JP2019155355A - 酸素生成触媒 - Google Patents
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Abstract
Description
(a)水電解装置の酸素極側の触媒、
(b)燃料電池スタック内の一部の単セルへの燃料供給が途絶えた状態で発電を継続した場合において、燃料供給が途絶えた単セル(燃料欠セル)のアノードで生ずるカーボン材料の酸化を抑制するための触媒
などに利用されている。
一方、酸化ルテニウムは、酸化イリジウムに比べて低コストであり、初期活性も高い。しかし、酸化ルテニウムは、OER活性の耐久性が低いという問題がある。
例えば、特許文献1には、
(a)TiO2(BET>300m2/g)の懸濁液にヘキサクロロイリジウム酸(H2IrCl6)溶液を加え、懸濁液を70℃に加熱し、
(b)生成物を濾過により単離し、さらに
(c)生成物を400℃で仮焼する
IrO2/TiO2触媒の製造方法が開示されている。
(A)このような方法により、無機酸化物材料(TiO2)上に酸化イリジウム(IrO2)粒子が微細に堆積している触媒が得られる点、
(B)高比表面積の無機酸化物材料上に酸化イリジウムを堆積させると、熱処理後においても酸化イリジウムの凝集が抑制され、高比表面積が維持されるのに対し、酸化イリジウムのみでは粒子が凝集しやすい点、及び、
(C)その結果として、IrO2/TiO2触媒は、IrO2触媒に比べて、酸素発生のための開始電位が低くなる(すなわち、OER活性が高くなる)点、
が記載されている。
しかし、同文献に記載の触媒は、触媒劣化の起点となる触媒表面を保護する構成とはなっておらず、耐久性の課題を解決するものではない。また、触媒としてIrO2を用いているので、高コストである。
コアと
前記コアの表面を被覆するシェルと
を備え、
前記コアは、少なくとも表面に酸化ルテニウム又は金属ルテニウムを含み、
前記シェルは、チタニア、又は、チタンとルテニウムとの複合酸化物を含む
ことを要旨とする。
[1. 酸素生成触媒]
本発明に係る酸素生成触媒は、
コアと
前記コアの表面を被覆するシェルと
を備え、
前記コアは、少なくとも表面に酸化ルテニウム又は金属ルテニウムを含み、
前記シェルは、チタニア、又は、チタンとルテニウムとの複合酸化物を含む。
コアは、少なくとも表面に酸化ルテニウム(RuO2)又は金属ルテニウム(Ru)を含む。酸化ルテニウム又は金属ルテニウムは、コアの表面にのみ含まれていても良く、あるいは、コアの全体に含まれていても良い。コアの表面は、実質的に酸化ルテニウム又は金属ルテニウムのみからなるものが好ましいが、不可避的不純物が含まれていても良い。コアの中心部は、酸素生成反応にあまり寄与しないので、必ずしも酸化ルテニウム又は金属ルテニウムで構成されている必要はなく、他の材料で構成されていても良い。
コアの粒径は、特に限定されない。一般に、コアの粒径が小さくなるほど、少量の添加で高い効果が得られる。そのためには、コアの平均粒径は、1μm以下が好ましい。コアの平均粒径は、好ましくは、500nm以下、さらに好ましくは、200nm以下である。
シェルは、チタニア(TiO2)、又は、チタンとルテニウムとの複合酸化物((Ti,Ru)O2)を含む。後述するように、シェルは、コアの周囲にチタニア前駆体を形成し、焼成することにより形成される。この時、コア表面の酸化ルテニウム又は金属ルテニウムとチタニア前駆体とが反応し、複合酸化物が形成される場合がある。シェルは、実質的にチタニア又は複合酸化物のみからなるものが好ましいが、不可避的不純物が含まれていても良い。
コアの表面を被覆するシェルは、酸化ルテニウム又は金属ルテニウムのOER活性を阻害せず、かつ、酸化ルテニウム又は金属ルテニウムの耐久性を向上させることが可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
「チタニア被覆率」とは、シェルに含まれるチタンがすべてチタニア(TiO2)となっており、チタニアがコアの表面を均一に被覆していると仮定した時の、チタニア原子層の層数をいう。「1ML」は、1原子層のチタニアを表す。「1ML」は、具体的には、TiO2の表面原子数密度(単位面積当たりのTiとOの数の合計)が1.5×1015cm-2である時と定義される。
一方、チタニア自体は、OER活性がない。そのため、チタニア被覆率が大きくなりすぎると、コア表面への水の拡散及びコア表面からの酸素の拡散の抵抗が増大するために、OER活性が低下する。従って、チタニア被覆率は、5.0ML以下が好ましい。チタニア被覆率は、好ましくは、0.5ML以下である。
本発明に係る酸素生成触媒は、
(a)水電解装置の酸素極に用いられる触媒、
(b)燃料電池のアノードに添加される触媒(燃料欠セルのアノードで生ずるカーボン材料の酸化を抑制するための触媒)、
などに用いることができる。
本発明に係る酸素生成触媒は、いわゆるゾルゲル法により作製することができる。
まず、少なくとも表面に酸化ルテニウム又は金属ルテニウムを含むコア粒子を溶媒に分散させ、分散液を得る。溶媒は、
(a)コア粒子を分散させることができ、かつ、
(b)コア粒子の表面がチタニア前駆体で被覆されるように、Ti源(アルコキシド)の加水分解及び縮重合を行うことができるもの、
であればよい。
溶媒としては、例えば、アルコール、水、及び、それらの混合溶媒などがある。
分散液中のコア粒子の濃度は、コア粒子を均一に分散させることが可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
次に、分散液にTi源を添加する。分散液にTi源を添加すると、分散液中においてTi源の加水分解及び縮重合が進行する。その結果、コア粒子の表面がチタニア前駆体で被覆された前駆体粒子が得られる。
Ti源としては、例えば、オルトチタン酸テトライソプロピル、オルトチタン酸テトラブチルなどがある。
分散液に添加するTi源の量は、目的とする組成に応じて、最適な量を選択する。
分散液から前駆体粒子を回収し、乾燥させた後、前駆体粒子を熱処理する。これにより、コア粒子の表面がチタニア、又は、チタンとルテニウムとの複合酸化物からなるシェルで被覆された酸素生成触媒が得られる。
熱処理は、OH基が残留しているチタニア前駆体を脱水・結晶化させるために行われる。熱処理条件は、チタニア前駆体を脱水・結晶化させることが可能なものである限りにおいて、特に限定されない。通常、大気中において、300℃〜800℃で、0.5時間〜3時間程度、熱処理するのが好ましい。
酸化ルテニウム及び金属ルテニウムは、酸化イリジウムに比べて低コストであり、初期活性も高い。しかし、酸化ルテニウム及び金属ルテニウムはOER活性の耐久性が低い。
これに対し、本発明に係る酸素生成触媒は、酸化イリジウムを用いた従来の触媒と同等以上の初期活性及び耐久性を示す。これは、酸化ルテニウム又は金属ルテニウムを含むコアの表面を、チタニア、又は、チタンとルテニウムとの複合酸化物を含むシェルで被覆することによって、触媒劣化の起点となる触媒表面が保護されるためと考えられる。さらに、本発明に係る酸素生成触媒は、酸化ルテニウム又は金属ルテニウムを主成分とするので、酸化イリジウムを主成分とする従来の触媒よりも低コストである。
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例1]
市販の酸化ルテニウム触媒0.3gを溶媒(イソプロパノール80%、水20%)50mLに分散させた。これに、オルトチタン酸テトライソプロピル(TTIP)を0.6mL加え、室温で4時間撹拌した。撹拌後、分散液を濾過し、触媒前駆体を回収・乾燥した。さらに、触媒前駆体を空気雰囲気下において、400℃で1時間熱処理し、酸素生成触媒を得た。
なお、実施例1のTTIP添加量は、酸化ルテニウムの表面にチタニアの原子層が5層形成される量に相当する。以下、ML(Mono Layer)という単位を使用して、実施例1を「5ML」とも表記する。
市販の酸化ルテニウム触媒をチタニアで修飾せずに、そのまま空気雰囲気下において、400℃で1時間熱処理した(比較例1)。
さらに、市販の酸化ルテニウム触媒であって、熱処理を行わなかったもの(比較例2)、及び市販の酸化イリジウム触媒(比較例3)をそのまま試験に供した。
[2.1. TEM観察及びEDSマッピング]
実施例1及び比較例1〜3の触媒のTEM観察及びEDXマッピングを行った。
実施例1及び比較例1〜3の触媒を、それぞれ、金ディスクに塗布して乾燥させた。これを作用極に用いて、電気化学測定を行った。なお、触媒担持量は、すべて15μgcm-2に統一した。なお、実施例1について、「触媒担持量」とは、チタニアを除いた量を表す。参照電極は可逆水素電極、対極は白金、電解液は過塩素酸(0.1M)とした。
測定手順は、以下の通りである。
(a)まず、1.0V⇔1.6Vの電位走査を1サイクル行った。
(b)次に、1.0V⇔1.7Vの電位走査を1サイクル行った。
(c)さらに、0.07V⇔1.8Vの電位走査を20〜50サイクル行った。
[3.1. TEM観察及びEDSマッピング]
図1に、実施例1及び比較例1で得られた酸素生成触媒のTEM像を示す。全体的に、比較例1より実施例1の粒子の方が丸みを帯びているように見える。また、実施例1のTEM像を詳細に観察すると、酸化ルテニウム粒子(図1中、破線で囲った領域)をアモルファス状の物質(図1中、破線で囲った領域)が覆っているように見える。
[3.2.1. 初期活性]
図3に、実施例1及び比較例1〜3で得られた酸素生成触媒の初期の水電解活性(測定手順(a)で得られた水電解活性)を示す。初期活性は、未処理酸化ルテニウム(RuO2、比較例2)>未修飾熱処理酸化ルテニウム(HT−RuO2、比較例1)>チタニア修飾酸化ルテニウム(HT−TiO2−RuO2、実施例1)>IrO2(比較例3)の順となった。図3より、HT−TiO2−RuO2は、RuO2及びHT−RuO2より活性は低いが、IrO2よりは活性が高いことがわかる。
図4に、実施例1及び比較例1〜3で得られた酸素生成触媒の電位サイクル(0.07V⇔1.8V)中の活性変化を示す。図4中、縦軸の「電位@0.5mAμg-1」は、0.07Vから電位を増大させた場合において、電流密度が0.5mAμg-1に到達した時の電位を表す。「電位@0.5mAμg-1」が小さくなるほど、OER活性が高いことを表す。また、図4中の1サイクル目の値は、測定手順(a)、(b)を行った後、測定手順(c)を行った際の1サイクル目において、電流密度が0.5mAμg-1に到達した時の電位を表す
[1. 試料の作製]
TTIP添加量を0.06mL(0.5ML相当、実施例2)、0.03mL(0.25ML相当、実施例3)、0.012mL(0.1ML相当、実施例4)、又は、0.006mL(0.05ML相当、実施例5)とした以外は、実施例1と同様にして、酸素生成触媒を作製した。
実施例1と同様にして、活性及び耐久性を評価した。得られた電流値は、Ruの重量で規格化した。
[3.1. 活性変化]
図6に、実施例2〜5で得られた酸素生成触媒の電位サイクル(0.07V⇔1.8V)中の活性変化を示す。なお、図6には、実施例1及び比較例1〜2の結果も併せて示した。図6中、縦軸は0.5mAμg-1に到達する電位を表し、縦軸の下側に向かうほどOER活性が高いことを示す。
一方、実施例1(5ML)は、ほとんど活性が低下しなかった。さらに、被覆率を減らした実施例2〜5(0.5〜0.05ML)では、1サイクルから20サイクルにかけて劣化が見られた。しかし、20〜50サイクルにかけてはほとんど劣化がなく、50サイクル後でも比較例1よりも活性が高かった。
図7に、実施例2〜5で得られた酸素生成触媒の初期活性と耐久試験後の活性のチタニア被覆率依存性を示す。なお、図7には、実施例1及び比較例1〜2の結果も併せて示した。図7中、縦軸は、0.5mAμg-1に到達する電位を表し、縦軸の下側に向かうほどOER活性が高いことを示す。また、図7中、黒丸は1サイクル目の電位(初期活性)を表し、白丸は50サイクル目の電位(耐久試験後の活性)を表す。さらに、図7中、実線は比較例1又は2の1サイクル目の電位(初期活性)を表し、破線は50サイクル目の電位(耐久試験後の活性)を表す。
図8に、実施例2〜5で得られた酸素生成触媒に電位サイクル(0.07V⇔1.8V)を加えた時の、電位の上昇幅を示す。なお、図8には、実施例1及び比較例1〜2の結果も併せて示した。
ここで、「電位の上昇幅」とは、1サイクル目とNサイクル目の電位差をいう。図8は、図6を1サイクル目からの電位の上昇幅として規格化したグラフであり、1サイクル目からの劣化の進行の度合いを表す。図8は、縦軸の上側に向かうほど、劣化が進んでいることを示す。
図9に、実施例2〜5で得られた酸素生成触媒に電位サイクル(0.07V⇔1.8V)を加えた時の、電位の上昇幅のチタニア被覆率依存性を示す。なお、図9には、実施例1及び比較例1の結果も併せて示した。図9中、黒丸は1サイクル目と20サイクル目の電位差を表し、白丸は1サイクル目と50サイクル目の電位差を表す。また、図9は、縦軸の下側に向かうほど、劣化抑制効果が大きいことを示す。
以上より、ルテニウム系触媒の表面をチタニアで被覆することによる効果は、以下のようにまとめられる。
(1)実施例1〜5の耐久試験後(0.07V⇔1.8Vサイクルを50回行った後)のOER活性は、比較例1より高い(図6参照)。
(2)実施例1〜5は、比較例1より初期活性及び耐久試験後の活性がともに高い。また、初期活性及び耐久試験後の活性は、いずれも0.25MLで極大となる(図7参照)。
(3)実施例1〜5のサイクル数に対する劣化の程度は、比較例1〜2よりも小さい(図8参照)。また、劣化の程度は、被覆率が大きくなるほど,小さくなる(図9参照)。
Claims (4)
- コアと
前記コアの表面を被覆するシェルと
を備え、
前記コアは、少なくとも表面に酸化ルテニウム又は金属ルテニウムを含み、
前記シェルは、チタニア、又は、チタンとルテニウムとの複合酸化物を含む
酸素生成触媒。 - チタニア被覆率は、0.05ML以上5.0ML以下である請求項1に記載の酸素生成触媒。
但し、「チタニア被覆率」とは、前記シェルに含まれる前記チタンがすべて前記チタニアとなっており、前記チタニアが前記コアの表面を均一に被覆していると仮定した時の、チタニア原子層の層数をいう。 - 水電解装置の酸素極に用いられる請求項1又は2に記載の酸素生成触媒。
- 燃料電池のアノードに添加される請求項1又は2に記載の酸素生成触媒。
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