JP2019092811A - バルーンカテーテル - Google Patents

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Abstract

【課題】薬剤の生体移行性を容易に向上できるバルーンカテーテルを提供する。【解決手段】バルーン30の表面に薬剤が設けられるバルーンカテーテルであって、拡張可能なバルーン30と、前記バルーン30の表面に設けられる薬剤を含む薬剤コート層40と、前記バルーン30の表面および薬剤コート層40を部分的に覆い、前記バルーン30から独立して変形可能な離脱補助部50と、を有する。【選択図】図3

Description

本発明は、バルーンの表面に薬剤が設けられるバルーンカテーテルに関する。
近年、生体管腔内に生じた病変部(狭窄部)の改善のために、バルーンカテーテルが用いられている。バルーンカテーテルは、通常、長尺なシャフト部と、シャフト部の遠位側に設けられて径方向に拡張可能なバルーンとを備えている。収縮されているバルーンを、細い生体管腔を経由して体内の目的場所まで到達させた後に拡張させることで、病変部を押し広げることができる。
しかしながら、病変部を強制的に押し広げると、平滑筋細胞が過剰に増殖して病変部に新たな狭窄(再狭窄)が発症する場合がある。このため、最近では、バルーンの表面に狭窄を抑制するための薬剤をコーティングした薬剤溶出バルーン(Drug Eluting Balloon:DEB)が用いられている。薬剤溶出バルーンは、拡張することで表面にコーティングされている薬剤を病変部へ瞬時に放出し、これにより、再狭窄を抑制することができる。
ところで、バルーンの表面の薬剤は、生体に押し付けられた際に、全てが生体へ移行するわけではない。したがって、バルーンの表面の薬剤の生体への移行性の向上が望まれる。
例えば、特許文献1には、通電により発熱するエネルギー送達表面を有するバルーンに、熱的に変化しやすいコーティングが形成されたバルーンカテーテルが記載されている。このバルーンカテーテルは、エネルギー送達表面に通電してコーティングを加熱することで、コーティングに含まれる生体活性材料を放出することが可能である。
特表2012−526635号公報
特許文献1に記載のバルーンカテーテルは、薬剤の生体移行性が高いが、外部から電流を供給する必要があるため、手技が煩雑となる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、薬剤の生体移行性を容易に向上できるバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係るバルーンカテーテルは、バルーンの表面に薬剤が設けられるバルーンカテーテルであって、拡張可能なバルーンと、前記バルーンの表面に設けられる薬剤を含む薬剤コート層と、前記バルーンの表面および薬剤コート層を部分的に覆い、前記バルーンから独立して変形可能な離脱補助部と、を有する。
上記のように構成したバルーンカテーテルは、バルーンが拡張する際に、バルーンから独立して変形する離脱補助部により薬剤コート層をこすり落とすことができ、薬剤の生体移行性を容易に向上できる。
前記離脱補助部は、前記バルーンの表面および薬剤コート層を部分的に覆う網状の筒体であってもよい。これにより、離脱補助部は、薬剤コート層を効果的にこすり落とすことができる。
前記離脱補助部は、前記バルーンの軸方向の少なくとも一方側で前記バルーンまたはシャフト部に固定されてもよい。これにより、バルーンを生体内で搬送する際に、離脱補助部がバルーンから脱落することを抑制できる。
前記離脱補助部は、前記バルーンまたはシャフト部に離脱可能に仮止めされてもよい。これにより、離脱補助部は、バルーンにより拡張されるまで収縮した状態を維持でき、嵩張らないために搬送が容易である。また、離脱補助部は、バルーンまたはシャフト部に仮止めされることで、バルーンからの脱落を抑制でき、安全性が向上する。
前記離脱補助部は、伸縮可能な材料により形成されてもよい。これにより、離脱補助部は、バルーンが拡張するまで収縮した状態を維持でき、嵩張らないため、搬送が容易である。また、離脱補助部は、バルーンが拡張する際に、自己の収縮力によってバルーンの表面に押し付けられるため、バルーンの表面の薬剤コート層を効果的にこすり落とすことができる。また、離脱補助部は、収縮力をバルーンに作用させつつバルーンを覆っていることで、バルーンからの脱落を抑制でき、安全性が向上する。また、バルーンが収縮する際に離脱補助部も収縮し、回収が容易である。また、離脱補助部は、拡張した後のバルーンに収縮力を作用させるため、バルーンを小径に縮径でき、操作性が向上して回収が容易となる。
前記バルーンカテーテルは、遠位部が前記離脱補助部に固定された牽引ワイヤをさらに有してもよい。これにより、牽引ワイヤを牽引することで、離脱補助部をバルーンに対して移動させて、バルーンから薬剤コート層をこすり落とすことができる。
第1実施形態に係るバルーンカテーテルを示す正面図である。 第1実施形態に係るバルーンカテーテルの遠位部を示す正面図である。 バルーンカテーテルの遠位部を示す断面図である。 図2のA−A線に沿う断面図である。 バルーンが拡張した状態のバルーンカテーテルの遠位部を示す正面図である。 図5のB−B線に沿う断面図である。 第1実施形態に係るバルーンカテーテルの変形例を示す正面図であり、(A)は第1変形例、(B)は第2変形例、(C)は第3変形例を示す。 第2実施形態に係るバルーンカテーテルを示す正面図である。 第2実施形態に係るバルーンカテーテルの遠位部を示す断面図である。 バルーンが拡張した状態のバルーンカテーテルの遠位部を示す正面図である。 第3実施形態に係るバルーンカテーテルを示す正面図である。 バルーンを拡張させる前の状態を示す正面図である。 バルーンを途中まで拡張させた状態を示す正面図である。 バルーンから離脱補助部を移動させた状態を示す正面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るバルーンカテーテル10は、図1〜4に示すように、バルーン30の表面に薬剤コート層40が設けられる薬剤溶出型のバルーンカテーテルである。なお、本明細書では、バルーンカテーテル10の生体管腔に挿入する側を「遠位側」、操作する手元側を「近位側」と称することとする。
まず、バルーンカテーテル10の構造を説明する。バルーンカテーテル10は、長尺なシャフト部20と、シャフト部20の遠位部に設けられるバルーン30と、バルーン30の表面に設けられる薬剤コート層40と、バルーン30および薬剤コート層40を覆う離脱補助部50と、シャフト部20の近位端に固着されたハブ26とを有している。
シャフト部20は、遠位端および近位端が開口した管体である外管21と、外管21の内部に配置される管体である内管22とを備えている。内管22は、外管21の中空内部に納められており、シャフト部20は、遠位部において二重管構造となっている。内管22の中空内部は、ガイドワイヤを挿通させるガイドワイヤルーメン24である。また、外管21の中空内部であって、内管22の外側には、バルーン30の拡張用流体を流通させる拡張ルーメン23が形成される。内管22は、開口部25において外部に開口している。内管22は、外管21の遠位端よりもさらに遠位側まで突出している。内管22の遠位部に、別部材である先端チップが設けられてもよい。
バルーン30は、軸心方向における中央部に形成されるストレート部31と、ストレート部31の近位側に位置する近位テーパ部32と、ストレート部31の遠位側に位置する遠位テーパ部33とを備えている。ストレート部31は、拡張させた際に外径が略等しい円筒状となる。近位テーパ部32は、ストレート部31から近位側へ向かって外径が徐々に減少している。遠位テーパ部33は、ストレート部31から遠位側へ向かって外径が徐々に減少している。
バルーン30は、近位テーパ部32の近位側に位置するバルーン融着部34が外管21の遠位部に融着されている。また、バルーン30は、遠位テーパ部33の遠位側に位置するバルーン融着部35が内管22の遠位部に融着されている。なお、バルーン30を、外管21および内管22に固定する方法は、融着に限定されず、例えば接着されてもよい。これにより、バルーン30の内部が拡張ルーメン23と連通している。拡張ルーメン23を介してバルーン30に拡張用流体を注入することで、バルーン30を拡張させることができる。拡張用流体は気体でも液体でもよく、例えばヘリウムガス、COガス、Oガス、Nガス、Arガス、空気、混合ガス等の気体や、生理食塩水、造影剤等の液体を用いることができる。
バルーン30は、径方向へ突出するように形状付けられた複数の羽根部37を有している。羽根部37は、周方向に寝かせて畳むことができる。羽根部37は、バルーン30の略軸心方向に延びる折り目によって形成される。羽根部37の長軸方向の長さは、バルーン30の長さを超えない。羽根部37の数は特に限定されず、例えば1〜7枚であるが、本実施形態では3枚である。複数の羽根部37は、バルーン30の周方向に均一に配置されることが好ましいが、これに限定されない。
バルーン30の軸心方向の長さは特に限定されないが、好ましくは5〜500mm、より好ましくは10〜300mm、さらに好ましくは20〜200mmである。バルーン30の拡張時の外径は、特に限定されないが、好ましくは1〜10mm、より好ましくは2〜8mmである。
バルーン30は、ある程度の柔軟性を有するとともに、血管や組織等に到達した際に拡張されて、その表面に有する薬剤コート層40から薬剤を放出できるようにある程度の硬度を有するものが好ましい。具体的には、金属や、樹脂で構成されるが、薬剤コート層40が設けられるバルーン30の少なくとも表面は、樹脂で構成されていることが好ましい。バルーン30の少なくとも表面の構成材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ナイロンエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が使用できる。そのなかでも、好適にはポリアミド類が挙げられる。
バルーン30は、その表面上に、直接またはプライマー層等の前処理層を介して薬剤コート層40が形成される。薬剤コート層40は、薬剤の結晶および/またはアモルファス(非結晶質)を有している。薬剤コート層40は、薬剤以外の添加剤(賦形剤)を含んでもよい。
薬剤コート層40は、ストレート部31の表面の全体に形成される薬剤を含む層である。なお、バルーン30において薬剤コート層40を形成する範囲は、ストレート部31のみに限定されず、ストレート部31に加えて近位テーパ部32や遠位テーパ部33の少なくとも一部が含まれてもよい。または、バルーン30において薬剤コート層40を形成する範囲は、ストレート部31の一部のみであってもよい。
薬剤コート層40に含まれる薬剤は、水溶性薬剤でもよいが、水不溶性薬剤であることが好ましい。水不溶性薬剤とは、水に不溶または難溶性である薬剤を意味し、具体的には、水に対する溶解度が、pH5〜8で5mg/mL未満である。その溶解度は、1mg/mL未満、さらに、0.1mg/mL未満でもよい。水不溶性薬剤は脂溶性薬剤を含む。
いくつかの好ましい水不溶性薬剤の例は、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリンを含むシクロスポリン類、ラパマイシン等の免疫活性剤、パクリタキセル等の抗がん剤、抗ウイルス剤または抗菌剤、抗新生組織剤、鎮痛剤および抗炎症剤、抗生物質、抗てんかん剤、不安緩解剤、抗麻痺剤、拮抗剤、ニューロンブロック剤、抗コリン作動剤およびコリン作動剤、抗ムスカリン剤およびムスカリン剤、抗アドレナリン作用剤、抗不整脈剤、抗高血圧剤、ホルモン剤ならびに栄養剤を含む。
水不溶性薬剤は、ラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エベロリムスからなる群から選択される少なくとも1つが好ましい。本明細書においてラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エベロリムスとは、同様の薬効を有する限りそれらの類似体および/またはそれらの誘導体を含む。例えば、パクリタキセルとドセタキセルは類似体の関係にある。ラパマイシンとエベロリムスは誘導体の関係にある。これらのうちでは、パクリタキセルがさらに好ましい。
薬剤コート層40に添加剤が含まれる場合、添加剤は、例えば、水溶性の低分子化合物を含む。水溶性の低分子化合物の分子量は、50〜2000であり、好ましくは50〜1000であり、より好ましくは50〜500であり、さらに好ましくは50〜200である。水溶性の低分子化合物は、水不溶性薬剤100質量部に対して、好ましくは10〜5000質量部、より好ましくは50〜3000質量部、さらに好ましくは100〜1000質量部である。水溶性の低分子化合物の構成材料は、セリンエチルエステル、グルコースなどの糖類、ソルビトールなどの糖アルコール、クエン酸エステル、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、尿素、水溶性ポリマー、造影剤、アミノ酸エステル、短鎖モノカルボン酸のグリセロールエステル、医薬として許容される塩および界面活性剤等、あるいはこれら二種以上の混合物等が使用できる。水溶性の低分子化合物は、親水基と疎水基を有し、水に溶解することを特徴とする。水溶性の低分子化合物は、非膨潤性または難膨潤性であることが好ましい。水溶性の低分子化合物を含む添加剤は、バルーン30の表面上で水不溶性薬剤を均一に分散させる効果を有する。添加剤は、ハイドロゲルでないことが好ましい。添加剤は低分子化合物を含有することで、水溶液に接すると膨潤することなく速やかに溶解する。さらに、血管内でのバルーン30の拡張時に添加剤が溶解しやすくなることで、バルーン30の表面上の水不溶性薬剤の結晶粒子を放出しやすくなり、血管への薬剤の結晶粒子の付着量を増加させる効果を有する。
離脱補助部50は、バルーン30および薬剤コート層40を覆うメッシュ状の筒体である。離脱補助部50の近位端に位置する近位固定部52は、バルーン30の近位側のバルーン融着部34に固定されている。近位固定部52をバルーン融着部34に固定する方法は、特に限定されないが、例えば融着または接着により固定されている。近位固定部52がバルーン30に対して固定される位置は、近位固定部52に限定されず、例えば近位テーパ部32や、ストレート部31の近位部であってもよい。また、近位固定部52がバルーン30に対して固定される位置は、バルーン30よりも近位側に位置する外管21であってもよい。
離脱補助部50の遠位端に位置する遠位固定部53は、バルーン30の遠位側のバルーン融着部35に固定されている。なお、遠位固定部53をバルーン融着部35に固定する方法は、特に限定されないが、例えば融着または接着により固定されている。遠位固定部53がバルーン30に対して固定される位置は、遠位固定部53に限定されず、例えば遠位テーパ部33や、ストレート部31の遠位部であってもよい。また、遠位固定部53がバルーン30に対して固定される位置は、バルーン30よりも遠位側に位置する内管22であってもよい。
離脱補助部50は、伸縮性を有する材料により形成されている。離脱補助部50は、例えば、伸縮性を有する線材51を編組して形成される。離脱補助部50は、折り畳まれて収縮したバルーン30を、緩みなく密着して覆っていることが好ましい。この場合、離脱補助部50は、折り畳まれたバルーン30を覆った状態において、外力が作用していない自然状態よりも、ある程度伸長した状態であることが好ましい。このため、離脱補助部50は、収縮しようとする力が常に作用し、バルーン30に密着する。したがって、離脱補助部50および、離脱補助部50から力を受けるバルーン30が収縮した状態を維持し、細い血管等へ容易に挿入可能である。なお、離脱補助部50は、折り畳まれたバルーン30を覆った状態において、自然状態よりも伸張していなくてもよい。
なお、離脱補助部50は、線材51を編組して形成されるものでなくてもよく、例えば、図7(A)に示す第1変形例のように、弾性的に変形可能な筒体に複数の孔54を形成して網状(メッシュ状)に形成されてもよい。または、離脱補助部50は、図7(B)に示す第2変形例のように、線材51が編組されるのではなく、螺旋状に巻回して形成されてもよい。または、離脱補助部50は、図7(C)に示す第3変形例のように、バルーン30を囲む複数の環体55が、軸方向に並んで連結部56により連結されていてもよい。各々の環体55は、バルーン30の軸方向へジグザグに折り返すように複数の屈曲部57を有している。離脱補助部50は、屈曲部57の角度が大きくなるように変化することで、バルーン30とともに拡張できる。
離脱補助部50の構成材料は、特に限定されないが、例えば、天然ゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン―ブタジエンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の高弾性材料を好適に使用できる。
ハブ26は、図1に示すように、外管21の拡張ルーメン23と連通して拡張用流体を流入出させるポートとして機能する近位開口部27が形成されている。
次に、第1実施形態に係る薬剤コート層40の作用を説明する。
バルーン30は、図2〜4に示すように、羽根37が折り畳まれ、収縮した離脱補助部50により覆われた状態で生体内へ挿入される。離脱補助部50は、ある程度伸長した状態でバルーン30を覆い、収縮力を作用させつつバルーン30に密着している。このため、バルーン30は、収縮した小径の状態を良好に維持できる。
バルーン30を生体内の狭窄部に配置した後、図1、3に示すように、ハブ26の近位開口部27より、インデフレーターまたはシリンジ等を用いて拡張用流体を所定量注入し、拡張ルーメン23を通じてバルーン30の内部に拡張用流体を送り込む。これにより、図5、6に示すように、折り畳まれたバルーン30が拡張する。これにより、離脱補助部50がバルーン30によって伸長しつつ押し広げられる。このとき、離脱補助部50は、バルーン30に対して、近位固定部52および遠位固定部53以外は固着されておらず、バルーン30に対して独立して変形する。このため、離脱補助部50は、バルーン30の表面を摺動し、バルーン30から薬剤コート層40の少なくとも一部をこすり落とす。バルーン30が拡張して、薬剤コート層40から剥離した分離薬剤41およびバルーン30の表面に残っている薬剤コート層40を生体組織に押し付けると、分離薬剤41または薬剤コート層40に含まれる水溶性の低分子化合物である添加剤が溶けつつ、薬剤が生体へ送達される。このとき、分離薬剤41は、バルーン30の表面から既に分離しているため、生体組織に移行されやすい。
バルーン30の内部から、拡張用流体をハブ26の近位開口部27より吸引して排出すると、バルーン30が収縮して折り畳まれた状態となる。このとき、弾性的に伸長していた離脱補助部50は、自己の復元力により収縮する。このとき、離脱補助部50は、バルーン30に収縮力を作用させ、バルーン30を小径に収縮させる。このため、バルーン30を血管から円滑に抜去できる。
以上のように、第1実施形態に係るバルーンカテーテル10は、バルーン30の表面に薬剤が設けられるバルーンカテーテルであって、拡張可能なバルーン30と、バルーン30の表面に設けられる薬剤を含む薬剤コート層40と、バルーン30の表面および薬剤コート層40を部分的に覆い、バルーン30から独立して変形可能な離脱補助部50と、を有する。
上記のように構成したバルーンカテーテル10は、バルーン30が拡張する際に、バルーン30から独立して変形する離脱補助部50により薬剤コート層40をこすり落とすことができ、薬剤の生体移行性を容易に向上できる。
離脱補助部50は、バルーン30の表面および薬剤コート層40を部分的に覆う網状の筒体であってもよい。これにより、離脱補助部50は、薬剤コート層40を効果的にこすり落とすことができる。
離脱補助部50は、バルーン30の軸方向の少なくとも一方側でバルーン30またはシャフト部20に固定されている。これにより、バルーン30を生体内で搬送する際に、離脱補助部50がバルーン30から脱落することを抑制でき、安全性が向上する。
離脱補助部50は、伸縮性を有する材料により形成される。これにより、離脱補助部50は、バルーン30が拡張するまで収縮した状態を維持でき、嵩張らないため、搬送が容易である。また、離脱補助部50は、バルーン30が拡張する際に、自己の収縮力によってバルーン30の表面に押し付けられるため、バルーン30の表面の薬剤コート層40を効果的にこすり落とすことができる。また、離脱補助部50は、収縮力をバルーン30に作用させつつバルーン30を覆っていることで、バルーン30からの脱落を抑制でき、安全性が向上する。また、バルーン30が収縮する際に離脱補助部50も収縮し、回収が容易である。また、離脱補助部50は、拡張した後のバルーン30に収縮力を作用させるため、バルーン30を小径に縮径でき、操作性が向上して回収が容易となる。
水不溶性薬剤は、ラパマイシン、パクリタキセル、ドセタキセル、およびエベロリムスからなる群から選択される少なくとも1つを含有する。これにより、分離薬剤41または薬剤コート層40により、血管内の狭窄部の再狭窄を良好に抑制できる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係るバルーンカテーテル60は、図8、9に示すように、離脱補助部70の構造のみが、第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態の離脱補助部70の材料は、伸縮性を備えず、または伸縮性が低い。離脱補助部70は、バルーン30および薬剤コート層40に被さるメッシュ状の筒体である。
離脱補助部70は、ほとんど伸縮しない材料により形成されている。離脱補助部70は、例えば、ほとんど伸縮しない線材71を編組して形成される。離脱補助部70は、線材71の傾斜角度を変えつつ、軸方向へ長くなることで、径方向へ収縮できる。さらに、離脱補助部70は、線材71の傾斜角度を変えつつ、軸方向へ短くなることで、径方向へ拡張できる。
離脱補助部70の構成材料は、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、或いはこれら二種以上の混合物等)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリイミド、フッ素樹脂等の高分子材料或いはこれらの混合物等を好適に使用できる。
離脱補助部70の近位端に位置する近位固定部72は、バルーン30の近位側のバルーン融着部34に固定されている。離脱補助部70の遠位端に位置する遠位固定部73は、バルーン30の遠位側のバルーン融着部35に固定されている。
離脱補助部70は、径方向に収縮した状態において、バルーン30の離脱補助部70が固定されるバルーン融着部34およびバルーン融着部35の間の長さよりも長い。離脱補助部70は、バルーン30よりも近位側に、軸方向へ折り返される折り返し部74が形成されることが好ましい。そして、離脱補助部70の最も近位側に位置する折り返し部74の近傍は、シャフト部20の外管21に対して、仮止め部75で離脱可能に仮止めされている。これにより、離脱補助部70は、折り畳まれて収縮したバルーン30を、緩みなく密着して覆っている。なお、折り返し部74および仮止め部75は、バルーン30よりも遠位側に設けられてもよく、またはバルーン30よりも遠位側および近位側の両方に設けられてもよい。また、バルーン30と離脱補助部70を固定する仮止め部75が設けられてもよい。これにより、離脱補助部70をバルーン30に対して良好に密着できる。仮止め部75は、バルーン30の搬送時には外れないが、バルーン30を拡張することで外れる程度の固定力を有している。仮止め部75の構成材料は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル共重合体、塩化ビニル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ブタジエン樹脂、アミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリルモノマー、シリル化ウレタン樹脂である。
次に、第2実施形態に係るバルーンカテーテル60の作用を説明する。
バルーン30は、羽根37が折り畳まれ、径方向へ収縮した離脱補助部70により覆われた状態で生体内へ挿入される。離脱補助部70は、バルーン30よりも長いが、折り返し部74が仮止め部75により外管21に固定されているため、弛まない。このため、バルーン30および離脱補助部70は、収縮した小径の状態を良好に維持できる。
バルーン30を生体内の狭窄部に配置した後、バルーン30の内部に拡張用流体を送り込むと、図10に示すように、折り畳まれたバルーン30が拡張する。これにより、線材71の傾斜角度が変化し、離脱補助部70は、バルーン30とともに径方向へ拡張するとともに、軸方向へ収縮し、仮止め部75から折り返し部74が外れる。これにより、線材71が伸縮性を有さないが、離脱補助部70は、バルーン30とともに径方向へ拡張できる。
離脱補助部70は、バルーン30に対して、近位固定部52および遠位固定部53以外は固着されておらず、バルーン30に対して独立して変形する。このため、離脱補助部70がバルーン30によって押し広げられと、離脱補助部70は、バルーン30の表面を摺動し、バルーン30から薬剤コート層40の少なくとも一部をこすり落とす。こすり落とされた分離薬剤41は、バルーン30の表面から既に分離しているため、生体組織に移行されやすい。この後、バルーン30を収縮させ、バルーン30を血管から円滑に抜去する。
以上のように、第2実施形態に係るバルーンカテーテル60は、離脱補助部70が、バルーン30またはシャフト部20に離脱可能に仮止めされている。これにより、離脱補助部70は、バルーン30により拡張されるまで径方向に収縮した状態を維持でき、嵩張らないために搬送が容易である。また、離脱補助部70は、バルーン30またはシャフト部20に仮止めされることで、バルーン30からの脱落を抑制でき、安全性が向上する。
<第3実施形態>
第3実施形態に係るバルーンカテーテル80は、図11、12に示すように、離脱補助部90を牽引するワイヤが設けられる点で、第1実施形態と異なる。なお、第1実施形態と同様の機能を有する部位には、同一の符号を付し、説明を省略する。
第3実施形態の離脱補助部90は、バルーン30および薬剤コート層40を覆うメッシュ状の筒体である。シャフト部100は、拡張ルーメン23およびガイドワイヤルーメン24に加えて、牽引用ルーメン101が設けられている。牽引用ルーメン101は、ハブ102で側方に開口する分岐ポート103から、バルーン30よりも近位側の牽引用開口部104まで形成されている。牽引用開口部104は、開口部25よりも遠位側に位置している。なお、牽引用開口部104は、開口部25よりも近位側に位置してもよい。牽引用ルーメン101の内部には、牽引用ルーメン101を貫通して摺動可能な牽引ワイヤ110が配置されている。
離脱補助部90は、バルーン30に対して固定されていない。なお、離脱補助部90は、バルーン30に対して離脱可能に仮止めされる仮止め部を有してもよい。仮止め部は、例えば、離脱補助部90の遠位端および近位端に設けられるが、位置は特に限定されない。仮止め部は、離脱補助部90の軸方向の中央部に設けられてもよい。また、離脱補助部90は、シャフト部100に対して仮止めされてもよい。仮止め部は、バルーン30の搬送時には外れないが、バルーン30を拡張することで外れる程度の固定力、または牽引ワイヤ110によって牽引することで外れる程度の固定力を有することが好ましい。
離脱補助部90の線材91は、伸縮性を有してもよいが、有さなくてもよい。離脱補助部90は、折り畳まれて収縮したバルーン30を、緩みなく密着して覆っている。
次に、第3実施形態に係るバルーンカテーテル80の作用を説明する。
バルーン30は、羽根37が折り畳まれ、収縮した離脱補助部90により覆われた状態で生体内へ挿入される。離脱補助部90は、仮止め部を有する場合、バルーン30またはシャフト部100に固定されて弛まない。このため、バルーン30および離脱補助部70は、収縮した小径の状態を良好に維持できる。
バルーン30を生体内の狭窄部に配置した後、バルーン30の内部に拡張用流体を送り込むと、図13に示すように、折り畳まれたバルーン30が拡張する。このとき、離脱補助部90は、バルーン30に対して独立して変形する。このため、離脱補助部90は、バルーン30の表面を摺動し、バルーン30から薬剤コート層40の少なくとも一部をこすり落とす。次に、バルーン30の表面が狭窄部に接触し、拡張用流体が最終的に到達する指定圧力よりも低い圧力で、一旦、拡張用流体の流入を停止する。
この後、ハブの分岐ポート103から導出されている牽引ワイヤ110を牽引する。これにより、離脱補助部90が、牽引ワイヤ110により近位方向へ牽引され、バルーン30と狭窄部の間に挟まれた状態で、近位側へ移動する。これにより、図14に示すように、離脱補助部90は、バルーン30の表面を摺動し、バルーン30から薬剤コート層40の少なくとも一部をこすり落とす。バルーン30の拡張をある程度拡張させた状態で、離脱補助部90を移動させて薬剤コート層40をこすり落とすことで、脱落した分離薬剤41が血流によって流れることを抑制できる。また、バルーン30が完全に拡張する前に、離脱補助部90を移動させて薬剤コート層40をこすり落とすことで、バルーン30の押圧力が適度に作用し、バルーン30と狭窄部に挟まれる離脱補助部90を移動させることができる。離脱補助部90が仮止め部を有する場合、バルーン30を拡張、または牽引ワイヤ110を牽引することで、仮止めが外れる。牽引用開口部104が、開口部25よりも遠位側に位置するため、開口部25から導出されるガイドワイヤと離脱補助部90が干渉することを抑制できる。
次に、バルーン30の内部に拡張用流体をさらに送り込み、拡張用流体を、指定圧力まで到達させる。これにより、分離薬剤41および分離していない薬剤コート層40の薬剤が、バルーン30によって狭窄部の生体組織に押し付けられる。分離薬剤41は、バルーン30の表面から既に分離しているため、生体組織に移行されやすい。この後、バルーン30を収縮させ、バルーン30および離脱補助部90を血管から抜去する。離脱補助部90は、収縮性を有する場合、バルーン30を収縮させることで、自己の収縮力により収縮する。このため、離脱補助部90を血管から抜去することが容易である。
以上のように、第3実施形態に係るバルーンカテーテル80は、遠位部が離脱補助部90に固定された牽引ワイヤ110をさらに有する。これにより、牽引ワイヤ110を牽引することで、離脱補助部90をバルーン30に対して移動させて、バルーン30から薬剤コート層40を効果的にこすり落とすことができる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、上述の実施形態に係るバルーンカテーテル10は、ラピッドエクスチェンジ型(Rapid exchange type)であるが、オーバーザワイヤ型(Over−the−wire type)であってもよい。
また、上述した第1〜第3実施形態に係るバルーンカテーテルは、収縮した状態でバルーン30が折り畳まれているが、折り畳まれなくてもよい。すなわち、バルーン30は、伸縮性を有する材料により形成され、バルーン30の膜厚が薄くなりつつ、拡張してもよい。この場合、離脱補助部がバルーンに対して大きく移動可能な第3実施形態において、特に有効である。
また、第3実施形態に係るバルーンカテーテル80の牽引ワイヤ110は、シャフト部100の中を通らず、シャフト部100の外側に位置してもよい。
10、60、80 バルーンカテーテル
20、100 シャフト部
30 バルーン
37 羽根部
40 薬剤コート層
41 分離薬剤
50、70、90 離脱補助部
51、71、91 線材
74 仮止め部
110 牽引ワイヤ

Claims (6)

  1. バルーンの表面に薬剤が設けられるバルーンカテーテルであって、
    拡張可能なバルーンと、
    前記バルーンの表面に設けられる薬剤を含む薬剤コート層と、
    前記バルーンの表面および薬剤コート層を部分的に覆い、前記バルーンから独立して変形可能な離脱補助部と、を有するバルーンカテーテル。
  2. 前記離脱補助部は、前記バルーンの表面および薬剤コート層を部分的に覆う網状の筒体である請求項1に記載のバルーンカテーテル。
  3. 前記離脱補助部は、前記バルーンの軸方向の少なくとも一方側で前記バルーンまたはシャフト部に固定されている請求項1または2に記載のバルーンカテーテル。
  4. 前記離脱補助部は、前記バルーンまたはシャフト部に離脱可能に仮止めされている請求項1〜3のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル。
  5. 前記離脱補助部は、伸縮可能な材料により形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル。
  6. 遠位部が前記離脱補助部に固定された牽引ワイヤをさらに有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル。
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