JP2019195584A - 歯冠修復物の作製方法、作業模型の製造装置及び作業模型 - Google Patents
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Abstract
【課題】歯冠修復物の作製作業を容易にする。【解決手段】印象取得工程90では、口腔内において歯冠修復物を装着すべき部位の印象を取得し、設計工程92において歯冠修復物を装着すべき部位のCADデータが生成される。造形工程94では、熱可塑性及び水溶性のPVAを用い、熱溶解積層法が適用された3Dプリンタによって作業模型を造形する。成形工程96では、作業模型上に歯冠修復物が成形され、取出し工程100において作業模型から歯冠修復物が取り出される。ここで、作業模型が水溶性のPVAによって造形されている。このため、作業模型を水に漬けることで、作業模型から歯冠修復物を取り外すことができて、歯冠修復物の作製を容易にできる。【選択図】図1
Description
本発明は、支台歯に装着される被覆冠などの歯冠修復物を製造する歯冠修復物の作製方法、歯冠修復物の作製に用いられる作業模型の製造装置、及び作業模型に関する。
歯科治療には、歯冠修復物を用いるものがある。この歯冠修復物の製造においては、例えば歯科医院において被験者の口腔内の印象採取を行なって、採取された印象に応じた石膏模型が作製される。次に、石膏模型が歯科技工所に送られ、歯科技工所等において石膏模型から歯冠修復物が成形され、形成された歯冠修復物が石膏模型から取り外される。
歯科医院では、歯科技工所から歯冠修復物を受け取ると、歯冠修復物を被験者の口腔内に装着する。この際、歯科医院では、高い適合性が得られるように、歯冠修復物の形状等が修正される。このため、被験者の口腔内に歯冠修復物を装着する歯科治療においては、治療に時間(日数)を要している。
近年、CAD/CAM技術の普及や、切削技術及び造形技術の向上に伴い、CAD/CAM技術を用いた高精度の切削加工や造形が行なわれている。CAD/CAM技術を用いた切削加工では、CAD技術によって作製した三次元データを用い、CAM技術を利用するミリングマシンによって切削加工を行なうことで、高精度の加工物が得られる。
CAD/CAM技術を用いた造形には、ラピッドプロトタイピング技術が用いられた積層造形法があり、積層造形法では、三次元データから立体物を高精度で造形できる。
CAD/CAM技術を用いた造形には、ラピッドプロトタイピング技術が用いられた積層造形法があり、積層造形法では、三次元データから立体物を高精度で造形できる。
特許文献1では、光学走査技術を用いて患者についての歯用要素の形状及び寸法を測定し、測定によって得られたデータから三次元プリント技術を用いて歯用要素を製造するように提案している。
ところで、歯冠修復物の成形作業を行なうための作業模型の製造にCAD/CAM技術や積層造形法を用いることで、歯冠修復物の製造を歯科医院によって行なうことができて、歯冠修復物を用いる歯科治療の治療時間の短縮を図ることが可能となる。
しかしながら、歯冠修復物には、作業模型を部分的に覆うように成形されたり、作業模型に比して小さく成形されたりするものがあり、このような歯冠修復物を模型から取り外す作業には、細心の注意を要し、歯科医院においては、歯冠修復物の製造作業が煩雑となる。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、歯冠修復物の作製作業を容易にできる歯冠修復物の作製方法、歯冠修復物の作製作業を容易にできる作業模型の製造装置、及び作業模型を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係る歯冠修復物の作製方法は、口腔内において歯冠修復物を装着すべき部位の印象を取得する取得工程と、溶媒による溶解性を有する造形用レジンを用い、前記印象に基づいて前記歯冠修復物を装着すべき部位についての作業模型を造形する造形工程と、前記口腔内に装着するための前記歯冠修復物を前記作業模型上に成形する成形工程と、前記溶媒を用い、前記作業模型から該作業模型上に成形された前記歯冠修復物を取り外す取外し工程と、を含む。
第2の態様に係る歯冠修復物の作製方法は、第1の態様の歯冠修復物の作製方法において、前記造形工程は、熱可塑性を有する前記造形用レジンを用い、熱溶解積層法によって前記作業模型を造形する。
第3の態様に係る歯冠修復物の作製方法は、第1の態様又は第2の態様の歯冠修復物の作製方法において、前記造形用レジンは、水溶性のポリビニールアルコールが用いられる。
また、第2の態様又は第2の態様を引用する第3の態様の歯冠修復物の作製方法においては、前記作業模型には、表面にコーティング剤が塗布されて、前記歯冠修復物が成形されてもよい。
本発明の第4の態様に係る作業模型の製造装置は、口腔内において歯冠修復物を装着すべき部位の印象を取得する取得部と、溶媒による溶解性を有する造形用レジンを用い、前記印象に基づいて、前記口腔内に装着するための前記歯冠修復物の成形に用いられると共に、前記溶媒によって前記歯冠修復物を取り外し可能な作業模型を造形する造形部と、を備える。
第4の態様に係る作業模型の製造装置においては、前記造形部は、熱溶解積層法によって前記作業模型を造形することが含まれてもよい。また、第4の態様に係る作業模型の製造装置においては、前記造形用レジンとして水溶性のポリビニールアルコールが用いられてもよい。
第5の態様に係る作業模型は、口腔内に装着するための歯冠修復物の成形に用いられる作業模型であって、溶媒による溶解性を有する造形用レジンによって、前記口腔内における前記歯冠修復物を装着すべき部位の印象形状に形成され、前記溶媒によって溶解可能とされている。
また、第5の態様に係る作業模型においては、前記造形用レジンは、熱可塑性を有してもよく、前記造形用レジンは、水溶性のポリビニールアルコールが用いられてもよい。
以上説明したように本発明の態様によれば、口腔内において歯冠修復物を装着すべき部位の作業模型上において成形された歯冠修復物は、作業模型から容易に取り外すことができるので、歯冠修復物の作製作業が容易となる。
また、本発明の態様によれば、熱溶解積層法を用いて作業模型を造形することで、歯冠修復物を成形するための作業模型の製造を容易にできて、歯冠修復物の作製作業が容易になる。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
本実施形態では、被験者の口腔内に装着される歯冠修復物の成形に用いられる作業模型を製造して、歯冠修復物を作製する。歯冠修復物としては、被覆冠(クラウン)、暫間被覆冠(仮歯)、インレー、アンレー、ブリッジなどの歯冠補綴物が適用される。本実施形態では、歯冠修復物の一例として被覆冠を適用し、被覆冠の製造を説明する。
本実施形態では、被験者の口腔内に装着される歯冠修復物の成形に用いられる作業模型を製造して、歯冠修復物を作製する。歯冠修復物としては、被覆冠(クラウン)、暫間被覆冠(仮歯)、インレー、アンレー、ブリッジなどの歯冠補綴物が適用される。本実施形態では、歯冠修復物の一例として被覆冠を適用し、被覆冠の製造を説明する。
本実施形態では、CAD(Computer Aided Design、コンピュータ支援による設計)技術及びCAM(Computer Aided Manufacturing、コンピュータ支援による製造)技術(CAD/CAM技術)を用いて作業模型を製造することで、被験者(患者)に適合した歯冠修復物の作製を可能とする。図1には、本実施形態に係る被覆冠の作製工程が流れ図にて示されている。
図1に示すように、本実施形態に係る作製工程は、印象取得工程90、設計工程92、造形工程94、成形工程96、及び仕上げ工程98を含み、成形工程96と仕上げ工程98との間に取外し工程100が含まれる。
印象取得工程90では、被験者の口腔内において被覆冠を装着すべき部位の印象を採取するなどして被覆冠を装着すべき部位の印象データ(例えば、画像データ)を取得する。設計工程92では、CAD技術を用い、印象取得工程90によって採取された印象データに基づいて被覆冠を装着すべき部位の三次元データ(CADデータ)を作製する。造形工程94では、CAM技術を用い、設計工程92によって作成されたCADデータから得られるCAMデータを用い、被覆冠を装着すべき部位の作業模型を造形(製造)する。
この後、成形工程96では、造形工程94において造形された作業模型上で被覆冠の成形が行なわれ、取外し工程100では、作業模型から被覆冠が取り外される。この後、仕上げ工程98では、例えば、取外し工程100において取り外された被覆冠が被験者の口腔内に装着され、必要に応じて成形調整されて仕上げられる。
本実施形態では、印象取得工程90〜造形工程94において(少なくとも造形工程94)において、CAD/CAM技術が適用された製造装置としての製造システム10が用いられ、成形工程96、取外し工程100及び仕上げ工程98においては、主に歯科技工士や歯科医師などによる手作業で行なわれる。図2には、本実施形態に係る製造装置としての製造システム10の概略構成がブロック図にて示されている。
製造システム10は、処理装置12を備えており、処理装置12には、例えば、パーソナルコンピュータ本体が用いられる。また、製造システム10には、印象取得手段としての口腔内スキャナ14、及び造形部を構成する造形装置(三次元造形装置)としての3Dプリンタ16が設けられている。
処理装置12は、CPU、ROM、RAM等がバス(何れも図示省略)によって接続された主処理部18を備えている。また、処理装置12は、不揮発性記憶媒体としてのHDD20、キーボードやマウス等の入力デバイス22、液晶モニタ(LCD)等の表示デバイス24、通信インターフェース26、及び入出力インターフェース28等を備えている。処理装置12では、主処理部18、HDD20、入力デバイス22、表示デバイス24、通信インターフェース26、及び入出力インターフェース28が相互にデータ交換可能に接続されている。
処理装置12は、主処理部18においてROMに記憶されたOS(オペレーティングシステム)をCPUが読み出してRAMに展開しながら実行することで動作する。また、HDD20には、各種のデータが記憶される記憶領域30が設けられていると共に、アプリケーションプログラムが記憶されており、主処理部18では、CPUがアプリケーションプログラムを読み出してRAMに展開しながら実行することで、アプリケーションプログラムに応じて機能する。なお、処理装置12は、通信インターフェース26を介して、LANや公衆通信回線網(インターネット)に接続されることで、LANや公衆通信回線網を介したデータやプログラム等の送受信が可能となっている。主処理部18は、通信インターフェース26を介して取得されるプログラムを実行してもよい。
HDD20に記憶されるアプリケーションプログラムには、印象取得プログラム32、CADプログラム(三次元CADソフトウェア)34及びCAMプログラム36が含まれている。また、処理装置12の入出力インターフェース28には、口腔内スキャナ14及び3Dプリンタ16が接続されており、口腔内スキャナ14及び3Dプリンタ16は、主処理部18によって作動が制御される。
処理装置12は、印象取得プログラム32が実行されることで、口腔内スキャナ14を用いて印象データを取得する取得部(印象取得部)として機能し、処理装置12は、CADプログラム34が実行されることで、印象データから三次元データを生成する設計部として機能する。また、処理装置12は、CAMプログラム36が実行されることで、3Dプリンタ16を用いて三次元データから作業模型を造形する造形部として機能する。
口腔内スキャナ14としては、口腔内において被覆冠を装着すべき部位の表面形状を読み取って(印象採取)、印象データを取得可能な機能を有する。印象データは、被覆冠を装着すべき部位の表面形状が得られるものであればよく、三次元画像データ(ボリュームデータ)であってもよく、連続した二次元画像データ(スライスデータ)であってもよい。このような口腔内スキャナ14としては、接触プローブ式、レーザ計測式及びCCDカメラ方式の何れか適用されていてもよいが、操作性などの観点からCCDカメラ方式が好ましい。
本実施形態では、作業模型の造形にラピッドプロトタイピング技術と呼ばれる積層造形法が適用されている。積層造形法には、光造形法、粉末焼結法、インクジェット法、シート積層法、及び熱溶解積層法(押し出し法)などがある。また、本実施形態では、造形材料として熱可塑性及び溶媒による溶解性を有する造形用レジンが用いられ、造形用レジンとしては、歯科用レジンが用いられることが好ましい。ここから、作業模型の造形には、インクジェット法、シート積層法及び熱溶解積層法の何れかの積層造形法を適用することが好ましい。
近年、熱溶解積層法(FDM:Fused Deposition Modeling)が適用されたFDM方式の造形装置が普及している。このため、FDM方式の造形装置は、構造が簡略であり、小型化及び低コスト化が図られており、FDM方式の造形装置は、個人的に取得して利用可能となっている。ここから、本実施形態では、FDM(熱溶解積層法)方式が適用された3Dプリンタ16を用いている。図3には、3Dプリンタ16の概略構成が示されている。
造形用レジンには、歯科用レジンとしても多用されているPVA(ポリビニルアルコール)があり、PVAは、水溶性を有し、洗濯のりとして用いられるほどの安全性を有している。ここから、本実施形態では、熱可塑性及び溶媒による溶解性を有する造形用レジンとして、水溶性を有するPVAを適用している。
図3に示すように、3Dプリンタ16には、フィラメント状のPVA40が用いられており、3Dプリンタ16には、フィラメント状のPVA40が巻き取られたリール42が装填される。3Dプリンタ16には、加熱ヘッド44が設けられており、リール42から引出されたPVA40が一対の送りロール46によって加熱ヘッド44へ送り込まれる。
加熱ヘッド44は、PVA40を加熱することで流動可能な液状にして、液状のPVA40をノズル48内に押込む。これにより、PVA40は、細糸状にされながらノズル48から押し出される。
また、3Dプリンタ16には、ステージ50が設けられており、ステージ50がノズル48に対向されている。ステージ50は、図示しない移動走査手段によってノズル48(加熱ヘッド44)に対して、ノズル48との接離方向(Y軸方向)、及び各々がノズル48との接離方向と交差しかつ互いに交差する2方向(X軸方向及びZ軸方向)の3方向に相対移動可能とされている。
3Dプリンタ16では、処理装置12によって制御されてステージ50がノズル48に対して相対移動されながら、ノズル48からPVA40が押し出される。これにより、3Dプリンタ16では、ステージ50上に細糸状のPVA40による層が形成されると共にPVA40の層が積層されて、立体物が造形される。
以下に、本実施形態の作用として、製造システム10が用いられた被覆冠(歯冠修復物)の製作を説明する。
本実施形態では、被覆冠としてのクラウン60を成形して、成形したクラウン60が被験者の口腔内に装着される。図4(A)には、クラウン60が装着された口腔内の主要部が斜視図にて示され、図4(B)には、クラウン60の装着前の口腔内の主要部が斜視図にて示されている。
図4(A)及び図4(B)に示すように、口腔内には、小臼歯62及び大臼歯64があり、口腔内おいてクラウン60(図4(A)参照)の装着すべき部位は、小臼歯62と大臼歯64との間の部位とされている。
図4(A)に示すように、口腔内では、印象(印象データ)の取得(印象採取)に先立って、小臼歯62と大臼歯64との間に支台歯66が支台築造される。支台歯66は、咬合面側などが欠損して、一部が歯肉68から露出した天然歯が用いられて支台築造されてもよい。また、支台歯66は、ファイバーポストなどの支台築造体が用いられて支台築造されていてもよい。
図4(A)に示すように、口腔内では、印象(印象データ)の取得(印象採取)に先立って、小臼歯62と大臼歯64との間に支台歯66が支台築造される。支台歯66は、咬合面側などが欠損して、一部が歯肉68から露出した天然歯が用いられて支台築造されてもよい。また、支台歯66は、ファイバーポストなどの支台築造体が用いられて支台築造されていてもよい。
図1に示す印象取得工程90では、支台築造された口腔内に対して、口腔内スキャナ14を用いてクラウン60が装着されるべき部位の印象取得が行なわれる。これにより、口腔内スキャナ14によって小臼歯62から大臼歯64までの範囲(図4(B)参照)が撮像されて、口腔内におけるクラウン60が装着されるべき部位の三次元画像(画像データ)が印象データとして取得される。
本実施形態では、印象データに基づいてクラウン60の成形に用いる作業模型70を造形する。図5には、作業模型70の概略構成が斜視図にて示されている。
設計工程92では、印象データから三次元データ(CADデータ)が生成される。図5に示すように、CADデータは、作業模型70の三次元データとされている。この作業模型70には、例えば、歯肉68部分に対応された略矩形ブロック状のベース部72が含まれ、ベース部72上に、小臼歯62に対応する小臼歯部74、大臼歯64に対応する大臼歯部76、及び支台歯66に対応する支台歯部78が含まれる。設計工程92において生成されるCADデータには、ベース部72、小臼歯部74、大臼歯部76、及び支台歯部78が一体に含まれる。
次の造形工程94では、CADデータがSTL(Stereo lithography)データに変換され、変換されたSTLデータに基づいて3Dプリンタ16の作動が制御される。これにより、CADデータに対応する作業模型70が造形される。造形された作業模型70は、3Dプリンタ16から取り出される。
3Dプリンタ16から取り出された作業模型70は、成形工程96においてクラウン60の成形に用いられる。また、取外し工程100では、作業模型70からクラウン60が取外される。図6(A)には、クラウン60が成形された状態の作業模型70が斜視図にて示され、図6(B)には、作業模型70からのクラウン60の取り外しの概略が斜視図にて示されている。
クラウン60の成形には、例えば、光硬化型のコンポジットレジンが用いられる。成形工程96では、作業模型70の支台歯部78にコンポジットレジンが薄厚に塗られながら、光が照射される。これにより、図6(A)に示すように、作業模型70には、コンポジットレジンが盛られて硬化されて成形されたクラウン60が支台歯部78を被覆するように成形される。
この後、取外し工程100において、作業模型70の支台歯部78に成形されたクラウン60を作業模型70から取り外されることで、支台歯66に装着されるクラウン60が作製される。
図4(A)に示すように、作製されたクラウン60は、接着等によって口腔内の支台歯66に装着される。また、支台歯66に装着されたクラウン60は、咬合性(適合性)等が調整されて仕上げられる(仕上げ工程98)。
ここで、作業模型70には、水溶性のPVA40が用いられており、PVA40は、水が付着することで水の付着した部分が順次溶解する。作業模型70は、流れ落ちる水に漬けられたり、水によって濯がれたりすることで、表面から柔軟になる。このため、例えば、クラウン60と支台歯部78との間に水を浸み込ませることで、クラウン60が作業模型70から容易に取り外される。
すなわち、図6(B)に二点鎖線で示すように、作業模型70は、水によって溶解するので、クラウン60に対して実質的に消失しているとみなせる状態になる。したがって、クラウン60は、支台歯部78を覆うように成形されたり、一部が支台歯部78内に埋め込まれるように成形されたりしていても、作業模型70から容易に取り外すことができて、クラウン60の作製作業が容易になる。
また、作業模型70の造形には、FDM方式の3Dプリンタ16が用いられている。FDM方式の3Dプリンタ16は、小型化及び低コスト化されて普及されている。このため、歯科医院などにおいても容易に導入可能となるので、歯科医院においてクラウン60の作製作業を行なうことができて、クラウン60の作製作業を容易にできる。しかも、クラウン60の作製のために、歯科技工所を用いる必要が無くなるので、クラウン60の作製時間を短縮できるのみならず、歯科医院によって短時間にクラウン60を作製できる。
さらに、口腔内の印象取得から作業模型70の製造までの時間を短縮できるので、例えば、印象取得からクラウン60の作製及び口腔内への装着までを数時間(1日以内)で行なうことも可能となるので、被験者からクラウン60を用いた早急な治療が望まれた場合にも、被験者の要求に合わせた治療を行なうことが可能となる。
したがって、本実施形態に係る製造システム10を用いることで、クラウン60の作製作業が容易となると共に、クラウン60を迅速に作製できて、被験者の早急な治療が可能となる。
一方、本実施形態では、FDM方式が適用された3Dプリンタ16を用いた。この3Dプリンタ16では、ノズル48からステージ50上に押し出される細糸状のPVA40によって一筆書きされるように作業模型70が造形される。このため、作業模型70の表面が粗くなることがあり、この作業模型の表面の粗さが、クラウン60の内面(支台歯66側の面)の粗さとして現れることがある。
ここで、作業模型70を造形する際の、3Dプリンタ16の制御パラメータを調整することで、作業模型70の仕上り精度の向上を図ることが可能となる。また、造形された作業模型70の表面に対して、表面処理を施すことで、作業模型70の表面仕上りの向上を図ることができる。
以下に、作業模型を造形する際の制御パラメータ及び造形された作業模型の仕上りを説明する。
作業模型の造形には、3DプリンタとしてValue 3D magix MF-1000(武藤工業株式会社製、FDM方式の3Dプリンタの商品名)を使用し、PVAには、PVAフィラメント(武藤工業株式会社製の水溶性サポート材フィラメントの商品名)を使用した。
作業模型の造形には、3DプリンタとしてValue 3D magix MF-1000(武藤工業株式会社製、FDM方式の3Dプリンタの商品名)を使用し、PVAには、PVAフィラメント(武藤工業株式会社製の水溶性サポート材フィラメントの商品名)を使用した。
作業模型は、既製の支台歯模型A55A−461(株式会社ニッシン製の商品名)を適用し、支台歯模型を口腔内スキャナによってスキャンして得られた印象データを用いて造形した。
また、制御パラメータには、積層厚さ(ピッチ)、積層数(層密度)、積層スピード(ステージとノズルの垂直・水平方向移動速度)、積層温度としてのステージの温度及びノズルの温度を用い、以下のように設定した。
試験例1
積層厚さ(ピッチ):0.1mm
積層数 :下部 3層、上部 10層
積層スピード :下部 20mm/sec、上部 30mm/sec
積層温度 :ステージ 0°C、ノズル 200°C
積層厚さ(ピッチ):0.1mm
積層数 :下部 3層、上部 10層
積層スピード :下部 20mm/sec、上部 30mm/sec
積層温度 :ステージ 0°C、ノズル 200°C
試験例2
積層厚さ(ピッチ):0.2mm
積層数 :下部 10層、上部 5層
積層スピード :下部 20mm/sec、上部 30mm/sec
積層温度 :ステージ 55°C、ノズル 185°C
積層厚さ(ピッチ):0.2mm
積層数 :下部 10層、上部 5層
積層スピード :下部 20mm/sec、上部 30mm/sec
積層温度 :ステージ 55°C、ノズル 185°C
試験例3
積層厚さ(ピッチ):0.1mm
積層数 :下部 10層、上部 10層
積層スピード :下部 20mm/sec、上部 20mm/sec
積層温度 :ステージ 0°C、ノズル 200°C
積層厚さ(ピッチ):0.1mm
積層数 :下部 10層、上部 10層
積層スピード :下部 20mm/sec、上部 20mm/sec
積層温度 :ステージ 0°C、ノズル 200°C
ここで、試験例2の仕上りは、作業模型の表面に多数の空洞部分が現れ、形状の判別が困難な状態となっている。
また、試験例3の仕上りは、試験例2に比して空洞部分が現れてない点で評価できるが、部分的に湾曲するなどの歪みが生じている。
また、試験例3の仕上りは、試験例2に比して空洞部分が現れてない点で評価できるが、部分的に湾曲するなどの歪みが生じている。
これに対して、試験例1では、表面にバリ(樹脂の突起)が現れ、粗さは残るものの、ベース部、小臼歯部、大臼歯部、及び支台歯部の各々の形状が明瞭に再現されている。
このように、FDM方式の3Dプリンタを用いて造形を行なった場合であっても、制御パラメータを調整して、より適正な制御パラメータを選択することで、作業模型の表面粗さが目立つのを抑制できる。
次に、試験例1によって得られた作業模型について、表面処理を施した。表面処理には、歯科用に市販されているアルギン酸ナトリウムを用い、アルギン酸ナトリウムによって作業模型の表面をコーティングした。これにより、作業模型では、コーティング前にあった表面のバリ(突出した樹脂)を溶解できて、作業模型の表面をより滑らかにできた。
したがって、FDM方式の造形装置(3Dプリンタ)を用いて作業模型を造形する際、制御パラメータの設定と共に、造形された作業模型に対して表面処理を行なうことで、作業模型の表面粗さをより抑制できて、表面品質や仕上りを向上できる。
次に、造形された作業模型を用いて成形される被覆冠の適合性試験について説明する。試験では、表面処理した試験例1の作業模型に光重合型のコンポジットレジンを用いて被覆冠(クラウン)を成形し、成形した被覆冠を支台歯模型にかぶせた状態で支台歯模型と被覆冠との間にホワイトシリコーンを充填した。この後、複数個所においてホワイトシリコーンの厚さを計測した。
図7(B)には、ホワイトシリコーンを充填した状態における作業模型及び被覆冠が断面図にて示され、図7(A)には、被覆冠と支台歯模型との間の隙間t(μm)が図表にて示されている。なお、隙間tは、ホワイトシリコーンの厚さとしている。また、ホワイトシリコーンの厚さは、被覆冠の根元部分の位置P1、被覆冠の側面(周面)の根元側の位置P2、被覆冠の側面の咬合面側の位置P3、及び被覆冠の咬合面上の位置P4の4箇所にて測定した。
一般に、被覆冠として金属を用いた鋳造冠は、支台歯との間の隙間が30μm〜50μmの範囲で用いられるが、コンポジットレジンを用いた被覆冠では、支台歯との間に接着性セメントが使用される。このため、位置P1〜P4における隙間tとしては、100μm以下であり、かつ狭すぎないことが要求される。特に、位置P1において隙間tが100μmを越えると、被覆冠にがたつきが生じる。
また、位置P2〜P4の範囲では、隙間tが小さく(30μm〜70μm)、適合性が過度に良好となっていると、支台歯から被覆冠が浮いてしまう。このため、位置P2〜P4において隙間tが狭すぎると、ワックス等をスペーサとして充填する必要がある。
これに対して、作製された被覆冠では、位置P1における隙間tが100μm以下であるので、被覆冠にがたつきが生じることがない。また、この被覆冠では、位置P2〜P4において、隙間tが70μm以上となっているので、ワックスを不要にできる。したがって、本発明が適用されて製造された作業模型を用いて作製された被覆冠は、支台歯に対して良好な適合性が得られる。
なお、以上説明した本実施形態では、光硬化型のコンポジットレジンを用いて、作業模型70上にクラウン60を成形するように説明した。ここで、歯科医療の分野においては、仮歯(暫間被覆冠)などの作製にMMA(Methyl Methacrylate、メタクリル酸メチル)系レジンが用いられる。ここから、光硬化型のコンポジットレジンに替えて、MMA系レジンを用いることで、作業模型は、仮歯の作製に用いることができる。
また、本実施形態では、造形部に用いる造形装置として熱溶解積層法が適用された3Dプリンタ16を例に説明した。しかしながら、造形装置は、PVAを加熱溶解しながら吐出することで造形するインクジェット方式が適用されてもよい。また、造形装置は、シート状のPVAを所定形状に切断すると共に、切断したシート状を積層する積層方式が適用されてもよい。
また、本実施形態では、溶媒による溶解性を有する造形用レジンとして水溶性のPVAを適用した。しかしながら、溶媒による溶解性を有する造形用レジンは、水溶性であればPVA以外であってもよく、また、水溶性に限らず水以外の溶媒に対して溶解性を有する造形用レジンであってもよい。これらの場合、溶媒及び造形用レジンは、歯冠修復物の素材の耐性、相性、安全性などを考慮して選択されればよい。
さらに、本実施形態では、印象を取得する取得工程として口腔内スキャナ14による印象採取を例に説明した。しかしながら、取得工程は、口腔内において歯冠修復物を装着すべき部位の印象データを入手できればよく、印象は、印象データが通信インターフェース26や入出力インターフェース28等に入力されることで取得されてもよい。
また、本実施形態では、熱溶解積層法を適用して作業模型70を造形した。しかしながら、歯冠修復物の作製に用いられる作業模型は、熱溶解積層法などの積層造形法に限らず、ミリングマシンなどの切削装置が用いられて、切削加工によって製造されてもよい。
10 製造システム
12 処理装置
14 口腔内スキャナ
16 3Dプリンタ
32 印象取得プログラム
34 CADプログラム
36 CAMプログラム
40 PVA
60 クラウン
66 支台歯
70 作業模型
78 支台歯部
90 印象取得工程
92 設計工程
94 造形工程
96 成形工程
98 仕上げ工程
100 取外し工程
12 処理装置
14 口腔内スキャナ
16 3Dプリンタ
32 印象取得プログラム
34 CADプログラム
36 CAMプログラム
40 PVA
60 クラウン
66 支台歯
70 作業模型
78 支台歯部
90 印象取得工程
92 設計工程
94 造形工程
96 成形工程
98 仕上げ工程
100 取外し工程
Claims (5)
- 口腔内において歯冠修復物を装着すべき部位の印象を取得する取得工程と、
溶媒による溶解性を有する造形用レジンを用い、前記印象に基づいて前記歯冠修復物を装着すべき部位についての作業模型を造形する造形工程と、
前記口腔内に装着するための前記歯冠修復物を前記作業模型上に成形する成形工程と、
前記溶媒を用い、前記作業模型から該作業模型上に成形された前記歯冠修復物を取り外す取外し工程と、
を含む歯冠修復物の作製方法。 - 前記造形工程は、熱可塑性を有する前記造形用レジンを用い、熱溶解積層法によって前記作業模型を造形する請求項1に記載の歯冠修復物の作製方法。
- 前記造形用レジンは、水溶性のポリビニールアルコールが用いられる請求項1又は請求項2に記載の歯冠修復物の作製方法。
- 口腔内において歯冠修復物を装着すべき部位の印象を取得する取得部と、
溶媒による溶解性を有する造形用レジンを用い、前記印象に基づいて、前記口腔内に装着するための前記歯冠修復物の成形に用いられると共に、前記溶媒によって前記歯冠修復物を取り外し可能な作業模型を造形する造形部と、
を備える作業模型の製造装置。 - 口腔内に装着するための歯冠修復物の成形に用いられる作業模型であって、
口腔内に装着するための歯冠修復物の成形に用いられる作業模型であって、溶媒による溶解性を有する造形用レジンによって、前記口腔内における前記歯冠修復物を装着すべき部位の印象の形状に形成され作業模型。
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| JP2018092437A JP2019195584A (ja) | 2018-05-11 | 2018-05-11 | 歯冠修復物の作製方法、作業模型の製造装置及び作業模型 |
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Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN112809023A (zh) * | 2021-01-06 | 2021-05-18 | 成都登特牙科技术开发有限公司 | 基于3d打印的套筒冠及其制作方法 |
| JP2022132783A (ja) * | 2021-03-01 | 2022-09-13 | 株式会社松風 | 加熱軟化型義歯床原型 |
| JP2023088490A (ja) * | 2021-12-15 | 2023-06-27 | 株式会社松風 | 技工作業用模型 |
-
2018
- 2018-05-11 JP JP2018092437A patent/JP2019195584A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN112809023A (zh) * | 2021-01-06 | 2021-05-18 | 成都登特牙科技术开发有限公司 | 基于3d打印的套筒冠及其制作方法 |
| JP2022132783A (ja) * | 2021-03-01 | 2022-09-13 | 株式会社松風 | 加熱軟化型義歯床原型 |
| JP7801837B2 (ja) | 2021-03-01 | 2026-01-19 | 株式会社松風 | 義歯床の製造方法 |
| JP2023088490A (ja) * | 2021-12-15 | 2023-06-27 | 株式会社松風 | 技工作業用模型 |
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