JP2019089099A - 亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法 - Google Patents

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延時 智和
Tomokazu Nobutoki
智和 延時
冨村 宏紀
Hiroki Tomimura
宏紀 冨村
徹 家成
Toru Ienari
徹 家成
朝田 博
Hiroshi Asada
博 朝田
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Abstract

【課題】溶接欠陥の発生が抑制された、良好な溶接ビートを形成するための複合溶接法を提供する。
【解決手段】亜鉛系めっき鋼板を突合せ溶接するレーザ溶接及びアーク溶接による複合溶接方法であって、前記レーザ溶接を前記アーク溶接に先行させて溶接するとともに、前記アーク溶接として、溶接電流をパルス状に印加するパルスアーク溶接手段、または、溶接ワイヤの正送及び逆送を繰り返すワイヤ送給制御手段のいずれかの手段を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法に関する。
亜鉛系めっき鋼板は、鋼板表面に亜鉛または亜鉛合金をめっき処理したものである。優れた耐食性を有するため、建築部材、自動車用部材、機械部材など広く使用されている。
めっき鋼板を溶接すると、溶接熱によりめっき層から亜鉛蒸気が発生し、これが溶接金属内に閉じ込められて、ビードにポロシティや表面クレータ等の気孔(ブローホール)を多発させる。この気孔が表面まで進行し、開口(ピット)を形成すると、ビード表面の性状を悪化させる。当該気孔及び開口をまとめて、以下、「ブローホール」と称する。
さらに、アーク溶接法を適用するときは、発生した亜鉛蒸気がアークを不安定にするため、スパッタが多発する。また、アーク溶接法は、溶込みが浅く、溶接速度が遅いという課題もある。
レーザ溶接は、溶加材を必要としない一方で、高い突合せ精度を必要とする。さらに、溶接ビード表面においてアンダーカットが生じ易いという課題がある。また、レーザ溶接法は、レーザビームによるキーホール溶接である。レーザビームを照射すると、亜鉛めっき層から亜鉛が激しく蒸発するため、この亜鉛蒸気により溶融池の溶鋼が吹き飛ばされたり、溶鋼中に亜鉛蒸気が侵入したりして、溶接ビードに多数のブローホールが発生する。
上記のブローホール、ピット、アンダーカット等の溶接欠陥が溶接ビードに生じると、溶接部における機械的強度の低下を招くことになる。そこで、亜鉛系めっき鋼板に対して、レーザ溶接とアーク溶接を併用した複合溶接法の適用が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1は、板厚が0.2〜6.0mm未満で、亜鉛メッキ量を10〜120g/mとした亜鉛メッキ鋼板同士または同板厚及び同亜鉛メッキ量の亜鉛メッキ鋼板と他の金属との重ね溶接、重ね隅肉溶接において、溶接予定個所にレーザを照射する工程と、レーザ照射工程の後にガスメタルアーク溶接を行う工程を備える溶接方法が記載されている。レーザビームの照射によって形成される溶融部及び蒸発部近傍にアークを照射すると、アーク放電がレーザ照射部に安定に発生して集中し、高速溶接が可能となる。そのため、亜鉛メッキ鋼板の重ね隅肉溶接では、上板端部のみを溶接でき、重ね部の亜鉛メッキ層を殆ど溶融させずに溶接できると記載されている。
特開2002−66774号公報
一般に、アーク溶接は、レーザ溶接に比して、溶接速度が遅く、溶込みが浅い、入熱が高く熱変形が大きい、スパッタが多発するなどの欠点を有するため、レーザ溶接とアーク溶接を併用した複合溶接法であっても、良好な溶接ビードを形成できるように、アーク溶接を制御することが求められる。特許文献1は、レーザビームの照射及びガスメタルアーク溶接の照射に関して、照射位置や照射角度の範囲を特定した溶接条件を示している一方で、それ以外の溶接条件を開示していない。
そこで、本発明は、レーザ溶接とアーク溶接を併用した複合溶接法における当該アーク溶接の制御に着目し、溶接欠陥の発生が抑制された、良好な溶接ビートを形成するための複合溶接法を提供することを目的とする。
本発明者らは、レーザ溶接とアーク溶接を併用した複合溶接法により亜鉛系めっき鋼板を溶接する場合、当該アーク溶接をパルスアーク溶接あるいはワイヤ送給に関する制御手段を用いることにより、ブローホール、スパッタなどの溶接欠陥の発生が抑制され、良好な溶接ビードを形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明は、亜鉛系めっき鋼板を突合せ溶接するレーザ溶接及びアーク溶接による複合溶接方法であって、前記レーザ溶接を前記アーク溶接に先行させて溶接するとともに、前記アーク溶接として、溶接電流をパルス状に印加するパルスアーク溶接手段、または、溶接ワイヤの正送及び逆送を繰り返すワイヤ送給制御手段のいずれかの手段を用いる、亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法である。
(2)本発明は、前記パルスアーク溶接手段は、ピーク電流(IP)及びベース電流(IB)の電流波形が周期(PF)によって繰り返して印加する溶接方法であって、下記の式(1)で示される平均溶接電流(I)が100〜300Aの範囲である、(1)に記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法である。I=(IP+IB)/PF・・・式(1)
(3)本発明は、前記ワイヤ送給制御手段は、溶接ワイヤ速度が200〜500mm/sである、(1)に記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法である。
(4)本発明は、前記アーク溶接は、シールドガスとして、アルゴンガスに2〜30体積%の炭酸ガスを混合したガスを用いる、(1)〜(3)のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法である。
(5)本発明は、前記突合せ溶接は、隙間を設けない継手に対して溶接する、(1)〜(4)のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法である。
(6)本発明は、溶接後の溶接部におけるブローホール占有率が10%以下であり、溶接部周辺のスパッタ付着量が100mm×50mm当たり20個以下である、(1)〜(5)のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法である。
(7)本発明は、溶接部の引張強さが本体部の引張強さの1.3倍以上である、(1)〜(6)のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法である。
本発明によれば、ブローホール、スパッタなどの溶接欠陥の発生が抑制され、良好な溶接ビードを形成できる。そのため、溶接部の外観が良好であり、継手強度に優れるという有用な効果を奏する。
本発明に係る実施形態を説明するための模式図であり、(a)は、溶接方向に沿って継手部を示した平面図であり、(b)は、溶接方向に対して垂直方向から継手部を示した図である。 ブローホール占有率の算出を説明するための図である。 溶接部の引張強度を測定する評価試験を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明は、これらの記載により限定されるものではない。
本発明は、亜鉛系めっき鋼板を突合せ溶接するレーザ溶接及びアーク溶接による複合溶接方法であって、前記レーザ溶接を前記アーク溶接に先行させて溶接するとともに、前記アーク溶接として、溶接電流をパルス状に印加するパルスアーク溶接手段、または、溶接ワイヤの正送及び逆送を繰り返すワイヤ送給制御手段のいずれかの手段を用いることが好ましい。
図1は、本発明に係る実施形態を示したものである。図1の(a)は、溶接方向14に沿って継手部を示した平面図であり、図1の(b)は、溶接方向14に対して垂直方向から継手部を示した模式図である。2枚の亜鉛めっき鋼板1がT字状となるように組み合わされて、レーザ溶接とアーク溶接により溶接される。
レーザ溶接は、レーザ照射手段(図示なし)の先端からレーザビーム11を照射する。アーク溶接は、アルゴンガスを含むシールドガスを用いた消耗電極式アーク溶接である。アークトーチ12の先端に設けたアーク電極においてアークが発生し、アーク電極の先端部が溶融し、溶融池に移行する。アーク電極は、溶接ワイヤにより供給される。アークトーチには、電極供給装置及びアーク制御装置(図示なし)が設けられている。
亜鉛系めっき鋼板1を用いて溶接する場合、図1の(a)に示すように、溶接方向14に沿って、レーザビーム11によるレーザ溶接が先行し、アークトーチ12によるアーク溶接が後行するように各溶接手段を移動させる。レーザ溶接の狙い位置とアーク溶接の狙い位置とを距離13で隔てて、レーザ溶接を先行させ、アーク溶接を後行させることにより、アーク溶接のアークがレーザに引き寄せられるため、亜鉛系めっきの蒸発範囲が狭くなり、亜鉛蒸気の影響を受けにくくなり、アークが安定する。そして、溶込みが深くなって板厚を貫通し、亜鉛蒸気が裏面側に抜けるため、溶接ビードにおけるブローホールおよびピットの発生量が低減する。さらに、アーク溶接により、溶加材(溶接ワイヤ)が連続的に溶接ビードに供給されるため、アンダーカットを防止できる。このように、本発明によれば、ブローホール、ピット、アンダーカット等の溶接欠陥の発生を防止できるので、溶接部の強度の低下が抑制される。また、アーク溶接は、レーザ溶接に比べて溶接可能な隙間量が大きく、突合せ時にそれほど高い位置精度を必要とされない点で溶接作業が簡単になる。なお、図1の(b)に示すように、溶接時には、亜鉛系めっき層からの亜鉛蒸気を逃すため、継手部に隙間4を設けてもよい。
(パルスアーク溶接)
アーク溶接として、パルスアーク溶接を用いることが好ましい。安定したアークが得られ、小さい溶滴が一定の周期で溶融池に移行するので、スパッタが低減される。また、パルス的に溶融池を振動するので、亜鉛蒸気の排出が促進され、ブローホールおよびピットの低減に効果的である。また、通常のアーク溶接は、アークが安定しないため、スパッタが多発するのに対し、パルスアーク溶接は、パルスの高電流によりアークが安定するため、スパッタの発生が低減される。
本発明は、前記パルスアーク溶接手段は、ピーク電流(IP)及びベース電流(IB)の電流波形が周期(PF)によって繰り返して印加する溶接方法であって、平均溶接電流(I)は、下記の式(1)で示される。
I=(IP+IB)/PF・・・式(1)
アーク溶接は、アーク電極に印加される電流値、電圧値、それらの波形が調整される。パルスアーク溶接は、ピーク電流(IP)及びベース電流(IB)の電流波形が周期(PF)によって繰り返して印加される。当該パルスアーク溶接における平均の溶接電流は、式(1)のとおり、電流波形におけるピーク電流(IP)及びベース電流(IB)を周期(PF)で除した数値によって得られる。
平均溶接電流は、100〜300Aの範囲であると好ましい。平均溶接電流が100A未満では、溶接ワイヤ先端から溶融池への溶滴移行が不安定になり、スパッタが多発する。300Aを超えると、ワイヤ先端で溶滴が大きくなり、その溶滴が溶融池に移行した際に、スパッタが多発する。100〜300Aの範囲の平均溶接電流を得るため、ピーク電流(IP)が350〜500A、ベース電流(IB)が25〜100A、周期(PF)が2〜4msの範囲に設定することができる。
(ワイヤ送給)
本発明は、溶接ワイヤの正送及び逆送を繰り返すワイヤ送給制御手段を用いることが好ましい。溶接ワイヤの正送・逆送を繰り返すときのワイヤ速度は、200〜500mm/sの範囲にあるように制御することが好ましい。当該溶接ワイヤ速度が200mm/s未満であると、溶接ワイヤ先端の溶滴と溶融池とが離れ過ぎて、溶滴が高い位置から溶融池へ移行するため、スパッタが多発する傾向にある。他方、当該溶接ワイヤ速度が500mm/sを超えると、溶滴が溶接ワイヤ先端から離脱する前に溶融池と接触するため、スパッタが多発しやすい。また、溶接ワイヤの正送および逆送時の速度は、同じであってもよく、異なってもよいが、ほぼ同じ速度で移動させることが好ましい。溶接ワイヤの移動距離は、1.5〜5.0mmの範囲で選定でき、例えば約2.5mmが挙げられる。
(アーク溶接のシールドガス)
アーク溶接は、アークの安定性および溶接金属の酸化防止の観点からシールドガスを用いることが好ましい。シールドガスとしては、アルゴンガス等の不活性ガスを用いたり、アルゴンガスと炭酸ガス(COガス)等との混合ガスを用いることができる。例えば、アルゴンガスに2〜30体積%の炭酸ガスを混合したガスを用いることができる。一般に、シールドガスとして、アルゴンガスとCOガスとの混合ガスを用いるアーク溶接は、MAG溶接(マグ溶接)と呼ばれ、アルゴンガス等の不活性ガスを用いるアーク溶接は、MIG溶接(ミグ溶接)と呼ばれる。
(継手部の隙間)
板を貫通して溶接するために継手部に隙間を設けることがある。本発明に係る複合溶接は、継手部に隙間を設けないで溶接しても良好な溶接部が得られる。素材板厚が例えば9mm以下の薄い場合には、隙間を広げる必要がない。他方、隙間を設定する場合であっても、レーザ溶接で接合可能とされる隙間の2倍程度の隙間でも接合可能である。一般に、継手部の隙間については、レーザ溶接の場合は0.3mmまでが接合可能であるとされているのに対し、本発明に係る複合溶接は、0.8mmまで接合可能である。
(溶接部)
本発明に係る複合溶接法によれば、ブローホール占有率が低減し、溶接部周辺のスパッタ付着量が低減した溶接部が得られる点で好ましい。そのため、溶接部の引張強さが本体部の引張強さの1.3倍以上である継手が得られる。ブローホール占有率は、後記する評価試験の手法により測定された数値を意味する。ブローホール占有率は、10%以下が好ましく、7%以下、5%以下、3%以下または2%以下がより好ましい。溶接部周辺のスパッタ付着量は、100mm×50mm当たり40個以下が好ましく、30個以下、20個以下、10個以下がより好ましい。
T字突合せ溶接をアーク溶接で行うと、2パス溶接を行う必要があるのに対し、本発明に係る複合溶接は、1パスでT字突合せ溶接が可能である点で有用である。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、以下の説明に限定されない。
本実施形態に関する評価試験は、板厚が4.5mmの両面亜鉛系めっき鋼板を用いた。当該鋼板の素材強度は400N級である。当該亜鉛系めっきは、Zn−Al−Mg組成であり、鋼板表面における付着量が約90g/mである。当該めっき鋼板から、長さ200mm、幅100mmの寸法の被溶接材を切り出して、以下に記載する溶接に供した。
レーザ溶接及びアーク溶接を併用する複合溶接は、レーザ溶接を先行させて行った。複合溶接におけるアーク溶接は、通常のアーク溶接手段に加えて、ワイヤ制御・アーク溶接(溶接ワイヤの正送・逆送を繰り返しながら溶接する方法)、パルスアーク溶接(溶接電流をパルス的に印加して溶接する方法)による溶接手段を用いた。さらに、複合溶接と比較するため、アーク溶接のみ、レーザ溶接のみを行った。溶接ワイヤとしては、ワイヤ径φ1.2mmのYGW−12相当品を用いた。溶接された試験材は、溶接部を含む領域から長さ180mm、幅50mmの寸法の試験体を切り出して、以下に記載するように、外観観察、ブローホール占有率の測定、溶接部の強度比の測定などの評価試験に供した。
(外観観察)
溶接部の表面を観察し、ビード表面のスパッタ付着量として、溶接部周辺で任意に選定された100mm×50mmの領域におけるスパッタの個数を測定した。
溶接部を切断し、その断面を目視で観察した。表ビードにアンダーカット等の欠陥がなく、裏ビードが安定して形成されている場合を良好と評価した。
突き合わせ溶接を施した鋼板表面と反対側の背面では、溶接時の熱によりめっき層の亜鉛が蒸発してめっき層が消失する場合がある。背面におけるめっき層の蒸発幅(mm)を測定した。
(ブローホール占有率)
溶接部の断面に存在するブローホールの割合を測定した。図2に示すように、溶接ビードにおいて観察される個々のブローホールの長さa1、a2等を計測した。下記に示すように、計測されたブローホール長さの総和をビード長さLで除して、ブローホール占有率(%)を算出した。
ブローホール占有率(%)=[(a1+a2+a3+a4+・・・)/L]×100
(溶接部の強度比)
図3に溶接部の強度を測定する試験方法を模式的に示す。試験体に開先加工を施して、試験時に母材破断を起こさない程度の板厚まで薄くした試験片2を作製した後、亜鉛系めっき鋼板1との間で各溶接方法により溶接を行い、引張試験用の溶接組立体を作製した。この溶接組立体を用いて、試験片2を図3に示す引張り方向5へ荷重を加えて引張試験を行った。この引張試験により溶接組立体の溶接部3で破断が起きて、溶接部の引張強さが得られた。また、めっき鋼板の板厚を薄くした試験片2を用いて引張試験に供し、同様に、母材の引張強さを測定した。これらの測定値により、「溶接部の引張強さ」と「母材の引張強さ」との比(以下、「溶接部の強度比」という。)を算出した。
<試験例1> パルスアーク溶接手段を用いた場合
レーザ溶接及びアーク溶接を併用し、レーザ溶接がアーク溶接に先行する複合溶接を試験体に施した。レーザ溶接は、4kWの出力でレーザビームを照射した。アーク溶接は、シールドガスを用いて、パルス状の溶接電流を印加したマグ溶接を行った。アーク溶接の溶接条件は、表1に示すベース電流(A)、ピーク電流(A)、平均溶接電流(A)および周期(ms)に加えて、電圧が26V、シールドガス種がAr+10体積%CO、流量が20L/min、前後角が前20°、トーチ角が20°であった。そして、溶接速度が1.0m/min、継手の隙間が0mmであった。これらの溶接により得られた試験体を用いて、所定の評価試験に供した。評価試験の結果を表1に示す。
Figure 2019089099
表1に示すように、レーザ溶接がアーク溶接に先行する複合溶接を行うとともに、アーク溶接においてパルスアーク(パルスマグ)溶接手段を用いることにより、ブローホール占有率が小さく、スパッタ付着量が少ない溶接部が得られた。平均電流が100〜300Aである試験体A3〜試験体A10は、ブローホール占有率が4%以下の低い範囲であり、また、スパッタ付着量が20個以下の低い範囲であった。
<試験例2> ワイヤ送給制御手段を用いた場合
レーザ溶接及びアーク溶接を併用し、レーザ溶接がアーク溶接に先行する複合溶接を試験体に施した。レーザ溶接は、4kWの出力でレーザビームを照射した。アーク溶接は、溶接ワイヤの正送及び逆送を繰り返して溶接を行った。溶接ワイヤ速度は、表2に示すとおりであり、正送時及び逆送時の溶接ワイヤ速度が同じとした。ワイヤの移動距離を約2.5mmとした。それに加えて、アーク溶接の溶接条件は、平均電流が180A、電圧が20V、シールドガス種がAr+10体積%CO、流量が20L/min、前後角が前20°、トーチ角が20°であった。そして、溶接速度が1.0m/min、継手の隙間が0mmであった。これらの溶接により得られた試験体を用いて、所定の評価試験に供した。評価試験の結果を表2に示す。
Figure 2019089099
表2に示すように、レーザ溶接がアーク溶接に先行する複合溶接を行うとともに、溶接ワイヤの正送及び逆送を繰り返すワイヤ送給制御手段を用いることにより、ブローホール占有率が小さく、スパッタ付着量が少ない溶接部が得られた。溶接ワイヤ速度が200〜500mm/sである試験体B2〜試験体B6は、ブローホール占有率が4%以下の低い範囲であり、また、スパッタ付着量が20個以下の低い範囲であった。
<試験例3> 複合溶接法とアーク単独溶接法との比較
次に、本発明に係る複合溶接法を従来の溶接法と比較した。本発明例として試験例1の試験体A9、試験例2の試験体B4を選定した。従来法としてマグ溶接だけを行い、表3に示す溶接条件により試験体C1、C2を得た。これらの試験体を用いて、スパッタ付着量、ブルローホール占有率、溶接部の強度比、背面のめっき蒸発幅をそれぞれ測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2019089099
本発明の溶接方法に相当する試験体A9、試験体B4の本発明例は、スパッタ付着量及びブローホール占有率が低く、高い強度比を示した。背面において亜鉛系めっきの蒸発が生じなかったので、耐食性が維持された点で有用であった。それに対し、本発明の溶接方法に該当しない試験体C1及びC2の比較例は、本発明例より劣っていた。試験体C1及びC2は、スパッタ付着量及びブローホール占有率が低く、強度比が低く、背面にめっき蒸発が生じていた。
1 亜鉛系めっき鋼板
2 試験片
3 溶接部
4 継手部の隙間
5 引張り方向
11 レーザビーム
12 アークトーチ
13 狙い位置の距離
14 溶接方向

Claims (7)

  1. 亜鉛系めっき鋼板を突合せ溶接するレーザ溶接及びアーク溶接による複合溶接方法であって、前記レーザ溶接を前記アーク溶接に先行させて溶接するとともに、前記アーク溶接として、溶接電流をパルス状に印加するパルスアーク溶接手段、または、溶接ワイヤの正送及び逆送を繰り返すワイヤ送給制御手段のいずれかの手段を用いる、亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法。
  2. 前記パルスアーク溶接手段は、ピーク電流(IP)及びベース電流(IB)の電流波形が周期(PF)によって繰り返して印加する溶接方法であって、下記の式(1)で示される平均溶接電流(I)が100〜300Aの範囲である、請求項1に記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法。
    I=(IP+IB)/PF・・・式(1)
  3. 前記ワイヤ送給制御手段は、溶接ワイヤ速度が200〜500mm/sである、請求項1に記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法。
  4. 前記アーク溶接は、シールドガスとして、アルゴンガスに2〜30体積%の炭酸ガスを混合したガスを用いる、請求項1〜3のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法。
  5. 前記突合せ溶接は、隙間を設けない継手に対して溶接する、請求項1〜4のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法。
  6. 溶接後の溶接部におけるブローホール占有率が10%以下であり、溶接部周辺のスパッタ付着量が100mm×50mm当たり20個以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法。
  7. 溶接部の引張強さが本体部の引張強さの1.3倍以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の亜鉛系めっき鋼板の複合溶接方法。
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