JP2019106907A - 一塩基多型検出用プローブの設計方法及びプローブセット - Google Patents

一塩基多型検出用プローブの設計方法及びプローブセット Download PDF

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Abstract

【課題】クロスハイブリダイゼーションの発生を抑え、完全一致のターゲットを高精度に検出する。【解決手段】候補野生型プローブについて野生型ターゲット又は変異型ターゲットとの結合率、候補変異型プローブについて変異型ターゲット又は野生型ターゲットとの結合率を計算し、野生型ターゲットに関して、候補野生型プローブとの結合率から候補変異型プローブとの結合率を引いた値、変異型ターゲットに関して、候補変異型プローブとの結合率から候補野生型プローブとの結合率を引いた値を所定の値以上となるように設計する。【選択図】なし

Description

本発明は、一塩基多型の野生型に対応する野生型プローブと当該一塩基多型の変異型に対応する変異型プローブとを設計する方法及びプローブセットに関する。
一塩基多型(SNP : Single Nucleotide Polymorphism)とは、生物種集団のゲノム中に存在する遺伝子変異の一種であり、塩基配列における一塩基が変異した多様性を意味する。特に、集団内で1%以上の頻度で変異が見られる場合にのみ一塩基多型と呼称する場合もあるが、1%未満の頻度であっても一塩基多型と称することができる。なお、一塩基多型は、典型的には野生型アレルと一種類の変異型アレルとからなる二種類からなる場合が多いが、二種類以上の変異型アレルを有する場合もある。
一塩基多型を含む広義の多型は、薬剤に対する副作用の程度、疾患に対する罹りやすさといった表現型に関係している。また、植物においては、病害抵抗性、ストレス耐性、バイオマス量等の表現型にも一塩基多型を含む広義の多型が関係している。このように、一塩基多型を検出する(タイピングとも称する)ことで、疾患に罹患するリスクや、副作用の発生リスク等を予測することができる。
一塩基多型を検出する方法としては、従来、SNPタイピング法として様々な手法が知られている。例えば、一塩基多型を含むDNA断片を増幅して塩基配列を読み取るダイレクトシーケンス法、一塩基多型部位を含むプローブを使用する方法が挙げられる。一塩基多型部位を含むプローブを使用する方法には、リアルタイムPCRを適用したサイクリングプローブ法、ビーズアレイ法やマイクロアレイ(DNAチップ)法が挙げられる。
一塩基多型部位を含むプローブを使用する方法では、検出対象の一塩基多型について、野生型の塩基に対応する野生型プローブと、変異型の塩基に対応する変異型プローブとを設計する。一般的に、プローブは、ターゲットDNAとの融解温度を含む熱力学的変数、長さ、分子内自己結合形成、他のプローブとの配列相同性の有無及び標的部位の位置(3’末端側若しくは5’末端側)等を考慮して設計される。これらのうち、熱力学的変数は、プローブとターゲットDNAとのハイブリダイズエネルギーを考慮する物であり、プローブ特性を表す指標とすることができる。
これら野生型プローブ及び変異型プローブを設計する方法としては、例えば特許文献1に記載されるように、完全一致ターゲットと二本鎖を形成したときのTm値が野生型プローブと変異型プローブとの間で等しくなるように設計する方法がある。また、特許文献2には、野生型プローブと変異型プローブとが同じ長さになるように設計する方法が記載されている。
特開2010−4782号公報 特表平9−507121号公報
ところが、一塩基多型を検出する野生型プローブ及び変異型プローブは、いずれも一塩基を除いて同じ配列を有するため、完全一致するターゲットDNAとハイブリダイゼーション以外に非特異的な結合(クロスハイブリダイゼーションと称す)が形成される虞がある。クロスハイブリダイゼーションが生じた場合、完全一致のターゲットDNAが結合することによる真のシグナル値に、クロスハイブリダイゼーションによるシグナル値が加算される。すなわち、クロスハイブリダイゼーションが生じた場合、測定値にノイズが含まれ、測定結果の信頼性を大きく下げる要因となってしまう。
そこで、本発明は、このような実情に鑑み、クロスハイブリダイゼーションの発生を抑え、完全一致のターゲットを高精度に検出することができる、一塩基多型検出用の野生型プローブ及び変異型プローブの設計方法及びプローブセットを提供することを目的とする。
本発明は以下を包含する。
(1)一塩基多型の野生型に対応する野生型プローブと、当該一塩基多型の変異型に対応する変異型プローブとを設計する方法であって、上記一塩基多型部位を含む複数の候補野生型プローブと、上記一塩基多型部位を含む複数の候補変異型プローブとを設計し、これら候補野生型プローブについて完全一致となる野生型ターゲットとの結合率、これら候補野生型プローブについて当該一塩基多型部位において一塩基ミスマッチとなる変異型ターゲットとの結合率、これら候補変異型プローブについて完全一致となる変異型ターゲットとの結合率、及びこれら候補変異型プローブについて当該一塩基多型部位における一塩基ミスマッチとなる野生型ターゲットとの結合率をそれぞれ計算し、野生型ターゲットに関して、候補野生型プローブとの結合率から候補変異型プローブとの結合率を引いた値が所定の値以上となり、且つ、変異型ターゲットに関して、候補変異型プローブとの結合率から候補野生型プローブとの結合率を引いた値が所定の値以上となる野生型プローブと変異型プローブとの1又は複数の組み合わせを、候補野生型プローブ及び候補変異型プローブのなかから選択し、選択した野生型プローブと変異型プローブとの1又は複数の組み合わせを、当該一塩基多型を検出するための野生型プローブ及び変異型プローブとして設計する方法。
(2)上記結合率は、所定のハイブリダイズ温度若しくは所定のハイブリダイズ温度範囲において計算し、当該ハイブリダイズ温度若しくはハイブリダイズ温度範囲において使用する野生型プローブ及び変異型プローブを設計することを特徴とする(1)記載の方法。
(3)野生型プローブと変異型プローブとの複数の組み合わせを選択した場合、複数の組み合わせに関して、野生型ターゲットに対する野生型プローブの結合率と変異型ターゲットに対する変異型プローブの結合率との差の絶対値と、野生型ターゲットに対する変異型プローブの結合率と変異型ターゲットに対する野生型プローブの結合率との差の絶対値とを合計し、複数の組み合わせのうち当該合計値が最も低い組み合わせを、上記一塩基多型を検出するための野生型プローブ及び変異型プローブとして設計することを特徴とする(1)記載の方法。
(4)野生型プローブと変異型プローブとの複数の組み合わせを選択した場合、複数の組み合わせに関して、野生型ターゲットに対する野生型プローブの結合率と野生型ターゲットに対する変異型プローブの結合率との差が最も大きい組み合わせ、又は、変異型ターゲットに対する変異型プローブの結合率と変異型ターゲットに対する野生型プローブの結合率との差が最も大きい組み合わせを、上記一塩基多型を検出するための野生型プローブ及び変異型プローブとして設計することを特徴とする(1)記載の方法。
(5)一塩基多型の野生型に対応する野生型プローブと、当該一塩基多型の変異型に対応する変異型プローブとからなるプローブセットであって、上記一塩基多型部位を含む複数の候補野生型プローブと、上記一塩基多型部位を含む複数の候補変異型プローブとのなかから選択され、野生型ターゲットに関して、候補野生型プローブとの結合率から候補変異型プローブとの結合率を引いた値が所定の値以上となり、且つ、変異型ターゲットに関して、候補変異型プローブとの結合率から候補野生型プローブとの結合率を引いた値が所定の値以上となる野生型プローブと変異型プローブとからなる、当該一塩基多型を検出するためのプローブセット。
(6)担体と、当該担体に固定された(5)記載のプローブセットに含まれる野生型プローブ及び変異型プローブとを備えるDNAチップ。
本発明に係る一塩基多型検出用の野生型プローブ及び変異型プローブの設計方法によれば、クロスハイブリダイゼーションの発生が抑えられた、ターゲットDNAの検出感度に優れた野生型プローブ及び変異型プローブを設計することができる。
また、本発明に罹るプライマーセットは、クロスハイブリダイゼーションの発生が抑えられているため、ターゲットDNAの検出感度に優れたものとなる。
行に候補野生型プローブの種類、列に候補変異型プローブの種類を示し、候補野生型プローブにおけるフルマッチ結合率から、候補変異型プローブにおけるミスマッチ結合率を引いた値を各マスに示す特性図である。 行に候補野生型プローブの種類、列に候補変異型プローブの種類を示し、候補野生型プローブにおけるフルマッチ結合率から、候補変異型プローブにおけるミスマッチ結合率を引いた値を各マスに示す特性図である。 行に候補野生型プローブの種類、列に候補変異型プローブの種類を示し、候補野生型プローブにおけるフルマッチ結合率から、候補変異型プローブにおけるミスマッチ結合率を引いた値を各マスに示す特性図である。 行に候補野生型プローブの種類、列に候補変異型プローブの種類を示し、候補変異型プローブにおけるフルマッチ結合率から、候補野生型プローブにおけるミスマッチ結合率を引いた値を各マスに示す特性図である。 行に候補野生型プローブの種類、列に候補変異型プローブの種類を示し、候補変異型プローブにおけるフルマッチ結合率から、候補野生型プローブにおけるミスマッチ結合率を引いた値を各マスに示す特性図である。 行に候補野生型プローブの種類、列に候補変異型プローブの種類を示し、候補変異型プローブにおけるフルマッチ結合率から、候補野生型プローブにおけるミスマッチ結合率を引いた値を各マスに示す特性図である。 実施例のプローブセット、比較例1のプローブセット及び比較例2のプローブセットを使用して遺伝子型判定実験を行った結果を示す特性図である。 実施例のプローブセット、比較例1のプローブセット及び比較例2のプローブセットを使用した遺伝子型判定実験の結果に基づいて、各プローブセットを使用した時の全幅及び比との関係を示す特性図である。
本発明では、一塩基多型検出用の野生型プローブ及び変異型プローブの設計方法を提供する。ここで、一塩基多型とは、生物種集団のゲノム中に存在する遺伝子変異であって、塩基配列における一塩基の変異を意味する。本発明において、一塩基多型とは集団内で1%以上の頻度で見られる変異に限定されず、1%未満の頻度で見られる変異(突然変異と呼称される場合もある)をも含む意味である。
野生型プローブとは、検出対象の一塩基多型における野生型アレルに対応し、野生型アレルの遺伝子型に相補的な塩基を有するプローブである。変異型プローブとは、検出対象の一塩基多型における変異型アレルに対応し、変異型アレルの遺伝子型に相補的な塩基を有するプローブである。例えば、野生型アレルの遺伝子型がA(アデニン)であり、変異型アレルの遺伝子型がG(グアニン)である一塩基多型を検出対象とする場合、野生型プローブは一塩基多型に対応する位置にAに相補的なTを含み、変異型プローブは当該位置にGに相補的なCを含む。なお、所定の一塩基多型について設計された、野生型プローブ及び変異型プローブの組み合わせをプローブセットと称する。
本発明に係る設計方法では、先ず、野生型プローブ及び変異型プローブを選択するため、複数の野生型プローブの候補(候補野生型プローブ)及び複数の変異型プローブ(候補変異型プローブ)を設計する。具体的に、本工程では、検出対象の一塩基多型を含む周辺のゲノム配列から、複数の候補野生型プローブ及び複数の変異型プローブを、一塩基多型を含むオリゴヌクレオチドの塩基配列として設計する。
設計する候補野生型プローブ及び候補変異型プローブの長さとしては、特に限定されないが、例えば5〜50塩基長とすることができ、7〜40塩基長とすることが好ましく、10〜30塩基長とすることがより好ましく、11〜25塩基長とすることが最も好ましい。
また、設計する候補野生型プローブ及び候補変異型プローブにおいて、検出対象の一塩基多型に対応する塩基は、設計する塩基配列における略中心に位置するように設計することが好ましい。設計する塩基配列が奇数個の塩基からなる場合、5’末端と3’末端の中央の1つの塩基を一塩基多型に対応する位置とすることができる。また、設計する塩基配列が偶数個の塩基からなる場合、5’末端と3’末端の中央の2塩基のうちいずれかを一塩基多型に対応する位置とすることができる。
ただし、設計する候補野生型プローブ及び候補変異型プローブにおいて、検出対象の一塩基多型に対応する塩基は、上述のように設計する塩基配列における略中心に限定されず、当該略中心から5’末端側又は3’末端側に偏った位置としてもよい。例えば、設計する候補野生型プローブ及び候補変異型プローブにおいて、検出対象の一塩基多型に対応する塩基は、設計する塩基配列における略中心から、全長の1/4の範囲、好ましくは1/5の範囲、より好ましくは1/6の範囲で5’末端側又は3’末端側に偏った位置とすることができる。
また、候補野生型プローブ及び候補変異型プローブを設計する際、検出対象の一塩基多型に対応する塩基を略中心とした候補野生型プローブ及び候補変異型プローブのみを設計しても良いし、検出対象の一塩基多型に対応する塩基を略中心から5’末端側又は3’末端側に偏った位置とした候補野生型プローブ及び候補変異型プローブをのみを設計しても良い。さらに、候補野生型プローブ及び候補変異型プローブを設計する際、検出対象の一塩基多型に対応する塩基を略中心とした候補野生型プローブ及び候補変異型プローブと、検出対象の一塩基多型に対応する塩基を略中心から5’末端側又は3’末端側に偏った位置とした候補野生型プローブ及び候補変異型プローブを設計しても良い。
次に、本発明に係る設計方法では、設計した候補野生型プローブ及び候補変異型プローブについて、完全一致となるターゲットDNAとTm曲線及び一塩基ミスマッチとなるターゲットDNAとのTm曲線をそれぞれ計算する。
ここで、候補野生型プローブについては、完全一致となるターゲットDNAは、検出対象の一塩基多型が野生型アリルである野生型のターゲットDNA(野生型ターゲットと称する)である。また、候補野生型プローブについては、一塩基ミスマッチとなるターゲットDNAは、検出対象の一塩基多型が変異型アリルである変異型のターゲットDNA(変異型ターゲットと称する)である。一方、候補変異型プローブについては、完全一致となるターゲットDNAは、検出対象の一塩基多型が変異型アリルである変異型ターゲットである。また、候補変異型プローブについては、一塩基ミスマッチとなるターゲットDNAは、検出対象の一塩基多型が野生型アリルである野生型ターゲットである。
Tm曲線を計算する方法は、特に限定されないが、例えば、最近接塩基対法(Nearest Neighbor method)、Wallace法及びGC%法等を挙げることができるが、特に最近接塩基対法(Nearest Neighbor method)により計算することが好ましい。なお、Tmとは、プローブとターゲットがハイブリダズしているとき、その50%が解離する時の温度と定義される(すなわち、結合率50%の時の温度)。また、Tm値に影響を与える要因としては、塩基組成、塩濃度、オリゴ鎖の濃度や変性剤(ホルムアミド、DMSO等)、溶媒和効果、コンジュゲート基(ビオチン、ジゴキシゲニン、アルカリフォスファターゼ、蛍光色素等)が挙げられる。
より具体的には、Integrated DNA Technologies社が提供するWEBサービスによりTm値を計算することができ、これにはプローブの塩基配列、プローブ濃度、プローブとハイブリダズするターゲットの濃度、反応液中のNa+並びにK+濃度、反応液中のMg2+濃度及び(場合によっては)dNTPs濃度を設定することでTm曲線を計算することができる。例えば、プローブ濃度並びにターゲット濃度をそれぞれ0.002μMとし、Na+並びにK+濃度を195mMとしMg2+濃度を0mMとし、dNTPs濃度を0mMとしてTm曲線を計算することができる。計算したTm曲線は、一方軸(例えば縦軸)を結合率とし、他方軸(例えば横軸)を温度した2次元平面に表示することもできる。
得られたTm曲線は、所定の塩基配列を有する候補野生型プローブ又は候補変異型プローブと、野生型ターゲット又は変異型ターゲットとに関して、温度と結合率との関係を示すことができる。すなわち、得られたTm曲線に基づいて、上述のように設計した候補野生型プローブにおける野生型ターゲット(完全一致)との結合率を計算することができる。同様に、得られたTm曲線に基づいて、候補野生型プローブにおける変異型ターゲット(一塩基ミスマッチ)との結合率を計算することができる。同様に、得られたTm曲線に基づいて、候補変異型プローブにおける変異型ターゲット(完全一致)との結合率を計算することができる。同様に、得られたTm曲線に基づいて、候補変異型プローブにおける野生型ターゲット(一塩基ミスマッチ)との結合率を計算することができる。
次に、本発明に係る設計方法では、計算された結合率に基づいて、候補野生型プローブ及び候補変異型プローブのなかから、検出対象の一塩基多型に最適な野生型プローブと変異型プローブとを選択する。このとき、上述のように計算された結合率は、所定の温度或いは所定の温度範囲における結合率として計算することができる。例えば、一般的にDNAチップを用いた解析方法では、ターゲットDNAをプローブとハイブリダズさせる温度として40〜80℃、好ましくは50〜70℃、より好ましくは50〜60℃の範囲に設定される。したがって、これら温度範囲に含まれる、例えば55℃における結合率を計算し、55℃における結合率に基づいて、検出対象の一塩基多型に最適な野生型プローブと変異型プローブとを選択することが好ましい。
具体的に、例えば、55℃において、野生型ターゲットに関して、候補野生型プローブとの結合率から候補変異型プローブとの結合率を引いた値が所定の値以上となり、且つ、変異型ターゲットに関して、候補変異型プローブとの結合率から候補野生型プローブとの結合率を引いた値が所定の値以上となる野生型プローブと変異型プローブとの1又は複数の組み合わせを選択する。
ここで、野生型ターゲットに関して候補野生型プローブとの結合率とは、候補野生型プローブについて完全一致するターゲットに対する結合率(フルマッチ結合率)を意味する。また、野生型ターゲットに関して候補変異型プローブとの結合率とは、候補変異型プローブについて一塩基相違するターゲットに対する結合率(ミスマッチ結合率)を意味する。同様に、変異型ターゲットに関して候補野生型プローブとの結合率とは、候補野生型プローブについて一塩基相違するターゲットに対する結合率(ミスマッチ結合率)を意味する。また、変異型ターゲットに関して候補変異型プローブとの結合率とは、候補変異型プローブについて完全一致するターゲットに対する結合率(フルマッチ結合率)を意味する。
ここで、野生型ターゲットに関して、候補野生型プローブとの結合率(フルマッチ結合率)と候補変異型プローブとの結合率(ミスマッチ結合率)を引いた値は、例えば、0.3(但し、結合率は0.00〜1.00の値を取る)以上とすることができ、0.4以上とすることが好ましく、0.5以上とすることがより好ましい。
また、変異型ターゲットに関して、候補変異型プローブとの結合率(フルマッチ結合率)と候補野生型プローブとの結合率(ミスマッチ結合率)を引いた値は、例えば、0.3以上とすることができ、0.4以上とすることが好ましく、0.5以上とすることがより好ましい。
このように、結合率に基づいて、候補野生型プローブ及び候補変異型プローブの中から、上述した条件に合致する野生型プローブと変異型プローブとの1又は複数の組み合わせを選択することができる。そして、選択した野生型プローブと変異型プローブとの1又は複数の組み合わせ、検出対象の一塩基多型を検出するための野生型プローブ及び変異型プローブとして設計することができる。選択した野生型プローブと変異型プローブとの1又は複数の組み合わせは、検出対象の一塩基多型を検出する際に、クロスハイブリダイゼーション発生の確率が最も低い組み合わせであり、当該一塩基多型を高精度に検出(SNPタイピング)することができる。
特に、上述した条件に合致する野生型プローブと変異型プローブとの組み合わせが複数選択できた場合、以下に説明する手順に従ってより優れた野生型プローブと変異型プローブの組み合わせを更に選択しても良い。
すなわち、選択した野生型プローブと変異型プローブとの複数の組み合わせに関して、野生型ターゲットに対する野生型プローブの結合率(フルマッチ結合率)と変異型ターゲットに対する変異型プローブの結合率(フルマッチ結合率)との差の絶対値と、野生型ターゲットに対する変異型プローブの結合率(ミスマッチ結合率)と変異型ターゲットに対する野生型プローブの結合率(ミスマッチ結合率)との差の絶対値とを合計する。そして、複数の組み合わせのうち当該合計値が最も低い組み合わせを選択する。当該合計値が最も低い野生型プローブと変異型プローブとの組み合わせは、検出対象の一塩基多型に関して、野生型、ヘテロ型及び変異型の判定値が均等に分離され、より高精度に一塩基多型を検出することができる。
また、上述した条件に合致する野生型プローブと変異型プローブとの組み合わせが複数選択できた場合、より優れた野生型プローブと変異型プローブの組み合わせを更に選択するには上述した手順に限定されず、例えば以下に説明する如何なる手順に従っても良い。
すなわち、選択した野生型プローブと変異型プローブとの複数の組み合わせに関して、野生型ターゲットに対する野生型プローブの結合率(フルマッチ結合率)と野生型ターゲットに対する変異型プローブの結合率(ミスマッチ結合率)との差が最も大きい組み合わせを選択する。こうして選択した野生型プローブと変異型プローブとの組み合わせは、検出対象の一塩基多型に関して、野生型(A群)と、ヘテロ型と変異型(B群)との判定値が大きく分離され、A群とB群をより高精度に検出することができる。
もしくは、選択した野生型プローブと変異型プローブとの複数の組み合わせに関して、変異型ターゲットに対する変異型プローブの結合率(フルマッチ結合率)と変異型ターゲットに対する野生型プローブの結合率(ミスマッチ結合率)との差が最も大きい組み合わせを選択する。こうして選択した野生型プローブと変異型プローブとの組み合わせは、検出対象の一塩基多型に関して、野生型とヘテロ型(C群)と、変異型(D群)との判定値が大きく分離され、C群とD群をより高精度に検出することができる。
野生型プローブと変異型プローブとの複数の組み合わせのなかから、上述のように、野生型(A群)とヘテロ型と変異型(B群)とをより高精度に検出できる野生型プローブと変異型プローブの組み合わせは、例えば優性変異に関する一塩基多型が検出対象である場合に有効である。
飲酒後、アルコールから生成した毒性の強いアセトアルデヒドは、いくつかの酵素の触媒作用で解毒される。この過程にはALDH2という酵素が最も重要な役割を果たす。この酵素をコードする遺伝子については、第12番染色体エキソン12に位置するGからAへの一塩基多型が酵素活性に重大な影響を及ぼすことが知られている。この一塩基多型は「優性 dominant」であり、ヘテロ接合体(ALDH2*1)又は変異型(ALDH2*2)では、野生型に比べ10%以下しか酵素活性がないことが明らかになっている。
ALDH2の酵素活性を当該一塩基多型で判断する場合、上述した野生型(A群)とヘテロ型と変異型(B群)とをより高精度に検出できる野生型プローブと変異型プローブの組み合わせを使用することが好ましい。
ところで、上述のように設計した野生型プローブ及び変異型プローブは、好ましくは核酸であり、より好ましくはDNAである。DNAには二本鎖も一本鎖も含まれるが、好ましくは一本鎖DNAである。野生型プローブ及び変異型プローブは、例えば、核酸合成装置によって化学的に合成することで取得することができる。核酸合成装置としては、DNAシンセサイザー、全自動核酸合成装置、核酸自動合成装置等と呼ばれる装置を使用することができる。
上述のように設計した野生型プローブ及び変異型プローブは、その5’末端を担体上に固定化することにより、マイクロアレイ(一例としてDNAチップ)の形態で用いるのが好ましい。このとき、マイクロアレイは、検出対象の一塩基多型が複数である場合、各一塩基多型について所定の位置に変異型プローブ及び野生型プローブを有する。
本発明に係るマイクロアレイは、上述した野生型プローブ及び変異型プローブを担体上に固定することで作製することができる。
担体の材料としては、当技術分野で公知のものを使用でき、特に制限されない。例えば、白金、白金黒、金、パラジウム、ロジウム、銀、水銀、タングステンおよびそれらの化合物などの貴金属、およびグラファイト、カ−ボンファイバ−に代表される炭素などの導電体材料;単結晶シリコン、アモルファスシリコン、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素などに代表されるシリコン材料、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)などに代表されるこれらシリコン材料の複合素材;ガラス、石英ガラス、アルミナ、サファイア、セラミクス、フォルステライト、感光性ガラスなどの無機材料;ポリエチレン、エチレン、ポリプロビレン、環状ポリオレフィン、ポリイソブチレン、ポリエチレンテレフタレート、不飽和ポリエステル、含フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、アセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエンスチレン共重合体、ポリフェニレンオキサイドおよびポリスルホンなどの有機材料等が挙げられる。担体の形状も特に制限されないが、好ましくは平板状である。
本発明においては、担体として、好ましくは表面にカーボン層と化学修飾基とを有する担体を用いる。表面にカーボン層と化学修飾基とを有する担体には、基板の表面にカーボン層と化学修飾基とを有するもの、およびカーボン層からなる基板の表面に化学修飾基を有するものが包含される。基板の材料としては、当技術分野で公知のものを使用でき、特に制限されず、上述の担体材料として挙げたものと同様のものを使用できる。
本発明に係るマイクロアレイにおいては、微細な平板状の構造を有する担体が好適に用いられる。形状は、長方形、正方形および丸形など限定されないが、通常、1〜75mm四方のもの、好ましくは1〜10mm四方のもの、より好ましくは3〜5mm四方のものを用いる。微細な平板状の構造の担体を製造しやすいことから、シリコン材料や樹脂材料からなる基板を用いるのが好ましく、特に単結晶シリコンからなる基板の表面にカーボン層および化学修飾基を有する担体がより好ましい。単結晶シリコンには、部分部分でごくわずかに結晶軸の向きが変わっているものや(モザイク結晶と称される場合もある)、原子的尺度での乱れ(格子欠陥)が含まれているものも包含される。
本発明において基板上に形成させるカーボン層としては、特に制限されないが、合成ダイヤモンド、高圧合成ダイヤモンド、天然ダイヤモンド、軟ダイヤモンド(例えば、ダイヤモンドライクカーボン)、アモルファスカーボン、炭素系物質(例えば、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ)のいずれか、それらの混合物、またはそれらを積層させたものを用いることが好ましい。また、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化珪素、炭化タンタル、炭化トリウム、炭化チタン、炭化ウラン、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化モリブデン、炭化クロム、炭化バナジウム等の炭化物を用いてもよい。ここで、軟ダイヤモンドとは、いわゆるダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond Like Carbon)等の、ダイヤモンドとカーボンとの混合体である不完全ダイヤモンド構造体を総称し、その混合割合は、特に限定されない。カーボン層は、化学的安定性に優れておりその後の化学修飾基の導入や分析対象物質との結合における反応に耐えることができる点、分析対象物質と静電結合によって結合するためその結合が柔軟性を持っている点、UV吸収がないため検出系UVに対して透明性である点、およびエレクトロブロッティングの際に通電可能な点において有利である。また、分析対象物質との結合反応において、非特異的吸着が少ない点においても有利である。前記のとおり基板自体がカーボン層からなる担体を用いてもよい。
本発明においてカーボン層の形成は公知の方法で行うことができる。例えば、マイクロ波プラズマCVD(Chemical vapor deposit)法、ECRCVD(Electric cyclotron resonance chemical vapor deposit)法、ICP(Inductive coupled plasma)法、直流スパッタリング法、ECR(Electric cyclotron resonance)スパッタリング法、イオン化蒸着法、アーク式蒸着法、レーザ蒸着法、EB(Electron beam)蒸着法、抵抗加熱蒸着法などが挙げられる。
高周波プラズマCVD法では、高周波によって電極間に生じるグロー放電により原料ガス(メタン)を分解し、基板上にカーボン層を合成する。イオン化蒸着法では、タングステンフィラメントで生成される熱電子を利用して、原料ガス(ベンゼン)を分解・イオン化し、バイアス電圧によって基板上にカーボン層を形成する。水素ガス1〜99体積%と残りメタンガス99〜1体積%からなる混合ガス中で、イオン化蒸着法によりカーボン層を形成してもよい。
アーク式蒸着法では、固体のグラファイト材料(陰極蒸発源)と真空容器(陽極)の間に直流電圧を印加することにより真空中でアーク放電を起こして陰極から炭素原子のプラズマを発生させ蒸発源よりもさらに負のバイアス電圧を基板に印加することにより基板に向かってプラズマ中の炭素イオンを加速しカーボン層を形成することができる。
レーザ蒸着法では、例えばNd:YAGレーザ(パルス発振)光をグラファイトのターゲット板に照射して溶融させ、ガラス基板上に炭素原子を堆積させることによりカーボン層を形成することができる。
基板の表面にカーボン層を形成する場合、カーボン層の厚さは、通常、単分子層〜100μm程度であり、薄すぎると下地基板の表面が局部的に露出する可能性があり、逆に厚くなると生産性が悪くなるので、好ましくは2nm〜1μm、より好ましくは5nm〜500nmである。
カーボン層が形成された基板の表面に化学修飾基を導入することにより、オリゴヌクレオチドプローブを担体に強固に固定化できる。導入する化学修飾基は、当業者であれば適宜選択することができ、特に制限されないが、例えば、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ホルミル基、ヒドロキシル基および活性エステル基が挙げられる。
アミノ基の導入は、例えば、カーボン層をアンモニアガス中で紫外線照射することによりまたはプラズマ処理することにより実施できる。または、カーボン層を塩素ガス中で紫外線を照射して塩素化し、さらにアンモニアガス中で紫外線照射することにより実施できる。または、メチレンジアミン、エチレンジアミンで等の多価アミン類ガス中を、塩素化したカーボン層と反応させることによって実施することもできる。
カルボキシル基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に適当な化合物を反応させることにより実施できる。カルボキシル基を導入するために用いられる化合物としては、例えば、式:X-R1-COOH(式中、Xはハロゲン原子、R1は炭素数10〜12の2価の炭化水素基を表す)で示されるハロカルボン酸、例えばクロロ酢酸、フルオロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、2-クロロプロピオン酸、3-クロロプロピオン酸、3-クロロアクリル酸、4-クロロ安息香酸;式:HOOC-R2-COOH(式中、R2は単結合または炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す)で示されるジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸;式:R3-CO-R4-COOH(式中、R3は水素原子または炭素数1〜12の2価の炭化水素基、R4は炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す)で示されるケト酸またはアルデヒド酸;式:X-OC-R5-COOH(式中、Xはハロゲン原子、R5は単結合または炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。)で示されるジカルボン酸のモノハライド、例えばコハク酸モノクロリド、マロン酸モノクロリド;無水フタル酸、無水コハク酸、無水シュウ酸、無水マレイン酸、無水ブタンテトラカルボン酸などの酸無水物が挙げられる。
エポキシ基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に適当な多価エポキシ化合物を反応させることによって実施できる。あるいは、カーボン層が含有する炭素=炭素2重結合に有機過酸を反応させることにより得ることができる。有機過酸としては、過酢酸、過安息香酸、ジペルオキシフタル酸、過ギ酸、トリフルオロ過酢酸などが挙げられる。
ホルミル基の導入は、例えば、前記のようにアミノ化したカーボン層に、グルタルアルデヒドを反応させることにより実施できる。
ヒドロキシル基の導入は、例えば、前記のように塩素化したカーボン層に、水を反応させることにより実施できる。
活性エステル基は、エステル基のアルコール側に酸性度の高い電子求引性基を有して求核反応を活性化するエステル群、すなわち反応活性の高いエステル基を意味する。エステル基のアルコール側に、電子求引性の基を有し、アルキルエステルよりも活性化されたエステル基である。活性エステル基は、アミノ基、チオール基、水酸基等の基に対する反応性を有する。さらに具体的には、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、シアノメチルエステル、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等がアルキルエステル等に比べてはるかに高い活性を有する活性エステル基として知られている。より具体的には、活性エステル基としては、たとえばp-ニトロフェニル基、N-ヒドロキシスクシンイミド基、コハク酸イミド基、フタル酸イミド基、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド基等が挙げられ、特に、N-ヒドロキシスクシンイミド基が好ましく用いられる。
活性エステル基の導入は、例えば、前記のように導入したカルボキシル基を、シアナミドやカルボジイミド(例えば、1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド)などの脱水縮合剤とN-ヒドロキシスクシンイミドなどの化合物で活性エステル化することにより実施できる。この処理により、アミド結合を介して炭化水素基の末端に、N-ヒドロキシスクシンイミド基等の活性エステル基が結合した基を形成することができる(特開2001-139532)。
野生型プローブ及び変異型プローブを、スポッティング用バッファーに溶解してスポッティング用溶液を調製し、これを96穴もしくは384穴プラスチックプレートに分注し、分注した溶液をスポッター装置等によって担体上にスポッティングすることにより、野生型プローブ及び変異型プローブが担体に固定化されたマイクロアレイを製造することができる。または、スポッティング溶液をマイクロピペッターにて手動でスポッティングしてもよい。
スポッティング後、野生型プローブ及び変異型プローブが担体に結合する反応を進行させるため、インキュベーションを行うことが好ましい。インキュベーションは、通常−20〜100℃、好ましくは0〜90℃の温度で、通常0.5〜16時間、好ましくは1〜2時間にわたって行う。インキュベーションは、高湿度の雰囲気下、例えば、湿度50〜90%の条件で行うのが望ましい。インキュベーションに続き、担体に結合していないDNAを除去するため、洗浄液(例えば、50mM TBS/0.05% Tween20、2×SSC/0.2%SDS溶液、超純水など)を用いて洗浄を行うことが好ましい。
以上のように構成されたマイクロアレイを用いることで、診断対象者における検出対象の一塩基多型について遺伝子型を判定する(野生型、ヘテロ型或いは変異型)ことができる。
具体的に、所定の一塩基多型について遺伝子型を判定する際には、診断対象者由来の試料からDNAを抽出する工程と、抽出したDNAを鋳型とし、当該一塩基多型を含む領域を増幅する工程と、上述したマイクロアレイを用いて、増幅された核酸に含まれる一塩基多型の遺伝子型を判定する工程とを含む。
診断対象者は通常ヒトであり、人種等には特に限定されないが、特に、黄色人種、好適には東アジア人種、特に好適には日本人とする。また、診断対象者としては、骨髄増殖性腫瘍が疑われる患者とすることができる。
診断対象者由来の試料は特に制限されない。例えば、血液関連試料(血液、血清、血漿など)、リンパ液、糞便、がん細胞、組織または臓器の破砕物および抽出物などが挙げられる。
まず、診断対象者から採取した試料からDNAを抽出する。抽出手段としては、特に限定されない。例えばフェノール/クロロホルム、エタノール、水酸化ナトリウム、CTABなどを用いたDNA抽出法を用いることができる。
次に、得られたDNAを鋳型として用いて増幅反応を行い、検出対象の一塩基多型を含む領域を増幅する。増幅反応としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)、ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)法等を適用することができる。増幅反応においては、増幅後の領域を識別できるように標識を付加することが望ましい。このとき、増幅された核酸を標識する方法としては、特に限定されないが、例えば増幅反応に使用するプライマーをあらかじめ標識しておく方法を使用してもよいし、増幅反応に標識ヌクレオチドを基質として使用する方法を使用してもよい。標識物質としては、特に限定されないが、放射性同位元素や蛍光色素、あるいはジゴキシゲニン(DIG)やビオチンなどの有機化合物などを使用することができる。
またこの反応系は、核酸増幅・標識に必要な緩衝剤、耐熱性DNAポリメラーゼ、増幅領域に特異的なプライマー、標識ヌクレオチド三リン酸(具体的には蛍光標識等を付加したヌクレオチド三リン酸)、ヌクレオチド三リン酸および塩化マグネシウム等を含む反応系である。
また、プライマーにより増幅される核酸断片は、設計した野生型プローブ及び変異型プローブに対応する領域を含んでいれば特に限定されず、例えば1kbp以下が好ましく、800bp以下がより好ましくは、500bp以下が更に好ましく、350bp以下が特に好ましい。
上記のようにして得られた増幅核酸と、担体に固定された野生型プローブ及び変異型プローブとのハイブリダイゼーション反応を行い、野生型プローブ及び変異型プローブに対する増幅核酸のハイブリダイズを検出することで診断対象者における上記一塩基多型の遺伝子型を判定することができる。
標識からのシグナルは、例えば、蛍光標識を用いた場合は、蛍光スキャナを用いて蛍光シグナル検出し、これを画像解析ソフトによって解析することによりシグナル強度を数値化することができる。また、野生型プローブ及び変異型プローブにハイブリダイズした増幅核酸は、例えば、既知量のDNAを含む試料を用いて検量線を作成することにより、定量することもできる。ハイブリダイゼーション反応は、好ましくはストリンジェントな条件下で実施する。ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、例えば、55℃で16時間ハイブリダイズ反応させた後、2×SSC/0.2% SDS、25℃、10分および2×SSC、25℃、5分の条件で洗浄する条件をさす。或いは、ハイブリダイズする温度としては、塩濃度が0.5×SSCのとき、40〜80℃とすることができ、プローブの鎖長が短い場合にはハイブリダイズ温度をこれより低くすることがより好ましく、鎖長が長い場合にはハイブリダイズ温度をこれより高くとすることがより好ましい。塩濃度が高くなると特異性を有するハイブリダイズ温度は高くなり、逆に塩濃度が低くなると特異性を有するハイブリダイズ温度は低くなることはいうまでもない。
特に、ハイブリダズ温度は、上述した野生型プローブ及び変異型プローブを設計する際に計算した結合率におけるハイブリダズ温度とすることが好ましい。例えば、温度55℃における結合率を計算し、当該結合率に基づいて野生型プローブ及び変異型プローブを設計した場合には、ハイブリダズ温度を55℃とすることが好ましい。
また、変異型プローブと野生型プローブとを備えるマイクロアレイを使用する場合、これら変異型プローブ及び野生型プローブからのシグナル強度を用いて上記一塩基多型の遺伝子型を判定することができる。具体的には、野生型プローブにおけるシグナル強度及び変異型プローブにおけるシグナル強度をそれぞれ測定し、変異型プローブに由来するシグナ強度を評価するための判定値を算出する。判定値の算出例としては、例えば、上述した判定式:[野生型プローブ由来のシグナル強度]/([野生型プローブ由来のシグナル強度]+[変異型プローブ由来シグナル強度])=判定値を使用する方法が挙げられる。
そして、上記式にて算出される判定値と予め定めた閾値(カットオフ値)とを比較し、判定値が第1の閾値を上回る場合には増幅核酸に含まれる一塩基多型が野生型であると判断し、判定値が第1の閾値を下回り且つ第2の閾値を上回る場合には増幅核酸に一塩基多型がヘテロ型であると判断し、判定値が第2の閾値を下回る場合には増幅核酸に一塩基多型が変異型であると判断する(第1の閾値>第2の閾値)。
ここで、第1の閾値及び第2の閾値としては、検査対象の一塩基多型が野生型であることが確定している検体及び検査対象の一塩基多型が変異型であることが確定している検体を用いて上記式により算出した判定値に基づいて規定することができる。より具体的には、検査対象の一塩基多型が野生型であることが確定している複数の検体を用いて複数の判定値を算出し、その平均値+3σ(σ:標準偏差)の値を第1の閾値とすることができる。また、検査対象の一塩基多型が変異型であることが確定している複数の検体を用いて複数の判定値を算出し、その平均値+3σ(σ:標準偏差)の値を第2の閾値とすることができる。なお、平均値+2σや平均値+σの値を閾値とすることもできる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。
[実施例]
本実施例では、CYP2C19遺伝子のエキソン5の一塩基置換(CYP2C19*2)の一塩基多型を例として、当該一塩基多型を検出するためのプローブセットを設計した。なお、当該一塩基多型を含むターゲットは、野生型のターゲット(TTAAGTAATTTGTTATGGGTTCCcGGGAAATAATCAATGATAGTGGG:配列番号1、小文字が多型部位)と、変異型ターゲット(TTAAGTAATTTGTTATGGGTTCCtGGGAAATAATCAATGATAGTGGG:配列番号2、小文字が多型部位)とした。
先ず、これら野生型ターゲットを検出するための候補野生型プローブ(表1)及び候補変異型プローブ(表2)を設計した。表1及び表2において一塩基多型に対応する塩基を小文字で表記した。
Figure 2019106907
Figure 2019106907
次に、表1及び2に示した候補野生型プローブ及び候補変異型プローブに関して、野生型ターゲット及び変異型ターゲットについてのTm曲線及びTm値を計算した。Tm曲線及びTm値は、Integrated DNA Technologies社が提供するWEBサービスにより算出した。このとき、プローブ濃度並びにターゲット濃度をそれぞれ0.002μMとし、Na+並びにK+濃度を195mMとしMg2+濃度を0mMとし、dNTPs濃度を0mMとし設定した。
候補野生型プローブに関してTm値を計算した結果を表3に示し、候補変異型プローブに関してTm 値を計算した結果を表4に示した。なお、表3及び4において「FM」とは、完全一致(Full Match)するターゲットとのハイブリダイズにおけるTm値を意味し、「MM」とは、一塩基ミスマッチ(Miss Match)するターゲットとのハイブリダイズにおけるTm値を意味する。
Figure 2019106907
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また、得られたTm曲線に基づいて、温度55℃における結合率を計算した。候補野生型プローブに関して結合率を計算した結果を表5に示し、候補変異型プローブに関して結合率を計算した結果を表6に示した。
なお、表5において「WP-FM」とは、候補野生型プローブと野生型ターゲットとのハイブリダイズ(完全一致:Full Match)を意味し、「WP-MM」とは、候補野生型プローブと変異型ターゲットとのハイブリダイズ(一塩基ミスマッチ:Miss Match)を意味している。同様に、表6において「VP-FM」とは、候補変異型プローブと変異型ターゲットとのハイブリダイズ(完全一致:Full Match)を意味し、「VP-MM」とは、候補変異型プローブと野生型ターゲットとのハイブリダイズ(一塩基ミスマッチ:Miss Match)を意味している。
Figure 2019106907
Figure 2019106907
次に、表5及び6に示した、55℃における結合率の値から、野生型ターゲットに関して、候補野生型プローブとの結合率(フルマッチ結合率)と候補変異型プローブとの結合率(ミスマッチ結合率)を引いた値を求めた。結果を図1〜3に示した。図1〜3に示した各マスの数値は、縦軸に示した候補野生型プローブにおけるフルマッチ結合率(表5)から、横軸に示した候補変異型プローブにおけるミスマッチ結合率(表6)を引いた値を示している。そして、図1〜3には、この引いた値が0.5以上のマスを網掛けとした。
また、表5及び6に示した、55℃における結合率の値から、変異型ターゲットに関して、候補変異型プローブとの結合率(フルマッチ結合率)と候補野生型プローブとの結合率(ミスマッチ結合率)を引いた値を求めた。結果を図4〜6に示した。図4〜6に示した各マスの数値は、横軸に示した候補変異型プローブにおけるフルマッチ結合率(表6)から、縦軸に示した候補野生型プローブにおけるミスマッチ結合率(表5)を引いた値を示している。そして、図4〜6には、この引いた値が0.5以上のマスを網掛けとした。
また、図4〜6に示した網掛けと、図1〜3に示した網掛けとが重複するマスを太線で囲った。すなわち、太線で囲ったマスは、55℃において、野生型ターゲットに関して、候補野生型プローブとの結合率から候補変異型プローブとの結合率を引いた値が0.5以上となり、且つ、変異型ターゲットに関して、候補変異型プローブとの結合率から候補野生型プローブとの結合率を引いた値が0.5以上となる野生型プローブと変異型プローブとの組み合わせを示している。
すなわち、本実施例では、CYP2C19遺伝子のエキソン5の一塩基置換(CYP2C19*2)の一塩基多型を高精度に判定する野生型プローブ及び変異型プローブとして以下の組み合わせを選択することができた。
・WP_20mer_LとVP_24mer_R
・WP_21merとVP_24mer_R
・WP_22mer_RとVP_24mer_R
・WP_22mer_LとVP_24mer_R
・WP_23merとVP_24mer_R
・WP_22mer_RとVP_24mer_L
・WP_22mer_LとVP_24mer_L
・WP_23merとVP_24mer_L
・WP_23merとVP_25mer
また、本実施例では、以上のように選択したプローブセットのうち、5つのセット[WP_22mer_L及びVP_24mer_R]、[WP_23mer及びVP_24mer_R]、[WP_22mer_L及びVP_24mer_L]、[WP_23mer及びVP_24mer_L]並びに[WP_23mer及びVP_25mer]を用いて一塩基多型の遺伝子型判定実験を行った。
また、この遺伝子型判定実験には、比較のため、プローブ長を等しくする観点で選択したプローブセット(比較例1)、Tm値が55℃に近いという観点で選択したプローブセット(比較例2)も使用した。比較例1のプローブセットは、[WP_22mer_R及びVP_22mer_R]、[WP_22mer_L及びVP_22mer_L]、[WP_23mer及びVP_23mer]、[WP_24mer_R及びVP_24mer_R]並びに[WP_24mer_L及びVP_24mer_L]の5つのセットである。比較例2のプローブセットは、[WP_19mer及びVP_23mer]、[WP_18mer_L及びVP_23mer]、[WP_19mer及びVP_23mer]、[WP_20mer_R及びVP_23mer]並びに[WP_19mer及びVP_24mer_R]の5つのセットである。
これら実施例のプローブセット、比較例1のプローブセット及び比較例2のプローブセットを配置したDNAチップ(CYPチップ)を作製した。そして、野生型ターゲット、ヘテロ型ターゲット或いは変異型ターゲットを濃度2μMとCYPチップを1xSSC、0.1%SDS、ハイブリダイズ温度55℃で1時間反応させ、蛍光スキャナー(BIOSHOT社製)を用いて7秒より蛍光強度を得た。
そして、実施例のプローブセット、比較例1のプローブセット及び比較例2のプローブセットにおいて得られた蛍光強度より、野生型、ヘテロ型及び変異型判定値を算出し、比較した。結果を図7に示した。また、図7に示した各プローブセットの結果に基づいて、野生型ターゲットを用いた時の判定値と変異型ターゲットを用いた時の判定値との差(全幅)、変異型ターゲットを用いた時の判定値からヘテロ型ターゲットを用いた時の判定値を引いた値を、ヘテロ型ターゲットを用いた時の判定値から野生型ターゲットを用いた時の判定値を引いた値で割った値(比(V-H/H-W))を図8に示した。
なお、図8に示したグラフにおいて、全幅の値が大きく、比が1に近い値であるプローブセットは、クロスハイブリダイゼーションが起こりにくいことを意味し、全幅がより小さいか比が1からより遠い値であるプローブセットと比較して、検出対象の一塩基多型をより高精度に検出できることが意味している。
図7及び図8に示すように、本実施例で選択したプローブセットを使用した場合には、比較例1及び2のプローブセットを使用した場合と比較して、全幅がより大きく、且つ比が1に近いことが分かる。この結果より、本実施例で選択したプローブセットを使用した場合には、クロスハイブリダイゼーションの発生を抑え、より高精度に一塩基多型の遺伝子型を判定できることが明らかとなった。
さらに、遺伝子型判定実験に使用した本実施例で選択したプローブセットの5種類について、野生型ターゲットに対する野生型プローブの結合率(フルマッチ結合率)と変異型ターゲットに対する変異型プローブの結合率(フルマッチ結合率)との差の絶対値と、野生型ターゲットに対する変異型プローブの結合率(ミスマッチ結合率)と変異型ターゲットに対する野生型プローブの結合率(ミスマッチ結合率)との差の絶対値とを合計した。その結果、合計値の低い順に、[WP_22mer_L及びVP_24mer_L](合計値:0.06)、[WP_23mer及びVP_25mer](合計値:0.07)、[WP_22mer_L及びVP_24mer_R](合計値:0.08)、[WP_23mer及びVP_24mer_L](合計値:0.20)、[WP_23mer及びVP_24mer_R](合計値:0.21)であった。
図8に示すように、当該合計値が低いプローブセットは、全幅がより大きく、且つ比が1により近いことが分かる。このことから、上述のようにして一塩基多型を検出するためのプローブセットが複数選択された場合には、上記合計値を計算し、当該合計値がより低いプローブセットを使用することがより好ましいことが分かる。

Claims (6)

  1. 一塩基多型の野生型に対応する野生型プローブと、当該一塩基多型の変異型に対応する変異型プローブとを設計する方法であって、
    上記一塩基多型部位を含む複数の候補野生型プローブと、上記一塩基多型部位を含む複数の候補変異型プローブとを設計し、
    これら候補野生型プローブについて完全一致となる野生型ターゲットとの結合率、これら候補野生型プローブについて当該一塩基多型部位において一塩基ミスマッチとなる変異型ターゲットとの結合率、これら候補変異型プローブについて完全一致となる変異型ターゲットとの結合率、及びこれら候補変異型プローブについて当該一塩基多型部位における一塩基ミスマッチとなる野生型ターゲットとの結合率をそれぞれ計算し、
    野生型ターゲットに関して、候補野生型プローブとの結合率から候補変異型プローブとの結合率を引いた値が所定の値以上となり、且つ、変異型ターゲットに関して、候補変異型プローブとの結合率から候補野生型プローブとの結合率を引いた値が所定の値以上となる野生型プローブと変異型プローブとの1又は複数の組み合わせを、候補野生型プローブ及び候補変異型プローブのなかから選択し、
    選択した野生型プローブと変異型プローブとの1又は複数の組み合わせを、当該一塩基多型を検出するための野生型プローブ及び変異型プローブとして設計する方法。
  2. 上記結合率は、所定のハイブリダイズ温度若しくは所定のハイブリダイズ温度範囲において計算し、当該ハイブリダイズ温度若しくはハイブリダイズ温度範囲において使用する野生型プローブ及び変異型プローブを設計することを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 野生型プローブと変異型プローブとの複数の組み合わせを選択した場合、複数の組み合わせに関して、野生型ターゲットに対する野生型プローブの結合率と変異型ターゲットに対する変異型プローブの結合率との差の絶対値と、野生型ターゲットに対する変異型プローブの結合率と変異型ターゲットに対する野生型プローブの結合率との差の絶対値とを合計し、複数の組み合わせのうち当該合計値が最も低い組み合わせを、上記一塩基多型を検出するための野生型プローブ及び変異型プローブとして設計することを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 野生型プローブと変異型プローブとの複数の組み合わせを選択した場合、複数の組み合わせに関して、野生型ターゲットに対する野生型プローブの結合率と野生型ターゲットに対する変異型プローブの結合率との差が最も大きい組み合わせ、又は、変異型ターゲットに対する変異型プローブの結合率と変異型ターゲットに対する野生型プローブの結合率との差が最も大きい組み合わせを、上記一塩基多型を検出するための野生型プローブ及び変異型プローブとして設計することを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 一塩基多型の野生型に対応する野生型プローブと、当該一塩基多型の変異型に対応する変異型プローブとからなるプローブセットであって、
    上記一塩基多型部位を含む複数の候補野生型プローブと、上記一塩基多型部位を含む複数の候補変異型プローブとのなかから選択され、
    野生型ターゲットに関して、候補野生型プローブとの結合率から候補変異型プローブとの結合率を引いた値が所定の値以上となり、且つ、変異型ターゲットに関して、候補変異型プローブとの結合率から候補野生型プローブとの結合率を引いた値が所定の値以上となる野生型プローブと変異型プローブとからなる、当該一塩基多型を検出するためのプローブセット。
  6. 担体と、当該担体に固定された請求項5記載のプローブセットに含まれる野生型プローブ及び変異型プローブとを備えるDNAチップ。
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