JP2019120199A - 風力発電装置およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
風車の傾斜、振動や風向の急変に対応して能動的にレーザービームの出射方向を変える機能を提供する。
【解決手段】
ロータ、ロータを支持するナセル、及びナセルを支持するタワーを有する風力発電装置である。ロータは、風力を受けて回転する複数のブレード、及びブレードを接続するハブを備える。ナセルは、計測用ビームを放射することによって風況を計測する風況計測装置を備える。風況計測装置は、風況計測装置の姿勢を調整する姿勢制御機構を備える。風況計測装置の計測結果に基づいて、将来の風況を予測する風況予測部と、風況予測部で予測された将来の風況に基づいて、第1のフィードフォワード制御信号を生成するフィードフォワード制御部とを備え、第1のフィードフォワード制御信号を用いて姿勢制御機構をフィードフォワード制御する。
【選択図】図2
風車の傾斜、振動や風向の急変に対応して能動的にレーザービームの出射方向を変える機能を提供する。
【解決手段】
ロータ、ロータを支持するナセル、及びナセルを支持するタワーを有する風力発電装置である。ロータは、風力を受けて回転する複数のブレード、及びブレードを接続するハブを備える。ナセルは、計測用ビームを放射することによって風況を計測する風況計測装置を備える。風況計測装置は、風況計測装置の姿勢を調整する姿勢制御機構を備える。風況計測装置の計測結果に基づいて、将来の風況を予測する風況予測部と、風況予測部で予測された将来の風況に基づいて、第1のフィードフォワード制御信号を生成するフィードフォワード制御部とを備え、第1のフィードフォワード制御信号を用いて姿勢制御機構をフィードフォワード制御する。
【選択図】図2
Description
本発明は風力発電装置等の風力発電設備に関する。特に、風力発電設備の風況を計測して制御に利用する風力発電装置に関する。
風力発電設備においては、時間的に変化する風況に応じて風車のピッチ角やヨー角などを調整することで、発電効率の向上と疲労荷重の低減を図るために最適の運転制御をすることが求められる。風車運転の制御にあたっては、制御の遅延をなくすために風車に到達する前の風況を計測し、この計測結果をもとに風車のロータ面における風況を予測する技術が求められる。
近年、風況計測マストに替えて風車のナセルに設置したドップラーライダー(以下、ライダーと呼ぶ)によって風況を計測する例が多く報告されている。この方法はマストの設置をすることなく風車周辺の風況を計測できる。従来の方式では、ナセルに固定されたライダーのレーザービームはナセルの方向に沿って出射される。そのため、洋上設置における風車のようにナセルの方位が変動する場合や、山間部など複雑な地形の影響で風向の変動が大きい場合は、風車のナセルは風車のロータ面の風況予測に適した方位にあるとは限らない。そこで、風況予測に必要とされる計測を可能にする風況計測システムが求められている。
風車のナセルに設置されたライダーを使って風況を計測する方法は、たとえば特許文献1と特許文献2などにおいて明らかにされている。特許文献1では、風力発電装置の前方遠隔位置における風速に基づく運転制御のメリットを効果的に享受するため、前方風速計測器の変位に基づいて、前方風速計測器による計測が行われる前方遠隔位置を特定し、前方風速計測器で計測された前方遠隔位置における風速に基づいて、風力発電装置を制御することが記載される。また、特許文献2では、ライダーの計測結果を使ってピッチ角やヨー角など風車運転のパラメータを制御する技術が提案している。
これらは基本的に風車に固定的に設置されたにライダーに関する技術であり、ライダー計測によってナセル方位にそった領域の風況を把握し、これをもって風車を制御することで発電効率の向上や疲労荷重の低減を図ることが可能にしている。
しかし、こうしたライダーがナセルに固定された構成では、出射されるレーザービームの方位はナセル方位に限定されるためにロータ面の風況予測に適した領域を計測できない場合がある。ライダーのレーザービームは、一定時間の後に、風車のロータに入ってくる風の領域に向かって照射されることが望ましい。陸上設置の風車において風向が一定して安定した風の状態では、ナセル方位は風向に向かって水平方向を向いており、この方向にレーザービームを照射することにより、ロータに入ってくる領域の風況を計測することができる。しかし、例えば、洋上のフロートに設置された風車は波による振動のために、レーザービームの照射領域は風況予測に対して望ましい位置からずれることになる。
一般にライダーは、レーザービームを異なる角度で出射することで風向の水平方向成分や垂直方向成分を算出している。また、レーザービームに出射方向に角度を持たせることで一定領域の風況情報を三次元的に得ている。レーザービームの照射方法には複数の方法があり、ひとつのレーザービームをライダー内のミラーによって回転させる方式や、複数のレーザービームを出射する方式などがある。このように従来のライダーも、限定的ではあるが異なる方向にレーザービームを出射する機能を有している。
しかし、従来のライダーでは、レーザービームの出射方向(放射方向)の中心はナセル方位つまりライダーの中心軸に一致しており、レーザービームの出射角度の可変範囲は多くの場合、レーザービーム中心に対して最大30°程度である。以下、ビームの出射方向といった場合には、特記ある場合を除きビームの放射範囲の中心の方向、あるいは、放射強度の中心の方向をいうものとする。風車の設置場所においては90°を超える風向の急変は起こりうる範囲である。したがって、風車の傾斜、振動や風向の急変に対応して能動的にレーザービームの出射方向を変える機能が必要となる。
本発明の一側面は、ロータ、ロータを支持するナセル、及びナセルを支持するタワーを有する風力発電装置である。ロータは、風力を受けて回転する複数のブレード、及びブレードを接続するハブを備える。ナセルは、計測用ビームを放射することによって風況を計測する風況計測装置を備える。風況計測装置は、風況計測装置の姿勢を調整する姿勢制御機構を備える。風況計測装置の計測結果に基づいて、将来の風況を予測する風況予測部と、風況予測部で予測された将来の風況に基づいて、第1のフィードフォワード制御信号を生成するフィードフォワード制御部とを備え、第1のフィードフォワード制御信号を用いて姿勢制御機構をフィードフォワード制御する。
本発明の他の一側面は、計測用ビームを用いて風況を測定する風況計測装置を具備する風力発電装置の制御方法である。風況計測装置が、計測用ビームの出射方向を変化させる姿勢制御機構を介してナセルに設置されており、姿勢制御機構が、フィードフォワード制御されることによって計測用ビームの出射方向が制御されて、風況計測装置が風況を測定する。風況計測装置による測定結果に基づいて、将来の風況を予測し、将来の風況の予測結果に基づいて、ナセルの姿勢がフィードフォワード制御される。
風車の傾斜、振動や風向の急変に対応して能動的にレーザービームの出射方向を変える機能を提供する。
以下、実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、重複する説明は省略することがある。
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
以下で説明される実施例の一つは、風況計測装置としてドップラーライダーを備えた風力発電装置であって、風況計測装置で利用するレーザービーム方位をナセル方位とは独立に設定できる機構と方位設定をするための風況予測部を具備したものである。
以下、本明細書では風況計測装置としてのドップラーライダーを「ライダー」、風力発電装置は「風車」と記すことにする。従来ではライダーは風車のナセル方位の延長上にある領域を計測する方法が明らかにされているが、本実施例では、ナセル方位だけではなく、風車の傾斜、風況の変化予測値を考慮してナセル方位とは独立にライダーのレーザービームの方位を定め、風車に到達する風を予測するために最適の方向に向けて照射するための機構とレーザービーム方位を決めるための予測部と制御を具備する。
以下に説明する実施例では、ロータ面の風況を正確に予測するために、ナセルの方位とは独立に最適のライダー(風況計測装置の一例)のレーザービーム(計測用ビームの一例)の出射方向を設定できる機能をライダーに設ける。これにより風況、風車の傾斜、などにより変化するレーザービーム出射方向を最化することができる。レーザービーム出射方向の最風況計測データをもとにライダーの架台の設定値(方位、傾斜)を決めることでロータ面の風況の予測精度を向上することができる。
レーザービーム出射を決める手段については、ライダーとして決められたレーザー出射方向を決める機構を用い、これを取り付ける架台によってライダー全体の方位を変化させる方法をとることができる。この方法によれば従来方式のライダーを使って高い自由度でレーザービーム方位を設定することができる。別の手段としては、レーザービーム方位を設定する機能をライダー内部に設ける方法を採ることができる。このライダー組込み型の方法によれば、ライダー用の可動架台を用いず、ライダーとナセルを従来と同様に固定した状態でレーザービームの中心方位を変化させることができる。ライダー組込み型のレーザービーム方位の可変手段としては、従来の光学系を新たな支持台の上に設置し、この支持台に広範囲の方位設定の自由度を持たせることで実現できる。
上記のレーザービーム方位を変化させる機構とともに重要なのが、風車と周辺環境の情報をもとにして能動的にレーザービーム方位を決めて制御する手段を具備することである。例えば洋上においてライダーが搭載された風車の振動を計測し、風況や風車の稼働状況から振動を予測してレーザービーム方位を決め、それを実現するための制御を実行する。あるいは、ライダーによる風況データから、時間経過とともに変化する風況を予測し、その風況下で最も予測に好ましいレーザービーム方位に設定することでロータ面の風況予測の精度を向上することが可能になる。
図1に本実施例の風車の構成を示す。風車20は、少なくとも一本のブレード1と、ブレード1が取り付けられるハブ2がナセル3に回転自在の形態で支持される。ナセル3はタワー5によって支持されている。ブレード1が風を受けることで、ブレード1及びハブ2で構成されるロータが回転してナセル3内に設置された発電機によって発電が行われる。風車に到達する風況を計測する風況計測装置4としてライダーがナセル3に設置される。後述するように、風況計測装置4には姿勢制御のための架台が付属する。なお、本明細書で姿勢という場合には、対象物の移動、傾き、回転など、空間内における対象物の位置の状態全般をいうものとする。
詳細は図示しないが、公知のように風車20は、ブレード1のピッチや、ナセル3の向きを変更するための駆動装置や、駆動装置を制御するための制御装置を備えている。これらは、通常ナセル3内に設置される。
ライダーは所定の範囲に計測用ビームを照射し、エアロゾルからの反射ビームに基づいて、風向き及び風速等の風況を計測する。計測用ビームには、レーザー光、マイクロ波、及び超音波等が考えられる。周知のように、ライダーは観測対象の相対的な移動速度と変位を観測することができ、所定位置例えば数百メートル先の風速や風向を測定することができる。ここでは風の向き11に対してナセル3がブレード1の上流になるようなダウンウィンド型を示したが、ナセルがブレードの風下になるようなアップウィンド型の構成であっても構わない。ダウンウィンド型の場合、風況計測装置4はナセル内に配置することが可能である。
図2は本実施例の全体構成を示すブロック図である。図1の風車20には風況計測装置4が設置される。風況計測装置4としてライダーを用い、ライダーは架台によって風車に固定される。ここでライダーから照射されるレーザービームの方位は、風況計測装置4を搭載した架台により風車20のナセル方位とは独立に制御され、設定することができる。
架台は、風況計測装置4をナセル3に固定するとともに、風況計測装置4のレーザービームの照射角度を、水平方向および垂直方向に変更することが可能である。具体例としては、架台は風況計測装置4が水平方向および垂直方向に回転できるように風況計測装置4を支持する。風況計測装置4の回転は、例えば第1のモータによって垂直(仰角)方向に回転する第1の支持台と、第2のモータによって水平(方位角)方向に回転する第2の支持台で構成することができる。第1および第2のモータには、例えば、サーボモータを用いることができる。後述するようにこれらのモータは、FF制御部24からの制御信号に従って独立に駆動される。
風況計測装置4による風況計測結果は風況予測部23に送られる。風況予測部23では、風況計測装置4による風況計測結果を基にして風況を予測する。風況予測部23の出力はフィードフォワード(FF)制御部24に入力される。
傾斜計測、予測部22は例えば、ナセル3の各所に設置された加速度計(図示せず)の検出値に基づいて、風車20の現在の姿勢を計測する。また、現在の姿勢と、風況計測装置4による風況計測結果を基にしていた予測された風況に基づいて、将来の姿勢を予測する。例えば、海上のフロート上に設置された風車の場合、加速度計の計測値に基づく風車の傾斜を計測することにより、例えば海上の波による周期的な傾斜を測定、予測することができる。一方、風況計測装置4により得られる風況の情報により、風圧に起因する風車20の姿勢や傾きを推定、予測することができる。したがって、波と風の両者の情報を用いることで、風車20の姿勢の予測精度が向上する。傾斜計測、予測部22の出力は、FF制御部24に入力される。なお、以降便宜的に、姿勢や傾きといった場合には、重力方向に垂直な面である、地表(あるいは水面)平面上に固定された座標に対する姿勢や傾きをいうものとする。
風況予測部23からの風況予測値と、傾斜計測、予測部22からの傾斜予測値は、並列的にFF制御部24に入力される。FF制御部24では、この2つの予測値をもとにしてライダー架台制御と風車制御が実行される。FF制御部24の第1のFF制御信号出力は風況計測装置4に送られて、風況計測装置4において、レーザービームが風車の傾斜の影響を排除して風向に沿った風況の計測を行なうように、レーザービーム方位が設定される。また、FF制御部24の第2のFF制御信号出力は風車20に送られて、所望の運転条件、例えば出力を満足するように、風車20のヨー角やピッチ角の制御が行なわれる。
風車20の発電機の回転数、ロータ回転数、出力などの運転状況は、フィードバック(FB)制御部25に入力される。FB制御では、例えば回転数、ロータ回転数、出力などのパラメータが一定になるように制御を行なう。FB制御部25の出力である第1のFB制御信号は風況計測装置4に入力され、第2のFB制御信号は風車20に入力され、FF制御の場合と同様に、風況計測装置4においてレーザービーム方位制御が、風車20においてヨー角やピッチ角の制御が行なわれる。
また、図示していないが、本発明の風車にはライダーとは別に、従来型の風向、風速計も設置されており、風車における風向、風速を測定している。従来型の風向、風速計の検出信号は、FF制御やFB制御の制御信号生成に用いることができる。
以上で説明した本実施例の計算や制御等の機能は、制御装置で実行される。制御装置は、入力装置、出力装置、記憶装置、および処理装置を備える計算機で実現されるものとする。本実施例では、記憶装置に格納されたプログラムが処理装置によって実行されることで、定められた処理が他のハードウェアと協働して実現されるものとする。計算機などが実行するプログラム、その機能、あるいはその機能を実現する手段を、「機能」、「手段」、「部」、「ユニット」、「モジュール」等と呼ぶ場合がある。
本実施例では、図2の構成において、傾斜計測、予測部22、風況予測部23、フィードフォワード(FF)制御部24、フィードバック(FB)制御部25は、計算機において処理装置がプログラムを実行することによって実現される。制御装置である計算機はナセル3内に設置しても良いし、ネットワークで接続された遠隔地に配置しても良い。風車20および風況計測装置4と計算機との間の信号のやり取りは、計算機の入力装置および出力装置を介して行なわれる。計算機としては、一般的なサーバやマイクロコンピュータを用いることができる。計算機のハードウェア構成については、周知であるため説明は省略する。
制御装置の構成は、単体の計算機で構成してもよいし、あるいは、入力装置、出力装置、処理装置、記憶装置の任意の部分が、ネットワークで接続された他のコンピュータで構成されてもよい。
本実施例中、ソフトウェアで構成した機能と同等の機能は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアでも実現できる。
本実施例では、上記のようにFF制御部24の出力が風況計測装置4にも送られて、風車のナセルとは異なる方位にライダーのレーザービーム方位が設定される。この効果について以下に説明する。
図3は風況予測部23における風況予測を説明する参考図である。横軸は時間、縦軸は風車のロータとライダーによる風況計測領域7、8、9の距離rを示す。たとえば、時刻t1における風況計測領域7における風は、時刻t2における風況計測領域8における風とみなすことができる。このとき原理的に、t2 = t1 + (r2-r1)/v1である。ただし、r1は風況計測領域7のロータ面位置からの距離、r2は風況計測領域8のロータ面位置からの距離、v1は風況計測領域7における風速(風況計測領域7と風況計測領域8の間で一定とする)。
風況予測の目的は、ロータ面の風況12を事前に(時刻t0以前に)予測することである。ロータから離れたr1、r2、r3の距離において、時刻t1、t2、t3における風況計測値からロータ位置r0における時刻toでのロータ面の風況12を予測することができる。この予測には、時系列データの回帰式や機械学習などの手法を用いることができる。この事前の予測値を用いて風車20のピッチ角、ヨー角をFF制御することにより、風車20の風況に応じた最適の状態設定に要する時間を確保でき、時刻t0以前に最適の状態設定を終了することができる。
例えば、風速が大きく、風向変化も大きな突風が予測されたとすると、この予測値に基づいて風車20のピッチ角、ヨー角をFF制御して、風車の姿勢を制御し、風車の疲労荷重を低減することができる。ただし、FF制御では、風上の風況を風況計測装置4で正確に測定することが前提である。風況計測装置4のレーザービームの照射方向やライダー計測領域の位置が変動すると、図3で示した関係が維持されなくなり、風況予測の精度が低下するという問題がある。
図4に、洋上の風車においてレーザービームとライダー計測領域の位置変動影響を示す側面図を模式的に示す。波の影響により、風車20が揺れてナセル3に固定された風況計測装置4から出射されるレーザービームの方向が変わることにより計測領域は変化する。これにより時系列で取得した風況計測領域7、8、9の位置は図4(d)の様になる。これらのデータを使うことでロータ面での風況の予測精度は低下し、風車20の制御も最適の設定値から外れたものになり、出力の向上、疲労荷重の低減への効果が減殺される。
よって、本実施例では風況計測装置4の計測用ビームの方向も制御する。いま、風が一方向に、ナセルに向かって大地表面に水平に吹いているとすると、例えばナセル3が垂直方向に傾いた場合、風況計測装置4は、計測用ビームが風向きの方向を向くように垂直方向に回転する。これによって、風況計測装置4は、常に一定の範囲の風況を計測できるため、風況の計測精度の低下を抑止できる。水平方向の制御も同様である。また、図4に示す波の影響だけでなく、風車20の姿勢がFF制御で変更されると、ナセル3に搭載されている風況計測装置4の計測用ビームの方向も、変更されることになるので、この影響も考慮する必要がある。
図5は本実施例を適用したときの効果を示したものであり、側面図を模式的に示す。ナセル方位とは独立にレーザービーム方位を設定することにより、レーザービームとライダー計測領域の位置変動を抑制できる。風車が波により傾斜してもレーザービーム方位を調整することで、ライダー計測領域の位置変動を抑制して図5(d)の様にライダー計測領域を規定することができ、ロータ面の風況を予測する精度を向上することができる。
図6は本実施例の風車の制御の全体処理フローを示す流れ図である。
処理S601では、風況計測装置4は、風車前方(風上)の風況を測定する。具体的には、所定箇所の風速、風向を測定する。測定箇所は、単一でもよいが、本実施例では例えば図3〜図5に示したように、複数の箇所で測定するものとする。
処理S602では、風況予測部23は、測定した風況データに基づいて風車位置での将来の風況を予測する。風況計測装置4の計測結果はブレード1に到達する前の風の風況を示す値であるため、ブレード1に到達した風の風況とは一致しない。そのため、風況予測部23は、風況計測装置4の計測結果を用いて風車20における将来の風況の予測値を算出する。
算出方法は特に制限するものではなく、種々の公知の方法を使用できる。もっとも単純な算出方法は、ブレード1からrメートル離れた箇所の風速がvメートル/秒であったとき、その風がr/v秒後にブレード1に到達するとするものである。ただし、ブレード1に到達する風は、風況計測装置1に到達するまでのrメートルの間に、それ以外の風、温度、湿度、あるいは日照等の影響を受けると考えられるため、複数個所での風況データを用い、例えば外挿により予測値を算出することが望ましい。
また例えば、近年発達しているニューラルネットワークを用いた処理によれば、風況計測装置4によって計測された複数の計測値をニューラルネットワークに入力し、学習したパラメータを用いて計算を行い予測値を求める。なお、ニューラルネットワークを用いた学習・推定方法は公知であり詳細な説明は省略する。
処理S603では、傾斜計測、予測部22は、加速度計等を用いて現在の風車の傾きや姿勢を計測する。
処理S604では、傾斜計測、予測部22は、現在の風車(あるいはナセル3)の傾きや姿勢を基にして、将来の風車(あるいはナセル3)の傾きや姿勢を推定する。このとき、処理S602で予測した将来の風況をさらに用いても良い。風圧により風車の傾きや姿勢が変化するが、将来の急激な風圧の変化は、現在の風車の傾きや姿勢だけからは予測が困難だからである。
処理S605では、FF制御部24は、処理S602で得た風車位置での将来の風況予測と、処理S604で得た将来の風車の姿勢予測とを用い、風車のFF制御のためのパラメータを算出する。パラメータは例えば、風車のピッチ角、ヨー角の駆動装置を制御するための、第2のFF制御信号を規定するものである。ヨー角の駆動装置は、ブレード、ハブ、ナセルの向きを駆動モータによって変更する。このFF制御によって、予測される風況に応じて風車の傾きや姿勢が制御される。このとき、後述の処理S606を行なわないと、ナセルに設置されている風況計測装置4の傾きや姿勢も、望ましい状態から変更されてしまう。
処理S606では、FF制御部24は、風況計測装置4の架台のFF制御パラメータを算出して、第1のFF制御信号を生成する。具体的には、処理S604で予測された風車の姿勢と、処理S605で行なわれるFF制御によるナセルの姿勢の影響をキャンセルして、風況計測装置の計測用ビームが所定の風向方向になるよう制御する。このために、例えば、処理S604で予測された風車の姿勢と、第2のFF制御信号を用いる。例えば予測された風車の姿勢が地表に固定された座標軸に対するナセル3の相対的な姿勢を示しており、第2のFF制御信号がナセル3に固定された座標軸に対する相対的な計測用ビームの方向を制御している場合には、両者を用いることにより、たとえば、地表に水平方向に計測用ビームを射出するための第1のFF制御信号を生成することができる。一般には、風が地表(あるいは水面)に平行に移動しているとすれば、ナセル3の姿勢に係わらず、水平を維持するように風況計測装置4の計測用ビーム方向を制御すればよい。また、さらに、計測用ビーム方向が風向きに沿うように、すなわち風の面に垂直になるように制御することもできる。第1のFF制御信号は、風況計測装置4の架台の動作を制御するものであり、制御パラメータは、例えば風況計測装置4の架台を水平および垂直に回転させる駆動モータの回転角である。
処理S607では、処理S605で生成した風車のFF制御のためのパラメータに基づいた第2のFF制御信号に基づき、ブレード、ハブ、ナセルの向きを駆動モータによって変更する。
処理S608では、処理S606で生成した風況計測装置4のFF制御のためのパラメータに基づいた第1のFF制御信号に基づき、風況計測装置4を支持する架台の向きを駆動モータによって変更する。
処理S609では、風車に搭載されている各種のセンサによって、風車のパラメータを取得する。風車のパラメータとは、出力、ロータ回転数、発電機回転数、姿勢や傾斜角度等である。
処理S610では、FB制御部25は、処理S609で測定した各種パラメータにより、風車20と風況計測装置4のFBパラメータを算出する。ここでFB制御とは、現在の風車の状態(出力など)を信号として、この信号を使って風車の状態(ブレードのピッチ角など)を制御するものである。例えば、出力が一定値(定格)以上になったとき、ピッチ角を変えてブレード角をかえて風を受け流すようにする。これをしないと風車には設計を超えた負荷がかかって寿命を短くすることになる。また、上述のように風車にはライダーとは別に、従来型の風向、風速計も設置されている。ライダーは風車前方の風況を測るが、風車設置の従来型の風向、風速計は風車位置の風況を測る。ライダーは、風車位置における未来の風を測り、従来型風向、風速計は風車位置における現在の風を測る。
風車20や風況計測装置4の架台は、予測された将来の風況と将来の姿勢の情報を元にしてFF制御される。しかし、風の挙動等は正確に予測することはできないので現在の実際の状態から外れる場合がある。その場合、現在の風車状態、風情報も用いて制御を行なう。例えば、FF制御パラメータの予測値が、現在の風況、姿勢と大きくずれている場合には、処理S607において第2のFB制御信号で風車20の制御の補正を行なう。また、風車の姿勢が補正されたことに伴って、処理S608において第1のFB制御信号で風況計測装置4の架台の制御の補正を行なう。第1のFB制御信号は、第2のFB制御信号に基づいて生成することができる。
以上のように、本実施例ではFF制御は、風車前方の風(風車の位置における現在の風ではなく、風車位置における未来の風である)を計測して風車の状態や風況計測装置4の架台を制御する。風車20のブレード1は大きな慣性をもつので、現在の風車状態や風車設置の従来型の風向、風速計の計測値にのみ基づいてFB制御をすると、常に変化する風に対して正確に追従することが困難である。FF制御により、風の変化に遅れることなく大きな慣性をもつ風車20を制御することができる。大きな慣性をもつ風車制御が遅れないようにFF制御をし、前方の風がそのまま風車に到達するわけではないので現状風車の状態を考慮したFB制御も合わせて行うことになる。以上のS601〜S610の処理は、例えば数秒の周期でリアルタイムで行なわれる。上記では風況計測装置4としてライダーを例に説明したが、計測用ビームを照射して測定を行なう他の種類の測定装置を用いてもよい。
図7に本発明による他の実施例を示す。ここでは風車を上方から見下ろした図を示す。実施例1では、風車20のナセル3の方位が垂直方向に変化したとき、レーザービームを垂直方向に調整する方法と効果について示したが、ここでは、レーザービーム方位を水平方向に調整する場合の実施例と効果を示す。
風向が急変して、ナセル3の追従が遅れる場合があるが、このとき、風速の変化を風況予測部23によって予測し、その予測に基づいてレーザービーム方位を調整してロータ面に接近してくる領域を計測することができ、風向の急変時であってもロータ面の風況予測の精度を向上することが可能になる。
実施例1および2から明らかなように、本実施例では、風況計測装置4の姿勢をナセル3と独立に制御することにより、風の面に対して計測用ビームの照射角度を一定に保つことが可能になる。このために風況予測が容易になる。また、風況計測装置4の向きをナセル3と独立に制御して、計測用ビームの照射方向を風向きに沿うようにすることも可能となる。
以上説明した実施例では、風車20に設置される風況計測装置4から出射される計測用ビームの方位をナセル3方位とは独立に設定する手段を導入し、風車20の運転情報や周辺環境データをもとにして計測用ビーム方位を能動的に制御することで、ロータ面に入射する風の状態をより正確に予測するための風況情報を得ることができ、これにより、風車20の発電効率の向上と疲労荷重を低減することが可能になる。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の実施例の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1:ブレード、2:ハブ、3:ナセル、4:風況計測装置(ドップラーライダー)、5:タワー、6:レーザー光の進路、7〜9風況計測領域、10:波のある海面、11:風向、 12:ロータ面の風況、22:傾斜計測、予測部、23:風況予測部、24:フィードフォワード(FF)制御部、25:フィードバック(FB)制御部
Claims (11)
- ロータ、前記ロータを支持するナセル、及び前記ナセルを支持するタワーを有する風力発電装置であって、
前記ロータは、風力を受けて回転する複数のブレード、及び前記ブレードを接続するハブを備え、
前記ナセルは、計測用ビームを放射することによって風況を計測する風況計測装置を備え、
前記風況計測装置は、前記風況計測装置の姿勢を調整する姿勢制御機構を備え、
前記風況計測装置の計測結果に基づいて、将来の風況を予測する風況予測部と、
前記風況予測部で予測された将来の風況に基づいて、第1のフィードフォワード制御信号を生成するフィードフォワード制御部とを備え、
前記第1のフィードフォワード制御信号を用いて前記姿勢制御機構をフィードフォワード制御する風力発電装置。 - 前記第1のフィードフォワード制御信号により、
前記計測用ビームの出射方向が、前記風況予測部で予測された将来の風況に基づいて予測された前記ナセルの姿勢の影響を排除して、一定方向に向かうように前記姿勢制御機構をフィードフォワード制御する、
請求項1記載の風力発電装置。 - 前記フィードフォワード制御部は、
前記風況予測部で予測された将来の風況に基づいて、第2のフィードフォワード制御信号を生成し、
前記第2のフィードフォワード制御信号により前記ナセルの姿勢をフィードフォワード制御する、
請求項1記載の風力発電装置。 - 前記ナセルの姿勢を測定し、測定結果に基づいて将来のナセルの姿勢を予測する傾斜計測、予測部を備え、
前記フィードフォワード制御部は、
前記将来のナセルの姿勢と前記風況予測部で予測された将来の風況に基づいて、第2のフィードフォワード制御信号を生成する、
請求項2記載の風力発電装置。 - 前記フィードフォワード制御部は、
前記第2のフィードフォワード制御信号に基づいて、第1のフィードフォワード制御信号を生成する、
請求項4記載の風力発電装置。 - 前記フィードフォワード制御部は、
前記将来のナセルの姿勢と前記第2のフィードフォワード制御信号に基づいて、第1のフィードフォワード制御信号を生成する、
請求項5記載の風力発電装置。 - 風力発電装置の運転パラメータを取得し、前記ナセルの姿勢をフィードバック制御するための第2のフィードバック制御信号を生成するとともに、前記第2のフィードバック制御信号に基づいて、前記姿勢制御機構をフィードバック制御するための第1のフィードバック制御信号を生成するフィードバック制御部を備える
請求項6記載の風力発電装置。 - 計測用ビームを用いて風況を測定する風況計測装置を具備する風力発電装置の制御方法であって、
前記風況計測装置が、前記計測用ビームの出射方向を変化させる姿勢制御機構を介してナセルに設置されており、
前記姿勢制御機構が、フィードフォワード制御されることによって前記計測用ビームの出射方向が制御されて、前記風況計測装置が風況を測定し、
前記風況計測装置による測定結果に基づいて、将来の風況を予測し、
前記将来の風況の予測結果に基づいて、前記ナセルの姿勢がフィードフォワード制御されることを特徴とする風力発電装置の制御方法。 - 現在のナセルの姿勢に基づいたナセルの姿勢の予測結果と、前記将来の風況の予測結果に基づいて、前記ナセルの姿勢がフィードフォワード制御されることを特徴とする請求項8の風力発電装置の制御方法。
- 前記姿勢制御機構のフィードフォワード制御と、前記ナセルの姿勢のフィードフォワード制御が独立に行なわれ、
前記姿勢制御機構のフィードフォワード制御は、前記ナセルの姿勢および前記ナセルの姿勢のフィードフォワード制御の影響を排除して、前記計測用ビームが所定方向を向くように制御することを特徴とする請求項9の風力発電装置の制御方法。 - 前記姿勢制御機構のフィードフォワード制御は、前記ナセルの姿勢の予測結果と、前記ナセルの姿勢のフィードフォワード制御の制御パラメータに基づいて生成された制御パラメータにより行なわれることを特徴とする請求項9の風力発電装置の制御方法。
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2018
- 2018-01-05 JP JP2018000756A patent/JP2019120199A/ja active Pending
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