JP2019178247A - 耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法、シラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物、耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体、耐熱性製品、電線及び光ファイバケーブル - Google Patents
耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法、シラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物、耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体、耐熱性製品、電線及び光ファイバケーブル Download PDFInfo
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Abstract
Description
ポリオレフィン樹脂を架橋する方法として、特殊な設備を要しない等の利点を有するシラン架橋法が知られている。シラン架橋法では、まず、有機過酸化物の存在下で、加水分解性シリル基と不飽和基とを有するシランカップリング剤をポリオレフィン樹脂にグラフト反応させたシラングラフト樹脂を調製する。次いで、得られたシラングラフト樹脂をシラノール縮合触媒の存在下で水分と接触させることにより、加水分解性シリル基を縮合する。このようにして、ポリオレフィン樹脂をシラン架橋させることができる。
特許文献2には、ベース樹脂にシラン基がグラフトされたシラン材、酸化防止剤、滑剤、及び難燃剤を含有した樹脂組成物を絶縁層とする、シラン架橋電線の製造方法であって、特定の融点を有する滑剤、例えばエルカ酸アミド、を使用する製造方法が提案されている。
特許文献3には、オレフィン系樹脂にシランカップリング剤をグラフト重合させたシラングラフトオレフィン系樹脂よりなるシラングラフトバッチと、オレフィン系樹脂に金属水酸化物よりなる難燃剤を配合してなる難燃剤バッチと、オレフィン系樹脂にシラン架橋触媒を配合してなる触媒バッチを混練し、水架橋する難燃性シラン架橋オレフィン系樹脂の製造方法において、ステアリン酸、脂肪酸アミド等の滑剤を難燃材バッチに添加することが提案されている。
本発明は、脂肪酸アミド化合物を滑剤として用い、金属導体又は光ファイバに対する密着力及び外観に優れた、耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体を製造できる製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造に適したシラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物、耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体、これを用いた耐熱性製品、電線及び光ファイバケーブルを提供することを課題とする。
すなわち、本発明の課題は以下の手段によって達成された。
〔1〕
下記工程(1)、工程(2)及び工程(3)
工程(1):ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.01〜0.5質量部と、無機フィラー0〜250質量部と、前記有機過酸化物から発生したラジカルの存在下で前記ポリオレフィン樹脂とグラフト化反応しうるグラフト化反応部位を有するシランカップリング剤1〜15質量部と、シラノール縮合触媒と、脂肪酸アミド化合物0.05〜2質量部を溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって、前記グラフト化反応部位とポリオレフィン樹脂とを、グラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含む反応組成物を得る工程
工程(2):前記反応組成物を成形して成形体を得る工程
工程(3):前記成形体を水と接触させて耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体を得る工程
を有する耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法であって、
前記工程(1)が、下記工程(a)、工程(b)及び工程(c)を有する、
工程(a):前記ポリオレフィン樹脂の一部と、前記有機過酸化物と、前記シランカップリング剤と、前記脂肪酸アミド化合物と、前記無機フィラーを含む場合には前記無機フィラーとを、前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記グラフト化反応部位と前記ポリオレフィン樹脂とをグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを調製する工程
工程(b):前記ポリオレフィン樹脂の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(c):前記シランマスターバッチと、前記触媒マスターバッチとを溶融混合して、前記反応組成物を得る工程
耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法。
〔2〕
前記脂肪酸アミド化合物が、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド及びベヘニン酸アミドからなる群より選ばれた少なくとも1つを含む〔1〕に記載の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法。
〔3〕
前記脂肪酸アミド化合物が、エルカ酸アミドを含む〔1〕に記載の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法。
〔4〕
前記工程(1)において無機フィラーの配合量が5〜250質量部であり、
前記工程(a)が、下記工程(a−1)及び(a−2)を有し、前記脂肪酸アミド化合物が少なくとも工程(a−2)で溶融混合される、〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法。
工程(a−1):前記有機過酸化物と前記無機フィラーと前記シランカップリング剤とを混合する工程
工程(a−2):前記混合物と前記ポリオレフィン樹脂の一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記グラフト化反応部位と前記ポリオレフィン樹脂とをグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを調製する工程
〔5〕
前記ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン樹脂、酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体樹脂、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム及びスチレン系エラストマーからなる群より選ばれた少なくとも1種である〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法。
〔6〕
前記無機フィラーが、金属水和物、タルク、クレー、シリカ及びカーボンブラックからなる群より選ばれた少なくとも1種である〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法。
〔7〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の前記工程(1)により製造されてなるシラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物。
〔8〕
〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法により製造されてなる耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体。
〔9〕
請求項8に記載の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体を含む耐熱性製品。
〔10〕
〔8〕に記載の前記耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体を被覆層として金属導体表面に有する電線。
〔11〕
〔8〕に記載の前記耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体を被覆層として光ファイバ表面に有する光ファイバケーブル。
したがって、本発明により、金属導体又は光ファイバに対する優れた密着力及び外観を兼ね備えた耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体及びその製造方法、並びに耐熱性製品、電線及び光ファイバケーブルを提供できる。また、このような優れた特性を示す耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体を形成可能な、シラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物を提供できる。
脂肪酸アミド化合物は、シランマスターバッチに配合され、シランマスターバッチの流動性を高めて、シランマスターバッチと触媒マスターバッチとの溶融混合の際に、各成分(例えば、シラノール縮合触媒)の分散をより均一にする作用を有すると考えられる。また、耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の表面において、金属導体又は光ファイバとの密着力を制御する作用を有する。
脂肪酸アミド化合物は、脂肪酸部分の炭素原子数が18〜22であるアミド(例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド等)を含むことが好ましい。
脂肪酸アミド化合物は、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド及びベヘニン酸アミドからなる群より選ばれた少なくとも1つを含むことが好ましい。耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の表面に移行しやすく、少量でも高い滑剤効果が得られる点で、エルカ酸アミドがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂は、エチレン性不飽和結合を有する化合物を単独重合又は共重合して得られる重合体からなる樹脂であれば特に限定されるものではなく、従来、樹脂組成物に使用されている公知のものを使用することができる。
ポリオレフィン樹脂に包含される樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂、酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体樹脂、及び、これらのゴム若しくはエラストマー等の各樹脂が挙げられる。ゴム若しくはエラストマーとしては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、スチレン系エラストマー、エチレンアクリルゴム等が挙げられる。
本発明において、ポリオレフィン樹脂又は樹脂成分は、それぞれ、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン樹脂、酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体樹脂、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、スチレン系エラストマーからなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂は、鉱物性オイルを含んでいてもよい。
ポリエチレン樹脂は、エチレン構成成分を含む重合体の樹脂であればよく、エチレンのみからなる単独重合体、エチレンとα−オレフィン(好ましくは5mol%以下)との共重合体(ポリプロピレンに該当するものを除く)、並びに、エチレンと官能基に炭素、酸素及び水素原子だけを持つ非オレフィン(好ましくは1mol%以下)との共重合体からなる樹脂が包含される。なお、上述のα−オレフィレン及び非オレフィンはポリエチレンの共重合成分として従来用いられる公知のものを特に制限されることなく用いられる。
本発明において用い得るポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、直鎖型低密度ポリエチレン(LLDPE)又は超低密度ポリエチレン(VLDPE)が挙げられる。中でも、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖型低密度ポリエチレンが好ましく、直鎖型低密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレンがより好ましい。ポリエチレン樹脂は1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
ポリプロピレン樹脂は、主成分としてプロピレン構成成分を含む重合体であればよく、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン樹脂)、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体等の樹脂を使用することができる。
エチレン−プロピレンランダム共重合体は、エチレン成分の含有量が1〜10質量%程度のものをいい、エチレン成分がプロピレン鎖中にランダムに取り込まれているものをいう。また、エチレン−プロピレンブロック共重合体は、エチレンやエチレン―プロピレンゴム(EPR)成分の含有量が5〜20質量%程度のものをいい、プロピレン成分の中にエチレンやEPR成分が独立して存在する海島構造であるものをいう。ポリプロピレン樹脂として特に好ましいものは、外観の点で、エチレン―プロピレンランダム共重合体の樹脂である。エチレン成分含有量は、ASTM D3900に記載の方法に準拠して、測定される値である。
エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂としては、好ましくは、エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体(上述のポリエチレン及びポリプロピレンに該当するものを除く)の樹脂が挙げられる。α−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、1−プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン又は1−ドデセンが挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体は1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムは、エチレンと上記α−オレフィンとの共重合体からなるゴムであれば特に限定されない。例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPゴム(EPM))であって、エチレンとプロピレンのゴム状共重合体が挙げられる。ここで、エチレン−プロピレン共重合体ゴムとはエチレン成分含有量が通常40〜75質量%程度のものをいう。エチレン−プロピレン共重合体ゴム中のエチレン成分含有量は、50〜75質量%が好ましく、より好ましくは55〜70質量%である。エチレン成分含有量は、ASTM D3900に記載の方法に準拠して、測定される値である。
酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体樹脂における酸共重合成分又は酸エステル共重合成分としては、特に制限されないが、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸化合物、並びに、酢酸ビニル及び(メタ)アクリル酸アルキル等の酸エステル化合物が挙げられる。ここで、(メタ)アクリル酸アルキルのアルキル基は、炭素数1〜12のものが好ましい。酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体等が挙げられる。酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体は1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
エチレンアクリルゴムは、特に限定されないが、構成成分として、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルと、エチレンとを共重合させて得られる共重合体からなるゴム弾性体が好ましい。エチレンとの2元共重合体や、これに更にカルボキシ基を側鎖に有する不飽和炭化水素を共重合させた3元共重合体等の各共重合体からなるゴムを特に好適に使用することができる。2元共重合体からなるエチレンアクリルゴムfとしては、例えば、ベイマックDPやベイマックDLSが挙げられる。3元共重合体からなるエチレンアクリルゴムとしては、例えば、ベイマックG、ベイマックHG、ベイマックLS、ベイマックGLS(商品名、いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)が挙げられる。
スチレン系エラストマーとしては、分子内に芳香族ビニル化合物を構成成分とするものをいう。このようなスチレン系エラストマーとしては、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック共重合体及びランダム共重合体、又は、それらの水素添加物等が挙げられる。このようなスチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(水素化SBS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、水素化SIS、水素化スチレン−ブタジエンゴム(HSBR)等を挙げることができる。スチレン系エラストマーは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いる鉱物性オイルは、芳香族環を有するオイル、ナフテン環を有するオイル及びパラフィン鎖を有するオイルの三者を含む混合油である。パラフィン系オイルとは、パラフィン鎖の炭素数(CP)が、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖の全炭素数に対して例えば50%以上75%未満で、ナフテン鎖の炭素数(CN)が20以上40%未満、芳香族環(CA)の炭素数が3以上10%未満を占めるものをいう。ナフテン系オイルとは、上記全炭素数に対して、CNが40以上60%未満、CPが30%以上50%未満、かつCAが8%以上16%未満のもの、芳香族系オイルとはCAが16%以上のものを、いう。
鉱物性オイル(ゴム用軟化材)としては、パラフィン系オイル又はナフテン系オイルを用いることができ、機械的強度の点でパラフィン系オイルが好ましい。
鉱物性オイルは、40℃における動的粘度が20〜500cSt、流動点が−10〜−15℃、引火点(COC)が180〜300℃を示すものが好ましい。
鉱物性オイルとしては、例えば、「ダイアナプロセスオイル」(商品名、出光興産社製)、「コスモニュートラル」(商品名、コスモ石油ルブリカンツ社製)等を挙げることができる。
ポリエチレン樹脂の含有率は、ポリオレフィン樹脂100質量%中、0〜100質量%が好ましく、40〜100質量%がより好ましい。
ポリプロピレン樹脂の含有率は、ポリオレフィン樹脂100質量%中、0〜100質量%が好ましく、シラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物を成形に適した流動性に調製でき、外観不良を抑制できる観点から、20〜60質量%がより好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体樹脂の含有率は、ポリオレフィン樹脂100質量%中、0〜100質量%が好ましく、20〜100質量%がより好ましく、40〜100質量%が更に好ましい。
エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムの含有率は、ポリオレフィン樹脂100質量%中、0〜100質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。
酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体の含有率は、ポリオレフィン樹脂100質量%中、0〜100質量%が好ましい。本発明の作用効果を損なうものではないが、触媒マスターバッチの装置等の金属部への粘着を抑制できる観点からは、0〜50質量%がより好ましく、5〜30質量%が特に好ましい。
エチレンアクリルゴムの含有率は、ポリオレフィン樹脂100質量%中、0〜100質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。
スチレン系エラストマーの含有率は、ポリオレフィン樹脂100質量%中、20質量%以上が好ましく、25〜50質量%がより好ましい。
有機過酸化物は、少なくとも熱分解によりラジカルを発生して、触媒として、シランカップリング剤の樹脂成分へのラジカル反応によるグラフト化反応(シランカップリング剤のグラフト化反応部位と樹脂成分のグラフト化反応可能な部位との共有結合形成反応であって、(ラジカル)付加反応ともいう。)を生起させる働きをする。特にシランカップリング剤がグラフト化反応部位としてエチレン性不飽和基を含む場合、エチレン性不飽和基とポリオレフィン樹脂とのラジカル反応(樹脂成分からの水素ラジカルの引き抜き反応を含む)によるグラフト化反応を生起させる働きをする。
有機過酸化物としては、ラジカルを発生させるものであれば、特に制限はなく、例えば、一般式:R1−OO−R2、R3−OO−C(=O)R4、R5C(=O)−OO(C=O)R6で表される化合物が好ましい。ここで、R1〜R6は各々独立にアルキル基、アリール基又はアシル基を表す。各化合物のR1〜R6のうち、いずれもアルキル基であるもの、又は、いずれかがアルキル基で残りがアシル基であるものが好ましい。
本発明において、有機過酸化物の分解温度とは、単一組成の有機過酸化物を加熱したとき、ある一定の温度又は温度域でそれ自身が2種類以上の化合物に分解反応を起こす温度を意味する。具体的には、DSC法等の熱分析により、窒素ガス雰囲気下で5℃/分の昇温速度で、室温から加熱したとき、吸熱又は発熱を開始する温度をいう。
本発明において、無機フィラーは、その表面に、シランカップリング剤のシラノール基等の反応部位と水素結合若しくは共有結合等、又は分子間結合により、化学結合しうる部位を有するものであれば特に制限なく用いることができる。この無機フィラーにおける、シランカップリング剤の反応部位と化学結合しうる部位としては、OH基(水酸基、含水若しくは結晶水の水分子、カルボキシ基等のOH基)、アミノ基、SH基等が挙げられる。
無機フィラーが予め表面処理されていると、無機フィラー同士の凝集が抑制されて、無機フィラーの分散性が高まる。このため、無機フィラーとポリオレフィン樹脂との架橋の機会が増え、耐熱性等が向上すると考えられる。
無機フィラーは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明に用いられるシランカップリング剤は、有機過酸化物の分解により生じたラジカルの存在下でポリオレフィン樹脂とグラフト化反応しうるグラフト化反応部位(基又は原子)と、無機フィラーの化学結合しうる部位と反応し、シラノール縮合可能な反応部位(加水分解して生成する部位を含む。例えばモノ、ジ若しくはトリアルコキシシリル基等)とを、少なくとも有するものであればよい。このようなシランカップリング剤として、従来、シラン架橋法に使用されているシランカップリング剤が挙げられる。
Rb11は、脂肪族炭化水素基、水素原子又は後述のY13を示す。脂肪族炭化水素基としては、脂肪族不飽和炭化水素基を除く炭素数1〜8の1価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。Rb11は、好ましくは後述のY13である。
シラノール縮合触媒は、ポリオレフィン樹脂にグラフトしたシランカップリング剤を水分の存在下で縮合反応させる働きがある。このシラノール縮合触媒の働きに基づき、シランカップリング剤を介して、ポリオレフィン樹脂同士が架橋される。その結果、優れた耐熱性を有する耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体が得られる。
シラノール縮合触媒は、ポリオレフィン樹脂の残部(キャリアともいう)に混合されて、用いられる。キャリアは、ポリエチレン樹脂が好ましい。
本発明では、電線、電気ケーブル、電気コード、自動車用部材、OA機器、建築部材、雑貨、シート、発泡体、チューブ、パイプにおいて、一般的に使用されている各種の添加剤を、目的とする効果を損なわない範囲で適宜配合してもよい。このような添加剤としては、例えば、架橋助剤、酸化防止剤、金属不活性剤、難燃(助)剤や他の樹脂等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アミン酸化防止剤、フェノール酸化防止剤又はイオウ酸化防止剤等が挙げられる。
以下、本発明の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法を説明する。
工程(1):ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.01〜0.5質量部と、無機フィラー0〜250質量部と、前記有機過酸化物から発生したラジカルの存在下で前記ポリオレフィン樹脂とグラフト化反応しうるグラフト化反応部位を有するシランカップリング剤1〜15質量部と、シラノール縮合触媒と、脂肪酸アミド化合物0.05〜2質量部を溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって、前記グラフト化反応部位とポリオレフィン樹脂とを、グラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含む反応組成物を得る工程
工程(2):前記反応組成物を成形して成形体を得る工程
工程(3):前記成形体を水と接触させて耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体を得る工程
工程(a):前記ポリオレフィン樹脂の一部と、前記有機過酸化物と、前記無機フィラーと、前記シランカップリング剤と、前記脂肪酸アミド化合物とを、前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記グラフト化反応部位と前記ポリオレフィン樹脂とをグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを調製する工程
工程(b):前記ポリオレフィン樹脂の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(c):前記シランマスターバッチと、前記触媒マスターバッチとを溶融混合して、前記反応組成物を得る工程
ポリオレフィン樹脂は、工程(a)において、好ましくは80〜99質量%、より好ましくは94〜98質量%が配合され、工程(b)において、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜6質量%が配合される。
脂肪酸アミド化合物は、工程(a)において溶融混合される。すなわち、脂肪酸アミド化合物の存在下で、上記グラフト化反応を行う。
シランカップリング剤の配合量が1〜15質量部であると、耐熱性及び外観に優れた成形体を得ることができる。
シランカップリング剤の配合量が1〜15質量部であると、無機フィラーを配合した場合には、無機フィラーの表面にシランカップリング剤が吸着して、シランカップリング剤が混練中に揮発するのを抑制できるため、経済的である。また、吸着しないシランカップリング剤が縮合して、成形体にゲルブツや荒れが生じて外観が悪化することを抑制することができる。さらに、必要により、架橋反応を十分に進行させて優れた耐熱性を発揮させることができる。
本発明において、「ポリオレフィン樹脂の一部と有機過酸化物と無機フィラーとシランカップリング剤とを溶融混合する」とは、溶融混合する際の混合順を特定するものではなく、どのような順で混合してもよいことを意味する。すなわち、工程(a)における混合順は特に限定されない。
また、工程(a)における脂肪酸アミド化合物と、上記成分との混合順は特に特定されるものではなく、どのような順で混合してもよい。
さらに、ポリオレフィン樹脂の混合方法も特に限定されない。例えば、予め混合調製されたポリオレフィン樹脂を用いてもよく、各成分、例えば樹脂成分それぞれを別々に混合してもよい
工程(a−1):前記有機過酸化物と前記無機フィラーと前記シランカップリング剤とを混合する工程
工程(a−2):前記混合物と前記ポリオレフィン樹脂の一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記グラフト化反応部位と前記ポリオレフィン樹脂とをグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを調製する工程
また、上記各成分を、下記工程(a−1)及び(a−2)により、溶融混合する場合、脂肪酸アミド化合物は、少なくとも工程(a−2)において溶融混合される。
上記溶融混合は、好ましくは、バンバリーミキサーやニーダー等のミキサー型混練機で行われる。このようにすると、樹脂成分同士の過剰な架橋反応を防止することができ、外観が優れたものとなる。
例えば、有機過酸化物は、シランカップリング剤と混合した後に無機フィラーと混合されてもよいし、シランカップリング剤と分けて別々に無機フィラーに混合されてもよい。本発明においては、有機過酸化物とシランカップリング剤とは実質的に一緒に混合した方がよい。一方、生産条件によっては、シランカップリング剤のみを無機フィラーに混合し、次いで有機過酸化物を混合してもよい。
また、有機過酸化物は、他の成分と混合させたものでもよいし、単体でもよい。
湿式混合では、シランカップリング剤と無機フィラーとの結力合が強くなるため、シランカップリング剤の揮発を効果的に抑えることができるが、シラノール縮合反応が進みにくくなることがある。一方、乾式混合では、シランカップリング剤が揮発しやすいが、無機フィラーとシランカップリング剤の結合力が比較的弱くなるため、効率的にシラノール縮合反応が進みやすくなる。
脂肪酸アミド化合物は、この工程(a−2)で溶融混合されることが好ましい。
混合方法としては、ゴム、プラスチック等で通常用いられる方法であれば、特に限定されない。混合装置は、例えば無機フィラーの配合量に応じて適宜に選択される。混練装置として、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等が用いられる。樹脂成分の分散性、及び架橋反応の安定性の面で、バンバリーミキサー又は各種のニーダー等の密閉型ミキサーが好ましい。
また、通常、このような無機フィラーがポリオレフィン樹脂100質量部に対して100質量部を超えて混合される場合、連続混練機、加圧式ニーダー、バンバリーミキサーで混練りするのがよい。
工程(1)において、上記添加剤、特に酸化防止剤や金属不活性剤は、いずれの工程で又は成分に混合されてもよいが、キャリアに混合されるのがよい。
工程(1)、特に工程(a−1)及び工程(a−2)において、架橋助剤は実質的に混合されないことが好ましい。架橋助剤が実質的に混合されないと、溶融混合中に樹脂成分同士の架橋が生じにくく、耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の外観が優れる。ここで、実質的に混合されないとは、架橋助剤を積極的に混合しないことを意味し、不可避的に混合することを除外するものではない。
混合は、均一に混合できる方法であればよく、ポリオレフィン樹脂の溶融下で行う混合(溶融混合)が挙げられる。溶融混合は上記工程(a−2)の溶融混合と同様に行うことができる。例えば、混合温度は、好ましくは120〜200℃、より好ましくは140〜180℃で行うことができる。その他の条件、例えば混合時間は適宜設定することができる。
キャリアが他の樹脂である場合、工程(a−2)においてグラフト化反応を促進させることができるうえ、成形中にブツが生じにくい点で、他の樹脂の配合量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは2〜50質量部、さらに好ましくは3〜40質量部である。
この触媒MBは、シランMBとともに、工程(1)で調製されるシラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物の製造に、マスターバッチセットとして、用いられる。
混合方法は、上述のように均一な反応組成物を得ることができれば、どのような混合方法でもよい。
このシラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物は、シランカップリング剤がポリオレフィン樹脂にグラフト化したシラン架橋性樹脂を少なくとも含有する。このシラン架橋性樹脂において、シランカップリング剤の、シラノール縮合可能な反応部位は、後述するようにシラノール縮合していない。シラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物は、さらに、シランカップリング剤と未反応の樹脂成分を含んでいてもよい。
工程(1)において無機フィラーを配合する場合、このシラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物は、架橋方法の異なるシラン架橋性樹脂を含有する。このシラン架橋性樹脂において、シランカップリング剤の、シラノール縮合可能な反応部位は、無機フィラーと結合又は吸着していてもよいが、後述するようにシラノール縮合していない。したがって、シラン架橋性樹脂は、無機フィラーと結合又は吸着したシランカップリング剤がポリオレフィン樹脂にグラフト化した架橋性樹脂と、無機フィラーと結合又は吸着していないシランカップリング剤がポリオレフィン樹脂にグラフト化した架橋性樹脂とを少なくとも含む。また、シラン架橋性樹脂は、無機フィラーが結合又は吸着したシランカップリング剤と、無機フィラーが結合又は吸着していないシランカップリング剤とを有していてもよい。さらに、シランカップリング剤と未反応の樹脂成分を含んでいてもよい。
上記のように、シラン架橋性樹脂は、シランカップリング剤がシラノール縮合していない未架橋体である。実際的には、工程(c)で溶融混合されると、一部架橋(部分架橋)は避けられないが、得られるシラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物について、少なくとも工程(2)での成形における成形性が保持されたものとする。
本発明の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法において、得られた反応組成物を成形して成形体を得る工程(2)を行う。この工程(2)は、反応組成物を成形できればよく、成形体の形態に応じて、適宜に成形方法及び成形条件が選択される。成形方法は、押出機を用いた押出成形、射出成形機を用いた押出成形、その他の成形機を用いた成形が挙げられる。押出成形は、成形体が電線又は光ファイバケーブルである場合に、好ましい。
工程(2)を押出成形により行う場合、成形速度(押出速度)は、特に限定されず、通常、線速で10〜250m/分未満、好ましくは20〜100m/分に設定できる。
このようにして、シラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物の成形体が得られる。この成形体はシラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物と同様に、一部架橋は避けられないが、工程(2)で成形可能な成形性を保持する部分架橋状態にある。したがって、この発明の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体は、工程(3)を実施することによって、架橋又は最終架橋された成形体とされる。
この工程(3)の処理自体は、通常の方法によって行うことができる。シランカップリング剤同士の縮合は、常温で保管するだけで進行する。したがって、工程(3)において、成形体を水に積極的に接触させる必要はない。この架橋反応を促進させるために、成形体を水分と接触させることもできる。例えば、温水への浸水、湿熱槽への投入、高温の水蒸気への暴露等の積極的に水に接触させる方法を採用できる。また、その際に水分を内部に浸透させるために圧力をかけてもよい。
この耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の一形態は、シラン架橋樹脂を含有する。このシラン架橋樹脂は、上記シラン架橋性樹脂のシランカップリング剤の反応部位が加水分解して互いにシラノール縮合反応することにより、シランカップリング剤を介して架橋した架橋樹脂を含む。さらに、シランカップリング剤と未反応の樹脂成分及び/又は架橋していないシラン架橋性樹脂を含んでいてもよい。
この耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の別の一形態は、シラン架橋樹脂と無機フィラーとを含有する。ここで、無機フィラーはシラン架橋樹脂のシランカップリング剤に結合していてもよい。したがって、このシラン架橋樹脂は、複数の架橋樹脂がシランカップリング剤により無機フィラーに結合又は吸着して、無機フィラー及びシランカップリング剤を介して結合(架橋)した架橋樹脂と、上記シラン架橋性樹脂のシランカップリング剤の反応部位が加水分解して互いにシラノール縮合反応することにより、シランカップリング剤を介して架橋した架橋樹脂とを少なくとも含む。また、シラン架橋樹脂は、無機フィラー及びシランカップリング剤を介した結合(架橋)と、シランカップリング剤を介した架橋とが混在していてもよい。さらに、シランカップリング剤と未反応の樹脂成分及び/又は架橋していないシラン架橋性樹脂を含んでいてもよい。
上記工程(a−1)及び(a−2)により無機フィラーと強い結合又は弱い結合を有するシランカップリング剤を含む場合、無機フィラーと強い結合を有するシランカップリング剤は、シラノール縮合触媒による水存在下での縮合反応が生じにくく、無機フィラーとの結合が保持される。このため、樹脂成分と無機フィラーの結合が維持され、シランカップリング剤を介した樹脂成分の架橋が生じる。一方、無機フィラーと弱い結合を有するシランカップリング剤は、無機フィラーの表面から離脱してグラフト化反応し、このようにして生じたグラフト部分のシランカップリング剤が、水分と接触することにより、縮合反応(架橋反応)が生じる。
本発明では、工程(3)で、最終的な架橋反応を行うこともあり、成形時の加工性(押出成形性)を損なうことなく、耐熱性を併せ持つことができる。
耐熱性製品として、例えば、耐熱性絶縁電線等の電線又はケーブルの被覆材料、ゴム代替電線・ケーブルの材料、その他、難燃電線部品、難燃耐熱シート、難燃フィルム等が挙げられる。また、電源プラグ、コネクター、スリーブ、ボックス、テープ基材、チューブ、シート、パッキン、クッション材、防震材、電気・電子機器の内部配線及び外部配線に使用される配線材、特に電線や光ファイバケーブルの被覆材料が挙げられる。
表1〜3において、各例の配合量に関する数値は特に断らない限り質量部を表す。また、各成分について空欄は対応する成分の配合量が0質量部であることを意味する。
(ポリオレフィン樹脂)
LLDPE:エボリューSP0540(商品名)、プライムポリマー社製
HDPE:ハイゼックス5305E(商品名)、プライムポリマー社製
PP:サンアロマーPB222A(商品名)、サンアロマー社製
EVA:エバフレックスEV360(商品名)、三井デュポンポリケミカル社製
EEA:NUC6510(商品名)、NUC社製
EPDM:ノーデル3720P(商品名)、ダウ社製
アクリルゴム:ベイマックDP(商品名)、デュポン社製
SEPS:セプトン4077(商品名)、クラレ社製
OIL:パラフィンオイル(ダイアナプロセスPW90(商品名)、出光興産社製)
(シランカップリング剤)
トリメトキシシラン(KBM−1003(商品名)、信越シリコーン社製)
(有機過酸化物)
2,5ジメチル−2,5ジt−ブチルパーオキシ−ヘキサン(パーヘキサ25B(商品名)、日油社製)
(無機フィラー)
金属水和物:水酸化マグネシウム(マグシーズFK621(商品名)、神島化学社製)
タルク:タルク(K−1(商品名)、日本タルク工業社製)
クレー:クレー(SATINTONE SP33(商品名)、BASF社製)
シリカ:シリカ(クリスタライト5X(商品名)、龍森社製)
カーボンブラック:カーボンブラック(旭70(商品名)、旭カーボン社製)
(滑剤)
オレイン酸アミド:オレイン酸アミド(アーモスリップCP(商品名)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
エルカ酸アミド:エルカ酸アミド(アルフローP10(商品名)、日本油脂社製)
ベヘニン酸アミド:ベヘニン酸アミド(ダイヤミッドBH(商品名)、日本化成社製)
シリコーンガム:シリコーンガム(CF−9150(商品名)、東レダウコーニング社製)
ステアリン酸金属塩:ステアリン酸マグネシウム(NS−M(商品名)、NIケミテック社製)
ポリオレフィンワックス:ポリエチレンワックス(AC−6(商品名)、ハネウェル社製)
(シラノール縮合触媒)
ジオクチルスズジラウレート(アデカスタブOT−1(商品名)、ADEKA社製)
表1の「シランマスターバッチ」欄に示す配合割合で、ポリオレフィン樹脂、シランカップリング剤、有機過酸化物、無機フィラー、滑剤を、日本ロール製2Lバンバリーミキサー内に投入し、有機過酸化物の分解温度以上の温度、具体的には190℃において10分混練り後、材料排出温度190〜210℃で排出し、シランMBを得た(工程(a))。こうして得られたシランMBは、ポリオレフィン樹脂にシランカップリング剤がグラフト化反応したシラン架橋性樹脂を含有している。
一方、キャリア樹脂とシラノール縮合触媒とを、表1に示す質量比で、180〜190℃でバンバリーミキサーにて溶融混合し、材料排出温度180〜190℃で排出して、触媒MBを得た(工程(b))。この触媒MBは、キャリア樹脂及びシラノール縮合触媒の溶融混合物である。
表1〜3の「触媒マスターバッチと混合したシランマスターバッチ」欄に記載の各混合割合が、シランMBのポリオレフィン樹脂とキャリア樹脂との合計量100質量部に対する混合割合に相当する。
このように上記ドライブレンド物を押出機内で押出成形前に溶融混合すること(工程(c))により、反応組成物としてシラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物を調製した。このシラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物は、上述のシラン架橋性樹脂を含有している。
下記シランMBを用いた以外は、実施例1と同様にして、各電線を製造した。
有機過酸化物、無機フィラー、及びシランカップリング剤を、表1に示す質量比で、東洋精機製10Lヘンシェルミキサーに投入し、室温(25℃)で10分間混合して、粉体混合物を得た(工程(a−1))。次に、このようにして得られた粉体混合物と、表1のシランマスターバッチ欄に示すポリオレフィン樹脂と滑剤とを、表1に示す質量比で、日本ロール製2Lバンバリーミキサー内に投入し、有機過酸化物の分解温度以上の温度、具体的には190℃において10分混練り後、材料排出温度190〜210℃で排出し、シランMBを得た(工程(a−2))。こうして得られたシランMBは、ポリオレフィン樹脂にシランカップリング剤がグラフト化反応したシラン架橋性樹脂を含有している。
表1のシランMB欄に示す配合割合で、ポリオレフィン樹脂、シランカップリング剤、有機過酸化物を2Lバンバリーミキサーを用いて溶融混合して、シラングラフト樹脂を含む組成物を調製し、この組成物と、触媒MB欄に記載の成分とを表1に示す質量比で、前記押出機に投入した以外は、実施例1と同様にして、電線を製造した。
導体に対する密着力は、JASO D 618を参考にして評価した。具体的には、以下のようにして行った。
上記で得られた電線を長さ約150mmに切断し、片側の端末部から長さ30mmの被覆層を残して被覆層を取り除いたものを試料とした。導体外径より大きく、かつ電線外径より小さい孔を有する冶具に前記試料の導体部分のみを通し、冶具を固定した状態で導体を引抜速度200mm/minで引き抜いた際の、導体が被覆層から完全に分離するまでの力を測定し、この最大値を密着力とした。
密着力の最大値が20〜40Nのものを「○」で表記し、40Nを越え50N以下のもの又は5N以上20N未満のものを「△」で表記し、50Nを超えるもの又は5N未満のもの(不合格)を「×」で表記した。「高」と付記されているものは、密着力が高すぎるものであり、「低」と付記されているものは、密着力が低すぎるものである。
上記各例で調製したドライブレンド物又は溶融反応物(比較例11)を用いてシラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物の押出成形性(外観)を、評価した。
各例で調製したドライブレンド物又は溶融反応物(比較例11)を、線速を変更した以外は上記押出被覆と同様に押出被覆して、電線を得た。
この押出被覆において、押出被覆可能な最大の製造スピード(最高線速)により、下記評価基準で、成形性を評価した。ここで、押出被覆可能な最大の製造スピードとは、押出被覆された被覆層において外観不良がなく、かつ、ブツが観察されない線速であって、最高のものとする。ここで、外観不良とは、いわゆるメルトフラクチャーと呼ばれる、成形体表面等の凹凸や荒れをいう。また、ブツとは、架橋によって形成されたゲルブツ又は原料が相溶せずに凝集した凝集ブツをいう。
最高線速が、150m/分以上であった場合を「◎」で表記し、100m/分以上150m/分未満であった場合を「○」で表記し、40m/分以上100mm/分未満であった場合を「△」で表記し、40m/分未満であった場合(不合格)を「×」で表記した。「ブツ」と付記されているものは、ブツが形成されたものである。
各電線において、被覆層の加熱変形特性を測定した。この試験により、架橋反応の程度(耐熱性シラン架橋樹脂成形体の耐熱性)を評価できる。
加熱変形試験はUL758に準じて行った。測定温度121℃で、各電線に対して長手方向と垂直の方向に400gf(3.92N)の負荷荷重をかけた。このときの、被覆層の変形率([(加熱前の被覆層の厚さ−加熱後の被覆層の厚さ)/加熱前の被覆層の厚さ]×100)が30%未満のものを「○」、30%以上50%未満のものを「△」、50%以上のもの(不合格)を「×」とした。
比較例は、密着力、外観、及び耐熱性のいずれかに劣るものであった。
シランカップリング剤の配合量が少なすぎるシランMBを用いた比較例1は、耐熱性に劣った。
シランカップリング剤の配合量が多すぎるシランMBを用いた比較例2は、ブツが形成され外観に劣った。
有機過酸化物の配合量が少なすぎるシランMBを用いた比較例3は、耐熱性に劣った。
有機過酸化物の配合量が多すぎるシランMBを用いた比較例4は、ブツが形成され外観に劣った。
脂肪酸アミド化合物の配合量が少なすぎるシランMBを用いた比較例5は、密着力が高すぎた。
脂肪酸アミド化合物の配合量が多すぎるシランMBを用いた比較例6は、密着力が低すぎた。
滑剤としてシリコーンガムを配合したシランMBを用いた比較例7は、密着力が高すぎた。
滑剤としてステアリン酸金属塩を配合したシランMBを用いた比較例8は、ブツが形成され外観に劣った。
滑剤としてポリオレフィンワックスを配合したシランMBを用いた比較例9は、密着力が高すぎた。
脂肪酸アミド化合物を触媒MBに配合した比較例10は、ブツが形成され外観に劣った。
触媒MBを調製せず、シラングラフト樹脂とシラノール縮合触媒とエルカ酸アミドとを一括溶融混合した比較例11は、ブツが形成され外観に劣った。
これに対し、脂肪酸アミド化合物を特定量、さらに有機過酸化物、無機フィラー、及びシランカップリング剤を特定量用いて調製したシランMBを用いた実施例1〜22は、密着力、外観、及び耐熱性のいずれにも優れていた。
有機過酸化物、無機フィラー、及びシランカップリング剤を混合してから、ポリオレフィン樹脂と脂肪酸アミド化合物と混合してシランMBを調製した実施例11は、これらの成分を一度に溶融混合してシランMBを調製した実施例6に比較して、耐熱性及び外観等に更に優れていた。
Claims (11)
- 下記工程(1)、工程(2)及び工程(3)
工程(1):ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、有機過酸化物0.01〜0.5質量部と、無機フィラー0〜250質量部と、前記有機過酸化物から発生したラジカルの存在下で前記ポリオレフィン樹脂とグラフト化反応しうるグラフト化反応部位を有するシランカップリング剤1〜15質量部と、シラノール縮合触媒と、脂肪酸アミド化合物0.05〜2質量部を溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって、前記グラフト化反応部位とポリオレフィン樹脂とをグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含む反応組成物を得る工程
工程(2):前記反応組成物を成形して成形体を得る工程
工程(3):前記成形体を水と接触させて耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体を得る工程
を有する耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法であって、
前記工程(1)が、下記工程(a)、工程(b)及び工程(c)を有する、
工程(a):前記ポリオレフィン樹脂の一部と、前記有機過酸化物と、前記無機フィラーと、前記シランカップリング剤と、前記脂肪酸アミド化合物とを、前記有機過酸化物の分解温度以上の温度において溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記グラフト化反応部位と前記ポリオレフィン樹脂とをグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを調製する工程
工程(b):前記ポリオレフィン樹脂の残部及び前記シラノール縮合触媒を溶融混合して、触媒マスターバッチを調製する工程
工程(c):前記シランマスターバッチと、前記触媒マスターバッチとを溶融混合して、前記反応組成物を得る工程
耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法。 - 前記脂肪酸アミド化合物が、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド及びベヘニン酸アミドからなる群より選ばれた少なくとも1つを含む請求項1に記載の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法。
- 前記脂肪酸アミド化合物が、エルカ酸アミドである請求項1に記載の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法。
- 前記工程(1)において無機フィラーの配合量が5〜250質量部であり、
前記工程(a)が、下記工程(a−1)及び(a−2)を有し、前記脂肪酸アミド化合物が少なくとも工程(a−2)で溶融混合される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法。
工程(a−1):前記有機過酸化物と前記無機フィラーと前記シランカップリング剤とを混合する工程
工程(a−2):前記混合物と前記ポリオレフィン樹脂の一部を前記有機過酸化物の分解温度以上の温度で溶融混合して、前記有機過酸化物から発生したラジカルによって前記グラフト化反応部位と前記ポリオレフィン樹脂とをグラフト化反応させることにより、シラン架橋性樹脂を含むシランマスターバッチを調製する工程 - 前記ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレン樹脂、酸共重合成分又は酸エステル共重合成分を有するポリオレフィン共重合体樹脂、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム及びスチレン系エラストマーからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法。
- 前記無機フィラーが、金属水和物、タルク、クレー、シリカ及びカーボンブラックからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の前記工程(1)により製造されてなるシラン架橋性ポリオレフィン樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体の製造方法により製造されてなる耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体。
- 請求項8に記載の耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体を含む耐熱性製品。
- 請求項8に記載の前記耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体を被覆層として金属導体表面に有する電線。
- 請求項8に記載の前記耐熱性シラン架橋ポリオレフィン樹脂成形体を被覆層として光ファイバ表面に有する光ファイバケーブル。
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