JP2019126178A - モーターステーター - Google Patents

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Abstract

【課題】 コイルを効率良く冷却できるモーターステーターを提供する。【解決手段】 モーターステーター1は、モーターの回転軸方向に延びる円筒状のステーターコア10であって、その内周面に前記回転軸方向に沿って延設され、コイル30が挿入される溝状のスロットSLを有するステーターコア10と、スロットSLの側面部SS1,SS2及び底面部SBに沿って延設されて、コイル30とスロットSLの内周面との間を電気的に絶縁するスロット紙21と、を備える。スロット紙21は、重ね合わせ部SPを有し、重ね合わせ部SPに、ワニスが通過可能な1つ又は複数のスリットが設けられ、1つ又は複数のスリットが設けられた領域が、前記モーターの回転軸方向に延設されている。前記スリットの少なくとも一部分が、スロットSLの溝深さ方向における中央部よりも底面部SB側に位置している。【選択図】 図8

Description

本発明は、モーターステーターに関する。
例えば、下記特許文献1に記載されているように、モーターステーターは知られている。モーターステーターは、ステーターコア、絶縁紙及びコイル(U相、V相、W相にそれぞれ対応したコイル)を備える。ステーターコアは、モーター(ローター)の回転軸方向に延びる略円筒状部材である。ステーターコアの内周面には、ステーターコアの中心軸線に平行に延びる溝状の複数のスロットが形成されている。これらのスロットは、ステーターコアの周方向に等間隔に設けられている。
上記のように構成されたステーターコアの内周部にコイルが装着される。コイルは、例えば、ステーターコアの中心軸線方向に延びる略長方形状に予め成形されている。コイルの中心軸線方向がステーターコアの径方向に一致している。ここで、各スロットには、コイルとステーターコアとを電気的に絶縁する絶縁部材が設けられている。上記のように成形されたコイルの両長辺部(コイルを構成する導線の束)が、ステーターコアの周方向に連続する複数(例えば5個)のスロットのうちの両端のスロットにそれぞれ挿入される。そして、コイルのうち、ステーターコアから露出している部分にワニスが滴下される。前記コイルの露出部に滴下されたワニスが、コイルを構成する導線同士の隙間に染み込んでコイル全体に行き亘り、コイルの導線同士が固着される。
ここで、コイルに通電されると、ジュール熱が発生する。コイルの温度が比較的高い状態が継続されると、例えば、コイルを構成する導線の電気絶縁性が低下する虞がある。そのため、コイルを冷却する必要がある。例えば、コイルの熱をモーターステーターコアに伝導させてコイルを冷却するとよい。コイルと絶縁部材との間及び/又は絶縁部材とステーターコアのスロットの内周面との間に空隙が形成されている場合には、これらの空隙の熱抵抗が大きく、コイルが冷却され難い。
下記特許文献1のモーターステーターの絶縁部材には、ワニスの流路としての孔が設けられている。そのため、コイルに滴下されたワニスが前記孔を通って、絶縁部材とスロットの内周面との間に浸入し易い。
特開2015−122861号公報
上記のように各スロットは、ステーターコアの中心軸線方向に平行に延設されている。そして、その内周面が絶縁部材で覆われる。したがって、絶縁部材とスロットの内周面との間の空隙は前記中心軸線方向に延在している。モーターステーターのコイルを効率良く冷却するためには、上記のように比較的広範囲に亘る空隙(絶縁部材とスロットの内周面との間にて前記中心軸線方向に延在する空隙)の全体にワニスが充填されることが好ましい。特許文献1の絶縁部材における前記孔の形状及び位置は特定されていない。前記孔の形状及び位置が適切でない場合には、前記空隙のうち一部の領域にワニスが充填されることなく空隙のまま残存する虞がある。この場合、コイルをあまり効率良く冷却できない。
本発明の目的は、コイルを効率良く冷却できるモーターステーターを提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、モーターの回転軸方向に延びる円筒状のステーターコア(10)であって、その内周面に前記回転軸方向に沿って延設され、コイル(30)が挿入される溝状のスロット(SL)を有するステーターコアと、前記スロットの側面(SS1、SS2)及び底面(SB)に沿って延設されて、前記コイルと前記スロットの内周面との間を電気的に絶縁するスロット紙(21)と、を備えたモーターステーター(1)であって、前記スロット紙は、重ね合わせ部(SP)を有し、前記重ね合わせ部に、ワニスが通過可能な1つ又は複数のスリット(S,S1〜S6)が設けられ、前記1つ又は複数のスリットが設けられた領域が、前記モーターの回転軸方向に延設されており、前記スリットの少なくとも一部分が、前記スロットの溝深さ方向における中央部よりも前記底面(SB)側に位置している、モーターステーターとしたことにある。
この場合、前記スロット紙は、第1スロット紙(211)及び第2スロット紙(212)からなり、前記重ね合わせ部は、前記第1スロット紙の端部と前記第2スロット紙の端部を重ね合わせた部分に相当し、前記スリットは、前記第1スロット紙の端部と前記第2スロット紙の端部との隙間に相当するとよい。
また、この場合、前記第1スロット紙及び第2スロット紙との重ね合わせ部の一部が接合されているとよい。
また、この場合、前記重ね合わせ部は、前記スロット紙の中間部を折りたたんで形成されてもよい。例えば、前記スロット紙の中間部が段折りされて、前記重ね合わせ部か形成される。
これによれば、スリットが形成された領域(複数のスリットを囲む領域)がスロットの長手方向に延設されている。この領域からワニスが流出可能である。したがって、特許文献1のような孔からワニスを流出させる場合に比べて、ワニスがスロットの長手方向に濡れ拡がり易く、スロット紙とスロットの内周面との間の空隙の全体にワニスが充填され易い。これによれば、コイルとステーターコアとの間の熱抵抗を低減でき、コイルを効率良く冷却できる。
また、重ね合わせ部(つまり、ワニスの流出口)が、スロットの溝深さ方向における中央部から見て底面側に配置されている。したがって、スロットの底面部とスロット紙との間の空隙(距離)が比較的大きい場合であっても、当該空隙にワニスが充填され易い。これにより、スロットの底面部とスロット紙との間の熱抵抗を低減できる。よって、コイルの熱がステーターコアの外周側へ伝導し易く、コイルを効率良く冷却できる。とくに、ステーターコアの外周部に冷却装置(冷却ジャケット、ケースなど)が取り付けられる場合に、より効率良くコイルを冷却できる。
本発明の一実施形態に係るモーターステーターの斜視図である。 ステーターコアの斜視図である。 基板の斜視図である。 絶縁紙の分解斜視図である。 スロット紙の製造工程図である。 スロット紙の取り付け工程を示す斜視図である。 コイルの取り付け工程を示す斜視図である。 スロットの断面図である。 コイルにワニスを含浸する工程を示す斜視図である。 コイル温度の測定結果を示すグラフである。 第1スロット紙と第2スロット紙との重ね合わせ部にスリットが設けられた例を示す斜視図である。 第1スロット紙と第2スロット紙の重ね合わせ部がスロットの長手方向に対して傾斜している例を示す側面図である。 本発明の変形例に係り、1枚の用紙から形成されるスロット紙の製造工程図である。 本発明の変形例に係り、図13のスロット紙のスリットの構成を変更した例を示す製造工程図である。 図13のスロット紙のスリットの位置を変更した例を示す斜視図である。 図14のスロット紙のスリットの位置を変更した例を示す斜視図である。
以下、本発明の一実施形態に係るモーターステーター1について説明する。モーターステーター1は、図1に示すように、ステーターコア10、複数の絶縁紙20、及び複数のコイル30を備える。
ステーターコア10は、図2に示すように、モーターの回転軸方向に延びる筒状部材である。ステーターコア10は、電磁鋼板から構成された環状の基板11(図3参照)を積層して形成されている。基板11は、電磁鋼板を打ち抜き加工して形成される。基板11は、基部11aと複数の突出部11bを有する。基部11aは、円環状に形成されている。各突出部11bは、基部11aの内周面から基部11aの中心へ向かって延設されている。これらの突出部11bが、基部11aの周方向に等間隔に配置されている。突出部11bの先端部には、凸部P11b,P11bが形成されている。凸部P11b,P11bは、突出部11bの幅方向における両端面から、突出部11bの幅方向へそれぞれ突出している。
上記のように構成された基板11が積層されて、ステーターコア10が形成される。ステーターコア10のうち、各基板11の基部11aが積層されて形成された部分をヨークYと呼ぶ(図2参照)。また、ステーターコア10のうち、各基板11の各突出部11bがそれぞれ積層されて形成された部分をティースTと呼ぶ。また、各基板11の各凸部P11b,P11bがそれぞれ積層されて形成された部分をフランジF,Fと呼ぶ。また、ステーターコア10の周方向に隣り合う2つのティースTの間に形成された溝状の空間をスロットSLと呼ぶ。スロットSLの側面部SS1,SS2は平面状である(図8参照)。また、スロットSLの底面部SBは半円筒面状である。
絶縁紙20は、図4に示すように、ステーターコア10の中心軸線方向(基板11の積層方向)に平行に延設されている。絶縁紙20は、スロット紙21及びウェッジ紙22からなる。スロット紙21は、スロットSLの内周面に沿うように延びる溝形部材である。スロット紙21は、第1スロット紙211及び第2スロット紙212からなる。図5に示すように、第1スロット紙211及び第2スロット紙212は、ステーターコア10の中心軸線方向に延びる長方形の用紙P1及び用紙P2をスロットSLに沿うように溝状に成形した部材である。用紙P1及び用紙P2の長辺は、ステーターコア10の全長(中心軸線方向の寸法)より少し長い。用紙P1の短辺は、側面部SS1の幅WSS1と底面部SBに沿った弧長LBSとの合計値より少し小さい。用紙P2の短辺は、側面部SS2の幅WSS2より少し長い。
つぎに、スロット紙21の製造工程について説明する。以下の説明において、用紙P1,P2のうち、スロットSL内の空間(コイル30が挿入される空間)へ向けられる面を表面と呼び、用紙P1,P2のうち、スロットSLの内周面へ向けられる面を裏面と呼ぶ。まず、図5(A)に示すように、用紙P1の長辺部(幅方向における一端部)の表面に、用紙P2の長辺部(幅方向における一端部)の裏面が重ね合わされる。この重ね合わせ部SPの幅が、所定の規格(電動機における導電部間の沿面距離)を満たすように設定される。例えば、重ね合わせ部SPの幅が3mmに設定される。つぎに、図5(B)に示すように、用紙P1及び用紙P2の両短辺部が山折りされる。以下、用紙P1及び用紙P2の短辺部であって上記のように折り返されて重なっている部分を折り返し部FRと呼ぶ。つぎに、図5(C)に示すように、用紙P1が、側面部SS1から底面部SBの一端部(側面部SS2側の端部)に亘る部分に沿うように成形され、用紙P2が、側面部SS2から底面部SBの一端部(側面部SS2側の端部)に亘る部分に沿うように成形される。このようにして、スロット紙21が形成される。なお、スロット紙21のうち、第1スロット紙211(用紙P1)と第2スロット紙212(用紙P2)との重ね合わせ部SPにおける両者の隙間(図8参照)が、本発明のスリットに相当し、重ね合わせ部SPが本発明のスリットが形成された領域に相当する。
ウェッジ紙22は、溝状に形成されたスロット紙21の蓋部材である(図4参照)。ウェッジ紙22は、長方形の用紙P3から構成され、その幅方向における両端部がスロット紙21の開口端部に被せられて、前記開口端部が塞がれる。
コイル30は、例えば、略長方形の型(枠部材)の周りに導線が巻き回されて形成される(図7参照)。つまり、コイル30は、ステーターコア10の中心軸線方向に延びる略長方形を呈するように予め成形されている。なお、コイル30を構成する導線の表面は、電気絶縁材で被覆されている。コイル30の長手方向の寸法は、スロット紙21の長手方向の寸法と同等である。一方、コイル30の短辺方向の寸法は、隣接する複数(例えば5個)のスロットSLのうちの両端のスロットSL,SLの距離と同等である。
モーターステーター1は、次のようにして組み立てられる。まず、図6に示すように、各スロット紙21が各スロットSLに挿入される。スロット紙21の長手方向における折り返し部FR,FRを除く中間部MPによって、スロットSLの内周面(側面部SS1,SS2及び底面部SB)が電気的に絶縁被覆される。スロット紙21がスロットSLに挿入された状態では、第1スロット紙211と第2スロット紙212との重ね合わせ部SPは、スロットSLの溝深さ方向における中央部よりも底面部SB側に位置している(図8参照)。より具体的には、重ね合わせ部SPは、側面部SS2と底面部SBとの境界部と、底面部SBの中央部との間に位置している。また、この状態では、スロット紙21の折り返し部FR,FRは、ステーターコア10の中心軸線方向における両端面から突出している(図7参照)。また、この状態では、スロット紙21の開口端部がステーターコア10の中心部へ向けられている。
つぎに、図7に示すように、コイル30の両長辺部が、前記複数(例えば5個)のスロットSLのうちの両端のスロットSL,SL(スロットSL,SLに挿入されたスロット紙21,21)にそれぞれ挿入される。言い換えれば、前記複数(例えば5個)のスロットSLのうちの両端のスロットSL,SLの間に位置する部分に、コイル30を構成する導線が巻き回される。また、U相、V相及びW相にそれぞれ対応したコイル30が、ステーターコア10の周方向に互いにずれた状態で装着される。つぎに、スロット紙21の開口端部に、ウェッジ紙22が被せられて、前記開口端部が塞がれる(図8参照)。これにより、絶縁紙20は筒状を呈し、コイル30の長辺部が絶縁紙20に包まれた状態になる。つぎに、図9に示すように、ステーターコア10が回転された状態で、コイル30の短辺部にワニスが滴下される。滴下されたワニスは、導線同士の間に染み込んでいき、コイル30の長辺部にワニスが到達する。そして、絶縁紙20の内部の空隙に、前記長辺部に到達したワニスが充填される。さらに、前記長辺部に到達したワニスが、第1スロット紙211と第2スロット紙212との重ね合わせ部SPの隙間(スリット)を通って、絶縁紙20の外部へ流出する。そして、絶縁紙20とスロットSLの内周面との間の空隙に、絶縁紙20の外部へ流出したワニスが充填される。最後に、ワニスが硬化処理される。このようにして、モーターステーター1が組み立てられる。
なお、コイル30がスロットSL,SL(スロット紙21,21)に挿入される際、各スロット紙21の折り返し部FR,FRが、コイル30に当接して折れ曲がってしまう虞がある。そこで、コイル30がスロットSL,SLに挿入される際、折り返し部FR,FRが治具(カフサ)によって支持されるとよい。
上記のように、第1スロット紙211と第2スロット紙212の重ね合わせ部SPがスロットSLの長手方向に延設されており、この隙間(スリット)を通って、ワニスが絶縁紙20内から流出する。したがって、特許文献1のような孔からワニスを流出させる場合に比べて、ワニスがスロットSLの長手方向に濡れ拡がり易く、スロット紙21とスロットSLの内周面との間の空隙の全体にワニスが充填され易い。これによれば、コイル30とステーターコア10との間の熱抵抗を低減でき、コイル30を効率良く冷却できる。
ここで、従来のモーターステーター(スロット紙とスロットの内周面との間にワニスが充填されず空隙が残存しているモーターステーター)及び本実施形態のモーターステーター1のコイル30に同一の電流を流した際のコイル30の表面温度の測定結果を図10に示す。同図に示すように、モーターステーター1のコイル30の温度上昇量(同図において実線で示す特性)が、従来のモーターステーターのコイル30の温度上昇量(同図において破線で示す特性)に比べて約20%程度低減した。つまり、コイル30とステーターコア10との間において熱が伝導し易くなり、コイル30が効率良く冷却されている。なお、同図において、コイル単体に通電した場合のコイルの温度の変化特性を一点鎖線で示している。
また、本実施形態のスロット紙21の重ね合わせ部SP(つまり、ワニスの流出口)が、スロットSLの溝深さ方向における中央部よりも底面部SB側に配置されている。したがって、底面部SBとスロット紙21との間の空隙(距離)が比較的大きい場合であっても、当該空隙にワニスが充填され易い。これにより、底面部SBとスロット紙21との間の熱抵抗を低減できる。よって、コイル30の熱がステーターコア10の外周側へ伝導し易く、コイル30を効率良く冷却できる。とくに、ステーターコア10の外周部に冷却装置(冷却ジャケット、ケースなど)が取り付けられる場合に、より効率良くコイル30を冷却できる。
また、用紙P1の幅方向における一端部と用紙P2の幅方向における一端部とが重ねられ、それらの長手方向における両端部が折り返されて、第1スロット紙211及び第2スロット紙212からなるスロット紙21が形成される。このように、第1スロット紙211の折り返し部FRと第2スロット紙212の折り返し部FRとが嵌合している。したがって、第1スロット紙211と第2スロット紙212とがそれらの長手方向にずれ難い。
また、上記のように、重ね合わせ部SPは、側面部SS2と底面部SBとの境界部と、底面部SBの中央部との間に位置している。ここで、本実施形態とは逆に、用紙P1の長辺部の裏面に、用紙P2の長辺部の表面が重ね合わされている場合には、コイル30をスロットSL(スロット紙21)内に挿入する際、導線が重ね合わせ部SPの隙間(スリット)に入り込んでしまう虞がある。これに対し、本実施形態では、用紙P1の長辺部の表面に、用紙P2の長辺部の裏面が重ね合わされている(図5(A)及び図8参照)。これによれば、導線が重ね合わせ部SPの隙間(スリット)に入り込み難い。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、図11に示すように、重ね合わせ部SPの幅を上記実施形態よりも少し大きく設定しておき、この重ね合わせ部SPを構成する第1スロット紙211の端部及び第2スロット紙212の端部にそれぞれスリットSを形成してもよい。図11の例では、スロットSLの長手方向に垂直な方向へそれぞれ延びる複数のスリットSが第1スロット紙211及び第2スロット紙212の端部に並べられている。第1スロット紙211のスリットSの端部と第2スロット紙212のスリットSの端部との距離が前記所定の規格を満たすようにスリットSが配置されている。
また、上記実施形態の第1スロット紙211と第2スロット紙212との重ね合わせ部SPは、スロットSLの長手方向に平行に延設されている。これに代えて、図12に示すように、重ね合わせ部SPがスロットSLの長手方向に対して少し傾斜していてもよい。また、重ね合わせ部SPは、直線状である必要は無く、湾曲していても良いし、蛇行していてもよい。ただし、これらの場合、重ね合わせ部SP(すなわち、本発明のスリットが形成される領域)がスロットSLの長手方向に延設されている必要がある。つまり、重ね合わせ部SPを囲む長方形の領域の長辺がスロットSLの長手方向に平行であればよい。
例えば、上記実施形態の重ね合わせ部SPの一部分を接合(接着)しておいてもよい。例えば、重ね合わせ部SPの長手方向における複数箇所を接合すると良い。これによれば、スロット紙21をスロットSLに挿入する際、第1スロット紙211と第2スロット紙212とがずれ難いので、スロット紙21をスロットSLに挿入し易い。
また、上記実施形態では、2枚の用紙P1及び用紙P2から形成されたスロット紙21を採用しているが、これに代えて図13乃至図16に示すように、1枚の用紙P3から形成されたスロット紙21Aを採用してもよい。以下の説明において、用紙P3のうち、スロットSL内の空間(コイル30が挿入される空間)へ向けられる面を表面と呼び、用紙P3のうち、スロットSLの内周面へ向けられる面を裏面と呼ぶ。
スロット紙21Aは、重ね合わせ部SPAを有する。重ね合わせ部SPAは、スロットSLの長手方向に延びる長方形の用紙P3の中間部FA(図13(A)参照)を折りたたむ(段折りする)ことにより形成される。なお、同図は、用紙P3を表面側から見た状態を示している。
つぎに、スロット紙21Aの製造工程について具体的に説明する。まず、中間部FA内にスリット(切り込み)が形成される。図13の例では、中間部FAのうちの、谷折り線VLより左側部分にスリットS1が形成され、山折り線MLより右側部分にスリットS2が形成されている。スリットS1は、用紙P3の長手方向に対して少し傾斜した直線を呈する。スリットS2は、スリットS1に平行である。
この場合、スリットS1のうちの左上の端部が中間部FAの左端(重ね合わせ部SPAの左端)に最も近い。当該部位(スリットS1の左上の端部)と中間部FAの左端との距離が前記所定の規格を満たすように設定される。また、スリットS2のうちの右下の端部が中間部FAの右端(重ね合わせ部SPAの右端)に最も近い。当該部位(スリットS2の右下の端部)と中間部FAの右端との距離が前記所定の規格を満たすように設定される。なお、スリットS1及びスリットS2を囲む長方形の領域(図13(A)において網点を付した部分)が用紙P3の長手方向(つまりスロットSLの長手方向)に延設されている。
つぎに、図13(B)に示すように、中間部FAが段折りされる。すなわち、用紙P3が、図13(A)に示す谷折り線VL及び山折り線MLに沿って、谷折り及び山折りされる。つぎに、図13(C)に示すように、用紙P3の両短辺部が山折りされる。最後に、図13(D)に示すように、用紙P3がスロットSLの内周面に沿うように湾曲成形される。このようにしてスロット紙21Aが製造される。なお、スロット紙21AがスロットSLに挿入された状態で、スリットS1及び/又はスリットS2の少なくとも一部がスロットSLの溝深さ方向における中央部よりも底面部SB側に位置するように、中間部FAの位置及び寸法、並びにスリットS1及び/又はスリットS2の位置及び寸法が設定されている。
上記のように構成されたスロット紙21Aによっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。さらに、上記のように、スロット紙21Aは、1枚の用紙P3から形成されるので、上記実施形態に比べて部品点数を削減できる。
また、スロット紙21AのスリットS1及びスリットS2の形状は図13の例に限られない。例えば、図14(A)に示すように、用紙P3の短辺に平行に延びる複数のスリットS3,S4を並設してもよい。この場合、スリットS3のうちの左端部が中間部FAの左端(重ね合わせ部SPAの左端)に最も近い。当該部位(スリットS3の左端部)と中間部FAの左端との距離が前記所定の規格を満たすように設定される。また、スリットS4のうちの右端部が中間部FAの右端(重ね合わせ部SPAの右端)に最も近い。当該部位(スリットS4の右端部)と中間部FAの右端との距離が前記所定の規格を満たすように設定される。なお、スリットS3及びスリットS4を囲む長方形の領域(図14(A)において網点を付した部分)が用紙P3の長手方向(つまりスロットSLの長手方向)に延設されている。このようなスリットS3,S4が形成された用紙P3が、図13(B)乃至図13(D)を用いて説明した手順と同様の手順で成形される(図14(B)及び図14(D)参照)。
また、図13におけるスリットS1及びスリットS2のうちのいずれか一方を省略してもよい。また、図14におけるスリットS3及びスリットS4のうちのいずれか一方を省略してもよい。また、図13におけるスリットS1及びスリットS2のいずれか一方又は両方を省略し、図15に示すように、谷折り線VLと山折り線MLとの間に位置する部分にスリットS5を形成しても良い。また、図14におけるスリットS3及びスリットS4のうちのいずれか一方又は両方を省略し、図16に示すように、谷折り線VLと山折り線MLとの間に位置する部分にスリットS6を形成しても良い。なお、図13において、スリットS1及びスリットS2を省略することなく、スリットS5を追加しても良いが、この場合、重ね合わせ部SPAにおいて、スリットS1、スリットS2及びスリットS5が重なった場合、又は近接している場合には、導電部間の沿面距離が規格値より小さくなる虞がある。従って、スリットS1からスリットS5を通ってスリットS2に至る沿面距離が前記規格値(例えば3mm)以上になるように、スリットS1、スリットS2及びスリットS5を配置する。また、図14において、スリットS3及びスリットS4を省略することなく、スリットS6を追加しても良いが、この場合も、重ね合わせ部SPAにおいて、スリットS3、スリットS4及びスリットS6が重なった場合、又は近接している場合には、導電部間の沿面距離が規格値より小さくなる虞がある。従って、スリットS3からスリットS6を通ってスリットS4に至る沿面距離が前記規格値(例えば3mm)以上になるように、スリットS3、スリットS4及びスリットS6を配置する。
また、図13におけるスリットS1及びスリットS2は、用紙P3の長手方向に対して傾斜した直線を呈しているが、スリットS1及びスリットS2が、用紙P3の長手方向に対して平行な直線を呈するようにしてもよい。また、図15におけるスリットS5についても、用紙P3の長手方向に対して平行な直線を呈するようにしてもよい。また、図13におけるスリットS1及びスリットS2のうちのいずれか一方又は両方を省略し、谷折り線VL及び山折船MLのうちのいずれか一方又は両方に、スリットを設けても良い。また、上記実施形態は、同心巻きされたコイル30を備えるモーターステーター1に本発明を適用した例であるが、本発明は、波巻きされたコイル30を備えるモーターステーター1にも適用可能である。
1・・・モーターステーター、10・・・ステーターコア、11・・・基板、11a・・・基部、11b・・・突出部、20・・・絶縁紙、21,21A・・・スロット紙、22・・・ウェッジ紙、30・・・コイル、211・・・第1スロット紙、212・・・第2スロット紙、FA・・・中間部、FR・・・折り返し部、ML・・・山折り線、P1,P2,P3・・・用紙、S,S1〜S6・・・スリット、SB・・・底面部、SL・・・スロット、SP,SPA・・・重ね合わせ部、SS1,SS2・・・側面部、T・・・ティース、VL・・・谷折り線

Claims (4)

  1. モーターの回転軸方向に延びる円筒状のステーターコアであって、その内周面に前記回転軸方向に沿って延設され、コイルが挿入される溝状のスロットを有するステーターコアと、
    前記スロットの側面及び底面に沿って延設されて、前記コイルと前記スロットの内周面との間を電気的に絶縁するスロット紙と、
    を備えたモーターステーターであって、
    前記スロット紙は、重ね合わせ部を有し、
    前記重ね合わせ部に、ワニスが通過可能な1つ又は複数のスリットが設けられ、
    前記1つ又は複数のスリットが設けられた領域が、前記モーターの回転軸方向に延設されており、
    前記スリットの少なくとも一部分が、前記スロットの溝深さ方向における中央部よりも前記底面側に位置している、モーターステーター。
  2. 請求項1に記載のモーターステーターにおいて、
    前記スロット紙は、第1スロット紙及び第2スロット紙からなり、
    前記重ね合わせ部は、前記第1スロット紙の端部と前記第2スロット紙の端部を重ね合わせた部分に相当し、
    前記スリットは、前記第1スロット紙の端部と前記第2スロット紙の端部との隙間に相当する、モーターステーター。
  3. 請求項1に記載のモーターステーターにおいて、
    前記重ね合わせ部は、前記スロット紙の中間部を折りたたんで形成される、モーターステーター。
  4. 請求項2に記載のモーターステーターにおいて、
    前記第1スロット紙及び第2スロット紙との重ね合わせ部の一部が接合されている、モーターステーター。
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