JP2019201110A - 電気二重層キャパシタ - Google Patents
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Abstract
【課題】電解液のアルカリ化を防ぐとともに、タブ端子と集電体との接触抵抗を増加させない電気二重層キャパシタを提供する。【解決手段】一対の電極体23を有するキャパシタ素子と、前記キャパシタ素子を収納する有底筒状金属ケースと、前記金属ケースの開口部を封口する封口体と、前記一対の電極体23のそれぞれと接合され、前記封口体の端子引出し孔を通って、封口体の外側に延伸するタブ端子10と、を有し、前記タブ端子10は、前記封口体を貫通する貫通部12と、前記電極体23との接合部14を有する平坦部13と、を備え、前記貫通部12の表面、および前記電極体23との接合部14を除く前記平坦部13の表面に絶縁層15を形成することにより、負極タブ端子近傍の電解液のアルカリ化を防ぎ、タブ端子10と電極体23との接触抵抗を低減する。【選択図】図2
Description
本発明は、電気二重層キャパシタに関し、特にタブ端子と封口体の隙間から生じる液漏れを低減させる巻回型電気二重層キャパシタに関する。
電気二重層キャパシタは、電解液と電極体との界面に生じる電気二重層に電気を蓄える原理のキャパシタである。
電気二重層キャパシタは、一例として、キャパシタ素子と、キャパシタ素子に含浸された電解液と、キャパシタ素子を電解液とともに収容する有底筒状の金属ケースと、金属ケースの開口部を封止する弾性封口体とを備える。ここで、キャパシタ素子は、金属箔からなる集電体に炭素含有多孔質材料からなる分極性電極層が形成された一対の電極体の間にセパレータを介在させ巻回することにより構成されている。
各電極体には、平坦部、貫通部および引出し線を有するタブ端子が、平坦部の少なくとも1箇所の接合部位で接合されている。封口体には少なくとも2つの端子引出し孔が設けられており、各タブ端子の貫通部が封口体の端子引出し孔に挿通されて外部に導出されているとともに、各タブ端子の貫通部が封口体の端子引出し孔の内壁に密接した状態で密封性が保たれている。
電気二重層キャパシタではアルミ電解コンデンサと比較して水分の影響が顕著である。すなわち、電気二重層キャパシタ中に水分が浸入することにより、寿命特性の劣化やガス発生によるケース膨れ等の問題が発生する。特に、水分の電気分解による負極側タブ端子近傍での電解液のアルカリ化に起因する液漏れの問題がある。
特許文献1には、第四級アンモニウム塩の一つであるジエチルジメチルアンモニウムテトラフルオロボレートをプロピレンカーボネートに溶解した電解液を用いて、高いエネルギー密度を有し内部抵抗の小さい電気二重層キャパシタを提供することが開示されている。
特許文献2には、第四級アンモニウム塩系電解液を用いた電気二重層キャパシタにおいて、タブ端子と封口体の端子引出し孔との間に電気絶縁性樹脂であるポリアミド化合物を設けて、アルカリ化した電解液が封口体の端子引出し孔に接触するのを防止することが提案されている。
電気二重層キャパシタでは、高温環境下や高湿環境下で電圧を印加した場合、例えばもともと電気二重層キャパシタ内に存在している微量の水分や、外部から封口体に浸透して電気二重層キャパシタの内部に浸入する水分や、外部からタブ端子と封口体の間を通って浸入する可能性がある水分などの電気分解により、負極側タブ端子近傍の電解液がアルカリ化して、封口体を劣化させたりタブ端子を浸食したりすることに起因する電解液の液漏れが発生するという問題がある。
特許文献2に記載されているように、封口体を貫通しているタブ端子の貫通部と、封口体の端子引き出し孔との間に電気絶縁性樹脂を形成することにより、液漏れを抑制することができる。しかし、電気二重層キャパシタの信頼性をさらに高めるために、封口体やタブ端子の劣化を防止する効果のさらなる向上が求められている。
一方、電気二重層キャパシタのタブ端子の平坦部の表面全体に電気絶縁性樹脂を形成した場合、タブ端子と電極体との接触抵抗が大きくなることにより電気二重層キャパシタの内部抵抗が大きくなってしまうという問題がある。
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、タブ端子と電解液との電気的な接触を最小限にすることにより、封口体の端子引出し孔やタブ端子の貫通部の近傍における、電解液のアルカリ化を防ぐとともに、タブ端子と電極体との接触抵抗を増加させない電気二重層キャパシタを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明では、各々が集電体と分極性電極層とからなる一対の電極体を、セパレータを介して巻回し、電解液を含浸させたキャパシタ素子と、前記キャパシタ素子を収納する有底筒状金属ケースと、前記金属ケースの開口部を封口する封口体と、前記一対の電極体のそれぞれと接合され、前記封口体の端子引出し孔を通って、封口体の外側に延伸するタブ端子と、を有する電気二重層キャパシタであって、前記タブ端子は、前記封口体を貫通する貫通部と、前記電極体との接合部を有する平坦部と、を備え、前記貫通部の表面、および前記電極体との接合部を除く前記平坦部の表面に、絶縁層が形成されている電気二重層キャパシタを提供する。
本発明によれば、電気二重層キャパシタに電圧を印加しても、タブ端子近傍の電解液のアルカリ化を防ぎ、電解液のアルカリ化に起因するタブ端子や封口体ゴムの劣化を防止し、信頼性の高い電気二重層キャパシタが提供される。
本発明に係る電気二重層キャパシタの好適な実施の形態について、図1から図7までの図を参照して説明する。
(1)実施形態の概要
(1)実施形態の概要
電気二重層キャパシタは、一対の電極体23を有するキャパシタ素子と、前記キャパシタ素子を収納する有底筒状金属ケースと、前記金属ケースの開口部を封口する封口体と、前記一対の電極体23のそれぞれと接合され、前記封口体の端子引出し孔を通って、封口体の外側に延伸するタブ端子10と、を有し、前記タブ端子10は、前記封口体を貫通する貫通部12と、前記電極体23との接合部14を有する平坦部13と、を備え、前記貫通部12の表面、および前記電極体23との接合部14を除く前記平坦部13の表面に絶縁層15を形成することにより、負極タブ端子近傍の電解液のアルカリ化を防ぐとともに、タブ端子10と電極体23との接触抵抗を低減する。
(2)実施形態の詳細
(第1の実施形態)
(2)実施形態の詳細
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電気二重層キャパシタ1の構成を示す断面図である。電気二重層キャパシタ1は、タブ端子10a、10b、キャパシタ素子20、封口体30、および金属ケース40などを備える。電解液を含浸されたキャパシタ素子20は、アルミニウムからなる有底円筒状の金属ケース40に収められている。金属ケース40の開口部は、弾性ゴムからなる封口体30を、横絞り部41および上絞り部42から押圧変形させることによって封止されている。
正極タブ端子10aおよび負極タブ端子10bはそれぞれ、その一端がキャパシタ素子20の正極および負極と接合している。端子引出し孔31は、封口体30に設けられた貫通孔である。タブ端子10a、10bは、端子引出し孔31を通って、その他端が電気二重層キャパシタ1の外部に延伸している。タブ端子10a、10bは、キャパシタ素子20の正極および負極を外部回路に接続する端子である。
絶縁層15は、タブ端子10a、10bの一部である貫通部12と端子引出し孔31の内側面との間、および、キャパシタ素子20と接合されたタブ端子10a、10bの表面、に形成された絶縁層15を示す。キャパシタ素子20と接合されたタブ端子10a、10bに形成される絶縁層15について、図2〜4を用いて後程詳しく説明する。
これらの絶縁層15は、例えば以下の目的のために形成される。即ち、タブ端子10a、10bと端子引出し孔31との間の隙間を埋めて、タブ端子10a、10bと封口体30との間の密着性を高めること、キャパシタ素子20の製造過程において、キャパシタ素子20に電解液を含浸させても、タブ端子10a、10bに電解液を付着しにくくすること、外部からの水分がタブ端子10a、10bを伝わって浸入するのを防ぐこと、などの目的である。
絶縁層15は、電気二重層キャパシタ1に用いられる電解液に不溶であり、かつ、タブ端子10と電解液とを電気的に絶縁する層である。タブ端子10の表面を絶縁性樹脂で被覆して絶縁層15を形成する場合には、絶縁性樹脂15は、例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂などを用いる。また、絶縁層15は、絶縁性樹脂以外に、電解液に不溶であり、かつ、電気絶縁性を有するセラミック薄膜、電気絶縁性を有する酸化膜などから形成されていてもよい。
例えば絶縁層15を絶縁性樹脂で形成した場合は、絶縁層15の厚さは次のとおりであることが好ましい。絶縁層15は、その厚さが薄いほど端子引出し孔31への挿通が容易となる。一方、その厚さが薄すぎると、本発明の十分な効果が得られなくなってしまう場合がある。そこで、例えば、絶縁層15の厚さを0.1μm以上にする。絶縁層15の厚さは、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは3μm以上である。
さらに、絶縁層15は、その厚さが厚いほど強度が高くなる。一方、その厚さが厚すぎると、端子引出し孔31への挿通の容易性が低下してしまうことがある。そこで、例えば、絶縁層15の厚さを500μm以下にする。絶縁層15の厚さは、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。
さらに、絶縁層15は、その厚さが厚いほど強度が高くなる。一方、その厚さが厚すぎると、端子引出し孔31への挿通の容易性が低下してしまうことがある。そこで、例えば、絶縁層15の厚さを500μm以下にする。絶縁層15の厚さは、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下である。
封口体30は、電解液に対する耐薬品性および電気絶縁性を有するとともに、所定の可撓性を有する物質から構成される。封口体30は、例えば、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴムなどを材料にして構成される。
図2は、キャパシタ素子20の電極体23を、タブ端子10を接合している側から見た図(a)と、それとは反対側から見た図(b)を示す。電気二重層キャパシタ1におけるキャパシタ素子20の電極体23は、正極および負極の両方ともに、アルミニウム箔からなる集電体21と、集電体21のアルミニウム箔の表面に形成された炭素含有多孔質材料(活性炭材料)からなる分極性電極層22とから構成される。キャパシタ素子20は、正極側の分極性電極層22と負極側の分極性電極層22とをセパレータを介して対向させた状態で巻回したものに電解液を含浸させて形成する。
電解液は、例えば、第四級アンモニウム塩、アミジン塩などからなる電解質を、所定の溶媒に溶解させた電解液を用いる。第四級アンモニウム塩のカチオンは、例えば、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、エチルトリメチルアンモニウムカチオン、ジエチルジメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、5−アゾニアスピロ[4.4]ノナンカチオンなどのうちのいずれか1つまたはこれら複数のカチオンの組み合わせを用いる。アミジン塩のカチオンは、例えば、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリニウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオンなどのうちのいずれか1つまたはこれら複数のカチオンの組み合わせを用いる。
電解質中のアニオンは、例えば、テトラフルオロホウ酸アニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオンなどのうちのいずれか1つまたはこれら複数のアニオンの組み合わせを用いる。電解質を溶解させる溶媒は、例えば、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ‐ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホランなどのうちのいずれか1つまたはこれらの組み合わせを用いる。
キャパシタ素子20の正極および負極は、ともに集電体21と分極性電極層22とから構成される電極体23を有し、それぞれ略同じ形状を有するタブ端子10a及び10bに接合されている。以下の明細書では、正極側電極体23と接合している正極タブ端子10aと、負極側電極体23と接合している負極タブ端子10bとを区別せずに、タブ端子10として説明する。
タブ端子10は、アルミニウムからなる貫通部12と、貫通部12に溶接された引出し線11と、貫通部12を扁平に加工した平坦部13とから構成される。平坦部13は、その一部がキャパシタ素子20の電極体23に接合される。貫通部12は、封口体30の端子引出し孔31を貫通する部分である。引出し線11は、例えば銅被覆鋼線のCP線からなる導線である。引出し線11の表面は、半田メッキや錫メッキが施されていても良い。
尚、図2において、引出し線11と貫通部12が溶接されている形態としたが、これに限定されるものではない。例えば、引出し線11と貫通部12が圧着されていてもよく、一体物として鋳造されていてもよく、一つの金属体より切削加工されていてもよい。また、引出し線11は銅被覆鋼線のCP線等からなる導線に限定されるものではない。例えば、引出し線11がネジ端子形の金属端子であってもよい。また、図2において、平坦部13は貫通部12を扁平に加工した形態としたが、これに限定されるものではない。例えば、帯状の金属部材からなる平坦部13が貫通部12に溶接されていてもよい。
絶縁層15は、タブ端子10の貫通部12だけでなく、平坦部13の表面を覆うように形成される。但し、後に示すように、タブ端子10と電極体23との間の接触抵抗を下げて、両者の間に良好な導電性を得るために、平坦部13の表面の一部には、絶縁層15を形成しない。即ち、平坦部13の表面であって、平坦部13と電極体23との接合部14、または接合部14を含む所定の範囲には、絶縁層15を形成しない。図2の例は、平坦部13において、貫通部12に近い、図の上部側の、平坦部13の長さの3分の1から2分の1までの部分には絶縁層15を形成しているが、貫通部12から遠い、図の下部側の、平坦部13の長さの3分の2から2分の1までの部分には、絶縁層15を形成しない例を示している。
平坦部13の絶縁層15を形成する範囲は、平坦部13の表面を電解液に接触させないという目的のためには、平坦部13の表面全体に絶縁層15を形成することが最良であるが、平坦部13と電極体23との導電性を維持しながら絶縁層15を形成する工程を効率化するために、ある程度の範囲で絶縁層15の形成範囲を選択することが可能である。その場合、例えば、電極体23との接合部14だけを除いた平坦部13の表面に絶縁層15を形成する加工方法や、巻回されたキャパシタ素子20の電極体23から、平坦部13が封口体30方向に突き出ている範囲(即ち、図2(a)において、集電体21の上辺212より貫通部12側に平坦部13が突き出ている範囲)の平坦部13の表面に絶縁層15を形成する加工方法でもよい。
タブ端子10の平坦部13とキャパシタ素子20の電極体23との接合部14は、カシメやコールドウェルド法、超音波法などによって形成される。例えば、カシメの場合、接合部14は、電極体23を構成する集電体21のアルミニウム箔に平坦部13を重ねたあと、平坦部13の表面側から(図2(a)の紙面表側から)針を突き刺して、平坦部13と電極体23のアルミニウム箔とを一緒に分極性電極層22側(図2(b)の紙面表側)に突き出して形成される。接合部14は、分極性電極層22側に突き出された先端部分を押し広げながら、平坦部13および電極体23のアルミニウム箔とともに、図2の紙面に垂直な方向から、挟んで押しつぶすように力を加えて接合される。図2は、3カ所に針孔が残るカシメによって接合されている例を示す。接合部14は、平坦部13と電極体23とが固着され、両者の間の接触抵抗が十分に小さくなるように形成される。
以上のような構成を有する電気二重層キャパシタ1に電荷を蓄積するときには、正極側タブ端子10aと負極側タブ端子10bとの間に、例えば略2.5Vの充電電圧を印加する。タブ端子10に接続されたキャパシタ素子20の正極側および負極側の電極体23はそれぞれ、溶媒に溶解された電解質のアニオンおよびカチオンを引き寄せる。引き寄せられたこれら電解質イオンは、正極側および負極側ともに、多孔質の分極性電極層22の表面のごく近傍に、分極向きを略一致させて集まる。分極性電極層22と電解質イオンとの距離が近いこと、および、活性化炭素からなる分極性電極層22の表面面積が大きいことなどによって、電気二重層キャパシタ1は、大きな静電容量を有するキャパシタとなる。
従来の電気二重層キャパシタは、電解液中の水分に係る以下の課題を有する。従来の電気二重層キャパシタに電圧が印加されて、タブ端子10や電極体23の電圧が水の電気分解電圧以上になると、電解液に含まれる水分が電気分解されて、水酸化物イオンOH−が発生する。発生した水酸化物イオンOH−は、負極側タブ端子10の近傍の電解液をアルカリ化する。この電解液はタブ端子10を構成するアルミニウムを浸食したり、封口体30のゴムを劣化させたりする可能性があり、液漏れの原因となる。
一方、本実施形態の電気二重層キャパシタ1の場合、タブ端子10は、貫通部12だけでなく、貫通部12に近い平坦部13の範囲が、絶縁層15で覆われている。表面が絶縁層15で覆われているため、電気二重層キャパシタ1に電圧が印加されて、タブ端子10の電圧が水の電気分解電圧以上になったとしても、貫通部12および、貫通部12に近い平坦部13の近傍において水酸化物イオンOH−の発生が抑制される。即ち、本実施形態は、電解液の漏出原因の一つである電解液のアルカリ化を防ぐことができる。
尚、電解液のアルカリ化に起因する端子引出し孔31まわりのゴムの劣化やタブ端子10への浸食を防ぐには、少なくとも、負極側タブ端子10の貫通部12および貫通部12に近い平坦部13の表面に絶縁層15を形成すればよい。図2の場合、貫通部12から離れた、例えば平坦部13の下部3分の2程度の範囲の平坦部13は、絶縁層15で覆われていないため、この範囲の平坦部13の近傍では電解液のアルカリ化は起こり得る。しかし、貫通部12から離れた平坦部13の近傍で電解液がアルカリ化しても、水酸化物イオンOH−は、貫通部12や封口体30の端子引出し孔31に達するまでには電解液中で拡散して、水酸化物イオンOH−の濃度が低下する。そのため、貫通部12から離れた平坦部13の近傍で電解液のアルカリ化が起こっても、封口体30の端子引出し孔31まわりにおけるゴムの劣化や、タブ端子10の貫通部12に対する浸食は、ほとんど発生しない。
更に、従来から、封口体30の端子引出し孔31とタブ端子10の貫通部12との隙間に絶縁層15を形成する技術が存在する。この従来技術は、電解液のアルカリ化そのものを防ぐのではなく、端子引出し孔31の隙間に形成した絶縁層15によって、アルカリ化した電解液が端子引出し孔31や貫通部12などに接触するのを抑制しようとするものである。これに対して本実施形態は、貫通部12の表面だけでなく、平坦部13の表面にも絶縁層15を形成することにより、貫通部12や端子引出し孔31の近傍における電解液のアルカリ化そのものを抑制して、封口体30の劣化や貫通部12の腐食を防ぐものであり、電解液の漏出原因に対して、より根本的に対処するものである。
図3は、図2のAA´断面を示し、タブ端子10の平坦部13とキャパシタ素子20の電極体23との接合部14を示す断面図である。図2の構成要素と同じ部分には、同一の符号を付して、重複した説明を省略する。図3の接合部14は、平坦部13と、集電体21および分極性電極層22からなる電極体23と、をカシメで接合している例を示す。
カシメは、例えば以下の方法で、平坦部13と電極体23とを接合する。電極体23を構成する集電体21のアルミニウム箔に平坦部13を重ねたあと、平坦部13の表面側から(図3の左側から)針を突き刺して、平坦部13と電極体23のアルミニウム箔とを一緒に、分極性電極層22側(図3の右側)に突き出す。分極性電極層22側に突き出された先端部分を押し広げながら、平坦部13および電極体23のアルミニウム箔に、図3の左右方向から押しつぶすような圧力を加えて、平坦部13と電極体23とを接合させる。
電極体23を構成する集電体21と対向する平坦部13の表面で、接合部14を含む所定の範囲には、絶縁層15をあらかじめ形成しないようにする。図3の除外部16は、絶縁層15を形成していない部分を示している。絶縁層15が付いていないため、接合したとき、平坦部13の表面は、集電体21のアルミニウム箔と直接接触する。接合部14は、平坦部13と電極体23とを力学的に接合するだけでなく、平坦部13と電極体23との間で、低い接触抵抗と十分に高い導電性を有する接合を実現する。
図4は、図2と同じ接合部14の配置に対して、集電体21と対向するタブ端子10の表面における、絶縁層15を形成しない除外部16の例を示す。図4(a)は、図2と同様な範囲に除外部16が設けられている例を示す。図4(b)は、接合部14を含み、接合部14全体を取り囲むように除外部16が設けられている例を示す。図4(c)は、3か所の針孔位置のそれぞれに対して、例えば縦横の幅が1.5mm程度の除外部16が設けられている例を示す。除外部16の形成方法は、例えば、絶縁層15を樹脂の塗布によって形成する場合、平坦部13の一部である除外部16をあらかじめマスキングして樹脂を塗布し、その後マスキングを外すことによって、除外部16を形成する。
図4(a)、図4(b)および図4(c)はともに、平坦部13と電極体23とを接合した後には、タブ端子10と電極体23との間で、低い接触抵抗と十分に高い導電性を得ることが可能であった。また、除外部16は絶縁層15で覆われていないため、この部分の近傍では電解液のアルカリ化は起こり得る。しかし、除外部16の近傍で生成された水酸化物イオンOH−は、貫通部12や封口体30の端子引出し孔31に達するまでには拡散して濃度が下がるため、除外部16の近傍の電解液のアルカリ化は、貫通部12の浸食や端子引出し孔31まわりのゴムの劣化をほとんど引き起こさない。
以上によって、本実施形態に係る電気二重層キャパシタ1は、タブ端子10を構成する貫通部12および平坦部13の表面の所定範囲に絶縁層15を形成することによって、電解液のアルカリ化を防ぎ、アルカリ化に起因する端子引出し孔31まわりのゴムの劣化や、貫通部12および平坦部13の浸食を防ぐことができる。さらに、封口体30に近い側の、例えば、平坦部13の長さの3分の1程度の範囲に絶縁層15を形成し、 その他の平坦部13には絶縁層15を形成しない除外部16を設けることによって、平坦部13と電極体23との接触抵抗を十分に低い値に設定することができる。
(第2の実施形態)
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る電気二重層キャパシタの構成を示す。また、図6は、第2の実施形態の変形例の電気二重層キャパシタの構成を示す。図5および図6に示す電気二重層キャパシタのタブ端子10は、第1の実施形態と同様に、貫通部12だけではなく、平坦部13の表面も絶縁層15に覆われており、貫通部12の浸食や封口体30の劣化を引き起こす電解液のアルカリ化を防いでいる。
図5および図6に示す電気二重層キャパシタは、封口体30の形状が第1の実施形態に係る電気二重層キャパシタ1とは異なっている。図5(a)は、第2の実施形態に係る電気二重層キャパシタの封口体30を、金属ケース40におさめられているキャパシタ素子20側から見た図である(図1も参照)。封口体30には、封口体30の端子引出し孔31の貫通方向と同じ方向であって、キャパシタ素子20側に突き出た突出部32が付加されている。図5(b)は、突出部32を含む、AA´断面を示す。図5(c)は、突出部32を含む、BB´断面を示す。突出部32の高さ(端子引出し孔31の貫通方向の突出部32の長さ)は例えば0.2mm以上1.5mm以下が望ましい。
突出部32は、タブ端子10の貫通部12を挿通する、例えば、丸穴に重ねて、丸穴の直径方向に長手方向を有する細長矩形状の開口部33を備えている(図5(a)参照)。図5(a)の面内方向の矩形開口部33の長さと幅は、タブ端子10の平坦部13の横幅および厚さに対応している。これにより図5(b)及び(c)の断面図と、図5(a)の平面図とから分かるように、タブ端子10を封口体30に挿通すると、矩形開口部33は、タブ端子10の平坦部13を平坦部の厚さ方向から挟み込むように固定する。
封口体30の突出部32が、このような開口部33を有することによって、少なくとも以下の効果が期待できる。一つの効果は、タブ端子10の平坦部13が開口部33で固定されることによって、貫通部12が、端子引出し孔31の中で中心軸まわりに回転したり、貫通方向に動いたりすることを防ぐ効果である。貫通部12が端子引出し孔31の中で動いてしまう場合、貫通部12の表面に形成された絶縁層15と端子引き出し孔31との間に隙間が発生し、そこから電解液が漏出することがあり得る。貫通部12が封口体30に固定されれば、上記の要因による電解液の漏出を防止できる。
別な効果は、突出部32が、キャパシタ素子20と封口体30との間に存在するため、電解液が含浸されたキャパシタ素子20と封口体30との間の間隔が拡大することによる効果である。この間隔が広がることによって、電解液のせり上がりによる電解液の漏出が発生しにくくなり、また電解液の漏出が発生するまでの時間を延伸させる効果がある。この効果をより確実に得るためには、端子引出し孔31の貫通方向と同じ方向の突出部32の高さは、0.2mm以上が好ましく、0.5mm以上とすることがより好ましい。但し、電気二重層キャパシタの製品サイズ(高さ)が大きくなり商品価値が損なわれることもあるので、突出部32の高さは、1.5mm以下に抑えることが望ましく、1mm以下がより好ましい。
図6は、図5に示す第2の実施形態に係る電気二重層キャパシタの変形例を示す。図6(a)は、変形例の封口体30を、キャパシタ素子20側から見た図であり、図6(b)は、突出部32を含む、AA´断面を示し、図6(c)はBB´断面を示す。図6の突出部32は開口部33として、細長矩形状開口33を備えている。矩形開口の長さと幅は、タブ端子10の平坦部13の幅および厚さと略同一である。
図6の場合、開口部33は、タブ端子10が貫通部12から平坦部13に移行する部分の外形に合わせて、貫通部12および平坦部13を挟み込む形状を有している。貫通部12を有するタブ端子10を突出部32の開口部33に挿通するには、突出部32が可撓性の素材からできていることを利用して、開口部33を押し広げて、例えば丸棒状の貫通部12を通すことになる。
尚、図6の例では、図6(a)の面内方向における、開口部33の開口長さおよび開口幅はそれぞれ、タブ端子10の平坦部13の横幅および厚さと略同一であるとしている。これに対して、タブ端子10の貫通部12を開口部33に挿通しやすくするために、開口部33の開口幅は、図6の例より少し大きくしてもよい。開口部33の開口幅は、タブ端子10の貫通部12を挿通させるときに、貫通部12が開口部33を押し広げながら、容易に挿通できる程度の幅に設定してよい。また、開口部33は、貫通部12の挿通向きにテーパー加工を施したり、開口部を細長矩形以外の形状としたりすることによって、貫通部12を通しやすくしてもよい。
タブ端子10が封口体30に挿通されると、図6の突出部32は、タブ端子10の貫通部12から平坦部13へ移行している部分の外形全体を挟みこむ状態になり、タブ端子10は、封口体30に強く固定されることになる。また、突出部32は、電解液が含浸されたキャパシタ素子20と封口体30との間の間隔を広げるとともに、タブ端子10の貫通部12から平坦部13への移行部分と突出部32の開口部33との間に絶縁層15を有している(図6(b)、(c)参照)。これらにより、図6に示す変形例は、図5に関連して説明した、封口体30に突出部32を付加することによる効果を、より効果的に実現する。
以上によって、図5および図6に示す電気二重層キャパシタは、タブ端子10の表面に絶縁層15を形成することによって電解液のアルカリ化を防止することに加えて、タブ端子10と封口体30とを固定し、封口体30とキャパシタ素子20との間の間隔を拡大して、液漏れをより確実に低減させる電気二重層キャパシタを提供する。
(液漏れ評価試験)
・評価試験の概要
(液漏れ評価試験)
・評価試験の概要
後述の個別仕様に準じて絶縁層が形成されたタブ端子をそれぞれ接合した一対の電極体を、セパレータを介して巻回し、後述の共通仕様に記載の電解液を含浸させたキャパシタ素子を用意する。電解液が含浸されたこのキャパシタ素子を、有底筒状のアルミニウムケースに収納するとともに、アルミニウムケースの開口部を後述の個別仕様に記載の封口体を用いて封止加工する。ここで、タブ端子は、それぞれ封口体の端子引出し孔を通って外側に延伸している。このようにして以下の4種類の電気二重層キャパシタの試料を実際に作製し、高温・高湿条件で使用した時の液漏れ数を評価する。
・試料の共通仕様
・試料の共通仕様
定格電圧2.5V、静電容量1Fの電気二重層キャパシタ
電解液;プロピレンカーボネート・・・・・・・・・・・・・・・・ 75質量パーセント
トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート・・ 25質量パーセント
封口体材質;ブチルゴム
絶縁層15を形成する樹脂材料;ポリプロピレン
絶縁層15を形成する樹脂厚さ;10ミクロン
・試料の個別仕様
電解液;プロピレンカーボネート・・・・・・・・・・・・・・・・ 75質量パーセント
トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート・・ 25質量パーセント
封口体材質;ブチルゴム
絶縁層15を形成する樹脂材料;ポリプロピレン
絶縁層15を形成する樹脂厚さ;10ミクロン
・試料の個別仕様
試料1;タブ端子への樹脂塗布;タブ端子10に、第1の実施形態(図2、3参照)に示す絶縁層15を形成する。具体的には、カシメによる接合部14を覆うように平坦部13(両面)をマスキングした状態で、樹脂材料が分散された溶剤液に、平坦部13側から貫通部12までタブ端子10を浸漬し引き上げる。引き上げた後マスキングを外す。その後熱処理により絶縁層15を形成する。
封口体;突出部32を有しない形状であり、封口体30のタブ端子10貫通方向の厚さは2.6mmである。
試料2;タブ端子への樹脂塗布;試料1と同様に絶縁層15を形成する。
封口体;図5に示す形状であり、高さ0.5mmの突出部32を設ける。突出部32以外の封口体30の厚さは2.6mmである。
試料3;タブ端子への樹脂塗布;試料1と同様に絶縁層15を形成する。
封口体;図6に示す形状であり、高さ0.5mmの突出部32を設ける。突出部32以外の封口体30の厚さは2.6mmである。
試料4;タブ端子への樹脂塗布;タブ端子10の貫通部12のみに絶縁層15を形成する。樹脂材料が分散された溶剤液を貫通部12に塗布し、熱処理して絶縁層15を形成する。
封口体;試料1と同様に突出部32を有しない形状であり、封口体30の厚さは2.6mmである。
・評価試験の条件
封口体;突出部32を有しない形状であり、封口体30のタブ端子10貫通方向の厚さは2.6mmである。
試料2;タブ端子への樹脂塗布;試料1と同様に絶縁層15を形成する。
封口体;図5に示す形状であり、高さ0.5mmの突出部32を設ける。突出部32以外の封口体30の厚さは2.6mmである。
試料3;タブ端子への樹脂塗布;試料1と同様に絶縁層15を形成する。
封口体;図6に示す形状であり、高さ0.5mmの突出部32を設ける。突出部32以外の封口体30の厚さは2.6mmである。
試料4;タブ端子への樹脂塗布;タブ端子10の貫通部12のみに絶縁層15を形成する。樹脂材料が分散された溶剤液を貫通部12に塗布し、熱処理して絶縁層15を形成する。
封口体;試料1と同様に突出部32を有しない形状であり、封口体30の厚さは2.6mmである。
・評価試験の条件
試料1、試料2、試料3、および試料4のそれぞれ各20個について、温度摂氏60度、湿度95パーセントの条件下で定格電圧2.5Vを印加し、3000時間後の液漏れ発生数を確認する。
・評価試験の結果
・評価試験の結果
図7は、評価試験の結果を示す。試料1、試料2、および試料3は、それぞれ20個の試料中に、液漏れを発生したものはなかった。一方、比較例として評価した、貫通部12のみ絶縁層15を形成した試料4は、20個中6個で液漏れを発生した。従って、貫通部12だけでなく、平坦部13にまで絶縁層15を形成している試料1、試料2、および試料3の樹脂塗布(図2、図3に示す絶縁層15の形成)は、電解液の漏出を抑える効果があることが分かった。
一方、試料2または試料3と、試料1との差は、この評価試験の結果からは検出されなかった。封口体30に突出部32を設けることは、原理的には、貫通部12を封口体30に強く固定し、電解液が含浸されたキャパシタ素子20からの電解液のせり上がりを防止する効果があると考えられる。しかし、この効果に起因する差異は、今回の評価試験では検出されなかった。
1…電気二重層キャパシタ、10…タブ端子、10a…正極タブ端子、10b…負極タブ端子、11…引出し線、12…貫通部、13…平坦部、14…接合部、15…絶縁層、16…除外部、20…キャパシタ素子、21…集電体、22…分極性電極層、23…電極体、30…封口体、31…端子引出し孔、32…突出部、33…開口部、40…金属ケース、41…横絞り部、42…上絞り部
Claims (5)
- 各々が集電体と分極性電極層とからなる一対の電極体を、セパレータを介して巻回し、電解液を含浸させたキャパシタ素子と、前記キャパシタ素子を収納する有底筒状金属ケースと、前記金属ケースの開口部を封口する封口体と、前記一対の電極体のそれぞれと接合され、前記封口体の端子引出し孔を通って、封口体の外側に延伸するタブ端子と、を有する電気二重層キャパシタであって、前記タブ端子は、前記封口体を貫通する貫通部と、前記電極体との接合部を有する平坦部と、を備え、前記貫通部の表面、および前記電極体との接合部を除く前記平坦部の表面に、絶縁層が形成されている電気二重層キャパシタ。
- 前記タブ端子は、前記封口体を貫通する前記貫通部の表面、および、少なくとも、巻回された前記キャパシタ素子の電極体から封口体方向に突き出ている範囲の前記平坦部の表面に、前記絶縁層が形成されている請求項1に記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記封口体は、前記端子引出し孔の貫通方向と同じ方向であって、キャパシタ素子側に突き出た突出部をさらに有し、前記突出部は、前記タブ端子の平坦部を、平坦部の厚さ方向から挟み込む開口部を備える請求項1または請求項2に記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記封口体の突出部は、前記タブ端子が貫通部から平坦部に移行する部分の外形に合わせて、前記タブ端子の貫通部および平坦部を挟み込む形状の開口部を有する請求項3に記載の電気二重層キャパシタ。
- 前記絶縁層は、負極側の前記タブ端子の貫通部および平坦部に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ。
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| JP (1) | JP2019201110A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US20250132102A1 (en) * | 2022-02-07 | 2025-04-24 | KYOCERA AVX Components (Chengdu) Co., Ltd | Supercapacitor |
Citations (4)
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-
2018
- 2018-05-16 JP JP2018094830A patent/JP2019201110A/ja active Pending
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