詳細な説明
一部の局面において、本明細書に開示の発明は、治療有効量の抗CGRPアンタゴニスト抗体を個体に投与することによる、個体の外傷後頭痛を予防、治療、および/または低減させるための方法を提供する。
一部の局面において、本明細書に開示の発明は、抗CGRPアンタゴニスト抗体およびG1または表6に示すその変異体に由来するポリペプチドも提供する。一部の態様では、本発明はまた、このような抗体およびポリペプチドの作製方法および使用方法を提供する。
一般的手法
本発明の種々の局面の実施には、特に記載のない限り、分子生物学(例えば、組換え手法)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の慣用的な手法が使用され、これは当技術分野の技量の範囲内である。かかる手法は、文献、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual, second edition(Sambrook et al., 1989)Cold Spring Harbor Press; Oligonucleotide Synthesis(M.J. Gait, ed., 1984); Methods in Molecular Biology, Humana Press; Cell Biology: A Laboratory Notebook(J.E. Cellis, ed., 1998)Academic Press; Animal Cell Culture(R.I. Freshney, ed., 1987); Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P. Mather and P.E. Roberts, 1998)Plenum Press; Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures(A. Doyle, J.B. Griffiths, and D.G. Newell, eds., 1993-1998)J. Wiley and Sons; Methods in Enzymology(Academic Press, Inc.); Handbook of Experimental Immunology(D.M. Weir and C.C. Blackwell, eds.); Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M. Miller and M.P. Calos, eds., 1987); Current Protocols in Molecular Biology(F.M. Ausubel et al., eds., 1987); PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al., eds., 1994); Current Protocols in Immunology(J.E. Coligan et al., eds., 1991); Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons, 1999); Immunobiology(C.A. Janeway and P. Travers, 1997); Antibodies(P. Finch, 1997); Antibodies: a practical approach(D. Catty., ed., IRL Press, 1988-1989); Monoclonal antibodies: a practical approach(P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000); Using antibodies: a laboratory manual(E. Harlow and D. Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999); The Antibodies(M. Zanetti and J.D. Capra, eds., Harwood Academic Publishers, 1995)に充分に説明されている。
定義
本明細書で用いる場合、「約」は、数値範囲、カットオフまたは具体的な値に関して用いている場合、記載の値が、列挙した値から10%程度まで異なってもよいことを示すために用いている。したがって、用語「約」は、明記された値から±10%以下の変動、±5%以下の変動、±1%以下の変動、±0.5%以下の変動、または±0.1%以下の変動を包含するために用いている。
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域内に存在する少なくとも1つの抗原認識部位を介して、標的(例えば、糖質、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなど)に特異的に結合し得る免疫グロブリン分子である。本明細書で用いる場合、この用語は、インタクトなポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体だけでなく、その断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、一本鎖(ScFv)、その変異体、抗体の一部分を含む融合タンパク質(例えば、ドメイン抗体)、および抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾型構成も包含している。抗体には、任意のクラス、例えばIgG、IgAもしくはIgM(またはそのサブクラス)の抗体が包含され、抗体は、任意の特定のクラスのものである必要はない。抗体のその重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なるクラスに指定され得る。免疫グロブリンには5つの主要なクラス: IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらのうちのいくつかは、さらに、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2に分けられ得る。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、およびμと称される。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニットの構造および3次元構成は周知である。
本明細書で用いる場合、「モノクローナル抗体」は実質的に均一な抗体集団から得られる抗体を指し、すなわち、該集団を構成する個々の抗体は、微量に存在する場合があり得る自然発生の変異の可能性以外、同一である。モノクローナル抗体は、特異性が高く、単一の抗原部位を標的とする。さらに、典型的には異なる決定基(エピトープ)を標的とする種々の抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を標的とする。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られたものであるという抗体の性質を示すものであり、なんらかの特定の方法による抗体の作製が必要とされると解釈されるべきでない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler and Milstein, 1975, Nature, 256:495に最初に報告されたハイブリドーマ法によって作製してもよく、米国特許第4,816,567号に記載されたものなどの組換えDNA法によって作製してもよい。また、モノクローナル抗体は、例えばMcCafferty et al., 1990, Nature, 348:552-554に記載の手法を用いて作製したファージライブラリーから単離したものであってもよい。
本明細書で用いる場合、「ヒト化」抗体は、含有される非ヒト免疫グロブリン由来の配列が最小限である特異的なキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(例えば、Fv、Fab、Fab'、F(ab')2もしくは抗体の他の抗原結合部分配列)である非ヒト(例えば、マウス)抗体をいう。ヒト化抗体は、大部分がヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、レシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性および生物学的活性を有するマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基で置き換えられている。一部の場合では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)の残基が対応する非ヒト残基で置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体または移植されるCDRまたはフレームワーク配列のいずれにおいてもみられないが抗体の性能をさらに精緻化および最適化するために含めた残基を含むものであってもよい。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全部を含み、そのCDR領域の全部または実質的に全部が非ヒト免疫グロブリンのものに対応しており、FR領域の全部または実質的に全部がヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のものである。また、ヒト化抗体は最適には、典型的にはヒト免疫グロブリンのものである免疫グロブリンの定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部分も含む。抗体は、WO99/58572に記載のようにして修飾されたFc領域を有するものであってもよい。他の形態のヒト化抗体は、元の抗体と比べて改変された1つまたは複数のCDR(1、2、3、4、5、6)(また、これは、元の抗体の1つまたは複数のCDR「に由来する」1つまたは複数のCDRとも称する)を有する。
本明細書で用いる場合、「ヒト抗体」は、ヒトにおいて生成される抗体のものに対応するアミノ酸配列を有する抗体を意味し、および/または当技術分野で公知の、もしくは本明細書に開示された任意のヒト抗体作製手法を用いて作製されたものである。ヒト抗体のこの定義には、少なくとも1つのヒト重鎖ポリペプチドまたは少なくとも1つのヒト軽鎖ポリペプチドを含む抗体が包含される。かかるものの一例は、マウス軽鎖とヒト重鎖のポリペプチドを含む抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の種々の手法を用いて作製され得る。一態様において、ヒト抗体は、ヒト抗体を発現しているファージライブラリーから選択される(Vaughan et al., 1996, Nature Biotechnology, 14:309-314; Sheets et al., 1998, PNAS, (USA)95:6157-6162; Hoogenboom and Winter, 1991, J. Mol. Biol., 227:381; Marks et al., 1991, J. Mol. Biol., 222:581)。また、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座をトランスジェニック動物、例えば内在性免疫グロブリン遺伝子を一部または完全に不活化させたマウスに導入することによっても作製され得る。このアプローチは、米国特許第5,545,807号; 同第5,545,806号; 同第5,569,825号; 同第5,625,126号; 同第5,633,425号; および同第5,661,016号に記載されている。あるいはまた、ヒト抗体は、標的抗原に対する抗体を産生するヒトBリンパ球を不死化させることにより調製され得る(かかるBリンパ球は、個体から回収したものであってもよく、インビトロで免疫性を付与したものであってもよい)。例えば、Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77(1985); Boerner et al., 1991, J. Immunol., 147(1):86-95; および米国特許第5,750,373号を参照のこと。
本明細書で用いる場合、用語「カルシトニン遺伝子関連ペプチド」および「CGRP」は、任意の形態のカルシトニン遺伝子関連ペプチドおよびCGRPの活性の少なくとも一部を保持しているその変異体をいう。例えば、CGRPはα-CGRPまたはβ-CGRPであり得る。本明細書で用いる場合、CGRPは、あらゆる哺乳動物の種、例えばヒト、イヌ、ネコ、ウマおよびウシの天然配列のCGRPを包含している。
本明細書で用いる場合、「抗CGRPアンタゴニスト抗体」(互換的に「抗CGRP抗体」と称する)は、CGRPに結合して、CGRPシグナル伝達によって媒介されるCGRPの生物学的活性および/または下流経路を阻害することができる抗体をいう。抗CGRPアンタゴニスト抗体は、CGRPの生物学的活性をモジュレートする、ブロックする、拮抗作用をもたらす、抑制する、もしくは低減させる(有意にそうすることを含む)抗体、あるいは別の様式でCGRP経路、例えばCGRPシグナル伝達によって媒介される下流経路、例えばCGRPに対する受容体の結合および/または細胞応答の誘導に拮抗作用をもたらす抗体を包含している。本発明の解釈上、用語「抗CGRPアンタゴニスト抗体」は、既に特定されている用語、タイトル、ならびにCGRP自体、CGRPの生物学的活性(例えば非限定的に、任意の局面の頭痛を媒介する能力)または該生物学的活性の結果が、なんらかの意味のある度合で実質的に無効化、低減または中和される機能的状態および特徴をすべて包含していることを明白に理解されたい。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体はCGRPに結合して、CGRP受容体に対するCGRPの結合を抑制する。他の態様では、抗CGRP抗体はCGRPに結合して、CGRP受容体の活性化を抑制する。抗CGRPアンタゴニスト抗体の例は本明細書に示している。
本明細書で用いる場合、用語「G1」、「抗体G1」、および「TEV-48125」は、寄託番号ATCC PTA-6867およびATCC PTA-6866を有する発現ベクターによって生成される抗CGRPアンタゴニスト抗体をいうために互換的に用いている。重鎖および軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を図5に示す。抗体G1のCDR部分(例えば、Chothia方式およびKabat方式のCDR)を図5に図式的に示す。該重鎖および軽鎖の可変領域をコードしているポリヌクレオチドをSEQ ID NO: 9およびSEQ ID NO: 10に示す。G1の特性評価は本実施例に記載している。
用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は本明細書において、任意の長さのアミノ酸ポリマーをいうために互換的に用いている。該ポリマーは、線状であっても分枝状であってもよく、修飾アミノ酸を含むものであってもよく、非アミノ酸が介在していてもよい。また、この用語は、天然に、または介入; 例えば、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは修飾、例えば標識成分とのコンジュゲーションによって修飾されているアミノ酸ポリマーも包含している。また、この定義には、例えば1つまたは複数のアミノ酸アナログ(例えば非天然アミノ酸など)ならびに当技術分野で公知の他の修飾を含むポリペプチドも含まれる。本発明のポリペプチドは抗体ベースのものであるため、該ポリペプチドは一本鎖として存在するものであっても会合した鎖として存在するものであってもよいことを理解されたい。
「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、本明細書において互換的に用いており、任意の長さのヌクレオチドポリマーをいい、DNAおよびRNAを包含している。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドまたは塩基および/またはそのアナログ、あるいはDNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼによってポリマーに組み込まれ得る任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えばメチル化ヌクレオチドおよびそのアナログを含むものであり得る。存在させる場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマー構築の前に行なっても後に行なってもよい。ヌクレオチドの配列に非ヌクレオチド成分が介在していてもよい。ポリヌクレオチドをさらに、重合後、例えば標識成分とのコンジュゲーションによって修飾してもよい。他の型の修飾としては、例えば「キャップ」、1個または複数の天然に存在するヌクレオチドのアナログでの置換、ヌクレオチド間修飾、例えば無電荷の結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)を有するもの、および電荷を有する結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を有するもの、懸垂部分、例えばタンパク質など(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ply-L-リシンなど)を含むもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化性金属など)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、修飾結合(例えば、αアノマー核酸など)を有するものなど、ならびに該ポリヌクレオチドの非修飾形態が挙げられる。さらに、糖部分に通常存在しているヒドロキシル基のいずれかを、例えばホスホネート基、ホスフェート基で置き換えてもよく、標準的な保護基で保護してもよく、さらなるヌクレオチドとのさらなる結合の準備のために活性化させてもよく、または固相支持体にコンジュゲートさせてもよい。5’および3’末端のOHをリン酸化してもよく、アミンまたは1〜20個の炭素原子の有機キャッピング基部分で置換してもよい。また、他のヒドロキシルを標準的な保護基に誘導体化させてもよい。また、ポリヌクレオチドに、当技術分野で一般的に知られた類似の形態のリボースまたはデオキシリボース糖部分、例えば2’-O-メチル-、2’-O-アリル、2’-フルオロ-または2’-アジド-リボース、炭素環式糖アナログ、α-アノマー糖、エピマー糖、例えばアラビノース、キシロースまたはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式アナログおよび脱塩基ヌクレオシドアナログ、例えばメチルリボシドなどが含有されていてもよい。1つまたは複数のホスホジエステル結合が代替的な連結基で置き換えられていてもよい。このような代替的な連結基としては、非限定的に、リン酸部がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(「ホルムアセタール」)で置き換えられた態様が挙げられ、ここで、各RまたはR’は独立して、Hもしくは置換もしくは非置換のアルキル(1〜20 C)(任意でエーテル(-O-)結合を含むもの)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくはアラルジル(araldyl)である。ポリヌクレオチド内のすべての結合が同一である必要はない。先の説明は、本明細書において言及しているすべてのポリヌクレオチド、例えばRNAおよびDNAにあてはまる。
本明細書で用いる場合、「外傷後頭痛」は、The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition(β版), Cephalalgia, 33(9): 629-808(2013)にさらに説明されているような、頭部および/または頸部に対する外傷または傷害に起因する頭痛である。例えば、外傷後頭痛は緊張型頭痛または片頭痛と似ている場合があり得る。そのため、それらの診断は、外傷または傷害と頭痛の開始との密接な時間的関係に大きく依存する。ICHD-IIのものと整合して、すべての亜類型に対するICHD-3βの診断基準では、頭痛が、外傷または傷害の7日以内、あるいは意識および/または痛みを感知して報告する能力が外傷または傷害後に失われていた場合はこれらが回復した後7日以内に発現したと報告されたものでなければならないことが求められる。この7日という期間はいくぶん恣意的であり、また、一部の専門家は少数の患者では頭痛が長期間後に発生する場合があり得ると論じているが、現時点では、この要件を変更するのに充分な証拠はない。
当業者は、外傷後頭痛を有する対象を容易に認識することができよう。例えば、頭部に対する外傷性傷害が起こり、頭痛が、以下のうちの1つの後、7日以内に発現したと報告される: 頭部に対する傷害、頭部に対する傷害後の意識回復、または頭部に対する傷害後に頭痛を感知もしくは報告する能力を障害する投薬物の中止。一部の場合では、該頭痛は、頭部に対する傷害後3ヶ月以内に解消したものであるか、または該頭痛は、まだ解消していないが頭部に対する傷害からまだ3ヶ月が経過していないものである。
頭部に対する外傷性傷害に起因する急性頭痛(これには、頭部に対する外傷性傷害によって引き起こされる3ヶ月未満の持続期間の頭痛が含まれ得る)の診断基準としては以下の基準が挙げられ得る:
A. 基準CおよびDを満たす任意の頭痛
B. 頭部に対する外傷性傷害の発生
C. 頭痛が、以下のうちの1つの後、7日以内に発現したと報告されていること:
1. 頭部に対する傷害
2. 頭部に対する傷害後の意識回復
3. 頭部に対する傷害後、頭痛を感知または報告する能力を障害する投薬物の中止
D. 以下のいずれか:
1. 頭痛が頭部に対する傷害後3ヶ月以内に解消したこと
2. 頭痛はまだ解消されていないが頭部に対する傷害からまだ3ヶ月が経過していないこと
E. 別のICHD-3診断ではよりよく説明されないこと。
頭部に対する中等度または重度の外傷性傷害に起因する急性頭痛の診断基準としては、以下のうちの少なくとも1つを伴う、頭部に対する傷害が挙げられ得る:
1. 意識消失が>30分間
2. グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)スコアが<13
3. 外傷後記憶喪失の持続が>24時間
4. 意識レベルの変化が>24時間
5. 外傷性頭部傷害、例えば頭蓋内出血および/または脳挫傷の画像証拠。
頭部に対する軽度の外傷性傷害に起因する外傷後頭痛の診断基準としては、以下の両方を満たす、頭部に対する傷害が挙げられ得る:
1. 以下のいずれも付随しないこと:
a)意識消失が>30分間
b)グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)スコアが<13
c)外傷後記憶喪失の持続が>24時間
d)意識レベルの変化が>24時間
e)外傷性頭部傷害、例えば頭蓋内出血および/または脳挫傷の画像証拠
2. 頭部傷害の直後、以下の症状および/または徴候のうちの1つまたは複数を伴うこと:
a)一過性の意識混濁、見当識障害または意識障害
b)頭部傷害の直前または直後の事象の記憶消失
c)軽度の外傷性脳損傷を示唆する2つ以上の他の症状: 悪心、嘔吐、視覚障害、非回転性めまいおよび/または回転性めまい、記憶および/または集中力の障害。
頭部に対する外傷性傷害に起因する持続性外傷後頭痛は、頭部に対する外傷性傷害によって引き起こされる3ヶ月より長い持続期間の頭痛であり、頭痛が、以下のうちの1つの後、7日以内に発現したと報告されるものである: 頭部に対する傷害、頭部に対する傷害後の意識回復、または頭部に対する傷害後、頭痛を感知もしくは報告する能力を障害する投薬物の中止。一部の場合では、頭痛は、頭部に対する傷害後、3ヶ月より長く持続する。
頭部に対する中等度または重度の外傷性傷害に起因する持続性頭痛の診断基準としては、以下のうちの少なくとも1つを伴う、頭部に対する傷害が挙げられ得る:
1. 意識消失が>30分間
2. グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)スコアが<13
3. 外傷後記憶喪失の持続が>24時間
4. 意識レベルの変化が>24時間
5. 外傷性頭部傷害、例えば頭蓋内出血および/または脳挫傷の画像証拠。
頭部に対する軽度の外傷性傷害に起因する持続性外傷後頭痛の診断基準としては、以下の両方を満たす、頭部に対する傷害が挙げられ得る:
1. 以下のいずれも付随しないこと:
a)意識消失が>30分間
b)グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)スコアが<13
c)外傷後記憶喪失の持続が>24時間
d)意識レベルの変化が>24時間
e)外傷性頭部傷害、例えば頭蓋内出血および/または脳挫傷の画像証拠
2. 頭部傷害の直後、以下の症状および/または徴候のうちの1つまたは複数を伴うこと:
a)一過性の意識混濁、見当識障害または意識障害
b)頭部傷害の直前または直後の事象の記憶消失
c)軽度の外傷性脳損傷を示唆する2つ以上の他の症状: 悪心、嘔吐、視覚障害、非回転性めまいおよび/または回転性めまい、記憶および/または集中力の障害。
頭部に対する外傷性傷害は、頭部に対する外力の作用により生じる構造的または機能的傷害と定義する。このようなものとしては、物体で頭部を打たれること、または頭部が物体にぶつかること、異物、爆風、または爆発によって生じた力およびまだ定義されていない他の力による頭部の貫通が挙げられる。
抗体の「可変領域」は、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域をいい、単独または組合せのいずれかである。重鎖および軽鎖の可変領域は各々、超可変領域としても知られる3つの相補性決定領域(CDR)によって連結された4つのフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖のCDRは、FRによって近接して一体に保持されており、他方の鎖のCDRと共に抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決めるためには少なくとも2つの手法:(1)異種間の配列多様性に基づいたアプローチ(すなわち、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest,(5th ed., 1991, National Institutes of Health, Bethesda MD)); および(2)抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づいたアプローチ(Al-lazikani et al(1997)J. Molec. Biol. 273:927-948))がある。本明細書で用いる場合、CDRは、いずれかのアプローチによって定義されるCDRをいうものであっても両方のアプローチの組合せによって定義されるCDRをいうものであってもよい。
抗体の「定常領域」は、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域をいい、単独または組合せのいずれかである。
抗体またはポリペプチドに「優先的に結合する」または「特異的に結合する」(本明細書において互換的に用いている)エピトープは当技術分野で充分に理解されている用語であり、かかる特異的または優先的な結合を調べるための方法もまた、当技術分野で周知である。分子は、これが特定の細胞または物質と、代替的な細胞または物質と比べてより高頻度に、より速やかに、より長い持続期間で、および/またはより大きな親和性で反応または会合する場合、「特異的結合」または「優先的結合」を示すといえる。抗体は、これが他の物質に対して、より大きな親和性、アビディティで、より容易に、および/またはより長い持続期間で結合する場合、標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」ものである。例えば、CGRPエピトープに特異的または優先的に結合する抗体は、このエピトープに、他のCGRPエピトープまたは非CGRPエピトープに対する結合と比べて、より大きな親和性、アビディティで、より容易に、および/またはより長い持続期間で結合する抗体である。また、この定義を読むことにより、例えば第1の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第2の標的に特異的または優先的に結合するものであってもよいし、そうでなくてもよいことも理解されよう。そのため、「特異的結合」または「優先的結合」は、必ずしも排他的な結合を要するものではない(が、包含し得る)。一般的に、必ずしもそうとは限らないが、結合に対する言及は優先的結合を意味する。
本明細書で用いる場合、「実質的に純粋な」とは、物質が少なくとも50%純粋(すなわち、夾雑物がない)、より好ましくは少なくとも90%純粋、より好ましくは少なくとも95%純粋、より好ましくは少なくとも98%純粋、より好ましくは少なくとも99%純粋であることをいう。
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチド挿入物の組込みのためのベクターのレシピエントとなり得る、またはレシピエントとなった個々の細胞または細胞培養物を包含している。宿主細胞は単一の宿主細胞の子孫も包含し、子孫は、天然、偶発的または意図的な変異のため、元の親細胞と必ずしも完全に同一でなくてもよい(形態構造またはゲノムDNA相補鎖において)。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチド(1種または複数種)によりインビボでトランスフェクトされた細胞も包含している。
用語「Fc領域」は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を規定するために用いている。「Fc領域」は、天然配列のFc領域であっても変異体Fc領域であってもよい。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界はさまざまであり得るが、ヒトIgG 重鎖のFc領域は通常、Cys226またはPro230の位置のアミノ酸残基からカルボキシ末端まで及ぶものと定義される。Fc領域内の残基の番号付けは、Kabat(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1991)によるEUインデックスのものである。免疫グロブリンのFc領域には、一般的に2つの定常ドメインCH2とCH3が含まれる。
本明細書で用いる場合、「Fc受容体」および「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を示す。好ましいFcRは天然配列のヒトFcRである。さらに、好ましいFcRは、IgG抗体に結合するもの(γ受容体)であり、FcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIサブクラスの受容体(このような受容体の対立遺伝子変異体および選択的スプライシング形態を含む)が挙げられる。FcγRII受容体としてはFcγRIIA(「活性化型受容体」)およびFcγRIIB(「抑制型受容体」)が挙げられ、これらは同様のアミノ酸配列を有し、主に細胞質ドメインが異なっている。FcRは、Ravetch and Kinet, 1991, Ann. Rev. Immunol., 9:457-92; Capel et al., 1994, Immunomethods, 4:25-34; およびde Haas et al., 1995, J. Lab. Clin. Med., 126:330-41に概説されている。また、「FcR」には、胎児への母親のIgGの導入を担う胎児性受容体FcRnも包含される(Guyer et al., 1976, J. Immunol., 117:587; およびKim et al., 1994, J. Immunol., 24:249)。
「補体依存性細胞傷害」および「CDC」は補体の存在下での標的の溶解をいう。補体活性化経路は、補体系の第1成分(C1q)が、同種抗原と複合体を形成している分子(例えば、抗体)に結合することによって開始される。補体活性化を評価するためには、例えばGazzano-Santoro et al., J. Immunol. Methods, 202:163(1996)に記載のようなCDCアッセイが行なわれ得る。
「機能性Fc領域」は、天然配列のFc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を有する。例示的な「エフェクター機能」としては、C1qの結合; 補体依存性細胞傷害(CDC); Fc受容体の結合; 抗体依存性細胞媒性細胞傷害(ADCC); 食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体; BCR)の下方調節などが挙げられる。かかるエフェクター機能は一般的に、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体の可変ドメイン)と組み合わされることを要するものであり、かかる抗体エフェクター機能を評価するための当技術分野で公知の種々のアッセイを用いて評価され得る。
「天然配列のFc領域」は、自然界にみられるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。「変異体Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾のために天然配列のFc領域とは異なるアミノ酸配列を含むが、天然配列のFc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を保持している。好ましくは、変異体Fc領域は、天然配列のFc領域または親ポリペプチドのFc領域と比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を有し、例えば、天然配列のFc領域内または親ポリペプチドのFc領域内に約1〜約10個のアミノ酸置換、好ましくは約1〜約5個のアミノ酸置換を有する。本明細書における変異体Fc領域は好ましくは、天然配列のFc領域および/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の配列同一性、最も好ましくはこれらと少なくとも約90%の配列同一性、より好ましくはこれらと少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%の配列同一性を有する。
本明細書で用いる場合、「抗体依存性細胞媒性細胞傷害」および「ADCC」は、Fc受容体(FcR)を発現している非特異的細胞傷害性細胞(例えば、ナチラルキラー(NK)細胞、好中球およびマクロファージ)が、標的細胞上に結合している抗体を認識し、続いて該標的細胞の溶解を引き起こす細胞介在性反応をいう。対象分子のADCC活性は、インビトロADCCアッセイ、例えば米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載のものを用いて評価され得る。かかるアッセイのための有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびNK細胞が挙げられる。代替的または付加的に、対象分子のADCC活性をインビボで、例えばClynes et al., 1998, PNAS(USA), 95:652-656に開示されているものなどの動物モデルで評価してもよい。
本明細書で用いる場合、「予防する」とは、(持続性)PTHを既に有しているのではない対象に(持続性)PTHが起こること、または存在することを止めるためのアプローチである。本明細書で用いる場合、「治療」は、有益な臨床結果または所望の臨床結果を得るためのアプローチである。本発明の解釈上、有益な臨床結果または所望の臨床結果としては、非限定的に、以下のうちの1つまたは複数が挙げられる: 任意の局面の外傷後頭痛の改善、例えば重症度の低下、痛みの強度および付随する他の症状の緩和、再発頻度の低下、外傷後頭痛に苦しんでいる人の生活の質の向上、ならびに外傷後頭痛を治療するために必要とされる他の投薬物の用量の低減。
外傷後頭痛の「発生率の低減」は、任意の重症度の低下(これには、この病状に対して一般的に使用される他の薬物および/または治療薬、例えばエルゴタミン、ジヒドロエルゴタミンもしくはトリプタンなど(例えば、これらに対する曝露)の必要性および/または量の減少も含まれ得る)、持続期間の短縮、および/または頻度の低下(例えば、個体において次の一過性発作が起こるまでの時間の遅延もしくは延長など)を意味する。当業者には理解されるように、個体は、処置に対する応答に関してさまざまであり得、そのため、例えば「個体における外傷後頭痛の発生率を低減させる方法」には、かかる投与によってこの特定の個体における発生率のかかる低減がおそらく引き起こされ得るという妥当な期待に基づいた抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与を反映させる。
外傷後頭痛または外傷後頭痛の1つまたは複数の症状を「寛解させる」とは、抗CGRPアンタゴニスト抗体の投与なしと比べた場合の外傷後頭痛の1つまたは複数の症状の低減または改善を意味する。また、「寛解させる」には、症状の持続期間の短縮または低減も包含される。
本明細書で用いる場合、「外傷後頭痛をコントロールする」とは、個体における外傷後頭痛の1つまたは複数の症状の重症度もしくは持続期間または外傷後頭痛の発作の頻度の維持または低下(処置前のレベルと比べた場合の)をいう。例えば、頭部および/または頸部の痛みの持続期間または重症度あるいは発作の頻度は、個体において処置前のレベルと比べて少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%または70%のいずれかの分だけ低下する。
本明細書で用いる場合、「頭痛時間」は、対象に頭痛が起こっている時間をいう。頭痛時間は、整数時間(例えば、1頭痛時間、2頭痛時間、3頭痛時間など)で表示してもよく、整数と端数の時間(例えば、0.5頭痛時間、1.2頭痛時間、2.67頭痛時間など)で表示してもよい。1または複数の頭痛時間を特定の期間について記載してもよい。例えば、「1日あたりの頭痛時間」は、1日という期間(例えば、24時間の間)に対象に起こっている頭痛時間数を示すものであり得る。別の例では、「週間頭痛時間」は、1週間という期間内(例えば、7日間)に対象に起こっている頭痛時間数を示すものであり得る。理解され得るように、1週間という期間は暦週に対応していても、そうでなくてもよい。別の例では、「月間頭痛時間」は、1ヶ月という期間内に対象に起こっている頭痛時間数を示すものであり得る。理解され得るように、1ヶ月という期間(例えば、28、29、30、または31日間)は、具体的な月に応じて日数が異なり得、暦月に対応していても、そうでなくてもよい。また別の例では、「年間頭痛時間」は、1年という期間内に対象に起こっている頭痛時間数を示すものであり得る。理解され得るように、1年という期間(例えば、365または366日間)は、具体的な年に応じて日数が異なり得、暦年に対応していても、そうでなくてもよい。
本明細書で用いる場合、「頭痛日」は、対象に頭痛が起こっている日をいう。頭痛日は、整数日(例えば、1頭痛日、2頭痛日、3頭痛日など)で表示してもよく、整数と端数の日(例えば、0.5頭痛日、1.2頭痛日、2.67頭痛日など)で表示してもよい。1または複数の頭痛日を特定の期間について記載してもよい。例えば、「週間頭痛日」は、1週間という期間内(例えば、7日間)に対象に起こっている頭痛の日数を示すものであり得る。理解され得るように、1週間という期間は暦週に対応していても、そうでなくてもよい。別の例では、「月間頭痛日」は、1ヶ月という期間内に対象に起こっている頭痛の日数を示すものであり得る。理解され得るように、1ヶ月という期間(例えば、28、29、30、または31日間)は、具体的な月に応じて日数が異なり得、暦月に対応していても、そうでなくてもよい。また別の例では、「年間頭痛日」は、1年という期間内に対象に起こっている頭痛の日数を示すものであり得る。理解され得るように、1年という期間(例えば、365または366日間)は、具体的な年に応じて日数が異なり得、暦年に対応していても、そうでなくてもよい。
本明細書で用いる場合、外傷後頭痛の発現を「遅延させる」とは、該疾患の進行を延期する、妨げる、低速化させる、遅らせる、安定化させる、および/または先送りにすることを意味する。この遅延は、疾患歴および/または処置対象の個体に応じてさまざまな時間長であり得る。当業者には明らかなように、充分または有意な遅延には、事実上、個体に外傷後頭痛が発現していないという点で予防が包含され得る。該症状の発現を「遅延させる」方法は、該方法を使用しない場合と比べた場合、所与の時間枠における該症状の発現の確率を低下させる方法および/または所与の時間枠における症状の程度を低減させる方法である。かかる比較は典型的には、統計学的に有意な対象数を用いた臨床試験に基づいたものである。
外傷後頭痛の「発現」または「進行」は、該障害の最初の顕現化および/またはその後の進行を意味する。外傷後頭痛の発現は検出可能であり、当技術分野で周知の標準的な臨床手法を用いて評価され得る。しかしながら、発現はまた、検出不可能であり得る進行もいう。本開示の解釈上、発現または進行は、症状の生物学的過程をいう。「発現」には発生、再発および開始が包含される。本明細書で用いる場合、外傷後頭痛の「開始」または「発生」には最初の開始および/または再発が包含される。
本明細書で用いる場合、薬物、化合物または薬学的組成物の「有効投薬量」または「有効量」は、有益な結果または所望の結果がもたらされるのに充分な量である。予防的使用では、有益な結果または所望の結果としては、該疾患(該疾患の生化学的、組織学的および/または行動的症状、その合併症ならびに該疾患の発現中に提示される中間の病理学的表現型を含む)のリスクの解消もしくは低減、重症度の低下、または開始の遅延などの結果が挙げられる。治療的使用では、有益な結果または所望の結果としては、外傷後頭痛の発作の痛みの強度、持続期間の短縮もしくは頻度の低下、ならびに外傷後頭痛(生化学的、組織学的および/または行動的)(その合併症および該疾患の発現中に提示される中間の病理学的表現型を含む)に起因する1つまたは複数の症状の減少、該疾患に苦しんでいる人の生活の質の向上、該疾患を治療するために必要とされる他の投薬物の用量の減少、別の投薬物の効果の増強、および/または患者の該疾患の進行の遅延などの臨床結果が挙げられる。有効投薬量を1回以上の投与で投与してもよい。本開示の解釈上、薬物、化合物または薬学的組成物の有効投薬量は、直接的または間接的のいずれかで予防的処置または治療的処置が実施されるのに充分な量である。臨床状況において理解されるように、薬物、化合物または薬学的組成物の有効投薬量は、別の薬物、化合物または薬学的組成物と共同して奏功するものであってもよいし、そうでなくてもよい。したがって、「有効投薬量」は、1種または複数種の治療用薬剤の投与の状況で考慮されるものであってもよく、単独薬剤は、1種または複数種の他の薬剤と共同して望ましい結果が得られ得る場合、または得られる場合、有効量で投与されるとみなされ得る。
「個体」または「対象」は哺乳動物、より好ましくはヒトである。また、哺乳動物としては、非限定的に、家畜、競技用動物、愛玩動物、霊長類、ウマ、イヌ、ネコ、マウスおよびラットが挙げられる。
本明細書で用いる場合、「ベクター」は、宿主細胞において関心対象の1種または複数種の遺伝子または配列を送達する能力を有する、好ましくは発現する能力を有する構築物を意味する。ベクターの例としては、非限定的に、ウイルスベクター、裸のDNAもしくはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性縮合剤と関連させたDNAもしくはRNA発現ベクター、リポソームに封入されたDNAもしくはRNA発現ベクター、および特定の真核生物細胞、例えば産生細胞内が挙げられる。
本明細書で用いる場合、「発現制御配列」は、核酸の転写を指令する核酸配列を意味する。発現制御配列はプロモーター、例えば構成的プロモーターもしくは誘導性プロモーター、またはエンハンサーであり得る。発現制御配列は、転写させる核酸配列に機能的に連結させる。
本明細書で用いる場合、「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」には、活性成分と合わせると、該成分が生物学的活性を保持することを可能にし、対象の免疫系と非反応性である任意の物質が包含される。例としては、非限定的に、任意の標準的な医薬用担体、例えばリン酸緩衝生理食塩水液、水、乳剤、例えば油性/水性乳剤、および種々の型の湿潤剤が挙げられる。エアロゾル剤または非経口投与に好ましい希釈剤はリン酸緩衝生理食塩水または通常の(0.9%)生理食塩水である。かかる担体を含む組成物は、周知の慣用的な方法によって製剤化される(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th edition, A. Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990; およびRemington, The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed. Mack Publishing, 2000参照)。
用語「kon」は、本明細書で用いる場合、抗原に対する抗体の会合の速度定数を示していることを意図する。
用語「koff」は、本明細書で用いる場合、抗体/抗原複合体からの抗体の解離の速度定数を示していることを意図する。
用語「KD」は、本明細書で用いる場合、抗体-抗原相互作用の平衡解離定数を示していることを意図する。
A.外傷後頭痛および/または外傷後頭痛に付随する少なくとも1つの副症状を予防、治療または低減させるための方法
一局面では、本発明は、対象における(持続性)外傷後頭痛を予防する、治療する、またはその発生率を低減させる方法を提供する。別の局面では、本発明は、対象における外傷後頭痛に付随する少なくとも1つの副症状を治療する、またはその発生率を低減させる方法を提供する。一部の態様では、該方法は、該個体に、有効量のCGRP経路をモジュレートする抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)または該抗体に由来するポリペプチドを投与する工程を含む。
別の局面では、本発明は、個体に、有効量のCGRP経路をモジュレートする抗体または抗CGRPアンタゴニスト抗体を、(持続性)外傷後頭痛の予防、治療または低減に有用な少なくとも1種類のさらなる薬剤と併用して投与する工程を含む、個体の(持続性)外傷後頭痛または(持続性)外傷後頭痛に付随する症状(例えば、下痢、光過敏、発熱、頸部硬直、悪心、認知機能障害および/または嘔吐)の発現または進行を予防するため、寛解させるため、コントロールするため、その発生率を低減させるため、または遅延させるための方法を提供する。
かかるさらなる薬剤としては、非限定的に、5-HTアゴニストおよびNSAIDが挙げられる。例えば、前記抗体と前記少なくとも1種類のさらなる薬剤は並存的に投与され得る、すなわち、これらは、それらの個々の治療効果が重なることが可能であるのに充分に時間的に近接して投与され得る。例えば、抗CGRP抗体と併用して投与される5-HTアゴニストまたはNSAIDの量は、これらの薬剤のいずれか一方の他方なしでの投与と比べて、患者の(持続性)外傷後頭痛の再発の頻度が低下するのに充分な、またはより長期間持続する有効性がもたらされるのに充分なものであるのがよい。
抗CGRPアンタゴニスト抗体と併用して投与され得るさらなる薬剤のさらなる非限定的な例としては:
(i)オピオイド鎮痛薬、例えばモルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルフォン、オキシモルホン、レボルファノール、レバロルファン、メタドン、メペリジン、フェンタニル、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィンまたはペンタゾシン;
(ii)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えばアスピリン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチンもしくはゾメピラク、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬、セレコキシブ; ロフェコキシブ; メロキシカム; JTE-522; L-745,337; NS398;またはその薬学的に許容される塩;
(iii)バルビツール酸系鎮静剤、例えばアモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール(butabital)、メホバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルビタール、セコバルビタール、タルブタール、テアミラール(theamylal)もしくはチオペンタールまたはその薬学的に許容される塩;
(iv)バルビツール酸系鎮痛薬、例えばブタルビタールもしくはその薬学的に許容される塩またはブタルビタールを含む組成物。
(v)鎮静作用を有するベンゾジアゼピン、例えばクロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパムもしくはトリアゾラムまたはその薬学的に許容される塩;
(vi)鎮静作用を有するH1拮抗薬、例えばジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミンもしくはクロルシクリジンまたはその薬学的に許容される塩;
(vii)鎮静剤、例えばグルテチミド、メプロバメート、メタカロンもしくはジクロラルフェナゾン(dichloralphenazone)またはその薬学的に許容される塩;
(viii)骨格筋弛緩薬、例えばバクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモールもしくはオルフレナジン(orphrenadine)またはその薬学的に許容される塩;
(ix)NMDA受容体拮抗薬、例えばデキストロメトルファン((+)-3-ヒドロキシ-N-メチルモルフィナン)もしくはその代謝産物デキストロルファン((+)-3-ヒドロキシ-N-メチルモルフィナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリンキノンもしくはシス-4-(ホスホノメチル)-2-ピペリジンカルボン酸またはその薬学的に許容される塩;
(x)αアドレナリン受容体拮抗薬、例えばドキサゾシン、タムスロシン、クロニジンまたは4-アミノ-6,7-ジメトキシ-2-(5-メタンスルホンアミド-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノル-2-イル)-5-(2-ピリジル)キナゾリン;
(xi)三環系抗鬱薬、例えばデシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリン(amytriptiline)またはノルトリプチリン(nortriptiline);
(xii)抗痙攣薬、例えばカルバマゼピンまたはバルプロエート;
(xiii)タキキニン(NK)拮抗薬、特に、NK-3、NK-2またはNK-1拮抗薬、例えば(αR,9R)-7-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]-8,9,10,11-テトラヒドロ-9-メチル-5-(4-メチルフェニル)-7H-[1,4]ジアゾシノ[2,1-g][1,7]ナフトリジン(naphthridine)-6-13-ジオン(TAK-637)、5-[[(2R,3S)-2-[(1R)-1-[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ-3-(4-フルオロフェニル)-4-モルホリニル]メチル]-1,2-ジヒドロ-3H-1,2,4-トリアゾル-3-オン(MK-869)、ラネピタント、ダピタントまたは3-[[2-メトキシ-5-(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチルアミノ]-2-フェニル-ピペリジン(2S,3S);
(xiv)ムスカリン性拮抗薬、例えばオキシブチン(oxybutin)、トルテロジン、プロピベリン、トロプシウム(tropsium)塩化物またはダリフェナシン;
(xv)COX-2阻害薬、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブまたはバルデコキシブ;
(xvi)非選択的COX阻害薬(好ましくは、GI保護するもの)、例えばニトロフルルビプロフェン(HCT-1026);
(xvii)コールタール系鎮痛薬、特にパラセタモール;
(xviii)神経弛緩薬、例えばドロペリドール;
(xix)バニロイド受容体アゴニスト(例えば、レシンフェラトキシン(resinferatoxin))または拮抗薬(例えば、カプサゼピン);
(xx)βアドレナリン受容体拮抗薬、例えばプロプラノロール;
(xxi)局部麻酔薬、例えばメキシレチン;
(xxii)コルチコステロイド、例えばデキサメタゾン;
(xxiii)セロトニン受容体アゴニストまたは拮抗薬;
(xxiv)コリン作動性(ニコチン性)鎮痛薬;
(xxv)Tramadol(商標);
(xxvi)PDEV阻害薬、例えばシルデナフィル、バルデナフィルまたはタラダフィル(taladafil);
(xxvii)α-2-δリガンド、例えばガバペンチンまたはプレガバリン;
(xxviii)カナビノイド(canabinoid); ならびに
(xxix)抗鬱薬、例えばアミトリプチリン(Elavil)、トラゾドン(Desyrel)およびイミプラミン(Tofranil)または抗痙攣薬、例えばフェニトイン(Dilantin)またはカルバマゼピン(Tegretol)
のうちの1種または複数種が挙げられる。
当業者は、抗CGRP抗体と併用して使用される具体的な薬剤の適切な投薬量の量を決定することができよう。例えば、スマトリプタンは約0.01〜約300mgの投薬量で投与され得る。一部の場合では、スマトリプタンは、約2mg〜約300mg、例えば、約5mg〜約250mg、約5mg〜約200mg、約5mg〜約100mg、約5mg〜約50mg、または約5mg〜約25mgの投薬量で投与され得る。非経口以外で投与する場合、スマトリプタンの典型的な投薬量は約25〜約100mgであり、約50mgが一般的に好ましく、例えば、約45mg、約55mg、または約60mgである。スマトリプタンを非経口投与する場合、好ましい投薬量は約6mg、例えば約5mg、約7mg、または約8mgである。しかしながら、このような投薬量は、当技術分野で標準的な方法に従って、具体的な患者または具体的な併用療法に対して最適化されるように変更され得る。さらに、例えばセレコキシブは、50〜500mg、例えば、約50mg〜約400mg、約50mg〜約300mg、約50mg〜約200mg、約50mg〜約100mg、約100mg〜約400mg、または約200mg〜約300mgの量で投与され得る。
別の局面では、本開示により、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を対象に投与する工程を含む、対象における(持続性)外傷後頭痛を予防する、治療する、またはその発生率を低減させる方法を提供する。一部の態様では、複数の日の各日に投与される該モノクローナル抗体の量は、0.1mg〜5000mg、1mg〜5000mg、10mg〜5000mg、100mg〜5000mg、1000mg〜5000mg、0.1mg〜4000mg、1mg〜4000mg、10mg〜4000mg、100mg〜4000mg、1000mg〜4000mg、 0.1mg〜3000mg、1mg〜3000mg、10mg〜3000mg、100mg〜3000mg、1000mg〜3000mg、0.1mg〜2000mg、1mg〜2000mg、10mg〜2000mg、100mg〜2000mg、1000mg〜2000mg、0.1mg〜1000mg、1mg〜1000mg、10mg〜1000mg、または100mg〜1000mgであり得る。一部の態様では、該量は、約225mg〜約1000mg、例えば約675mgまたは約900mgである。例示的な投与レジメンは、約675mgの初回抗体用量を皮下投与し、その後、約2ヶ月間、例えば約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間または12ヶ月間にわたって約225mgの月間抗体用量を皮下投与することを含む。また別の投与レジメンは、約900mgの初回抗体用量を約60分間の点滴により静脈内投与し、その後、1年間、2年間、3年間、4年間、または5年間にわたって3ヶ月毎に約900mgの用量を約60分間の点滴により静脈内投与することを含む。しかしながら、実務者が得たいと思っている薬物動態学的減衰パターンによっては他の投薬量レジメンが有用な場合もあり得る。一部の態様では、初回用量投与と1回以上の追加用量投与は同じ様式で(例えば、皮下投与または静脈内投与にて)行われる。一部の態様では、該1回以上の追加用量投与は初回用量投与と異なる様式で行われ、例えば、初回用量投与は静脈内投与であり得、該1回以上の追加用量投与は皮下投与であり得る。
別の局面では、本開示により、CGRP経路をモジュレートする量の単回用量のモノクローナル抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を対象に投与する工程を含む、対象における(持続性)外傷後頭痛を予防する、治療する、またはその発生率を低減させる方法を提供する。一部の態様では、該単回用量は0.1mg〜5000mg、1mg〜5000mg、10mg〜5000mg、100mg〜5000mg、1000mg〜5000mg、0.1mg〜4000mg、1mg〜4000mg、10mg〜4000mg、100mg〜4000mg、1000mg〜4000mg、0.1mg〜3000mg、1mg〜3000mg、10mg〜3000mg、100mg〜3000mg、1000mg〜3000mg、0.1mg〜2000mg、1mg〜2000mg、10mg〜2000mg、100mg〜2000mg、1000mg〜2000mg、0.1mg〜1000mg、1mg〜1000mg、10mg〜1000mg、または100mg〜1000mgの抗体量であり得る。一部の態様では、該単回用量は225mg〜約1000mg、例えば約675mgまたは約900mgの抗体量であり得る。
別の局面では、本開示により、対象に、CGRP経路をモジュレートする量の月間用量のモノクローナル抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を投与する工程を含む、対象における(持続性)外傷後頭痛を予防する、治療する、またはその発生率を低減させる方法を提供する。一部の態様では、該単回用量は0.1mg〜5000mg、1mg〜5000mg、10mg〜5000mg、100mg〜5000mg、1000mg〜5000mg、0.1mg〜4000mg、1mg〜4000mg、10mg〜4000mg、100mg〜4000mg、1000mg〜4000mg、0.1mg〜3000mg、1mg〜3000mg、10mg〜3000mg、100mg〜3000mg、1000mg〜3000mg、0.1mg〜2000mg、1mg〜2000mg、10mg〜2000mg、100mg〜2000mg、1000mg〜2000mg、0.1mg〜1000mg、1mg〜1000mg、10mg〜1000mg、または100mg〜1000mgの抗体量であり得る。一部の態様では、該月間用量は約225mg〜約1000mg、例えば約675mgまたは約900mgの抗体量であり得る。例示的な投与レジメンは、約675mgの初回抗体用量を皮下投与し、その後、約2ヶ月間、例えば約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間または12ヶ月間にわたって約225mgの月間抗体用量を皮下投与することを含む。また別の投与レジメンは、約900mgの初回用量を約60分間の点滴により静脈内投与し、その後、1年間、2年間、3年間、4年間、または5年間にわたって3ヶ月毎に約900mgの用量を約60分間の点滴により静脈内投与することを含む。しかしながら、実務者が得たいと思っている薬物動態学的減衰パターンによっては他の投薬量レジメンが有用な場合もあり得る。一部の態様では、初回用量投与と1回以上の追加用量投与は同じ様式で、例えば皮下投与または静脈内投与にて行われる。一部の態様では、該1回以上の追加用量投与は初回用量投与とは異なる様式で行われ、例えば、初回用量投与は静脈内投与であり得、該1回以上の追加用量投与は皮下投与であり得る。
別の局面では、本開示により、対象に、CGRP経路をモジュレートする量のモノクローナル抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を投与する工程を含む、対象に起こる月間頭痛時間数を減らす方法を提供する。一部の態様では、該モノクローナル抗体は、単回投与、1ヶ月毎の投与または3ヶ月毎の投与後、月間頭痛時間数が少なくとも0.1、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100時間、またはそれ以上の頭痛時間、減るのに有効な量であり得る。一部の態様では、該モノクローナル抗体は、単回投与、1ヶ月毎の投与または3ヶ月毎の投与後、月間頭痛時間数が少なくとも20頭痛時間、減るのに有効な量であり得る。一部の態様では、該モノクローナル抗体は、月間頭痛時間数が少なくとも40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125時間、またはそれ以上の頭痛時間、減るのに有効な量であり得る。一部の態様では、該モノクローナル抗体は、単回投与後に月間頭痛時間数が少なくとも0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれ以上、減るのに有効な量であり得る。一部の態様では、該モノクローナルは、単回投与、1ヶ月毎の投与または3ヶ月毎の投与後、月間頭痛時間数が少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれ以上、減るのに有効な量であり得る。
別の局面では、本開示により、対象に、CGRP経路をモジュレートする量のモノクローナル抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を投与する工程を含む、対象に起こる月間頭痛日数を減らす方法を提供する。一部の態様では、該モノクローナル抗体は、単回投与後に月間頭痛日数が少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日、またはそれ以上の頭痛日、減るのに有効な量であり得る。一部の態様では、該モノクローナル抗体は、1ヶ月毎の投与または3ヶ月毎の投与後、月間頭痛日数が少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日、またはそれ以上の頭痛日、減るのに有効な量であり得る。一部の態様では、該モノクローナル抗体は、単回投与、1ヶ月毎の投与または3ヶ月毎の投与後、月間頭痛日数が少なくとも0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれ以上、減るのに有効な量であり得る。
別の局面では、本開示により、対象に、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を投与する工程を含む、対象の抗頭痛薬の使用を減らす方法を提供する。一部の態様では、該モノクローナル抗体は、対象による抗頭痛薬の1日あたり、1ヶ月あたり、3ヶ月(四半期)あたりおよび/または1年あたりの使用が少なくとも0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれ以上、減るのに有効な量であり得る。一部の態様では、該モノクローナル抗体は、対象による抗頭痛薬の月間使用が少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれ以上、減るのに有効な量であり得る。抗頭痛薬は、本明細書に記載の任意の型の抗頭痛薬であり得る。抗頭痛薬の非限定的な例としては、例えば5-HT1アゴニスト(および他の5-HT1部位に作用するアゴニスト)、トリプタン(例えば、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、エレトリプタン、アルモトリプタン、アフロバトリプタン(afrovatriptan))、麦角アルカロイド(例えば、酒石酸エルゴタミン、マレイン酸エルゴノビン、ならびにメシル酸エルゴロイド(例えば、ジヒドロエルゴコルニン、ジヒドロエルゴクリスチン、ジヒドロエルゴクリプチン、およびメシル酸ジヒドロエルゴタミン(DHE 45))ならびに非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(例えば、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチンもしくはゾメピラク、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬、セレコキシブ; ロフェコキシブ; メロキシカム; JTE-522; L-745,337; NS398;またはその薬学的に許容される塩)、アヘン剤(例えば、オキシコドン)、ならびにβアドレナリン受容体拮抗薬(例えば、プロプラノロール)が挙げられる。
本明細書に記載のすべての方法に関して、抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)に対する言及はまた、1種または複数種のこれらの薬剤を含む組成物も包含している。したがって、かかる組成物は、本明細書に記載の抗体について言及している方法に従って使用され得る。これらの組成物は、さらに、好適な賦形剤、例えば本明細書の他の箇所に記載している薬学的に許容される賦形剤を含むものであってもよい。本発明は単独で、または他の慣用的な治療方法との併用で使用され得る。
本明細書に記載の抗体(例えば、モノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)は、個体または対象に任意の治療用量で、任意の好適な経路によって任意の好適な製剤にて投与され得る。本明細書に記載の例は、利用可能な手法の限定を意図するものではなく例示を意図するものであることは当業者には明らかであろう。したがって、一部の態様では、本明細書に記載の抗体は、対象に既知の方法に従って静脈内投与などで、例えばボーラスとして、またはある時間、例えば約10分間、約20分間、約30分間、約40分間、約50分間、約60分間、約90分間、約120分間、約180分間もしくは約240分間にわたる連続点滴によって投与され得る。また、本明細書に記載の抗体を対象に皮下、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、関節内、舌下、動脈内、滑液嚢内、吹送、髄腔内、経口、吸入、鼻腔内(例えば、吸入を伴うもの、もしくは伴わないもの)、口腔内、経直腸、経皮、心腔内、骨内、皮内、経粘膜、経膣、硝子体内、関節周囲、局部、皮膚上、または局所経路によって投与してもよい。投与は全身性、例えば静脈内投与であってもよく、局部性であってもよい。液剤用の市販のネブライザー、例えばジェット式ネブライザーおよび超音波式ネブライザーが投与に有用である。液剤は、直接霧化にしてもよく、凍結乾燥粉末を再構成後に霧状にしてもよい。あるいはまた、本明細書に記載の抗体を、フルオロカーボン製剤と定量吸入器を用いてエアロゾル化してもよく、凍結乾燥させてミリングした粉末として吸入してもよい。
一部の態様では、本明細書に記載の抗体は、部位特異的または標的化局部送達手法によって投与され得る。部位特異的または標的化局部送達手法の例としては、抗体の種々の埋込み可能なデポー源または局部送達用カテーテル、例えば点滴用カテーテル、留置カテーテルもしくはニードルカテーテル、人工血管移植、外膜ラップ(adventitial wrap)、シャントおよびステントもしくは他の埋込み可能なデバイス、部位特異的担体、直接注射、または直接適用が挙げられる。例えば、PCT公開番号WO00/53211および米国特許第5,981,568号(これらは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)を参照のこと。
本明細書に記載の抗体の種々の製剤が投与に使用され得る。一部の態様では、抗体は、そのままの状態で投与され得る。一部の態様では、抗体と薬学的に許容される賦形剤が種々の製剤にされ得る。薬学的に許容される賦形剤は当技術分野で公知のものであり、薬理学的に有効な物質の投与を容易にする比較的不活性な物質である。例えば、賦形剤は、形もしくは粘稠度を付与するもの、または希釈剤としての機能を果たすものであり得る。好適な賦形剤としては、非限定的に、安定化剤、湿潤剤および乳化剤、容量オスモル濃度変動用の塩、封入剤、バッファー、ならびに皮膚浸透向上剤が挙げられる。非経口および非経口以外での薬物送達のための賦形剤ならびに製剤は、Remington, The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed. Mack Publishing(2000)に示されている。
一部の態様では、このような薬剤、例えば本明細書に記載の抗体は、注射(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内など)による投与のために製剤化され得る。したがって、このような薬剤は、薬学的に許容されるビヒクル、例えば生理食塩水、リンゲル液、デキストロース液などと合わされ得る。具体的な投薬量レジメン、すなわち用量、タイミングおよび反復は、具体的な個体および該個体の病歴に依存する。
一部の態様では、このような薬剤、例えば本明細書に記載の抗体は末梢投与のために製剤化され得る。かかる製剤は、任意の好適な末梢経路によって、例えば静脈内および皮下に末梢投与され得る。末梢投与のために調製される薬剤としては、中枢内、脊髄、髄腔内または直接CNS内に送達されない物質、医薬および/または抗体が挙げられ得る。末梢投与経路の非限定的な例としては、経口、舌下、口腔内、局所、経直腸、吸入、経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、心腔内、骨内、皮内、腹腔内、経粘膜、経膣、硝子体内、関節内、関節周囲、局部、または皮膚上である経路が挙げられる。
本開示に従って使用される該抗体の治療用製剤は、保存および/または使用のために、所望の度合の純度を有する抗体を、任意選択の薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤(Remington, The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed. Mack Publishing(2000))と混合することにより調製され得、一部の場合では、凍結乾燥製剤または水性液剤の形態であり得る。許容され得る担体、賦形剤、または安定剤は、使用される投薬量および濃度でレシピエントに対して無毒性である。抗体の治療用製剤に1種または複数種の薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤を含めてもよく、かかる種の非限定的な例としては、バッファー、例えばリン酸、クエン酸および他の有機酸; 塩、例えば塩化ナトリウム; 酸化防止剤、例えばアスコルビン酸およびメチオニン; 保存料(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド; 塩化ヘキサメトニウム; 塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム; フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール; アルキルパラベン、例えばメチルもしくはプロピルパラベン; カテコール; レゾルシノール; シクロヘキサノール; 3-ペンタノール; およびm-クレゾール); 低分子量(約10個未満の残基)ポリペプチド; タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン; 親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン; アミノ酸(例えば、0.1mM〜100mM、0.1mM〜1mM、0.01mM〜50mM、1mM〜50mM、1mM〜30mM、1mM〜20mM、10mM〜25mMの濃度で)、例えばグリシン、グルタミン、メチオニン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリシン; 単糖類、二糖類および他の糖質、例えばグルコース、マンノースもしくはデキストリン; キレート剤(例えば、0.001mg/mL〜1mg/mL、0.001mg/mL〜1mg/mL、0.001mg/mL〜0.1mg/mL、0.001mg/mL〜0.01mg/mL、0.01mg/mL〜0.1mg/mLの濃度で)、例えばEDTA(例えば、EDTA二ナトリウム二水和物); 糖(例えば、1mg/mL〜500mg/mL、10mg/mL〜200mg/mL、10mg/mL〜100mg/mL、50mg/mL〜150mg/mLの濃度で)、例えばスクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール; 塩形成性対イオン、例えばナトリウム; 金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);および/または非イオン界面活性剤(例えば、0.01mg/mL〜10mg/mL、0.01mg/mL〜1mg/mL、0.1mg/mL〜1mg/mL、0.01mg/mL〜0.5mg/mLの濃度で)、例えばTWEEN(商標)(例えば、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80))、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
抗体製剤は、任意のさまざまな物性に関して特性評価され得る。例えば、液状の抗体製剤は、治療有効性、安全性および保存のための任意の好適なpHを有するものであり得る。例えば、液状の抗体製剤のpHはpH 4〜約pH 9、約pH 5〜約pH 8、約pH 5〜約pH 7、または約pH 6〜約pH 8であり得る。一部の態様では、液状の抗体製剤は、約3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5もしくは約10またはこれらより高いか、もしくは低いpHを有するものであり得る。
別の例では、液状の抗体製剤は、治療有効性、安全性および保存のための任意の好適な粘度を有するものであり得る。例えば、液状の抗体製剤の粘度は、25℃において約0.5センチポイズ(cP)〜約100cP、約1cP〜約50cP、約1cP〜約20cP、約1cP〜約15cP、または約5cP〜約15cPであり得る。一部の態様では、液状の抗体製剤は、25℃において約0.5cP、1cP、1.2cP、1.4cP、1.6cP、1.8cP、2.0cP、2.2cP、2.4cP、2.6cP、2.8cP、3.0cP、3.2cP、3.4cP、3.6cP、3.8cP、4.0cP、4.2cP、4.4cP、4.6cP、4.8cP、5.0cP、5.2cP、5.4cP、5.6cP、5.8cP、6.0cP、6.2cP、6.4cP、6.6cP、6.8cP、7.0cP、7.2cP、7.4cP、7.6cP、7.8cP、8.0cP、8.2cP、8.4cP、8.6cP、8.8cP、9.0cP、9.2cP、9.4cP、9.6cP、9.8cP、10.0cP、10.2cP、10.4cP、10.6cP、10.8cP、11.0cP、11.2cP、11.4cP、11.6cP、11.8cP、12.0cP、12.2cP、12.4cP、12.6cP、12.8cP、13.0cP、13.2cP、13.4cP、13.6cP、13.8cP、14.0cP、14.2cP、14.4cP、14.6cP、14.8cP、または約15.0cPの粘度を有するものであり得、該粘度はこれらより高い場合または低い場合もあり得る。
別の例では、液状の抗体製剤は、治療有効性、安全性および保存のための任意の好適な伝導度を有するものであり得る。例えば、液状の抗体製剤の伝導度は、約0.1ミリジーメンスパーセンチメートル(mS/cm)〜約15mS/cm、0.1mS/cm〜10mS/cm、0.1mS/cm〜5mS/cm、0.1mS/cm〜2mS/cm、または0.1mS/cm〜1.5mS/cmであり得る。一部の態様では、液状の抗体製剤は、0.19mS/cm、0.59mS/cm、1.09mS/cm、1.19mS/cm、1.29mS/cm、1.39mS/cm、1.49mS/cm、1.59mS/cm、1.69mS/cm、1.79mS/cm、1.89mS/cm、1.99mS/cm、2.09mS/cm、2.19mS/cm、2.29mS/cm、2.39mS/cm、2.49mS/cm、2.59mS/cm、2.69mS/cm、2.79mS/cm、2.89mS/cm、2.99mS/cm、3.09mS/cm、3.19mS/cm、3.29mS/cm、3.39mS/cm、3.49mS/cm、3.59mS/cm、3.69mS/cm、3.79mS/cm、3.89mS/cm、3.99mS/cm、4.09mS/cm、4.19mS/cm、4.29mS/cm、4.39mS/cm、4.49mS/cm、4.59mS/cm、4.69mS/cm、4.79mS/cm、4.89mS/cm、4.99mS/cm、5.09mS/cm、6.09mS/cm、6.59mS/cm、7.09mS/cm、7.59mS/cm、8.09mS/cm、8.59mS/cm、9.09mS/cm、9.59mS/cm、10.09mS/cm、10.59mS/cm、11.09mS/cm、11.59mS/cm、12.09mS/cm、12.59mS/cm、13.09mS/cm、13.59mS/cm、14.09mS/cm、14.59mS/cm、または約15.09mS/cmの伝導度を有するものであり得、該伝導度はこれらより高い場合または低い場合もあり得る。
別の例では、液状の抗体製剤は、治療有効性、安全性および保存のための任意の好適な重量オスモル濃度を有するものであり得る。例えば、液状の抗体製剤の重量オスモル濃度は、約50ミリオスモルパーキログラム(mOsm/kg)〜約5000mOsm/kg、約50mOsm/kg〜約2000mOsm/kg、約50mOsm/kg〜約1000mOsm/kg、約50mOsm/kg〜約750mOsm/kg、または約50mOsm/kg〜約500mOsm/kgであり得る。一部の態様では、液状の抗体製剤は、約50mOsm/kg、60mOsm/kg、70mOsm/kg、80mOsm/kg、90mOsm/kg、100mOsm/kg 120mOsm/kg、140mOsm/kg、160mOsm/kg、180mOsm/kg、200mOsm/kg、220mOsm/kg、240mOsm/kg、260mOsm/kg、280mOsm/kg、300mOsm/kg、320mOsm/kg、340mOsm/kg、360mOsm/kg、380mOsm/kg、400mOsm/kg、420mOsm/kg、440mOsm/kg、460mOsm/kg、480mOsm/kg、500mOsm/kg、520mOsm/kg、540mOsm/kg、560mOsm/kg、580mOsm/kg、600mOsm/kg、620mOsm/kg、640mOsm/kg、660mOsm/kg、680mOsm/kg、700mOsm/kg、720mOsm/kg、740mOsm/kg、760mOsm/kg、780mOsm/kg、800mOsm/kg、820mOsm/kg、840mOsm/kg、860mOsm/kg、880mOsm/kg、900mOsm/kg、920mOsm/kg、940mOsm/kg、960mOsm/kg、980mOsm/kg、1000mOsm/kg、1050mOsm/kg、1100mOsm/kg、1150mOsm/kg、1200mOsm/kg、1250mOsm/kg、1300mOsm/kg、1350mOsm/kg、1400mOsm/kg、1450mOsm/kg、約1500mOsm/kgの重量オスモル濃度を有するものであり得、該重量オスモル濃度はこれらより高い場合または低い場合もあり得る。
抗体を含有させたリポソームは、当技術分野で公知の方法、例えばEpstein, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688(1985); Hwang, et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 77:4030(1980); ならびに米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載の方法によって調製され得る。循環時間が向上したリポソームが米国特許第5,013,556号に開示されている。特に有用なリポソームは、逆相蒸発法により、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いて作製され得る。リポソームは、規定の細孔径のフィルターから押し出すと所望の直径を有するリポソームが得られる。
また、活性成分を、例えばコアセルベーション手法または界面重合によって調製されるマイクロカプセル内に、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート(methacylate))マイクロカプセル内、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)内、またはマクロエマルジョン中に閉じ込めてもよい。かかる手法はRemington, The Science and Practice of Pharmacy 20th Ed. Mack Publishing(2000)に開示されている。
徐放性調製物を調製してもよい。徐放性調製物の好適な例としては、該抗体を含有させた固形の疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、該マトリックスは成形物品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、または'ポリ(ビニル(v nyl)アルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸と7エチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーと酢酸ロイプロリドで構成された注射用ミクロスフィア)、スクロース酢酸イソブチル、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
インビボ投与に使用される製剤は一般的に、滅菌されているのがよい。これは、例えば滅菌濾過膜に通す濾過によって容易に行なわれる。治療用抗体組成物は一般的に、滅菌されたアクセスポートを有する容器、例えば皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内用液剤バッグまたはバイアルに入れられる。
本発明による組成物は、経口、非経口もしくは経直腸投与または吸入もしくは吹送による投与のための単位投薬形態、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤もしくは懸濁剤または坐剤であり得る。一部の場合では、単位投薬形態は、対象への該投薬単位の投与に有用なプレフィルド容器(例えば、プレフィルドシリンジ)内に供給され得る。
固形組成物、例えば錠剤の調製のためには、主成分の活性成分は、医薬用担体、例えば慣用的な錠剤化成分、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはガムおよび他の医薬用希釈剤、例えば水と混合され、本発明の化合物またはその無毒性の薬学的に許容される塩の均一な混合物を含む固形のプレフォーミュレーション組成物が形成され得る。このようなプレフォーミュレーション組成物が均一であるという場合、これは、活性成分が組成物全体に一様に分散されており、その結果、該組成物が等しく有効な単位投薬形態、例えば錠剤、丸剤およびカプセル剤に容易に細分され得ることを意図する。この固形のプレフォーミュレーション組成物は次いで、約0.1mg〜約500mgの本発明の活性成分を含む上記の型の単位投薬形態に細分される。持続性作用という利点をもたらす投薬形態を得るために、この新規な組成物の錠剤または丸剤をコーティングまたは別の方法で複合化してもよい。例えば、錠剤または丸剤は内側投薬成分と外側投薬成分を含むものであり、後者が前者の外皮の形態であるものであり得る。この2つの成分は、胃内で崩壊に耐える機能を果たし、内側成分が損なわれずに十二指腸内に送られること、またはその放出が遅延されることを可能にする腸溶性の層によって隔離され得る。さまざまな物質が、かかる腸溶性の層またはコーティングに使用され得、かかる物質としては、いくつかの高分子の酸ならびに高分子の酸とシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースなどの物質との混合物が挙げられる。
好適な表面活性剤としては、特に、非イオン性薬剤、例えばポリオキシエチレンソルビタン(例えば、TWEEN(商標)20、40、60、80、または85)および他のソルビタン(例えば、SPAN(商標)20、40、60、80、または85)が挙げられる。表面活性剤を有する組成物は、簡便には約0.05〜約5%の表面活性剤を含むものであり、約0.1%〜約2.5%である場合もあり得る。必要であれば、他の成分、例えばマンニトールまたは他の薬学的に許容されるビヒクルを添加してもよいことは認識されよう。
好適な乳剤は、市販の脂肪乳剤、例えばINTRALIPID(商標)、LIPOSYN(商標)、INFONUTROL(商標)、LIPOFUNDIN(商標)およびLIPIPHYSAN(商標)を用いて調製され得る。活性成分は、予備混合した乳剤組成物中に溶解させるか、あるいはまた、油(例えば、大豆油、ベニバナ油、綿実油、ゴマ油、コーン油またはアーモンド油)に溶解させ、リン脂質(例えば、卵のリン脂質、大豆リン脂質または大豆レシチン)および水と混合して乳剤を形成させるかのいずれかであり得る。他の成分、例えばグリセロールまたはグルコースを添加し、乳剤の張度を調整してもよいことは認識されよう。好適な乳剤は典型的には20%まで、例えば5〜20%の油を含有している。脂肪乳剤は、約0.1〜1.0 1m、特に約0.1〜0.5 1mの脂肪小滴を含むものであり、約pH 5.5〜約pH 8.0の範囲のpHを有するものであり得る。
乳剤組成物は、該抗体をINTRALIPID(商標)またはその成分(大豆油、卵のリン脂質、グリセロールおよび水)と混合することにより調製されるものであり得る。
吸入または吹送のための組成物としては、薬学的に許容される水性溶媒もしくは有機溶媒またはその混合物中の液剤および懸濁剤、ならびに粉末剤が挙げられる。液状または固形の組成物には、上記に示した好適な薬学的に許容される賦形剤が含有され得る。一部の態様では、該組成物は、局部効果または全身性効果のために経口または経鼻呼吸器経路によって投与される。好ましくは滅菌された薬学的に許容される溶媒中の該組成物はガスの使用によって霧化され得る。霧化された液剤は、霧化デバイスから直接換気によるものであってもよく、霧化デバイスをフェイスマスク、テントまたは間欠的陽圧換気装置に取り付けてもよい。液剤、懸濁剤または粉末剤の組成物は、製剤を適切な様式で送達するデバイスから好ましくは経口で、または経鼻で投与され得る。
一部の態様では、本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を含む製剤は、任意の好適な投与経路のために、約0.1mg〜約3000mg、約1mg〜約1000mg、約100mg〜約1000mg、または約100mg〜約500mgの範囲の抗体量で調製され得る。一部の場合では、本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を含む製剤は、最大で、または少なくとも約0.1mg、1mg、100mg、1mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、または約3000mgの抗体量を含むものであり得る。
一部の態様では、本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を含む液剤は、任意の好適な投与経路のために、約0.1mg/mL〜約500mg/mL、約0.1mg/mL〜約375mg/mL、約0.1mg/mL〜約250mg/mL、約0.1〜約175mg/mL、約0.1〜100mg/mL、約1mg/mL〜約500mg/mL、約1mg/mL〜約375mg/mL、約1mg/mL〜約300mg/mL、約1mg/mL〜250mg/mL、約1mg/mL〜200mg/mL、約1mg/mL〜150mg/mL、約1mg/mL〜約100mg/mL、約10mg/mL to 500mg/mL、約10mg/mL〜約375mg/mL、約10mg/mL〜250mg/mL、約10mg/mL〜約150mg/mL、約10mg/mL〜100mg/mL、約100mg/mL〜500mg/mL、約100mg/mL〜450mg/mL、約100mg/mL〜400mg/mL、約100mg/mL〜約350mg/mL、約100mg/mL〜約300mg/mL、約100mg/mL〜約250mg/mL、100mg/mL〜200mg/mL、または約100mg/mL〜約150mg/mLの範囲の抗体濃度で調製され得る。一部の態様では、該液剤は、本明細書に記載の抗体を最大で、少なくとも約0.1、0.5、1、5、10、15 20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105 110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185, 190, 195、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490もしくは約500mg/mLまたはこれら未満の濃度で含むものであり得る。
抗体製剤は、1種または複数種の成分、例えば該抗体および本明細書の他の箇所に記載の他の種を含むものであってもよい。該抗体および該他の成分は、該抗体の治療有効性、安全性および保存のための任意の好適な量および/または任意の好適な濃度のものであり得る。一例では、抗体製剤は、約51.4mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、16〜20mMのヒスチジン、0.1mg/mLのメチオニン、84mg/mLのトレハロース二水和物、0.05mg/mLのEDTA二ナトリウム二水和物および0.2mg/mLのポリソルベート80を含む液剤であり得る。
別の例では、抗体製剤は、約200mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、15mMのアルギニン、78mg/mLのスクロース、0.3mg/mLのEDTAおよび0.1mg/mLのポリソルベート80を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、約175mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、20mMのグリシン、88mg/mLのトレハロース二水和物、0.015mg/mLのEDTAおよび0.25mg/mLのポリソルベート80を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、約225mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、23mMのアスパラギン、84mg/mLのソルビトール、0.1mg/mLのEDTAおよび0.15mg/mLのポリソルベート60を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、約150mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、17mMのアスパラギン、74mg/mLのマンニトール、0.025mg/mLのEDTAおよび0.2mg/mLのポリソルベート80を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、約100mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、16mMのアルギニン、87mg/mLのマンニトール、0.025mg/mLのEDTAおよび0.15mg/mLのポリソルベート20を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、約250mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、25mMのヒスチジン、74mg/mLのマンニトール、0.025mg/mLのEDTAおよび0.25mg/mLのポリソルベート20を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、約50mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、19mMのアルギニン、84mg/mLのスクロース、0.05mg/mLのEDTAおよび0.3mg/mLのポリソルベート80を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、約125mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、22mMのグリシン、79mg/mLのトレハロース二水和物、0.15mg/mLのEDTAおよび0.15mg/mLのポリソルベート80を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、約175mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、20mMのヒスチジン、0.1mg/mLのメチオニン、84mg/mLのトレハロース二水和物、0.05mg/mLのEDTA二ナトリウム二水和物および0.2mg/mLのポリソルベート80を含む液剤であり得る。
別の例では、抗体製剤は、約200mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、30mMのアルギニン、78mg/mLのスクロース、0.3mg/mLのEDTAおよび0.1mg/mLのポリソルベート80を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、約175mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、20mMのグリシン、88mg/mLのトレハロース二水和物、0.015mg/mLのEDTAおよび0.15mg/mLのポリソルベート80を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、約150mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、20mMのヒスチジン、84mg/mLのスクロース、0.05mg/mLのEDTAおよび0.2mg/mLのポリソルベート80を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、約225mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、23mMのヒスチジン、84mg/mLのソルビトール、0.1mg/mLのEDTAおよび0.15mg/mLのポリソルベート60を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、約150mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、17mMのアスパラギン、74mg/mLのマンニトール、0.3mg/mLのEDTAおよび0.2mg/mLのポリソルベート80を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、約100mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、16mMのアルギニン、87mg/mLのマンニトール、0.025mg/mLのEDTAおよび0.25mg/mLのポリソルベート20を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、約250mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、25mMのヒスチジン、89mg/mLのマンニトール、0.025mg/mLのEDTAおよび0.25mg/mLのポリソルベート20を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、125mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、29mMのアルギニン、84mg/mLのスクロース、0.05mg/mLのEDTAおよび0.3mg/mLのポリソルベート80を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、150mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、25mMのアスパラギン、84mg/mLのマンニトール、0.05mg/mLのEDTAおよび0.2mg/mLのポリソルベート80を含むものであり得る。
別の例では、抗体製剤は、145mg/mLの抗体(例えば、抗体G1、別の抗CGRPアンタゴニスト抗体、またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)、22mMのヒスチジン、72mg/mLのトレハロース二水和物、0.05mg/mLのEDTAおよび0.1mg/mLのポリソルベート80を含むものであり得る。
本明細書に記載の抗体は、任意の好適な方法を用いて、例えば注射によって(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内などに)投与され得る。また、該抗体を、本明細書に記載のようにして吸入によって投与してもよい。一部の場合では、抗体は、吸入を伴って、または伴わずに経鼻投与され得る。概して、本明細書に記載の抗体の投与では、初回候補投薬量は約2mg/kgであり得る。本発明の解釈上、典型的な1日あたりの投薬量は、上記の要素にもよるが、3μg/kgから30μg/kgまで、300μg/kgまで、3mg/kgまで、30mg/kgまで、100mg/kgまで、またはそれ以上の範囲のいずれかのおよその量であろう。例えば、約1mg/kg、約2.5mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、約25mg/kg、および約30mg/kgの投薬量が使用され得る。病状に応じて数日間またはそれ以上にわたる反復投与では、処置は、所望の症状抑制が起こるまで、または例えば痛みが軽減されるのに充分な治療レベルが得られるまで持続される。例示的な投与レジメンは、約8.5mg/kgまたは約10mg/kgの初回用量、その後、約2.8mg/kgの維持用量の抗体か、または約2.8mg/kgの維持用量を隔週で投与することを含む。別の例示的な投与レジメンは、約100mg、125mg、150mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、約675mg、または約900mgの用量を対象に1ヶ月に1回、約1時間の点滴により静脈内投与、または皮下投与することを含む。別の例示的な投与レジメンは、約675mgの初回抗体用量を皮下投与し、その後、約2ヶ月間、例えば約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間または12ヶ月間にわたって約225mgの月間抗体用量を皮下投与することを含む。また別の投与レジメンは、約900mgの初回用量を約60分間の点滴により静脈内投与し、その後、1年間、2年間、3年間、4年間、または5年間にわたって3ヶ月毎に約900mgの用量を約60分間の点滴により静脈内投与することを含む。しかしながら、実務者が得たいと思っている薬物動態学的減衰パターンによっては他の投薬量レジメンが有用な場合もあり得る。例えば、一部の態様では、週に約1〜約4回の投与が想定される。この治療の経過は、慣用的な手法およびアッセイによって容易にモニタリングされる。投与レジメン(例えば、使用されるCGRP拮抗薬(1種類または複数))を経時的に変更してもよい。
一部の態様では、対象に投与される本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)の用量または量は、約0.1μg〜約3000mg、1mg〜1000mg、100mg〜1000mg、100mg〜500mg、0.1mg〜5000mg、1mg〜4000mg、250mg〜1000mg、500mg〜1000mg、100mg〜900mg、400mg〜900mg、10mg〜3000mg、10mg〜2000mg、100mg〜2000mg、150mg〜2000mg、200mg〜2000mg、250mg〜2000mg、300mg〜2000mg、350mg〜2000mg、400mg〜2000mg、450mg〜2000mg、500mg〜2000mg、550mg〜2000mg、600mg〜2000mg、650mg〜2000mg、700mg〜2000mg、750mg〜2000mg、800mg〜2000mg、850mg〜2000mg、900mg〜2000mg、950mg〜2000mg、または1000mg〜2000mgの範囲であり得る。一部の態様では、対象に投与される本明細書に記載の抗体の用量または量は、約0.1μg、1μg、100μg、1mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、または約3000mgであり得るか、最大でこれらの量であり得るか、これらの量未満であり得るか、または少なくともこれらの量であり得る。一部の態様では、該量は約225mg〜約1000mg、例えば約675mgまたは約900mgである。例示的な投与レジメンは、約675mgの初回抗体用量を皮下投与し、その後、約2ヶ月間、例えば約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間または12ヶ月間にわたって約225mgの月間抗体用量を皮下投与することを含む。また別の投与レジメンは、約900mgの初回用量を約60分間の点滴により静脈内投与し、その後、1年間、2年間、3年間、4年間、または5年間にわたって3ヶ月毎に約900mgの用量を約60分間の点滴により静脈内投与することを含む。しかしながら、実務者が得たいと思っている薬物動態学的減衰パターンによっては他の投薬量レジメンが有用な場合もあり得る。
一部の態様では、対象に投与される本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)の用量または量は、約0.1〜500、0.1〜100、0.1〜50、0.1〜20、0.1〜10、1〜10、1〜7、1〜5、または0.1〜3mg/kg体重の範囲であり得る。一部の態様では、対象に投与される本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)の用量または量は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5, 19.0, 19.5、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180, 190、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、または約500mg/kg体重であり得るか、最大でこれらの量であり得るか、これらの量未満であり得るか、または少なくともこれらの量であり得る。
一部の態様では、ある用量または量の本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を対象に投与する頻度はさまざまであり得る。一部の態様では、治療全体を通して単回用量の抗体が対象に投与され得る。一部の態様では、ある用量または量の抗体を対象に投与する頻度は一定である(例えば、1ヶ月あたり約1回または3ヶ月あたり約1回、投与される)。一部の態様では、ある用量または量の抗体を対象に投与する頻度は、約1年間、2年間、3年間、4年間、または5年間にわたって約3ヶ月に1回である。一部の態様では、ある用量または量の本明細書に記載の抗体を対象に投与する頻度は一定ではない(例えば、初回用量投与後、1ヶ月に1回の用量投与、その後、約3ヶ月目と約7ヶ月目に追加用量投与)。一部の態様では、抗体を対象に投与する頻度は、1日あたり約1、2、3、4、5、または6回であるか、少なくともこれらの回数であるか、これらの回数未満であるか、または最大でこれらの回数である。一部の態様では、抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を対象に投与する頻度は、1日あたり約1、2、3、4、5、または6回の投与であるか、少なくともこれらの回数の投与であるか、これら未満の回数の投与であるか、または最大でこれらの回数の投与である。
一部の態様では、ある用量または量の本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を対象に投与する頻度は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、180、または200日あたり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20回であるか、少なくともこれらの回数であるか、これらの回数未満であるか、または最大でこれらの回数である。
一部の態様では、ある用量または量の本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を対象に投与する頻度は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100週あたり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20回であるか、少なくともこれらの回数であるか、これらの回数未満であるか、または最大でこれらの回数である。一部の態様では、本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を対象に投与する頻度は、1週あたり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15回の投与であるかまたはこれら未満の投与である。
一部の態様では、ある用量または量の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を対象に投与する頻度は、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、13ヶ月、14ヶ月、15ヶ月、16ヶ月、17ヶ月、または18ヶ月あたり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20回であるか、少なくともこれらの回数であるか、これらの回数未満であるか、または最大でこれらの回数である。一部の態様では、ある用量または量の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を対象に投与する頻度は、1ヶ月あたり約1回である。一部の態様では、ある用量または量の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を対象に投与する頻度は、3ヶ月あたり約1回である。一部の態様では、本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を対象に投与する頻度は、1ヶ月あたり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15回未満の投与である。一部の態様では、ある用量または量の抗体が、1ヶ月あたり1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回またはそれ以上、対象に投与され得る(例えば、皮下に、または静脈内に点滴で)。
一部の態様では、約50mg、100mg 150mg、200mg、225mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、675mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1450mg、1500mg、1550mg、1600mg、1650mg、1700mg、1750mg、1800mg、1850mg、1900mg、1950mg、2000mg、2050mg、2100mg、2150mg、2200mg、2250mg、2300mg、2350mg、2400mg、2450mg、2500mg、2550mg、2600mg、2650mg、2700mg、2750mg、2800mg、2850mg、2900mg、2950mg、3000mgまたはそれ以上の用量または量の前記抗体が1ヶ月あたり1回、対象に投与され得る(例えば、皮下に、または静脈内に点滴で)。一部の態様では、約0.1mg〜5000mg、1mg〜4000mg、10mg〜3000mg、10mg〜2000mg、100mg〜2000mg、150mg〜2000mg、200mg〜2000mg、250mg〜2000mg、300mg〜2000mg、350mg〜2000mg、400mg〜2000mg、450mg〜2000mg、500mg〜2000mg、550mg〜2000mg、600mg〜2000mg、650mg〜2000mg、700mg〜2000mg、750mg〜2000mg、800mg〜2000mg、850mg〜2000mg、900mg〜2000mg、950mg〜2000mg、または約1000mg〜2000mgの用量または量の前記抗体が1ヶ月あたり1回、対象に投与され得る(例えば、皮下に、または静脈内に点滴で)。一部の態様では、約225mg〜約1000mg、例えば約225mgの抗体が1ヶ月あたり1回、投与される。例示的な投与レジメンは、約675mgの初回抗体用量を皮下投与し、その後、約2ヶ月間、例えば約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間または12ヶ月間にわたって約225mgの月間抗体用量を皮下投与することを含む。また別の投与レジメンは、約900mgの初回用量を約60分間の点滴により静脈内投与し、その後、1年間、2年間、3年間、4年間、または5年間にわたって3ヶ月毎に約900mgの用量を約60分間の点滴により静脈内投与することを含む。しかしながら、実務者が得たいと思っている薬物動態学的減衰パターンによっては他の投薬量レジメンが有用な場合もあり得る。
一部の態様では、約50mg、100mg 150mg、200mg、225mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、675mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1450mg、1500mg、1550mg、1600mg、1650mg、1700mg、1750mg、1800mg、1850mg、1900mg、1950mg、2000mg、2050mg、2100mg、2150mg、2200mg、2250mg、2300mg、2350mg、2400mg、2450mg、2500mg、2550mg、2600mg、2650mg、2700mg、2750mg、2800mg、2850mg、2900mg、2950mg、3000mgまたはそれ以上の用量または量の前記抗体が3ヶ月毎に対象に投与され得る(例えば、皮下に、または静脈内に点滴で)。一部の態様では、約0.1mg〜5000mg、1mg〜4000mg、10mg〜3000mg、10mg〜2000mg、100mg〜2000mg、150mg〜2000mg、200mg〜2000mg、250mg〜2000mg、300mg〜2000mg、350mg〜2000mg、400mg〜2000mg、450mg〜2000mg、500mg〜2000mg、550mg〜2000mg、600mg〜2000mg、650mg〜2000mg、700mg〜2000mg、750mg〜2000mg、800mg〜2000mg、850mg〜2000mg、900mg〜2000mg、950mg〜2000mg、または1000mg〜2000mgの用量または量の前記抗体が3ヶ月毎に対象に投与され得る(例えば、皮下に、または静脈内に点滴で)。一部の態様では、約225mg〜約1000mgが3ヶ月以下毎に1回、投与され、例えば約900mgが3ヶ月毎に静脈内に点滴で投与される。例示的な投与レジメンは、約675mgの初回抗体用量を皮下投与し、その後、約2ヶ月間、例えば約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間または12ヶ月間にわたって約225mgの月間抗体用量を皮下投与することを含む。また別の投与レジメンは、約900mgの初回用量を約60分間の点滴により静脈内投与し、その後、1年間、2年間、3年間、4年間、または5年間にわたって3ヶ月毎に約900mgの用量を約60分間の点滴により静脈内投与することを含む。しかしながら、実務者が得たいと思っている薬物動態学的減衰パターンによっては他の投薬量レジメンが有用な場合もあり得る。
一部の態様では、約50mg、100mg 150mg、200mg、225mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、675mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1450mg、1500mg、1550mg、1600mg、1650mg、1700mg、1750mg、1800mg、1850mg、1900mg、1950mg、2000mg、2050mg、2100mg、2150mg、2200mg、2250mg、2300mg、2350mg、2400mg、2450mg、2500mg、2550mg、2600mg、2650mg、2700mg、2750mg、2800mg、2850mg、2900mg、2950mg、3000mgまたはそれ以上の用量または量の前記抗体が6ヶ月毎に対象に投与され得る(例えば、皮下に、または静脈内に点滴で)。一部の態様では、約0.1mg〜5000mg、1mg〜4000mg、10mg〜3000mg、10mg〜2000mg、100mg〜2000mg、150mg〜2000mg、200mg〜2000mg、250mg〜2000mg、300mg〜2000mg、350mg〜2000mg、400mg〜2000mg、450mg〜2000mg、500mg〜2000mg、550mg〜2000mg、600mg〜2000mg、650mg〜2000mg、700mg〜2000mg、750mg〜2000mg、800mg〜2000mg、850mg〜2000mg、900mg〜2000mg、950mg〜2000mg、または1000mg〜2000mgの用量または量の前記抗体が6ヶ月毎に対象に投与され得る(例えば、皮下に、または静脈内に点滴で)。一部の態様では、225mg〜1000mgが6ヶ月以下毎に1回、投与される。例示的な投与レジメンは、約675mgの初回抗体用量を皮下投与し、その後、約2ヶ月間、例えば約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間または12ヶ月間にわたって約225mgの月間抗体用量を皮下投与することを含む。また別の投与レジメンは、約900mgの初回用量を約60分間の点滴により静脈内投与し、その後、1年間、2年間、3年間、4年間、または5年間にわたって3ヶ月毎に約900mgの用量を約60分間の点滴により静脈内投与することを含む。しかしながら、実務者が得たいと思っている薬物動態学的減衰パターンによっては他の投薬量レジメンが有用な場合もあり得る。
一部の態様では、ある用量または量の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を対象に(例えば、皮下または静脈内)投与する頻度は、3ヶ月毎(四半期毎)に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20回であるか、少なくともこれらの回数であるか、これらの回数未満であるか、または最大でこれらの回数である。理解され得るように、「四半期」は、1年の4分の1の期間を示すものであり得るか、あるいは、また暦四半期、例えば1月1日〜3月31日、4月1日〜6月30日、7月1日〜9月30日、または10月1日〜12月31日の期間を示すものであってもよい。一部の場合では、「四半期」は、約3ヶ月間の期間を示すものであり得る。
一部の態様では、約50mg、100mg 150mg、200mg、225mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、675mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1450mg、1500mg、1550mg、1600mg、1650mg、1700mg、1750mg、1800mg、1850mg、1900mg、1950mg、2000mg、2050mg、2100mg、2150mg、2200mg、2250mg、2300mg、2350mg、2400mg、2450mg、2500mg、2550mg、2600mg、2650mg、2700mg、2750mg、2800mg、2850mg、2900mg、2950mg、3000mgまたはそれ以上の用量または量の前記抗体が3ヶ月毎に対象に投与され得る(例えば、皮下に、または静脈内に点滴で)。一部の態様では、約0.1mg〜5000mg、1mg〜4000mg、10mg〜3000mg、10mg〜2000mg、100mg〜2000mg、150mg〜2000mg、200mg〜2000mg、250mg〜2000mg、300mg〜2000mg、350mg〜2000mg、400mg〜2000mg、450mg〜2000mg、500mg〜2000mg、550mg〜2000mg、600mg〜2000mg、650mg〜2000mg、700mg〜2000mg、750mg〜2000mg、800mg〜2000mg、850mg〜2000mg、900mg〜2000mg、950mg〜2000mg、または1000mg〜2000mgの用量または量の前記抗体が3ヶ月毎に対象に投与され得る(例えば、皮下に、または静脈内に点滴で)。例示的な投与レジメンは、約675mgの初回抗体用量を皮下投与し、その後、約2ヶ月間、例えば約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間または12ヶ月間にわたって約225mgの月間抗体用量を皮下投与することを含む。また別の投与レジメンは、約900mgの初回用量を約60分間の点滴により静脈内投与し、その後、1年間、2年間、3年間、4年間、または5年間にわたって3ヶ月毎に約900mgの用量を約60分間の点滴により静脈内投与することを含む。しかしながら、実務者が得たいと思っている薬物動態学的減衰パターンによっては他の投薬量レジメンが有用な場合もあり得る。
一部の態様では、ある用量または量の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を投与する頻度は、1年、2年、3年、4年、または5年あたり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20回であるか、少なくともこれらの回数であるか、これらの回数未満であるか、または最大でこれらの回数である。一部の態様では、抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を対象に投与する頻度は、1年あたり1回未満、2回未満、3回未満、4回未満、5回未満、6回未満、7回未満、8回未満、9回未満、10回未満、11回未満、12回未満、13回未満、14回未満、15回未満、16回未満、17回未満、18回未満、19回未満、20回未満、21回未満、22回未満、23回未満、24回未満、または25回未満の投与である。
一部の態様では、約50mg、100mg 150mg、200mg、225mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、675mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1450mg、1500mg、1550mg、1600mg、1650mg、1700mg、1750mg、1800mg、1850mg、1900mg、1950mg、2000mg、2050mg、2100mg、2150mg、2200mg、2250mg、2300mg、2350mg、2400mg、2450mg、2500mg、2550mg、2600mg、2650mg、2700mg、2750mg、2800mg、2850mg、2900mg、2950mg、3000mgまたはそれ以上の用量または量の前記抗体が1年に1回、対象に投与され得る。一部の態様では、約0.1mg〜5000mg、1mg〜4000mg、10mg〜3000mg、10mg〜2000mg、100mg〜2000mg、150mg〜2000mg、200mg〜2000mg、250mg〜2000mg、300mg〜2000mg、350mg〜2000mg、400mg〜2000mg、450mg〜2000mg、500mg〜2000mg、550mg〜2000mg、600mg〜2000mg、650mg〜2000mg、700mg〜2000mg、750mg〜2000mg、800mg〜2000mg、850mg〜2000mg、900mg〜2000mg、950mg〜2000mg、または1000mg〜2000mgの用量または量の前記抗体が1年に1回毎に対象に投与され得る。一部の態様では、約450mg〜約2000mgが1年以下毎に1回、投与される。
一部の態様では、前記方法は、本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を複数の日に対象に投与する工程を含み得る。該複数の日のうちの2、3、4、5、6、7、8つの日またはそれより多くが、1日より多く、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75日またはそれより多く離され得る。一部の態様では、該複数の日のうちの2つの日が1日より多く、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30日またはそれより多く離される。さらに、一部の態様では、該複数の日の第1の日に投与される抗体の量は、第2の日に投与される該抗体の量と異なる(例えば、より多い、またはより少ない)ものであり得る。
一部の態様では、初回用量(例えば、負荷用量)の本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)が対象に投与され、その後、1回以上の追加用量が所望の間隔で投与され得る。一部の態様では、初回用量と1回以上の該追加用量は同じ用量である。一部の態様では、該1回以上の追加用量は初回用量とは異なる用量である。一部の態様では、初回用量と該1回以上の追加用量は同じ様式で、すなわち皮下または静脈内に投与される。一部の態様では、該1回以上の追加用量は初回用量とは異なる様式で投与され、例えば初回用量は静脈内投与され得、該1回以上の追加用量は皮下投与され得る。一部の態様では、該1回以上の追加用量を投与する頻度は一定(例えば、1ヶ月毎または3ヶ月毎)である。一部の態様では、該1回以上の追加用量を投与する頻度は一定ではない(例えば、ある追加用量を初回用量投与後1ヶ月目に投与し、その後、別の追加用量を初回用量投与後3ヶ月目に投与する)。初回負荷用量、追加用量および、追加用量投与頻度(例えば、本明細書に記載のものなど)の任意の望ましいおよび/または治療的レジメンが使用され得る。例示的なレジメンとしては、約675mgの初回負荷用量の抗CGRPアンタゴニスト抗体を皮下投与した後、続いて、約225mgの後続の維持用量の該抗体を1ヶ月間隔で皮下投与することが挙げられる。また別の例示的なレジメンとしては、約900mgの初回用量の抗CGRPアンタゴニスト抗体を約60分間の点滴により静脈内投与した後、続いて、約900mgの後続の維持用量の抗CGRPアンタゴニスト抗体の約60分間の点滴による静脈内投与を3ヶ月間隔で行うことが挙げられる。
一部の態様では、約0.1μg、1μg、100μg、1mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1500mg、2000mg、または約3000mgの初回用量の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を対象に投与した後、約0.1μg、1μg、100μg、1mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1500mg、2000mg、または約3000mgの1回以上の追加用量の該抗体が投与され得る。例示的なレジメンとしては、約675mgの初回負荷用量の抗CGRPアンタゴニスト抗体を皮下投与した後、続いて、約225mgの後続の維持用量の該抗体を1ヶ月間隔で皮下投与することが挙げられる。また別の例示的なレジメンとしては、約900mgの初回用量の抗CGRPアンタゴニスト抗体を約60分間の点滴により静脈内投与した後、続いて、約900mgの後続の維持用量の抗CGRPアンタゴニスト抗体の約60分間の点滴による静脈内投与を3ヶ月間隔で行うことが挙げられる。
一部の態様では、ある用量または量の本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)は、例えば投与経路および/または投与される具体的な製剤に応じて分割用量に分けられ、複数の分割用量として投与され得る。例えば、ある用量を皮下投与する場合、例えば単一部位における大量の単回皮下注射となることを回避するために、当該皮下用量は複数の分割用量に分けられ、各分割用量が異なる部位に投与され得る。例えば、900mgの静脈内用量が225mgずつの4つの分割用量に分けられ得る。別の例として、675mgの皮下用量が225mgずつの3つの分割用量に分けられ得、各225mg用量が異なる部位に投与され得、これは、各部位に注射される体積を最小化するのに役立ち得る。分割用量の分け方は、均等(例えば、3つの等しい分割用量)であってもよいし、不均等(例えば、3つの分割用量で、2つの分割用量が他の分割用量の2倍多い)であってもよい。
一部の態様では、処置過程にわたって対象に投与される抗体の用量数は、例えば、対象における外傷後頭痛および/または外傷後頭痛に付随する副症状の発生率の低減の達成に応じてさまざまであり得る。例えば、処置過程にわたって投与される用量数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50であり得るか、少なくともこれらの数であり得るか、もしくは最大でこれらの数であり得るか、または処置が無制限に施され得る。一部の場合では、処置は、治療のために最大で1、2、3、4、5、または6回の用量が対象に投与されるような急性処置であり得る。
一部の態様では、ある用量(もしくは分割用量)または量の本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)は、液剤として製剤化されて(例えば、皮下注射によって、静脈内注射によって)対象に投与され得る。かかる場合では、抗体を含む液剤の体積は、例えば、液剤中の抗体の濃度、所望の抗体用量および/または使用される投与経路に応じてさまざまであり得る。例えば、本明細書に記載の抗体を含み、(例えば、注射、例えば皮下注射または点滴静注などによって)対象に投与される液剤の体積は、約0.001mL〜約10.0mL、約0.01mL〜約5.0mL、約0.1mL〜約5mL、約0.1mL〜約3mL、約0.5mL〜約2.5mL、または約1mL〜約2.5mLであり得る。例えば、(例えば、注射、例えば皮下注射または点滴静注などによって)対象に投与される本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を含む液剤の体積は、約0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、または約10.0mLであり得るか、少なくともこれらの体積であり得るか、これらの体積未満であり得るか、または最大でこれらの体積であり得る。
一部の態様では、ある用量(もしくは分割用量)または量の本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)は、対象への抗体の投与に有用なプレフィルド容器内にて供給され得る。かかるプレフィルド容器は、自己投与のために設計されたものであってもよいし、他者による投与のために設計されたものであってもよい。例えば、ある用量(もしくは分割用量)または量の本明細書に記載の抗体は、液剤としてプレフィルドシリンジ、針安全装置を有するプレフィルドシリンジ、ペン型注入器、または自動注入装置内にて供給され得る。かかる例において、プレフィルドシリンジは、自己投与のために設計されたものであってもよいし、他者による投与のために設計されたものであってもよい。一部の場合では、プレフィルドシリンジまたは自動注入装置は、皮下投与および/または静脈内投与のために設計されたものであり得る。
本発明の解釈上、抗体の適切な投薬量は、使用される抗体(またはその組成物)、副症状の型および重症度、処置対象の(持続性)外傷後頭痛または他の病状の型および重症度、薬剤が予防目的で投与されるのか治療目的で投与されるのか、これまでの治療、患者の病歴および薬剤に対する応答、ならびに担当医師の自由裁量に依存し得る。典型的には、医師は抗体を、所望の結果が得られる投薬量に達するまで投与する。用量および/または頻度を処置過程にわたって変更してもよい。
半減期などの経験的考慮事項が一般的に投薬量の決定に寄与する。例えば、抗体の半減期を長くするため、および抗体が宿主の免疫系によって攻撃されるのを抑制するためにはヒト免疫系と適合性である抗体、例えばヒト化抗体または完全ヒト抗体が使用され得る。投与頻度は、治療過程において決定および調整され得、一般的に、必ずしもそうとは限らないが、外傷後頭痛または他の病状の治療および/または抑制および/または寛解および/または遅延に基づいている。あるいはまた、抗体の連続徐放製剤が適切な場合もあり得る。徐放性を得るための種々の製剤およびデバイスは当技術分野で公知である。
一態様において、本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)の投薬量は、該抗体の1回以上の投与を受けた個体において経験的に決定され得る。個体には、抗体投薬量が漸増的に投与される。抗体の有効性を評価するため、疾患の指標が追跡され得る。
本発明の方法に従う抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)の投与は、例えば、レシピエントの生理学的状態、投与の目的が治療であるのか予防であるのか、および当業者に公知の他の要素に応じて連続的であっても間欠的であってもよい。抗体の投与は、事前に設定した期間にわたって本質的に連続的であってもよく、間隔をあけた一連の投与であってもよく、例えば、(持続性)外傷後頭痛の発現前、該発現中または該発現後のいずれか; (持続性)外傷後頭痛の発現前; 該発現中; 該発現前と該発現後; 該発現中と該発現後; 該発現前と該発現中; または該発現前と該発現中と該発現後であってもよい。投与は、(持続性)外傷後頭痛をもたらす可能性がある任意の事象の前、該事象中および/または事象後であってもよい。
一部の態様において、1種類より多くの抗体を存在させてもよい。少なくとも1種類、少なくとも2種類、少なくとも3種類、少なくとも4種類、少なくとも5種類の異なる抗体、またはそれ以上の抗体を存在させ得る。一般的に、該抗体は、互いに有害な影響を及ぼさない相補的な活性を有するものであり得る。また、本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)を、他のCGRP拮抗薬またはCGRP受容体拮抗薬と共に使用してもよい。例えば、1種または複数種の以下のCGRP拮抗薬: CGRPに対するアンチセンス分子(例えば、CGRPをコードしている核酸に対するアンチセンス分子)、CGRP阻害性化合物、CGRP構造類似体、CGRPに結合するCGRP受容体のドミナントネガティブ変異、および抗CGRP受容体抗体が使用され得る。また、抗体を、他の薬剤を増強する機能を果たす該薬剤および/または他の薬剤の有効性を補足する該薬剤と共に使用してもよい。
外傷後頭痛の診断または評価は当技術分野で充分に確立されている。評価は、主観的尺度、例えば患者による症状の特性評価に基づいて行なわれ得る。一部の態様では、外傷後頭痛の評価は、本明細書の他の箇所に記載しているような頭痛時間によるものであり得る。例えば、外傷後頭痛の評価は、1日あたりの頭痛時間、週間頭痛時間、月間頭痛時間および/または年間頭痛時間に関するものであり得る。一部の場合では、頭痛時間は対象によって報告されたとおりのものであり得る。
処置の有効性は、当技術分野で周知の方法によって評価され得る。例えば、痛みの軽減が評価され得る。したがって、一部の態様では、痛みの軽減を、抗CGRP抗体を投与した後1、2または数時間後に主観的に観察する。一部の態様では、(持続性)外傷後頭痛の発作の頻度を、抗CGRP抗体を投与した後に主観的に観察する。
一部の態様では、対象における外傷後頭痛を予防する、治療する、またはその発生率を低減させるための本明細書に記載の方法により、長期間の本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)の単独投与後に外傷後頭痛の発生率が低減され得る。例えば、(持続性)外傷後頭痛の発生率は、単独投与後に少なくとも0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50日間またはそれより長く低減され得る。
一部の態様では、対象における外傷後頭痛を治療するかまたはその発生率を低減させるための本明細書に記載の方法により、該対象への1回以上の用量の本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)の投与後に対象に起こる頭痛時間数が投与前レベルから減少し得る。例えば、対象に起こる1日あたりの頭痛時間が、該対象への1回以上の用量の抗体の投与後に該対象の投与前レベルから0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24頭痛時間、減少し得る。一部の場合では、対象に起こる1日あたりの頭痛時間が、該対象への1回以上の用量の抗体の投与後に該対象の投与前レベルと比べて0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれ以上、減少し得る。別の例では、対象に起こる週間頭痛時間が、該対象への1回以上の用量の抗体の投与後に該対象の投与前レベルから0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75頭痛時間、またはそれ以上、減少し得る。一部の場合では、対象に起こる週間頭痛時間が、該対象への1回以上の用量の抗体の投与後に該対象の投与前レベルと比べて0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれ以上、減少し得る。別の例では、対象に起こる月間頭痛時間が、該対象への1回以上の用量の抗体の投与後に投与前レベルから0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125頭痛時間、またはそれ以上、減少し得る。一部の場合では、対象に起こる週間頭痛時間が、該対象への1回以上の用量の抗体の投与後に該対象の投与前レベルと比べて0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれ以上、減少し得る。
一部の態様では、対象における(持続性)外傷後頭痛を治療するかまたはその発生率を低減させるための本明細書に記載の方法により、該対象への1回以上の用量の本明細書に記載の抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)の投与後に対象に起こる頭痛日数が投与前レベルから減少し得る。例えば、対象に起こる週間頭痛日数が、該対象への1回以上の用量の抗体の投与後に該対象の投与前レベルから0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、または7頭痛日、減少し得る。一部の場合では、対象に起こる週間頭痛日数が、該対象への1回以上の用量の抗体の投与後に該対象の投与前レベルと比べて0.5%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれ以上、減少し得る。別の例では、対象に起こる月間頭痛日数が、該対象への1回以上の用量の抗体の投与後に投与前レベルから0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20頭痛日以上、減少し得る。
一部の態様では、前記方法は、対象に1種または複数種のさらなる薬剤を、抗体(例えば、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体、抗CGRPアンタゴニスト抗体、抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体)と同時にまたは逐次的に投与する工程を含み得る。一部の態様では、該さらなる薬剤は、抗頭痛薬、例えば、本明細書の他の箇所に記載した一例の抗頭痛薬(例えば、5-HT1アゴニスト、トリプタン、麦角アルカロイド、アヘン剤、βアドレナリン受容体拮抗薬、NSAID)であり得る。一部の態様では、治療効果は、抗体または該1種または複数種のさらなる薬剤の単独使用と比べて大きくなり得る。したがって、抗体と該1種または複数種のさらなる薬剤の相乗効果が得られ得る。一部の態様では、該1種または複数種のさらなる薬剤は、対象によって予防的に摂取されるものであり得る。
B.抗CGRPアンタゴニスト抗体
一部の態様では、本発明の方法において、抗CGRPアンタゴニスト抗体であり得る抗体を使用する。抗CGRPアンタゴニスト抗体は、CGRPの生物学的活性、例えばCGRPシグナル伝達によって媒介される下流経路、例えば受容体結合および/またはCGRPに対する細胞応答の誘導をブロックする、抑制する、または低減させる(有意にそうすることを含む)任意の抗体分子を示し得る。
抗CGRPアンタゴニスト抗体は、以下の特徴:(a)CGRPに結合すること;(b)CGRPがその受容体(1種または複数種)に結合するのをブロックすること;(c)CGRP受容体の活性化(例えば非限定的に、cAMP活性化)をブロックする、または低減させること;(d)CGRPシグナル伝達機能によって媒介されるCGRPの生物学的活性または下流経路を阻害すること;(e)任意の局面の外傷後頭痛を予防する、寛解させる、または治療すること;(f)CGRPのクリアランスを増進させる; および(g)CGRPの合成、産生または放出を阻害する(低減させる)ことのうちのいずれか1つまたは複数を示すものであり得る。抗CGRPアンタゴニスト抗体は当技術分野で公知である。例えば、Tan et al., Clin. Sci.(Lond). 89:565-73, 1995; Sigma(Missouri, US), product number C7113(clone #4901); Plourde et al., Peptides 14:1225-1229, 1993を参照のこと。
一部の態様では、前記抗体は、CGRPおよび/またはCGRP経路、例えばCGRPシグナル伝達機能によって媒介される下流経路を阻害する様式でCGRPと反応する。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体はヒトCGRPを認識する。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体はヒトα-CGRPとβ-CGRPの両方に結合する。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体はヒトCGRPおよびラットCGRPに結合する。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、CGRPの25〜37番目のアミノ酸を有するC末端断片に結合する。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、CGRPの25〜37番目のアミノ酸内のC末端エピトープに結合する。
本発明において有用な抗体には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fcなど)、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、一本鎖(ScFv)、その変異体、抗体の一部分を含む融合タンパク質(例えば、ドメイン抗体)、ヒト化抗体、および必要とされる特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾型構成、例えば、抗体のグリコシル化変異体、抗体のアミノ酸配列変異体、ならびに共有結合により修飾された抗体が包含され得る。該抗体はマウス、ラット、ヒトまたは任意の他の起源のもの(例えば、キメラ抗体またはヒト化抗体)であり得る。
一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体はモノクローナル抗体である。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体はヒト化型である。一部の態様では、該抗体はヒト抗体である。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は抗体G1(本明細書に記載の)である。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、抗体G1または表6に示すG1の変異体の1つまたは複数のCDR(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または一部の態様では6つのすべてのCDR)を含む。さらに他の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、図5に示す重鎖可変領域のアミノ酸配列(SEQ ID NO: 1)と図5に示す軽鎖可変領域のアミノ酸配列(SEQ ID NO: 2)を含む。
一部の態様では、該抗体は:(a)LCVR17(SEQ ID NO: 58)とHCVR22(SEQ ID NO: 59);(b)LCVR18(SEQ ID NO: 60)とHCVR23(SEQ ID NO: 61);(c)LCVR19(SEQ ID NO: 62)とHCVR24(SEQ ID NO: 63);(d)LCVR20(SEQ ID NO: 64)とHCVR25(SEQ ID NO: 65);(e)LCVR21(SEQ ID NO: 66)とHCVR26(SEQ ID NO: 67);(f)LCVR27(SEQ ID NO: 68)とHCVR28(SEQ ID NO: 69);(g)LCVR29(SEQ ID NO: 70)とHCVR30(SEQ ID NO: 71);(h)LCVR31(SEQ ID NO: 72)とHCVR32(SEQ ID NO: 73);(i)LCVR33(SEQ ID NO: 74)とHCVR34(SEQ ID NO: 75);(j)LCVR35(SEQ ID NO: 76)とHCVR36(SEQ ID NO: 77); および(k)LCVR37(SEQ ID NO: 78)とHCVR38(SEQ ID NO: 79)からなる群より選択される軽鎖可変領域(LCVR)と重鎖可変領域(HCVR)を含む。これらの領域の配列は本明細書に示している。抗CGRP抗体の他の例がUS20110305711(SEQ ID NO: 5、6、7、12、16, 19、24、29、34および39)、US20120294802、US20120294797(SEQ ID NO: 51〜60)に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。例えば、以下の任意の配列を有する抗体が使用され得る。
一部の態様では、該抗体は、修飾された定常領域、例えば、本明細書に記載の免疫学的に不活性な定常領域を含む。一部の態様では、該定常領域は、Eur. J. Immunol.(1999)29:2613-2624; PCT出願番号PCT/GB99/01441;および/または英国特許出願第9809951.8号に記載のようにして修飾されたものである。他の態様では、該抗体は、以下の変異: A330P331からS330S331(野生型IgG2の配列を基準にアミノ酸の番号付け)を含むヒト重鎖IgG2の定常領域を含む。Eur. J. Immunol.(1999)29:2613-2624。一部の態様では、該抗体は、以下の変異: E233F234L235からP233V234A235を含むIgG4の定常領域を含む。さらに他の態様では、該定常領域は、N結合型グリコシル化について脱グリコシル化されている。一部の態様では、該定常領域は、該定常領域内においてオリゴ糖結合残基(例えば、Asn297)および/またはN-グリコシル化認識配列の一部である隣接残基を変異させることにより、N結合型グリコシル化について脱グリコシル化されている。一部の態様では、該定常領域は、N結合型グリコシル化について脱グリコシル化されている。該定常領域は、酵素的に、またはグリコシル化欠損宿主細胞内での発現によって、N結合型グリコシル化について脱グリコシル化され得る。
CGRP(例えば、ヒトα-CGRP)に対する抗CGRPアンタゴニスト抗体の結合親和性(KD)は約0.02〜約200nMであり得る。一部の態様では、該結合親和性は、約200nM、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、約60pM、約50pM、約20pM、約15pM、約10pM、約5pM、または約2pMのいずれかである。一部の態様では、該結合親和性は、約250nM、約200nM、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、または約50pMのいずれかより小さい。
CGRPに対する抗体の結合親和性を測定する方法の一例は、抗体の単官能性Fab断片の結合親和性を測定することによるものである。単官能性Fab断片を得るために、抗体(例えば、IgG)はパパインで切断され得るか、または組換え発現され得る。抗体の抗CGRP Fab断片の親和性は、予め固定化されたストレプトアビジンセンサーチップ(SA)を備えた表面プラズモン共鳴(Biacore3000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム, Biacore, INC, Piscataway NJ)により、HBS-EPランニングバッファー(0.01M HEPES, pH 7.4, 0.15 NaCl, 3mMのEDTA, 0.005%v/vのSurfactant P20)を用いて測定され得る。ビオチン化ヒトCGRP(または任意の他のCGRP)をHBS-EPバッファーで0.5μg/mL未満の濃度まで希釈し、個々のチップのチャネルに、詳細な反応速度論試験のための50〜200応答単位(RU)またはスクリーニングアッセイのための800〜1,000 RUのいずれかの2つの抗原密度範囲が得られるように、さまざまな接触時間を用いて注入され得る。再生試験により、25% v/vのエタノール中25mMのNaOHにより、200回を超える注入でチップ上においてCGRPの活性が維持されたまま、結合Fabが有効に取り出されることが示された。典型的には、精製Fab試料の段階希釈系列(推定KDの0.1〜10倍の濃度範囲)を100μL/分で1分間注入し、2時間までの解離時間をもうける。Fabタンパク質の濃度をELISAおよび/またはSDS-PAGE電気泳動により、既知濃度(アミノ酸解析によって測定)のFabを標準として用いて測定する。1:1 Langmuir結合モデル(Karlsson, R. Roos, H. Fagerstam, L. Petersson, B.(1994). Methods Enzymology 6. 99-110)に、BIA評価プログラムを用いてデータをグローバルフィッティングさせることにより、反応速度論的会合速度(kon)と解離速度(koff)を同時に得る。平衡解離定数(KD)値をkoff/konとして計算する。このプロトコルは、任意のCGRP、例えばヒトCGRP、別の哺乳動物のCGRP(例えば、マウスCGRP、ラットCGRP、霊長類CGRP)ならびに異なる形態のCGRP(例えば、α形態およびβ形態)に対する抗体の結合親和性の測定における使用に適している。抗体の結合親和性は一般的に25℃で測定されるが、37℃で測定してもよい。
抗体、例えば抗CGRPアンタゴニスト抗体は、当技術分野で公知の任意の方法によって作製され得る。宿主動物の免疫処置の経路およびスケジュールは一般的に、本明細書にさらに記載しているような、抗体の刺激および産生のための確立された慣用的な手法に従う。ヒト抗体およびマウス抗体の作製のための一般的な手法は当技術分野で公知であり、本明細書に記載している。
任意の哺乳動物対象、例えばヒトまたはその抗体産生細胞が、哺乳動物の、例えばヒトのハイブリドーマ細胞株の作製のためのベースとしての機能を果たすように操作され得ることが想定される。典型的には、宿主動物には、本明細書に記載のものなどのある量の免疫原が腹腔内、筋肉内、経口、皮下、足底内(intraplantar)および/または皮内に接種される。
ハイブリドーマは、リンパ球と不死化骨髄腫細胞から、Kohler, B. and Milstein, C.(1975)Nature 256:495-497の一般的な体細胞ハイブリダイゼーション手法を用いて、またはBuck, D. W., et al., In Vitro, 18:377-381(1982)により改良されたとおりに調製され得る。利用可能な骨髄腫細胞株は、例えば非限定的にX63-Ag8.653およびSalk Institute, Cell Distribution Center, San Diego, Calif., USAのものが、ハイブリダイゼーションに使用され得る。一般的に、該手法は、骨髄腫細胞とリンパ系細胞をフソゲン、例えばポリエチレングリコールを用いて、または当業者に周知の電気的手段によって融合させることを伴う。融合後、細胞を融合培地から分離し、選択的増殖培地、例えばヒポキサンチン-アミノプテリン-チミジン(HAT)培地中で増殖させ、ハイブリダイズしていない親細胞を排除する。血清を補給した、または補給していない本明細書に記載の任意の培地が、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマの培養に使用され得る。細胞融合手法の別の代替法として、EBV不死化B細胞が、本発明の主題のモノクローナル抗体(例えば、モノクローナル抗CGRP抗体)の産生に使用され得る。ハイブリドーマは、所望により拡大培養およびサブクローニングされ、上清みが抗免疫原活性について、慣用的なイムノアッセイ手順(例えば、ラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイまたは蛍光イムノアッセイ)によってアッセイされる。
抗体源として使用され得るハイブリドーマには、あらゆる誘導体、CGRPに特異的なモノクローナル抗体またはその一部分を産生する親ハイブリドーマの子孫細胞が包含される。
かかる抗体を産生するハイブリドーマは、インビトロまたはインビボで公知の手順を用いて増殖させ得る。モノクローナル抗体は、所望により培養培地または体液から、慣用的な免疫グロブリン精製手順、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲル電気泳動、透析、クロマトグラフィーおよび限外濾過によって単離され得る。所望のものでない活性は、存在する場合、例えば、固相に結合させた免疫原で作製された吸着剤上に調製物を流し、所望の抗体を該免疫原から溶出または放出させることによって除去することができる。ヒトCGRP、または免疫処置対象の種において免疫原性であるタンパク質、例えばスカシガイヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリンまたは大豆トリプシンインヒビターにコンジュゲートさせた標的アミノ酸配列を含む断片で、二官能性薬剤または誘導体化剤、例えばマレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介してコンジュゲーション)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リシン残基を介して)、グルタルアルデヒド、無水コハク酸、SOCl2またはR1N=C=NR(式中、RとR1は異なるアルキル基である)を用いて宿主動物を免疫処置すると、抗体(例えば、モノクローナル抗体)集団が得られ得る。
所望により、関心対象の抗体(例えば、モノクローナルまたはポリクローナル抗CGRPアンタゴニスト抗体)を配列決定してもよく、次いで、そのポリヌクレオチド配列を発現または増殖のためにベクター内にクローニングしてもよい。関心対象の抗体をコードしている配列は宿主細胞内でベクター内に維持され得、次いで、該宿主細胞が拡大培養され、将来使用するために凍結され得る。代替例では、該ポリヌクレオチド配列が、抗体を「ヒト化」するため、または抗体の親和性もしくは他の特徴を改善するための遺伝子操作に使用され得る。例えば、抗体が臨床試験およびヒトの処置において使用される場合、免疫応答を回避するためにヒト定常領域により似せるために定常領域が改変され得る。CGRPに対するより大きな親和性およびCGRPの阻害におけるより大きな有効性を得るために抗体の配列を遺伝子操作することが望ましい場合もあり得る。当業者には、抗CGRPアンタゴニスト抗体に対して1つまたは複数のポリヌクレオチドの変更が行なわれ得、それでもなお、CGRPに対するその結合能は維持されることは明らかであろう。
モノクローナル抗体のヒト化は4つの一般的な工程を含むものであり得る。これらは:(1)出発抗体の軽鎖および重鎖の可変ドメインのヌクレオチド配列および推定アミノ酸配列の決定、(2)ヒト化抗体の設計、すなわち、どの抗体フレームワーク領域をヒト化プロセスに使用するかの決定、(3)実際のヒト化方法論/手法ならびに(4)ヒト化抗体のトランスフェクションおよび発現である。例えば、米国特許第4,816,567号; 同第5,807,715号; 同第5,866,692号; 同第6,331,415号; 同第5,530,101号; 同第5,693,761号; 同第5,693,762号; 同第5,585,089号; および同第6,180,370号を参照のこと。
非ヒト免疫グロブリンに由来する抗原結合部位を含むいくつかの「ヒト化」抗体分子、例えば、齧歯類または修飾型齧歯類のV領域と、これに結合しており、ヒト定常ドメインに融合された相補性決定領域(CDR)とを有するキメラ抗体が報告されている。例えば、Winter et al., Nature 349:293-299(1991)、Lobuglio et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA 86:4220-4224(1989)、Shaw et al., J Immunol. 138:4534-4538(1987)、およびBrown et al., Cancer Res. 47:3577-3583(1987)を参照のこと。他の参考文献には、適切なヒト抗体の定常ドメインとの融合前にヒト支持体フレームワーク領域(FR)にグラフトされた齧歯類CDRが記載されている。例えば、Riechmann et al., Nature 332:323-327(1988)、Verhoeyen et al. Science 239:1534-1536(1988)、およびJones et al., Nature 321:522-525(1986)を参照のこと。別の参考文献には、組換えにより張り合わされた(veneered)齧歯類フレームワーク領域によって支持された齧歯類CDRが記載されている。例えば、欧州特許出願公開第0519596号を参照のこと。このような「ヒト化」分子は、ヒトレシピエントにおいて該部分の治療適用の持続期間と有効性を制限する齧歯類の抗ヒト抗体分子に対する不要な免疫学的応答が最小限となるように設計される。例えば、抗体の定常領域は、これが免疫学的に不活性である(例えば、補体の溶解を誘発しない)ように改変され得る。例えば、PCT国際出願公開番号PCT/GB99/01441; 英国特許出願第9809951.8号を参照のこと。同様に使用され得る他の抗体ヒト化方法は、Daugherty et al., Nucl. Acids Res. 19:2471-2476(1991)ならびに米国特許第6,180,377号; 同第6,054,297; 同第5,997,867; 同第5,866,692; 同第6,210,671; および同第6,350,861号; ならびにPCT公開番号WO01/27160に開示されている。
また別の代替例では、完全ヒト抗体は、特定のヒト免疫グロブリンタンパク質を発現するように改変されている市販のマウスを使用することにより得られ得る。また、より望ましい(例えば、完全ヒト抗体)またはよりロバストな免疫応答がもたらされるように設計されたトランスジェニック動物も、ヒト化抗体またはヒト抗体の生成に使用され得る。かかる技術の例はAbgenix, Inc.(Fremont, CA)のXENOMOUSE(商標)ならびにMedarex, Inc.(Princeton, NJ)のHuMAb-Mouse(登録商標)およびTC Mouse(商標)である。
代替例では、抗体は、当技術分野で公知の任意の方法を用いて組換え作製され、発現され得る。別の代替例では、抗体はファージディスプレイ技術によって組換え作製され得る。例えば、米国特許第5,565,332号; 同第5,580,717号; 同第5,733,743号; および同第6,265,150号; ならびにWinter et al., Annu. Rev. Immunol. 12:433-455(1994)を参照のこと。あるいはまた、ファージディスプレイ技術(McCafferty et al., Nature 348:552-553(1990))は、非免疫処置ドナー由来の免疫グロブリンの可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからインビトロでヒト抗体および抗体断片を作製するために使用され得る。この手法によれば、抗体Vドメイン遺伝子はインフレームで、繊維状バクテリオファージ、例えばM13またはfdのメジャーコートタンパク質遺伝子内またはマイナーコートタンパク質遺伝子内のいずれかにクローニングされ、ファージ粒子の表面上に機能性抗体断片として提示される。この繊維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むため、抗体の機能的特性に基づいた選択によって、該特性を示す抗体をコードしている遺伝子も選択される。したがって、このファージはB細胞の特性のいくつかを模倣する。ファージディスプレイは、さまざまな形式で行なわれ得る; 概説については、例えば、Johnson, Kevin S. and Chiswell, David J., Current Opinion in Structural Biology 3:564-571(1993)を参照のこと。いくつかのV遺伝子セグメント供給源がファージディスプレイに使用され得る。Clackson et al., Nature 352:624-628(1991)により、免疫処置マウスの脾臓に由来するV遺伝子の小型のランダムコンビナトリアルライブラリーから多様な抗オキサゾロン抗体アレイが単離された。Mark et al., J. Mol. Biol. 222:581-597(1991)またはGriffith et al., EMBO J. 12:725-734(1993)に記載の手法に本質的に従うと、非免疫処置ヒトドナー由来のV遺伝子のレパートリーが構築され得、多様な抗原(例えば、自己抗原)アレイに対する抗体が単離され得る。自然免疫応答では、抗体の遺伝子には変異が高率で蓄積される(体細胞超変異)。導入された変化の一部のものは、より高い親和性を付与するものであり、高親和性の表面免疫グロブリンを提示しているB細胞が、その後の抗原刺激時に優先的に複製され、分化される。この自然のプロセスは、「鎖シャッフリング」として知られる手法を使用することにより模倣させることができる。Marks, et al., Bio/Technol. 10:779-783(1992))。この方法では、ファージディスプレイによって得た「一次」ヒト抗体の親和性が、重鎖および軽鎖のV領域遺伝子を、非免疫処置ドナーから得たVドメイン遺伝子の天然に存在する変異体(レパートリー)のレパートリーで逐次、置き換えることにより改善され得る。この手法により、pM〜nM範囲の親和性を有する抗体および抗体断片の作製が可能になる。非常に大型のファージ抗体レパートリー(「マザー-オブ-オール(mother-of-all)ライブラリー」としても知られている)を作製するためのストラテジーはWaterhouse et al., Nucl. Acids Res. 21:2265-2266(1993)に報告されている。また、遺伝子シャッフリングも齧歯類抗体からヒト抗体を誘導するために使用され得、この場合、ヒト抗体は、齧歯類の出発抗体と同様の親和性および特異性を有する。この方法(これは「エピトープインプリンティング」とも称される)によれば、ファージディスプレイ手法によって得た齧歯類抗体の重鎖または軽鎖のVドメイン遺伝子が、ヒトVドメイン遺伝子のレパートリーで置き換えられ、齧歯類-ヒトキメラが作出される。抗原に関する選択により、機能性の抗原結合部位を回復し得るヒト可変領域の単離がもたらされ、すなわち、エピトープがパートナーの選択を支配(インプリンティング)する。残りの齧歯類Vドメインを置き換えるためにこのプロセスを繰り返すとヒト抗体が得られる(1993年4月1日に公開されたPCT公開番号WO93/06213参照)。CDRグラフティングによる齧歯類抗体の従来のヒト化とは異なり、この手法では、齧歯類起源のフレームワーク残基またはCDR残基を有しない完全ヒト抗体が得られる。
上記の論考はヒト化抗体に関するものであるが、論考した一般原理が、例えばイヌ、ネコ、霊長類、ウマおよびウシにおける使用のための抗体のカスタマイズに適用可能であることは明らかであろう。さらに、本明細書に記載の抗体のヒト化の1つまたは複数の局面、例えばCDRグラフティング、フレームワーク変異およびCDR変異を組み合わせてもよいことも明らかであろう。
抗体を、まず抗体および抗体産生細胞を宿主動物から単離し、その遺伝子配列を得、この遺伝子配列を用いて宿主細胞(例えば、CHO細胞)内で該抗体を組換え発現させることにより組換え作製してもよい。使用され得る別の方法は、抗体配列を植物(例えば、タバコ)またはトランスジェニック乳汁中に発現させることである。植物または乳汁中で抗体を組換え発現させるための方法は開示されている。例えば、Peeters, et al. Vaccine 19:2756(2001); Lonberg, N. and D. Huszar Int. Rev. Immunol 13:65(1995); およびPollock, et al., J Immunol Methods 231:147(1999)を参照のこと。抗体の誘導体、例えばヒト化一本鎖などを作製するための方法は当技術分野で公知である。
イムノアッセイおよびフローサイトメトリー分取手法、例えば蛍光標示式細胞分取(FACS)もまた、CGRPに特異的な抗体を単離するために使用され得る。
抗体は、多くのいろいろな担体に結合させることができる。担体は活性および/または不活性なものであり得る。周知の担体の例としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、ガラス、天然および修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロースならびにマグネタイトが挙げられる。担体の性質は可溶性または不溶性のいずれかであり得る。当業者は、抗体を結合するための他の好適な担体を承知しているか、またはそのようなものを、常套的な実験法を用いて確認することができよう。一部の態様では、担体は、心筋を標的化する部分を含む。
該モノクローナル抗体をコードしているDNAは、慣用的な手順を用いて(例えば、該モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離され、配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、かかるDNAの好ましい供給源として使用される。単離されたら、該DNAは、発現ベクター(例えば、PCT公開番号WO87/04462に開示されている発現ベクター)内に配置され、次いで、これは、通常は免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞、例えば大腸菌(E. coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または骨髄腫細胞にトランスフェクトされ、該組換え宿主細胞内でのモノクローナル抗体の合成を得る。例えば、PCT公開番号WO87/04462を参照のこと。また、該DNAを、例えば、マウスの相同配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖の定常ドメインのコード配列を置換することにより(Morrison et al., Proc. Nat. Acad. Sci. 81:6851(1984))、または免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部もしくは一部を共有結合によって連接することにより修飾してもよい。該様式では、本明細書における抗CGRPモノクローナル抗体の結合特異性を有する「キメラの」または「ハイブリッドの」抗体が調製される。
抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体)および該抗体に由来するポリペプチドは、当技術分野で公知の方法を用いて同定または特性評価され得、これによりCGRPの生物学的活性の低下、寛解または中和を検出および/または測定する。例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体はまた、候補薬剤をCGRPと共にインキュベートし、以下の特徴:(a)CGRPに結合すること;(b)CGRPがその受容体(1種または複数種)に結合するのをブロックすること;(c)CGRP受容体の活性化(例えば、cAMP活性化)をブロックする、または低減させること;(d)CGRPシグナル伝達機能によって媒介されるCGRPの生物学的活性または下流経路を阻害すること;(e)任意の局面の外傷後頭痛を予防する、寛解させる、または治療すること;(f)CGRPのクリアランスを増進させること; および(g)CGRPの合成、産生または放出を阻害する(低減させる)ことのいずれか1つまたは複数をモニタリングすることによっても同定され得る。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体またはポリペプチドは、候補薬剤をCGRPと共にインキュベートし、CGRPの結合および/または結果として伴うその生物学的活性の低下もしくは中和をモニタリングすることにより同定される。結合アッセイは、精製されたCGRPポリペプチド(1種類もしくは複数)を用いて、またはCGRPポリペプチド(1種類もしくは複数)を天然に発現するか、もしくは発現するようにトランスフェクトされた細胞を用いて行なわれ得る。一態様において、結合アッセイは、候補抗体が既知の抗CGRP拮抗薬とCGRPの結合について競合する能力を評価する競合的結合アッセイである。該アッセイは種々の形式で、例えばELISA形式で行なわれ得る。他の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、候補薬剤をCGRPと共にインキュベートし、細胞の表面上に発現しているCGRP受容体の結合および結果として伴うその活性化の阻害をモニタリングすることにより同定される。一部の態様では、抗CGRP受容体抗体は、本明細書に記載の任意の方法に使用され得る。例えば、US20100172895および米国特許第9,102,731号(これらは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)に記載の抗CGRP受容体抗体が使用され得る。
最初の同定後、候補抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体)の活性が、目的の生物学的活性を試験するための公知のバイオアッセイによってさらに確認され、精緻化され得る。あるいはまた、バイオアッセイを、候補を直接スクリーニングするために使用してもよい。例えば、CGRPは応答性細胞においていくつかの測定可能な変化を促進させる。このようなものとしては、非限定的に、細胞(例えば、SK-N-MC細胞)におけるcAMPの刺激が挙げられる。また、アンタゴニスト活性を動物モデルを用いて、例えば、ラットの伏在神経の刺激によって誘導される皮膚の血管拡張を測定することで測定してもよい(Escott et al., Br. J. Pharmacol. 110: 772-776, 1993)。外傷後頭痛の動物モデルはさらに、アンタゴニスト抗体またはポリペプチドの有効性を試験するために使用され得る(Reuter, et al., Functional Neurology(15)Suppl.3, 2000)。抗CGRPアンタゴニスト抗体またはポリペプチドを同定し、特性評価するための方法の一例は本実施例に詳細に記載されている。
抗体、例えば抗CGRPアンタゴニスト抗体は、当技術分野で周知の方法を用いて特性評価され得る。例えば、一例の方法は、結合対象のエピトープを同定すること、すなわち「エピトープマッピング」である。当技術分野において、タンパク質上のエピトープの位置をマッピングおよび特性評価するための多くの方法、例えば、抗体-抗原複合体の結晶構造の解明、競合アッセイ、遺伝子断片の発現アッセイ、および合成ペプチドベースのアッセイ(例えば、Harlow and Lane, Using Antibodies, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, 1999の第11章に記載のようなもの)が知られている。さらなる一例では、エピトープマッピングは、抗CGRPアンタゴニスト抗体が結合する対象の配列を調べるために使用され得る。エピトープマッピングは、種々の供給元、例えばPepscan Systems(Edelhertweg 15, 8219 PH Lelystad, The Netherlands)から市販により入手可能である。エピトープは、線状エピトープ(すなわち、一続きのアミノ酸内に含有されている)であってもよく、必ずしも一続きで含有されていなくてもよいアミノ酸の3次元相互作用によって形成される立体構造エピトープであってもよい。さまざまな長さ(例えば、少なくとも4〜6個のアミノ酸長)のペプチドが単離または合成され(例えば、組換えにより)、抗CGRPアンタゴニスト抗体を用いた結合アッセイに使用され得る。別の例では、抗CGRPアンタゴニスト抗体が結合する対象のエピトープは、体系的スクリーニングにおいて、CGRP配列に由来するオーバーラップペプチドを使用し、抗CGRPアンタゴニスト抗体による結合を調べることによって調べることができる。遺伝子断片の発現アッセイによれば、CGRPをコードしているオープンリーディングフレームは無作為に、または特異的遺伝子構築物によってのいずれかで断片化され、発現されたCGRP断片と試験対象の抗体との反応性が測定される。遺伝子断片は、例えばPCRによって作製され、次いで、放射性アミノ酸の存在下にてインビトロで転写されタンパク質に翻訳され得る。次いで、放射性標識されたCGRP断片に対する該抗体の結合が免疫沈降およびゲル電気泳動によって測定される。また、一部の特定のエピトープは、ファージ粒子の表面上に提示されたランダムペプチド配列の大型ライブラリー(ファージライブラリー)を使用することによって同定され得る。あるいはまた、オーバーラップペプチド断片の規定のライブラリーを、試験抗体に対する結合について単純な結合アッセイにおいて試験してもよい。さらなる一例では、エピトープ結合に必要とされる、充分な、および/または必要な残基を同定するために、抗原結合ドメインの変異誘発、ドメインスワッピング実験およびアラニンスキャニング変異誘発が行なわれ得る。例えば、ドメインスワッピング実験は、CGRPポリペプチドの種々の断片が近縁だが抗原としては相違するタンパク質(例えば、ニューロトロフィンタンパク質ファミリーの別の構成員)に由来する配列で置き換えられている(スワッピングされている)変異体CGRPを用いて行なわれ得る。変異体CGRPに対する該抗体の結合を評価することにより、抗体結合に対する具体的なCGRP断片の重要性が評価され得る。
抗体、例えば抗CGRPアンタゴニスト抗体を特性評価するために使用され得るまた別の方法は、同じ抗原、すなわちCGRP上の種々の断片に結合することがわかっている他の抗体を用いる競合アッセイを使用し、抗CGRPアンタゴニスト抗体が他の抗体と同じエピトープに結合するかどうかを調べることである。競合アッセイは当業者に周知である。
発現ベクターは、抗体、例えば抗CGRPアンタゴニスト抗体の発現を指令するために使用され得る。当業者は、インビボで外因性タンパク質の発現を得るための発現ベクターの投与を熟知している。例えば、米国特許第6,436,908号; 同第6,413,942号; および同第6,376,471号を参照のこと。発現ベクターの投与としては、局部または全身性の投与、例えば、注射、経口投与、パーティクルガンまたはカテーテル留置による投与および局所投与が挙げられる。別の態様では、発現ベクターは、交感神経幹もしくは神経節に、または冠動脈、心房、心室もしくは心膜内に直接投与される。
また、発現ベクターまたはサブゲノムポリヌクレオチドを含む治療用組成物の標的化送達も使用され得る。受容体媒介性DNA送達手法は、例えば、Findeis et al., Trends Biotechnol.(1993)11:202; Chiou et al., Gene Therapeutics: Methods and Applications of Direct Gene Transfer(J.A. Wolff, ed.)(1994); Wu et al., J. Biol. Chem.(1988)263:621; Wu et al., J. Biol. Chem.(1994)269:542; Zenke et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1990)87:3655; Wu et al., J. Biol. Chem.(1991)266:338に記載されている。ポリヌクレオチドを含む治療用組成物は、遺伝子療法プロトコルにおける局部投与では約100ng〜約200mgのDNAの範囲で投与される。また、約500ng〜約50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μgおよび約20μg〜約100μgのDNAの濃度範囲が遺伝子療法プロトコルにおいて使用され得る。治療用のポリヌクレオチドおよびポリペプチドは遺伝子送達媒体を用いて送達され得る。遺伝子送達媒体は、ウイルス起源のものであっても非ウイルス起源のものであってもよい(一般的には、Jolly, Cancer Gene Therapy(1994)1:51; Kimura, Human Gene Therapy(1994)5:845; Connelly, Human Gene Therapy(1995)1:185; およびKaplitt, Nature Genetics(1994)6:148を参照のこと)。かかるコード配列の発現は、内在性の哺乳動物プロモーターを用いて誘導しても異種プロモーターを用いて誘導してもよい。コード配列の発現は構成的または調節型のいずれかであり得る。
所望のポリヌクレオチドの送達および所望の細胞での発現のためのウイルスベースのベクターは当技術分野で周知である。例示的なウイルスベースの媒体としては、非限定的に、組換えレトロウイルス(例えば、PCT公開番号WO90/07936; WO94/03622; WO93/25698; WO93/25234; WO93/11230; WO93/10218; WO91/02805; 米国特許第5,219,740号および同第4,777,127号; 英国特許第2,200,651号; ならびに欧州特許第0 345 242号参照)、αウイルスベースのベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR-67; ATCC VR-1247)、ロスリバーウイルス(ATCC VR-373; ATCC VR-1246)およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR-923; ATCC VR-1250; ATCC VR 1249; ATCC VR-532))、ならびにアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(例えば、PCT公開番号WO94/12649、WO93/03769; WO93/19191; WO94/28938; WO95/11984およびWO95/00655参照)が挙げられる。また、Curiel, Hum. Gene Ther.(1992)3:147に記載のような不活化アデノウイルス連結型DNAの投与も使用され得る。
また、非ウイルス系の送達媒体および方法、例えば非限定的に、不活化アデノウイルス単独連結型または非連結型ポリカチオン重縮合DNA(例えば、Curiel, Hum. Gene Ther.(1992)3:147参照);リガンド連結型DNA(例えば、Wu, J. Biol. Chem.(1989)264:16985参照); 真核生物細胞系の送達媒体細胞(例えば、米国特許第5,814,482号; PCT公開番号WO95/07994; WO96/17072; WO95/30763; およびWO97/42338参照)ならびに核電荷の中和または細胞膜との融合も使用され得る。また、裸のDNAを使用してもよい。例示的な裸のDNA導入方法はPCT公開番号WO90/11092および米国特許第5,580,859号に記載されている。遺伝子送達媒体としての機能を果たし得るリポソームは米国特許第5,422,120号; PCT公開番号WO95/13796; WO94/23697; WO91/14445; および欧州特許第0524968号に記載されている。さらなるアプローチはPhilip, Mol. Cell Biol.(1994)14:2411およびWoffendin, Proc. Natl. Acad. Sci.(1994)91:1581に記載されている。
C.抗体G1および関連抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターおよび宿主細胞
本発明は、抗体G1および表6に示すその変異体または抗体G1および表6に示すその変異体に由来するポリペプチドを含む組成物、例えば薬学的組成物; ならびにG1およびその変異体またはそのポリペプチドをコードしている配列を含むポリヌクレオチドを包含している。一部の態様では、組成物は、CGRPに結合する1種または複数種の抗体またはポリペプチド(これは抗体であっても抗体でなくてもよい)、および/またはCGRPに結合する1種または複数種の抗体またはポリペプチドをコードしている配列を含む1種または複数種のポリヌクレオチドを含む。このような組成物にはさらに、当技術分野で周知の好適な賦形剤、例えば薬学的に許容される賦形剤、例えばバッファーが含められ得る。
一部の態様では、本発明の抗CGRPアンタゴニスト抗体およびポリペプチドは、以下の特徴:(a)CGRPに結合すること;(b)CGRPがその受容体(1種または複数種)に結合するのをブロックすること;(c)CGRP受容体の活性化(例えば、cAMP活性化)をブロックする、または低減させること;(d)CGRPシグナル伝達機能によって媒介されるCGRPの生物学的活性または下流経路を阻害すること;(e)任意の局面の外傷後頭痛を予防する、寛解させる、または治療すること;(f)CGRPのクリアランスを増進させること; および(g)CGRPの合成、産生または放出を阻害する(低減させる)ことのいずれかによって特性評価される。
一部の態様では、本発明は、以下のいずれか、または以下のいずれかを含む組成物(例えば、薬学的組成物)を提供する:(a)抗体G1または表6に示すその変異体;(b)抗体G1または表6に示すその変異体の断片または領域;(c)抗体G1または表6に示すその変異体の軽鎖;(d)抗体G1または表6に示すその変異体の重鎖;(e)抗体G1または表6に示すその変異体の軽鎖および/または重鎖の1つまたは複数の可変領域;(f)抗体G1または表6に示すその変異体の1つまたは複数のCDR(1、2、3、4、5、または6つのCDR);(g)抗体G1の重鎖のCDR H3;(h)抗体G1または表6に示すその変異体の軽鎖のCDR L3;(i)抗体G1または表6に示すその変異体の軽鎖の3つのCDR;(j)抗体G1または表6に示すその変異体の重鎖の3つのCDR;(k)抗体G1または表6に示すその変異体の軽鎖の3つのCDRと重鎖の3つのCDR; ならびに(l)(b)〜(k)のいずれか1つを含む抗体。一部の態様では、本発明はまた、上記のもののいずれか1つまたは複数を含むポリペプチドを提供する。
抗体G1のCDR部分(例えば、Chothia方式およびKabat方式のCDR)を図5に図式的に示す。CDR領域の決定は充分に当技術分野の技量の範囲内である。一部の態様において、CDRは、Kabat方式とChothia方式の組合せのCDR(「組み合わせ型CDR」または「拡張型CDR」とも称される)である場合があり得ることを理解されたい。一部の態様では、CDRはKabat方式のCDRである。他の態様では、CDRはChothia方式のCDRである。換言すると、複数のCDRを有する態様では、CDRはKabat方式、Chothia方式、組合せCDRまたはこれらの組合せのいずれであってもよい。
一部の態様では、本発明は、G1または表6に示すその変異体の少なくとも1つのCDR、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つまたは6つすべてのCDRと実質的に同一である少なくとも1つのCDR、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つ、少なくとも5つ、または6つすべてのCDRを含むポリペプチド(これは抗体であっても抗体でなくてもよい)を提供する。他の態様としては、G1の、またはG1に由来する少なくとも2、3、4、5、または6つのCDRと実質的に同一である少なくとも2、3、4、5、または6つのCDRを有する抗体が挙げられる。一部の態様では、該少なくとも1、2、3、4、5、または6つのCDRは、G1または表6に示すその変異体の少なくとも1、2、3、4、5、または6つのCDRと少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である。本発明の解釈上、結合特異性および/または全体的な活性は一般的に保持されているが、活性の程度は、G1または表6に示すその変異体と比べてさまざまであり得る(より大きい場合またはより小さい場合があり得る)ことを理解されたい。
一部の態様では、本発明はまた、以下: G1または表6に示すその変異体の配列の連続する少なくとも5個のアミノ酸、連続する少なくとも8個のアミノ酸、連続する少なくとも約10個のアミノ酸、連続する少なくとも約15個のアミノ酸、連続する少なくとも約20個のアミノ酸、連続する少なくとも約25個のアミノ酸、連続する少なくとも約30個のアミノ酸のいずれかを有するものであり、該アミノ酸のうちの少なくとも3個がG1(図5)または表6に示すその変異体の可変領域に由来する、G1または表6に示すその変異体のアミノ酸配列を含むポリペプチド(これは抗体であっても抗体でなくてもよい)を提供する。一態様において、該可変領域はG1の軽鎖に由来する。別の態様では、該可変領域はG1の重鎖に由来する。例示的なポリペプチドは、G1の重鎖と軽鎖の両方の可変領域の連続するアミノ酸(上記の長さ)を有する。別の態様では、連続する5個(またはそれ以上)のアミノ酸が、図5に示すG1の相補性決定領域(CDR)に由来する。一部の態様では、該連続するアミノ酸はG1の可変領域に由来する。
CGRP(例えば、ヒトα-CGRP)に対する抗CGRPアンタゴニスト抗体およびポリペプチドの結合親和性(KD)は約0.06〜約200nMであり得る。一部の態様では、該結合親和性は、約200nM、100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、約60pM、約50pM、約20pM、約15pM、約10pM、約5pM、または約2pMのいずれかである。一部の態様では、該結合親和性は、約250nM、約200nM、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、または約50pMのいずれかより小さい。
一部の態様では、本発明はまた、任意のこのような抗体またはポリペプチドの作製方法を提供する。本発明の抗体は、当技術分野で公知の手順によって作製され得る。該ポリペプチドは、該抗体のタンパク質分解性の分解または他の分解によって作製してもよく、上記の組換え法(すなわち、単一または融合ポリペプチド)または化学合成によって作製してもよい。該抗体のポリペプチド、特に、約50個までのアミノ酸の短鎖ポリペプチドは化学合成によって簡便に作製される。化学合成の方法は当技術分野で公知であり、市販により入手可能である。例えば、抗体は、自動ポリペプチド合成装置により、固相法を用いて作製することができよう。また、米国特許第5,807,715号; 同第4,816,567号; および同第6,331,415号も参照のこと。
別の代替例では、該抗体は、当技術分野で周知の手順を用いて組換え作製され得る。一態様において、ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO: 9およびSEQ ID NO: 10に示す、抗体G1の重鎖および/または軽鎖の可変領域をコードしている配列を含む。別の態様では、SEQ ID NO: 9およびSEQ ID NO: 10に示すヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを、発現または増殖のために1つまたは複数のベクター内にクローニングする。関心対象の抗体をコードしている配列は宿主細胞内でベクター内に維持され得、次いで、該宿主細胞が拡大培養され、将来使用するために凍結され得る。ベクター(例えば、発現ベクター)および宿主細胞は本明細書にさらに記載している。
一部の態様では、本発明はまた、本発明の抗体、例えばG1の一本鎖の可変領域断片(「scFv」)も包含している。一本鎖の可変領域断片は、短鎖の連結ペプチドを使用することによって軽鎖および/または重鎖の可変領域を連結させることにより作製される。(Bird et al.(1988)Science 242:423-426)連結ペプチドの一例は(GGGGS)3(SEQ ID NO: 57)であり、これは、一方の可変領域のカルボキシ末端と他方の可変領域のアミノ末端との間のおよそ3.5 nmを橋架けする。他の配列のリンカーも設計され、使用されている。(Bird et al.(1988))リンカーをさらに、さらなる機能、例えば薬物の結合または固相支持体との結合のために修飾してもよい。該一本鎖変異体は組換え的にまたは合成的にのいずれかで作製され得る。scFvの合成による作製には、自動合成装置が使用され得る。scFvの組換え産生には、scFvをコードしているポリヌクレオチドを含む好適なプラスミドが、真核生物系、例えば酵母、植物、昆虫もしくは哺乳動物の細胞、または原核生物系、例えば大腸菌のいずれかの好適な宿主細胞内に導入され得る。関心対象のscFvをコードしているポリヌクレオチドは、常套的な操作、例えばポリヌクレオチドのライゲーションによって作製され得る。得られたscFvは、当技術分野で公知の標準的なタンパク質精製手法を用いて単離され得る。
他の形態の一本鎖抗体、例えばダイアボディもまた包含される。ダイアボディは、VHドメインとVLドメインが単一のポリペプチド鎖上に発現されているが、同じ鎖上でこの2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーが使用されており、それにより、該ドメインは別の鎖の相補的ドメインと対合することを強いられ、2つの抗原結合部位が作出される二価の二重特異性抗体である(例えば、Holliger, P., et al.(1993)Proc. Natl. Acad Sci. USA 90:6444-6448; Poljak, R. J., et al.(1994)Structure 2:1121-1123参照)。
例えば、少なくとも2種類の異なる抗原に対する結合特異性を有する二重特異性抗体であるモノクローナル抗体が、本明細書に開示の抗体を用いて調製され得る。二重特異性抗体の作製方法は当技術分野で公知である(例えば、Suresh et al., 1986, Methods in Enzymology 121:210参照)。従来より、二重特異性抗体の組換え産生は、2種類の免疫グロブリン重鎖-軽鎖ペア(2種類の重鎖は異なる特異性を有する)の共発現に基づいたものであった(Millstein and Cuello, 1983, Nature 305, 537-539)。
二重特異性抗体を作製するためのアプローチの一つによれば、所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体の可変ドメインを免疫グロブリンの定常ドメイン配列と融合させる。この融合は好ましくは、ヒンジ、CH2およびCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖の定常ドメインとの融合である。軽鎖の結合に必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)を少なくとも一方の融合体に存在させることが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合体と所望により免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAを別個の発現ベクター内挿入し、好適な宿主生物体にコトランスフェクトする。これにより、この3種類のポリペプチド鎖を等しくない比率で構築に使用すると最適な収率が得られる態様において、該3種類のポリペプチド断片の相互の割合の調整の際に大きな柔軟性がもたらされる。しかしながら、少なくとも2種類のポリペプチド鎖を等しい比率で発現させると高収率がもたらされる場合または比率が特に重要でない場合、2種類または3種類全部のポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクター内に挿入することも可能である。
アプローチの一つでは、二重特異性抗体は、第1の結合特異性を有する一方の腕のハイブリッド免疫グロブリン重鎖と、他方の腕のハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖ペア(第2の結合特異性をもたらす)で構成される。二重特異性分子の片方だけに免疫グロブリン軽鎖を有するこの非対称構造により、所望の二重特異性化合物を不要な免疫グロブリン鎖の組合せから分離することが容易になる。このアプローチは、1994年3月3日に公開されたPCT公開番号WO94/04690に記載されている。
共有結合により連接された2つの抗体を含むヘテロコンジュゲート抗体もまた本発明の範囲内である。かかる抗体は、免疫系細胞を不要な細胞に標的化させるため(米国特許第4,676,980号)、ならびにHIV感染の治療のため(PCT国際出願公開番号WO91/00360およびWO92/200373; 欧州特許第03089号)に使用されている。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の簡便な架橋法を用いて作製され得る。好適な架橋剤および架橋手法は当技術分野で周知であり、米国特許第4,676,980号に記載されている。
また、キメラ抗体またはハイブリッド抗体は、合成タンパク質化学の既知の方法、例えば架橋剤を伴うものを用いてインビトロでも調製され得る。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を用いて、またはチオエーテル結合を形成することによって構築され得る。この目的のための好適な試薬の例としては、イミノチオレートおよびメチル-4-メルカプトブチルイミデートが挙げられる。
抗体G1もしくは表6に示すその変異体の1つまたは複数のCDR、または抗体G1もしくは表6に示すその変異体に由来する1つまたは複数のCDRを含むヒト化抗体は、当技術分野で公知の任意の方法を用いて作製され得る。例えば、モノクローナル抗体をヒト化するためには4つの一般的な工程が使用され得る。
一部の態様では、本発明は、抗体G1または表6に示すその変異体(その特性に有意に影響を及ぼさない機能的に等価な抗体ならびに活性および/または親和性が向上もしくは低下した変異体を含む)に対する修飾を包含している。例えば、抗体G1または表6に示すその変異体のアミノ酸配列は、CGRPに対して所望の結合親和性を有する抗体を得るために変異され得る。ポリペプチドの修飾は当技術分野において常套的な実務であり、本明細書において詳細に記載する必要はない。ポリペプチドの修飾は本実施例において例示している。修飾ポリペプチドの例としては、アミノ酸残基の保存的置換、機能的活性を有意に有害に変化させないアミノ酸の1つもしくは複数の欠失もしくは付加、または化学的アナログの使用を有するポリペプチドが挙げられる。
アミノ酸配列の挿入としては、長さが1残基のものから100個以上の残基を含むポリペプチドまでに及ぶ範囲のアミノ-および/またはカルボキシル-末端融合体、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入体が挙げられる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体またはエピトープタグと融合させた抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入型変異体としては、該抗体の血清中半減期を長くする酵素またはポリペプチドとの該抗体のN-またはC-末端との融合体が挙げられる。
置換変異体は、抗体分子内の少なくとも1個のアミノ酸残基が除去されてその場所に異なる残基が挿入されている。置換型変異誘発に最も重要な部位としては超可変領域が挙げられるが、FR改変もまた想定される。保存的置換を「保存的置換」の表題の表1に示す。かかる置換によって生物学的活性の変化がもたらされる場合は、表1に「例示的な置換」と表示した、またはアミノ酸クラスに関して以下にさらに記載しているようなさらに実質的な変更を導入し、生成物をスクリーニングしてもよい。
抗体の生物学的特性の実質的な修飾は、(a)例えばシート状もしくはらせん状のコンホメーションとしての、置換領域内の該ポリペプチド主鎖の構造、(b)標的部位における該分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖の嵩高さの維持に対する効果が有意に異なる置換を選択することにより行なわれる。天然に存在する残基は、共通する側鎖特性に基づいてグループ分けされる:
(1)無極性: ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)電荷なしの極性: Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性(負電荷を有する): Asp、Glu;
(4)塩基性(正電荷を有する): Lys、Arg;
(5)鎖の向きに影響を及ぼす残基: Gly、Pro; および
(6)芳香族: Trp、Tyr、Phe、His。
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つの構成員を別のクラスに交換することにより行なわれる。
また、該分子の酸化安定性を改善するため、および異常な架橋を抑制するために、抗体の適正なコンホメーションの維持に関与していない任意のシステイン残基が置換され得る(一般的にはセリンと)。逆に、特に抗体が抗体断片、例えばFv断片である場合、安定性を改善するために、該抗体にシステイン結合が付加され得る。
アミノ酸の修飾は、1個または複数のアミノ酸の変更または修飾から領域、例えば可変領域の完全な再設計までの範囲に及び得る。可変領域の変更により結合親和性および/または特異性が改変され得る。一部の態様では、1個以下から5個の保存的アミノ酸置換がCDRドメイン内で行なわれる。他の態様では、1個以下から3個の保存的アミノ酸置換がCDRドメイン内で行なわれる。さらに他の態様では、CDRドメインはCDR H3および/またはCDR L3である。
また、修飾体としては、グリコシル化ポリペプチドおよび非グリコシル化ポリペプチドならびに他の翻訳後修飾、例えば、いろいろな糖によるグリコシル化、アセチル化およびリン酸化などを有するポリペプチドも挙げられる。抗体は、定常領域内の保存された位置でグリコシル化される(Jefferis and Lund, 1997, Chem. Immunol. 65:111-128; Wright and Morrison, 1997, TibTECH 15:26-32)。免疫グロブリンのオリゴ糖側鎖は、タンパク質の機能(Boyd et al., 1996, Mol. Immunol. 32:1311-1318; Wittwe and Howard, 1990, Biochem. 29:4175-4180)および糖タンパク質部分間の分子内相互作用(これは、該糖タンパク質のコンホメーションおよび提示される3次元表面に影響を及ぼし得る)(Hefferis and Lund, 上掲; Wyss and Wagner, 1996, Current Opin. Biotech. 7:409-416)に影響を及ぼす。また、該オリゴ糖は、特定の認識構造に基づいて所与の糖タンパク質を特定の分子に標的化する機能も果たし得る。また、抗体のグリコシル化は抗体依存性細胞傷害(ADCC)にも影響することが報告されている。特に、分割性GlcNAcの形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼである、β(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)のテトラサイクリン調節型発現を有するCHO細胞は、改善されたADCC活性を有することが報告された(Umana et al., 1999, Mature Biotech. 17:176-180)。
抗体のグリコシル化は、典型的にはN結合型またはO結合型のいずれかである。N結合型は、アスパラギン残基の側鎖への糖質部分の結合をいう。トリペプチド配列アスパラギン-X-セリン、アスパラギン-X-トレオニンおよびアスパラギン-X-システイン(ここで、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への糖質部分の酵素的結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチド内におけるこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在により潜在的グリコシル化部位が作出される。O結合型グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはトレオニンへの糖N-アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースのうちの1つの結合をいうが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリシンもまた使用され得る。
抗体へのグリコシル化部位の付加は、簡便には、アミノ酸配列を上記のトリペプチド配列のうちの1つまたは複数を含むように改変することにより行なわれる(N結合型グリコシル化部位の場合)。また、改変は、元の抗体の配列に対する1個または複数のセリン残基またはトレオニン残基の付加、またはこれらによる置換によっても行なわれ得る(O結合型グリコシル化部位の場合)。
また、抗体のグリコシル化パターンを、基礎となるヌクレオチド配列を改変せずに改変してもよい。グリコシル化は主として、抗体を発現させるために使用される宿主細胞に依存する。潜在的治療薬としての組換え糖タンパク質、例えば抗体の発現のために使用される細胞型が天然細胞であることは稀なため、抗体のグリコシル化パターンのばらつきが予測され得る(例えば、Hse et al., 1997, J. Biol. Chem. 272:9062-9070参照)。
宿主細胞の選択に加えて、抗体の組換え産生時におけるグリコシル化に影響を及ぼす要素としては、増殖様式、培地の配合、培養密度、酸素化、pH、精製スキームなどが挙げられる。特定の宿主生物体において行なわれるグリコシル化パターンを改変するための種々の方法、例えば、オリゴ糖生成に関与する特定の酵素の導入または過剰発現も提案されている(米国特許第5,047,335号; 同第5,510,261号および同第5,278,299号)。グリコシル化または特定の型のグリコシル化は、糖タンパク質から酵素的に、例えば、エンドグリコシダーゼH(Endo H)、N-グリコシダーゼF、エンドグリコシダーゼF1、エンドグリコシダーゼF2、エンドグリコシダーゼF3を用いて除去され得る。また、組換え宿主細胞は、特定の型の多糖のプロセッシングを欠くように遺伝子操作され得る。これらおよび同様の手法は当技術分野で周知である。
他の修飾方法としては、当技術分野で公知のカップリング手法の使用、例えば非限定的に、酵素的手段、酸化的置換およびキレート化が挙げられる。修飾を、例えばイムノアッセイのための標識の結合のために使用してもよい。修飾G1ポリペプチドは、当技術分野で確立された手順を用いて作製され得、当技術分野で公知の標準的なアッセイ(その一例を以下および本実施例に記載している)を用いてスクリーニングすることができる。
本発明の一部の態様では、前記抗体は、修飾された定常領域、例えば、免疫学的に不活性もしくは部分的に不活性である定常領域、例えば、補体媒介性溶解を誘発しない、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)を刺激しない、または小膠細胞を活性化させない、定常領域を含むもの; あるいは以下: 補体媒介性溶解の誘発、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)の刺激、または小膠細胞の活性化のうちのいずれか1つまたは複数において(非修飾抗体と比べて)低い活性を有するものである。最適なレベルおよび/または組合せのエフェクター機能を得るために、定常領域のいろいろな修飾が使用され得る。例えば、Morgan et al., Immunology 86:319-324(1995); Lund et al., J. Immunology 157:4963-9 157:4963-4969(1996); Idusogie et al., J. Immunology 164:4178-4184(2000); Tao et al., J. Immunology 143: 2595-2601(1989); およびJefferis et al., Immunological Reviews 163:59-76(1998)を参照のこと。一部の態様では、該定常領域は, Eur. J. Immunol.(1999)29:2613-2624; PCT出願番号PCT/GB99/01441;および/または英国特許出願第9809951.8号に記載のようにして修飾されたものである。他の態様では、該抗体は、A330P331からS330S331への変異(野生型IgG2の配列を基準にアミノ酸の番号付け)を含むヒト重鎖IgG2の定常領域を含む(Eur. J. Immunol.(1999)29:2613-2624)。さらに他の態様では、該定常領域は、N結合型グリコシル化について脱グリコシル化されている。一部の態様では、該定常領域は、該定常領域内においてグリコシル化アミノ酸残基またはN-グリコシル化認識配列の一部である隣接残基を変異させることにより、N結合型グリコシル化について脱グリコシル化されている。例えば、N-グリコシル化部位N297がA、Q、K、またはHに変異され得る。Tao et al., J. Immunology 143: 2595-2601(1989); およびJefferis et al., Immunological Reviews 163:59-76(1998)参照。一部の態様では、該定常領域は、N結合型グリコシル化について脱グリコシル化されている。該定常領域は、酵素的に(例えば、酵素PNGaseによる糖質の除去)、またはグリコシル化欠損宿主細胞内での発現によって、N結合型グリコシル化について脱グリコシル化され得る。
他の抗体修飾体としては、1999年11月18に公開されたPCT公開番号WO99/58572に記載のようにして修飾されている抗体が挙げられる。このような抗体は、標的分子に対する結合ドメインに加えて、ヒト免疫グロブリン重鎖の定常ドメインの全部または一部に実質的に相同なアミノ酸配列を有するエフェクタードメインを含む。このような抗体は、有意な補体依存性溶解または標的の細胞介在性破壊を誘発することなく標的分子に結合し得る。一部の態様では、該エフェクタードメインは、FcRnおよび/またはFcγRIIbに特異的に結合し得る。このようなものは、典型的には、2種類以上のヒト免疫グロブリン重鎖CH2ドメインに由来するキメラドメインに基づく。この様式で修飾された抗体は長期的な抗体療法における使用に特に好適であり、慣用的な抗体療法に対する炎症反応および他の有害反応が回避される。
一部の態様では、本発明は親和性成熟型の態様を包含している。例えば、親和性成熟型の抗体は、当技術分野で公知の手順によって作製され得る(Marks et al., 1992, Bio/Technology, 10:779-783; Barbas et al., 1994, Proc Nat. Acad. Sci, USA 91:3809-3813; Schier et al., 1995, Gene, 169:147-155; Yelton et al., 1995, J. Immunol., 155:1994-2004; Jackson et al., 1995, J. Immunol., 154(7):3310-9; Hawkins et al, 1992, J. Mol. Biol., 226:889-896; およびWO2004/058184)。
以下の方法は、抗体の親和性を調整するため、およびCDRを特性評価するために使用され得る。抗体のCDRを特性評価する様式および/またはポリペプチド、例えば抗体の結合親和性を改変(例えば、改善)する様式の一例は、「ライブラリースキャニング変異誘発」と称されるものである。一般的に、ライブラリースキャニング変異誘発では以下のような作業が実施される。CDR内の1つまたは複数のアミノ酸位置が2種類以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20種類)のアミノ酸で、当技術分野で認知された方法を用いて置き換えられる。これにより、クローン(一部の態様では、解析対象の各アミノ酸位置について1種類)の小型のライブラリーが作製され、各々は、2つ以上の構成員の複雑度を有する(各位置において2種類以上のアミノ酸が置換される場合)。一般的に、ライブラリーには、天然(非置換)アミノ酸を含むクローンもまた含まれている。各ライブラリーからの少数のクローン、例えば約20〜80個のクローン(ライブラリーの複雑度に依存する)が標的ポリペプチド(または他の結合標的)に対する結合親和性についてスクリーニングされ、高い結合性、同じ結合性、低い結合性を有するかまたは結合性なしの候補が同定される。結合親和性の測定方法は当技術分野で周知である。結合親和性は、約2倍以上の結合親和性の差異が検出されるBiacore表面プラズモン共鳴解析を用いて測定され得る。Biacoreは、出発抗体が既に比較的高い親和性、例えば約10nM以下のKDで結合するものである場合に特に有用である。Biacore表面プラズモン共鳴を用いたスクリーニングは、本明細書の本実施例に記載されている。
結合親和性は、Kinexa Biocensor、シンチレーション近接アッセイ、ELISA、ORIGENイムノアッセイ(IGEN)、蛍光クエンチング、蛍光移動および/または酵母ディスプレイを用いて測定され得る。また、結合親和性は、好適なバイオアッセイを用いてスクリーニングされ得る。
一部の態様では、CDR内の各アミノ酸位置は、20種類すべての天然アミノ酸で、当技術分野で認知された変異誘発法(その一例を本明細書に記載している)を用いて置き換えられる(一部の態様では、一度に1種類)。これにより、クローン(一部の態様では、解析対象の各アミノ酸位置について1種類)の小型のライブラリーが作製され、各々は、20種類の構成員の複雑度を有する(各位置において20種類すべてのアミノ酸が置換される場合)。
一部の態様では、スクリーニング対象のライブラリーは2つ以上の位置に置換を含むものであり、該位置は同じCDR内であっても2つ以上のCDR内であってもよい。したがって、該ライブラリーは、1つのCDR内の2つ以上の位置に置換を含むものであり得る。該ライブラリーは、2つ以上のCDR内の2つ以上の位置に置換を含むものであり得る。該ライブラリーは3、4、5つまたはそれ以上の位置に置換を含むものであり得、前記位置は2、3、4、5、または6つのCDR内にみられるものである。該置換は、低重複コドン(low redundancy codons)を用いて調製され得る。例えば、Balint et al.,(1993)Gene 137(1):109-18)の表2を参照のこと。
CDRはCDRH3および/またはCDRL3であり得る。CDRは、CDRL1、CDRL2、CDRL3、CDRH1、CDRH2および/またはCDRH3のうちの1つまたは複数であってもよい。CDRはKabat方式のCDRであっても、Chothia方式のCDRであっても、拡張型CDRであってもよい。
改善された結合性を有する候補は配列決定され得、それにより、親和性の改善をもたらすCDR置換変異体(「改善型」置換とも称する)が同定され得る。また、結合する候補も配列決定され得、それにより、結合性を保持しているCDR置換が同定され得る。
複数回のスクリーニングを実施してもよい。例えば、改善された結合性を有する候補(各々は、1つまたは複数のCDRの1つまたは複数の位置にアミノ酸置換を含む)もまた、改善された各CDR位置(すなわち、置換変異体が改善された結合性を示したCDR内のアミノ酸位置)に少なくとも元のアミノ酸と置換アミノ酸を含む第2のライブラリーの設計に有用である。このライブラリーの調製およびスクリーニングまたは選択は以下にさらに論考している。
また、ライブラリースキャニング変異誘発は、改善された結合性を有するクローン、同じ結合性を有するクローン、低い結合性を有するクローンまたは結合性なしのクローンの頻度がまた、抗体-抗原複合体の安定性に対する各アミノ酸位置の重要性に関する情報をもたらす限り、CDRを特性評価するための手段ももたらす。例えば、CDRの位置が、20種類すべてのアミノ酸に変更したときに結合性を保持している場合、その位置は抗原結合に必要である可能性が低い位置であると同定される。逆に、CDRの位置が、少数割合(%)の置換においてのみ結合性を保持している場合、その位置はCDR機能に重要な位置であると同定される。したがって、ライブラリースキャニング変異誘発法により、多くの異なるアミノ酸(例えば、20種類すべてのアミノ酸)に変更され得るCDR内の位置、および変更され得ないか、または数種類のアミノ酸のみに変更され得るCDR内の位置に関する情報がもたらされる。
改善された親和性を有する候補を第2のライブラリー内に合わせてもよく、該ライブラリーは、該位置に改善されたアミノ酸、元のアミノ酸を含み、さらに、所望される、または所望のスクリーニング方法もしくは選択方法を用いて許容されるライブラリーの複雑度に応じて、該位置にさらなる置換を含んでいてもよい。また、所望により、隣接するアミノ酸位置を少なくとも2種類以上のアミノ酸に対して無作為化してもよい。隣接するアミノ酸の無作為化により変異体CDRの立体構造のさらなる柔軟性が可能となり得、これによりさらに、より大量数の改善性変異の導入が可能となり得るか、または容易になり得る。また、該ライブラリーに、初回のスクリーニングで改善された親和性を示さなかった位置に置換を含めてもよい。
この第2のライブラリーは、改善された結合親和性および/または改変された結合親和性を有するライブラリー構成員について、当技術分野で公知の任意の方法、例えばBiacore表面プラズモン共鳴解析を用いたスクリーニング、ならびに当技術分野で公知の任意の選択方法、例えばファージディスプレイ、酵母ディスプレイおよびリボソームディスプレイを用いた選択を用いてスクリーニングまたは選択される。
一部の態様では、本発明はまた、本発明の抗体(例えば、G1)またはポリペプチド由来の1つまたは複数の断片または領域を含む融合タンパク質も包含している。一態様において、SEQ ID NO: 2(図5)に示す軽鎖可変領域の連続する少なくとも10個のアミノ酸および/またはSEQ ID NO: 1(図5)に示す重鎖可変領域の少なくとも10個のアミノ酸を含む融合ポリペプチドを提供する。他の態様では、SEQ ID NO: 2(図5)に示す軽鎖可変領域の連続する少なくとも約10個、少なくとも約15個、少なくとも約20個、少なくとも約25個もしくは少なくとも約30個のアミノ酸および/またはSEQ ID NO: 1(図5)に示す重鎖可変領域の連続する少なくとも約10個、少なくとも約15個、少なくとも約20個、少なくとも約25個もしくは少なくとも約30個のアミノ酸を含む融合ポリペプチドを提供する。別の態様では、該融合ポリペプチドは、図5のSEQ ID NO: 2およびSEQ ID NO: 1に示すG1の軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を含む。別の態様では、該融合ポリペプチドはG1の1つまたは複数のCDRを含む。さらに他の態様では、該融合ポリペプチドは抗体G1のCDR H3および/またはCDR L3を含む。本発明の解釈上、G1融合タンパク質は、1種類または複数のG1抗体と、天然分子では該抗体に結合されていない別のアミノ酸配列、例えば別の領域からの異種配列または相同配列を含む。例示的な異種配列としては、非限定的に、「タグ」、例えばFLAGタグまたは6Hisタグ(SEQ ID NO: 56)が挙げられる。タグは当技術分野で周知である。
G1融合ポリペプチドは、当技術分野で公知の方法によって、例えば合成的または組換え的に作出され得る。典型的には、本発明のG1融合タンパク質は、該タンパク質をコードしている発現性(expressing a)ポリヌクレオチドを本明細書に記載の組換え法を用いて調製することにより作製されるが、当技術分野で公知の他の手段、例えば化学合成などによっても調製され得る。
一部の局面において、本発明によりまた、固相支持体とのカップリングを容易にする薬剤(例えば、ビオチンまたはアビジン)にコンジュゲート(例えば、連結)させたG1に由来する抗体またはポリペプチドを含む組成物を提供する。便宜上、G1または抗体について一般的に言及するが、このような方法は、本明細書に記載の任意のCGRP結合の態様に適用されることを理解されたい。コンジュゲーションは一般的に、本明細書に記載のこれらの成分を連結させることをいう。該連結(これは一般的には、これらの成分を少なくとも投与のために近接会合状態に固定することである)は、任意数の様式で行なわれ得る。例えば、各々が他方と反応し得る置換基を有している場合では薬剤と抗体間の直接反応が可能である。例えば、一方の求核基、例えばアミノ基またはスルフヒドリル基は、カルボニル含有基、例えば無水物もしくは酸ハライドと、または他方の良好な脱離基(例えば、ハライド)を含むアルキル基と反応し得る。
抗体またはポリペプチドを標識化剤(あるいは「標識」とも称される)、例えば蛍光分子、放射性分子、または当技術分野で公知の任意の他の標識に連結してもよい。標識は当技術分野で公知であり、これは一般的に、(直接的または間接的にのいずれかで)シグナルをもたらす。
一部の態様では、本発明はまた、抗体G1、および/または本明細書に記載の抗体もしくはポリペプチドのいずれかもしくは全部を含む組成物(例えば、薬学的組成物)およびキットを提供する。
一部の態様では、本発明はまた、本発明の抗体およびポリペプチド(例えば、図5に示す軽鎖および重鎖の可変領域のポリペプチド配列を含む抗体)をコードしている単離されたポリヌクレオチド、ならびに該ポリヌクレオチドを含むベクターおよび宿主細胞を提供する。
一部の態様では、本発明は、以下のうちのいずれかをコードしているポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド(または組成物、例えば薬学的組成物)を提供する:(a)抗体G1または表6に示すその変異体;(b)抗体G1または表6に示すその変異体の断片または領域;(c)抗体G1または表6に示すその変異体の軽鎖;(d)抗体G1または表6に示すその変異体の重鎖;(e)抗体G1または表6に示すその変異体の軽鎖および/または重鎖の1つまたは複数の可変領域;(f)抗体G1または表6に示すその変異体の1つまたは複数のCDR(1、2、3、4、5、または6つのCDR);(g)抗体G1の重鎖のCDR H3;(h)抗体G1または表6に示すその変異体の軽鎖のCDR L3;(i)抗体G1または表6に示すその変異体の軽鎖の3つのCDR;(j)抗体G1または表6に示すその変異体の重鎖の3つのCDR;(k)抗体G1または表6に示すその変異体の軽鎖の3つのCDRと重鎖の3つのCDR; ならびに(l)(b)〜(k)のいずれか1つを含む抗体。一部の態様では、当該ポリヌクレオチドは、SEQ ID NO: 9およびSEQ ID NO: 10に示すポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含む。
別の局面では、本発明は、本明細書に記載の任意の抗体(抗体断片を含む)およびポリペプチド、例えば、エフェクター機能が低下している抗体およびポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを提供する。該ポリヌクレオチドは、当技術分野で公知の手順によって作製され得る。
別の局面では、本発明は、本発明の任意のポリヌクレオチドを含む組成物(例えば、薬学的組成物)を提供する。一部の態様では、該組成物は、本明細書に記載のG1抗体をコードしているポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。他の態様では、該組成物は、本明細書に記載の任意の抗体またはポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む。さらに他の態様では、該組成物は、SEQ ID NO: 9およびSEQ ID NO: 10に示すポリヌクレオチドのいずれかまたは両方を含む。発現ベクターおよびポリヌクレオチド組成物の投与は本明細書にさらに記載している。
別の局面では、本発明は、本明細書に記載の任意のポリヌクレオチドの作製方法を提供する。
また、任意のかかる配列に相補的なポリヌクレオチドも本発明に包含される。ポリヌクレオチドは一本鎖(コード鎖またはアンチセンス鎖)であっても二本鎖であってもよく、DNA分子(ゲノムのもの、cDNAまたは合成のもの)であってもRNA分子であってもよい。RNA分子としては、HnRNA分子(これは、イントロンを含んでおり、DNA分子に1対1の様式で対応する)およびmRNA分子(これは、イントロンを含んでいない)が挙げられる。さらなるコード配列または非コード配列を本発明のポリヌクレオチド内に存在させてもよいが、その必要はなく、ポリヌクレオチドを他の分子および/または支持体物質に連結させてもよいが、その必要はない。
ポリヌクレオチドは、天然配列(すなわち、抗体またはその一部分をコードしている内在性配列)を含んでもよいし、かかる配列の変異体を含んでもよい。ポリヌクレオチド変異体は、それがコードするポリペプチドの免疫反応性を天然の免疫反応性分子と比べて低下させないような1つまたは複数の置換、付加、欠失、および/または挿入を含む。コードされたポリペプチドの免疫反応性に対する効果は一般的に、本明細書に記載のようにして評価され得る。該変異体は好ましくは、天然抗体またはその一部分をコードしているポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%の同一性、より好ましくは少なくとも約80%の同一性、最も好ましくは少なくとも約90%の同一性を示す。
2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列は、後述するように最大限対応させて整列させたときにこの2つの配列内のヌクレオチドまたはアミノ酸の配列が同じである場合に「同一」であるといえる。2つの配列間の比較は典型的には、配列が類似している局部領域が同定および比較されるように比較ウィンドウで配列同士を比較することにより行なわれる。「比較ウィンドウ」は、本明細書で用いる場合、2つの配列を最適に整列させた後に、配列が同数の連続位置の参照配列と比較され得る、連続する少なくとも約20個、通常、30〜約75、40〜約50個の位置のセグメントをいう。
比較のための配列の最適なアラインメントは、バイオインフォマティクスソフトウェアのLasergeneスイート(DNASTAR, Inc., Madison, WI)内のMegalignプログラムを使用し、デフォルトパラメータを用いて行なわれ得る。このプログラムは、以下の参考文献: Dayhoff, M.O.(1978)A model of evolutionary change in proteins - Matrices for detecting distant relationships. In Dayhoff, M.O.(ed.)Atlas of Protein Sequence and Structure, National Biomedical Research Foundation, Washington DC Vol. 5, Suppl. 3, pp. 345-358; Hein J., 1990, Unified Approach to Alignment and Phylogenes pp. 626-645 Methods in Enzymology vol. 183, Academic Press, Inc., San Diego, CA; Higgins, D.G. and Sharp, P.M., 1989, CABIOS 5:151-153; Myers, E.W. and Muller W., 1988, CABIOS 4:11-17; Robinson, E.D., 1971, Comb. Theor. 11:105; Santou, N., Nes, M., 1987, Mol. Biol. Evol. 4:406-425; Sneath, P.H.A. and Sokal, R.R., 1973, Numerical Taxonomy the Principles and Practice of Numerical Taxonomy, Freeman Press, San Francisco, CA; Wilbur, W.J. and Lipman, D.J., 1983, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:726-730に記載されたいくつかのアラインメントスキームで実際に使用されている。
好ましくは、「配列同一性(%)」は、最適に整列させた2つの配列を少なくとも20個の位置の比較ウィンドウで比較することにより求め、この場合、2つの配列の最適な整列(アラインメント)のためには、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列部分またはポリペプチド配列部分に含まれていてもよい付加または欠失(すなわち、ギャップ)は、参照配列(これには付加または欠失が含まれていない)と比べた場合に20%以下、通常、5〜15%または10〜12%である。パーセント値は、両方の配列に同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が存在している位置の数を調べ、マッチしている位置の数を得、マッチしている位置の数を参照配列内の位置の総数(すなわち、ウィンドウサイズ)で割り、その結果に100を乗じて配列同一性のパーセント値を得ることにより計算される。
また、変異体も同様に、あるいは代替的に、天然遺伝子またはその一部分もしくは相補体と実質的に相同であってもよい。かかるポリヌクレオチド変異体は、天然抗体をコードしている天然に存在するDNA配列(または相補配列)と、中ストリンジェント条件下でハイブリダイズし得る。
好適な「中ストリンジェント条件」としては、5×SSC, 0.5% SDS, 1.0mMのEDTAの溶液(pH 8.0)中での予備洗浄; 50℃〜65℃、5×SSCで一晩のハイブリダイゼーション; その後、65℃で20分間、各々、0.1%のSDSを含有する2×、0.5×および0.2×SSCでの2回の洗浄が挙げられる。
本明細書で用いる場合、「高ストリンジェント条件」または「高ストリンジェンシー条件」は:(1)洗浄に低イオン強度および高温、例えば、0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを50℃で使用すること;(2)ハイブリダイゼーション中、変性剤、例えばホルムアミド、例えば、0.1%のウシ血清アルブミン/0.1%のFicoll/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのリン酸ナトリウムバッファー(pH 6.5, 750mMの塩化ナトリウム, 75mMのクエン酸ナトリウムを有する)を有する50%(v/v)ホルムアミドを42℃で使用すること; または(3)50%のホルムアミド、5×SSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH 6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト液、超音波処理済サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%のSDSおよび10%の硫酸デキストランを42℃で使用し、42℃で0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中および50%ホルムアミド中55℃での洗浄後、55℃でのEDTA含有0.1×SSCからなる高ストリンジェンシー洗浄することである。当業者には、例えばプローブ長さなどの要素に適合させるために必要に応じて、どのようにして温度、イオン強度などを調整するかがわかるであろう。
当業者には、遺伝コードの縮重の結果、本明細書に記載のポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列が多く存在することが認識されよう。このようなポリヌクレオチドの一部のものは、任意の天然遺伝子のヌクレオチド配列との相同性が最小限である。それでもなお、コドン出現頻度の違いのため異なるポリヌクレオチドは、本発明に具体的に想定される。さらに、本明細書において提供するポリヌクレオチド配列を含む遺伝子の対立遺伝子も本発明の範囲内である。対立遺伝子は、ヌクレオチドの1つまたは複数の変異、例えば欠失、付加および/または置換の結果、改変されている内在性遺伝子である。得られるmRNAおよびタンパク質は、改変された構造または機能を有し得るが、その必要はない。対立遺伝子は、標準的な手法(例えば、ハイブリダイゼーション、増幅および/またはデータベース配列との比較)を用いて同定され得る。
本発明のポリヌクレオチドは、化学合成、組換え法またはPCRを用いて得られ得る。ポリヌクレオチドの化学合成方法は当技術分野で周知であり、本明細書において詳細に記載する必要はない。当業者は、本明細書に示す配列と市販のDNA合成装置を用いて所望のDNA配列を作製することができよう。
組換え法を用いたポリヌクレオチドの調製では、所望の配列を含むポリヌクレオチドが好適なベクター内に挿入され得、このベクターがさらに、複製および増幅のために好適な宿主細胞内に導入され得、これは本明細書においてさらに論考している。ポリヌクレオチドは宿主細胞内に、当技術分野で公知の任意の手段によって挿入され得る。細胞は、外因性ポリヌクレオチドを導入することにより、直接取込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、F-接合またはエレクトロポレーションによって形質転換される。導入されたら、外因性ポリヌクレオチドは、細胞内に非一体化ベクター(例えば、プラスミド)として維持され得るか、または宿主細胞のゲノムに一体化され得る。そのようにして増幅されたポリヌクレオチドは宿主細胞から、当技術分野で周知の方法によって単離され得る。例えば、Sambrook et al.(1989)を参照のこと。
あるいはまた、PCRによってDNA配列の再生が可能である。PCR技術は当技術分野で周知であり、米国特許第4,683,195号、同第4,800,159号、同第4,754,065号および同第4,683,202号ならびにPCR: The Polymerase Chain Reaction, Mullis et al. eds., Birkauswer Press, Boston(1994)に記載されている。
RNAは、単離されたDNAを適切なベクター内に使用し、これを好適な宿主細胞内に挿入することにより得られ得る。細胞が複製され、DNAがRNAに転写されたら、次いで、このRNAは、例えばSambrook et al.,(1989)に示されているような当業者に周知の方法を用いて単離され得る。
好適なクローニングベクターは、標準的な手法に従って構築され得るか、または当技術分野で入手可能な大量数のクローニングベクターから選択され得る。選択されるクローニングベクターは、使用が意図される宿主細胞に応じてさまざまであり得るが、有用なクローニングベクターは一般的に、自己複製する能力を有するもの、特定の制限エンドヌクレアーゼに対する単一の標的を有し得るもの、および/またはベクター含有クローンの選択において使用され得るマーカーの遺伝子を担持し得る。好適な例としては、プラスミドおよび細菌ウイルス、例えばpUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)およびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにシャトルベクター、例えばpSA3およびpAT28が挙げられる。これらおよび多くの他のクローニングベクターは、市販の供給元、例えばBioRad、StrategeneおよびInvitrogenから入手可能である。
発現ベクターは一般的に、本発明の種々の任意の局面によるポリヌクレオチドを含有している複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターは、宿主細胞においてエピソームとして、または染色体DNAの一体化された一部分としてのいずれかで複製可能でなければならないことを含意している。好適な発現ベクターとしては、非限定的に、プラスミド、ウイルスベクター、例えば、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、コスミド、およびPCT公開番号WO87/04462に開示されている発現ベクター(1種または複数種)が挙げられる。ベクター成分は一般的に、非限定的に、以下: シグナル配列; 複製起点; 1種または複数種のマーカー遺伝子; 好適な転写制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサーおよびターミネーター)のうちの1つまたは複数を含むものであり得る。また、発現(すなわち、翻訳)のためには、1種または複数種の翻訳制御エレメント、例えばリボソーム結合部位、翻訳開始部位および終止コドンも通常、必要とされる。
関心対象のポリヌクレオチドを含有しているベクターは宿主細胞内に、いくつかの適切な任意の手段、例えば、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAE-デキストランまたは他の物質を用いたトランスフェクション; 微粒子銃; リポフェクション; および感染(例えば、ベクターが感染性因子、例えばワクシニアウイルスである場合)によって導入され得る。導入ベクターまたはポリヌクレオチドの選択は多くの場合、宿主細胞の特色に依存する。
一部の局面において、本発明によりまた、本明細書に記載の任意のポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供する。異種DNAを過剰発現させる能力を有する任意の宿主細胞が、関心対象の抗体、ポリペプチドまたはタンパク質をコードしている遺伝子を単離する目的に使用され得る。哺乳動物宿主細胞の非限定的な例としては、非限定的に、COS、HeLaおよびCHO細胞が挙げられる。PCT公開番号WO87/04462もまた参照のこと。好適な非哺乳動物宿主細胞としては、原核生物(例えば、大腸菌または枯草菌(B. subtillis))および酵母(例えば、出芽酵母(S. cerevisae)、分裂酵母(S. pombe); またはK. ラクチス(K. lactis))が挙げられる。好ましくは、宿主細胞は、宿主細胞内の関心対象の対応する内在性の抗体またはタンパク質(存在する場合)のものより約5倍高い、より好ましくは10倍高い、さらにより好ましくは20倍高いレベルで、cDNAを発現する。Aθ1-40に対する特異的結合についての宿主細胞のスクリーニングはイムノアッセイまたはFACSによって行なわれる。関心対象の抗体またはタンパク質を過剰発現している細胞が同定され得る。
D.組成物
一部の態様では、本発明の方法で使用される組成物は、有効量の本明細書に記載の抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体、CGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体)または抗体由来のポリペプチドを含む。また、かかる組成物の例ならびにどのようにして製剤化するかは、先のセクションおよび以下にも記載している。一態様において、該組成物はさらにCGRP拮抗薬を含む。一部の態様では、当該組成物は、CGRP経路をモジュレートする1種または複数種のモノクローナル抗体を含む。一部の態様では、当該組成物は、1種または複数種の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体はヒトCGRPを認識する。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体はヒト化型である。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、不要なまたは望ましくない免疫応答、例えば抗体媒介性溶解またはADCCを誘発しない定常領域を含む。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体は、抗体G1の1つまたは複数のCDR(例えば、G1の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または一部の態様では6つのすべてのCDR)を含む。一部の態様では、抗CGRPアンタゴニスト抗体はヒト抗体である。
当該組成物は、1種類より多くの抗体(例えば、1種類より多くの抗CGRPアンタゴニスト抗体-CGRPの異なるエピトープを認識する抗CGRPアンタゴニスト抗体の混合物)を含むものであってもよいことを理解されたい。他の例示的な組成物は、同じエピトープを認識する1種類より多くの抗CGRPアンタゴニスト抗体を含むもの、またはCGRPの異なるエピトープに結合する異なる種の抗CGRPアンタゴニスト抗体を含む。
組成物にはさらに、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤が含められ得る(Remington: The Science and practice of Pharmacy 20th Ed.(2000)Lippincott Williams and Wilkins, Ed. K. E. Hoover)。許容され得る担体、賦形剤、または安定剤は、使用される投薬量および濃度でレシピエントに対して無毒性である。抗体の治療用製剤は1種または複数種の薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤(stabilizes)を含むものであり得、かかる種の非限定的な例としては、バッファー、例えばリン酸、クエン酸および他の有機酸; 塩、例えば塩化ナトリウム; 酸化防止剤、例えばアスコルビン酸およびメチオニン; 保存料(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド; 塩化ヘキサメトニウム; 塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム; フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール; アルキルパラベン、例えばメチルもしくはプロピルパラベン; カテコール; レゾルシノール; シクロヘキサノール; 3-ペンタノール; およびm-クレゾール); 低分子量(約10個未満の残基)ポリペプチド; タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン; 親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン; アミノ酸(例えば、0.1mM〜100mM、0.1mM〜1mM、0.01mM〜50mM、1mM〜50mM、1mM〜30mM、1mM〜20mM、10mM〜25mMの濃度で)、例えばグリシン、グルタミン、メチオニン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリシン; 単糖類、二糖類および他の糖質、例えばグルコース、マンノースもしくはデキストリン; キレート剤(例えば、0.001mg/mL〜1mg/mL、0.001mg/mL〜1mg/mL、0.001mg/mL〜0.1mg/mL、0.001mg/mL〜0.01mg/mLの濃度で)、例えばEDTA(例えば、EDTA二ナトリウム二水和物); 糖(例えば、1mg/mL〜500mg/mL、10mg/mL〜200mg/mL、10mg/mL〜100mg/mL、50mg/mL〜150mg/mLの濃度で)、例えばスクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール; 塩形成性対イオン、例えばナトリウム; 金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);および/または非イオン界面活性剤(例えば、0.01mg/mL〜10mg/mL、0.01mg/mL〜1mg/mL、0.1mg/mL〜1mg/mL、0.01mg/mL〜0.5mg/mLの濃度で)、例えばTWEEN(商標)(例えば、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80))、PLURONICS(商標)またはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。薬学的に許容される賦形剤は本明細書にさらに記載している。
また、抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体)およびその組成物を、他の薬剤(該薬剤の有効性を増強および/または補足する機能を果たすもの)と共に使用してもよい。
E.キット
一局面では、本発明はまた、本発明の方法に使用するためのキットを提供する。キットは、本明細書に記載の抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体(例えば、ヒト化抗体))または本明細書に記載のポリペプチドを含む1つまたは複数の容器と、本明細書に記載の任意の方法に従う使用のための使用説明書を含むものであり得る。一般的に、このような使用説明書は、本明細書に記載の任意の方法に従って外傷後頭痛を治療する、寛解させる、または予防するための前記抗体の投与の説明を含む。キットはさらに、個体が外傷後頭痛を有するかどうか、または個体が外傷後頭痛を有するリスクがあるかどうかの確認に基づいて、処置に適した個体を選択する説明を備えていてもよい。さらに他の態様では、使用説明書は、外傷後頭痛を有するリスクがある個体に抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体)を投与する説明を含む。
一部の態様では、前記抗体はヒト化抗体である。一部の態様では、前記抗体はヒト抗体である。他の態様では、前記抗体はモノクローナル抗体である。一部の態様では、前記抗体は、抗体G1の1つまたは複数のCDR(例えば、G1の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または一部の態様では6つのすべてのCDR)を含む。
抗体(例えば、抗CGRPアンタゴニスト抗体)の使用に関する使用説明書には一般的に、意図される処置のための投薬量、投与スケジュールおよび投与経路に関する情報が含まれている。容器は、単位用量のものであってもよいし、バルクパッケージ(例えば、複数用量パッケージ)のものであってもよいし、分割単位用量のものであってもよい。キットに備えられる使用説明書は、典型的にはラベルまたは添付文書(例えば、キットに含められる紙片)での書面による使用説明書であるが、機械可読型使用説明書(例えば、磁気保存ディスク上または光学保存ディスク上に担持される使用説明書)もまた許容され得る。
ラベルまたは添付文書は、当該組成物が外傷後頭痛の治療、寛解および/または予防のために使用されるものであることを示す。本明細書に記載の任意の方法を実施するための使用説明書を供給してもよい。
本発明のキットは好適なパッケージング内に存在させる。好適なパッケージングとしては、非限定的に、バイアル、ボトル、ビン、柔軟性パッケージング(例えば、密封用Mylarまたはプラスチックの袋)などが挙げられる。また、特定のデバイス、例えば吸入器、経鼻投与デバイス(例えば、アトマイザー)または点滴用デバイス、例えばミニポンプとの組合せにおける使用のためのパッケージも想定される。キットは、滅菌されたアクセスポートを有するものであってもよい(例えば、容器は、静脈内用液剤バッグまたは皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有するバイアルであり得る)。また、容器は、滅菌されたアクセスポートを有するものであってもよい(例えば、容器は静脈内用液剤バッグまたは皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有するバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1種類の活性薬剤は抗CGRPアンタゴニスト抗体および/またはCGRP経路をモジュレートするモノクローナル抗体である。容器にさらに、第2の薬学的に活性な薬剤を含めてもよい。
キットは任意で、さらなる要素、例えばバッファーおよび解釈的情報を提供するものであってもよい。通常、キットは、容器および該容器上または該容器に付随させたラベルまたは添付文書を備えたものである。
以下の実施例は、本発明を例示するために示したものであって、本発明を限定するために示したものではない。本明細書に記載の実施例および態様は例示の目的にすぎないこと、ならびに該実施例および態様に鑑みて、種々の修正および変更が当業者に示唆され、本出願の趣旨および範囲に含まれることを理解されたい。本明細書において挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、参照によりその全体があらゆる目的のために、あたかも個々の各刊行物、特許または特許出願が具体的に個々に示されて参照によりそのように組み入れられているのと同程度に本明細書に組み入れられる。
本発明のさらなる局面および態様を番号付けした以下のパラグラフに示す。
1. 対象に抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体を投与する工程を含む、対象における外傷後頭痛を予防する、治療する、またはその発生率を低減させる方法。
2. 対象に抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体を投与する工程を含む、対象における外傷後頭痛に付随する少なくとも1つの副症状を予防する、治療する、またはその発生率を低減させる方法。
3. 前記モノクローナル抗体が、外傷後頭痛前、外傷後頭痛中、および/または外傷後頭痛後に投与される、パラグラフ1または2の方法。
4. 前記モノクローナル抗体が、外傷後頭痛の発作前(例えば、頭部および/または頸部に対する外傷または傷害後)に投与される、パラグラフ3の方法。
5. 前記モノクローナル抗体が、頭部および/または頸部に対する外傷または傷害の直後に投与される、パラグラフ1または2の方法。
6. 前記対象に投与される前記モノクローナル抗体の量が約225mg〜約1000mgである、パラグラフ1または2の方法。
7. 前記モノクローナル抗体が皮下投与される、パラグラフ1または2の方法。
8. 前記モノクローナル抗体が静脈内投与される、パラグラフ1または2の方法。
9. 初回用量(例えば、負荷用量)および1回以上の追加用量(例えば、維持用量)の前記モノクローナル抗体が対象に投与される、パラグラフ1または2の方法。
10. 前記初回用量(例えば、負荷用量)と前記1回以上の追加用量(例えば、維持用量)の量が、同じであるかまたは異なっている、パラグラフ9の方法。
11. 前記初回用量(例えば、負荷用量)と前記1回以上の追加用量(例えば、維持用量)が同じ様式で投与され、例えば皮下投与または静脈内投与される、パラグラフ1または2の方法。
12. 前記1回以上の追加用量が前記初回用量(例えば、負荷用量)とは異なる様式で投与され、例えば、該初回用量が静脈内投与され、該1回以上の追加用量(例えば、維持用量)が皮下投与される、パラグラフ1または2の方法。
13. 前記モノクローナル抗体が1ヶ月に1回投与、3ヶ月に1回投与、または単回投与される、パラグラフ1または2の方法。
14. 前記モノクローナル抗体が1ヶ月に1回投与される、パラグラフ1または2の方法。
15. 前記モノクローナル抗体が3ヶ月以上にわたって1ヶ月に1回投与される、パラグラフ1または2の方法。
16. 投与レジメンが、約675mgの初回抗体用量を皮下投与し、その後、約2ヶ月間、例えば約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間または12ヶ月間にわたって約225mgの月間抗体用量を皮下投与することを含む、パラグラフ1または2の方法。
17. 投与レジメンが、約900mgの初回用量を約60分間の点滴により静脈内投与し、その後、約1年間、例えば2年間、3年間、4年間、または5年間にわたって3ヶ月毎に約900mgの用量を約60分間の点滴により静脈内投与することを含む、パラグラフ1または2の方法。
18. 前記治療または低減が、任意の重症度の頭痛時間数の減少、任意の重症度の月間頭痛日数の減少、任意の急性頭痛薬の使用の減少、6項目の頭痛インパクトテスト(HIT-6)の不能状態スコアの低下、12項目の短縮版健康調査票(SF-12)スコア(Ware et al., Med Care 4:220-233, 1996)の改善、変化に対する患者の全般的印象(PGIC)スコア(Hurst et al., J Manipulative Physiol Ther 27:26-35, 2004)の低下、スポーツによる脳震盪評価ツール3(SCAT-3)スコア(McCrory et al. British Journal of Sports Medicine 47:263-266, 2013)の改善、またはそれらの任意の組合せを含むものであり得る、パラグラフ1または2の方法。
19. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛時間が、前記対象の投与前レベルから40時間以上(例えば、45、50、55、60、65、70、75、80時間、またはそれ以上)減少する、パラグラフ18の方法。
20. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛時間が、前記対象の投与前レベルと比べて25%以上(例えば、30%、35%、40%、45%、50%またはそれ以上)減少する、パラグラフ18の方法。
21. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛日が、前記対象の投与前レベルから3日以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日、またはそれ以上)減少する、パラグラフ18の方法。
22. 前記投与が、ある用量の前記モノクローナル抗体を含むプレフィルドシリンジ、針安全装置を有するプレフィルドシリンジ、ペン型注入器、または自動注入装置の使用を含むものであり得る、パラグラフ1の方法。
23. 前記モノクローナル抗体が少なくとも150mg/mLの濃度で製剤化されている、パラグラフ1の方法。
24. 前記モノクローナル抗体が2mL未満、例えば約1.5mLの体積で投与される、パラグラフ1の方法。
25. 第2の薬剤を、前記モノクローナル抗体と同時にまたは逐次的に前記対象に投与する工程をさらに含む、パラグラフ1の方法。
26. 第2の薬剤が、5-HT1アゴニスト、トリプタン、麦角アルカロイド、および非ステロイド性抗炎症薬のうちのいずれかである、パラグラフ1の方法。一部の態様では、前記第2の薬剤は、前記対象によって予防的に摂取される薬剤である。
27. 前記対象による第2の薬剤の月間使用が、前記モノクローナル抗体の投与後に少なくとも15%減少する、パラグラフ1の方法。
28. 第2の薬剤がトリプタンである、パラグラフ1の方法。
29. 前記対象がヒトである、パラグラフ1の方法。
30. 前記モノクローナル抗体が、ヒトモノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体である、パラグラフ1の方法。
31. 前記モノクローナル抗体がヒト化モノクローナル抗体である、パラグラフ1の方法。
32. 前記モノクローナル抗体が、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4などである抗体の重鎖定常領域を含む、パラグラフ1の方法。
33. 前記モノクローナル抗体が、(a)SEQ ID NO: 3に示すCDR H1; SEQ ID NO: 4に示すCDR H2; SEQ ID NO: 5に示すCDR H3; SEQ ID NO: 6に示すCDR L1; SEQ ID NO: 7に示すCDR L2; およびSEQ ID NO: 8に示すCDR L3を有する抗体; または(b)表6に示す(a)に記載の抗体の変異体を含む、パラグラフ1の方法。
34. 前記外傷後頭痛が急性または持続性である、パラグラフ1または2の方法。
35. 前記外傷後頭痛が持続性である、パラグラフ1または2の方法。
36. 前記パラグラフのいずれか1つによる使用のための組成物。
1A. 対象に治療有効量の抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体を投与する工程を含み、該モノクローナル抗体を約675mg〜約900mgの初回負荷用量で静脈内投与または皮下投与した後、続いて、約225mgの後続の維持用量を1ヶ月間隔で皮下投与する、対象における外傷後頭痛を予防する、治療する、またはその発生率を低減させる方法。
2A. 対象に治療有効量の抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体を投与する工程を含み、該モノクローナル抗体を約675mg〜約900mgの初回負荷用量で静脈内投与した後、続いて、約225mgの後続の維持用量を1ヶ月間隔で皮下投与する、対象における外傷後頭痛に付随する少なくとも1つの副症状を予防する、治療する、またはその発生率を低減させる方法。
3A. 前記モノクローナル抗体が、外傷後頭痛前、外傷後頭痛中、および/または外傷後頭痛後に投与される、パラグラフ1Aまたは2Aの方法。
4A. 前記モノクローナル抗体が、外傷後頭痛の発作前(例えば、頭部および/または頸部に対する外傷または傷害後)に投与される、パラグラフ3Aの方法。
5A. 前記モノクローナル抗体が、頭部および/または頸部に対する外傷または傷害の直後に投与される、パラグラフ1Aまたは2Aの方法。
6A. 投与レジメンが、約675mgの初回抗体用量を皮下投与し、その後、約2ヶ月間、例えば約3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間または12ヶ月間にわたって約225mgの月間抗体用量を皮下投与することを含む、パラグラフ1Aまたは2Aの方法。
7A. 前記治療または低減が、任意の重症度の頭痛時間数の減少、任意の重症度の月間頭痛日数の減少、任意の急性頭痛薬の使用の減少、6項目の頭痛インパクトテスト(HIT-6)の不能状態スコアの低下、12項目の短縮版健康調査票(SF-12)スコア(Ware et al., Med Care 4:220-233, 1996)の改善、変化に対する患者の全般的印象(PGIC)スコア(Hurst et al., J Manipulative Physiol Ther 27:26-35, 2004)の低下、スポーツによる脳震盪評価ツール3(SCAT-3)スコア(McCrory et al. British Journal of Sports Medicine 47:263-266, 2013)の改善、またはそれらの任意の組合せを含むものであり得る、パラグラフ1Aまたは2Aの方法。
8A. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛時間が、前記対象の投与前レベルから40時間以上(例えば、45、50、55、60、65、70、75、80時間、またはそれ以上)減少する、パラグラフ1Aまたは2Aの方法。
9A. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛時間が、前記対象の投与前レベルと比べて25%以上(例えば、30%、35%、40%、45%、50%またはそれ以上)減少する、パラグラフ1Aまたは2Aの方法。
10A. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛日が、前記対象の投与前レベルから3日以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日、またはそれ以上)減少する、パラグラフ1Aまたは2Aの方法。
11A. 前記投与が、ある用量の前記モノクローナル抗体を含むプレフィルドシリンジ、針安全装置を有するプレフィルドシリンジ、ペン型注入器、または自動注入装置の使用を含むものであり得る、パラグラフ1Aの方法。
12A. 前記モノクローナル抗体が少なくとも150mg/mLの濃度で製剤化されている、パラグラフ1Aの方法。
13A. 前記モノクローナル抗体が2mL未満、例えば約1.5mLの体積で投与される、パラグラフ1Aの方法。
14A. 第2の薬剤を、前記モノクローナル抗体と同時にまたは逐次的に前記対象に投与する工程をさらに含む、パラグラフ1Aの方法。
15A. 第2の薬剤が、5-HT1アゴニスト、トリプタン、麦角アルカロイド、および非ステロイド性抗炎症薬のうちのいずれかである、パラグラフ1Aの方法。一部の態様では、第2の薬剤は、対象によって予防的に摂取される薬剤である。
16A. 前記対象による第2の薬剤の月間使用が、前記モノクローナル抗体の投与後に少なくとも15%減少する、パラグラフ1Aの方法。
17A. 第2の薬剤がトリプタンである、パラグラフ1Aの方法。
18A. 前記対象がヒトである、パラグラフ1Aの方法。
19A. 前記モノクローナル抗体が、ヒトモノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体である、パラグラフ1Aの方法。
20A. 前記モノクローナル抗体がヒト化モノクローナル抗体である、パラグラフ1Aの方法。
21A. 前記モノクローナル抗体が、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4などである抗体の重鎖定常領域を含む、パラグラフ1Aの方法。
22A. 前記モノクローナル抗体が、(a)SEQ ID NO: 3に示すCDR H1; SEQ ID NO: 4に示すCDR H2; SEQ ID NO: 5に示すCDR H3; SEQ ID NO: 6に示すCDR L1; SEQ ID NO: 7に示すCDR L2; およびSEQ ID NO: 8に示すCDR L3を有する抗体; または(b)表6に示す(a)に記載の抗体の変異体を含む、パラグラフ1Aの方法。
23A. 前記外傷後頭痛が急性または持続性である、パラグラフ1Aまたは2Aの方法。
24A. 前記外傷後頭痛が持続性である、パラグラフ1Aまたは2Aの方法。
25A. 前記パラグラフのいずれか1つによる使用のための組成物。
1B. 対象に治療有効量の抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体を投与する工程を含み、該モノクローナル抗体を約675mg〜約900mgの用量で3ヶ月に1回、静脈内投与する、対象における外傷後頭痛を予防する、治療する、またはその発生率を低減させる方法。
2B. 対象に治療有効量の抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体を投与する工程を含み、該モノクローナル抗体を約675mg〜約900mgの初回負荷用量で3ヶ月に1回、静脈内投与する、対象における外傷後頭痛に付随する少なくとも1つの副症状を予防する、治療する、またはその発生率を低減させる方法。
3B. 前記モノクローナル抗体が、外傷後頭痛前、外傷後頭痛中、および/または外傷後頭痛後に投与される、パラグラフ1Bまたは2Bの方法。
4B. 前記モノクローナル抗体が、外傷後頭痛の発作前(例えば、頭部および/または頸部に対する外傷または傷害後)に投与される、パラグラフ3Bの方法。
5B. 前記モノクローナル抗体が、頭部および/または頸部に対する外傷または傷害の直後に投与される、パラグラフ1Bまたは2Bの方法。
6B. 投与レジメンが、約900mgの初回用量を約60分間の点滴により静脈内投与し、その後、約1年間、例えば2年間、3年間、4年間、または5年間にわたって3ヶ月毎に約900mgの用量を約60分間の点滴により静脈内投与することを含む、パラグラフ1Bまたは2Bの方法。
7B. 前記治療または低減が、任意の重症度の頭痛時間数の減少、任意の重症度の月間頭痛日数の減少、任意の急性頭痛薬の使用の減少、6項目の頭痛インパクトテスト(HIT-6)の不能状態スコアの低下、12項目の短縮版健康調査票(SF-12)スコア(Ware et al., Med Care 4:220-233, 1996)の改善、変化に対する患者の全般的印象(PGIC)スコア(Hurst et al., J Manipulative Physiol Ther 27:26-35, 2004)の低下、スポーツによる脳震盪評価ツール3(SCAT-3)スコア(McCrory et al. British Journal of Sports Medicine 47:263-266, 2013)の改善、またはそれらの任意の組合せを含むものであり得る、パラグラフ1Bまたは2Bの方法。
8B. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛時間が、前記対象の投与前レベルから40時間以上(例えば、45、50、55、60、65、70、75、80時間、またはそれ以上)減少する、パラグラフ1Bまたは2Bの方法。
9B. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛時間が、前記対象の投与前レベルと比べて25%以上(例えば、30%、35%、40%、45%、50%またはそれ以上)減少する、パラグラフ1Bまたは2Bの方法。
10B. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛日が、前記対象の投与前レベルから3日以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日、またはそれ以上)減少する、パラグラフ1Bまたは2Bの方法。
11B. 前記投与が、ある用量の前記モノクローナル抗体を含むプレフィルドシリンジ、針安全装置を有するプレフィルドシリンジ、ペン型注入器、または自動注入装置の使用を含むものであり得る、パラグラフ1Bの方法。
12B. 前記モノクローナル抗体が少なくとも150mg/mLの濃度で製剤化されている、パラグラフ1Bの方法。
13B. 前記モノクローナル抗体が2mL未満、例えば約1.5mLの体積で投与される、パラグラフ1Bの方法。
14B. 第2の薬剤を、前記モノクローナル抗体と同時にまたは逐次的に前記対象に投与する工程をさらに含む、パラグラフ1Bの方法。
15B. 第2の薬剤が、5-HT1アゴニスト、トリプタン、麦角アルカロイド、および非ステロイド性抗炎症薬のうちのいずれかである、パラグラフ1Bの方法。一部の態様では、第2の薬剤は、対象によって予防的に摂取される薬剤である。
16B. 前記対象による第2の薬剤の月間使用が、前記モノクローナル抗体の投与後に少なくとも15%減少する、パラグラフ1Bの方法。
17B. 第2の薬剤がトリプタンである、パラグラフ1Bの方法。
18B. 前記対象がヒトである、パラグラフ1Bの方法。
19B. 前記モノクローナル抗体が、ヒトモノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体である、パラグラフ1Bの方法。
20B. 前記モノクローナル抗体がヒト化モノクローナル抗体である、パラグラフ1Bの方法。
21B. 前記モノクローナル抗体が、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4などである抗体の重鎖定常領域を含む、パラグラフ1Bの方法。
22B. 前記モノクローナル抗体が、(a)SEQ ID NO: 3に示すCDR H1; SEQ ID NO: 4に示すCDR H2; SEQ ID NO: 5に示すCDR H3; SEQ ID NO: 6に示すCDR L1; SEQ ID NO: 7に示すCDR L2; およびSEQ ID NO: 8に示すCDR L3を有する抗体; または(b)表6に示す(a)に記載の抗体の変異体を含む、パラグラフ1Bの方法。
23B. 前記外傷後頭痛が急性または持続性である、パラグラフ1Bまたは2Bの方法。
24B. 前記外傷後頭痛が持続性である、パラグラフ1Bまたは2Bの方法。
25B. 前記パラグラフのいずれか1つによる使用のための組成物。
1C. 対象に治療有効量の抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体を投与する工程を含み、該モノクローナル抗体を約675mg〜約900mgの用量で3ヶ月間隔毎に1回、静脈内投与する、対象における外傷後頭痛を予防する、治療する、またはその発生率を低減させる方法。
2C. 対象に治療有効量の抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体を投与する工程を含み、該モノクローナル抗体を約675mg〜約900mgの初回負荷用量で3ヶ月間隔毎に1回、静脈内投与する、対象における外傷後頭痛に付随する少なくとも1つの副症状を予防する、治療する、またはその発生率を低減させる方法。
3C. 前記モノクローナル抗体が、外傷後頭痛前、外傷後頭痛中、および/または外傷後頭痛後に投与される、パラグラフ1Cまたは2Cの方法。
4C. 前記モノクローナル抗体が、外傷後頭痛の発作前(例えば、頭部および/または頸部に対する外傷または傷害後)に投与されるパラグラフ3Cの方法。
5C. 前記モノクローナル抗体が、頭部および/または頸部に対する外傷または傷害の直後に投与される、パラグラフ1Cまたは2Cの方法。
6C. 投与レジメンが、約900mgの初回用量を約60分間の点滴により静脈内投与し、その後、約1年間、例えば2年間、3年間、4年間、または5年間にわたって3ヶ月毎に約900mgの用量を約60分間の点滴により静脈内投与することを含む、パラグラフ1Cまたは2Cの方法。
7C. 前記治療または低減が、任意の重症度の頭痛時間数の減少、任意の重症度の月間頭痛日数の減少、任意の急性頭痛薬の使用の減少、6項目の頭痛インパクトテスト(HIT-6)の不能状態スコアの低下、12項目の短縮版健康調査票(SF-12)スコア(Ware et al., Med Care 4:220-233, 1996)の改善、変化に対する患者の全般的印象(PGIC)スコア(Hurst et al., J Manipulative Physiol Ther 27:26-35, 2004)の低下、スポーツによる脳震盪評価ツール3(SCAT-3)スコア(McCrory et al. British Journal of Sports Medicine 47:263-266, 2013)の改善、またはそれらの任意の組合せを含むものであり得る、パラグラフ1Cまたは2Cの方法。
8C. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛時間が、前記対象の投与前レベルから40時間以上(例えば、45、50、55、60、65、70、75、80時間、またはそれ以上)減少する、パラグラフ1Cまたは2Cの方法。
9C. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛時間が、前記対象の投与前レベルと比べて25%以上(例えば、30%、35%、40%、45%、50%またはそれ以上)減少する、パラグラフ1Cまたは2Cの方法。
10C. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛日が、前記対象の投与前レベルから3日以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日、またはそれ以上)減少する、パラグラフ1Cまたは2Cの方法。
11C. 前記投与が、ある用量の前記モノクローナル抗体を含むプレフィルドシリンジ、針安全装置を有するプレフィルドシリンジ、ペン型注入器、または自動注入装置の使用を含むものであり得る、パラグラフ1Cの方法。
12C. 前記モノクローナル抗体が少なくとも150mg/mLの濃度で製剤化されている、パラグラフ1Cの方法。
13C. 前記モノクローナル抗体が2mL未満、例えば約1.5mLの体積で投与される、パラグラフ1Cの方法。
14C. 第2の薬剤を、前記モノクローナル抗体と同時にまたは逐次的に前記対象に投与する工程をさらに含む、パラグラフ1Cの方法。
15C. 第2の薬剤が、5-HT1アゴニスト、トリプタン、麦角アルカロイド、および非ステロイド性抗炎症薬のうちのいずれかである、パラグラフ1Cの方法。一部の態様では、第2の薬剤は、対象によって予防的に摂取される薬剤である。
16C. 前記対象による第2の薬剤の月間使用が、前記モノクローナル抗体の投与後に少なくとも15%減少する、パラグラフ1Cの方法。
17C. 第2の薬剤がトリプタンである、パラグラフ1Cの方法。
18C. 前記対象がヒトである、パラグラフ1Cの方法。
19C. 前記モノクローナル抗体が、ヒトモノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体である、パラグラフ1Cの方法。
20C. 前記モノクローナル抗体がヒト化モノクローナル抗体である、パラグラフ1Cの方法。
21C. 前記モノクローナル抗体が、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4などである抗体の重鎖定常領域を含む、パラグラフ1Cの方法。
22C. 前記モノクローナル抗体が、(a)SEQ ID NO: 3に示すCDR H1; SEQ ID NO: 4に示すCDR H2; SEQ ID NO: 5に示すCDR H3; SEQ ID NO: 6に示すCDR L1; SEQ ID NO: 7に示すCDR L2; およびSEQ ID NO: 8に示すCDR L3を有する抗体; または(b)表6に示す(a)に記載の抗体の変異体を含む、パラグラフ1Cの方法。
23C. 前記外傷後頭痛が急性または持続性である、パラグラフ1Cまたは2Cの方法。
24C. 前記外傷後頭痛が持続性である、パラグラフ1Cまたは2Cの方法。
25C. 前記パラグラフのいずれか1つによる使用のための組成物。
1D. 治療有効量の抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体を対象に投与する工程を含み、該モノクローナル抗体を約675mg〜約900mgの用量で6ヶ月間隔毎に1回、静脈内投与する、対象における外傷後頭痛を予防する、治療する、またはその発生率を低減させる方法。
2D. 治療有効量の抗CGRPアンタゴニストモノクローナル抗体を対象に投与する工程を含み、該モノクローナル抗体を約675mg〜約900mgの初回負荷用量で6ヶ月間隔毎に1回、静脈内投与する、対象における外傷後頭痛に付随する少なくとも1つの副症状を予防する、治療する、またはその発生率を低減させる方法。
3D. 前記モノクローナル抗体が、外傷後頭痛前、外傷後頭痛中、および/または外傷後頭痛後に投与される、パラグラフ1Dまたは2Dの方法。
4D. 前記モノクローナル抗体が、外傷後頭痛の発作前(例えば、頭部および/または頸部に対する外傷または傷害後)に投与される、パラグラフ3Dの方法。
5D. 前記モノクローナル抗体が、頭部および/または頸部に対する外傷または傷害の直後に投与される、パラグラフ1Dまたは2Dの方法。
6D. 投与レジメンが、約900mgの初回用量を約60分間の点滴により静脈内投与し、その後、約1年間、例えば2年間、3年間、4年間、または5年間にわたって6ヶ月毎に約900mgの用量を約60分間の点滴により静脈内投与することを含む、パラグラフ1Dまたは2Dの方法。
7D. 前記治療または低減が、任意の重症度の頭痛時間数の減少、任意の重症度の月間頭痛日数の減少、任意の急性頭痛薬の使用の減少、6項目の頭痛インパクトテスト(HIT-6)の不能状態スコアの低下、12項目の短縮版健康調査票(SF-12)スコア(Ware et al., Med Care 4:220-233, 1996)の改善、変化に対する患者の全般的印象(PGIC)スコア(Hurst et al., J Manipulative Physiol Ther 27:26-35, 2004)の低下、スポーツによる脳震盪評価ツール3(SCAT-3)スコア(McCrory et al. British Journal of Sports Medicine 47:263-266, 2013)の改善、またはそれらの任意の組合せを含むものであり得る、パラグラフ1Dまたは2Dの方法。
8D. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛時間が、前記対象の投与前レベルから40時間以上(例えば、45、50、55、60、65、70、75、80時間、またはそれ以上)減少する、パラグラフ1Dまたは2Dの方法。
9D. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛時間が、前記対象の投与前レベルと比べて25%以上(例えば、30%、35%、40%、45%、50%またはそれ以上)減少する、パラグラフ1Dまたは2Dの方法。
10D. 前記投与後に前記対象に起こる月間頭痛日が、前記対象の投与前レベルから3日以上(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20日、またはそれ以上)減少する、パラグラフ1Dまたは2Dの方法。
11D. 前記投与が、ある用量の前記モノクローナル抗体を含むプレフィルドシリンジ、針安全装置を有するプレフィルドシリンジ、ペン型注入器、または自動注入装置の使用を含むものであり得る、パラグラフ1Dの方法。
12D. 前記モノクローナル抗体が、少なくとも150mg/mLの濃度で製剤化されている、パラグラフ1Dの方法。
13D. 前記モノクローナル抗体が、2mL未満、例えば約1.5mLの体積で投与される、パラグラフ1Dの方法。
14D. 第2の薬剤を、前記モノクローナル抗体と同時にまたは逐次的に前記対象に投与する工程をさらに含む、パラグラフ1Dの方法。
15D. 第2の薬剤が、5-HT1アゴニスト、トリプタン、麦角アルカロイド、および非ステロイド性抗炎症薬のうちのいずれかである、パラグラフ1Dの方法。一部の態様では、第2の薬剤は、対象によって予防的に摂取される薬剤である。
16D. 前記対象による第2の薬剤の月間使用が、前記モノクローナル抗体の投与後に少なくとも15%減少する、パラグラフ1Dの方法。
17D. 第2の薬剤がトリプタンである、パラグラフ1Dの方法。
18D. 前記対象がヒトである、パラグラフ1Dの方法。
19D. 前記モノクローナル抗体が、ヒトモノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体である、パラグラフ1Dの方法。
20D. 前記モノクローナル抗体がヒト化モノクローナル抗体である、パラグラフ1Dの方法。
21D. 前記モノクローナル抗体が、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4などである抗体の重鎖定常領域を含む、パラグラフ1Dの方法。
22D. 前記モノクローナル抗体が、(a)SEQ ID NO: 3に示すCDR H1; SEQ ID NO: 4に示すCDR H2; SEQ ID NO: 5に示すCDR H3; SEQ ID NO: 6に示すCDR L1; SEQ ID NO: 7に示すCDR L2; およびSEQ ID NO: 8に示すCDR L3を有する抗体; または(b)表6に示す(a)に記載の抗体の変異体を含む、パラグラフ1Dの方法。
23D. 前記外傷後頭痛が急性または持続性である、パラグラフ1Dまたは2Dの方法。
24D. 前記外傷後頭痛が持続性である、パラグラフ1Dまたは2Dの方法。
25D. 前記パラグラフのいずれか1つによる使用のための組成物。
実施例1: CGRPに対するモノクローナル抗体の作製および特性評価
抗CGRP抗体の作製。ラットCGRPとヒトCGRPに対して異種間反応性を有する抗CGRP抗体を作製するため、マウスを、KLHにコンジュゲートさせた25〜100μgのヒトα-CGRPまたはβ-CGRP(アジュバント中)で、種々の期間で免疫処置した(50μl/足底球、全部で100μl/マウス)。免疫処置は概して、Geerligs HJ et al., 1989, J. Immunol. Methods 124:95-102; Kenney JS et al., 1989, J. Immunol. Methods 121:157-166; およびWicher K et al., 1989, Int. Arch. Allergy Appl. Immunol. 89:128-135に記載のようにして行なった。マウスをまず、KLHにコンジュゲートさせた50μgのヒトα-CGRPまたはβ-CGRP(CFA(完全フロイントアジュバント)中)で免疫処置した。21日後、マウスを、KLHにコンジュゲートさせた25μgのヒトβ-CGRP(最初にヒトα-CGRPで免疫処置したマウスの場合)またはα-CGRP(最初にヒトβ-CGRPで免疫処置したマウスの場合)(IFA(不完全フロイントアジュバント)中)で2回目の免疫処置を行なった。2回目の免疫処置の23日後、KLHにコンジュゲートさせた25μgのラットα-CGRP(IFA中)で3回目の免疫処置を行なった。10日後、抗体力価を、ELISAを用いて試験した。4回目の免疫処置を、25μgのペプチド(ラットα-CGRP-KLH)(IFA中)で、3回目の免疫処置後34日目に行なった。最終追加免疫は、100μgの可溶性ペプチド(ラットα-CGRP)で、4回目の免疫処置後32日目に行なった。
脾細胞を免疫処置マウスから採取し、ポリエチレングリコール1500を用いて10:1の比でNSO骨髄腫細胞と融合させた。このハイブリッドを、96ウェルプレート内の20%のウマ血清および2-オキサロアセテート/ピルベート/インスリンを含有するDMEM(Sigma)中にプレーティングし、ヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン選択を開始した。8日目、20%のウマ血清を含有する100μlのDMEMをすべてのウェルに添加した。ハイブリッドの上清みを、抗体捕捉イムノアッセイを使用することによりスクリーニングした。抗体クラスの決定は、クラス特異的二次抗体を用いて行なった。
モノクローナル抗体産生細胞株パネルを、ヒトCGRPおよびラットCGRPに対する結合性に基づいて、さらなる特性評価のために選択した。このような抗体および特徴を以下に表2と3に示す。
精製およびFab断片の調製。さらなる特性評価のために選択したモノクローナル抗体をハイブリドーマ培養物の上清みから、プロテインAアフィニティクロマトグラフィーを用いて精製した。上清みをpH 8に平衡化した。次いで、上清みを、PBSでpH 8に平衡化したプロテインAカラムMabSelect(Amersham Biosciences #17-5199-02)にロードした。カラムは5カラム容量のPBS(pH 8)で洗浄した。抗体を、50mMのクエン酸-リン酸バッファー(pH 3)で溶出させた。溶出した抗体を1Mリン酸バッファー(pH 8)で中和した。精製された抗体を、PBS(pH 7.4)を用いて透析した。抗体濃度をSDS-PAGEにより、マウスモノクローナル抗体標準曲線を用いて求めた。
Fabを、全長抗体のパパインによるタンパク質分解により、Immunopure Fabキット(Pierce #44885)を用いて調製し、製造業者の使用説明書に従ってプロテインAクロマトグラフィーで流すことにより精製した。濃度をELISAおよび/またはSDS-PAGE電気泳動により、既知濃度(アミノ酸解析によって測定)の標準Fabを用いて、およびA280により、1OD=0.6mg/ml(またはアミノ酸配列に基づいた理論当量)を用いて調べた。
Fabの親和性の測定。抗CGRPモノクローナル抗体の親和性を、25℃または37℃のいずれかで、BIACORE3000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム(Biacore, INC, Piscataway NJ)を、製造業者の(manufacture's)独自のランニングバッファー、HBS-EP(10mMのHEPES pH 7.4、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.005%v/vのポリソルベートP20)と共に用いて調べた。親和性は、N末端ビオチン化CGRPペプチド(GenScript Corporation, New JerseyまたはGlobal Peptide Services, Coloradoでカスタムオーダー)を、SAチップ上に予め固定化されたストレプトアビジンによって捕捉し、CGRP表面全体で滴定された抗体Fabの結合反応速度論を調べることによりにより調べた。ビオチン化CGRPをHBS-EP中で希釈し、チップ上に0.001mg/ml未満の濃度で注入した。個々のチップチャネルにおいていろいろな流下時間を使用し、2つの抗原密度範囲: 詳細な反応速度論試験のための<50応答単位(RU)と濃度試験およびスクリーニングのための約800 RUを得た。典型的には1μMから0.1nMまでに及ぶ範囲の濃度(推定KDの0.1〜10倍を目標)の精製Fab断片の2倍または3倍段階希釈系列を100μL/分で1分間注入し、10分間の解離時間をもうけた。各結合サイクル後、表面を、25% v/vのエタノール中25mMのNaOHを用いて再生させ、これは数百回を超えるサイクルに耐えられた。1:1 Langmuir結合モデル(Karlsson, R. Roos, H. Fagerstam, L. Petersson, B.(1994). Methods Enzymology 6. 99-110)に、BIA評価プログラムを用いてデータをフィッティングさせることにより、反応速度論的会合速度(kon)と解離速度(koff)を同時に得た。グローバル平衡解離定数(KD)または「親和性」をKD=koff/konの比から計算した。マウスFab断片の親和性を表2と3に示す。
マウス抗CGRP抗体のエピトープマッピング。抗CGRP抗体が結合するヒトα-CGRP上のエピトープを調べるため、上記のように、N末端ビオチン化CGRP断片の19〜37番目のアミノ酸および25〜37番目のアミノ酸をSAセンサーチップ上に捕捉させることにより、種々のCGRP断片に対するFab断片の結合親和性を調べた。図1は、25℃において測定された結合親和性を示す。図1に示されるように、抗体4901を除くすべての抗体は、ヒト全長α-CGRP(1-37)に対する結合親和性と同等の親和性で、ヒトα-CGRP断片19-37および25-37に結合する。抗体4901は、主として解離速度の低下のため、ヒト全長α-CGRP断片に対する結合よりも6倍低い親和性で、ヒトα-CGRP断片25-37に結合する。データは、これらの抗CGRP抗体が概してCGRPのC末端に結合することを示している。
抗CGRP抗体の結合に関与するヒトα-CGRP内のアミノ酸をさらに特性評価するため、アラニンスキャニングを行なった。単一のアラニン置換を有するヒトα-CGRPのいろいろな変異体をペプチド合成によって作製した。そのアミノ酸配列を表4に、Biacore解析に使用したその他のすべてのペプチドと共に示す。これらの変異体に対する抗CGRP抗体のFab断片の親和性を、Biacoreを用いて上記のようにして調べた。図1に示されるように、12種類の抗体はすべてC末端エピトープを標的とし、アミノ酸F37が最も重要な残基である。F37のアラニンへの変異は、親和性を有意に低下させるか、またはさらには該ペプチドに対する抗CGRP抗体の結合を完全にノックアウトした。次に最も重要なアミノ酸残基はG33であるが、高親和性抗体(7E9、8B6、10A8および7D11)のみが、この位置のアラニン置換により影響を受けた。アミノ酸残基S34もまた、これらの4種類の高親和性抗体の結合において重要な役割を果たすが程度は低い。
(表2)ヒトα-CGRPに対する抗CGRPモノクローナル抗体の結合特性およびそのアンタゴニスト活性
注: 抗体4901は市販のものである(Sigma, 製品番号C7113)。
n.d.=測定せず
(表3)ラットα-CGRPに対する抗CGRPモノクローナル抗体の結合特性およびアンタゴニスト活性
「n.d.」は、その抗体については試験を行なわなかったことを示す。
(表4)ヒトα-CGRP断片のアミノ酸配列(SEQ ID NO:15〜40)および関連ペプチドのアミノ酸配列(SEQ ID NO:41〜47)。SEQ ID NO:36〜40以外のすべてのペプチドはC末端がアミド化されている。太字の残基は点変異を示す。
実施例2: インビトロアッセイを用いた抗CGRPアンタゴニスト抗体のスクリーニング。
マウス抗CGRP抗体を、インビトロでのアンタゴニスト活性について、細胞ベースのcAMP活性化アッセイおよび結合アッセイを用いてさらにスクリーニングした。
cAMPアッセイによって測定されたアンタゴニスト活性。抗CGRP抗体(終濃度1〜3000nM)の存在下もしくは非存在下の5マイクロリットルのヒトもしくはラットα-CGRP(終濃度50nM)、またはラットα-CGRPまたはヒトα-CGRP(終濃度0.1nM〜10μM; cAMP活性化の陽性対照として)を384ウェルプレート(Nunc, カタログ番号264657)内に分注した。刺激バッファー(20mMのHEPES、pH 7.4、146mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのCaCl2、1mMのMgCl2および500μM 3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX))中の10マイクロリットルの細胞(ヒトα-CGRPを使用する場合はヒトSK-N-MC、またはラットα-CGRPを使用する場合はATCCのラットL6)をプレートのウェル内に添加した。プレートを室温で30分間インキュベートした。
インキュベーション後、cAMP活性化を、HitHunter(商標)Enzyme Fragment Complementation Assay(Applied Biosystems)を製造業者の指示に従って用いて行なった。このアッセイは、エンザイムアクセプター(Enzyme Acceptor)(EA)およびエンザイムドナー(Enzyme Donor)(ED)と称される2つの断片からなる遺伝子操作されたβ-ガラクトシダーゼ酵素に基づいたものである。この2つの断片が分離している場合、前記酵素は不活性である。前記断片を一緒にした場合、これらは自発的に再結合され、相補化(complementation)と称されるプロセスによって活性な酵素が形成され得る。EFCアッセイプラットフォームでは、cAMPが抗cAMPによって認識されるED-cAMPペプチドコンジュゲートが使用される。このED断片は、EAと再会合して活性な酵素を形成し得る。このアッセイでは、抗cAMP抗体は最適には、ED-cAMPコンジュゲートに結合して酵素形成を阻害するように滴定される。細胞ライセート試料中の複数レベルのcAMPがED-cAMPコンジュゲートと、抗cAMP抗体との結合について競合する。アッセイにおける遊離EDコンジュゲートの量はcAMPの濃度に比例する。したがって、cAMPは、β-ガラクトシダーゼ発光基質のターンオーバーによって定量される活性な酵素の形成によって測定される。cAMP活性化アッセイは、10μlの溶解バッファーと抗cAMP抗体(1:1の比)を添加した後、室温で60分間インキュベーションすることにより行なった。次いで、10μlのED-cAMP試薬を各ウェル内に添加し、室温で60分間インキュベートした。インキュベーション後、20μlのEA試薬とCL混合物(基質を含有している)(1:1の比)を各ウェル内に添加し、1〜3時間または一晩、室温でインキュベートした。プレートの読み取りを、PMT装置において1秒/ウェルで、または撮像装置において30秒/箇所にて行なった。α-CGRPによってcAMPの活性化を阻害する抗体を上記の表2と3において同定した(「あり」と示している)。表2と3のデータは、このアッセイでアンタゴニスト活性を示した抗体が概して高い親和性を有していることを示す。例えば、ヒトα-CGRPに対して約80nM以下のKD(25℃で測定)を有するか、またはラットα-CGRPに対して約47nM以下のKD(37℃で測定)を有する抗体は、このアッセイにおいてアンタゴニスト活性を示した。
放射性リガンド結合アッセイ。CGRPのその受容体に対する結合のブロックにおける抗CGRP抗体のIC50を調べるため、結合アッセイを既報のとおりに行なった。(Zimmermann et al., Peptides 16:421-4, 1995; Mallee et al., J. Biol. Chem. 277:14294-8, 2002)SK-N-MC細胞の膜(25μg)を室温で90分間、10pMの125I-ヒトα-CGRPを含有するインキュベーションバッファー(50mMのTris-HCl、pH 7.4、5mMのMgCl2、0.1%のBSA)中で、1mLの総体積でインキュベートした。阻害濃度(IC50)を求めるため、抗体または非標識CGRP(対照として)を、約100倍高濃度のストック溶液からさまざまな濃度でインキュベーションバッファー中に溶解させ、膜および10pMの125I-ヒトα-CGRPと共に同時にインキュベートした。0.5%ポリエチレンイミン(polyethylemimine)でブロックしておいたガラスマイクロファイバーフィルター(GF/B、1μm)に通す濾過によってインキュベーションを終了させた。用量応答曲線をプロットし、式: Ki=IC50/(1+([リガンド]/KD)を使用することによりKi値を求めた; ここで、平衡解離定数KD=8pM(SK-N-MC細胞に存在するCGRP1受容体に対するヒトα-CGRPの場合)、およびBmax=0.025pmol/mgタンパク質である。報告したIC50値(IgG分子に関するもの)を、Biacoreによって測定される親和性(KD)と比較できるようにするために結合部位に変換した(2倍に掛け算することにより)(表2参照)。
表2は、マウス抗体7E9、8B6、6H2および4901のIC50を示す。データは、抗体の親和性が概してIC50と相関していること: 高親和性(低KD値)を有する抗体は、放射性リガンド結合アッセイにおいて低IC50を有することを示す。
実施例3: ラット伏在神経の刺激によって誘導される皮膚の血管拡張に対する抗CGRPアンタゴニスト抗体の効果
抗CGRP抗体のアンタゴニスト活性を試験するため、ラット伏在神経の刺激による皮膚の血管拡張に対する該抗体の効果を、ラットモデルを用いて既報のとおりに試験した。Escott et al., Br. J. Pharmacol. 110:772-776, 1993。このラットモデルにおいて、伏在神経の電気刺激により神経終末からのCGRPの放出が誘導され、皮膚の血流の増大がもたされる。雄Sprague Dawleyラット(170〜300g、Charles River Hollister)の足の皮膚の血流を、伏在神経刺激後に測定した。ラットを2%のイソフルランでの麻酔下に維持した。伏在神経の交感神経線維の併存刺激による血管収縮を最小限にするため、実験開始時にブレチリウムトシレート(30mg/kg、i.v.投与)を投与した。温度制御型ヒーターパッドにサーモスタット式に接続した経直腸プローブの使用によって体温を37℃に維持した。抗体、陽性対照(CGRP8-37)およびビヒクル(PBS、0.01%のTween 20)などの化合物を右大腿静脈から静脈内投与したが、図3に示す実験では試験化合物および対照を尾静脈から注射し、図2Aおよび2Bに示す実験では抗体4901および7D11を腹腔内(IP)注射した。陽性対照化合物CGRP8-37(血管拡張拮抗薬)は、半減期が短いため、神経刺激の3〜5分前に400nmol/kg(200μl)で投与した。Tan et al., Clin. Sci. 89:656-73, 1995。抗体は、いろいろな用量(1mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、および25mg/kg)で投与した。
図2Aおよび2Bに示す実験では、抗体4901(25mg/kg)、抗体7D11(25mg/kg)またはビヒクル対照(0.01%のTween 20を含むPBS)を、電気パルス刺激の72時間前に腹腔内(IP)投与した。図3に示す実験では、抗体4901(1mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、もしくは25mg/kg)またはビヒクル対照(0.01%のTween 20を含むPBS)を、電気パルス刺激の24時間前に静脈内投与した。抗体またはビヒクル対照の投与後に右後肢の伏在神経を外科的に露出させ、近位で切断し、乾燥を防ぐためにプラスチックラップで覆った。レーザーDopplerプローブを、伏在神経によって神経支配されている領域である後足の皮膚の背側正中面に配置した。血球流量として測定される皮膚の血流を、レーザーDoppler流量計を用いてモニタリングした。安定なベースライン流量(5%未満の変動)が少なくとも5分間、確立されたら、神経を複極式白金電極上に置き、60パルス(2Hz、10V、1ms、30秒間)で、次いで20分後に再度、電気刺激した。皮膚の血流の累積変化量を、電気パルス刺激に対する各流量応答について、流量-時間曲線下面積(AUC、これは、流量変化量に時間変化量を掛け算したものに等しい)によって推定した。2回の刺激に対する血流応答の平均をとった。動物は、1〜3時間の期間、麻酔下に維持した。
図2Aおよび図2Bに示されるように、伏在神経に対する電気パルスの負荷によって刺激される血流増加は、対照と比べると、CGRP8-37(400nmol/kg、i.v.投与)、抗体4901(25mg/kg、ip投与)または抗体7D11(25mg/kg、ip投与)の存在によって阻害された。CGRP8-37は伏在神経刺激の3〜5分前に投与し; 抗体は伏在神経刺激の72時間前に投与した。図3に示されるように、伏在神経に対する電気パルスの負荷によって刺激される血流増加は、伏在神経刺激前24時間目に静脈内投与されたいろいろな用量(1mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、および25mg/kg)の抗体4901の存在によって阻害された。
図4Aおよび4Bに示す実験では、伏在神経を、抗体投与前に外科的に露出させた。右後肢の伏在神経を外科的に露出させ、近位で切断し、乾燥を防ぐためにプラスチックラップで覆った。レーザーDopplerプローブを、伏在神経によって神経支配されている領域である後足の皮膚の背側正中面に配置した。血球流量として測定される皮膚の血流を、レーザーDoppler流量計を用いてモニタリングした。ブレチリウムトシレート注射から30〜45分後、安定なベースライン流量(5%未満の変動)が少なくとも5分間、確立されたら、神経を複極式白金電極上に置き、電気刺激し(2Hz、10V、1ms、30秒間)、再度、20分後にも行なった。この2回の刺激に対する血流流量応答の平均を使用し、電気刺激に対するベースライン応答(時間0)を確立した。次いで、抗体4901(1mg/kgもしくは10mg/kg)、抗体7E9(10mg/kg)、抗体 8B6(10mg/kg)またはビヒクル(0.01%のTween 20を含むPBS)を静脈内(i.v.)投与した。続いて、神経を、抗体またはビヒクル投与から30分後、60分後、90分後および120分後に刺激した(2Hz、10V、1ms、30秒間)。動物は、およそ3時間の期間、麻酔下に維持した。皮膚の血流の累積変化量を、電気パルス刺激に対する各流量応答について、流量-時間曲線下面積(AUC、これは、流量変化量に時間変化量を掛け算したものに等しい)によって推定した。
図4Aに示されるように、伏在神経に対する電気パルスの負荷によって刺激される血流増加は、電気パルス刺激を抗体投与から60分後、90分後および120分後に負荷した場合、i.v.投与された抗体4901 1mg/kgの存在によって有意に阻害され、伏在神経に対する電気パルスの負荷によって刺激される血流増加は、電気パルス刺激を抗体投与から30分後、60分後、90分後および120分後に負荷した場合、i.v.投与された抗体4901 10mg/kgの存在によって有意に阻害された。図4Bは、伏在神経に対する電気パルスの負荷によって刺激される血流増加が、電気パルス刺激を抗体投与から30分後、60分後、90分後および120分後に負荷した場合は抗体7E9(10mg/kg、i.v.投与)の存在によって、電気パルス刺激を抗体投与の30分後に負荷した場合は抗体 8B6(10mg/kg、i.v.投与)の存在によって有意に阻害されたことを示す。
このようなデータは、抗体4901、7E9、7D11および8B6が、ラット伏在神経の刺激によって誘導される皮膚の血管拡張によって測定されるCGRP活性のブロックに有効であることを示す。
実施例4.抗CGRP抗体G1およびその変異体の特性評価
抗CGRP抗体G1の重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を図5に示す。以下の方法を、抗体G1およびその変異体の発現および特性評価のために使用した。
使用した発現ベクター。前記抗体のFab断片の発現は、Barbas(2001)Phage display: a laboratory manual, Cold Spring Harbor, NY, Cold Spring Harbor Laboratory Press pg. 2.10. Vector pComb3X)に記載のものと同様のIPTG誘導性lacZプロモーターの制御下であったが、変更には、以下のさらなるドメイン: ヒトκ軽鎖の定常ドメインおよびIgG2ヒト免疫グロブリンのCH1定常ドメイン、Ig γ-2鎖 C領域、タンパク質アクセッション番号P01859; 免疫グロブリンκ軽鎖(ホモサピエンス)、タンパク質アクセッション番号CAA09181の付加および発現を含めた。
小規模Fab調製。Fabライブラリーを用いて形質転換した大腸菌から(エレクトロポレーションコンピテントTG1細胞またはケミカルコンピテントな上位10個の細胞のいずれかを使用)、単一のコロニーを使用し、マスタープレート(寒天LB+カルベニシリン(50μg/mL)+2% グルコース)および作業プレート(2mL/ウェル、96ウェル/プレート)(この場合、各ウェルには1.5mLのLB+カルベニシリン(50μg/mL)+2% グルコースを含めた)の両方に接種した。ガス透過性接着シール(ABgene, Surrey, UK)をプレートに適用した。どちらのプレートも30℃で12〜16時間インキュベートし; 作業プレートは激しく振盪させた。マスタープレートは必要時まで4℃で保存し、一方、作業プレートの細胞はペレット化し(4000 rpm、4℃、20分間)、1.0mL LB+カルベニシリン(50μg/mL)+0.5mMのIPTG中に再懸濁させ、30℃で5時間、激しく振盪させることによりFabの発現を誘導した。誘導された細胞を4000 rpm、4℃で20分間、遠心分離し、0.6mLのBiacore HB-SEPバッファー(10mMのHEPES pH 7.4、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.005%v/vのP20)中に再懸濁させた。HB-SEPに再懸濁させた細胞の溶解を、凍結(-80℃)、次いで37℃での解凍によって行なった。細胞ライセートを4000rpm、4℃で1時間、遠心分離して残屑をFab含有上清みから分離し、続いて、これをMillipore MultiScreen Assay System 96-Well Filtration Plateおよび真空マニフォールドを用いて濾過した(0.2μm)。Biacoreを使用し、濾過した上清みを、センサーチップ上のCGRPに注入することによって分析した。Fabを発現している親和性選択されたクローンをマスタープレートから取り出し、PCR、配列決定およびプラスミド調製のための鋳型DNAとして準備した。
大規模Fab調製。反応速度論パラメータを得るため、Fabを大規模で以下のようにして発現させた。150mL LB+カルベニシリン(50μg/mL)+2% グルコースを入れた三角フラスコ内に、1mLの親和性選択されたFab発現大腸菌クローンの「開始剤」一夜培養物を接種した。残りの開始剤培養物(約3mL)を用いて、配列決定およびさらなる操作のためのプラスミドDNAを調製した(QIAprep mini-prep、Qiagenキット)。この大規模培養物を激しく振盪させながら30℃で、1.0のOD600nmが得られるまで(典型的には、12〜16時間)インキュベートした。細胞を、4000 rpm、4℃で20分間、遠心分離することによってペレット化し、150mL LB+カルベニシリン(50μg/mL)+0.5mMのIPTG中に再懸濁させた。30℃で5時間の発現後、細胞を、4000 rpm、4℃で20分間、遠心分離することによってペレット化し、10mLのBiacore HBS-EPバッファー中に再懸濁させ、1回の凍結(-80℃)/解凍(37℃)サイクルを用いて溶解させた。細胞ライセートを、4000rpm、4℃で1時間、遠心分離することによってペレット化し、上清みを収集し、濾過した(0.2um)。濾過した上清みをNi-NTAスーパーフローセファロース(Qiagen, Valencia, CA)カラム(PBS, pH 8で平衡化し、次いで5カラム容量のPBS, pH 8で洗浄)にロードした。個々のFabは、PBS(pH 8)+300mMのイミダゾールにより異なる画分中に溶出された。Fab含有画分をプールし、PBS中で透析し、次いで、親和性特性評価の前にELISAによって定量した。
全長抗体の調製。全長抗体の発現のため、重鎖および軽鎖の可変領域を哺乳動物発現ベクター内にクローニングし、リポフェクタミンを用いてHEK 293細胞に一過性発現のためにトランスフェクトした。抗体を、プロテインAを使用して標準的な方法を用いて精製した。
ベクターpDb.CGRP.hFcGIは、G1抗体の重鎖を含む発現ベクターであり、該重鎖の一過性発現または安定発現に適している。ベクターpDb.CGRP.hFcGIは、以下の領域: マウスサイトメガロウイルスプロモーター領域(ヌクレオチド7〜612); 合成イントロン(ヌクレオチド613〜1679); DHFRコード領域(ヌクレオチド688〜1253); ヒト成長ホルモンシグナルペプチド(ヌクレオチド1899〜1976); G1の重鎖可変領域(ヌクレオチド1977〜2621); 以下の変異: A330P331からS330S331(野生型IgG2の配列を基準にアミノ酸の番号付け; Eur. J. Immunol.(1999)29:2613-2624参照)を含むヒト重鎖IgG2の定常領域に対応するヌクレオチド配列を有している。ベクターpDb.CGRP.hFcGIはATCCに2005年7月15日に寄託され、ATCCアクセッション番号PTA-6867が割り当てられた。
ベクターpEb.CGRP.hKGIは、G1抗体の軽鎖を含む発現ベクターであり、該軽鎖の一過性発現に適している。ベクターpEb.CGRP.hKGIは、以下の領域: マウスサイトメガロウイルスプロモーター領域(ヌクレオチド2〜613); ヒトEF-1イントロン(ヌクレオチド614〜1149); ヒト成長ホルモンシグナルペプチド(ヌクレオチド1160〜1237); 抗体G1軽鎖可変領域(ヌクレオチド1238〜1558); ヒトκ鎖定常領域(ヌクレオチド1559〜1882)に対応するヌクレオチド配列を有している。ベクターpEb.CGRP.hKGIはATCCに2005年7月15日に寄託され、ATCCアクセッション番号PTA-6866が割り当てられた。
親和性の測定のためのBiacoreアッセイ。G1モノクローナル抗体およびその変異体の親和性を、25℃または37℃のいずれかで、BIACORE3000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム(Biacore, INC, Piscataway NJ)を用いて調べた。親和性は、N末端ビオチン化CGRPまたは断片を、予め固定化されたストレプトアビジン(SAセンサーチップ)によって捕捉し、チップ上のCGRPまたは断片において滴定された抗体G1 Fab断片または変異体の結合反応速度論を測定することにより調べた。Biacoreアッセイはすべて、HBS-EPランニングバッファー(10mMのHEPES pH 7.4、150mMのNaCl、3mMのEDTA、0.005%v/vのポリソルベートP20)中で実施した。CGRP表面を、N-ビオチン化CGRPを0.001mg/mL未満の濃度までHBS-EPバッファー中で希釈し、これをSAセンサーチップに、さまざまな接触時間を用いて注入することにより調製した。捕捉レベル<50応答単位(RU)に対応する低能力表面を高分解能反応速度論試験に使用し、一方、高能力表面(約800 RUの捕捉CGRP)を濃度試験、スクリーニングおよび溶液状態の親和性の測定に使用した。抗体G1 Fabを1uMから0.1nMまでに及ぶ範囲の濃度(推定KDの0.1〜10倍を目標)に2倍または3倍漸増で段階希釈することにより、反応速度論データを得た。試料は典型的には100μL/分で1分間注入し、少なくとも10分間の解離時間をもうけた。各結合サイクル後、表面を、25% v/vのエタノール中25mMのNaOHを用いて再生させ、これは数百回を超えるサイクルに耐えられた。滴定系列全体(典型的には、二連で作製)を1:1 Langmuir結合モデルに、BIA評価プログラムを用いてグローバルフィッティングさせた。これにより、各結合相互作用について特有の会合および解離の反応速度論的速度定数(それぞれ、konおよびkoff)のペアが得られ、これらの比により平衡解離定数(KD=koff/kon)を得た。このようにして求めた親和性(KD値)を表6と7に示す。
極めて遅い解離速度での結合相互作用の高分解能解析。極めて遅い解離速度での相互作用(特に、25℃におけるチップ上のヒトα-CGRPに対する抗体G1 Fabの結合)の場合について、親和性を二部形式の実験で得た。上記のプロトコルを、以下の変更を伴って使用した。会合速度定数(kon)は、550nMから1nMまでに及ぶ範囲の2倍滴定系列(二連で)を100μL/分で30秒間注入し、もうけた解離期を30秒間だけにすることにより求めた。解離速度定数(koff)は、3つの濃度(高、中および低)の同じ滴定系列を二連で30秒間注入し、2時間の解離期をもうけることにより求めた。各相互作用の親和性(KD)を、表5に示すように、両方の型の実験で得られたkon値およびkoff値を合わせることにより得た。
Biacoreによる溶液状態の親和性の測定。ラットα-CGRPおよびF37A(19-37)ヒトα-CGRPに対する抗体G1の溶液状態の親和性を、37℃においてBiacoreによって測定した。高能力CGRPチップ表面を使用し(高親和性ヒトα-CGRPを検出目的のために選択した)、HBS-EPランニングバッファーを5μL/分で流した。5nMの定濃度(溶液ベースの相互作用の予測KD以下を目標)の抗体G1 Fab断片を、1nMから1μMまでに及ぶ範囲の終濃度の3倍段階希釈系列のラットα-CGRPまたはF37A(19-37)ヒトα-CGRPのいずれかの競合ペプチドと共にプレインキュベートした。溶液ベースの競合ペプチドなしまたはありの抗体G1 Fab溶液をチップ上のCGRPに注入し、チップ表面上で溶液状態での競合の結果、検出される結合応答の枯渇をモニタリングした。このような結合応答を検量曲線を用いて「遊離Fab濃度」に変換し、検量曲線は、抗体G1 Fab単独(5、2.5、1.25、0.625、0.325および0nM)をチップ上のCGRPにおいて滴定することにより作成した。「遊離Fab濃度」を、溶液ベースの競合ペプチドの使用濃度に対してプロットして各データ点を得、BIA評価ソフトウェアを用いて溶液状態の親和性のモデルにフィッティングさせた。このようにして(間接的に)測定された溶液状態の親和性を表5と7に示し、Fabを直接、SAチップ上のN-ビオチン化CGRPに注入した場合に得られる親和性を検証するために使用した。これらの2つの方法によって測定した親和性同士の近接した一致により、N-ビオチン化型のCGRPをチップに結合化させてもその天然の溶液状態の結合活性は改変されないことが確認される。
以下の表5は、Biacoreにより、Fab断片をSAチップ上のN-ビオチン化CGRPに流すことにより測定されたヒトα-CGRP、ヒトβ-CGRP、ラットα-CGRPおよびラットβ-CGRPに対する抗体G1の結合親和性を示す。極めて遅い解離速度での結合相互作用の親和性をよりよく解明するため、このアッセイの方向性(orientation)を補完するための二部形式の実験でも親和性を調べ、ラットα-CGRP相互作用の溶液状態の親和性も調べた(上記のとおり)。両方のアッセイの方向性で測定された親和性同士の近接した一致により、天然ラットα-CGRPの溶液状態の結合親和性は、N-ビオチン化してSAチップに結合化させた場合でも改変されないことが確認される。
(表5)チップ上のCGRPにおいて滴定された抗体G1 Fabの結合親和性
*α-CGRP(ラットおよびヒト)に対する親和性は、二部形式の高分解能実験において調べ、この場合、解離期を2時間モニタリングした(k
on、k
offおよびK
Dの値はn連の実験の平均を表し、標準偏差を分散パーセントとして表示している)。β-CGRP(ラットおよびヒト)に対する親和性は、極端な解離速度を定量するのに充分に精密でない20分間だけの解離期を用いたグローバル解析によって調べた(この解離速度は、おそらくここに記載のものよりも遅く、したがって、その親和性はおそらくさらにもっと高いであろう)。抗体G1 Fabは、すべてのCGRP(α-ラットCGRPを除く)から、Biacoreアッセイの解像限界に近い解離速度で極めて遅く解離した(特に25℃で)。
**溶液ベースのラットα-CGRP競合因子と共にプレインキュベートした抗体G1 Fabについて、チップ上のCGRPにおいて検出される結合応答の枯渇を測定することにより測定された溶液状態の親和性。
以下の表6は、抗体G1と比べてアミノ酸配列の違いを有する抗体ならびにラットα-CGRPおよびヒトα-CGRPの両方に対するそれらの親和性を示す。表6に示す変異体のアミノ酸置換はすべて、G1の配列と比べたものである。Fab断片の結合親和性はBiacoreにより、該断片をSAチップ上のCGRPに流すことによって調べた。
(表6)Biacoreにより37℃において測定された抗体G1変異体のアミノ酸配列および結合親和性のデータ。
Kabat方式およびChothia方式の両方のCDRを含むすべてのCDR。アミノ酸残基には連続的番号を付している(図5参照)。クローンはすべて、G1と同一のL3+H1+H3配列を有する。K
D=k
off/k
on。k
off値は、
下線を付したもの(これは、Fab濃度系列のグローバル解析によって得た)以外はすべて、スクリーニングモードで求めた(G1は高分解能モードで解析した)。したがって、
下線を付したK
D値は、k
onを測定することにより実験によって求めた。他のk
on値はM25と同じであると推定した。
n.d.=測定せず
抗体G1によって認識されるヒトα-CGRP上のエピトープを調べるため、上記のBiacoreアッセイを使用した。ヒトα-CGRPを、SAセンサーチップによる高親和性捕捉を可能にするためにN-ビオチン化型として購入した。チップ上のヒトα-CGRPに対するG1 Fab断片の結合を、CGRPペプチドの非存在下または存在下で調べた。典型的には、2000:1(mol基準)のペプチド/Fab溶液(例えば、10μMのペプチドを含む50nMのG1 Fab)をチップ上のヒトα-CGRPに注入した。図6は、競合ペプチドによってブロックされた結合の割合(%)を示す。図6に示すデータは、ヒトα-CGRPに対するG1 Fabの結合を100%ブロックするペプチドがヒトα-CGRPの1-37(WT)、8-37、26-37、P29A(19-37)、K35A(19-37)、K35E(19-37)およびK35M(19-37); β-CGRPの1-37(WT); ラットα-CGRPの1-37(WT); ならびにラットβ-CGRPの1-37(WT)であることを示す。これらのペプチドはすべて、C末端がアミド化されている。また、ヒトα-CGRPのペプチドF37A(19-37)と19-37(後者はC末端がアミド化されていない)もヒトα-CGRPに対するG1 Fabの結合の約80%〜90%をブロックした。ヒトα-CGRPのペプチド1〜36(C末端がアミド化されていない)は、ヒトα-CGRPに対するG1 Fabの結合の約40%をブロックした。ヒトα-CGRPのペプチド断片19-36(C末端がアミド化されている); ヒトα-CGRPのペプチド断片1-13および1-19(いずれもC末端はアミド化されていない); ならびにヒトアミリン、カルシトニンおよびアドレノメデュリン(すべて、C末端はアミド化されている)は、チップ上のヒトα-CGRPに対するG1 Fabの結合と競合しなかった。このようなデータは、G1がCGRPのC末端エピトープを標的化すること、および最末端の残基(F37)の実体とそのアミド化の両方が結合に重要であることを示す。
また、ヒトα-CGRPの変異体に対するG1 Fabの結合親和性(37℃における)も調べた。以下の表7は、チップ上のN-ビオチン化ヒトα-CGRPおよび変異体についてG1 Fabを直接滴定することにより測定された親和性を示す。表7のデータは、抗体G1は、最も重要な残基であるF37およびG33を有するC末端エピトープに結合することを示す。G1は、C末端(これはアミド化されている)に追加のアミノ酸残基(アラニン)を付加した場合、CGRPに結合しない。
(表7)37℃で測定されたヒトα-CGRPおよび変異体に対するG1 Fabの結合親和性(これらのアミノ酸配列については表4を参照)
上記のデータは、抗体G1が結合するエピトープがヒトα-CGRPのC末端に存在しており、ヒトα-CGRPの33番目および37番目のアミノ酸が抗体G1の結合に重要であることを示す。また、残基F37のアミド化も結合に重要である。
実施例5: ラット伏在神経の刺激によって誘導される皮膚の血管拡張に対する抗CGRPアンタゴニスト抗体G1の効果
抗CGRP抗体G1のアンタゴニスト活性を試験するため、ラット伏在神経の刺激による皮膚の血管拡張に対する該抗体の効果を、実施例3に記載のラットモデルを用いて試験した。簡便には、ラットを2%のイソフルランで麻酔して維持した。伏在神経の交感神経線維の併存刺激による血管収縮を最小限にするため、実験開始時にブレチリウムトシレート(30mg/kg、i.v.投与)を投与した。温度制御型ヒーターブランケットにサーモスタット式に接続した経直腸プローブの使用によって体温を37℃に維持した。右後肢の伏在神経を外科的に露出させ、近位で切断し、乾燥を防ぐためにプラスチックラップで覆った。レーザーDopplerプローブを、伏在神経によって神経支配されている領域である後足の皮膚の背側正中面に配置した。血球流量として測定される皮膚の血流を、レーザーDoppler流量計を用いてモニタリングした。ブレチリウムトシレート注射から30〜45分後、注射の2時間以内の抗体の効果を調べる実験において、安定なベースライン流量(5%未満の変動)が少なくとも5分間、確立されたら、神経を複極式白金電極上に置き、電気刺激し(2Hz、10V、1ms、30秒間)、再度、20分後にも行なった。この2回の刺激に対する血流流量応答の平均を使用し、電気刺激に対するベースライン応答(時間0)を確立した。次いで、抗体G1(1mg/kgもしくは10mg/kg)またはビヒクル(10mg/kg G1と等体積の0.01%Tween 20含有PBS)を静脈内(i.v.)投与した。続いて、神経を、抗体投与から30分後、60分後、90分後および120分後に刺激した(2Hz、10V、1ms、30秒間)。動物は、およそ3時間の期間、麻酔下に維持した。皮膚の血流の累積変化量を、電気パルス刺激に対する各流量応答について、流量-時間曲線下面積(AUC、これは、流量変化量に時間変化量を掛け算したものに等しい)によって推定した。
図7に示されるように、伏在神経を抗体投与から90分後に電気刺激した場合、伏在神経に対する電気パルスの負荷によって刺激される血流増加は、ビヒクルと比べると、1mg/kg(i.v.投与)の抗体G1の存在によって有意に阻害された。伏在神経を抗体投与から90分後と120分後に電気刺激した場合、伏在神経に対する電気パルスの負荷によって刺激される血流増加は、ビヒクルと比べると、10mg/kg(i.v.投与)の抗体G1の存在によって有意に阻害された。
伏在神経でのアッセイでより長期間での時間点における前記抗体の効果を調べるための実験において、ラットに、表示した用量の抗体を、上記のような伏在神経刺激のための動物の調製の24時間前または7日前にi.v. 注射した。この実験では、電気パルス刺激に対する個々のラットのベースライン応答を投与前に確立することが不可能であり、そのため、処置群を24時間目または7日目に、ビヒクル(PBS、0.01%のTween 20)を投与した動物と比較した。
図8Aおよび8Bに示されるように、伏在神経刺激によって誘発される背側正中面の後足の皮膚での血流増加は、刺激の24時間前または7日前のいずれかに10mg/kgまたは3mg/kg G1のいずれかを投与された動物群において、同じ時間点に投与を受けたビヒクル群と比べて有意に阻害された。
図8Cは、最大効果の50%に必要とされる用量(EC50)を調べるために図8Aおよび8Bに示す用量応答データに適用したカーブフィッティング解析を表す。24時間目のEC50は1.3mg/kgであり、7日目のEC50はわずかに低い(0.8mg/kg)。
実施例6: 硬膜動脈(閉鎖頭窓)アッセイにおける抗CGRPアンタゴニスト抗体mu7E9の急性効果
閉鎖頭窓モデル: この実験の目的は、抗CGRPアンタゴニスト抗体の急性効果を調べ、これを、CGRP受容体拮抗薬BIBN4096BSの急性効果と比較することであった。実験は、以下の変更を伴って、既報のとおりに行なった(Williamson et al., Cephalalgia 17(4):518-24(1997))。Sprague Dawleyラット(300〜400g)を70mg/kgのi.p.ペントバルビタールで麻酔した。麻酔を20mg/kg/時のi.v.ペントバルビタールで維持した。ラットに頸静脈からカニューレを挿入し、薬物はすべてここから送達した。血圧を、大腿動脈から腹大動脈内に通したプローブ(微細先端(mikro-tip)カテーテル, Millar Instruments)でモニタリングした。ラットを気管切開し、呼吸速度を、3.5mLの体積で1分あたり75回の呼吸に維持した。頭部を定位固定装置に固定し、頭皮を除去した後、矢状縫合すぐ横の左頭頂部内に2×6mmの窓を、骨を歯科用ドリルで薄くすることによって作製した。マイクロマニピュレータを使用し、複極式白金電極を表面上まで下げ、重鉱物油で覆った。電極窓の横に5×6mmの別の窓を作出して重鉱物油を充填し、ここから、中硬膜動脈(MMA)の枝の直径を、CCDカメラおよびビデオ型寸法解析装置(Living Systems)を用いて連続的にモニタリングした。ラットは、調製後45分以上、安静にした。電気刺激に対するベースライン応答を確立し(15 V、10hz、0.5msパルス、30秒間)、次いで、ラットに実験化合物(10mg/kgのmu7E9、300μg/kgのBIBN4096BSまたはPBS 0.01%、Tween 20)をi.v.投与した。投与から5分後(BIBN4096BS)、30分後、60分後、90分後および120分後にさらなる電気刺激を行なった。データはすべて、チャートソフトウェア(ADInstruments)を用いて記録した。
図9に示されるように、10mg/kgのmu7E9は、電場刺激によって誘発されるMMA拡張を、投与後60分以内に有意にブロックし、アッセイの持続期間中(120分間)、その効果を維持している。比較のため、BIBN4096BSはMMA拡張を、投与の5分以内にブロックするが、その効果は90分までに完全に消失している。ブロックの大きさはBIBN4096BSとmu7E9間で同等である。
実施例7: 硬膜動脈(閉鎖頭窓)アッセイにおける抗CGRPアンタゴニスト抗体G1の長期効果
この実験の目的は、抗CGRP抗体が投与の7日後もなお電気刺激によるMMA拡張をブロックし得るかどうかを調べることであった。ラットの調製は、以下のこと以外は上記の急性実験(実施例6)と同一にした。ラットには、閉鎖頭窓の調製および刺激を行なう7日前にi.v.注射した(10mg/kg、3mg/kg、または1mg/kg G1)。急性実験の場合と同様、電気刺激に対するベースライン拡張応答を投与前に確立することが不可能であり、そのため、抗体群を、ビヒクル(PBS、0.01%のTween 20)投与対照群のMMAの拡張と比較した。ラットを45分以上、安静にした後、硬膜に30分間隔で電気刺激した。刺激は2.5V、5V、10V、15Vおよび20Vで、すべて10Hz、0.5msパルスで30秒間であった。
図10に示されるように、10mg/kgおよび3mg/kgのG1は、10〜20ボルトの範囲の電気刺激によって誘発されるMMA拡張を有意にブロックした。このデータは、G1が投与後7日まで、電気刺激によるMMA拡張をブロックできることを示す。
実施例8: モルヒネ離脱ホットフラッシュ モデル
モルヒネ離脱ラットモデルは、更年期のホットフラッシュのメカニズムのための確立された齧歯類モデルである(Sipe et al., Brain Res. 1028(2):191-202(2004); Merchenthaler et al., Maturitas 30:307-316(1998); Katovich et al., Brain Res. 494:85-94(1989); Simpkins et al., Life Sciences 32:1957-1966(1983))。基本的に、ラットを、モルヒネペレットを皮下に埋め込むことによってモルヒネ中毒状態にする。中毒状態になったら、動物に、即座に離脱させるナロキソン(オピオイド拮抗薬)を注射する。この離脱は、皮膚温度の上昇、深部体温の低下、心拍数の上昇および血清中黄体形成ホルモンの増加を伴う。これらはすべて、大きさおよびタイミングが人間のホットフラッシュでみられるものと同様である(Simpkins et al., Life Sciences 32:1957-1966(1983))。さらに、ラットを、離脱の誘導前にエストラジオールで処置した場合、ホットフラッシュの症状が低減される(Merchenthaler et al., Maturitas 30:307-316(1998))。これが、なぜモルヒネ離脱モデルが臨床的ホットフラッシュを模倣すると考えられているかの理由である。
卵巣切除ラットをCharles River Laboratoriesから注文した。卵巣切除後7日目以降に、モルヒネペレット(75mgのモルヒネ基剤)を皮下に埋め込むことによってモルヒネ依存を作出した。2日後、さらに2つのペレットを埋め込んだ。翌日、ラットに10mg/kg 4901[**]またはビヒクル(PBS、0.01% tween)のいずれかを静脈内注射した。2回目のペレット埋め込みの2日後、ラットをケタミン(90mg/kg)で麻酔し、軽く拘束した。表面温度用熱電対を尾の付け根にテープで貼った。直腸用熱電対は、核心温度を測定するために使用する。データを、Chartソフトウェア(ADInstruments)を用いて記録した。安定なベースライン温度が15分間記録されたら、ナロキソン(1mg/kg)を皮下注射した。次の60分間、温度を連続的に記録した。結果を図11Aおよび11Bに示す。
実施例9: 非臨床的毒物検査および薬物動態
抗CGRPアンタゴニスト抗体G1は、Sprague-Dawley(SD)ラットおよびカニクイザルでの1ヶ月間のIV反復投与毒性試験において耐容性が良好であり、これらのいずれの試験でも、標的器官毒性は測定されなかった。ラットおよびサルの両方の試験で100mg/kg/週の無毒性量(no adverse event level)(NOAEL)が確立された。この用量レベルは、それぞれラットおよびサルにおいて、2,570および3,440μg/mLの最大濃度(Cmax)での全身曝露ならびに194,000μg・時/mLおよび299,000 μg・時/mL(22日目)の曲線下面積(AUC(0-168h))に相当した。
3ヶ月間のラットでのIV/SC試験において、標的器官毒性は確認されず、G1は、最高試験用量300mg/kgまで耐容性が良好であった。3ヶ月間のサルでの試験では、免疫複合体の蓄積の結果として毛様体動脈の血管周囲の炎症が≧100mg/kgにおいて観察された。この所見は、ヒト化抗体に対するサルの免疫原性応答によるものであり、臨床的に関連があるとはみなされなかった。このサルでの試験の300mg/kgという最高試験用量は、予想最高臨床用量2,000mgまたはmg/kgベースで29mg/kg(対象の平均体重を70kgと仮定)よりも少なくとも10倍高い。
実施例10: 臨床薬物動態
単回IV曝露後の抗体G1のPKを、10〜2,000mgの用量を調べた4つの無作為化プラセボ対照二重盲検試験において調べた。1時間のIV点滴終了後すぐに最大血漿濃度(Cmax)に達した。Cmaxまでの時間の中央値(Tmax)は1.0〜3.0時間の範囲であり、その後、多相的に低下した。Cmaxおよび総曝露量は、G1の用量漸増に伴ってほぼ線形に増大した。最終半減期(t1/2)は36.4〜48.3日間の範囲であった。肝臓内でのG1代謝の根拠はみられず、主な代謝様式はプロテオソーム分解によるものである。
試験の1つでは、2週間離して2回投与する30mgおよび300mgの用量の薬物動態を規定した。最大濃度および濃度-時間プロフィール下面積は、用量増大に伴って増大した。2回目の投与後の見かけ上の最終半減期(t1/2)は41.2日間(30mg)および50.0日間(300mg)(算術平均)であった。15日間離して投与した2回のIV投与後のG1の血漿蓄積比は1.5(30mg)および1.4(300mg)であった。
実施例11: 臨床安全性および薬物動態
6つの試験において、抗体G1を118名の健常な男性および女性に投与し、一方、男性および女性の57名の対象にプラセボを投与した。この試験には、0.2mgから2,000mgまでの範囲の単回IV投与、14日毎に1回投与する300mgまでの2回IV投与、ならびに225および900mgのSC投与を含めた。この6つの試験には: 健常な男性での2つのIV単回用量漸増PKおよび薬力学(PD)試験(試験 B0141001およびB0141002); 健常志願者におけるカプサイシンフレア応答に対する抗体G1のIV投与の急性効果を調べるための2コホートプラセボ対照クロスオーバー試験(B0141006); 健常な男性および女性の志願者における抗体G1の反復投与並行群間比較試験(B0141007); 健常な女性志願者にIV投与された2,000mgまでの用量の安全性と忍容性を評価する単回投与試験(B0141008)、ならびに相対的安全性およびバイオアベイラビリティをIV投与とSC投与間で比較する試験(G1-SC-IV)を含めた。
この6つの試験を以下に表8に要約する。5つのIV試験(B0141001、B0141002、B0141006、B0141007およびB0141008)のうち3つは、事実上同一のデザインおよび評価を有するものであった。試験B014100では、1時間の単回IV点滴として投与される0.2mg、1mgおよび3mgの用量を試験した。この試験は並行デザインを有するものであった。点滴後、参加者をクリニックに7日間、拘束し、これらの各日に複数の評価を行なった。退院後、患者を、退院から1週間後(14日目)、次いで点滴後1ヶ月目、2ヶ月目および3ヶ月目に再評価した。試験B0141002では、単独投与として10mg〜1000mgの範囲の用量を試験した。最後に、試験B0141008では、300mg、1000mg、1500mg、または2000mgの用量を試験した。試験B0141006は、これも抗体G1のIV点滴後1週間までカプサイシンフレア阻害を測定することによって薬力学的読み出し情報をまとめるすることを目的としたため、その他のものとは相違した。
IV試験では、最初の投与期間のみについて有害事象(AE)プロフィールを報告した。試験B0141007では、2週間離して投与される30mg IVまたは300mg IVいずれかの抗体G1の反復投与を、並行デザインを用いて試験した。各適格対象を、処置割り付けを含むWebベースのインタラクティブシステムによって無作為化シーケンスに割り付けた。無作為化スキームは、主担当の統計学専門家が開発したものであった。すべての試験の参加者は概して健常な男性および女性であり(18歳〜65歳); 参加者はすべて、インフォームドコンセントの書面に署名した。試験はすべて、治験審査委員会(IRB)によって承認されたものであった。AEは、試験薬物との因果関係の有無に関わらず、臨床試験参加者における任意の不都合な医学的発生と定義し、試験薬物またはプラセボの投与後に観察されたAEは、試験薬物が原因である可能性に関係なく“治療下発現”AE(TEAE)と称した。TEAEが起こった対象はすべて、適切な時間間隔で該事象が解消されるまで、または該事象が安定する、および/または新たなベースラインに達するまで追跡した。TEAEはすべて、軽度、中等度または重度であるとランク付けした。重篤なAE(SAE)は、任意の用量において、死に至った、生命を脅かした(すなわち、対象は該事象時に即座の死亡リスクがあった)、入院患者となること、もしくは既に入院状態の延長を必要とした、持続性もしくは有意な支障/不能状態(例えば、対象が通常の生活機能を遂行する能力の相当な破壊)をもたらした、先天異常/出生時欠損をもたらした任意の不都合な医学的発生、または任意の他の医学的に重要な事象と先験的に定義した。以下の状況のうちの1つ: 1)AEの開始と治験薬の投与との間に妥当な時間的関係が確認され得る; 2)AEは、患者の臨床状態、併発性疾患もしくは併用療法によって容易に説明され得ない; および3)治験薬の中止もしくは用量低減によるAEの軽減が存在した場合、処置関連AE(TRAE)とみなした。
血圧、脈拍数および口腔内温度を、スクリーニング時、投与前、点滴終了直後および患者のクリニック拘束中に複数回ならびにすべてのクリニック来院時に測定した。検査室検査には血清化学検査、血液検査および尿検査を含めた。血液検査、化学検査、凝固および尿安全性の検査室検査を複数の試験時に行なった。ECGを、スクリーニング時、投与前1日目、点滴終了直後および初日にさらに5回ならびにすべてのクリニック来院中に記録した。QTcF値は、Fridericiaの(QTcF)心拍数補正式を用いて誘導した。ECGパラメータであるQT間隔、心拍数、QTcF間隔、PR間隔およびQRS間隔について、絶対値およびベースラインからの変化を、コホート、処置および投与後期間によって評価した。上記の安全性評価に加えて、プロトコルB014008には、ベースライン時ならびに投与後3つの時間点(28日目、84日目および168日目)における完全眼科評価を含めた。
臨床データおよびバイタルサインを、記述的な表および概要統計を用いて要約した。検査データおよび他の安全性データは、任意の変化(参照範囲外の値)ならびに任意の臨床的関連変化(これは先験的に規定した)の関数として要約した。要約の表は用量別に層別化し、データは試験中を通してプールした。また、すべての抗体G1曝露について統合されたデータの比較はプラセボと対比させた。また、プラセボは、100mg以上(100mg、300mg、1000mg、1500mgおよび2000mg)の抗体G1用量ならびに1000mg以上(1000mg、1500mgおよび2000mg)の抗体G1用量とも対比させた。
IV/SC試験(G1-SC-IV)では、36例の対象を、皮下(SC)ボーラス注射または1時間のIV点滴のいずれかで送達される抗体G1(225もしくは900mg)またはプラセボの単独投与の投与に無作為化した。対象を、投与後7日間、臨床研究施設に拘束し、試験90日目まで、さらなる通院患者の来院のために定期的にクリニックに戻した。ECGを、対象拘束中の1日目(投与前、1、6、12時間目)、3日目および7日目ならびに試験終了時(90日目)に1回、広範に行なった。体温、血圧および心拍数を含むバイタルサインを投与前、1、3、7および90日目に収集した。
5つのIV試験で評価したこの広い投薬量範囲(0.2〜2,000mg)において、IVによる抗体G1の耐容性は許容範囲内であった。表9に、IV試験での全体的な有害事象(AE)割合を用量別に要約する。このような忍容性結果に基づくと、明白な安全性の懸念は現れていなかった。IV試験での全治験において、プラセボを受けた参加者は、平均1.3件の治療下発現有害事象(TEAE)を報告した。このようなものはすべて、試験薬物との関係に対する治験担当医の見解に関係なく報告された事象である。全IV G1用量において、割合は1.4件TEAE/対象であった。100mg以上のG1用量を受けた対象は平均1.5件のTEAEを有し; 1,000mg以上の用量を受けた対象は平均1.6件のTEAEを有した。
(表9)
AE=有害事象; n=処置関連または処置関連でない、なんらかの事象;(N)=治験担当医によって処置関連とみなされたもの。注: プロトコルB0141006(プラセボおよび300mg)では、クロスオーバーの性質のため、最初の実薬処置期間のデータのみを含めた。
IV試験では、処置関連有害事象(TRAE、すなわち、治験責任医師によると治療と関連している可能性があるAE)は、IV G1を受けた対象の21.2%で報告されたのに対して、プラセボを受けた対象では17.7%であった。100mg以上のG1用量では、TRAEは参加者の22.4%において発生した。1,000mg以上の用量では、TRAEは参加者の21.7%において発生した。抗体G1は、バイタルサイン(収縮期および拡張期の血圧[BP]、体温ならびに心拍数[HR])、心電図(ECG)の異常(例えば、QTcBおよびQTcF)、点滴部位の反応または臨床検査の所見における任意の臨床的に関連のある変化パターンと関連していないようである。肝機能検査(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ[AST]、アラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT]、総ビリルビンおよびアルカリホスファターゼ)に対する効果は限定的であり、プラセボを受けた1例の対象において総ビリルビンのグレード1の上昇(試験B0141001)、およびプラセボを受けた1例の対象においてALTのグレード1の上昇(試験B0141002)がみられた。試験したいずれかのG1用量を受けた対象において臨床的に有意な肝機能異常はみられなかった。腎機能、電解質を評価する血液検査または尿検査において、G1とプラセボ間の差の根拠はなかった。
IV/SC試験(G1-SC-IV)では、安全性および忍容性は、SC送達経路とIV送達経路間で同等であった。平均心拍数ならびに血圧(拡張期および収縮期)は抗体G1処置の影響を受けず、SCによる抗体G1での処置後、いずれの心血管パラメータにもなんら意味のある変化はなかった。SC試験中に観察されたTRAEの要約を以下に表10に示す。
単回投与試験(B0141001、B0141002、B0141006およびB0141008)において、30mg〜2,000mgの範囲の用量について薬物動態学的(PK)パラメータを計算した。群平均最終半減期(t1/2)はおよそ40〜48日間の範囲であった。Cmaxおよび総曝露量(AUCinfによって評価)は、用量の増大に伴って増大した。AUCinfの増大は、30〜1,000mgの間ではほぼ用量比例的のようであり、1,000〜2,000mgの間では用量比例的より大きいようであった。分布容積は小さく、6〜10 Lであった。
2回投与試験(B0141007)では、2回目の投与後の見かけ上の最終半減期は41〜50日間であった。血漿中濃度は2回目の投与後に蓄積され、蓄積比はおよそ1.5であった。さらに、IV/SC試験(G1-SC-IV)では、薬物動態評価により、G1は、SC送達した場合、IVと同様の最終半減期を有することが示された。
実施例12: 非臨床安全性
抗体G1の安全性を評価する2つの試験をカニクイザルにおいて実施した。第1の試験では、抗体G1の単回投与の安全性を評価した。第2の試験では、抗体G1の反復投与の安全性を評価した。各試験およびその結果を、以下に詳細にさらに記載する。単回投与試験および反復投与試験ではどちらも、抗体G1は、20mMのヒスチジン、84mg/mLのトレハロース二水和物、0.2mg/mLのポリソルベート80、0.05mg/mLのEDTA二ナトリウム二水和物および0.1mg/mLのL-メチオニン中の51.4mg/mLの液剤(pH 約5.5)として製剤化した。ビヒクルは、抗体G1なしで同一に製剤化した。さらに、どちらの試験においても、妥当性確認済のELISA法を用いた抗体G1の血漿濃度の解析のために血液試料を定期的に採取した。
データを、まず、GraphPad Prism(バージョン6.0)およびExcel 2010(Microsoft)を用いて要約の表および図に集約した。単回曝露試験では、テレメトリーデータをANOVAを用いて解析した。解析はSAS Release 8.2を用いて行なった。R-R間隔の範囲に対してQT間隔を標準化するため、各動物について、各RR間隔を、その付随するQT間隔と関連付けることによりIndividual Animal Correction Factors(IACF)を作成した。このQT/RR間隔の関係の線形回帰をデータセットについて調べた。この線形回帰の傾きを、全処置における関連動物のIACFとして使用した。このIACFを使用し、以下の式:
QT-I(c)=心拍数に関して補正したQT間隔=QT-I-[(RR - 300)*(IACF)]
を用いて補正QT間隔(QTc)を計算した。
また、反復投与試験では、データを解析するために一元配置ANOVAを使用した。ANOVAが有意である場合(P≦0.05)、群間(in-between group)比較にはダネットの事後検定を使用した。各性別で、処置群を5%の両側確率水準で対照(ビヒクル)群と比較した。
単回投与テレメトリー試験
8匹の成体雄カニクイザル(Charles River Primates)にテレメーターを外科的に装着し、少なくとも2週間、回復させた。埋め込み機(DSI TL11M2-D70-PCT)および受信機(RMC-1)はData Sciences International製のものであった。
動物を、投与前に少なくとも一晩、テレメトリーデータ収集ケージに馴化させた。馴化中、血行動態パラメータの試験前記録を行ない、トランスデューサおよび機器が正しく機能していることを確認した。テレメタリングのデータ収集中、動物は個々に、テレメトリー受信機を備えたケージ内に収容した。非収集日は、動物を、テレメトリー受信機のないケージ内に収容した。動物を12時間の明、12時間の暗の1日サイクルに維持し、水は随意に摂取させ、認定された霊長類用飼料を与えた。
この試験の第1相では、動物(8匹の雄)にビヒクルのみを投与し、テレメトリーデータを、投与の約1時間前から開始し、投与後22時間目まで収集した。ビヒクル投与後6日目、同じ動物に、抗体G1(100mg/kg、カニクイザルにおける薬理学的EC50より約10倍高い用量)の単回IV投与を行なった。テレメタリングされた心電図データおよび血行動態データを、すべての動物から再度、連続的に記録した。また、これらの動物を、抗体G1の単回用量投与後に3、7、10および14日目に約24時間モニタリングした。テレメタリングされたECGおよび血圧のシグナルは、埋め込まれたラジオテレメトリーデバイスを介して、各ケージに設置された受信機に送信された。収集されたシグナルは、データ交換マトリックス(DSIモデルDEM)を通ってPCベースのデータ収集システム(DSIソフトウェアPonemah P3バージョン3.4)に送られた; データ解析ソフトウェアはEmka Technologiesバージョン2.4.0.20(Emka Technologies)であった。アナログ/デジタルサンプリングレートはテレメタリングされたECGデータでは1,000Hz、および血圧データでは500Hzであった。データは、1分間の平均として記録した。
群平均収縮期血圧(SBP)は、投与後の最初の日およびその後の日の全体を通して、抗体G1での処置の前と後で同様であった(動物は、1日目と同一の間隔で3、7、10および14日目にテレメタリングした)。投与後1〜4時間目、抗体G1の血中濃度が最大レベルになったとき(4時間目の平均濃度は3,500μg/mL)、平均SBPは111mmHgであったのに対して、ビヒクル投与後の同じ期間では113mmHgであった。さらに、SBPは、抗体G1の投与後3日目と7日目では110mmHg、10日目では109mmHg、および14日目では110mmHgであった。同様のSBPデータが他の期間でも記録された。これはクロスオーバー設計の試験であるため、処置動物を、その対照として使用した。データを、ビヒクル処置と比較したときの抗体G1投与後の血圧の差として解析した場合、後半の期間の7、10および14日目においてSBPの統計学的に有意な軽微な低下がみられる。
抗体G1での処置後、拡張期血圧(DBP)は、ビヒクル投与後に得られる平均値よりも約3mmHg前後低いことがみとめられた。5〜22時間目から、ビヒクル群と抗体G1群の群平均は同様になった。同じ傾向が他の日でもみられ、このとき、DBPのわずかな低下(2.62〜3.5mmHgの範囲)が第1測定期間において起こり、同様の程度の数例の変化が7〜10日目の7〜22時間の期間中に散見された。DBPでみられたものと同様、ビヒクル処置と比べて心拍数の軽微な減少が第1評価中(1〜4時間目)にみられた。差は、中間評価中では検出不可能であり、すべての日で18〜22時間の間にもう1回調べた。
さらに、ECG所見に関して、いずれの時間点においてもビヒクル処置と比べてQTc間隔に統計学的に有意な変化はなかった。14日間の期間中においてビヒクルと比較した場合、RR、PR、RSおよびQTに統計学的に有意な変化がみられたが、これらはすべて、絶対値において軽微であった。
反復投与安全性試験
反復投与安全性試験には、性別を一致させた(1群あたり各性別6匹)抗体G1未処置の48匹の成体カニクイザル(Charles River Primates)を含めた。動物に、ビヒクルまたは抗体G1を静脈内注射として週に1回、14週間、10mg/kg、100mg/kg、または300mg/kgの用量で投与した。各群において、各性別の2匹の動物を、投与終了後、さらに4ヶ月間、回復させた。
ECGおよび血圧の測定値を、試験前段階において1回、定常状態に達した後に2回(85日目の投与前および投与後4時間目)、ならびに投与終了から約1週間後に1回(回復段階の103日目)、記録した。動物をケタミンで麻酔し、ECGは、8本のリードを用いて記録した。ECGの測定(例えば、心拍数)は、収集されたデータを使用し、DSIによるLife Science Suite Ponemah Physiology Platformソフトウェアシステムを用いて、リードI、II、aVF、CG4RLおよびCV4LLを標準として用いて行なった。QT間隔に対する心拍数の補正(QTc)を、Bazett式を用いて計算した。
血圧は、初回投与前、12週間の投与後(13回目の投与後)、および投与終了から約1週間後に記録した。いずれの処置群の動物においてもビヒクル処置動物と比べて、SBPまたはDBPに有意な変化は認められなかった。群平均心拍数は用量群間および測定時間点間で比較的一貫しており、統計学的な差は測定されなかった。抗体G1の血漿中濃度を、投与の最初の週ならびに血圧およびECGの評価時に測定したところ、毎週の反復投与による蓄積が示された。
さらに、ECGの所見に関して、すべての用量および時間点においてQTc間隔に有意差はなかった。さらに、試験過程において、評価されたいずれのECGパラメータにも有意な、または関連のあるECGの変化はみられなかった。
要約すると、抗体G1は両方の試験で非常に耐容性が良好であり、いずれの血行動態パラメータにおいても臨床的に有意な変化は認められず、いずれのECGパラメータにおいてもなんら関連のある変化は認められなかった。カニクイザルでは、心血管パラメータおよび血行動態パラメータは、抗体G1によるCGRPの長期阻害によって影響を受けないようである。
実施例13: フェーズ2試験
外傷後頭痛の治療のための抗体G1(TEV-48125)対プラセボの皮下投与の4つの投与レジメンの有効性および安全性を比較するフェーズ2多施設無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験。
一次エンドポイント:
一次エンドポイントは、試験薬物の最後(3回目)の投与後、28日間の期間中の任意の重症度の頭痛時間数のベースライン(28日間の導入期間)からの平均変化である。
二次エンドポイント:
- 試験薬物での3ヶ月間の処置中に、任意の重症度の月間頭痛日の減少が少なくとも50%に到達した患者の割合。
- 試験薬物の初回投与後の28日間の期間中における、任意の重症度の頭痛時間数のベースライン(28日間の導入期間)からの平均変化。
- 試験薬物の最後(3回目)の投与後、28日間の期間の任意の急性頭痛薬の使用のベースライン(28日間の導入期間)からの平均変化。
- 試験薬物の最後(3回目)の投与後28日目に6項目の頭痛インパクトテスト(HIT-6)によって測定される不能状態スコアのベースライン(0日目)からの平均変化。
サンプルサイズ
150名の患者(30名/群)。
試験群
- 第1群. プラセボ
- 第2群. TEV-48125 SC 225mg 毎月
- 第3群. TEV-48125 SC 675mg 毎月
- 第4群. TEV-48125 IV 675mg 1回用量
- 第5群. TEV-48125 IV 1000mg 1回用量
組み入れ基準
ICHD-3による慢性外傷後頭痛歴を有する参加者。
除外基準:
- なんらかの治験用薬物またはデバイスを伴う臨床試験に現在登録中であるか、または該臨床試験から直近30日以内に中止。
- 任意のカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体、CGRP受容体に対する任意の抗体もしくは神経成長因子(NGF)に対する抗体を現在使用中、または該抗体に対するなんらかの事前曝露。
- 予防的投薬物の4回を超える充分な治験に不合格。
- 複数の薬物、モノクローナル抗体または他の治療用タンパク質に対する既知の過敏性。
- 試験への参加を不可能にするかもしれない医学的問題を示す他の医学的疾病の既往歴または存在。
- 治験担当医の見解において、有意な活動性または不安定な精神疾患の根拠。
- 妊娠中または授乳中の女性。
実施例14: フェーズ2試験
持続性外傷後頭痛(PPTH)の治療のための2つの投与レジメンのTEV-48125(1つは皮下投与レジメン、1つは静脈内投与レジメン対プラセボの有効性および安全性を比較するフェーズ2多施設無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験。
試験集団
試験集団は、持続性外傷後頭痛(International Classification of Headache Disorders, third revision[ICHD-3]criteria(IHS 2013)によって規定されるもの)の病歴を有する年齢18〜70歳(両端を含む)の男性および女性の患者で構成する。
これには、頭部の軽度の外傷性傷害に起因する持続性頭痛を有する患者およびむち打ちに起因する持続性頭痛を有する患者を含める。頭部に対する外傷性傷害は、頭部に対する外力の作用により生じる構造的または機能的傷害と定義する。このようなものとしては、物体で頭部を打たれること、または頭部が物体にぶつかること、異物、爆風または爆発によって生じた力およびまだ定義されていない他の力による頭部の貫通が挙げられる。外傷後記憶喪失の持続期間は、頭部傷害から現在の事象および直近24時間に起こった事象の記憶の回復までの時間と定義する。PPTHは、13〜15のグラスゴー・コーマ・スケール スコア(GCS)、30分未満の意識消失および頭部傷害から現在の事象の記憶の回復までの時間と定義する24時間未満の外傷後記憶喪失の持続期間を伴う軽度の頭部傷害に起因する頭痛である。また、軽度の外傷性脳損傷を示唆する2つ以上の他の症状: 悪心、嘔吐、視覚障害、非回転性めまいおよび/または回転性めまい、記憶および/または集中力の障害。
むち打ちに起因する持続性頭痛は、むち打ちから7日以内に発現して3ヶ月より長い持続期間を有する頭痛である。むち打ちは、頸部痛および/または頭痛の際に付随する。むち打ちは、頸部の屈曲/伸長を伴う突然で抑制が不充分な頭部の加速/減速動作と定義される。むち打ちは、高衝撃力または低衝撃力のいずれの後に起こるものであってもよい。
試験エンドポイント
一次エンドポイント:
一次エンドポイントは、試験薬物の投与後に4週間の期間中に、少なくとも中等度の重症度の頭痛の平均月間日数のベースライン(28日間の導入期間)からの平均変化である。
二次エンドポイント:
二次エンドポイントは:
・試験薬物での12週間の処置期間中に、任意の重症度の月間平均頭痛日の減少が少なくとも50%に到達した患者の割合
・試験薬物の初回投与後の5〜8週間の期間中における、任意の重症度の頭痛日数のベースライン(28日間の導入期間)からの平均変化
・試験薬物の初回投与後の12週間の期間中における、任意の重症度の頭痛日数のベースライン(28日間の導入期間)からの平均変化
・最初の試験薬物の投与後12週目に6項目の頭痛インパクトテスト(HIT-6)によって測定される不能状態スコアのベースライン(0日目)からの平均変化
である。
探索的エンドポイント:
探索的エンドポイントは以下のとおりである:
・試験薬物の初回投与後の12週間の期間中における、少なくとも中等度の重症度の頭痛日数のベースライン(28日間の導入期間)からの平均変化
・試験薬物の初回投与後の12週間の期間中に、任意の重症度の頭痛の平均月間日数の減少が少なくとも75%および完全(100%)に到達した患者の割合
・試験薬物の初回投与後の4週間の期間中に、任意の重症度の頭痛日数の減少がベースライン期間と比べて少なくとも50%、少なくとも75%に到達し、この応答レベルを試験薬物の初回投与後の12週間の期間中、維持している患者の割合
・試験薬物の初回投与後の12週間の期間中における、任意の重症度の頭痛の平均月間日数のベースライン(28日間の導入期間)からの平均変化
・試験薬物の初回投与後の4週間の期間中における、少なくとも中等度の重症度の頭痛の平均月間日数のベースライン(28日間の導入期間)からの平均変化
・試験薬物の初回投与後の8週間の期間中における、少なくとも中等度の重症度の頭痛の平均月間日数の減少がベースライン期間と比べて少なくとも50%、少なくとも75%および完全(100%)に到達した患者の割合
・むち打ちを有する患者の場合のみの、試験薬物の初回投与後の12週間の期間中における、任意の重症度の頸部痛の平均月間日数のベースライン(28日間の導入期間)からの平均変化
・最初の試験薬物の投与後の12週間の期間中における、任意の急性頭痛薬(トリプタンおよび麦角化合物)の使用のベースライン(28日間の導入期間)からの平均変化
・試験薬物の初回投与後の12週間の期間中における、オピオイドの使用のベースライン(28日間の導入期間)からの平均変化
・最初の試験薬物の投与後4週目に6項目の頭痛インパクトテスト(HIT-6)によって測定される不能状態スコアのベースライン(0日目)からの平均変化
・試験薬物の初回用量投与後4週目に12項目の短縮版健康調査票(SF-12)による身体的および精神的な健康によって測定される健康状態のベースライン(0日目)からの平均変化
・試験薬物の初回用量投与後4、8および12週目に変化に対する患者の全般的印象(PGIC)スケールによって測定される患者の満足度の評価のベースライン(0日目)からの平均変化
・SCAT-3「スポーツ脳震盪評価ツール-第3版」によって測定される、試験薬物の初回投与後12週目の評価期間終了時までのベースライン(0日目)からの平均変化
全般的デザインおよび方法論:
試験手順および評価については表12を参照のこと。
持続性の外傷後頭痛(PTH)の診断を伴う、TEV-48125投与の2つの投与レジメン(1つは皮下投与、1つは静脈内投与)対プラセボの有効性および安全性を比較する多施設無作為化概念実証二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験。この試験は、スクリーニング来院、28日間の導入期間、および約12週間続く二重盲検処置期間からなる。
患者は、書面でのインフォームドコンセントを提出した後、スクリーニング来院を完遂し(来院1回目)、適格患者は、およそ4週間(28日間)続く導入期間にエントリーされ、この間、ベースライン持続性外傷後頭痛(PPTH)発作情報を頭痛の電子日記デバイスに毎日入力する。患者は、導入期間完遂後(来院2回目)、試験センターに戻る。スクリーニング来院時および28日間の導入期間後に適格要件を満たした患者を、以下の3つの処置群のうちの1つに無作為化した:
初回用量900mgのTEV-48125を1時間のIV点滴で3ヶ月に1回投与される、1つの処置群;
初回用量675mgのTEV-48125をSC投与され、続いて後続の1ヶ月目および2ヶ月目に225mgをSC投与される、1つの処置群; および
月間用量のプラセボを3回投与される、1つの処置群。
無作為化は、エレクトロニック・インタラクティブ・レスポンス(electronic interactive response)技術(IRT)を用いて行なう。
盲検処置により、1ヶ月目はIVおよびSCで、2ヶ月目と3ヶ月目はSCで合計3回投与する。初回処置投与は来院2回目に行ない、追加用量を来院3回目と4回目に投与する。患者は、安全性および有効性の評価用の盲検処置によるSC投与のため、ならびに薬物動態解析、免疫原性解析、バイオマーカー解析および薬理ゲノム学解析(地方条例で禁止されていない場合)用の血液試料および尿試料の採取のために、およそ4週間毎に試験センターに戻る。最終試験評価は、試験薬物の投与のおよそ12週間後である、この試験の最後の来院時(来院5回目)に行なう。
盲検および無作為化の方法:
治験依頼者、治験担当医、試験スタッフ(生化学分析の分析に関与するスタッフを除く)および患者を処置割り付けに対して盲検化する。コンピュータで作成された無作為化のマスターリストは、薬物パッケージング施設に提供される。パッケージング供給元(1ヶ所または複数)で、実薬およびプラセボが来院1回分のキットに適正製造基準の手順に従ってパッケージングされる。キットは外観が同一であり、活性薬物またはプラセボを含むバイアル1つとプレフィルドシリンジ(実薬またはプラセボ)を含む。次回の治験来院のための適切なキットの供給はIRTによって管理され、現場で保存(2℃〜8℃で冷蔵)される。
スクリーニング期間の終了時、患者は、導入期間中に少なくとも中等度の重症度の少なくとも6頭痛日以上および少なくとも85%の日記コンプライアンスを有する場合、無作為化される。
この試験は、性別、IHS分類による頭部に対する外傷性傷害の重症度(軽度、中等度または重度)に基づいた層別化を伴う無作為化試験である。各患者は層内で1:1:1の比で無作為化され、層に属する男性または女性には、IRTによって割り付けられたとおりにTEV-48125またはプラセボが投与される。IRTは、最初の薬物供給、現場での適切な試験薬物供給の維持および試験の無作為化を中央管理する。
試験薬物の用量、投与様式、および投与速度:
プレフィルドバイアル(実薬またはプラセボ)は、固有に番号付けされたキット内に含まれており、現場で保存(2℃〜8℃で冷蔵)される。IV投与のための実薬バイアル(10mL)には150mg/mLの濃度のTEV-48125を含め、プラセボバイアル(10mL)には、実薬の点滴および注射のものと同じビヒクルと賦形剤を含める。実薬シリンジには150mg/mLのTEV-48125を含め、プラセボシリンジには実薬注射のものと同じビヒクルと賦形剤を含める。プレフィルドシリンジ(実薬またはプラセボ)および1つのバイアルを固有に番号付けしたキット内に含める。
試験薬物は有資格試験担当者によって投与され、適切に番号付けされたキットが取り出され、ある容量のバイアル内容物が抜き出され、500mLの通常の生理食塩水液、またはSC注射液に添加され、以下のとおりに投与される:
・TEV-48125の投与に無作為化された患者には、900mgのTEV-48125が1時間のIV点滴として、および3回の1.5mLのプラセボSC注射が来院2回目に、および単回の1.5mLのプラセボSC注射が来院3回目と4回目に投与される。
・TEV 41825の投与に無作為化された患者には、675mgが3回の実薬SC注射(225mg/1.5mL)として、およびプラセボが1時間のIV点滴として来院2回目に、ならびに単回の1.5mLの225mgの実薬SC注射が来院3回目と4回目に投与される。
プラセボの投与に無作為化された患者には、プラセボが1時間のIV点滴として、ならびに3回の1.5mLのプラセボSC注射が来院2回目に、および単回の1.5mLのプラセボSC注射が来院3回目と4回目に投与される。
治験薬: TEV-48125
プラセボ: 実薬のものと同じビヒクルと賦形剤
患者の参加の持続期間:
患者の参加は、およそ16週間続く(例えば、およそ4週間続く導入期間および12週間の二重盲検処置期間)。患者には、試験の全持続期間を完遂することが期待される。
組み入れ基準:
患者は、以下の基準のすべてを満たす場合、試験に組み入れられ得る:
a. ICHD-3(β版)基準による持続性外傷後頭痛の診断を有する参加者
b. 頭部に対する外力の作用により生じる構造的または機能的傷害と定義される頭部に対する外傷性傷害が起こった。このようなものとしては、物体で頭部を打たれること、または頭部が物体にぶつかること、異物、爆風または爆発によって生じた力およびまだ定義されていない他の力による頭部の貫通が挙げられる。
c. 頭痛が、以下:
1. 頭部に対する軽度の外傷性傷害
2. 頭部に対する傷害後の意識回復
3. 頭部に対する傷害後、頭痛を感知または報告する能力を障害する投薬物(1種または複数種)の中止
のうちの1つの後、7日以内に発現したと報告されていること
d. 頭痛が、頭部に対する傷害後、3ヶ月より長く持続すること
むち打ちに起因する持続性外傷後頭痛(PPTH)が、むち打ち後7日以内に発現し、3ヶ月より長い持続期間を有すること。
むち打ちによるPPTHを有する患者の30%以下では頭部傷害の根拠がないこと。
e. 患者はインフォームドコンセント書類に署名し、日付を記入すること。
f. 年齢18〜70歳(両端を含む)の男性または女性
g. 患者は、導入期間中、少なくとも中等度の重症度の少なくとも6頭痛日以上を有すること。
h. 患者は、病歴、健康診断、ECG、血清化学検査、血液検査、尿検査および血清学検査による測定時、健康状態が良好であること。
i. 対象はすべて:
○完全子宮摘出、両側卵巣摘除もしくは両側卵管結紮の記録または閉経後であることの確認(最後の月経から少なくとも1年間および卵胞刺激ホルモン[FSH]が35U/Lより上)により外科処置により不妊状態の女性;
○精管切除の記録により外科処置により不妊状態の男性
と定義される出産不可能でなければならない; あるいは
○出産可能である場合は、対象は以下の任意の基準:
■対象は、全試験期間中および試験薬物の最後の投与から7.5ヶ月間、そのパートナーと共に、2つの形態の高度に有効な避妊方法を同時に使用しなければならない。
■規定された期間内における異性との性交を控えると規定されている場合のみ、性的禁断は高度に有効な方法とみなされる。性的禁断の信頼は、臨床試験の持続期間および対象の好ましい通常の生活様式と関連付けて評価する必要がある。周期的禁欲(例えば、カレンダー法、排卵法、排卵徴候体温法、排卵後法)、試験の持続期間での禁欲の申告および離脱は許容され得る避妊方法ではない。
を満たしていなければならない。
j. 出産可能な女性対象は、スクリーニング時、血清βヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-HCG)妊娠検査で陰性でなければならない(手続き時に血清β-HCG妊娠検査によって確認)。
k. 患者は、男性である場合、外科処置により不妊状態であるか、または子孫を残す能力を有する場合は、同性パートナーに限るか、もしくは承認されたバースコントロール方法を現在使用しており、試験の持続期間はこの方法の使用を継続することに同意している。許容され得る避妊方法としては、禁欲、女性パートナーによるステロイド系避妊薬の使用(経口、埋め込みもしくは注射)とバリア法の併用、女性パートナーによる子宮内デバイスの使用、または女性パートナーが外科処置により不妊状態であることが挙げられる。また、男性患者は、試験の持続期間中は精子の提供を行なわないのがよい。
l. 患者は、試験の制約を順守すること、および試験期間中、必要とされる持続期間、クリニックに滞在する意思を有し、それが可能でなければならず、このプロトコルに指定されたとおりに追跡評価のためにクリニックに戻る意思を有していなければならない。
除外基準:
患者は、以下のいずれかの基準を満たす場合、本試験の参加から除外される:
a. 外傷性頭部傷害の帰結として頭蓋内出血、硬膜下または硬膜外の血腫およびクモ膜下出血の根拠を示す脳の画像診断の既往歴。
b. 開頭術に起因するPPTH
c. 患者が、頭部外傷が原因でない別の頭痛障害を有すること
d. >6頭痛日/月の任意の型の頭痛の既往歴(頭痛外傷前)を有する患者
e. 患者が、オピオイドを含有する投薬物(例えば、コデイン)およびバルビツレート含有鎮痛薬を、1ヶ月に平均10日間より多く使用していること。
f. なんらかの治験用薬物またはデバイスを伴う臨床試験に現在登録中であるか、または該臨床試験から直近30日以内もしくは5.5倍半減期以内のいずれか長い方での参加歴
g. 任意のカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体、CGRP受容体に対する任意の抗体、もしくは神経成長因子(NGF)に対する抗体を現在使用中、または該抗体に対するなんらかの事前曝露。
h. 複数の薬物、モノクローナル抗体または他の治療用タンパク質に対する既知の過敏性。
i. 試験への参加を不可能にするかもしれない医学的問題を示す他の医学的疾病の既往歴または存在。
j. 治験担当医の見解において、有意な活動性または不安定な精神疾患の根拠。
k. 患者が妊娠中または授乳中の女性であること(本試験中、妊娠した女性はいずれも本試験から離脱させる)。
l. 患者が以前に、Tevaが治験依頼者である試験薬物の臨床試験に参加したことがあること。
m. 臨床的に有意な血液、心臓、腎臓、内分泌、肺、胃腸、泌尿器、神経、肝臓または眼の疾患、および患者が、治験担当医の自由裁量で任意の臨床的に有意な制御不能な疾病状態(処置済または未処置)を有すること。
n. 患者は、その保健医療提供者または治験担当医の見解において、以下のいずれかの理由で試験に参加することができないか、または成功裡に完遂することができないこと:
○なんらかの理由で、精神的もしくは法的に同意を示す能力または可能性がないこと
○行政的決定もしくは法的決定のため保護監督下、被保護下、または療養所もしくは社会的施設に収容されている
○緊急時に連絡することができない
○治験担当医の見解において、患者を本試験の組み入れに不適切にするなんらかの他の病状を有する
測定および時間点:
有効性の一次測定および時間点:
この試験の有効性の一次エンドポイントは、頭痛の電子日記デバイスを用いて毎日収集した持続性外傷後頭痛日のデータ(すなわち、頭痛が発生した日、頭痛の持続期間、頭痛の重症度、および急性頭痛特異的投薬物の使用)に由来する。
適格患者は、スクリーニング時に頭痛の電子日記デバイスの使用の訓練を受け、コンプライアンス要件の情報を得る。患者は毎日、前日のことに関する質問についての頭痛の電子日記の入力を、スクリーニング来院の翌日から始めてEOT/早期終了の来院まで完遂する。頭痛の電子日記デバイスは、所与の日から24時間まで頭痛情報を入力することが可能である。
有効性の二次測定および時間点:
有効性の二次エンドポイントは、頭痛の電子日記デバイスを用いて毎日収集した頭痛日のデータ(すなわち、発生、頭痛の持続期間、頭痛の重症度、および急性頭痛特異的投薬物の使用に由来する。また、患者による改善の認識を、試験薬物の初回用量投与の8週間後に頭痛インパクトテスト(HIT-6)によって評価する。
探索的有効性の測定および時間点:
以下の探索的有効性の測定を評価する:
・PTH日のデータ(すなわち、頭痛が発生した日、持続期間、頭痛の重症度、および急性頭痛特異的投薬物の使用(これらは、頭痛の電子日記デバイスを用いて毎日収集する)に由来する探索的有効性エンドポイント
・頭痛インパクトテスト(HIT-6質問票)
・SF-12による身体的および精神的な健康
・変化に対する患者の全般的印象(PGIC)の質問票
・SCAT-3“スポーツ脳震盪評価ツール-第3版
安全性の測定および時間点:
安全性および忍容性を、以下の測定を用いて評価する:
・有害事象に関する質問
・併用薬の使用に関する質問
・安全性検査室検査(血清化学検査、血液検査、凝固および尿検査)
・血清/尿中β-HCG検査(出産可能な女性のみ)
・12リードECG
・バイタルサインの測定(収縮期および拡張期の血圧、脈および口腔内温度。アナフィラキシーが疑われる場合は酸素飽和度を測定すべきである。また、このような場合は呼吸数も測定する(が、標準的なバイタルサインとしてではない)
・体重などの身体検査
・過敏反応の評価
・eC-SSRS
薬物動態/バイオマーカー/免疫原性およびバイオマーカー下位試験の測定および時間点:
薬物動態の測定および時間点:
TEV-48125の薬物動態解析用の血液試料をすべての患者から、母集団の薬物動態モデリングアプローチおよび薬物動態学的/薬力学的関係の評価の目的のために採取する。薬力学的パラメータは有効性応答である。
各血液試料採取の実際の日時ならびに各試料採取前の投薬の日時を症例報告書に記録する。TEV-48125の血漿濃度を、妥当性確認済のアッセイを用いて測定する。
免疫原性の測定および時間点:
免疫原性用の血液試料を採取する。
バイオマーカーの測定および時間点:
バイオマーカー用の血液試料および尿試料をすべての患者から採取し、血液試料は患者から、来院2回目またはそれ以降の任意の来院時に採取する(地方条例によって禁止されていない限り)。
本試験前および試験中において許容される投薬物および許容されない投薬物:
指示に関係なく2種類以下の投薬物、妊娠中絶剤は制限なし、オピオイドおよびバルビツレート(除外基準参照)は除く
統計的考察:
サンプルサイズの論拠:
統計的検出力の見込み計算は行なわなかった。臨床的および実務的考察に基づいて75名の患者(処置群(arm group)あたり25名の患者)のサンプルサイズを選択する。
一次エンドポイントの解析:
有効性の一次エンドポイントである試験薬物の投与後に4週間の期間中における少なくとも中等度の重症度の頭痛の平均月間日数のベースライン(28日間の導入期間)からの平均変化を、共分散(ANCOVA)解析方法を用いて解析する。モデルには、処置、性別、および頭部に対する外傷性傷害の重症度(軽度、中等度または重度)を固定効果として含める。各TEV-48125群とプラセボ群間の最小二乗平均の差について95%信頼区間を求める。
二次エンドポイントおよび探索的エンドポイントの解析:
有効性の一次エンドポイントで使用したものと同じ解析を、連続的に二次エンドポイントおよび探索的有効性エンドポイントについて行なう。ベースラインからの月間平均頭痛日の50%またはそれ以上の低減と定義する治療反応群集団について、コクラン・マンテル・ヘンツェル検定を使用する。
多重比較および多重度:
多重比較は行なわない。
安全性の解析:
すべての有害事象を、医薬品規制用語集を用いてコード化する。各患者は安全性の解析で、各好ましい項目または器官別大分類のカテゴリーにおいて1回だけカウントされる。すべての有害事象(全体および重症度別)、治験担当医が試験薬物と関連していると判定した(関係性の有無を規定)有害事象(全体および重症度別)、重篤な有害事象、ならびに試験からの離脱の原因となった有害事象についての要約を示す。重篤な有害事象および離脱に至った有害事象の患者の一覧を示す。
局部忍容性所見を一覧にし、記述的に要約する。
検査データおよびバイタルサインの測定データの変化を記述的に要約する。値はすべて、事前に指定した限界値と比較して潜在的に臨床的に有意な変化または値を特定し、かかる値を一覧にする。
併用薬の使用を、記述統計学を用いて治療クラス別に要約する。併用薬は、患者が試験薬物での処置を受けている間に摂取したあらゆる投薬物を含む。
安全性データを全体的に、および処置群別に記述的に要約する。連続変数の場合は、記述統計学(n、平均、SD、中央値、最小値および最大値)を実際の値およびベースラインから各時間点までの変化について示す。カテゴリー変数の場合は、患者の数および割合(%)を示す。また、重篤な有害事象、有害事象による患者の離脱、および所定の基準に基づいた潜在的に臨床的に有意な異常値(臨床検査またはバイタルサイン)の記述的要約も示す。
仮に試験中に患者が死亡した場合、死亡の一覧を示し、すべての関連情報を、臨床試験報告に含められた患者の叙述において考察する。
免疫原性の解析:
免疫原性の結果の要約を示し、免疫原性の発生率を計算する。薬物動態プロフィール、薬物の有効性、および臨床安全性に対する免疫原性の影響を評価する。この解析は別途報告する。
バイオマーカーの解析:
バイオマーカーの解析には、ロジスティック回帰、受信者操作特性曲線および概要統計を含める。結果は別途報告する。測定は、妥当性確認済のアッセイを用いて行なう。
実施例15: 外傷後頭痛の臨床的に関連のあるラットモデルにおける頭痛関連行動の発現はCGRPによって媒介される
材料および方法
動物
到着時点の体重が250〜300gの雄Sprague-Dawleyラット(Taconic, USA)をすべての試験において使用した。動物はペアで、一定の12時間の明/暗(07:00時に点灯)サイクル下、室温で収容した。飼料および水は随意に摂取可能にした。すべての実験において、動物を無作為にシャム群または軽度閉鎖性頭部傷害(mCHI)群のいずれかに割り付けると共に、異なる処置および群について盲検化様式で試験した。すべての実験は、ベスイスラエルディーコネスメディカルセンターおよびハーバード大学医学大学院の動物実験委員会によって承認されたものであり、これに従って実施し、ARRIVE(Animal Research: Reporting of In Vivo Experiments)ガイドラインに従って実施した。
実験的軽度閉鎖性頭部傷害
実験的mCHIを、ウェイト落下式脳震盪デバイスを用いて既報のとおりに誘導した(Marmarou et al., J of Neurosurgery 1994;80(2):291-300; Mychasiuk et al., J Neurotrauma 2014;31(8):749-757)。簡便には、ラットを3%のイソフルランで麻酔し、胸部を下にして直接、ウェイト落下式脳震盪頭部外傷デバイス下に置いた。該デバイスは中空の円筒管(内径2.54cm)からなるものであり、ラットの頭部上部に縦に配置した。頭部外傷を誘導するため、80cmの高さからこの管を通して250gのウェイトを落下させ、頭部の中心に当てた。頭部を支えるが衝撃の瞬間になんら回転動作を伴うことなくある程度の前後動作を許容するため、動物の下にフォームスポンジ(厚さ3.81cm、密度1.1g/cm3)を配置した。この衝撃の直後、動物をホームケージに戻して回復させた。動物はすべて、傷害の2分以内に意識を回復し、早期の時間および傷害後の日に、任意の神経学的障害を示す行動的異常について神経学的に評価した。シャム動物も麻酔したがウェイト落下に供しなかった。PTH行動評価に供した動物はすべて、なんら大きな神経学的欠陥を示さなかった。
行動試験
オープンフィールドモニタリングシステム
Activity Monitor SOF-811(Med Associates, Vermont, USA)を使用し、歩行活動をオープンフィールド環境において測定した。このシステムは、2エリアセットアップからなり、動物の移動を水平面(X-Y軸)と垂直面(Z軸)において評価する。各平面を、2.54cmの間隔をあけた16本のビームによってモニタリングし、ビーム毎に赤外線発光/検出器を各アリーナの各側面に配置し、アリーナの幅全体における動作をモニタリングした。データを、3セットの検出器-発光器から60秒間間隔の一連の予備選択した出力、例えば、移動総距離および垂直方向の活動(立ち上がり)を表示する中央コンピュータに送り、20分間にわたる総量として解析した。各アリーナは、減光スイッチにて単一の白色LED電球で照明し、アリーナ全体を均一な照明で維持した(80ルクス)。次のラットとの間にアリーナを中性洗剤で洗浄し、乾燥させて臭覚手がかり刺激を除いた。試験は、ベースライン時(頭部外傷の24時間前)、次いで、mCHI後48時間目、72時間目、7日目および14日目に実施した。
新奇物体認識
新奇物体認識試験を設計し、齧歯類の認識記憶の欠陥を、脳損傷の重症度の尺度として評価する。この新奇物体認識試験に使用した手順は、既報のものと同様であった(King et al., Neuropharmacology 2004;47(2):195-204; Moriarty et al., Behavioural brain research 2016;303:61-70)が、いくらかの変更を伴った。Perspexアリーナ(45cm2)の装置を構築した。使用した「習熟」物体は、“Lego DUPLO”ビルディングブロックで構成した2つの同一の形状のものにした。第3の物体である「新規物体」は、緑色のテープで被覆したプラスチックボトルからなるものにした。試験日の前日、動物を物体なしで30分間アリーナに馴化させた。試験日には3つの段階: 馴化(アリーナに物体なしで5分間の曝露)、曝露1(同一の物体に対する5分間の習熟)および曝露2(1つの習熟物体と1つの新規物体に対する5分間の曝露)を含めた。馴化と曝露1は試行間で5分間の間隔をあけ、曝露1と2はさらに5分間の間隔をあけた。物体の探索は、物体に対する任意の行動(すなわち、臭い嗅ぎ、立ち上がり、もたれる、またはよじ登る)と定義した。この3つの試験段階を、後続の解析のために記録し、物体探索を盲検化様式で人間が採点した。各物体の判別比を、いずれかの物体の探索に費やした時間/両方の物体の探索に費やした時間として計算した。0.5(すなわち、50%)より上の選好指数は、新規物体に対する選好、0.5より下は習熟物体に対する選好および0.5自体は選好なしを示す。
von Frey試験
使用した方法は、頭痛関連行動を試験するために以前に使用されたものであった(Edelmayer et al., Methods Mol Biol 2012;851:109-120; Oshinsky, Headache 2007;47(7):1026-1036; Yan et al., Mol Pain 2012;8:6, Zhao et al., Pain 2014;155(7):1392-1400)。簡便には、動物を透明な平底のアクリル製保持装置(20.4cm×8.5cm)内に入れた。この装置は、動物が刺激を逃れることが可能であるのに充分に大きいものであった。試験前の15分間、動物をアリーナに馴化させた。動物がmCHI後に頭蓋周囲の機械的過敏を発現するかどうかを調べるため、目の上部および2cm後方の中線領域を含む皮膚領域を、いろいろなvon Freyフィラメント(0.6g〜10g)(18011 Semmes-Weinstein Anesthesiometer Kit)で刺激した。後足における過敏の発現を、後足の背中中央部分を刺激することによって試験した。皮膚の触感受性の変化を、以前の試験と同様に(Levy et al., Brain, Behavior, and Immunity 2012;26(2):311-317)、Vos et al.(Journal of Neuroscience: the official journal of the Society for Neuroscience 1994;14(5 Pt 1):2708-2723)から適合させた4つの行動応答を記録することにより、以下のとおりに評価した: 0)応答なし: ラットは刺激に対してなんら応答を示さなかったこと 1)検出: ラットは刺激物体の方に頭を向けた。後者は、通常、臭い嗅ぎによって探索すること; 2)回避: ラットは、刺激物体から頭をそむけるか、または勢いよく引き離したこと(通常、その後、刺激された領域を引っ掻くか、または身づくろいした); 3)逃避/攻撃: ラットは、刺激から逃避するために保持装置内で勢いよく体の向きを変えたか、または刺激物体を攻撃したこと(かみつきおよびつかみ動作)。最小重量から開始し、各フィラメントを5秒間の適用内間隔で3回適用し、少なくとも2回観察した行動を記録した。統計解析のため、記録したスコアは、みとめられた最も嫌悪性の行動に基づいたものであった。3回連続の離脱応答を誘起した力を応答閾値とみなした。各ラットについて各時間点での閾値の変化に加えて痛覚行動を評価するため、試験したVFフィラメントの各1つでの個々のスコア(0〜3)を合わせることにより累積応答スコアを求めた。試験はすべて、盲検化様式で実施し、評価した。von Frey刺激に対する応答は、ベースライン時およびmCHI後48時間目、72時間目、ならびに7日目および14日目に試験した。
スマトリプタンを用いた条件付け場所嗜好性
使用した方法は、既刊の報告(Griggs et al., Neuroreport 2015;26(9):522-527)から適合させたものであった。2つの別個のチャンバからなる2つのCPPボックス(Med Associates, Vermont, USA)を使用して、薬物条件付け段階の前後におけるチャンバ嗜好性を評価した。スマトリプタンは、発症前片頭痛モデルにおいてCPPでの有効性が以前に実証されているため、これを最初の特性評価実験のために選択した(De Felice et al., Annals of neurology 2013;74(2):257-265)。条件付け日の前(mCHI後6日目)に、シャムラットまたはmCHIラットをCPPボックス内に入れ、20分間の期間、両方のチャンバにアクセスさせ、各チャンバ内で過ごした時間を記録した。チャンバは、視覚(壁)手がかり刺激ベースのものと触知性(床)手がかり刺激ベースのものに区別した。条件付け日(mCHI後7日目)の朝、動物にビヒクル対照(生理食塩水 i.p.)を投与し、2時間後、ビヒクルペアチャンバに20分間、閉じ込めた。午後、ビヒクル注射後4時間目、動物にスマトリプタンを投与し、2時間後、反対側のチャンバ(スマトリプタンペアチャンバ)に20分間、閉じ込めた。データによりスマトリプタンの最適な有効性は投与後2時間目に観察されることが示唆されているため、スマトリプタンの投与とチャンバ内閉じ込めの間に2時間という期間を選択した(Tfelt-Hansen et al., Headache 1998;38(10):748-755)。24時間後(mCHI後8日目)、動物をCPP装置内に入れ、15分間、両方のチャンバに自由にアクセスさせ、各チャンバ内で過ごした時間を記録した。
GTNにより誘発される機械的過敏
低用量のGTN(100μg/kg)を、mCHI後 15日目および30日目に投与し、mCHI後2週間目、頭部の痛覚過敏の解消後、一般的な頭痛誘発因子に対するなんらかの敏感性の増大がmCHI動物に存在するかどうかを調べた。頭蓋周囲および後足の機械的過敏の発現を上記のようにして、GTN投与後1時間目および4時間目に評価した。スマトリプタンの急性投与またはマウスmAbを用いたCGRP作用の長期ブロックを、そのGTN誘導痛覚過敏の減弱能力について調べた。
GTNにより誘導される条件付け場所嫌悪性
GTNに対する条件付け場所嫌悪性を、上記に示した2つのCPPボックスを用いて試験した。プロトコルには、条件付け日前(mCHI後13日目)の後、条件付け日(14日目)および条件付け日後の24時間後を含めた。条件付け日の朝、動物をまず、GTN投与前に一方のチャンバに20分間、閉じ込めた(GTN前ペアチャンバ)。次いで、動物にGTNを投与し、4時間後、反対側のチャンバ(GTNペアチャンバ)に20分間、閉じ込めた。条件付け日後、動物を再度、両方のチャンバに自由にアクセスさせた。GTNに対する嫌悪性を、マウス抗CGRP mAbまたは対照IgGで処置した動物において、条件付け日前と条件付け日後に異なるチャンバ内で過ごした時間のスコアの差を計算することにより調べた。
薬物
スマトリプタン(Sigma, USA)を新しく0.9%生理食塩水に溶解させ、1mg/kgの用量で 1ml/kgの体積で腹腔内(i.p.)に投与した。行動試験はすべて、スマトリプタン投与の2時間後に実施した。薬物の用量および投与のタイミングは、該薬物の薬物動態ならびに三叉神経痛の動物モデルにおけるその有効性を示す組織内パイロット研究および公表された試験に基づいたものであった(Oshinsky et al., Headache 2012;52(9):1336-1349; Winner et al., Mayo Clin Proc 2003;78(10):1214-1222)。CGRPを標的化するマウス特異的mAbおよびその対照IgGはTeva Pharmaceuticalsから提供を受け、30mg/kgの用量で0.54ml/100gの体積でi.p.投与した(Kopruszinski et al., Cephalalgia: an International Journal of Headache 2016)。初回投与はmCHI誘導の直後に送達し、続いて6日毎に投与した。GTN(American Reagent, USA)は新しく0.9%生理食塩水に溶解させ、100μg/kgの用量で1ml/kgの体積で腹腔内(i.p.)投与した。GTNの最終ビヒクル濃度は、0.6%プロピレングリコール、0.6%エタノールおよび0.9%生理食塩水であった。以前の研究では、6%プロピレングリコールおよびエタノールビヒクル濃度では機械的閾値に対する効果はないことが示されている(Pradhan et al., Pain 2014;155(2):269-274)。
データ解析
統計解析は、Statview(SAS Institute, New York, NY, USA)を用いて実施した。正規性および等分散性は、それぞれシャピロ・ウィルク検定およびルビーン検定を用いて評価した。二元配置反復測定分散分析(ANOVA)を行ない、オープンフィールドでの歩行活動またはvon Frey装置を用いた頭蓋周囲過敏の発現に対する時間、頭部外傷、および薬物処置、またはその相互作用の主な効果を調べた。適宜、フィッシャーのLSDポストホック検定またはスチューデントの対応なし両側t-検定を使用し、群間および時間点間の差を評価した。データを平均±平均の標準誤差として示す。p<0.05を統計学的に有意とみなした。
結果
mCHI/脳震盪動物において垂直方向の立ち上がり活動は減少するが認知欠陥の根拠はない
mCHI後、動物は、オープンフィールドにおいて垂直方向の探索(立ち上がり)活動の減少を示した(RM ANOVA 時間: F(4,56)=7.03、p<0.01、傷害 F(1,14)=21.31、p<0.01)。スチューデントの対応なし両側t-検定により、mCHI群は、mCHI後48時間目、72時間目および7日目にシャム群と比べて一貫して垂直方向の探索活動の減少を示すことが示され(p<0.01)(図12A)、軽度の外傷性脳損傷を示す。しかしながら、これらの時間点において、全移動距離、センターゾーン探索または走触性の変化は検出されなかった(すべてp>0.05)。また、傷害後7日目の新奇物体認識試験による測定時、mCHI動物に大きな認知欠陥の根拠はみられなかった(p>0.05)(図12B)。
mCHI動物における触知過敏の発現
von Freyフィラメントを使用し、頭部触知過敏の時間依存性発現がmCHIにおいて確認されたが、シャム動物では確認されなかった。反復測定ANOVAにより、時間(F(4,48)=7.54、p<0.001)および時間と傷害の相互作用(F(4,48)=5.71、p<0.001)の有意な効果が示された。スチューデントの対応なし両側t-検定により、応答閾値は有意に低下し、mCHI群における侵害受容スコアは、72時間目および7日目において、シャム群と比べて有意に増大する(ともにp<0.05)ことが示された(図13Aおよび13C)。試験した任意の時間点において、mCHIは後足の機械的過敏の発現をもたらさなかった(図13Bおよび13D)。
mCHI誘導頭部触知過敏に対する急性スマトリプタン処置および長期CGRPブロックの効果
全般的に、CHI後72時間目における急性スマトリプタン処置は頭部触知過敏を減弱させた(一元配置ANOVA F(2,17)=8.79、p<0.05)(図14Aおよび14B)。ブロックmAbまたは対照IgGの注射を使用し(mCHIの直後に開始、続いて6日毎)、CGRPの長期ブロックの能力を、mCHI関連頭部触知過敏の発現に対して試験した。全般的に、CGRPブロックは、mCHI誘導機械的過敏を減弱させた。(RM ANOVA 時間: F(3,39)=17.76、p<0.001)。スチューデントの対応なし両側t-検定により、抗CGRP mAb処置群は、mCHI後7日目において、対照IgG処置群と比べて有意に高い応答閾値および低い侵害受容スコアを有することが示された(図14Cおよび14D、p<0.05)。抗CGRP mAbでの長期処置は、シャム動物では、同様に抗CGRP mAbが使用されたKopruszinski et al.の現時点での所見と整合して、機械的応答閾値に対してなんら効果は有しなかった(Kopruszinski et al., Cephalalgia: an International Journal of Headache 2016)。
mCHI動物におけるスマトリプタン関連条件付け場所嗜好性
mCHI動物におけるPTHの痛みの嫌悪性の性質を調べるため、CPPパラダイムを使用し、抗片頭痛薬スマトリプタンが頭部傷害後7日目においてmCHIラットにはCPPをもたらし得るがシャム対照にはそうでないかどうかを調べた。個々のラットのスコアの差(各チャンバについて、条件付け後−条件付け前の時間の差)は、mCHIラットがスマトリプタンチャンバではシャム対照と比べて有意に長い時間(p<0.01)を示したことを示し(図15B)、全身性スマトリプタン処置によってmCHIの嫌悪性の頭痛様効果が緩和されたことを示唆している。
無症候性mCHI動物に対するGTNの投与後の機械的過敏の発現
mCHI後14日目までには、シャム群とmCHI群間で頭部の触感受性に有意差はなかった。mCHIに供されたラットが急性行動症状の消失後、片頭痛誘発事象に対する触知性痛覚感受性の増大を発現するかどうかを調べるため、本発明者らは、一般的な片頭痛誘発GTNの投与後に機械的刺激に対する頭部および頭部外(extra-cephalic)の応答の変化を、傷害後15日目および30日目に試験した。15日目、GTNの投与により、mCHI動物では新たな著明な頭部機械的過敏がもたらされた(RM ANOVA 時間: F(1,14)=38.68、p<0.001、時間×GTN処置 F(2,14)=5.18、p<0.05)が、シャム動物ではもたらされなかった。フィッシャーのLSDポストホック検定により、mCHI群は、GTN後1時間目(p<0.01)および4時間目(p<0.001)において、シャム対照と比べて有意に低い頭部応答閾値および高い侵害受容スコアを示すことが示された(図16Aおよび16B)。mCHI後30日目も、GTNは著明な頭部過敏をもたらした(RM ANOVA 処置: F(1,13)=9.7、p<0.05、時間×GTN処置: F(2,26)=3.24、p<0.05)。フィッシャーのLSDポストホック検定により、mCHI群は、シャム対照と比べて有意に低い頭部応答閾値(GTN後1時間目および4時間目)(p<0.05,)ならびに高い侵害受容スコア(GTN後4時間目)を示すことが示された(図16Cおよび16D、p<0.05)。
また、GTN投与は後足の機械的過敏もmCHI動物において選択的に、傷害後15日目(RM ANOVA 時間: F(2,26)=8.27、p<0.01、およびGTN処置: F(1,14)=8.12、p<0.05)ならびに30日目(RM ANOVA 時間: F(2,26)=37.04、p<0.05、およびGTN処置: F(2,26)=3.24、p<0.05)に誘導したが、これは低い機械的閾値に限定された。フィッシャーのLSDポストホック検定により、mCHI群は、シャム対照と比べて有意に低い機械的閾値を15日目のGTN後4時間目(p<0.05)および30日目のGTN後1時間目に示すことが示された(図17Aおよび17C、p<0.05)。
mCHI動物におけるGTN誘発機械的過敏に対する急性スマトリプタン処置および長期CGRPブロックの効果
mCHI後15日目、急性スマトリプタン処置は、GTN後1時間目に投与した場合、GTN誘発性遅発型機械的頭部過敏を減弱させた(4時間目)。スチューデントの対応なし両側t-検定により、急性スマトリプタン処置は、ビヒクル処置動物と比べて応答閾値の低下および侵害受容スコアの増大の両方を有意に低下させることが示された(p<0.001およびp<0.05、図18Aおよび18B)。スマトリプタン処置は、mCHI動物におけるGTN誘発性の後足における過敏を減弱させなかった。抗CGRP mAbでの長期処置により、mCHI後15日目においてGTN誘導機械的過敏が抑制された。スチューデントの対応なし両側t-検定により、抗CGRP mAb群は、対照IgG群と比べて有意に高い応答閾値および低い侵害受容スコアを示すことが示された(それぞれp<0.05、p<0.01、図18Cおよび18D)。対照IgGでの処置と比較した場合、抗CGRP mAb処置は、傷害後30日目のGTN誘導性の機械的閾値の低下の減弱においても有効であった(p<0.05、スチューデントの対応なし両側t-検定)。しかしながら、抗CGRP mAb処置は、mCHI動物におけるGTN誘発性の後足における過敏のブロックには有効でなかった。
GTNに対する条件付け場所嫌悪性
条件付け場所嫌悪性パラダイムを用いてmCHI後のGTN投与を試験し、抗CGRP mAb処置に応答性の進行中の痛覚様行動を誘導し得るかどうかを調べた。mCHI動物に対するmCHI後14日目のGTNの投与により条件付け場所嫌悪性がもたらされ、これにより、対照IgGで処置した動物ではGTNペアチャンバ内での時間が少なくなり、頭部痛覚過敏が既に解消されたときの時点のmCHI動物のGTN誘発疼痛を示唆する。抗CGRP mAbで処置したmCHI動物では同様のGTN誘発条件付け場所嫌悪性の根拠はなく(図19Aおよび19B)、mCHI動物におけるGTN誘発疼痛はCGRP依存性であることが示唆される。
PTH関連行動に対する抗CGRP mAbでの長期処置の効果
本試験の主な所見は: 1)mCHIによる脳震盪は、立ち上がり(すなわち、探索活動)低減の急性相と関連していたが主要な運動または認知欠陥とは関連しておらず、軽度の一過性形態の外傷性脳損傷が示唆された(Kilbourne et al., J Neurotrauma 2009;26(12):2233-2243)、2)脳震盪動物は、頭部触知痛覚過敏を発現し、これは傷害後2週間までに解消し、スマトリプタンでの急性処置およびブロックmAbによるCGRPの長期阻害によって減弱された、3)mCHIに供された動物は、鎮痛処置として全身性スマトリプタン処置を使用した場合、CPPパラダイムにおいて自発的/進行中の痛覚様行動を示した、ならびに4)頭痛/痛覚行動の解消後、頭痛誘発因子GTNの投与により新たな著明な頭部過敏ならびに条件付け場所嫌悪性がもたらされ、これはスマトリプタン処置および抗CGRP mAb処置によって阻害された、である。
現在、PTHマネージメントに対する根拠に基づく処置ガイドラインはなく、したがって、これは、多くの場合、似ている一次性頭痛障害と同様に処置され、試験において群発性の特徴を有する一部のPTH患者ではスマトリプタンの有効性が示されている(Abend et al., J Child Neurol 2008;23(4):438-440; Lucas, Curr Pain Headache Rep 2015;19(10):48)。
しかしながら、有意な割合の患者はトリプタン処置に応答しないため(Visser et al., Headache 1996;36(8):471-475)、他の治療選択肢が必要である。片頭痛および頭痛におけるCGRPの仮説的役割に基づき(Pietrobon et al., Annu Rev Physiol 2013;75:365-391; Russo, Annual review of pharmacology and toxicology 2015;55:533-552)、新たに登場した将来有望な治療ストラテジーは、ブロックmAbを用いてCGRPまたはその受容体を標的化する(Mitsikostas et al., BMC Med 2015;13:279)。かかるmAbの1つであるTEV-48125のフェーズIIbの治験では、この薬剤の安全性、有効性および忍容性に関して良好な結果が示されている(Bigal et al., Lancet Neurol 2015;14(11):1081-1090; Bigal et al., Lancet Neurol 2015;14(11):1091-1100)。現在の試験の結果は、齧歯類特異的中和mAbによるCGRPの阻害により、mCHIによって誘発される頭痛/痛みの症状が低減され得ることを示し、PTHの痛み発現の媒介におけるCGRPの関与が示唆されている。また、抗CGRP mAbでの処置は、mCHI動物におけるGTN関連頭部機械的過敏の低減にも有効であり、GTNに対する条件付け場所嫌悪性を減弱させ、CGRPは、頭部外傷によって誘発される痛覚過敏の初回刺激様効果、特に、GTNによって誘導される頭痛様異痛症および進行中の痛みの媒介因子でもあることが指摘される。該mAbが血液脳関門を通過することは起こりにくいため(その大きな分子量のため)、mCHI動物におけるその作用機序は、おそらく末梢部位を伴うもの、もしかするとmCHI誘発性の髄膜または骨膜の炎症応答の遮断を伴うものである。抗CGRP mAb処置は、GTN誘発性の後足の機械的敏感化発現の寛解に有効でなかったため、本発明らは、mCHI動物におけるこの応答が中枢媒介性であると提案した。
生物学的材料の寄託
以下の物質は、American Type Culture Collection, 10801 University Boulevard, Manassas, Virginia 20110-2209, USA(ATCC)に寄託されている。
ベクターpEb.CGRP.hKGIは、G1の軽鎖可変領域および軽鎖κ定常領域をコードしているポリヌクレオチドであり; ベクターpDb.CGRP.hFcGIは、G1の重鎖可変領域とIgG2の重鎖定常領域をコードしており、以下の変異: A330P331からS330S331(野生型IgG2の配列を基準にアミノ酸の番号付け; Eur. J. Immunol.(1999)29:2613-2624参照)を含むポリヌクレオチドである。
この寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約およびその規定(ブダペスト条約)の下に行なった。これにより、寄託日から30年間、当該寄託物の生存能力のある培養物の維持が保証される。当該寄託物は、ブダペスト条約の条項に従ってATCCから入手可能であり、Rinat Neuroscience Corp.とATCCとの間で合意されており、これにより、当該米国特許が発行されたら、または任意の米国特許出願もしくは外国特許出願が公開されたら(いずれか早い方)、公衆に対して当該寄託物の培養物の子孫の永続的で無制限の入手可能性が保証され、35 USC Section 122およびこれに準じた長官規則(例えば、37 CFR Section 1.14、特に886 OG 638を示す)に従って米国特許商標庁長官により資格があると判断された者に対して、当該子孫の入手可能性が保証される。
本特許出願の譲受人は、寄託した当該物質の培養物が好適な条件下での培養の際に死滅したか、または消失した、もしくは破壊された場合、通知されたら速やかに当該物質を別の同物質と置き換えることに同意している。当該寄託物質の入手可能性は、特許法に従う任意の関係官庁の権限下で付与される権利に違反して本発明を実施するためのライセンスであると解釈されるべきでない。