JP2019169587A - RFeB系熱間塑性加工磁石製造方法 - Google Patents

RFeB系熱間塑性加工磁石製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造効率が高く、且つ保磁力が高いRFeB系熱間塑性加工磁石を製造することができる方法を提供する。【解決手段】RFeB系磁石の原料である合金材の粉末12を圧粉成形することにより予備成形体13を作製する予備成形体作製工程と、予備成形体13の表面に、ガラス及び溶媒を含有する混合潤滑剤14を塗布する潤滑剤塗布工程と、混合潤滑剤14が塗布された予備成形体13を300〜600℃の範囲内の温度で30〜600秒の範囲内の時間だけ加熱する乾燥兼予熱工程と、前記加熱後の予備成形体13に対して熱間塑性加工を行う熱間塑性加工工程とをこの順で行う。混合潤滑剤の乾燥と予熱を1つの工程で行うため製造効率が高く、予熱の温度及び時間を上記範囲内とすることによって結晶粒の成長を抑えて保磁力を高くすることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、希土類元素(R)、鉄(Fe)及び硼素(B)を主な構成元素とするRFeB系熱間塑性加工磁石を製造する方法に関する。
RFeB系熱間塑性加工磁石は、RFeB系磁石の材料である合金材に対して熱間塑性加工を行うことにより得られ、結晶粒が特定の方向に配向し、それによって高い磁力を有するという特徴を有する磁石である。
RFeB系熱間塑性加工磁石は、例えば以下に述べる特許文献1に記載の方法により作製される。まず、RFeB系磁石の母材となる合金の溶湯を超急冷(例えば数千〜1万℃/秒の冷却速度で冷却)することにより厚さ数十μmの薄板を作製する。この薄板を粉砕した後に常温で圧粉成形を行い、予備成形体を作製する。次に、この予備成形体の表面に潤滑剤を塗布したうえで、潤滑剤に含まれる溶媒を除去し、潤滑剤を乾燥させる。続いて、予備成形体を加熱(予熱)して潤滑剤を溶融させた後、熱間塑性加工として後方押し出し加工を行うことにより、RFeB系熱間塑性加工磁石が得られる。ここで熱間塑性加工として、後方押し出し加工の代わりに前方押し出し加工や熱間据え込み加工を行ってもよい(特許文献2)。
特許文献3には、潤滑剤としてガラス粉又はガラス粉と黒鉛粉を混合したものを用い、ガラスの溶融温度を超える温度で予熱したうえで熱間塑性加工を行うことが記載されている。これにより、潤滑剤中のガラス粉が予備成形体の表面で溶融し、熱間塑性加工の際に成形体と成形型の間の潤滑が良好となるため、成形体の表面に擦り傷が生じることが抑えられる。また、作製されたRFeB系熱間塑性加工磁石の表面を、ガラスから成る保護層で覆うことができる。
特開平03-062507号公報 特開2011-042837号公報 特開昭64-065202号公報
従来の溶剤系の潤滑剤を用いるRFeB系熱間塑性加工磁石の製造方法では、潤滑剤を乾燥させる工程に時間を要し、製造効率の点で問題を有していた。
また、ガラス系の潤滑剤を用いる方法では、ガラスの溶融させるための予熱の温度が高く、得られるRFeB系熱間塑性加工磁石の保磁力が低くなるという問題も生じていた。
本発明が解決しようとする課題は、製造効率が高く、且つ保磁力が高いRFeB系熱間塑性加工磁石を製造することができる方法を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明に係るRFeB系熱間塑性加工磁石製造方法は、
a) RFeB系磁石の原料である合金材の粉末を圧粉成形することにより予備成形体を作製する予備成形体作製工程と、
b) 前記予備成形体の表面に、粉末潤滑剤、ガラス及び溶媒を混合した混合潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布工程と、
c) 前記混合潤滑剤が塗布された予備成形体を300〜600℃の範囲内の温度で30〜600秒の範囲内の時間だけ加熱する乾燥兼予熱工程と、
d) 前記加熱後の予備成形体に対して熱間塑性加工を行う熱間塑性加工工程と
をこの順で行うことを特徴とする。
本発明に係るRFeB系熱間塑性加工磁石製造方法では、粉末潤滑剤、ガラス及び溶媒を混合した混合潤滑剤が塗布された予備成形体を300〜600℃の範囲内の温度に加熱することにより、混合潤滑剤を乾燥させる。この温度は、従来の溶剤系潤滑剤を用いたRFeB系熱間塑性加工磁石製造方法で行われていた潤滑剤乾燥の際の温度(150℃前後)よりも高く、300〜600℃の温度範囲内での加熱により、混合潤滑剤中のガラスは溶融はしないものの軟化する。このように混合潤滑剤中のガラスが軟化しさえすれば、混合潤滑剤中に粉末潤滑剤を均一に分散させることができる。そのため、熱間塑性加工の際に成形体と成形型の間の潤滑を良好とすることができ、それにより成形体の表面に擦り傷が生じることを抑えることができる。従って、本発明によれば、ガラスを溶解させるための加熱(従来の予熱)を別途行う必要がなく、1回の加熱だけで乾燥とガラスを軟化させる予熱の双方を行うことができるため、製造効率を高くすることができる。
また、本発明者による実験によれば、600℃を超える温度で予熱を行うと、得られるRFeB系熱間塑性加工磁石内の結晶粒の径が大きくなり、300〜600℃の範囲内で予熱(兼乾燥)を行う場合よりも保磁力が低下することが明らかになった。さらに、予熱の温度が300〜600℃の範囲内であっても、600秒を超える長時間に亘って予熱を行うと、得られるRFeB系熱間塑性加工磁石内の結晶粒の径が大きくなり、30〜600秒の範囲内の時間だけ予熱を行う場合よりも、保磁力が低下する。
但し、予熱の温度が300℃を下回ったり、予熱を行う時間が30秒を下回ると、混合潤滑剤中のガラスを十分に軟化させることができず、成形体の表面に擦り傷が生じてしまう。そのため、本発明では、予熱(兼乾燥)の温度を300℃以上、時間を30秒以上とする。
前記粉末潤滑剤には黒鉛の粉末を好適に用いることができる。黒鉛の粉末以外に前記粉末潤滑剤として用いることができるものとして、二硫化モリブデンの粉末が挙げられる。
本発明に係るRFeB系熱間塑性加工磁石製造方法によれば、高い製造効率で、保磁力が高いRFeB系熱間塑性加工磁石を製造することができる。
本発明に係るRFeB系熱間塑性加工磁石製造方法の一実施形態を示す概略図。 本実施形態の方法で製造したRFeB系熱間塑性加工磁石(a)、及び比較例の方法で製造したRFeB系熱間塑性加工磁石(b)の外観を撮影した写真。 本実施形態の方法で製造したRFeB系熱間塑性加工磁石(a)、及び比較例の方法で製造したRFeB系熱間塑性加工磁石(b)の電子顕微鏡写真。 本発明の実施例及び比較例につき、乾燥兼予熱工程の温度及び時間と、得られたRFeB系熱間塑性加工磁石の磁気特性及び外観の関係を示す図。
図1〜図4を用いて、本発明に係るRFeB系熱間塑性加工磁石製造方法の一実施形態を説明する。
(1) 本実施形態のRFeB系熱間塑性加工磁石製造方法の各工程
図1に、本実施形態のRFeB系熱間塑性加工磁石製造方法の全体の構成を示す。まず、RFeB系磁石の組成を有する合金材を原料として溶解させ、得られた溶湯111を高速回転(例えば周速度で10〜30m/s)する銅製の回転ロール112に滴下することによって数千〜1万℃/秒の冷却速度で急冷することで、厚さ数十μmの薄板(薄帯)121を作製する(図1(a))。この薄板を機械的に粉砕することにより、原料粉末12が得られる。
次に、原料粉末12を常温で圧粉成形することにより、予備成形体13を作製する(図1(b)。予備成形体作製工程。)。図1(b)では予備成形体13の形状を角柱状とするが、この形状は特に限定されない。
予備成形体作製工程の後、黒鉛粉(粉末潤滑剤)141、ガラス粉142、及び有機溶剤143を混合することにより混合潤滑剤14を作製し(図1(c))、この混合潤滑剤14を予備成形体13の表面に塗布する(同(d)。潤滑剤塗布工程。)。有機溶剤143の量は任意であるが、黒鉛粉141及びガラス粉142が予備成形体13の表面で固まることなく満遍なく混合潤滑剤14を塗布できる程度の量とすることが望ましい。有機溶剤143の材料には、酢酸ブチル等を用いることができる。
次に、表面に混合潤滑剤14を塗布した予備成形体13を、300〜600℃の範囲内の温度で30〜600秒間加熱する(図1(e)。乾燥兼予熱工程)。これにより、混合潤滑剤14中の有機溶剤143が蒸発すると共に、混合潤滑剤14中のガラス粉142が軟化して黒鉛粉141が均一に分散した被覆体144となって予備成形体13の周囲を覆った状態となる。ここで、加熱温度が300℃を下回ったり、加熱時間が30秒間よりも短くなると、ガラス粉142を十分に軟化させることができない。また、加熱温度が600℃を上回ったり、加熱時間が600秒間を上回ると、予備成形体13中に含まれるRFeB系磁石の結晶粒が成長してしまう。予備成形体13のRFeB系磁石の結晶粒が大きくなると、最終的に得られるRFeB系熱間塑性加工磁石中の結晶粒も大きくなる。このように結晶粒が大きくなると、RFeB系熱間塑性加工磁石中の磁化に対して反対方向の成分を有する外部磁界がRFeB系熱間塑性加工磁石に印加されたときに磁化が反転しやすくなり、保磁力が低下すると共に、角型比も低下する。それに対して、上述のように300〜600℃の範囲内の温度で30〜600秒間加熱することにより、ガラス粉142を十分に軟化させた状態とすることができると共に、結晶粒の成長を抑制することができる。
乾燥兼予熱工程の後、被覆体144で覆われた予備成形体13を、乾燥兼予熱工程の際の温度よりも高温に加熱しつつ塑性変形させる。これにより、結晶粒が特定の方向に配向したRFeB系熱間塑性加工磁石15が得られる(図1(f)。熱間塑性加工工程)。図1(f)では、予備成形体13を高周波加熱炉16で加熱しつつ前方に押し出す前方押し出し加工を行う様子を示している。前方押し出し加工の代わりに、後方押し出し加工や熱間据え込み加工を行ってもよい。また、加熱は高周波加熱炉以外の加熱炉を用いて行ってもよい。加熱温度は、例えば700〜900℃とする。このような温度に加熱することにより、予備成形体13内では、RFeB系の結晶粒の周囲に存在する希土類の含有率が高い粒界相(希土類リッチ相)が溶融し、結晶粒が回動可能な状態となる。この状態で塑性変形のための圧力が加わることにより、各結晶粒は特定の方向に力が加えられて回動し、結晶軸の方向が揃う。なお、加熱温度を700℃未満、又は900℃を超える温度とすることも可能ではあるが、700℃未満の場合には結晶軸の方向のばらつきが生じるおそれがあり、900℃を超える場合には熱間塑性加工中に結晶粒が成長して保磁力及び角型比が低下するおそれがある。
本実施形態のRFeB系熱間塑性加工磁石製造方法では、この熱間塑性加工の際、ガラスが軟化した被覆体144により予備成形体13が覆われているため、得られたRFeB系熱間塑性加工磁石15は、表面に擦り傷が生じることが抑えられる。なお、乾燥兼予熱工程の後に被覆体144がある程度冷却されても、暫くの間は被覆体144が室温での通常のガラスよりも軟化した状態となっているため、乾燥兼予熱工程の後、直ぐ(当該工程の時よりも温度が低下する前)に熱間塑性加工工程を行う必要はない。
また、本実施形態のRFeB系熱間塑性加工磁石製造方法では、乾燥兼予熱工程の際の温度を600℃以下とすることにより、上述のように乾燥兼予熱工程の際に結晶粒が成長することが抑えられるため、得られたRFeB系熱間塑性加工磁石15の保磁力及び角型比が低くなることを抑えることができる。
(2) 本実施形態の方法を用いて製造したRFeB系熱間塑性加工磁石の例
次に、本実施形態の方法を用いて製造したRFeB系熱間塑性加工磁石の実施例を示す。この実施例では、乾燥兼予熱工程における加熱温度を300℃、450℃及び600℃の3通り、加熱時間を30秒間、120秒間及び600秒間の3通りとし、それら加熱温度及び加熱時間を組み合わせた3×3=9通りの条件でRFeB系熱間塑性加工磁石を作製した(実施例1〜9)。また、比較例として、乾燥兼予熱工程における加熱温度が本発明の範囲よりも低い200℃であるもの(比較例1、2)、加熱時間が本発明の範囲よりも短い15秒間であるもの(比較例3、4)、加熱温度が本発明の範囲よりも高い700℃であるもの(比較例5、6)及び加熱時間が本発明の範囲よりも長い900秒であるもの(比較例7、8)を作製した。
乾燥兼予熱工程以外の条件は、実施例と比較例の間で共通である。原料には、各元素の含有率(単位:原子%)がPr:3.48、Nd:10.74、Fe:75.62、Co:3.89、B:5.49、Ga:0.47、Si:0.09、Al:0.20、Cu:0.02である合金を用いた。混合潤滑剤14に含まれる有機溶剤143は酢酸ブチルとした。また、熱間塑性加工工程における温度は750℃とした。
作製した実施例1〜9及び比較例1〜8の試料につき、磁気特性として残留磁束密度Br、保磁力Hcj及び角型比Hk/Hcjを測定した。また、これらの試料につき、目視で外観の擦り傷の有無を確認した。これらの測定・観察結果を、乾燥兼予熱工程の条件と共に表1に示す。
表1中の比較例で、乾燥兼予熱工程の温度又は時間の欄に付された上向きの矢印は本発明の範囲内よりも温度が高いか又は時間が長いことを示し、同欄に付された下向きの矢印は本発明の範囲内よりも温度が低いか又は時間が短いことを示している。また、保磁力Hcjの欄に付された下向きの矢印は、保磁力Hcjの値が7kOeを下回っていることを示し、角型比Hk/Hcjの欄に付された下向きの矢印は、角型比Hk/Hcjの値が95%を下回っていることを示している。表1中の「外観」では、製造されたRFeB系熱間塑性加工磁石の表面を目視したときに、「○」は擦り傷が見られないことを示し、「×」は擦り傷が見られることを示している。図2(a)に、擦り傷が見られない例として実施例1のRFeB系熱間塑性加工磁石の外観を撮影した写真を示し、図2(b)に、(特に、図の上下方向の両端部に)擦り傷が見られる例として比較例1のRFeB系熱間塑性加工磁石の外観を撮影した写真を示す。
表1に示した結果より、乾燥兼予熱工程の温度及び時間が本発明の範囲内に含まれる実施例1〜9の試料ではいずれも、保磁力Hcjが7kOe以上、角型比Hk/Hcjが95%以上という値が得られている。それに対して、加熱温度が本発明の範囲よりも低い比較例1及び2、並びに加熱時間が本発明の範囲よりも短い比較例3及び4ではいずれも、製造されたRFeB系熱間塑性加工磁石の表面に擦り傷が生じている。また、加熱温度が本発明の範囲よりも高い比較例5及び6、並びに加熱時間が本発明の範囲よりも長い比較例7及び8ではいずれも、保磁力Hcjが7kOeを下回ると共に、角型比Hk/Hcjが95%を下回り、磁気特性が低下している。
図3(a)に、保磁力Hcjが7kOe以上であって角型比Hk/Hcjが95%以上である実施例9のRFeB系熱間塑性加工磁石の電子顕微鏡写真を示し、図3(b)に、保磁力Hcjが7kOeを下回ると共に角型比Hk/Hcjが95%を下回っている比較例8のRFeB系熱間塑性加工磁石の電子顕微鏡写真を示す。これらの電子顕微鏡写真より、実施例9では比較例8よりも結晶粒が小さいことがわかる。これは、比較例8では乾燥兼予熱工程の時間が長いために結晶粒が異常に成長したのに対して、実施例9ではそのような異常粒成長が生じていないことによる。このように本実施形態のRFeB系熱間塑性加工磁石製造方法では結晶粒の異常な成長が抑制されるため、保磁力Hcj及び角型比Hk/Hcjの低下を抑えることができる。
図4に、表1に示した各実施例及び比較例につき、乾燥兼予熱工程の温度を縦軸に、時間を横軸(対数目盛)に取ったグラフ上にプロットし、得られたRFeB系熱間塑性加工磁石の磁気特性及び外観がいずれも良好なものを丸印、外観に擦り傷が見られるものを四角印、保磁力及び角型比が低いものを三角印で示した。本発明の範囲内にある各実施例では磁気特性及び外観がいずれも良好であり、本発明の範囲外にある各比較例では磁気特性及び外観のいずれかが不良であることが示されている。
本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変更が可能である。
111…溶湯
112…回転ロール
12…原料粉末
121…薄板
13…予備成形体
14…混合潤滑剤
141…黒鉛粉(粉末潤滑剤)
142…ガラス粉
143…有機溶剤
144…被覆体
15…RFeB系熱間塑性加工磁石
16…高周波加熱炉

Claims (2)

  1. a) RFeB系磁石の原料である合金材の粉末を圧粉成形することにより予備成形体を作製する予備成形体作製工程と、
    b) 前記予備成形体の表面に、粉末潤滑剤、ガラス及び溶媒を混合した混合潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布工程と、
    c) 前記混合潤滑剤が塗布された予備成形体を300〜600℃の範囲内の温度で30〜600秒の範囲内の時間だけ加熱する乾燥兼予熱工程と、
    d) 前記加熱後の予備成形体に対して熱間塑性加工を行う熱間塑性加工工程と
    をこの順で行うことを特徴とするRFeB系熱間塑性加工磁石製造方法。
  2. 前記粉末潤滑剤が黒鉛の粉末であることを特徴とする請求項1に記載のRFeB系熱間塑性加工磁石製造方法。
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