JP2020003277A - 受配電機器の短絡余寿命診断方法および短絡余寿命診断システム - Google Patents
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Abstract
Description
つまり、絶縁体の劣化は環境要因と放電要因により進展し、放電発生以後は劣化速度が増加する。
また、特許文献2に記載の部分放電測定による方法では、放電の発生を対象としているが放電の発生は湿度の影響を大きく受け、一度放電しても湿度が低下すると放電が停止することもあるため、診断結果がばらつくという問題があり、さらに、放電が発生しない段階での適用はできないという問題もある。
実施の形態1を図1から図13までに基づいて説明する。本実施の形態1に係る短絡余寿命診断方法は、絶縁体を備えた受配電機器の短絡余寿命を診断する方法である。
ここでいう診断対象の絶縁体とは、受配電機器が備える絶縁体(例えば、電圧が印加される主回路の支持物など)のうち、絶縁劣化を診断したい絶縁体、例えば、絶縁劣化の進行が早く、受配電機器の寿命において重要となる絶縁体である。絶縁体の一例として、不飽和ポリエステル絶縁物、フェノール絶縁物、エポキシ絶縁物等があるが、これらに限定されるものでない。
まず、診断対象である受配電機器の使用条件および受配電機器の絶縁体のパラメータ条件に基づいて、絶縁体の放電及び短絡が発生する表面抵抗率を求める(ステップS1)。
具体的には、診断対象である受配電機器の定格電圧、使用周波数および受配電機器に含まれている絶縁体の厚さ、沿面距離、誘電率の条件に基づいて、予め定められた所定の演算式に基づいて、放電が発生する表面抵抗率を求める。
そして、測定結果を取得する(ステップS3)。
次表1は、硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに色彩データ(色パラメータともいう)の測定結果を説明するものである。
上述したように、受配電機器の絶縁体の経年劣化による短絡は、表面抵抗率の低下が起因であるので、絶縁体の劣化度として表面抵抗率を求めることは適切である。
本実施の形態1においては、硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに色彩データから診断対象である受配電機器の絶縁体の表面抵抗率を以下の如く算出する。
図2において、縦軸は、表面抵抗率であり、横軸として、絶縁体の初期状態を基準とした基準からのマハラノビスの距離を劣化の指標とした相関図が示されている。
具体的には、予め、絶縁体の初期状態と所定時間後の状態の硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに色彩データを測定し、測定のばらつきおよび相関を考慮にいれた1つの指標、本実施の形態1においてはマハラノビスの距離で絶縁体の劣化度を表し、その指標と表面抵抗率の実測値との相関関係に従って例えば特許第4121430号公報に示す所定の相関式を算出する。
ステップS5の処理において、放電が発生する表面抵抗率よりも大きい場合には、ステップS8に進む。
表1には、一例として、測定した絶縁体の硝酸イオン付着量に対する硫酸イオン付着量および色彩データの比を示している。表1の色彩は絶縁体を色彩計で測定し、CIE 1976(L*、a*、b*)色空間で表した色彩データの中の色彩b*である。
受配電機器の交換推奨時期は25〜30年であり、長期間にわたる環境劣化の結果が硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに色彩データの測定値となる。
すなわち、当該算出した比に基づいて、硝酸イオン付着量の時間依存性から環境要因による硫酸イオン付着量および色彩データの時間依存性を算出することが可能である。
図3は、硝酸イオン付着量の時間依存性式を導出するための実験装置を説明する斜視図である。
診断対象である受配電機器の使用年数と硝酸イオン付着量の実測値を上式(1)のtとf(t)にそれぞれ代入することにより、診断対象である受配電機器が設置されている環境の見かけの大気中のNOx濃度Aを求めることができる。
また、環境要因による硝酸イオン付着量の時間依存性式に基づいて、上記算出した硝酸イオン付着量に対する硫酸イオン付着量および色彩データの比を用いて、環境要因による硫酸イオン付着量の時間依存性式および環境要因による色彩データの時間依存性式を導出する。
これにより、放電が発生していない絶縁体について、大気中のNOx、SOx,塵埃および汚染物からの影響を受ける環境要因による劣化度合を診断することが可能である。
図4は、環境要因による受配電機器に含まれる絶縁体の表面抵抗率の時間依存性曲線(第1の時間依存性曲線)201を説明する線図である。
図4に示される環境要因による受配電機器に含まれる絶縁体の表面抵抗率の時間依存性曲線201は、上述した硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに色彩データの時間依存性式に基づいて、硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに色彩データを算出する。そして、算出した硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに色彩データに基づいて、マハラノビスの距離を算出する。また、図2で説明した表面抵抗率とマハラノビスの距離との所定の相関式に基づいて表面抵抗率を算出することにより環境要因による受配電機器に含まれる絶縁体の表面抵抗率の時間依存性曲線201を導出することが可能である。
図5は、相対湿度(RH%)と表面抵抗率との関係を説明する図である。
図5に示されるように表面抵抗率は相対湿度により変化する。複数の曲線を記載しているが、上方の曲線は劣化が少ないもの、下方の曲線は劣化が進展したものを示す。図5から、同じ相対湿度でも劣化が進展したものほど表面抵抗率が低くなることがわかる。
例えば、図5で湿度50%RH(図5中のP)の表面抵抗率は約1×10+11Ωであるが、湿度が図5中のQ%RHに上昇すると表面抵抗率は1×10+9Ω(図5中のRs)に低下する。したがって、一定湿度以上となって、絶縁体の表面抵抗率が下がり、算出した放電が発生する表面抵抗率以下となった場合に放電が発生し、湿度が低くなると絶縁体の表面抵抗率が上がり、算出した放電が発生する表面抵抗率よりも大きくなり、放電が発生しなくなる。
再び、図1に示すフローにおいて、本実施の形態1においては、当該相対湿度(RH%)と表面抵抗率との所定の関係式に基づいて、上述した放電が発生する表面抵抗率から放電が発生する相対湿度を算出する(ステップS11)。
なお、放電が発生する時間の算出は次のように行う。対象とする電気機器EMの年間湿度データ(湿度0%から100%を横軸とし、縦軸に横軸の各湿度対応の累計時間を表示)により年間の放電発生時間を算出する。具体的には、放電が発生する表面抵抗率の閾値は上記ステップ11にて算出済みであるため、図5から放電が発生する最低湿度が求まり、この最低湿度以上になる年間の累計時間が求める放電発生時間となる。
また、図12及び図13に示すように、受配電機器としての電気機器EMが収納される電気機器盤11の内部環境における湿度データは湿度検出器14により測定される。部分放電電流データは電源電圧位相検出器(VT)12および変成器(HFCT)13からなる放電検出手段CDにより検出される。
ここで、部分放電電流とは、受配電機器としての電気機器EMに設けられた絶縁体の表面に発生する部分放電により、絶縁体の課電部位から接地部位としての接地線へ絶縁体の表面に沿って流れる漏れ電流であって、接地線電流ECに相当する。
放電検出手段CDの検出信号を処理する信号処理部15では、電気機器(診断対象)EMで発生し変成器(HFCT)で検出された部分放電による接地線電流ECの検出波形について、電源電圧位相検出器(VT)12で検出する電源電圧波形と位相比較し、この比較結果から同定・評価部16は部分放電の発生を同定・評価する。すなわち、部分放電は電気機器EMの電源電圧波形の振幅が上昇するタイミング(電源電圧波形の位相が0〜90°及び180〜270°)で発生し易いことに着目し、計測された電気機器EMの接地線電流ECと、電源電圧波形および位相を比較して、電源電圧波形の特定の位相範囲内の接地線電流ECを部分放電によるものと同定・評価する。
(1)「接地電流面積:大」&「湿度:低」⇒K1
(2)「接地電流面積:大」&「湿度:高」⇒K2
(3)「接地電流面積:小」&「湿度:低」⇒K3
(4)「接地電流面積:小」&「湿度:高」⇒K4
ここで、K1は劣化末期に近く、K4は劣化初期に近いものであり、寿命診断の観点から優先度の高い順に並べると、K1>K2>K3>K4の関係になる。
なお、接地電流面積:大/小、湿度:高/低の、各判定基準(数値による区分)については、診断対象毎の実績に基づく経験値より決定する。
・放電未検出となった場合:K4
・パターン変更となった場合:K=Kt-1(変更前)⇒K=Kt(変更後)
このようにして、オンライン(リアルタイム)監視にて相関係数K1〜K4を用いることで、注意が必要な電気機器EMを特定して監視することができる。
相関係数K1〜K4は、監視者に対して注意すべき度合いを示すものであり、短絡余寿命診断の計算式に影響するものではない。
ただし、K1〜K4の状況にあるということは絶縁体の表面で部分放電が発生している可能性が高いため、K1〜K4の状況では無い電気機器EMに比べて注意が必要な状態であるとみなして特に注意して監視を行うことになる。必要があれば、K1〜K4の状態になった場合は、監視員に対してK1〜K4の区分を含めたアラームを発することも有効である。
なお、ここでは接地電流面積:大/小ならびに湿度:高/低として評価し、相関係数:K1〜K4(4パターン)を当てはめるようにしているが、これは一例であり、更に細分化(nパターン:K1〜Kn)した形態であってもよい。
以上のようにして放電の発生の有無を検知し、放電発生時間を求める。
図6は、本実施の形態1における短絡加速試験装置を説明するブロック図である。
図6に示されるように、本実施の形態1における短絡加速試験装置は、トランス4と、デジタルオシロスコープ5と、恒温・恒湿槽6とで構成される。そして、恒温・恒湿槽6に絶縁体1bが配置され、絶縁体1bに電圧を印加することにより放電が発生するように構成される。
図7に示すように、ここでは、予め劣化させたポリエステルの絶縁体1bが設けられ、トランス4により変圧された電圧が印加される高電圧電極7が絶縁体1bに取り付けられる。また、接地電極8が絶縁体1bに取り付けられ、トランス4を介して高電圧を印加することで放電が発生するように構成されている。
硝酸イオン付着量の測定は、純水を含ませたろ紙を絶縁体1bに押し当てることによりイオンを回収し、その回収したイオンをイオンクロマトグラフで測定した。
図8に示すように、本実施の形態1においては、湿度90%、80%、60%の3種類の湿度で実験した場合の硝酸イオン付着量の時間変化が示されている。
ここで、いずれの湿度でも試験時間が増加するとともにイオン付着量が増加した。イオン付着量は試験時の湿度の影響を受け、湿度が高いほど増加した。
上式(2)で表される硝酸イオン付着量は常時放電が発生しているときに付着する量であるが、前述のとおり実際の機器の設置環境では常に湿度が変化しているため、一定湿度以上になると放電が発生し、湿度が低くなると放電が発生しなくなる。
したがって、上記の式(2)に従って、受配電機器の設置現場での放電による硝酸イオン付着量を求めることができる。
図9は、環境要因および放電要因による受配電機器に含まれる絶縁体の表面抵抗率の時間依存性曲線を説明する図である。
図9においては、環境要因による絶縁体の表面抵抗率の時間依存性曲線201が点線で示され、放電発生以降の絶縁体の表面抵抗率の時間依存性曲線202が実線で示されている。
具体的には、上式に基づく年毎の硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに色彩データからマハラノビスの距離を算出する。そして、図2で説明した表面抵抗率とマハラノビスの距離との所定の相関式に基づいて表面抵抗率を算出することにより環境要因および放電要因による受配電機器に含まれる放電発生以降の絶縁体の表面抵抗率に係る時間依存性曲線(第2の時間依存性曲線)202を導出することが可能である。
具体的には、図9において、放電発生以降の絶縁体の表面抵抗率の時間依存性曲線(第2の時間依存性曲線)202と予め定められた短絡閾値とから短絡余寿命を判断する。
短絡閾値は、短絡加速試験により短絡時の表面抵抗率を実測した値を用いることとした。一例として、湿度90%での短絡加速試験において、短絡時の硝酸イオン付着量は1.5mg/cm2であった。
前記ステップS3により得た絶縁体に付着している硝酸イオン付着量から、前記ステップS6により算出した放電要因による硝酸イオン付着量を引いて環境要因による硝酸イオン付着量を求める(ステップS7)。
ステップS7で上記のような操作を行う理由は、図9の「放電発生」時点を把握するためである。すなわち、ステップS5において「表面抵抗率が、放電が発生する表面抵抗率よりも小さいと判断」した場合には、その時点で既に過去に何回かの放電が発生しているため、短絡余寿命診断の実施時点では、図9の「放電発生」時点の位置から右下に伸びる放電要因による表面抵抗率の時間依存性曲線(第2の時間依存性曲線)202上のどこかに位置していることになる。このため、ステップS6で放電要因による硝酸イオン付着量を求め、ステップS7で絶縁体に付着している硝酸イオン付着量から前記放電要因による硝酸イオン付着量を差引いて環境要因による硝酸イオン付着量を求めることで、まずは、環境要因による絶縁体の表面抵抗率の時間依存性曲線(第1の時間依存性曲線)201を求める。次いで、ステップS6にて算出した放電要因による硝酸イオン付着量と放電要因による表面抵抗率の時間依存性曲線(第2の時間依存性曲線)202を用いて、図9の「放電発生」時点から現在位置までの経過時間を逆算して、図9の「放電発生」時点を特定する。このようにして図9に示すような環境要因による絶縁体の表面抵抗率の時間依存性曲線(第1の時間依存性曲線)201と放電要因による表面抵抗率の時間依存性曲線(第2の時間依存性曲線)202を確定する。
以下、前記ステップS8〜S16と同様に、第1の時間依存性曲線201および第2の時間依存性曲線202を導出し、短絡余寿命を算出する。
なお、ステップS6及びステップS7を経由しない場合、すなわち、ステップS5において「放電が発生する表面抵抗率より大」と判断した場合は、診断実施時から放電が発生するまでの期間は環境要因のみを用いて表面抵抗率を算出し、放電発生以降は環境要因と放電要因による表面抵抗率の時間依存性曲線(第2の時間依存曲線)202だけを用いて短絡余寿命を算出することになる。
この場合、図9における放電発生の時期は、あらかじめ算出された放電が発生する表面抵抗率(Rs)と第1の時間依存性曲線201から算出した予測値であり、さらに第2の時間依存性曲線202は、診断実施時点(A)であらかじめ予測した放電開始時の表面抵抗率(予測値)と、診断実施時点(A)に測定した湿度環境の測定データ(年間の季節別・時間別の湿度測定データ)とから算出したものである、こちらも予測値である。このように、図9における放電発生時期、短絡閾値への到達時期は、すべて診断実施時点(A)の測定に基づく予測値であり、診断対象である受配電機器の設置場所における汚損環境や湿度環境の変化により、短絡余寿命診断の誤差の可能性を伴うものである。
部分放電発生時点を実測値で補正することで、図9のものに比べて短絡余寿命診断の精度を向上させることができる。
図10及び図11は、部分放電を実測することで部分放電の開始時点を正確に把握し、その結果を用いて、環境要因による表面抵抗率の時間依存性曲線(第1の時間依存性曲線)201及び放電発生以降の絶縁体の表面抵抗率の時間依存性曲線(第2の時間依存性曲線)202を補正し、短絡余寿命の診断精度を向上するものである。
絶縁体を備えた受配電機器の短絡余寿命を診断する短絡余寿命診断方法であって、前記絶縁体の表面抵抗率を算出するステップS1〜S4と、前記表面抵抗率が放電発生値よりも大きい場合に前記絶縁体の硝酸イオン付着量を含む環境要因データに基づいて前記絶縁体の表面抵抗率に係る環境要因による第1の時間依存性曲線を導出するステップS10と、前記絶縁体が設置されている環境の湿度計14による測定結果としての湿度データと接地線電流ECを測定する変成器(HFCT)と電源電圧位相検出器(VT)からなる放電検出手段CDによる部分放電電流測定結果により放電発生時間を算出するステップと、前記放電発生時間に基き放電要因による硝酸イオン付着量を算出し、放電要因による前記硝酸イオン付着量と前記環境要因データとに基づき前記絶縁体の表面抵抗率に係る第2の時間依存性曲線を導出するステップS13〜S15と、前記第2の時間依存性曲線に基づいて、算出された絶縁体の表面抵抗率と予め定められた短絡閾値とから短絡余寿命を算出するステップS16とを含む。
診断対象である受配電機器の使用条件および前記受配電機器の絶縁体のパラメータ条件を入力するステップと、入力された前記使用条件および前記パラメータ条件に基づいて前記絶縁体の放電が発生する表面抵抗率を算出するステップS1と、前記絶縁体の硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに前記絶縁体の色パラメータを測定するステップS2と、ステップS3により取得する前記測定の結果に応じて、前記絶縁体の表面抵抗率を算出するステップS4と、算出された前記絶縁体の表面抵抗率が前記絶縁体の放電が発生する表面抵抗率よりも大きいか否かを判断するステップS5と、前記判断するステップS5により、前記算出した前記絶縁体の表面抵抗率が前記絶縁体の放電が発生する表面抵抗率よりも大きいと判断された場合には、前記絶縁体の硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに前記絶縁体の色パラメータに対する時間依存性式を導出するステップS8,S9と、ステップS9で導出された前記時間依存性式に基づいて、環境要因による前記絶縁体の表面抵抗率の第1の時間依存性曲線を導出するステップS10と、絶縁体が設置されている環境の湿度データと部分放電電流を測定し放電発生時間を算出するステップS12と、算出された前記放電発生時間から放電要因による硝酸イオン付着量を算出するステップS13と、算出された放電による前記硝酸イオン付着量と環境による硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに前記絶縁体の色パラメータに基づいて、前記絶縁体の表面抵抗率の第2の時間依存性曲線を導出するステップS15と、前記第2の時間依存性曲線に基づいて、ステップS14で算出された前記絶縁体の表面抵抗率と予め定められた短絡閾値とから短絡余寿命を算出するステップS16を備えたことを特徴とする。
また、前記ステップS5で算出した絶縁体の表面抵抗率が絶縁体の放電が発生する表面抵抗率よりも小さいと判断された場合には、以下のようにして環境要因によるイオン付着量と放電要因によるイオン付着量を区別する。つまり、絶縁体が設置されている環境の湿度データと部分放電電流を測定し放電要因による硝酸イオン付着量を算出する手段と、絶縁体に付着している硝酸イオン量から放電要因によるイオン付着量を引いて環境要因による硝酸イオン付着量を求める。以下、前記ステップと同様に、第1の時間依存性曲線および第2の時間依存性曲線を導出し、短絡余寿命を算出する。
短絡余寿命の算出は、具体的には、図9において、診断実施時点(A)と、放電発生以降の絶縁体の表面抵抗率の時間依存性曲線(第2の時間依存性曲線)202と予め定められた短絡閾値との交点(B)との水平距離(時間)から短絡余寿命を判断する。
また、図10、図11においては、「放電発生(実測)」時点「×」と放電発生以降の絶縁体の表面抵抗率の時間依存性曲線(第2の時間依存性曲線)202aと予め定められた短絡閾値との交点(C)との水平距離(時間)から短絡余寿命を判断する。
また、前記ステップS5で算出した絶縁体の表面抵抗率が絶縁体の放電が発生する表面抵抗率よりも小さいと判断された場合には、絶縁体が設置されている環境の湿度データと部分放電電流の測定結果を用いることにより、環境要因による硝酸イオン付着量を的確に求めることができる。
次に、上述した短絡余寿命診断方法を使用して受配電機器の短絡余寿命診断を実現するためのシステムについて説明する。
図14は、実施の形態2における受配電機器の短絡余寿命診断システムの概略構成図である。
実施の形態2における短絡余寿命診断システムは、受配電機器に含まれる絶縁体を対象として短絡余寿命を診断するものであり、磁気ディスク等の記録媒体に記録されたプログラムによってその動作が制御されるコンピュータによって構成される。
実施の形態2における短絡余寿命診断システムは、前述した実施の形態1における短絡余寿命診断方法の動作を実現するための手段を有する実行装置に関するものであって、それぞれの手段は、実施の形態1における短絡余寿命診断方法の各ステップに相当する。
入力部111は、例えばキーボードおよびマウス,タブレットなどを含む入力デバイスからなり、絶縁体の短絡余寿命の診断に必要な各種データの入力を行う。
制御部113は、マイクロプロセッサ(CPU)からなり、記憶部112に記憶されたプログラムを読み込むことにより、そのプログラムに記述された手順に従って短絡余寿命の診断に関する処理を実行する。
検出部114は相対湿度と部分放電電流を検出して、前記の部分放電電流に関するデータ処理を行う。
出力部115は、例えば表示デバイスからなり、短絡余寿命の診断結果を出力する。
また、記憶部112には、マハラビノスの距離を算出演算する式も格納されているものとする。
また、記憶部112には、図3の実験装置の説明において説明した、環境要因による硝酸イオン付着量の時間依存性式である式(1)、図5の相対湿度と表面抵抗率との所定の相関式、図7で説明した短絡加速試験装置による試験にて得られた図8の測定データに基づく放電による硝酸イオン付着量算出の式(2)の、演算処理が可能なデータが格納されているものとする。
また、受配電機器の絶縁体に関する各パラメータとして、診断対象である受配電機器の絶縁体の硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに色彩データの実測データを入力部111により入力する。そして、受配電機器の使用年数を入力部111により入力する。また、受配電機器に使用されている絶縁体の予め定められた短絡閾値を入力部111により入力する。
(1)まず、入力部111によりデータ入力された、診断対象である受配電機器の定格電圧、使用周波数および受配電機器に含まれている絶縁体の厚さ、沿面距離、誘電率に基づいて、放電及び短絡が発生する表面抵抗率を算出する(ステップS1に相当)。
(2)次に、入力部111によりパラメータとして入力された、診断対象である受配電機器の絶縁体の硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに色彩データに基づいてマハラノビスの距離が演算されて、図2で説明した表面抵抗率とマハラビノスの距離との所定の相関式に基づいて表面抵抗率を算出する(ステップS2〜S4に相当)。
(4)比較演算結果に従って、診断対象である受配電機器の絶縁体の硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに色彩データに基づいて算出された表面抵抗率の方が、放電が発生する表面抵抗率よりも大きい場合には、硝酸イオン付着量に対する硫酸イオン付着量、色彩データの比を算出する(ステップS8に相当)。
(6)そして、算出した環境の見かけの大気中NOx濃度Aを式(1)に代入した受配電機器の絶縁体の環境要因による硝酸イオン付着量の時間依存性式を導出する(ステップS9に相当)。
(8)そして、次に、上述した硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに色彩データの時間依存性式に基づいて、図4で説明したように環境要因による受配電機器に含まれる絶縁体の表面抵抗率の時間依存性曲線を導出する(ステップS10に相当)。
(10)そして、次に、電気室の湿度モニター結果と放電電流モニター結果に基づいて、放電発生時間を算出する(ステップS12に相当)。
(12)そして、次に、前述した手順に従って、環境要因による硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに色彩データと、放電による硝酸イオン付着量とに基づいて、放電発生後の表面抵抗率を算出する(ステップS14に相当)。
(14)そして、導出した絶縁体の表面抵抗率の時間依存性曲線と入力部111により入力データとして入力された予め定められた短絡閾値とから短絡余寿命を算出する(ステップS16に相当)。
(15)そして、算出結果を例えば表示デバイスである出力部114に出力する。
Claims (6)
- 絶縁体を備えた受配電機器の短絡余寿命を診断する短絡余寿命診断方法であって、
前記絶縁体の表面抵抗率を算出するステップと、
前記表面抵抗率が放電発生値よりも大きい場合に前記絶縁体の硝酸イオン付着量を含む環境要因データに基づいて前記絶縁体の表面抵抗率に係る環境要因による第1の時間依存性を導出するステップと、
前記絶縁体が設置されている環境の湿度データと部分放電電流測定結果により放電発生時間を算出するステップと、
前記放電発生時間に基き放電要因による硝酸イオン付着量を算出し、放電要因による前記硝酸イオン付着量と前記環境要因データとに基づき前記絶縁体の表面抵抗率に係る第2の時間依存性を導出して短絡余寿命を算出するステップ
を含む受配電機器の短絡余寿命診断方法。 - 絶縁体を備えた受配電機器の短絡余寿命を診断する短絡余寿命診断方法であって、
診断対象である受配電機器の使用条件および前記受配電機器の絶縁体のパラメータ条件を入力するステップと、
入力された前記使用条件および前記パラメータ条件に基づいて前記絶縁体の放電が発生する表面抵抗率を算出するステップと、
前記絶縁体の硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに前記絶縁体の色パラメータを測定するステップと、
前記測定の結果に応じて、前記絶縁体の表面抵抗率を算出するステップと、
算出された前記絶縁体の表面抵抗率が前記絶縁体の放電が発生する表面抵抗率よりも大きいか否かを判断するステップと、
前記判断するステップにより算出された前記絶縁体の表面抵抗率が前記絶縁体の放電が発生する表面抵抗率よりも大きいと判断された場合には、前記絶縁体の硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに前記絶縁体の色パラメータに対する時間依存性を導出するステップと、
導出された前記時間依存性に基づいて、環境要因による前記絶縁体の表面抵抗率に係る第1の時間依存性を導出するステップと、
前記絶縁体が設置されている環境の湿度データと部分放電電流の測定結果により放電発生時間を算出するステップと、
算出された前記放電発生時間から放電要因による硝酸イオン付着量を算出するステップと、
算出された放電要因による前記硝酸イオン付着量と環境要因による硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに前記絶縁体の色パラメータに基づいて、前記絶縁体の表面抵抗率に係る第2の時間依存性を導出するステップと、
前記第2の時間依存性に基づいて、算出された前記絶縁体の表面抵抗率と予め定められた短絡閾値とから短絡余寿命を算出するステップとを備えたことを特徴とする受配電機器の短絡余寿命診断方法。 - 算出された前記絶縁体の表面抵抗率が前記絶縁体の放電が発生する表面抵抗率以下の場合には、前記絶縁体が設置されている環境の湿度データと部分放電電流測定結果により放電要因による硝酸イオン付着量を算出して、前記絶縁体に付着している硝酸イオン付着量から放電要因による硝酸イオン付着量を引いて環境要因による硝酸イオン付着量を求めるステップをさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の受配電機器の短絡余寿命診断方法。
- 前記絶縁体が設置されている環境の湿度データと部分放電電流測定結果により放電発生時間を算出するステップは、
部分放電を検出する手段として接地線電流を測定するステップと、
接地線電流と電源電圧波形および位相を比較して電源電圧波形の特定の位相範囲内にて発生している接地線電流を部分放電によるものとして抽出するステップと、
設置環境の湿度を測定し、抽出した接地線電流の大小と合わせて比較することで放電の発生を検出するステップを含むことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の受配電機器の短絡余寿命診断方法。 - 絶縁体を備えた受配電機器の短絡余寿命を診断する短絡余寿命診断システムであって、
診断対象である受配電機器の使用条件および前記受配電機器の絶縁体のパラメータ条件および測定された前記絶縁体の硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに前記絶縁体の色パラメータを入力する手段と、短絡余寿命を診断するための制御手段を備え、
前記制御手段は、
入力された使用条件およびパラメータ条件に基づいて前記絶縁体の放電が発生する表面抵抗率を算出する手段と、
測定された前記絶縁体の硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに前記絶縁体の色パラメータに応じて、前記絶縁体の表面抵抗率を算出する手段と、
算出された前記絶縁体の表面抵抗率が前記絶縁体の放電が発生する表面抵抗率よりも大きいか否かを判断する手段と、
前記判断する手段により、前記算出した前記絶縁体の表面抵抗率が前記絶縁体の放電が発生する表面抵抗率よりも大きいと判断された場合には、前記絶縁体の硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに前記絶縁体の色パラメータに対する時間依存性を導出する手段と、
導出された前記時間依存性に基づいて、環境要因による前記絶縁体の表面抵抗率の第1の時間依存性を導出する手段と、
絶縁体が設置されている環境の湿度データと部分放電電流測定結果により放電発生時間を算出する手段と、
算出された前記放電発生時間から放電による硝酸イオン付着量を算出する手段と、
算出された放電要因による前記硝酸イオン付着量と環境要因による硝酸イオン付着量および硫酸イオン付着量ならびに前記絶縁体の色パラメータに基づいて、前記絶縁体の表面抵抗率に係る第2の時間依存性を導出する手段と、
前記第2の時間依存性に基づいて、算出された前記絶縁体の表面抵抗率と予め定められた短絡閾値とから短絡余寿命を算出する手段を含むことを特徴とする受配電機器の短絡余寿命診断システム。 - 算出された前記絶縁体の表面抵抗率が前記絶縁体の放電が発生する表面抵抗率よりも大きいか否かを判断する手段で、算出された前記絶縁体の表面抵抗率が前記絶縁体の放電が発生する表面抵抗率以下と判断された場合には、前記絶縁体が設置されている環境の湿度データと部分放電電流を測定し放電要因による硝酸イオン付着量を算出する手段と、絶縁体に付着している硝酸イオン付着量から放電要因による硝酸イオン付着量を引いて環境要因による硝酸イオン付着量を求める手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の受配電機器の短絡余寿命診断システム。
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