JP2019123771A - 塩素含有プラスチックの処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塩素含有プラスチックを長期間にわたって連続的に処理することができ、塩素を高い効率で固定でき、かつダイオキシン類が発生しにくい塩素含有プラスチックの処理方法を提供する。
【解決手段】塩素含有プラスチックに、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよび酸化カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルシウム化合物を、前記塩素含有プラスチックの塩素量に対する前記カルシウム化合物のカルシウム量の比がモル比で2〜10の範囲内となる割合で混合した混合物を、非酸化雰囲気中で500〜900℃の温度で加熱して、前記塩素含有プラスチックの熱分解ガスと炭化物とを生成させると共に、前記塩素含有プラスチックに含まれる塩素と前記カルシウム化合物とを反応させて塩素含有カルシウム化合物を生成させる熱分解工程と、前記熱分解ガスを回収するガス回収工程と、を備える塩素含有プラスチックの処理方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、塩素含有プラスチックの処理方法に関する。
ポリ塩化ビニルなどの塩素含有プラスチックは、例えば、透明シートや配管の材料として広く利用されている。このような塩素含有プラスチックを含む廃棄物を処理する方法として、焼却処理が広く行われている。しかし、資源再利用の観点から、塩素含有プラスチック中の有機成分を回収し、これを燃料の代替として利用することも検討されている。
特許文献1には、塩素を含む有機性廃棄物を反応容器内に導入し、常圧で、210〜240℃の過熱水蒸気を反応容器に供給・排出し、反応容器内で廃棄物中の有機塩素を熱分解した後、前記反応容器内に残留した固形分を再生固形燃料として反応容器外に導出して水洗する方法が開示されている。
特許文献2には、塩素を含む廃棄物と廃棄物中の塩素量に対して3モル当量以上のアルカリを反応容器内に導入するとともに、過熱水蒸気を前記反応容器に供給・排出し、反応容器内で塩素を気化し、前記反応容器内に残留した固形分を再生固形燃料として反応容器外に導出し、当該再生固形燃料を所定条件で水洗する方法が開示されている。
特許文献3には、塩素を含有するプラスチックを含む廃棄物の破砕品と、固体状のアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物とを反応容器内に導入するとともに、210〜350℃の過熱水蒸気を反応容器に供給・排出し、反応容器内で廃棄物中のプラスチックが分解し発生する塩化水素をアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物に捕捉させることにより固相へ固定し、反応容器内に残留した固形分を再生固形燃料として反応容器外に導出する方法が開示されている。この特許文献3に開示されている方法では、反応容器外に導出された固形分を破砕した後、篩を使用して分級し、分級により篩目を通過した高塩素濃度の微粒固形分のみを水洗している。
特許第6022745号公報 特許第5732278号公報 特許第5845124号公報
特許文献1〜3に記載されている塩素含有プラスチックの処理方法では、塩素含有プラスチックを比較的低温度で処理している。このため、プラスチックに含まれる有機成分の揮発を少なくすることができ、高発熱量の炭化物を比較的多量に回収できるという利点がある。しかしながら、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性プラスチックは一般に90〜330℃で軟化・溶融するため、特許文献1〜3に記載されている温度範囲では軟化・溶融した塩素含有プラスチック同士が融着して塊状物を形成し、これが反応容器の排出口を閉塞してしまうおそれがあり、塩素含有プラスチックを長期間にわたって連続的に処理することが難しいという問題がある。また、塩素含有プラスチックの加熱温度が低いと熱分解が進まずに、有機態塩素が残留する問題もある。また、重質な熱分解物(タール)も反応容器の排出口を閉塞してしまうおそれがあるため、タールの生成を抑制することは重要である。さらに、低温での炭化処理物にはタールなどの重質な熱分解物が含まれるため、炭化処理物を水洗した際、その排水中の有機物量が多くなり、排水の処理が複雑になる。またさらに、塩素含有プラスチックの処理においては、熱分解によって発生する塩化水素を高い効率で固定することで、ダイオキシン類のような有害性の高い副生成物を抑制することも重要である。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、塩素含有プラスチックを長期間にわたって連続的に処理することができ、かつ塩素含有プラスチックの熱分解によって発生する塩化水素を高い効率で固定でき、ダイオキシン類が発生しにくい塩素含有プラスチックの処理方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の塩素含有プラスチックの処理方法は、塩素含有プラスチックに、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよび酸化カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルシウム化合物を、前記塩素含有プラスチックの塩素量に対する前記カルシウム化合物のカルシウム量の比がモル比で2以上10以下の範囲内となる割合で混合した混合物を、非酸化雰囲気中で500℃以上900℃以下の温度で加熱して、前記塩素含有プラスチックの熱分解ガスと炭化物とを生成させると共に、前記塩素含有プラスチックに含まれる塩素と前記カルシウム化合物とを反応させて塩素含有カルシウム化合物を生成させる熱分解工程と、前記熱分解ガスを回収するガス回収工程と、を備えることを特徴としている。
このような構成とされた本発明の塩素含有プラスチックの処理方法によれば、熱分解工程において、塩素含有プラスチックとカルシウム化合物とを上記の量比で混合した混合物として、非酸化雰囲気中で500℃以上900℃以下と比較的高温度で加熱するので、塩素含有プラスチック同士が融着した塊状物やタールが生成しにくい。このため、塩素含有プラスチックを長期間にわたって連続的に処理することができる。また、塩素含有プラスチックの熱分解により生成した塩化水素(HCl)をカルシウム化合物に効率よく固定させることができ、ダイオキシン類が発生しにくくなる。さらに、ガス回収工程において、塩素含有プラスチックの熱分解ガスを回収するが、熱分解ガス中の塩素濃度は低いため、燃料代替ガスとして利用したときに設備の腐食や排ガス処理の負担が非常に低い。またさらに、熱分解ガスに含まれる有機物を燃料として利用することができる。
ここで、本発明の塩素含有プラスチックの処理方法においては、さらに、前記炭化物と前記塩素含有カルシウム化合物とを分離する分離工程を備えることが好ましい。
この場合、分離した炭化物は、高品位の燃料代替として利用することができ、塩素含有カルシウム化合物は脱塩後に、セメント原料代替や塩素を固定するためのカルシウム化合物として利用することができる。
本発明によれば、塩素含有プラスチックを長期間にわたって連続的に処理することができ、かつ塩素含有プラスチックの熱分解によって発生する塩化水素を高い効率で固定でき、ダイオキシン類が発生しにくい塩素含有プラスチックの処理方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る塩素含有プラスチックの処理方法を示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係る塩素含有プラスチックの処理方法において有利に用いることができる加熱処理装置の構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態である塩素含有プラスチックの処理方法について添付した図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る塩素含有プラスチックの処理方法を示すフロー図である。
本実施形態の塩素含有プラスチックの処理方法は、図1に示すように、塩素含有プラスチックとカルシウム化合物とを混合する混合工程S01と、混合工程S01で得られた混合物を加熱する熱分解工程S02と、塩素含有プラスチックの熱分解ガスを回収するガス回収工程S03と、熱分解工程S02にて生成した固形分を微粒物と粗粒物とに分離する分離工程S04と、分離工程S04で分離した微粒物を洗浄する微粒物洗浄工程S05と、分離工程で分離した粗粒物を洗浄する粗粒物洗浄工程S06と、を備えている。
(混合工程S01)
混合工程S01では、処理対象物の塩素含有プラスチックとカルシウム化合物とを混合して混合物を得る。混合は乾式で行ってもよいし、湿式で行ってもよい。混合装置としては、タンブラーミキサー、ドラムミキサーまたはリボンミキサーなどの一般的な微粉体の混合に利用される混合装置を用いることができる。加熱工程S02で使用する加熱装置の炉形式がロータリーキルンのように内部で流動を十分に行うことができれば、混合工程を省いてもよい。但し、この場合は、加熱処理装置内の混合物が、所定のCa/Cl比となるように、塩素含有プラスチックとカルシウム化合物の投入速度を調整することが好ましい。この混合工程S01では、加熱処理が効率よく行われるように乾燥、熱量調整、化学組成の調整、粒度調整なども同時に行ってよい。
塩素含有プラスチックは、例えば、塩素含有プラスチックを含むプラスチック製品の廃棄物である。塩素含有プラスチックの例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンが挙げられる。塩素含有プラスチックは、塩素を含有しないプラスチックや木くずやゴムなどの可燃物を含んでいてもよい。塩素含有プラスチックの塩素含有量は、0.5質量%以上60質量%以下の範囲内にあることが好ましい。塩素含有プラスチックの粒子径には、特に制限はないが、通常は、1mm以上150mm以下の範囲内である。
カルシウム化合物は、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよび酸化カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。カルシウム化合物は、熱分解工程S02において、塩素含有プラスチックの熱分解を促進して、熱分解物を軽質化させる作用と、塩素含有プラスチックの熱分解により生成した塩化水素(HCl)を塩化カルシウムや塩化水酸化カルシウムとして固定する作用とを有する。
カルシウム化合物は、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよび酸化カルシウム以外の成分を含んでいてもよい。例えば、カルシウム化合物として、焼却飛灰やばいじんを使用してもよい。焼却飛灰は、都市ゴミの焼却処理で発生する塩素系ガスを含む酸性ガスを、カルシウム化合物(特に、水酸化カルシウム、酸化カルシウム)で中和させることによって生成した微細な粒子である。ばいじんとは、産業廃棄物の焼却処理で発生する塩素系ガスを含む酸性ガスを、カルシウム化合物で中和させることによって生成した微細な粒子である。これらは塩素を含有するが、塩素と未結合のカルシウムを多く含んでいるため、カルシウム化合物として使用することができる。水洗等により事前に塩素を除去しておけばより効果的である。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。また同様の理由で、セメント工場で副生する塩素バイパスダストや産業排水の中和汚泥の乾燥物などを活用することもできる。
カルシウム化合物は、粒子径が塩素含有プラスチックよりも小さいことが好ましい。カルシウム化合物の粒子径が小さいと、分離工程S04で固形分を微粒物と粗粒物とに分離しやすくなる。カルシウム化合物のメジアン径は100μm以下であることが好ましい。一方、カルシウム化合物の粒子径が小さくなりすぎると、熱分解工程S02にて発生するばいじんの量が増加するおそれがある。生成する熱分解ガス中に飛散するおそれがある。このため、カルシウム化合物は、メジアン径が1μm以上であることが好ましい。
塩素含有プラスチックとカルシウム化合物との混合割合は、塩素含有プラスチックの塩素量に対するカルシウム化合物のカルシウム量の比(Ca/Cl比)がモル比で2以上10以下の範囲内となる割合である。Ca/Cl比が2未満であると、熱分解工程S02において、カルシウム化合物に固定される塩化水素量が低減し、熱分解ガスに塩化水素が混入しやすくなるおそれがある。また、熱分解工程S02において、塩素含有プラスチックの熱分解が促進されずに、重質な熱分解物(タール)が生成しやすくなるおそれがある。一方、Ca/Cl比が10を超えると、上記の作用効果が飽和するだけでなく、相対的に処理対象物の塩素含有プラスチックの処理量が少なくなり、塩素含有プラスチックの処理効率が低下する。Ca/Cl比は3以上10以下の範囲内にあることが好ましい。
(熱分解工程S02)
熱分解工程S02では、混合工程S01で得られた混合物を加熱して、塩素含有プラスチックの熱分解ガスと炭化物とを生成させると共に、塩素含有プラスチックに含まれる塩素とカルシウム化合物とを反応させて塩素含有カルシウム化合物を生成させる。
混合物の加熱は、非酸化雰囲気中で行う。非酸化雰囲気は、塩素含有プラスチックが酸化(燃焼)しない雰囲気である。非酸化雰囲気は、酸素濃度が1体積%以下に調整された雰囲気であることが好ましい。具体的には、窒素、水蒸気、二酸化炭素およびアルゴンなどの不活性ガスの雰囲気、負圧雰囲気が挙げられる。
加熱温度は500℃以上900℃以下の温度である。加熱温度は500℃未満であると、塩素含有プラスチック同士が融着した塊状物が生成するおそれがある。一方、加熱温度が900℃を超えると、塩素含有カルシウム化合物が熱分解して、熱分解ガスに塩化水素ガスが混入しやすくなる。
加熱時間は、加熱温度、塩素含有プラスチックの塩素含有量、混合物中の塩素含有プラスチックとカルシウム化合物との混合割合などの要因によって変動するが、一般に15分以上120分以下の範囲内、好ましくは20分以上60分以下の範囲内である。
(ガス回収工程S03)
ガス回収工程S03では、塩素含有プラスチックの熱分解ガスを回収する。熱分解ガスは、通常は、水素、一酸化炭素、低分子量の炭化水素化合物などの可燃性物質を含む。炭化水素化合物の例としては、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、ブタン、ブテンなどを挙げることができる。このような可燃性物質を含む熱分解ガスは、燃料として利用することができる。例えば、熱分解ガスを、熱分解工程S02で使用する加熱処理装置の燃料として利用することができる。
ここで、熱分解ガスを燃料として利用する加熱処理装置の例を、図2を参照して説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る塩素含有プラスチックの処理方法において有利に用いることができる加熱処理装置の構成を示す断面図である。
加熱処理装置10は、図2に示すように、内筒20と、内筒20を収容する外筒30とを有する外熱式ロータリーキルンである。
内筒20は、一方の端部に混合物の供給口21を備え、他方の端部に混合物の加熱によって生成する固形分(炭化物と塩素含有カルシウム化合物)の取出口22を備える。内筒20は、側面に混合物の加熱によって生成する熱分解ガスの取出口23を有する。また、内筒20は、両端に内筒20を回転させるための内筒回転装置24を備える。
外筒30は、内筒20の熱分解ガスの取出口23から取り出された熱分解ガスを燃焼させることによって、内筒20を加熱するものである。外筒30は、空気の導入口(図示せず)と、助燃バーナ31と、熱分解ガスの燃焼によって生成する燃焼ガスを、外部に排出するための排煙口32を備える。
加熱処理装置10では、混合物の供給口21から供給された混合物は、内筒20の回転によって撹拌されながら加熱され、熱分解ガスと炭化物と塩素含有カルシウム化合物が生成する。熱分解ガスは、熱分解ガスの取出口23を介して外筒30に取り出される。
固形分(炭化物と塩素含有カルシウム化合物)は、固形分の取出口22を介して外部に取り出される。一方、外筒30に取り出された熱分解ガスは燃焼して燃焼ガス25を生成する。燃焼ガス25は、排煙口32を介して外部に取り出される。外部に取り出された燃焼ガス25は、二次燃焼炉で処理してもよい。この二次燃焼炉として、セメント焼成キルンを利用してもよい。
加熱処理装置10の外筒30は、燃焼ガス25の塩素濃度を測定するための塩素分析装置を備えていてもよい。この場合、燃焼ガス25の塩素濃度が高くなったときは、混合物中のカルシウム化合物の割合を増加して、塩素の固定効率を向上させるなどの対応を取ることができる。
(分離工程S04)
分離工程S04は、熱分解工程S02にて生成した固形分(炭化物と塩素含有カルシウム化合物の混合物)を微粒物と粗粒物とに分離する。具体的には、塩素含有プラスチックの平均粒子径よりも小さく、かつカルシウム化合物の平均粒子径よりも大きい篩を用いて分級することによって、微粒物と粗粒物とに分離する。こうすることによって、微粒物は塩素含有カルシウム化合物を相対的に多く含み、粗粒物は炭化物を相対的に多く含むように分離することができる。
(微粒物洗浄工程S05)
微粒物洗浄工程S05では、分離工程S04で分離した微粒物を水洗する。この水洗によって、微粒物中の塩化カルシウムなどの可溶性塩類を溶解させて除去する。水洗の方法としては、微粒物を水に懸濁させて撹拌洗浄する方法、微粒物に水をシャワーリングする方法などを用いることができる。洗浄した微細物は加圧ろ過装置、遠心分離装置、真空ろ過装置および振動脱水などを用いて脱水することができる。
洗浄後の微粒物は、炭酸カルシウムあるいは水酸化カルシウムを多量に含む。このため、洗浄後の微粒物は、セメント原料代替として活用できる。また塩素を固定するためのカルシウム化合物として再利用することができる。
(粗粒物洗浄工程S06)
粗粒物洗浄工程S06では、分離工程S04で分離した粗粒物を水洗する。この水洗によって、粗粒物中の塩化カルシウムなどの可溶性塩類を溶解させて除去する。水洗の方法としては、微粒物の水洗方法と同じ方法を用いることができる。洗浄した粗粒物は加圧ろ過装置、遠心分離装置、真空ろ過装置および振動脱水などを用いて脱水することができる。また、粗粒物の水洗が効率良くできない場合には、粗粒物を予め粉砕して洗浄して、水洗効率を向上させてもよい。
洗浄後の粗粒物は、炭化物を多量に含む。洗浄後の粗粒物は、低塩素かつ高発熱量のため、セメント製造用のロータリーキルンの燃料代替として利用できる。
以上のような構成とされた本実施形態に係る塩素含有プラスチックの処理方法によれば、混合工程S01で得られた塩素含有プラスチックとカルシウム化合物とを所定の量比で含む混合物を、熱分解工程S02において、非酸化雰囲気中で500℃以上900℃以下と比較的高温度で加熱するので、塩素含有プラスチック同士が融着した塊状物やタールが生成しにくい。このため、塩素含有プラスチックを長期間にわたって連続的に処理することができる。また、塩素含有プラスチックの熱分解により生成した塩化水素をカルシウム化合物に効率よく固定させることができ、ダイオキシン類が発生しにくくなる。
また、本実施形態の塩素含有プラスチックの処理方法においては、さらに、熱分解工程S02にて生成した固形分(炭化物と塩素含有カルシウム化合物)を微粒物と粗粒物とに分離する分離工程S04を備えており、微粒物は、塩素含有カルシウム化合物を相対的に多く含むので、微粒物洗浄工程S05にて洗浄した後は、セメント原料代替や塩素を固定するためのカルシウム化合物として再利用することができる。また、粗粒物は、炭化物を相対的に多く含むので、粗粒物洗浄工程S06にて洗浄した後は、セメント製造用のロータリーキルンの燃料代替として利用できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、塩素含有プラスチックの熱分解ガスを、熱分解工程S02で使用する加熱処理装置の燃料として利用しているが、これに限定されることはない。例えば、熱分解ガスをセメント製造用のロータリーキルンの代替燃料として利用することができる。
また、本実施形態では、分離工程S04にて固形分に含まれる塩素含有カルシウム化合物と炭化物を、篩を用いて微粒物および粗粒物として分離しているが、これに限定されることはない。例えば、湿式または乾式で比重選別してもよい。この場合、比重が低い低比重物は炭化物を相対的に多く含み、比重が高い高比重物は塩素含有カルシウム化合物を相対的に多く含む。疎水性の高い炭化物を気泡に付着させて浮遊選別してもよい。また、導電性の高い炭化物を静電気力によって選別してもよい。
さらに、本実施形態では、分離工程S04にて固形分を微粒物と粗粒物とに分離して、微粒物洗浄工程S05と粗粒物洗浄工程S06とを行っているが、これに限定されることはない。例えば、固形分を洗浄した後、固形分を微粒物と粗粒物とに分離してもよい。
またさらに、本実施形態では、微粒物洗浄工程S05にて、微粒物(塩素含有カルシウム化合物)を水洗して、微粒物中の塩化カルシウムなどの可溶性塩類を溶解させて除去しているが、これに限定されることはない。例えば、微粒物を加熱して、塩素を揮発させてもよい。
さらにまた、本実施形態では、粗粒物洗浄工程S06にて、粗粒物を水洗して、粗粒物中の塩化カルシウムなどの可溶性塩類を溶解させて除去しているが、粗粒物中の塩素含有量が少ない場合には、洗浄せずに、セメント製造用のロータリーキルンの燃料代替として利用してもよい。
以下に、本発明の作用効果を実施例により説明する。
[本発明例1]
塩素含有プラスチックとして、全塩素含有量が56.7質量%のポリ塩化ビニル樹脂(PVC、粒子径:3〜5mm)5gを用意した。このPVCに対して、カルシウム化合物として、水酸化カルシウム(純度:95質量%以上、メジアン径:20μm)をCa/Cl比がモル比で2となるように混合して、混合物を調製した。調製した混合物をアルミナボートに収容し、電気炉を用いて、窒素雰囲気中、700℃の温度で30分間加熱処理した。加熱処理後は電気炉の出力をゼロにし、電気炉内部の温度が100℃以下にまで下がったのを確認した後、アルミナボートを取り出し、アルミナボート内の固形分を回収した。なお、加熱処理中、電気炉から排出されるガスは、コールドトラップを通過させた後、外部に放出した。
(塩素固定化率)
回収した固形分中の無機態塩素含有量を測定し、予め測定した混合物中の全塩素含有量から下記の式より塩素固定化率を算出した。その結果を、表1に示す。なお、塩素含有量は下記の方法により測定した。
塩素固定化率=(固形分中の無機態塩素含有量/混合物中の全塩素含有量)×100
(塩素含有量の測定方法)
試料をアルカリ性溶出液で超音波浸出した後に、ろ過を行い、ろ液と浸出残渣を回収した。得られたろ液中の塩素量をイオンクロマトグラフにて測定し、試料中の無機態塩素含有量を算出した。また浸出残渣は、真空乾燥機にて乾燥した後に、JIS Z 7302−6(廃棄物固形化燃料−第6部:全塩素分試験方法)に規定された方法に準拠して有機態塩素含有量を測定した。具体的には、1100℃に加熱した石英製燃焼管中に空気を導入して試料を燃焼させ、生じたガスを水に吸収させた。得られた溶液中の塩素量をイオンクロマトグラフにて測定し、試料中の有機態塩素含有量を算出した。
上記方法により得られた無機態塩素含有量と有機態塩素含有量の合計量を、試料中の全塩素含有量とした。
(塊状物の有無)
回収した固形分を目視で観察して、炭化物の粒同士が連結している塊状物の有無を確認した。その結果を、表1に示す。
(コールドトラップで回収された凝結物の回収率)
コールドトラップで回収された凝結物の重量を測定し、予め測定した混合物中の重量から下記の式より凝結物の回収率を算出した。その結果を、表1に示す。
凝結物の回収率=(1−(コールドトラップで回収された凝結物の重量/混合物中の重量))×100
[本発明例2〜10、比較例1〜5]
カルシウム化合物の種類、Ca/Cl比および加熱温度を、下記の表1に示すように変えたこと以外は、本発明例1と同様にして混合物を加熱処理し、塩素固定化率、塊状物の有無およびコールドトラップで回収された凝結物の回収率を評価した。その結果を、表1に示す。
Figure 2019123771
Ca/Cl比が本発明の範囲よりも低い比較例1およびカルシウム化合物を添加しなかった比較例2では、塩素固定化率が低下し、またコールドトラップで回収された凝結物の回収率が高くなった。塩素固定化率が低下したのは、混合物中のカルシウム化合物の配合量が少なくなりすぎて、カルシウム化合物に固定される塩化水素量が低減したためであると考えられる。また、凝結物の回収率が高くなったのは、塩素含有プラスチックの熱分解が促進されずに重質な熱分解物(タール)が生成したためであると考えられる。
加熱温度が本発明の範囲よりも低い比較例3、4では、塩素固定化率が低下し、固形分中に塊状物が生成した。塩素固定化率が低下したのは、塩素含有プラスチックの熱分解が進まずに、有機態塩素として残留したためであると考えられる。塊状物が生成したのは、加熱温度が低くなりすぎて、塩素含有プラスチックの溶融した塩素含有プラスチック同士が融着したためであると考えられる。
加熱温度が本発明の範囲よりも高い比較例5では、塩素固定化率が低下した。これは、加熱温度が高くなりすぎて、塩素含有カルシウム化合物が熱分解したためであると考えられる。
これに対して、Ca/Cl比および加熱温度が本発明の範囲にある本発明例1〜10は、塩素固定化率が高く、固形分中に塊状物が生成せず、さらにコールドトラップで回収された凝結物の回収率が低くなった。
以上のことから、本発明例1〜10によれば、塩素含有プラスチックを長期間にわたって連続的に処理することができ、塩素を高い効率で固定でき、ダイオキシン類が発生しにくい塩素含有プラスチックの処理方法を提供することが可能となることが確認された。
[本発明例11]
本発明例1で得られた固形分を洗浄した。洗浄は、固形分10gと蒸留水100mLとを混合してスラリーとして、振とう機を用いて30分間振とうし、その後、スラリーを減圧ろ過して、ケーキを得て、得られたケーキを蒸留水100mLで水洗することによって行った。固形分の洗浄後の排液(スラリーの減圧ろ過時に回収したろ液と、ケーキの水洗時に回収した蒸留水の混合液)の全有機体炭素濃度(TOC)をTOC計にて測定した結果、4.5mg/Lであった。
[比較例6]
比較例3で得られた固形分を用いたこと以外は、本発明例11と同様にして固形物を洗浄した。固形分の洗浄後の液体のTOCを測定した結果、785mg/Lであった。
加熱温度が本発明の範囲よりも低い比較例3で得られた固形分を洗浄した比較例6では、排液のTOCが増加した。これは、加熱温度が低すぎて熱分解が進まずに、タールなどの重質な熱分解物が固形分に残留したためであると考えられる。
これに対して、加熱温度が本発明の範囲にある本発明例1で得られた固形分は、タールなどの重質な熱分解物が分解されたため、この固形分を洗浄した本発明例11では、排液のTOCが低かった。
[本発明例12]
全塩素含有量が0.2質量%のRPF(粒子径:5〜30mm)に対し、PVC(粒子径:3〜4mm)を適量加えて袋混合し、全塩素含有量が2質量%の模擬廃プラスチックとした。この模擬廃プラスチックに対して、カルシウム化合物として、水酸化カルシウム(純度:95質量%以上、メジアン径:20μm)をCa/Cl比がモル比で2となるように混合して、混合物を調製した。調製した混合物を、スクリューフィーダーを用いて5kg/hの速度でガス加熱式のロータリーキルンに連続的に供給し、負圧(−5Pa)且つ700℃に保ったキルン内部で30分間加熱処理した後、キルン後部の排出口から固形分を回収した。回収した固形分500gに対して、篩目孔径1.0mmの篩を用いて篩分けを実施し、篩下を微粒物、篩上を粗粒物として回収した。
回収した微粒物および粗粒物をそれぞれ洗浄した。洗浄は、微粒物または粗粒物10gと蒸留水100mLとを混合してスラリーとした後に、振とう機を用いて30分間振とうし、その後、スラリーを減圧ろ過して、ケーキを得て、得られたケーキを蒸留水100mLで水洗することによって行った。
洗浄によって得られた洗浄物(ケーキ)を、乾燥機を用いて105℃の温度で乾燥した。以上のようにして得られた洗浄乾燥後の微粒物および粗粒物について、全塩素含有量、カルシウム含有量、発熱量を測定した。なお、全塩素含有量は上述の方法で測定した。カルシウム含有量および発熱量は下記の方法により測定した。その結果を、表2に示す。
(カルシウム含有量の測定方法)
試料を、バーナを用いて燃焼させて灰分を得た。その後、放冷した灰分を酸で溶解し、得られた溶液中のカルシウム濃度をICP−AES法にて測定し、得られたカルシウム濃度を、試料中のカルシウム含有量に換算した。
(発熱量の測定方法)
断熱式ボンベ熱量計により測定した。
[比較例7]
キルン後部の排出口から回収した固形分に対して篩分けを実施しなかったこと以外は、本発明例12と同様にして、混合物を加熱処理した。回収した固形分は、本発明例12と同様に洗浄乾燥した。洗浄乾燥後の固形分について、塩素含有量、カルシウム含有量、発熱量を測定した。その結果を、表2に示す。
Figure 2019123771
本発明例6の結果から、固形分を分級することによって、カルシウムを多く含む微粒物(カルシウム化合物)と、発熱量が大きい粗粒物(炭化物)とを得ることが可能となることが分かる。
[本発明例13]
カルシウム化合物として、本発明例12で得られた微粒物を用いたこと以外は、本発明例1と同様にして、混合物を加熱処理し、固形分を回収した。回収した固形分中の無機態塩素含有量を測定し、塩素固定化率を算出した結果、93.1質量%であった。この結果から、固形分を分級して洗浄することによって得られた微粒物(カルシウム化合物)は、塩素の固定材として利用可能であることが確認された。
10 加熱処理装置
20 内筒
21 混合物の供給口
22 固形分の取出口
23 熱分解ガスの取出口
24 内筒回転装置
25 燃焼ガス
30 外筒
31 助燃バーナ
32 排煙口

Claims (2)

  1. 塩素含有プラスチックに、水酸化カルシウム、炭酸カルシウムおよび酸化カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のカルシウム化合物を、前記塩素含有プラスチックの塩素量に対する前記カルシウム化合物のカルシウム量の比がモル比で2以上10以下の範囲内となる割合で混合した混合物を、非酸化雰囲気中で500℃以上900℃以下の温度で加熱して、前記塩素含有プラスチックの熱分解ガスと炭化物とを生成させると共に、前記塩素含有プラスチックに含まれる塩素と前記カルシウム化合物とを反応させて塩素含有カルシウム化合物を生成させる熱分解工程と、
    前記熱分解ガスを回収するガス回収工程と、を備えることを特徴とする塩素含有プラスチックの処理方法。
  2. さらに、前記炭化物と前記塩素含有カルシウム化合物とを分離する分離工程を備えることを特徴とする請求項1に記載の塩素含有プラスチックの処理方法。
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