JP2019201715A - 体内温度測定針及びそれを用いた体内温度測定装置 - Google Patents

体内温度測定針及びそれを用いた体内温度測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】体内に刺し込んで体内の局所的温度を測定する体内温度測定針を、長尺かつ細径のものが測定精度を犠牲にせずに困難なく経済的に製作できる構造とするとともに、その針を用いた体内温度測定装置を提供する。【解決手段】従来の問題を解決するために、金属シース6内に無機絶縁材粉末9を介在させて一対の熱電対線7、8が収容されたMIケーブルの先端に、金属ロウで金属シース6及び一対の熱電対線7、8と接着された金属栓10が設けられ、先端が尖った形状に成形されている体内温度測定針1とした。【選択図】図1

Description

温度を測定するセンサ機能を持ち、人もしくは動物の体内に刺し込んで体内の局所的温度を測定するための針と、それを用いた体内温度測定装置についての発明である。
体内に生じた疾患部のうち、特殊な癌組織などのある種のものは周囲の正常組織と温度が異なっているので、これら疾患部の診断には体内の局所的温度を測定することが有効であり、また、体内の疾患部の加熱治療における加熱温度の監視にも体内の局所的温度の測定は必要なため、従来、特許文献1乃至4に示されるような、体内の局所的温度を熱電対により測定する装置があった。
実願昭48−121366号(実開昭50−67877号)のマイクロフィルム 特開昭57−50633号公報 実願昭62−4937号(実開昭63−114602号)のマイクロフィルム 特開昭58−42939号公報
従来の体内の局所的温度を測定する装置には次のような問題があった。なお、括弧内は特許文献1乃至4の図に使用されている符号で、部品名称も同特許文献で使われている名称である。
特許文献1の第1図乃至第5図に体内の局所的温度を測定する熱電対の針が示されているが、第1図のような一定厚みの先端が尖った細い管針(1)は作るのが難しいため、実現するには多くの手間、費用を要する問題、つまり製作上の経済的な問題が大きく、また第2図乃至第5図に示される針を作ろうとすると、第2及び第3図の熱電対素線(1)と熱電対素線(2)、ならびに第4及び第5図の外管(5)と熱電対金属線(6)の先端を非常に厚く溶接した後、当溶接部の研磨、切断などで先端が尖った形状でかつ所定の外径に成形する必要があり、特に細い熱電対素線の先端を厚く溶接することは実現が難しく、やはり製作上の経済的問題があった。
特許文献2には、体内の局所的温度を測定する針の図が示されている。これは、ステンレスで作られた金属細管(1)内に1本のコンスタンタン線(2)を挿入し、ステンレスとコンスタンタン線の熱起電力と、金属細管(1)の外面に別途設けたコンスタンタン線(3)と第3の金属線(4)の熱起電力との差から金属細管(1)先端部の温度を近似的に算出するもので、金属細管(1)に一対の熱電対素線でなく1本のコンスタンタン線(2)を入れることで金属細管(1)の径を細くすることに重点を置いた結果、測定温度が近似値になること、及び、コンスタンタン線(2)(3)を除いてはJIS等で熱起電力が規定された一般に使用されている熱電対線ではないことから、測定した温度に誤差が大きい問題がある。
また、特許文献3の第2図には、一対のホルマール被覆熱電対線(22a)が先端の尖った挿入針(24)内に挿入された体内の局所的温度を測定する針が示されている。このような構造は、ホルマール被覆熱電対線(22a)と挿入針(24)の内孔との間に、ホルマール被覆熱電対線(22a)を挿入針(24)の内孔に被覆を損傷することなく挿入するための空隙が必要であり、この空隙が挿入針(24)の細径化に限界を与える問題と、それに加えて、挿入針(24)が長くなると、この空隙を大きくしないと摩擦等により細いホルマール被覆熱電対線(22a)の挿入針(24)の内孔への挿入が不可能になるという問題があった。
特許文献4に示される針は、温度測定装置により体外循環血液の温度を測定する針で体内の局所的温度の測定にも適用可能であるが、第2図乃至第4図に示される中空針(10)(11)の内孔に熱電対線などの温度測定素子(5)が挿入された構造は特許文献3の構造と同じで、上記特許文献3のものと同じ問題がある。
以上の如く、従来の体内の局所的温度を測定する装置の体内に刺し込む針部には、製作が難しいことによる経済的問題、細径化のために測定精度が低くなる問題、構造上必要な空隙が細径化に制限を与える問題、細径での長尺化が困難な問題が、各針に1つまたは複数あった。
この従来の問題に対処するため、本発明は、体内に刺し込んで体内の局所的温度を測定する体内温度測定針を、長尺かつ細径のものが測定精度を犠牲にせずに困難なく経済的に製作できる構造とするとともに、その針を用いた体内温度測定装置を提供することを目的にしたものである。
(第1の態様)
(1) 第1の態様は、
内部に無機絶縁材粉末を介在させて一対の熱電対線が収容された金属シースと、
熱電対線が挿入される2つの貫通孔が設けられ、金属シースの先端部の無機絶縁材粉末が除去された箇所に、外側面が金属シースの内側面に略接した状態で、かつ2つの貫通孔の側面に一対の熱電対線の外側面が其々略接した状態で設置された金属栓と、を有し、
金属栓の外側面と金属シースの内側面、及び熱電対線の外側面と金属栓の貫通孔の側面とは、金属ロウで接着されており、
金属シース先端部の上端面、金属栓先端部の上端面、及び熱電対線先端部の上端面は、金属シースの軸方向と鋭角をなす1つの平面、または金属シースの中心軸と同一軸を持ち頂角が鋭角をなす1つの円錐側面を形成している体内温度測定針である。
金属シース内に無機絶縁材粉末を介在させて一対の熱電対線を収容したものは、一般にシース熱電対用のMIケーブルと呼ばれている(MIは、Mineral Insulationが略されたもの)。先端部が上述の構造を持つ体内温度測定針とすることにより、その製作は、シース熱電対用のMIケーブルの一端の無機絶縁材粉末を除去した跡に金属栓を装着し、金属栓と金属シース、及び熱電対線と金属栓の金属ロウによる接着を行った後、先端部を平面または円錐側面状に削る手順で特別の困難無く可能で、従来のような製作上の経済的問題がない。加えて、先端が鋭角に尖っているので、体内への刺し込みをスムーズに行うことができる。
本態様の体内温度測定針の長さと外径については、原材料として使用するシース熱電対用のMIケーブルの長さと外径に依存するが、シース熱電対用のMIケーブルは1m以上の長尺に製作可能であり、また外径が0.2mm程度の細さのものまで容易に製作可能であるので、本態様の体内温度測定針の長さには実質的な制限がなく、また実用上十分な細さのものが製作可能である。
さらに、本態様の体内温度測定針では、体内温度が熱電対線により測定されるので測定誤差が少なく、また一対の熱電対線は先端の金属栓で繋がっているので、当金属栓が測温接点となっていて、金属栓の位置する体内の箇所の局所的温度を測定することができる。
(2) 本態様の一対の熱電対線のプラス側熱電対線とマイナス側熱電対線の材質が其々、クロメルとアルメル、クロメルとコンスタンタン、ナイクロシルとナイシル、銅とコンスタンタン、または鉄とコンスタンタンすることが望ましい。
これらの材質は熱電対線の材質として広く用いられている材質であり、その熱起電力と温度との関係がJIS等の基準で詳細に定められている材質であるので、これらの材質を採用することにより温度測定精度が高いものとなる。
(3) 本態様において、金属シースは、材質がSUS304またはSUS316Lであって、外径が0.5mm乃至1mmで、かつ肉厚が0.11mm乃至0.16mmとすることが好適である。
注射針の多くは材質がSUS304またはSUS316Lであり、本態様の体内温度測定針の金属シースの材質も、体内に刺し込む針の材質として実績のあるSUS304またはSUS316Lとすることが望ましい。また、これらの材質の管は比較的安価かつ入手が容易であることから、原材料のシース熱電対用MIケーブルの製造上も採用が望ましい。
長尺の注射針として、材質がSUS304またはSUS316Lで長さ50mm乃至90mmの体内深部への麻酔液注入用の注射針があり、その多くは外径が0.5mm乃至1mmで、かつ肉厚が0.11mm乃至0.16mmである。金属シースの外径が本態様の体内温度測定針の外径になるが、当金属シースも長尺の注射針の実績に従い、外径を0.5mm乃至1mm、肉厚を0.11mm乃至0.16mmとすることが望ましい。なお、注射針と異なり金属シース内は空でなく、無機絶縁材粉末と熱電対線が内包されているため、注射針と金属シースの材質、長さ、外径、及び肉厚が同じであっても、剛性は注射針より体内温度測定針が高く、後者の方が体内への刺し込みが容易である。つまり、少なくとも90mmの体内への刺し込みが本態様の体内温度測定針はできる。
(4) 本態様の体内温度測定針において、金属シースの上端面、金属栓の上端面、及び一対の熱電対線の上端面が形成している平面の金属シースの軸方向となす角度は、13度乃至15度であることが望ましい。
先に挙げた実績ある麻酔液注入用の長尺注射針の先端面の注射針の軸方向に対する角度は約14度であり、これと同等の角度とすることによって、実績のある注射針と同等の体内への刺し込み易さが得られる。
(5) また、本態様の体内温度測定針において、金属シースの上端面、金属栓の上端面、及び一対の熱電対線の上端面が形成している円錐側面の頂角は、13度乃至15度であることが望ましい。
このように、上述の先端が平面の場合と同じ先端角度とすることにより、先端が平面の場合と同様、実績のある注射針と同等の体内への刺し込み易さが得られる。
(第2の態様)
(6)第2の態様は、
内部に無機絶縁材粉末を介在させて1本の金属線が収容された金属シースと、
金属線が挿入される1つの貫通孔が設けられ、金属シースの先端部の無機絶縁材粉末が除去された箇所に、外側面が金属シースの内側面に略接した状態で、かつ貫通孔の側面に金属線の外側面が略接した状態で設置された金属栓と、を有し、
金属シースと金属線の材質は其々、一対の熱電対線の一方の材質として用いられている金属と、他方の材質として用いられている金属であり、
金属栓の外側面と金属シースの内側面、及び金属線の外側面と金属栓の貫通孔の側面は、金属ロウで接着されており、
金属シース先端部の上端面、金属栓先端部の上端面、及び金属線先端部の上端面は、金属シースの軸方向と鋭角をなす1つの平面、または金属シースの中心軸と同一軸を持ち頂角が鋭角をなす1つの円錐側面を形成している体内温度測定針である。
金属シース内に無機絶縁材粉末を介在させて1本の金属線を中心軸位置に収容したものは、同軸MIケーブルと呼ばれている。先端部が上述の構造を持つ体内温度測定針とすることにより、その製作は、同軸MIケーブルの一端の無機絶縁材粉末を除去した跡に金属栓を装着し、金属栓と金属シース、及び熱電対線と金属栓の金属ロウによる接着を行った後、先端部を平面または円錐側面状に削る手順で特別の困難無く可能で、従来のような製作上の経済的問題がないことは第1の態様と同じで、先端が鋭角に尖っているので、体内への刺し込みをスムーズに行うことができるのも同じである。
本態様の体内温度測定針の長さと外径については、原材料として使用する同軸MIケーブルの長さと外径に依存するが、同軸MIケーブルはシース熱電対用のMIケーブルと同様、1m以上の長尺に製作可能であり、また外径が0.2mm程度の細さのものまで一般に製作可能であるので、第1の態様と同じく本態様の体内温度測定針も、長さには実質的な制限がなく、また実用上十分な細さのものが製作可能である。
さらに、本態様の体内温度測定針では、熱電対線の材質で作られている金属シースと金属線が先端の金属栓で繋がっているので、金属栓を測温接点とする熱電対回路を金属シースと金属線が形成している。そのため、当金属栓の位置する体内の箇所の局所的温度を、第1の態様における熱電対線による測定と同様に、少ない測定誤差で測定することができる。
(7) 本態様において金属シースと金属線の材質が其々、銅とコンスタンタン、または鉄とコンスタンタンであることが望ましい。
これらの材質は熱電対線の材質として広く用いられている材質であり、その熱起電力と温度との関係がJIS等の基準で詳細に定められている材質であるので、これらの材質を、熱電対回路を構成している金属シースと金属線の材質として採用することにより、第1の態様と同様、温度測定精度が高いものとなる。また、金属シースに採用する材質については、原材料の同軸ケーブルの製作において管状の材料を使用する必要があり、流通する線状の熱電対線は適用できないので、管状で広く安価で流通する銅もしくは鉄を採用することが経済的にも好適である。
(8) 金属シースと金属線の材質が其々、銅とコンスタンタンであって、金属シースは、外径が0.7mm乃至1mmで、かつ肉厚が0.14mm乃至0.2mmであることが望ましい。
金属シースの材質として上述した銅と鉄を比べると、銅は加工し易く、原材料である同軸MIケーブルの製作が容易であるので、金属シースの材質を銅とし、金属線の材質をコンスタンタンとすることが最も好適である。
針に一定の外力が加わった際のたわみ量は、針の長さが同じ場合、公知のように、材質で決まる弾性係数と外径と肉厚で決まる断面二次モーメントとの積に反比例する。銅の弾性係数はSUS304、SUS316Lの弾性係数より小さいが、本実施態様において銅を材質とする金属シースの外径を0.7mm乃至1mm、肉厚を0.14mm乃至0.2mmとすると、その断面二次モーメントは、第1の態様において材質をSUS304、SUS316Lとし、外径を0.5mm乃至1mm、肉厚を0.11mm乃至0.16mmとした金属シースの断面二次モーメントより大きくなって、両者の弾性係数と断面二次モーメントの積は略等しくなり同等のたわみに量になる。したがって、この外径及び肉厚とすることで、金属シースの材質を銅にすることによる体内への刺し込みの際のたわみの問題を避けることができる。
(体内温度測定針の先端角度)
(9) 本態様の体内温度測定針において、金属シースの上端面、金属栓の上端面、及び金属線の上端面が形成している平面の金属シースの軸方向となす角度は、13度乃至15度であることが望ましい。
このようにすることにより、先に挙げた実績ある麻酔液注入用の長尺注射針の先端面の注射針と同等の体内への刺し込み易さが得られる。
(10) 本態様の体内温度測定針において、金属シースの上端面、金属栓の上端面、及び金属線の上端面が形成している円錐側面の頂角は、13度乃至15度であることが望ましい。
このように、上述の先端が平面の場合と同じ先端角度とすることにより、先端が平面の場合と同様、実績のある注射針と同等の体内への刺し込み易さが得られる。
(第3の態様)
(11) 第3の態様は、
一対の熱電対線の末端が貫通した状態で樹脂により末端がシールされた第1の様態の体内温度測定針と、
先端が熱電対線の末端に繋がれた熱電対補償導線と、
体内温度測定針が軸方向に摺動自在に移動できる内径の短管の両端に鍔が設けられた両端鍔付き短管と、
体内温度測定針が挿通される短管の片側に鍔が設けられ、短管に体内温度測定針が挿通された状態で、体内温度測定針の後端部で固定された片端鍔付き短管と、
熱電対補償導線の末端に繋がれ、熱電対線の熱起電力を温度に換算して表示する温度指示計と、を有し、
体内温度の測定の際の体内温度測定針の体内への刺し込みは、両端鍔付き短管の一方の鍔を体表面に当て、両端鍔付き短管の反体側から体内温度測定針を先端が体表面に達するまで挿入した後、両端鍔付き短管の反体側の鍔の体側の面と片端鍔付き短管の鍔の反体側の面を施術者の指により支持し、両端鍔付き短管の反体側の鍔と片端鍔付き短管の鍔との間隔を狭めることにより、狭まった長さ分の体内温度測定針が体内に挿入され、
体内温度測定針を体内から引き抜く際は、片端鍔付き短管の鍔を施術者の指により反体側に引っ張ることにより体内温度測定針が引き抜かれる、
体内温度測定針を用いた体内温度測定装置である。
以上の如く、この体内温度測定装置では、簡単な構成で、特別な機構を必要とせず、施術者の指の力で体内温度測定針の体内への刺し込みと体内温度の測定が可能である。
また、本態様において、体内温度測定針の末端は樹脂によってシールされているので、雰囲気中の湿分が内部に侵入して無機絶縁材粉末の絶縁抵抗が低下することに起因する温度測定誤差の発生がない。
温度指示計は、熱電対線で生じた熱起電力を温度に変換して表示する計器で、市販のものを使用することができる。前述のように、体内温度測定針の熱電対線にJIS等の基準で熱起電力と温度の関係が詳細に規定されている熱電対線を用いることは、この規定された関係により温度指示計における熱起電力から温度への換算を高精度で行うことができる利点がある。なお、熱電対補償導線は公知のように、熱電対線の熱起電力を雰囲気温度の外乱を受けずに温度指示計に伝える導線である。
(第4の態様)
(12) 第4の態様は、
金属線の末端が貫通した状態で樹脂により末端がシールされた第2の態様の体内温度測定針と、
先端が金属線の末端と体内温度測定針の金属シースに繋がれた熱電対補償導線と、
体内温度測定針が軸方向に摺動自在に移動できる内径の短管の両端に鍔が設けられた両端鍔付き短管と、
体内温度測定針が挿通される短管の片側に鍔が設けられ、短管に体内温度測定針が挿通された状態で、体内温度測定針の後端部で固定された片端鍔付き短管と、
熱電対補償導線の末端に繋がれ、金属線と金属シースとの間に生じた熱起電力を温度に換算して表示する温度指示計と、を有し、
体内温度の測定の際の体内温度測定針の体内への刺し込みは、両端鍔付き短管の一方の鍔を体表面に当て、両端鍔付き短管の反体側から体内温度測定針を先端が体表面に達するまで挿入した後、両端鍔付き短管の反体側の鍔の体側の面と片端鍔付き短管の鍔の反体側の面を施術者の指により支持し、両端鍔付き短管の反体側の鍔と片端鍔付き短管の鍔との間隔を狭めることにより、狭まった長さ分の体内温度測定針が体内に挿入され、
体内温度測定針を体内から引き抜く際は、片端鍔付き短管の鍔を施術者の指により反体側に引っ張ることにより体内温度測定針が引き抜かれる、
体内温度測定針を用いた体内温度測定装置である。
以上の如く、この体内温度測定装置も、簡単な構成で、特別な機構を必要とせず、施術者の指の力で体内温度測定針の体内への刺し込みと体内温度の測定が可能である。
また、本態様においても、第3の態様と同じく、樹脂のシールが端末にあるため、外部からの湿気侵入で無機絶縁材粉末の絶縁抵抗が低下することに起因する温度測定誤差の発生がない。
第2の態様の体内温度計では金属シースと金属線が熱電対回路を形成しており、その熱起電力が熱電対補償導線を経由して温度指示計に伝えられる。温度指示計は熱起電力を温度に変換して表示する計器で、やはり市販のものを使用することができる。
熱電対回路を形成している金属シースと金属線の材質を、JIS等の基準で熱起電力と温度の関係が詳細に規定されている熱電対線の材質とすることは、この規定された関係により温度指示計における熱起電力から温度への換算を高精度で行うことができる利点がある。なお、熱電対補償導線は第3の態様で説明したとおり、熱電対線の熱起電力を雰囲気温度の外乱を受けずに温度指示計に伝える導線で、本態様では金属シースと金属線との間に生じた熱起電力が伝送対象である。
従来の体内温度測定針には、製作が難しいことによる経済的問題、細径化すると測定精度が低くなる問題、長尺化、細径化が困難な問題などがあったが、本発明による体内温度測定針は、これらの問題を排除でき、また、この体内温度測定針を用いた本発明による体内温度測定装置は、構造が簡単でかつ施術者の指の力で体内に刺し込むことが可能である長所を持っている。
本発明の第1実施形態の体内温度測定針を示す断面図 本発明の第2実施形態の体内温度測定針を示す断面図 本発明の第3実施形態の体内温度測定針を示す断面図 本発明の第4実施形態の体内温度測定針を示す断面図 体内温度測定針(第1及び第2実施形態)の製作手順例を示す断面図 体内温度測定針(第1実施形態)の製作手順例での原形状の金属栓を示す図 体内温度測定針(第1実施形態)の他の製作手順例を示す断面図 体内温度測定針(第1実施形態)の他の製作手順例における金属栓を示す図 本発明の第5実施形態の体内温度測定装置を示す図 体内温度測定装置(第5実施形態)の使用方法を説明する断面図 接地型シース熱電対の製作手順を示す断面図 非接地型シース熱電対の製作手順を示す断面図
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態である体内温度測定針1について、図1、図5、図6、及び図7に沿って説明する。
構造に関し、図1は本発明の第1実施形態の体内温度測定針1を示す断面図で、図1(a)は軸方向の断面図、図1(b)は図1(a)の径方向のA−A断面図である。第1実施形態の体内温度測定針1の先端部は、金属シース6、無機絶縁材粉末9、プラス側熱電対線7、マイナス側熱電対線8、及び金属栓10よりなり、金属シース6内に無機絶縁材粉末9を介在させて一対の熱電対線7、8が収容されている。ここで、「一対の熱電対素線」は「プラス側熱電対線」と「マイナス側熱電対線」を総称したものである。
金属栓10には2つの貫通孔が設けられていて、この金属栓10は、金属シース6の先端部の無機絶縁材粉末9が除去された箇所に、金属栓10の外側面が金属シース6の内側面に略接した状態で、かつ金属栓10の2つの貫通孔の側面に一対の熱電対線7、8の外側面が其々略接して状態で設けられており、これらの接面は金属ロウで接着されている。図1(a)において、この金属ロウによる接着部を太線で示している。
また、金属シース6の上端面、金属栓10の上端面、及び一対の熱電対線7、8の上端面は、金属シース6の軸方向と鋭角をなす1つの平面を形成しており、鋭角に尖った先端は体内へのスムーズな刺し込みを可能にしている。
さらに、体内温度測定針1の末端には、一対の熱電対線7、8の末端が貫通した状態で樹脂シール11が設けられていて、この樹脂シール11は、雰囲気中の湿分が金属シース6の内部に侵入して無機絶縁材粉末9の絶縁抵抗が低下することに起因する温度測定誤差の発生を防止している。
製作に関し、金属シース内に無機絶縁材粉末を介在させて一対の熱電対線を収容したMIケーブルの製作技術は確立されていて、各種の材質、断面形状、寸法のものが製作、販売されており、これを、体内温度測定針1の製作の原材料の1つとすることができる。
図5(a)(b)(c)(d)は体内温度測定針1の製作手順例を示す断面図で、図を煩雑にしないために部材の符号は最初にその部材が現れる箇所にのみ付している。図5(a)は所定の長さに切断したMIケーブル、つまり、金属シース6の内に無機絶縁材粉末9を介在して一対の熱電対線7、8が収容されたもので、先ず先端部は、図5(b)のように無機絶縁材粉末9を除去して、その跡に図5(c)のように原形状の金属栓100を装着し、金属栓100の外側面と金属シース6の内側面、及び一対の熱電対線7、8の外側面と金属栓100の貫通孔の側面とを其々金属ロウで接着する。図5(c)の太線が金属ロウによる接着部を示している。ここで原形状の金属栓100は図6に示すように2つの貫通孔のある金属円柱である。続いて図5(d)のように先端を金属シース6の軸方向と鋭角をなす平面に削る。この削りによって原形状の金属栓100は最終形の金属栓10となる。また、末端部には図5(c)ように末端部の無機絶縁材粉末9を除去した跡に、図5(d)のように樹脂シール11を設けることで、体内温度測定針1が完成する。なお、図6(a)は原形状の金属栓100の上面図、図6(b)は図6(a)のE−E断面図である。
このように、体内温度測定針1は特別の困難なく製作することが可能で、製作上の経済的な問題がない。比較のために従来からある公知のシース熱電対の製作手順を図11と図12に示す。これらの図も図を煩雑にしないために部材の符号は最初にその部材が現れる箇所にのみ付している。図11は接地型シース熱電対の製作手順を示す断面図で、図11(a)のように、金属シース60の内に無機絶縁材粉末90を介在して一対の熱電対線70、80を収容したMIケーブルを所定の長さに切り、図11(b)のように先端部及び末端部の無機絶縁材粉末90を除去した後、先端部に封止溶接がなされ、溶接の余盛を削って図11(c)に示す先端溶接封止部25が作られる。また、末端部には樹脂シール110を設けて接地型シース熱電対が完成する。先端溶接封止部25が測温接点である。
図12は非接地型シース熱電対の製作手順を示す断面図で、図12(a)は図11(a)と同じであり、続いて図12(b)のように先端部の無機絶縁材粉末90を除去した後、一対の熱電対線70、80の先端を接合して測温接点24を作り、次に、図12(c)のように先端部に無機絶縁材粉末90を再充填するとともに、末端部の無機絶縁材粉末9を除去した後、接地型シース熱電対と同様、先端部に封止溶接がなされ、溶接の余盛を削って図12(d)に示す先端溶接封止部25が作られる。また、末端部には樹脂シール110を設けて非接地型シース熱電対が完成する。
以上の如く、従来から困難なく作られているシース熱電対の製作と比較しても、体内温度測定針1の製作に特別の困難がないことが解かる。
接地型、非接地型シース熱電対の樹脂シール110から外部に出ている一対の熱電対線70、80の末端には熱電対補償導線が繋がれるが、この繋ぎ部の保護のために繋ぎ部に樹脂モールドや、充填した樹脂を介在して繋ぎ部を収容した金属スリーブなどが設けられることが多い。体内温度測定針1の一対の熱電対線7、8の末端にも後掲する図9に示されるように熱電対補償導線16が繋がれることになるが、接地型、非接地型シース熱電対と同様の繋ぎ部の保護機構を設けてもよい。
図7は、体内温度測定針1の他の製作手順を示す断面図で、図7(a)は図5(a)と同じ所定長に切られたMIケーブルであり、続いて図7(b)のように先端を金属シース6の軸方向と鋭角をなす平面になるよう切断して切断後の先端部の無機絶縁材粉末9を除去し、その跡に図7(c)のように金属栓10を装着し、金属栓10の外側面と金属シース6の内側面、及び一対の熱電対線7、8の外側面と金属栓10の貫通孔の側面とをそれぞれ金属ロウで接着する。図7(c)の太線が金属ロウによる接着部を示している。装着する金属栓10の形状は図8に示すように、両端面が軸方向に対して鋭角の円柱で、2つの貫通孔のある形状である。このような手順でも体内温度測定針1は製作でき、製作上に特別の困難がないのは図5に示した手順と同様である。なお、図8(a)は金属栓10の上面図、図8(b)は図8(a)のF−F断面図である。また、図5に示した製作手順において、完成時の金属栓10は図8の形状となっている。
非接地型シース熱電対は図12(d)に示すように測温接点24が内部にあって測定対象の温度変化が測温接点24に達するのに多少の時間を要するのに対し、接地型シース熱電対は 図11(c)に示すように先端溶接封止部25が測温接点となっているため、測定対象の温度変化に対する応答が非接地型シース熱電対に比べて速い。体内温度測定装置1の測温接点は、プラス側熱電対線7とマイナス側熱電対線8が接続された金属栓10であるので、接地型熱電対と同様に、測定対象の温度変化に対する応答が速い特長を持っている。また、体内に刺し込んだ際に測定される温度は、体内の金属栓10の位置する箇所の局所的温度である。
材質に関し、金属シース6の材質は。注射針の材質として広く用いられて実績豊富なSUS304またはSUS316Lとすることが望ましく、これらの材料は比較的安価かつ入手が容易であることから、図5(a)及び図7(a)に示したMIケーブルの製造上も望ましい。また、体内温度測定針1は一対の熱電対線7、8で温度を測定するが、プラス側熱電対線7とマイナス側熱電対線8の其々の材質としては、一般に熱電対線として広く使用されていて熱起電力と温度との関係がJIS等の基準で詳細に定められている、クロメルとアルメル、クロメルとコンスタンタン、ナイクロシルとナイシル、銅とコンスタンタン、または鉄とコンスタンタンとすることが望ましい。これらを採用することによって一対の熱電対線7、8による精度良い温度測定が確かなものになる。
金属栓10は測温接点となっているが、小さな部品であるので内部に温度分布は生じないことから、公知の熱電対の熱起電力発生の原理から、図11に示した接地式シース熱電対の先端溶接封止部25の材質と同様に、その材質が温度測定誤差の原因にはならない。そのため、金属栓10の材質には特に制限がない。
無機絶縁材粉末9の材質としては、シース熱電対の無機絶縁材粉末の材質として一般に使用されているマグネシアまたはアルミナが実績面から好適である。また、金属栓10の外側面と金属シース6の内側面、及び一対の熱電対線7、8の外側面と金属栓10の貫通孔の側面を接着する金属ロウは、銀ロウ、ニッケルロウのいずれでもよい。なお、金属栓10、無機絶縁材粉末9、及び金属ロウの材質については、他の実施形態でも同様である。
次に、寸法に関し、図5(a)及び図7(a)に示した原材料となるMIケーブルは、長さ1m以上のものが容易に製作可能であるので、体内温度測定針1の長さに実質的な製作上の制限はない。体内温度測定針1の径について、図11(c)、図12(d)に示した接地型シース熱電対、非接地型シース熱電対は、細いものでは外径0.2mmのものが広く出回っており、その原材料である外径0.2mmの図11(a)、図12(a)のMIケーブルは問題なく製作できることから、図5(a)、図7(a)に示した体内温度測定針1の原材料のMIケーブルも外径0.2mm程度の細さ迄は製作に問題はない。
しかし、体内温度測定針1の金属シース6の径、肉厚の選定では、たわみが体内への刺し込みの障害にならないように選定する必要がある。長尺の注射針として、材質がSUS304またはSUS316Lで長さ50mm乃至90mmの麻酔液注入用の注射針があり、その多くは外径が0.5mm乃至1mmでかつ肉厚が0.11mm乃至0.16mmである。体内温度測定針1のSUS304またはSUS316Lを材質とする金属シース6の外径、肉厚も、この長尺の注射針の実績に従い、外径を0.5mm乃至1mm、肉厚を0.11mm乃至0.16mmとすることが望ましい。なお、注射針と異なり金属シース6の内部は空でなく、無機絶縁材粉末9と一対の熱電対線7、8が内包されているため、剛性は注射針より体内温度測定針1が高く、後者の方が体内への刺し込みは容易である。つまり、少なくとも90mmの体内への刺し込みが体内温度測定針1は可能である。
体内温度測定針1の先端の平面の金属シース6の軸方向となす角度について、上記の長尺注射針の先端面の注射針の軸方向に対する角度は約14度であり、これと同等の13度乃至15度とすることによって、実績のある注射針と同等の体内への刺し込み易さが得られる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態である体内温度測定針2について、図2、図5、及び図6に沿って説明する。
構造に関し、図2は本発明の第2実施形態の体内温度測定針2を示す断面図で、図2(a)は軸方向の断面図、図2(b)は図2(a)の径方向のB−B断面図である。第1実施形態の体内温度測定針1との違いは、金属シース6の上端面、金属栓10の上端面、及び一対の熱電対線7、8の上端面が金属シース6の中心軸と同一軸を持ち頂角が鋭角をなす1つの円錐側面を形成している点だけである。
製作に関し、図5(a)(b)(c)(e)は体内温度測定針2の製作手順例を示す断面図で、最後の図5(e)において先端を金属シース6の中心軸と同一軸を持ち頂角が鋭角をなす円錐側面に削るところのみが、第1実施形態の体内温度測定針1の製作と異なる。図5(e)で装着する原形状の金属栓100の形も、第1実施形態の体内温度測定針1の場合と同じ図6に示す形である。
以上のように、体内温度測定針2は先端部が体内温度測定針1と異なるが、鋭角に尖った先端が体内へのスムーズな刺し込みを可能にしていること、無機絶縁材粉末9への外気侵入による絶縁低下が防止されていること、製作上の特別の困難はないこと、金属栓10が測温接点となっていて温度応答が速いこと、一対の熱電対線7、8の材質を一般に広く使用されていてJIS等の基準で熱起電力と温度の関係が詳細に定められている熱電対線の材質とすることにより高精度の温度測定が確かなものになること、金属シース6の材質はSUS304またはSUS316Lが望ましく、その際の金属シース6は外径が0.5mm乃至1mm、肉厚が0.11mm乃至0.16mmが好適であることなどの特徴は、第1実施形態の体内温度測定針1と変わりない。
また、体内温度測定針2の先端に形成されている円錐側面の頂角を13度乃至15度とすることによって、実績のある注射針と同等の体内への刺し込み易さが得られることも、第1実施形態の体内温度測定針1と同様である。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態である体内温度測定針3について、図3に沿って説明する。
構造に関し、図3は本発明の第3実施形態の体内温度測定針3を示す断面図で、図3(a)は軸方向の断面図、図3(b)は図3(a)の径方向のC−C断面図である。第3実施形態の体内温度測定針3は、金属シース61、無機絶縁材粉末9、金属線12、及び金属栓10によりなり、金属シース61の内に無機絶縁材粉末9を介在させて金属線12が1本収容されており、金属シース61と金属線12は其々、一対の熱電対線の一方の材質として用いられている金属と、他方の材質として用いられている金属を材質としている。
金属栓10には1つの貫通孔が設けられていて、この金属栓10は、金属シース61の先端部の無機絶縁材粉末9が除去された箇所に、金属栓10の外側面が金属シース61の内側面に略接した状態で、かつ金属栓10の貫通孔の側面に金属線12の外側面が略接した状態で、設けられており、これら接面は金属ロウで接着されている。図3(a)において、この金属ロウによる接着部を太線で示している。
金属シース61の上端面、金属栓10の上端面、及び金属線12の上端面は、金属シース61の軸方向と鋭角をなす1つの平面を形成しており、鋭角に尖った先端は体内へのスムーズな刺し込みを可能にしている。
さらに、体内温度測定針3の末端には、金属線12が貫通した状態で樹脂シール11が設けられていて、この樹脂シール11により、雰囲気中の湿分が金属シース61の内部に侵入して無機絶縁材粉末9の絶縁抵抗が低下することに起因する温度測定誤差の発生を防止しているのは、第1実施形態の体内温度測定針1と同じである。
製作に関し、体内温度測定針3の使用材質を除いた体内温度測定針1との構造的な違いは、後者が金属シース6内に一対の熱電対線7、8があるのに対し、体内温度測定針3では1本の金属線12が金属シース61内にある点である。したがって、製作に関しては、図5の体内温度測定針1の手順のうち図5(a)のMIケーブルを1芯の同軸MIケーブルとし、図6の原形状の金属栓100の貫通孔を1つにすることにより、第1実施形態の体内温度測定針1と同様に困難なく製作することができる。図7に示した製作手順を採るにしても同様である。なお、同軸MIケーブルは前記の一対の熱電対線7、8を内包した前述のMIケーブルと同じく、製作上の長さに実質的な制限はなく、径も十分に細いものが製作可能である。
体内温度測定針3では、熱電対線の材質で作られている金属シース61と金属線12が先端の金属栓10で繋がっているので、金属栓10を測温接点とする熱電対回路を金属シース61と金属線12が形成している。そのため、体内温度測定針1と同様、当金属栓10の位置する体内の箇所の局所的温度を、少ない測定誤差でかつ速い応答速度で測定可能である。
材質に関し、金属シース61と金属線12の材質は其々、熱電対線の材質として広く用いられていて熱起電力と温度との関係がJIS等の基準で詳細に定められている、銅とコンスタンタン、または鉄とコンスタンタンとすることが望ましい。これらの採用によって高精度の温度測定が確かなものになるし、金属シース61に採用する材質は、原材料の同軸ケーブルの製作において管状の材料を使用する必要があり、流通する線状の熱電対線は適用できないので、管状で広く安価で流通する銅もしくは鉄を採用することが経済的にも好適である。
金属シース61の材質として銅と鉄を比べると、銅は加工し易く、原材料である同軸MIケーブルの製作が容易であるので、金属シース61の材質を銅とし、金属線の材質をコンスタンタンとすることが最も好適である。
次に寸法に関し、針に一定の外力が加わった際のたわみ量は、針の長さが同じ場合、材質で決まる弾性係数と外径と肉厚で決まる断面二次モーメントとの積に反比例する。銅の弾性係数はSUS304、SUS316Lの弾性係数より小さいが、体内温度測定針3の銅を材質とする金属シース61の外径を0.7mm乃至1mm、肉厚を0.14mm乃至0.2mmとすると、その断面二次モーメントは、第1実施形態の体内温度測定針1において材質をSUS304、SUS316Lとし、外径を0.5mm乃至1mm、肉厚を0.11mm乃至0.16mmとした金属シース6の断面二次モーメントより大きくなって、両者の弾性係数と断面二次モーメントの積は略等しくなり同等のたわみに量になる。したがって、体内温度測定針3の銅を材質とする金属シース61の外径を0.7mm乃至1mm、肉厚を0.14mm乃至0.2mmとすることで、金属シース61の材質を銅にすることによる体内への刺し込みの際のたわみの問題を避けることができる。また、注射針と異なり金属シース61内は空でなく、無機絶縁材粉末9と金属線12が内包されているため、弾性係数と断面二次モーメントの積が注射針と同じであっても、剛性は注射針より高いのは第1実施形態の体内温度測定針1等と同様である。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態である体内温度測定針4について、図4に沿って説明する。
構造に関し、図4は本発明の第4実施形態の体内温度測定針4を示す断面図で、図4(a)は軸方向の断面図、図4(b)は図4(a)の径方向のD−D断面図である。第3実施形態の体内温度測定針3との違いは、金属シース61の上端面、金属栓10の上端面、及び金属線12の上端面が金属シース61の中心軸と同一軸を持ち頂角が鋭角をなす1つの円錐側面を形成している点だけである。
製作に関しても、第3実施形態の体内温度測定針3が最終段階において、先端を金属シース61の軸方向に鋭角な平面に削るのに対し、体内温度測定針4は金属シース61の中心軸と同じ軸を持ち頂角が鋭角をなす1つの円錐側面に削る違いだけであるので、第3実施形態の体内温度測定針3と同様に困難なく製作可能である。
その他、鋭角に尖った先端が体内へのスムーズな刺し込みを可能にしていること、無機絶縁材粉末9への外気侵入による絶縁低下が防止されていること、金属栓10が測温接点となっていて温度応答が速いこと、金属シース61と金属線12の材質を一般に広く使用されていてJIS等の基準で熱起電力と温度の関係が詳細に定められている熱電対線の材質とすることにより高精度の温度測定が確かなものになること、金属シース61の材質を銅とし金属線12の材質をコンスタンタンとすることが望ましく、その際の金属シース61は外径が0.7mm乃至1mm、肉厚が0.14mm乃至0.2mmであることが好適であることなどの特徴は、第3実施形態の体内温度測定針3と変わりない。
また、体内温度測定針4の先端に形成されている円錐側面の頂角を13度乃至15度とすることによって、実績のある注射針と同等の体内への刺し込み易さが得られることも、第3実施形態の体内温度測定針3と同様である。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態である体内温度測定装置5について、図9、図10に沿って説明する。
図9は本発明の第5実施形態の体内温度測定装置5の構成を示す図で、体内温度測定装置5は、両端鍔付き短管13、片端鍔付き短管14、熱電対補償導線16、温度指示計15、及び第3実施形態の体内温度測定針3が機能上不可欠な構成要素である。第3実施形態の体内温度測定針3に替えて、第1実施形態の体内温度測定針1、第2実施形態の体内温度測定針2、もしくは第4実施形態の体内温度測定針4を用いてもよい。
熱電対補償導線16は公知のとおり、プラス側熱電対線の補償導線とマイナス側熱電対線の補償導線が1組になったもので、これらの先端は図9のように、コネクタ21、導体線23を介して、金属線12の末端と体内温度測定針3の金属シース61に繋がれており、末端は温度指示計15の図示していない入力端子に繋がれている。体内温度測定針3では金属線12と金属シース61が熱電対回路を形成しているのが、その熱起電力が温度指示計15において温度に変換されて表示される。このような温度指示計15は市販されているので、第1実施形態乃至第4実施形態の体内温度測定針1乃至4のいずれを使用する場合でも市販のそれを使用できる。
ここで、導体線23の材質は、金属シース61または金属シース61に繋がれる補償導線と同じ材質にしておけば導体線23の存在に起因する温度測定誤差の発生はないが、他の材質を採用しても、導体線23を短尺にして両端に温度差が生じないようにしておけば、熱電対の熱起電力発生の原理から、導体線23の存在が温度測定誤差の要因にはならない。
第3実施形態の体内温度測定針3に換えて第4実施形態の体内温度測定針4を使用する場合も熱電対補償導線16との繋ぎは同じであるが、第1実施形態の体内温度測定針1または第2実施形態の体内温度測定針2を使用する場合は、熱電対補償導線16のプラス側熱電対線の補償導線とマイナス側熱電対線の補償導線は其々、コネクタ21を介して、体内温度測定針1、2のプラス側熱電対線7の末端とマイナス側熱電対線8の末端に繋がれ、温度指示計15においてその熱起電力が温度に変換されて表示される。
また、第1実施形態乃至第4実施形態の体内温度測定針1乃至4のいずれを用いる場合も、測温接点は先端にある金属栓10であるので温度指示計15で表示される温度は体内温度測定針1乃至4の先端部の局所的な温度である。
両端鍔付き短管13は、体内温度測定針3が軸方向に摺動自在に移動できる内径の短管の両端に鍔が設けられたものであり、片端鍔付き短管14は、短管の片側に鍔が設けられている。片端鍔付き短管14は、体内温度測定針3が挿通された状態で、体内温度測定針3の後端部に接着材で固定されている。
次に、図10は体内温度測定装置5の使用方法を説明する断面図で、この図に沿って使用方法を説明する。図10(a)は、体内温度測定装置5の体内温度測定針1の周辺を示しており、上述のように両端鍔付き短管13は、短管130と体22の側の鍔131と反体側の鍔132よりなり、片端鍔付き短管14は、短管140と鍔141よりなる。体内温度測定針1は第2実施形態乃至第4実施形態の体内温度測定針2乃至4であってもよい。また、図10(b)は使用方法を対比的に説明するためのシリンジ型注射器で、注射針17、シリンジバレル18とそれに付属するシリンジバレルの鍔181、及びプランジャー19とそれに付属するプランジャーの鍔191よりなる。
図10(b)のシリンジ型注射器による注射液20の体22内への注入では、先ず注射針17の先端を図示のように体22の中に刺し込んだ後、施術者の人差し指と中指をシリンダバレルの鍔181の体22側に添え、親指をプランジャーの鍔191の反体側の面に添え、これらの指でシリンダバレル18が動かないようにしつつ親指でプランジャーの鍔191を体22側に押してシリンダバレル18内の注射液20を体内に注入する。
図10(a)の体内温度測定針1の体22内への刺し込みもこれとほぼ同様に行うことができる。また、以下の使用方法は、第1実施形態乃至第4実施形態の体内温度測定針1乃至4のいずれを使用しても同じである。
両端鍔付き短管13の鍔131を体22の表面に当て、鍔132側から体内温度測定針1を先端が体22表面に達するまで挿入して図10(a)の状態とした後、施術者の人差し指と中指を鍔132の体22側に添え、親指を片端鍔付き短管14の鍔141の反体側の面に添え、これらの指で両端鍔付き短管13が動かないようにしつつ親指で鍔141を体22側に押して体内温度測定針1を体22内に刺し込む。鍔141を押して鍔132との間隔が狭まった分の長さの体内温度測定針1が体22内に挿入される。
体内温度測定針1の表面に長さ目盛りを付けておけば体22内へ挿入された長さが解かり易い。また、鍔131、132、141は図9では円盤状にしているが、必ずしも円盤状である必要はなく楕円板状等の他の形状であってもよい。
体内温度測定針1を体22内から引き抜く際は、片端鍔付き短管14の鍔141を施術者の指により反体側に引っ張ることで引き抜くことができる。
両端鍔付き短管13と片端鍔付き短管14の材質については、体内温度測定針1の体22内への刺し込みと体22内からの引き抜き時に力が加わった際に変形しない剛性を持つ材質であればよい。
本発明による体内温度測定針及び体内温度測定装置は、正常組織と温度の異なる体内の疾患部の診断に有効に利用でき、また、体内の疾患部の加熱治療における加熱温度の監視にも有効である。
1 体内温度測定針(第1実施形態)
2 体内温度測定針(第2実施形態)
3 体内温度測定針(第3実施形態)
4 体内温度測定針(第4実施形態)
5 体内温度測定装置(第5実施形態)
6、61 金属シース
7 プラス側熱電対線
8 マイナス側熱電対線
9 無機絶縁材粉末
10 金属栓
11 樹脂シール
12 金属線
13 両端鍔付き短管
14 片端鍔付き短管
15 温度指示計
16 熱電対補償導線

Claims (12)

  1. 内部に無機絶縁材粉末を介在させて一対の熱電対線が収容された金属シースと、
    前記熱電対線が挿入される2つの貫通孔が設けられ、前記金属シースの先端部の前記無機絶縁材粉末が除去された箇所に、外側面が該金属シースの内側面に略接した状態で、かつ2つの該貫通孔の側面に一対の前記熱電対線の外側面が其々略接した状態で設置された金属栓と、を有し、
    前記金属栓の外側面と前記金属シースの内側面、及び前記熱電対線の外側面と前記金属栓の前記貫通孔の側面とは、金属ロウで接着されており、
    前記金属シース先端部の上端面、前記金属栓先端部の上端面、及び前記熱電対線先端部の上端面は、前記金属シースの軸方向と鋭角をなす1つの平面、または前記金属シースの中心軸と同一軸を持ち頂角が鋭角をなす1つの円錐側面を形成している体内温度測定針。
  2. 一対の前記熱電対線のプラス側熱電対線とマイナス側熱電対線の材質が其々、クロメルとアルメル、クロメルとコンスタンタン、ナイクロシルとナイシル、銅とコンスタンタン、または鉄とコンスタンタンである請求項1に記載の体内温度測定針。
  3. 前記金属シースは、材質がSUS304またはSUS316Lであって、外径が0.5mm乃至1mmで、かつ肉厚が0.11mm乃至0.16mmである請求項1に記載の体内温度測定針。
  4. 前記金属シースの上端面、前記金属栓の上端面、及び一対の前記熱電対線の上端面が形成している前記平面の前記金属シースの軸方向となす角度は、13度乃至15度である請求項1に記載の体内温度測定針。
  5. 前記金属シースの上端面、前記金属栓の上端面、及び一対の前記熱電対線の上端面が形成している前記円錐側面の頂角は、13度乃至15度である請求項1に記載の体内温度測定針。
  6. 内部に無機絶縁材粉末を介在させて1本の金属線が収容された金属シースと、
    前記金属線が挿入される1つの貫通孔が設けられ、前記金属シースの先端部の前記無機絶縁材粉末が除去された箇所に、外側面が該金属シースの内側面に略接した状態で、かつ該貫通孔の側面に前記金属線の外側面が略接した状態で設置された金属栓と、を有し、
    前記金属シースと前記金属線の材質は其々、一対の熱電対線の一方の材質として用いられている金属と、他方の材質として用いられている金属であり、
    前記金属栓の外側面と前記金属シースの内側面、及び前記金属線の外側面と前記金属栓の前記貫通孔の側面は、金属ロウで接着されており、
    前記金属シース先端部の上端面、前記金属栓先端部の上端面、及び前記金属線先端部の上端面は、前記金属シースの軸方向と鋭角をなす1つの平面、または前記金属シースの中心軸と同一軸を持ち頂角が鋭角をなす1つの円錐側面を形成している体内温度測定針。
  7. 前記金属シースと前記金属線の材質が其々、銅とコンスタンタン、または鉄とコンスタンタンである請求項6に記載の体内温度測定針。
  8. 前記金属シースと前記金属線の材質が其々、銅とコンスタンタンであって、
    該金属シースは、外径が0.7mm乃至1mmで、かつ肉厚が0.14mm乃至0.2mmである請求項6に記載の体内温度測定針。
  9. 前記金属シースの上端面、前記金属栓の上端面、及び前記金属線の上端面が形成している前記平面の前記金属シースの軸方向となす角度は、13度乃至15度である請求項6に記載の体内温度測定針。
  10. 前記金属シースの上端面、前記金属栓の上端面、及び前記金属線の上端面が形成している前記円錐側面の頂角は、13度乃至15度である請求項6に記載の体内温度測定針。
  11. 樹脂を材質とし、一対の前記熱電対線の末端が貫通した状態で前記体内温度測定針の末端をシールする樹脂シールと、
    先端が前記熱電対線の末端に繋がれた熱電対補償導線と、
    前記体内温度測定針が軸方向に摺動自在に移動できる内径の短管の両端に鍔が設けられた両端鍔付き短管と、
    前記体内温度測定針が挿通される短管の片側に鍔が設けられ、該短管に該体内温度測定針が挿通された状態で、該体内温度測定針の後端部で固定された片端鍔付き短管と、
    前記熱電対補償導線の末端に繋がれ、前記熱電対線の熱起電力を温度に換算して表示する温度指示計と、を有し、
    体内温度の測定の際の前記体内温度測定針の体内への刺し込みは、前記両端鍔付き短管の一方の鍔を体表面に当て、該両端鍔付き短管の反体側から該体内温度測定針を先端が体表面に達するまで挿入した後、該両端鍔付き短管の反体側の鍔の体側の面と前記片端鍔付き短管の鍔の反体側の面を施術者の指により支持し、該両端鍔付き短管の反体側の鍔と該片端鍔付き短管の鍔との間隔を狭めることにより、狭まった長さ分の該体内温度測定針が体内に挿入され、
    前記体内温度測定針を体内から引き抜く際は、該片端鍔付き短管の鍔を施術者の指により反体側に引っ張ることにより該体内温度測定針が引き抜かれる請求項1に記載の体内温度測定針を用いた体内温度測定装置。
  12. 樹脂を材質とし、前記金属線の末端が貫通した状態で前記体内温度測定針の末端をシールする樹脂シールと、
    先端が前記金属線の末端と前記体内温度測定針の前記金属シースに繋がれた熱電対補償導線と、
    前記体内温度測定針が軸方向に摺動自在に移動できる内径の短管の両端に鍔が設けられた両端鍔付き短管と、
    前記体内温度測定針が挿通される短管の片側に鍔が設けられ、該短管に該体内温度測定針が挿通された状態で、該体内温度測定針の後端部で固定された片端鍔付き短管と、
    前記熱電対補償導線の末端に繋がれ、前記金属線と前記金属シースとの間に生じた熱起電力を温度に換算して表示する温度指示計と、を有し、
    体内温度の測定の際の前記体内温度測定針の体内への刺し込みは、前記両端鍔付き短管の一方の鍔を体表面に当て、該両端鍔付き短管の反体側から該体内温度測定針を先端が体表面に達するまで挿入した後、該両端鍔付き短管の反体側の鍔の体側の面と前記片端鍔付き短管の鍔の反体側の面を施術者の指により支持し、該両端鍔付き短管の反体側の鍔と該片端鍔付き短管の鍔との間隔を狭めることにより、狭まった長さ分の該体内温度測定針が体内に挿入され、
    前記体内温度測定針を体内から引き抜く際は、該片端鍔付き短管の鍔を施術者の指により反体側に引っ張ることにより該体内温度測定針が引き抜かれる請求項6に記載の体内温度測定針を用いた体内温度測定装置

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