JP2020006677A - 木材形状及び/又は木材調湿性調整剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】木材の変形を抑制する、木材の変形を修復する、木材の吸湿/放湿性を向上させる等の木材形状及び/又は木材調湿性調整技術を提供する。【解決手段】イオン液体を含有する、木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。【選択図】なし
Description
本発明は、木材形状及び/又は木材調湿性調整剤、木材への耐変形性の付与方法、耐変形性が高められた木材の製造方法、耐変形性が高められた木材、木材の吸湿/放湿性の向上化方法等に関する。
近年、日本国内で生産される木材は増加の一途を辿っており、より効率的な木材生産が求められている。
木材は、生木では含水率が高く、乾燥に伴って変形してしまう。このため、特に建築資材としては、建築構造上の不具合のリスクを低減するために、通常は乾燥木材が使用される。しかし、乾燥は、天然乾燥の場合は、数ヶ月から数年という長い時間を要してしまう。また、低温除湿式乾燥や高温減圧乾燥等の人工乾燥の場合は、短期間で乾燥できるものの、温度や湿度の調整のために多くのコストを要してしまう。また、高温での人工乾燥の場合は、急激な水分の低下による割れや寸法変化、色変化、耐久性の低下が生じる。
また、木材は種々な細胞から構成されるため構造が複雑かつ多孔質な特徴を有している。従って、金属やプラスティックと比較して優れた水分吸着性能、すなわち吸・放湿性能を有するため、周囲の環境の急激な湿度変化を和らげることが出来るが、吸・放湿に伴い寸法変化する。
一方、イオン液体は、木材に浸漬させることにより、木材の耐腐朽性や難燃性を向上できることが知られている(特許文献1及び2)。
木材の変形を抑制することができれば、生木や含水率の高い木材でも、特に建築資材等として利用することができる。これにより、乾燥期間及び乾燥コストを低減することができる。また、木材の変形を修復することができれば、一旦変形してしまった木材や木材製品であっても、利用することができる。さらに、木材の変形無くして吸湿/放湿性を向上させることができれば、建材、特に内装材等としての価値を高めることができる。
そこで、本発明は、木材の変形を抑制する、木材の変形を修復する、木材の吸湿/放湿性を向上させる等の木材形状及び/又は木材調湿性調整技術を提供することを課題とする。
本発明者は鋭意研究を進めた結果、イオン液体を含有する木材形状及び/又は木材調湿性調整剤を利用することによって、上記課題を解決できることを見出した。この知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1. イオン液体を含有する、木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
項2. さらに水を含有する、項1に記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
項3. 前記イオン液体の含有割合が5〜50質量%である、項1又は2に記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
項4. 前記イオン液体の含有割合が15〜35質量%である、項1〜3のいずれかに記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
項5. 前記イオン液体を構成するカチオンがイミダゾリウムイオンを含む、項1〜4のいずれかに記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
項6. 前記イオン液体を構成するアニオンが有機カルボン酸イオンを含む、項1〜5のいずれかに記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
項7. 木材変形抑制剤及び/又は木材変形修復剤である、項1〜6のいずれかに記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
項8. (a)木材にイオン液体を保持させることを含む、木材への耐変形性の付与方法。
項9. (a)木材にイオン液体を保持させることを含む、耐変形性が高められた木材の製造方法。
項10. 前記(a)が、(a1)木材を項3又は4に記載の木材形状調整剤に浸漬することである、項8に記載の製造方法。
項11. イオン液体を保持する、耐変形性が高められた木材。
項12. (a)木材にイオン液体を保持させることを含む、木材変形修復方法。
項13. (a)木材にイオン液体を保持させることを含む、変形が修復された木材の製造方法。
項14. 前記(a)が、(a1)木材を項3又は4に記載の木材形状調整剤に浸漬することである、項13に記載の製造方法。
項15. イオン液体を保持する、変形が修復された木材。
項16. 木材吸湿/放湿性向上化剤である、項1〜6のいずれかに記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
項17. (a)木材にイオン液体を保持させることを含む、木材の吸湿/放湿性の向上化方法。
項18. (a)木材にイオン液体を保持させることを含む、吸湿/放湿性が高められた木材の製造方法。
項19. 前記(a)が、(a1)木材を項3又は4に記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤に浸漬することである、項17に記載の製造方法。
項20. イオン液体を保持する、吸湿/放湿性が高められた木材の製造方法。
本発明によれば、木材形状及び/又は木材調湿性調整剤、木材への耐変形性の付与方法、耐変形性が高められた木材の製造方法、耐変形性が高められた木材、木材変形修復方法、変形が修復された木材の製造方法、変形が修復された木材、木材の吸湿/放湿性の向上化方法等を提供することができる。これらの技術によれば、イオン液体を木材に単に保持させることによって、簡便且つ効率的に木材の変形を修復し、さらには木材の変形を抑制し、また木材の吸湿/放湿性を高めることができる。さらに、本発明の好ましい一態様においては、特定濃度のイオン液体を木材に保持させることによって、木材の変形をさらに抑制することができる。本発明の技術により得られた、イオン液体を保持する木材は、寸法変化しない吸湿/放湿材として利用することもできる。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
1.木材形状及び/又は木材調湿性調整剤
本発明は、その一態様において、イオン液体を含有する、木材形状及び/又は木材調湿性調整剤(本明細書において、「本発明の剤」と示すこともある。)に関する。以下に、これについて説明する。
本発明は、その一態様において、イオン液体を含有する、木材形状及び/又は木材調湿性調整剤(本明細書において、「本発明の剤」と示すこともある。)に関する。以下に、これについて説明する。
イオン液体としては、カチオン及びアニオンからなり、且つ常温において液体状態である塩であれば特に限定されない。常温において液体状態である塩の具体例としては、融点が40℃以下、好ましくは25℃以下、より好ましくは10℃以下、さらに好ましくは−20℃以下である塩が挙げられる。イオン液体は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオンとしては、イオン液体を構成するカチオンとなり得る限り特に限定されない。カチオンの具体例としては、一般式(1)で表されるイミダゾリウムイオン、一般式(2)で表されるピリジニウムイオン、一般式(3)で表されるアンモニウムイオン、一般式(4)で表されるピロリジニウムイオン、一般式(5)で表されるホスホニウムイオン、及び一般式(6)であらわされるスルホニウムイオン等が挙げられ、好ましくは一般式(1)で表されるイミダゾリウムイオン、一般式(5)で表されるホスホニウムイオン等が挙げられる。カチオンは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一般式(1)中、R1及びR2は同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、又は水素原子を示す(但し、R1及びR2は同時に水素原子ではない)。アルキル基は、カチオンがイオン液体を形成し得る限り特に限定されない。アルキル基は、分枝鎖状又は直鎖状のいずれでもよいが、直鎖状であることが好ましい。アルキル基としては、例えば炭素数1〜8のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、より具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、及びオクチル基等が挙げられる。
一般式(1)の1つの好ましい態様としては、R1が炭素数1〜2のアルキル基であり、且つR2が炭素数3〜5のアルキル基であるという態様が挙げられる。
一般式(2)中、R3は置換されていてもよいアルキル基を示す。アルキル基は、カチオンがイオン液体を形成し得る限り特に限定されない。アルキル基は、分枝鎖状又は直鎖状のいずれでも良いが、直鎖状であることが好ましい。アルキル基としては、例えば炭素数1〜5のアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基が挙げられ、より具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基等が挙げられる。
一般式(3)中、R4〜R7は同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、又は水素原子を示す(但し、R4〜R7は同時に水素原子ではない)。アルキル基は、カチオンがイオン液体を形成し得る限り特に限定されない。アルキル基は、分枝鎖状又は直鎖状のいずれでも良いが、直鎖状であることが好ましい。アルキル基としては、例えば炭素数1〜5のアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基が挙げられ、より具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基等が挙げられる。
一般式(4)中、R8及びR9は同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、又は水素原子を示す(但し、R8及びR9は同時に水素原子ではない)。アルキル基は、カチオンがイオン液体を形成し得る限り特に限定されない。アルキル基は、分枝鎖状又は直鎖状のいずれでも良いが、直鎖状であることが好ましい。アルキル基としては、例えば炭素数1〜8のアルキル基、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、より具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、及びオクチル基等が挙げられる。
一般式(5)中、R10〜R13は同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、又は水素原子を示す(但し、R10〜R13は同時に水素原子ではない)。アルキル基は、カチオンがイオン液体を形成し得る限り特に限定されない。アルキル基は、分枝鎖状又は直鎖状のいずれでも良いが、直鎖状であることが好ましい。アルキル基としては、例えば炭素数1〜5のアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基が挙げられ、より具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基等が挙げられる。
一般式(6)中、R14〜R16は同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基、又は水素原子を示す(但し、R14〜R16は同時に水素原子ではない)。アルキル基は、ラジカル重合性基含有カチオンがイオン液体を形成し得る限り特に限定されない。アルキル基は、分枝鎖状又は直鎖状のいずれでも良いが、直鎖状であることが好ましい。アルキル基としては、例えば炭素数1〜5のアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基が挙げられ、より具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基等が挙げられる。
一般式(1)〜(6)中、アルキル基の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボニル基、メトキシ基、アミノ基、カルボキシル基、アリール基、ラジカル重合性基が挙げられる。また、水素原子に代えて、ラジカル重合性基を採用することもできる。ラジカル重合性基としては、ラジカルによって付加重合することが可能であり、且つラジカル重合成基含有カチオンがイオン液体を形成し得る限り特に限定されない。ラジカル重合性基の具体例としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びマレオイル基等が挙げられ、好ましくはビニル基、アリル基、及びアクリロイル基等が挙げられる。
アニオンとしては、イオン液体を構成するアニオンとなり得る限り特に限定されない。アニオンの具体例としては、有機カルボン酸イオン(例えばカルボキシ基を1つ有する、炭素数1〜8(好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3)の有機カルボン酸イオン)、ハロゲン化物イオン、ジアルキルリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン(BF4 -)、BF3CF3 -、BF3C2F5 -、BF3C3F7 -、BF3C4F9 -、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 -)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオン((CF3SO2)2N-)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン((CF3SO2)3C-)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3 -)、ジシアンアミドイオン((CN)2N-)、トリフルオロ酢酸イオン(CF3COO-)、及びアミノ酸由来イオン等が挙げられる。アニオンは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イオン液体は、公知の方法(例えば、Chem. Lett., 2000, 第922頁、J. Phys. Chem. B, 103, 1999, 第4164頁等参照)に従って製造することができる。本発明では、公知の方法に従って製造したイオン液体を使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
本発明の剤は、イオン液体のみからなるものであってもよいし、他の溶媒、他の成分を含有していてもよい。
他の溶媒としては、例えば水や各種有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えばアルコール、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、及びトルエン等が挙げられる。他の溶媒としては、水が好ましい。他の溶媒(好ましくは水)を含有する場合、イオン液体及び他の溶媒(好ましくは水)の合計含有割合は、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上である。他の溶媒は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の成分としては、特に制限されず、例えば各種木材処理剤(例えば、防腐剤、防蟻剤、防虫剤、難燃剤、不燃剤等)が挙げられる。
本発明の剤におけるイオン液体の含有割合は、特に制限されない。当該含有割合は、例えば1〜100質量%、好ましくは2〜70質量%、より好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜40質量%、よりさらに好ましくは15〜35質量%、特に好ましくは25〜35質量%である。当該含有割合の別の好ましい範囲としては、例えば30〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%である。
本発明の剤の対象である木材としては、伐採された樹木である限り特に限定されず、原料となる木本の種類や製材の有無(及びその程度)を問わず多様な木材を採用できる。木材は、1種の木本を原料とするものでもよいし、2種以上の木本を組み合わせて原料とするものでもよい。
木本としては、木材の材料となり得る限り特に限定されず、例えば、針葉樹材、及び広葉樹材等が挙げられ、より具体的には、スギ、エゾマツ、カラマツ、クロマツ、トドマツ、ヒメコマツ、イチイ、ネズコ、ハリモミ、イラモミ、イヌマキ、モミ、サワラ、トガサワラ、アスナロ、ヒバ、ツガ、コメツガ、ヒノキ、イチイ、イヌガヤ、トウヒ、イエローシーダー(ベイヒバ)、ロウソンヒノキ(ベイヒ)、ダグラスファー(ベイマツ)、シトカスプルース(ベイトウヒ)、ラジアータマツ、イースタンスプルース、イースタンホワイトパイン、ウェスタンラーチ、ウェスタンファー、ウェスタンヘムロック、タマラック等の針葉樹材;アスベン、アメリカンブラックチェリー、イエローポプラ、ウォールナット、カバザクラ、ケヤキ、シカモア、シルバーチェリー、タモ、チーク、チャイニーズエルム、チャイニーズメープル、ナラ、ハードメイプル、ヒッコリー、ピーカン、ホワイトアッシュ、ホワイトオーク、ホワイトバーチ、レッドオーク、アカシア、ユーカリ等の広葉樹材等が挙げられる。また、辺材及び心材のいずれも木材の材料とすることができる。
木材の種類としては、イオン液体を保持し得る限り特に限定されない。例えば、丸太、角材、板材、無垢材、木質材料、集成材、単板積層材、合板、木質ボード、パーティクルボード、及びファイバーボードが挙げられる。また、木材としては、生木、乾燥木材のいずれも使用することができる。
また、木材は、溶媒で処理することによって、溶媒を保持させた木材であってもよい。この際の溶媒としては、イオン液体と置換し得る溶媒である限り特に限定されない。当該溶媒の具体例としては、アルコール、水、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、及びトルエン等が挙げられ
木材に溶媒を保持させる方法は、特に制限されないが、例えば木材を溶媒に浸漬する方法が挙げられる。
木材に溶媒を保持させる方法は、特に制限されないが、例えば木材を溶媒に浸漬する方法が挙げられる。
溶媒への浸漬は、溶媒を木材に浸透させることができる限りどのような態様であってもよく、例えば木材の一部又は全部が溶媒に浸漬されるような態様が挙げられる。浸漬は、減圧下、加圧下、及び大気圧下のいずれで行われてもよい。浸漬温度は、溶媒を木材に浸透させられる限り特に限定されない。浸漬温度は、例えば0〜40℃、好ましくは15〜25℃であることができる。浸漬時間は、溶媒を木材に浸透させられる限り特に限定されず、木材のサイズ、浸漬時の圧力及び温度等に応じて適宜選択される。例えば大気圧、室温下での浸漬時間としては、4〜24時間、好ましくは6〜16時間程度であることができる。
変形修復の対象となる木材は、既に変形している(例えば、任意の方向の寸法が変化している)木材である。当該木材は、乾燥に伴って変形した木材であることが好ましい。
本発明の剤を用いて、木材にイオン液体(又は本発明の剤)を保持させることにより、木材の変形(特に、乾燥に伴う変形)を抑制することができる。これにより、木材の収縮を抑制すること、寸法及び形状を安定化すること等が可能である。また、木材(既に変形している木材)にイオン液体(又は本発明の剤)を保持させることにより、木材の変形(特に、乾燥に伴う変形)を修復する(変形前の形状に戻す、変形前の形状により近づける)ことができる。
木材にイオン液体(又は本発明の剤)を保持させる方法は、特に制限されないが、例えば木材を本発明の剤に浸漬する方法が挙げられる。
本発明の剤への浸漬は、本発明の剤を木材に浸透させることができる限りどのような態様であってもよく、例えば木材の一部又は全部が本発明の剤に浸漬されるような態様が挙げられる。浸漬は、減圧下、加圧下、及び大気圧下のいずれで行われてもよい。浸漬温度は、本発明の剤を木材に浸透させられる限り特に限定されない。浸漬温度は、例えば0〜40℃、好ましくは15〜25℃であることができる。浸漬時間は、本発明の剤を木材に浸透させられる限り特に限定されず、木材のサイズ、浸漬時の圧力及び温度等に応じて適宜選択される。例えば減圧下、室温下での浸漬時間としては、1〜14日間程度であることができる。
木材にイオン液体を保持させた後は、さらに、イオン液体を保持する木材を乾燥させることもできる。これにより、木材の耐変形性をより高めることができる。乾燥方法は、特に制限されず、公知の木材の乾燥方法を採用することができる。乾燥方法としては、例えば天然乾燥、低温除湿式乾燥、高温減圧乾燥、高周波乾燥等が挙げられる。
乾燥の程度は、特に制限されない。例えば、木材の含水率が100%以下、70%以下、50%以下、30%以下、20%以下になるように乾燥させることができる。この際の含水率の下限は特に制限されず、例えば10%、15%である。
本発明においては、電離放射線を照射しないことが好ましい。この観点から、本発明の一態様においては、イオン液体を保持する木材に対して電離放射線を照射して得られる木材は除かれる。
2.木材への耐変形性の付与方法、並びに耐変形性が高められた木材及びその製造方法
本発明は、その一態様において、(a)木材にイオン液体を保持させることを含む、木材への耐変形性の付与方法、及び耐変形性が高められた木材の製造方法に関する。また、本発明は、その一態様において、イオン液体を保持する、耐変形性が高められた木材に関する。
本発明は、その一態様において、(a)木材にイオン液体を保持させることを含む、木材への耐変形性の付与方法、及び耐変形性が高められた木材の製造方法に関する。また、本発明は、その一態様において、イオン液体を保持する、耐変形性が高められた木材に関する。
これらの各用語の定義等については、上記「1.木材形状調整剤」における記載と同様である。
本発明の技術により得られた、イオン液体を保持する木材は、吸湿/放湿性を有する木材、例えば吸湿/放湿材として利用することもできる。
3.木材変形修復方法、並びに変形が修復された木材及びその製造方法
本発明は、その一態様において、(a)木材にイオン液体を保持させることを含む、木材変形修復方法、及び変形が修復された木材の製造方法に関する。また、本発明は、その一態様において、イオン液体を保持する、変形が修復された木材に関する。
本発明は、その一態様において、(a)木材にイオン液体を保持させることを含む、木材変形修復方法、及び変形が修復された木材の製造方法に関する。また、本発明は、その一態様において、イオン液体を保持する、変形が修復された木材に関する。
これらの各用語の定義等については、上記「1.木材形状調整剤」における記載と同様である。
本発明の技術により得られた、イオン液体を保持する木材は、吸湿/放湿性を有する木材、例えば吸湿/放湿材として利用することもできる。
4.木材の吸湿/放湿性の向上化方法、並びに吸湿/放湿性が高められた木材及びその製造方法
本発明は、その一態様において、(a)木材にイオン液体を保持させることを含む、木材の吸湿/放湿性の向上化方法、及び吸湿/放湿性が高められた木材の製造方法に関する。また、本発明は、その一態様において、イオン液体を保持する、吸湿/放湿性が高められた木材に関する。
本発明は、その一態様において、(a)木材にイオン液体を保持させることを含む、木材の吸湿/放湿性の向上化方法、及び吸湿/放湿性が高められた木材の製造方法に関する。また、本発明は、その一態様において、イオン液体を保持する、吸湿/放湿性が高められた木材に関する。
これらの各用語の定義等については、上記「1.木材形状調整剤」における記載と同様である。
本発明の技術により得られた、イオン液体を保持する木材は、吸湿/放湿性を有する木材として利用することもできる。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
試験例1.イオン液体の木材形状調整効果の検討1
スギ(Cryptomeria japonica D.Don)の乾燥辺材から、5 mm(繊維方向)×30 mm(半径方向)×30 mm(接線方向)の試料を59個切り出した。試料を、4つのグループ(グループ1:11個、グループ2〜4:それぞれ16個)に分け、以下の工程1〜5に供した。
スギ(Cryptomeria japonica D.Don)の乾燥辺材から、5 mm(繊維方向)×30 mm(半径方向)×30 mm(接線方向)の試料を59個切り出した。試料を、4つのグループ(グループ1:11個、グループ2〜4:それぞれ16個)に分け、以下の工程1〜5に供した。
(工程1)
試料を水に浸漬して、常温下で減圧(1.3 kPa)と常圧を6日間断続的に繰り返した。得られた試料について、JIS Z 2101に準じて接線方向の寸法を測定した。
試料を水に浸漬して、常温下で減圧(1.3 kPa)と常圧を6日間断続的に繰り返した。得られた試料について、JIS Z 2101に準じて接線方向の寸法を測定した。
(工程2)
工程1後の試料を、常温常圧下で5日間風乾した後、60℃減圧下(0.93 kPa)で2日間減圧乾燥した。得られた試料について、JIS Z 2101に準じて接線方向の寸法を測定した。
工程1後の試料を、常温常圧下で5日間風乾した後、60℃減圧下(0.93 kPa)で2日間減圧乾燥した。得られた試料について、JIS Z 2101に準じて接線方向の寸法を測定した。
(工程3)
工程2後の試料を、以下のように処理した。なお、イオン液体としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム酢酸塩(シグマアルドリッチ社)を使用した。:
グループA;試料を10質量%イオン液体水溶液に浸漬して、常温下で減圧(1.3 kPa)と常圧を6日間断続的に繰り返した.
グループB;試料を20質量%イオン液体水溶液に浸漬して、常温下で減圧(1.3 kPa)と常圧を6日間断続的に繰り返した.
グループC;試料を30質量%イオン液体水溶液に浸漬して、常温下で減圧(1.3 kPa)と常圧を6日間断続的に繰り返した.
グループD;試料を水に浸漬して、常温下で減圧(1.3 kPa)と常圧を3日間断続的に繰り返した.
得られた試料について、JIS Z 2101に準じて接線方向の寸法を測定した。
工程2後の試料を、以下のように処理した。なお、イオン液体としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム酢酸塩(シグマアルドリッチ社)を使用した。:
グループA;試料を10質量%イオン液体水溶液に浸漬して、常温下で減圧(1.3 kPa)と常圧を6日間断続的に繰り返した.
グループB;試料を20質量%イオン液体水溶液に浸漬して、常温下で減圧(1.3 kPa)と常圧を6日間断続的に繰り返した.
グループC;試料を30質量%イオン液体水溶液に浸漬して、常温下で減圧(1.3 kPa)と常圧を6日間断続的に繰り返した.
グループD;試料を水に浸漬して、常温下で減圧(1.3 kPa)と常圧を3日間断続的に繰り返した.
得られた試料について、JIS Z 2101に準じて接線方向の寸法を測定した。
(工程4)
工程3後の試料を、常温常圧下で2日間風乾した後、60℃減圧下(0.93 kPa)で2日間減圧乾燥した。得られた試料について、JIS Z 2101に準じて接線方向の寸法を測定した。
工程3後の試料を、常温常圧下で2日間風乾した後、60℃減圧下(0.93 kPa)で2日間減圧乾燥した。得られた試料について、JIS Z 2101に準じて接線方向の寸法を測定した。
(工程5)
工程4後の試料を、105℃で1日間熱風乾燥した。得られた試料について、JIS Z 2101に準じて接線方向の寸法を測定した。
工程4後の試料を、105℃で1日間熱風乾燥した。得られた試料について、JIS Z 2101に準じて接線方向の寸法を測定した。
測定した寸法について、工程2後の寸法を100とした場合の相対値に変換した。結果を図1に示す。
図1に示されるように、イオン液体を保持させることにより、乾燥により変形した木材の形状が、元に戻ることが分かった(工程2後→工程3後)。また、イオン液体を保持する木材は、乾燥後の変形が抑制されていることが分かった(工程3後→工程4後及び工程5後)。
試験例2.イオン液体の木材形状調整効果の検討2
伐倒後、乾燥工程を経ずに冷凍保存したスギ(Cryptomeria japonica D.Don)を解凍した後、心材と辺材から、5 mm(繊維方向)×30 mm(半径方向)×30 mm(接線方向)の試料を切り出した。得られた試料(生材)について、JIS Z 2101に準じて半径方向及び接線方向の寸法を測定した。
伐倒後、乾燥工程を経ずに冷凍保存したスギ(Cryptomeria japonica D.Don)を解凍した後、心材と辺材から、5 mm(繊維方向)×30 mm(半径方向)×30 mm(接線方向)の試料を切り出した。得られた試料(生材)について、JIS Z 2101に準じて半径方向及び接線方向の寸法を測定した。
試料(生材)を50%の各イオン液体中に5分程度浸漬後、19時間常温・湿度約100%のデシケータ内で養生した。得られた試料(養生後)について、JIS Z 2101に準じて半径方向及び接線方向の寸法を測定した。
<イオン液体>
P4441DMP:トリブチルメチルホスホニウムジメチルホスフェート
EMI BF4:1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート
MeOctIm Cl:1-メチル-3-オクチルイミダゾリウムクロリド
P4441 Cl:トリブチルメチルホスホニウムクロリド
P4441DMP:トリブチルメチルホスホニウムジメチルホスフェート
EMI BF4:1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート
MeOctIm Cl:1-メチル-3-オクチルイミダゾリウムクロリド
P4441 Cl:トリブチルメチルホスホニウムクロリド
試料(養生後)を105℃の乾燥機内で24時間乾燥した。得られた試料(105℃全乾)について、JIS Z 2101に準じて半径方向及び接線方向の寸法を測定した。
測定した寸法について、試料(生材)の寸法を100とした場合の相対値に変換した。結果を図2〜5に示す。
図2〜5に示されるように、生材を極めて短時間イオン液体中に浸漬するだけでも、木材の収縮を約半分に抑制できることが分かった。
試験例3.吸・放湿性能の検討
木材は種々な細胞から構成されるため構造が複雑かつ多孔質な特徴を有している。従って、金属やプラスティックと比較して優れた水分吸着性能、すなわち吸湿/放湿性能を有するため、周囲の環境の急激な湿度変化を和らげることが出来る。本試験例では、木材の有するこれらの性能に対するイオン液体の影響を検討した。具体的には以下のようにして行った。
木材は種々な細胞から構成されるため構造が複雑かつ多孔質な特徴を有している。従って、金属やプラスティックと比較して優れた水分吸着性能、すなわち吸湿/放湿性能を有するため、周囲の環境の急激な湿度変化を和らげることが出来る。本試験例では、木材の有するこれらの性能に対するイオン液体の影響を検討した。具体的には以下のようにして行った。
試料として、スギ小試験片(3cm×3cm×0.5cm)を使用した。また、イオン液体として、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム酢酸([C4mim][AcO])を使用した。
各濃度(10%、20%、30%)のイオン液体水溶液を注入した試料(n=3)を、25℃環境下でシリカゲル、飽和塩(MgCl・6H2O,Mg(NO3)2・6H2O,NaCl)および水で調湿した環境に置き、1週間毎に順次低湿から高湿へ移し、再度高湿から低湿へ移した際の試験片重量と寸法を測定した。コントロールとして無処理スギ材と無希釈のイオン液体を用いた。
結果を図6〜10に示す。無処理の木材を相対湿度88%の環境に設置した際の含水率が最高で15.5%だったのに対し、10%濃度のイオン液体を加えた木材では29.5%、20%濃度のイオン液体を加えた木材では49.8%、30%濃度では61.8%と、イオン液体の濃度が高くなる程、多くの水分を吸着できることが分かった。また、その際も木材の寸法変化は小さかった。また、イオン液体のみの吸着性能よりも多くの水分を吸着できることが示唆されたことから、木材にイオン液体を含浸させると吸着サイトが広くなることが推測された。
以上より、イオン液体を含浸させた木材を内装材等で使用すると無処理材の木材と比較して、変形等の寸法変化をすることなく優れた調湿効果が期待できることがわかった。
Claims (20)
- イオン液体を含有する、木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
- さらに水を含有する、請求項1に記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
- 前記イオン液体の含有割合が5〜50質量%である、請求項1又は2に記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
- 前記イオン液体の含有割合が15〜35質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
- 前記イオン液体を構成するカチオンがイミダゾリウムイオンを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
- 前記イオン液体を構成するアニオンが有機カルボン酸イオンを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
- 木材変形抑制剤及び/又は木材変形修復剤である、請求項1〜6のいずれかに記載の木材形状調整剤。
- (a)木材にイオン液体を保持させることを含む、木材への耐変形性の付与方法。
- (a)木材にイオン液体を保持させることを含む、耐変形性が高められた木材の製造方法。
- 前記(a)が、(a1)木材を請求項3又は4に記載の木材形状調整剤に浸漬することである、請求項8に記載の製造方法。
- イオン液体を保持する、耐変形性が高められた木材。
- (a)木材にイオン液体を保持させることを含む、木材変形修復方法。
- (a)木材にイオン液体を保持させることを含む、変形が修復された木材の製造方法。
- 前記(a)が、(a1)木材を請求項3又は4に記載の木材形状調整剤に浸漬することである、請求項13に記載の製造方法。
- イオン液体を保持する、変形が修復された木材。
- 木材吸湿/放湿性向上化剤である、請求項1〜6のいずれかに記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤。
- (a)木材にイオン液体を保持させることを含む、木材の吸湿/放湿性の向上化方法。
- (a)木材にイオン液体を保持させることを含む、吸湿/放湿性が高められた木材の製造方法。
- 前記(a)が、(a1)木材を請求項3又は4に記載の木材形状及び/又は木材調湿性調整剤に浸漬することである、請求項17に記載の製造方法。
- イオン液体を保持する、吸湿/放湿性が高められた木材の製造方法。
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