JP2019143249A - 調節されたアルミニウム合金及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】強度などの機械的性質に優れると共に延伸率が向上し、加工性が向上し、高収率で得られる高延伸アルミニウム合金を提供する。
【解決手段】アルミニウム系マトリックス;及び前記アルミニウム系マトリックス内に固溶された非金属元素;を含むアルミニウム合金であり、前記アルミニウム合金の積層欠陥エネルギーは純粋アルミニウムの積層欠陥エネルギーに比べて減少したアルミニウム合金を構成する。
【選択図】図1a
【解決手段】アルミニウム系マトリックス;及び前記アルミニウム系マトリックス内に固溶された非金属元素;を含むアルミニウム合金であり、前記アルミニウム合金の積層欠陥エネルギーは純粋アルミニウムの積層欠陥エネルギーに比べて減少したアルミニウム合金を構成する。
【選択図】図1a
Description
本発明は、金属材料に関し、より詳細には、高延伸又は高強度を有するように調節されたアルミニウム及びその製造方法に関する。
一般に、アルミニウム又はその合金は、アルミニウムの軽く且つ耐久性が大きい特性を用いて多様な形状に製作可能であり、産業的な応用範囲が非常に広い材料である。アルミニウム自体は強度が低いため容易に変形されるが、アルミニウム合金は、添加元素によって強度が向上し、自動車又は航空機産業分野に適用可能な程度に高強度及び高信頼性を有する。最近、前記アルミニウム合金は、その優れた機械的強度及び低い比重により、自動車及び航空機分野はもちろん、建築、化学、ロボット及び電子製品などの多様な分野にもその応用が拡大されている。
最近、自動車、自転車、電気電子、又はロボット分野に使用される部品の開発のために、高強度アルミニウム及びその製造方法に対する研究が活発に進められている。一般に、アルミニウム系マトリックスに添加される元素の種類が多くなるほど強度や耐腐食性の向上は期待できるが、アルミニウム材料の加工性の向上のための延伸率は改善されないか、むしろ減少するという問題がある。
また、一般に、低い強度を有する純粋アルミニウムの強度を向上させるために、純粋アルミニウムにシリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、又は亜鉛(Zn)などの添加元素を合金化し、アルミニウムマトリックス(matrix)内の該当添加元素の固溶強化、又は化合物又は第2相の析出強化によって強度向上を図る。前記アルミニウム合金は、熱処理による硬化の有無によって非熱処理合金と熱処理合金とに区分することができる。前記非熱処理合金は、上述したように、シリコン、マグネシウム又はマンガンなどの元素による第2相又は化合物による強化によってその強度が改善される。前記非熱処理合金としては、代表的に、Al−Si合金、Al−Mg合金、及びAl−Mn合金がある。
前記熱処理合金は、合金元素の種類に応じてその強度が決定され得る。例えば、銅(Cu)又は亜鉛(Zn)が添加されたアルミニウム合金は、温度が上がるほど添加元素の固溶度が高くなり、時効(Aging)処理によって析出物の形成による硬化を図ることができる。前記熱処理合金としては、Al−Cu合金、Al−Zn合金及びAl−Mg−Si合金がある。しかし、前記熱処理合金の場合、その鋳造性や脆性を考慮しなければならないので、添加する合金の元素に制約が伴う。アルミニウムに異種金属元素を追加し、金属間化合物である析出物の形成によって強化されるアルミニウム合金は、従来の熱処理合金に比べて追加的な強度向上を期待することができる。
本発明が解決しようとする課題は、強度などの機械的性質に優れると共に延伸率が向上し、加工性が向上し、高収率で得られる高延伸アルミニウム合金を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、前記高延伸アルミニウム合金の製造方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする更に他の課題は、アルミニウム合金で新しい反応化合
物を熱処理を通じて形成し、アルミニウム合金の効率的な強化メカニズムを提供することによって、アルミニウム合金の強度を向上できるアルミニウム合金を提供することにある。
物を熱処理を通じて形成し、アルミニウム合金の効率的な強化メカニズムを提供することによって、アルミニウム合金の強度を向上できるアルミニウム合金を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、前記利点を有するアルミニウム合金を容易に製造できるアルミニウム合金の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の一実施例に係るアルミニウム合金は、アルミニウム系マトリックス;及び前記アルミニウム系マトリックス内に固溶された非金属元素;を含み、積層欠陥エネルギーが純粋アルミニウムの積層欠陥エネルギーに比べて減少したものである。前記非金属元素は、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか一つを含み得る。
前記非金属元素は、前記アルミニウム系マトリックスのアルミニウムに対して1重量%の範囲内で固溶され得る。この場合、前記アルミニウム合金の積層欠陥エネルギーは100mJ/m2未満の範囲内であり得る。
前記アルミニウム合金は、前記アルミニウム系マトリックスの少なくとも一部に、双晶界面又は部分電位を含み得る。前記非金属元素は、前記非金属元素と金属異種元素の金属化合物のナノ粒子をアルミニウム溶湯内に添加し、前記ナノ粒子を前記非金属元素と前記金属異種元素とに分解させ、前記アルミニウム合金内に前記非金属元素が固溶され得る。
一実施例において、前記アルミニウム合金は冷間加工によって加工硬化され得る。また、前記アルミニウム合金が冷間加工無しで時効処理されることも可能である。
前記他の課題を解決するための本発明の一実施例に係るアルミニウム合金の製造方法は、アルミニウム系マトリックスを提供するアルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を提供する段階;前記溶湯内に非金属元素と金属異種元素の金属化合物のナノ粒子を添加する段階;前記ナノ粒子が前記金属異種元素と酸素又は窒素とに分解され、前記溶湯内に前記金属異種元素と前記非金属元素を均一に分散させる段階;及び前記溶湯を冷却させ、前記非金属元素が前記アルミニウム系マトリックスの少なくとも一部に固溶される段階;を含み得る。
前記積層欠陥エネルギーは100mJ/m2以下であり得る。前記非金属元素は、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか一つを含み得る。また、前記非金属元素は、前記アルミニウムに対して1重量%の範囲内であり得る。前記金属異種元素は、銅、鉄、亜鉛、チタン、マグネシウム又はこれらのうちの2以上の組み合わせであり得る。
前記ナノ粒子の平均サイズは20nm〜100nmの範囲内であり得る。一部の実施例において、前記非金属元素が固溶されたアルミニウム合金に対して冷間加工によって加工硬化させる段階がさらに行われ得る。他の実施例において、前記非金属元素が固溶されたアルミニウム合金に対して冷間加工無しで人工時効処理させる段階がさらに行われることも可能である。
前記更に他の課題を解決するための本発明の一実施例に係るアルミニウム合金は、アルミニウム系マトリックス;及び前記アルミニウム系マトリックス内に分散された析出化合物;を含む。前記析出化合物は、アルミニウム、1種以上の遷移金属元素、及び1種以上の非金属元素を含む化合物又は前記構成元素を含んで形成される化合物を含み得る。
一実施例において、前記析出化合物の平均サイズは10nm〜1μmの範囲内であり得
る。前記遷移金属元素は、クロム(Cr)、鉄(Fe)、及びマンガン(Mn)のうちの少なくともいずれか一つを含み得る。
る。前記遷移金属元素は、クロム(Cr)、鉄(Fe)、及びマンガン(Mn)のうちの少なくともいずれか一つを含み得る。
前記非金属元素は、前記アルミニウム合金内に過飽和され、酸素、窒素、及び炭素のうちの少なくともいずれか一つを含み得る。前記析出化合物は熱処理によって生成され得る。
また、前記アルミニウム系マトリックスはアルミニウム合金であり、前記アルミニウム合金の合金元素は、シリコン(Si)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、及び銅(Cu)のうちの少なくともいずれか一つを含み得る。また、一実施例において、前記アルミニウム合金は塑性加工によって加工硬化され得る。
前記更に他の課題を解決するための本発明の一実施例に係るアルミニウム合金の製造方法は、アルミニウム及び第1遷移金属を含むアルミニウム合金の溶湯を提供する段階;前記溶湯内に、前記第1遷移金属と非金属元素との間の第1反応化合物、前記第1遷移金属と異なる種類の第2遷移金属と前記非金属元素との間の第2反応化合物、及び非遷移金属元素と前記非金属元素との間の第3反応化合物のうちの少なくともいずれか一つを含む非金属元素含有前駆体を添加する段階;前記溶湯内で前記非金属元素含有前駆体を分解させ、前記溶湯内に前記非金属元素を過飽和させる段階;前記溶湯を固化させることによって鋳造材を形成する段階;及び前記固化された鋳造材を熱処理し、アルミニウム系マトリックス内に分散されたアルミニウム、遷移金属元素及び非金属元素の間の析出化合物を形成する段階;を含む。
また、前記第1遷移金属元素は、クロム(Cr)、鉄(Fe)及びマンガン(Mn)のうちの少なくともいずれか一つを含み得る。前記非金属元素は、酸素、窒素、及び炭素のうちの少なくともいずれか一つを含み得る。
一実施例において、前記第3反応化合物の前記非遷移金属元素は、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、及びタングステン(W)のうちの少なくともいずれか一つを含み得る。前記非金属元素含有前駆体は、5nm〜50nmの範囲内の平均直径を有する粉末形態に前記溶湯内に添加され得る。
前記非金属元素含有前駆体は、前記溶湯の全体重量に対して0.01重量%〜5.0重量%の範囲内で添加され得る。また、前記固化された鋳造材を熱処理する前に、前記固化された鋳造材を塑性加工して加工硬化させる段階がさらに行われ得る。前記熱処理は120℃〜600℃の範囲内で行われ得る。
本発明の実施例によると、アルミニウム系マトリックス内に非金属元素が固溶されながら積層欠陥エネルギーを減少させ、延伸率が改善され、双晶又は部分電位を含む微細組織によって強度が向上し、高強度の加工性が向上した高延伸アルミニウム合金を提供することができる。
また、本発明の他の実施例によると、アルミニウム系マトリックスを提供するアルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯に金属異種元素の酸化物又は窒化物粒子を粉末形態に添加し、積層欠陥エネルギーを減少させ、双晶及び/又は部分電位を発生させることによって、上述した利点を有する高延伸アルミニウム合金を高収率で得られる高延伸アルミニウム合金の製造方法を提供することができる。
また、本発明の更に他の実施例によると、アルミニウム系マトリックスにアルミニウム
−遷移金属−非金属元素で構成された化合物又はこれらの構成元素が含まれて形成された化合物を熱処理によって析出させ、前記析出物がアルミニウムマトリックス内に均一に形成され、前記析出化合物が電位と強く相互作用することによって、アルミニウム合金の強度が著しく向上したアルミニウム合金を提供することができる。
−遷移金属−非金属元素で構成された化合物又はこれらの構成元素が含まれて形成された化合物を熱処理によって析出させ、前記析出物がアルミニウムマトリックス内に均一に形成され、前記析出化合物が電位と強く相互作用することによって、アルミニウム合金の強度が著しく向上したアルミニウム合金を提供することができる。
本発明の他の実施例によると、前記利点を有するアルミニウム合金を信頼性を有して製造できるアルミニウム合金の製造方法を提供することができる。
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
本発明の各実施例は、当該技術分野で通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。下記の実施例は、多くの他の形態に変形可能であり、
本発明の範囲が下記の実施例に限定されることはない。むしろ、これらの実施例は、本開示をより充実且つ完全にし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
本発明の範囲が下記の実施例に限定されることはない。むしろ、これらの実施例は、本開示をより充実且つ完全にし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
また、図面において、各層の厚さやサイズは、説明の便宜及び明確性のために誇張されたものであり、図面上の同一の符号は同一の要素を称する。本明細書で使用された「及び/又は」という用語は、該当の列挙された項目のうちのいずれか一つ及び一つ以上の全ての組み合わせを含む。
本明細書で使用された用語は、特定実施例を説明するために使用されるものであり、本発明を制限するためのものではない。本明細書で使用された単数の形態は、文脈上、他の場合を明らかに指摘するものでない限り、複数の形態を含み得る。また、本明細書で使用される「含む(comprise)」及び/又は「含む(comprising)」という用語は、言及した形状、数字、段階、動作、部材、要素及び/又はこれらのグループの存在を特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素及び/又はグループの存在又は付加を排除するものではない。
本発明の実施例に係るアルミニウム合金は、アルミニウム系マトリックス内に非金属元素が固溶された組織を有する。アルミニウム系マトリックスは、純粋アルミニウム又はアルミニウム合金で形成された基地を称する。前記アルミニウム合金では、アルミニウムの結晶相と関連するピーク以外に、アルミニウムと非金属元素との間の反応による化合物に関する如何なるピークも表れないX線回折分析結果から、前記アルミニウム合金は、前記非金属元素が前記アルミニウム系マトリックスに固溶された固溶体であることを裏付けることができる。これと関連しては、製造されたアルミニウム系マトリックスに対して広い領域にわたるX線回折分析(XRD)及びX線光電子分光法(XPS)を通じて確認された。また、これらの分析結果を通じては、後述する図2のXRD結果(曲線アズキャスト(As−cast)参照)に示したように、純粋なアルミニウム結晶構造のみが検出された。
前記非金属元素は、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか一つを含み得る。前記非金属元素は、アルミニウムに対して1重量%以下の範囲内で固溶され得る。前記非金属元素がアルミニウムに対して1重量%を超える場合は、アルミニウム合金の酸化が優先的に発生するため固溶が難しくなり、その結果、前記アルミニウム合金の伸張率は減少するようになる。
前記アルミニウム合金にはアルミニウム以外の金属異種元素が含まれ得る。前記金属異種元素は、銅、鉄、亜鉛、チタン及びマグネシウムのうちの少なくともいずれか一つを含み得る。前記金属異種元素は4重量%以下の範囲内で固溶され得る。また、前記金属異種元素は、アルミニウム系マトリックス内に置換型又は侵入型の方式で固溶され得るが、本発明がこれに限定されることはない。一実施例において、アルミニウム、前記金属異種元素及び非金属異種元素の原子サイズ及び結晶構造を考慮すると、前記金属異種元素は主に置換型方式で固溶され、前記非金属異種元素は主に侵入型方式で固溶され得る。
本発明の実施例に係る固溶体であるアルミニウム合金は、鋳造工程を用いて製造され得る。一実施例において、前記アルミニウム合金の製造は、アルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を提供する段階によって開始され得る。例えば、純粋なアルミニウムを電気溶解炉を用いて加熱することによって前記溶湯が提供され得る。
前記アルミニウム系マトリックス内に固溶される非金属元素を提供するために、前記溶湯内に前記金属異種元素の酸化物粒子又は窒化物粒子を前記溶湯内に添加することができ
る。前記酸化物粒子又は窒化物粒子は、20nm〜100nmの平均サイズ(又は直径)を有することができる。前記粒子の平均サイズが100nmを超える場合は、前記金属異種元素の酸化物粒子又は窒化物粒子が分解されないか、アルミニウム系マトリックス内で均一な分散が難しいため第2相を形成することが容易になり、非金属元素の固溶体を形成することが難しくなる。前記粒子の平均サイズが20nm未満である場合は、前記粒子間の引力によってアルミニウムマトリックス内への均一な分散が難しくなり、その結果、第2相が形成されたり、固溶が難しくなる。
る。前記酸化物粒子又は窒化物粒子は、20nm〜100nmの平均サイズ(又は直径)を有することができる。前記粒子の平均サイズが100nmを超える場合は、前記金属異種元素の酸化物粒子又は窒化物粒子が分解されないか、アルミニウム系マトリックス内で均一な分散が難しいため第2相を形成することが容易になり、非金属元素の固溶体を形成することが難しくなる。前記粒子の平均サイズが20nm未満である場合は、前記粒子間の引力によってアルミニウムマトリックス内への均一な分散が難しくなり、その結果、第2相が形成されたり、固溶が難しくなる。
前記金属異種元素は、銅、鉄、亜鉛、チタン、マグネシウム又はこれらのうちの2以上の混合物であり得る。前記酸化物粒子又は窒化物粒子は、例えば、酸化銅粉末、酸化鉄粉末、酸化亜鉛粉末、酸化チタン粉末、酸化マグネシウム粉末、窒化銅粉末、窒化鉄粉末、窒化亜鉛粉末、窒化チタン粉末、窒化マグネシウム粉末自体であるか、これらのうちの2以上の混合物粉末であり得る。これらから選ばれた粉末を、前記非金属元素の固溶率であるアルミニウムに対して1重量%以下の範囲になるように前記溶湯内に添加することができる。前記溶湯内に添加された前記粉末の均一な混合のための撹拌工程が行われ得る。
前記溶湯は、前記添加された酸化物粒子又は窒化物粒子が分解可能な温度に維持され得る。例えば、前記溶湯は500℃〜1,000℃の範囲に維持されながら、前記添加された粒子が均一に分解され得るように前記添加された粒子と共に撹拌され得る。この過程で、前記粒子は、前記金属異種元素と非金属元素とに分解されて前記溶湯内に均一に分散され、その結果、アルミニウム系マトリックス内に前記金属異種元素と前記非金属元素が固溶され得る。一実施例において、この段階で、前記金属異種元素と前記非金属元素の固溶が完全に行われることも可能である。又は、他の実施例において、前記非金属元素の固溶は、後続する追加的な熱処理工程によって完全に達成されることも可能である。
前記金属異種元素と前記非金属異種元素が溶湯内に均一に分散された後、これを冷却させることによってアルミニウム鋳造材を形成する。他の実施例において、前記鋳造材に対して高温で人工時効処理する段階がさらに行われることによってアルミニウム鋳造材が形成されることも可能である。前記人工時効処理はアルミニウム合金の強度を増加させることができる。
他の実施例において、前記アルミニウム鋳造材に対して塑性変形工程を行うことによってアルミニウム加工材を形成することができる。前記塑性変形工程は冷間加工であり得るが、前記塑性変形工程を通じて前記アルミニウム鋳造材の加工硬化が起こり得る。前記塑性変形工程は、圧延又は押出によって行われ得る。しかし、このような工程は例示的なものに過ぎないので、本発明がこれに限定されることはなく、変形をもたらす適切な圧縮又はせん断応力を提供可能な如何なる工程も行われ得る。前記塑性変形工程を通じて、後述する双晶界面又は部分電位が誘導されることも可能である。
更に他の実施例において、前記アルミニウム鋳造材に対して、又は前記アルミニウム加工材に対して熱処理が行われ得る。前記熱処理は、目的に応じて温度範囲が分けられ得るが、固溶のための熱処理は400℃〜500℃の範囲内で行われ、人工時効のための熱処理は、非制限的な例として、120℃〜180℃の範囲内で、例えば、6時間〜24時間にわたって行われ得る。熱処理を経たアルミニウム熱処理材は、熱処理後にも前記のような微細構造、強度及び延伸率を全て維持する特性を有することができる。
本発明者等は、前記のように製造されたアルミニウム鋳造材、加工材又は熱処理材に対して構造分析及び延伸率に対する評価を行い、その結果、アルミニウム鋳造材、加工材又は熱処理材の全てにおいて双晶界面及び部分電位の存在を確認した。また、酸素又は窒素の固溶によるアルミニウム合金の積層欠陥エネルギーの著しい減少及びそれによる延伸率
の向上という注目に値する特性を得た。
の向上という注目に値する特性を得た。
図1a及び図1bは、本発明の一実施例に係るアルミニウム合金の微細構造を示す透過電子顕微鏡(transmission electron microscope;TEM)分析のイメージである。
図1a及び図1bを参照すると、前記アルミニウム合金は、金属異種元素として亜鉛と非金属元素として酸素が固溶されたアルミニウム鋳造材である。上述したように、アルミニウムに対して1重量%以下の範囲内である約0.5重量%の酸素がアルミニウム系マトリックス内に固溶された。前記酸素の固溶のために酸化亜鉛粉末を前記アルミニウム溶湯内に添加し、前記亜鉛粉末を溶湯内で分解・混練させた。
前記アルミニウム合金は、両側の格子が対称をなす双晶界面(twin boundary、図1aの黄色の矢印で示す)又は部分電位(図1bの黄色の矢印で示す)を有することが確認される。前記双晶界面は、両側の結晶粒の間に界面を挟んで、いずれか一側の原子が反対側の原子と鏡面のような対称的な配列を有する構造である。前記双晶界面は、上述した機械的な塑性過程又は塑性変形後の時効処理を通じて生成され得る。
前記酸素の固溶による積層欠陥エネルギーの減少によってアルミニウム合金の延伸率が向上すると同時に、前記双晶界面は、減少した積層欠陥エネルギーと共に電位が伝播するスリップ作用を効果的に妨害し、材料の強度を高める機転を提供する。その結果、本発明の実施例に係るアルミニウム合金は、延伸率の向上によって加工性が向上すると同時に、機械的強度が向上する。
図2は、本発明の一実施例に係る双晶又は部分電位を有するアルミニウム合金の積層欠陥エネルギー(SFE)を測定するためのX線回折分析結果を示すグラフである。積層欠陥エネルギーを計算する方法として、X線回折分析結果から積層欠陥エネルギーを計算する方法を選び、本発明の実施例に係るアルミニウム合金の積層欠陥エネルギーを測定した。
図2を参照すると、鋳造状態の(As−cast)鋳造材アルミニウム合金に対して約5%の微小変形を誘導し、ピークの移動及び/又はピークのサイズの変化から積層欠陥エネルギー(SFE)を評価した。下記の式1〜式4で要求されるそれぞれの定数を文献(2014年版Scripta Materialia紙のボリューム92、23頁〜26頁の著者Lee等の「The effect of nitrogen on the stacking fault energy in Fe−15Mn−2Cr−0.6C−xN twinning−induced plasticity steels」題下の論文、及び2012年版Physica B.ボリューム407、4530頁〜4536頁の著者Ouyang等の「Thermodynamic and physical properties of FeAl and Fe Al:anatomistic study by EAM simulation」という題下の論文参照)、及び1974年版J.Appl.Phys.ボリューム45、4705頁の著者R.P.Reed及びR.E.Schrammの「Relationship between stacking−fault energy and x−ray measurements of stacking−fault probability and microstrain」題下の論文の開示事項と実験的に得られた結果から計算され得る。
ここで、θ200は、アルミニウム結晶面(200)のブラッグ(Bragg)角度で、θ111は、アルミニウム結晶面(111)のブラッグ角度で、Psfは積層欠陥確率である。前記θ200は式2によって決定され、前記θ111は式3によって決定され得る。
ここで、θ200 cwは、5%変形が誘導されたサンプルの結晶面(200)のブラッグ角度で、2θ200 ANNは、アニーリングされたサンプルの結晶面(200)のブラッグ角度である。2θ200は、結晶面(200)で表れる相対的なX線ピークの移動値になる。
ここで、θ111 CWは、5%変形が誘導されたサンプルの結晶面(111)のブラッグ角度で、2θ111 ANNは、アニーリングされたサンプルの結晶面(111)のブラッグ角度である。2θ111は、結晶面(111)で表れる相対的なX線ピークの移動値になる。
式4において、K111ω0の値は、5.4(上記の「Thermodynamic and physical properties of FeAl and Fe Al:anatomistic study by EAM simulation」という題下の論文参照)、G(111)は、せん断応力であって、アルミニウムの場合は約24.3667GPaである。a0は格子定数であって、約0.40495nmである。Aは、ベクトル定数であって、アルミニウムの場合は2.8571である。ε2 50は、マイクロ変形(micro strain)であって、X線回折分析で該当面に対する強さでその値が決定される値である。式5のC44、C11、C12は、材料の弾性定数(elastic constant)であって、下付き添字の数字は、それぞれ与えられる
応力方向を示す。
応力方向を示す。
純粋アルミニウムの積層欠陥エネルギーは約162mJ/m2であるが、本発明の実施例に係るアルミニウム合金の場合は、前記積層欠陥エネルギーが約1/3倍程度に減少したことが分かる。前記積層欠陥エネルギーは、その添加される金属異種元素及び非金属異種元素の種類又は添加量に応じて100mJ/m2未満の範囲内で適宜調節され得る。特異的に、本発明の実施例に係るアルミニウム合金では、双晶界面及び部分電位のうちの少なくともいずれか一つの種類の欠陥が表れる。上述した鋳造材のみならず、酸素又は窒素が制限的に固溶された本発明の実施例に係るアルミニウム合金の加工材及び熱処理材の場合にも、前記積層欠陥エネルギーが100mJ/m2の範囲内で適宜調節され得る。
表1は、純粋なアルミニウムの積層欠陥エネルギーに対する本発明の実施例に係る鋳造材、加工材及び熱処理材であるアルミニウム合金の測定された積層欠陥エネルギーを示す。純粋アルミニウムのみならず、Al6061合金及びA356合金においても、本発明の実施例によると、積層欠陥エネルギーの注目に値する減少が表れる。前記Al6061合金及びA356合金は例示的であり、本発明がこれに限定されることはない。例えば、AL1050、AL1060、AL1070、AL2011、AL2024、AL3003、AL4032、AL5052、AL5052、AL6063、又はAL7075などのAL1xxxx〜AL7xxx系列の他のアルミニウム合金においても、酸素又は窒素の固溶を通じてアルミニウム合金の延伸率向上が可能である。
前記積層欠陥エネルギーの減少は、前記双晶と部分電位の生成を容易にし、強度を確保しながらも延伸率を向上できるようにする。
図3a〜図3cは、それぞれ本発明の実施例に係る互いに異なる組成のアルミニウム合金の延伸率の測定結果を示す応力−びずみ線図である。
図3aを参照すると、本発明の実施例に係る鋳造材である酸素が固溶されたアルミニウム合金(曲線アズキャスト(As−cast) A356−O参照)の延伸率は、比較実施例である鋳造材(曲線アズキャスト(As−cast) A356参照)の延伸率に比べて100%まで増加する。このような延伸率の増加は、本発明の実施例に係る積層欠陥エネルギーの減少に起因する。
図3bを参照すると、本発明の実施例に係る熱処理材である酸素が固溶されたアルミニウム合金(曲線処理(Treated) A356−O参照)の延伸率は、比較例である熱処理されたアルミニウム合金(曲線処理(Treated) A356参照)の延伸率に比べて100%まで増加する。また、このような延伸率の向上と共に、比較例に比べて引張強度(M)が30%以上向上する。このような引張強度の向上は、積層欠陥エネルギーの減少と共に、これに伴う双晶界面及び/又は部分電位によるものである。
図3cを参照すると、本発明の実施例に係る加工材であるA356合金(曲線処理(T
reated) A356−O参照)合金においても、酸素が固溶されることによって、添加されていない合金に比べてその引張強度が30%ほど増加し、延伸率も100%以上増加した。
reated) A356−O参照)合金においても、酸素が固溶されることによって、添加されていない合金に比べてその引張強度が30%ほど増加し、延伸率も100%以上増加した。
このように減少した積層欠陥エネルギーは、アルミニウム合金の延伸性を向上させ、アルミニウム合金の加工性を向上させることができる。前記アルミニウム合金は、鋳造材に限定されるものではなく、上述した加工材又は熱処理材のいずれにおいても同一に延伸率の向上という効果を得ることができる。
本発明の更に他の実施例において、前記アルミニウム合金は、アルミニウム合金マトリックス内に析出化合物が分散された組織を有することができる。前記析出化合物は、アルミニウム、遷移金属元素、非金属元素及びこれらの構成元素が含まれて形成できる化合物を意味する。前記アルミニウムマトリックスは、純粋アルミニウム又は従来のアルミニウム合金で形成された基地を称する。前記アルミニウム合金は、後述する鋳造工程を用いて製造され得る。
図4は、本発明の一実施例に係るアルミニウム合金の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図4を参照すると、本発明の一実施例において、アルミニウム合金の溶湯が提供され得る(S10)。前記溶湯は、アルミニウム合金を電気溶解炉を用いて加熱することによって提供され得る。前記溶湯の加熱温度は650℃〜850℃の範囲内であり得る。前記溶湯の加熱温度は例示的であり、溶湯内のアルミニウム合金及び/又は前記アルミニウム合金内の不純物の組成に応じて適切な温度が決定され得るので、本発明がこれに限定されることはない。
前記アルミニウム合金は、アルミニウムに固溶可能な全ての合金元素を含むことができる。一実施例において、前記合金元素は遷移金属を含み得る。例えば、前記遷移金属は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)又はこれらのうちの少なくとも2以上を含み得る。一実施例において、前記遷移金属は、好ましくは、周期律表上の4周期の6族〜8族元素である、クロム(Cr)、鉄(Fe)、及びマンガン(Mn)のうちの少なくともいずれか一つを含み得る。更に他の実施例において、前記合金元素は、上述した前記遷移金属と共に、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、タングステン(W)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ベリリウム(Be)などの非遷移金属元素をさらに含み得る。また、前記アルミニウム合金は、前記遷移金属を含有する既成合金であり得る。例えば、前記既成合金としては、Feが0.2〜0.3の重量比で含まれたA356合金又はFeが0.5〜0.7の重量比で含まれたA6061合金がある。
本明細書では、上述した遷移金属のうち、溶湯形態に提供される出発物質としてアルミニウム合金内に実際に含まれた種類の遷移金属を第1遷移金属と称し、前記アルミニウム合金内に含まれていない遷移金属であると共に、前記第1遷移金属と異なる種類の遷移金属を第2遷移金属と称することにする。例えば、出発物質である前記アルミニウム溶湯内に合金元素として遷移金属であるクロム(Cr)、鉄(Fe)及びマンガン(Mn)が含有されている場合、本明細書で前記アルミニウム溶湯自体に予め含有された前記クロム(Cr)、鉄(Fe)及びマンガン(Mn)は第1遷移金属と称し得る。一実施例において、第1遷移金属を予め含むアルミニウム溶湯内に、第1遷移金属のうちの少なくともいずれか一つと非金属元素の化合物の粉末を前記アルミニウム溶湯内に添加し、これから鋳造材を形成した後、熱処理を通じてアルミニウム系マトリックス内に前記第1遷移金属のう
ちの少なくともいずれか一つを含む3元析出化合物を形成することができる。他の実施例においては、前記アルミニウム溶湯内に前記第1遷移金属が予め含まれているので、非遷移金属と非金属元素の化合物の粉末を前記アルミニウム溶湯内に添加し、鋳造材を形成した後、熱処理を通じてアルミニウム系マトリックス内にアルミニウム、第1遷移金属及び非金属元素を含む3元析出化合物を形成することができる。
ちの少なくともいずれか一つを含む3元析出化合物を形成することができる。他の実施例においては、前記アルミニウム溶湯内に前記第1遷移金属が予め含まれているので、非遷移金属と非金属元素の化合物の粉末を前記アルミニウム溶湯内に添加し、鋳造材を形成した後、熱処理を通じてアルミニウム系マトリックス内にアルミニウム、第1遷移金属及び非金属元素を含む3元析出化合物を形成することができる。
他の実施例において、前記アルミニウム溶湯内にクロム(Cr)及び鉄(Fe)のみが含有され、マンガン(Mn)が存在していない場合、前記第1遷移金属はクロム(Cr)及び鉄(Fe)であり、前記アルミニウム溶湯に含有されていないマンガン(Mn)は第2遷移金属と称し得る。第2遷移金属は、後述するように、前記アルミニウム溶湯内に前記第2遷移金属と非金属元素の化合物の粉末を添加し、鋳造材を形成した後、熱処理を通じてアルミニウム系マトリックス内に前記第1遷移金属及び第2遷移金属のうちの少なくともいずれか一つを含む3元析出化合物を形成することができる。
更に他の実施例において、前記アルミニウム溶湯内に何ら遷移金属も存在しない場合、前記第2遷移金属と非金属元素の化合物の粉末を前記アルミニウム溶湯内に添加し、鋳造材を形成した後、熱処理を通じてアルミニウムマトリックス内に前記第2遷移金属を含む3元析出化合物を形成することもできる。
前記アルミニウム溶湯内に、酸素(O)、窒素(N)及び炭素(C)のうちの少なくともいずれか一つを含む非金属元素含有前駆体が添加されて混合され得る(S20)。その後、前記添加された非金属元素含有前駆体は、前記溶湯内で分解され、前記溶湯内に前記非金属元素が過飽和され得る(S30)。前記非金属元素含有前駆体は、前記第1遷移金属と前記非金属元素との間の化合物である第1反応化合物、及び前記第1遷移金属と異なる種類の遷移金属である前記第2遷移金属と前記非金属元素との間の化合物である第2反応化合物であり得る。更に他の実施例において、前記非金属元素含有前駆体は、非遷移金属元素と前記非金属元素との間の化合物である第3反応化合物であることも可能である。
一実施例において、前記アルミニウム溶湯内に、アルミニウム合金元素として第1遷移金属である亜鉛(Zn)が存在する場合、前記第1反応化合物は、第2遷移金属である、例えば、クロムを含む酸化物(CrO)であり得る。また、前記第1反応化合物を含む非金属含有前駆体が前記アルミニウム溶湯内に添加され得る。更に他の例において、前記非金属元素含有前駆体は、非遷移金属元素である、例えば、シリコンを含有するシリコン酸化物(SiO)などの第3反応化合物を含むことも可能である。アルミニウム溶湯内に既に第1遷移金属が存在する場合は、前記非金属元素含有前駆体として前記第3反応化合物を使用し、鋳造化されたアルミニウム系マトリックス内にアルミニウム、第1遷移金属及び非金属元素の3元析出化合物を形成することもできる。
また、前記溶湯内に、合金元素として亜鉛、チタン、銅、及び鉄などの遷移金属が含まれていない場合、前記非金属含有前駆体は、第2遷移金属と非金属元素の化合物である第2反応化合物であって、亜鉛酸化物(ZnO)、チタン酸化物(TiO)、銅酸化物(CuO)、鉄酸化物(FeO)、銅窒化物(CuN)、鉄窒化物(FeN)、亜鉛窒化物(ZnN)、チタン窒化物(TiN)、マグネシウム窒化物(MgN)又はこれらの混合物を含む非金属含有前駆体が前記アルミニウム溶湯内に添加され得る。これらは例示的なものに過ぎなく、本発明がこれに限定されることはない。
更に他の実施例において、前記非金属元素含有前駆体は、遷移金属ではない非遷移金属元素と非金属元素との間の第3反応化合物であり得る。例えば、前記第3反応化合物は、非遷移金属元素である、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、シリコン(Si)、又はタングステン(W)と前記非金属元素との間の反応化合物である、アルミニウム
酸化物(AlO)、アルミニウム窒化物(AlN)、マグネシウム酸化物(MgO)、シリコン酸化物(SiO)、シリコン炭化物(SiC)、シリコン窒化物(SiN)、タングステン酸化物(WO)、タングステン酸化物(WN)又はこれらの混合物であり得るが、これは例示的なものに過ぎなく、本発明がこれに限定されることはない。また、前記非金属元素含有前駆体である、前記第1〜第3反応化合物は、単独で又は少なくとも2種以上が互いに混合されて前記溶湯内に添加されることも可能である。
酸化物(AlO)、アルミニウム窒化物(AlN)、マグネシウム酸化物(MgO)、シリコン酸化物(SiO)、シリコン炭化物(SiC)、シリコン窒化物(SiN)、タングステン酸化物(WO)、タングステン酸化物(WN)又はこれらの混合物であり得るが、これは例示的なものに過ぎなく、本発明がこれに限定されることはない。また、前記非金属元素含有前駆体である、前記第1〜第3反応化合物は、単独で又は少なくとも2種以上が互いに混合されて前記溶湯内に添加されることも可能である。
一実施例において、前記非金属元素含有前駆体は、比表面積が大きく、高温分解が容易に可能になるように粉末形態に提供され得る。例えば、前記非金属元素含有前駆体は、5nm〜50nmの範囲内の平均直径を有することができる。前記非金属元素含有前駆体の平均直径が50nm以上である場合は、非金属元素含有前駆体の分解が難しくなり、後述する析出化合物の形成が難しくなり得る。上述した第1反応化合物と第2反応化合物は、単独で又は互いに混合されて溶湯内に添加されることも可能である。
一実施例において、前記非金属元素含有前駆体は、溶湯の全体重量に対して0.01重量%〜5.0重量%の範囲内で混合され得る。前記非金属元素含有前駆体の混合量が0.01重量%未満である場合は、アルミニウム合金の溶湯内で非金属元素が過飽和されにくく、その反対に、前記非金属元素含有前駆体の混合量が5.0重量%を超える場合は、アルミニウムマトリックスの全体にわたって3個の成分であるアルミニウム−遷移金属−非金属元素の間の均一な組成を有する析出化合物の形成が難しくなり、むしろ過量の非金属元素含有前駆体が溶湯内に存在する場合、遷移金属と非金属元素との間の反応化合物又はアルミニウムと非金属元素との間の反応化合物などの第2相の生成が促進され得る。前記非金属元素は、前記非金属元素含有前駆体の組成範囲内で、常温基準でアルミニウム系マトリックスのアルミニウムに対して過飽和が可能になるように固溶限界値を超えて混合され得る。
前記非金属元素が均一に混合され、過飽和された前記溶湯が固化されることによって鋳造材を形成する(S40)。前記溶湯の固化は、前記溶湯を冷却させることによって達成され得る。
その後、固化された鋳造材を熱処理し、前記アルミニウム−遷移金属元素−非金属元素の間の3元反応化合物を析出させ、前記アルミニウム系マトリックス内に均一に分散された析出化合物を形成する(S50)。前記3元反応化合物の遷移金属元素は、少なくとも1種以上の遷移金属元素を含み得る。例えば、アルミニウム−亜鉛−酸素の間の3元反応化合物であるか、前記亜鉛以外に又は前記亜鉛に取って代わって、他の遷移金属である鉄、クロム、スカンジウム、マンガン又は2種以上の金属元素が含有されることも可能である。これらの化合物は例示的であり、本発明がこれに限定されることはない。また、前記3元反応化合物の非金属元素も、少なくとも1種以上の非金属元素を含み得る。例えば、アルミニウム−亜鉛−酸素の間の3元反応化合物であるか、非金属元素である前記酸素以外に又は前記酸素に取って代わって、他の非金属元素である窒素、炭素又はこれらの全てを含むことも可能である。
前記析出化合物は、後述する図4の説明から分かるように、ナノサイズの結晶粒であり、10nm〜1μmの平均サイズを有することができる。前記析出化合物のサイズが10nm未満である場合は、アルミニウム合金内に形成される電位との強い相互作用が不可能であり、強度向上に寄与することができなく、前記析出化合物のサイズが1μmを超える場合は、むしろ脆性を有するので、強度向上に寄与することができない。
前記3元反応化合物である析出化合物は、後述するように、固化のための冷却過程で形成されるよりは、熱処理を通じて前記アルミニウム系マトリックス内で安定的に形成され
る。その結果、本発明の実施例によると、前記析出化合物は、非熱処理合金に比べて偏析や凝集現象無しでアルミニウム系マトリックス内で均一に形成され得る。
る。その結果、本発明の実施例によると、前記析出化合物は、非熱処理合金に比べて偏析や凝集現象無しでアルミニウム系マトリックス内で均一に形成され得る。
前記熱処理は、120℃〜600℃の範囲内で行われ得る。熱処理温度が120℃未満である場合は、反応化合物の析出が起こらないおそれがあり、熱処理温度が600℃を超える場合は、アルミニウム系マトリックスが溶融され、析出化合物が生成されるとしても、これらが互いに凝集され、均一に分散されたアルミニウム合金組織を得ることができない。
一実施例において、前記熱処理は、単一又は少なくとも2以上の加熱段階を含み得る。例えば、固化された結果物を540℃で12時間、及び160℃で8時間にわたって熱処理することができる。前記温度範囲及び時間は例示的であり、前記析出化合物の凝集及び偏析が起こらない条件で適宜選択され得る。
一実施例において、前記熱処理する前に、鋳造材を塑性加工して加工硬化させる段階がさらに行われることも可能である(S45)。前記塑性加工は、圧延、押出、引抜、又は鍛造などの塑性変形を通じて行われ得る。前記塑性加工は、熱間工程又は冷間工程であり得るが、本発明がこれに限定されることはない。例えば、前記塑性加工は、溶体化処理後、冷間加工無しで人工時効処理されることも可能である。前記塑性加工を通じて、上述した析出化合物が前記アルミニウム系マトリックス内で追加的に形成されたり、前記析出化合物が変形によって生成された電位と強い相互作用をすることによってアルミニウム合金の強度がさらに向上し得る。
下記の各実施例は、特定実験例に関するものであるが、これは、本発明を限定するためのものではなく、例示のための代表的な実施例であり、遷移金属が共通的に有する電気的、化学的及び物理的特性から実験例以外の実施例も本発明に含まれる。
実験例
アルミニウム合金、第1遷移金属として鉄及び非遷移金属であるシリコンを含むアルミニウム合金(例、A356合金)を電気加熱炉を用いて溶解させることによって溶湯を形成する。その後、非金属元素含有前駆体として、平均サイズが5nm〜50nmの範囲内である30nmの亜鉛酸化物粒子又は粉末を前記溶湯内に添加して分解させた。前記亜鉛酸化物粒子は、前記溶湯の全体重量%に対して0.01重量%〜5.0重量%の範囲内である約1重量%又は1.5重量%だけ投入して撹拌した。前記アルミニウム合金の溶湯内に非金属元素を過飽和させ、これをそのまま固化させ、非金属元素である酸素が過飽和されたアルミニウム合金の鋳造材を形成した。その後、前記鋳造材に対して標準T6熱処理を行った。
アルミニウム合金、第1遷移金属として鉄及び非遷移金属であるシリコンを含むアルミニウム合金(例、A356合金)を電気加熱炉を用いて溶解させることによって溶湯を形成する。その後、非金属元素含有前駆体として、平均サイズが5nm〜50nmの範囲内である30nmの亜鉛酸化物粒子又は粉末を前記溶湯内に添加して分解させた。前記亜鉛酸化物粒子は、前記溶湯の全体重量%に対して0.01重量%〜5.0重量%の範囲内である約1重量%又は1.5重量%だけ投入して撹拌した。前記アルミニウム合金の溶湯内に非金属元素を過飽和させ、これをそのまま固化させ、非金属元素である酸素が過飽和されたアルミニウム合金の鋳造材を形成した。その後、前記鋳造材に対して標準T6熱処理を行った。
図5a及び図5bは、本発明の一実施例に係る熱処理によるアルミニウム系マトリックス内の析出化合物を示す透過電子顕微鏡イメージであり、図5cは、エネルギー分散X線分析(energy dispersive X−ray spectroscopy;EDS)によって分析された前記析出化合物の成分を示すグラフである。図3は、比較実施例に係る非金属元素が過飽和されたアルミニウム合金鋳造材の熱処理前の断面微細構造を示す走査電子顕微鏡イメージである。
図5a及び図5bに示したアルミニウム合金は、本発明の実施例によって約1.5wt.%だけZnO前駆体が添加されて形成されたアルミニウム合金鋳造材に対して、540℃で12時間、160℃で8時間にわたってT6熱処理をした後の析出化合物が形成されたアルミニウム合金である。前記析出化合物を含むアルミニウム合金の変形挙動を観察するために、前記アルミニウム合金を約15%程度に引張変形させた後で透過電子顕微鏡で
観察した。本発明の実施例に係る析出化合物(NP)が電位(DL)と強い相互作用をすることを確認することができる。
観察した。本発明の実施例に係る析出化合物(NP)が電位(DL)と強い相互作用をすることを確認することができる。
図5cを参照すると、前記析出化合物は、アルミニウム−鉄−酸素の3種類の元素からなることが分かる。このとき、シリコンは、溶湯内に存在するアルミニウム合金から由来する成分であり、前記析出化合物の組成とは関係ない。前記析出化合物は、従来のアルミニウム合金から析出されないアルミニウム−遷移金属−非金属元素の間の新しい反応化合物であり、アルミニウムマトリックスと非常に友好的な界面を形成し、アルミニウムマトリックス内の電位と強い相互作用をすることによって強度を向上できることが分かる。
図6を参照すると、明るい針状構造はアルミニウム合金内のシリコン相であり、暗い領域はアルミニウム系マトリックスである。前記アルミニウム鋳造材に対して熱処理段階が行われていないので、アルミニウム系マトリックス内で観察可能な程度のサイズを有する本発明の実施例に係る析出化合物は観察されない。
図7は、本発明の一実施例に係るアルミニウム合金と比較例に係るアルミニウム合金の引張強度の測定結果を示すグラフである。
図7を参照すると、本発明の実施例に係るアルミニウム合金は、A356合金の溶湯にZnOの前駆体粉末を添加することによって鋳造材を形成し、これを熱処理して製造されたものである。比較例のアルミニウム合金は、前記アルミニウム溶湯に前駆体粉末を添加せずに鋳造材を形成し、同一の条件で熱処理して製造されたものである。本発明の実施例に係るアルミニウム合金(実線曲線)は、比較例に係るアルミニウム合金(点線曲線)に比べて約35%以上に引張強度が向上することが分かる。
図8a及び図8bは、それぞれ本発明の一実施例に係る析出化合物の多様な組成によるアルミニウム合金の引張強度及び強度増加程度を示すグラフである。
図8a及び図8bを参照すると、例として、7wt.%のシリコン及び0.3wt.%のマグネシウムを含むアルミニウムマトリックス内に遷移金属であるマンガン(曲線b)、チタン(曲線c)、鉄(曲線d)及びクロム(曲線e)をそれぞれ含有する析出化合物が形成された多様なアルミニウム合金において、遷移金属が含まれていない比較例に係るアルミニウム合金(曲線a)に比べて、いずれも強度向上が得られることを確認することができる。特に、クロム又は鉄含有析出化合物を有するアルミニウム合金において強度向上を得ることができ、マンガン含有析出化合物を有するアルミニウム合金においても引張強度向上を得ることができる。
図9は、本発明の更に他の実施例に係る析出化合物を含むアルミニウム合金と比較例に係るアルミニウム合金の引張強度の測定結果を示すグラフである。
図9を参照すると、本発明の実施例に係るアルミニウム合金は、Al−Si(7wt.%)−Mg(0.3wt.%)−Fe(0.3wt.%)−Sr(0.1wt.%)のアルミニウム合金溶湯に1.0wt.%のZnOの前駆体粉末を添加し、析出化合物を含有するアルミニウム合金である。これと異なり、比較例に係るアルミニウム合金は、前記アルミニウム合金溶湯に非金属元素含有前駆体であるZnOを添加せずに鋳造材を形成し、これを熱処理して得られたアルミニウム合金であり、前記析出化合物が欠けたアルミニウム合金である。本発明の実施例に係るアルミニウム合金(実線曲線)は、比較例に係るアルミニウム合金(点線曲線)に比べて約22%の降伏強度向上を示すことが確認された。
図10は、本発明の更に他の実施例に係る析出化合物を含むアルミニウム合金(実線曲
線)と比較例に係るアルミニウム合金の引張強度の測定結果を示すグラフである。
線)と比較例に係るアルミニウム合金の引張強度の測定結果を示すグラフである。
図10を参照すると、実線で表示された本発明の実施例に係るアルミニウム合金は、Al−Si(2wt.%)−Mg(1.0wt.%)−Mn(0.3wt.%)のアルミニウム溶湯に約2.0wt.%のZnOの前駆体粉末を添加することによって鋳造材を形成し、90%圧延による塑性段階を通じて再結晶化した後、熱処理して製造されたアルミニウム合金である。比較例に係るアルミニウム合金は、前記アルミニウム溶湯に前記前駆体粉末を添加せずに鋳造材を形成し、前記塑性段階を行った後、熱処理して製造されたアルミニウム合金である。本発明の実施例に係るアルミニウム合金は、比較例に係るアルミニウム合金に比べて約13%の降伏強度向上を示す。
上述したように、本発明の実施例に係るアルミニウム−遷移金属−非金属元素の間の析出化合物を含むアルミニウム合金は、鋳造工程及び熱処理工程を用いて製造され得る。上述した実験例は例示的なものに過ぎなく、本発明がこれに制限されることはない。例えば、非金属元素である前記酸素と類似する程度の安定した3成分系反応化合物を形成可能な非金属元素である窒素及び炭素の場合にも、アルミニウム系マトリックス内で均一に析出化合物を形成し、アルミニウム合金の強度を向上できることを理解しなければならない。
上述した各実施例は、積層欠陥エネルギーの制御又は遷移金属を含む析出化合物によってアルミニウム合金の物性を改善及び改質し、これは、ナノ粒子の前駆体粉末による工程を通じて達成される。以上で説明した本発明が上述した実施例及び添付の図面によって限定されることはなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であることは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって明白であろう。
Claims (13)
- アルミニウム系マトリックス中の鉄(Fe)の含有量が0.3wt.%以下であるアルミニウム系マトリックス;及び
前記アルミニウム系マトリックス内に均一に分散され、酸化物や窒化物を形成しないように前記アルミニウム系マトリックス中に固溶された酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか一つを含む非金属元素;を含むアルミニウム合金であり、
前記アルミニウム合金の積層欠陥エネルギーは、純粋アルミニウムの積層欠陥エネルギーに比べて減少し、
前記アルミニウム合金の延伸率、及び引張強度は、非金属元素を含まない純粋アルミニウムの延伸率、及び引張強度と比較して、同時に向上し、
前記非金属元素は、前記アルミニウム系マトリックスのアルミニウムに対して1重量%の範囲内で固溶され、
前記アルミニウム合金の前記積層欠陥エネルギーは100mJ/m2未満の範囲内であるアルミニウム合金。 - 前記アルミニウム系マトリックスの少なくとも一部に双晶界面又は部分転位を含む、請求項1に記載のアルミニウム合金。
- アルミニウム系マトリックスを提供するアルミニウム又はアルミニウム合金の溶湯を提供する段階;
前記溶湯内に平均サイズが20nm〜100nmの範囲内である、酸素及び窒素のうちの少なくともいずれか一つを含む非金属元素と金属異種元素の金属化合物のナノ粒子を添加する段階;
前記ナノ粒子が前記金属異種元素と酸素又は窒素とに分解され、前記溶湯内に前記金属異種元素と前記非金属元素を均一に分散させる段階;及び
前記溶湯を冷却させ、前記非金属元素が前記アルミニウム系マトリックスの少なくとも一部に固溶される段階;を含み、
前記アルミニウム合金の前記積層欠陥エネルギーは100mJ/m2以下であり、
前記アルミニウム系マトリックス中に固溶された前記非金属元素は、前記アルミニウムに対して1重量%の範囲内であるアルミニウム合金の製造方法。 - 前記金属異種元素は、銅、鉄、亜鉛、チタン、マグネシウム又はこれらのうちの2以上の混合物を含む、請求項3に記載のアルミニウム合金の製造方法。
- アルミニウム系マトリックス中の鉄(Fe)の含有量が0.3wt.%以下であるアルミニウム系マトリックス;及び
前記アルミニウム系マトリックス内に分散された析出化合物;を含み、
前記析出化合物は、アルミニウム、1種以上の遷移金属元素、及び1種以上の非金属元素を含む化合物を含み、
前記遷移金属元素は、クロム(Cr)、鉄(Fe)及びマンガン(Mn)のうちの少なくともいずれか一つを含み
前記非金属元素は、前記アルミニウム合金内に過飽和され、酸素、窒素、及び炭素のうちの少なくともいずれか一つを含む、アルミニウム合金。 - 前記析出化合物の平均サイズは10nm〜1μmの範囲内である、請求項5に記載のアルミニウム合金。
- 前記アルミニウム系マトリックスは、アルミニウム合金であり、
前記アルミニウム合金の合金元素は、2〜7wt.%のシリコン(Si)、及び0.3〜1.0wt.%のマグネシウム(Mg)のうちの少なくともいずれか一つを含む、請求項5に記載のアルミニウム合金。 - アルミニウム及び第1遷移金属を含むアルミニウム合金の溶湯を提供する段階;
前記溶湯内に、前記第1遷移金属と非金属元素との間の第1反応化合物、前記第1遷移金属と異なる種類の第2遷移金属と前記非金属元素との間の第2反応化合物、及び非遷移金属元素と前記非金属元素との間の第3反応化合物のうちの少なくともいずれか一つを含む非金属元素含有前駆体を添加する段階;
前記溶湯内で前記非金属元素含有前駆体を分解させ、前記溶湯内に前記非金属元素を過飽和させる段階;
前記溶湯を固化させることによって鋳造材を形成する段階;及び
前記固化された鋳造材を熱処理し、アルミニウム系マトリックス内に分散されたアルミニウム、遷移金属元素及び非金属元素の間の析出化合物を形成する段階;を含み、
前記第1遷移金属元素は、クロム(Cr)、鉄(Fe)及びマンガン(Mn)のうちの少なくともいずれか一つを含み、
前記非金属元素は、酸素、窒素、及び炭素のうちの少なくともいずれか一つを含む、アルミニウム合金の製造方法。 - 前記第3反応化合物の前記非遷移金属元素は、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、及びマグネシウム(Mg)のうちの少なくともいずれか一つを含む、請求項8に記載のアルミニウム合金の製造方法。
- 前記非金属元素含有前駆体は、5nm〜50nmの範囲内の平均直径を有する粉末形態に前記溶湯内に添加される、請求項8に記載のアルミニウム合金の製造方法。
- 前記非金属元素含有前駆体は、前記溶湯の全体重量に対して0.01重量%〜5.0重量%の範囲内で添加される、請求項8に記載のアルミニウム合金の製造方法。
- 前記固化された鋳造材を熱処理する前に、前記固化された鋳造材を塑性加工して加工硬化させる段階をさらに含む、請求項8に記載のアルミニウム合金の製造方法。
- 前記熱処理は120℃〜600℃の範囲内で行われる、請求項8に記載のアルミニウム合金の製造方法。
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