JP2020003302A - 色差算出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多角度測色機器を用いた色差評価において、反射光の受光角に対する受光量の変動をより一層正確に推測することで、目視による色差の感度により近い評価結果を得る。【解決手段】多角度測色機器により、4つ以上の幾何光学系の波長λごとの受光量Yを取得し、波長λごとに設けられた座標上に、各幾何光学系の正反射方向に対する受光角θと受光量Yとの関係をプロットする。次に、各座標上に設けられたプロットP1〜P5のうち、3個のプロットP1,P2,P5を通る初期近似曲線Cを作成する。次に、初期近似曲線Cの一部を、残りのプロットP3,P4を通るように補正して、近似曲線(完全トレース曲線)を作成する。そして、各測定対象部位の近似曲線に基づいて、複数の測定対象部位間の色差を算出する。【選択図】図8

Description

本発明は、色差算出方法に関する。
自動車の塗装工程において、鋼板製のボデーと樹脂製のバンパーに同色の塗装を施す場合、両部材の色を完全に一致させることは難しい。特に、メタリック塗装やパール塗装のように光輝材を含む塗料を用いた場合は、光輝材の配列等によって色の見え方(反射具合)が大きく異なる。ボデーとバンパーの色が僅かでも異なると、両部材の境界で色が不連続となり、美観が損なわれる恐れがある。従って、両部材の色の差(色差)を確認しながら、塗料の配合や塗装条件を調整する必要がある。
色を定量的に測定する測色機器として、複数の受光角を持つ多角度測色機器が知られている。多角度測色機器は、正反射光に近い明るく見える受光角から、正反射光から遠い暗く見える受光角まで、複数の受光角における分光反射強度を計測できる。このような多角度測色機器の存在を反映して、JIS Z 8722(色の測定方法−反射及び透過物体色)「5.3.1照射及び受光の幾何条件」には、複数の照射光および受光の角度についての記載がある。一般的には、多角度測色機器で測定されたデータを、CIELab表色系(JIS Z 8781−4:2013参照)に換算し、色を3つの値による座標で表示することが多い。そして、これらの3つの座標を立体座標とみなし、対象物のうち、ターゲットの立体座標と、リファレンスの立体座標との間の距離を色差とみなす。
しかし、メタリックやパールを含む塗装色を、多角度測色機器を用いて色差を求めてみても、目視で感じる色差と合致しないことが多い。すなわち、多角度測色機器を用いた色差では明らかな差が有るはずなのに目視では感じられない、またその逆もあり、これは多角度測色機器への信頼や規格の定義を揺るがす問題であった。
従って、カラー製品の生産を行う工場では目視評価が欠かせず、測色機器はあくまで補助的な役割として用いられており、目視による評価結果を測色機器による評価結果と照合して色差を総合的に評価しているのが実情である。しかし、目視で正確に色差を評価することは容易ではなく、一部の熟練作業者のみしか行うことができないため、作業効率が非常に悪い。また、作業者ごとに色差の感度にバラつきが生じやすいため、色差の評価結果の信頼性も十分であるとは言えない。
多角度測色機器による色差評価を、目視評価の感覚と一致させることができれば、目視評価を省略することができる。例えば、下記の特許文献1には、各測定対象部位に入射光を照射して測定された複数の受光角における反射光の分光反射率から算出した三刺激値X,Y,Zの各点から、反射光の受光角と各刺激値X,Y,Zとの関係を表す連続した近似曲線を算出する色差測定方法が示されている。これにより、実際に反射光を受光した受光角だけでなく、任意の受光角における色差を算出することができるため、目視では見ているはずであるが測定では空きスペースとして抜けてしまう受光角における複数の測定対象部位間の色差を測定値としてカバーすることができる。
特開2017−90060号公報
多角度測色機器による測色(マルチアングル測色)で得られる幾何光学系の特性として、正反射方向からの変位量(受光角)が大きくなると、観察される光強度(受光量)が減少する。この受光角と受光量との関係は、一次直線関係ではなく、指数関数を当てはめて関係式を作成することができる。このとき、受光角と受光量との関係を示すプロットが3点であれば、上記特許文献1のように、これらの関係を指数曲線モデルに換算できる。しかし、このプロットが4点以上になると、必ずしも指数曲線で完全に追従できるとは限らない。このような場合、例えば最小二乗法等により、4点以上のプロット付近を通る近似曲線を算出することができる。
しかし、上記のような最小二乗法等による近似曲線では、反射光の受光角に対する受光量の変動を正確に推測できるとは言えず、このような近似曲線に基づく色差の評価結果は目視による色差の評価結果と一致しないことがある。
そこで、本発明は、多角度測色機器による測定結果を用いて色差を算出するに際し、反射光の受光角に対する受光量の変動をより一層正確に推測することで、目視による色差の感度により近い算出結果を得ることを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、複数の測定対象部位間の色差を算出するための方法であって、多角度測色機器により、4つ以上の幾何光学系の波長ごとの受光量を取得し、波長ごとに設けられた座標上に、各幾何光学系の正反射方向に対する受光角と受光量との関係をプロットする工程と、各座標上に設けられた4個以上のプロットのうち、3個のプロットを通る初期近似曲線を作成する工程と、前記初期近似曲線の一部を、前記4個以上のプロットのうち、前記3個のプロット以外のプロットを通るように補正して近似曲線を作成する工程と、各測定対象部位の前記近似曲線に基づいて、前記複数の測定対象部位間の色差を算出する工程とを有する色差算出方法を提供する。尚、幾何光学系とは、一本の入射光及び反射光からなる光線のことを言う。
本発明では、上記のように、各座標上に4個以上のプロットがある場合において、まず3個のプロットを通る初期近似曲線を算出した後、その初期近似曲線の一部を、残りのプロットを通るように補正して近似曲線を作成する。これにより、全てのプロットの情報を正確に反映させた近似曲線を得ることができるため、例えば最小二乗法により近似曲線を求める場合と比べて、受光量の差の詳細な変動をより正確に推測することができる。
受光角が小さい(すなわち正反射方向に近い)反射光の受光量はメタリックやパール等の光輝材が支配的要因であり、受光角が大きい(すなわち正反射方向から遠い)反射光の受光量はソリッドカラーが支配的要因である。一方、これらの間の受光角の反射光の受光量は光輝材の影響及びソリッドカラーの双方の影響を受ける。この場合、まず、4つ以上のプロットのうち、光輝材が支配的要因である受光角が最小のプロットと、ソリッドカラーが支配的要因である受光角が最大のプロットとを含む3つのプロットを用いて近似曲線を算出した後、光輝材及びソリッドカラーの双方の影響を受ける中間の受光角のプロットを通るように初期近似曲線を補正することが好ましい。これにより、先に中間の受光角のプロットを用いて初期近似曲線を算出した後、受光角最大あるいは最小のプロットを通るように初期近似曲線を補正する場合よりも、近似曲線の信頼性を高めることができる。
ところで、多角度測色機器を用いた色差の算出にあたっては、多角度測色機器により幾何光学系ごとに多数の波長における分光反射率を測定し、この多数の分光反射率に基づいて三刺激値X,Y,Zを算出する。すなわち、波長ごとに測定された多数の分光反射率のデータが、3つの刺激値X,Y,Zに集約される。上記特許文献1に示されている色差測定方法では、受光角に対する各刺激値X,Y,Zのプロットを曲線で近似している。このように、三刺激値X,Y,Zを用いて近似曲線を算出することで、計算負荷が軽減される。
しかし、三刺激値X,Y,Zは、分光反射率のデータに等色関数を適用して算出されるため、複雑な関数(グラフ)になる傾向がある。このような複雑な関数である三刺激値X,Y,Zを用いて近似曲線を算出すると、精度の良い近似曲線が得られない恐れがある。そこで、等色関数を適用する前の、より単純な物理現象を表す分光反射率を用いて近似曲線を算出することで、近似の精度が高められる。
以上のように、多角度測色機器による測定結果を用いて色差を算出するにあたり、本発明の算出方法を用いれば、反射光の受光角に対する受光量の変動をより一層正確に推測することができるため、目視による色差の感度により近い算出結果を得ることができる。
多角度分光測色計を概念的に示す斜視図である。 図1の多角度分光測色計の側面図であり、入射角度45°の照射部1aから入射光を照射した場合を示す。 図1の多角度分光測色計の側面図であり、入射角度15°の照射部1bから入射光を照射した場合を示す。 図1の多角度分光測色計の平面図である。 色差算出方法のフロー図である。 図5の色差算出方法のステップ(2)を詳しく説明するフロー図である。 図6のステップ(2−2)を詳しく説明する図である。 受光角θ,受光量Yのプロットに基づいて算出した近似曲線を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、自動車の塗装面における複数の測定対象部位間の色差を算出する場合を説明する。具体的には、例えば、同色に塗装された異種材料からなる部品(例えば鋼板製のボデーと樹脂製のバンパー)の色差や、同一部品上の複数の測定対象部位の色差を算出し、これらの部位間の色差が許容範囲内であるか否かを評価する。
本実施形態に係る色差算出方法は、多角度測色機器としての多角度分光測色計と、これにより測定された受光量を用いて各種演算を行う演算部(コンピュータ、タブレット等)とを備えた色差算出装置を用いて行われる。多角度分光測色計と演算部とは、有線あるいは無線で通信可能に接続される。
多角度分光測色計は、図1〜3に示すように、測定対象部位Oに入射光を照射する照射部1a,1bと、測定対象部位Oで反射した反射光を受光する受光部2a,2b,2cとを有する。尚、図1〜図3では、入射光及び正反射光を含む平面を主平面Pとし、円弧で示している。
照射部1a,1bは、測定対象部位Oに対して異なる角度から入射光Linを照射する位置に設けられる。具体的に、照射部1aは、測定対象部位Oを通る垂線Vに対して45°方向から入射光Lin(45)を照射し(図2参照)、照射部1bは、垂線Vに対して15°方向から入射光Lin(15)を照射する(図3参照)。
受光部2aは、主平面P上の反射光を受光する。本実施形態では、主平面P上に複数の受光部2aが設けられ、図示例では、垂線Vの入射光側及び正反射光側の双方に、それぞれ複数の受光部2aが設けられる。受光部2b,2cは、主平面Pに対して交差する方向の反射光を受光する。図4に示すように、受光部2bは、正反射光Lref0に対して平面視で90°方向の反射光を受光し、受光部2cは、正反射光Lref0(45)、ref0(15)に対して平面視で90°未満の方向(図示例では45°方向)の反射光Lrefを受光する。図示例では、受光部2b及び受光部2cが、それぞれ主平面Pに関して対称な位置に設けられる。
本実施形態の色差評価方法は、図5に示すステップ(1)〜(5)を経て行われる。以下、各ステップを詳しく説明する。
ステップ(1)では、部品A及び部品Bのそれぞれの測定対象部位の分光反射率を測定する。本実施形態では、上記の多角度分光測色計を用いて、複数の幾何光学系の分光反射率を測定する。具体的には、各幾何光学系において、可視光線波長域内に設定された所定間隔の多数の波長(例えば、400〜700nmの範囲の10nm間隔の波長)ごとの反射率を測定する。詳しくは、まず、測定対象部位Oに対して照射部1aから入射角度45°の入射光Lin(45)を照射し、測定対象部位Oで反射した複数方向の反射光Lref(45)を受光部2a、2b、2cで受光して、それぞれの分光反射率を取得する(図2及び図4参照)。次に、測定対象部位Oに対して照射部1bから入射角度15°の入射光Lin(15)を照射し、測定対象部位Oで反射した複数方向の反射光Lref(15)を受光部2a、2b、2cで受光して、それぞれの分光分布を取得する(図3及び図4参照)。これらの操作を部品A,Bのそれぞれに対して行うことにより、部品A,Bのそれぞれについて、幾何光学系ごとに、波長λに対する反射率Yのデータが得られる(図7の上図参照)。
ステップ(2)では、ステップ(1)で取得した分光反射率のデータに基づいて、分光反射率の近似曲線を算出する。本実施形態では、多角度分光測色計で測定したデータ(各部品A,Bの幾何光学系ごとの波長λに対する反射率Yのデータ)を演算部に送信し、演算部が分光反射率の近似曲線を算出する。以下、図6を用いて、ステップ(2)を詳しく説明する。
尚、本実施形態では、複数の幾何光学系を、複数の系統に分類している。具体的には、主平面P上の幾何光学系からなる4つの系統F(45as+)、F(45as−)、F(15as+)、F(15as−)、及び、主平面P以外に設けられた幾何光学系からなる4つの系統F(45az+)、F(45az−)、F(15az+)、F(15az−)の、合計8系統が設定される。
系統F(45as+)は、図2に示すように、入射角度45°の照射部1aから照射された入射光Lin(45)と、正反射光Lref0(45)よりも入射光Lin(45)側に配された受光部2aで受光する反射光Lref(45as+)とからなる幾何光学系で構成される。系統F(45as−)は、上記の入射光Lin(45)と、正反射光Lref0(45)よりも入射光Lin(45)と反対側に配された受光部2aで受光する反射光Lref(45as−)とからなる幾何光学系で構成される。系統F(15as+)は、図3に示すように、入射角度15°の照射部1bから照射された入射光Lin(15)と、正反射光Lref0(15)よりも入射光Lin(15)側に配された受光部2aで受光する反射光Lref(15as+)とからなる幾何光学系で構成される。系統F(15as−)は、上記の入射光Lin(15)と、正反射光Lref0(15)よりも入射光Lin(15)と反対側に配された受光部2bで受光する反射光Lref(15as−)とからなる幾何光学系で構成される。
系統F(45az+)は、図4に示すように、入射角度45°の照射部1aから照射された入射光Lin(45)と、主平面Pの一方側に設けられた受光部2b、2cで受光する反射光Lref(45az+)とからなる幾何光学系で構成される。系統F(45az−)は、上記の入射光Lin(45)と、主平面Pの他方側に設けられた受光部2b、2cで受光する反射光Lref(45az−)とからなる幾何光学系で構成される。系統F(15az+)は、入射角度15°の照射部1bから照射された入射光Lin(15)と、主平面Pの一方側に設けられた受光部2b、2cで受光する反射光Lref(15az+)とからなる幾何光学系で構成される。系統F(15az−)は、上記の入射光Lin(15)と、主平面Pの他方側に設けられた受光部2b、2cで受光する反射光Lref(15az−)とからなる幾何光学系で構成される。
尚、幾何光学系の系統の分類方法は上記に限らず、上記の系統の一部を削除したり、上記以外の系統を追加したりしてもよい。また、上記のように、入射角が一定の幾何光学系からなる系統の他、受光角が一定で入射角が異なる幾何光学系からなる系統や、入射角及び受光角の双方が異なる幾何光学系からなる系統を設定してもよい。何れの系統でも、各幾何光学系の正反射方向と受光方向との間の角度が「受光角」となる。
図6に示すように、ステップ(2−1)では、まず、波長に対する分光反射率のデータを、受光角に対する分光反射率のデータに並び替える。具体的には、図7に示すように、各部品A,Bの幾何光学系ごとの波長λに対する反射率Yのデータ(λ,Y)を、各部品A,Bの波長λごと及び系統Fごとの受光角θに対する反射率Yのデータ(θ,Y)に並べ替えて、座標上にプロットする。
これにより、反射率を測定する波長λの数×系統の数の分だけ、(θ,Y)のグラフが得られる。本実施形態では、400〜700nmの範囲で10nmごとに設定された31チャンネルのそれぞれに、上記の8系統が設定され、合計248個のグラフが得られる。各グラフには、各系統における幾何光学系の数と同数のプロットが設けられる。本実施形態では、系統F(45as+)のグラフには4個以上(具体的には5個)のプロットが設けられ、その他の系統F(45as−)、F(15as+)、F(15as−)、F(45az+)、F(45az−)、F(15az+)、F(15az−)のグラフには3個以下のプロットが設けられる。
次に、ステップ(2−2)では、ステップ(2−1)で得られた各グラフのプロットから、近似曲線を算出する(図6参照)。具体的には、受光角の増大に伴う受光量の減衰要因が指数関数に近似していることから、各系統の波長ごとのプロットを指数曲線で近似する。
このとき、プロットが3個以下であれば、全てのプロットを通る指数関数を設定することが可能であるが、系統F(45az+)のように、プロットが4個以上になると、全てのプロットを通る指数関数を設定することはできないことが多い。
そこで、本実施形態では、系統F(45az+)の近似曲線を算出するにあたり、まず、5個のプロットのうちの3個のプロットを通る指数曲線を設定する(この指数曲線を、「初期近似曲線」と言う。)。図8に示すように、系統F(45az+)における(θ,Y)の5個のプロットP1〜P5は、それぞれ正反射方向に対する受光角が15°、25°、45°、75°、110°である。選択する3個のプロットは、受光角が最小(15°)のプロットP1と、受光角が最大(110°)のプロットP5とを含むことが好ましく、さらにこれらに隣接するプロットP2、P4の何れかを含むことがより好ましい。図示例では、プロットP1、P2、P5を通る初期近似曲線C(実線参照)を設定している。
次に、上記の初期近似曲線CとプロットP3、P4との乖離を解消するように、初期近似曲線Cを補正する。例えば、初期近似曲線Cのうち、この初期近似曲線Cから乖離したプロットP3、P4に隣接する初期近似曲線C上のプロットP2、P5間の領域に係数を掛けて、この領域の曲線が、プロットP3、P4を通り、且つ、他の領域の曲線と滑らかに連続するように補正する(図8の鎖線参照)。
ここで、初期近似曲線と残りのプロットとの乖離の原因としては、光輝材に起因する要因(光輝材輝度増加モデルの変化(質感変化)など)と、光輝材以外に起因する要因(光輝材以外の拡散反射や表面凹凸影響など)とが考えられる。光輝材に起因する要因については、初期指数関数の係数を一次関数から多次元化することで対応することができ、例えばベジェ曲線で係数化することにより対応することができる(ステップ(2−3a)参照)。一方、光輝材以外に起因する要因については、基底拡散反射係数及び受光角と乖離拡散反射成分とをスプライン曲線を利用して変換することで対応することができる(ステップ(2−3b)参照)。
以上により、全てのプロットP1〜P5を完全にトレースした近似曲線を作製することができる(この近似曲線を、「完全トレース曲線」と言う。)。この完全トレース曲線で表される受光角θに対する反射率Yの関数は、以下の数式で表される。
Y=α・EXP{β・γ・(Radθ)}+K+S
上記の数式のうち、αは指数曲線の傾きを表す係数である。βは、指数曲線の弛み具合を表す係数である。Kは、指数曲線の最小値(底値)を決定する係数である。γ、Sは補正係数である。
尚、他の系統については、プロットが3点であれば、指数曲線で完全にトレースすることができる。また、プロットが2点以下の系統は、指数曲線を確定させることはできないため、除外してもよい。
以上のように、5個のプロットP1〜P5からなる系統F(45as+)において、3つのプロットを通る初期近似曲線Cを作成した後、初期近似曲線Cの一部を、他のプロットを通るように補正することで、例えば5つのプロットに基づいて最小二乗法により近似曲線を算出する場合と比べて、受光角θに対する反射率Yの差の詳細な変動をより正確に推測することができる。特に、光輝材が支配的要因である受光角が最小のプロットP1と、ソリッドカラーが支配的要因である受光角が最大のプロットP5とを含む3つのプロットを用いて初期近似曲線Cを算出することで、信頼性の高い近似曲線を得ることができる。
また、本実施形態では、上記のように、波長ごとに設けた座標の受光角θに対する反射率Yのプロット(図7の下図参照)を指数関数で近似している。このように、三刺激値X,Y,Zに変換する前の単純な物理現象である分光反射率を用いて近似曲線を算出することで、近似の精度が高められる。尚、近似の精度に問題がなければ、後述する三刺激値X,Y,Zを算出した後、図6と同様のステップに従って三刺激値X,Y,Zの近似曲線を算出してもよい。
図5に戻り、ステップ(3)では、ステップ(2)で算出した、各部品A,Bの波長ごと及び系統ごとの受光角θに対する反射率Yのデータ(近似曲線)を、XYZ表色系における三刺激値X,Y,Zに変換し、さらに、この三刺激値X,Y,Zに基づいて、L,a,b,u,vを算出する。そして、ステップ(4)で、各部品A,BのLab空間における座標(L,a,b)間距離から、部品A,B間のLab空間における色差ΔEabを算出する。また、各部品A,BのLab空間における座標(L,u,v)間距離から、部品A,B間のLuv空間における色差ΔEuvを算出する。このとき、上記のステップ(2)による完全トレース曲線を用いて色差を算出することで、従来手法では実点を追従しきれず発生する近似曲線と実測定点間での差異が解消される。そのため既存機器の測定点も全てカバーしつつ点間補完を行う、互換性と拡張性を備えることになる。尚、分光反射率から三刺激値X,Y,Zを算出する具体的方法は、JIS Z8701:1999に記載の方法に準じる。また、刺激値X,Y,ZからL,a,b,u,vを算出する具体的方法は、JIS Z8781−4:2013及びJIS Z8781−5:2013に記載の方法に準じる。
ステップ(5)では、ステップ(4)で算出した色差ΔEab及びΔEuvの一方又は双方に基づいて、色差を評価する。例えば、各系統のΔEab及びΔEuvのそれぞれの最大値を求め、これらの最大値に基づいて色差を評価することができる。あるいは、各系統のΔEab及びΔEuvの積分値を算出し、これらの積分値に基づいて色差を評価することができる。そして、部品A,B間の色差が、予め設定された所定の範囲外であれば、これらの測定対象部位間の色差が異常であると判定する。この場合、塗料の配合や塗装条件の調整を行った上で塗装を施し、上記の手順で再び色差を測定する。そして、色差が所定範囲内となるまで以上を繰り返すことで、最適な塗料の配合や塗装条件を設定することができる。
1a,1b 照射部
2a,2b,2c 受光部
A,B 部品
C 初期近似曲線
F 系統
in 入射光
ref 反射光
ref0 正反射光
主平面
Y 受光量(反射率)
θ 正反射方向に対する受光角
λ 波長

Claims (3)

  1. 複数の測定対象部位間の色差を算出するための方法であって、
    多角度測色機器により、4つ以上の幾何光学系の波長ごとの受光量を取得し、波長ごとに設けられた座標上に、各幾何光学系の正反射方向に対する受光角と受光量との関係をプロットする工程と、
    各座標上に設けられた4個以上のプロットのうち、3個のプロットを通る初期近似曲線を作成する工程と、
    前記初期近似曲線の一部を、前記4個以上のプロットのうち、前記3個のプロット以外のプロットを通るように補正して近似曲線を作成する工程と、
    各測定対象部位の前記近似曲線に基づいて、前記複数の測定対象部位間の色差を算出する工程とを有する色差算出方法。
  2. 各座標上の前記3個のプロットが、正反射方向に対する受光角が最大のプロットと最小のプロットとを含む請求項1に記載の色差算出方法。
  3. 前記受光量が分光反射率である請求項1又は2に記載の色差算出方法。
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