JP2019148260A - レシプロエンジンのピストン往復運動を回転運動に変換するカム及びカム機構 - Google Patents

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【課題】レシプロエンジンにおいてピストン往復運動と出力軸回転運動の連絡・変換に使用されてきたクランクを、極力シンプルな構成でカム・カム機構に置き換えると同時に熱効率の向上を図る。【解決手段】カム10に2本のカムプロファイル16,18を形成し、ピストン32と連結し往復直線運動する接触子20がどちらかのカムプロファイルをなぞるようにする。膨張行程におけるカムプロファイルと接触子の圧力角は、膨張行程の極初期と極末期を除いて45度以上となるカムプロファイルにする。吸気・圧縮・膨張・排気の4つの行程に対応するカムプロファイルの各行程回転角の割り当ては、膨張行程の回転角を最も小さくする。正面カムを使用し、ピストンから見てカム回転中心軸12を越えた反対側の位置で、接触子を2本のカムプロファイルの間に収めるカム機構とし、カムの回転方向側にカム回転中心軸線をシリンダ軸線からオフセット配置するカム機構とする。【選択図】図1

Description

本発明は、レシプロエンジンにおけるピストンの往復運動と出力軸の回転運動の連絡に用いるカム及びカム機構に関するものです。
クランクを用いないレシプロエンジンとしてはREVETECエンジン(オーストラリア・http://www.revetec.com/index.htm)等が考案・開発中ですが、熱効率が低かったり構造が複雑だったりで実用化は進んでいません。レシプロエンジンにおいてピストン往復運動と出力軸回転運動の連絡・変換に使用されてきたクランクを、極力シンプルな構成でカム・カム機構に置き換えると同時に熱効率の向上を図る事が解決しようとする課題です。
カムに2本のカムプロファイルを形成し、ピストンと連結し往復直線運動する接触子がどちらかのカムプロファイルをなぞります。膨張行程におけるカムプロファイルと接触子の圧力角は、膨張行程の極初期と極末期を除いて45度以上となるカムプロファイルにします。吸気・圧縮・膨張・排気の4つの行程に対応するカムプロファイルの各行程回転角の割り当ては、膨張行程の回転角を最も小さくします。正面カムを使用し、ピストンから見てカム回転中心軸を越えた反対側の位置で、接触子を2本のカムプロファイルの間に収めるカム機構とします。正面カムを使用し、カムの回転方向側にカム回転中心軸線をシリンダ軸線からオフセット配置するカム機構とします。
カム及びカム機構の正面図 カム及びカム機構の側面図 カム及びカム機構の平面図 吸気行程の動作説明図 圧縮行程の動作説明図 膨張行程の動作説明図 排気行程の動作説明図 膨張行程における圧力角を示す説明図 膨張行程におけるアームを示す説明図 圧縮行程における圧力角を示す説明図
本発明のカムは、吸・排気バルブ駆動用のカムと混乱しないように、ここではパワーカムと表記させて頂きます。パワーカムは平面カム・立体カムどちらの形式でもエンジンASSYとして構成できますが、ここでは平面カムの正面カムを採用したもので説明します。正面カムは請求項記載の四つ全部を実施することができます。ここでは4サイクルガソリンエンジン(単気筒)でパワーカム及びカム機構を使用する場合について説明します。ベースにする単気筒4サイクルガソリンエンジンは現在市販中の汎用エンジンで、構成が分かり易いようにシリンダ軸線は鉛直方向、パワーカムの回転中心軸線は水平方向とします。パワーカムの回転方向は正面から向かって見て左回転(反時計回り)です。
正面カムのパワーカム10に回転中心軸線を同一とする出力軸12を固着します。パワーカム10は回転中心軸に垂直な平面を有し、その平面にカム溝14(空間)を形成します。当然ながら、これによりパワーカム10は2本のカムプロファイルを備えることになります。そして、ローラー20を接触子としてカム溝14(空間)の中に収めます。また当然ながら、2本のカムプロファイルの間隔をローラー20直径より大きく取ってバックラッシュを与えます。ローラー20はその軸受22をビッグエンドピース24に圧入し、ビッグエンドピース24はコネクティングロッド26・スモールエンドピース28・ピストンピン30を介してピストン32に連結しています。そして、ビッグエンドピース24がシリンダ50軸線と同一方向に直線運動するようにビッグエンドガイド40を設置します。ローラー20・軸受22・ビッグエンドピース24・コネクティングロッド26・スモールエンドピース28・ピストンピン30・ピストン32はパワーカム10に対する1つの従動節としてシリンダ50軸線と同一方向に往復直線運動できる事になります。
吸気・圧縮・膨張・排気の4つの行程は、パワーカム10の1回転(360度)で対応します。2本のカムプロファイルはパワーカム10の外周側を外カムプロファイル16、回転中心軸側を内カムプロファイル18と呼ぶことにします。エンジン運転中の「シリンダ内圧力」(燃焼室圧力)は、圧縮行程・膨張行程・排気行程の連なりの大部分で正圧、吸気行程の大部分で負圧になっていますので、ピストン32と連結している接触子のローラー20は、圧縮行程・膨張行程・排気行程では外カムプロファイル16を、吸気行程では内カムプロファイル8を走る事になります。
膨張行程において、外カムプロファイル16と接触子たるローラー20の圧力角は、膨張行程の極初期と極末期を除いて45度以上の圧力角となるように外カムプロファイル16をデザインします。一般的なカム・カム機構では使用することが稀な圧力角領域を設定しています。この圧力角を図8に示します。パワーカム10の回転角が例えば233度の場面(膨張行程半ば)での圧力角は45度を越える56.6度になっています、という説明の図です。
吸気・圧縮・膨張・排気の4つの行程に対応する外・内カムプロファイル16・18のパワーカム10各行程回転角の割り当ては、膨張行程のパワーカム10回転角を最も小さくします。図4・図5・図6・図7はそれぞれ、吸気行程・圧縮行程・膨張行程・排気行程の始まりを示しています。各行程の回転角は、吸気行程=106度(0°〜106°)・圧縮行程=105度(106°〜211°)・膨張行程=44度(211°〜255°)・排気行程=105度(255°〜0°)です。
接触子たるローラー20は、ピストン32から見てパワーカム10回転中心軸を越えた反対側(下側)の位置で、パワーカム10のカム溝14(空間)に収めてカム機構を構成します。(図1・図2参照)
パワーカム10の設置では、パワーカム10の回転方向側にパワーカム10回転中心軸線をシリンダ50軸線からオフセット配置してカム機構を構成します。向かって見た時にパワーカム10が左回転(反時計回り)ですので、同じく向かって見た時にシリンダ50軸線の左側に、パワーカム10回転中心軸線がきます。(図1・図2・図3参照)
以上、構成について動作説明も一部交えながら述べましたので、ここからは主に動作・作用について説明します。パワーカム10の回転方向は、向かって見た時に左回転(反時計回り)です。
膨張行程において、燃焼室圧力により下降するピストン32の力はそのままローラー20に伝わり、ローラー20が外カムプロファイル16を押すため、パワーカム10が回転運動を起こします。一般のカム機構では常に「従動節」である「ローラー」ですが、この時は「原動節」として機能します。反対に、吸気行程・圧縮行程・排気行程では、「ローラー」は「従動節」として機能します。ローラー20とその軸受22については、一体となった市販のカムフォロアを利用しています。
膨張行程において、外カムプロファイル16とローラー20の圧力角は、膨張行程の極初期と極末期を除いて45度以上の圧力角を確保する外カムプロファイル16デザインとしており、この大きく採った圧力角設定によりローラー20の下向き力はスムーズな動作でパワーカム10の回転力に変換されます。しかし、圧力角を大きく採るにつれてパワーカム10単位回転角当たりのカム変位量がどんどん増加してパワーカム10の外寸自体がどんどん大きくなってしまうため、実際上エンジンASSYのサイズを思えば、おのずと圧力角の大きさには限度があります。また、ローラー20の下向き力がパワーカム10の回転力に変換される際は、ビッグエンドガイド40の向かって見て左側「ガイド面」からの「反力」をビッグエンドピース24が受け取っているので、ビッグエンドガイド40は十分な強度・剛性・硬度を備えていることが重要です。(図8・図1参照)
パワーカム10のカムプロファイルデザインにおいて最優先すべき膨張行程に対応する外カムプロファイル16のパワーカム10回転角は、吸気行程・圧縮行程・膨張行程・排気行程それぞれに対応する外・内カムプロファイル16・18のパワーカム10回転角の中で最も小さく割り当てます。こうすることで、膨張行程における外カムプロファイル16とローラー20の圧力角を大きく採れると同時に、残る吸気行程・圧縮行程・排気行程のためのパワーカム10回転角をより多く確保できることになります。また、図4・図5・図6・図7の右上に示しているパワーカム10によるピストン32ストローク量(すなわちローラー20移動量)は、吸気行程=圧縮行程<膨張行程=排気行程であり、ひとまず、膨張・排気行程のピストン32ストローク量を吸気・圧縮行程のピストン32ストローク量(100%とする)の1.52倍(152%)にしています。燃焼による燃焼室圧力を可能な限り回転力として生かすことが狙いです。
繰り返しになりますが、ローラー20は、ピストン32から見てパワーカム10回転中心軸を越えた反対側(下側)の位置で、パワーカム10のカム溝14(空間)に収めてカム機構を構成します。燃焼による燃焼室最大圧力は膨張行程の初期にマークされ、その後はピストン32下降による燃焼室容積の拡大にほぼ反比例して燃焼室圧力は低下して行きます。この時、外カムプロファイル16を走るローラー20はパワーカム10回転中心軸から遠ざかる方向に移動して行くため、「アーム」(パワーカム10回転中心軸〜外カムプロファイル16とローラー20の接点)は伸び続けます。(図9参照)。これにより、減少して行くピストン32の下向き力も効果的にパワーカム10の回転力に変換することができます。膨張行程のピストン32ストローク量を、吸気・圧縮行程のピストン32ストローク量の1.52倍(152%)にしていることと相まって、パワーカム10とカム機構ならクランク機構では拾うことのできなかった低い燃焼室圧力域も有効に生かしてパワーカム10の回転力に変換することができます。
パワーカム10の設置では、パワーカム10の回転方向側にパワーカム10回転中心軸線をシリンダ50軸線からオフセット配置してカム機構を構成します。向かって見た時にパワーカム10が左回転(反時計回り)ですので、同じく向かって見てシリンダ50軸線の左側に、パワーカム10回転中心軸線がきます。このオフセット配置により、オフセットゼロの場合と比較して圧縮行程での外カムプロファイル16とローラー20の圧力角が好転する(圧力角が小さくなる)効果が生まれます。圧縮行程ではピストン32駆動によるパワーカム10+出力軸12(+その他の回転マス)回転エネルギーの消耗が特に大きく、回転エネルギーの温存のために圧力角は小さいほど有利だからです。(仮に反対側、シリンダ50軸線の右側にオフセット配置した場合には、圧力角は逆に大きくなってしまいます。)オフセット量は圧縮比などを考慮して適宜セッティングします。(図10参照)。パワーカム10へのピストン32による入力時(膨張行程)と、パワーカム10からのピストン32駆動のための出力時(排気行程吸気行程圧縮行程)では、望ましい圧力角が大きく異なります。(先述した、「残る吸気行程・圧縮行程・排気行程のためのパワーカム10回転角をより多く確保、、、」も、圧力角をより小さくするものです。)
図4・図5・図6・図7の左上にはピストン32変位を示しています。言うまでもなくピストン32変位と「カム曲線」は同じです。このピストン32変位(カム曲線)は、パワーカム10オフセットゼロの場合とは当然異なる、オフセット配置・オフセット量(各図で示すパワーカム10とカム機構の総合)におけるピストン32変位(カム曲線)です。なお、オフセットゼロの配置であってもエンジンは運転可能です。
その他、カムプロファイルデザインについて書き添えるならば、圧縮行程に対応する外カムプロファイル16は、パワーカム10回転角=圧縮行程ピストン上死点前5度〜ピストン上死点0度の区間ではピストン32変位がゼロの外カムプロファイル16デザインとしており、これにより点火時期と燃焼の計画を立て易くしています。また、吸気行程・排気行程では、パワーカム10の単位回転角に対してほぼ一定のピストン32変位としており、ほぼ一定の「ピストンスピード」による吸気排気の効率(充填効率掃気効率)の向上が期待できます。
以上に説明したパワーカム10とカム機構を他の4サイクルガソリン(ディーゼル)エンジンで使用する際は、希望する「ピストンストローク量」に合わせて各図をスケール調整すれば良いでしょう。言うまでもなく必要な部分はオイル等で潤滑を行います。クランク・クランクケースを除いた大部分のエンジンパーツは再び使用することができます。当然ながら、バルブタイミングについてはノーマルからの大きな変更が必要になります。パワーカム10とカム機構を用いるエンジンの目標はあくまでも熱効率の向上であり、排気量(吸気量?)当たりの最高出力ではありません。出力当たりの二酸化炭素等排出量の減少を目的としています。
なお、パワーカム10とカム機構を使ったエンジンは既に完成し、試運転を済ませています。今後は、バルブタイミング・点火時期・キャブレター・圧縮比・パワーカム10オフセット量等の細かいセッティングを詰めたのち、熱効率の計測を行なう予定です。熱効率の目標値は70%前後を想定しています。
10パワーカム
12出力軸
14カム溝
16外カムプロファイル
18内カムプロファイル
20ローラー
22軸受
24ビッグエンドピース
26コネクティングロッド
28スモールエンドピース
30ピストンピン
32ピストン
40ビッグエンドガイド
50シリンダ
60ケース
本発明のカムは、吸・排気バルブ駆動用のカムと混乱しないように、ここではパワーカムと表記させて頂きます。ここでは4サイクルガソリンエンジン(単気筒)でパワーカム及びカム機構を使用する場合について説明します。ベースにする単気筒4サイクルガソリンエンジンは現在市販中の汎用エンジンで、構成が分かり易いようにシリンダ軸線は鉛直方向、パワーカムの回転中心軸線は水平方向とします。パワーカムの回転方向は正面から向かって見て左回転(反時計回り)です。
なお、パワーカム10とカム機構を使ったエンジンは既に完成し、試運転を済ませています。今後は、バルブタイミング・点火時期・キャブレター・圧縮比・パワーカム10オフセット量等の細かいセッティングを詰めたのち、熱効率の計測を行なう予定です。
カムに2本のカムプロファイルを形成し、ピストンと連結し往復直線運動する接触子がどちらかのカムプロファイルをなぞります。膨張行程におけるカムプロファイルと接触子の圧力角は、膨張行程の極初期と極末期を除いて45度以上となるカムプロファイルにします。吸気・圧縮・膨張・排気の4つの行程に対応するカムプロファイルの各行程回転角の割り当ては、膨張行程の回転角を最も小さくし、吸気・圧縮・排気の3つの行程は各々近似する各行程回転角です。ピストンストローク量が「吸気行程=圧縮行程<膨張行程=排気行程」となるカムプロファイルとします。正面カムを使用し、ピストンから見てカム回転中心軸を越えた反対側の位置で、接触子を2本のカムプロファイルの間に収めるカム機構とします。正面カムを使用し、カムの回転方向側にカム回転中心軸線をシリンダ軸線からオフセット配置するカム機構とします。

Claims (4)

  1. 4サイクルエンジンにおける吸気・圧縮・膨張・排気の2往復ピストン動作を、
    ピストンと連結し往復直線運動する接触子を挟む2本のカムプロファイルにより、
    カムの1回転(360度)で対応するカムにおいて、
    膨張行程におけるカムプロファイルと接触子の圧力角は、
    膨張行程の極初期と極末期を除いて45度以上となるカムプロファイルを有するカム。
  2. 4サイクルエンジンにおける吸気・圧縮・膨張・排気の2往復ピストン動作を、
    ピストンと連結し往復直線運動する接触子を挟む2本のカムプロファイルにより、
    カムの1回転(360度)で対応するカムにおいて、
    吸気・圧縮・膨張・排気の4つの行程に対応するカムプロファイルの各行程回転角の割り当ては、
    膨張行程の回転角を最も小さくすることを特徴とするカム。
  3. 4サイクルエンジンにおける吸気・圧縮・膨張・排気の2往復ピストン動作を、
    ピストンと連結し往復直線運動する接触子を挟む2本のカムプロファイルにより、
    カムの1回転(360度)で対応する正面カムを使用するカム機構において、
    ピストンから見てカム回転中心軸を越えた反対側の位置で、
    接触子を2本のカムプロファイルの間に収めるカム機構。
  4. 4サイクルエンジンにおける吸気・圧縮・膨張・排気の2往復ピストン動作を、
    ピストンと連結し往復直線運動する接触子を挟む2本のカムプロファイルにより、
    カムの1回転(360度)で対応する正面カムを使用するカム機構において、
    カムの回転方向側にカム回転中心軸線をシリンダ軸線からオフセット配置するカム機構。
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