I.本発明の化合物
一の態様において、本発明は、とりわけ、式(I):
[式中、
−−−−は、任意結合であり;
環Aは、独立して、炭素原子ならびにNR
2、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む単環または二環式のヘテロ環から選択され;
環Bは、独立して、アリールおよび5〜10員ヘテロ環から選択され;
R
1は、各々独立して、ハロゲン、C
1−6アルキル、C
1−4アルコキシ、C
1−4アルキルチオ、C
1−4ハロアルキル、OH、=O、OCH
2F、OCHF
2、OCF
3、CF
3、CN、NH
2、NH(C
1−4アルキル)、N(C
1−4アルキル)
2、CO
2(C
1−4アルキル)、CO(C
1−4アルキル)、−CH
2NH
2、−CONH
2、−CONH(C
1−4アルキル)、−OCH
2CO
2H、−NHCO(C
1−4アルキル)、−NHCO
2(C
1−4アルキル)、−NHSO
2(C
1−4アルキル)、−SO
2NH
2および−C(=NH)NH
2から選択され;
R
2は、非存在であるか、または独立して、HおよびC
1−4アルキルから選択され;
R
3は、独立して、H、C
1−4アルキル、C
1−4アルコキシ、C
1−4アルキルチオ、C
1−4ハロアルキル、OH、=O、OCH
2F、OCHF
2、OCF
3、CN、NH
2、NH(C
1−4アルキル)およびN(C
1−4アルキル)
2から選択され;
R
4は、独立して、H、C
1−4アルキル、ヒドロキシル、F、CF
3およびC
3−6シクロアルキルから選択され;
R
5は、独立して、HおよびC
1−4アルキルから選択され;
R
6は、独立して、H、ハロゲン、C(O)OHおよびC(O)O(C
1−4アルキル)から選択され;
R
7は、独立して、H、C
1−4アルキルおよびCF
3から選択されるか;あるいは、
R
6およびR
7は、一緒になって=Oであり;および
R
8は、各々独立して、H、ハロゲン、NHCO
2C
1−4アルキル、CN、OH、O−C
1−4アルキル、CF
3、−OCF
3、−OCHF
2、−CHF
2、−CH
2F、CO
2H、CO
2(C
1−4アルキル)、−CH
2CO
2H、−(CH
2)
2CO
2H、−CH
2CO
2(C
1−4アルキル)、−(CH
2)
2CO
2(C
1−4アルキル)、NH
2、−CH
2NH
2、−NHCO(C
1−4アルキル)、−NHCO
2(CH
2)
1−2O(C
1−4アルキル)、−NHCO
2(CH
2)
1−3O(C
1−4アルキル)、NHCO
2CH
2CH(C
1−4アルキル)O(C
1−4アルキル)、−NHCO
2(CH
2)
1−2OH、−NHCO
2CH
2CO
2H、−CH
2NHCO
2(C
1−4アルキル)、−NHC(O)NH(C
1−4アルキル)、−NHC(O)N(C
1−4アルキル)
2、NHC(O)NH(C
1−4アルキル)N(5〜6員ヘテロ環)、−NHSO
2(C
1−4アルキル)、−CONH
2、−CONH(C
1−4アルキル)、−CON(C
1−4アルキル)
2および−CH
2CONH
2から選択される]
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
別の態様において、本発明は、式(II):
[式中、
−−−−は、任意結合であり;
環Aは、独立して、炭素原子ならびにNR
2、OおよびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む単環式または二環式のヘテロ環から選択され;
R
1は、各々独立して、ハロゲン、C
1−6アルキル、C
1−4アルコキシ、C
1−4アルキルチオ、C
1−4ハロアルキル、OH、=O、OCH
2F、OCHF
2、OCF
3、CN、NH
2、NH(C
1−4アルキル)、N(C
1−4アルキル)
2、CO
2(C
1−4アルキル)、CO(C
1−4アルキル)、−CH
2NH
2、−CONH
2、−CONH(C
1−4アルキル)、−OCH
2CO
2H、−NHCO(C
1−4アルキル)、−NHCO
2(C
1−4アルキル)、−NHSO
2(C
1−4アルキル)、−SO
2NH
2および−C(=NH)NH
2から選択され;
R
2は、非存在であるか、または独立して、HおよびC
1−4アルキルから選択され;
R
3は、独立して、HおよびC
1−4アルキルから選択され;
R
4は、独立して、H、C
1−4アルキル、ヒドロキシルおよびC
3−6シクロアルキルから選択され;
R
5は、独立して、HおよびC
1−4アルキルから選択され;および
R
8は、独立して、H、ハロゲン、NHCO
2C
1−4アルキル、CN、OH、O−C
1−4アルキル、CF
3、−OCF
3、−OCHF
2、−CHF
2、−CH
2F、CO
2H、CO
2(C
1−4アルキル)、−CH
2CO
2H、−(CH
2)
2CO
2H、−CH
2CO
2(C
1−4アルキル)、−(CH
2)
2CO
2(C
1−4アルキル)、NH
2、−CH
2NH
2、−NHCO(C
1−4アルキル)、−NHCO
2(CH
2)
1−2O(C
1−4アルキル)、−NHCO
2(CH
2)
1−3O(C
1−4アルキル)、NHCO
2CH
2CH(C
1−4アルキル)O(C
1−4アルキル)、−NHCO
2(CH
2)
1−2OH、−NHCO
2CH
2CO
2H、−CH
2NHCO
2(C
1−4アルキル)、−NHC(O)NH(C
1−4アルキル)、−NHC(O)N(C
1−4アルキル)
2、NHC(O)NH(C
1−4アルキル)N[5〜6員ヘテロ環)]、−NHSO
2(C
1−4アルキル)、−CONH
2、−CONH(C
1−4アルキル)、−CON(C
1−4アルキル)
2および−CH
2CONH
2から選択される]
の化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
別の態様において、本発明は、式(III):
[式中、
環Cは、独立して、6員アリールおよびヘテロアリールから選択され;
R
1は、各々独立して、ハロゲン、C
1−6アルキル、C
1−4アルコキシ、C
1−4アルキルチオ、C
1−4ハロアルキル、OH、OCH
2F、OCHF
2、OCF
3、CN、NH
2、NH(C
1−4アルキル)およびN(C
1−4アルキル)
2から選択され;
R
2は、独立して、HおよびC
1−4アルキルから選択され;
R
4は、独立して、H、C
1−4アルキル、ヒドロキシルおよびC
3−6シクロアルキルから選択され;
R
5は、独立して、HおよびC
1−4アルキルから選択され;および
R
8は、独立して、H、ハロゲン、NHCO
2C
1−4アルキル、CN、OH、O−C
1−4アルキル、CF
3、−OCF
3、−OCHF
2、−CHF
2、−CH
2F、CO
2HおよびCO
2(C
1−4アルキル)から選択される]
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
別の態様において、本発明は、式(IV):
[式中:
−−−−は、任意結合であり;
R
1は、独立して、FおよびClから選択され;
R
2は、独立して、HおよびC
1−4アルキルから選択される;
R
4は、独立して、H、C
1−4アルキルおよびヒドロキシルから選択され;
R
5は、独立して、HおよびC
1−4アルキルから選択され;および
R
8は、独立して、H、ハロゲン、NHCO
2C
1−4アルキル、CN、OH、O−C
1−4アルキル、CF
3、−OCF
3、−OCHF
2、−CHF
2、−CH
2F、CO
2HおよびCO
2(C
1−4アルキル)から選択される]
の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
別の態様において、本発明は、
−−−−が、任意結合であり;
R1が、独立して、FおよびClから選択され;
R2が、Hであり;
R4が、独立して、H、C1−4アルキル、ヒドロキシルおよびC3−6シクロアルキルから選択され;
R5が、独立して、HおよびC1−4アルキルから選択され;
R8が、独立して、H、ハロゲンおよびNHCO2C1−4アルキルから選択され;および
他の可変基が、上記式(IV)に規定されたとおりである、
式(IV)の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
別の態様において、本発明は、
から選択される化合物、またはその立体異性体、互変異性体または医薬的に許容される塩を提供する。
別の態様において、本発明は、本明細書において例示された化合物のサブセットリストから選択される化合物を提供するものである。
別の実施態様において、本発明の化合物は、第XIa因子または血漿カリクレインのKi値が<10μMである。
別の実施態様において、本発明の化合物は、第XIa因子または血漿カリクレインのKi値が<1μMである。
別の実施態様において、本発明の化合物は、第XIa因子または血漿カリクレインのKi値が<0.5μMである。
別の実施態様において、本発明の化合物は、第XIa因子または血漿カリクレインのKi値が<0.1μMである。
II.発明の他の実施態様
別の実施態様において、本発明は、少なくとも1つの本発明の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む組成物を提供する。
別の実施態様において、本発明は、医薬的に許容される担体、および少なくとも1つの本発明の化合物またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物を提供する。
別の実施態様において、本発明は、医薬的に許容される担体、および治療上の有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物を提供する。
別の実施態様において、本発明は、本発明の化合物の製造方法を提供する。
別の実施態様において、本発明は、本発明の化合物を製造するための中間体を提供する。
別の実施態様において、本発明は、別の治療剤をさらに含む医薬組成物を提供する。好ましい実施態様において、本発明は、別の治療剤が抗血小板剤またはそれらの組み合わせである医薬組成物を提供する。好ましくは、該抗血小板剤は、クロピドグレルおよび/またはアスピリンであるか、それらの組み合わせである。
別の実施態様において、本発明は、血栓塞栓性障害の治療および/または予防方法であって、かかる治療および/または予防を必要とする患者に、治療上の有効量の少なくとも1つの本発明の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを特徴とする、方法を提供する。
別の実施態様において、本発明は、療法に用いるための本発明の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
別の実施態様において、本発明は、血栓塞栓性障害の治療および/または予防のための治療法に用いるための、本発明の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を提供する。
別の実施態様において、本発明はまた、血栓塞栓性障害の治療剤および/または予防剤を製造するための、本発明の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
別の実施態様において、本発明は、血栓塞栓性障害の治療および/または予防方法であって、その治療および/または予防を必要とする患者に、治療上の有効量の第1および第2の治療剤を投与することを特徴とし、ここで第1の治療剤が、本発明の化合物またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物であり、第2の治療剤が、アピキサバン、リバロキサバン、ベトリキサバン、エドキサバンなどの第Xa因子阻害剤、抗凝固剤、抗血小板剤、ダビガトランなどのトロンビン阻害剤、血栓溶解剤および線維素溶解剤から選択される少なくとも1つの薬剤である、方法を提供する。好ましくは、第2の治療剤は、ワルファリン、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、合成5糖類、ヒルジン、アルガトロバン、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、スリンダク、インドメタシン、メフェナム酸塩、ドロキシカム、ジクロフェナク、スルフィンピラゾン、ピロキシカム、チクロピジン、クロピドグレル、チロフィバン、エプチフィバチド、アブシキシマブ、メラガトラン、デスルファトヒルジン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、改変型組織プラスミノーゲンアクチベーター、アニストレプラーゼ、ウロキナーゼおよびストレプトキナーゼから選択される少なくとも1つの薬剤である。好ましくは、第2の治療剤は、少なくとも1つの抗血小板剤である。好ましくは、該抗血小板剤は、クロピドグレルおよび/またはアスピリン、またはそれらの組み合わせである。
血栓塞栓性障害は、動脈性心血管系血栓塞栓性障害、静脈性心血管系血栓塞栓性障害、動脈性脳血管血栓塞栓性障害および静脈性脳血管血栓塞栓性障害を含む。血栓塞栓性障害の例は、例えば、限定されないが、不安定狭心症、急性冠症候群、心房細動、初回心筋梗塞、再発性心筋梗塞、虚血性突然死、一過性脳虚血発作、脳卒中、アテローム動脈硬化症、末梢性閉塞性動脈疾患、静脈血栓症、深部静脈血栓症、血栓性静脈炎、動脈塞栓症、冠動脈血栓症、大脳動脈血栓症、脳塞栓症、腎塞栓症、肺塞栓症および血栓症を促進する人造物の表面に血液が曝される医療インプラント、装置または操作により生じる血栓症を包含する。
別の実施態様において、本発明は、炎症性障害の治療および/または予防方法であって、そのような治療および/または予防を必要とする患者に、治療上の有効量の少なくとも1つの本発明の化合物またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを特徴とする方法を提供する。炎症性障害の例は、限定されないが、敗血症、急性呼吸窮迫症候群および全身性炎症反応症候群である。
別の実施態様において、本発明は、血漿カリクレイン活性が関与する疾患または症状の予防方法であって、そのような治療および/または予防を必要とする患者に、治療上の有効量の少なくとも1つの本発明の化合物、またはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物を投与することを特徴とする、方法を提供する。
血漿カリクレイン活性が関与する疾患または症状として、以下に限定されないが、視力障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、遺伝性血管浮腫、糖尿病、膵炎、腎障害、心筋症、神経障害、炎症性腸疾患、関節炎、炎症、敗血症ショック、低血圧、癌、成人呼吸窮迫症候群、汎発性血管内血液凝固および心肺バイパス手術が挙げられる。
別の実施態様において、本発明は、同時に、別々にまたは連続して治療に用いるための、本発明の化合物および別の治療剤の組み合わせ製剤を提供する。
別の実施態様において、本発明は、同時に、別々にまたは連続して血栓塞栓性障害の治療および/または予防に用いるための、本発明の化合物および別の治療剤との組み合わせ製剤を提供する。
本発明はその精神および本質から逸脱することなく別の特定の形態に具体化され得る。本発明は、本明細書中に記載される本発明の全ての好ましい態様の組み合わせを包含する。本発明のありとあらゆる実施態様が任意の他の実施態様と組み合わさってさらなる実施態様を記載すると理解される。実施態様のそれぞれ個々の要素もそれ自体が独立した実施態様であると理解される。さらには、実施態様の任意の要素が任意の実施態様のありとあらゆる別の要素と組み合わされ、さらなる実施態様を記載すると理解される。
III.化学
本明細書および添付される特許請求の範囲を通し、所定の化学式または名称は、異性体が存在する場合には、そのすべての立体異性体および光学異性体ならびにそのラセミ体を包含する。特に断りがなければ、すべてのキラル(エナンチオマーおよびジアステレオマーの)およびラセミ体は本発明の範囲内にある。C=C二重結合、C=N二重結合、環系等の多数の幾何異性体も本発明の化合物において存在することができ、かかるすべての安定した異性体は本発明に含まれると考えられる。本発明の化合物のシス−およびトランス−(あるいはE−およびZ−)幾何異性体は記載されており、異性体の混合物として、あるいは別々の異性体の形態として単離されてもよい。本発明の化合物は、光学活性な形態またはラセミ形態にて単離され得る。光学活性体は、ラセミ体を分割することにより、あるいは光学活性な出発物質より合成することにより製造されてもよい。本発明の化合物を製造するのに使用されるすべての方法およびその方法の中で製造される中間体は、本発明の一部であると考えられる。エナンチオマーまたはジアステレオマーの生成物が調製される場合、それらは従来の方法、例えば、クロマトグラフィーまたは分別結晶により分離されてもよい。その方法の条件に応じて、本発明の最終生成物は、遊離(中性)または塩の形態のいずれかで得られる。これらの最終生成物の遊離および塩の両方の形態は、本発明の範囲内にある。所望により、化合物の一の形態を別の形態に変換してもよい。遊離塩基または酸は塩に変換されてもよく;塩は遊離化合物または別の塩に変換されてもよい;本発明の異性体の化合物の混合物は、個々の異性体に分離されてもよい。本発明の化合物、その遊離形態および塩は、水素原子が該分子の他の部分に転位し、該分子の原子間の化学結合がそれに伴って再編成された複数の互変異性体の形態にて存在してもよい。存在する限り、すべての互変異性体の形態が本発明に含まれることは明らかである。
「立体異性体」なる語は、同じ構成で、空間におけるそれらの原子の配置が異なる異性体をいう。エナンチオマーおよびジアステレオマーは立体異性体の例である。「エナンチオマー」なる語は、相互に鏡像体であり、重ね合わせることができない一対の分子種の一方をいう。「ジアステレオマー」なる語は、鏡像体でない立体異性体をいう。「ラセミ体」または「ラセミ混合物」なる語は、等モル量の2つのエナンチオマー種からなる組成物であって、光学活性を有しない組成物をいう。
「R」および「S」なる符号は、キラル炭素原子の回りの置換基の配置をいう。異性体の記述子である「R」および「S」は、本明細書で記載されるように、コア分子に対する原子配置を示すのに使用され、文献(IUPAC Recommendations 1996, Pure and Applied Chemistry, 68, 2193−2222(1996))で定義されるとおりに使用されるものとする。
「キラル」なる語は、一の化合物をその鏡像体に重ね合わせることが出来ない分子の構造的特徴をいう。「ホモキラル」なる語は、エナンチオマーとして純粋である状態をいう。「光学活性」なる語は、ホモキラル分子またはキラル分子の非ラセミ混合物が偏光面を回転させる程度をいう。
本明細書で用いるように、「アルキル」または「アルキレン」なる語は、特定される数の炭素原子を有する分枝鎖および直鎖の飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むことを意図する。例えば、「C1〜C10アルキル」または「C1−10アルキル」(またはアルキレン)は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9およびC10アルキル基を含むことを意図する。また、例えば、「C1〜C6アルキル」または「C1−C6アルキル」は、1ないし6個の炭素原子を有するアルキルを意味する。アルキル基は置換されていなくても、少なくとも1つの水素が別の化学基で置き換えられるように置換されていてもよい。アルキル基の例として、以下に限定されないが、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル)およびペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)が挙げられる。「C0アルキル」または「C0アルキレン」が用いられる場合、直接結合を意味するものとする。
「アルキニル」または「アルキニレン」は、鎖に沿ったあらゆる安定な箇所に起こり得る直鎖または分枝鎖の、1または複数の、好ましくは1〜3個の炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分岐鎖いずれかの配置の炭化水素鎖を包含するものとする。例えば、「C2〜C6アルキニル」または「C2−6アルキニル」(またはアルキニレン)は、C2、C3、C4、C5およびC6アルキニル基;例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニル等を包含するものとする。
「アルコキシ」または「アルキルオキシ」なる語は、−O−アルキル基をいう。「C1〜C6アルコキシ」または「C1−6アルコキシ」(またはアルキルオキシ)は、C1、C2、C3、C4、C5およびC6アルコキシ基を包含することを意図する。アルコキシ基の例として、以下に限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシおよびイソプロポキシ)およびt−ブトキシが挙げられる。同様に、「アルキルチオ」または「チオアルコキシ」は、硫黄架橋を介して結合した上と同義の特定される数の炭素原子を有するアルキル基;例えば、メチル−S−およびエチル−S−を表す。
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを包含する。「ハロアルキル」は、特定数の炭素原子を有し、1または複数のハロゲンで置換される分枝鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図する。ハロアルキルの例として、以下に限定されないが、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ペンタクロロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルおよびヘプタクロロプロピルが挙げられる。ハロアルキルの例としては、特定数の炭素原子を有し、1または複数のフッ素原子で置換される分枝鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むことも意図される「フルオロアルキル」を包含する。
「ハロアルコキシ」または「ハロアルキルオキシ」は、特定数の炭素原子を有し、酸素架橋を介して結合する前記のハロアルキル基を表す。例えば、「C1〜C6ハロアルコキシ」または「C1−6ハロアルコキシ」は、C1、C2、C3、C4、C5およびC6ハロアルコキシ基を包含することを意図する。ハロアルコキシの例として、以下に限定されないが、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシおよびペンタフルオロエトキシが挙げられる。同様に、「ハロアルキルチオ」または「チオハロアルコキシ」は、特定数の炭素原子を有し、硫黄架橋を介して結合する前記のハロアルキル基;例えば、トリフルオロメチル−S−およびペンタフルオロエチル−S−を表す。
本明細書にて使用される「アルコキシアルキル」なる語は、1、2または3つのアルコキシ基で置換されたアルキル基をいう。
本明細書にて使用される「アミノ」なる語は、−NH2をいう。
本明細書にて使用される「置換アミノ」なる語は、「アリールアミノ」、「アルキルアミノ」、「アリールアミノ」等などの接尾語に「アミノ」を付した下記に規定される用語をいう。
本明細書にて使用される「アルコキシアルキルアミノ」なる語は、−NHR(ここでRはアルコキシアルキル基である)をいう。
本明細書にて使用される「アルコキシカルボニル」なる語は、カルボニル基を介して親分子に結合したアルコキシ基をいう。
本明細書にて使用される「アルコキシカルボニルアミノ」なる語は、−NHR(ここでRはアルコキシカルボニル基である)をいう。
本明細書にて使用される「アルキルアミノ」なる語は、−NHR(ここでRはアルキル基である)をいう。
本明細書にて使用される「アルキルカルボニル」なる語は、カルボニル基を介して親分子に結合したアルキル基をいう。
本明細書にて使用される「アルキルカルボニルアミノ」なる語は、−NHR(ここでRはアルキルカルボニル基である)をいう。
本明細書にて使用される「アミノスルホニル」なる語は、−SO2NH2をいう。
本明細書にて使用される「アリールアルキル」なる語は、1、2または3個のアリール基で置換されるアルキル基をいう。
本明細書にて使用される「アリールアミノ」なる語は、−NHR(ここでRはアリール基である)をいう。
本明細書にて使用される「アリールカルボニル」なる語は、カルボニル基を介して親分子に結合したアリール基をいう。
本明細書にて使用される「アリールカルボニルアミノ」なる語は、−NHR(ここでRはアリールカルボニル基である)をいう。
本明細書にて使用される「カルボニル」なる語は、−C(O)をいう。
本明細書にて使用される「シアノ」なる語は−CNをいう。
本明細書にて使用される「シクロアルキルアミノ」なる語は、−NHR(ここでRはシクロアルキル基である)をいう。
本明細書にて使用される「シクロアルキルカルボニル」なる語は、カルボニル基を介して親分子に結合したシクロアルキル基をいう。
本明細書にて使用される「シクロアルキルカルボニルアミノ」なる語は、−NHR(ここでRはシクロアルキルカルボニル基である)をいう。
本明細書にて使用される「シクロアルキルオキシ」なる語は、酸素原子を介して親分子に結合したシクロアルキル基をいう。
本明細書にて使用される「ジアルキルアミノ」なる語は、NR2(ここでRは、各々アルキル基である)をいう。2個のアルキル基は同じであるか、または異なる。
本明細書にて使用される「ハロアルコキシ」なる語は、酸素原子を介して親分子に結合したハロアルキル基をいう。
本明細書にて使用される「ハロアルキル」なる語は、1、2、3または4個のハロゲン原子で置換されたアルキル基をいう。
本明細書にて使用される「ハロアルキルアミノ」なる語は、−NHR(ここでRは、ハロアルキル基である)をいう。
「カルボニル」なる語は、C(=O)をいう。
「カルボキシ」なる語は、C(=O)OHをいう。
本明細書にて使用される「ハロアルキルカルボニル」なる語は、カルボニル基を介して親分子に結合したハロアルキル基をいう。
本明細書にて使用される「ハロアルキルカルボニルアミノ」なる語は、−NHR(ここでRはハロアルキルカルボニル基である)をいう。
「アルキルカルボニル」なる語は、カルボニルに結合したアルキルまたは置換アルキルをいう。
本明細書にて使用される「アルコキシカルボニル」なる語は、カルボニル基を介して親分子に結合したアルコキシ基をいう。
「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」なる語は、OHをいう。
「シクロアルキル」なる語は、単環式、二環式または多環式環系を含む、環状アルキル基をいう。「C3〜C7シクロアルキル」または「C3−7シクロアルキル」は、C3、C4、C5、C6およびC7シクロアルキル基を包含することを意図する。シクロアルキル基の例として、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびノルボルニルが挙げられる。1−メチルシクロプロピルおよび2−メチルシクロプロピルなどの分枝したシクロアルキル基は、「シクロアルキル」の定義に含まれる。
本明細書にて使用される「炭素環」または「炭素環基」なる語は、あらゆる安定した3、4、5、6、7または8員の単環式または二環式あるいは7、8、9、10、11、12または13員の二環式または三環式炭化水素環を意味することを意図し、そのいずれも飽和、部分不飽和、不飽和または芳香族であってもよい。かかる炭素環の例として、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘプテニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、アダマンチル、シクロオクチル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカン(デカリン)、[2.2.2]ビシクロオクタン、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチル、アントラセニルおよびテトラヒドロナフチル(テトラリン)が挙げられる。上記に示されるように、架橋環はまた、炭素環(例えば、[2.2.2]ビシクロオクタン)の定義に含まれる。好ましい炭素環は、特に断りがなければ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニルおよびインダニルである。「炭素環」なる語が使用される場合、「アリール」を包含するものとする。架橋環は、1または複数の炭素原子が2個の隣接しない炭素原子を連結する場合に生じる。好ましい架橋は、1または2個の炭素原子からなる。架橋は、単環式環を三環式環に常に変換することに留意する。環が架橋される場合、その環にある置換基は架橋上に存在してもよい。
本明細書にて使用される「二環式炭素環」または「二環式炭素環基」なる語は、2個の縮合環を含有し、炭素原子からなる安定した9または10員の炭素環式環系を意味することを意図する。2個の縮合環のうち1つの環は、第二の環に縮合したベンゾ環であり;第二の環は、飽和、部分不飽和または不飽和の5または6員の炭素環である。二環式炭素環基は、任意の炭素原子でそのペンダント基に結合し、安定な構造をもたらし得る。本明細書に記載の二環式炭素環基は、得られる化合物が安定しているならば、いずれの炭素上で置換されてもよい。二環式炭素環基の例として、以下に限定されないが、ナフチル、1,2−ジヒドロナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチルおよびインダニルが挙げられる。
「アリール」基は、単環式または多環式芳香族炭化水素をいい、例えば、フェニル、ナフチルおよびフェナントラニルを包含する。アリール基は周知であり、例えば、Lewis, R.J.編, Hawleys Condensed Chemical Dictionary, 第13版, J. Wiley & Sons, Inc., New York(1997)に記載されている。「C6またはC10アリール」または「C6−10アリール」は、フェニルおよびナフチルをいう。特に断りがなければ、「アリール」、「C6またはC10アリール」または「C6−10アリール」あるいは「芳香族残基」は、置換されていないか、あるいは1ないし5個の基、好ましくは1ないし3個の基のOH、OCH3、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NH2、N(CH3)H、N(CH3)2、CF3、OCF3、C(=O)CH3、SCH3、S(=O)CH3、S(=O)2CH3、CH3、CH2CH3、CO2HおよびCO2CH3で置換されていてもよい。
本明細書にて使用される「ベンジル」なる語は、水素原子の1つがフェニル基で置き換えられているメチル基をいい、該フェニル基は、所望により1ないし5個の基、好ましくは1ないし3個の基のOH、OCH3、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NH2、N(CH3)H、N(CH3)2、CF3、OCF3、C(=O)CH3、SCH3、S(=O)CH3、S(=O)2CH3、CH3、CH2CH3、CO2HおよびCO2CH3で置換されていてもよい。
本明細書にて使用される「ヘテロ環」または「ヘテロ環式環」なる語は、飽和、部分不飽和または完全不飽和であり、炭素原子ならびにN、OおよびSからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する、安定した3、4、5、6または7員の単環式または二環式あるいは7、8、9、10、11、12、13または14員の多環式ヘテロ環式環を意味することを意図し;上記いずれのヘテロ環式環も、ベンゼン環に縮合するいずれの多環式基をも包含する。窒素および硫黄ヘテロ原子は、所望により酸化されてもよい(すなわち、N→OおよびS(O)pであり、ここでpは0、1または2である)。窒素原子は、置換されていても、置換されていなくてもよい(すなわち、NまたはNRであり、ここでRは、定義されるとすれば、Hまたは他の置換基である)。ヘテロ環式環は、安定な構造をもたらす、任意のヘテロ原子または炭素原子でそのペンダント基に結合してもよい。本明細書に記載のヘテロ環式環は、得られる化合物が安定しているならば、炭素原子または窒素原子上で置換されていてもよい。ヘテロ環中の窒素は、所望により四級化されてもよい。ヘテロ環中のSおよびO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接しないことが好ましい。ヘテロ環中のSおよびO原子の総数は1以下であることが好ましい。「ヘテロ環」なる語が用いられる場合、ヘテロアリールを包含するものとする。
ヘテロ環の例として、以下に限定されないが、アクリジニル、アゼチジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、イミダゾロピリジニル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソチアゾロピリジニル、イソキサゾリル、イソキサゾロピリジニル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾロピリジニル、オキサゾリジニルペリミジニル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2−ピロリドニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チアゾロピリジニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリルおよびキサンテニルが挙げられる。また、例えば上記のヘテロ環を含有する、縮合環およびスピロ化合物も包含される。
5ないし10員のヘテロシクリルの例として、以下に限定されないが、ピリジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、インドリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、モルホリニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、テトラヒドロフラニル、チアジアジニル、チアジアゾリル、チアゾリル、トリアジニル、トリアゾリル、ベンズイミダゾリル、1H−インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、オキソインドリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、イサチノイル、イソキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキサゾロピリジニル、キナゾリニル、キノリニル、イソチアゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、イミダゾロピリジニルおよびピラゾロピリジニルが挙げられる。
5ないし6員のヘテロ環の例として、以下に限定されないが、ピリジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、インドリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、モルホリニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、テトラヒドロフラニル、チアジアジニル、チアジアゾリル、チアゾリル、トリアジニルおよびトリアゾリルが挙げられる。また、例えば上記のヘテロ環を含有する、縮合環およびスピロ化合物も包含される。
本明細書にて使用される「二環式ヘテロ環」または「二環式ヘテロ環基」なる語は、2個の縮合環を含有し、炭素原子ならびにN、OおよびSからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子から構成される安定した9または10員のヘテロ環式環系を意味することを意図する。2個の縮合環のうち、一つの環は、5員のヘテロアリール環、6員のヘテロアリール環またはベンゾ環を含む5または6員の単環式芳香族環であり、それぞれが第二の環に縮合する。第二の環は、飽和、部分不飽和または不飽和であり、5員のヘテロ環、6員のヘテロ環または炭素環を含む(ただし、第二の環が炭素環の場合、第一の環はベンゾ以外の環である)、5または6員の単環式環である。
二環式ヘテロ環基は、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子を介してそのペンダント基に結合されていてもよい。本明細書に記載の二環式ヘテロ環基は、得られる化合物が安定しているならば、炭素または窒素原子上で置換されていてもよい。ヘテロ環でのSおよびO原子の総数が1を越える場合には、これらのヘテロ原子は互いに隣接しないことが好ましい。ヘテロ環でのSおよびO原子の総数は1を越えないことが好ましい。
二環式ヘテロ環基の例は、以下に限定されないが、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−キノリニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾフラニル、クロマニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−キノキサリニルおよび1,2,3,4−テトラヒドロ−キナゾリニルである。
本明細書にて使用される「芳香族ヘテロ環基」または「ヘテロアリール」なる語は、硫黄、酸素または窒素等の少なくとも1のヘテロ原子の環構成員を含む、安定した単環式および多環式芳香族炭化水素を意味することを意図する。ヘテロアリール基は、限定されないが、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピロリル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソチアゾリル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリニル、ベンゾジオキソラニルおよびベンゾジオキサンを包含する。ヘテロアリール基は置換されていても、置換されていなくてもよい。窒素原子は、置換されていても、置換されていなくてもよい(すなわち、NまたはNRであり、ここで定義されるとすれば、RはHまたは別の置換基である)。窒素および硫黄ヘテロ原子は、所望により酸化されていてもよい(すなわち、N→OおよびS(O)pであり、ここでpは0、1または2である)。
架橋環もまたヘテロ環の定義に含まれる。架橋環は、1または複数の原子(すなわち、C、O、NまたはS)が2個の隣接していない炭素または窒素原子を連結する場合に得られる。架橋環の例として、以下に限定されないが、1個の炭素原子、2個の炭素原子、1個の窒素原子、2個の窒素原子および炭素−窒素基を含む。架橋は常に単環式環を三環式環に変換することに留意する。環が架橋している場合、該環に示される置換基は架橋上に存在してもよい。
「対イオン」なる語は、塩化物、臭化物、水酸化物、アセテートおよびサルフェートなどの負に帯電したものを表すのに使用される。
点線が環構造式において使用される場合、これは環構造が飽和、部分不飽和または不飽和であってもよいことを示す。
本明細書中で言及されるように、「置換」なる語は、少なくとも1つの水素原子が水素以外の基と置き換えられていることであるが、但し通常の原子価が維持され、置換が安定した化合物をもたらす場合を意味する。置換基がケト(すなわち、=O)である場合、その原子上の2個の水素が置き換えられている。ケト置換基は、芳香族部分には存在しない。環系(例えば、炭素環またはヘテロ環系)がカルボニル基または二重結合で置換されるような場合、カルボニル基または二重結合は環の一部である(すなわち、範囲内にある)ことを意図する。本明細書で使用されるように、環二重結合は、2個の隣接する環原子(例えば、C=C、C=NまたはN=N)の間で形成される二重結合である。
本発明の化合物で窒素原子(例えば、アミン)がある場合、これらの原子を、酸化剤(例えば、mCPBAおよび/または過酸化水素)で処理することによりN−オキシドに変換して、本発明の別の化合物を得てもよい。そのため、提示され、かつ特許請求の範囲に記載される窒素原子は、特定される窒素およびそのN−オキシド(N→O)誘導体の両方に及ぶものと考えられる。
任意の可変基が化合物の成分または式中で2回以上示される場合、その定義は、各々、他の場合のその定義からは独立している。従って、例えば、一の基が0〜3個のR基で置換して示される場合、該基は3個までのR基で所望により置換されてもよく、Rは、各々、Rの定義から独立して選択される。また、置換基および/または可変基の組み合わせは、かかる組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
置換基への結合が、環内で2つの原子を連結する結合と交差して示される場合、その場合には、かかる置換基は環上の任意の原子に結合してもよい。ある置換基が、所定の式で示される化合物の残りと結合する原子を明示することなく記載される場合、その場合にはかかる置換基はその置換基にあるいずれの原子を介して結合してもよい。置換基および/または可変基の組み合わせは、かかる組み合わせが安定した化合物をもたらす場合にのみ許容される。
「医薬的に許容される」なる語は、適当な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応および/または他の問題が無いか、あるいは合併症を伴わずに、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適している、それらの化合物、材料、組成物および/または剤形をいうのに本明細書中で利用される。
本明細書で用いるように、「医薬的に許容される塩」は、開示される化合物の誘導体をいい、ここで親化合物はその酸または塩基塩を製造することで修飾される。医薬的に許容される塩の例として、以下に限定されないが、アミン等の塩基性基の無機酸または有機酸塩;カルボン酸等の酸性基のアルカリまたは有機塩である。医薬的に許容される塩は、例えば、無毒の無機または有機酸より形成される親化合物の通常の無毒の塩または四級アンモニウム塩を包含する。例えば、かかる通常の無毒の塩は、無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸および硝酸等)より誘導される塩;有機酸(酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸およびイセチオン酸等)から調製される塩を包含する。
本発明の医薬的に許容される塩は、従来の化学的方法により、塩基性または酸性の部分を含有する親化合物より合成され得る。一般に、かかる塩は、遊離した酸または塩基の形態のこれらの化合物を、化学量論量の適当な塩基または酸と、水または有機溶媒、あるいはその2種の混合液中で反応させることにより調製することができ;一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリル等の非水性媒体が好ましい。適当な塩の一覧は、Remingtons Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, Mack Publishing Company, Easton, PA(1990)に記載されており、その開示は引用することで本明細書に組み込まれるものとする。
また、式Iの化合物はプロドラッグの形態を有してもよい。インビボにて変換して生物活性剤(すなわち、式Iの化合物)を提供する化合物はいずれも、本発明の範囲内および精神内にあるプロドラッグである。種々の形態のプロドラッグが当該分野にて周知である。かかるプロドラッグ誘導体の例として、以下の文献を参照のこと:
a) Bundgaard, H., ed., Design of Prodrugs, Elsevier(1985), and Widder, K. et al., eds., Methods in Enzymology, 112:309-396, Academic Press(1985);
b) Bundgaard, H., Chapter 5, "Design and Application of Prodrugs", A Textbook of Drug Design and Development, pp. 113-191, Krosgaard-Larsen, P. et al., eds., Harwood Academic Publishers(1991);
c) Bundgaard, H., Adv. Drug Deliv. Rev., 8:1-38(1992);
d) Bundgaard, H. et al., J. Pharm. Sci., 77:285(1988);および
e) Kakeya, N. et al., Chem. Pharm. Bull., 32:692(1984)。
カルボキシ基を含む化合物は、体内で加水分解されることで式Iの化合物そのものを生成するプロドラッグとして役立つ生理学的に加水分解され得るエステルを形成し得る。かかるプロドラッグは、加水分解が、大抵の場合、主に消化酵素の影響下で生じるため、経口投与されるのが好ましい。非経口投与は、エステルそのものが活性であるか、または加水分解が血中で起こる場合に使用され得る。式Iの化合物の生理学的に加水分解可能なエステルの例として、C1−6アルキル、C1−6アルキルベンジル、4−メトキシベンジル、インダニル、フタリル、メトキシメチル、C1−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキル(例えば、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチルまたはプロピオニルオキシメチル)、C1−6アルコキシカルボニルオキシ−C1−6アルキル(例えば、メトキシカルボニル−オキシメチルまたはエトキシカルボニルオキシメチル、グリシルオキシメチル、フェニルグリシルオキシメチル、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)−メチル)、ならびに、例えば、ペニシリンおよびセファロスポリンの分野において使用されるその他の周知の生理的に加水分解され得るエステルである。かかるエステルは、当該分野で公知の一般的技法により製造され得る。
プロドラッグの調製は、当該分野で周知であり、例えば、King, F.D. ed, Medicinal Chemistry:Principles and Practice, The Royal Society of Chemistry, Cambridge, UK(1994);Testa, B. et al., Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism. Chemistry, Biochemistry and Enzymology, VCHA and Wiley−VCH, Zurich, Switzerland(2003);Wermuth, C.G. ed The Practice of Medicinal Chemistry, Academic Press, San Diego, CA(1999)に記載されている。
本発明は、本発明の化合物に存在する原子のすべての同位体を包含することを意図する。同位体は原子番号が同じであるが、質量数の異なる原子を包含する。一般的な例として、限定されないが、水素の同位体は重水素およびトリチウムを含む。炭素の同位体は、13Cおよび14Cを包含する。本発明の同位体標識された化合物は、通常、当業者に公知の一般的技法により、あるいは代替的に使用される非標識の試薬の代わりに適当な同位体標識された試薬を用いて、本明細書に記載の方法に類似する方法により調製され得る。かかる化合物は、様々な用途の可能性、例えば、潜在的な医薬化合物と標的タンパク質または受容体との結合能を測定する標準物および試薬として、あるいは本発明の化合物のインビボまたはインビトロでの生物学的受容体への結合を画像化するために使用され得る。
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物から有用な純度にまで単離し、有効な治療薬への製剤化に耐える程に十分に強固である化合物を意味する。本発明の化合物は、N−ハロ、S(O)2HまたはS(O)H基を含まないことが好ましい。
「溶媒和物」なる語は、本発明の化合物と、有機または無機溶媒のいずれかの、1または複数の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合を包含する。ある場合には、溶媒和物は、例えば、1または複数の溶媒分子が結晶固体の結晶格子に組み込まれた場合に、単離可能となる。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的配置および/または非規則的配置にて存在し得る。溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量の溶媒分子を含みうる。「溶媒和物」は、液相および分離可能な溶媒和物の両方を包含する。溶媒和物の例は、以下に限定されないが、水和物、エタノレート、メタノレートおよびイソプロパノレートを包含する。溶媒和の方法は一般に当該分野で公知である。
本明細書で使用される略語は以下のように定義される:「1x」は1回と、「2x」は2回と、「3x」は3回と、「℃」は摂氏温度と、「eq」は当量と、「g」はグラムと、「mg」はミリグラムと、「L」はリットルと、「mL」はミリリットルと、「μL」はマイクロリットルと、「N」は規定度と、「M」はモルと、「mmol」はミリモルと、「min」は分と、「h」は時間と、「rt」は室温と、「RT」は保持時間と、「RBF」は丸底フラスコと、「atm」は大気圧と、「psi」はポンド毎平方インチと、「conc.」は濃縮物と、「RCM」は、閉環メタセシスと、「sat」または「sat’d」は飽和と、「SFC」は、超臨界液体クロマトグラフィーと、「MW」は分子量と、「mp」は融点と、「ee」はエナンチオマー過剰率と、「MS」または「Mass Spec」は質量分析と、「ESI」はエレクトロスプレーイオン化質量分析と、「HR」は高分解能と、「HRMS」は高分解能質量分析と、「LCMS」は液体クロマトグラフィー質量分析と、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーと、「RPHPLC」は逆相HPLCと、「TLC」または「tlc」は薄層クロマトグラフィーと、「NMR」は核磁気共鳴分光法と、「nOe」は核オーバーハウザー効果分光法と、「1H」はプロトンと、「δ」はデルタと、「s」は一重項と、「d」はニ重項と、「t」は三重項と、「q」は 四重項と、「m」は多重項と、「br」はブロードと、「Hz」はヘルツと定義され、「α」、「β」、「R」、「S」、「E」および「Z」は当業者に周知の立体化学記号である。
本発明の化合物は、有機合成の分野における当業者に公知の多くの方法にて調製され得る。
IV.生化学
血液凝固は生物の止血を制御するのに不可欠であるが、多くの病状にも関与する。血栓症においては、血餅または血栓が形成され、それらが循環を局所的に塞ぎ、虚血および組織損傷を引き起こす。あるいはまた、血栓形成として知られるプロセスにおいて、血餅が剥がれ、その後で遠位の血管でトラップされ、そこで再び虚血および組織損傷を引き起こす。病理学的血栓形成から起こる疾患は、総合的に血栓塞栓性障害と称され、これらには急性冠症候群、不安定狭心症、心筋梗塞、心臓腔における血栓症、虚血性脳卒中、深部静脈血栓症、末梢閉塞性動脈症、一過性虚血性発作および肺塞栓症が挙げられる。さらに、血栓症は、血液と接触する人工物の表面、例えば、カテーテル、ステント、人工心臓弁および血液透析膜においても起こりうる。
いくつかの条件(例えば、血管壁の変化、血流の変化および血管のコンパートメントの組成の変化)が、血栓症を発症するリスクに寄与する。これらの危険因子は、総合的には、ウィルヒョーの3要素(Virchow's triad)と呼ばれる(Colman, R.W. et al., ed, Hemostasis and Thrombosis, Basic Principles and Clinical Practice, 5th Edition, p.853, Lippincott Williams & Wilkins(2006))。
抗血栓剤は、ウィルヒョーの3要素の1つまたは複数の素因となる危険因子があるため、閉塞性血栓形成を予防(一次予防)するのに、血栓塞栓性疾患を発症するリスクがある患者に頻繁に投与される。例えば、整形外科手術時(例えば、股関節置換および膝置換)において、抗血栓剤は外科手術に先立って頻繁に投与される。抗血栓剤は、血流の変化(うっ血)により起こる血栓形成促進性の刺激、外科手術により起こる可能性のある血管壁の損傷ならびに外科手術に関連する急性期応答による血液組成の変化を相殺する。一次予防のために抗血栓剤を用いる別の一例が、血栓性循環器疾患を発症するリスクのある患者に対する血小板活性化阻害剤であるアスピリンの投与である。この状況で十分に認識されている危険因子には、例えば年齢、男性、高血圧、糖尿病、脂質の変化および肥満が挙げられる。
抗血栓剤はまた、初回血栓性エピソードの後の二次予防にも適応される。例えば、第V因子の変異(第V因子ライデン変異としても公知)およびさらなる危険因子(例えば、妊娠)のある患者には、静脈血栓症の再発を予防するために抗凝固剤が投与される。別の一例は、急性心筋梗塞または急性冠動脈症候群の病歴のある患者における心血管イベントの二次予防を含む。臨床の場では、アスピリンとクロピドグレル(または他のチエノピリジン類)の併用が、第二の血栓性イベントを防止するのに用いられ得る。
抗血栓剤はまた、既に発症後の疾患状態を治療するために(即ち、その進行を停止させることで治療するためにも)投与される。例えば、深部静脈血栓症を呈する患者は、静脈閉塞のさらなる進行を防ぐために抗凝固剤(即ち、ヘパリン、ワルファリン、またはLMWH)で処置される。これらの薬剤はまた、時間と共に、血栓形成促進性因子と抗凝固剤/線維素溶解促進性経路のバランスが後者側に移動することにより、疾患状態の退縮を引き起こす。動脈血管床に関する例として、血管閉塞のさらなる進行を防ぎ、最終的に血栓性閉塞の退縮を引き起こすために、急性心筋梗塞または急性冠動脈症候群の患者をアスピリンおよびクロピドグレルで治療することが挙げられる。
このように、抗血栓剤は、血栓塞栓性障害の一次予防および二次予防(即ち、予防またはリスクの軽減)ならびに既に存在する血栓形成プロセスの治療に広く用いられている。血液凝固を阻害する薬物、または抗凝固剤は、「pivotal agents for prevention and treatment of thromboembolic disorders」(Hirsh, J. et al., Blood, 105:453−463(2005))である。
血液凝固を開始する別の経路は、血液が人工物の表面に(例えば、血液透析中に、「オンポンプ」心臓血管外科手術の間に、血管移植片に、細菌性敗血症の治療の間に)、細胞表面、細胞の受容体、細胞片、DNA、RNAおよび細胞外マトリックス上に曝された場合に作動する。この過程は、接触活性化とも呼ばれる。第XII因子の表面への吸着により第XII因子の分子内で構造変化が起こり、タンパク分解活性を有する第XII因子分子(第XIIa因子および第XIIf因子)への活性化が促進される。第XIIa因子(または第XIIf因子)は、多くの標的タンパク(血漿プレカリクレインおよび第XI因子を含む)を有する。活性な血漿カリクレインは、第XII因子をさらに活性化し、接触活性化の増幅を引き起こす。あるいは、セリンプロテアーゼであるプロリルカルボキシルペプチダーゼは、細胞およびマトリックス表面で形成される多タンパク質複合体における高分子量キニノーゲンと複合体を形成した血漿カリクレインを活性化しうる(Shariat−Madar et al., Blood, 108:192−199(2006))。接触活性化は、血栓症および炎症の制御に部分的に関与する表面介在性プロセスであり、線維素溶解性の、補体による、キニノーゲン/キニンのおよび他の液性または細胞性経路により、少なくとも部分的に媒介される(参照として:Coleman, R., 「Contact Activation Pathway」, Hemostasis and Thrombosis, pp. 103−122, Lippincott Williams & Wilkins(2001);Schmaier, A.H., 「Contact Activation」, Thrombosis and Hemorrhage, pp. 105−128(1998))。接触活性化のシステムと血栓塞栓性疾患との生物学的関連は、第XII因子欠損マウスの表現型により支持される。より具体的には、第XII因子欠損マウスは、数種の血栓症モデルおよび脳卒中モデルにおいて血栓性血管閉塞から保護されており、第XII因子欠損マウスの表現型は第XI因子欠損マウスのものと同じであった(Renne et al., J. Exp. Med., 202:271−281(2005);Kleinschmitz et al., J. Exp. Med., 203:513−518(2006))。第XI因子が第XIIa因子より下流にあるという事実を、第XII因子および第XI因子欠損マウスの表現型が同じであることを考え合わせると、接触活性化のシステムがインビボにおいて第XI因子の活性化に重要な役割を果たすことが示唆される。
第XI因子は、トリプシン様セリンプロテアーゼの酵素前駆体であり、血漿中に比較的低濃度で存在している。内部R369−I370結合でのタンパク質分解活性化により、重鎖(369個のアミノ酸)および軽鎖(238アミノ酸)が生じる。後者は、典型的なトリプシン様の触媒性3要素(H413、D464およびS557)を含有する。トロンビンによる第XI因子の活性化は、負に帯電した表面、特に活性化血小板の表面で起こると考えられている。血小板は、活性化された第XI因子に高親和性(0.8nM)の特異的部位(130−500/血小板)を含む。活性化後、第XIa因子は表面に結合した状態で留まり、第IX因子をその正常な高分子基質として認識する(Galiani, D., Trends Cardiovasc. Med., 10:198−204(2000))。
上記のフィードバック活性化メカニズムに加え、トロンビンは、フィブリンのC末端側のリシンおよびアルギニン残基を切断し、フィブリンの組織型プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)依存性プラスミノーゲン活性化を促進する能力を弱める血漿カルボキシペプチダーゼであるトロンビン活性化線溶阻害因子(TAFI)を活性化する。FXIaに対する抗体の存在下において、血餅の分解は血漿TAFI濃度に依存することなくより迅速に起こる(Bouma, B. N. et al., Thromb. Res., 101:329−354(2001))。そのため、第XIa因子の阻害剤は、抗凝固性および線維素溶解促進性であることが期待される。
第XI因子を標的とすることによる抗血栓塞栓性効果に関するさらなる証拠は、第XI因子欠損マウスから得られる。第XI因子を完全に欠損させることにより、塩化鉄(FeCl3)誘発性頸動脈血栓症からマウスが保護されることが示されている(Rosen et al., Thromb. Haemost., 87:774−777(2002);Wang et al., J. Thromb. Haemost., 3:695−702(2005))。また、第XI因子の欠損により、完全なプロテインC欠損の出生時致死性の表現型がレスキューされる(Chan et al., Amer. J. Pathology, 158:469−479(2001))。さらに、ヒト第XI因子に対するヒヒ交差反応性機能遮断抗体により、ヒヒは、動脈−静脈シャント血栓症から保護される(Gruber et al., Blood, 102:953−955(2003))。第XIa因子の低分子阻害剤が抗血栓性作用を有する証拠が、米国特許公開番号第2004/0180855A1においても開示されている。照らし合わせると、これらの研究は、第XI因子を標的とすることにより、血栓性および血栓塞栓性疾患の罹患が低減する傾向にあることを示唆する。
遺伝学的証拠により、第XI因子が正常な止血には必要ないことが示唆されており、競合的な抗血栓性のメカニズムに比べて第XI因子のメカニズムの優れた安全性プロファイルが暗示される。血友病A(第VIII因子の欠損)または血友病B(第IX因子の欠損)とは反対に、第XI因子欠損(血友病C)を引き起こす第XI因子遺伝子の変異は、主に、術後出血または外傷後出血によって特徴付けられるが、特発性出血であることはまれであり、軽度から中等度の出血性素因しか引き起こさない。術後出血は殆どの場合、高濃度の内因性の線維素溶解活性を有する組織(例えば、口腔および泌尿生殖器系)において起こる。大半の症例は、幸運なことに、何ら出血の前病歴を伴わなくても術前のaPTT(内因系)の長期化により特定される。
抗凝血療法としての第XIa因子阻害の高い安全性は、第XI因子ノックアウトマウス(検出可能な第XI因子タンパクが存在しない)が正常に発達し、通常の寿命を有するという事実によってさらに支持される。突発性出血の証拠は確認されていない。aPTT(内因系)は、遺伝子量依存的様式にて長くなる。興味深いことに、血液凝固系の激しい刺激(尾の切断)後でさえ、出血時間は、野生型およびヘテロ接合性同腹仔に比べて有意に延びることはなかった(Gailani, D., Frontiers in Bioscience, 6:201−207(2001);Gailani, D. et al., Blood Coagulation and Fibrinolysis, 8:134−144(1997))。考え合わせると、これらの観察結果により、第XIa因子の高レベルの阻害は十分容認され得ることが示唆される。この事は、第XII因子を除く他の凝固因子の遺伝子を標的とした実験と対照的である。
インビボにおける第XI因子の活性化は、C1阻害剤またはアルファ1アンチトリプシンとの複合体の形成により決定することができる。50人の急性心筋梗塞(AMI)の患者を用いる研究において、約25%の患者が複合体ELISAの正常値の上限を上回る値を有していた。第二の研究は、少なくともAMI患者の部分集団において、第XI因子の活性化がトロンビン形成に関与することの証拠であると見做すことができる(Minnema, M.C. et al., Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 20:2489−2493(2000))。別の研究により、冠動脈硬化症の程度と、アルファ1アンチトリプシンとの複合体化した第XIa因子との間で正の相関関係が確立されている(Murakami, T. et al., Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol., 15:1107−1113(1995))。別の研究では、患者の中で90パーセンタイル値を超える第XI因子レベルが、静脈血栓症について危険性が2.2倍増大したことと関連していた(Meijers, J. C. M. et al., N. Engl. J. Med., 342:696−701(2000))。
また、活性化された部分トロンボプラスチン時間(aPTT)またはプロトロンビン時間(PT)アッセイなどのインビトロ凝血アッセイにて、既知のセリンプロテアーゼ阻害剤に比べて改善された活性を有する新たな化合物を見出すことが望ましい(aPTTおよびPTアッセイに関する記載は、Goodnight, S.H. et al., 「Screening Tests of Hemostasis」, Disorders of Thrombin and Hemostasis:A Clinical Guide, 2nd Edition, pp. 41−51, McGraw−Hill, New York (2001) を参照のこと)。
以下に例として挙げた1つまたは複数のカテゴリー:(a)経口バイオアベイラビリティ、半減期およびクリアランスを含めた薬物動態学的特徴;(b)薬理学的特徴;(c)投与必要量;(d)血中濃度の最高最低間特性を減少させる因子;(e)受容体に活性である薬物の濃度を上昇させる因子;(f)臨床における薬剤−薬剤間相互作用の不利益を減少させる因子;(g)有害な副作用の可能性を低減する因子(他の生物学的標的に対する選択性を含む);および(h)製造のコストまたは成否の可能性を改善する因子において、既知のセリンプロテアーゼ阻害剤に比べて有利かつ改善された特徴を有する化合物を見出すこともまた、望ましく、かつ好ましいが、これらに限定するものではない。
前臨床的な研究により、動脈および静脈血栓症のウサギおよびラットモデルにおいて、止血が維持される用量で、低分子の第XIa因子阻害剤の著しい抗血栓効果が証明された(Wong P.C. et al., American Heart Association Scientific Sessions, Abstract No. 6118, November 12-15, 2006; Schumacher, W. et al., J. Thromb. Haemost., 3(Suppl. 1):P1228 (2005); Schumacher, W.A. et al., Eur. J. Pharmacol., 167-174 (2007))。さらに、特異的な第XIa因子阻害剤によるインビトロでのaPTTの延長は、本発明者らの血栓症モデルにおける効果の優れた予測因子である。そのため、インビトロでのaPTT検査はインビボにおける効果の代替試験として用いることができる。
本明細書中で用いられるように、「患者」なる語は全ての哺乳類を包含する。
本明細書中で用いられるように、「治療する」または「治療」は、哺乳類、特にヒトにおける疾患状態の治療を包含し、(a)疾患状態を阻害すること、即ち、その進行を停止させること;および/または(b)疾患状態を軽減すること、即ち、疾患状態の退縮を引き起こすことを包含する。
本明細書において使用されるように、「予防(prophylaxis)」または「防止」は、臨床的な疾患状態が出現する可能性を低減することを目的とした哺乳類、特にヒトにおける亜臨床的な疾患状態の防止的治療にまで及ぶ。患者は、一般的な集団に比べて臨床的な疾患状態に罹患するリスクを増大させることが知られている因子に基づき予防的治療のために選択される。「予防」的治療は、(a)一次予防および(b)二次予防に分類できる。一次予防は、未だ臨床的な疾患状態を呈していない対象における治療として定義され、それに対して二次予防は、同じまたは類似の臨床的な疾患状態の2回目の出現を防止するものとして定義される。
本明細書中で用いられるように、「リスクの軽減」は、臨床的な疾患状態の発症率を低下させる治療にまで及ぶ。一次および二次予防の治療それ自体がリスクの軽減の例である。
「治療上の有効量」は、第XIa因子および/または血漿カリクレインを阻害しおよび/または本明細書中で提示される障害を予防もしくは治療するために単独でまたは併用して投与された場合に有効である本発明の化合物の量を包含すると意図される。併用に適用される場合、かかる用語は、組み合わせて、連続して、または同時に投与されるかで予防または治療効果をもたらす活性成分を組み合わせた量をいう。
「血栓症」なる語は、本明細書中で用いられるように、血栓の形成または出現;該血管により血液が供給される組織の虚血または梗塞を引き起こし得るような血管における凝血槐の形成をいう。「塞栓形成」なる語は、本明細書中で用いられるように、血流によりその堆積拠点に運搬された凝血槐または異物による動脈の突然の遮断をいう。「血栓塞栓形成」なる語は、本明細書中で用いられるように、血流によりその形成場所から運搬されて別の血管を塞ぐ血栓性物質による血管の閉塞をいう。「血栓塞栓性障害」なる語は、「血栓性」および「塞栓性」障害(上と同義)を含意する。
「血栓塞栓性障害」なる語は、本明細書中で用いられるように、動脈性心血管系血栓塞栓性障害、静脈性心血管系または脳血管血栓塞栓性障害、および心臓内腔または末梢血液循環における血栓塞栓性障害を含む。「血栓塞栓性障害」なる語はまた、本明細書中で用いられるように、不安定狭心症もしくは他の急性冠症候群、心房細動、初回もしくは再発性心筋梗塞、虚血性突然死、一過性脳虚血発作、脳卒中、アテローム動脈硬化症、末梢性閉塞性動脈疾患、静脈血栓症、深部静脈血栓症、血栓性静脈炎、動脈塞栓症、冠動脈血栓症、大脳動脈血栓症、脳塞栓症、腎塞栓症、肺塞栓症、ならびに血栓症を促進するような人工物の表面に血液が曝露されるような医療用インプラント、デバイス、または手法により生じる血栓症から選択される特定の障害を含むが、これらに限定するものではない。医療用インプラントまたはデバイスは、例えば、限定されないが、人工弁、人造弁、留置カテーテル、ステント、血液酸素付加装置、シャント、動脈ライン、心臓補助装置および人工心臓もしくは人工心内腔、ならびに血管移植片である。該治療は、例えば、限定されないが、心肺バイパス術、経皮的冠動脈形成術および血液透析である。別の実施態様において、「血栓塞栓性障害」なる語は、急性冠症候群、脳卒中、深部静脈血栓症および肺塞栓症を含む。
別の実施態様において、本発明は、血栓塞栓性障害(ここで、血栓塞栓性障害とは、不安定狭心症、急性冠症候群、心房細動、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、脳卒中、アテローム動脈硬化症、末梢性閉塞性動脈疾患、静脈血栓症、深部静脈血栓症、血栓性静脈炎、動脈塞栓症、冠動脈血栓症、大脳動脈血栓症、脳塞栓症、腎塞栓症、肺塞栓症、ならびに血液が血栓症を促進する人工物の表面に曝されるような医療用インプラント、デバイスまたは治療手順により引き起こされる血栓症から選択される)の治療方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、血栓塞栓性障害(ここで、血栓塞栓性障害は、急性冠症候群、脳卒中、静脈血栓症、心房細動、ならびに医療用インプラントおよびデバイスにより引き起こされる血栓症から選択される)の治療方法を提供する。
別の実施態様において、本発明は、血栓塞栓性障害(ここで、血栓塞栓性障害は、不安定狭心症、急性冠症候群、心房細動、心筋梗塞、虚血性突然死、一過性脳虚血発作、脳卒中、アテローム動脈硬化症、末梢性閉塞性動脈疾患、静脈血栓症、深部静脈血栓症、血栓性静脈炎、動脈塞栓症、冠動脈血栓症、大脳動脈血栓症、脳塞栓症、腎塞栓症、肺塞栓症、ならびに血液が血栓症を促進する医療用インプラント、デバイスまたは人工物の表面に曝されるような治療により引き起こされる血栓症から選択される)の一次予防のための方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、血栓塞栓性障害(ここで、血栓塞栓性障害は、急性冠症候群、脳卒中、静脈血栓症、ならびに医療用インプラントおよびデバイスにより引き起こされる血栓症から選択される)の一次予防のための方法を提供する。
別の実施態様において、本発明は、血栓塞栓性障害(ここで、血栓塞栓性障害は、不安定狭心症、急性冠症候群、心房細動、再発性心筋梗塞、一過性脳虚血発作、脳卒中、アテローム動脈硬化症、末梢性閉塞性動脈疾患、静脈血栓症、深部静脈血栓症、血栓性静脈炎、動脈塞栓症、冠動脈血栓症、大脳動脈血栓症、脳塞栓症、腎塞栓症、肺塞栓症、ならびに血液が血栓症を促進する医療用インプラント、デバイス、または人工物の表面に曝されるような治療により引き起こされる血栓症から選択される)の二次予防のための方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、血栓塞栓性障害(ここで、血栓塞栓性障害は、急性冠症候群、脳卒中、心房細動および静脈血栓症から選択される)の二次予防のための方法を提供する。
「脳卒中」なる語は、本明細書中で用いられるように、総頸動脈、内頸動脈または脳内動脈における閉塞性血栓により起こる塞栓性脳卒中またはアテローム血栓性脳卒中を意味する。
血栓症には、血管閉塞(例えば、バイパス手術後の)および再狭窄(例えば、経皮的冠動脈形成術中または後)が含まれることに留意されたい。血栓塞栓性障害は、例えば、限定されないが、アテローム動脈硬化症、外科手術または外科合併症、長期に亘る安静、心房細動、後天性血栓素因、癌、糖尿病、薬物療法またはホルモンの作用および妊娠合併症の病状により引き起こされることもある。
血栓塞栓性障害は、アテローム動脈硬化症の患者に併存することが多い。アテローム動脈硬化症の危険因子は、例えば、限定されないが、男性、性別、年齢、高血圧、脂質障害、糖尿病である。アテローム動脈硬化症の危険因子は、同時に、アテローム動脈硬化症の合併症、即ち、血栓塞栓性障害の危険因子でもある。
同様に、心房細動は、血栓塞栓性障害と関連することが多い。心房細動およびそれに続く血栓塞栓性障害の危険因子は、循環器疾患、リウマチ性心疾患、非リウマチ性僧帽弁疾患、高血圧性循環器疾患、慢性肺疾患、ならびに多岐に亘る様々な心臓の異常および甲状腺中毒症である。
真性糖尿病は、アテローム性動脈硬化症および血栓塞栓性障害と関連することが多い。より一般な2型の危険因子には、それだけに限らないが、家族歴、肥満、運動不足、人種/民族性、空腹時血糖または糖負荷試験における異常の病歴、妊娠真性糖尿病の病歴もしくは「ビッグ・ベイビー」の分娩歴、高血圧、低HDLコレステロールおよび多嚢胞性卵巣症候群である。
先天性血栓素因の危険因子は、例えば、血液凝固因子の機能獲得型変異、または抗凝固性経路もしくは線維素溶解性経路の機能喪失型変異である。
血栓症は様々なタイプの腫瘍、例えば、膵臓癌、乳癌、脳腫瘍、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、消化器悪性腫瘍およびホジキン病または非ホジキンリンパ腫と関連している。近年の研究により、血栓症を伴う患者の頻度が一般集団において特定の癌タイプの頻度を反映することが示唆された(Levitan, N. et al., Medicine(Baltimore), 78(5):285−291(1999);Levine M. et al., N. Engl. J. Med., 334(11):677−681(1996);Blom, J.W. et al., JAMA, 293(6):715−722(2005))。即ち、血栓症と関連する大部分の一般の癌は、男性においては、前立腺癌、結腸直腸癌、脳腫瘍および肺癌であり、女性においては、乳癌、卵巣癌および肺癌である。癌患者において見られる静脈血栓塞栓形成(VTE)速度は著しく高い。異なるタイプの腫瘍における様々なVTE速度は、患者集団の選択と関連している可能性が最も高い。血栓症のリスクを有する癌患者は、以下の危険因子のいずれかまたは全てを有する可能性がある:(i) 癌のステージ(即ち、転移していること)、(ii) 中心静脈カテーテルの存在、(iii) 外科手術および化学療法を含む抗癌療法、ならびに(iv) ホルモンおよび抗血管新生薬。故に、血栓塞栓性障害を予防するために進行した癌患者にヘパリンまたは低分子ヘパリンを投与することは臨床現場で一般的に行われることである。多くの低分子量ヘパリン製剤がこの目的のためにFDAに認可されている。
医療的な癌患者においてVTEの予防を考慮する際には3つの主要な臨床的状況が存在する:(i)患者が長期間寝たきりであること;(ii)外来患者が化学療法または放射線療法を受けていること;(iii)患者が中心静脈カテーテルを留置されていること。未分画ヘパリン(UFH)および低分子量ヘパリン(LMWH)は、外科手術を受けている患者における有効な抗血栓剤である(Mismetti, P. et al., British J. Surg., 88:913−930(2001))。
A.インビトロアッセイ
血液凝固第XIa、VIIa、IXa、Xa、XIIa因子、血漿カリクレインまたはトロンビンの阻害剤としての本発明の化合物の有効性は、それぞれ関連する精製セリンプロテアーゼおよび適当な合成基質を用いて決定することができる。関連するセリンプロテアーゼによる化学発光基質または蛍光基質の加水分解速度を、本発明の化合物の非存在下または存在下において測定した。基質の加水分解によりpNA(パラニトロアニリン)が放出され、それを405nmにおける吸光度の増加を測定することにより分光光度的にモニターするか、あるいはAMC(アミノメチルクマリン)の放出を、380nmでの励起による460nmでの発光の増加を測定することにより分光蛍光分析的にモニターした。阻害剤の存在下における吸光度または蛍光変化率の減少は酵素の阻害を意味する。かかる方法は当業者には周知のものである。このアッセイの結果は、阻害定数Kiとして表す。
第XIa因子の測定は、pH7.4における50mM HEPESバッファー(145mM NaCl、5mM KClおよび0.1% PEG8000(ポリエチレングリコール(JT Baker or Fisher Scientific)含有)中で行われた。測定は、最終濃度25〜200pM(Haematologic Technologies)の精製ヒト第XIa因子および0.0002〜0.001Mの濃度の合成基質S−2366(pyroGlu−Pro−Arg−pNA;CHROMOGENIX(登録商標)またはAnaSpec)を用いて行った。
第VIIa因子の測定は、0.005M塩化カルシウム、0.15M 塩化ナトリウム、0.05M HEPESバッファー(0.1%PEG 8000含有,pH7.5)中で行った。測定は、最終アッセイ濃度0.5〜10nMの精製ヒト第VIIa因子(Haematologic Technologies)または組み換えヒト第VIIa因子(Novo Nordisk)、10〜40nMの濃度の組み換え可溶性組織因子および0.001〜0.0075Mの濃度の合成基質H−D−Ile−Pro−Arg−pNA(S−2288;CHROMOGENIX(登録商標)またはBMPM−2;AnaSpec)を用いて行った。
第IXa因子の測定は、0.005M塩化カルシウム、0.1M塩化ナトリウム、0.0000001Mレフルダン(Berlex)、0.05M TRIS塩基および0.5% PEG 8000(pH7.4)中で行った。レフルダンは、市販のヒト第IXa因子製品中の少量のトロンビンを阻害するために加えられた。測定は、最終アッセイ濃度20〜100nMの精製ヒト第IXa因子(Haematologic Technologies)および0.0004〜0.0005Mの濃度の合成基質PCIXA2100−B(CenterChem)またはPefafluor IXa 3688(H-D-Leu-Ph'Gly-Arg-AMC;CenterChem)を用いて行った。
第Xa因子の測定は、0.1M リン酸ナトリウムバッファー(pH7.5、0.2M 塩化ナトリウムおよび0.5%PEG 8000含有)中で行った。測定は、最終アッセイ濃度150〜1000pMの精製ヒト第Xa因子(Haematologic Technologies)および0.0002〜0.00035Mの濃度の合成基質S−2222(Bz-Ile-Glu(gamma-OMe, 50%)-Gly-Arg-pNA;CHROMOGENIX(登録商標))を用いて行った。
第XIIa因子の測定は、0.05M HEPESバッファー(pH7.4、0.145M NaCl、0.05M KClおよび0.1%PEG8000含有)中で行った。測定は、最終濃度4nMの精製ヒト第XIIa因子(American Diagnostica)および0.00015Mの濃度の合成基質SPECTROZYME(登録商標)#312(H−D−CHT−Gly−L−Arg−pNA.2AcOH;American Diagnostica)を用いて行った。
血漿カリクレインの測定は、0.1 Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5、0.1〜0.2M塩化ナトリウムおよび0.5%PEG 8000含有)中で行った。測定は、最終アッセイ濃度200pMの精製ヒト血漿カリクレイン(Enzyme Research Laboratories)および0.00008〜0.0004Mの濃度の合成基質S-2302(H-(D)-Pro-Phe-Arg-pNA;CHROMOGENIX(登録商標))を用いて行った。
トロンビンの測定は、0.1Mリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5、0.2M塩化ナトリウムおよび0.5%PEG 8000含有)中で行った。測定は、最終アッセイ濃度200〜250pMの精製ヒトアルファトロンビン(Haematologic Technologies or Enzyme Research Laboratories)および0.0002〜0.0004Mの濃度の合成基質S−2366(pyroGlu−Pro−Arg−pNA;CHROMOGENIX(登録商標)またはAnaSpec)を用いて行った。
各プロテアーゼによる基質の加水分解のミカエリス定数Kmは、25℃または37℃で阻害剤の不存在の下で決定した。Ki値は、プロテアーゼを阻害剤の存在下において基質と反応させることにより決定した。反応は、20〜180分間(時間はプロテアーゼに依存する)行い、速度(時間に対する吸光度または蛍光変化の割合)を測定した。以下の関係を用いて、Ki値を算出した:
(Vmax*S)/(Km+S);
結合部位が1個の場合の競合阻害剤について、
(vo−vs)/vs=I/(Ki*(1+S/Km));または
vs/vo=A+((B−A)/(1+(IC50/(I))n))であり;および
競合阻害剤については、Ki=IC50/(1+S/Km)であり、
式中、
voは、阻害剤の非存在下におけるコントロールの速度であり;
vsは、阻害剤の存在下における速度であり;
Vmaxは、最大反応速度であり;
Iは、阻害剤濃度であり;
Aは、残存最小活性(通常は0に固定)であり;
Bは、残存最大活性(通常は1.0に固定)であり;
nは、ヒル係数(潜在的な阻害剤結合部位の数および協同性の尺度)であり;
IC50は、アッセイ条件下において50%の阻害が得られる阻害剤濃度であり;
Kiは、酵素−阻害剤複合体の解離定数であり;
Sは、基質濃度であり;
Kmは基質のミカエリス定数である。
化合物の選択性は、所与のプロテアーゼのKi値と目的とするプロテアーゼのKi値の比を取ることにより評価し得る(即ち、FXIa対プロテアーゼPの選択性=プロテアーゼPについてのKi/FXIaについてのKi)。選択性の比>20を有する化合物を選択的であると見做す。
血液凝固の阻害剤としての本発明の化合物の有効性は、標準的な凝固アッセイまたは改変された凝固アッセイを用いて決定することができる。阻害剤の存在下における血漿凝固時間の延長は、抗血液凝固作用の指標となる。相対的血液凝固時間は、阻害剤存在下における血液凝固時間を阻害剤非存在下における血液凝固時間で割ったものである。このアッセイの結果は、血液凝固時間をそれぞれ50または100%まで延長させることに必要な阻害剤濃度として、各々IC1.5xまたはIC2xとして表してもよい。IC1.5xまたはIC2xは、IC1.5xまたはIC2xに及ぶ阻害剤濃度を用いて、相対的血液凝固時間と阻害剤濃度のプロットの線形補間により求められる。
血液凝固時間は、クエン酸塩を添加した正常ヒト血漿および多くの実験動物(例えば、ラットまたはウサギ)から得た血漿を用いて決定する。化合物を10mM DMSOストックから始めて血漿に希釈する。DMSOの最終濃度は2%未満とする。結晶凝固アッセイは、自動血液凝固測定装置(Sysmex, Dade−Behring, Illinois)で行われる。同様に、血液凝固時間は、本発明の化合物を投与した実験動物またはヒトから求めることができる。
活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)は、ACTIN(登録商標)(Dade−Behring, Illinois)を用いて添付説明書の指示に従い決定する。血漿(0.05mL)を37℃で1分間加熱する。ACTIN(登録商標)(0.05mL)を該血漿に加え、さらに2〜5分間インキュベートする。塩化カルシウム(25mM、0.05mL)を、反応混合物に加えて凝固を開始させる。血液凝固時間とは、塩化カルシウムを添加した瞬間から血餅が検出されるまでの時間(秒)である。
プロトロンビン時間(PT)は、トロンボプラスチン(Thromboplastin C PlusまたはINNOVIN(登録商標), Dade-Behring, Illinois)を用いて添付説明書の指示に従い決定する。血漿(0.05mL)を37℃で1分間温める。トロンボプラスチン(0.1mL)を該血漿に加えて凝固を開始させる。血液凝固時間は、トロンボプラスチンを添加した瞬間から血餅が検出されるまでの時間(秒)である。
以下に開示される例示の実施例を、前記の第XIa因子アッセイで試験し、第XIa因子阻害活性を有することを見出した。<10 μM(10000 nM)の範囲の第XIa因子阻害活性(Ki値)が観察された。以下の表1は、以下の実施例のために37℃で測定した第XIa因子のKi値を挙げたものである。
V.医薬組成物、製剤および合剤
本発明の化合物は、錠剤、カプセル剤(それぞれ、徐放性製剤または放出遅延製剤を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁液、シロップ剤および乳剤といった経口投与剤形で投与することができる。それらはまた、静脈内(ボーラスまたは点滴)、腹腔内、皮下、または筋肉内剤形の全て製剤学分野の当業者に周知である投与剤形を用いて投与することができる。それらはそれ自体単独で投与されてもよいが、通常、投与経路および標準的な製剤学的基準に基づき選択される医薬的担体と共に投与されるであろう。
「医薬組成物」なる語は、本発明の化合物を少なくとも1つのさらなる医薬的に許容される担体と組み合わせて含む組成物を意味する。「医薬的に許容される担体」は、哺乳類、特にヒトへの生理活性薬剤の送達の分野で一般的に許容される媒体、例えば、アジュバンド、希釈剤などの賦形剤もしくはビヒクル、保存料、増量剤、流動性制御剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、香料、芳香剤、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤および分散剤を意味し、これらは投与経路および投与剤形の性質に依存する。医薬的に許容される担体は、当業者に周知の数多くの因子に従い製剤化される。これらは、例えば、限定されないが、製剤化される活性薬剤の種類および性質;薬剤を含む組成物を投与する対象;該組成物の意図される投与経路;目標の治療指標である。医薬的に許容される担体は、水性および非水性の液体媒体、ならびに様々な固形および半固形の投与剤形を含む。かかる担体は、活性成分に加えて数多くの異なる成分および添加剤を含み得、かかるさらなる成分は、当業者に周知の様々な理由、例えば、活性薬剤や結合剤の安定化などの理由で該生成物剤に含まれる。適当な医薬的に許容される担体およびそれらの選択に関与する因子に関する記述は、容易に入手できる様々な情報源、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition(1990)に見られる。
本発明の化合物の投薬レジメンは、当然のことながら、特定の薬剤の薬物動態学的性質ならびにその投与方法および投与経路;レシピエントの種、年齢、性別、健康状態、医学的状態および体重;症状の性質および度合い;現在行われている治療の種類;治療頻度;投与経路、患者の腎機能および肝機能、ならびに目的とする効果といった周知の因子に依存して異なる。医師または獣医師は、血栓塞栓性障害を予防、対抗、またはその進行を停止させるために必要な薬剤の有効量を決定、処方することができる。
一般的な指標として、各活性成分の1日あたりの経口投与量は、指示された効果に用いる場合、1日あたり約0.001から約1000mg/kg体重、好ましくは約0.01から約100mg/kg体重、最も好ましくは約0.1から約20mg/kg/日の範囲にある。静脈内投与の場合、もっとも好ましい用量は持続静注において約0.001から約10mg/kg/分の範囲にある。本発明の化合物は、1日あたり単回投与でもよく、あるいは、1日あたりの総用量を1日2、3、または4回に分割した用量で投与してもよい。
本発明の化合物はまた、非経口投与(例えば、静脈内、動脈内、筋肉内もしくは皮下)で投与されてもよい。静脈内または動脈内投与される場合、投与量は連続的または断続的に投与されてもよい。さらに、製剤は、活性薬理成分を徐放するために筋肉内または皮下送達用に開発されてもよい。一の実施形態において、医薬組成物は、固体製剤、例えばそのまま使用できる噴霧乾燥組成物、または医師または患者が使用する前に溶媒および/または希釈剤を組成物に加えて使用できる噴霧乾燥組成物である。
本発明の化合物は、適当な経鼻用ビヒクルを局所的に用いた経鼻投与剤形、または経皮パッチを用いた経皮経路で投与することができる。経皮送達システムの剤形で投与される場合、この剤形の投与は、当然のことながら、投薬レジメンを通して断続的というよりもむしろ連続的なものとなろう。
該化合物は、典型的には、意図される投与剤形、例えば、経口錠剤、カプセル剤、エリキシル剤およびシロップ剤などに基づき、一般的な製剤学的基準に一致して適切に選択される適当な医薬的希釈剤、賦形剤または担体(本明細書中では医薬的担体と総称する)との混合物において投与される。
例えば、錠剤またはカプセル剤の剤形における経口投与では、活性薬剤成分は経口用の無毒な医薬的に許容される不活性な担体、例えば、ラクトース、デンプン、スクロース、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、マンニトール、ソルビトールなどと組み合わせて投与することができ;液剤の剤形の経口投与では、経口薬剤成分は任意の経口用の無毒な医薬的に許容される不活性な担体、例えば、エタノール、グリセロール、水などと組み合わせて投与することができる。さらに、望ましいか、または必要な場合、適当な結合剤、滑沢剤、崩壊剤および着色料もまた、混合物に組み込まれてもよい。適当な結合剤は、例えば、デンプン、ゼラチン、グルコースもしくはベータ−ラクトースといった天然糖、トウモロコシ甘味料、天然もしくは合成ゴム(アカシア粘液、トラガカントもしくはアルギン酸ナトリウムなど)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどである。これらの投与剤形に用いられる滑沢剤は、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどである。崩壊剤は、例えば、限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどである。
本発明の化合物はまた、小さな単膜小胞、大きな単膜小胞および多重膜小胞などといったリポソーム送達システムの剤形において投与することができる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンといった種々のリン脂質から形成することができる。
本発明の化合物はまた、標的指向化が可能な薬剤単体としての可溶性ポリマーと組み合わせて投与されてもよい。かかるポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノールまたはパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド−ポリリジンである。さらに、本発明の化合物は、薬剤の放出制御の達成に有用な種類の生物分解性ポリマー類、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸およびポリグリコール酸の共重合体、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアシレートおよびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロック共重合体と組み合わせて投与されてもよい。固溶体は固体分散体とも称される。ある実施態様において、本明細書に記載の化合物を噴霧乾燥分散体(SDD)として処方する。SDDはポリマーマトリックス中の薬物の単相非晶質分子分散体である。それは薬物およびポリマーを溶媒(例えば、アセトン、メタノール等)に溶解させ、該溶液を噴霧乾燥させることにより調製される固溶体である。溶滴から溶媒が速やかに蒸発し、ポリマーと薬物の混合物が速やかに固化し、薬物が非晶質分子分散体として非晶質形態中に補捉される。
投与に適した投与剤形(医薬組成物)は、用量単位当たり約1ミリグラムから約1000ミリグラムの活性成分を含んでいてもよい。これらの医薬組成物において、活性成分は、一般的に、該医薬組成物の総重量の約0.1〜95重量%の量にて存在するであろう。
ゼラチンカプセルは、活性成分および粉末の担体、例えば、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などを含んでいてもよい。同様の希釈剤が圧縮錠剤の製造に用いることができる。錠剤およびカプセル剤は共に、長時間に亘り薬剤の継続的な放出を提供する徐放性製剤として製造されてもよい。圧縮錠剤は、任意の不快な味をマスクするために糖衣またはフィルムコーティングされてもよく、あるいは、胃腸管中で選択的に分解されるために腸溶性コーティングが施されてもよい。
経口投与用の液剤の剤形は患者の服薬向上のため、着色料および香料を含んでもよい。
一般的に、水、適当な油脂、生理食塩水、デキストロース(グルコース)水溶液および関連する糖の溶液、ならびにプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコール類は、非経口溶液の適当な担体である。非経口投与用の溶液は、活性成分の水溶性の塩、適当な安定化剤および必要な場合、緩衝物質を含んでいてもよい。亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、またはアスコルビン酸は、単独または組み合わせにおいて、適当な安定化剤である。クエン酸およびその塩、ならびにEDTAナトリウムも用いられる。さらに、非経口溶液は、塩化ベンザルコニウム、メチル−またはプロピルパラベンおよびクロロブタノールなどの防腐剤を含んでいてもよい。
適当な医薬的担体は、この分野の標準的なテキストであるRemington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Companyに記載されている。
本発明の化合物が別の抗凝固剤と組み合わされる場合、例えば、1日用量は、患者の体重1kgあたり約0.1から約100ミリグラムの本発明の化合物および約0.1から約100ミリグラムの別の抗凝固剤であってもよい。錠剤の剤形の場合、一般的に、本発明の化合物は約5から約300ミリグラム/投与単位、第2の抗凝固剤は約1から約500ミリグラム/投与単位で存在する。
本発明の化合物が抗血小板薬と組み合わせて投与される場合、一般的な指標として、典型的には1日用量は患者の体重1キログラムあたり約0.01〜約300ミリグラムの本発明の化合物および約50から約150ミリグラムの抗血小板薬、好ましくは約0.1〜約4ミリグラムの本発明の化合物および約1から約3ミリグラムの抗血小板薬であってもよい。
本発明の化合物が血栓溶解剤と組み合わせて投与される場合、典型的には、1日用量は、患者の体重1キログラムあたり約0.1〜約100ミリグラムの本発明の化合物であり、血栓溶解剤に関しては、本発明の化合物と組み合わされる場合、単独で投与される場合の通常の用量を約50〜80%減らしてもよい。
特に単一投与単位として提供される場合、組み合わされた活性成分間の化学的相互作用が起こる可能性がある。このため、本発明の化合物および第2の治療薬が、単一の投与単位に組み合わされる場合、それらは、活性成分が単一の投与単位に組み合わされるが、活性成分間の物理的接触は最小限に抑えられる(即ち、軽減される)ように単一投与単位に製剤化される。例えば、1つの活性成分が腸溶性コーティングされてもよい。1つの活性成分を腸溶性コーティングすることにより、組み合わされた活性成分間の物理的接触が最小限となるだけでなく、これらの成分の1つが胃で放出されずに小腸で放出されるようになり、胃腸管内においてこれらの成分の1つの放出を制御することが可能となる。活性成分の1つは、胃腸管内を通して持続放出に作用し、組み合わされた活性成分の物理的接触を最小限にするようにも働く物質によりコーティングされてもよい。さらに、持続放出成分は、該成分の放出が小腸でのみ起こるようにさらに腸溶性コーティングされてもよい。さらなる別のアプローチは、1つの成分を持続および/または腸放出ポリマーでコーティングし、活性成分をさらに分離するため、他の成分を低粘度グレードのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)もしくは当業者に周知の別の物質などのポリマーでコーティングした組み合わせ製品の製剤に関連する。該ポリマーコーティングは、他の成分との相互作用に対するさらなるバリアーを形成するように機能する。
本発明の組み合わせ製剤における成分間の接触を最小限にするためのこれらの方法ならびに別の方法は、単一投与剤形で投与されるか、または別々の剤形だが同時に同じ方法で投与されるかにかかわらず、本開示に触れた当業者には容易に理解されるであろう。
別の実施態様において、本発明は、カリウムチャネル開口薬、カリウムチャネル遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、Na+/H+交換輸送体阻害剤、抗不整脈薬、抗アテローム硬化薬、抗凝固剤、抗血栓剤、血栓溶解促進剤、フィブリノーゲンアンタゴニスト、利尿薬、降圧剤、ATPase阻害剤、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤、抗糖尿病薬、抗炎症薬、抗酸化剤、血管新生モジュレーター、骨粗鬆症治療薬、ホルモン補充療法、ホルモン受容体モジュレーター、経口避妊薬、抗肥満薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗精神病薬、抗増殖薬、抗腫瘍薬、抗潰瘍薬および胃食道逆流症治療薬、成長ホルモン剤および/または成長ホルモン分泌促進薬、甲状腺ホルモン模倣薬、感染症治療薬、抗ウィルス薬、抗菌薬、抗真菌薬、コレステロール/脂質低下薬および脂質プロファイル療法ならびに虚血前処理および/または心筋スタニングを模倣する薬剤またはそれらの組み合わせから選択されるさらなる治療薬を含む医薬組成物を提供する。
別の実施態様において、本発明は、抗不整脈薬、降圧薬、抗凝固剤、抗血小板薬、トロンビン阻害剤、血栓溶解剤、線維素溶解薬、カルシウムチャネル遮断薬、カリウムチャネル遮断薬、コレステロール/脂質低下薬またはそれらの組み合わせから選択されるさらなる治療薬を含む医薬組成物を提供する。
別の実施態様において、本発明は、ワルファリン、未分画ヘパリン、低分子量ヘパリン、合成5糖類、ヒルジン、アルガトロバン、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、スリンダク、インドメタシン、メフェナム酸塩、ジピリダモール、ドロキシカム、ジクロフェナク、スルフィンピラゾン、ピロキシカム、チクロピジン、クロピドグレル、チロフィバン、エプチフィバチド、アブシキシマブ、メラガトラン、キシメラガトラン、ジスルファトヒルジン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、改変型組織プラスミノーゲンアクチベーター、アニストレプラーゼ、ウロキナーゼおよびストレプトキナーゼ、またはそれらの組み合わせから選択される治療薬を含む医薬組成物を提供する。
別の実施態様において、本発明は、さらなる治療薬が、ACE阻害剤、AT−1受容体アンタゴニスト、ベータ−アドレナリン受容体アンタゴニスト、ETA受容体アンタゴニスト、デュアルETA/AT−1受容体アンタゴニスト、レニン阻害剤(アリスケリン)およびバソペプチダーゼ阻害剤から選択される降圧薬、IKur阻害剤類から選択される抗不整脈薬、トロンビン阻害剤、アンチトロンビン−IIIアクチベーター、ヘパリン補助因子IIアクチベーター、他の第XIa因子阻害剤、他のカリクレイン阻害剤、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター(PAI−1)アンタゴニスト、トロンビン活性化線溶阻害因子(TAFI)阻害剤、第VIIa因子阻害剤、第IXa因子阻害剤および第Xa因子阻害剤から選択される抗凝固剤、またはGPIIb/IIIa遮断薬、GPIb/IX遮断薬、プロテアーゼ活性化受容体1(PAR−1)アンタゴニスト、プロテアーゼ活性化受容体4(PAR−4)アンタゴニスト、プロスタグランジンE2受容体EP3アンタゴニスト、コラーゲン受容体アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ−III阻害剤、P2Y1受容体アンタゴニスト、P2Y12アンタゴニスト、トロンボキサン受容体アンタゴニスト、シクロオキシゲナーゼ−1阻害剤およびアスピリンから選択される抗血小板薬、またはそれらの組み合わせから選択されるものである医薬組成物を提供する。
別の実施態様において、本発明は、さらなる治療薬が、抗血小板薬またはその組み合わせである医薬組成物を提供する。
別の実施態様において、本発明は、さらなる治療薬が、抗血小板薬クロピドグレルである医薬組成物を提供する。
本発明の化合物は、単独で投与されてもよく、あるいは1つまたはそれ以上のさらなる治療薬と組み合わせて投与されてもよい。「組み合わせて投与される」または「併用療法」により、本発明の化合物および1つまたはそれ以上のさらなる治療薬が、治療される哺乳類に同時に投与されることを意味する。組み合わせて投与される場合、各成分は同時または時間差で任意の順序において異なる時点で投与されてもよい。故に、各成分は、別々であるが目的の治療効果が提供されるに十分に近接した間隔にて投与されてもよい。
本発明の化合物と組み合わせて投与することができる化合物は、例えば、限定されないが、抗凝固剤、抗トロンビン薬、抗血小板薬、線維素溶解促進薬、脂質低下薬、降圧薬および抗虚血薬である。
本発明の化合物と組み合わせて用いられ得る他の抗凝固剤(または血液凝固阻害剤)は、例えば、ワルファリン、ヘパリン(未分画ヘパリンまたはあらゆる市販の低分子量ヘパリン、例えば、LOVENOX(登録商標))、合成5糖類、直接作動性トロンビン阻害剤(ヒルジンおよびアルガトロバン)、ならびに他の第VIIa因子阻害剤、第IXa因子阻害剤、第Xa因子阻害剤(例えば、ARIXTRA(登録商標)、アピキサバン、リバロキサバン、LY−517717、DU−176b、DX−9065a、ならびにWO98/57951、WO 03/026652、WO 01/047919およびWO 00/076970に開示されるもの)、第XIa因子阻害剤、ならびに当業者に周知の活性化TAFI阻害剤およびPAI−1阻害剤が含まれる。
「抗血小板薬(または血小板阻害薬)」なる語は、本明細書中で用いられるように、例えば、血小板の凝集、接着または顆粒内容物分泌を阻害することにより血小板の機能を阻害する薬剤を意味する。かかる薬剤は、例えば、限定されないが、様々な周知の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(例えば、アセトアミノフェン、アスピリン、コデイン、ジクロフェナク、ドロキシカム、フェンタニル、イブプロフェン、インドメタシン、ケトロラク、メフェナム酸塩、モルヒネ、ナプロキセン、フェナセチン、ピロキシカム、スフェンタニル、スルフィンピラゾン、スリンダク)およびその医薬的に許容される塩またはプロドラッグである。NSAIDの内、アスピリン(アセチルサリチル酸またはASA)およびピロキシカムが好ましい。他の適当な血小板阻害薬は、例えば、糖タンパク質IIb/IIIaアンタゴニスト(例えば、チロフィバン、エプチフィバチド、アブシキシマブおよびインテグレリン)、トロンボキサン−A2−受容体アンタゴニスト(例えば、イフェトロバン)、トロンボキサンA−シンターゼ阻害剤、ホスホジエステラーゼ−III(PDE−III)阻害剤(例えば、ジピリダモール、シロスタゾール)およびPDE−V阻害剤(例えば、シルデナフィル)、プロテアーゼ活性化受容体1(PAR−1)アンタゴニスト(例えば、E−5555、SCH−530348、SCH−203099、SCH−529153およびSCH−205831)、ならびにそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグである。
本発明の化合物と、または本発明の化合物およびアスピリンと組み合わせて用いられ得る適当な抗血小板薬の例は、ADP(アデノシン二リン酸)受容体アンタゴニスト、好ましくはプリン受容体P2Y1およびP2Y12のアンタゴニストであり、P2Y1がより好ましい。好ましいP2Y12受容体アンタゴニストは、例えば、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル、チカグレロールおよびカングレロールならびにそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグである。使用に際し、アスピリンに比べて胃腸管に対する影響が穏やかであることが知られているため、チクロピジンおよびクロピドグレルも好ましい化合物である。クロピドグレルがさらに好ましい薬剤である。
好ましい例は、本発明の化合物、アスピリンおよび別の1つの抗血小板薬の3つを組み合わせたものである。好ましくは、抗血小板薬はクロピドグレルまたはプラスグレルであり、より好ましくは、クロピドグレルである。
「トロンビン阻害剤(または抗トロンビン薬)」なる語は、本明細書中で用いられるように、セリンプロテアーゼトロンビンの阻害剤を意味する。トロンビンを阻害することにより、様々なトロンビンを介したプロセス、例えば、トロンビンを介した血小板の活性化(即ち、例えば、血小板凝集および/またはセロトニンを含む血小板顆粒内容物の分泌)および/またはフィブリンの形成が妨害される。数多くのトロンビン阻害剤が当業者に周知であり、これらの阻害剤を本発明の化合物と組み合わせて用いられることが意図される。かかる阻害剤は、例えば、限定されないが、ボロアルギニン誘導体、ボロペプチド、ヘパリン、ヒルジン、アルガトロバン、ダビガトラン、AZD−0837、ならびにWO98/37075およびWO 02/044145で開示されるもの、ならびにそれらの医薬的に許容される塩およびプロドラッグである。ボロアルギニン誘導体およびボロペプチドは、N−アセチルおよびボロン酸のペプチド誘導体、例えば、リシン、オルニチン、アルギニン、ホモアルギニンのC−末端のa−アミノボロン酸誘導体およびそれらの対応するイソチオウロニウムアナログを含む。「ヒルジン」なる語は、本明細書中で用いられるように、ジスルファトヒルジンといったヒルジンの適当な誘導体またはアナログ(本明細書中ではヒルログと呼ぶ)を含む。
「血栓溶解(または線維素溶解)薬(または血小板溶解薬もしくは線溶剤)」なる語は、本明細書中で用いられるように、血餅(血栓)を溶解する薬剤を意味する。かかる薬剤は、例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA、天然または組み換え)およびその修飾体、アニストレプラーゼ、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、テネクテプラーゼ(TNK)、ラノテプラーゼ(nPA)、第VIIa因子阻害剤、トロンビン阻害剤、第IXa、XaおよびXIa因子阻害剤、PAI−I阻害剤(即ち、組織プラスミノーゲンアクチベーターインヒビターの失活剤)、活性化TAFIの阻害剤、アルファ−2−アンチプラスミン阻害剤およびアニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼアクチベーター複合体、ならびにそれらの医薬的に許容される塩またはプロドラッグである。「アニストレプラーゼ」なる語は、本明細書中で用いられるように、例えば、欧州特許出願番号第028489号に開示されるアニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼアクチベーター複合体であり、その開示を引用により本明細書中に取り込む。用語「ウロキナーゼ」は、本明細書中で用いられるように、2本鎖および1本鎖のウロキナーゼを意味すると意図され、後者を本明細書中においてプロウロキナーゼと呼ぶ。
本発明の化合物と組み合わせて用いられ得る適当なコレステロール/脂質低下薬および脂質プロファイル治療薬の例は、例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンおよび他のスタチン類)、低密度リポタンパク質(LDL)受容体活性モジュレーター(例えば、HOE−402、PCSK9阻害剤)、胆汁酸捕捉剤(例えば、コレスチラミンおよびコレスチポル)、ニコチン酸またはその誘導体(例えば、NIASPAN(登録商標))、GPR109B(ニコチン酸受容体)モジュレーター、フェノフィブル酸誘導体(例えば、ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレートおよびベザフィブレート)および他のペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)アルファモジュレーター、PPARデルタモジュレーター(例えば、GW−501516)、PPARガンマモジュレーター(例えば、ロシグリタゾン)、PPARアルファ、PPARガンマおよびPPARデルタの様々な組み合わせに関する活性を調節する複数の機能を有する化合物、プロブコールまたはその誘導体(例えば、AGI−1067)、コレステロール吸収阻害剤および/またはニーマン・ピックC1様トランスポーター阻害剤(例えば、エゼチミベ)、コレステロールエステル転送タンパク阻害剤(例えば、CP−529414)、スクアレンシンターゼ阻害剤および/またはスクアレンエポキシダーゼ阻害剤またはそれらの混合物、アシルCoA・コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)1阻害剤、ACAT2阻害剤、デュアルACAT1/2阻害剤、回腸胆汁酸輸送阻害剤(またはアピカルナトリウム共依存性胆汁酸輸送阻害剤)、ミクロソーマルトリグリセリド輸送タンパク阻害剤、肝臓X受容体(LXR)アルファモジュレーター、LXRベータモジュレーター、LXRデュアルアルファ/ベータモジュレーター、FXRモジュレーター、オメガ3脂肪酸(例えば、3−PUFA)、植物スタノールおよび/または植物スタノールの脂肪酸エステル(例えば、BENECOL(登録商標)マーガリンに用いられるシトスタノールエステル)、内皮リパーゼ阻害剤およびコレステロールの逆転送を活性化するHDL機能模倣剤(例えば、apoAI誘導体またはapoAIペプチド模倣剤)である。
本発明の化合物はまた、例えば、トロンビン、第VIIa、IXa、Xa、XIa因子および/または血漿カリクレインの阻害に関連する試験またはアッセイの品質基準またはコントロールとして、スタンダードまたは対照化合物として有用である。かかる化合物は、市販のキット、例えば、トロンビン、第VIIa、IXa、Xa、XIa因子および/または血漿カリクレインに関わる薬学研究に用いるための市販のキットにおいて提供することができる。例えば、本発明の化合物は、その既知の活性を未知の活性を有する化合物と比較するアッセイにおけるリファレンスとして用いることができる。これにより、そのアッセイが適切に行われたことを実施者が確認し、特に、試験化合物がリファレンス化合物の誘導体である場合、比較の根拠が提供される。新たなアッセイまたはプロトコルを開発する場合、本発明の化合物はそれらの有効性の評価に用いることができる。
本発明の化合物はまた、トロンビン、第VIIa、IXa、Xa、XIa因子および/または血漿カリクレインが関与する診断アッセイに用いられてもよい。例えば、未知のサンプルにおけるトロンビン、第VIIa、IXa、Xa、XIaおよび/または血漿カリクレインの存在は、関連する発色性基質(例えば、第XIa因子の場合はS2366)および適宜本発明の化合物の1つを一連の試験サンプル含有溶液に加えることにより決定することができる。pNAの産生が試験サンプルを含む溶液で観察されるが、本発明の化合物の存在下では観察されない場合、第XIa因子が存在したと結論づける。
標的プロテアーゼに対して0.001μM以下のKi値を有し、他のプロテアーゼに対して0.1μM以上のKi値を有する本発明の非常に強力かつ選択的である化合物は、血清サンプルにおけるトロンビン、第VIIa、IXa、Xa、XIa因子および/または血漿カリクレインの定量化に関する診断アッセイに用いることもできる。例えば、血清サンプル中の第XIa因子の量は、本発明の強力な第XIa因子阻害剤を用い、関連する発色性基質S2366の存在下においてプロテアーゼ活性を注意深く滴定することにより決定することができる。
本発明の化合物は、製品も包含する。本明細書中で用いられるように、製品は、例えば、限定されないが、キットおよびパッケージを包含すると意図される。本発明の製品は、(a)第1の容器;(b)第1の容器内に位置する医薬組成物(ここで、該組成物は、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む第1の治療薬を含む);(c)該医薬組成物が血栓塞栓性および/または炎症性障害(上と同義)の治療に用いることができる旨を記載した添付説明書を含む。別の実施態様において、該添付説明書には、該医薬組成物が第2の治療薬と組み合わせて(上と同義)、血栓塞栓性および/または炎症性障害の治療に用いることができる旨が記載される。該製品はさらに、(d)第2の容器(ここで、構成要素(a)および(b)は第2の容器内に位置し、構成要素(c)は第2の容器内または容器外に位置する)を含んでいてもよい。第1および第2の容器内に位置するとは、各容器が該アイテムをその領域内に保持することを意味する。
第1の容器は、医薬組成物の保持に用いられる容器である。この容器は、製造、貯蔵、運搬および/または個別/大量販売のためのものであり得る。第1の容器は、ボトル、ジャー、バイアル、フラスコ、シリンジ、チューブ(例えば、クリーム製剤用のもの)、または医薬製品の製造、保持、貯蔵または流通に用いられる任意の別の容器を包含するものとする。
第2の容器は、第1の容器および適宜添付説明書を保持するために用いられるものである。第2の容器の例は、例えば、限定されないが、箱(例えば、ダンボールまたはプラスチック)、木箱、紙箱(carton)、袋(例えば、紙またはプラスチックの袋)、ポーチおよび布袋(sack)である。添付説明書は、テープ、接着剤、ホッチキスまたは他の接着方法により第1の容器の外側に物理的に接着されているか、または、第1の容器と物理的に接着する手段を用いることなく第2の容器内に置かれていてもよい。あるいは、添付説明書は、第2の容器の外側に置かれていてもよい。第2の容器の外に位置する場合、添付説明書は、テープ、接着剤、ホッチキス、または他の接着方法により物理的に接着していることが好ましい。あるいは、物理的に接着することなく第2の容器に近接または接触した状態であってもよい。
添付説明書とは、第1の容器内に位置する医薬組成物に関連する情報が記載されたラベル、タグ、マーカーなどである。該情報は、通常、該製品が販売される地域を管理する規制当局(例えば、アメリカ食品医薬品局)により決定されるであろう。好ましくは、添付説明書は、特に、該医薬組成物が認可された事柄の表示を記載したものである。添付説明書は、容器上または容器内に含まれる情報が識別可能な任意の材料で作られていてもよい。好ましくは、添付説明書は、その上に目的の情報を形成できる(例えば、印刷または貼り付ける)印刷可能な材料(例えば、紙、プラスチック、ダンボール、ホイール、紙またはプラスチック製のシール)である。
本発明の別の特徴は、以下の例示的な実施態様の記載により明らかとなろうが、これらは本発明を説明する目的で提供され、その限定を意図するものではない。以下の実施例は、本明細書中で開示される方法を用いて製造、単離および特徴付けされる。
VI.スキームを含めた一般的合成
本発明の化合物は、以下に記載の方法を、合成有機化学の分野にて既知の合成方法と一緒に用いて、あるいは該方法に当業者が認識しうる改変を加えることにより合成され得る。好ましい方法は、以下に記載した方法を包含するが、これに限定されるものではない。その反応は、変換が行われるのに利用され、その変換に適する試薬および材料に適当な溶媒または混合溶媒において行われる。有機合成の当業者であれば、分子上に存在する官能基は、提案される変換に相応しいものでなければならない事は理解されよう。この事は、本発明の目的化合物を得るために、合成工程の順序を改変するか、または一の特定の工程のスキームを別の工程のスキームに優先して選択するための判断が必要な場合もある。例示の化合物は、典型的にはラセミ混合物として製造される。ホモキラルな実施例の化合物の調製は、当業者に公知の技法により実施されてもよい。例えば、ホモキラル化合物は、ラセミ生成物をキラル相分取HPLCで分離することで調製されてもよい。あるいはまた、実施例の化合物はエナンチオマーに富む生成物を得るのに既知の方法により調製されてもよい。これらは、以下に限定されないが、キラル補助官能基を、変換物質のジアステレオ選択性をコントロールするのに役立つラセミ中間体に組み入れ、キラル補助基を切断してエナンチオに富む生成物を得ることを包含する。
この分野でのいずれかの合成経路を計画するにおいてもう一つ別の考慮すべき大きな要因が、本発明にて記載される化合物に存在する反応性官能基を保護するために用いる保護基の賢明な選択にあることも理解されよう。当業者に対して様々な選択肢を提供する信頼できる説明がグリーンらの文献である(Protective Groups in Organic Synthesis, Fourth Edition, Wiley−Interscience(2006))。
本発明の化合物は、中間体1gから得ることができ、この合成は、スキーム1に記述される。アミノ酸1aのエステル化により、アミノエステル1bを得る。次いで、アミノエステル1bを、カップリング試薬、例えばEDC/HOBtを用いて、適切に置換されたカルボン酸1hとカップリングすることができる。次いで、アニリン1cを、T3P(登録商標)および塩、例えばピリジンを用いて、適切に置換されたカルボン酸1jとカップリングさせて、アミド1dを得ることができる。Lovely(Tetrahedron Lett., 44:1379(2003))に記述された改変方法を用いて、1dを、適当な溶媒、例えば、DCM、DCEまたはトルエン中において、高温で、触媒、例えばGrubbs(II)を用いる閉環メタセシスを介して環化して、マクロ環1eを得ることができる。アルケンを、パラジウム炭素または白金オキシドのいずれかにて水素を用いて還元して、エステル1fを得ることができる。エステル1fの加水分解により、酸1gを得ることができる。式(I)の化合物を、カップリング試薬、例えばHATUを用いて、酸1gとアミン1iとのカップリング反応により合成することができる。
また本発明のオレフィン含有マイクロ環を、スキーム2に従って製造することもできる。エステル1eの加水分解により、酸2aを得る。式(I)の化合物を、カップリング試薬、例えばHATUを用いることにより、酸2aおよびアミン1iのカップリング反応から合成できる。