以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
車両には、エンジンが搭載される。エンジンは、シリンダヘッドを備え、シリンダヘッドには、吸気バルブおよび排気バルブ(以下、単にバルブという)が組み付けられる。バルブは、バルブ組付装置(治具)により、シリンダヘッドに組み付けられる。
図1は、本実施形態にかかるバルブ組付装置1の概略斜視図である。ただし、以下では、本実施形態に関係する構成や処理について詳細に説明し、本実施形態と無関係の構成や処理については説明を省略する。
図1に示すように、バルブ組付装置1は、ハンドル3と、ボディ(本体部)5とを備える。ハンドル3は、略円柱形状である。ハンドル3は、作業者がバルブ組付装置1を使用する際に把持される。
ボディ5は、ハンドル3の中心軸が延在する方向(以下、単に軸方向という)において、ハンドル3に接続される。ボディ5は、本体小径部7と、本体大径部9とを有する。本体小径部7および本体大径部9の中心軸は、ハンドル3の中心軸と大凡一致する。本実施形態では、ボディ5は、本体小径部7を設ける例について説明するが、ボディ5は、本体小径部7を設けていなくてもよい。すなわち、ボディ5は、本体大径部9のみにより構成されてもよい。
本体小径部7は、略円柱形状である。本体小径部7は、一端がハンドル3に接続され、他端が本体大径部9に接続される。本体小径部7は、本体大径部9より小さい外径を有する。
本体大径部9は、軸方向に直交する断面が略D字形状であり、軸方向に延在している。本体大径部9は、円柱の一部が軸方向に切り欠かれた切り欠き部9aが形成される。本体大径部9は、一端が本体小径部7に接続され、他端に開口部11が形成される。
図2は、本実施形態にかかるボディ5の概略断面図である。図2に示すように、ボディ5は、内部に収容部13が形成される。収容部13は、開口部11と連通する。収容部13は、縮径穴部13aと、第1小径穴部13bと、大径穴部13cと、第2小径穴部13dとを備える。
縮径穴部13aは、軸方向と直交する断面が円形である。縮径穴部13aは、一端が開口部11に接続され、他端が第1小径穴部13bに接続される。縮径穴部13aの内径は、第1小径穴部13b側から開口部11側に向かって漸減する。すなわち、縮径穴部13aは、少なくとも開口部11側の端部がテーパー形状である。本実施形態では、縮径穴部13aは、第1小径穴部13b側に一定の内径を有し、開口部11側に漸減する内径を有する。ただし、これに限定されず、縮径穴部13aは、第1小径穴部13bから開口部11に向かって漸減する内径を有してもよい。
第1小径穴部13bは、軸方向と直交する断面が円形である。第1小径穴部13bは、一端が縮径穴部13aに接続され、他端が大径穴部13cに接続される。第1小径穴部13bは、一定の内径を有する。第1小径穴部13bの内径は、縮径穴部13aの最も小さい内径と大凡等しい。また、第1小径穴部13bの内径は、縮径穴部13aの最も大きい内径よりも小さい。
大径穴部13cは、軸方向と直交する断面が円形である。大径穴部13cは、一端が第1小径穴部13bに接続され、他端が第2小径穴部13dに接続される。大径穴部13cは、一定の内径を有する。大径穴部13cの内径は、第1小径穴部13bよりも大きい。また、大径穴部13cの内径は、縮径穴部13aの最も大きい内径よりも大きい。
第2小径穴部13dは、軸方向と直交する断面が円形である。第2小径穴部13dは、一端が大径穴部13cに接続され、他端が本体小径部7の内壁により閉塞される。第2小径穴部13dは、一定の内径を有する。第2小径穴部13dの内径は、大径穴部13cおよび第1小径穴部13bの内径よりも小さい。また、第2小径穴部13dの内径は、縮径穴部13aの最も小さい内径よりも小さい。
収容部13は、スピンドル15と、ホルダ17と、スピンドルスプリング19と、ホルダスプリング21とを収容する。スピンドル15は、外周に後述するコッタ25が配置され、後述するバルブステム35と当接可能であり、ボディ5の軸方向に移動可能に構成される。スピンドル15は、第1軸部15aと、フランジ部15bと、第2軸部15cとを備える。
第1軸部15aは、略円柱形状である。第1軸部15aは、一端が収容部13から開口部11側に突出し、他端がフランジ部15bに接続される。第1軸部15aは、少なくとも一部が大径穴部13cに収容される。第1軸部15aは、フランジ部15bと接続する側とは反対側の端部(以下、先端部という)がテーパー形状である。第1軸部15aの先端部は、後述するバルブステム35と当接する側の端部である。第1軸部15aの外径は、フランジ部15bから離隔する方向に向かって漸減する。本実施形態では、第1軸部15aは、フランジ部15b側に一定の外径を有し、先端部側に漸減する外径を有する。ただし、これに限定されず、第1軸部15aは、フランジ部15bから先端部に向かって漸減する外径を有してもよい。
フランジ部15bは、略円柱形状である。フランジ部15bは、一端が第1軸部15aに接続され、他端が第2軸部15cに接続される。フランジ部15bは、大径穴部13cに収容される。フランジ部15bは、一定の外径を有する。フランジ部15bの外径は、第1軸部15aの最も大きい外径よりも大きい。
第2軸部15cは、略円柱形状である。第2軸部15cは、一端がフランジ部15bに接続され、他端が第2小径穴部13d内に収容される。第2軸部15cは、一定の外径を有する。第2軸部15cの外径は、フランジ部15bの外径より小さい。また、第2軸部15cの外径は、第1軸部15aの最も小さい外径より小さい。
ホルダ17は、スピンドル15の第1軸部15aが内部に挿入される。ホルダ17は、後述するコッタ25と当接可能であり、ボディ5の軸方向に移動可能に構成される。ホルダ17は、円筒部17aと、フランジ部17bとを備える。円筒部17aは、円筒形状である。円筒部17aは、一端が縮径穴部13a内に配され、他端がフランジ部17bに接続される。円筒部17aは、少なくとも一部が第1小径穴部13bに収容される。円筒部17aは、フランジ部17bと接続する側とは反対側の端部(以下、先端部という)がテーパー形状である。円筒部17aの外径は、フランジ部17bから離隔する方向に向かって漸減する。本実施形態では、円筒部17aは、フランジ部17b側に一定の外径を有し、先端部側に漸減する外径を有する。ただし、これに限定されず、円筒部17aは、フランジ部17bから先端部に向かって漸減する外径を有してもよい。
フランジ部17bは、略円環形状である。フランジ部17bは、一端が円筒部17aに接続され、他端が大径穴部13c内に配される。フランジ部17bは、一定の外径を有する。フランジ部17bの外径は、円筒部17aの最も大きい外径よりも大きい。円筒部17aおよびフランジ部17bは、一定の内径を有する。ホルダ17の径方向内側には、第1軸部15aが収容される。円筒部17aおよびフランジ部17bの内径は、第1軸部15aの最も大きい外径と大凡等しい。円筒部17aおよびフランジ部17bの内径は、フランジ部15bの外径よりも小さい。
スピンドルスプリング19は、大径穴部13cに収容される。スピンドルスプリング19は、一端がスピンドル15のフランジ部15bと当接し、他端がボディ5の内壁(すなわち、収容部13が形成された面)と当接する。スピンドルスプリング19は、スピンドル15に付勢力を与える。つまり、スピンドルスプリング19は、スピンドル15のフランジ部15bをホルダ17のフランジ部17bと近接(当接)する方向に押圧する。
ホルダスプリング21は、大径穴部13cに収容される。ホルダスプリング21は、スピンドルスプリング19の径方向外側に配される。したがって、スピンドルスプリング19の少なくとも一部は、ボディ5の軸方向と直交する方向において、ホルダスプリング21と重複している。ホルダスプリング21は、一端がホルダ17のフランジ部17bと当接し、他端がボディ5の内壁(すなわち、収容部13が形成された面)と当接する。ホルダスプリング21は、ホルダ17に付勢力を与える。つまり、ホルダスプリング21は、ホルダ17のフランジ部17bを大径穴部13cと第1小径穴部13bとの間の段差面と近接(当接)する方向に押圧する。なお、ホルダスプリング21は、スピンドルスプリング19の付勢力よりも大きい付勢力を有する。
開口部11には、係止部材としてのリテーナ23およびコッタ25が配される。リテーナ23およびコッタ25は、後述するバルブ33のバルブステム35に取り付けられる。コッタ25は、バルブ33のバルブステム35と係合する。リテーナ23は、コッタ25がバルブステム35と係合することで移動が制限され、バルブステム35の径方向外側(周囲)に配されたバルブスプリングを係止する。
開口部11は、軸方向と直交する断面が円形である。開口部11は、小径穴部と、拡径穴部とが設けられる。開口部11の小径穴部は、一端が縮径穴部13aに接続され、他端が拡径穴部に接続される。開口部11の小径穴部は、一定の内径を有する。開口部11の拡径穴部は、一端が開口部11の小径穴部に接続され、他端がボディ5の外部に開口する。開口部11の拡径穴部は、開口部11の小径穴部から離隔するほど漸増する内径を有する。
リテーナ23は、略円環形状である。リテーナ23の最大外径は、開口部11の小径穴部の内径より小さい。したがって、開口部11は、小径穴部および拡径穴部内にリテーナ23を収容可能である。
ボディ5は、開口部11内、つまり、リテーナ23と軸方向に対向する部位に、磁石27が配される。磁石27は、ボディ5の中心軸周り(周方向)に複数設けられる。本実施形態では、複数の磁石が周方向に配される例について説明するが、これに限定されず、円環形状の磁石27が配されてもよい。また、磁石27は、円環形状に限定されず、例えば、円形状、楕円形上、矩形状、あるいは、多角形状に形成されてもよい。
本実施形態では、リテーナ23は、磁性体である。リテーナ23は、磁石27の磁力により、ボディ5に近接する方向に引き寄せられる。磁石27をボディ5の周方向に複数配することで、ボディ5は、リテーナ23を容易に保持することができる。コッタ25は、リテーナ23の中央部に収容される。これにより、ボディ5は、リテーナ23の内周にコッタ25を収容した状態でリテーナ23およびコッタ25を開口部11内に保持する。
図3は、本実施形態にかかるリテーナ23およびコッタ25の概略断面図である。図3に示すように、リテーナ23は、円環形状である。コッタ25は、円筒を軸方向に2分割した半円筒形状である。
リテーナ23は、中央部に複数のコッタ25を収容するコッタ収容部23aが形成される。本実施形態では、リテーナ23は、コッタ収容部23aに2つのコッタ25を収容している。コッタ収容部23aの内周面は、テーパー形状である。コッタ収容部23aの内径は、リテーナ23の上面23b側(図2に示すボディ5と近接する側)から下面23c側(図2に示すボディ5から離隔する側)に向かって漸減する。また、リテーナ23は、コッタ収容部23aよりも径方向外側に段差部23dが形成される。段差部23dは、下面23cに形成される。
コッタ25は、コッタ収容部23aに収容される。コッタ25は、コッタ収容部23aの内周面と当接することで、リテーナ23に保持される。コッタ25の外周面は、テーパー形状である。コッタ25の外径は、上面25a側(図2に示すボディ5と近接する側)から下面25b側(図2に示すボディ5から離隔する側)に向かって漸減する。コッタ25の内周面には、突起部25cが形成される。コッタ25の突起部25cを除く内周面は、一定の内径を有する。突起部25cは、断面が半円形状である。突起部25cは、コッタ25の内周面から径方向内側に突出する。突起部25cは、コッタ25の内周面のうち最も小さい内径を有する。
図4は、バルブ組付け作業開始時の状態を示す図である。図4に示すように、エンジンEのシリンダヘッド29には、貫通孔29aが形成されている。貫通孔29aには、バルブガイド31が圧入されている。バルブガイド31は、円筒形状である。バルブガイド31は、一定の内径を有する。バルブガイド31の内周面側には、バルブ33が挿通される。
本実施形態において、バルブ33は、吸気バルブ、あるいは、排気バルブである。バルブ33は、シリンダヘッド29に形成された不図示の吸気ポート、あるいは、排気ポートを不図示の燃焼室に対して開閉する。バルブ33は、不図示のバルブヘッドと、バルブステム35を備える。バルブ33は、一端にバルブヘッドが配され、他端にバルブステム35が配される。バルブヘッドは、円盤形状である。バルブステム35は、円柱形状である。バルブステム35は、一定の外径を有する。バルブステム35は、バルブヘッドの中央部からバルブヘッドの中心軸に沿って延在する。バルブステム35は、バルブガイド31内に収容され、バルブガイド31の内周面を摺動可能に構成される。
バルブ33の一端(バルブヘッド)は、エンジンEの内部に配され、バルブ33の他端(バルブステム35の端部)は、エンジンEの外部に配される。つまり、バルブステム35の端部は、シリンダヘッド29の外部に突出(露出)している。シリンダヘッド29の外部に突出したバルブステム35の端部は、環状溝35aが形成される。環状溝35aは、バルブステム35の周方向に延在する。環状溝35aは、コッタ25の突起部25cと係合可能に構成される。
以下、バルブ33のバルブステム35にリテーナ23およびコッタ25を組み付ける方法について説明する。図4に示すように、まず、作業者は、シリンダヘッド29の外部に突出するバルブステム35にバルブスプリング37を挿通させる。バルブスプリング37は、バルブガイド31およびバルブステム35の径方向外側に配される。
ここで、バルブ33は、不図示の保持手段によりバルブステム35の端部がシリンダヘッド29の外部に突出した状態で保持される。例えば、作業者は、エンジンEの内部に圧縮空気を供給する。エンジンEの内部に圧縮空気が供給されると、エンジンEの内部に配されたバルブヘッドは、圧縮空気によりシリンダヘッド29と当接する方向に押圧される。バルブヘッドが押圧されると、バルブ33は、バルブステム35の端部がシリンダヘッド29の外部に突出した状態で保持される。
また、作業者は、コッタ25をリテーナ23のコッタ収容部23aに収容させた状態で、リテーナ23およびコッタ25をボディ5の開口部11内に導入させる。リテーナ23およびコッタ25が開口部11内に導入されると、ボディ5は、磁石27の磁力によりリテーナ23およびコッタ25を保持する。これにより、作業者がリテーナ23およびコッタ25から手を離しても、リテーナ23およびコッタ25は、ボディ5から脱落せずにボディ5に保持される。このとき、スピンドル15の第1軸部15aの先端部は、コッタ25の内部に進入している。具体的に、第1軸部15aの先端部は、コッタ25の上面25a(図3参照)と突起部25cとの間に配される。第1軸部15aの先端部は、コッタ25の突起部25cから下面25b側に突出しない。
また、図1に示すように、ボディ5には、切り欠き部9aが形成されている。リテーナ23は、ボディ5に保持された際、一部が切り欠き部9aから外部に露出する。これにより、作業者は、外部に露出したリテーナ23の一部を容易に把持することができる。したがって、作業者は、リテーナ23およびコッタ25をボディ5に保持させた際に、リテーナ23およびコッタ25の位置が所定の位置からずれた場合に、リテーナ23およびコッタ25をボディ5から容易に取り外すことができる。
図4に示すように、作業者は、ボディ5の開口部11をバルブステム35およびバルブスプリング37に向けて対向させる。バルブスプリング37がシリンダヘッド29側に配され、リテーナ23およびコッタ25がボディ5側に吸着保持されているので、作業者は、容易かつ安全にバルブ組付け作業を開始することができる。そして、作業者は、バルブ組付装置1をボディ5の軸方向に沿ってシリンダヘッド29に向けて押圧する。作業者がバルブ組付装置1をシリンダヘッド29に向けて押圧すると、ボディ5の開口部11は、バルブステム35およびバルブスプリング37に近接する。
図5は、コッタ25とバルブステム35が当接した状態を示す図である。作業者がコッタ25をバルブステム35に当接させる。このとき、図5に示すように、リテーナ23の下面23cに形成される段差部23d(図3参照)は、バルブスプリング37と当接する。バルブスプリング37は、段差部23dと係合する。その後、作業者は、シリンダヘッド29側に向かってバルブ組付装置1を軸方向に押圧する。このとき、ボディ5は、リテーナ23を介してバルブスプリング37を押圧する。つまり、リテーナ23の下面23cに形成される段差部23dは、バルブスプリング37を押圧する。また、バルブステム35の上端は、コッタ25の内周面側に進入し、コッタ25の突起部25cと当接する。
図6は、コッタ25がバルブステム35により押圧された状態を示す図である。作業者がバルブ組付装置1をシリンダヘッド29に向けて押圧すると、図6に示すように、コッタ25の突起部25cは、バルブステム35の上端により押圧され、図6中上方に移動する。
コッタ25の突起部25cは、図6中上方に移動すると、スピンドル15の第1軸部15aの先端部と当接する。第1軸部15aのうちコッタ25と当接する端部(先端部)は、テーパー形状である。コッタ25の突起部25cは、バルブステム35の上端により押圧されると、第1軸部15aのテーパー形状に沿って、第1軸部15aの径方向外側へ移動しようとする。しかし、コッタ25の突起部25cの径方向外側には、コッタ収容部23aの内周面が配されている。そのため、コッタ25は、コッタ収容部23aの内周面により径方向外側への移動が制限される。
したがって、コッタ25の突起部25cは、第1軸部15aの先端部と当接した状態で、第1軸部15aの先端部を図6中上方に押圧する。ここで、スピンドル15は、スピンドルスプリング19により付勢力が与えられる。コッタ25の突起部25cは、スピンドルスプリング19の付勢力に抗し、スピンドル15を押圧する。その結果、スピンドル15は、図6中上方に移動する。
また、コッタ25の上面25a側(図3参照)の端部は、図6中上方に移動すると、ホルダ17の円筒部17aの先端部と当接する。コッタ25は、バルブステム35の上端により押圧されると、ホルダ17の円筒部17aの先端部を図6中上方に押圧する。ここで、ホルダ17は、ホルダスプリング21により付勢力が与えられる。コッタ25の上面25a側の端部は、ホルダスプリング21の付勢力に抗し、ホルダ17を押圧する。その結果、ホルダ17は、図6中上方に移動する。
図7は、コッタ25の突起部25cがコッタ収容部23a内から縮径穴部13a内に進入した状態を示す図である。作業者がバルブ組付装置1をシリンダヘッド29に向けてさらに押圧すると、図7に示すように、コッタ25の突起部25cは、バルブステム35の上端により押圧され、コッタ収容部23a内から縮径穴部13a内に進入する。
縮径穴部13aの内径は、リテーナ23のコッタ収容部23aの内径よりも大きい。そのため、コッタ25は、縮径穴部13a内に進入すると、コッタ収容部23aの内周面よりも径方向外側に移動することができる。スピンドルスプリング19は、スピンドル15をバルブステム35の上端と近接する方向に押圧する。このとき、スピンドル15の第1軸部15aの先端部は、コッタ25の突起部25cを第1軸部15aの径方向外側に押圧する。
ここで、コッタ25の下面25b側(図3参照)の端部は、コッタ収容部23a内に収容される。また、コッタ25の上面25a側(図3参照)の端部は、縮径穴部13a内に収容される。コッタ収容部23aの内径が縮径穴部13aの内径より小さいため、コッタ25の下面25b側の端部は、コッタ25の上面25a側の端部よりも第1軸部15aの径方向外側への移動が制限される。したがって、図7に示すように、2つのコッタ25がスピンドル15の第1軸部15aの先端部により押圧されると、2つのコッタ25の間隔は、下面25b側よりも上面25a側が大きくなる。なお、縮径穴部13aは、2つのコッタ25の上面25a側の間隔が所定間隔以上とならない(すなわち、2つのコッタ25が開きすぎない)ように、最大内径の値が設定されている。つまり、縮径穴部13aは、2つのコッタ25の間隔が所定間隔以上とならないように、2つのコッタ25の径方向外側への移動を制限する。
これにより、2つのコッタ25は、上面25a側が開かれる。このとき、スピンドル15の第1軸部15aの先端部は、バルブステム35の上端と近接する方向に移動することができる。スピンドル15は、スピンドルスプリング19により押圧され、第1軸部15aの先端部がバルブステム35の上端と当接する。その後、バルブステム35の上端は、スピンドルスプリング19の付勢力に抗し、スピンドル15を押圧する。これにより、スピンドル15は、ボディ5内(図7中上方)に移動する。
また、ホルダ17の円筒部17aは、コッタ25と当接する側の端部(先端部)がテーパー形状である。2つのコッタ25が開かれると、コッタ25の上面25a側の端部の内径は、ホルダ17の円筒部17aの先端部(テーパー形状)の外径より大きくなる。ホルダスプリング21によりホルダ17が押圧され、ホルダ17の円筒部17aの先端部は、2つのコッタ25の間(内周面側)に進入する。ホルダ17の円筒部17aの先端部は、コッタ25の内周面を図7中下方に押圧する。これにより、2つのコッタ25は、上面25a側が閉じる方向(互いに近接する方向)への移動が制限される。このとき、コッタ25の突起部25cの内径は、バルブステム35の外径より大きくなる。
図8は、コッタ25がバルブステム35に挿通される状態を示す図である。図8に示すように、2つのコッタ25は、ホルダ17により内周面が押圧されて、上面25a(図3参照)側が開かれている。このとき、コッタ25の突起部25cの内径は、バルブステム35の外径より大きい。そのため、作業者がバルブ組付装置1をシリンダヘッド29に向けて押圧すると、バルブステム35の上端は、コッタ25の突起部25cの内側を通過する。このように、コッタ25は、ホルダ17により内周面が押圧された状態で、バルブステム35に挿通される。
コッタ25がバルブステム35に挿通された後、図8に示すように、バルブステム35の上端は、ホルダ17の円筒部17a内に進入する。ここで、スピンドル15における第1軸部15aの最大外径は、バルブステム35の外径より僅かに大きい。また、ホルダ17における円筒部17aの内径は、バルブステム35の外径より僅かに大きい。したがって、スピンドル15の第1軸部15aは、バルブステム35の上端をホルダ17の円筒部17a内に案内(ガイド)することができる。
図9は、コッタ25の突起部25cが、バルブステム35の環状溝35aを通過した状態を示す図である。作業者がバルブ組付装置1をシリンダヘッド29に向けて押圧すると、図9に示すように、コッタ25の突起部25cは、バルブステム35の環状溝35aを通過する。コッタ25の突起部25cが環状溝35aを通過した後、作業者は、バルブ組付装置1をシリンダヘッド29から離隔させる方向に移動させる。
リテーナ23は、バルブスプリング37から付勢力を受け、ボディ5の開口部11の内周面側に押圧される。また、リテーナ23は、磁石27の磁力により、ボディ5の開口部11の内周面に吸着される。したがって、バルブ組付装置1がシリンダヘッド29から離隔する方向(図9中上方)に移動すると、リテーナ23は、バルブ組付装置1の移動に追従して、図9中上方に移動する。
一方、コッタ25は、ホルダ17により図9中下方に押圧される。バルブ組付装置1(ボディ5)およびリテーナ23が図9中上方に移動すると、縮径穴部13aおよびコッタ収容部23aは、コッタ25に対し、相対的に図9中上方に移動する。そのため、コッタ25は、縮径穴部13aからリテーナ23のコッタ収容部23a内に導入される。上述したように、縮径穴部13aは、開口部11側の端部がテーパー形状である。したがって、コッタ25全体が縮径穴部13a内に収容されていたとしても、コッタ25の下面25b側(図3参照)の端部は、縮径穴部13aのテーパー形状にガイドされ、縮径穴部13a内からコッタ収容部23a内に確実に移動することができる。
リテーナ23のコッタ収容部23aは、図9中下方に向かって内径が漸減するテーパー形状である。リテーナ23が図9中上方に上昇すると、コッタ収容部23aの内周面は、コッタ25の外周面と当接する。また、バルブステム35の外周面は、コッタ25の突起部25cと当接する。この状態で、リテーナ23が図9中上方に上昇すると、コッタ収容部23aの内周面は、コッタ25を図9中上方に押圧しながら、バルブステム35に近接する方向(径方向内側)に押圧する。そのため、コッタ25は、突起部25cがバルブステム35の外周面に押圧(当接)された状態で、リテーナ23と一体的に図9中上方に上昇する。
なお、コッタ25の突起部25cが環状溝35aを通過した後、スピンドル15の第2軸部15cの端部は、第2小径穴部13dの端部(ボディ5の内壁)と当接してもよい。第2軸部15cの端部が第2小径穴部13dの端部と当接すると、スピンドル15は、バルブステム35の上端に押圧されても、図9中上方に移動しなくなる。したがって、バルブ組付装置1をシリンダヘッド29に向けて押圧しても、バルブ組付装置1はシリンダヘッド29と近接する方向に移動しなくなるため、コッタ25の突起部25cが環状溝35aを通過したことを作業者が認識しやすくなる。
図10は、バルブ組付け作業終了時の状態を示す図である。リテーナ23およびコッタ25が上昇すると、図10に示すように、コッタ25の突起部25cは、バルブステム35の環状溝35aと係合する。コッタ25は、突起部25cが環状溝35aと係合すると、バルブステム35の軸方向(図10中上下方向)への移動が制限される。つまり、コッタ25は、突起部25cが環状溝35aに係合すると、図10中上方に移動しなくなる。
コッタ25の外周面は、図10中上方に向かって外径が漸増するテーパー形状である。また、リテーナ23のコッタ収容部23aは、図10中下方に向かって内径が漸減するテーパー形状である。リテーナ23は、バルブスプリング37により図10中上方に押圧されている。そのため、コッタ収容部23aの内周面は、コッタ25を図10中上方に押圧しながら、バルブステム35に近接する方向(径方向内側)に押圧する。したがって、リテーナ23は、軸方向においてコッタ25の突起部25cがバルブステム35の環状溝35aに到達したとき、コッタ25を径方向内側に移動させる。これにより、コッタ25の突起部25cは、環状溝35aと係合する。
突起部25cが環状溝35aと係合したとき、コッタ25の最大外径は、リテーナ23におけるコッタ収容部23aの最小内径よりも大きい。したがって、リテーナ23が図10中上方へ移動すると、リテーナ23のコッタ収容部23aの内周面は、コッタ25の外周面と当接(係合)する。
リテーナ23がコッタ25と係合すると、リテーナ23は、図10中上方への移動が制限される。つまり、リテーナ23は、コッタ25の外周面に当接すると、図10中上方に移動しなくなる。ここで、リテーナ23は、バルブスプリング37により図10中上方に押圧されているため、図10中下方に脱落せずに、バルブスプリング37により支持される。
リテーナ23がコッタ25と係合した状態で、バルブ組付装置1が図10中上方へ移動すると、ボディ5は、リテーナ23およびコッタ25から離隔する。つまり、ボディ5は、リテーナ23およびコッタ25の保持を解除する。その後、バルブ組付装置1が図10中上方へ移動すると、スピンドル15は、バルブステム35の上端から離隔する。これにより、バルブステム35に対するリテーナ23およびコッタ25の組付け作業が終了する。
このように、バルブ組付装置1は、リテーナ23およびコッタ25によってバルブスプリング37をバルブステム35に係止させる。本実施形態のバルブ組付装置1は、ボディ5がリテーナ23およびコッタ25を保持する。つまり、バルブ組付装置1は、リテーナ23およびコッタ25を保持し、ボディ5の軸方向に移動可能な保持部材を別途備えていない。そのため、バルブ組付装置1は、別途保持部材を備える場合と比べて、ボディ5の軸方向の長さ(バルブ組付装置1の全長)を短くすることができる。ボディ5の軸方向の長さが短くなると、作業者は、バルブ組付装置1をボディ5の軸方向に沿って押圧し易くなる。その結果、バルブ組付け作業時の効率を向上させることができる。
また、バルブ組付装置1は、ボディ5の軸方向に移動可能な保持部材をガイドするガイド部を備えていない。そのため、バルブ組付装置1は、保持部材をガイドするガイド部を備える場合と比べて、部品点数を削減することができる。
また、バルブ組付装置1を操作する作業者は、スピンドル15がバルブステム35に当接した状態でボディ5をバルブステム35の軸方向に向けて移動させる。このとき、コッタ25は、バルブステム35の外周をバルブステム35の軸方向に沿ってホルダ17によって移動させられる。また、リテーナ23は、コッタ25とは別にボディ5によってバルブステム35の軸方向に沿って移動させられる。
このように、コッタ25は、ボディ5とは別体のホルダ17によって移動させられる。このとき、ホルダ17は、リテーナ23のコッタ収容部23a内にコッタ25を収容させるようにコッタ25を押圧している。これにより、図9に示すように、ホルダ17は、バルブ組付装置1が図9中上方に移動したとき、コッタ25の外周面をコッタ収容部23aの内周面に容易に当接させることができる。
コッタ収容部23aの内周面がコッタ25の外周面と当接した状態で、バルブ組付装置1が図9中上方に移動すると、コッタ収容部23aの内周面は、コッタ25をバルブステム35に近接する方向(径方向内側)に押圧する。これにより、コッタ25の突起部25cは、環状溝35aと容易に係合することができる。したがって、ホルダ17は、コッタ25を押圧することで、コッタ25の突起部25cが環状溝35aと係合せずに組み付け作業が失敗する確率を低減させることができる。
また、バルブ組付装置1は、ボディ5に磁石27を備えている。そのため、ボディ5にリテーナ23およびコッタ25を容易に保持させることができ、作業時の効率をより向上させることができる。加えて、ボディ5に磁石27を備えていることから、バルブステム35に対するリテーナ23およびコッタ25の組み付け作業が失敗した場合でも、ボディ5は、リテーナ23およびコッタ25を保持し続けることができる。例えば、バルブ組付け作業終了時に、コッタ25の突起部25cがバルブステム35の環状溝35aと係合していない場合がある。その場合、バルブ組付装置1をシリンダヘッド29から離隔させると、リテーナ23およびコッタ25は、バルブスプリング37の付勢力によりバルブステム35から外れる。このとき、ボディ5は、リテーナ23およびコッタ25を磁石27により保持していないと、リテーナ23およびコッタ25が紛失、あるいは、損傷する可能性がある。本実施形態では、ボディ5が、磁石27を備え、バルブ組付け作業の失敗時にリテーナ23およびコッタ25を保持し続けることで、リテーナ23およびコッタ25の紛失、あるいは、損傷を低減することができ、結果として作業時の効率をより一層向上させることができる。
また、バルブ組付装置1は、スピンドルスプリング19とホルダスプリング21とをボディ5の軸方向と直交する方向に重複させて配置している。これにより、バルブ組付装置1は、スピンドルスプリング19とホルダスプリング21とをボディ5の軸方向に沿って配置する場合よりも、ボディ5の軸方向の長さを短くすることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施形態では、ボディ5は、磁石27を備える例について説明した。しかし、これに限定されず、ボディ5は、磁石27を備えていなくてもよい。また、ボディ5は、リテーナ23を吸着保持するための磁石27とは別の磁石を備えていてもよい。例えば、ボディ5は、コッタ25を吸着保持するための磁石を備えていてもよい。
上記実施形態では、バルブ組付装置1は、ボディ5の軸方向と直交する方向において、スピンドルスプリング19がホルダスプリング21と重複して配置する例について説明した。しかし、これに限定されず、バルブ組付装置1は、ボディ5の軸方向と直交する方向において、スピンドルスプリング19がホルダスプリング21と重複して配置されていなくてもよい。
上記実施形態では、第1軸部15aの先端部および円筒部17aの先端部は、テーパー形状である例について説明した。しかし、これに限定されず、第1軸部15aの先端部および円筒部17aの先端部は、テーパー形状でなくてもよい。