JP2020004509A - 試料ホルダー - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、高真空下での試料の観察を実施する画像形成装置又は解析装置に利用可能な試料ホルダーを提供することを課題とする。【解決手段】本発明の試料ホルダーは、試料及び/又は試料メッシュ設置部を有する試料ホルダー軸部と、前記試料ホルダー軸部を格納可能な外筒部と、前記試料及び/又は試料メッシュ設置部とは反対側の前記試料ホルダー軸部に設置された試料ホルダーハンドル部と、試料ホルダーが電子顕微鏡に設置された場合に、前記電子顕微鏡のゴニオメータステージ位置よりも中心方向から外側の位置に、前記外筒部の内部と大気とを遮断する隔壁部材を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、試料の可視化、画像形成、又は解析等に用いる試料ホルダーに関し、特に、真空下での試料観察に用いる試料ホルダーに関するものである。
分子や原子のレベルで試料を観察・解析する必要性から、現在では、過酷条件下での高精度な画像形成技術及び解析技術を組み合わせた電子顕微鏡観察が求められている。例えば、透過型電子顕微鏡(以下「TEM」という。)では超高真空下又は高真空下で試料の観察を行う。
例えば、TEMの観察位置に試料を位置させるための試料ホルダーとして、内部に段差を有する第1の開口が形成された試料ホルダー本体と、前記段差によってその周縁の一部が支持されることにより前記第1の開口内に回転可能に収納されかつ中心部に前記試料を保持するための第2の開口を有する試料保持部材と、前記第2の開口を少なくとも一部を残して被覆する非晶質材料膜を備えたカバー部材と、を備える、透過型電子顕微鏡の試料ホルダーが知られている(特許文献1)。
また、例えば、イメージングと解析用装置の少なくとも一つにおいて試料を収容し、冷却し、位置を定める低温試料ホルダーであって、前記試料を収容し保持する容器と、液体冷却媒体のためのコレクションポイントのある液体冷却媒体の保存用の貯蔵容器と、前記液体冷却媒体の容器内量と前記貯蔵容器の空間方向に関係なく、前記液体冷却媒体と前記容器と熱接触している熱伝導体であって、前記コレクションポイントで前記液体冷却媒体と隣接面接触をしている前記熱伝導体と、前記イメージングと解析装置の少なくとも一つ内の予め選んだ場所に前記試料を位置づけるために前記貯蔵容器と前記容器の間に取り付けられた細長バレルと、を有することを特徴とする低温試料ホルダーが知られている(特許文献2)。
特開2007−179805号公報 特表2013−537689号公報
特許文献1のものを含む従来のTEM試料ホルダーでは、自明であるが、TEM内でホルダーを通して真空が漏れないように大気側と真空側を遮断する必要がある。透過型電子顕微鏡での観察は高真空下で実施されるため(高真空が好ましいため)、真空引きされる容積あるいは表面積を小さくするために、できる限りホルダー先端側に真空/大気の隔壁(シール面)を配すことが求められている。すると、試料ホルダー先端軸は軸径自体が細いか、シール部材(例えば、Oリング等)が存在するために内径が小さくなり、設計に空間的な制約をもたらしていた。
すなわち、従来においては、研磨技術等の関係から、シール位置はなるべく試料ホルダーの前方(顕微鏡の中心側)に近い方向に配する必要性があった。
一方で、解析技術の向上や、分析の需要から、種々の条件設定、環境の下での試料観察が要望されている。しかし、これらの需要に対応するには、試料ホルダー内において十分な空間が必要であるが、従来においては、上述の設計上の技術常識から十分な空間を確保することが困難であった。
そこで、上記問題点を解決すべく、本発明は、試料ホルダー内の空間を確保して、設計の自由度を向上させることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者は、高真空を確保する点での設計上の自由度について鋭意検討を行った結果、本発明を見出すに至った。
すなわち、本発明の試料ホルダーは、試料及び/又は試料メッシュ設置部を有する試料ホルダー軸部と、前記試料ホルダー軸部を格納可能な外筒部と、前記試料及び/又は試料メッシュ設置部とは反対側の前記試料ホルダー軸部に設置された試料ホルダーハンドル部と、試料ホルダーが電子顕微鏡に設置された場合に、前記電子顕微鏡のゴニオメータステージ位置よりも中心方向から外側の位置に、前記外筒部の内部と大気とを遮断する隔壁部材を有することを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダーの好ましい実施態様において、前記試料ホルダー軸部の外壁面、及び前記外筒部の内壁面は、鏡面仕上げであることを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダーの好ましい実施態様において、前記隔壁部材は、前記外筒部と、前記試料ホルダーハンドル部との接続部に設置されていることを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダーの好ましい実施態様において、さらに、前記隔壁部材は、前記試料ホルダーハンドル部の内部に設置されていることを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダーの好ましい実施態様において、前記試料ホルダー軸部は、前記試料ホルダー軸を中心に回転可能であることを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダーの好ましい実施態様において、前記回転により、前記試料及び/又は試料メッシュ設置部は、前記試料ホルダー軸部の軸周りに回転可能か、又は前記試料ホルダー軸部の軸方向に直交する軸周りに回転可能であることを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダーの好ましい実施態様において、前記試料ホルダー軸部の軸方向に直交する軸周りに回転は、オフセットカム機構を介して行われることを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダーの好ましい実施態様において、さらに、前記試料ホルダー軸を冷却することが可能な冷却手段を有することを特徴とする。
また、本発明の試料ホルダーの好ましい実施態様において、さらに、前記試料ホルダー軸を冷却することが可能な冷却手段を有することを特徴とする。
本発明の試料ホルダーによれば、ホルダーの隔壁の位置を電子顕微鏡のゴニオメーターステージ(以下「ゴニオ」という。)位置よりも顕微鏡中心から外側の位置(ホルダーハンドル部の直前、もしくはハンドル部内部まで)でシールを行うことができ、空間的な制約を緩和することが可能であるという有利な効果を奏する。この隔壁の位置は軸内部の狭い空間ではなくゴニオ位置よりも顕微鏡中心から外側の位置に配することができ、前記軸内部の広い空間を有効利用することができると共に、外側の位置の比較的広い空間で配することができるので、当該隔壁部材周辺の空間を利用して、設計の自由度が高く、また、配線等の作業性を格段に向上させるという有利な効果を奏する。
また、本発明の一実施態様によれば、ホルダー軸部の内部を鏡面に磨き上げることで、TEMの真空排気系に過度の負荷をかけず、高真空の規定値の達成に対応することができるという有利な効果を奏する。さらに、本発明を冷却ホルダーに応用した態様によれば、デュワー部の冷媒の持ちを良くし、熱伝達部材も安定的に高真空に保持できるので、温度安定性を向上させることが可能となるという有利な効果を奏する。
図1は、本発明の一実施態様における試料ホルダーの側方断面図である。 図2は、本発明の一実施態様における試料ホルダーの部分断面図である。 図3は、従来の試料ホルダーの部分断面図(図3(1))と本発明の一実施態様における試料ホルダーの部分断面図(図3(2))の比較を示す。
本発明の試料ホルダーは、試料及び/又は試料メッシュ設置部を有する試料ホルダー軸部と、前記試料ホルダー軸部を格納可能な外筒部と、前記試料及び/又は試料メッシュ設置部とは反対側の前記試料ホルダー軸部に設置された試料ホルダーハンドル部と、試料ホルダーが電子顕微鏡に設置された場合に、前記電子顕微鏡のゴニオメータステージ位置よりも中心方向から外側の位置に、前記外筒部の内部と大気とを遮断する隔壁部材を有するものである。試料及び/又は試料メッシュ設置部を有する試料ホルダー軸部については、特に限定されず、試料を設置する試料設置部のみを有してもよい。本発明において、隔壁部材を、前記電子顕微鏡のゴニオメータステージ位置よりも電子顕微鏡の中心方向から外側の位置に配することにより、種々の利点を有する。すなわち、従来においては、研磨技術等の関係から、シール位置はなるべく試料ホルダーの前方(顕微鏡の中心側)に近い方に配する必要性があった。なぜなら、試料ホルダーの内壁を研磨する必要があるが、当該研磨は困難性を有し、それゆえ、最小限の表面積を研磨する必要性から、試料ホルダーの前方(顕微鏡の中心側)により近い方へ配することが観念化されていたためであり、実際に、遠くなるほど、顕微鏡、試料ホルダー等の装置の故障の原因ともなっていたためである。なお、隔壁部材としても、前記外筒部の内部と大気とを遮断することが可能であれば特に限定されない。例えば、隔壁部材としては、シール部材、封止部材等を挙げることができ、具体的にはOリング等を挙げることができる。
本発明においては、隔壁部材を、前記電子顕微鏡のゴニオメータステージ位置よりも電子顕微鏡の中心方向から外側の位置に配することにより、試料ホルダー軸部と、外筒部との間の内部空間を有効利用することが可能となる。試料ホルダー軸部と、外筒部との間の内部空間には、従来では、障壁部材が存在していたので、空間を有効利用できない状態となっていた。
また、隔壁部材を、前記電子顕微鏡のゴニオメータステージ位置よりも電子顕微鏡の中心方向から外側の位置に配することにより、後述するように、障壁部材をハーメチック等と併用する場合には、前記電子顕微鏡のゴニオメータステージ位置よりも電子顕微鏡の中心方向から外側の位置に存在する比較的広い空間を有効利用することが可能となる。これによって、本発明においては、設計の自由度が向上し、ひいては、試料ホルダー自体の性能の向上を図ることも可能となる。本発明において、具体的には、電極が組み込まれた試料ホルダー、さらには流路が組み込まれた試料ホルダー、及び冷却用の試料ホルダー等においても、性能向上を飛躍的に図ることが可能である。
すなわち、従来においては、真空を意識しすぎたために、また研磨技術等の関係から、シール位置はなるべく試料ホルダーの前方(顕微鏡の中心側)に近い方に配することが必須であるという技術常識が存在していたが、かかる技術常識に反して、発想の転換を図り、本発明を見出すに至ったものである。
なお、本発明を適用可能な試料ホルダーについても特に限定されない。例えば、単軸傾斜の試料ホルダー、2軸傾斜の試料ホルダー、電場ホルダー、磁場ホルダー、加熱ホルダー又は冷却手段を有するいわゆる冷却用の試料ホルダー等においても適用可能であり、2軸傾斜機構付きの冷却ホルダー等であってもよい。
また、本発明の好ましい実施態様において、前記試料ホルダー軸部の外壁面、及び前記外筒部の内壁面は、鏡面仕上げとすることができる。本発明の試料ホルダー軸部の外壁面、及び前記外筒部の内壁面は、鏡面仕上げとすることができ、このような構成を採用することによって、いわゆる「真空引き」において後述する利点を有することができる。
鏡面仕上げは、試料ホルダーの部品の形状や仕様に応じて、例えばバフ研磨、手研磨、さらにほかの研磨法や、複数の研磨法の組み合わせで行ってもよい。そして、鏡面仕上げの範囲は、内部の段差部、中ぐり部、ねじ穴部、溝部等、従来対象としなかった細かな範囲を含むことが好ましい。また、鏡面仕上げによる表面粗度は、算術平均粗さRa値において、好ましくは、0.2μm〜1μmの範囲、より好ましくは、0.2μmを超えない範囲とすることができる。
本発明の好ましい実施態様において、前記隔壁部材は、前記外筒部と、前記試料ホルダーハンドル部との接続部に設置されていてもよい。隔壁部材は、前記電子顕微鏡のゴニオメータステージ位置よりも電子顕微鏡の中心方向から外側の位置に配することができれば特に限定されないが、前記接続部に設置することにより、より軸内部の空間や、ハンドル部の空間を確保することが可能となる。
また、本発明の好ましい実施態様において、前記隔壁部材は、前記試料ホルダーハンドル部の内部に設置されていてもよい。この場合、ハーメチック部にほとんど空間的な制約がなくなるので、広く、また大きく設計することができる。ハーメチックとは、一般には、外気を遮断する気密封止構造のことを意味するが、本発明においてはより広義に解釈して、電極や流路などを通す場合の支持部材として用いることができる。なお、隔壁部材は、少なくとも電気配線部材又は流体配管を貫通させた、ハーメチックを兼ねてもよい。ハーメチックとして、試料の観察条件に対応した試料ホルダーの使用条件(加熱、流体流入、電場の印加、光/レーザー照射、そしてこれらの組み合わせ)によって、従来ではほぼ不可能であったが、本発明においては、電気配線部材及び流体配管の合計で8線以上をハーメチックに通すことも可能である。
また、好ましい実施態様において、前記試料ホルダー軸部は、前記試料ホルダー軸を中心に回転可能とすることができる。これを、X軸傾斜、α傾斜、一軸傾斜ともいう。一般には、TEM側の装置を使って行うことができるが、本発明においては、試料ホルダー側でもX軸傾斜が可能である。前記試料ホルダー軸を中心に回転可能とすることで、前記試料及び/又は試料メッシュ設置部をも試料ホルダー軸を中心に回転可能とすることができ、試料等を回転させた状態での観察を可能とする。回転は、常法でもよく、特に限定されない。より具体的には例えば、試料ホルダーのハンドル部を利用して回転させてもよい。
また、本発明の好ましい実施態様において、前記回転により、前記試料及び/又は試料メッシュ設置部は、上述のように前記試料ホルダー軸部の軸周りに回転可能にできるほか、前記試料ホルダー軸部の軸方向に直交する軸周りに回転可能である。前記試料ホルダー軸部の軸方向に直交する軸周りに回転可能な機構も、常法を採用してもよく、特に限定されない。好ましい実施態様において、前記試料ホルダー軸部の軸方向に直交する軸周りの回転は、オフセットカム機構を介して行ってもよい。
また、本発明の好ましい実施態様において、さらに、前記試料ホルダー軸を冷却することが可能な冷却手段を有することができる。冷却手段の配置位置については特に限定されない。より具体的には、例えば、試料ホルダーのハンドル部の方向、好ましくはハンドル部の手前に、冷却手段を配置することができる。冷却手段においては、具体的には、液体窒素、液体ヘリウム等を利用して、試料ホルダー軸、ひいては、試料を冷却することが可能となる。
また、本発明の好ましい実施態様において、前記冷却手段は、試料を効率よく冷却させるという観点から、前記試料ホルダー軸部を冷却することが可能であることを特徴とする。
また、本発明の好ましい実施態様における一例の試料ホルダーを用いるデュワー真空方法は、TEM等において全ての真空を引くことが可能となる。すなわち、本発明の真空引きの方法は、TEM側の真空排気を利用して、真空引きすることを特徴とする。
既存の冷却ホルダー(試料ホルダー)のDewar部の真空方法は、以下の通りである(例えば、図3(1)を参照)。
1 .ゼオライト95を真空で引きながら、約3時間加熱する。常温に戻るまで、約3時間待つ。
2.TEM等に試料ホルダーを挿入する。
3. 液体窒素を冷却用容器に入れる。
4.液体窒素を入れることで、ゼオライト95が分子を吸着し、Dewarの真空度を上げることで、真空絶縁し冷却している。
ところが、既存のDewar部の真空保持方法の問題点は以下の通りである。
1.冷却時間とともに、ゼオライトの吸着能力が次第に低下する。液体窒素の再充填可能回数に限界がある。
2.真空度が安定しないため、外部から軸への熱伝達に経時変化が生じて、熱ドリフトが安定しないため、TEM等での高分解能(原子分解能)時では熱ドリフトによってデーターの取得が困難である。
3.また、TEM側とDewar側で、真空絶縁する必要があり、そのため、必ずシール部材が必要であるが、当該シール部より軸へ熱が流入し、これも熱ドリフトの影響となる。 また、入熱があるため、冷却到達までの時間が長くなり、到達温度も上昇してしまう。
4.ゼオライトの吸着能が飽和するため、観察終了後、ゼオライトの真空加熱作業が必要となり、観察終了から次の観察まで約6時間を要する。
これに対して、上述のように、本発明における一例の試料ホルダーを用いるDewar真空方法はTEM等で全ての真空を引くことが可能となる。すなわち、本発明の真空引きの方法は、本発明の試料ホルダ―を電子顕微鏡内で真空引きする方法であって、前記電子顕微鏡側の真空排気を利用して、真空引きすることを特徴とする。
すなわち、本発明の一例の試料ホルダーを用いる真空方法における有利な点は以下の通りである。1.シール部を使用する必要がなく、真空を冷却側と、試料ホルダー先端部側とで、各々真空引きをする必要がなく、ひいては全てが同一の真空度を保つことが出来るため、輻射熱(外部環境からの熱)のムラによる影響がない。(全て均一な輻射熱となる。)
2.途中にシール部が無いため、TEM等の装置側からの入熱が非常に少ない。
3.前述の利点から、熱を伝える軸の温度安定性能が格段に向上し、熱ドリフトの影響が少なくなる。この真空方法で試料ホルダーへの入熱、輻射熱の影響を減らし、冷却時にも安定して高分解能像が取得できる。
4.補足効果:TEM等で、全ての真空を引くため、予備準備であったゼオライトの過熱真空引きが不要になる。本発明の資料ホルダーでは、常温戻し後すぐに冷却できるので、一日に何度も観察が可能となる。
なお、試料ホルダーが、冷却用の場合においても、前記隔壁部材の位置は特に限定されない。前記隔壁部材は、冷却手段と、ハンドル部との接続部分や、顕微鏡中心方向側の冷却手段と外筒部の接続部近傍、デュワー部の上部等に設置することができる。
以下、図面を参照して本発明の試料ホルダーの実施例を説明するが、本発明は、それら実施例に限定して解釈されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であることは言うまでもない。
図1は、本発明の一実施態様における一例の試料ホルダー10の断面図を示す図である。図1は、試料設置部1、試料ホルダーの外筒部2、試料ホルダー軸(回転軸)3、隔壁部材によるシール位置4、ハンドル部5、デュワー部(冷却手段)6、冷媒7をそれぞれ示す。試料設置部1は、代替的に試料メッシュ設置部であってもよく、試料設置部と試料メッシュ設置部との組み合わせとすることもある。
試料ホルダー10の隔壁部材によるシール位置4は、電子顕微鏡のゴニオから外に出た位置である。例えば、ハンドル部5の直前、ハンドル部5の内部である。一方で、シール位置4が、外筒部2からハンドル部5寄りになるほど、空間が大きくなるので、いわゆる真空引きの容積が増大してTEMの真空排気系に負荷をかけることになる。すなわち、従来のように、先端部にシール部材を設置する態様においては、シール位置4をハンドル部5寄りにするだけで、ますます真空引きで規定値を達成できなくなるが、この点については、ホルダー軸部の内部を、真空引きに問題が生じない程度に鏡面に磨き上げることで対応できる。鏡面仕上げについては、より詳しくは後述する。
なお、本発明の実施例において、デュワー部6の容器内の冷媒7として、液体窒素を例示する。
図2は、デュワー部を含まない試料ホルダー10の部分断面を示し、図2(1)はハンドル部5から試料設置部1までを示し、図2(2)はハンドル部5と試料ホルダー軸(回転軸)3との接続部を示す。
図2(1)において、シール42は、外筒部と、試料ホルダーハンドル部5との接続部に設置されている。そして、少なくとも試料ホルダー軸(回転軸)3及び導線20がハーメチック44を通してある(図2(1))。試料ホルダー10の使用条件(加熱、流体流入、電場の印加、光/レーザー照射、又はこれらの組み合わせ)によって、ハーメチック44を通す部材数は、8線となる場合がある。導線20として、より具体的には電極、コネクター部材等を例示できる。
また、図2(2)は、シール42を含むシール面をハンドル部5のさらに奥に設けた例を示す。図2(2)において、シール42はハーメチック44の一部となっている。この例では、電子顕微鏡のゴニオから外64に出たより広い空間にシール面を配置することで、ハーメチック44にほとんど空間的な制約がなくなるので、広く大きく設計できる。流体(ガス、液体)をホルダー内部に導入する場合、流路としてのパイプ等を組み込むことがあるが、この例の構造であれば流路及び/又は電極等と関連部材との干渉をほとんど気にせずに容易に設計が可能となる。
一方で、シール面を、ゴニオ外64において、ハンドル部のより奥に移す(図2(2)の右方向)につれて電子顕微鏡による真空引きの容積が増大して電子顕微鏡の真空排気系に負荷をかけてしまう場合も起こり得る。
かかる場合においては、ホルダー軸部の内部を可能な限り広範囲で鏡面に磨き上げることで、高真空を達成することが可能である。この場合、少なくとも外筒部2の内面は、鏡面仕上げとすることが好ましい。また、鏡面仕上げの範囲は、内部の段差部等、従来対象としなかった細かな範囲までを含み、鏡面仕上げの施されていない範囲が小さければ小さいほどより好ましい。
なお、鏡面仕上げは、試料ホルダーの部品の形状や仕様に応じて、例えばバフ研磨、手研磨、さらにほかの研磨法や、複数の研磨法の組み合わせで行ってもよい。また、鏡面仕上げによる表面粗度は、算術平均粗さRaで0.2μmを超えないことが好ましい。このRaが1を超えると、TEMの真空排気系によるデュワー部の真空引きの継続が、実用上困難になる。すなわち、Raが1を超えると、TEMの真空排気系によるデュワー部の真空引きに長時間を要することになり、実用上で不便をきたす可能性がある。
次に、本発明の試料ホルダー10をTEMに用いて、いわゆる真空引きを実施する態様について説明する。とりわけ、本発明の試料ホルダーを冷却用試料とした一例について説明する。図3(2)において、グレーの領域は、本発明の試料ホルダー10においてデュワー真空方法を実施する場合に真空が及ぶエリアを示す。本発明の試料ホルダー10において真空が及ぶエリアは、図3(1)のグレーの領域より広がっている。試料ホルダー10では、TEMで全ての真空引きを実施すると、デュワー筐体内部から、軸部と外筒部との間の領域全てにおいて実用上同一の真空度を保つことができるので、試料ホルダーへの輻射熱のムラによる影響がない。いいかえると、試料ホルダー10が受ける輻射熱は、実質均一となる。そして、外筒部内に、従来技術におけるシール部91(図3(1))がないため、試料ホルダー10へのTEM等の装置からの入熱を非常に少なくできる。さらに、従来技術において、予備準備であったゼオラム95の加熱真空引きは、本発明の試料ホルダー10では不要となる。
また、本発明の試料ホルダーを冷却用に使用した場合に、デュワー内部を顕微鏡の真空度にすることができるので液体窒素の持ちがよくなるだけでなく、熱伝導部材等を試料ホルダー軸と、冷却手段とに間に設置した態様において、熱伝導部材も安定的に高真空に保持できるので、温度安定性を向上させることが可能となる。
透過型電子顕微鏡等において、試料付近(直下)での加熱や電場印加、通電を通した物質の変化を観察することで、相変態の様子や原子位置の変化、電気化学的な挙動を顕微鏡のレベルで明らかにすることができる。また、試料付近にガスを吹き付けたり、真空と分離された空間にガスなどの流体を流すことで、ほとんど実際の環境下での電子顕微鏡観察が可能となる。
上記のような実際の環境下での観察をオペランド測定という。おそらく、ここ10年、長くても15年くらいで注目を浴びてきている概念で電子顕微鏡の世界でも聞くようになってきている。加熱だけや電場だけのように1種類の物理量の操作だけでもオペランド測定ということも可能ですが、より厳密には現実の環境なので複合的なものを指す。このように複合的となってくると、試料ホルダーの設計の複雑さも増す。加熱だけであれば、電気回路としては最小でヒーターのためにプラスとマイナスの2線、あるいは、温度制御のために温度計(測温素子)に2線を加えて4線を通すハーメチックで十分であるが、加熱しながらガスを流したり、電場を印加したりあるいは光やレーザーを照射したりする場合、さらに2線や4線を通せるハーメチックを設計する必要がある。しかしながら、狭い部分でφ7やφ15程度しかない透過型電子顕微鏡用の試料ホルダーの軸径の中のハーメチックに電極やコネクター部品を通して、その数の配線を行うのは容易ではない。特に流路を通す場合、どうしてもその配管は導線に比べて太く空間を多くとらざるを得ない状況であった。回転軸がなくハーメチックだけで十分であれば、実現可能性は高くなるものの、2軸傾斜を行うために回転軸を配す場合は、8線を通す設計を行うことはほとんど不可能である。また、狭い場所での組立・配線は困難を伴う。ところが、本発明により、空間を確保できた結果として、上述の複合的な環境での同時測定も可能となることが判明した。
すなわち、本発明のように、よりハンドル部に近い場所、つまり、大きく開けた場所までシール部(ハーメチック)を持ってくることで、設計や配線・組立作業を飛躍的に容易にすることができ、かつ、メンテナンス性も飛躍的に向上させることが可能となった。
以上のように、本発明の試料ホルダーでは、よりハンドル部に近い場所、つまり、大きく開けた場所までシール部(及び/又はハーメチック)を持ってくることで、設計、配線・組立作業さらにメンテナンスを飛躍的に容易にすることができる。
そして、本発明の試料ホルダーでは、真空排気系の状況に応じて、所望の内面を鏡面仕上げとすることで、TEMの真空排気系による真空引きを継続できるので、冷媒の性能低下による再充填頻度を抑制でき、試料についてのデーター取得までの時間を顕著に短くすることができる。したがって、本発明の試料ホルダーにより、試料取り扱いにおける生産性を圧倒的に向上させることが可能である。さらに、鏡面仕上げの内面により、熱伝達部材も安定的に高真空に保持できるので、温度安定性を向上できる。このように、本発明の試料ホルダーは、各種研究発展に大きな貢献が期待できるものである。
本発明の試料ホルダーは、高真空下での利用に適し、広範な範囲での分野において有益であることが期待できる。本発明の試料ホルダーにより、高真空下での試料の高精度の可視化、画像形成又は解析を可能とし、研究発展に大きな貢献が期待できる。
1 試料及び/又は試料メッシュ設置部
2 外筒部
3 試料ホルダー軸(回転軸)
4 シール位置
5 ハンドル部
6 デュワー部
7 冷却手段
10 試料ホルダー
12 電極
20 導線
22 電極
32 流路
42 シール
44 ハーメチック
52 流体入口
54 流体出口
62 ゴニオ内
64 ゴニオ外
91 従来のシール部
95 ゼオライト

Claims (7)

  1. 試料及び/又は試料メッシュ設置部を有する試料ホルダー軸部と、前記試料ホルダー軸部を格納可能な外筒部と、前記試料及び/又は試料メッシュ設置部とは反対側の前記試料ホルダー軸部に設置された試料ホルダーハンドル部と、試料ホルダーが電子顕微鏡に設置された場合に、前記電子顕微鏡のゴニオメータステージ位置よりも中心方向から外側の位置に、前記外筒部の内部と大気とを遮断する隔壁部材を有することを特徴とする試料ホルダー。
  2. 前記試料ホルダー軸部の外壁面、及び前記外筒部の内壁面は、鏡面仕上げである請求項1記載の試料ホルダー。
  3. 前記隔壁部材は、前記外筒部と、前記試料ホルダーハンドル部との接続部に設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の試料ホルダー。
  4. 前記隔壁部材は、前記試料ホルダーハンドル部の内部に設置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の試料ホルダー。
  5. 前記試料ホルダー軸部は、前記試料ホルダー軸を中心に回転可能である請求項1〜4のいずれか1項に記載の試料ホルダー。
  6. 前記回転により、前記試料及び/又は試料メッシュ設置部は、前記試料ホルダー軸部の軸周りに回転可能か、又は前記試料ホルダー軸部の軸方向に直交する軸周りに回転可能である請求項5記載の試料ホルダー。
  7. さらに、前記試料ホルダー軸を冷却することが可能な冷却手段を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の試料ホルダー。
JP2018120233A 2018-06-25 2018-06-25 試料ホルダー Active JP6764902B2 (ja)

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