JP2020002437A - 鋼構造物の防食工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】取扱い性を良好とし、かつ構造物の重量増加割合を低く抑える事のできる鋼構造物の防食工法を提供する。
【解決手段】鋼構造物20の上部に第1開口部22を設けると共に、側部に第1開口部22よりも小さな第2開口部24を設け、鋼構造物20よりも卑な電位を有する金属棒12の外周に保水性繊維14を配置した陽極材10を第1開口部22から鋼構造物20の内部に配置すると共に、第2開口部24を介して金属棒12と鋼構造物20との導通を図った状態で固定することで第2開口部24を封止することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、鋼構造物の防食工法に係り、特に、閉塞断面における鋼部材の腐食を抑制する事に好適な防食工法に関する。
標識や照明柱、鋼管杭、都市内高架橋の鋼製高欄などの鋼構造物の閉塞部である内側面には、著しい腐食損傷が生じる場合がある。この損傷は、海塩や、凍結防止剤等の塩化物を含む雨水や、結露水が部材内部に長期間滞水することが主原因となり発生するケースが多いとされている。
こうした構造物では、外側面においては、塗装やメッキ等による防食対策が施されることが一般的であるが、既設構造物の内部にメッキや塗装を欠陥なく施す事は困難とされている。このため、鋼構造物の閉塞部である内側面の防食対策には、種々の工夫が必要とされている。例えば、特許文献1には、既設鋼管内部の防食を図る技術が開示されている。特許文献1に開示されている技術は、鋼管を切断し、内部に、鋼管構成部材よりも卑な電位を持つ金属(卑な金属)の微小粒を充填し、切断した鋼管を元に戻すというものである。
このような技術によれば、鋼管内部に充填した金属の微小粒がアノードとなって鋼管内面を陰極防食すると共に、アノード溶解した微小粒が水酸化物となって保護被膜を形成し、防食性を高めるとされている。
特開2000−129473号公報
特許文献1に開示されているような技術によれば、確かに鋼構造物の内部における防食に一定の効果があると考えられる。ここで、特許文献1に開示されているような技術は特に、標識や照明柱等の比較的小型な構造物には有効であると考えられる。一方で、高架橋の鋼製高欄など、大型構造物の場合、金属の微小粒を大量に使用することとなり、構造物自体の重量増加割合が大きくなってしまう可能性がある。また、その特性上、まとまりとして扱う事ができず、取扱い性が悪いといった問題がある。
そこで本発明では、取扱い性を良好とし、かつ構造物の重量増加割合を低く抑える事のできる鋼構造物の防食工法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る鋼構造物の防食工法は、鋼構造物の上部に第1開口部を設けると共に、側部に前記第1開口部よりも小さな第2開口部を設け、前記鋼構造物よりも卑な電位を有する金属棒の外周に保水性繊維を配置した陽極材を前記第1開口部から前記鋼構造物の内部に配置すると共に、前記第2開口部を介して前記金属棒と前記鋼構造物との導通を図った状態で固定することで前記第2開口部を封止することを特徴とする。
また、上記のような特徴を有する鋼構造物の防食工法において前記金属棒の外周には、前記保水性繊維に突き刺さる棘が備えられているようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、金属棒に対する保水性繊維の位置ズレを防止することができる。
上記のような特徴を有する鋼構造物の防食工法によれば、取扱い性を良好とし、かつ構造物の重量増加割合を低く抑える事ができる。
実施形態に係る陽極材を円筒状の鋼構造物に挿入、配置した状態を示す斜視図である。 実施形態に係る陽極材の構造を説明するための部分断面図である。 実施形態に係る陽極材の変形例を示す図である。 陽極材を小型な鋼構造物に挿入、配置する防食工法の流れを示す図である。 陽極材を大型な鋼構造物に挿入、配置する防食工法を説明するための斜視図である。 大型な鋼構造物に陽極材を複数挿入、配置する場合の例を示す平面図である。
以下、本発明の鋼構造物の防食工法に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明の鋼構造物の防食工法を実施する上で好適な実施形態の一部であり、その機能を逸脱しない範囲において、各要素の形態や施工の順番を変更したとしても、本発明の一部とみなすことができる。
[陽極材]
まず、図1、図2を参照して、本発明に適用する陽極材10の構成について説明する。本形態に係る陽極材10は、金属棒12と、保水性繊維14を基本として構成されている。金属棒12は、犠牲陽極としての役割を果たし、防食処理の対象となる鋼構造物20よりも卑な電位を持つ金属により構成されていれば良い。鋼構造物20を鉄(Fe)とした場合、金属棒12は、アルミニウム(Al)や亜鉛(Zn)、またアルミニウム合金やマグネシウム合金などとすれば良い。加工容易性や原料コスト等を加味した場合、アルミニウム−亜鉛合金(Al−Zn)等とすることが望ましい。
保水性繊維14は、保水性を持つ部材であれば良く、例えば、布、紙、編織物、および不織布などとすることができる。また、保水性繊維14には、親水性官能基を有する繊維を含むことができる。具体的には、繊維中、あるいは繊維表面に、−SO3H、−COOH、−NH、−CONH、−CHO、−SH、−OHなどの親水性官能基を有するものであれば良い。このような組成の繊維であれば、繊維中、あるいは繊維間に水分を保持することができるからである。親水性官能基を有する繊維としては、レーヨン、綿、ビニロン、ナイロン、羊毛、アクリレートなどを挙げることができる。
実施形態に係る陽極材10は、上記のような構成の金属棒12の外周に、上記のような構成の保水性繊維14を配置することにより構成されている。保水性繊維14の配置手段は、特に限定されるものでは無く、図2に示すように、金属棒12の外周に、シート状の保水性繊維14を巻き付けるようにしても良いし、金属棒12をシート状、あるいはブロック状の保水性繊維14で挟み込むようにしても良い(当該形態は、不図示)。
このような構成の陽極材10は、使用時には、保水性繊維14に電解液が含浸される。電解液としては、防食対象とする鋼構造物20と金属棒12との間に防食電流が生じるもの、すなわちイオンの移動を生じさせるものであれば良いが、現実には、雨水や大気中の湿分が機能を受け持つ。
なお、実施形態に係る陽極材10の金属棒12は、導電性部材16により、鋼構造物20と接続されることとなる。導電性部材16は、可撓性を有する導線等とすることもできるが、本実施形態では、鋼構造物20に固定することで、陽極材10の位置決めを図る支持具としての役割を担う要素としている。
[変形例]
このようにして、金属棒12の外周に保水性繊維14を配置する形態を採る場合、金属棒12の外周には、図3に示すような棘12aを備えるようにしても良い。棘12aは、金属棒12を基端として放射状に複数配置すると良く、その配置形態は、特に問うものでは無い。金属棒12の外周に棘12aを設け、この棘12aに保水性繊維14を絡める(突き刺す)ように配置することで、金属棒12と保水性繊維14との位置にズレが生じ難くなる。このため、金属棒12を垂直に配置した場合に、自重作用により保水性繊維14が金属棒12の下半部に偏ることを抑制することができる。なお、図3には、棘12aについて、形式的に針状のものを示しているが、棘12aは、保水性繊維14の位置ズレ防止効果を奏することができるものであれば、針状以外の形態とすることもできる。
[鋼構造物への適用1]
次に、上記のような特徴を有する陽極材10を鋼構造物20へ設置する防食工法について説明する。まず、鋼構造物20が、標識や照明柱など、比較的小型で、断面形状を円筒型とする場合の例について説明する。
鋼構造物20が図4(A)に示す標識中のような既設構造物である場合、図4(B)に示すように、鋼構造物20における防食対象領域よりも上部側の領域を切断し、第1開口部22を形成する。標識柱や照明柱の場合、滞水し易い根本部分の腐食進行が大きくなる傾向があり、構造物全体に防食を施す必要性が低いからである。次に、切断した鋼構造物20の下半部における側壁部に、導電性部材16を固定するための第2開口部24を形成する。ここで、第1開口部22は、鋼構造物20に対して陽極材10を挿入するための開口部である。これに対し、第2開口部24は、導電性部材16を挿通、固定するための開口部である。よって、第2開口部24は、第1開口部22に比べて小さな開口部となる。
次に、図4(B)に示すように、鋼構造物20の内部に陽極材10を挿入、配置する。この時、金属棒12の外周に配置する保水性繊維14は、陽極材10を鋼構造物20の内部に配置した際、鋼構造物20の内壁に接することとなるように、密に配置する。金属棒12と鋼構造物20との間に配置する部材を保水性繊維14とすることで、柔軟性を持った繊維が両部材に良好に密着することとなり、防食効果を高めることが可能となる。なお、保水性繊維14の配置範囲は、限定するものではないが、金属棒12を長手方向に覆う範囲とすることで、広い範囲における防食効果を奏することが可能となる。
導電性部材16は、第2開口部24を貫通するように配置し、ナット18等を介して鋼構造物20との導電性が確保された状態で固定される。このため、第2開口部24は、導電性部材16の固定と共に封止されることとなる。上述したように、本実施形態において導電性部材16は、金属棒12の支持具としての役割を担う。このため、第2開口部24を介して鋼構造物20に導電性部材16を固定することで、鋼構造物20の内部において、金属棒12を含む陽極材10の位置決めが成される。
このような配置形態において、保水性繊維14に電解液を含浸させることで、鋼構造物20と金属棒12との間には、金属棒12を陽極、鋼構造物20を陰極とした防食電流が生じることとなる。これにより、金属棒12では酸化反応、鋼構造物20では還元反応が生じ、鋼構造物20の内壁面の防食を図ることが可能となる。
上述のようにして鋼構造物20の内部に陽極材10を設置した後、第1開口部22を形成するために切断した鋼構造物20の上半部を、図4(D)に示すように、鋼構造物20の下半部に接合することで、鋼構造物20を元の状態に戻す。
[鋼構造物への適用2]
次に、上記のような特徴を有する陽極材10を、高架橋の鋼製高欄などの大型構造物に適用する場合の防食工法について説明する。
本形態の鋼構造物20は、図5に示すような高架橋の高欄のような、矩形断面を有する箱体とする。鋼構造物20がこのような形態である場合、天板部分に、陽極材10を挿入するための第1開口部22を形成する。また、上記形態と同様に、箱体の側壁の下半部には、導電性部材16を挿通、固定するための第2開口部24を形成する。なお、天板部分が取り外せる場合には、天板を取り外す事で第1開口部22を構成しても良い。ここで、図5に示すように、断面形状の縦横比が異なり、いわゆる幅広構造である場合、図6に示すように、1つの鋼構造物20に対して複数の陽極材10を配置する。このため、第1開口部22は、大きな面積を持つ1つの開口部とすることができるが、第2開口部24は、配置する陽極材10の数に対応して複数設けるようにする。
陽極材10は、上記形態と同様に、第1開口部22から挿入し、導電性部材16を介して第2開口部24を封止するようにして鋼構造物20に固定する。ここで、図5、図6に示すように、保水性繊維14における鋼構造物20との接触面が平坦面となるように、保水性繊維14を押圧変形させればよい。また、陽極材10を複数配置する場合、その配置間隔は、近接配置される陽極材10との隙間(保水性繊維間14の隙間)が小さくなるように(理想としては隙間が無くなるように)すると良い。
陽極材10の配置間隔は、鋼構造物20の設置場所や使用条件に応じて、適宜配置間隔を調整することが望ましい。なお、保水性繊維14は、上記形態と同様に、金属棒12の軸方向における配置範囲を覆う範囲で配置すれば良い。なお、陽極材10の挿入、配置が終了した後には、上記実施形態と同様に、第1開口部22を封止する。本形態の場合、天板を元に戻せば良い。
このような工法とすることによれば、鋼構造物20が、高架橋の高欄のような大型構造物であっても、防食対策による高欄自体の重量増加割合を抑制することができる。また、金属棒12と保水性繊維14といった簡易な構造、材料により陽極材10を構成しているため、安価であり、かつ取扱い性も良好とすることができる。
なお、上記実施形態のように、鋼構造物20に対して保水性繊維14を備えた陽極材10を配置する場合、陽極材10を配置する前に、鋼構造物20の内部に素地調整を施すと良い。素地調整としては、鋼構造物20の内部に付着した錆や汚れを落とす作業であれば良く、2種ケレン程度でも防食上問題はない。鋼構造物20の内部に素地調整を施すことによれば、防食効果を高めることができる。
10………陽極材、12………金属棒、12a………棘、14………保水性繊維、16………導電性部材、18………ナット、20………鋼構造物、22………第1開口部、24………第2開口部。

Claims (2)

  1. 鋼構造物の上部に第1開口部を設けると共に、側部に前記第1開口部よりも小さな第2開口部を設け、
    前記鋼構造物よりも卑な電位を有する金属棒の外周に保水性繊維を配置した陽極材を前記第1開口部から前記鋼構造物の内部に配置すると共に、前記第2開口部を介して前記金属棒と前記鋼構造物との導通を図った状態で固定することで前記第2開口部を封止することを特徴とする鋼構造物の防食工法。
  2. 前記金属棒の外周には、前記保水性繊維に突き刺さる棘が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の鋼構造物の防食工法。
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