有基を導入したシルセスキオキサン誘導体が知られており、かかるシルセスキオキサン誘導体は、UVにより重合で硬化し膜を形成する(特許文献1〜3)。このようなフッ素含有シルセスキオキサン誘導体は、シルセスキオキサンが本来的に有する優れた耐熱性のほか、フッ素の導入により、例えば、撥水性など耐防汚性が高まることが記載されている(特許文献1〜2)。また、耐熱性ほか屈折率が容易に制御できることが記載されている(特許文献3)。
特開2000−212443号公報 特開2000−234024号公報 特開2005−23258号公報
しかしながら、従来のフッ素含有シルセスキオキサン誘導体は、いずれも、加熱やUVなどの放射線照射により重合・硬化するものであった。その際には、熱重合開始剤や光重合開始剤を用いるが、この種の開始剤は硬化物の着色等の原因となる場合があった。また、用途によっては、従来のフッ素含有シルセスキオキサン誘導体よりもさらに高い耐熱性や防汚性が求められる場合もあった。
本明細書は、上記した課題の少なくとも一つを解決することができる、より実用的なフッ素含有シルセスキオキサン誘導体を含む硬化性組成物及びその製造方法等を提供する。
本発明者らは、重合開始剤に制約されないで十分な重合・硬化を実現することを意図して、種々検討したところ、ヒドロシリル化反応可能な有機基含有単位と、フルオロアルキル基含有単位と、を、備えるシルセスキオキサン誘導体が、耐熱性及び撥水性及び/又は撥油性をそれぞれ発揮でき、着色や不透化を抑制できること、さらには、耐熱性や撥水性及び/又は撥油性を一層向上させうることができるという知見を得た。本明細書によれば、かかる知見に基づいて、以下の手段が提供される。
[1]ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基含有構成単位と、フルオロアルキル基含有構成単位とを備え、ヒドロシリル化反応可能な硬化性シルセスキオキサン誘導体を含有する硬化性組成物。
[2]前記硬化性シルセスキオキサン誘導体は、以下の式(1)で表される、[1]に記載の硬化性組成物。
Figure 2019070071
〔式中、Aは、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基を表し、
1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基から選択される少なくとも一種を表し、
2は炭素原子数1〜20のアルキレン基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、及び炭素原子数3〜20の2価の脂環族基から選択される少なくとも1種を表し、
3は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基(1分子中のR3は同一でも異なっていてもよい。)から選択される少なくとも1種を表し、
4は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基から選択される少なくとも1種を表し、
5は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基(1分子中のR5は同一でも異なっていてもよい。)から選択される少なくとも1種を表し、
6は水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、
w2は正の数を表し、
u、v、w1、x、y及びzは0又は正の数を表し、
w1、x及びyのうち少なくとも1つは正の数を表し、w1=0のとき、R3、R4及びR5のいずれか1つはヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基を表し、
v、x及びyのうち少なくとも1つは正の数であって、R1、R3、R4及びR5のいずれか1つは水素原子を表し、
lは0又は1であり、mは、1以上10以下の整数であり、nは2以上(2m+1)以下の整数であり、qは1以上5以下の整数である。0≦u/(v+w1+w2+x+y)≦2であり、0≦x/(v+w1)≦2であり、0≦y/(v+w1)≦2であり、 0.01≦z/(v+w1+x+y)≦1であってもよい。〕
[3]w1は、正の数である、[2]に記載の硬化性組成物。
[4]w1/(v+w1+w2+x+y)は、0.1以上1以下である、[2]又は[3]に記載の硬化性組成物。
[5]w2/(v+w1+w2+x+y)は、0.1以上1以下である、[2]〜[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[6]mは、1以上7以下であり、nは、3以上15以下である、[2]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[7]前記R3は、水素原子又は炭素原子数が1〜4のアルキル基である、[2]〜[6]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[8]前記硬化性シルセスキオキサン誘導体を100℃で1時間加熱処理後の硬化物を空気中で20℃/分で昇温したときの5%重量減少温度が310℃超である、[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[9]1質量%以上の前記硬化性シルセスキオキサン誘導体及び白金相当で25ppmの白金カルボニル錯体を含有する溶液である前記硬化性組成物を被コーティング面に供給し、60℃で2時間処理して得られた硬化膜についての水の接触角が100°以上である、[1]〜[8]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化して得られる、硬化物。
[11]撥水性及び耐熱性が向上された被加工体の製造方法であって、
[1]〜[9]のいずれかに記載の硬化性組成物を、前記被加工体の表面に供給する工程と、
前記硬化性組成物を20℃以上200℃以下で前記ヒドロシリル化反応可能な有機基によるヒドロシリル化反応により硬化させて硬化物を得る工程を、
備える、方法。
本明細書は、硬化性組成物及びその利用等を開示する。本明細書に開示される硬化性組成物は、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基含有構成単位とフルオロアルキル基含有構成単位とを備える、ヒドロシリル化反応可能な硬化性シルセスキオキサン誘導体を含有することができる。本明細書に開示される硬化性シルセスキオキサン誘導体(以下、単に、本シルセスキオキサン誘導体ともいう。)は、これらの構成単位を備えることから、ヒドロシリル化による重合・硬化性と、フルオロアルキル基に基づく表面特性のそれぞれを互いに阻害することなく発揮することができ、この結果、耐熱性に優れるとともに撥水性及び/又は撥油性に優れる硬化物を得ることができる。
また、硬化性組成物は、これらの単位を備えることにより、理論的には必ずしも明らかではないが、従来の類似の硬化物と比較して一層優れた耐熱性並びに撥水性及び/又は撥油性に優れる硬化物を得ることもできる。
さらに、硬化性組成物は、ヒドロシリル化反応により重合・硬化が可能であるため、例えば、触媒の選択及び/又は添加量によっては、常温での硬化が可能であって硬化条件の選択自由度が大きく、硬化の簡便性を向上させることもできる。
さらにまた、硬化性組成物によれば、例えば、重合開始剤の使用を排除できるため、硬化物の着色等を回避又は抑制して、透明性に優れる硬化物を得ることもできる。
なお、本シルセスキオキサン誘導体は、例えば、溶媒によらなくてもそれ自体低粘度に制御可能であるため、種々の被加工体に適用するのにも好適である。このため、硬化性組成物は、必要に応じて種々の成分、例えば、フィラー等を多量に配合することができるため、これらの成分により特性の改変も容易である。
硬化性組成物及びその硬化物は、例えば、被加工体表面に対するコーティングの形態を採ることができるほか、例えば、キャスティング等によりフィルム、シートなどの形態に容易に成形可能である。
本明細書において、炭素−炭素不飽和結合は、炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を意味する。
以下、本明細書に開示される硬化性組成物、硬化物及びその利用等について説明する。
(硬化性組成物)
硬化性組成物は、硬化性シルセスキオキサン誘導体(本シルセスキオキサン誘導体)を含有することができる。本シルセスキオキサン誘導体は、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基含有構成単位とフルオロアルキル基含有構成単位とを、ヒドロシリル化反応可能に備えることができる。
(本シルセスキオキサン誘導体)
シルセスキオキサンとは、主鎖骨格がSi−O結合からなるポリシロキサン[R(SiO3/2)](T単位ともいう。Rは有機基を表す。)をいう。本明細書に開示される本シルセスキオキサン誘導体は、こうしたポリシロキサンの一部として、ヒドロシリル化反応可能に、ヒドロシリル化官能可能な前記有機基を含む構成単位及びフルオロアルキル基を含む構成単位を備えることができる。本シルセスキオキサン誘導体は、これらの構成単位に基づく特性が発揮されることで、有用な硬化性組成物の提供に寄与することができる。
本シルセスキオキサン誘導体は、例えば、構成単位(1−1)、構成単位(1−2)、構成単位(1−3)、構成単位(1−4)、構成単位(1−5)、構成単位(1−6)及び構成単位(1−7)を備える以下の式(1)で表すことができる。
Figure 2019070071
式(1)において、u、v、w1、w2、x、y及びzは、それぞれ、構成単位(1−1)、構成単位(1−2)、構成単位(1−3)、構成単位(1−4)、構成単位(1−5)、構成単位(1−6)及び構成単位(1−7)の構成単位のモル比の平均値を意味する。各構成単位の式には、構成単位のモル比を併せて示す。
Figure 2019070071
式(1)における構成単位(1−1)、構成単位(1−2)、構成単位(1−3)、構成単位(1−4)、構成単位(1−5)、構成単位(1−6)及び構成単位(1−7)のそれぞれについて、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。また、実際のシルセスキオキサン誘導体分子内の構成単位の縮合形態は、式(1)で表される配列で規定されるものではない。式(1)は、シルセスキオキサン誘導体において少なくとも含まれる構成単位の種類とそのモル数を規定するものである。
シルセスキオキサン誘導体は、例えば、式(1)における7つの構成単位、すなわち、構成単位(1−1)、構成単位(1−2)、構成単位(1−3)、構成単位(1−4)、構成単位(1−5)、構成単位(1−6)及び構成単位(1−7)から選択される構成単位を、ヒドロシリル化反応可能に、ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基及びフルオロアルキル基を含むように組み合わせて備えることができる。すなわち、ヒドロシリル基を含む構成単位として構成単位(1−2)、構成単位(1−5)及び構成単位(1−6)からなる群から選択される1種又は2種以上の構成単位を備え、ヒドロシリル化反応可能な前記有機基を含む構成単位として構成単位(1−3)、構成単位(1−5)及び構成単位(1−6)からなる群から選択される1種又は2種以上を備えることができる。
<構成単位(1−1)>
式(1)で表されるシルセスキオキサン誘導体における構成単位(1−1)の個数は特に限定するものではない。
<構成単位(1−2)>
構成単位(1−2)におけるR1は、水素原子及び炭素原子数1〜10のアルキル基から選択される少なくとも1種を表す。R1が水素原子であるとき、構成単位(1−2)は、ヒドロシリル基を有することとなる。R1は、例えば、加熱時の重量減少の低減を考慮すると、水素原子とすることができる。
炭素原子数1〜10のアルキル基は、脂肪族基及び脂環族基のいずれでもよく、また、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。炭素原子数1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
1としては、シルセスキオキサン誘導体にヒドロシリル基を提供する水素原子のほか、メチル基などの炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
式(1)で表されるシルセスキオキサン誘導体の実際の一分子における構成単位(1−2)の個数は、特に限定するものではないが、例えば、好ましくは5以上100以下、より好ましくは6以上80以下、更に好ましくは7以上60以下、特に好ましくは8以上40以下である。
<構成単位(1−3)>
構成単位(1−3)におけるAは、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基を表す。すなわち、この有機基Aは、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合を持つ官能基である。かかる有機基Aの具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、ビニル基、オルトスチリル基、メタスチリル基、パラスチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、フェニルエテニル基、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、フェニルブチニル基等が例示される。
式(1)で表されるシルセスキオキサン誘導体は、全体として有機基Aを2個以上含むことができるが、その場合、全ての有機基Aは、互いに同一であってよいし、異なってもよい。また、複数の有機基Aが同一であり、異なる有機基Aを含んでもよい。有機基Aとしては、構成単位(1−3)を形成する原料モノマーが得やすいことからビニル基及びパラスチリル基が好ましい。炭素原子数が少ないことは、本硬化物を無機部分の割合を高くし、耐熱性の優れたものにすることができる。尚、無機部分とは、SiO(シロキサン)部分を意味する。
構成単位(1−3)におけるR2は、炭素原子数1〜20のアルキレン基(2価の脂肪族基)、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基又は炭素原子数3〜20の2価の脂環族基から選択される少なくとも1種を表す。炭素原子数1〜20のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基等が例示される。炭素原子数6〜20の2価の芳香族基としてはフェニレン基、ナフチレン基等が例示される。また、炭素原子数3〜20の2価の脂環族基としては、ノルボルネン骨格、トリシクロデカン骨格又はアダマンタン骨格を有する2価の炭化水素基等が例示される。
また、構成単位(1−3)において、lは0又は1である。炭素原子数が少ないほうが硬化被膜の耐熱性が高くなるので、lは0であることが好ましい。
式(1)で表されるシルセスキオキサン誘導体の実際の一分子における構成単位(1−3)の個数は、特に限定するものではないが、例えば、好ましくは0以上40以下、より好ましくは0以上30以下、更に好ましくは0以上20以下、特に好ましくは0以上10以下である。
<構成単位(1−4)>
構成単位(1−4)は、Bで表されるフルオルアルキル基又はフルオロアリール基を有することができる。構成単位(1−4)は、-Cm(2m-n+1)nで表されるフルオロアルキル基を有することができる。係るフルオロアルキル基において、mは、1〜10の整数、nは2以上(2m+1)以下の整数を表す。mは、例えば、1〜8の整数、また例えば、1〜7の整数、また例えば、3〜7の整数、また例えば、1〜5の整数などとすることができる。
かかるフルオロアルキル基としては、−CF3、−CF2CF3、−(CF22CF3、−(CF23CF3、−(CF24CF3、−(CF25CF3、−(CF26CF3、−(CF27CF3、−(CF28CF3、−(CF29CF3、−(CF210CF3等の炭素原子数が1〜10のパーフルオロアルキル基が挙げられる。また、−CH2CF3、−CH2CH2CF3、−CH2CH2CF2CF3、−CH2CH2(CF22CF3、−CH2CH2(CF23CF3、−(CH22(CF24CF3、−CH2CH2(CF25CF3、−CH2CH2(CF26CF3、−CH2CH2(CF27CF3等の炭素原子数が1〜10のハイドロフルオロアルキル基が挙げられる。
また、構成単位(1−4)は、−D−C6(5-q)qで表されるフルオロアリール基を有することもできる。qは、1以上5以下であり、例えば、2以上5以下であり、また例えば、3以上5以下、であり、また例えば、4以上5以下であり、また例えば、5である。
Dは、連結基を表し、炭素原子数1以上12以下でエーテル結合を含んでいてもよい連結基又は単結合(ケイ素原子への直接結合)を表す。炭素原子数1〜12以下の二価の連結基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレン基、n−へプチレン基、n−オクチレン基、n−デシレン基、n−ウンデシレン基、n−ドデシレン基などのアルキレン基のほか、オキシn−ブチレン基、オキシn−ペンチレン基、オキシn−ヘキシレン基、オキシn−へプチレン基、オキシn−オクチレン基、オキシn−デシレン基、オキシn−ウンデシレン基、オキシn−ドデシレン基などの各種アルキレン基の一方の末端(例えば、フルオロアリール基側)の炭素原子若しくは両端の炭素原子又はアルキレン基の炭素原子鎖内側にエーテル結合を介して結合した炭素原子を備えるエーテル結合含有アルキレン基が挙げられる。なお、エーテル結合は、1個であってもよいし、2個以上であってもよい。さらにまた、当該連結基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基等が挙げられる。
かかるフルオロアリール基としては、例えば、−C65、−(CH2265、−(CH2365、−(CH2465、−(CH2565、−(C64)C65等が挙げられる。
式(1)として表されるシルセスキオキサン誘導体の実際の一分子における構成単位(1−4)の個数は、特に限定するものではないが、例えば、0超40以下、また例えば、0超30以下、また例えば、1超20以下などとすることができる。
<構成単位(1−5)>
構成単位(1−5)におけるR3は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基から選択される少なくとも1種を表す。
3における炭素原子数1〜10のアルキル基は、既に説明した構成単位(1−2)のR1におけるのと同様の各種態様が含まれる。すなわち、脂肪族基及び脂環族基のいずれでもよく、また、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
3におけるヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基は、既述の有機基Aと同義であり、既に説明した有機基Aに含まれる各種態様が含まれる。
構成単位(1−5)に含まれる複数のR3は同種であってよく、異なっていてもよい。R3としては、炭素原子数が少なく、耐熱性に優れる本化合物を得る観点からは、水素原子、メチル基などの炭素数1〜4のアルキル基及びビニル基などのヒドロシリル化反応可能な有機基が好ましい。
式(1)で表されるシルセスキオキサン誘導体の実際の一分子における構成単位(1−5)の個数は、特に限定するものではないが、例えば、好ましくは0以上40以下、より好ましくは0以上30以下、更に好ましくは0以上20以下、特に好ましくは0以上10以下である。
<構成単位(1−6)>
構成単位(1−6)におけるR4は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基から選択される少なくとも1種を表す。
4における炭素原子数1〜10のアルキル基は、既に説明した構成単位(1−2)のR1におけるのと同様の各種態様が含まれる。すなわち、脂肪族基及び脂環族基のいずれでもよく、また、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
4におけるヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基は、既述の有機基Aと同義であり、既に説明した有機基Aに含まれる各種態様が含まれる。
4としては、シルセスキオキサン誘導体の硬化反応に参加でき、炭素原子数が少なく、耐熱性に優れるという観点から、水素原子及びビニル基などのヒドロシリル化反応可能な有機基が好ましい。
構成単位(1−6)におけるR5は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基から選択される少なくとも1種を表す。R5におけるアルキル基は、構成単位(1−2)中のR1におけるのと同義であり、既述の各種態様を包含することができる。また、R5におけるヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基は、既述の有機基Aと同義であり、既に説明した有機基Aに含まれる各種態様が含まれる。
構成単位(1−6)に含まれる複数のR5は同種であってよく、異ってもよい。R5としては、良好な反応性や炭素原子数が少ないということから、水素原子、メチル基などの炭素原子数1〜4のアルキル基及びビニル基などのヒドロシリル化反応可能な有機基Aが好ましく、原料モノマーや中間製品の扱いやすさの面からメチル基などの炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
式(1)で表されるシルセスキオキサン誘導体の実際の一分子における構成単位(1−6)の個数は、特に限定するものではないが、例えば、好ましくは0.1以上50以下、より好ましくは0.5以上30以下、更に好ましくは1以上20以下、特に好ましくは2以上10以下である。
<構成単位(1−7)>
構成単位(1−7)におけるR6は水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。であり、脂肪族基及び脂環族基のいずれでもよく、また、直鎖状及び分岐状のいずれでもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
構成単位(1−7)は、後述する原料モノマーに含まれる加水分解性基であるアルコキシ基、又は、反応溶媒に含まれたアルコールが、原料モノマーの加水分解性基と置換して生成したアルコキシ基であって、加水分解・重縮合せずに分子内に残存したものであるか、あるいは、加水分解後、重縮合せずに分子内に残存した水酸基である。
式(1)で表されるシルセスキオキサン誘導体の実際の一分子における構成単位(1−6)の個数は、特に限定するものではないが、例えば、好ましくは0.1以上20以下、より好ましくは0.2以上10以下、更に好ましくは0.3以上8以下、特に好ましくは0.5以上5以下である。
式(1)で表されるシルセスキオキサン誘導体においては、w2は正の数を表し、u、v、w1、x、y及びzは0又は正の数を表す。ここで、w1、x及びyのうち少なくとも1つは正の数を表すが、w1=0のとき、R3、R4及びR5のいずれか1つはヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基を表す。シルセスキオキサン誘導体のヒドロシリル硬化性を確保するためである。
また、v、x及びyのうち少なくとも1つは正の数を表すが、R1、R3、R4及びR5のいずれか1つは水素原子を表す。シルセスキオキサン誘導体がヒドロシリル基を備えることによってヒドロシリル硬化性を確保するためである。
また、式(1)で表されるシルセスキオキサン誘導体において、ヒドロシリル化反応可能な有機基のモル数に対するフルオロアルキル基のモル数は、0.1以上10以下であることが好ましく、より好ましくは8以下であり、また、さらに好ましくは、5以下である。また例えば、0.5以上1.5以下である。かかるモル数の比は、前記有機基を含む構成単位のモル数の総和(かかる有機基を構成単位中に複数個含む場合には当該個数を積算する)に対するヒドロシリル基を有する構成単位(1−3)の総和から求めることができる。
また、式(1)で表されるシルセスキオキサン誘導体において、ヒドロシリル化反応可能な有機基のモル数に対するヒドロシリル基のモル数は、0.1以上であること好ましく、より好ましくは0.5以上であり、また、1以上であってもよい。かかるモル数の比は、前記有機基を含む構成単位のモル数の総和(かかる有機基を構成単位中に複数個含む場合には当該個数を積算する)に対するヒドロシリル基を有する構成単位(ヒドロシリル基を構成単位中に複数個含む場合には、当該個数を積算する)の総和から求めることができる。
式(1)におけるu、v、w1、w2、x及びyの関係は、特に限定するものではないが、例えば、0≦u/(v+w1+w2+x+y)≦2であることが好ましい。より好ましくは0≦u/(v+w1+w2+x+y)≦1.5、更に好ましくは0≦u/(v+w1+w2+x+y)≦1、特に好ましくは0≦u/(v+w1+w2+x+y)≦0.8である。u/(v+w1+w2+x+y)が大きすぎると、シルセスキオキサン誘導体がゲル化する傾向にあるか、もしくは保存安定性が低下する傾向にある。
また、式(1)におけるv、w1及びxの関係は、特に限定するものではないが、例えば、0≦x/(v+w1)≦2であることが好ましい。より好ましくは0≦x/(v+w1)≦1、更に好ましくは0≦x/(v+w1)≦0.7、特に好ましくは0≦x/(v+w1)≦0.5である。x/(v+w1)が大きすぎると、無触媒下で加熱した場合に、得られる本硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。
また、式(1)におけるv、w1及びyの関係は、特に限定するものではないが、例えば、0≦y/(v+w1)≦2であり、より好ましくは0≦y/(v+w1)≦1.5、更に好ましくは0≦y/(v+w1)≦1、特に好ましくは0≦y/(v+w1)≦0.7である。y/(v+w1)が大きすぎると、無触媒下で加熱した場合に、得られる本硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。
また、式(1)において、v、w1、x、y及びzの関係は、特に限定するものではないが、例えば、0.01≦z/(v+w1+x+y)≦1であり、より好ましくは0.02≦z/(v+w1+x+y)≦0.5、特に好ましくは0.03≦z/(v+w1+x+y)≦0.3である。z/(v+w1+x+y)が小さすぎると、無触媒下で加熱した場合に、硬化性が低下する傾向にある。一方、z/(v+w1+x+y)が大きすぎると、シルセスキオキサン誘導体の保存安定性が低下する傾向にあるか、加熱した場合に、得られる本硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。
また、式(1)において、0.05≦w1/(v+w1+w2+x+y)≦3であることが好ましい。より好ましくは、0.1≦w1/(v+w1+w2+x+y)≦2であり、さらに、好ましくは0.1≦w1/(v+w1+w2+x+y)≦1である。かかる範囲であると、良好な硬化性とともに耐熱性及び撥水及び/又は撥油性が得られ易くなる。
また、式(1)において、0.05≦w2/(v+w1+w2+x+y)≦2であることが好ましい。より好ましくは、0.1≦w2/(v+w1+w2+x+y)≦1であり、さらに、好ましくは0.1≦w2/(v+w1+w2+x+y)≦0.7である。かかる範囲であると、良好な硬化性とともに耐熱性及び撥水及び/又は撥油性が得られ易くなる。
また、式(1)において、構成単位(1−2)のみがヒドロシリル基を有する場合、0.1≦v/(v+w1+w2+x+y)≦3であることが好ましい。より好ましくは、0.1≦v/(v+w1+w2+x+y)≦2であり、さらに、好ましくは0.2≦v/(v+w1+w2+x+y)≦1である。かかる範囲であると、良好な硬化性とともに耐熱性及び撥水及び/又は撥油性が得られ易くなる。
また、式(1)において、構成単位(1−6)のみがヒドロシリル基を有する場合、0.1≦y/(v+w1+w2+x+y)≦3であることが好ましい。より好ましくは、0.1≦y/(v+w1+w2+x+y)≦2であり、さらに、好ましくは0.1≦y/(v+w1+w2+x+y)≦1である。かかる範囲であると、良好な硬化性とともに耐熱性及び撥水及び/又は撥油性が得られ易くなる。
以上説明したように、式(1)で表されるシルセスキオキサン誘導体は、u、v、w1、w2、x、y及びzに関し種々の条件を満たすことができるが、こうした条件に加えて、あるいはこうした条件にかかわらず、例えば、以下に示す態様を採るとき、良好な特性を備える硬化物を得ることができる。
(態様1)
構成単位(1−2)におけるR1が水素原子であり、構成単位(1−3)におけるAがビニル基であり、lが0であり、構成単位(1−4)におけるフルオロアルキル基がm=3であり、n=3であり、u、x、y=0であり、v=2〜4、好ましくは3、w1=0.5〜1.5、好ましくは1、w2=0.5〜1.5、好ましくは1である。
(態様2)
構成単位(1−2)におけるR1が水素原子であり、構成単位(1−3)におけるAがビニル基であり、lが0であり、構成単位(1−4)におけるフルオロアルキル基がm=7であり、n=10であり、u、x、y=0であり、v=2〜4、好ましくは3、w1=0.5〜1.5、好ましくは1、w2=0.5〜1.5、好ましくは1である。
(態様3)
構成単位(1−3)におけるAがビニル基であり、lが0であり、構成単位(1−4)におけるフルオロアルキル基がm=7であり、n=10であり、構成単位(1−5)におけるR4が水素原子であり、u、v、x=0であり、y=0.8〜1.2、好ましくは1、w1=0.5〜1.5、好ましくは1、w2=0.5〜1.5、好ましくは1である。
<分子量等>
シルセスキオキサン誘導体の数平均分子量は、300〜30,000の範囲にあることが好ましい。かかるシルセスキオキサンは、有機溶剤に溶け易い。数平均分子量は、より好ましくは500〜15,000、更に好ましくは700〜10,000である。数平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)により標準物質としてポリスチレンを使用して求めることができる。
<シルセスキオキサン誘導体の製造方法>
シルセスキオキサン誘導体は、公知の方法で製造することができる。シルセスキオキサン誘導体の製造方法は、国際公開第2005/01007号パンフレット、同第2009/066608号パンフレット、同第2013/099909号パンフレット、特開2011−052170号公報、特開2013−147659号公報等においてポリシロキサンの製造方法として詳細に開示されている。
シルセスキオキサン誘導体は、例えば、以下の方法で製造することができる。すなわち、シルセスキオキサン誘導体の製造方法は、適当な反応溶媒中で、縮合により、上記式(1)中の構成単位を与える原料モノマーの加水分解・重縮合反応を行う縮合工程を備えることができる。この縮合工程においては、構成単位(1−1)を形成する、シロキサン結合生成基を4個有するケイ素化合物(以下、「Qモノマー」という。)と、構成単位(1−2)、(1−3)及び(1−4)を形成する、シロキサン結合生成基を3個有するケイ素化合物(以下、「Tモノマー」という。)と、構成単位(1−5)を形成する、シロキサン結合生成基を2個有するケイ素化合物(以下、「Dモノマー」という。)と、シロキサン結合生成基を1個有する構成単位(1−6)を形成する、ケイ素化合物(以下、「Mモノマー」という。)とを用いることができる。
本明細書において、典型的には、例えば、構成単位(1−2)を形成するTモノマーと、構成単位(1−3)を形成するTモノマー、構成単位(1−4)を形成するTモノマーと、構成単位(1−5)を形成するDモノマー、及び、構成単位(1−6)を形成するMモノマーから適宜選択されるモノマーが用いられる。少なくとも、構成単位(1−3)を形成するTモノマーと構成単位(1−4)を形成するTモノマーを用いることが好ましい。
原料モノマーを、反応溶媒の存在下に、加水分解・重縮合反応させた後に、反応液中の反応溶媒、副生物、残留モノマー、水等を留去させる留去工程を備えることが好ましい。
原料モノマーであるQモノマー、Tモノマー、Dモノマー又はMモノマーに含まれるシロキサン結合生成基は、水酸基又は加水分解性基である。このうち、加水分解性基としては、ハロゲノ基、アルコキシ基等が挙げられる。Qモノマー、Tモノマー、Dモノマー及びMモノマーの少なくとも1つは、加水分解性基を有することが好ましい。縮合工程において、加水分解性が良好であり、酸を副生しないことから、加水分解性基としては、アルコキシ基が好ましく、炭素原子数1〜3のアルコキシ基がより好ましい。
縮合工程において、各々の構成単位に対応するQモノマー、Tモノマー又はDモノマーのシロキサン結合生成基はアルコキシ基であり、Mモノマーに含まれるシロキサン結合生成基はアルコキシ基又はシロキシ基であることが好ましい。また、各々の構成単位に対応するモノマーは、単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いることができる。
構成単位(1−1)を与えるQモノマーとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。構成単位(1−2)を与えるTモノマーとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、トリクロロシラン等が挙げられる。
構成単位(1−3)を与えるTモノマーとしては、例えば、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、(p−スチリル)トリメトキシシラン、(p−スチリル)トリエトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン等が挙げられる。
構成単位(1−4)を与えるTモノマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、トリメトキシ(1H, 1H, 2H, 2H−トリデカフルオロ−n−オクチル)シラン、トリエトキシ(ペンタフルオロフェニル)シラン、トリメトキシ(1H, 1H, 2H, 2H−ヘプタデカフルオロ)シラン、トリエトキシ(1H, 1H, 2H, 2H−ペルフルオロヘキシル)シラン、トリメトキシ(3, 3, 3−トリフルオロプロピル)シラン、トリエトキシ5, 5, 6, 6, 7, 7, 7−ヘプタフルオロ−4, 4−ビス(トリフルオロメチル)シラン等が挙げられる。
また、同Tモノマーとしては、例えば、CF3Si(OCH33、CF3CF2Si(OCH33、CF3CF2CF2Si(OCH33、CF3CF2CF2CF2Si(OCH33、CF3CH2CH2Si(OCH33、CF3CF2CF2CF2CH2CH2Si(OCH33、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2Si(OCH33、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2Si(OCH33、CF3(C64)Si(OCH33(4−(トリフルオロメチル)フェニルトリメトキシシラン)、CF3Si(OCH2CH33、CF3CF2Si(OCH2CH33、CF3CF2CF2Si(OCH2CH33、CF3CF2CF2CF2Si(OCH2CH33、CF3CH2CH2Si(OCH2CH33、CF3CF2CF2CF2CH2CH2Si(OCH2CH33、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2Si(OCH2CH33、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2Si(OCH2CH33、CF3(C64)Si(OCH2CH33、4−(トリフルオロメチル)フェニルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルトリアルコキシシラン化合物が挙げられる。
また、同Tモノマーとしては、例えば、CF3SiCl(OCH32、CF3CF2SiCl(OCH32、CF3CF2CF2SiCl(OCH32、CF3SiBr(OCH32、CF3CF2SiBr(OCH32、CF3CF2CF2SiBr(OCH32、CF3CF2CF2CF2SiCl(OCH32、CF3CH2CH2SiCl(OCH32、CF3CF2CF2CF2CH2CH2SiCl(OCH32、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2SiCl(OCH32、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2SiCl(OCH32、CF3(C64)SiCl(OCH32、4−(トリフルオロメチル)フェニルクロロジメトキシシラン、CF3SiCl(OCH2CH32、CF3CF2SiCl(OCH2CH32、CF3CF2CF2SiCl(OCH2CH32、CF3CF2CF2CF2SiCl(OCH2CH32、CF3CH2CH2SiCl(OCH2CH32、CF3CF2CF2CF2CH2CH2SiCl(OCH2CH32、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2SiCl(OCH2CH32、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2SiCl(OCH2CH32、CF3(C64)SiCl(OCH2CH32、4−(トリフルオロメチル)フェニルクロロジエトキシシラン等のフルオロアルキルハロゲノジアルコキシシラン化合物が挙げられる。
また、同Tモノマーとしては、例えば、CF3SiCl2(OCH3)、CF3CF2SiCl2(OCH3)、CF3CF2CF2SiCl2(OCH3)、CF3CF2CF2CF2SiCl2(OCH3)、CF3CH2CH2SiCl2(OCH3)、CF3CF2CF2CF2CH2CH2SiCl2(OCH3)、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2SiCl2(OCH3)、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2SiCl2(OCH3)、CF3(C64)SiCl2(OCH3)、4−(トリフルオロメチル)フェニルジクロロメトキシシラン、CF3SiCl2(OCH2CH3)、CF3CF2SiCl2(OCH2CH3)、CF3CF2CF2SiCl2(OCH2CH3)、CF3CF2CF2CF2SiCl2(OCH2CH3)、CF3CH2CH2SiCl2(OCH2CH3)、CF3CF2CF2CF2CH2CH2SiCl2(OCH2CH3)、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2SiCl2(OCH2CH32、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2SiCl2(OCH2CH3)、CF3(c64)SiCl2(OCH2CH3)、4−(トリフルオロメチル)フェニルジクロロエトキシシラン等のフルオロアルキルジハロゲノアルコキシシラン化合物が挙げられる。
また、同Tモノマーとしては、例えば、CF3SiCl3、CF3CF2SiCl3、CF3SiBr3、CF3CF2SiBr3、CF3CF2CF2SiCl3、CF3CF2CF2CF2SiCl3、CF3CH2CH2SiCl3、CF3CF2CF2CF2CH2CH2SiCl3、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2SiCl3、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2SiCl3、CF3(c64)SiCl3、4−トリフルオロメチルフェニルトリクロロシシラン、CF3SiCl3、CF3CF2SiCl3、CF3CF2CF2SiCl3、CF3CF2CF2CF2SiCl3、CF3CH2CH2SiCl3、CF3CF2CF2CF2CH2CH2SiCl3、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2SiCl3、CF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CH2CH2SiCl3、CF3(c64)SiCl3、4−(トリフルオロメチル)フェニルトリクロロシラン等のフルオロアルキルトリハロゲノシラン化合物が挙げられる。
また、同Tモノマーとしては、例えば、トリエトキシ−1H、1H、2H、2H−トリデカフルオロ−n−オクチルシラン、トリクロロ(1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチル)シラン、トリクロロ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカトリフルオロデシル)シラン、トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、トリエトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シラン、トリエトキシ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカトリフルオロデシル)シラン、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカトリフルオロデシル)シラン、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シラン、トリクロロ[3−(ペンタフルオロフェニル)プロピル]シラン、トリエトキシ(ペンタフルオロフェニル)シラン、トリメトキシ(11−ペンタフルオロフェノキシウンデシル)シラン、トリエトキシ[5,5,6,6,7,7,7−ヘプタフルオロ−4,4−ビス(トリフルオロメチル)ヘプチル]シラン、トリメトキシ(ペンタフルオロフェニル)シラン、トリクロロ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、トリメトキシ(1H,1H,2H、2H−トリデカフルオロ−n−オクチル)シラン等が挙げられる。
構成単位(1−5)を与えるDモノマーとしては、例えば、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジエチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジエチルシラン、ジプロポキシジメチルシラン、ジプロポキシジエチルシラン、ジメトキシベンジルメチルシラン、ジエトキシベンジルメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン等が挙げられる。
構成単位(1−6)を与えるMモノマーとしては、例えば、加水分解により2つの構成単位(1−6)を与えるヘキサメチルジシロキサンの他に、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサプロピルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、メトキシジメチルシラン、エトキシジメチルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、エトキシジメチルビニルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、メトキシジメチルフェニルシラン、エトキシジメチルフェニルシラン、クロロジメチルシラン、クロロジメチルビニルシラン、クロロトリメチルシラン、ジメチルシラノール、ジメチルビニルシラノール、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、トリプロピルシラノール、トリブチルシラノール等が挙げられる。構成単位(1−6)を与える有機化合物としては、2−プロパノール、2−ブタノール、メタノール、エタノール等のアルコールが挙げられる。
縮合工程においては、反応溶媒としてアルコールを用いることができる。アルコールは、一般式R−OHで表される、狭義のアルコールであり、アルコール性水酸基の他には官能基を有さない化合物である。特に限定するものではないが、かかる具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、シクロペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、2−エチル−2−ブタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール等が例示できる。これらの中でも、イソプロピルアルコール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、シクロペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、3−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール等の第2級アルコールが用いられる。縮合工程においては、これらのアルコールを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。より好ましいアルコールは、縮合工程で必要な濃度の水を溶解できる化合物である。このような性質のアルコールは、20℃におけるアルコールの100gあたりの水の溶解度が10g以上の化合物である。
縮合工程で用いるアルコールは、加水分解・重縮合反応の途中における追加投入分も含めて、全ての反応溶媒の合計量に対して0.5質量%以上用いることで、生成するシルセスキオキサン誘導体のゲル化を抑制することができる。好ましい使用量は1質量%以上60質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以上40質量%以下である。
縮合工程で用いる反応溶媒は、アルコールのみであってよいし、さらに、少なくとも1種類の副溶媒との混合溶媒としても良い。副溶媒は、極性溶剤及び非極性溶剤のいずれでもよいし、両者の組み合わせでもよい。極性溶剤として好ましいものは炭素原子数3若しくは7〜10の第2級又は第3級アルコール、炭素原子数2〜20のジオール等である。尚、副溶媒として第1級アルコールを用いる場合には、その使用量を、反応溶媒全体の5質量%以下にすることが好ましい。好ましい極性溶剤は、工業的に安価に入手できる2−プロパノールであり、2−プロパノールと、本発明に係るアルコールとを併用することにより、アルコールが加水分解工程で必要な濃度の水を溶解できないものである場合でも、極性溶剤と共に必要量の水を溶解できる。好ましい極性溶剤の量は、アルコールの1質量部に対して20質量部以下であり、より好ましくは1〜20質量部、特に好ましくは3〜10質量部である。
非極性溶剤としては、特に限定するものではないが、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、アルコール、エーテル、アミド、ケトン、エステル、セロソルブ等が挙げられる。これらの中では、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素が好ましい。こうした非極性溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、塩化メチレン等が、水と共沸するので好ましく、これらの化合物を併用すると、縮合工程後、シルセスキオキサン誘導体を含む反応混合物から、蒸留によって反応溶媒を除く際に、水分を効率よく留去することができる。非極性溶剤としては、比較的沸点が高いことから、芳香族炭化水素であるキシレンが特に好ましい。非極性溶剤の使用量は、アルコールの1質量部に対して50質量部以下であり、より好ましくは1〜30質量部、特に好ましくは5〜20質量部である。
縮合工程における加水分解・重縮合反応は、水の存在下に進められる。原料モノマーに含まれる加水分解性基を加水分解させるために用いられる水の量は、加水分解性基に対して好ましくは0.5〜5倍モル、より好ましくは1〜2倍モルである。また、原料モノマーの加水分解・重縮合反応は、無触媒で行ってもよいし、触媒を使用して行ってもよい。触媒を用いる場合は、通常、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸に例示される酸触媒が好ましく用いられる。酸触媒の使用量は、原料モノマーに含まれるケイ素原子の合計量に対して、0.01〜20モル%に相当する量であることが好ましく、0.1〜10モル%に相当する量であることがより好ましい。
縮合工程における加水分解・重縮合反応の終了は、既述の各種公報等に記載される方法にて適宜検出することができる。なお、シルセスキオキサン誘導体の製造の縮合工程においては、反応系に助剤を添加することができる。例えば、反応液の泡立ちを抑える消泡剤、反応罐や撹拌軸へのスケール付着を防ぐスケールコントロール剤、ヒドロシリル化反応抑制剤等が挙げられる。これらの助剤の使用量は、任意であるが、好ましくは反応混合物中のシルセスキオキサン誘導体濃度に対して0.01〜100質量%程度である。
シルセスキオキサン誘導体の製造における縮合工程後、縮合工程より得られた反応液に含まれる反応溶媒及び副生物、残留モノマー、水等を留去させる留去工程を備えることにより、生成したシルセスキオキサン誘導体の安定性を向上させることができる。
硬化性組成物は、シルセスキオキサン誘導体を含有するほか、必要に応じて溶剤を含有することができる。溶剤としては、例えば、シルセスキオキサン誘導体を溶解する溶剤が好ましく、その例としては、脂肪族系炭化水素溶剤、芳香族系炭化水素溶剤、塩素化炭化水素溶剤、アルコール溶剤、エーテル溶剤、アミド溶剤、ケトン溶剤、エステル溶剤、セロソルブ溶剤等の各種有機溶剤を挙げることができる。特に限定するものではないが、例えば、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、塩化メチレン等が好ましい。なかでも、キシレン(沸点144℃)が特に好ましい。
また、硬化性組成物は、各種添加剤を含有していてもよい。添加剤の例としては、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン類(トリアルコキシシラン、トリアルコキシビニルシランなど)などの反応性希釈剤などが挙げられる。これら添加剤は、得られる本硬化物が耐熱性を損なわない範囲で使用される。
<シルセスキオキサン誘導体の硬化物及びシルセスキオキサン誘導体の硬化方法>
シルセスキオキサン誘導体は、シルセスキオキサン中のヒドロシリル基とヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基とのヒドロシリル化反応による架橋構造を有するシルセスキオキサン誘導体の硬化物(本硬化物)を得ることができる。本硬化物の製造は、無触媒であってもよいし、ヒドロシリル化反応用の触媒の使用を伴っていてもよい。硬化のために用いうる触媒については後段で詳述する。
本硬化物は、特に限定するものではないが、例えば、20℃以上200℃以下の温度においてシルセスキオキサン誘導体を処理することにより、得ることができる。本硬化物は、シルセスキオキサン誘導体中のアルコキシシリル基の加水分解・重縮合及び/又はシルセスキオキサン誘導体中のヒドロシリル基とヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和基とのヒドロシリル化反応に基づく架橋構造を備えることができる。20℃未満であると、硬化が不十分になりやすく意図した物性が得られにくくなり、200℃を越えると被コーティング体の種類によっては温度の影響が出やすくなるからである。
なお、かかる熱処理温度までの昇温速度は、特に限定するものではなく、例えば、5〜20℃/分などとすることができる。また、かかる熱処理温度における保持時間も特に限定するものではないが、例えば、0.1〜10時間であり、0.5〜5時間が好ましい。
本硬化物は、このようにシルセスキオキサン誘導体に対して触媒の存在下又は非存在下で、アルコキシシリル基及び/又はヒドロシリル基に基づく架橋反応を生じさせて得られる硬化物であればよい。
<シルセスキオキサン誘導体の一次硬化物及び一次硬化方法>
シルセスキオキサン誘導体は、アルコキシシリル基及び/又はヒドロシリル基と炭素−炭素不飽和結合による架橋に基づく硬化物を得ることができる。かかる硬化物は、少なくともヒドロシリル基による架橋が部分的に生じている状態となっている。
シルセスキオキサン誘導体の一次硬化物を得るには、シルセスキオキサン誘導体をヒドロシリル化反応用触媒の非存在下において20℃以上200℃以下の温度で加熱する工程を実施することができる。また例えば、100℃以上150℃以下の温度で加熱する工程を実施してもよい。20℃以上200℃以下の温度範囲においては、硬化温度を一定としてもよいし、昇温及び/又は降温を組み合わせてもよい。20℃以上200℃以下の温度においては、主にアルコキシシリル基の反応(加水分解・重縮合反応)により一部硬化させて、架橋構造を形成する。また、ヒドロシリル化反応による架橋構造が一部形成される場合もある。
硬化物を得る硬化工程は、例えば、以下の方法で実施することができる。すなわち、板状基材や粒状基材などの所望の形状の基材の表面にシルセスキオキサン誘導体の塗膜を形成し、既述のように、20℃以上200℃以下の温度に加熱し、シルセスキオキサン誘導体塗膜を一部硬化させる。これによってシルセスキオキサン誘導体の流動性をなくし、必要に応じて、この積層物(シルセスキオキサン誘導体の硬化皮膜を備える板状基材や粒状基材)を加工等して、所望の形状としたりすることができる。
20℃以上200℃以下の温度で硬化させる場合の前段の硬化時間は、通常、0.1〜10時間であり、0.5〜5時間が好ましい。
また、ヒドロシリル基が架橋した硬化物を得るには、ヒドロシリル化反応用の触媒を使用することもできる。この場合は、比較的低い温度(例えば、20℃〜200℃、好ましくは50℃〜150℃)で硬化できる。但し、得られるシルセスキオキサン誘導体の硬化物が未反応のアルコキシシリル基を有するものとなりやすい傾向がある。ヒドロシリル化反応用の触媒を使用する場合の硬化時間は、通常、0.05〜24時間であり、0.1〜5時間が好ましい。
ヒドロシリル化反応用の触媒としては、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金等の第8属から第10属金属の単体、有機金属錯体、金属塩、金属酸化物等が挙げられる。通常、白金系触媒が使用される。白金系触媒としては、cis−PtCl2(PhCN)2、白金カーボン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンが配位した白金錯体(Pt(dvs))、白金ビニルメチル環状シロキサン錯体、白金カルボニル・ビニルメチル環状シロキサン錯体、トリス(ジベンジリデンアセトン)二白金、塩化白金酸、ビス(エチレン)テトラクロロ二白金、シクロオクタジエンジクロロ白金、ビス(シクロオクタジエン)白金、ビス(ジメチルフェニルホスフィン)ジクロロ白金、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金等が例示される。これらのうち、特に好ましくは1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンが配位した白金錯体(Pt(dvs))、白金ビニルメチル環状シロキサン錯体、白金カルボニル・ビニルメチル環状シロキサン錯体である。なお、Phはフェニル基を表す。触媒の使用量は、シルセスキオキサン誘導体の量に対して、0.1質量ppm〜1000質量ppmであることが好ましく、0.5〜100質量ppmであることがより好ましく、1〜50質量ppmであることが更に好ましい。
ヒドロシリル化反応用の触媒を使用する場合、触媒が添加されたシルセスキオキサン誘導体のゲル化抑制および保存安定性向上のため、ヒドロシリル化反応抑制剤が添加されてもよい。ヒドロシリル化反応抑制剤の例としては、メチルビニルシクロテトラシロキサン、アセチレンアルコール類、シロキサン変性アセチレンアルコール類、ハイドロパーオキサイド、窒素原子、イオウ原子またはリン原子を含有するヒドロシリル化反応抑制剤などが挙げられる。
シルセスキオキサン誘導体の硬化工程は、触媒の有無に関わらず、空気中で行われてもよいし、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中で行ってもよく、また、減圧下で行ってもよい。但し、シルセスキオキサン誘導体中に存在するアルコキシシリル基の反応を促進するためには、アルコキシシリル基が加水分解反応できる程度に水分を含む雰囲気であることが好ましい。空気中であれば、空気に含まれる水分により、アルコキシシリル基の加水分解反応が進行し、また、ヒドロシリル基が酸素により酸化されてヒドロキシシリル基を生成するため、十分な硬化を進めることができる。一方、不活性ガス雰囲気下や減圧下では、酸化による体積変化などの影響を受けにくくなるため、クラックの少ない硬化物を得ることができる。
加熱温度や加熱雰囲気のほか、シルセスキオキサン誘導体の硬化は種々の形態で実施が可能である。一次硬化にあたって、基材に対してそのまま塗布することができるが、必要に応じて既に記載した溶剤で希釈して使用することもできる。
溶剤が使用された場合は、シルセスキオキサン誘導体の硬化のための加熱に先立って、塗布された膜に含まれる溶剤を揮発させることが好ましい。溶剤の揮発は空気中でなされてもよく、不活性ガス雰囲気中でなされてもよく、また、減圧下でなされてもよい。溶剤の揮発のため加熱してもよいが、その場合の加熱温度は、200℃未満が好ましく、50℃以上150℃以下がより好ましい。本硬化物の他の製造方法において、シルセスキオキサン誘導体を50℃以上200℃未満又は50℃以上150℃以下に加熱して一部硬化させ、これを溶剤の揮発工程とすることも可能である。
硬化物の耐熱性は、示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)などにより評価することができる。シルセスキオキサン誘導体の硬化物は、高い耐熱性を発揮することができる。例えば、シルセスキオキサン誘導体を、ヒドロシリル化反応用の触媒を使用しないで硬化(例えば、100℃で1時間加熱)させて得られる硬化物は、空気中(昇温速度20℃/分)での5%重量減少温度が、300℃以上とすることができる。また例えば、310℃超、また例えば320℃超、また例えば、340℃以上、また例えば、360℃以上、また例えば、400℃以上、また例えば、420℃以上、また例えば、440℃以上とすることができる。なお、耐熱性の測定にあたっては、5質量%シルセスキオキサン誘導体溶液(溶媒は、例えば、キシレンを用いることができる。)を真空中で乾固したものを、熱分析装置(例えば、日立ハイテクサイエンス株式会社製TGDTA6300又は当該装置と同等以上の精度を有する装置)を用いて、100℃で1時間加熱することで、硬化物を得て、当該硬化物を試料とすることができる。
本硬化物は、こうした耐熱性のほか、優れた撥水及び/又は撥油性を備えることができる。かかる撥水性及び/又は撥油性としては、シルセスキオキサン誘導体10質量%及び白金カルボニル錯体25ppmを含有するキシレン溶液である硬化性組成物を被コーティング面に供給し、60℃で2時間処理して得られた硬化膜についての水の接触角が90°以上及び/又はオレイン酸の接触角が40°以上とすることができる。好ましくは、水の接触角は、例えば、95°以上であり、また例えば、100°以上であり、また例えば、105°以上である。好ましくは、オレイン酸の接触角は、例えば、45°以上であり、また例えば、50°以上であり、また例えば、55°以上であり、また例えば、60℃以上であり、また例えば、65°以上であり、また例えば、70°以上である。
接触角の計測は、例えば、以下の方法で実施することができる。すなわち、上記硬化性組成物をスプレーコートし、60℃で2時間加熱して得た硬化膜(好適には平均膜厚で1μm〜2μm、膜厚は製膜前後の重量から算出することもできる。)について、接触角測定装置(例えば、英弘精機株式会社 dataphysics Contact Angle System OCA又は当該装置と同等以上の精度を有する装置)を用いて、水又はオレイン酸を4μl滴下し、10秒後に接触角を測定することができる。なお、接触角の測定にあたっては、1質量%以上(好ましくは、5質量%)のシルセスキオキサン誘導体と、硬化触媒として白金相当で1000ppm以下(好ましくは同25ppm)の白金カルボニル錯体とを含有する溶液(例えば、キシレン溶液)を、60℃で2時間加熱して得られた硬化膜(膜厚1μm〜2μm、好ましくは、1μm程度)を得て、当該硬化物を試料とすることができる。
(硬化性組成物の利用)
本明細書によれば、撥水性及び耐熱性が向上された被コーティング体の製造方法が提供される。この製造方法は、本明細書に開示される硬化性組成物を利用して、被コーティング体の表面に供給する工程と、硬化性組成物を200℃以下で前記ヒドロシリル化反応可能な有機基によるヒドロシリル化反応により硬化させて硬化物を得る工程を、備えることができる。この方法によれば、被コーティング体の表面に、特性に優れるコーティング、すなわち、耐熱性のほか、撥水性及び/又は撥油性などの表面特性、透明性等に優れるコーティングが付与された加工体を得ることができる。
被コーティング体としては、本硬化性組成物によって得られる硬化物の特性(例えば、耐熱性、撥水性及び/又は撥油性等)が貢献できる被加工体などが挙げられる。特に限定するものではないが、例えば、金属材料を含む被加工体、セルロースなどの天然繊維や合成繊維を用いて編成、織成、抄造又は成形等によって得られるシート状等の被加工体、天然又は合成ポリマー等を用いてシート状等の任意の三次元形状に成形して得られる被加工体等が挙げられる。硬化性組成物を被コーティング体の表面に供給するには、従来の塗料やコーティングに適用される公知の方法、例えば、スプレー、ロールコーター、ディップコート、スピンコート等の方法等から適宜選択された方法が採用される。また、硬化工程自体は、既述のシルセスキオキサン誘導体の硬化工程として開示される各種態様で実施される。したがって、本方法によれば、簡易な操作で重合・硬化が可能である一方、特性の優れたコーティングを得ることができる。
以下、本明細書の開示を実施例により具体的に説明する。但し、本開示は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において%は、質量%を意味する。
(シルセスキオキサン誘導体の合成例1)
滴下漏斗、攪拌翼を取り付けた300ml丸底四つ口フラスコにビニルトリメトキシシラン(V−TRIMS、信越化学)1.78g(12mmol)、トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シラン6.81g(12mmol)、トリエトキシシラン(TRIES)5.91g(36mmol)を量り取り、更にキシレン(和光純薬株式会社)60ml、2−プロパノール(和光純薬株式会社)22.5gを加えて希釈した。攪拌しながら水浴で20℃程度とし、ここに滴下漏斗から1.5%に希釈した塩酸水溶液10.4g、2−プロパノール(12.5ml)を30分程度で滴下し、更に20℃程度で一晩攪拌を続けた。得られた溶液は300ml丸底フラスコに移し替えてエバポレーターで2−プロパノールを除去した後、分液漏斗に移液して水分を除き、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。得られた溶液にキシレンを加えて濃度を調整することで、シルセスキオキサン誘導体(1)を5%キシレン溶液として102.2g得た。
(シルセスキオキサン誘導体の合成例2)
モノマーにV−TRIMS4.15g(28mmol)、トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン6.11g(東京化成株式会社、28mmol)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO,信越化学)3.76g(28mmol)を用いた以外は合成例1と同様な操作を行い、シルセスキオキサン誘導体(3)を5%のキシレン溶液として187.8g得た。
(シルセスキオキサン誘導体の合成例3)
モノマーにV−TRIMS4.15g(28mmol)、トリエトキシメチルシラン(Me−TRIES,東京化成)4.99g(28mmol)、TMDSO 3.76g(28mmol)を用いた以外は合成例1と同様な操作を行い、シルセスキオキサン誘導体(3)(比較例)5%キシレン溶液として130.2gを得た。
シルセスキオキサン誘導体(1)〜(2)(以上実施例)及びシルセスキオキサン誘導体(3)(比較例)の合成に用いた各原料の式(1)で表されるシルセスキオキサン誘導体の各構成単位への割り当てを以下の表に示す。
Figure 2019070071
(1)耐熱性(TGA)
耐熱性は、シルセスキオキサン誘導体の硬化物を、30℃から所定温度まで昇温し、その間の熱重量減少率で評価した。合成例2〜4で得られた各シルセスキオキサン誘導体溶液を真空中で乾固したものを、熱分析装置(日立ハイテクサイエンス株式会社製TGDTA6300)を用いて、100℃で1時間加熱することで、硬化物を得た。硬化物に対し、空気中で上記装置を用いて空気フロ−下で30℃から1000℃まで20℃/分の昇温速度で昇温してその間の重量変化を測定し、5%重量減少温度を求めた。結果を表1に示す。
(2)水及びオレイン酸の接触角
合成例2〜4で得られた各シルセスキオキサン誘導体溶液(シルセスキオキサン誘導体5%濃度のキシレン溶液)に硬化触媒である白金カルボニル錯体(Gelest社SIP6829.2)を25ppmとなるよう混合した後、それぞれシリコンウェハ上にスプレーコートし、60℃で2時間加熱して硬化膜を得た。膜厚は製膜前後の重量及び製膜面積から算出し、いずれも1μmであった。これらの硬化膜について、英弘精機株式会社 dataphysics Contact Angle System OCAを用いて、水又はオレイン酸を4μl滴下し、10秒後に接触角を測定した。結果を表1に併せて示す。
(3)着色
上記(2)水及びオレイン酸の接触角に記載したのと同様の方法で作製した硬化膜を目視にて観察して着色状態を評価した。
また、対照例として、以下の方法により合成したOX−F1(特開2005−23258号公報に開示される実施例1のポリシロキサン、対照例(1))及びOX−F(2)(特開2005−23258号公報に開示される実施例2のポリシロキサン、対照例(2))で得られた硬化膜について耐熱性と目視確認による着色を評価した。結果を併せて表1に示す。
表1に示すように、合成例1の5%重量減少温度は341℃、合成例2の同温度は445℃であった。これらの結果は、対照例に対して優れていた。また、着色についても、合成例1〜3は、対照例に対して優れていた。
また、合成例2〜3は、水に対する接触角は100°以上であるとともに、オレイン酸に対する接触角も50°以上であり、撥水性及び撥油性に優れていることがわかった。比較例である合成例4の結果と対比すると、フルオロアルキル基の導入により撥水性及び撥油性が向上していることがわかった。
以上のことから、ヒドロシリル化により硬化し、フルオロアルキル基を含有するシルセスキオキサン誘導体の硬化物は、耐熱性のほか撥水性及び撥油性にも優れており、従来にない用途に適用可能であることがわかった。さらに、着色も抑制され十分な透明性を有することもわかった。さらにまた、簡易な重合硬化操作により、優れた硬化物を得られることもわかった。

Claims (11)

  1. ヒドロシリル化反応可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基含有構成単位と、フルオロアルキル基含有構成単位とを備え、ヒドロシリル化反応可能な硬化性シルセスキオキサン誘導体を含有する硬化性組成物。
  2. 前記硬化性シルセスキオキサン誘導体は、以下の式(1)で表される、請求項1に記載の硬化性組成物。
    Figure 2019070071
    〔式中、Aは、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基を表し、
    1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基から選択される少なくとも一種を表し、
    2は炭素原子数1〜20のアルキレン基、炭素原子数6〜20の2価の芳香族基、及び炭素原子数3〜20の2価の脂環族基から選択される少なくとも1種を表し、
    3は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基(1分子中のR3は同一でも異なっていてもよい。)から選択される少なくとも1種を表し、
    4は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基から選択される少なくとも1種を表し、
    5は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、及び、ヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基(1分子中のR5は同一でも異なっていてもよい。)から選択される少なくとも1種を表し、
    6は水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、
    w2は正の数を表し、
    u、v、w1、x、y及びzは0又は正の数を表し、
    w1、x及びyのうち少なくとも1つは正の数を表し、w1=0のとき、R3、R4及びR5のいずれか1つはヒドロシリル化反応可能な、炭素−炭素不飽和結合を有する炭素原子数2〜10の有機基を表し、
    v、x及びyのうち少なくとも1つは正の数であって、R1、R3、R4及びR5のいずれか1つは水素原子を表し、
    lは0又は1であり、mは、1以上10以下の整数であり、nは2以上(2m+1)以下の整数であり、qは1以上5以下の整数である。0≦u/(v+w1+w2+x+y)≦2であり、0≦x/(v+w1)≦2であり、0≦y/(v+w1)≦2であり、0.01≦z/(v+w1+x+y)≦1である。〕
  3. w1は、正の数である、請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. w1/(v+w1+w2+x+y)は、0.1以上1以下である、請求項2又は3に記載の硬化性組成物。
  5. w2/(v+w1+w2+x+y)は、0.1以上1以下である、請求項2〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
  6. mは、1以上7以下であり、nは、3以上15以下である、請求項2〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
  7. 前記Rは、水素原子又は炭素原子数が1〜4のアルキル基である、請求項2〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
  8. 前記硬化性シルセスキオキサン誘導体を100℃で1時間加熱処理後の硬化物を空気中で20℃/分で昇温したときの5%重量減少温度が310℃超である、請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物。
  9. 1質量%以上の前記硬化性シルセスキオキサン誘導体及び白金相当で25ppmの白金カルボニル錯体を含有する溶液である前記硬化性組成物を被コーティング面に供給し、60℃で2時間処理して得られた硬化膜についての水の接触角が100°以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化して得られる、硬化物。
  11. 撥水性及び耐熱性が向上された被加工体の製造方法であって、
    請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性組成物を、前記被加工体の表面に供給する工程と、
    前記硬化性組成物を20℃以上200℃以下で前記ヒドロシリル化反応可能な有機基によるヒドロシリル化反応により硬化させて硬化物を得る工程を、
    備える、方法。
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