JP2019157992A - クラッチ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】急制動時におけるエンジン回転数の過度な低下を抑えるクラッチ制御装置を提供する。【解決手段】クラッチの断接を制御するECU30は、ブレーキ開度、および、シャフト回転数を取得する取得部31と、制動時にクラッチを接続状態から切断状態へ切り替えるシャフト回転数である切替回転数Ncがブレーキ開度Bごとに規定された切替回転数情報36を記憶する記憶部35と、制動時にブレーキ開度Bに対応する切替回転数Ncよりもシャフト回転数が小さいことを条件としてクラッチを切断状態へ切り替えるクラッチ制御部33とを備え、切替回転数情報36には、急制動時のブレーキ開度に対し、通常制動時のブレーキ開度よりも大きな回転数が切替回転数Ncとして規定されている。【選択図】図2

Description

本発明は、クラッチ制御装置に関する。
車両に搭載される自動変速機(AMT:Automated Manual Transmission)においては、エンジンの出力軸と変速機の駆動軸とがクラッチを介して接続され、ギヤ段の変更やクラッチの断接が自動的に制御される。こうした自動変速機には、クラッチの断接を制御するクラッチ制御装置が搭載されている。クラッチ制御装置は、ギヤ段の変更時にクラッチを一時的に切断状態に制御し、また、停車時にはクラッチを切断状態に制御する。特許文献1には、停車時におけるクラッチの制御として、エンジン回転数が一定値(アイドル回転数+α)まで低下することを契機として接続状態から切断状態へ制御することが開示されている。
実開昭61−13034号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、通常制動時よりも減速度の大きい急制動時にエンジン回転数が過度に低下してしまうおそれがあった。本発明は、急制動時におけるエンジン回転数の過度な低下を抑えるクラッチ制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するクラッチ制御装置は、エンジンの出力軸と変速機の駆動軸とを接続するクラッチの断接を制御するクラッチ制御装置であって、ブレーキペダルの開度であるブレーキ開度、および、前記駆動軸の回転数を取得する取得部と、制動時に前記クラッチを接続状態から切断状態へ切り替える前記駆動軸の回転数である切替回転数が前記ブレーキ開度ごとに規定された切替回転数情報を記憶する記憶部と、制動時に前記ブレーキ開度の取得値に対応する前記切替回転数よりも前記駆動軸の回転数の取得値が小さいことを条件として前記クラッチを切断状態へ切り替えるクラッチ制御部とを備え、前記切替回転数情報には、急制動時のブレーキ開度に対し、通常制動時のブレーキ開度よりも大きな回転数が前記切替回転数として規定されている。
上記構成によれば、急制動時には通常制動時よりも早いタイミングでクラッチを切断状態に制御することができる。その結果、急制動時におけるエンジン回転数の過度な低下を抑えることができる。
上記構成のクラッチ制御装置において、前記切替回転数情報には、前記急制動時のブレーキ開度に対して単調増加する回転数が前記切替回転数として規定されているとよい。
上記構成によれば、急制動時におけるブレーキ開度が大きくなるほど、すなわち制動開始から停車までに要する制動時間が短くなるほど早いタイミングでクラッチが切断状態に制御されるように構成される。その結果、急制動時におけるエンジン回転数の過度な低下をより確実に抑えることができる。
上記構成のクラッチ制御装置において、前記切替回転数情報には、前記急制動時のブレーキ開度に対して連続的に単調増加する回転数が前記切替回転数として規定されていることが好ましい。
上記構成によれば、切替回転数の急激な変化が抑えられることから、ブレーキ開度の僅かな違いに起因してドライバーが違和感を覚えることを抑えることができる。
上記構成のクラッチ制御装置において、前記記憶部は、前記変速機が有する複数のギヤ段の各々について前記切替回転数情報を記憶し、前記クラッチ制御部は、前記変速機におけるギヤ段を取得し、前記取得したギヤ段に対応する前記切替回転数情報を用いて前記条件の成否を判断することが好ましい。
走行時は駆動軸の回転数が同じであれば変速比の大きいギヤ段ほど車速が遅くなるため、同じ回転数からの制動であっても駆動軸の回転数の変化はギヤ段ごとに異なる。上記構成によれば、その時々のギヤ段に応じた回転数でクラッチを切断状態に制御することができる。その結果、急制動時におけるエンジン回転数の過度な低下をさらに確実に抑えることができる。
上記構成のクラッチ制御装置において、前記ブレーキ開度の最大値に対応する前記切替回転数が最大切替回転数であり、前記最大切替回転数は、変速比が大きいギヤ段ほど大きい回転数であることが好ましい。
制動時間は、制動開始時における駆動軸の回転数が同じであれば変速比が大きいギヤ段ほど短くなる。上記構成によれば、最大開度での制動時における制動時間が短くなるギヤ段ほどクラッチが切断状態へ制御される回転数が大きくなる。その結果、最大開度による制動時においてもエンジン回転数の過度な低下を抑えることができる。
クラッチ制御装置の一実施形態を搭載した自動変速機の概略構成を示す図。 自動変速機の制御装置における電気的な構成の一例を示す機能ブロック図。 第1ギヤ段についての切替回転数情報の一例を模式的に示す図。 全てのギヤ段についての切替回転数情報の一例を模式的に示す図。 (a)第2ギヤ段についての切替回転数情報の一例を模式的に示す図、(b)第3ギヤ段についての切替回転数情報の一例を模式的に示す図、(c)第4ギヤ段についての切替回転数情報の一例を模式的に示す図、(d)第5ギヤ段についての切替回転数情報の一例を模式的に示す図、(e)第6ギヤ段についての切替回転数情報の一例を模式的に示す図、(f)第7ギヤ段についての切替回転数情報の一例を模式的に示す図。 制動処理の手順の一例を示すフローチャート。 最大開度の制動時におけるクラッチの断接状態の変化、シャフト回転数の変化、および、エンジン回転数の変化を比較した結果の一例を示す図。
図1〜図7を参照して、クラッチ制御装置の一実施形態について説明する。まず、図1を参照してクラッチ制御装置を搭載した自動変速機について説明する。
図1に示すように、自動変速機10は、複数のギヤ段を有する変速機11と、変速機11の駆動軸12とエンジン13の出力軸14とを断接可能に接続するクラッチ15と、自動変速機10を制御する制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)30とを備えている。変速機11は、複数のギヤ段の一例として変速比の大きい順に、第1ギヤ段、第2ギヤ段、第3ギヤ段、第4ギヤ段、第5ギヤ段、第6ギヤ段、および、第7ギヤ段を有している。クラッチ15は、変速機11の駆動軸12とエンジン13の出力軸14とが接続される接続状態と、駆動軸12と出力軸14とが切り離された切断状態と、を有している。クラッチ15は、クラッチアクチュエーター16の動作量に応じて接続状態と切断状態とが切り替えられる。ECU30は、自動変速機10を統括制御するコンピューターであって、変速機11におけるギヤ段を制御する変速機制御装置としての機能、および、クラッチ15の断接を制御するクラッチ制御装置としての機能を有している。ECU30は、車両に備えられた各種センサーの検出値に基づき、変速機11におけるギヤ段の変更、および、クラッチ15の断接を制御する。
上述した各種センサーとして、車両には、ブレーキ開度センサー21、出力回転数センサー24、アクセル開度センサー26などが搭載されている。
ブレーキ開度センサー21は、ドライバーによるブレーキペダル22の操作量であるブレーキ開度Bを検出し、その検出したブレーキ開度Bを示す信号を車載ネットワーク28に出力する(図2参照。)。なお、本実施形態において、ブレーキ開度Bは、ブレーキペダル22の最大操作量に対する実際の操作量の割合で示される。すなわち、ブレーキ開度Bが大きいほどドライバーが要求する制動力が大きくなる。
出力回転数センサー24は、変速機11の出力軸17の回転数である出力回転数Npを検出し、その検出した出力回転数Npを示す信号を車載ネットワーク28に出力する(図2参照。)。なお、車両においては、出力回転数Npが同じであれば変速機11のギヤ段が大きいほど変速機11の駆動軸12の回転数が大きくなる。
アクセル開度センサー26は、ドライバーによるアクセルペダル27の操作量であるアクセル開度Accを検出し、その検出したアクセル開度Accを示す信号を車載ネットワーク28に出力する(図2参照。)。
ECU30は、プロセッサ、メモリ、入力インターフェース、および、出力インターフェース等がバスを介して互いに接続された1以上のマイクロコントローラーを中心に構成される。ECU30は、各種センサー21,24,26が車載ネットワーク28に出力した各種の情報を入力インターフェースを介して取得する。そしてECU30は、その取得した各種の情報、および、メモリに記憶したプログラムや各種のデータに基づいて各種の処理を実行し、これらの各種の処理を通じて、変速機11やクラッチ15といった制御対象を制御する。ECU30は、各種の処理の1つとして、制動時(Acc=0)のときにクラッチ15を接続状態から切断状態へ制御する制動処理を実行する。
図2に示すように、ECU30は、プログラムの実行により機能する各種機能部として、取得部31、変速制御部32、クラッチ制御部33、及び、記憶部35を有している。
取得部31は、各種情報を取得する。取得部31は、ブレーキ開度センサー21が出力した信号を車載ネットワーク28および入力インターフェースを介して取得することによりブレーキ開度Bを取得する。取得部31は、出力回転数センサー24が出力した信号を車載ネットワーク28および入力インターフェースを介して取得することにより出力回転数Npを取得する。取得部31は、アクセル開度センサー26が出力した信号を車載ネットワーク28および入力インターフェースを介して取得することによりアクセル開度Accを取得する。また、取得部31は、出力回転数Npと変速機11のギヤ段(変速比)とに基づいて、変速機11の駆動軸12の回転数であって、クラッチ15が接続状態にあるときにはエンジン13の出力軸14の回転数であるエンジン回転数Neと同じ値となるシャフト回転数Nsを取得する。
変速制御部32は、変速機11のギヤ段を制御する。記憶部35には、たとえばシャフト回転数Nsとアクセル開度Accとに応じてギヤ段が規定されたシフトスケジュールが予め記憶されている。変速制御部32は、取得部31が取得するシャフト回転数Nsおよびアクセル開度Acc、ならびに、記憶部35に記憶されたシフトスケジュールに基づいて変速機11を制御する。変速制御部32は、具体的なギヤ段を指示する信号、若しくは、ギヤ段のアップダウンを指示する信号を出力インターフェースおよび車載ネットワーク28を介して変速機11に出力する。
クラッチ制御部33は、クラッチアクチュエーター16の動作量に基づいてクラッチ15の断接を制御する。クラッチ制御部33は、アクセル開度Accが0より大きい場合、変速制御部32によるギヤ段の変更時にクラッチ15を一時的に切断状態に制御する変速断接処理を実行する。変速断接処理において、クラッチ制御部33は、たとえば、アクセル開度Acc、シャフト回転数Ns、および、記憶部35が記憶するシフトスケジュールに基づいて変速タイミングを把握し、その把握した変速タイミングに基づいてクラッチ15を一時的に切断状態に制御する。またたとえば、クラッチ制御部33は、変速制御部32が信号を出力するタイミングに基づいてクラッチ15を一時的に切断状態に制御する。
クラッチ制御部33は、アクセル開度Accが0である場合、クラッチ15を接続状態から切断状態へ制御する制動処理を実行する。制動処理において、クラッチ制御部33は、ブレーキ開度B、シャフト回転数Ns、現在のギヤ段、および、記憶部35に記憶された切替回転数情報36などに基づいてクラッチ15を切断状態へ制御する。
切替回転数情報36の基本的な構成について説明する。切替回転数情報36は、制動時にクラッチ15を接続状態から切断状態へ切り替えるシャフト回転数Nsである切替回転数Ncがブレーキ開度Bごとに規定されたテーブル情報である。記憶部35は、こうした切替回転数情報36をギヤ段ごとに記憶している。
図3は、変速比が最も大きい第1ギヤ段についての切替回転数情報を模式的に示す図である。切替回転数Ncには、実験やシミュレーションにおいて所定の条件を満たしたシャフト回転数Nsが設定される。切替回転数Ncは、上述した実験やシミュレーションにおいて、各ブレーキ開度Bによる制動時にエンジン回転数Neの過度な低下が抑えられるシャフト回転数Nsの最小値を基準(最低値)として設定される。なお、エンジン回転数Neは、エンジン13の出力軸14の回転数である。また、「過度な低下」とは、たとえば、クラッチ15の切断開始後にアイドル回転数Neiを下回ったエンジン回転数Neが切断完了時にも未だアイドル回転数Neiを下回った状態にあることである(図7に示す比較例のエンジン回転数を参照。)。クラッチ15の切断開始および切断完了は、クラッチアクチュエーター16の動作量により判断される。
たとえば図3に示すように、第1ギヤ段に対応する切替回転数情報36では、0を始点とするブレーキ開度Bの上昇に対する切替回転数Ncとして、一定回転数NcLが規定されたのちに連続的に単調増加する回転数が規定されている。変速比の最も大きい第1ギヤ段において単調増加の起点となるブレーキ開度Bを起点開度B1という。この起点開度B1には、後述する境界開度B2よりも小さいブレーキ開度Bが設定されている。ここでいう「単調増加」は、ブレーキ開度Bの最大値である最大開度Bmaxに規定された切替回転数Ncである最大切替回転数Nc1が最も大きく、かつ、ブレーキ開度Bの単位増加に対する切替回転数Ncの増加率(微分値)が0以上であることである。
また、ブレーキ開度Bは、境界開度B2を境界として通常制動領域と急制動領域とに分類される。通常制動領域は、通常制動と判断されるブレーキ開度で構成される。急制動領域は、急制動と判断されるブレーキ開度で構成される。境界開度B2は、全てのギヤ段について共通する開度であり、通常制動時に使用されるブレーキ開度Bの最大値である。境界開度B2は、その時々の設計条件に応じて変更可能である。
こうしたことから、切替回転数情報36には、急制動領域に分類されるブレーキ開度Bに対しては、通常制動領域に分類されるブレーキ開度Bに規定された切替回転数Ncよりも大きな回転数が切替回転数Ncとして規定されている。すなわち、切替回転数情報36は、ブレーキ開度Bが大きいほどクラッチ15が切断状態へ切り替えられるタイミングが早くなるように、すなわち制動時にクラッチ15が切断状態となるタイミングが通常制動時よりも急制動時において早くなるように構成されている。記憶部35は、こうした構成の切替回転数情報36をギヤ段ごとに記憶している。
なお、切替回転数Ncは、図3においては起点開度B1よりも大きなブレーキ開度Bにおいて直線状に単調増加するように推移しているが、単調増加するように規定されていればその推移はその時々の設計条件に応じて変更可能である。たとえば、切替回転数Ncは、代表的な切替回転数Ncを基準として折れ線状に推移する構成であってもよいし、曲線状に推移する構成であってもよい。この際、切替回転数Ncの増加率は、最大開度Bmaxに近づくほど大きくなることが好ましい。
図4は、各ギヤ段の切替回転数情報を重ねて示した図である。また、図5(a)、図5(b)、図5(c)、図5(d)、図5(e)、図5(f)は、それぞれ第2ギヤ段、第3ギヤ段、第4ギヤ段、第5ギヤ段、第6ギヤ段、第7ギヤ段の切替回転数情報を個別に示した図である。なお、図5(a)〜(f)においては、比較のために1つ低いギヤ段の切替回転数を点線で示している。図4および図5に示すように、0から起点開度B1までの各ブレーキ開度Bには、各ギヤ段について一定回転数NcLが切替回転数Ncとして規定されている。また、ブレーキ開度Bの最大開度Bmaxには、変速比の大きいギヤ段ほど大きい回転数が最大切替回転数Nc1,Nc2,Nc3,Nc4,Nc5,Nc6,Nc7として規定されている。また、各ギヤ段の切替回転数Ncは、起点開度B1よりも大きいブレーキ開度Bにおいて単調増加している。そのため、単調増加部分の切替回転数Ncについては、同じブレーキ開度Bにおける増加率(微分値)が変速比の大きいギヤ段ほど大きくなっている。
すなわち、各ギヤ段の切替回転数情報36は、急制動領域に分類されるブレーキ開度Bに、通常制動領域に分類されるブレーキ開度Bに規定された切替回転数Ncよりも大きい回転数を切替回転数Ncとして含んでいる。また、最大開度Bmaxに近いブレーキ開度Bに対しては、より大きな回転数が切替回転数Ncとして規定されている。つまり、各ギヤ段の切替回転数情報36は、ブレーキ開度Bが同じであれば変速比の大きなギヤ段ほどクラッチ15が切断状態へ切り替えられるタイミングが早くなるように構成されている。
図6を参照して、上述した切替回転数情報を用いた制動処理の手順について説明する。クラッチ制御部33は、アクセル開度Accが0になると制動処理を開始する。制動処理の開始時、クラッチ15は接続状態にある。
図6に示すように、制動処理において、クラッチ制御部33は、まず、取得部31を通じてブレーキ開度Bおよびシャフト回転数Nsを取得する(ステップS11)。また、クラッチ制御部33は、現在のギヤ段を取得する(ステップS11)。クラッチ制御部33は、記憶部35に記憶しているシフトスケジュールに基づいて仮想的にギヤ段を変更することにより現在のギヤ段を取得してもよいし、変速制御部32の出力する信号に基づいて現在のギヤ段を取得してもよい。
次に、クラッチ制御部33は、ステップS11にて取得したギヤ段に対応する切替回転数情報36にステップS11で取得したブレーキ開度Bを適用することにより切替回転数Ncを設定する(ステップS12)。続いてクラッチ制御部33は、ステップS11で取得したシャフト回転数NsがステップS12で設定した切替回転数Ncよりも小さいか否かを判断する(ステップS13)。
シャフト回転数Nsが切替回転数Ncよりも小さい場合(ステップS13:YES)、クラッチ制御部33は、クラッチ15を切断状態に制御する信号を車載ネットワーク28を介してクラッチアクチュエーター16に出力し(ステップS14)、制動処理を終了する。一方、シャフト回転数Nsが切替回転数Nc以上である場合(ステップS13:NO)、再びステップS11の処理に戻る。なお、クラッチ制御部33は、アクセル開度Accが0よりも大きくなった場合にはクラッチ15を接続状態に維持したまま制動処理を強制的に終了する。
図7を参照して、上記構成の自動変速機10の制御装置の作用について説明する。
図7は、第1ギヤ段においてシャフト回転数Ns1(>Nc1)およびエンジン回転数Ne1にある車両においてブレーキ開度Bを0%から最大開度Bmaxへ変化させた場合のクラッチ15の断接状態の変化(クラッチアクチュエーター16の動作量)、シャフト回転数Nsの変化、および、エンジン回転数Neの変化を比較した結果を示す図である。なお、比較例は、切替回転数Ncが全てのブレーキ開度Bにおいて一定回転数NcLに設定された自動変速機である。実施例は、上述した自動変速機10である。
図7に示すように、比較例の自動変速機では、エンジン回転数Neがアイドル回転数Neiに近くなる一定回転数NcLまでシャフト回転数Nsが低下してからクラッチ15が切断状態へ制御され始める。そのため、変速機11の駆動軸12によるエンジン13の出力軸14の連れ回しによってエンジン回転数Neがアイドル回転数Neiを下回って過度に低下してしまい、遂にはエンジンストールすることが認められた。一方、実施例の自動変速機10では、シャフト回転数Nsが一定回転数NcLよりも大きい最大切替回転数Nc1でクラッチ15が切断状態へ制御され始める。実施例の自動変速機においては、変速機11の駆動軸12によるエンジン13の出力軸14の連れ回しが生じたとしてもエンジン回転数Neが過度に低下することがなく、クラッチ15が切断状態に制御されたときにエンジン回転数Neがアイドル回転数Neiに復帰していることが認められた。
上記実施形態によれば、以下に列挙する作用効果が得られる。
(1)切替回転数情報36には、急制動領域のブレーキ開度Bに対し、通常制動領域のブレーキ開度Bよりも大きな回転数が切替回転数Ncとして規定されている。そのため、急制動時には通常制動時よりも早いタイミングでクラッチを切断状態に制御することができる。その結果、急制動時におけるエンジン回転数の過度な低下を抑えることができる。
(2)急制動領域においては、ブレーキ開度Bに対して単調増加する回転数が切替回転数Ncとして規定されている。すなわち、ブレーキ開度Bが大きくなるほど、換言すれば、制動開始から停車までに要する制動時間が短くなるほど、クラッチ15を切断状態へ制御するタイミングを早めることができる。その結果、急制動時におけるエンジン回転数の過度な低下をより確実に抑えることができる。
(3)また、急制動領域においては、ブレーキ開度Bに対して連続的に単調増加する回転数が切替回転数Ncとして規定されている。そのため、ブレーキ開度Bの僅かな違いに対して切替回転数Ncの変化も僅かであるため、こうした切替回転数Ncの変化に起因してドライバーが違和感を覚えることを抑えることができる。
(4)シャフト回転数Nsが同じであってもギヤ段ごとに車速が異なるため、制動時におけるシャフト回転数Nsの変化はギヤ段ごとに異なる。この点、上記構成によれば、記憶部35は、第1ギヤ段〜第7ギヤ段の各々について各別に切替回転数情報36を記憶している。そのため、その時々のギヤ段およびブレーキ開度Bに適したシャフト回転数Nsでクラッチ15を切断状態に制御することができる。その結果、急制動時におけるエンジン回転数Neの過度な低下をさらに確実に抑えることができる。
(5)上述したように制動時間はシャフト回転数Nsが同じであればその時々のギヤ段の変速比が大きいほど短くなる。上記構成においては、変速比が大きいギヤ段ほど大きな回転数が最大切替回転数として規定されている。その結果、最大開度Bmaxによる制動時においてもエンジン回転数Neの過度な低下をより確実に抑えることができる。
なお、上記実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・最大切替回転数は、変速比が大きいギヤ段ほど大きい構成に限らず、たとえば、変速比の異なる複数のギヤ段において同じであってもよい。この場合、最大切替回転数は、変速比の小さなギヤ段については変速比の大きなギヤ段に合わせることが好ましい。
・ECU30は、複数のギヤ段の各々についての切替回転数情報36を記憶部35に記憶している構成に限らず、複数のギヤ段に対して1つの切替回転数情報36を記憶部35に記憶している構成であってもよい。たとえば、ECU30は、第1ギヤ段および第2ギヤ段に対応する切替回転数情報36と、第3ギヤ段〜第7ギヤ段に対応する切替回転数情報36とを記憶部35に記憶している構成であってもよい。またたとえば、ECU30は、図3に示した第1ギヤ段に対応する切替回転数情報36を全てのギヤ段に適用して制動処理を実行する構成であってもよい。
・急制動領域のブレーキ開度Bには、通常制動領域のブレーキ開度Bに規定された切替回転数Ncよりも大きな回転数が規定されていればよい。そのため、急制動領域のブレーキ開度Bに対しては、一定の回転数が切替回転数Ncとして規定されていてもよいし、段階的に大きくなる回転数が切替回転数Ncとして規定されていてもよい。
・ECU30は、出力回転数センサー24に代えて、変速機11の駆動軸12の回転数を検出するシャフト回転数センサーの検出値を取得する構成であってもよい。また、エンジン13の出力軸14と変速機11の駆動軸12とがクラッチ15を介して接続されることから、制動処理においては、エンジン回転数Neをシャフト回転数Nsとして取り扱ってもよい。すなわち、ECU30は、出力回転数センサー24に代えて、エンジン13の出力軸14の回転数を検出するエンジン回転数センサーの検出値を取得する構成であってもよい。
・変速機は、複数のギヤ段を有しているものであればよく、7つのギヤ段を有する変速機11に限られるものではない。
・ECU30は、たとえば燃料噴射量や車両の加速度などに基づいて車両の重量を推定する重量推定部を備え、重量推定部の推定した重量が大きいほど各ブレーキ開度Bにおける切替回転数を補正する構成であってもよい。こうした構成によれば、その時々の車両の重量に応じた態様でエンジン回転数の過度な低下を抑えることができる。
10…自動変速機、11…変速機、12…駆動軸、13…エンジン、14…出力軸、15…クラッチ、16…クラッチアクチュエーター、17…出力軸、21…ブレーキ開度センサー、22…ブレーキペダル、24…出力回転数センサー、26…アクセル開度センサー、27…アクセルペダル、28…車載ネットワーク、30…ECU、31…取得部、32…変速制御部、33…クラッチ制御部、35…記憶部、36…切替回転数情報。

Claims (5)

  1. エンジンの出力軸と変速機の駆動軸とを接続するクラッチの断接を制御するクラッチ制御装置であって、
    ブレーキペダルの開度であるブレーキ開度、および、前記駆動軸の回転数を取得する取得部と、
    制動時に前記クラッチを接続状態から切断状態へ切り替える前記駆動軸の回転数である切替回転数が前記ブレーキ開度ごとに規定された切替回転数情報を記憶する記憶部と、
    制動時に前記ブレーキ開度の取得値に対応する前記切替回転数よりも前記駆動軸の回転数の取得値が小さいことを条件として前記クラッチを切断状態へ切り替えるクラッチ制御部とを備え、
    前記切替回転数情報には、急制動時のブレーキ開度に対し、通常制動時のブレーキ開度よりも大きな回転数が前記切替回転数として規定されている
    クラッチ制御装置。
  2. 前記切替回転数情報には、前記急制動時のブレーキ開度に対して単調増加する回転数が前記切替回転数として規定されている
    請求項1に記載のクラッチ制御装置。
  3. 前記切替回転数情報には、前記急制動時のブレーキ開度に対して連続的に単調増加する回転数が前記切替回転数として規定されている
    請求項2に記載のクラッチ制御装置。
  4. 前記記憶部は、
    前記変速機が有する複数のギヤ段の各々について前記切替回転数情報を記憶し、
    前記クラッチ制御部は、
    前記変速機におけるギヤ段を取得し、前記取得したギヤ段に対応する前記切替回転数情報を用いて前記条件の成否を判断する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のクラッチ制御装置。
  5. 前記ブレーキ開度の最大値に対応する前記切替回転数が最大切替回転数であり、
    前記最大切替回転数は、変速比が大きいギヤ段ほど大きい回転数である
    請求項4に記載のクラッチ制御装置。
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