JP2019100340A - 内接歯車ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】ケーシングとカバーとの組み付け時の位置合わせが容易であり、かつ、これら両部材の分離や脱落を防止できる内接歯車ポンプを提供する。【解決手段】内接歯車ポンプ1において、ケーシング5とカバー6の少なくとも一方の部材が樹脂組成物または金属の成形体であり、ケーシング5とカバー6は、一方の部材から突出した複数の突出部を他方の部材に嵌合させて固定されており、この突出部が、ケーシング5に固定された金属製ブッシュ9の該ケーシングからの突出部分であり、ケーシング5とカバー6は、これら両部材を跨る金属製ブッシュ9を介して通されたボルト13により一体化されている。【選択図】図2

Description

本発明は、油や水、薬液などの液体を圧送する内接歯車ポンプ[トロコイド(登録商標、以下同じ)ポンプ]に関し、特に、産業機械分野、例えば空調用コンプレッサに使用される内接歯車ポンプに関する。
内接歯車ポンプは、トロコイド歯形を有するアウタロータおよびインナロータがケーシング内に密閉された状態で収容され、駆動シャフトの回転に伴い、駆動シャフトと固定されたインナロータとアウタロータが回転し、液体を吸入して吐出するように作用するポンプである。この種のポンプとして、近年、機械加工工程を削減でき、低コストで製造可能なものとして、樹脂製のケーシングを有するポンプが知られている(特許文献1参照)。
図5に基づき、この種の内接歯車ポンプの構造について説明する。図5は従来の内接歯車ポンプの断面図である。図5に示すように、このポンプ21は、複数の内歯を有する環状のアウタロータ22内に、複数の外歯を有するインナロータ23が収容されてなるトロコイド24を主体としている。このトロコイド24は、フランジ付き円柱状のケーシング25に形成された円形のトロコイド収容凹部25aに回転自在に収容されている。ケーシング25には、トロコイド収容凹部25aを閉塞するカバー26が固定されている。また、インナロータ23の軸心には、図示しない駆動源によって回転させられる駆動シャフト27が貫通して固定されている。
カバー26は焼結金属製であり、ケーシング25は樹脂組成物を用いて射出成形により製造された射出成形体である。ケーシング25とカバー26とは、ケーシング25に設けられた金属製のブッシュ28を通されたボルト29により、実機の固定プレート30に締結固定されている。ケーシング25とカバー26とは、互いにフラットな平面形状でトロコイド収容凹部25aを密閉している。
特開2014−51964号公報
上述のとおり、このような内接歯車ポンプは、実機に取り付ける際に樹脂製ケーシングと金属製カバーとを重ね合わせた状態でボルト締結している。一般に樹脂成形品は機械的強度が低いため、上記のような金属製ブッシュをインサート成形することで締結部の強度の向上を図っている。しかし、ケーシングとカバーとの境界面は平面であり、ケーシング側の金属製ブッシュとカバーにおけるボルト穴のずれ等を目視で確認して、ケーシングとカバーの位置を合わせる必要がある。また、実機へ取り付ける際や輸送中において、ハウジングとカバーが分離・脱落するおそれがある。特に、実機へ取り付ける際に、ポンプの取り付け姿勢によっては脱落しやすく、作業性が低下するおそれがある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、ケーシングとカバーとの組み付け時の位置合わせが容易であり、かつ、これら両部材の分離や脱落を防止でき、さらに必要に応じて機械的強度を向上させた内接歯車ポンプを提供することを目的とする。
本発明の内接歯車ポンプは、複数の内歯を有するアウタロータ内に、複数の外歯を有するインナロータが、上記外歯が上記内歯に噛み合い、かつ、偏心する状態で回転自在に収容され、上記内歯と上記外歯との間に、液体を吸入する吸入側容積室と、この吸入側容積室に吸入した液体を吐出する吐出側容積室とが形成される内接歯車ポンプであって、上記アウタロータおよび上記インナロータを収容する凹部を有するケーシングと、該ケーシングの上記凹部を閉塞するカバーとを有し、上記ケーシングと上記カバーとは、一方の部材から突出した複数の突出部を他方の部材に嵌合させて固定されていることを特徴とする。
上記ケーシングと上記カバーの少なくとも一方の部材が、樹脂組成物の成形体からなることを特徴とする。または、上記ケーシングと上記カバーの少なくとも一方の部材が、金属の成形体からなることを特徴とする。
上記ケーシングと上記カバーとが、これら両部材に跨る金属製ブッシュを介して通された固定部材により一体化されており、上記突出部の少なくとも1つが、上記ケーシングと上記カバーの一方の部材に該部材から突出して固定された金属製ブッシュの突出部分であることを特徴とする。
また、上記樹脂組成物の成形体と上記金属製ブッシュを用いる形態において、該金属製ブッシュが焼結金属製ブッシュであり、該成形体が上記樹脂組成物の射出成形体であり、上記金属製ブッシュが、上記ケーシングと上記カバーの一方の部材における該射出成形体に、その射出成形時に一体に設けられていることを特徴とする。
上記突出部の少なくとも1つが、上記ケーシングと上記カバーの一方の部材における上記成形体の一部として突出した爪部であることを特徴とする。
上記樹脂組成物が、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂をベース樹脂とし、これにガラス繊維、炭素繊維、および無機充填剤から選ばれる少なくとも1つを配合してなる樹脂組成物であることを特徴とする。
本発明の内接歯車ポンプは、ケーシングとカバーにおいて一方の部材から突出した複数の突出部を他方の部材に嵌合させて固定されているので、組み付け時の位置合わせが容易であるとともに、これら両部材の分離や脱落を防止でき、作業性に優れる。
ケーシングとカバーの少なくとも一方の部材が樹脂組成物の成形体である場合は、樹脂組成物の特性を生かして、ケーシングとカバーとの組み付け時の位置合わせがより容易となるとともに、これら両部材の分離や脱落を防止でき、より作業性に優れる。
また、ケーシングとカバーの少なくとも一方の部材が金属の成形体である場合は、ケーシングとカバーとの機械的強度を向上させつつ、これらの組み付け時の位置合わせが容易であり、これら両部材の分離や脱落を防止できる。
ケーシングとカバーとが、これら両部材に跨る金属製ブッシュを介して通された固定部材により一体化されており、上記突出部の少なくとも1つが、ケーシングとカバーの一方の部材に該部材から突出して固定された金属製ブッシュの突出部分であるので、ケーシングとカバーとを組み付ける際には、一方の部材における金属製ブッシュの突出部分と、他方の部材の該突出部分に対する嵌合部とを嵌合させることで、両部材の位置合わせが容易にできる。また、金属製ブッシュによりケーシングとカバーの締結部での強度向上が図れ、樹脂のクリープ変形による締結部の緩みも防止できる。
ケーシングとカバーの少なくとも一方の部材が樹脂組成物の成形体であって金属製ブッシュを用いる形態において、該金属製ブッシュが焼結金属製ブッシュであり、ケーシングとカバーの一方の部材における射出成形体に、その射出成形時に一体に設けられている、すなわち、射出成形時に金型内にブッシュを配置して複合成形により一体化されているので、ブッシュの焼結金属の表面凹部に樹脂が入り込み、アンカー効果により両部材の接合強度に優れる。これにより、ブッシュをケーシング等の射出成形体から長く突出させるような形態とした場合でも、輸送時や取り付け時における該ブッシュの抜けを防止できる。
樹脂組成物が、PPS樹脂をベース樹脂とし、これにガラス繊維、炭素繊維、および無機充填剤から選ばれる少なくとも1つを配合してなる樹脂組成物であるので、寸法精度や靭性に優れ、上記効果が得られやすくなる。また、耐油性、耐薬品性に優れ、コンプレッサなどの120℃を越える高温雰囲であっても使用可能となる。
ケーシングとカバーの少なくとも一方の部材が樹脂組成物の成形体である場合、突出部の少なくとも1つが、この成形体の一部として突出した爪部であるので、該爪部も樹脂製の成形体の一部となり、弾性変形しやすく、靭性に優れ、組み付け時における破損等を防止できる。
また、ケーシングとカバーの少なくとも一方の部材が金属の成形体である場合、突出部の少なくとも1つが、この成形体の一部として突出した爪部であるので、該爪部も金属製の成形体の一部となり、機械的強度に優れ、組み付け時における破損等を防止できる。
本発明の内接歯車ポンプの一例を示す組み立て斜視図である。 図1の内接歯車ポンプの軸方向断面図である。 本発明の内接歯車ポンプの他の例を示す組み立て斜視図である。 図3の内接歯車ポンプの完成斜視図である。 従来の内接歯車ポンプの軸方向断面図である。
本発明は、複数の内歯を有するアウタロータ内に、複数の外歯を有するインナロータが、外歯が内歯に噛み合い、かつ、偏心する状態で回転自在に収容され、内歯と外歯との間に、液体を吸入する吸入側容積室と、この吸入側容積室に吸入した液体を吐出する吐出側容積室とが形成されるトロコイドを有する内接歯車ポンプに関するものとされている。この内接歯車ポンプは、トロコイドを構成するアウタロータおよびインナロータを収容する凹部を有するケーシングと、ケーシングの凹部を閉塞するカバーとを有している。
本発明の内接歯車ポンプは、ケーシングとカバーとが、一方の部材から突出した複数の突出部を他方の部材に嵌合させて固定されていることを特徴とする。この突出部として、例えば、樹脂製のケーシングに固定された金属製ブッシュを利用する形態や、樹脂製または金属製のケーシングまたはカバーに設けられた爪部を利用する形態が挙げられる。
金属製ブッシュを利用する形態の内接歯車ポンプを図1および図2に基づき説明する。図1は内接歯車ポンプの一例を示す組み立て斜視図を、図2はその内接歯車ポンプの軸方向断面図をそれぞれ示す。
図1および図2に示すように、内接歯車ポンプ1は、環状のアウタロータ2内にインナロータ3が収容されたトロコイド4と、このトロコイド4を回転自在に収容する円形の凹部(トロコイド収容凹部)8が形成されたポンプケーシング5aと、液体吸入部5cが形成された吸入ケーシング5bと、ポンプケーシング5aのトロコイド収容凹部8を閉塞するカバー6とを有する。ケーシング5は、ポンプケーシング5aと吸入ケーシング5bの2部材から構成されている。カバー6は、トロコイド収容凹部8が開口するケーシング5の上面の外形に合致する形状である。吸入ケーシング5bに3つの金属製ブッシュ9が固定されている。図2に示すように、ポンプケーシング5aと吸入ケーシング5bとカバー6は、これらに跨る金属製ブッシュ9を介して通された固定部材であるボルト13により、実機の固定プレートに固定され、一体化されている。固定部材は、ボルト13に限定されず、各部材を固定可能なものであればよく、例えばねじやピンなどでもよい。また、内接歯車ポンプ1は、インナロータ3の回転中心に同軸で固定された駆動シャフト11を有している。
インナロータ3の外歯はアウタロータ2の内歯よりも1つ少なく、インナロータ3は、上記外歯が上記内歯に内接して噛み合う偏心した状態で、アウタロータ2内に収容されている。各ロータが互いに接触する仕切点間には、トロコイド4の回転方向に応じて、吸入側および吐出側の容積室が形成される。ケーシング5のトロコイド収容凹部8の底面8aには、吸入側の容積室に連通する吸入口と、吐出側の容積室に連通する吐出口とを含む液体流路が形成されている。吐出口から駆動シャフト11の中心部の吐出流路を通して、図中上方の圧縮部(図示省略)に液体が圧送される。
内接歯車ポンプ1では、駆動シャフト11によってトロコイド4が回転することにより、容積が増大して負圧となる吸入側容積室に、吸入口から液体がポンプ内部に吸入される。この吸入側容積室は、トロコイド4が回転することによって容積が減少して内圧が上昇する吐出側容積室に変わり、この吐出側容積室から、吸入された液体が吐出口に吐出される。上記のポンプ作用が、トロコイド4の回転によって連続的に行われ、液体が連続的に圧送される。さらに、吸入された液体によって各容積室の密閉性が高められる液体シール効果によって、各容積室間に生じる差圧が大きくなり、大きなポンプ作用が得られる。
本発明の内接歯車ポンプは、ケーシングとカバーの少なくとも一方の部材が樹脂組成物の成形体(樹脂体)である。これにより、機械加工工程を削減でき、低コストで製造可能となる。本発明の内接歯車ポンプは、このような樹脂製のケーシング等を採用する構成において、さらにケーシングとカバーとの組み付け時の位置合わせを容易とし、これら両部材の分離や脱落を防止するものである。図1および図2の形態では、ケーシング5とカバー6の略全体、すなわち、カバー6、ポンプケーシング5a、および吸入ケーシング5bが樹脂体とされ、これらは金属製ブッシュ9とボルト13により一体化されている。なお、少なくとも金属製ブッシュ9を固定する部材が樹脂体であればよく、例えばカバー6を金属製(鉄、ステンレス鋼、焼結金属、アルミニウム合金など)としてもよい。
図1および図2に示すように、金属製ブッシュ9は、吸入ケーシング5bのフランジ部5dに固定されている。吸入ケーシング5bからの金属製ブッシュ9の突出部分を、ポンプケーシング5aの嵌合部5eとカバー6の嵌合部6aに嵌合させることで、これら部材の位置合わせが容易にできる。また、金属製ブッシュ9を介在させることで、ケーシング5とカバー6の一方または両方を樹脂体とする場合であっても、両部材の締結部での強度向上が図れ、樹脂のクリープ変形による締結部の緩みも防止できる。さらに、取り付け時や輸送時において、仮組みのアッシー(ケーシングとカバー)が分離・脱落することを防止できる。加えて、ロータ部分へ異物が侵入することを防止できる。
また、金属製ブッシュ9の長さ調整し、組み付けた際の金属製ブッシュ9の先端が、カバー6の嵌合部6aの上端面6bから突出しない長さとすることが好ましい。より好ましくは、金属製ブッシュ9の先端が、カバー6の嵌合部6aの上端面6bから凹んだ位置となるような形状とする。これにより、実機の固定プレートと金属製ブッシュ9とが干渉することを防止できる。
金属製ブッシュ9は、鉄、ステンレス鋼、焼結金属などの任意の金属製とできるが、特に焼結金属製とすることが好ましい。金属製ブッシュを焼結金属製とし、吸入ケーシングと複合成形(インサート成形)することで、ブッシュの焼結金属の表面凹部に樹脂が入り込むため、アンカー効果により強固に接合される。
ポンプケーシングは、トロコイド収容凹部の内側面が樹脂体からなり、該凹部の底面が金属体からなる構成とすることが好ましい。図2に示すように、ポンプケーシング5aは、トロコイド収容凹部8を構成する底面8aと内側面8bでアウタロータ2およびインナロータ3と摺接する。トロコイド収容凹部8の内側面8bを樹脂体とすることで、アウタロータ2との摩擦摩耗特性に優れる。また、トロコイド収容凹部8の底面8aは、ポンプケーシング5aと複合成形により一体化された円盤状の金属プレート7から構成されている。これにより、樹脂で底面8aを形成する場合と比較して平面度に優れ、吐出性能のばらつきを抑制できる。金属プレート7としては、焼結金属体や溶製金属体(板金プレス品)が採用できる。
ケーシング5をポンプケーシング5aと吸入ケーシング5bの2部材とすることで、上記のような金属プレート7の複合成形(インサート成形)が容易になる。本発明では、このようにケーシングを複数部材に分離して部品点数が多くなる場合でも、複数の突出部を利用した嵌合構造により、位置合わせが容易であり、組み立て性に優れる。また、吸入ケーシング5bには液体吸入部5cが設けられている。必要に応じて、吸入側容積室までの連通路入口(液体吸入口)となる液体吸入部5cの端部に、フィルタ14を溶着などにより固定できる。フィルタ14により、ポンプ内への異物の混入を防止できる。
また、ポンプケーシング5aには、トロコイド収容凹部8の外周部分に溝が設けられ、該溝にシールリング12が組み付けられている。シールリング12を組み付けることで、ポンプケーシング5aとカバー6の合わせ面からの液体の漏れを防止でき、吐出量のばらつきを抑制でき、安全率が高くなる。なお、ケーシングとカバーの各部材の接合面で必要十分な密閉性が確保できている場合には、シールリング12は省略してもよい。
爪部を利用する形態の内接歯車ポンプを図3および図4に基づき説明する。図3は内接歯車ポンプの他の例を示す組み立て斜視図を、図4はその内接歯車ポンプの完成斜視図をそれぞれ示す。図3および図4に示すように、内接歯車ポンプ1’は、環状のアウタロータ2内にインナロータ3が収容されたトロコイド4と、トロコイド収容凹部8が形成されたケーシング5と、トロコイド収容凹部8を閉塞するカバー6とを有する。カバー6は、トロコイド収容凹部8が開口するケーシング5の上面の外形に合致する形状である。ケーシング5は樹脂製である。ケーシング5とカバー6は、ケーシング5に固定された金属製ブッシュ9を介して通されたボルト(図示省略)により、実機の固定プレートに固定され、一体化されている。その他のポンプの基本的構成は図1および図2に示す形態と同様である。
この形態では、金属製ブッシュ9は、カバー6までは嵌合していない。一方で、ケーシング5に該ケーシングから突出した4つの爪部10が設けられている。これらの爪部10は、ケーシング5と一体であり、樹脂製のケーシング5の成形時に同時に形成された部位である。図4に示すように、組み付け時には、爪部10が、カバー6の外周部を抱え込むように嵌合(係合)することで、容易に位置合わせが可能となる。また、樹脂製の爪部であることから、弾性変形しやすく、靭性に優れ、組み付け時における破損等を防止できる。なお、爪部10の形状や個数は、両部材の位置合わせが可能なものであれば特に限定されない。
以上の各形態において、ケーシングやカバーを形成する樹脂組成物は、主に射出成形可能な合成樹脂をベース樹脂とするものである。このベース樹脂としては、例えば、PPS樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリアセタール樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。これらの各樹脂は単独で使用してもよく、2種類以上混合したポリマーアロイであってもよい。これらの耐熱性樹脂の中でも、成形体の耐クリープ性、耐荷重性、耐摩耗性、耐薬品性などに優れることから、PPS樹脂を用いることが特に好ましい。
高強度化、高弾性化、高寸法精度化、耐摩耗性の付与・射出成形収縮の異方性除去に有効なガラス繊維、炭素繊維、または無機充填剤を単独で、もしくは、適宜併用することが好ましい。特に、ガラス繊維と無機充填剤の併用は、経済性に優れ、油中での摩擦摩耗特性に優れている。
本発明では、直鎖型のPPS樹脂をベース樹脂とし、これに充填剤としてガラス繊維とガラスビーズを配合してなる樹脂組成物を用いることが特に好ましい。この構成により、耐油性、耐薬品性に優れ、靱性に優れ、射出成形収縮の異方性除去により反りが小さく、寸法精度も大幅に向上するため、カバーとケーシングの両方を樹脂製とする場合に特に有効である。
これらの諸原材料から得られた成形用ペレットを用いて、射出成形でケーシングやカバーを成形する。図1や図2の形態に示す部材とする場合、吸入ケーシングの成形時には、金型内に上述の金属製ブッシュを配置して、複合成形により一体化させる。また、ポンプケーシングの成形時には、金型内に上述の金属プレートを配置して、複合成形により一体化させる。
また、ケーシングまたはカバーは、例えば、ダイカスト品として成形されることも可能である。材料としては、例えばアルミニウム合金などの低融点合金が好ましい。アルミニウム合金製ダイカスト品としては、例えば、JIS H 5302(2006)などに規定されているAl−Si系合金(ADC1)、Al−Si−Mg系合金(ADC3)、Al−Mg系合金(ADC5、ADC6)、Al−Si−Cu系合金(ADC10、ADC10Z、ADC12、ADC12Z、ADC14)などが挙げられる。
また、ケーシングまたはカバーは、例えば、焼結金属品として成形されることも可能である。焼結金属としては、鉄系焼結金属などが好ましい。より詳細には、例えば、少なくとも表層部にパーライト相を有する鉄系焼結金属であって、鉄組織同士を結合するために銅および錫が配合された鉄系焼結金属が好ましい。この場合、鉄組織同士は、銅−錫合金で結合されている。この種の鉄系焼結金属の組成の一例を説明する。銅を1〜10重量%(好ましくは1〜8重量%)、錫を0.5〜2重量%、炭素を0.1〜0.5重量%含み、残部を鉄とした鉄系焼結金属である。銅に対する錫の配合割合は重量比で1/5以上1以下とされる。鉄系焼結金属中の銅および錫は大半が銅−錫合金として存在しており、銅単体、あるいは錫単体の組織はほとんど存在していない。例えば、焼結金属中の銅成分に対する銅単体組織の比率は5重量%以下、および焼結金属中の錫成分に対する錫単体組織の比率は、0.1重量%以下とされる。このような焼結金属品の密度は、例えば6.6g/cm3以上、好ましくは6.8g/cm3以上、例えば8.0g/cm3以下であることが好ましい。
具体的な組み合わせとして、例えば、ケーシングを上記Al−Si−Cu系のアルミニウム合金(ADC12)で成形し、カバーを上記少なくとも表層部にパーライト相を有する鉄系焼結金属、または、上記Al−Si−Cu系ダイカストのアルミニウム合金(ADC12)で成形する組み合わせが挙げられる。
また、本発明の内接歯車ポンプにおいて、アウタロータおよびインナロータの材質としては、焼結金属(鉄系、銅鉄系、銅系、ステンレス系など)を使用することが好ましく、特に価格面からは鉄系が好ましい。なお、水、薬液などを圧送するトロコイドポンプにおいては、防錆能力が高いステンレス系などを採用すればよい。
以上、各図に基づいて突出部として金属製ブッシュと爪部を利用する場合を説明したが、本発明の内接歯車ポンプはこれらに限定されるものではない。例えば、金属製ブッシュと爪部の両方を利用する形態としてもよい。その他、一方の部材から突出した複数の突出部を他方の部材に嵌合させて固定されている任意の構造を採用できる。
本発明の内接歯車ポンプは、ケーシングとカバーとの組み付け時の位置合わせが容易であり、かつ、これら両部材の分離や脱落を防止できるので、油や水、薬液などの液体を圧送する内接歯車ポンプ(トロコイドポンプ)として広く利用できる。例えば、代替フロン、炭酸ガスなどを冷媒とする電気給湯機、ルームエアコン、カーエアコン用のスクロール型コンプレッサの摺動部に液体を供給するためのポンプとして利用できる。
1 内接歯車ポンプ
2 アウタロータ
3 インナロータ
4 トロコイド
5 ケーシング
5a ポンプケーシング
5b 吸入ケーシング
5c 液体吸入部
5d フランジ部
5e 嵌合部(吸入ケーシング)
6 カバー
6a 嵌合部(カバー)
6b 上端面
7 金属プレート
8 トロコイド収容凹部
8a 底面
8b 内側面
9 金属製ブッシュ
10 爪部
11 駆動シャフト
12 シールリング
13 ボルト
14 フィルタ

Claims (10)

  1. 複数の内歯を有するアウタロータ内に、複数の外歯を有するインナロータが、前記外歯が前記内歯に噛み合い、かつ、偏心する状態で回転自在に収容され、前記内歯と前記外歯との間に、液体を吸入する吸入側容積室と、この吸入側容積室に吸入した液体を吐出する吐出側容積室とが形成される内接歯車ポンプであって、
    前記アウタロータおよび前記インナロータを収容する凹部を有するケーシングと、該ケーシングの前記凹部を閉塞するカバーとを有し、
    前記ケーシングと前記カバーとは、一方の部材から突出した複数の突出部を他方の部材に嵌合させて固定されていることを特徴とする内接歯車ポンプ。
  2. 前記ケーシングと前記カバーの少なくとも一方の部材が、樹脂組成物の成形体からなることを特徴とする請求項1記載の内接歯車ポンプ。
  3. 前記ケーシングと前記カバーとが、これら両部材に跨る金属製ブッシュを介して通された固定部材により一体化されており、
    前記突出部の少なくとも1つが、前記ケーシングと前記カバーの一方の部材に該部材から突出して固定された金属製ブッシュの突出部分であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の内接歯車ポンプ。
  4. 前記ケーシングと前記カバーの少なくとも一方の部材が、樹脂組成物の成形体からなり、
    前記ケーシングと前記カバーとが、これら両部材に跨る金属製ブッシュを介して通された固定部材により一体化されており、
    前記突出部の少なくとも1つが、前記ケーシングと前記カバーの一方の部材に該部材から突出して固定された金属製ブッシュの突出部分であることを特徴とする請求項1記載の内接歯車ポンプ。
  5. 前記金属製ブッシュが焼結金属製ブッシュであり、前記成形体が前記樹脂組成物の射出成形体であり、
    前記金属製ブッシュが、前記ケーシングと前記カバーの一方の部材における該射出成形体に、その射出成形時に一体に設けられていることを特徴とする請求項4記載の内接歯車ポンプ。
  6. 前記突出部の少なくとも1つが、前記ケーシングと前記カバーの一方の部材における前記成形体または前記射出成形体の一部として突出した爪部であることを特徴とする請求項2から請求項5までのいずれか1項記載の内接歯車ポンプ。
  7. 前記樹脂組成物が、ポリフェニレンサルファイド樹脂をベース樹脂とし、これにガラス繊維、炭素繊維、および無機充填剤から選ばれる少なくとも1つを配合してなる樹脂組成物であることを特徴とする請求項2から請求項6までのいずれか1項記載の内接歯車ポンプ。
  8. 前記ケーシングと前記カバーの少なくとも一方の部材が、金属の成形体であることを特徴とする請求項1記載の内接歯車ポンプ。
  9. 前記ケーシングと前記カバーとが、これら両部材に跨る金属製ブッシュを介して通された固定部材により一体化されており、
    前記突出部の少なくとも1つが、前記ケーシングと前記カバーの一方の部材に該部材から突出して固定された金属製ブッシュの突出部分であることを特徴とする請求項8記載の内接歯車ポンプ。
  10. 前記突出部の少なくとも1つが、前記ケーシングと前記カバーの一方の部材における前記成形体の一部として突出した爪部であることを特徴とする請求項8または請求項9記載の内接歯車ポンプ。
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