JP2019128175A - トンネル壁面検査装置及びトンネル壁面検査プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】トンネルの壁面の変状箇所を容易に把握することができるトンネル壁面検査装置及びトンネル壁面検査プログラムを提供する。【解決手段】赤外線画像取得装置10が、トンネルの長手方向に一定距離移動する毎に赤外線熱画像を取得し、レーザ点群取得装置12が一定周期でレーザ点群を取得し、制御装置16は、トンネルの天井に、その長手方向に沿って設定された基準線と、上記レーザ点群に基づいて赤外線熱画像の画素に設定された3次元座標とに基づき、トンネルの長手方向に直交する方向において基準線と赤外線熱画像の各画素とのトンネル壁面に沿った第1の距離、及びトンネル内に設定された座標原点と赤外線熱画像の各画素とのトンネルの長手方向における第2の距離を求め、これらに基づいて赤外線画像を2次元平面に展開する。【選択図】図1
Description
本発明は、トンネル壁面検査装置及びトンネル壁面検査プログラムに関する。
従来、トンネルの壁面のひび割れ、剥落等の変状箇所の検査を容易に行うための技術が提案されている。例えば、下記特許文献1には、トンネルのコンクリート覆工面を洗浄し、前記洗浄された覆工面を熱乾燥して、前記熱乾燥された覆工面を赤外線カメラで撮影して、前記覆工面の損傷を検出することを特徴とするトンネル覆工面の損傷検出方法が開示されている。
特許文献1の技術では、赤外線画像と、これと同時に撮影したデジタル画像とを重ね合わせることにより、赤外線画像上のひび割れの画像部分とデジタル画像上のひび割れの画像部分とが重なり、画像上で覆工面上のひび割れの大きさ、形および位置を正確に特定し、検出することができるとされている。
しかし、上記従来の技術では、ひび割れ等の変状箇所を特定するための工程が煩雑であるという問題があった。
本発明は、トンネルの壁面の変状箇所を容易に把握することができるトンネル壁面検査装置及びトンネル壁面検査プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態は、トンネル壁面検査装置であって、トンネルの壁面の赤外線熱画像を、トンネルの長手方向に一定距離移動する毎に取得する赤外線画像取得手段と、前記トンネルの壁面の3次元座標を設定するためのレーザ点群を一定の周期で取得するレーザ点群取得手段と、前記赤外線画像取得手段とレーザ点群取得手段の前記トンネルの長手方向における移動距離を計測する距離計測手段と、前記距離計測手段が計測した距離が一定値に達する毎に前記赤外線画像取得手段に赤外線熱画像の取得を指示する第1の取得指示信号を発生し、前記レーザ点群取得手段に一定周期でレーザ点群の取得を指示する第2の取得指示信号を発生する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記トンネルの天井に、前記トンネルの長手方向に沿って基準線を設定し、前記レーザ点群に基づいて前記赤外線熱画像の画素に3次元座標を設定し、前記トンネルの長手方向に直交する方向において前記基準線と前記赤外線熱画像の各画素とのトンネル壁面に沿った第1の距離、及び前記トンネル内に設定された座標原点と前記赤外線熱画像の各画素との前記トンネルの長手方向における第2の距離に基づき、前記赤外線画像を2次元平面に展開する、ことを特徴とする。
上記制御手段は、前記赤外線画像取得手段が取得したトンネルの壁面の赤外線熱画像を受け付ける赤外線画像受付手段と、前記レーザ点群取得手段が一定の周期で取得したレーザ点群を受け付けるレーザ点群受付手段と、前記レーザ点群に基づいて前記赤外線熱画像の画素に3次元座標を設定する座標情報設定手段と、トンネルの天井に、前記トンネルの長手方向に沿って基準線を設定する基準線設定手段と、前記赤外線熱画像の画素に設定された3次元座標に基づき、前記トンネルの長手方向に直交する方向において前記基準線と前記赤外線熱画像の各画素とのトンネル壁面に沿った第1の距離、及び前記トンネル内に設定された座標原点と前記赤外線熱画像の各画素との前記トンネルの長手方向における第2の距離を演算する距離演算手段と、前記第1の距離及び第2の距離に基づき、前記赤外線熱画像を2次元平面に展開する画像展開手段と、を備えるのが好適である。
また、上記第2の距離は、トンネル内に設定された座標既知点と前記赤外線熱画像の各画素との前記トンネルの長手方向における距離であるのが好適である。
また、上記座標既知点は、トンネル内に設置された距離標であるのが好適である。
また、上記基準線は、トンネルに設けられたハンチと天井との交線から予め定めた距離の線であるのが好適である。
また、本発明の他の実施形態は、トンネル壁面検査プログラムであって、コンピュータを、赤外線画像取得手段が取得したトンネルの壁面の赤外線熱画像を受け付ける赤外線画像受付手段、レーザ点群取得手段が一定の周期で取得したレーザ点群を受け付けるレーザ点群受付手段、前記レーザ点群に基づいて前記赤外線熱画像の画素に3次元座標を設定する座標情報設定手段、トンネルの天井に、前記トンネルの長手方向に沿って基準線を設定する基準線設定手段、前記赤外線熱画像の画素に設定された3次元座標に基づき、前記トンネルの長手方向に直交する方向において前記基準線と前記赤外線熱画像の各画素とのトンネル壁面に沿った第1の距離、及び前記トンネル内に設定された座標原点と前記赤外線熱画像の各画素との前記トンネルの長手方向における第2の距離を演算する距離演算手段、前記第1の距離及び第2の距離に基づき、前記赤外線熱画像を2次元平面に展開する画像展開手段、として機能させることを特徴とする。
また、上記第2の距離は、トンネル内に設定された座標既知点と前記赤外線熱画像の各画素との前記トンネルの長手方向における距離であるのが好適である。
本発明によれば、トンネルの壁面の変状箇所を容易に把握することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
図1には、実施形態にかかるトンネル壁面検査装置の構成例が示される。図1において、トンネル壁面検査装置は、赤外線画像取得装置10、レーザ点群取得装置12、距離計測手段14、制御装置16、及びこれらを予め決定された位置に固定する架台18を含んで構成されている。なお、赤外線画像取得装置10及びレーザ点群取得装置12は、相互の位置関係が予めわかった状態(予め決定された位置)で架台18に固定する必要があるが、制御装置16は必ずしも架台18に固定する必要はなく、架台18上に設置されていればよい。また、架台18には車輪20が設置されており、トンネル壁面検査装置をトンネルの長手方向に移動できるように構成されている。なお、車輪20は、検査対象のトンネルが鉄道用である場合には、線路上を走行できる形状とし、車道用の場合には、車道上を走行できる形状とする。
上記赤外線画像取得装置10及びレーザ点群取得装置12の位置関係については、これらを架台18に固定した後にキャリブレーション処理を行い、精密な設置位置と姿勢(向き)を算出して位置関係を決定しておくのが好適である。キャリブレーション処理については後述する。
赤外線画像取得装置10は、赤外線サーモグラフィカメラ等で構成され、トンネルの壁面の赤外線熱画像Ipを撮影して取得する。赤外線熱画像Ipの撮影は、トンネルの長手方向に一定距離移動する毎に制御装置16が発生する、赤外線熱画像Ipの取得を指示する第1の取得指示信号を受け付けて行われる。この結果、赤外線熱画像Ipの撮影は、トンネルの長手方向に上記一定距離移動する毎に行われることになる。なお、上記取得された赤外線熱画像Ipに対しては、使用された赤外線サーモグラフィカメラのレンズ由来の画像歪みを補正するのが好適である。
画像歪みの補正は、赤外線画像取得装置10を構成する赤外線サーモグラフィカメラ(以後、カメラということがある)の内部標定要素(主点の位置ずれ、焦点距離、放射方向歪み、接線方向歪み等のパラメータ)を算出し、歪みのある赤外線熱画像が正しい撮像位置に投影されるよう補正することをいう。一般に、内部標定要素は、撮影前または撮影後にカメラキャリブレーション用のターゲット等を用いて画像の撮影を行い、セルフキャリブレーション付きバンドルブロック調整法等の公知の手法を用いて算出する。得られた内部標定要素(パラメータ)により画像中の各画素の位置を再配置する。
なお、図1の例では、赤外線熱画像をトンネル壁面にIpとして表示しているが、これは、赤外線画像取得装置10が取得した赤外線熱画像自体を表し、壁面を表しているものではない。ただし、当該赤外線熱画像はIpで表される領域の画像となっている。
レーザ点群取得装置12は、ラインレーザスキャナ等で構成され、トンネルの壁面の3次元座標を設定するためのレーザ点群を取得する。なお、レーザ点群を取得するトンネルの壁面には、トンネルの側壁及び天井を含む。図1の例では、レーザ点群がRで示されている。ここで、レーザ点群取得装置12がレーザ点群を取得するとは、レーザ点群を構成する各レーザ点について後述するレーザスキャナ座標系の原点からトンネルの壁面までの距離と角度の情報を取得し出力する処理をいう。
上記レーザ点群の取得は、制御装置16が一定周期で発生する、レーザ点群の取得を指示する第2の取得指示信号を受け付けて行われる。この結果、レーザ点群の取得が一定の周期で行われる。なお、この場合の第2の取得指示信号は、トンネルの長手方向に一定距離移動する毎に制御装置16が発生する上記第1の取得指示信号としてもよい。
距離計測手段14は、適宜な距離計により構成されており、車輪20の半径と回転数とから架台18の移動距離を計測する。
制御装置16は、適宜なコンピュータで構成されている。詳細は後述する。
図2には、制御装置16の構成例のブロック図が示される。図2において、制御装置16は、取得信号発生部22、赤外線画像受付部24、レーザ点群受付部26、座標情報設定部28、基準線設定部30、距離演算部32、画像展開部34、通信部36、記憶部38及びCPU40を含んで構成されている。なお、CPU40以外にGPUを用いてもよい。この制御装置16は、CPU40、ROM、RAM、不揮発性メモリ、I/O、通信インターフェース等を備え、装置全体の制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されており、上記各機能は、例えばCPU40とCPU40の処理動作を制御するプログラムとにより実現される。
取得信号発生部22は、赤外線画像取得装置10による赤外線熱画像の取得を指示する第1の取得指示信号及びレーザ点群取得装置12によるレーザ点群の取得を指示する第2の取得指示信号を発生する。ここで、上記第1の取得指示信号は、上記トンネルの長手方向に対する架台18の移動距離の値が所定距離に達する毎に発生する。上記所定距離としては、特に限定されないが、例えば10〜50cm等とするのが好適である。ここで、架台18の移動距離は、上述したように距離計測手段14が車輪20の半径と回転数とから計測した値であり、取得信号発生部22が距離計測手段14から通信部36を介して取得する。なお、距離計測手段14が計測した上記移動距離の値は、通信部36を介して一旦記憶部38に記憶させ、取得信号発生部22がこれを読み出して使用する構成とすることもできる。
また、上記第2の取得指示信号は、取得信号発生部22が、予め定めた一定の周期で発生する。なお、上述したように、第2の取得指示信号の代わりに、上記第1の取得指示信号を使用してもよい。
赤外線画像受付部24は、赤外線画像取得装置10が、上記第1の取得指示信号に基づいて取得したトンネルの壁面の赤外線熱画像を、通信部36を介して受け付ける。ここで、「受け付ける」とは、トンネルの壁面の赤外線熱画像のデータを、通信部36を介して取得して記憶部38に記憶させることをいう。
レーザ点群受付部26は、レーザ点群取得装置12が、上記第2の取得指示信号に基づいて取得して出力したレーザ点群を、通信部36を介して受け付け、後述する演算により、トンネルに設定されたワールド座標系における各レーザ点の座標値を求める。受け付けたレーザ点群は、上記座標値とともにレーザ点群データとして記憶部38に記憶させる。
座標情報設定部28は、上記赤外線画像受付部24が受け付けたトンネルの壁面の赤外線熱画像と、上記レーザ点群データとを記憶部38から読み出し、レーザ点群データに基づいて赤外線熱画像の画素に3次元座標を設定する。ここで、3次元座標とは、上記ワールド座標系における座標値をいい、設定とは、赤外線熱画像の画素が表すトンネル壁面の上記ワールド座標系における座標値(3次元座標)を当該画素に関連付けることをいう。座標情報設定部28が設定した赤外線熱画像の画素の3次元座標は、記憶部38に記憶させる。3次元座標の設定方法の詳細は後述する。
基準線設定部30は、トンネルの天井に、トンネルの長手方向に沿って基準線を設定する。基準線としては、例えば天井の上記長手方向に直交する方向の中心点を結んだ中心線、トンネルにハンチが設けられている場合には、ハンチと天井との交線から、上記長手方向に直交する方向に予め定めた距離離れた線等とすることができるが、これらには限定されない。上記長手方向の線であれば、適宜基準線として使用することができる。基準線設定部30が設定した基準線(のワールド座標系における方程式または座標値)は、記憶部38に記憶させる。基準線の設定方法は後述する。
距離演算部32は、上記赤外線熱画像の画素に設定された3次元座標に基づき、上記トンネルの長手方向に直交する方向において、上記基準線と上記赤外線熱画像の各画素とのトンネル壁面に沿った距離である第1の距離、及びトンネル内に設定されたワールド座標系の原点と上記赤外線熱画像の各画素との上記トンネルの長手方向における第2の距離を演算する。上記第2の距離は、ワールド座標系の原点から距離計測手段14が計測した架台18の移動距離である。ここで、上記第1の距離及び第2の距離を演算する場合、各画素の座標値は、座標情報設定部28が各画素に関連付けたワールド座標系における座標値(3次元座標)であり、第1の距離及び第2の距離はワールド座標系における距離である。なお、上記第2の距離は、トンネル内に適宜設定された座標既知点から距離計測手段14が計測した架台18の移動距離とすることもできる。上記座標既知点には、ワールド座標系における座標値が関連付けられている。ここで、上記座標既知点の位置は、利用者が指定してもよいし、座標既知点の座標値を予め記憶部38に記憶させておいて、距離演算部32がこの座標値を読み出す構成としてもよい。また、上記座標既知点としては、トンネル内に設置された距離標等とすることができる。
距離計測手段14が計測する距離は、積算しつつ記憶部38に記憶しておき、距離演算部32がこの積算値を読み出して使用する。距離演算部32は、距離計測手段14が計測した座標既知点の位置からの架台18の移動距離の積算値を上記第2の距離とすることができる。距離演算部32が演算した第1の距離及び第2の距離は、記憶部38に記憶させる。
画像展開部34は、上記距離演算部32が演算した第1の距離、第2の距離及び画素に3次元座標が設定された赤外線熱画像を記憶部38から読み出し、これらに基づいて、上記赤外線熱画像を2次元平面に展開する。展開した2次元平面上の赤外線熱画像は、記憶部38に記憶させる。展開方法の詳細は後述する。
なお、記憶部38に記憶させた2次元平面上の赤外線熱画像は、液晶表示装置その他の適宜な表示装置に表示する構成とするのが好適である。
通信部36は、適宜なインターフェースにより構成され、赤外線画像取得装置10、レーザ点群取得装置12及び距離計測手段14との間でCPU40が情報をやり取りするために使用する。
記憶部38は、ハードディスク装置、ソリッドステートドライブ(SSD)等の不揮発性メモリで構成され、上記各種情報等、及びCPU40の動作プログラム等の、制御装置16が行う各処理に必要な情報を記憶させる。なお、記憶部38としては、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、光磁気ディスク(MO)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ、電気的消去および書き換え可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュ・メモリ等を使用してもよい。また、記憶部38には、主としてCPU40の作業領域として機能するランダムアクセスメモリ(RAM)、及びBIOS等の制御プログラムその他のCPU40が使用するデータが格納される読み出し専用メモリ(ROM)を含めるのが好適である。
図3には、上記赤外線画像取得装置10及びレーザ点群取得装置12の位置関係を決定するためのキャリブレーション処理の説明図が示される。
上記キャリブレーション処理は、架台18上に設定された任意の原点および座標系に対する赤外線画像取得装置10の取り付け位置と姿勢(各座標軸回りの回転角)に関するパラメータ(特定の座標間における変換行列の成分)、及びレーザ点群取得装置12の取り付け位置と姿勢に関するパラメータを算出する処理である。
一般に、座標の変換行列M(4×4の行列)(ただし、下線は、ベクトル又は行列を表す。以後も同じである。)は、下記式(1)のように表される。ただし、Rは姿勢(各座標軸(例えばX,Y,Zの各座標軸)で右回りを正とするような回転角ω,φ,κ)から生成される3×3の回転行列であり、X=(X,Y,Z)は原点に対する位置(平行移動量)である。また、Rは下記式(2)で示される回転行列Rω,Rφ,Rκの積からなる行列であり、例えば元の座標をκ,φ,ωの順に回転させて変換後の座標が算出される場合には、R=Rω・Rφ・Rκとなる。変換行列Mの構成要素であるR及びX=(X,Y,Z)は、上記パラメータに相当する。
(太字は、下線と同様にベクトル又は行列を表す。以後も同じである。)
図3に示されるように、トンネル100には、ワールド座標系(X,Y,Z)が設定されている。このトンネル100内に架台18を設置し、架台18上に架台座標系(xd,yd,zd)を設定する。また、架台18上に設置された赤外線画像取得装置10の上にカメラ座標系(xc,yc,zc)を、レーザ点群取得装置12の上にレーザスキャナ座標系(xL,yL,zL)をそれぞれ設定する。なお、ワールド座標系は、Y軸がトンネル100の長手方向に設定され、X軸がトンネル100の長手方向と直交する水平方向に設定され、Z軸がトンネル100の長手方向と直交する鉛直方向に設定されるような右手座標系によって表されている。
以上の各座標系の間の変換行列は、上記式(1)、(2)に基づいて以下のように作成することができる。
1.架台座標系をワールド座標系に変換する変換行列M d
上記変換行列M dは、架台18上に設定した原点のワールド座標系における位置をトータルステーション等の機器を用いて計測し、架台18が水平でない(ワールド座標系に対して傾いている)場合には、傾斜計等を用いて角度(姿勢)を計測し、これらの計測結果を用いて、上記式(1)、(2)と同じ形の式としたものである。ここで、変換行列M dに含まれる成分R dは、ワールド座標系に対する架台18の傾き(姿勢)に相当する回転行列であり、また、X d=(Xd,Yd,Zd)は、架台18上に設定した原点の、ワールド座標系における位置(平行移動成分)である。変換行列M dによって架台座標系における点の座標値をワールド座標系における座標値に変換することができる。
2.カメラ座標系をワールド座標系に変換する変換行列M c
上記変換行列M cは、内部標定要素が算出済みのカメラ(赤外線サーモグラフィカメラ)を用いて上記ワールド座標上に3点以上設置した基準点が写るように撮影し、基準点のワールド座標及び画像上でのそれらの投影位置(カメラ座標系における位置)に基づいて単写真標定処理等を行い、ワールド座標系におけるカメラの位置・姿勢(外部標定要素)を算出して上記式(1)、(2)と同じ形の式としたものである。なお、上記基準点の座標値は、トータルステーション等を用いて計測する。
ここで、変換行列M cに含まれる成分R cは、ワールド座標系に対するカメラの傾き(姿勢)に相当する回転行列であり、また、X c=(Xc,Yc,Zc)は、カメラ上に設定した原点(カメラの撮影中心位置)の、ワールド座標系における位置(平行移動成分)である。変換行列M cによってカメラ座標系における点の座標値をワールド座標系における座標値に変換することができる。
3.カメラ座標系を架台座標系に変換する変換行列M a
変換行列M aは、カメラ座標系における点の座標値を架台座標系における座標値に変換する行列であり、以下のような関係がある。
上記式(5)から、
ただし、
変換行列M aは、カメラ座標系における点の座標値を架台座標系における座標値に変換する行列であり、以下のような関係がある。
ここで、Tは転置行列を表す。上記変換行列M aに含まれる成分R aは、架台座標系に対するカメラの傾き(姿勢)に相当する回転行列であり、また、X a=(Xa,Ya,Za)は、カメラ上に設定した原点の、架台座標系における位置(平行移動成分)である。変換行列M aによってカメラ座標系における点の座標値を架台座標系における座標値に変換することができる。
カメラと架台18との位置関係は、一旦カメラを架台に取り付けた後は、カメラを取り外すまで不変である。従って、架台18にカメラを取り付けた後、上記基準点の位置の測定を1回行って上記式(6)により変換行列M aを決定しておけば、以後(カメラを架台18から取り外すまで)、基準点の位置の測定をしなくても、式(5)から画像中の点のカメラ座標系における座標値をワールド座標系における座標値に変換することができる。
さらに、架台18がワールド座標系に対して傾きがなく、架台18の移動方向がワールド座標系のY軸方向(トンネル100の長手方向)とすると、ワールド座標系における架台の起点を(X0,Y0,Z0)、架台18の上記Y軸に沿った移動量をLとして、移動後の架台の位置を(X0,Y0+L,Z0)と表すことができる。本実施形態では、図1に示されるように、架台18に設置された距離計測手段14により架台18の移動量を計測しているので、この移動量により、架台18の位置をワールド座標系で簡易に表すことができる。なお、図3の例では、ワールド座標系のY軸と架台座標系のyd軸とが平行になるように配置され、架台18は、Y軸及びyd軸に平行に移動することになる。
4.レーザスキャナ座標系を架台座標系に変換する変換行列M L
レーザ点群取得装置12がトンネル100の壁面に形成したレーザ点群の各レーザ点の、レーザスキャナ座標系における座標(同次座標)をp L=(xb,yb,zb,1)とすると、ワールド座標系におけるレーザ点の座標P G=(XG,YG,ZG,1)は次式のように定式化できる。
レーザ点群取得装置12がトンネル100の壁面に形成したレーザ点群の各レーザ点の、レーザスキャナ座標系における座標(同次座標)をp L=(xb,yb,zb,1)とすると、ワールド座標系におけるレーザ点の座標P G=(XG,YG,ZG,1)は次式のように定式化できる。
上記式(9)は、3次元座標を変換行列によって別の3次元座標に変換する式となっており、変換行列の算出は、空間相似変換のパラメータ(移動量3個、回転量3個、スケール1個)を算出する問題に帰着させることができる。これには様々な解法が存在するが、例えば以下の文献に記載されている手法等を用いることにより変換行列M Lを求めることができる。
服部進,関章良,西川正直,相似変換のためのパラメータの近似値の自動計算法、福山大学工学部紀要 21,53-57,1997-12.
服部進,関章良,西川正直,相似変換のためのパラメータの近似値の自動計算法、福山大学工学部紀要 21,53-57,1997-12.
図4(a)、(b)には、座標情報設定部28が赤外線熱画像の画素に3次元座標を設定する方法の説明図が示される。図4(a)において、トンネル100の壁面には、上記レーザ点群取得装置12が取得したレーザ点群Rが設定されている。レーザ点群取得装置12は、ラインレーザスキャナにより、一定周期でレーザ点群を設定するので、1周期の間に架台18が移動した距離、すなわちレーザ点群取得装置12が移動した距離は、距離計測手段14が計測している。
また、レーザ点群取得装置12は、レーザ点群取得装置12に設定されたレーザスキャナ座標系の原点からトンネル100の壁面までの距離と角度の情報を出力するので、レーザ点群Rの各レーザ点のレーザスキャナ座標系における座標値を得ることができる。レーザスキャナ座標系における座標値は、上記式(8)によりレーザ点群受付部26がワールド座標系における座標値(3次元座標)に変換する。従って、レーザ点群データは、各レーザ点のワールド座標系における座標値を保持したデータとして記憶部38に記憶させることができる。なお、ワールド座標系により各レーザ点の座標値を表す場合、トンネル100の長手方向のY座標としては、上記座標既知点からの距離としてもよい。この場合、トンネル100内に複数設置された座標既知点毎にトンネル100の長手方向のY座標が新たに設定されることになる。また、トンネル100の長手方向と直交する水平方向(X軸)、鉛直方向(Z軸)の座標の原点は、上記座標既知点に基づき適宜再設定することができる。
上記レーザ点群データに含まれる各レーザ点の座標値により、トンネル100の壁面の各点のワールド座標系における座標値(3次元座標)を決定することができる。例えば、レーザ点によりTIN(Triangulated Irregular Network;不整三角形網)を形成し、このTINによってトンネル100の壁面の各点の座標値を各レーザ点の座標値から演算することができる。また、隣接する4つのレーザ点を用いて平面近似を行った平面などを用いてトンネル100の壁面の各点の座標値を各レーザ点の座標値から演算することもできる。ただし、トンネル100の壁面の各点の座標値の演算は、これらに限定されるものではない。
上記TINはドロネー三角形分割により、また、4点を用いた平面は最小二乗法による近似面として、それぞれ生成することができる。
図4(b)には、TINにより赤外線熱画像Ipの画素に3次元座標を設定する方法の例が示される。図4(b)の例では、レーザ点群Rの各レーザ点によりTINが形成されている。
図4(b)において、座標情報設定部28は、赤外線熱画像Ip上の画素Pの位置Pc(カメラ座標系での座標値であり、一般にPc=(Xc,Yc,Zc)=(Xc,Yc,−f)と表される。ただし、fはカメラの焦点距離である)に対し、上記変換行列M c(式(5))を用いて、以下の式(10)によりワールド座標系での座標値Pwに変換する。
また、カメラ座標系の原点も変換行列M c(式(5))を用いてワールド座標系の座標値Xcとして表すことができる。次に、ワールド座標系で表されたカメラの原点Xcと画素Pwとを結ぶ直線を延長し、この直線と交差する壁面の点(交点)を内部に含むTINにおける三角形を特定する。特定したTINにおける三角形に基づき、上記交点位置のワールド座標系での座標値Ptを算出する。座標情報設定部28は、上記画素Pに対して、トンネル壁面における上記交点位置のワールド座標系での座標値Ptを3次元座標として設定する。座標情報設定部28は、以上の処理を画像内の全ての画素に対して行い、各画素に当該画素が表すトンネル壁面のワールド座標系における座標値(3次元座標)を関連付けて記憶部38に記憶させる。
なお、レーザ点群データに含まれるレーザ点によりTINを構成する場合、図面等により予めトンネル100の形状が分かっている場合には、その形状の変化点付近のレーザ点のみを残して、あるいは変化点付近以外のレーザ点の数を減らしてレーザ点群を構成してもよい。
図5(a)、(b)には、基準線設定部30による基準線の設定方法及び画像展開部34による赤外線熱画像の2次元平面への展開方法の説明図が示される。
図5(a)の例では、基準線設定部30が、トンネル100の天井Tの長手方向の中心線を基準線Sに設定している。ただし、上述した通り、基準線Sは、天井Tの中心線に限定されず、例えばハンチ(天井Tと側壁Wとの間に斜めに形成された壁)Hと天井Tとの交線Lから、上記長手方向に直交する方向に予め定めた距離D離れた線とすることもできる。このような基準線Sは、ワールド座標系で設定しておく。
また、図5(a)では、トンネル100の一方の側壁Wをカメラ(赤外線画像取得装置10)で撮影した例が示されている。
図5(a)に示されるように、側壁Wの赤外線熱画像中に注目対象となる図形(以後、注目図形Oという)を設定する。注目図形Oは、例えば赤外線熱画像から判読された側壁Wの変状箇所の図形とすることができる。注目図形Oの設定は、適宜な表示装置に表示された赤外線熱画像から利用者が変状箇所を判読し、キーボード、マウス等の適宜な入力手段から変状箇所の指示情報を入力して行うことができる。変状箇所の指示情報は、例えば、変状箇所を囲む領域の情報とすることができる。
距離演算部32は、上記基準線Sと注目図形Oの各画素とのワールド座標系における第1の距離(上記トンネル100の長手方向に直交する方向においてトンネル壁面に沿った距離)、及び上記トンネル100の長手方向におけるワールド座標系の原点と上記赤外線熱画像の各画素との第2の距離を演算する。なお、第2の距離は、トンネル100内に設定された座標既知点と上記赤外線熱画像の各画素との上記トンネル100の長手方向における距離としてもよい。上記第1の距離及び第2の距離を演算する際の各画素の座標値は、座標情報設定部28が各画素に関連付けた、当該画素が表すトンネル壁面のワールド座標系における座標値(3次元座標)を記憶部38から読み出して使用する。
ここで、上記第1の距離は、基準線Sと直交する方向における基準線Sと交線Lとの距離d1、当該方向におけるハンチH上の距離d2及び当該方向における側壁W上の距離d3の合計として演算する。この演算は、天井Tを含むトンネル壁面の形状を近似した上記TINのモデルや、既存の図面等に基づいて行うことができる。
また、上記第2の距離を座標既知点からの距離とする場合は、例えばトンネル内に設定された座標既知点のうち、注目図形Oに最も近い座標値を有する座標既知点Pとの距離dpとすることができる。距離dpは、上記座標既知点Pから距離計測手段14が計測した架台18の移動距離である。なお、「注目図形Oに最も近い」とは、例えば上記トンネル100の長手方向において、架台18の移動方向の距離が最も小さいことを意味する。
画像展開部34は、図5(b)に示されるように、上記第1の距離(d1+d2+d3)及び第2の距離(dp)を使用して、上記注目図形Oを2次元平面Fに展開する。ここで、2次元平面Fは、トンネルの底面と側壁Wとの交線を、基準線Sに沿って切り開いた平面であり、上記第1の距離をy座標、第2の距離をx座標とする座標軸が設定されている。なお、図5(b)の例では、トンネルの底面は省略されている。以上の通りであるので、距離演算部32が演算した注目図形Oの各画素についての第1の距離及び第2の距離を上記座標軸(x、y)に基づいて、画像展開部34が注目図形Oの各画素を2次元平面F上に展開することができる。図5(b)では、このようにして展開された注目図形Oが描かれている。
図6には、制御装置16の動作例のフローが示される。図6において、取得信号発生部22が、赤外線画像取得装置10による赤外線熱画像の取得を指示する第1の取得指示信号及びレーザ点群取得装置12によるレーザ点群の取得を指示する第2の取得指示信号を発生すると(S1)、赤外線画像取得装置10がトンネルの長手方向に上記一定距離移動する毎に赤外線熱画像を取得し、レーザ点群取得装置12が一定の周期でレーザ点群を取得する。
次に、上記取得されたトンネルの壁面の赤外線熱画像を、赤外線画像受付部24が受け付けて記憶部38に記憶させる(S2)。また、上記取得されたレーザ点群を、レーザ点群受付部26が受け付け、ワールド座標系における各レーザ点の座標値とともにレーザ点群データとして記憶部38に記憶させる(S3)。
座標情報設定部28は、上記トンネルの壁面の赤外線熱画像と、上記レーザ点群データとを記憶部38から読み出し、レーザ点群データに基づいて赤外線熱画像の画素にワールド座標系における3次元座標を設定する(S4)。
また、基準線設定部30は、トンネルの天井に、トンネルの長手方向に沿って基準線を設定する(S5)。
距離演算部32は、上記赤外線熱画像の画素に設定された3次元座標に基づき、上記トンネルの長手方向に直交する方向において、上記基準線と上記赤外線熱画像の各画素とのトンネル壁面に沿った距離である第1の距離、及びトンネル内に設定されたワールド座標系の原点または上記座標既知点と上記赤外線熱画像の各画素との上記トンネルの長手方向における第2の距離を演算する(S6)。上述した通り、上記第1の距離及び第2の距離はワールド座標系における距離である。
画像展開部34は、上記第1の距離、第2の距離に基づいて赤外線熱画像を2次元平面に展開する(S7)。
上述した、図6の各ステップを実行するためのプログラムは、記録媒体に格納することも可能であり、また、そのプログラムを通信手段によって提供しても良い。その場合、例えば、上記説明したプログラムについて、「プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体」の発明または「データ信号」の発明として捉えても良い。
10 赤外線画像取得装置、12 レーザ点群取得装置、14 距離計測手段、16 制御装置、18 架台、20 車輪、22 取得信号発生部、24 赤外線画像受付部、26 レーザ点群受付部、28 座標情報設定部、30 基準線設定部、32 距離演算部、34 画像展開部、36 通信部、38 記憶部、40 CPU、100 トンネル。
Claims (7)
- トンネルの壁面の赤外線熱画像を、トンネルの長手方向に一定距離移動する毎に取得する赤外線画像取得手段と、
前記トンネルの壁面の3次元座標を設定するためのレーザ点群を一定の周期で取得するレーザ点群取得手段と、
前記赤外線画像取得手段とレーザ点群取得手段の前記トンネルの長手方向における移動距離を計測する距離計測手段と、
前記距離計測手段が計測した距離が一定値に達する毎に前記赤外線画像取得手段に赤外線熱画像の取得を指示する第1の取得指示信号を発生し、前記レーザ点群取得手段に一定周期でレーザ点群の取得を指示する第2の取得指示信号を発生する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記トンネルの天井に、前記トンネルの長手方向に沿って基準線を設定し、前記レーザ点群に基づいて前記赤外線熱画像の画素に3次元座標を設定し、前記トンネルの長手方向に直交する方向において前記基準線と前記赤外線熱画像の各画素とのトンネル壁面に沿った第1の距離、及び前記トンネル内に設定された座標原点と前記赤外線熱画像の各画素との前記トンネルの長手方向における第2の距離に基づき、前記赤外線画像を2次元平面に展開する、ことを特徴とするトンネル壁面検査装置。 - 前記制御手段は、
前記赤外線画像取得手段が取得したトンネルの壁面の赤外線熱画像を受け付ける赤外線画像受付手段と、
前記レーザ点群取得手段が一定の周期で取得したレーザ点群を受け付けるレーザ点群受付手段と、
前記レーザ点群に基づいて前記赤外線熱画像の画素に3次元座標を設定する座標情報設定手段と、
トンネルの天井に、前記トンネルの長手方向に沿って基準線を設定する基準線設定手段と、
前記赤外線熱画像の画素に設定された3次元座標に基づき、前記トンネルの長手方向に直交する方向において前記基準線と前記赤外線熱画像の各画素とのトンネル壁面に沿った第1の距離、及び前記トンネル内に設定された座標原点と前記赤外線熱画像の各画素との前記トンネルの長手方向における第2の距離を演算する距離演算手段と、
前記第1の距離及び第2の距離に基づき、前記赤外線熱画像を2次元平面に展開する画像展開手段と、
を備える、請求項1に記載のトンネル壁面検査装置。 - 前記第2の距離が、トンネル内に設定された座標既知点と前記赤外線熱画像の各画素との前記トンネルの長手方向における距離である、請求項1または請求項2に記載のトンネル壁面検査装置。
- 前記座標既知点が、トンネル内に設置された距離標である、請求項3に記載のトンネル壁面検査装置。
- 前記基準線が、トンネルに設けられたハンチと天井との交線から予め定めた距離の線である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のトンネル壁面検査装置。
- コンピュータを、
赤外線画像取得手段が取得したトンネルの壁面の赤外線熱画像を受け付ける赤外線画像受付手段、
レーザ点群取得手段が一定の周期で取得したレーザ点群を受け付けるレーザ点群受付手段、
前記レーザ点群に基づいて前記赤外線熱画像の画素に3次元座標を設定する座標情報設定手段、
トンネルの天井に、前記トンネルの長手方向に沿って基準線を設定する基準線設定手段、
前記赤外線熱画像の画素に設定された3次元座標に基づき、前記トンネルの長手方向に直交する方向において前記基準線と前記赤外線熱画像の各画素とのトンネル壁面に沿った第1の距離、及び前記トンネル内に設定された座標原点と前記赤外線熱画像の各画素との前記トンネルの長手方向における第2の距離を演算する距離演算手段、
前記第1の距離及び第2の距離に基づき、前記赤外線熱画像を2次元平面に展開する画像展開手段、
として機能させるトンネル壁面検査プログラム。 - 前記第2の距離が、トンネル内に設定された座標既知点と前記赤外線熱画像の各画素との前記トンネルの長手方向における距離である、請求項6に記載のトンネル壁面検査プログラム。
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