JP2019178036A - 吹付用建築モルタル - Google Patents

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Abstract

【課題】吹付工法に適した高い付着性と良好な施工作業性を具備するセメント系の建築モルタルの提供。【解決手段】(A)ポルトランドセメント100質量部、(B)高炉スラグ微粉及び/又はポゾラン反応性物質26〜38質量部、(C)石膏類4〜12質量部、(D)増粘剤0.2〜0.4質量部、(E)フミン酸及び/又はフルボ酸5〜10質量部および(F)細骨材230〜290質量部を含有する。好ましくは、ポリマーセメントモルタルを含有し、さらに好ましくは、繊維を含有する吹付用建築モルタル。【選択図】なし

Description

本発明は、吹付施工に適した建築モルタルに関する。
建築物の壁や天井等の構築部材として、或いは壁面等へのタイル張付け材等に使用されるセメント系モルタルは、施工面積が比較的広範囲な場合などでは、吹付工法で施工されることがある。吹付工法には、水を含む全てのモルタル構成成分を予め混練し、得られたスラリー状モルタルを吹付装置に圧送し、そのまま吹付ける乾式吹付工法と、水と多くの場合は液体成分を除いたモルタル構成成分を予め乾式混合し、この混合物を吹付機に圧送し、圧送途中で圧送物に注水及び注液をし、これを吹付ける湿式吹付工法がある。何れの吹付工法でも、モルタル吹付工法に適するセメント系モルタルは、良好な付着性の具備が不可欠である。吹付施工に適した付着強度を確保するには、モルタルの結合相を形成するセメントを急速に凝結させて、吹付物が変形や崩落する前に固結させてしまう手段と、強い粘着力で吹付物を接着させる手段がある。前者は例えば急結剤を配合することで得られ、後者は例えば増粘剤や他の特定のポリマーを配合することで得られる。
急結剤を使用したモルタルは、急激に硬化が進むため吹付後の仕上調整が実質不可能であり、また急結剤配合物は注水後の練り置きができない等、施工作業面での制約が多いため、建築物への適用は限定的である。増粘剤を使用したモルタルで、十分安定な付着性を得るには、高粘性の増粘剤選定や、使用量を多くせねばならない。これは、吹付時のモルタル圧送性低下や混合抵抗上昇による混合不足に繋がり、施工が不安定になり、均質な吹付施工物が得難くなる。また、増粘剤以外のポリマーとしては、主にポリマーモルタルセメント用ポリマーとして知られているポリマーディスパーションや再乳化型粉末樹脂が使用されている。(例えば、特許文献1〜3参照。)しかし、施工作業面で制約の多いエポキシ系ポリマーなど硬化の特に早い一部のポリマー以外のポリマーでは、概して付着力が高くないため、大量に配合使用しないと吹付に適した付着性が得難い。一方で、ポリマーの大量配合は強度低下、垂れが生じる虞及びポンプ圧送性の低下の虞がある。
特開平11−322390号公報 特開2015−127284号公報 特開2011−207639号公報
本発明は、セメント系モルタルにおいて、高い付着性確保のための前述のような成分配合による問題点の解消を課題とするものであり、吹付装置を介した圧送路で良好な流動性を呈し、混合性も良好で、吹付時の粘着性も良好で、吹付後はしまりの早い特性により、モルタル施工物の液垂れや剥離・剥落の抑制が十分できる吹付施工に適した建築モルタルの提供を課題とする。
本発明者は、特定量のポルトランドセメントと、高炉スラグ微粉及び/又はポゾラン反応性物質と、石膏類と、増粘剤と、細骨材との含有物に、フミン酸及び/又はフルボ酸を加えたモルタルが良好な混合性を呈し、吹付まで圧送に適した流動状態が得やすく、吹付後、モルタルのしまりが早い特性が、液垂れ抑制や崩落抑止効果をもたらし、作業性が向上したモルタル質の吹付施工物が得られたことから、本発明を完成した。
即ち、本発明は、次の発明〔1〕〜〔4〕を提供するものである。
〔1〕(A)ポルトランドセメント100質量部、(B)高炉スラグ微粉及び/又はポゾラン反応性物質26〜38質量部、(C)石膏類4〜12質量部、(D)増粘剤0.2〜0.4質量部、(E)フミン酸及び/又はフルボ酸5〜10質量部および(F)細骨材230〜290質量部を含有する吹付用建築モルタル。
〔2〕さらに、(G)ポリマーセメントモルタル用ポリマーを含有する前記〔1〕に記載の吹付用建築モルタル。
〔3〕さらに、(H)繊維を含有する前記〔1〕又は〔2〕に記載の吹付用建築モルタル。
〔4〕細骨材が、無機質軽量細骨材含有率5質量%以下(0質量%を含む。)の細骨材である前記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の吹付用建築モルタル。
本発明により得られる吹付用建築モルタルは、吹付装置を介した吹付施工に於いて、従来の建築用吹付モルタルや建築タイル張付用モルタルなどよりも遙かに少ない増粘剤やポリマーの配合量であっても、早いしまりにより良好な付着性が得られる。吹付圧送性に適した良好な流動性と良好な混合性の基で、吹付施工物の液垂れ抑制や剥落防止が十分なされた施工物を得ることができる。また、本発明の吹付用建築モルタルは、例えば乾式吹付工法及び湿式吹付工法の何れにも使用でき、施工工法を制限しない。
本発明の吹付用建築モルタルは、結合相形成の主成分として(A)ポルトランドセメントを含有する。ポルトランドセメントは、例えば、普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩等の各種ポルトランドセメントの1種又は2種以上が使用できる。通常の施工環境では、コスト的にも有利で汎用性の高い普通ポルトランドの使用が好ましい。また、ポルトランドセメントを含む混合セメントも使用可能であるが、そのモルタルへの配合量に関しては、混合セメント中のポルトランドセメント相当分だけをポルトランドセメント量とする。
また、本発明の吹付用建築モルタルは、(B)高炉スラグ微粉及び/又はポゾラン反応性物質を含有する。好ましくは、高炉スラグ微粉単独使用か高炉スラグ微粉とポゾラン反応物質の併用とする。高炉スラグ微粉の含有は高密化や高強度化に寄与し、施工物の耐久性が向上する。また、ポゾラン反応性物質の含有は比較的早期に緻密化が進むため吹付施工物の変形防止にも寄与する。使用する高炉スラグ微粉は潜在水硬性を有する微粉であれば何れのものでも良い。好ましくはブレーン比表面積が4000〜6000cm2/gの微粉を使用する。また、ポゾラン反応性物質はシリカフューム、フライアッシュ、火山灰等を挙げることができ、何れのものでも使用できる。高炉スラグ微粉及び/又はポゾラン反応性物質の含有量は、ポルトランドセメント含有量100質量部に対し、26〜38質量部(何れか一方しか含まないときはその質量。両方を含むときはその合計質量とする。)である。好ましい含有量は30〜34質量部である。26質量部未満では含有効果が殆ど得られないので好ましくなく、また38質量部を超えると収縮変形が顕著になる虞があるので好ましくない。尚、高炉スラグ微粉とポゾラン反応性物質を併用するときの両者の含有割合は特に制限されない。好ましくは概ね等量か高炉スラグを2割程度まで多めの割合とする。
また、本発明の吹付用建築モルタルは、(C)石膏類を含有する。石膏類は、無水石膏、半水石膏又は二水石膏が使用できる。工業薬品の無水硫酸カルシウムなども使用できる。石膏類を含むことで、乾燥・硬化時の収縮が抑制され、それに伴う変形やひび割れ発生を防ぐことができる。石膏類は長期強度の延びも期待できる。 石膏類の吹付用建築モルタル中の含有量は、ポルトランドセメント含有量100質量部に対し、6〜10質量部とする。好ましくは、7.5〜9.0質量部の含有量とする。6質量部未満では硬化時の収縮が十分抑制できないことがあり、また10質量部を超えると凝結遅延の虞があるので好ましくない。
また、本発明の吹付用建築モルタルは、(D)増粘剤を含有する。増粘剤としてはモルタルやコンクリートで使用できる水溶性の増粘剤なら何れのものでも使用できる。具体的には、セルロース誘導体、デンプン誘導体、ゼラチン、アラビアゴム等の水溶性高分子を挙げることができるが限定されない。好ましくは、20℃で2%水溶液の粘度が1500〜35000mPa・sのセルロース誘導体を使用する。前記セルロース誘導体としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等が、20℃で2%水溶液の粘度が前記範囲になるものを容易に調整できるので好ましい。増粘剤の含有により、吹付工法用建築モルタル構成成分の材料分離の抑制と吹付時の粘着性向上に寄与する。増粘剤の含有量は、ポルトランドセメント含有量100質量部に対し、0.2〜0.4質量部(液状増粘剤のときは固形分換算量)である。好ましい含有量は0.25〜0.35質量部(液状増粘剤のときは固形分換算量)である。0.2質量部未満では材料分離を十分抑えられないことや粘着性向上が殆ど無いので好ましくなく、また0.4質量部を超えると粘性が上昇し過ぎて良好な流動性が得られず、吹付装置を介しての圧送性に支障をきたす虞があるので好ましくない。
また、本発明の吹付用建築モルタルは、(E)フミン酸及び/又はフルボ酸を含有する。フミン酸及び/又はフルボ酸の含有により、注水後の材料分離抵抗性の向上と、モルタルのしまりを早めることができ、吹付施工物の付着力が増進する。
フミン酸とフルボ酸は、いずれも植物などが微生物により分解される最終生成物である腐植物質である。フルボ酸は天然フルボ酸が使用できる。フミン酸は天然フミン酸と再生フミン酸の何れでも使用することができる。天然フミン酸及び天然フルボ酸は生成源に限定されずに使用できる。再生フミン酸は市販工業製品のニトロフミン酸が例示できるが、これの使用に限定されるものではない。また、フミン酸塩は製造時の配合に使用しない。フミン酸塩はフミン酸本来の活性作用が失われ、本発明でフミン酸配合によって奏される前記のような特性が得難くなるためである。 本発明の吹付用建築モルタル中のフミン酸及び/又はフルボ酸の含有量は、ポルトランドセメント含有量100質量部に対し、5〜10質量部とするのが好ましい。好ましいフミン酸及び/又はフルボ酸含有量は、ポルトランドセメント含有量100質量部に対し、7〜9質量部である。(何れか一方だけ含有のときはその質量。両方含有のときは合計質量とする。)5質量部未満の含有量では、含有効果が殆ど得られない。また、フミン酸及び/又はフルボ酸含有量が10質量部を越えると、粘性が上昇し過ぎることがあり、施工作業性が阻害されるので好ましくない。
また、本発明の吹付用建築モルタルは、(F)細骨材を含有する。細骨材は、最大粒径5mm以下であってモルタルに使用できるものなら、材質を含め特に限定されない。具体的には、例えば、山砂、川砂、海砂等の天然砂、砕石粉等の普通骨材を挙げることができる。細骨材は全量普通細骨材からなるものでも良いが、好ましくは、無機質軽量骨材を最大5質量%含む細骨材を使用することで、吹付施工物の自重による変形・崩落を抑制し、弾性係数を小さくしてひび割れやリバウンドを低減させる作用が高まる。無機質軽量骨材としては、例えばパーライト、ガラスバルーン等の中空状の人工軽量骨材や軽石などの天然多孔質骨材を好適に挙げることができる。有機質軽量骨材は比重が軽過ぎて材料分離を起こし易く、モルタル圧送過程が不可欠である吹付施工には適さない。また、粒度分布の異なる複数の種類の細骨材を用いても良い。特に複数種の細骨材からなり、粒径600μm未満の微細骨材とそれより大きい細骨材(非微細骨材)を質量比(非微細骨材/微細骨材)概ね1〜4の割合で含むものにすると、より緻密な組織が得易く、かつ吹付後の施工物肌面も平滑に近い表面が得やすい。本発明の吹付用建築モルタル中の細骨材の含有量は、ボルトランドセメント含有量100質量部に対し、230〜290質量部とする。細骨材が230質量部未満の含有量では、収縮ひび割れが発生する虞があるので好ましくなく、290質量部を越えると含有量では強度の低下や、吹付施工物の液垂れが起こりやすくなるので好ましくない。
また、本発明の吹付用建築モルタルは、さらに(G)ポリマーセメントモルタル用ポリマーを含有することが好ましい。ポリマーセメントモルタル用ポリマーの含有は、モルタル吹付時の付着力強化と付着性維持に寄与する。ポリマーセメントモルタル用ポリマーとしては、JISA6203:2015で規定されるポリマーセメントモルタルに用いるセメント混和用ポリマーディスパージョン及びセメント混和用再乳化形粉末樹脂であれば、何れのものでも使用できる。具体的には、一例としてポリマーディスパージョンではスチレンブタジエンゴム系、再乳化形粉末樹脂ではアクリル系または酢酸ビニル系のポリマーを挙げることができるが、掲示例に限定されない。好ましくは、特に接着硬化速度が早いポリマー、例えばエポキシ系ポリマーなどの使用は施工作業面で制約を受け易いので避ける。ポリマーセメントモルタル用ポリマーを使用する場合の好ましい含有量は、ポルトランドセメント含有量100質量部に対し、固形分質量換算で2.5〜7.0質量部とする。
また、本発明の吹付用建築モルタルは、さらに(H)繊維を含有することが好ましい。繊維の含有はモルタル吹付時の液垂れや崩落抑制と吹付施工物のひび割れ防止に寄与する。本発明の吹付用建築モルタルに含有させる繊維は、最大長さ10mm、好ましくは長さ5〜6mm程度の繊維であって、モルタルやコンクリートに使用できるものなら何れのものでも使用できる。具体的には、高分子、鋼、炭素、硼素、ガラス、ガラス以外のセラミックス等の材質の繊維を例示できる。耐久性やコスト面からは、例えばビニロンやポリアミド系合成樹脂(ナイロン)などを材質とする高分子繊維が望ましい。繊維を使用する場合の好ましい含有量は、ポルトランドセメント含有量100質量部に対し、0.2〜0.5質量部とする。
また、本発明の吹付用建築モルタルは、本発明の効果を実質喪失させない範囲で、前記以外の成分を含有しても良い。このような成分として、減水剤類、粘土鉱物、膨張材、収縮低減剤、凝結調整剤または顔料等を例示することができる。
また、本発明の吹付用建築モルタルの混練に添加される水の量は、特に制限されるものではない。施工対象、施工環境及びモルタル配合等に応じて適宜定めれば良い。配合量の目安を例示すると、20℃前後で混練・打設する場合、吹付用建築モルタルの細骨材を含む粉体成分総含有量100質量部に対し、20〜25質量部の水が推奨使用量であるが、限定されるものではない。
また、本発明の吹付用建築モルタルの吹付方法は、特に限定されない。好ましい吹付方法は、水以外の前記モルタル含有成分を別途用意した混合機で乾式混合し、この混合物を吹付装置に、例えばポンプによって圧送する。圧送経路中、例えば吹付装置内で、圧送中の前記混合物に注水を行う。この場合の吹付装置は、装置内に混合物の圧送管と、先端に吐出孔を設けた吹付ノズルを構成に含む該圧送管に、好適にはシャワーリング或いはY字状又はT字状の三方管(以下、総称してY管と称す。)が注液部材として組込まれた吹付装置を使用する。注水はシャワーリングの場合は環内周に設けられた注液孔から、Y管の場合はモルタルの圧送経路の圧送方向(主管)に対して概ね30〜90°の角度の方向に配管した側管から水を加える。注水と同時期から未含水のモルタル混合物と水との混合・混練が、ノズル先端までの経路中で行われる。圧送された注水混合物は前記ノズル先端に設けられた孔から吐出され、対象物に吹付けられる。この方法とは別の、他の好ましい吹付方法を例示すると、別途用意した混練装置に、水を含むモルタル全配合成分の全量を投入し、湿式混合して得たモルタルスラリーを吹付装置にポンプ圧送する。この場合の吹付装置は、前記混練装置又はスラリー貯蔵タンクとホース等を介して接続された、実質圧送管ノズルだけで構成されたものでも良く、ノズルの先端孔からモルタルスラリーが吐出され、対象物に吹き付けられる。
以下、実施例により本発明を具体的に詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。また、特記無い限り、以下の実施例は評価も含め、20(±0.5)℃の環境下で行った。
次に表す各材料を表1の配合となるよう、混練容器に投入し、次いで混合しながら水をセメント100質量部に対し80質量部加え、注水完了後約120秒間混練を行って高流動のスラリー状モルタル組成物を作製した。前記スラリー状モルタル組成物は作成後直ちにスラリー供給タンクに移した。スラリー供給タンクは、スラリーを圧送用ホースを介して吹付装置にポンプ圧送することができる。吹付装置は圧送量調整の為のバルブが付いた鋼製の圧送管とその先のノズル管部からなり、ノズルの先端には吐出用の孔があり、この孔からモルタルが吹き出される。
A;普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)
B1;高炉スラグ微粉(ブレーン比表面積約4000cm2/g、市販品)
B2;フライアッシュ(JIS A6201;2008で規定のII種相当品、ブレーン比表面積2500cm2/g以上)
B3;シリカフューム(ブレーン比表面積約10万cm2/g、市販品)
C;II型無水石膏(市販試薬)
D1;プロピルメチルセルロース系増粘剤(20℃での粘度約4000mPa・s、信越化学工業社製「90SH−4000」)
D2;メチルセルロース系増粘剤(20℃での粘度約8000mPa・s、信越化学工業社製「SM−8000」)
E1;フミン酸(市販試薬)
E2;フミン酸(東京化成工業社製ニトロフミン酸)
E3;フルボ酸(市販試薬)
F1;細骨材・6号珪砂(三河産)
F2;細骨材・7号珪砂(三河産)
F3;パーライト(5mm目篩全通で1.2mm目篩通過分60%未満、太平洋パーライト社製)
G1;アクリル系再乳化型粉末樹脂(太平洋マテリアル社製)
G2;スチレンブタジエンゴム系ポリマーディスパーション(太平洋マテリアル社製)
H;ビニロン繊維(長さ6mm、市販品)
Figure 2019178036
[スラリー状モルタルの経時可使性(流動状況)評価]
混練り後のスラリー状モルタルの経時可使性の評価として、JIS R 5201に規定する方法でフロー試験を行った。初期フロー測定後、モルタルを一般養生室に30分静置後、再度同じフロー試験を行って経時後のフローを測定し、初期フローからの変化率を算出した。変化率が20%以下であれば所定の経時時間内(練り上がり後30分間)は施工作業可能な流動性が確保されていると判断し、可使性「良好」と判断し、20%を超えた場合若しくはフロー測定不能な性状(例えば、流動性喪失)だったものは、「不良」と判断した。この結果を表2に示す。
[スラリー状モルタルの材料分離に関する評価]
また、前記混練直後のスラリー状モルタルを、地面に水平に設置した内寸縦13cm、横8.5cm、高さ1.8cmで上面開放のブラスチック製の角形容器に、高さ5mmとなるよう流し込んだ。このモルタル状組成物の材料分離の評価として、ブラスチック製容器中に流し込んでから30分間放置した打設物表面に、ブリーディング水が発生しているか否かを目視で調べた。ブリーディング水の発生が見られなかったものを材料分離が「無」と判断し、それ以外の状況となったものを材料分離が「有」と判断した。結果を表2に示す。
[スラリー状モルタルの容重測定]
前記混練直後のモルタル組成物の単位容積質量を、JIS A1171に規定する方法で測定した。その結果を表2に示す。
[付着性の評価]
混練直後のスラリー状モルタルを前記吹付装置を用い、ノズル先端から約1m離れた、地面に垂直に設置されたコンクリート平板の0.9m×0.9mの面に向かって、10リットル/分の流量で5mm程度の施工厚に均一になるよう吹付けた。次いで、1日養生した吹付施工物の上面に、同じ配合の混練直後のスラリー状モルタルを、さらに5mm分の施工厚さが追加されるよう、同じ吹付条件でむらなく吹付けた。吹付終了から10分経過後の吹付面を目視観察し、吹付物のリバウンド(跳ね返り)、液垂れ、崩落等が実質的に無かったものを付着性が「良好」と判断し、それ以外の状況となったものは全て付着性が「不良」と判断した。この結果を表2に示す。
[長さ変化の評価]
また、前記の如く作製した注水後のスラリー状モルタル組成物を用い、長さ変化の測定に供した。長さ変化の測定方法は、「日本建築仕上材工業会規格の吹付モルタル材(NSKS−007)」に規定する「長さ変化試験」に準じて作製・脱型した試験体を用いた。JIS A 1129の2.2(コンタクトゲージ法)に規定する方法により、基長設定後養生し、28日後の長さ変化の変化率(%)を算出した。前記変化率の結果は表2に示す。なお、長さ変化の変化率が、0.050(%)以下のモルタル施工物の場合は、建築用のモルタルとして問題なく適用できる。
Figure 2019178036
[圧縮強度の評価]
また、前記の如く作製した注水後のスラリー状モルタルを、作製後直ちに、内寸40×40×160mmの成形用型枠に流し込んだ。これを空気中に24時間静置して脱型した。脱型物は、所定の材齢まで20℃(±0.5℃)恒温庫に入れて、それぞれ材齢材齢7日と28日の供試体を得た。各供試体の一軸圧縮強度をアムスラー式圧縮強度試験機で測定した。この結果を表3に記す。尚、所定材齢で未硬化だったものは供試体作成不能のため強度測定を行えず、「×」と表記した。
[曲げ強度の評価]
また、前記の如く作製した注水後のスラリー状モルタルを、作製後直ちに、内寸40×40×160mmの成形用型枠に充填した。これを空気中に24時間静置して脱型した。脱型物は、所定の材齢まで20℃(±0.5℃)恒温庫に入れて、それぞれ材齢材齢7日と28日の供試体を得た。各供試体の三点曲げ強度をミハエリス曲げ試験機で測定した。この結果を表3に記す。尚、所定材齢で未硬化だったものは供試体作成不能のため強度測定を行えず、「×」と表記した。
[付着強度の評価]
また、前記の如く作製した注水後のスラリー状モルタル組成物を用い、付着強度の測定に供した。付着強度の測定方法は、「日本建築仕上材工業会規格の吹付モルタル材(NSKS−007)」に規定する「付着強さ試験」に準じて行った。測定結果を表3に示す。
Figure 2019178036
表2から、本発明による吹付用建築モルタルは、液垂れや崩落を起こさない優れた付着性を具備しつつも、吹付圧送に適した流動性状が、混練後も施工作業に必要な時間程度は確保できることがわかる。また、表3からは本発明による吹付用建築モルタルは、吹付施工後の強度も高く、長期にわたり堅牢な施工物が維持できていることがわかる。

Claims (4)

  1. (A)ポルトランドセメント100質量部、(B)高炉スラグ微粉及び/又はポゾラン反応性物質26〜38質量部、(C)石膏類4〜12質量部、(D)増粘剤0.2〜0.4質量部、(E)フミン酸及び/又はフルボ酸5〜10質量部および(F)細骨材230〜290質量部を含有する吹付用建築モルタル。
  2. さらに、(G)ポリマーセメントモルタル用ポリマーを含有する請求項1記載の吹付用建築モルタル。
  3. さらに、(H)繊維を含有する請求項1又は2記載の吹付用建築モルタル。
  4. 細骨材が、無機質軽量細骨材含有率5質量%以下(0質量%を含む。)の細骨材である請求項1〜3の何れかに記載の吹付用建築モルタル。
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