JP2020006524A - スクラッチ印刷物ならびにスクラッチ印刷装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スクラッチ印刷を低コストおよび小ロットに実現可能にする。【解決手段】(a1)の第1の印刷機(プリンター)41によって、(b1)の印刷物51のように、厚紙などの下地シートに、トナーにより、任意の絵柄561,562,563等と共に、抽選番号55を印刷する。次に、(a2)のラミネーター貼り付け機42によって、(b2)の印刷物52のように、フィルム層58を貼付ける。その後、(a3)の第2の印刷機(プリンター)43において、(b3)の印刷物53のように、遮蔽層59をトナーによって形成する。その遮蔽層59は、トナーを、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化させることで、剥離可能となる。したがって、シルクスクリーン印刷やオフセット印刷のように、版を用いることなく、低コストで、かつ小ロットに、スクラッチ印刷を実現することができる。【選択図】図3
Description
本発明は、スクラッチ印刷物ならびにそれを作成する装置および方法に関する。
従来から、抽選番号や認証番号などの個別識別可能な固有の情報の上に、遮蔽層を印刷して、透かして見られなくすることで、それらの情報を秘密にしておき、前記遮蔽層を削ることで露出させるスクラッチ印刷が広く行われている。
図8は、典型的な従来技術のスクラッチ印刷物の製造工程を説明する図である。図8における左側(a)欄は各印刷機11〜14を模式的に示すものであり、右側(b)欄は各印刷機11〜14を出たスクラッチ印刷物21〜24の正面図である。図8(b)の例は、スクラッチ印刷物21〜24として、抽選番号25などを印刷したスクラッチカードを示している。図8(b)は、分かり易くするために、個別のカードに切離した状態を示しており、実際に各印刷機11〜14を通過する段階は、複数、たとえば20枚のカードが1枚に印刷されたシートの状態で扱われ、最後に図示しない裁断装置で裁断されて、この図8(b)のようなカードに切離される。
この従来技術では、先ず、図8(a1)のオフセット印刷機11で、図8(b1)で示すように、厚紙などの下地シート(21)に、任意の絵柄26が印刷される。図8(b1)の例では、絵柄26は、商品の写真261,262,263、応募期間264,応募先アドレスの二次元バーコード265などが印刷されている。オフセット印刷機11は、CMYKインクおよび対応するスクリーンを使用するフルカラー印刷機である。
次に、図8(a2)の電子写真方式の印刷機(プリンター)12において、図8(b2)で示すように、可変情報である前記抽選番号25が、単色トナーで印字される。続いて、図8(a3)のシルクスクリーン印刷機13において、前記抽選番号25を囲う枠27内に、図8(b3)で示すように、ニス28が印刷される。その後、図8(a4)のシルクスクリーン印刷機14において、図8(b4)で示すように、前記枠27内に、スクラッチインキ29が印刷される。
このように従来のスクラッチ印刷では、紙などの前記透かして見られない下地シート21の上に、個別識別可能な固有の情報(25)が印刷機(プリンター)12で印刷され、その上に、シルクスクリーン印刷機やオフセット印刷機13によって、アンカー層となるニス層(28)を形成した後、さらに特殊なインキを用いて、シルクスクリーン印刷機やオフセット印刷機14によって、スクラッチインキ(遮蔽層)29を形成している。
そこで、特許文献1には、下地シート上にオフセット印刷で個別識別可能な固有の情報を形成し、それを保護するように透明インキ組成物から成る剥離層をオフセット印刷で形成し、その剥離層の上にスクラッチ隠蔽層を電子写真方式によるオンデマンド印刷で形成することで、スクラッチ隠蔽層の適正な接着力を得つつ、該スクラッチ隠蔽層の削り取りが可能なスクラッチ印刷物およびその製造方法が提案されている。
上述の従来技術は、剥離層を透明インキでオフセット印刷することで、その上に、電子写真方式で、つまり複写機やプリンターなどを用いて、トナーで隠蔽層が印刷可能になっている。したがって、隠蔽層に関しては、プリンターで、オンデマンド印刷可能であり、版が必要にはならない。
しかしながら、上述の従来技術では、透明剥離層は、依然として、前記シルクスクリーン印刷やオフセット印刷によって形成される。また、前記透明剥離層がニス塗りの場合は、塗工皮膜が薄く、たとえば1μm前後になる。そのため、その下層の個別識別可能な固有の情報に関しては、前記シルクスクリーン印刷やオフセット印刷で行うことになる(トナーで行えない)。詳しくは、インクが、シルクスクリーン印刷やオフセット印刷では1μm以下の厚みであるのに対し、トナーでは20μmにもなり、ニスではその厚みの差は吸収できない。したがって、上述の従来技術では、個別識別可能な固有の情報およびニスによる剥離層は、有版の前記シルクスクリーン印刷やオフセット印刷で形成する必要がある。
ここで、前記シルクスクリーン印刷やオフセット印刷では、版が必要になり(カラーの場合は色数分)、印刷装置以外に、製版工程(製版機)が必要となり、初期コストが嵩むとともに、印刷装置で、刷り始めてから安定する迄に、ヤレ紙という捨て紙が数百枚も発生し、無駄も多い。このようにスクラッチ印刷にシルクスクリーン印刷やオフセット印刷の工程が含まれると、小ロットの場合にコストが嵩むという問題がある。
本発明の目的は、印刷の全工程を電子写真方式で行うことができるスクラッチ印刷物ならびにスクラッチ印刷装置および方法を提供することである。
本発明のスクラッチ印刷物は、所望の情報および/または絵柄が印刷された下地シートと、前記下地シート上に形成されるフィルム層と、トナーが、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化されて前記フィルム層上に形成され、前記所望の情報および/または絵柄を遮蔽する遮蔽層とを含むことを特徴とする。
また、本発明のスクラッチ印刷装置は、下地シートに、所望の情報および/または絵柄の印刷を行う第1の印刷装置と、前記第1の印刷装置で印刷が施された下地シート上に、フィルム層を貼付ける貼付け装置と、トナーを、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化させて前記フィルム層上に、前記所望の情報および/または絵柄を遮蔽する遮蔽層を形成する第2の印刷装置とを含むことを特徴とする。
さらにまた、本発明のスクラッチ印刷方法は、下地シートに、所望の情報および/または絵柄の印刷を行う第1の印刷工程と、前記第1の印刷工程で印刷が施された下地シート上に、フィルム層を貼付ける貼付け工程と、トナーを、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化させて前記フィルム層上に、前記所望の情報および/または絵柄を遮蔽する遮蔽層を形成する第2の印刷工程とを含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、抽選番号や認証番号などの個別識別可能な固有の情報などの所望の情報や、たとえばその抽選番号や認証番号の周囲を飾る所望の絵柄、或いはスクラッチアートのための所望の絵柄を印刷した下地シートの上で、少なくとも前記所望の情報および/または絵柄の部分に、それらを遮蔽する(透かして見られなくする)遮蔽層を形成するスクラッチ印刷を実現するにあたって、それらの下地シートと遮蔽層との間に、アンカー層としてフィルム層を介在し、前記遮蔽層をスクラッチしても、下側の下地シート上に形成された情報および/または絵柄が削れないようにする。
そして、従来から広く用いられるニス層は、極薄で、電子写真方式の印刷装置に用いると、トナーの厚み、たとえば20μmを吸収できないので、該ニス層に代えて、アンカー層として、所定の厚み、たとえば80〜100μmを有するフィルム層を用いる。これによって、下地シートの上に前記所望の情報および/または絵柄を、電子写真方式、すなわちトナーの印刷で形成するとともに、さらにフィルム層の上にも、電子写真によるトナー層の形成を可能にする。一方、通常通り、トナーを溶解・固化させてしまうと、スクラッチしても削れなくなってしまう。そこで、遮蔽層に関しては、印刷物に加熱・圧着して、電子写真で形成された前記トナー層を定着させる定着ローラの温度を、トナーの融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度に設定することで、トナーを溶融および固化させるものの、正常な前記定着温度以上の場合に比べて、トナーの密着性を低くし、スクラッチにより剥離可能にする。
したがって、遮蔽層を特殊なインキを用いてシルクスクリーン印刷やオフセット印刷する場合のように、版を用いることなく、また所望の情報や絵柄を形成するプリンターと前記シルクスクリーン印刷やオフセット印刷とのように複数の印刷方式を併用することなく、下地シート上の前記所望の情報や絵柄と、遮蔽層との両方を、コピー機やプリンターなどの電子写真方式の画像形成装置で形成することができる。こうして、低コストで、かつ小ロットに、スクラッチ印刷を実現することができる。
また、本発明のスクラッチ印刷物では、前記フィルム層上に、該フィルム層から剥離容易な樹脂層がさらに形成され、その樹脂層上に前記遮蔽層が形成されることを特徴とする。
上記の構成によれば、下地シート上に形成された情報および/または絵柄をスクラッチで削れないようにするアンカー層となるフィルム層の上に、さらに該フィルム層から剥離容易な樹脂層を設けるので、トナーから成る剥離層が、より剥がれ易くなる。
これによって、剥がし(スクラッチ)残り(ムラ)が少なくなり、特にスクラッチアートで好適である。前記樹脂層としては、シリコンから成り、フィルムが貼り付けられたり、樹脂が塗布して形成されたり、いずれでもよい。
好ましくは、前記所望の情報および/または絵柄としては、個別識別可能な固有の情報であり、前記遮蔽層は、単色トナーで形成されるベタ画面であることを特徴とする。
また好ましくは、前記フィルム層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはシリコン樹脂から成ることを特徴とする。前記フィルム層の耐熱温度は、たとえば、ポリプロピレン(PP)の場合に100〜140℃、ポリエチレンテレフタレート(PET)の場合に60〜85℃、ポリ塩化ビニル(PVC)の場合に60〜80℃である。
一方、本発明のスクラッチ印刷物では、前記融解温度は80℃、前記定着温度は160℃とする。そこで、前記遮蔽層を形成するトナーの定着ローラの温度は、それらの耐熱温度、融解温度および加圧力に応じて、また下地シートによる吸熱を考慮して、たとえば200℃に設定することで、スクラッチ可能な遮蔽層を実現することができる。
また、本発明のスクラッチ印刷物は、所望の情報および/または絵柄が印刷された透明なベースフィルムと、トナーが、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化されて前記ベースフィルムにおける前記所望の情報および/または絵柄が形成された面とは反対側の面に形成され、該所望の情報および/または絵柄を遮蔽する遮蔽層とを含むことを特徴とする。
さらにまた、本発明のスクラッチ印刷装置は、透明なベースフィルムに、所望の情報および/または絵柄の印刷を行う第1の印刷装置と、トナーを、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化させて、前記ベースフィルムにおける前記所望の情報および/または絵柄が形成された面とは反対側の面に、前記所望の情報および/または絵柄を遮蔽する遮蔽層を形成する第2の印刷装置とを含むことを特徴とする。
また、本発明のスクラッチ印刷方法は、透明なベースフィルムに、所望の情報および/または絵柄の印刷を行う第1の印刷工程と、トナーを、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化させて、前記ベースフィルムにおける前記所望の情報および/または絵柄が形成された面とは反対側の面に、前記所望の情報および/または絵柄を遮蔽する遮蔽層を形成する第2の印刷工程とを含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、スクラッチアートなどのための所望の情報や絵柄を印刷するベースフィルムを透明として、一方の表面に前記所望の情報および/または絵柄を印刷し、他方の表面に、それらを遮蔽する(透かして見られなくする)遮蔽層を形成してスクラッチ印刷を実現する。
そして、遮蔽層を、電子写真によるトナー層とするものの、通常通り、トナーを溶解・固化させてしまうと、スクラッチしても削れなくなってしまう。そこで、印刷物に加熱・圧着して、電子写真で形成された前記トナー層を定着させる定着ローラの温度を、トナーの融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度に設定することで、トナーを溶融および固化させるものの、正常な前記定着温度以上の場合に比べて、トナーの密着性を低くし、スクラッチにより剥離可能にする。
したがって、遮蔽層を特殊なインキを用いてシルクスクリーン印刷やオフセット印刷する場合のように、版を用いることなく、また、所望の情報や絵柄も、通常の定着温度の電子写真でベースフィルムの反対面に印刷しておくので、前記所望の情報や絵柄と、遮蔽層との両方を、コピー機やプリンターなどの電子写真方式の画像形成装置で形成することができる。こうして、低コストで、かつ小ロットに、スクラッチ印刷を実現することができる。また、遮蔽層も、従来のようなベタ場面に限らず、複数色のトナーを用いて、別の絵柄に形成したりすることができ、これまでに無い新たなスクラッチ印刷物、特にスクラッチアートを提供することができる。なお、ベースフィルムは、裏面に印刷された所望の情報および/または絵柄を、透かして見られれば、色付きであってもよい。
また、本発明のスクラッチ印刷物では、前記所望の情報および/または絵柄としては、共通の情報および/または絵柄であり、前記遮蔽層は、複数色のトナーで形成される他の所望の絵柄から成ることを特徴とする。
上記の構成によれば、スクラッチ印刷物で遮蔽されるのは、多くは、前記の抽選番号や認証番号などの個別識別可能な固有の情報であったが、共通の情報や絵柄を遮蔽するようにしても、トナーにより遮蔽層を形成することから、該遮蔽層自体を他の絵柄で形成することで、これまでに無いスクラッチ印刷物を実現することができる。
好ましくは、前記ベースフィルムは、メラミン樹脂、ポリカーボネイト樹脂、またはアクリル樹脂の少なくとも1つから成ることを特徴とする。
本発明のスクラッチ印刷物ならびにスクラッチ印刷装置および方法は、以上のように、所望の情報および/または絵柄が印刷された下地シート上に、トナーのアンカー層となるフィルム層を形成し、その上に、融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化することで、剥離可能なトナー層を形成し、遮蔽層とする。
また、本発明のスクラッチ印刷物ならびにスクラッチ印刷装置および方法は、以上のように、所望の情報および/または絵柄が一方の面に印刷された透明なベースフィルムの反対の面に、融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化することで、剥離可能なトナー層を形成し、遮蔽層とする。
それゆえ、カバー層や遮蔽層をシルクスクリーン印刷やオフセット印刷する場合のように、版を用いることなく、コピー機やプリンターなどの電子写真方式の画像形成装置だけで、低コストで、かつ小ロットに、スクラッチ印刷を実現することができる。また、遮蔽層も、複数色のトナーを用いて、別の絵柄に形成したりすることができる。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の一形態に係るスクラッチ印刷物3の模式的な断面図であり、図2はそのスクラッチ印刷物3の分解斜視図である。本実施形態のスクラッチ印刷物3も、前述の図8で示すスクラッチ印刷物2と同様に、所望の秘密の情報である抽選番号などを遮蔽したスクラッチカードである。
図1は本発明の実施の一形態に係るスクラッチ印刷物3の模式的な断面図であり、図2はそのスクラッチ印刷物3の分解斜視図である。本実施形態のスクラッチ印刷物3も、前述の図8で示すスクラッチ印刷物2と同様に、所望の秘密の情報である抽選番号などを遮蔽したスクラッチカードである。
本実施形態のスクラッチ印刷物3は、トナー層32(図2の例では、グラデーションで示している)により所望の情報および/または絵柄が印刷された下地シート31と、その下地シート31上に貼付けられるフィルム層33と、遮蔽層34とを備えて構成される。遮蔽層34は、本実施形態に格別で、トナーが、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化されて、前記フィルム層33上に形成され、前記トナー層32の所望の情報および/または絵柄を遮蔽する(透かして見られなくする)。この遮蔽層34と、トナー層32とのトナー同士が密着しないように、フィルム層33が介在される。
図3は、上記スクラッチ印刷物3の製造工程を説明する図である。この図3は、前述の図8と同様に、左側(a)欄は製造工程を構成する装置を模式的に示すものであり、本実施形態の製造工程は、印刷機41、ラミネーター貼り付け機42および印刷機43を備えて構成される。図3の右側(b)欄は、各印刷機41、ラミネーター貼り付け機42および印刷機43を出たスクラッチ印刷物51〜53の正面図である。図3の例も、スクラッチ印刷物51〜53として、抽選番号55などを印刷したスクラッチカードを示している。図3(b)は、分かり易くするために、個別のカードに切離した状態を示しており、実際に各印刷機41、ラミネーター貼り付け機42および印刷機43を通過する段階は、複数、たとえば20枚のカードが印刷されたシートの状態で扱われ、最後に図示しない裁断装置で裁断されて、この図3(b)のようなカードに切離される。
本実施形態で先ず注目すべきは、第1の印刷装置であり、第1の印刷工程を実現する図3(a1)の電子写真方式の印刷機(プリンター)41によって、図3(b1)のスクラッチ印刷物51で示すように、厚紙などの裏が透けて見えない下地シート31に、トナーにより、任意の絵柄56と共に、可変情報である抽選番号55が印刷されることである。図3(b1)の例では、絵柄56として、商品の写真561,562,563、応募期間564、応募先アドレスの二次元バーコード565などが印刷されている。この印刷機(プリンター)41は、CMYKトナーを使用するフルカラー印刷機であり、たとえば写真561,562,563はフルカラーで、応募期間564および二次元バーコード565ならびに抽選番号55は単色トナーで印字されるが、1回の通紙で、この図3(b1)に示す総ての画像形成が可能である。
この印刷機(プリンター)41では、固定の絵柄56と可変情報の抽選番号55とが同時に画像形成されるが、それらのデータは、印刷の都度、パーソナルコンピュータなどからこの印刷機(プリンター)41に送信されてもよく、または背景となる絵柄26のデータだけが予め送信されていて、抽選番号55のデータだけが逐次送信されてもよい。或いは、パーソナルコンピュータからこの印刷機(プリンター)41に、絵柄26のデータと、抽選番号55を変化するプログラムとが送信され、この印刷機(プリンター)41で可変情報である抽選番号55を逐次作成して絵柄26のデータに嵌め込むようにしてもよい。
次に、貼付け装置であり、貼付け工程を実現する図3(a2)のラミネーター貼り付け機42において、図3(b2)のスクラッチ印刷物52で示すように、図1および図2のフィルム層33に対応するフィルム層58が貼付けられる。図3の例では、フィルム層58は、フィルムがラミネーター貼り付け機42によって貼付けられて形成されるが、塗工機によって、ラミネーター樹脂が塗布されて形成されてもよい。特に、小ロットの場合、塗布形成が有利である。その塗布形成の場合、図3(b3)で示すスクラッチの枠57内にのみ、該フィルム層58が形成されてもよい。
その後、第2の印刷装置であり、第2の印刷工程を実現する図3(a3)の電子写真方式の印刷機(プリンター)43において、図3(b3)のスクラッチ印刷物53で示すように、図1および図2の遮蔽層34に対応する遮蔽層59が、トナーによって形成される。
図4は、電子写真方式の印刷機(複写機やプリンター)における定着工程を模式的に示す図である。上流側の図示しない感光体ベルトや感光体ドラムから、トナー71の像が転写された用紙72は、定着ローラ73と加圧ローラ74との間のニップ部に搬送される。それらのローラ73,74は、所定の挟圧力75によって互いに圧着している。定着ローラ73には、加熱ローラ76との間に、定着ベルト77が巻き掛けられている。したがって、矢符78方向に搬送される用紙71上では、図4(a)で示すように、トナー71は、ローラ73,74間のニップ部で溶融し、一部が用紙71の繊維に入り込み、その後、放熱によって固化することで、参照符号71aで示すように、用紙72に強固に密着する。
これに対して、注目すべきは、本実施形態では、定着ローラ73の温度を、トナー71の融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度に設定することで、図4(b)で示すように、トナー71を溶融および固化させるものの、図4(a)の正常な定着温度の場合に比べて、参照符号71bで示すように、トナー71の密着性を低くし、スクラッチにより剥離可能にすることである。そのため、下地シート31と遮蔽層34との間に、アンカー層としてフィルム層33を介在し、遮蔽層34をスクラッチしても、下側の下地シート31上に形成された抽選番号55(トナー層32)が削れないようにしている。
ところで、スクラッチ印刷に従来から広く用いられているニス層は、極薄で、また電子写真方式の印刷装置に用いると、トナーの厚み、たとえば20μmを吸収できない。そのため、本実施形態では、該ニス層に代えて、アンカー層として、所定の厚み、たとえば80〜100μmを有するフィルム層33を用いている。こうして、下地シート31の上に所望の情報である抽選番号55(トナー層32)を、電子写真方式、すなわちトナーの印刷で形成するとともに、さらにフィルム層33の上にも、電子写真によるトナー層である遮蔽層34の形成を可能にする。
このように構成することで、スクラッチ印刷を実現するにあたって、図8の従来技術のように、遮蔽層(スクラッチインキ29)を特殊なインキを用いてシルクスクリーン印刷やオフセット印刷(14)する場合のように、版を用いることなく、また所望の情報や絵柄を形成するプリンター(12)と前記シルクスクリーン印刷やオフセット印刷の印刷機(11,13,14)とのように複数の印刷方式を併用することなく、下地シート31上の所望の情報(抽選番号55)と、遮蔽層34との両方を、コピー機やプリンターなどの電子写真方式の画像形成装置(41,43)で形成することができる。こうして、低コストで、かつ小ロットに、スクラッチ印刷を実現することができる。たとえば、顔写真などのように、1品1様なバリアブルのスクラッチ印刷物を得ることができる。印刷機(プリンター)41と43とには、同じ機械が時間をずらして使用されてもよい。
好ましくは、前記フィルム層33は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはシリコン樹脂から成る。その場合、フィルム層33の耐熱温度は、たとえば、ポリプロピレン(PP)で100〜140℃、ポリエチレンテレフタレート(PET)で60〜85℃、ポリ塩化ビニル(PVC)で60〜80℃である。また、遮蔽層34が剥がれ易く、トナー層32を確実に保護するために、フィルム層33の厚さは、ポリプロピレン(PP)およびポリエチレンテレフタレート(PET)で20μm以上、ポリ塩化ビニル(PVC)で70μm以上である。
また、定着ローラ73の温度であるが、これは、上述のように、トナー71が、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度になればよい。その温度は、トナー71が粉砕トナーか重合トナーか、トナーの色、つまり顔料が何か、ニップ部の挟圧力75は幾らか、フィルム層33の材質および厚さは幾らか、画像形成の速度(通紙の速度)は幾らか、下地シート31の厚さや熱伝導率は幾らか、などの条件によって異なる。本件発明者の実験によれば、大略、80〜160℃であれば、トナー71が用紙72に密着せず、つまりスクラッチで剥がすことができ、かつ定着ベルト77に貼付いたり、粉のままで残ったりする(スクラッチしなくても剥がれる)、所謂コピー機の定着不良のようなことがなく、好ましい。そのような温度を実現する定着ローラ73の温度は、たとえば200℃である。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の他の形態に係るスクラッチ印刷物3aの模式的な断面図である。このスクラッチ印刷物3aは、上述の図1および図2で示すスクラッチ印刷物3に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。注目すべきは、このスクラッチ印刷物3aでは、前記抽選番号55のような情報がスクラッチで削れないようにするアンカー層となるフィルム層33上に、該フィルム層33から剥離容易な樹脂層35がさらに形成され、その樹脂層35上に遮蔽層34が形成されることである。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の他の形態に係るスクラッチ印刷物3aの模式的な断面図である。このスクラッチ印刷物3aは、上述の図1および図2で示すスクラッチ印刷物3に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。注目すべきは、このスクラッチ印刷物3aでは、前記抽選番号55のような情報がスクラッチで削れないようにするアンカー層となるフィルム層33上に、該フィルム層33から剥離容易な樹脂層35がさらに形成され、その樹脂層35上に遮蔽層34が形成されることである。
したがって、トナー71から成る剥離層34が、より剥がれ易くなり、剥がし(スクラッチ)残り(ムラ)が少なくなり、特に後述の実施形態3で示すスクラッチアートで好適である。樹脂層35は、シリコン樹脂から成り、そのシリコン樹脂フィルムが貼り付けられたり、シリコン樹脂が塗布されたり、いずれで形成されてもよい。貼付けの場合、フィルム層33を形成した後に、再度ラミネーター貼り付け機42を使用して行うことができる。一方、塗布の場合、ラミネーター貼り付け機42を使用し、該ラミネーター貼り付け機42の出口で、フィルム層33を貼り付けた下地シート31に接触するように、シリコン樹脂液を含ませた布を当てることで行うことができ、特に塗工機などの設備は必要では無い。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施のさらに他の形態に係るスクラッチ印刷物3bの正面図である。このスクラッチ印刷物3bは、上述の図1、図2および図5で示すスクラッチ印刷物3,3aの構造および図3および図4の製造工程を使用して作成することができる。このスクラッチ印刷物3bは、スクラッチアートの一例であり、遮蔽層34bに特徴を有する。すなわち、上述のスクラッチ印刷物3では、トナー層32に形成される所望の情報および/または絵柄としては、個別識別可能な固有の情報である抽選番号55であり、それを遮蔽層するだけの機能は、遮蔽層34,59のような単色トナーで形成されるベタ画面で実現することができる。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施のさらに他の形態に係るスクラッチ印刷物3bの正面図である。このスクラッチ印刷物3bは、上述の図1、図2および図5で示すスクラッチ印刷物3,3aの構造および図3および図4の製造工程を使用して作成することができる。このスクラッチ印刷物3bは、スクラッチアートの一例であり、遮蔽層34bに特徴を有する。すなわち、上述のスクラッチ印刷物3では、トナー層32に形成される所望の情報および/または絵柄としては、個別識別可能な固有の情報である抽選番号55であり、それを遮蔽層するだけの機能は、遮蔽層34,59のような単色トナーで形成されるベタ画面で実現することができる。
これに対して、スクラッチアートでは、トナー層32bに任意の絵柄を形成し、遮蔽層34bにも、任意の絵柄を形成することができる。図6の例では、下地シート31上に、トナー層32bとしては全面に一様な模様が印刷されており、その文様を遮蔽層34bを剥がしてゆくことで、任意に露出させることができるようになっている。スクラッチアートでは、遮蔽層34bには、前記抽選番号55のような完全に見えないようにするまでの必要も無く、このスクラッチ印刷物3bのように、単色のトナーの濃淡で模様が、形成されてもよい。図6の例では、模様が、網掛けの状態で描かれており、使用者は、それを下書きのようになぞることで、トナー層の鮮やかな文様を露出させることができる。図6では、大略的に、外枠部分は遮蔽層34bが形成されておらず、最初から露出した状態であり、遮蔽層34bが形成されている領域では、上半分部分が、スクラッチ前の網掛けの状態、下半分部分がスクラッチ後の模様の線が現れた状態を示している。
好ましくは、印刷機43が電子写真方式のプリンターであるので、複数色のトナーを用いて、遮蔽層34bを形成することである。勿論、印刷機41も電子写真方式のプリンターであるので、任意のカラー印刷を行うようにすることができる。このようにして、これまでに無い新たなスクラッチ印刷物を提供することができる。なお、前記フィルム層33と遮蔽層34,34bとは、2組以上形成されてもよく、下地シート31の両面に形成されてもよい。
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施のさらに他の形態に係るスクラッチ印刷物3cの分解斜視図である。このスクラッチ印刷物3cは、上述の図1および図2で示すスクラッチ印刷物3に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。このスクラッチ印刷物3cも、スクラッチアートに好適に用いられる。注目すべきは、このスクラッチ印刷物3では、紙などの下地シート31に代えて、透明なベースフィルム31cが用いられることである。そして、トナー層32を一方の面に、遮蔽層34を他方の面に形成しており、フィルム層33が省略されている。したがって、製造工程も、第1および第2の印刷工程を実現する第1および第2の印刷装置である電子写真方式の印刷機(プリンター)41,43のみによって構成される。
(実施の形態4)
図7は、本発明の実施のさらに他の形態に係るスクラッチ印刷物3cの分解斜視図である。このスクラッチ印刷物3cは、上述の図1および図2で示すスクラッチ印刷物3に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。このスクラッチ印刷物3cも、スクラッチアートに好適に用いられる。注目すべきは、このスクラッチ印刷物3では、紙などの下地シート31に代えて、透明なベースフィルム31cが用いられることである。そして、トナー層32を一方の面に、遮蔽層34を他方の面に形成しており、フィルム層33が省略されている。したがって、製造工程も、第1および第2の印刷工程を実現する第1および第2の印刷装置である電子写真方式の印刷機(プリンター)41,43のみによって構成される。
このように構成することで、スクラッチアートに特に好適なスクラッチ印刷物3cを実現することができる。なお、本実施形態では、ベースフィルム31cの両面にトナー層を形成することになるので、トナー層32と遮蔽層34とに使用するトナーに対して、挟圧力75の好適な値がほぼ等しければ、1台のデジタル複合機の両面印刷機能を使用して、スクラッチ印刷物3cを作成することができる。また、ベースフィルム31cは、裏面に印刷されたトナー層32における所望の情報および/または絵柄を、透かして見られれば、色付きであってもよい。
3,3a,3b,3c スクラッチ印刷物
31,31a, 下地シート
31c ベースフィルム
32 トナー層
33 フィルム層
34,34b 遮蔽層
35 樹脂層
41 第1の印刷機
42 ラミネーター貼り付け機
43 第2の印刷機
51〜53 スクラッチ印刷物
55 抽選番号
561,562,563 商品の写真
565 二次元バーコード
58 フィルム層
57 スクラッチの枠
59 遮蔽層
71 トナー
72 用紙
73 定着ローラ
74 加圧ローラ
75 挟圧力
76 加熱ローラ
77 定着ベルト
31,31a, 下地シート
31c ベースフィルム
32 トナー層
33 フィルム層
34,34b 遮蔽層
35 樹脂層
41 第1の印刷機
42 ラミネーター貼り付け機
43 第2の印刷機
51〜53 スクラッチ印刷物
55 抽選番号
561,562,563 商品の写真
565 二次元バーコード
58 フィルム層
57 スクラッチの枠
59 遮蔽層
71 トナー
72 用紙
73 定着ローラ
74 加圧ローラ
75 挟圧力
76 加熱ローラ
77 定着ベルト
Claims (12)
- 所望の情報および/または絵柄が印刷された下地シートと、
前記下地シート上に形成されるフィルム層と、
トナーが、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化されて前記フィルム層上に形成され、前記所望の情報および/または絵柄を遮蔽する遮蔽層とを含むことを特徴とするスクラッチ印刷物。 - 前記所望の情報および/または絵柄としては、個別識別可能な固有の情報であり、
前記遮蔽層は、単色トナーで形成されるベタ画面であることを特徴とする請求項1記載のスクラッチ印刷物。 - 前記フィルム層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはシリコン樹脂から成ることを特徴とする請求項1または2記載のスクラッチ印刷物。
- 前記フィルム層上に、該フィルム層から剥離容易な樹脂層がさらに形成され、その樹脂層上に前記遮蔽層が形成されることを特徴とするスクラッチ印刷物。
- 所望の情報および/または絵柄が印刷された透明なベースフィルムと、
トナーが、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化されて前記ベースフィルムにおける前記所望の情報および/または絵柄が形成された面とは反対側の面に形成され、該所望の情報および/または絵柄を遮蔽する遮蔽層とを含むことを特徴とするスクラッチ印刷物。 - 前記所望の情報および/または絵柄としては、共通の情報および/または絵柄であり、
前記遮蔽層は、複数色のトナーで形成される他の所望の絵柄から成ることを特徴とする請求項5記載のスクラッチ印刷物。 - 前記ベースフィルムは、メラミン樹脂、ポリカーボネイト樹脂、またはアクリル樹脂の少なくとも1つから成ることを特徴とする請求項5または6記載のスクラッチ印刷物。
- 前記融解温度は80℃、前記定着温度は160℃であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のスクラッチ印刷物。
- 下地シートに、所望の情報および/または絵柄の印刷を行う第1の印刷装置と、
前記第1の印刷装置で印刷が施された下地シート上に、フィルム層を貼付ける貼付け装置と、
トナーを、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化させて前記フィルム層上に、前記所望の情報および/または絵柄を遮蔽する遮蔽層を形成する第2の印刷装置とを含むことを特徴とするスクラッチ印刷装置。 - 透明なベースフィルムに、所望の情報および/または絵柄の印刷を行う第1の印刷装置と、
トナーを、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化させて、前記ベースフィルムにおける前記所望の情報および/または絵柄が形成された面とは反対側の面に、前記所望の情報および/または絵柄を遮蔽する遮蔽層を形成する第2の印刷装置とを含むことを特徴とするスクラッチ印刷装置。 - 下地シートに、所望の情報および/または絵柄の印刷を行う第1の印刷工程と、
前記第1の印刷工程で印刷が施された下地シート上に、フィルム層を貼付ける貼付け工程と、
トナーを、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化させて前記フィルム層上に、前記所望の情報および/または絵柄を遮蔽する遮蔽層を形成する第2の印刷工程とを含むことを特徴とするスクラッチ印刷方法。 - 透明なベースフィルムに、所望の情報および/または絵柄の印刷を行う第1の印刷工程と、
トナーを、その融解温度より高く、かつ定着温度未満の温度で溶融および固化させて、前記ベースフィルムにおける前記所望の情報および/または絵柄が形成された面とは反対側の面に、前記所望の情報および/または絵柄を遮蔽する遮蔽層を形成する第2の印刷工程とを含むことを特徴とするスクラッチ印刷方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2018126830A JP2020006524A (ja) | 2018-07-03 | 2018-07-03 | スクラッチ印刷物ならびにスクラッチ印刷装置および方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2018126830A JP2020006524A (ja) | 2018-07-03 | 2018-07-03 | スクラッチ印刷物ならびにスクラッチ印刷装置および方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2020006524A true JP2020006524A (ja) | 2020-01-16 |
Family
ID=69150163
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2018126830A Pending JP2020006524A (ja) | 2018-07-03 | 2018-07-03 | スクラッチ印刷物ならびにスクラッチ印刷装置および方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2020006524A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2021146542A (ja) * | 2020-03-17 | 2021-09-27 | 図書印刷株式会社 | スクラッチ印刷物およびスクラッチ印刷物の印刷方法 |
-
2018
- 2018-07-03 JP JP2018126830A patent/JP2020006524A/ja active Pending
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