JP2019090103A - 軟磁性金属粉末およびその製造方法ならびに軟磁性金属圧粉コア - Google Patents

軟磁性金属粉末およびその製造方法ならびに軟磁性金属圧粉コア Download PDF

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Abstract

【課題】保磁力が小さく、円形度が高く、かつ微粉の量が少ない軟磁性金属粉末、および、その製造方法、ならびに、軟磁性金属粉末を用いた軟磁性金属圧粉コアを提供することを提供すること。【解決手段】鉄とケイ素とホウ素とを含む複数の金属原料粒子を有する金属原料粉末を準備する原料粉末準備工程と、金属原料粉末と炭素源物質とを混合し、混合粉末を得る混合工程と、混合粉末を、窒素を含む非酸化性雰囲気中において、1250℃以上の熱処理温度で熱処理を行い、金属原料粒子を球状化する熱処理工程と、を有する軟磁性金属粉末の製造方法である。【選択図】図3

Description

本発明は、軟磁性金属粉末およびその製造方法ならびに軟磁性金属圧粉コアに関し、特に、インダクタ、リアクトル等の電磁気回路部品のコアに好適に用いられる軟磁性金属粉末およびその製造方法ならびに軟磁性金属圧粉コアに関する。
大電流を印加する用途で使用されるリアクトル、インダクタ用の磁心材料として、フェライトコア、軟磁性金属粉末から構成される圧粉コア、ケイ素鋼板を用いる積層電磁鋼板等が用いられている。
これらの磁心材料の中でも、軟磁性金属圧粉コアはコアロスが積層電磁鋼板よりも小さく、飽和磁束密度がフェライトコアよりも大きいことから、磁心材料として広く用いられるようになっている。
リアクトルおよびインダクタには、小型化と磁気特性とを両立することが求められる。磁気特性としては、特に、直流電流を重畳しても高いインダクタンスを有することが求められる。そのため、軟磁性金属圧粉コアには、直流重畳磁界が印加されても高い透磁率を有すること、すなわち、直流重畳特性が優れていることが求められている。
軟磁性金属圧粉コアの直流重畳特性を改善するためには、コアの密度を高めること、用いる軟磁性金属粉末の円形度を高めること等が有効であることが知られている。たとえば、特許文献1には、円形度が高く微粉の量が少ない軟磁性金属粉末を用いることで、優れた直流重畳特性を有する圧粉磁心を得ることが記載されている。
また、リアクトルおよびインダクタには高効率が求められるため、軟磁性金属圧粉コアには、コアロスが小さいことが求められている。
軟磁性金属圧粉コアのコアロスを低減するためには、コアロスを構成するヒステリシス損失と渦電流損失との両方を低減することが必要である。ヒステリシス損失の低減のためには、用いる軟磁性金属粉末の保磁力を小さくすることが有効であることが知られている。たとえば、特許文献2には、軟磁性金属粉末を高温で熱処理することで保磁力を低減し、コアロスを低減した軟磁性金属圧粉コアを得ることが記載されている。一方、渦電流損失の低減のためには、用いる軟磁性金属粉末の粒径を小さくすることが有効であり、特に粗粉を少なくすることが有効である。
したがって、軟磁性金属圧粉コアに用いられる軟磁性金属粉末には、保磁力が小さく、円形度が高く、かつ微粉の量が少ないことが求められている。
特開2016−139748号公報 特開2015−233119号公報
特許文献1には、円形度が高く、微粉の量が少ない軟磁性金属粉末を用いることにより、優れた直流重畳特性を有する圧粉磁心を得ることができることが記載されている。しかしながら、特許文献1には、このような軟磁性金属粉末を得る具体的な方法としては、ガスアトマイズ粉末などの円形度が高い金属粉末から分級により微粉を除去する方法が記載されているにとどまる。
特許文献2には、軟磁性金属粉末を高温で熱処理することで保磁力を低減することができることが記載されている。しかしながら、粒子の形状および粒度分布は原料となる金属粉末の性状によって決まるものであって、熱処理によりこれらを改善することはできない。
上記の金属粉末を得るために一般的な製造方法としては、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法等が知られている。
水アトマイズ法によれば、水アトマイズ粉末は、低コストで製造できる。また、水アトマイズ法によれば、溶融金属の液滴が急冷され固化することにより粒子が得られるので、平均粒径の小さい粉末を得ることができる。しかしながら、粒子の形状は不定形であり、水アトマイズ法により真球状の形状を有する粒子を得るのは困難である。
一方、ガスアトマイズ法により製造されるガスアトマイズ粉末は、水アトマイズ粉末よりも高コストである。しかしながら、ガスアトマイズ法によれば溶融金属の液滴が比較的ゆっくり冷却され固化することにより粒子が得られるので、真球状に近い形状を有する粒子を得ることができる。しかし、水アトマイズ法により製造される水アトマイズ粉末に比べると、平均粒径が大きな粉末しか得られないという問題がある。
さらに、水アトマイズ法およびガスアトマイズ法のどちらの方法であっても、製造される粉末の粒度分布は広く、微粉の含有量が多いという問題があった。たとえば、特許文献1に記載されているように、ガスアトマイズ粉末を分級し、粗大な粒子を取り除くことで粉末の平均粒子径を小さくしつつ、微細な粒子を取り除くことで、円形度が高く、平均粒子径が小さく、かつ微粉の量の少ない金属粉末を得ることができる。しかしながら、粗大な粒子と微細な粒子をともに取り除く必要があることから、分級を行うためのコストおよび分級による粉末の廃棄ロスが生じるため、現実的ではない。
したがって、保磁力が小さく、円形度が高く、かつ微粉の量が少ない軟磁性金属粉末を得ることは、非常に難しいという問題があった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、保磁力が小さく、円形度が高く、かつ微粉の量が少ない軟磁性金属粉末、および、その製造方法、ならびに、軟磁性金属粉末を用いた軟磁性金属圧粉コアを提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明に係る軟磁性金属粉末の製造方法は、
[1]鉄とケイ素とホウ素とを含む複数の金属原料粒子を有する金属原料粉末を準備する原料粉末準備工程と、
金属原料粉末と炭素源物質とを混合し、混合粉末を得る混合工程と、
混合粉末を、窒素を含む非酸化性雰囲気中において、1250℃以上の熱処理温度で熱処理を行い、金属原料粒子を球状化する熱処理工程と、を有することを特徴とする軟磁性金属粉末の製造方法である。
[2]熱処理工程後の軟磁性金属粉末に含まれる窒化ホウ素の一部を除去する窒化ホウ素除去工程を有することを特徴とする[1]に記載の軟磁性金属粉末の製造方法である。
[3]原料粉末準備工程において、金属原料粉末100質量%中に含まれるホウ素の含有量が0.4質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の軟磁性金属粉末の製造方法である。
[4]原料粉末準備工程において、金属原料粉末100質量%中に含まれる酸素の含有量が0.100質量%以上1.000質量%以下であることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の軟磁性金属粉末の製造方法である。
[5]熱処理工程において、金属原料粒子の表面に窒化ホウ素を含む被覆部を形成することを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の軟磁性金属粉末の製造方法である。
[6]鉄とケイ素とホウ素と炭素とを含む複数の金属粒子を有する軟磁性金属粉末であって、
軟磁性金属粉末100質量%中に含まれるホウ素の含有量が0.010質量%以上2.0質量%以下であり、
軟磁性金属粉末100質量%中に含まれる炭素の含有量が0.010質量%以上0.350質量%以下であり、
金属粒子の表面に窒化ホウ素が形成されており、
金属粒子のうち、80%以上の金属粒子の円形度が0.80以上であり、
金属粒子のうち、85%以上の金属粒子が1個の結晶粒からなることを特徴とする軟磁性金属粉末である。
[7]軟磁性金属粉末100質量%中に含まれるクロムの含有量が1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする[6]に記載の軟磁性金属粉末である。
[8]軟磁性金属粉末に含まれる鉄とニッケルとの合計の含有量を100質量%としたときに、ニッケルの含有量が40質量%以上80質量%以下であることを特徴とする[6]または[7]に記載の軟磁性金属粉末である。
[9]金属粒子に含まれる炭素の含有量が0.010質量%以上0.150質量%以下であることを特徴とする[6]から[8]のいずれかに記載の軟磁性金属粉末である。
[10]軟磁性金属粉末100質量%中に含まれる酸素の含有量が0.1000質量%以下であることを特徴とする[6]から[9]のいずれかに記載の軟磁性金属粉末である。
[11][6]から[10]のいずれかに記載の軟磁性金属粉末を有することを特徴とする軟磁性金属圧粉コアである。
本発明によれば、保磁力が小さく、円形度が高く、かつ微粉の量が少ない軟磁性金属粉末およびその製造方法、並びに、当該軟磁性金属粉末を用いた軟磁性金属圧粉コアを提供することができる。
図1は、本実施形態に係る製造方法を示す工程図である。 図2は、金属原料粉末を構成する粒子の断面模式図である。 図3は、混合粉末を構成する粒子の断面模式図である。 図4は、熱処理工程の初期過程において、粒子表面に窒化ホウ素が形成されることを説明するための模式図である。 図5は、熱処理工程の球状化過程において、粒子が球状化することを説明するための模式図である。 図6Aは、熱処理工程の球状化過程において、粒子同士が結合することを説明するための模式図である。 図6Bは、熱処理工程の球状化過程において、粒子同士が一体化して1つの球状粒子が生成することを説明するための模式図である。 図7は、熱処理工程後の軟磁性金属粉末を構成する粒子の断面模式図である。 図8Aは、本発明の実施例における試料番号2に係る粉末の外観のSEM画像である。 図8Bは、本発明の実施例における試料番号6−2に係る粉末の外観のSEM画像である。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき以下の順序で詳細に説明する。
1.軟磁性金属粉末の製造方法
1.1.原料粉末準備工程
1.2.混合工程
1.3.熱処理工程
1.3.1.初期過程
1.3.2.球状化過程
1.3.3.後期過程
1.4.窒化ホウ素除去工程
2.軟磁性金属粉末
2.1.ホウ素量
2.2.炭素量
2.3.酸素量
2.4.窒素量
2.5.粒子の円形度
2.6.粒子の結晶粒径
2.7.粒度分布
3.軟磁性金属圧粉コア
本実施形態に係る軟磁性金属粉末の製造方法は、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)および酸素(O)を含む複数の金属原料粒子から構成される金属原料粉末と、炭素源となる添加物と、を混合して得られる混合粉末に対して、窒素を含む非酸化性雰囲気下で熱処理を行う方法である。以下、当該軟磁性金属粉末の製造方法について図1に示す工程図を用いて詳細に説明する。
(1.1.原料粉末準備工程)
まず、原料粉末を準備する。本実施形態では、原料粉末は、鉄とケイ素とホウ素とを含む複数の金属原料粒子を有する金属原料粉末である。
金属原料粉末は鉄とケイ素とを含むFe−Si系合金粉末であることから、必然的に酸素が含まれる。また、金属原料粉末にはさらにクロム(Cr)が含まれてもよい。金属原料粉末にはさらにニッケル(Ni)が含まれてもよい。
本実施形態では、ケイ素は、軟磁性金属粉末の結晶磁気異方性および磁歪定数を小さくする効果があることに加えて、後述する熱処理工程において金属原料粒子を球状化する役割の一部を担う。
金属原料粉末100質量%中に含まれるケイ素の含有量は、1.0質量%以上であることが好ましく、3.0質量%以上であることがより好ましい。また、ケイ素の含有量は、10.0質量%以下であることが好ましく、7.0質量%以下であることがより好ましい。ケイ素の含有量が少なすぎると、金属原料粒子の球状化が不十分となる傾向にある。一方、ケイ素の含有量が多すぎると、金属原料粒子を球状化して得られる金属粒子の硬度が大きくなりすぎて、軟磁性金属圧粉コアの密度が低下する傾向にある。
軟磁性金属に含まれるホウ素は、一般的に粉末の保磁力を増大させる傾向にあるので好ましくない。しかしながら、本実施形態では、後述するように、熱処理工程において金属原料粒子に含まれるホウ素は当該粒子の球状化に利用され、金属原料粒子の外側に窒化ホウ素として排出される。したがって、最終的に得られる軟磁性金属粉末を構成する金属粒子に含まれるホウ素量は、金属原料粉末を構成する金属原料粒子に含まれるホウ素量よりも少ない。したがって、金属原料粉末に所定量のホウ素が含まれ、金属原料粉末の保磁力が高い場合であっても、最終的に得られる軟磁性金属粉末の保磁力を低くすることができる。
金属原料粉末100質量%中に含まれるホウ素の含有量は、0.4質量%以上であることが好ましく、0.8質量%以上であることがより好ましい。また、ホウ素の含有量は、2.0質量%以下であることが好ましく、1.6質量%以下であることがより好ましく、1.2質量%以下であることがさらに好ましい。ホウ素の含有量が少なすぎる場合、金属粒子の球状化に必要なホウ素が不足する傾向にある。一方、ホウ素の含有量が多すぎると、球状化が完了する時間が長くなる傾向にある。
クロムは、軟磁性金属粉末の防錆効果および電気抵抗を高める効果がある。金属原料粉末100質量%中に含まれるクロムの含有量は、1質量%以上10質量%以下の範囲であることが好ましい。
ニッケルは、軟磁性金属粉末の結晶磁気異方性および磁歪定数を小さくする効果がある。本実施形態では、金属原料粉末に含まれる鉄とニッケルの含有量を100質量%としたときに、ニッケルの含有量(Ni/(Fe+Ni)質量比)が40質量%以上80質量%以下となる範囲であることが好ましい。
軟磁性金属に酸素が含まれる場合、酸素は保磁力を高めるので一般的に不純物として認識される。したがって、酸素の含有量は少ないことが求められる。しかしながら、本実施形態では、後述するように、熱処理工程において金属原料粒子に含まれる酸素が当該粒子の球状化に利用される際に、酸素は当該粒子から分離してガスとなるので、最終的に得られる軟磁性金属粉末を構成する金属粒子に含まれる酸素量は金属原料粉末を構成する金属原料粒子に含まれる酸素量よりも低減できる。したがって、金属原料粉末に所定量の酸素が含まれ、金属原料粉末の保磁力が高い場合であっても、最終的に得られる軟磁性金属粉末の保磁力を低くすることができる。
金属原料粉末100質量%中に含まれる酸素の含有量は、0.100質量%以上であることが好ましく、0.200質量%以上であることがより好ましい。また、酸素の含有量は、1.000質量%以下であることが好ましく、0.600質量%以下であることがより好ましい。
金属原料粉末の平均粒径は特に制限されないが、本実施形態に係る方法により製造される軟磁性金属粉末の狙いの平均粒径よりも小さい必要がある。後述するが、本実施形態では、金属原料粉末を構成する金属原料粒子同士の結合を契機にして球状化するからである。したがって、金属原料粉末を構成する金属原料粒子の形状は特に制限されず、不定形であってもよい。
金属原料粉末を作製する方法は特に制限されず、本実施形態では、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、鋳造粉砕法等が例示されるが、微細な粉末が得られやすい水アトマイズ法が好ましい。
金属原料粉末を構成する金属原料粒子の断面の模式図を図2に示す。金属原料粉末を構成する金属原料粒子1の断面形状は不定形である。粒子1の内部において、Fe−Si系合金からなる結晶粒4aおよび鉄とホウ素との合金であるFeB相2が存在し、結晶粒4aの間、および、結晶粒4aとFeB相2との間には、結晶粒界4bが存在している。また、結晶粒4aには、Fe−Si系合金に含まれるホウ素3が存在している。粒子1の表面は酸化物5で覆われている。
(1.2.混合工程)
混合工程では、金属原料粉末と炭素源物質とを混合することにより、混合粉末を作製する。炭素源物質としては、後述する熱処理工程において、炭素を供給できる物質であれば特に制限されない。本実施形態では、炭素源物質は、炭素および/または有機化合物である。
炭素としては、グラファイト、カーボンブラック、アモルファスカーボンなどの炭素粉末が例示される。有機化合物としては、非酸化性の雰囲気で加熱した場合に熱分解して、炭素を発生させる物質が例示される。具体的には、炭化水素、アルコール、樹脂などが例示される。
後述する熱処理工程において、炭素源物質は、金属原料粉末を構成する金属原料粒子表面に炭素を含む微粒子を付着させる。この付着した炭素を含む微粒子が当該粒子を球状化する役割の一部を担うことができる。炭素源物質が有機化合物である場合には、有機化合物が非酸化性の雰囲気で加熱されることにより熱分解し、炭素を含む微粒子が生成し、粒子表面に付着する。
炭素源物質は、炭素のみで構成されていてもよいし、有機化合物のみで構成されていてもよいし、炭素と有機化合物とから構成されていてもよい。また、炭素および有機化合物は、それぞれ、例示した物質を2種類以上含んでいてもよい。
本実施形態では、炭素源物質は、炭素粉末であることが好ましい。炭素は熱分解せずに粒子表面に付着するため、球状化反応に寄与する炭素量の制御が容易だからである。
炭素源物質の形態が粉末である場合には、金属原料粉末に炭素源物質をコーティングして用いることが好ましい。コーティングすることにより、原料粉末と炭素源物質との分散性を高めて、熱処理工程における球状化の効果を高めることができる。コーティングする方法としては、公知の方法であれば特に制限されないが、たとえば、炭素源物質の粉末を有機溶剤に分散させた溶媒を、金属原料粉末と混合して乾燥することによりコーティングする方法が例示される。また、コーティングの助剤として樹脂などの有機化合物を用いてもよい。
混合粉末に含まれる炭素源物質の含有量は、金属原料粉末に含まれる酸素の含有量100質量%に対して、炭素換算で30質量%以上とするのが好ましく、より好ましくは90質量%以上とすることが好ましい。上記の範囲内で含まれることにより、後述する熱処理において金属原料粒子の球状化を促進する。 混合粉末を構成する金属原料粒子の断面模式図を図3に示す。混合粉末を構成する金属原料粒子1a、1bの周囲に炭素源物質7が存在している。
(1.3.熱処理工程)
熱処理工程では、準備した混合粉末を窒素を含む非酸化性雰囲気の気流中で熱処理する。本実施形態では、熱処理工程は、初期過程、球状化過程および後期過程の3つの過程に分けることができる。
(1.3.1.初期過程)
初期過程では、混合粉末を、窒素を含む非酸化性雰囲気中で昇温する。昇温に伴い、雰囲気中の窒素と、混合粉末を構成する金属原料粉末の金属原料粒子に含まれるホウ素の一部と、が反応して、金属原料粒子の表面に窒化ホウ素を含む被覆部が形成される。形成される窒化ホウ素のホウ素源は、金属原料粒子におけるFe−Si系合金からなる結晶粒4aに含まれるホウ素および鉄とホウ素との合金であるFeB相2に含まれるホウ素の両方である。
FeB相に含まれるホウ素の大部分は窒化ホウ素の形成に消費される。その結果、図4に示すように、FeB相は分解され、ほぼ消失する。一方、Fe−Si系合金からなる結晶粒4aは、結晶粒4aに含まれるホウ素を放出しつつ、FeB相を構成していた鉄を取り込みながら粒成長する。その結果、粒子1a、1bに含まれる結晶粒の数は減少するが、粒子1a、1bは依然として複数の結晶粒4aを含んでいる。また、初期過程では、粒子1a、1bの断面形状は不定形であり、図3に示す熱処理工程前の原料粉末の金属原料粒子の断面形状とほぼ同様である。
なお、結晶粒4aに含まれるホウ素およびFeB相に含まれるホウ素の全量が窒化ホウ素の形成に用いられなくてもよく、ホウ素が粒子内に残存してもよい。残存するホウ素は、主に、結晶粒4aの内部あるいは結晶粒界4bに存在する。
また、図4に示すように、本実施形態では、この被覆部は窒化ホウ素の薄片8である。この薄片8は、粒子1a、1bの表面の一部を少なくとも覆っていればよいが、図4に示すように、表面全体を覆っていることが好ましい。
金属原料粉末を構成する各金属原料粒子におけるホウ素の含有量はほぼ一定であり、粒子径の小さな粒子ほど比表面積が大きい。したがって、初期過程において形成される窒化ホウ素の薄片の厚みは、粒子径の小さい粒子の方が薄くなる。
炭素源物質は、炭素の微粒子として、金属原料粒子1a、1bの間に存在しているが、炭素の一部は金属原料粒子1a、1bの内部に拡散し、金属原料粒子の球状化を促進する。なお、炭素源物質が有機化合物である場合には、初期過程において、有機化合物が熱分解して金属原料粉末を構成する金属原料粒子1a、1bの表面に炭素の微粒子が生成する。発生する炭素の一部は金属原料粒子の内部に拡散する。
(1.3.2.球状化過程)
球状化過程では、金属原料粉末を構成する粒子に含まれる酸素が炭素によって還元され、一酸化炭素(CO)のガスが発生する。図2〜4に示すように、金属原料粉末に含まれる酸素は、ケイ素などの金属元素と結合して酸化物となり、当該酸化物は金属原料粒子の表面に存在している。粒子表面に存在する酸化物は、上記の混合粉末に含まれる炭素、あるいは初期過程において発生した炭素により金属に還元される。還元により生じた酸素は炭素と反応して一酸化炭素のガスを発生させるので、金属原料粒子に含まれる酸素の含有量は低減する。
また、一酸化炭素ガスが発生すると、粒子表面付近における一酸化炭素ガスの分圧が高くなるため、その周囲の窒素の分圧が相対的に低下する。窒化ホウ素は窒素分圧が高い場合には安定に存在できるが、窒素分圧が低下すると不安定となりホウ素と窒素とに分解する傾向にある。
したがって、球状化過程では、一酸化炭素の発生に伴い、初期過程において金属原料粒子表面に形成された窒化ホウ素の一部が分解する。生成したホウ素は金属原料粒子に取り込まれ、鉄等の金属成分と反応し、ホウ素を含む合金が生成する。この合金の融点は低いため、金属原料粒子の表層にホウ素を含む合金の液相9として存在する。なお、初期過程において、金属原料粒子の内部に拡散した炭素は、液相9の融点を下げることができ、球状化をさらに促進することができる。
液相9は窒化ホウ素との濡れ性が非常に悪い。したがって、粒子表面に残存する窒化ホウ素8と液相9との界面では、液相9は窒化ホウ素8に付着することなく、液相9が表面張力により表面積を小さくする際に、液相9の内側に存在する結晶粒4aを包み込む。その結果、球状化過程前において金属原料粒子の形状が不定形であっても、図5に示すように、金属原料粒子が球状化して金属粒子となる。
上述したように、粒子径の小さな金属原料粒子ほど、表面に形成される窒化ホウ素の厚みが薄くなる。したがって、粒子径の小さな金属原料粒子において、窒化ホウ素の分解に起因して生成する液相9の周囲には、分解されていない窒化ホウ素が存在している確率は低く、液相9は粒子の外側に露出しやすい。その結果、粒子径の小さな金属粒子は、周囲に存在する粒子径の小さな金属粒子と、液相9を介して接触する頻度が高くなる。
図6Aおよび図6Bに示すように、接触した2個の球状金属粒子の液相は表面張力により表面積を小さくしようとする、すなわち、球状になろうとするので、2個の金属粒子が一体化し1個の球状金属粒子を形成する。球状金属粒子において、ホウ素を含む合金の液相の内側には、ホウ素と反応していない金属の結晶粒4aが存在するが、液相9と結晶粒4aの界面自由エネルギーを下げるために、結晶粒4aは球状化するとともに、複数の結晶粒が1個の結晶粒となる単結晶化が進行する。したがって、球状化過程では、表層がホウ素を含む合金の液相で構成され、その内側が1個の結晶粒から構成される球状金属粒子が生成する。
なお、2個の金属粒子が一体化する際には、それぞれの金属粒子の表面に付着していた窒化ホウ素の少なくとも一部が剥離して、金属粒子から遊離した窒化ホウ素の薄片が生成する。
球状化過程では、上述したように、粒子径の小さい金属粒子が優先的に他の金属粒子と結合することから、粒子径の小さい金属粒子は、球状化過程前の粒子径よりも大きい金属粒子になる頻度が高い。一方、粒子径の大きい金属粒子では表面に形成される窒化ホウ素の厚みが、粒子径の小さい金属粒子の表面に形成される窒化ホウ素の厚みよりも相対的に厚い。粒子径の大きい金属粒子の内部では球状化が進行するものの、液相同士が接触する頻度が、粒子径の小さい金属粒子よりも低いため、他の金属粒子と結合して一体化する頻度は低い。そのため、粒子径の大きな粒子が、球状化過程前の粒子径よりも大きくなる頻度は低い。
したがって、金属原料粉末に含まれる金属原料粒子の粒度分布と、得られる軟磁性金属粉末に含まれる金属粒子の粒度分布とを比較すると、軟磁性金属粉末に含まれる金属粒子の粒度分布では、粒子径が小さい粒子が減少し、粒子径が大きい粒子がほとんど増えない。したがって、金属粒子の粒子径の分散が小さい軟磁性金属粉末を得ることができる。
通常、ケイ素の酸化物を炭素で還元するのは非常に困難であることが知られている。たとえば、ケイ素の酸化物と炭素とを混合して非酸化性雰囲気中で加熱しても還元反応は起こらない。
しかしながら、上述したように、本発明者は、ケイ素を含む鉄合金の表面に存在するケイ素の酸化物は、非酸化性雰囲気中で加熱することで、炭素により還元されうることを見出した。さらに、本発明者は、還元反応が進行する温度と、ホウ素が他の成分とともに液相を生成する温度と、がほぼ一致することではじめて粒子の球状化が進行することを見出した。
(1.3.3.後期過程)
上述した酸化物の還元反応が進み、酸素と炭素とが一酸化炭素の発生に消費されると、酸素および炭素の一方あるいは両方の含有量が少なくなる。その結果、一酸化炭素の発生が終息し、これに伴い、球状化過程も終息し、後期過程に移行する。
後期過程では、一酸化炭素の発生が終息すると、その周囲の窒素分圧が再び高くなることから、図7に示すように、金属粒子の表層に位置する液相に含まれるホウ素が、雰囲気中の窒素と再び反応して金属粒子の表面に窒化ホウ素を形成する。窒化ホウ素の形成に伴い、液相に含まれるホウ素量が減少すると、ホウ素を含む合金の液相量が少なくなり、液相に溶解していた成分が、内側に存在する結晶粒の表面に晶出する。
液相に含まれていたホウ素が、窒化反応で消費されほぼ消失すると、窒化ホウ素を形成する反応が終息し、図7に示すように、単結晶からなる球状粒子の表面に窒化ホウ素が形成された金属粒子を得ることができる。後期過程後には、金属粒子に含まれるホウ素の大部分は、窒化ホウ素の薄片8bとして金属粒子外に排出されるが、微量のホウ素が金属粒子の内部に残存する。
さらに、窒素を含む非酸化性雰囲気中で冷却することにより、単結晶からなる球状粒子の表面に窒化ホウ素が形成された金属粒子で構成された酸素含有量の少ない軟磁性金属粉末が得られる。
上述した初期過程、球状化過程および後期過程は1回の熱処理工程において連続的に行うことが好ましいが、数回の熱処理工程に分けて、各過程を独立して行うこともできる。また、本実施形態では、熱処理工程において、上記の反応を均一かつスムーズに進行させるために、混合粉末を蓋付きの容器に充填して熱処理することが好ましい。また、雰囲気ガス(窒素ガス等)の流量を制御することが好ましい。
熱処理工程では、雰囲気中の窒素分圧は0.5atm以上であることが好ましく、0.9atm以上であることがより好ましく、1.0atm以上であることが好ましい。雰囲気の圧力が大気圧の場合には、窒素濃度が50%以上、であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%、すなわち、純窒素であることが特に好ましい。また、雰囲気中の酸素分圧は0.0001atm以下であることが好ましい。酸素分圧が高すぎると、窒化反応と平行して、金属の酸化反応が進行し、被覆部の形成が不均一となる傾向にある。
熱処理工程では、熱処理温度は1250℃以上であり、1300℃以上であることが好ましい。また、熱処理温度は1500℃以下であることが好ましい。熱処理温度が低すぎると、球状化を伴う一連の反応が進行しない傾向にある。一方、熱処理温度が高すぎると、窒化ホウ素の分解反応が進みすぎる、あるいは、液相の合金の生成量が増えすぎるため、制御が困難になる傾向にある。
なお、1000℃以上の高温では、金属原料粉末の金属原料粒子同士が固着して焼結しやすくなる。しかしながら、本実施形態では、初期過程において金属原料粒子の表面に窒化ホウ素を含む被覆部が速やかに形成されるとともに、混合粉末に由来する炭素の粒子も粒子間に介在する。その結果、金属原料粒子同士の固着が十分に抑制され、焼結しない。窒化ホウ素および炭素は耐熱性が高く、難焼結性であり、粒子同士の焼結を阻害するからである。
(1.4.窒化ホウ素除去工程)
図7から明らかなように、熱処理工程後の金属粒子の表面には窒化ホウ素が形成されているので、熱処理工程後の軟磁性金属粉末には、窒化ホウ素の薄片が含まれている。この軟磁性金属粉末を用いて、圧粉コアを成形した場合、窒化ホウ素の薄片は軟磁性金属粒子間に存在する。窒化ホウ素は金属粒子に比べて密度が低いため、圧粉コアの相対密度は若干低下する傾向にある。また、窒化ホウ素は非磁性であるため、軟磁性金属粒子間に存在する窒化ホウ素は、軟磁性金属粒子内に反磁界を発生させ、その結果、圧粉コアの透磁率が低下する。そのため、圧粉コアの透磁率が高いことが求められる場合には、球状化工程後の軟磁性金属粉末に対して、窒化ホウ素除去工程を行うことが好ましい。
このような窒化ホウ素の薄片は、所定の操作で軟磁性金属粒子から分離することができる。高い透磁率が求められない場合には、篩い分け、サイクロン、静電分離、磁気分級、風力分級、湿式沈降分離などの分級装置を用いて、主に剥離しやすい薄片を分離することができる。
また、高い透磁率が求められる場合には、たとえば、軟磁性金属粉末を解砕することにより、軟磁性金属粒子に小さな衝撃力を与えて軟磁性金属粒子から窒化ホウ素の薄片を強制的に分離することができる。解砕には、湿式ボールミル、乾式ボールミル、ジェットミルなどの一般的な解砕装置を用いることができる。また、分級機能を有する解砕装置などの複合装置を用いてもよい。
本実施形態では、解砕と分離とを組み合わせて、軟磁性金属粒子から窒化ホウ素の薄片を強制的に分離することが好ましい。たとえば、湿式ボールミルによる解砕を行い、磁気選別により軟磁性金属粒子と窒化ホウ素の薄片とを強制的に分離してもよい。また、乾式解砕による解砕を行い、湿式での磁気選別により軟磁性金属粒子と窒化ホウ素の薄片とを強制的に分離してもよい。さらに、乾式解砕による解砕を行い、風力を用いる分級により軟磁性金属粒子と窒化ホウ素の薄片とを強制的に分離してもよい。
なお、解砕工程の条件、または、分離工程の条件によって窒化ホウ素の除去率は変化するが、窒化ホウ素除去工程を行っても、窒化ホウ素の薄片を完全に除去できる訳ではない。したがって、窒化ホウ素除去工程後の軟磁性金属粉末には、少なくとも微量の窒化ホウ素が含まれている。そのため、所望の磁気特性に応じて、分級、解砕等を制御して、窒化ホウ素を除去すればよい。
また、上記の窒化ホウ素除去工程を行うことにより、軟磁性金属粉末に含まれる炭素粉末も除去できる。なお、窒化ホウ素除去工程を行っても、炭素粉末を完全に除去できる訳ではない。したがって、窒化ホウ素除去工程後の軟磁性金属粉末には、少なくとも微量の炭素が含まれている。
(2.軟磁性金属粉末)
上記の工程を経ることにより、本実施形態に係る軟磁性金属粉末を得ることができる。本実施形態に係る軟磁性金属粉末は、以下のような特性を有している。
(2.1.ホウ素量)
本実施形態に係る軟磁性金属粉末に含まれるホウ素の形態は、金属粒子内に含まれるホウ素と、金属粒子の外部に存在する窒化ホウ素とから成る。上述のように熱処理工程の後期過程でホウ素はその大部分が窒化ホウ素となっているが、金属粒子内にも微量のホウ素が残存する。したがって、軟磁性金属粉末の金属粒子に含まれるホウ素量は、金属原料粉末の金属原料粒子に含まれるホウ素量よりも非常に少ないが、熱処理工程後の軟磁性金属粉末には、金属原料粉末に含まれるホウ素と同量のホウ素が含まれる。また、上述のように窒化ホウ素除去工程で窒化ホウ素の一部を除去してもよい。窒化ホウ素除去工程後の軟磁性金属粉末には、金属原料粉末に含まれるホウ素よりも少ない量のホウ素が含まれる。
熱処理工程の反応を円滑に進めるために、上述したように、金属原料粉末100質量%中に含まれるホウ素量は、0.4質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。したがって、熱処理工程後の軟磁性金属粉末100質量%中にも0.4質量%以上2.0質量%以下のホウ素が含まれる。
軟磁性金属粉末を用いて圧粉コアとする場合には、透磁率の調整のために窒化ホウ素除去工程を行って、一部の窒化ホウ素を除去してもよい。しかし、窒化ホウ素を完全に除去するのは極めて困難であり、金属粒子の表面には窒化ホウ素が残存する。また、金属粒子内にも微量のホウ素が含まれる、したがって、窒化ホウ素除去工程後の軟磁性金属粉末100質量%中には0.010質量%以上のホウ素が含まれる。
なお、軟磁性金属、特に結晶質の軟磁性金属に含まれるホウ素量が多いほど軟磁性金属の保磁力が増大することから、軟磁性金属の金属粒子内に含まれるホウ素量は少ない方が好ましい。本実施形態では、金属原料粉末の金属原料粒子には所定量のホウ素を意図的に含有させているものの、熱処理工程において、当該粒子に含まれるホウ素を窒化ホウ素として金属粒子外に排出して、熱処理後の金属粒子に含まれるホウ素を低減することができる。したがって、ホウ素はできる限り上記の熱処理工程において金属粒子外へ窒化ホウ素として排出することが好ましい。
しかしながら、金属粒子に含まれるホウ素が窒化反応により低減するにしたがい、熱力学的に窒化反応が進行しにくくなる。したがって、粒子内に残存するホウ素を完全に排出することは極めて困難である。特に、金属相には一定量のホウ素が固溶することが知られており(例えばFeに対しては900℃で約15ppm)、Feを主成分とする軟磁性金属相から構成される金属粒子内のホウ素量を15ppm以下に低減することは難しい。一方、本発明者らは、金属粒子内のホウ素量が150ppm以下であれば、保磁力に対する影響は限定的であることを見出した。金属粒子内のホウ素量が100ppm以下であることがより好ましい。
軟磁性金属粉末のホウ素の含有量はICPにより測定することができる。軟磁性金属粉末のホウ素は、金属粒子内に含まれるホウ素と窒化ホウ素に含まれるホウ素からなる。軟磁性金属粉末の金属粒子内に含まれるホウ素の含有量を測定する場合には、窒化ホウ素由来で検出されるホウ素の影響を除去する必要がある。軟磁性金属粉末に含まれる窒素はその大部分が窒化ホウ素として存在することから、窒化ホウ素量を定量して粒子内のホウ素量を計算することができる。
(2.2.炭素量)
本実施形態に係る軟磁性金属粉末に含まれる炭素の形態は、金属粒子内に含まれる炭素と、金属粒子の外部に存在する炭素から成る。
軟磁性金属に含まれる炭素量が多いほど軟磁性金属の保磁力が増大することから金属粒子に含まれる炭素量は少ない方が好ましい。本実施形態では、原料粉末に炭素源物質を意図的に添加し、熱処理工程において、金属原料粒子の表面に付着させているものの、球状化過程において、炭素を一酸化炭素として軟磁性金属粉末外に排出している。本実施形態では、熱処理後の軟磁性金属粉末100質量%中に含まれる炭素量は、0.010質量%以上0.350質量%以下である。
また、熱処理工程において、炭素源物質由来の炭素の一部が金属原料粒子の内部に拡散する。熱処理後の軟磁性金属粉末を構成する金属粒子に含まれる炭素量は、0.010質量%以上0.150質量%以下である。
(2.3.酸素量)
軟磁性金属に含まれる酸素量が多いほど軟磁性金属の保磁力が増大することから金属粒子に含まれる酸素量は少ない方が好ましい。本実施形態では、金属原料粉末の金属原料粒子には所定量の酸素を意図的に含有させているものの、熱処理工程において、金属原料粒子の表面に形成されている酸化物を還元することにより酸素を金属粒子外に排出し、排出された酸素は炭素と反応して一酸化炭素を形成する。したがって、酸化物の還元により金属原料粒子から分離された酸素は、熱処理工程後の軟磁性金属粉末には存在しない。
したがって、熱処理工程後の軟磁性金属粉末の金属粒子の酸素量、すなわち、熱処理工程後の軟磁性金属粉末の酸素量は、金属原料粉末の金属原料粒子に含まれる酸素量、すなわち、熱処理工程前の軟磁性金属粉末の酸素量よりも少なくすることができる。具体的には、熱処理工程後の軟磁性金属粉末100質量%中に含まれる酸素量は0.1000質量%以下であることが好ましい。熱処理工程の条件を調整すれば、軟磁性金属粉末に含まれる酸素量を0.0500質量%以下とすることができる。また、軟磁性金属粉末を大気中で取り扱う際には表面の酸化が不可避であるため、軟磁性金属粉末には、数ppm以上の酸素が含まれる。
(2.4.窒素量)
本実施形態に係る軟磁性金属粉末に含まれる窒素は、金属粒子の表面に窒化ホウ素の形態で存在する。窒素は、金属原料粉末にはほとんど含まれていないが、熱処理工程の後期過程で、金属粒子に含まれるホウ素の大部分が雰囲気中に含まれる窒素と反応して窒化ホウ素となっているため、軟磁性金属粉末には雰囲気中から取り込まれた窒素が含まれる。窒化ホウ素を構成する窒素とホウ素の質量比(N/B)は、14.0/10.8=1.30である。したがって、軟磁性金属粉末に含まれる窒素量は、軟磁性金属粉末に含まれるホウ素量の100〜150質量%である。
(2.5.粒子の円形度)
上記の熱処理工程を行うことにより、軟磁性金属粉末を構成する軟磁性金属粒子のうち、80%以上の軟磁性金属粒子の断面の円形度が0.80以上である粉末を得ることができる。熱処理工程の条件を調整すれば、90%以上の軟磁性金属粒子の断面の円形度が0.80以上である粉末を得ることができる。すなわち、真球状または真球状に近い形状を有する粒子を含む軟磁性金属粉末を得ることができる。
円形度を測定する方法としては以下のようにすればよい。まず、得られる軟磁性金属粉末を冷間埋め込み樹脂に埋め込んで固定し、粉末を構成する粒子の断面が露出するように鏡面研磨する。次いで、断面が露出した粒子を、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)等により観察して、観察画像を画像処理して当該粒子の円形度を測定する。測定する粒子数は、20個以上であることが好ましく、100個以上であることがより好ましい。また、円形度としては、Wadellの円形度を用いることが好ましい。すなわち、粒子断面に外接する円の直径に対する粒子断面の投影面積に等しい円の直径を評価する。真円の場合には、Wadellの円形度は1となる。したがって、Wadellの円形度が1に近いほど、粒子断面の形状も真円に近いこととなる。
本実施形態では、金属原料粒子の形状が改善された金属原料粉末を用いるのではなく、金属原料粉末を熱処理することにより、熱処理後の粒子の形状を改善している。したがって、金属原料粒子の形状が不定形であっても、熱処理後には真球状または真球状に近い形状を有する粒子を得ることができる。
(2.6.粒子の結晶粒径)
上記の熱処理工程を行うことにより、軟磁性金属粉末を構成する金属粒子のうち、85%以上、好ましくは90%以上の金属粒子が1個の結晶粒からなる軟磁性金属粉末を得ることができる。1個の結晶粒からなる金属粒子には、磁壁の移動を妨げる結晶粒界が存在しないため、保磁力が小さい軟磁性金属粉末を得ることができる。
結晶粒の観察方法としては以下のようにすればよい。まず得られる軟磁性金属粉末を冷間埋込樹脂に埋め込んで固定し、粉末を構成する粒子の断面が露出するように鏡面研磨する。次いで、断面が露出した粒子を、ナイタール(エタノール+1%硝酸)などの腐食液でエッチングすることで結晶粒界を観察することができる。観察には光学顕微鏡や電子顕微鏡(SEM)を用いることができる。結晶粒界の観察条件はあらかじめ成分が近い多結晶の合金粉末を用いて確認し、それに準じた条件で行うのがよい。このように準備された金属粒子の断面を少なくとも20個、好ましくは100個以上観察し、結晶粒界が観察されない金属粒子を1個の結晶粒からなる金属粒子としてカウントし、観察した金属粒子の数に対する割合を求めればよい。
(2.7.粒度分布)
上記の熱処理工程を行うことにより、金属粒子の粒度分布の標準偏差が小さい軟磁性金属粉末を得ることができる。本実施形態では、軟磁性金属粉末の粒度分布は、レーザー回折散乱法を用いて算出される体積基準の粒子径から得られる粒度分布である。このような粒度分布において、標準偏差σは、以下の式1から3により表すことができる。
標準偏差σ=(σ1+σ2)/2 ・・・式1
σ1=ln(d50/d16) ・・・式2
σ2=ln(d84/d50) ・・・式3
d16、d50およびd84は、それぞれ、粒度分布における16%累積粒子径、50%累積粒子径および84%累積粒子径を表す。
本実施形態の軟磁性金属粉末には、熱処理工程の球状化過程で遊離した窒化ホウ素の薄片が含まれている。窒化ホウ素の薄片は金属粒子の大きさに比べて小さいことから、粒度分布を測定すると微細な粒子として検出される。軟磁性金属粉末の金属粒子の粒度分布を本質的に測定する際には、上述の窒化ホウ素除去工程の分離操作を行って、遊離した窒化ホウ素の薄片を除去したのちに測定するのがよい。なお、金属粒子に固着している窒化ホウ素は粒度分布に対して大きな影響は与えない。
上記の熱処理工程を行って軟磁性金属粉末を製造することにより、遊離した窒化ホウ素の薄片を除去した後の当該軟磁性金属粉末の粒度分布の標準偏差σ((σ1+σ2)/2)は、0.65以下となる。すなわち、粒度分布がシャープとなる。このような標準偏差の小さい粉末を用いることにより、高い相対密度を有しかつコアロスの小さい圧粉コアを製造することができる。
(3.軟磁性金属圧粉コア)
本発明で得られた軟磁性金属粉末は低い保磁力を示すことから、これを軟磁性金属圧粉コアに用いた場合には、コアロスが小さくなる。軟磁性金属圧粉コアの作製方法は、軟磁性金属粉末として上記で得られた軟磁性金属粉末を使用すること以外は、一般的な製造方法で作製することができる。以下にその一例を示す。
まず、上記で得られた軟磁性金属粉末に対し、樹脂を混合して顆粒を作製する。樹脂としては、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、成形時の保形性と電気的な絶縁性を有するもので、軟磁性金属粉末粒子表面に均一に塗布できるものが好ましい。得られた顆粒を所望の形状の金型に充填し、加圧成形して成形体を得る。成形圧力は軟磁性金属粉末の組成や所望の成形密度により適宜選択することができるが、概ね600〜1600MPaの範囲である。必要に応じて潤滑剤を用いてもよい。得られた成形体は、熱硬化させて軟磁性金属圧粉コアとする。あるいは成形時の歪を除去するために熱処理を行って、軟磁性金属圧粉コアとする。熱処理の温度は500〜800℃で、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの非酸化性雰囲気中で行うことが望ましい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変しても良い。
以下、実施例において、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実験例1)
まず、金属原料粒子の組成が表1に示す組成、および、金属原料粒子に含まれるホウ素および酸素の含有量が表1に示す値となるようにして、金属原料粉末を水アトマイズ法により作製した。作製した金属原料粉末の粒度分布は同等であった。
作製した金属原料粉末に対して、表1に示す炭素源物質を表1に示す量を添加して混合粉末を作製した。炭素源物質としてカーボンブラックを用い、カーボンブラックをアセトン中で分散させた溶液と金属原料粉末とを混合、乾燥して、金属原料粉末を構成する粒子の表面にカーボンブラックを付着させて簡易的なコーティングを行った。また、試料7は炭素源物質としてPVA(ポリビニルアルコール)を用いた。PVA由来の炭素量はPVAを蓋付き容器に入れ、窒素雰囲気中で750℃の熱処理を行い、残渣の重量から有効炭素量を見積もり、この量を用いて表1に示す酸素量に対する炭素量を算出した。
作製した混合粉末をアルミナ製のるつぼに充填し、管状炉に載置して、表1に示す熱処理温度条件、熱処理雰囲気条件で熱処理工程を行った。なお、試料番号1、2は、炭素源物質を添加せず、かつ熱処理工程も行わなかった。すなわち、試料番号1、2は水アトマイズ粉末である。
Figure 2019090103
熱処理工程後の軟磁性金属粉末の形態を表1に示す。表1より、試料番号34、14、15は、熱処理後に、粉末に含まれる粒子同士が焼結していた。
金属原料粉末、および熱処理後の軟磁性金属粉末の形態が粉末である試料1〜2、5〜13、16〜22について、円形度が0.80以上である粒子の割合と、1個の粒子が1個の結晶粒で構成される割合と、を測定した。
粉末を冷間埋め込み樹脂で固定して、粒子の断面が露出するように鏡面研磨を行った。得られた断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、50個の粒子断面をランダムに選択して、その円形度を測定し、円形度が0.80以上の粒子の割合を算出した。円形度としては、Wadellの円形度を用いた。結果を表2に示す。
また、鏡面研磨を行った粒子の断面をナイタールでエッチングした後、50個の粒子断面をランダムに選択して、粒子内に結晶粒界が存在するか否かを評価して、1個の結晶粒からなる粒子の割合を算出した。結果を表2に示す。
試料1〜2、5〜13、16〜22について以下のようにして保磁力を測定した。20mgの軟磁性金属粉末をφ6mmx5mmのプラスチックケースに入れ、パラフィンを融解、凝固させて固定したものを保磁力計(東北特殊鋼社製、K−HC1000型)にて測定した。測定磁界は150kA/mであった。結果を表2に示す。
試料1〜2、5〜13、16〜22について、粉末のホウ素量を、ICPにて測定した。結果を表2に示す。また、粉末の酸素量を、酸素分析装置(LECO社製、TC600)にて測定した。結果を表2に示す。また、粉末の炭素量を、炭素分析装置(LECO社製、CS−600)にて測定した。結果を表2に示す。
Figure 2019090103
試料6〜12、16〜22は、鉄とケイ素とホウ素とを含む複数の原料粒子を有する原料粉末と炭素源物質とを混合し、得られた混合粉末を、窒素を含む非酸化性雰囲気中において、1250℃以上の熱処理温度で熱処理を行ったことにより、円形度が高く、1個の結晶粒から成る金属粒子を多く含み、350A/m以下の低い保磁力を有する軟磁性金属粉末を得られることが確認できた。
また、試料6〜7、9〜11、16〜21は、軟磁性金属粉末のホウ素含有量が0.01〜2.0質量%であり、炭素含有量が0.010〜0.300質量%であり、金属粒子表面に窒化ホウ素が形成され、80%以上の金属粒子の円形度が0.80以上であり、85%以上の金属粒子が1個の結晶粒から成るという形態であることから、250A/m以下の特に低い保磁力が得られることがわかる。
さらに、試料6〜7、10〜11は、軟磁性金属粉末の酸素含有量が0.100質量%以下であることから、同じケイ素含有量の試料9よりもさらに低い保磁力が得られることがわかる。
さらに、試料6について、粒子内ホウ素量と粒子内炭素量とを以下のようにして測定した。得られた軟磁性金属粉末をボールミルにて解砕し、アセトンを加えて撹拌して、金属粒子表面に付着した窒化ホウ素と炭素の微粒子とをアセトン中に浮遊させ、上澄みのアセトンを分離除去することにより、窒化ホウ素と炭素とが除去された熱処理後の軟磁性金属粉末を得た。
解砕時間を1時間、2時間、13時間、18時間と変化させたものについて窒素含有量、ホウ素含有量、炭素含有量を測定した。
窒素含有量は、粉末の窒素量と同様に、窒素分析装置(LECO社製TC600)にて測定した。ホウ素含有量は、粉末のホウ素量と同様に、ICPにて測定した。炭素含有量は、粉末の炭素量と同様に、炭素分析装置(LECO社製、CS−600)にて測定した。
解砕時間が長くなることによって窒化ホウ素が除去され窒化ホウ素量が減少するため、窒素含有量とホウ素含有量とはともに減少していくが、粒子内のホウ素含有量は変化しない。そこで、窒素含有量とホウ素含有量との相関関係を求め、窒素含有量が0となるときのホウ素含有量を外挿し、その値を粒子内のホウ素量としたところ、0.009質量%であった。
また、解砕時間が長くなることによって表面に付着した炭素が減少するため、粒子の外部に存在する炭素含有量は減少していくが、ある値に漸近することから、その収束値を粒子内の炭素含有量としたところ、粒子内の炭素含有量は0.08質量%であった。
金属原料粉末、および熱処理後の軟磁性金属粉末の形態が粉末である試料1〜2、5〜13、16〜22について、粉末の粒度分布およびその標準偏差を測定した。
熱処理後の軟磁性金属粉末は、上述したように、遊離した窒化ホウ素が含まれるため、遊離した窒化ホウ素由来の微粉が検出される。そのため、軟磁性金属粉末の粒度分布が変化する。そこで、軟磁性金属粉末に含まれる金属粒子の粒度分布を測定するために、まず、遊離した窒化ホウ素を以下に示す窒化ホウ素除去工程により除去した。
熱処理後の軟磁性金属粉末を容器に入れ、アセトンを加えて撹拌し、遊離した窒化ホウ素をアセトン中に浮遊させ、磁石を用いて金属粒子のみを沈降させ、窒化ホウ素を含んだ白濁したアセトンを除去する操作を繰り返し、白濁が消えるまでこの操作を行った。遊離した窒化ホウ素を除去した軟磁性金属粉末の粒度分布をレーザー回折式粒子径分布測定装置HELOS&RODOS(日本レーザー製)を用いて測定し、得られた粒度分布から、粒度分布およびその標準偏差を算出した。結果を表2に示す。
なお、白濁した上澄みのアセトンの中に磁石を入れて撹拌し、磁石に付着した金属粒子の重量を測定したところ、投入した軟磁性金属粉末の重量に対して1質量%以下であったことから、熱処理後の軟磁性金属粉末に含まれる金属粒子と、遊離した窒化ホウ素を除去する窒化ホウ素除去工程後の金属粒子はほぼ同じと考えてよい。
試料6〜12、16〜22は、軟磁性金属粉末の粒度分布の標準偏差σが0.70以下であり、原料の水アトマイズ粉末(σ=0.78)に比べて微粉の量が少ない軟磁性金属粉末を得られることが確認できた。また、粗粉側の粒径はd90%が58〜67μmであり、原料の水アトマイズ粉末(d90%=57μm)に比べて、ほとんど変化していないか、20%以下の増加に留まっていることから、渦電流損失が大きくなることもない。
さらに、試料6〜7、9〜11、16〜21は、軟磁性金属粉末の粒度分布の標準偏差σが0.65以下であり、さらに微粉の量が少ない軟磁性金属粉末を得られることが確認できた。
また、試料5〜13、16〜22では白濁した上澄みのアセトンを乾燥し、得られた白色粉末をXRDにて測定したところ、窒化ホウ素が生成していることが確認された。熱処理後の粉末の外観をSEMにて観察したところ、窒化ホウ素が金属粒子表面に付着している様子が確認された。
(実験例2)
試料6の軟磁性金属粉末について、遊離した窒化ホウ素と金属粒子表面に付着した窒化ホウ素とを除去する、窒化ホウ素除去工程を行った。熱処理後の軟磁性金属粉末とジルコニア製メディアと溶媒としてのエタノールとをボールミルに入れ、0.5時間(試料6−2)、1.0時間(試料6−3)、3時間(試料6−4)の解砕処理を行ったところ、エタノールが白濁し、懸濁液が得られた。得られた懸濁液にエタノールを追加し、熱処理後の金属粉末と上澄みの懸濁液とを磁気分離し、窒化ホウ素が除去された熱処理後の軟磁性金属粉末を得た。
得られた窒化ホウ素除去後の軟磁性金属粉末について、上記試料6の場合と同様に円形度、1個の結晶粒から成る金属粒子の割合、軟磁性金属粉末の酸素含有量、炭素含有量、ホウ素含有量、保磁力を測定し、表3に示した。表3から明らかなように、窒化ホウ素除去工程を行った場合でも、円形度が高く、1個の結晶粒から成る金属粒子が多く、300A/m以下の低い保磁力が得られることが確認された。
Figure 2019090103
また、金属原料粉末(試料2)と本実施形態の窒化ホウ素除去工程後の軟磁性金属粉末(試料6−2)の外観のSEM写真をそれぞれ図8A、図8Bに示した。これらから明らかなように、粒子形状が不定形で、微粉が多く含まれる原料粉末を用いた場合であっても、本実施形態の製造方法によれば、球形度が高く、微粉量の少ない軟磁性金属粉末を得ることができる。
(実験例3)
試料1と試料6、試料6−2〜6−4の軟磁性金属粉末を用いて、圧粉コアを作製し、それぞれ試料2−1〜2−5とした。軟磁性金属粉末100質量%に対し、シリコーン樹脂を1.0質量%加え、ニーダーで混練して顆粒を作製した。これを外径17.5mm、内径11.0mmのトロイダル形状の金型に充填し、成形圧1180MPaで加圧し成形体を得た。コア重量は5gとした。得られた成形体をベルト炉にて750℃で30min、窒素雰囲気中で熱処理して圧粉コアとした。
得られた圧粉コアについて、透磁率とコアロスを評価した。透磁率とコアロスはBHアナライザ(岩通計測社製SY−8258)を用いて周波数50kHz,測定磁束密度50mTの条件で測定し、表4に示した。また、LCRメータ(アジレント・テクノロジー社製4284A)と直流バイアス電源(アジレント・テクノロジー社製42841A)を用いて、周波数100kHzにおける軟磁性金属圧粉磁心のインダクタンスを測定し、インダクタンスから軟磁性金属圧粉磁心の透磁率を算出した。直流重畳磁界が0A/mの場合と8000A/mの場合について測定し、それぞれの透磁率をμ(0A/m)、μ(8kA/m)として表4に示した。またその変化率を計算して表4に示した。
Figure 2019090103
表4より、試料2−1と試料2−2〜2−5を比較すると、本発明の軟磁性金属粉末を用いた軟磁性金属圧粉コアは、コアロスを改善することができ、直流磁界を重畳させたときの透磁率の変化率が小さく、直流重畳特性に優れることが確認された。
1…金属原料粒子
2…FeB相
3…ホウ素
4a…結晶粒
4b…結晶粒界
5…酸化物
7…炭素源物質
8…薄片
9…液相

Claims (11)

  1. 鉄とケイ素とホウ素とを含む複数の金属原料粒子を有する金属原料粉末を準備する原料粉末準備工程と、
    前記金属原料粉末と炭素源物質とを混合し、混合粉末を得る混合工程と、
    前記混合粉末を、窒素を含む非酸化性雰囲気中において、1250℃以上の熱処理温度で熱処理を行い、前記金属原料粒子を球状化する熱処理工程と、を有することを特徴とする軟磁性金属粉末の製造方法。
  2. 前記熱処理工程後の軟磁性金属粉末に含まれる窒化ホウ素の一部を除去する窒化ホウ素除去工程を有することを特徴とする請求項1に記載の軟磁性金属粉末の処理方法。
  3. 前記原料粉末準備工程において、前記金属原料粉末100質量%中に含まれる前記ホウ素の含有量が0.4質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の軟磁性金属粉末の製造方法。
  4. 前記原料粉末準備工程において、前記金属原料粉末100質量%中に含まれる酸素の含有量が0.100質量%以上1.000質量%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の軟磁性金属粉末の製造方法。
  5. 前記熱処理工程において、前記金属原料粒子の表面に窒化ホウ素を含む被覆部を形成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の軟磁性金属粉末の製造方法。
  6. 鉄とケイ素とホウ素と炭素とを含む複数の金属粒子を有する軟磁性金属粉末であって、
    前記軟磁性金属粉末100質量%中に含まれるホウ素の含有量が0.010質量%以上2.0質量%以下であり、
    前記軟磁性金属粉末100質量%中に含まれる炭素の含有量が0.010質量%以上0.350質量%以下であり、
    前記金属粒子の表面に窒化ホウ素が形成されており、
    前記金属粒子のうち、80%以上の金属粒子の円形度が0.80以上であり、
    前記金属粒子のうち、85%以上の金属粒子が1個の結晶粒からなることを特徴とする軟磁性金属粉末。
  7. 前記軟磁性金属粉末100質量%中に含まれるクロムの含有量が1質量%以上10質量%以下であることを特徴とする請求項6に記載の軟磁性金属粉末。
  8. 前記軟磁性金属粉末に含まれる鉄とニッケルとの合計の含有量を100質量%としたときに、ニッケルの含有量が40質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項6または7に記載の軟磁性金属粉末。
  9. 前記金属粒子に含まれる炭素の含有量が0.010質量%以上0.150質量%以下であることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の軟磁性金属粉末。
  10. 前記軟磁性金属粉末100質量%中に含まれる酸素の含有量が0.1000質量%以下であることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の軟磁性金属粉末。
  11. 請求項6から10のいずれかに記載の軟磁性金属粉末を有することを特徴とする軟磁性金属圧粉コア。
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