JP2019173776A - 油圧式オートテンショナ - Google Patents
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Abstract
【課題】テンショナから作動油がにじみ漏れる現象が生じにくい油圧式オートテンショナを提供する。【解決手段】シリンダ2に上下に移動可能に挿入されたロッド3と、ロッド3の上部に設けられたばね座4と、ロッド3を上方に付勢するリターンスプリング5と、ロッド3に負荷される下向きの力をシリンダ2の内部の作動油で緩衝する油圧ダンパ機構6と、ロッド3の移動に伴って摺接するようにシリンダ2の上端開口の内周に取り付けられた環状のオイルシール7とを備える油圧式オートテンショナ1において、シリンダ2の上端部に嵌め合わされる筒状のスリンガ8を備え、そのスリンガ8が径方向内向きのフランジ部8aを有し、スリンガ8の上端部がシリンダ2の上端部よりも上方に位置するようにした。【選択図】図1
Description
この発明は、オルタネータやウォータポンプ、エアコンディショナのコンプレッサ等の自動車補機を駆動するベルトの張力調整用に用いられる補機用油圧式オートテンショナに関する。
エンジンのクランクシャフトの回転をオルタネータ等の各種の自動車補機に伝えるベルト伝動装置においては、図9に示すように、ベルト31の弛み側に軸32を中心にして揺動可能なプーリアーム33を設け、そのプーリアーム33に油圧式オートテンショナAの調整力を付与して、プーリアーム33の揺動側端部に支持された回転可能なテンションプーリ34がベルト31を押圧する方向にプーリアーム33を付勢し、ベルト31の張力を一定に保持するようにしている。
上記のようなベルト伝動装置に組み込まれる油圧式オートテンショナAとして、例えば、特許文献1に記載のものが従来から知られている。これらの油圧式オートテンショナは、上端が開口し、下端が閉塞したシリンダと、そのシリンダに上下に移動可能に挿入されたロッドと、ロッドの上部に設けられたばね座と、シリンダの下部とばね座との間に組み込まれ、ロッドを上方に付勢するリターンスプリングと、ばね座の下部に形成され、リターンスプリングの上部を覆う筒状のスプリングカバーと、を備えている。ベルトの張力が変動すると、そのベルトの張力とリターンスプリングの付勢力がつりあう位置までロッドが移動して補機ベルトの張力変動を吸収する。
また、この油圧式オートテンショナは、シリンダの上端開口の内周に取り付けられ、ロッドの移動に伴ってスプリングカバーの外周部に摺接する環状のオイルシールと、ベルトからロッドに負荷される下向きの力を、シリンダの内部の作動油で緩衝する油圧ダンパ機構とを備え、オイルシールによって、油圧ダンパ機構の作動油をシリンダ内に密封している(例えば、特許文献1 図1参照)。
上記の油圧式オートテンショナは、これを長期にわたって使用したときに、油圧式オートテンショナから微量の作動油がにじみ漏れ、そのにじみ漏れが継続することで、作動油が補機ベルトや周辺部品に付着する場合があることが判明した。作動油が補機ベルトや周辺部品に付着すると、補機ベルトの滑りや周辺部品の動作不良の原因となる。
そこで、本願の発明者が、油圧式オートテンショナから微量の作動油がにじみ漏れる原因を調査したところ、自動車の補機ベルトの張力変動に応じてロッドが上下に移動するとき、ロッドの移動に伴うオイルシールの摺接部分で作動油の掻き出し作用が生じ、その掻き出し作用によって作動油が油圧式オートテンショナからにじみ漏れる現象が起きていることを見出した。
特に、油圧式オートテンショナをいずれかの方向に傾けた姿勢で取り付けた場合であっても、ロッドの移動に伴うオイルシールの摺接部分で作動油の掻き出し作用が生じる。この掻き出し作用により、例えば、図10に示すように、オイルシール41の摺動部分からにじみ漏れた作動油が、オイルシール41の上部に沿って、傾けた姿勢でのシリンダ42の上端開口のうち、下側に位置する部分へ向かって移動する(図10中の一点鎖線の矢印参照)。移動した作動油は、さらにシリンダ42の上端開口のうちの下側に位置する部分からあふれ出て、油圧式オートテンショナの外部へにじみ漏れる現象が起きている。
この発明が解決しようとする課題は、テンショナから作動油がにじみ漏れる現象が生じにくい油圧式オートテンショナを提供することである。
上記課題を解決するため、この発明では、上端が開口し、下端が閉塞したシリンダと、前記シリンダに上下に移動可能に挿入されたロッドと、前記ロッドの上部に設けられたばね座と、前記シリンダの下部と前記ばね座との間に組み込まれ、前記ロッドを上方に付勢するリターンスプリングと、前記ロッドに負荷される下向きの力を前記シリンダの内部の作動油で緩衝する油圧ダンパ機構と、前記ロッドの移動に伴って摺接するように前記シリンダの上端開口の内周に取り付けられた環状のオイルシールと、を備える油圧式オートテンショナにおいて、前記シリンダの上端部に嵌め合わされる堰部材を備え、前記堰部材により、前記シリンダの内部から前記オイルシールの摺接部分を通ってにじみ出る作動油が堰き止められるようにした構成を採用することができる。
この構成では、ロッドの移動に伴うオイルシールの摺接部分で作動油の掻き出し作用が生じたときに、シリンダの内部から作動油がオイルシールの摺接部分を通ってにじみ出る。にじみ出た作動油は、シリンダの上端部に嵌め合わされる堰部材により堰き止められる。
前記堰部材が筒状のスリンガであり、前記スリンガは、その上端部が前記シリンダの上端部よりも上方に位置する構成を採用することができる。この場合、にじみ出た作動油は、シリンダの上端部に嵌め合わされる筒状のスリンガにより堰き止められるので、油圧式オートテンショナの外部への作動油のにじみ漏れを防止することができる。
この構成において、前記ばね座が前記リターンスプリングの上部を覆う筒状のスプリングカバーを有し、前記オイルシールの内周部が前記スプリングカバーの外周部に摺接する状態にあり、前記オイルシールは、上方に延び出し、前記スプリングカバーの外周部に摺接するダストリップを有し、前記スリンガはその上端部に径方向内向きに形成されるフランジ部を有し、前記フランジ部が、前記ダストリップの上端縁部に対して径方向外側に位置している構成を採用することができる。
この構成によると、スリンガのフランジ部がダストリップの径方向外側でオイルシールの上部を覆う状態となる。これにより、オイルシールのダストリップの摺接部分を通ってにじみ出た作動油をダストリップの上端縁部とフランジ部との間の隙間を介して、スリンガとオイルシールとの間の空間に溜めることで、当該作動油が油圧式オートテンショナの外部に漏れるのを防ぐことができる。
また、前記シリンダは、前記オイルシールが嵌り合うシール嵌合面と前記シール嵌合面の上方に形成される堰部材嵌合面とを有し、前記堰部材嵌合面に前記堰部材が嵌め合わされている構成を採用することができる。
この構成によると、シール嵌合面よりも上方に堰部材嵌合面が設けられているので、オイルシールから作動油がにじみ出ても、当該作動油が堰部材によって油圧式オートテンショナの外部に漏れるのを防ぎ易い。
また、堰部材嵌合面が前記シリンダの上端内周又は上端外周に設けられている構成を採用することができる。
この構成によると、堰部材をシリンダに容易に嵌め合うことができる。
また、前記オイルシールは上方に延び出し、前記スプリングカバーの外周部に摺接するダストリップを有し、前記堰部材の上端部は、前記ダストリップの上端縁部よりも上方に位置している構成を採用することができる。
この構成によると、ダストリップの上端縁部からにじみ漏れた作動油を堰部材によって、油圧式オートテンショナの外部ににじみ漏れるのを防ぐことができる。
また、前記堰部材嵌合面が前記シリンダの上端内周に設けられていて、前記堰部材は弾性を有する合成樹脂製であり、前記スプリングカバーの外周部に向かって上方に延び出す内リップを有し、前記内リップが前記ロッドの移動に伴って前記スプリングカバーの外周部に摺接している構成を採用することができる。
この構成によると、堰部材の内リップがオイルシールの上部を覆う状態となる。この堰部材の内リップにより、オイルシールのダストリップの摺接部分を通ってにじみ出た作動油を堰き止めることができる。
また、前記堰部材嵌合面が前記シリンダの上端外周に設けられていて、前記堰部材は弾性を有する合成樹脂製であり、前記ダストカバーの内周部に向かって上方に延び出す外リップを有し、前記外リップが、前記ロッドの移動に伴って前記ダストカバーの内周部に摺接していること構成を採用することができる。
この構成によると、堰部材の外リップがオイルシールの上部を覆う状態となる。この堰部材の外リップにより、オイルシールのダストリップの摺接部分を通ってにじみ出た作動油を堰き止めることができる。また、堰部材がシリンダの上端外周に嵌め合わされるので、シリンダの上端内周に嵌め合わされる場合と比較して、内径寸法が大きくなり、より多量の作動油を堰き止めることができる。
前記オイルシールが前記シール嵌合面に締め代をもって嵌め合わされている構成を採用することにより、シリンダに対してオイルシールが確実に固定される。
この発明の油圧式オートテンショナは、ロッドの移動に伴うオイルシールの摺接部分で作動油の掻き出し作用が生じたときに、シリンダの内部からオイルシールの摺接部分を通って上方ににじみ出た作動油を、筒状のスリンガにより堰き止めて、油圧式オートテンショナからの作動油のにじみ漏れを防止することができる。
以下、この発明の第一実施形態に係る補機用の油圧式オートテンショナを図1〜4に基づいて説明する。
図1に示すように、油圧式オートテンショナ1は、シリンダ2と、シリンダ2に上下に移動可能に挿入されたロッド3と、ロッド3の上端に固定されたばね座4と、ばね座4を介してロッド3を上方に付勢するリターンスプリング5とを備えている。
また、油圧式オートテンショナ1は、ロッド3に負荷される下向きの力をシリンダ2の内部の作動油で緩衝する油圧ダンパ機構6と、シリンダ2の上端開口の内周に取り付けられた環状のオイルシール7と、シリンダ2の上端開口の内周に嵌め合わされる堰部材としての筒状のスリンガ8とを備えている。
シリンダ2は、上端が開口し、下端が閉塞した筒状に形成され、アルミニウム合金を素材とし、冷間鍛造により成形されている。シリンダ2の下端部には、下部連結片2aが一体に設けられる。
下部連結片2aは、一側面から他側面に貫通する軸挿入孔2bを有する。軸挿入孔2b内に筒状の下部連結軸9と、下部連結軸9を回動可能に支持する滑り軸受10が組み込まれている。下部連結軸9に挿通されたボルト11がエンジンブロックEにねじ結合されて、下部連結軸9が固定される。この下部連結軸9を中心として、シリンダ2がエンジンブロックEに回動可能に連結される。
また、シリンダ2は、内底面12に形成されたスリーブ嵌合凹部13を有し、スリーブ嵌合凹部13内に鋼製のスリーブ14の下端部が圧入により嵌め合わされている。スリーブ14は、シリンダ2内に同軸状に挿入されており、その下端部内にチェックバルブ15が圧入により固定されている。スリーブ14とスリーブ嵌合凹部13との嵌合面間に油通路16が形成されている。
スリーブ14は、その内部にロッド3の下部が上下方向に摺動可能に挿入される状態となっている。ロッド3の挿入により、スリーブ14内に圧力室17が形成される。圧力室17は作動油で満たされており、ロッド3のうちシリンダ2に対して外部に位置する上端部は、ばね座4に固定されている。
ロッド3とスリーブ14の上部との摺動面間にリーク隙間18が形成されている。リーク隙間18の大きさは、微小であり、ロッド3の外周の円筒面とスリーブ14の内周の円筒面の半径差で0.015〜0.080mmの範囲に設定されている。
ばね座4は、樹脂の成形品からなり、リターンスプリング5の上端部を受ける端板部19と、端板部19から上方に突出する上部連結片4aと、端板部19からリターンスプリング5の上部を覆う円筒状のスプリングカバー20と、シリンダ2の上部を覆う円筒状のダストカバー21とを有している。
上部連結片4aはプーリアーム33(図9参照)に対して回動可能に連結されている。スプリングカバー20とダストカバー21とは、ばね座4の端板部19に対して、それぞれ同軸状に配置されている。
リターンスプリング5は、シリンダ2の内径寸法よりも小さい外径寸法を有するコイルばねであり、スリーブ14の周りに装着されている。リターンスプリング5は、下端がシリンダ2の内底面12で支持され、上端がばね座4の端板部19を上方に押圧するものである。
図2に示すように、シリンダ2の上端部に円筒面であるシール嵌合面22が形成されている。シール嵌合面22は、シリンダ2のうち、シール嵌合面22よりも下方の部分での内周面よりも大きい内径寸法を有している。このシール嵌合面22にオイルシール7が締め代をもって嵌合している。
オイルシール7は、シール嵌合面22に嵌合する円筒状の外筒部7aと、スプリングカバー20の外周に弾性接触する内筒部7bと、外筒部7aおよび内筒部7bとを上部で一体化させる連結部7cとが弾性体から一体に形成されたものである。
オイルシール7の弾性体は、耐摩耗性および耐熱性に優れた弾性を有する合成ゴムからなる。合成ゴムとして、例えば、ニトリルゴム、140℃耐熱ニトリルゴム、水素添加ニトリルゴム、アクリルゴム、ふっ素ゴム、シリコーンゴムを挙げることができ、そのうち、アクリルゴムおよびふっ素ゴムが特に好ましい。
オイルシール7の外筒部7aおよび連結部7cは、その内部に一体成形された金属製の芯金23により補強されている。
オイルシール7は、外筒部7aの下端部がシリンダ2のシール嵌合面22の下端部に形成されている径方向の段部で支持される状態となっている。内筒部7bは、上部に上方へ向かって内向きに突出するダストリップ7dを有している。ダストリップ7dは、その先端縁部が外筒部7aおよび連結部7cの上部よりも上方に位置するものである。
内筒部7bの下部の外周部にガータスプリング24が取り付けられている。このガータスプリング24により、内筒部7bがスプリングカバー20の外周部に締め付けられている。このガータスプリング24の締め付けにより、内筒部7bおよびダストリップ7dが、スプリングカバー20の外周面に対し全周にわたって弾性接触する。このオイルシール7は、内筒部7bおよびダストリップ7dがロッド3の移動に伴って、スプリングカバー20の外周部に摺接するようになっている。
オイルシール7のシリンダ2の上端部への嵌合によって、図1に示すように、シリンダ2とスリーブ14との間に密封されたリザーバ室25が形成される。リザーバ室25には、空気と作動油が上下二層に収容されている。
リザーバ室25と圧力室17は油通路16で連通している。油通路16の圧力室17側の端部に配置されたチェックバルブ15は、圧力室17内の圧力がリザーバ室25内の圧力よりも高くなると油通路16を閉鎖するようになっている。すなわち、チェックバルブ15は、油通路16のリザーバ室25側から圧力室17側への作動油の流れのみを許容するようになっている。
油圧ダンパ機構6は、鋼製のスリーブ14と、スリーブ14内の圧力室17と、スリーブ14とシリンダ2の間に形成されるリザーバ室25と、圧力室17とリザーバ室25の間を連通する油通路16と、チェックバルブ15と、リーク隙間18とから構成されており、ロッド3に負荷される下向きの力をシリンダ2の内部に形成される圧力室17内の作動油で緩衝するようになっている。
シリンダ2のシール嵌合面22の上方に堰部材嵌合面26が形成されている。堰部材嵌合面26はシール嵌合面22よりも内径寸法が大きい円筒面であり、堰部材嵌合面26に鋼製のスリンガ8が締め代をもって嵌合されている。
スリンガ8は、オイルシール7側が開口した円筒状をなし、シリンダ2の堰部材嵌合面26に嵌合する嵌合部8bの上端部から径方向内向きに延びるフランジ部8aと、ダストリップ7dの外周より大径の孔8cとを有する。スリンガ8の嵌合部8bの上端部は、シリンダ2の上端部よりも上方に位置している。また、嵌合部8bの上端部は、ダストリップ7dの上端縁部と軸方向に重なっている。
フランジ部8aは、オイルシール7の連結部7cの上方を覆う状態であって、ダストリップ7dの上端縁部に対して径方向外側に位置している。本実施形態では、フランジ部8aは、ダストリップ7dの上端縁部に対して径方向外側で、かつ、芯金23のうち径方向に延びる径方向延在部の中央部分よりも径方向内側に位置している。スリンガ8は、鋼製であるが、これに限られず、例えば、耐油性、耐熱性を有する合成樹脂製や合成ゴム製であってもよい。
この実施形態に係る油圧式オートテンショナ1は上記の構成からなり、図9に示す補機駆動用のベルト31の張力調整に際しては、シリンダ2の下部連結片2aを図1に示すエンジンブロックEに連結し、かつ、ばね座4に設けられた上部連結片4aをプーリアーム33に連結して、そのプーリアーム33に調整力を付与する。
このようなベルト31の張力調整状態において、補機の負荷変動等によってベルト31の張力が変化し、ベルト31の張力が弱くなると、リターンスプリング5の付勢力によりスリーブ14から突出する方向にロッド3が移動し、ベルト31の弛みを吸収する。このとき、圧力室17の容積が拡大するので、チェックバルブ15が開き、リザーバ室25内の作動油が油通路16を通って圧力室17に流入する。
一方、図9に示すベルト31の張力が大きくなると、そのベルト31の張力によって、スリーブ14内に押し込まれる方向にロッド3が移動し、ベルト31の緊張を吸収する。このとき、圧力室17の容積が縮小するので、チェックバルブ15が閉じ、圧力室17内の作動油がリーク隙間18を通って流出し、その作動油の粘性抵抗によってダンパ作用を生じる。
ところで、上記の油圧式オートテンショナ1は、シリンダ2の上端開口の内周に取り付けたオイルシール7で、シリンダ2内の作動油を密封している。ここで、ベルト31の張力変動に応じてロッド3が上下に移動するとき、ロッド3の移動に伴うオイルシール7の摺接部分(オイルシール7とスプリングカバー20の接触部分)で作動油の掻き出し作用が生じることがある。
特に、近年、車両の低燃費化を図るため、ベルト31の低フリクション化が求められており、これに伴い、ベルト31の張力も低く設定される傾向にある。その一方で、ベルト31で駆動される補機の負荷は、増加する傾向にある。
そのため、ベルト31の振幅が大きくなりやすく、油圧式オートテンショナ1の伸縮ストロークも大きくなる傾向にあり、オイルシール7の摺接部分で作動油の掻き出し作用が生じやすくなっている。
そして、長期にわたって油圧式オートテンショナ1を使用したときに、オイルシール7の摺接部分で掻き出された作動油が油圧式オートテンショナ1からにじみ漏れ、そのにじみ漏れが継続することで、作動油がベルト31や周辺部品に付着する可能性がある。作動油がベルト31や周辺部品に付着すると、ベルト31の滑りや周辺部品の動作不良の原因となる。
この問題に対し、この油圧式オートテンショナ1は、ロッド3の移動に伴うオイルシール7の摺接部分で作動油の掻き出し作用が生じたときに、シリンダ2の内部からオイルシール7の摺接部分を通って上方ににじみ出た作動油を、シリンダ2の上端部に嵌め合わされる筒状のスリンガ8により堰き止める。
特に、図3に示すように、油圧式オートテンショナ1をいずれかの方向に傾けた姿勢で取り付けた場合であっても、ロッド3の移動に伴うオイルシール7の摺接部分で作動油の掻き出し作用が生じる。
いずれかの方向に傾けた姿勢での油圧式オートテンショナ1では、オイルシール7の摺動部分からにじみ漏れた作動油が、オイルシール7のダストリップ7dから連結部7cの上部に沿って、傾けた姿勢でのシリンダ2の上端開口のうち、下側に位置する部分へ向かって移動する(図3中の一点鎖線の矢印参照)。移動する作動油は、スリンガ8とオイルシール7の外筒部7aとで囲まれる空間内に溜まる。このため、作動油がシリンダ2の上端部からあふれ出にくくなり、油圧式オートテンショナ1からの作動油のにじみ漏れを防止することができる。また、堰部材嵌合面26が、シリンダ2の上端開口の内周に設けられているので、スリンガ8をシリンダ2に容易に嵌め合うことができる。
図4は、この第一実施形態のスリンガ8の他の形態を示すものである。図4に示すスリンガ8は、フランジ部8aを有していない点で、図2に示すスリンガ8と相違している。その他の構成は第一実施形態と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図4に示すように、フランジ部8aを有していないスリンガ8は、その上端部がシリンダ2の上端部よりも上方に位置するものである。このスリンガ8も、シリンダ2の内部からオイルシールの摺接部分を通って上方ににじみ出る作動油を堰き止めることができる。
この発明の第二実施形態の油圧式オートテンショナ1を図5に示す。第二実施形態の油圧式オートテンショナ1は、スリンガ8がシリンダ2の上端外周に形成された堰部材嵌合面26に締め代をもって嵌め合わされている点で、第一実施形態の構成と相違する。その他の構成において、第一実施形態の構成と同じものは、同じ符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態において、シリンダ2の上端外周に形成される堰部材嵌合面26は、シリンダ2のうち、堰部材嵌合面26よりも下方の部分での外周面よりも小さい外径寸法を有している。
第二実施形態に係る油圧式オートテンショナ1も、第一実施形態と同様、ロッド3の移動に伴うオイルシール7の摺接部分で作動油の掻き出し作用が生じたときに、シリンダ2の内部からオイルシール7の摺接部分を通って上方から作動油がにじみ出る。にじみ出る作動油は、シリンダ2の上端部に嵌め合わされるスリンガ8により堰き止められる。
ここで、第二実施形態のスリンガ8は、シリンダ2の上端外周に嵌め合わされるので、シリンダ2の上端内周に嵌め合わされる第一実施形態のスリンガ8と比較して、内径寸法が大きくなり、より多量の作動油を堰き止めることができる。また、堰部材嵌合面26が、シリンダ8の上端開口の外周に設けられているので、スリンガ8をシリンダ2に容易に嵌め合うことができる。
図6は、この第二実施形態のスリンガ8の他の形態を示すものである。図6に示すスリンガ8においては、フランジ部8aを有していない点で、図5に示すスリンガ8と相違している。その他の構成は第二実施形態と同一部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように、フランジ部8aを有していないスリンガ8は、その上端部がシリンダ2の上端部よりも上方に位置し、かつ、ダストリップ7dの上端縁部よりも上方に位置するものである。このスリンガ8も、シリンダ2の内部からオイルシールの摺接部分を通って上方ににじみ出る作動油を堰き止めることができる。
この発明の第三実施形態の油圧式オートテンショナ1を図7に示す。第三実施形態の油圧式オートテンショナ1は、堰部材8が弾性を有する合成樹脂製である点、および堰部材8がフランジ部8aの代わりに、スプリングカバー20の外周部に弾性接触する内リップ8dを有する点で、第一実施形態の構成と相違する。その他の構成において、第一実施形態の構成と同じものは、同じ符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態では、弾性を有する合成樹脂製である堰部材8は、その嵌合部8bの上端に内リップ8dが一体に形成されたものである。内リップ8dは、スプリングカバー20の外周部に向かって上方に延び出している。内リップ8dの上端部は、ダストリップ7dの上端縁部よりも上方に位置している。
内リップ8dの上端縁は、その全周にわたってスプリングカバー20の外周部に弾性接触している。内リップ8dは、ロッド3の移動に伴って、スプリングカバー20の外周部に摺接するようになっている。
第三実施形態に係る油圧式オートテンショナ1は、第一実施形態と同様、ロッド3の移動に伴うオイルシール7の摺接部分で作動油の掻き出し作用が生ずる。この掻き出し作用が生じたときに、シリンダ2の内部からオイルシール7の摺接部分を通って上方ににじみ出た作動油を、堰部材8の内リップ8dにより堰き止めることができる。
堰部材8の内リップ8dにより、作動油がシリンダ2とダストカバー21との間を通ってシリンダ11の外部へにじみ漏れすることを防止することができる。
この発明の第四実施形態の油圧式オートテンショナ1を図8に示す。第三実施形態の油圧式オートテンショナ1は、堰部材8が弾性を有する合成樹脂製である点、および堰部材8がフランジ部8aの代わりに、ダストカバー21の内周部に弾性接触する外リップ8eを有する点で、第二実施形態の構成と相違する。その他の構成において、第二実施形態の構成と同じものは、同じ符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態では、弾性を有する合成樹脂製である堰部材8は、その嵌合部8bの上端に外リップ8eが一体に形成されたものである。外リップ8eは、ダストカバー21の内周部に向かって上方に延び出している。外リップ8eの上端部は、ダストリップ7dの上端縁部よりも上方に位置している。
外リップ8eの上端縁は、その全周にわたってダストカバー21の内周部に弾性接触している。外リップ8eは、ロッド3の移動に伴って、ダストカバー21の外周部に摺接するようになっている。
第四実施形態に係る油圧式オートテンショナ1は、第二実施形態と同様、ロッド3の移動に伴うオイルシール7の摺接部分で作動油の掻き出し作用が生ずる。この掻き出し作用が生じたときに、シリンダ2の内部からオイルシール7の摺接部分を通って上方ににじみ出た作動油を、堰部材8の外リップ8eにより堰き止めることができる。
堰部材8の外リップ8eにより、作動油がシリンダ2とダストカバー21との間を通ってシリンダ11の外部へにじみ漏れすることを防止することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 油圧式オートテンショナ
2 シリンダ
2a 下部連結片
2b 軸挿入孔
3 ロッド
4 ばね座
4a 上部連結片
5 リターンスプリング
6 油圧ダンパ機構
7 オイルシール
7a 外筒部
7b 内筒部
7c 連結部
7d ダストリップ
8 スリンガ
8a フランジ部
8b 嵌合部
8c 孔
8d 内リップ
8e 外リップ
9 下部連結軸
10 滑り軸受
11 ボルト
12 内底面
13 スリーブ嵌合凹部
14 スリーブ
15 チェックバルブ
16 油通路
17 圧力室
18 リーク隙間
19 端板部
20 スプリングカバー
21 ダストカバー
22 シール嵌合面
23 芯金
24 ガータスプリング
25 リザーバ室
26 堰部材嵌合面
31 ベルト
32 軸
33 プーリアーム
34 テンションプーリ
41 オイルシール
42 シリンダ
A 油圧式オートテンショナ
E エンジンブロック
2 シリンダ
2a 下部連結片
2b 軸挿入孔
3 ロッド
4 ばね座
4a 上部連結片
5 リターンスプリング
6 油圧ダンパ機構
7 オイルシール
7a 外筒部
7b 内筒部
7c 連結部
7d ダストリップ
8 スリンガ
8a フランジ部
8b 嵌合部
8c 孔
8d 内リップ
8e 外リップ
9 下部連結軸
10 滑り軸受
11 ボルト
12 内底面
13 スリーブ嵌合凹部
14 スリーブ
15 チェックバルブ
16 油通路
17 圧力室
18 リーク隙間
19 端板部
20 スプリングカバー
21 ダストカバー
22 シール嵌合面
23 芯金
24 ガータスプリング
25 リザーバ室
26 堰部材嵌合面
31 ベルト
32 軸
33 プーリアーム
34 テンションプーリ
41 オイルシール
42 シリンダ
A 油圧式オートテンショナ
E エンジンブロック
Claims (9)
- 上端が開口し、下端が閉塞したシリンダ(2)と、前記シリンダ(2)に上下に移動可能に挿入されたロッド(3)と、前記ロッド(3)の上部に設けられたばね座(4)と、前記シリンダ(2)の下部と前記ばね座(4)との間に組み込まれ、前記ロッド(3)を上方に付勢するリターンスプリング(5)と、前記ロッド(3)に負荷される下向きの力を前記シリンダ(2)の内部の作動油で緩衝する油圧ダンパ機構(6)と、前記ロッド(3)の移動に伴って摺接するように前記シリンダ(2)の上端開口の内周に取り付けられた環状のオイルシール(7)と、を備える油圧式オートテンショナにおいて、
前記シリンダ(2)の上端部に嵌め合わされる堰部材を備え、前記堰部材により、前記シリンダ(2)の内部から前記オイルシール(7)の摺接部分を通って上方ににじみ出る作動油が堰き止められるようにしたことを特徴とする油圧式オートテンショナ。 - 前記堰部材が筒状のスリンガ(8)であり、前記スリンガ(8)は、その上端部が前記シリンダ(2)の上端部よりも上方に位置することを特徴とする請求項1に記載の油圧式オートテンショナ。
- 前記ばね座(4)が前記リターンスプリング(5)の上部を覆う筒状のスプリングカバー(20)を有し、前記オイルシール(7)の内周部が前記スプリングカバー(20)の外周部に摺接する状態にあり、前記オイルシール(7)は、上方に延び出し、前記スプリングカバー(20)の外周部に摺接するダストリップ(7d)を有し、
前記スリンガ(8)はその上端部に径方向内向きに形成されるフランジ部(8a)を有し、前記フランジ部(8a)が、前記ダストリップ(7d)の上端縁部に対して径方向外側に位置していることを特徴とする請求項2に記載の油圧式オートテンショナ。 - 前記シリンダ(2)は、前記オイルシール(7)が嵌り合うシール嵌合面(22)と前記シール嵌合面(22)の上方に形成される堰部材嵌合面(26)とを有し、前記堰部材嵌合面(26)に前記堰部材(8)が嵌め合わされていることを特徴とする請求項1に記載の油圧式オートテンショナ。
- 前記堰部材嵌合面(26)が前記シリンダ(2)の上端内周又は上端外周に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の油圧式オートテンショナ。
- 前記オイルシール(7)は上方に延び出し、前記スプリングカバー(20)の外周部に摺接するダストリップ(7d)を有し、
前記堰部材(8)の上端部は、前記ダストリップ(7d)の上端縁部よりも上方に位置していることを特徴とする請求項4または5に記載の油圧式オートテンショナ。 - 前記堰部材嵌合面(26)が前記シリンダ(2)の上端内周に設けられていて、
前記堰部材(8)は弾性を有する合成樹脂製であり、前記スプリングカバー(20)の外周部に向かって上方に延び出す内リップ(8d)を有し、
前記内リップ(8d)が前記ロッド(3)の移動に伴って前記スプリングカバー(20)の外周部に摺接していることを特徴とする請求項5又は6に記載の油圧式オートテンショナ。 - 前記堰部材嵌合面(26)が前記シリンダ(2)の上端外周に設けられていて、
前記堰部材は弾性を有する合成樹脂製であり、前記ダストカバー(21)の内周部に向かって上方に延び出す外リップ(8e)を有し、
前記外リップ(8e)が、前記ロッド(3)の移動に伴って前記ダストカバー(21)の内周部に摺接していることを特徴とする請求項5又は6に記載の油圧式オートテンショナ。 - 前記オイルシール(7)が前記シール嵌合面(22)に締め代をもって嵌め合わされていることを特徴とする請求項4乃至8のいずれか1項に記載の油圧式オートテンショナ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2018059575A JP2019173776A (ja) | 2018-03-27 | 2018-03-27 | 油圧式オートテンショナ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2018059575A JP2019173776A (ja) | 2018-03-27 | 2018-03-27 | 油圧式オートテンショナ |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2019173776A true JP2019173776A (ja) | 2019-10-10 |
Family
ID=68168452
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2018059575A Pending JP2019173776A (ja) | 2018-03-27 | 2018-03-27 | 油圧式オートテンショナ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2019173776A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN112945464A (zh) * | 2021-02-25 | 2021-06-11 | 上海天永智能装备股份有限公司 | 一种自动涨堵装置 |
| JPWO2022050063A1 (ja) * | 2020-09-01 | 2022-03-10 |
-
2018
- 2018-03-27 JP JP2018059575A patent/JP2019173776A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPWO2022050063A1 (ja) * | 2020-09-01 | 2022-03-10 | ||
| WO2022050063A1 (ja) * | 2020-09-01 | 2022-03-10 | 日立Astemo株式会社 | 緩衝器 |
| CN112945464A (zh) * | 2021-02-25 | 2021-06-11 | 上海天永智能装备股份有限公司 | 一种自动涨堵装置 |
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