以下、図面を参照しながら、発明を実施するための形態を説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
●実施形態●
●システム構成
まず、図1乃至図8を用いて、各実施形態における光源装置が適用されるシステムについて説明する。図1は、実施形態に係る表示システムのシステム構成の一例を示す図である。表示システム1は、表示装置10から投射される投射光を、透過反射部材に投射させることによって観察者3に表示画像を視認させるシステムである。表示画像は、観察者3の視界に虚像45として重畳して表示する画像である。
表示システム1は、例えば、車両、航空機もしくは船舶等の移動体、または操縦シミュレーションシステムもしくはホームシアターシステム等の非移動体に備えられる。本実施形態は、表示システム1が、移動体の一例である自動車に備えられた場合について説明する。なお、表示システム1の使用形態は、これに限られるものではない。
表示システム1は、例えば、フロントガラス50を介して車両の操縦に必要なナビゲーション情報(例えば車両の速度、進路情報、目的地までの距離、現在地名称、車両前方における物体(対象物)の有無や位置、制限速度等の標識、渋滞情報等の情報等)を、観察者3(操縦者)に視認可能にする。この場合、フロントガラスは、入射された光の一部を透過させ、残部の少なくとも一部を反射させる透過反射部材として機能する。観察者3の視点位置からフロントガラス50までの距離は、数十cm〜1m程度である。
表示システム1は、表示装置10、自由曲面ミラー30およびフロントガラス50を備える。表示装置10は、例えば、移動体の一例である自動者に搭載されたヘッドアップディスプレイ装置(HUD装置)である。表示装置10は、自動車のインテリアデザインに準拠して任意の位置に配置される。表示装置10は、例えば、自動車のダッシュボードの下方に配置されてもよく。ダッシュボード内に埋め込まれていてもよい。
表示装置10は、光源装置11、光偏向装置13およびスクリーン15を備える。光源装置11は、光源から出射されたレーザ光を、装置外部へ照射するデバイスである。光源装置11は、例えば、R、G、Bの3色のレーザ光を合成したレーザ光を照射してもよい。光源装置11から射出されたレーザ光は、光偏向装置13の反射面に導かれる。光源装置11は、光源として、LD(Laser Diode)等の半導体発光素子を有する。なお、光源は、これに限られず、LED(light emitting diode)等の半導体発光素子を有してもよい。
光偏向装置13は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等を利用してレーザ光の進行方向を変化させるデバイスである。光偏向装置13は、例えば、直交する2軸に対して揺動する単一の微小なMEMSミラー、または1軸に対して揺動もしくは回転する2つのMEMSミラーからなるミラー系等の走査手段を利用して構成される。光偏向装置13から射出したレーザ光は、スクリーン15に走査される。なお、光偏向装置13は、MEMSミラーに限られず、ポリゴンミラー等を用いて構成されてもよい。
スクリーン15は、レーザ光を所定の発散角で発散させる機能を有する発散部材である。スクリーン15は、例えば、EPE(Exit Pupil Expander)の形態として、マイクロレンズアレイ(MLA)または拡散板等の光拡散効果を持つ透過型の光学素子によって構成される。なお、スクリーン15は、マイクロミラーアレイ等の光拡散効果を持つ反射型の光学素子によって構成されてもよい。スクリーン15は、光偏向装置13から射出されたレーザ光がスクリーン15上に走査されることによって、スクリーン15上に二次元像である中間像40を形成する。
ここで、表示装置10の投射方式は、液晶パネル、DMDパネル(デジタルミラーデバイスパネル)または蛍光表示管(VFD)等イメージングデバイスで中間像40を形成する「パネル方式」と、光源装置11から射出されたレーザ光を走査手段で走査して中間像40を形成する「レーザ走査方式」がある。
本実施形態に係る表示装置10は、後者の「レーザ走査方式」を採用する。「レーザ走査方式」は、各画素に対して発光または非発光を割り当てることができるため、一般に高コントラストの画像を形成することができる。なお、表示装置10は、投射方式として「パネル方式」を用いてもよい。
スクリーン15から射出されたレーザ光(光束)によって、自由曲面ミラー30およびフロントガラス50に投射された虚像45は、中間像40から拡大されて表示される。自由曲面ミラー30は、フロントガラス50の湾曲形状による画像の傾き、歪、位置ずれ等を相殺するように設計および配置されている。自由曲面ミラー30は、所定の回転軸を中心として回転可能に設置されてもよい。これにより、自由曲面ミラー30は、スクリーン15から射出されたレーザ光(光束)の反射方向を調整し、虚像45の表示位置を変化させることができる。
ここでは、自由曲面ミラー30は、虚像45の結像位置が所望の位置になるように、一定の集光パワーを有するように既存の光学設計シミュレーションソフトを用いて設計されている。表示装置10は、虚像45が観察者3の視点位置から例えば1m以上かつ30m以下(好ましくは10m以下)の位置(奥行位置)に表示されるように、自由曲面ミラー30の集光パワーが設定する。なお、自由曲面ミラー30は、凹面ミラーやその他集光パワーを有する素子であってもよい。自由曲面ミラー30は、結像光学系の一例である。
フロントガラス50は、レーザ光(光束)の一部を透過させ、残部の少なくとも一部を反射させる機能(部分反射機能)を有する透過反射部材である。フロントガラス50は、観察者3に前方の景色および虚像45を視認させる半透過鏡として機能する。虚像45は、例えば、車両情報(速度、走行距離等)、ナビゲーション情報(経路案内、交通情報等)、警告情報(衝突警報等)等を観察者3に視認させるための画像情報である。なお。透過反射部材は、フロントガラス50とは別途設けられたフロントウインドシールド等であってもよい。フロントガラス50は、反射部材の一例である。
虚像45は、フロントガラス50の前方の景色と重畳するように表示されてもよい。また、フロントガラス50は、平面でなく、湾曲している。そのため、虚像45の結像位置は、自由曲面ミラー30とフロントガラス50の曲面によって決定される。なお、フロントガラス50は、部分反射機能を有する個別の透過反射部材としての半透過鏡(コンバイナ)を利用してもよい。
このような構成により、スクリーン15から射出されたレーザ光(光束)は、自由曲面ミラー30に向けて投射され、フロントガラス50で反射される。観察者3は、フロントガラス50で反射された光によって、スクリーン15に形成された中間像40が拡大された虚像45を視認することができる。
●ハードウエア構成
図2は、実施形態に係る表示装置のハードウエア構成の一例を示す図である。なお、図2に示すハードウエア構成は、必要に応じて構成要素が追加または削除されてもよい。
表示装置10は、表示装置10の動作を制御するためのコントローラ17を有する。コントローラ17は、表示装置10の内部に実装された基板またはICチップ等である。コントローラ17は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)1001、CPU(Central Processing Unit)1002、ROM(Read Only Memory)1003、RAM(Random Access Memory)1004、I/F(Interface)1005、バスライン1006、LDドライバ1008、MEMSドライバ1010およびモータドライバ1012を含む。
FPGA1001は、表示装置10の設計者による設定変更が可能な集積回路である。LDドライバ1008、MEMSドライバ1010、およびモータドライバ1012は、FPGA1001からの制御信号に応じて駆動信号を生成する。CPU1002は、表示装置10全体を制御するための処理を行う集積回路である。ROM1003は、CPU1002を制御するプログラムを記憶する記憶装置である。RAM1004は、CPU1002のワークエリアとして機能する記憶装置である。I/F1005は、外部装置と通信するためのインターフェースである。I/F1005は、例えば自動車のCAN(Controller Area Network)等に接続される。
LD1007は、例えば、光源装置11の一部を構成する半導体発光素子である。LDドライバ1008は、LD1007を駆動する駆動信号を生成する回路である。MEMS1009は、光偏向装置13の一部を構成し、走査ミラーを変位させるデバイスである。MEMSドライバ1010は、MEMS1009を駆動する駆動信号を生成する回路である。モータ1011は、自由曲面ミラー30の回転軸を回転させる電動機である。モータドライバ1012は、モータ1011を駆動する駆動信号を生成する回路である。なお、LDドライバ1008は、光源装置11の一部として設けられてもよく、MEMSドライバ1010は、光偏向装置13の一部として設けられてもよい。
●機能構成
図3は、実施形態に係る表示装置の機能構成の一例を示す図である。表示装置10により実現される機能は、車両情報受信部171、外部情報受信部172、画像生成部173および画像表示部174を含む。
車両情報受信部171は、CAN等から自動車の情報(速度、走行距離等の情報)を受信する機能である。車両情報受信部171は、図2に示したI/F1005およびCPU1002の処理、並びにROM1003に記憶されたプログラム等により実現される。
外部情報受信部172は、外部ネットワークから自動車外部の情報(GPSからの位置情報、ナビゲーションシステムからの経路情報または交通情報等)を受信する機能である。外部情報受信部172は、図2に示したI/F1005およびCPU1002の処理、並びにROM1003に記憶されたプログラム等により実現される。
画像生成部173は、車両情報受信部171および外部情報受信部172により入力された情報に基づいて、中間像40および虚像45を表示させるための画像情報を生成する機能である。画像生成部173は、図2に示したCPU1002の処理、およびROM1003に記憶されたプログラム等により実現される。
画像表示部174は、画像生成部173により生成された画像情報に基づいて、スクリーン15に中間像40を形成し、中間像40を構成したレーザ光(光束)をフロントガラス50に向けて投射して虚像45を表示させる機能である。画像表示部174は、図2に示したCPU1002、FPGA1001、LDドライバ1008、MEMSドライバ1010およびモータドライバ1012の処理、並びにROM1003に記憶されたプログラム等により実現される。
画像表示部174は、制御部175、中間像形成部176および投影部177を含む。
制御部175は、中間像40を形成するために、光源装置11および光偏向装置13の動作を制御する制御信号を生成する。また、制御部175は、虚像45を所定の位置に表示させるために、自由曲面ミラー30の動作を制御する制御信号を生成する。
中間像形成部176は、制御部175によって生成された制御信号に基づいて、スクリーン15に中間像40を形成する。投影部177は、観察者3に視認させる虚像45を形成するために、中間像40を構成したレーザ光を、透過反射部材(フロントガラス50等)に投射させる。
●光偏向装置
図4は、実施形態に係る光偏向装置の具体的構成の一例を示す図である。光偏向装置13は、半導体プロセスにより製造されるMEMSミラーであり、ミラー130、蛇行状梁部132、枠部材134、および圧電部材136を含む。光偏向装置13は、走査部の一例である。
ミラー130は、光源装置11から射出されたレーザ光をスクリーン15側に反射する反射面を有する。光偏向装置13は、ミラー130を挟んで一対の蛇行状梁部132を形成する。蛇行状梁部132は、複数の折り返し部を有する。折り返し部は、交互に配置される第1の梁部132aと第2の梁部132bとから構成されている。蛇行状梁部132は、枠部材134に支持されている。圧電部材136は、隣接する第1の梁部132aと第2の梁部132bとを接続するように配置されている。圧電部材136は、第1の梁部132aと第2の梁部132bとに異なる電圧を印加し、梁部132a,132bのそれぞれに反りを発生させる。
これにより、隣接する梁部132a,132bは、異なる方向に撓む。ミラー130は、撓みが累積されることによって、左右方向の軸を中心として垂直方向に回転する。このような構成により、光偏向装置13は、垂直方向への光走査が低電圧で可能となる。上下方向の軸を中心とした水平方向の光走査は、ミラー130に接続されたトーションバー等を利用した共振により行われる。
●スクリーン
図5は、実施形態に係るスクリーンの具体的構成の一例を示す図である。スクリーン15は、光源装置11の一部を構成するLD1007から射出されたレーザ光を結像させる。また、スクリーン15は、所定の発散角で発散させる発散部材である。スクリーン15は、光学素子の一例である。図5に示すスクリーン15は、六角形形状を有する複数のマイクロレンズ150が隙間なく配列されたマイクロレンズアレイ構造を有している。マイクロレンズ150のレンズ径(対向する2辺間の距離)は、200μm程度である。スクリーン15は、マイクロレンズ150の形状を六角形とすることにより、複数のマイクロレンズ150を高密度で配列することができる。
なお、マイクロレンズ150の形状は、六角形に限られるものではなく、例えば四角形、三角形等であってもよい。また、複数のマイクロレンズ150が規則正しく配列された構造を例示しているが、マイクロレンズ150の配列は、これに限られるものではなく、例えば、各マイクロレンズ150の中心を互いに偏心させ、不規則な配列としてもよい。このように偏心させた配列を採用する場合、各マイクロレンズ150は、互いに異なる形状となる。
図6は、マイクロレンズアレイにおいて、入射光束径とレンズ径の大小関係の違いによる作用の違いについて説明するための図である。図6(a)において、スクリーン15は、マイクロレンズ150が整列して配置された光学板151によって構成される。光学板151上に入射光152を走査する場合、入射光152は、マイクロレンズ150により発散され、発散光153となる。スクリーン15は、マイクロレンズ150の構造により、入射光152を所望の発散角154で発散させることができる。マイクロレンズ150の周期155は、入射光152の径156aよりも大きくなるように設計される。これにより、スクリーン15は、レンズ間での干渉を起こさずに、干渉ノイズの発生を抑制する。
図6(b)は、入射光152の径156bが、マイクロレンズ150の周期155の2倍大きい場合の発散光の光路を示す。入射光152は、二つのマイクロレンズ150a、150bに入射し、それぞれ発散光157、158を生じさせる。このとき、領域159において、二つの発散光が存在するため、光の干渉を生じうる。この干渉光が観察者の目に入った場合、干渉ノイズとして視認される。
以上を考慮して、干渉ノイズを低減するため、マイクロレンズ150の周期155は、入射光の径156よりも大きく設計される。なお、図6は、凸面レンズの形態で説明したが、凹面レンズの形態においても同様の効果があるものとする。
図7は、光偏向装置のミラーと走査範囲の対応関係について説明するための図である。光源装置11の各光源素子は、FPGA1001によって発光強度や点灯タイミング、光波形が制御される。光源装置11の各光源素子は、LDドライバ1008によって駆動され、レーザ光を射出する。各光源素子から射出され光路合成されたレーザ光は、図7に示すように、光偏向装置13のミラー130によってα軸周り、β軸周りに二次元的に偏向され、ミラー130を介して走査光としてスクリーン15に照射される。すなわち、スクリーン15は、光偏向装置13による主走査および副走査によって二次元走査される。
走査範囲は、光偏向装置13によって走査しうる全範囲である。走査光は、スクリーン15の走査範囲を、2〜4万Hz程度の速い周波数で主走査方向(X軸方向)に振動走査(往復走査)しつつ、数十Hz程度の遅い周波数で副走査方向(Y軸方向)に片道走査する。すなわち、光偏向装置13は、スクリーン15に対してラスタースキャンを行う。この場合、表示装置10は、走査位置(走査光の位置)に応じて各光源素子の発光制御を行うことで、画素ごとの描画または虚像の表示を行うことができる。
一画面を描画する時間、すなわち1フレーム分の走査時間(二次元走査の1周期)は、
上記のように副走査周期が数十Hzであることから、数十msecとなる。例えば、主走査周期を20000Hz、副走査周期を50Hzとした場合、1フレーム分の走査時間は、20msecとなる。
図8は、2次元走査時の走査線軌跡の一例を示す図である。スクリーン15は、図8に示すように、中間像40が描画される(画像データに応じて変調された光が照射される)画像領域61(有効走査領域)と、画像領域61を取り囲むフレーム領域62を含む。
走査範囲は、スクリーン15における画像領域61とフレーム領域62の一部(画像領域61の外縁近傍の部分)を併せた範囲とする。図8において、走査範囲における走査線の軌跡は、ジグザグ線によって示される。図8において、走査線の本数は、便宜上、実際よりも少なくしている。
スクリーン15は、上述のように、マイクロレンズアレイ200等の光拡散効果を持つ透過型の光学素子で構成されている。画像領域61は、矩形または平面である必要はなく、多角形または曲面であってもよい。また、スクリーン15は、光拡散効果を持たない平板または曲板であってもよい。さらに、スクリーン15は、装置レイアウトに応じて、例えば、マイクロミラーアレイ等の光拡散効果を持つ反射型の光学素子とすることもできる。
スクリーン15は、走査範囲における画像領域61の周辺領域(フレーム領域62の一部)に、受光素子を含む同期検知系60を備える。図8において、同期検知系60は、画像領域61の−X側かつ+Y側の隅部に配置される。同期検知系60は、光偏向装置13の動作を検出して、走査開始タイミングや走査終了タイミングを決定するための同期信号をFPGA1001に出力する。
●第1の実施形態●
●光源装置
続いて、図9乃至図23を用いて、第1の実施形態に係る光源装置11Aの構成について説明する。まず、図9乃至図12を用いて、光源装置11Aの概略について説明する。
図9は、第1の実施形態に係る光源装置の具体的構成の一例を示す図である。光源装置11Aは、光源素子111(r),111(g),111(b)(以下、区別する必要のないときは、光源素子111とする。)、カップリングレンズ112(r),112(g),112(b)(以下、区別する必要のないときは、カップリングレンズ112とする。)、アパーチャ113(r),113(g),113(b)(以下、区別する必要のないときはアパーチャ113とする。)、ミラー114,光合成素子115,116、光分岐素子117、集光素子118および光検出器119を含む。
3色(R,G,B)の光源素子111(r),111(g),111(b)は、例えば、それぞれ単数または複数の発光点を有するLD(レーザダイオード)である。光源素子111(r),111(g),111(b)は、互いに異なる波長λR,λG,λB(例えば、λR=650nm,λG=515nm,λB=450nm)のレーザ光(光束)を射出する。光源装置11Aは、画像に必要な色生成のため、波長の異なる光束を放射する複数の光源素子111(111(r),111(g),111(b))を有する。光源素子111を駆動させるための回路基板は、小型化や低コストを考え、各光源素子111(r),111(g),111(b)を光源装置11Aの同じ面に配置することで共通化される。
放射された各光束は、それぞれ対応するカップリングレンズ112(r),112(g),112(b)によりカップリングされる。光源素子111から射出されるレーザ光(光束)は、拡散光であるため、対応するカップリングレンズ112によって集光されて平行光となる。半導体レーザは、指向性が高い一方で出射端において拡がりを有するため、次第に減衰してしまう。光源装置11Aは、放射された光束の損失を小さくするため、カップリングレンズ112を用いて放射された光束を平行光にする。
カップリングされた各光束は、それぞれ対応するアパーチャ113(r),113(g),113(b)により整形される。アパーチャ113は、光束の発散角等の所定の条件に応じた形状(例えば円形、楕円形、長方形、正方形等)を有する。アパーチャ113により整形された光束は、ミラー114と、2つの合成素子115,116とを用いて合成される。
ミラー114は、光源素子111(b)から射出された光束を偏向して、光分岐素子117へ導光する。光合成素子115は、ミラー114により導光された光束と、光源素子111(g)から射出された光束とを合成する。光合成素子116は、光合成素子115によって合成された光束と、光源素子111(r)から射出された光束とをさらに合成する。光合成素子115,116は、プレート状またはプリズム状のダイクロイックミラーであり、波長に応じて光束を反射または透過し、1つの光束に合成する。光源素子111(r),111(g),111(b)から射出された光束は、光合成素子115および光合成素子116によって合成され、同一の光路をたどるようになる。
光分岐素子117に入射した入射光の一部は、光分岐素子117を透過し、他の一部すなわち残部の少なくとも一部は、光分岐素子117で反射される。すなわち、光合成素子116によって合成された光束は、光分岐素子117によって透過光と反射光に分岐される。なお、光分岐素子117は、光合成素子116と光偏向装置13との間の光路上に配置されていればよい。
透過光は、光偏向装置13に照射され、スクリーン15上での画像描画および虚像表示に用いられる。すなわち、透過光は、画像光として用いられる。一方で、反射光は、集光素子118を介して光検出器119に照射され、虚像の色や輝度を調整するためのモニタ光として用いられる。
集光素子118は、光分岐素子117によって分岐されたモニタ光を、光検出器119に適切なビーム径で入射させるため、集光する。光検出器119は、モニタ光の光量を検出する。光検出器119は、光源装置11Aの小型化のため、複数の光源素子111から射出されたレーザ光(光束)を一つの素子で検出することが好ましい。
各光源素子111によって射出されるレーザ光(光束)の光量は、温度によって変動する。そこで、光源装置11Aは、各光源素子111から射出されるレーザ光(光束)の光量変動を光検出器119で検出し、光源素子111によって射出されるレーザ光(光束)の光量制御(APC)を行う。光源装置11Aは、合成素子116で合成されたレーザ光の一部を光分岐素子117によって光検出器119へ分岐させる。なお、光源装置11Aは、光分岐素子117における分岐面をレーザ光(光束)の入射面とし、光分岐素子117によって反射されたレーザ光を光検出器119へ導光し、光分岐素子117を透過したレーザ光を光偏向装置13へ導光するように、光分岐素子117が配置されている。
図10は、第1の実施形態に係る光源装置の構成の一例を概略的に示した図である。光源装置11Aは、図9に示した構成に加えて、制御回路300を含む。制御回路300は、バスライン307を介して、光源素子111および光検出器119に接続されている。制御回路300は、光源装置11Aの内部に実装された回路基板またはICチップ等である。制御回路300は、光検出器119によって検出された検出信号に基づいて、光源素子111の出力を制御する。
制御回路300は、FPGA301、CPU302、ROM303、RAM304、I/F305、ドライバ306およびバスライン307を含む。FPGA301は、光源装置11Aの設計者による設定変更が可能な集積回路である。ドライバ306は、FPGA301からの制御信号に応じて、光源素子111の駆動信号を生成する。CPU302は、光源装置11A全体を制御するための処理を行う集積回路である。ROM303は、CPU302を制御するプログラムを記憶する記憶装置である。RAM304は、CPU302のワークエリアとして機能する記憶装置である。I/F305は、光検出器119と通信するためのインターフェースである。
図11は、第1の実施形態に係る光検出器の具体的構成の一例を示す図である。光検出器119は、受光素子161、電流電圧変換回路162および信号処理回路163を有する。受光素子161は、光分岐素子117によって分岐された反射光(モニタ光)を受光し、受光した反射光を電流値に変換する。受光素子161は、例えば、フォトダイオード(PD)、フォトトランジスタ等を用いる。受光素子161は、変換した電流値を、電流電圧変換回路162へ出力する。
電流電圧変換回路162は、受光素子161から出力された出力電流を電圧値に変換する変換回路である。電流電圧変換回路162は、変換した電圧値を受光信号として、信号処理回路163へ出力する。
信号処理回路163は、電流電圧変換回路162によって変換された電圧値を、デジタル信号に変換する変換回路である。信号処理回路163は、例えば、ADコンバータ等である。また、信号処理回路163は、変換されたデジタル信号を増幅させる増幅器を有する。信号処理回路163は、変換したデジタル信号を増幅させた検出信号を、図10に示した制御回路300へ出力する。
●光検出器により検出される平均光量
続いて、光源装置11Aによる光量制御について説明する。まず、図12および図13を用いて、光検出器119によって検出されるレーザ光(光束)の光量について説明する。なお、以下、図9および図10に示した光源素子111(r)を赤色光源、光源素子111(g)を緑色光源、光源素子111(b)を青色光源と称する。
図12(a)は、青色光源の平均光量と駆動電流の特性を示す図である。光量制御(APC)において、光源から出力されるレーザ光の光量の値は、光検出器が受光するモニタ光の平均光量が代用される。図12(a)に示すように、青色光源から出力されるレーザ光(光束)は、駆動電流Iが大きくなるにつれて、光検出器によって検出される平均光量PLDが大きくなる。なお、赤色光源および緑色光源から出力されるレーザ光(光束)も、同様の特性を有する。
ここで、光検出器は、受光したレーザ光をデジタル値に変換した検出信号を出力する。そのため、図12(b)に示すデジタル値と駆動電流の特性を得ることができる。図12(b)は、青色光源からレーザ光をデジタル変換したデジタル値と駆動電流の特性を示す図である。ここで、図12(b)は、青色光源から出力されたレーザ光の検出信号の最大値を10bit(1024)となるように、光検出器の回路設計を行った場合の特性である。なお、デジタル値は、他のbit数で処理してもよく、検出信号の最大値にマージンを有してもよい。光源装置11Aは、予め各光源の平均光量とデジタル値との相関関係を予め取得しておくことで、デジタル値に基づいて、それぞれの光源から出力されるレーザ光の光量を制御することができる。
一方、各光源(赤色光源、緑色光源、青色光源)から出力されるレーザ光を、同一のデューティ比で出力した場合、色のホワイトバランスや各光源の定格の違いから、平均光量は、光源ごとに差が生じてしまう。図13(a)は、従来の光源装置における光源ごとの平均光量の一例を示す図である。複数の光源から出力されるレーザ光を1つの光検出器で検出する場合、光検出器119は、最も波長の長い光源(例えば、赤色光源)から出力されるレーザ光の平均光量の最大値(デジタル値)が1024となるように設計する必要がある。そのため、図13(a)に示すように、赤色光源から出力されるレーザ光よりも波長の短いレーザ光を出力する緑色光源および青色光源の平均光量は、デジタル値としての最大値(ここでは、1024)に対して小さくなる。
この場合、青色光源のデジタル値と駆動電流の特性は、図13(b)に示すようになる。図13(b)に示すように、青色光源のデジタル値は、図12(b)の例と比較して低下してしまう。したがって、複数の光源から出力されるレーザ光を1つの光検出器で検出する場合、光検出器119は、青色光源の1digitあたりの分解能が小さくなり、光量制御(APC)の精度が低下してしまう。
そこで、第1の実施形態に係る光源装置11Aは、最も波長の長いレーザ光を出力する光源素子111(例えば、赤色光源)を、他の光源とは異なるデューティ比で点灯させる。例えば、赤色光源から射出されたモニタ光の平均光量が、青色光源から射出されたモニタ光の平均光量が5倍である場合、光源装置11Aは、青色光源のデューティ比の1/5倍となるデューティ比で赤色光源を点灯させる。
図14は、第1の実施形態に係る光源装置において、赤色光源および青色光源から射出されるそれぞれのモニタ光の波形の一例を示す図である。図14に示すように、光源装置11Aにおいて、赤色光源から射出されたモニタ光のパルス幅bは、青色光源から射出されるモニタ光のパルス幅aの1/5である(b=a/5)。このように、光源装置11Aは、モニタ光の波形のパルス周期Tに対するパルス幅a,bを調整し、各光源のデューティ比を制御することで、それぞれの光源から出力されるモニタ光の平均光量を調整する。
図15は、第1の実施形態に係る光源装置において、赤色光源を青色光源とは異なるデューティ比で点灯させた場合におけるモニタ光の平均光量の一例を示す図である。図15に示すように、出力されるレーザ光の波長が最も長い赤色光源の平均光量と青色光源の平均光量との差は、小さくなる。なお、同様に、光源装置11Aは、赤色光源よりも高く、青色光源よりも低いデューティ比で緑色光源を点灯させることで、複数の光源から出力されたモニタ光の平均光量の差を小さくすることができる。
したがって、光源装置11Aは、複数の光源素子111を異なるデューティ比で点灯させることによって、光検出器119によって検出されるモニタ光の平均光量の差を小さくする。光源装置11Aは、複数の光源素子111を同一のパルス幅、かつそれぞれを最大出力で点灯させた場合の平均光量が高い光源(例えば、赤色光源)のデューティ比を低くするように、それぞれの光源素子111から出力されるレーザ光のパルス幅を変更する。これによって、光源装置11Aは、光検出器119によって検出されるモニタ光(検出信号)の量子化誤差を低減させることができるので、APCの精度を向上させることができる。
図16は、第1の実施形態に係る光源装置において、異なるデユーテイー比で光源素子を点灯させた場合における平均光量と駆動電流の特性の一例を示す図である。図16において、デューティ比A(DutyA)は、デューティ比B(DutyB)より高く設定されている。
図16に示すように、デューティ比A(DutyA)で点灯させた光源の平均光量は、デューティ比B(DutyB)で点灯させた光源の平均光量よりも高くなる。光源装置11Aは、異なるデューティ比で点灯させた場合の光量変動を取得しておくことによって、デューティ比を変更した場合に、所望の光量変動に変換することができる。例えば、光源装置11Aは、赤色光源をデューティ比Aで点灯させた場合における平均光量と駆動電流の特性を、デューティ比Bにおける光量変動と駆動電流の特性に変換することができる。
光源装置11Aは、観察者3に視認させる画像の輝度を、色(階調)や外光照度等にあわせて調整するため、光源素子111を様々なデューティ比でパルス点灯させる。光源装置11Aは、光源素子111の駆動電流値を変化させることによって、光源素子111から出力するレーザ光の光量を増減させる。光源装置11Aは、温度変動等が生じても、光源素子111ごとのデューティ比を用いて適切な出力を設定するため、光検出器119によって検出される平均光量と駆動電流の特性(IP特性)から、光源素子111から出力されるレーザ光の光量を制御する。
●制御回路300の機能構成
続いて、図17を用いて、第1の実施形態に係る光源装置11Aが有する制御回路300によって実現される機能を説明する。図17は、第1の実施形態に係る制御回路の機能構成の一例を示す図である。図17に示す制御回路300によって実現される機能は、光量算出部351、決定部352、駆動制御部353、検知部354、記憶・読出部355および記憶部356を含む。は、例えば、図2に示したコントローラ17が有するFPGA1001、LDドライバ1008およびCPU1002の処理によって実現される。なお、光量算出部351、決定部352、駆動制御部353、検知部354、記憶・読出部355および記憶部356の機能は、光源装置11A専用に設けられた専用ICによって設けられてもよい。
光量算出部351は、光検出器119によって検出されたレーザ光(光束)の平均光量を算出する機能である。光量算出部351は、例えば、光検出器119から出力される検出信号に基づいて、光源素子111から出力されるレーザ光の平均光量を算出する。光量算出部351は、光源素子111ごとにそれぞれから出力されるレーザ光の平均光量を算出する。光量算出部351は、主に、図10に示したFPGA301、CPU302およびI/F305の処理によって実現される。
決定部352は、光量算出部351によって算出された平均光量に基づいて、光源素子111の駆動条件を決定する機能である。駆動条件は、例えば、光源素子111の発光量や駆動電流値等である。決定部352は、光源素子111ごとに設定されたデューティ比に基づいて射出されるレーザ光の、それぞれの駆動条件を決定する。決定部352は、主に、図10に示したFPGA301およびCPU302の処理によって実現される。
駆動制御部353は、決定部352によって決定された駆動条件に基づいて、光源素子111の出力を制御する機能である。駆動制御部353は、主に、図10に示したFPGA301、CPU302およびドライバ306の処理によって実現される。
検知部354は、光源装置11Aによる各光源素子111から出力されるレーザ光の光量制御(APC)を行うタイミングを検出する機能である。検知部354は、例えば、光偏向装置13からの同期信号によって、図17に示した光量制御領域210に対する走査期間であることを検知する。また、検知部354は、光偏向装置13による走査周期を予め記憶し、光量制御領域210の走査周期であることを検知してもよい。検知部354は、主に、図10に示したFPGA301、CPU302の処理によって実現される。
ここで、図18を用いて、光源装置11Aによって行われる光量制御のタイミングについて説明する。図18は、第1の実施形態に係る光源装置における光量制御方法の一例を示す図である。
表示装置10は、光源装置11Aから斜出された光束を、光偏向装置13によって偏向させ、スクリーン15上に二次元走査する。図18に示すように、スクリーン15は、画像光によって画像を形成するための画像形成領域220とは異なる位置に、光量制御領域(光量制御領域)210を有する。光源装置11Aは、光偏向装置13によって画像光を光量制御領域210に走査させるタイミングで、各光源素子111から出力されるレーザ光の光量制御(APC)を行う。
観察者3に視認させる画像を形成する画像形成領域220で光量制御を行った場合、光量の変化に応じて、形成される画像に色ムラが生じてしまう。そのため、本実施形態に係る表示装置10は、図18に示すように、光量制御用のレーザ光を点灯させる光量制御領域210と画像形成領域220とを分離し、光量制御用のレーザ光を、画像形成領域220から遮光することによって、画像形成領域220に形成される画像の色ムラの発生を抑制することができる。
なお、図18に示す光量制御領域210は、図8に示したフレーム領域62の一部に対応し、画像形成領域220は、図8に示した画像領域61(有効走査領域)に対応する。なお、光量制御領域210は、図18に示した位置に限られず、図8に示したフレーム領域62の一部、すなわち画像領域61(有効走査領域)以外の位置に設けられていればよい。
記憶・読出部355は、記憶部356に各種データを記憶させ、または記憶部356から各種データを読み出す機能である。記憶・読出部355は、主に、図10に示したFPGA301、CPU302の処理によって実現される。記憶部356は、主に、図10に示したFPGA301、CPU302およびROM303によって実現される。
●光量制御
図19は、第1の実施形態に係る光源装置におけるAPCの一例を示すフローチャートである。HUD装置等の表示装置10は、様々な照度に応じて、適切な輝度レベル(Dimmingレベル)になるように、光源装置11Aを様々なデューティ比で発光させる。特定のDimmingレベルにおいて、各光源素子111から射出されたモニタ光の光検出器119における検出光量の差が小さくなるように、光源装置11Aは、各光源素子111のデューティ比を設計値として設定している。光源装置11Aは、例えば、赤色光源から射出されるレーザ光のデューティ比が青色光源から射出されるレーザ光のデューティ比よりも低く設定されている。
ステップS101において、光源装置11Aの検知部354は、光量制御(APC)のタイミングであることを検知した場合、処理をステップS102へ移行させる。具体的には、検知部354は、光偏向装置13からの同期信号によって、図18に示した光量制御領域210に対する走査期間であることを検知した場合、光量制御タイミングであることを検知する。また、検知部354は、光偏向装置13による走査周期を予め記憶し、光量制御領域210の走査周期であることを検知した場合、光量制御タイミングであることを検知してもよい。一方で、光源装置11Aは、検知部354によって光量制御タイミングであることを検知されるまでステップS101の処理を繰り返す。
ステップS102において、光源装置11Aの光量算出部351は、光検出器119によって検出されたモニタ光の平均光量を算出する。光量算出部351は、ステップS102によって検出された光量制御のタイミングまでに光検出器119によって検出されたモニタ光の平均光量を算出する。光量算出部351は、光源素子111ごとの平均光量を算出する。
ステップS103において、光源装置11Aの決定部352は、光量算出部351によって算出された平均光量に基づいて、各光源素子111の駆動条件を決定する。駆動条件は、光源素子111から出力されるレーザ光の発光量や駆動電流値等である。具体的には、決定部352は、予め設定されたデューティ比によって各光源素子を点灯させた場合における駆動条件を決定する。ステップS104において、光源装置11Aの駆動制御部353は、決定された駆動条件を用いて、光源素子111からレーザ光を出力する。
●分光感度特性
次に、光検出器119の分光感度特性について説明する。図20は、光検出器の分光感度特性を説明するための図である。一般的に、光検出器119は、図20に示すように、長波長側の波長を有するレーザ光の感度が高い分光感度特性を有する。すなわち、光検出器119は、同じ平均光量のモニタ光が入射した場合でも、分光感度特性の影響によって、検出される平均光量に差が生じてしまう。
図21は、光検出器によって検出される、光源素子ごとの平均光量の一例を示す図である。図21において、例えば、赤色光源、緑色光源、青色光源のそれぞれから出力されるレーザ光の光検出器119に対する入射光量を、6000μWに揃えたとする。この場合、図20に示した分光感度特性の影響によって、光検出器119で検出される光量は、赤色光源が100%、緑色光源が80%、青色光源が70%程度となり、光検出器119は、入射光量を図21のように感じる。図21に示すように、赤色光源の検出光量の最大値が1024となるように設計した場合、青色光源の検出光量の最大値は700程度となる。そのため、光源装置11Aは、青色光源の光量の最大値を1024とした場合と比較して分解能が低いため、APCの精度が低下してしまう。
したがって、光源装置11Aは、上記のような光検出器119の分光感度特性の影響を低減させるため、各光源素子111を異なるデューティ比で点灯させる。これによって、光源装置11Aは、各光源素子111から出力させるモニタ光の検出信号の最大値の差を小さくすることができる。
●カットオフ周波数
続いて、図22を用いて、光源装置11Aにおいて光源を点灯させる周波数について説明する。図22(a)は、光検出器119に入射するモニタ光の波形を示す。光検出器119に入射するモニタ光は、点灯周波数Finを有し、図22(a)で示す波形を有する。
ここで、光検出器119によって検出される検出信号について説明する。光検出器119は、上述のように検出信号を増幅させる増幅記を有し、増幅記のGB積(利得帯域幅積)に支配されるカットオフ周波数を有する。図22(b)に示すように、カットオフ周波数を下回る周波数(Fin<Fc)で光源を点灯させた場合、光検出器119による検出信号の波形は、図22(a)に示した入射光に近い波形となる。
一方で、カットオフ周波数以上の周波数(Fin≧Fin)で光源を点灯させた場合、光検出器119による検出信号の波形は、図22(c)に示すような入射光の波形を平均化したような波形となる。
入射光の波形と近い検出信号の場合、検出信号の値は、検知部354によって検知された光量制御のタイミングによって大きく変動する。この場合、平均光量となるタイミングで検出信号を取得するためには、検知部354は、駆動制御部353による各光源の駆動制御処理と同期をとる必要があり、処理が複雑になる。
また、平均光量でないタイミングで検出信号を取得した場合、光源装置11Aは、平均光量との差分を補正する必要がある。しかしながら、入射光の波形は、温度やデューティ比によって異なる。そのため、光検出器119は、検出信号を取得するタイミングが一定であっても平均光量との差分が異なるので、複雑な補正処理が必要になる。
したがって、光源装置11Aは、APCの精度を高めるため、光検出器119による検出信号が平均化された値であることが好ましい。そのため、光源装置11Aは、光源素子111を光検出器119のカットオフ周波数以上の周波数で点灯させる。
●分岐比率
次に、光分岐素子117における透過光(画像光)と反射光(モニタ光)の分岐比率について説明する。モニタ光の分岐比率を大きくした場合、画像光にとっては光量損失となるため、形成する画像の輝度が低下してしまう。そのため、光源装置11Aは、画像光に対するモニタ光の分岐比率をできるだけ小さくする。この場合、光分岐素子117の内部の多重干渉やリップル等の影響を考慮すると、モニタ光の分岐比率は、画像光に対して略5%程度にすることが好ましい。
素子の配置や多重干渉の影響を考える場合、光分岐素子117に対するレーザ光の入射角は、45°付近が好ましい。ここで、光分岐素子117は、屈折率1.5の材質で構成され、両面がノンコートであるものとする。このような光分岐素子117に対して、S偏光、P偏光のレーザ光が入射した際の反射率の角度依存性は、フレネル反射の関係式から図23に示すようになる。
図23に示すように、S偏光のレーザ光は、入射角が大きくなるほど反射率も大きくなる。そのため、S偏光のレーザ光は、45°付近の入射角を取る場合、反射率が10%程度とかなりの光損失となってしまう。また、分岐比率5%のモニタ光を、入射角が45°のS偏光反射や透過光で実現する場合、光分岐素子117は、膜層数の多い多層膜コートが必要となり、コストが高くなってしまう。
一方、P偏光のレーザ光は、入射角が60°近傍になる角度で反射率が0%となる。すなわち、P偏光のレーザ光は、光分岐素子117に対する入射角が60°近傍であれば所望の分岐比率を得ることができる。
したがって、光分岐素子117は、P偏光反射によりモニタ光を分岐させる。光分岐素子117は、P偏光のレーザ光を反射させることで、表面の白やけを防止するためのコーティングを数層行うのみで膜層数を削減させるでき、低コストとなる。また、光分岐素子117の膜層数が少ないほどリップルが小さくなるので、光源装置11Aは、リップルの影響を小さくすることができる。
以上の説明では、光分岐素子117に入射するレーザ光が光分岐素子117に対して完全なP偏光であることを前提とした。しかしながら、光分岐素子117に入射するレーザ光(光束)は、光源素子111の製造ばらつきや組みつけ、その他素子のばらつきに起因する偏光の楕円化や方位角の回転が生じる。そのため、光分岐素子117に入射するレーザ光は、光分岐素子117に対して完全なP偏光ではなく、P偏光とS偏光が混在するレーザ光であることが多いと考えられる。光源素子111の出射光も、実際には、偏光方向が互いに直交する二つの偏光が混在するレーザ光であることが多いと考えられる。そこで、本実施形態において、P偏光のレーザ光は、光分岐素子117に対するP偏光成分がS偏光成分よりも多いレーザ光であるものとする。同様に、S偏光のレーザ光は、光分岐素子117に対するS偏光成分がP偏光成分よりも多いレーザ光であるものとする。
ここで、図24を用いて、光源装置11Aにおける各素子の好適な配置例を説明する。図24に示す光源装置11Aは、複数の光源素子111の偏向方向(例えば、Y軸方向)が同じであり、偏向方向と垂直な方向(例えば、X軸方向)に光源素子111が配置されている。また、光源装置11Aは、光源素子111の出射面(例えば、XY平面)と光検出器119の受光面(例えば、XZ平面)とが直交するように、光源素子111と光検出器119が配置されている。さらに、光源装置11Aは、光源素子111と光分岐素子117の間のレーザ光の進行方向と光検出器119の受光面とが平行になるように光検出器119が配置されている。
このような各素子の配置を採用することで、光源装置11Aは、光分岐素子117によるP偏光反射(フレネル反射)によって、光検出器119へモニタ光を分岐させることができる。
●第1の実施形態の効果
以上説明したように、第1の実施形態に係る光源装置11Aは、複数の光源素子111からそれぞれ出力されたモニタ光の平均光量の差を小さくするため、複数の光源素子111を同一のパルス幅、かつそれぞれ最大出力で点灯させた場合に、平均光量が最も高い光源素子111のデューティ比が低くなるようにパルス幅を変更する。そのため、光源装置11Aは、光検出器119によって検出されるレーザ光の量子化誤差を低減させることで、APCの精度を向上させることができる。
また、第1の実施形態に係る表示装置10は、光源装置11Aを光源として用いることによって、表示させる画像の色ずれの発生を抑制することができる。
●第1の実施形態の変形例●
続いて、第1の実施形態の変形例に係る光源装置について説明する、図25は、第1の実施形態の変形例に係る光源装置おける各素子の好適な配置を説明するための図である。図25に示す光源装置11Bは、光源装置11Aの構成に加えて、光分岐素子117によって反射された反射光(モニタ光)を偏光する光偏向素子120を備える。また、光源装置11Bは、光検出器119を光源素子111と平行な平面(XY平面)上に配置している。
図25に示す光源装置11Bは、光偏向素子120を用いて、光分岐素子117によって反射された反射光(モニタ光)を偏光させ、光源方向に向けてモニタ光を導光する。光検出器119の受光面は、光源素子111の出射面と同じ方向を向くように配置されている。そのため、光検出器119は、光偏向素子120によって偏光されたモニタ光を検出することができる。
この構成によって、光源装置11Bは、光検出器119と光源素子111を駆動させる回路基板を同一のものを用いることができるので、装置の小型化や低コスト化を実現することができる。
なお、光源装置11Bは、光源素子111と同一の基板上に、光検出器119を配置してもよい。また、図25において、集光素子118は、光分岐素子117の直前に配置されているが、光検出器119の直前に配置されてもよい。
●第2の実施形態●
続いて、図26乃至図29を用いて、第2の実施形態に係る光源装置11Cについて説明する。なお、第1の実施形態と同一構成および同一機能は、同一の符号を付して、その説明を省略する。第2の実施形態に係る光源装置11Cは、光源装置11Aの構成に、光減衰素子14を追加することによって、光検出器119によって検出されるレーザ光の量試化誤差を低減させる構成である。
●光源装置
まず、図26を用いて、第2の実施形態に係る光源装置11Cの概略について説明する。図26は、第2の実施形態に係る光源装置の具体的構成の一例を示す図である。図26に示す光源装置11Cは、第1の実施形態に示した光源装置11Aの構成に加えて、光減衰素子14を備える。光減衰素子14は、複数の光源素子111からの光量を一致させるような分光感度特性を有する。
光源装置11Cは、光減衰素子14を用いて、複数の光源素子111から出力され、光検出器119に入射する光量が等しくなるように減光する。具体的には、光源装置11Cは、光検出器119によって検出される、赤色光源のレーザ光の光量が、他の光源のレーザ光の光量と等しくなるように、赤色光源のレーザ光を減光する機能を有する光減衰素子14を設ける。
光源装置11Cは、例えば、青色光源のレーザ光に比べて赤色光源のレーザ光の平均光量の最大値が5倍多い場合、赤色光源のレーザ光が青色光源のレーザ光の1/5倍となる光減衰素子14を設ける。これによって、光検出器119によって検出される赤色光源と青色光源のモニタ光の平均光量は等しくなる。なお、同様に、光源装置11Cは、緑色光源のレーザ光を減光させる光減衰素子14を設けることで、複数の光源から出力されたモニタ光の平均光量の差を小さくすることができる。
●光減衰素子14を用いた光量制御
ここで、光減衰素子14は、通常、誘電体多層膜でコーティングされている。光減衰素子14の分光感度特性は、波長に対して滑らかに変化しているわけではなく、リップルを有している。光減衰素子14は、リップルが小さくなるような膜をコーティングしたとしても、リップルの影響が減衰率に対して±1%程度考慮する必要がある。図27は、直前のレーザ光の光量を100%とした場合に、直後のレーザ光の光量が1%となるような特性を有する光減衰素子の分光感度特性である。
また、図28は、第2の実施形態に係る光源装置における光源の波長と光量の関係を示す図である。図28に示すように、光源から出力されるレーザ光の波長は、光量の変化に応じて変化することがわかる。したがって、光源装置11Cは、光量を変化させた場合、それに伴い波長も変化するので、光減衰素子14によるリップルの影響を受けることとなる。そのため、光源装置11Cは、図29に示すように、光検出器119に対する入射光量と駆動電流の特性の線形性が悪くなり、APCの精度が悪くなる。光減衰素子14の直後の減衰率の割合が大きいほど、リップルの影響を多く受けてしまうため、光源装置11Cは、光減衰素子14を用いた減衰率を大きくしない方がよい。
このような光減衰素子14によるリップルの影響を低減させるため、第2の実施形態に係る光源装置11Cは、第1の実施形態で説明した「異なるデューティ比を用いる方法」と第2の実施形態に係る「光減衰素子14を用いて所望のレーザ光を減衰させる方法」とを組み合わせることが好ましい。光源装置11Cは、例えば、赤色光源を他の光源(緑色光源、青色光源)とは異なるデューティ比で点灯させるとともに、赤色光源から出力されるレーザ光を光減衰素子14によって減衰させる。
図16で説明したような所定のデューティ比のIP特性から異なるデューティ比のIP特性を取得するためには、IP特性における発振しきい値の駆動電流値が等しいことが好ましい。発振しきい値の駆動電流値は、光源素子111の放熱特性の変化に応じて変動する。光源素子111ごとのモニタ光の平均光量の差が大きい場合、その差が小さくなるよう特定のレーザ光のデューティ比を大きく変化させなければならず、光源素子111の放熱特性も変化してします。そのため、発振しきい値の駆動電流値の変動は、光源素子111や温度ごとに異なり、補正が複雑になってしまうため、デューティ比の変化は、少ない方が好ましい。
したがって、光源装置11Cは、例えば、光検出器119によって検出されるレーザ光の平均光量の差が大きい場合、デューティ比の変更に加えて光減衰素子14を組み合わせることで、平均光量の差を小さくすることができ、量子化誤差を低減させることができる。
●第2の実施形態の効果
以上説明したように、第2の実施形態に係る光源装置は、最も波長の長いレーザ光を知出力する光源素子111(r)を、他の光源素子111(光源素子111(g)、111(b))のデューティ比よりも低いデューティ比で点灯させるとともに、光減衰素子14を用いて、光源素子111(r)から出力されるレーザ光を減光させる。そのため、光源装置11Cは、光検出器119によるレーザ光の量子化誤差を低減させるとともに、光減衰素子14のみを用いてAPCを行う場合に比べて、光減衰素子14によるリップルの影響を低減することができる。
●第2の実施形態の変形例●
続いて、第2の実施形態の変形例に係る光源装置について説明する、第2の実施形態の変形例に係る光源装置11Dは、光減衰素子14ではなく、レーザ光を減衰させる機能を有する減衰機能付きレンズ141を備える。光源装置11Dは、減衰機能付きレンズ141を、光検出器119の直前に配置させる。
図30は、光検出器119が有する円形のセンサにモニタ光が入射した様子を示す。図30に示すように、光検出器119に対する入射光は、広がりを持った光束である。また、光検出器119に対する入射光(光束)の集光点は、光源素子111から出力されたレーザ光(主光線)の集光点と一致していない。そのため、光源素子111から出力されたレーザ光(主光線)の集光点に位置する光検出器119において、光検出器119に対する入射光(光束)は、完全には集光されていない。
そこで、光源装置11Dは、減衰機能を有するレンズ141を用いて、光検出器119に所定値以上のビーム径を有するレーザ光を入射させる。光検出器119は、光検出器119に入射するビーム径は小さいほど、ほぼ全ての入射光を検出できる。一方で、光検出器119は、同じ光強度でも面積が小さくなるとパワー密度(電力密度)が高くなり、光検出器119の応答性が悪化する。そのため、光源装置11Dは、パワー密度(電力密度)の観点から、所定値以上のビーム径を有するレーザ光を、光検出器119に入射させることが好ましい。そして、光源装置11Dは、光減衰素子14を設けるのではなく、減衰機能をレンズに付与することで、配置させる素子の数を削減するとともに、装置の小型化や低コスト化を実現することができる。
●まとめ●
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る光源装置は、第1レーザ光を出力する光源素子111(r)(第1光源の一例)と、第1レーザ光よりも波長の短い第2レーザ光を出力する光源素子111(b)(第2光源の一例)と、第1レーザ光および第2レーザ光を検出する光検出器119と、光源素子111(r)および光源素子111(b)の出力を制御する制御回路300(制御部の一例)と、を備える。そして、制御回路300は、第1レーザ光のデューティ比が第2レーザ光のデューティ比よりも低くなるように、光源素子111(r)および光源素子111(b)の出力を制御する。そのため、光源装置11Aは、光検出器119によって検出されるレーザ光の量子化誤差を低減させることで、APCの精度を向上させることができる。
また、本発明の一実施形態に係る光源装置は、制御回路300(制御部の一例)が、光源素子111(r)(第1光源の一例)から出力される第1レーザ光および光源素子111(b)(第2光源の一例)から出力される第2レーザ光の周波数が、光検出器119のカットオフ周波数よりも小さくなるように、光源素子111(r)および光源素子111(b)の出力を制御する。そのため、光源装置11Aは、光検出器119への入射光が平均化された検出信号を取得することができるので、APCの精度をより高めることができる。
また、本発明の一実施形態に係る光源装置は、光源素子111(r)(第1光源の一例)から出力される第1レーザ光および光源素子111(b)(第2光源の一例)から出力される第2レーザ光の偏光方向と略垂直、かつ光源素子111(r)および光源素子111(b)の出射面と光検出器119の受光面とが略直交するように光源素子111(r)、光源素子111(b)および光検出器119が配置されている。そして、光源装置11Aは、光分岐素子117に対する入射光のP偏光成分がS偏光成分よりも多い。そのため、光源装置11Aは、光分岐素子117から反射光を分岐するときにP偏光反射を用いることで、フルネル反射を利用することができるので、光分岐素子117の膜層を低減し、リップルの影響を小さくすることができる。
さらに、本発明の一実施形態に係る光源装置は、光分岐素子117によって分岐された反射光を偏向させる光偏向素子120を備える。そして、光源装置11Aは、反射光の偏光方向と略垂直、かつ光源素子111(r)(第1光源の一例)および光源素子111(b)(第2光源の一例)の出射面と光検出器119の受光面とが同じ方向を向くように光源素子111(r)および光源素子111(b)が配置される。そのため、光源装置11Bは光検出器119と光源素子111を駆動させる回路基板を同一のものを用いることができるので、装置の小型化や低コスト化を実現することができる。
また、本発明の一実施形態に係る光源装置は、光源素子111(r)(第1光源の一例)から出力される第1レーザ光を、光源素子111(b)(第2光源の一例)から出力される第2レーザ光よりも高い減光率で減光させる光減衰素子14(減衰素子の一例)を備える。そして、光検出器119は、光減衰素子14によって減光された光を検出する。そのため、光源装置11Cは、光検出器119によるレーザ光の量子化誤差を低減させるとともに、光減衰素子14のみを用いてAPCを行う場合に比べて、光減衰素子14によるリップルの影響を低減することができる。
さらに、本発明の一実施形態に係る表示装置は、光源装置11Aと、光源装置11Aから射出された光を二次元走査する光偏向装置13(走査部の一例)と、二次元走査によって画像光が照射されるスクリーン15(光学素子の一例)と、を備え、スクリーン15に照射された画像光をフロントガラス50(反射部材の一例)で反射させることによって、所定の画像を表示させる。そのため、表示装置10は、光源装置11Aを光源として用いることによって、表示させる画像の色ずれの発生を抑制することができる。
また、本発明の一実施形態に係る表示システムは、表示装置10と、スクリーン15に照射された画像光によって、所定の画像を結像させる自由曲面ミラー30(結像光学系の一例)を備える。そのため、表示システム1は、観察者3に視認させる画像の色ずれの発生を抑制することができる。
●補足●
なお、本発明の一実施形態に係る光源装置、表示装置、表示システムおよび移動体について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到することができる範囲内で変更することができる。
また、本発明の一実施形態に係る光源装置を搭載した表示装置は、HUD装置に限られず、例えば、ヘッドマウントディスプレイ装置、プロンプタ装置、プロジェクタ装置であってもよい。例えば、本発明の一実施形態に係る光源装置11をプロジェクタ装置に適用する場合、プロジェクタ装置を表示装置10と同様に構成することができる。すなわち、表示装置10は、自由曲面ミラー30を介した画像光を映写幕や壁面等に投影すればよい。なお、表示装置10は、自由曲面ミラー30を介さずに、スクリーン15を介した画像光を映写幕や壁面等に投影してもよい。