JP2020006830A - 移動体駆動ユニット - Google Patents

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達也 鎌田
道雄 塚本
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道雄 塚本
飯田 勝
Masaru Iida
勝 飯田
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Abstract

【課題】移動体駆動ユニットにおいて、ユーザの指示に応じて四輪駆動の移動体における軟路面走行の安定性を高くすることである。【解決手段】移動体駆動ユニット20は、移動体に用いられる移動体駆動ユニットであって、前輪15を駆動する電動モータ22と、後輪16を駆動する後側動力源と、硬路面での走行に適した硬路面モード及び軟路面での走行に適した軟路面モードの切換を指示するモード指示部と、ユーザの操作によって加速を指示する加速指示部の操作に応じて、電動モータ及び後側動力源の駆動を制御する制御装置70とを含む。制御装置70は、モード指示部により硬路面モードが指示された場合に、後輪の回転速度に前輪の回転速度を一致させるように制御し、モード指示部により軟路面モードが指示された場合に、後輪の回転速度より前輪の回転速度を高くするように制御する。【選択図】図2

Description

本発明は、前輪及び後輪を備える移動体に用いられる移動体駆動ユニットに関し、特に軟路面走行の安定性を高くすることに関する。
従来から、特許文献1に記載されているように、車両の後側にエンジンを搭載し、エンジンの動力を、車軸駆動装置を介して後輪に伝達する構成が知られている。車軸駆動装置は、モータ及び入力軸を含んでいる。入力軸の一端側にはエンジンの動力が入力可能であり、入力軸の他端側にはモータの動力が入力可能である。入力軸の動力は、ギア式変速機を介して、後輪の車軸に伝達される。モータの動力は、クラッチを介して出力軸に伝達される。出力軸の動力は、PTO軸、動力伝達軸(プロペラシャフト)等を介して、前輪の車軸に伝達される。これにより、エンジンの動力で後輪が駆動されるとともに、クラッチの接続によりモータの動力で前輪が駆動される、四輪駆動が可能となる。
特開2017−87824号公報
特許文献1に記載された車両では、四輪駆動での泥沼、湿地等の軟路面の走行において、前輪の動力が地面に伝達されにくくなることで、前輪が地面の地形に応じて左右に振られやすくなる。これによって、直進の前進方向等、ユーザとしての運転者が意図する進行方向に車両が安定して走行しない可能性がある。
本発明の目的は、ユーザの指示に応じて四輪駆動の移動体における軟路面走行の安定性を高くできる移動体駆動ユニットを提供することである。
本発明に係る移動体駆動ユニットは、前輪及び後輪を備える移動体に用いられる移動体駆動ユニットであって、前記前輪を駆動する電動モータと、前記後輪を駆動する後側動力源と、硬路面での走行に適した硬路面モード及び軟路面での走行に適した軟路面モードの切換を指示するモード指示部と、ユーザの操作によって加速を指示する加速指示部の操作に応じて、前記電動モータ及び前記後側動力源の駆動を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記モード指示部により前記硬路面モードが指示された場合に、前記後輪の回転速度に前記前輪の回転速度を一致させるように制御し、前記モード指示部により前記軟路面モードが指示された場合に、前記後輪の回転速度より前記前輪の回転速度を高くするように制御する、移動体駆動ユニットである。
本発明に係る移動体駆動ユニットによれば、ユーザがモード指示部により軟路面モードを指示した場合に、後輪の回転速度より前輪の回転速度が高くなるので、ユーザの指示に応じて四輪駆動の移動体における軟路面走行の安定性を高くできる。
本発明に係る実施形態の移動体駆動ユニットを搭載する車両の側面図である。 図1の車両に搭載される移動体駆動ユニットの全体構成を示す図である。 図2のA部拡大図である。 図2のB部拡大図である。 本発明に係る実施形態において、電動モータの駆動回路と制御装置の構成を示す図である。 本発明に係る実施形態において、軟路面モードが指示された場合の、ステアリング操作子の操作角と、後輪回転速度に対する前輪回転速度の増加量との関係を示す図である。 本発明に係る実施形態において、四輪駆動走行時における前輪及び後輪の駆動の制御方法を示すフローチャートである。 本発明に係る実施形態の別例において、制御装置に対する入力と、制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明に係る実施形態の別例において、発進時の制御方法を示すフローチャートである。 本発明に係る実施形態の別例において、車両の発進時、低速走行時、及び高速走行時における前輪及び後輪の駆動状態を示す図である。 本発明に係る実施形態の別例において、後輪スリップ時の制御方法を示すフローチャートである。 本発明に係る実施形態の別例において、制御装置に対する入力と、制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明に係る実施形態の別例において、回生ブレーキの制御方法を示すフローチャートである。 本発明に係る実施形態の別例において、傾斜路を下る車両の状態を示す図である。 本発明に係る実施形態の別例において、回生ブレーキの制御方法を示すフローチャートである。 本発明に係る実施形態の別例において、制御装置に対する入力及び出力と、制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明に係る実施形態の別例において、回生ブレーキ及びCVTの制御方法を示すフローチャートである。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下では、移動体駆動ユニットを搭載する移動体が、荷台を有し、湿地、荒地、岩山等の不整地を走行するオフロード型多用途車両(Utility Vehicle)である場合を説明するが、除雪作業、掘削作業、土木作業、農作業のいずれか1つ以上の作業を行う作業機を有する作業車両等としてもよい。以下ではすべての図面において同様の要素には同一の符号を付して説明する。
図1から図7は、実施形態を示している。図1は、実施形態の移動体駆動ユニット20を搭載する車両10の側面図である。図2は、車両10に搭載される移動体駆動ユニット20の全体構成を示す図である。図3は、図2のA部拡大図である。図4は、図2のB部拡大図である。
図1に示す車両10は、車体を構成するフレーム11の上側に基礎構造であるプラットフォーム12が固定され、フレーム11の前側(図1の左側)にはフロントカバー13が固定される。プラットフォーム12において、フロントカバー13の後側には運転席14が固定され、運転席14の後側には荷台19が固定される。車両10は、フレーム11の前後に支持された車輪である左右一対の前輪15及び左右一対の後輪16と、操作要素群18と、移動体駆動ユニット20とを備える。各前輪15及び各後輪16の外径は、同一または略同一である。図1に示すように後述のバッテリ23が運転席14の下方スペースに配置されている。
移動体駆動ユニット20は、それぞれ動力源であるエンジン21及び電動モータ22と、電源であるバッテリ23(図1、図5)と、エンジン21によって駆動されバッテリ23に蓄える電気を生成するための発電機GE(図2)と、後側動力伝達部25(図2)及び前側動力伝達部41(図2)と、センサスイッチ群50(図2)と、制御装置70(図2)とを含む。エンジン21は、後側動力源に相当する。センサスイッチ群50は、後述の第2レバーセンサ59(図5)を有する。第2レバーセンサ59は、後述のように硬路面モード及び軟路面モードの切換を指示するためのモードレバー63(図2)の操作位置を検出する。モードレバー63は、モード指示部に相当する。
制御装置70は、後述のように四輪駆動走行が指示され、かつモードレバー63の操作により軟路面モードが指示された場合に、後輪16の回転速度より前輪15の回転速度を高くするように制御する。これにより、四輪駆動の車両における軟路面走行の安定性を高くできる。
操作要素群18は、運転席14の前側に設けられた加速指示部であるアクセルペダル60及び制動指示部であるブレーキペダル(図示せず)と、運転席14の前側に設けられた旋回指示部であるステアリング操作子61及び前後進レバー62と、モードレバー63(図2)とを有する。アクセルペダル60は、ユーザとしての運転者の操作によって加速を指示する部材である。
ステアリング操作子61は、車両の旋回を指示する部材である。ステアリング操作子61は、フロントカバー13の上側で斜め後側に突き出たステアリングシャフトに固定されたステアリングホイールにより構成される。ステアリング操作子61は、アッカーマン方式の操舵機構80(図2)を介して、左右一対の前輪15に、前輪15の操舵を可能に連結される。操舵機構80は、ステアリング操作子61による運転者の指示に応じて一対の前輪15の方向を変化させる。
図2に示すように前後進レバー62は、前進位置(F位置)と、中立位置(N位置)と、後進位置(R位置)との3つの位置の間で、操作位置を切換可能に構成される。前後進レバー62は、前後方向(図2の上下方向)への揺動移動を可能に車体に支持される。前後進レバー62は、前進走行を、低速、高速等、複数段階の走行速度域に切換可能な変速レバーとして構成されてもよい。
モードレバー63は、「硬い」の表示位置の硬路面モードと、「軟らかい」の表示位置の軟路面モードとの切換を指示するために設けられる。「硬路面モード」は、車輪との摩擦力が比較的高い硬路面での走行に適したモードであり、「軟路面モード」は、車輪との摩擦力が比較的低い軟路面での走行に適したモードである。モードレバー63は、例えば、運転席14の前側のフロントカバー13付近に配置され、揺動移動を可能に車体に支持される。
エンジン21は、フレーム11において運転席14の後側で荷台19の下側に固定される。エンジン21は、始動スイッチ(図示せず)がON操作されることにより始動される。エンジン21として、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンを含む複数種類の形式のいずれかを用いることができる。エンジン21の動力は、後側動力伝達部25を介して左右一対の後輪16に伝達されることで、一対の後輪16が駆動される。
電動モータ22は、フレーム11において運転席14の前側に固定された後述の前側ケース40(図2)の内部に配置される。電動モータ22には、モータ駆動回路24(図2、図5)を介してバッテリ23(図5)が電気的に接続される。バッテリ23は、フロントカバー13の内側、または運転席14もしくは荷台19の下側に配置される。電動モータ22は、後述するように、始動スイッチ(図示せず)がON操作され、かつ、後述の駆動切換スイッチ52(図2、図5)により前輪15及び後輪16の駆動の指示である四輪駆動(4WD)が指示されることにより始動される。
電動モータ22には、DCモータ、永久磁石式モータ、及び誘導モータ等、種々の種類のモータを用いることができる。電動モータ22の動力は、前側動力伝達部41を介して、左右一対の前輪15に伝達されることで、一対の前輪15が駆動される。これにより、電動モータ22は前輪15を駆動する。
後側動力伝達部25及び前側動力伝達部41を説明する。図3に示すように、後側動力伝達部25は、ベルト式無段変速装置であるCVT26、歯車変速装置30、デファレンシャル装置36、出力軸37及び後車軸38を含む。後側動力伝達部25は、エンジン21と後輪16(図2)との間に、エンジン21から後輪16への動力の伝達可能に連結される。このため、後輪16とエンジン21との間は、CVT26を介して連結してある。
CVT26は、入力プーリ27と、出力プーリ28とに、ベルト29が巻回されることにより構成される。入力プーリ27は、エンジン21の出力軸21aに固定された固定シーブ27aと、出力軸21aに軸方向に移動可能に支持され、固定シーブ27aに対向する可動シーブ27bとを有する。出力プーリ28は、歯車変速装置30の入力軸31に固定された固定シーブ28aと、入力軸31に軸方向に移動可能に支持され、固定シーブ28aに対向する可動シーブ28bとを有する。入力プーリ27の可動シーブ27bが、電動モータを含むアクチュエータ26aにより軸方向に移動する。アクチュエータ26aは、電動アクチュエータに相当する。出力プーリ28の可動シーブ28bは、固定シーブ28aに近づくようにバネ(図示せず)により弾性力が付勢される。アクチュエータ26aは、エンジン21の回転速度が高くなるほど、入力プーリ27の可動シーブ27bを固定シーブ27aに近づける。これにより、エンジン21の回転速度が低いと、図3に示すように可動シーブ27bと固定シーブ27aとの間の幅(シーブ間幅)が大きくなる。このため、CVT26が無段変速され、CVT26の減速比である、入力プーリ27の回転速度N1と出力プーリ28の回転速度N2との比(N1/N2)が大きくなる。逆に、エンジン21の回転速度が高くなると、入力プーリ27のシーブ間幅が小さくなるので、CVT26が無段変速され、CVT26の減速比(N1/N2)が小さくなる。これにより、低速走行時の入力軸31のトルクを高くできるとともに、高速走行時の燃費向上を図れる。
歯車変速装置30は、フレーム11においてエンジン21の後側に固定された後側ケース35と、後側ケース35内に回転可能に配置された入力軸31、変速軸32及びファイナル軸33を含んでいる。歯車変速装置30は、歯車機構34a、及び変速軸32の周囲に設けられたスライド歯車34bを介して、入力軸31からファイナル軸33への動力の伝達を可能とする。スライド歯車34bは、前後進レバー62に連結される。前後進レバー62の操作に応じて、スライド歯車34bが軸方向に移動し、係合する歯車が切り換わることで、入力軸31の回転方向とファイナル軸33の回転方向との関係が切り換わる。ファイナル軸33に伝達された動力は、歯車機構を介してデファレンシャル装置36の伝達ギア36aに伝達される。デファレンシャル装置36には、左右一対の出力軸37が差動連結されている。デファレンシャル装置36は、後側ケース35の内部に配置される。デファレンシャル装置36は、差動装置に相当する。出力軸37には、ユニバーサルジョイント39及び後車軸38を介して後輪16が連結される。これにより、後輪16はエンジン21によって駆動される。
前後進レバー62(図2)で前進位置が選択された場合には、車両10の前進が可能となる。前後進レバー62で後進位置が選択された場合には、車両10の後進が可能となる。前後進レバー62で中立位置が選択された場合には、入力プーリ27のシーブ間幅が広がることで、エンジン21の出力軸21aとCVT26のベルト29との間での動力伝達が阻止される。
図4に示すように、前側動力伝達部41は、歯車機構42、デファレンシャル装置43、出力軸44及び前車軸45を含む。前側動力伝達部41は、電動モータ22と前輪15(図2)との間に、電動モータ22から前輪15への動力の伝達可能に連結される。電動モータ22の回転軸22aの動力は、歯車機構42を介してデファレンシャル装置43の伝達ギア43aに伝達される。デファレンシャル装置43には、左右一対の出力軸44が差動連結されている。出力軸44には、ユニバーサルジョイント46及び前車軸45を介して前輪15が連結される。電動モータ22、歯車機構42、及びデファレンシャル装置43は、前側ケース40の内部に配置される。前側ケース40は、フレーム11(図1)の前側に固定される。デファレンシャル装置43は、差動装置に相当する。これにより、前輪15は、電動モータ22によって駆動される。
図2に示すように、センサスイッチ群50は、前後進レバー62に対応する第1レバーセンサ53(図5)、駆動切換スイッチ52、ペダルセンサ54、及びモードレバー63に対応する第2レバーセンサ59(図5)を含んでいる。センサスイッチ群50は、後車軸速度センサ55、前車軸速度センサ56、エンジン速度センサ57、及び操作角センサ58(図5)も含んでいる。
第1レバーセンサ53(図5)は、前後進レバー62の位置を検出し、その検出信号を後述の制御装置70に送信する。制御装置70は、第1レバーセンサ53の検出信号から前後進レバー62が中立位置にあると判断した場合には、入力プーリ27の可動シーブ27bを固定シーブ27aから大きく離し、ベルト29のたわみによって、入力プーリ27の動力がベルト29に伝達されないように制御する。これにより、ニュートラル状態が実現される。
ペダルセンサ54は、アクセルペダル60の操作状態である操作量を検出し、その検出信号を制御装置70に送信する。制御装置70は、エンジン制御部71(図5)を有する。エンジン制御部71は、アクセルペダル60の操作量が大きくなるほどエンジン21のスロットル弁(図示せず)の開度が大きくなるように、スロットル弁を制御する。これにより、エンジン制御部71は、アクセルペダル60の操作に応じてエンジン21の駆動を制御する。スロットル弁を駆動するために、エンジン制御部71により制御される弁駆動電動モータが設けられてもよい。弁駆動電動モータの駆動に応じてスロットル弁の開度が変化する。エンジン21の回転速度はスロットル弁の開度によって調節され、スロットル弁の開度が大きくなるほどエンジン21の回転速度が上昇する。なお、「回転速度」の意味には、単位時間当たり、例えば毎分当たりの回転速度である回転数も含まれる。
アクセルペダル60には、リンクまたはケーブルを介してスロットル弁の駆動部が連結され、アクセルペダル60の操作量が大きくなるほどスロットル弁の開度が大きくなるようにしてもよい。この場合、ペダルセンサは、アクセルペダル60のペダル位置を直接検出するのではなく、スロットル弁付近に設けられてスロットル弁の開度を検出することにより、アクセルペダル60のペダル位置が間接的に検出されてもよい。
ブレーキペダル(図示せず)は、油圧発生機構(図示せず)にリンクを介して連結される。前輪15及び後輪16の一方または両方には、ブレーキディスク(図示せず)が固定され、ブレーキディスクの両側には、車両の内側、外側の2つのブレーキパッド(図示せず)が配置される。油圧発生機構は、2つのブレーキパッドの一方に油圧力を作用させることで、ブレーキディスクを挟むブレーキ力を発生させる。
駆動切換スイッチ52は、運転者に操作可能に設けられたもので、操作によって車両の駆動状態を指示する。具体的には、駆動切換スイッチ52が操作されることで、車両を二輪駆動(2WD)状態とする指示と、車両を四輪駆動(4WD)状態とする指示とが切り替えられる。駆動切換スイッチ52の指示を表す信号は制御装置70に送信される。制御装置70は、駆動切換スイッチ52の切換に応じて二輪駆動及び四輪駆動の間で走行状態を切り替える。具体的には、制御装置70は、二輪駆動の指示があるときには、エンジン21を駆動し、かつ、電動モータ22を停止することにより後輪16のみを駆動する。制御装置70は、四輪駆動の指示があるときには、エンジン21及び電動モータ22の両方を駆動する。
制御装置70は、モータ制御部72(図5)を有する。モータ制御部72は、四輪駆動が指示された状態で、アクセルペダル60の操作量が大きくなるほど電動モータ22の回転速度が高くなるように、電動モータ22を制御する。これにより、モータ制御部72は、アクセルペダル60の操作に応じて電動モータ22の駆動を制御する。
操作角センサ58は、ステアリング操作子61の中立位置からの操作角を検出する。操作角センサ58は、例えば、ステアリング操作子61を中立位置から右に回転させる場合を正の操作角で出力し、左に回転させる場合を負の操作角で出力する。右左の回転方向と操作角の正負との関係は逆でもよい。操作角センサ58の検出信号は、制御装置70に送信される。これにより、制御装置70は、ステアリング操作子61の旋回量を算出できる。
後車軸速度センサ55は、デファレンシャル装置36の伝達ギア36a(図3)の回転速度を検出する。伝達ギア36aは、デファレンシャル装置36のデフケース36bに固定される。デフケース36bは、左右の一対の後車軸38の平均回転速度で回転する。これにより、後車軸速度センサ55は、左右の一対の後車軸38の平均回転速度の検出が可能である。左右の一対の後車軸38の平均回転速度は、左右の一対の後輪16の平均回転速度と一致する。後車軸速度センサ55の検出信号は、制御装置70に入力される。
前車軸速度センサ56は、デファレンシャル装置43の伝達ギア43a(図4)の回転速度を検出する。伝達ギア43aは、デファレンシャル装置43のデフケース43bに固定される。前車軸速度センサ56は、第1回転速度検出部に相当する。伝達ギア43aは、動力伝達回転体に相当する。デフケース43bは、左右の一対の前車軸45の平均回転速度で回転する。これにより、前車軸速度センサ56は、左右の一対の前車軸45の平均回転速度の検出が可能である。左右の一対の前車軸45の平均回転速度は、左右の一対の前輪15の平均回転速度と一致する。前車軸速度センサ56の検出信号は、制御装置70に入力される。
エンジン速度センサ57は、エンジン21の出力軸21aの回転速度を検出し、その検出信号を制御装置70に送信する。制御装置70は、エンジン速度センサ57の検出値に応じて、CVT26の可動シーブ27bを移動させるように、アクチュエータ26aを制御する。
上記では、CVT26が電動モータを含む電動式である場合を説明したが、CVTは油圧装置により可動シーブを移動させる油圧式、またはトルクカムを含む押圧力発生機構で可動シーブを移動させる機械式としてもよい。
さらに、第2レバーセンサ59(図5)は、モードレバー63の位置を検出し、その検出信号を制御装置70に送信する。制御装置70は、モードレバー63で指示された路面モードに応じて、後述のように、後輪16及び前輪15の回転速度の関係を変化させる。
制御装置70は、ECU(Electronic Control Unit)と呼ばれるもので、例えばマイクロコンピュータで構成され、演算処理部であるCPUと、RAM、ROM等のメモリを含む記憶部、及び入出力ポートとを有する。CPUは、記憶部に予め記憶された制御プログラムを読み出して実行する機能を有する。一般的に、制御装置70の各手段の機能は制御プログラムを実行することで実現される。制御装置70は、上記のエンジン制御部71(図5)とモータ制御部72(図5)とを有する。
図5は、実施形態において、電動モータ22のモータ駆動回路24と制御装置70の構成を示す図である。電動モータ22には、モータ駆動回路24を介して、バッテリ23が接続される。モータ駆動回路24は、バッテリ23から出力された電流を電動モータ22の駆動電流に変換する。例えば、モータ駆動回路24は、バッテリ23から出力された直流電流を3相交流電流に変換するインバータを含んでいる。
モータ制御部72は、四輪駆動が指示された状態で、モータ駆動回路24を制御することで、電動モータ22の駆動を制御する。モータ制御部72は、第1レバーセンサ53からの検出信号により前後進レバー62(図2)で前進位置が選択され、ペダルセンサ54(図2)からの検出信号によりアクセルペダル60(図2)が操作されていると判定した場合には、電動モータ22を前進に対応する方向に回転させるように制御する。このとき、バッテリ23から電動モータ22へ駆動用電流が供給される。
一方、モータ制御部72は、前後進レバー62で後進位置が選択され、アクセルペダル60が操作されていると判定した場合には、電動モータ22を後進に対応する方向に回転させるように制御する。このときも、バッテリ23から電動モータ22へ駆動用電流が供給される。
モータ制御部72は、前後進レバー62で中立位置が選択されたと判定した場合には、バッテリ23から電動モータ22への電流供給を停止させる。
また、制御装置70は、エンジン21の回転速度に応じてCVT26の入力プーリ27のシーブ間幅を変化させるように、アクチュエータ26aを制御する。さらに、制御装置70は、エンジン21の回転速度が所定値未満では、入力プーリ27の動力がCVT26のベルト29に伝達されないように、ベルト29をたわませて、ベルト29に張力を発生させないように、入力プーリ27のシーブ間幅を大きくする。
なお、エンジン21の回転速度が所定値未満で、制御装置70がベルト29に張力を発生させないようにシーブ間幅を大きくする代わりに、エンジン21の出力軸21aと入力プーリ27との間に遠心クラッチを設けてもよい。このとき、エンジン21の回転速度が所定値未満では出力軸21aと入力プーリ27との接続が遮断され、所定値以上では出力軸21aと入力プーリ27とが遠心クラッチを介して接続される。
さらに、モータ制御部72は、モードレバー63で指示された路面モードに応じて、後輪16及び前輪15の回転速度の関係を変化させる。具体的には、駆動切換スイッチ52により四輪駆動が指示され、かつ、モードレバー63により硬路面モードが指示された場合には、モータ制御部72は、後輪16の回転速度Vr(図2)に前輪15の回転速度Vf(図2)を一致させるように、電動モータ22の回転速度を制御する。これにより、前輪15及び後輪16が同じ速度で回転する。ここで、後輪16の回転速度Vrとして、一対の後輪16の平均回転速度Vrmを用いる。一対の後輪16の平均回転速度Vrmは、後車軸速度センサ55から制御装置70に送信された検出信号から求める。また、前輪15の回転速度Vfとして、一対の前輪15の平均回転速度Vfmを用いる。一対の前輪15の平均回転速度Vfmは、前車軸速度センサ56から制御装置70に送信された検出信号から求める。
一方、モードレバー63により軟路面モードが指示された場合には、モータ制御部72は、後輪16の回転速度Vrより前輪15の回転速度Vfを高くするように、電動モータ22の回転速度を制御する。ここでも、硬路面モードの指示の場合と同様に、後輪16の回転速度として、一対の後輪16の平均回転速度を用いる。また、前輪15の回転速度として、一対の前輪15の平均回転速度を用いる。ステアリング操作子61の旋回量が0、すなわち直進が指示された状態で、前輪15の回転速度は、例えば後輪16の回転速度に対し所定割合または所定量で増加させた値とする。
さらに、モータ制御部72は、モードレバー63により軟路面モードが指示された場合に、ステアリング操作子61による旋回量が大きくなるほど、一対の後輪16の平均回転速度Vrmに対する一対の前輪15の平均回転速度Vfmの増加量が大きくなるように制御する。
図6は、実施形態において、軟路面モードが指示された場合の、ステアリング操作子61の操作角と、後輪回転速度に対する前輪回転速度の増加量との関係を示す図である。図6に示す例では、ステアリング操作子61の操作角の絶対量が大きくなるほど、後輪16の回転速度に対する前輪15の回転速度の増加量が直線的に大きくなる。また、この増加量と操作角との関係は、ステアリング操作子61を右側に回転させる場合と左側に回転させる場合とで同じである。このようなステアリング操作子61の操作角と、後輪回転速度に対する前輪回転速度の増加量との関係は、予め制御装置70の記憶部に記憶されている。モータ制御部72は、記憶部に記憶された関係にしたがって、上記の旋回量が大きくなるほど、一対の後輪16の平均回転速度に対する一対の前輪15の平均回転速度の増加量が大きくなるように、電動モータ22を制御する。
なお、後輪回転速度に対する前輪回転速度の増加量と上記の操作角との関係は、図6の例に限定するものではない。例えば、操作角の絶対量が大きくなるほど、後輪の回転速度に対する前輪の回転速度の増加量が曲線的に大きくなるようにしてもよい。
図7は、上記構成を備えた移動体駆動ユニット20の制御処理の一例を示すフローチャートであって、四輪駆動走行時における前輪15及び後輪16の駆動の制御方法を示すフローチャートである。以下では、適宜、図1〜図5の符号を用いて説明する。ステップS11〜ステップS14の処理は、モータ制御部72により実行される。ステップS11において、四輪駆動の指示があるか否かが判定される。四輪駆動の指示があると判定されたとき(S11がYESの場合)には、ステップS12で、モードレバー63により硬路面モードが指示されたか否かが判定される。硬路面モードが指示されたと判定されたとき(S12がYESの場合)には、ステップS13で、前輪15の平均回転速度Vfmを後輪16の平均回転速度Vrmに一致させるように、電動モータ22を制御する。これにより、運転者が走行中、または走行予定の地面が硬路面であると判断して、モードレバー63を硬路面モードに切り換えることで、前輪15及び後輪16の平均回転速度が一致した走行を行える。このため、走行時の車輪の磨耗を抑制できる。また、車両が芝など地面を荒らしたくない場所を走行する際に、運転者がモードレバー63で硬路面モードを指示することにより、前後輪の回転速度差をゼロとして、地面の荒れを抑制することもできる。
図7のステップS11の判定が否定のとき(S11がNOの場合)には、ステップS11の処理が繰り返される。図7のステップS12の判定が否定とき(S12がNOの場合)、すなわち、モードレバー63により軟路面モードが指示されたと判定されたときには、ステップS14で、前輪15の平均回転速度Vfmを後輪16の平均回転速度Vrmより高くするように、電動モータ22が制御される。これにより、運転者が走行中、または走行予定の地面が、泥沼、湿地等の軟路面であると判断して、モードレバー63を軟路面モードに切り換えることで、前輪15の平均回転速度が後輪16の平均回転速度より高くなる。このため、四輪駆動での軟路面の走行において、前輪15の動力を地面に伝達しやすくなり、前輪15が振られることを抑制できる。したがって、直進の前進方向等、運転者が意図する進行方向に車両が安定して走行を行えるので、運転者の指示に応じて軟路面走行の安定性を高くできる。
さらに、ステップS14では、後輪16の平均回転速度Vrmに対する前輪15の平均回転速度Vfmの増加量をステアリング操作子61の旋回量に応じて大きくするように、電動モータ22が制御される。これにより、ステアリング操作子61を旋回して車両の向きを変える場合に、前輪15に応じた向きに車両が移動しやすくなることで、旋回をより行いやすくなる。ステップS13、S14の処理の終了後は、ステップS11に戻って処理が繰り返される。なお、ステップS14において、後輪16の平均回転速度に対する前輪15の平均回転速度の増加量を、ステアリング操作子61の旋回量によっては変化させないようにしてもよい。
また、上記では軟路面モードの指示で、後輪16の回転速度より前輪15の回転速度を高くするように電動モータ22の回転速度を制御する場合を説明した。一方、別例として、例えば、軟路面モードの指示により、制御装置70が、CVT26の減速比を硬路面モードの場合より高くすることにより、後輪16の回転速度を前輪15の回転速度より低くするようにCVT26を制御することもできる。
図8は、実施形態の別例において、制御装置70に対する入力と、制御装置70の構成を示すブロック図である。図9は、実施形態の別例において、発進時の制御方法を示すフローチャートである。図10は、実施形態の別例において、車両の発進時、低速走行時、及び高速走行時における前輪15(図1)及び後輪16(図1)の駆動状態を示す図である。
本例の移動体駆動ユニットは、図1〜図7の構成において、車両の発進をよりスムーズにするための構成である。図1〜図7の構成において、車両の停止時には、CVT26の入力プーリ27で、固定シーブ27aと可動シーブ27bとが大きく離れる。これにより、入力プーリ27と出力プーリ28との間でベルト29に張力が発生せず、エンジン21と、歯車変速装置30の入力軸31との間の動力伝達が遮断される。このとき、後輪16のみの駆動で走行する二輪駆動が指示された状態で車両が発進しようとしても、エンジン21の回転速度が所定値以上に上昇するまでは、ベルト29に張力が発生しないので発進性に改良の余地がある。特に、車両を微速で発進させようとして、アクセルペダル60及びブレーキペダルの両方を足から離すと(OFFにすると)、エンジン21がアイドル回転数で回転した状態でクリープ走行しようとする。しかしながら、ベルト29に発生する張力が低いので、入力プーリ27及び出力プーリ28とベルト29との間で滑りが生じやすくなり、入力プーリ27からベルト29に動力が伝達されにくくなる。これにより、車両の発進性が悪く、例えば、入力プーリ27からベルト29に動力が伝達されるときに、急に動力伝達の遮断から接続に切り換わることで、ショックが大きくなる。また、発進時にベルト29に滑りが生じやすくなることでベルト29の磨耗が生じやすくなる。図8〜図10で示す構成は、このような不都合を解消するためのものである。
本例の移動体駆動ユニットは、図8に示すように、制御装置70には、第1レバーセンサ53、駆動切換スイッチ52、ペダルセンサ54、エンジン速度センサ57、後車軸速度センサ55及び前車軸速度センサ56の検出信号が送信される。制御装置70は、受信したセンサ53,54,57,55,56及びスイッチ52の検出信号に応じて、前輪15の二輪駆動を開始させる。具体的には、制御装置70は、図2を参照して前後進レバー62により前進が選択され、駆動切換スイッチ52により後輪16の二輪駆動(2WD)が指示され、後車軸38及び前車軸45のそれぞれの左右の平均回転速度が0であり、アクセルペダル60がOFFでエンジン21がアイドル回転中であると判定した場合に、前輪15の二輪駆動を開始させるように電動モータ22を駆動する。このとき、制御装置70は、後輪16の駆動が停止されるようにエンジン21を停止させる。これにより、後述のように車両の発進がスムーズになり、かつ、ベルト29の磨耗を抑制できる。
さらに、制御装置70は、車速が第1所定値以上となった場合に、前輪15及び後輪16を駆動させて四輪駆動(4WD)が実現されるように、エンジン21を作動させる。また、制御装置70は、車速が第1所定値より大きい第2所定値以上となった場合に、後輪16の二輪駆動が実現されるように、電動モータ22を停止させ、エンジン21を駆動させる。
図9を用いて発進時の制御方法を説明する。以下では、適宜、図2、図8の符号を用いて説明する。図9の制御処理は制御装置70で実行される。ステップS21において、前後進レバー62により前進が選択され、駆動切換スイッチ52により後輪16の二輪駆動(2WD)が指示されたか否かが判定される。ステップS21の判定が肯定(S21がYES)の場合には、ステップS22に移行する。ステップS22において、後車軸速度センサ55及び前車軸速度センサ56の検出信号から、後車軸38及び前車軸45のそれぞれの左右の平均回転速度が0であるか否かが判定される。ステップS22の判定が肯定(S22がYES)の場合には、ステップS23に移行する。
ステップS23において、ペダルセンサ54及びエンジン速度センサ57の検出信号から、アクセルペダル60がOFFでエンジン21がアイドル回転数でのアイドル回転中であるか否かが判定される。ステップS23の判定が肯定(S23がYES)の場合には、ステップS24に移行する。ステップS21、S22、S23の判定が否定(S21、S22、S23がNO)の場合には、ステップS21の前に戻って、処理が繰り返される。
ステップS24では、電動モータ22が駆動されるが、エンジン21が停止されるように電動モータ22及びエンジン21が制御される。これにより前輪15の二輪駆動が開始される。
次に、ステップS25では、後車軸速度センサ55及び前車軸速度センサ56の一方または両方の検出信号から算出された車速が第1所定値以上か否かが判定される。車速が第1所定値以上と判定された場合(S25がYESの場合)には、ステップS26に移行する。ステップS25の判定が否定の場合(S25がNOの場合)には、ステップS25の処理が繰り返される。
ステップS26では、電動モータ22及びエンジン21の両方が駆動されるように電動モータ22及びエンジン21が制御される。これにより四輪駆動が開始される。
ステップS27において、後車軸速度センサ55及び前車軸速度センサ56の一方または両方の検出信号から算出された車速が第2所定値以上か否かが判定される。車速が第2所定値以上と判定された場合(S27がYESの場合)には、ステップS28に移行する。ステップS27の判定が否定の場合(S27がNOの場合)には、ステップS27の処理が繰り返される。
ステップS28では、電動モータ22が停止されるが、エンジン21が駆動されるように電動モータ22及びエンジン21が制御される。これにより後輪16の二輪駆動が開始され、処理が終了する。
図10では、前輪15及び後輪16のそれぞれで駆動を○で、駆動停止を×で示している。図10に示すように、発進時は、前輪15が駆動で後輪16が停止されるが、車速が第1所定値以上の低速走行では前輪15及び後輪16の両方が駆動される。また、車速が第2所定値以上の高速走行では、後輪16が駆動で前輪15が停止される。
図8〜図10に示した本例の構成によれば、前後進レバー62により前進が選択され、駆動切換スイッチ52により後輪16の二輪駆動が指示され、後車軸38及び前車軸45のそれぞれの左右の平均回転速度が0であり、アクセルペダル60がOFFでエンジン21がアイドル回転中である場合に、電動モータ22により前輪15の二輪駆動が実現される。これにより、車両の発進時において、エンジン21でCVT26を介して後輪16を駆動させる必要がないので、ベルト29に張力が発生するようにエンジン21の回転数が上昇するまで車両が停止されることがない。このため、車両の発進、特に微速での発進がスムーズになる。車両が発進した後、第1所定値以上の車速ではエンジン21が駆動される。このとき、エンジン21の回転速度の上昇で、CVT26の入力プーリ27(図3)の動力がベルト29に伝達され、その際に動力の伝達切換によるショックが生じる。一方、第1所定値以上の車速の走行ではアクセルペダル60の操作量が大きいので、その操作量の変動による車両の減速感に対してショックによる減速感は小さいので、そのショックによる運転者の違和感は生じにくい。さらに、本例の構成によれば、発進時にベルト29に滑りが生じにくくなるので、ベルト29の磨耗を抑制できる。本例において、その他の構成及び作用は、図1〜図7の構成と同様である。
図11は、実施形態の別例において、後輪スリップ時の制御方法を示すフローチャートである。本例の移動体駆動ユニットは、図1〜図7の構成において、悪路走行性を向上させるための構成である。図1〜図7の構成において、後輪16の二輪駆動で湿地等の悪路を走行するときに後輪16がスリップすることで走行性が低くなる場合がある。図11を用いて説明する本例の構成は、このような不都合を解消するためのものである。
本例の移動体駆動ユニットは、図8を参照して、制御装置70には、第1レバーセンサ53、駆動切換スイッチ52、後車軸速度センサ55及び前車軸速度センサ56の検出信号が送信される。制御装置70は、受信したセンサ53,55,56及びスイッチ52の検出信号に応じて、四輪駆動を開始させる。具体的には、制御装置70は、前後進レバー62(図2)により前進または後進が選択され、駆動切換スイッチ52により後輪16の二輪駆動(2WD)が指示されており、左右の後車軸38(図2)の平均回転速度が左右の前車軸45(図2)の平均回転速度より大きい場合には、後輪16がスリップしていると判定する。制御装置70は、後輪16のスリップを判定したときに、前輪15の駆動を開始させるように電動モータ22(図2)を駆動する。これにより、四輪駆動(4WD)が実現されるので、車両の悪路走行性が向上する。
図11を用いて後輪スリップ時の制御方法を説明する。以下では、適宜、図2、図8の符号を用いて説明する。図11の制御処理は制御装置70で実行される。ステップS31において、前後進レバー62により前進または後進が選択され、駆動切換スイッチ52により後輪16の二輪駆動(2WD)が指示されたか否かが判定される。ステップS31の判定が肯定(S31がYES)の場合には、ステップS32に移行する。ステップS31の判定が否定(S31がNO)の場合には、ステップS31の前に戻り処理が繰り返される。
ステップS32では、後車軸速度センサ55及び前車軸速度センサ56の検出信号から、左右の後車軸38の平均回転速度が、左右の前車軸45の平均回転速度より大きいか否かが判定される。ステップS32の判定が肯定(S32がYES)の場合には、ステップS33で後輪16のスリップが生じたと判定される。そして、ステップS34において、電動モータ22及びエンジン21の両方の駆動で前輪15及び後輪16が駆動される四輪駆動が実現される。
一方、ステップS32の判定が否定(S32がNO)の場合には、電動モータ22が停止されるが、エンジン21が駆動されることで、後輪16の二輪駆動が実現される。ステップS34,S35の終了により、後輪スリップ時の制御処理が終了する。
本例の構成によれば、後輪16のスリップ判定により、四輪駆動(4WD)が実現されるので、車両の悪路走行性が向上する。本例において、その他の構成及び作用は、図1〜図7の構成と同様である。
なお、図8〜図10の構成、または図11を用いて説明した構成において、車両の前輪15及び後輪16はそれぞれ2輪に限定せず、例えば前輪及び後輪の一方は車体の左右方向中央に取り付けた1輪のみとしてもよい。例えば、図11を用いて説明した構成において、後輪を1輪だけとする場合、後車軸は、エンジン21の動力を後輪に伝達する伝達経路に設けられ、後車軸速度センサは、その後車軸の回転速度を検出する。その後車軸の回転速度が、左右の前車軸の平均回転速度より大きいときには、後輪のスリップが判定される。また、図11を用いて説明した構成において、前輪を1輪のみとする場合、前車軸は、電動モータ22の動力を前輪に伝達する伝達経路に設けられ、前車軸速度センサは、その前車軸の回転速度を検出する。左右の後車軸の平均回転速度が、前車軸の回転速度より大きいときには、後輪のスリップが判定される。
図12は、実施形態の別例において、制御装置70に対する入力と、制御装置70の構成を示すブロック図である。図13は、実施形態の別例において、回生ブレーキの制御方法を示すフローチャートである。図14は、実施形態の別例において、傾斜路を下る車両10cの状態を示す図である。本例の移動体駆動ユニットは、図1〜図7の構成において、坂道を下るときの制動力を高くするとともにエネルギ効率を高くするための構成である。図1〜図7の構成において、車両が坂道を下るときにブレーキペダルの踏み込みによるブレーキパッドのブレーキディスクに対する挟み込みだけでは、ブレーキペダルの踏み込み量が大きくなり、かつ、その踏み込みの頻度が多くなる。図12〜図14を用いて説明する本例の構成は、このような不都合を解消するとともに、エネルギ効率を高くするためのものである。
図12に示すように、本例の構成では、制御装置70に、ペダルセンサ54、後車軸速度センサ55の検出信号が送信される。制御装置70は、回生ブレーキ制御部74を有する。回生ブレーキ制御部74は、受信したセンサ54,55の検出信号に応じて、電動モータ22のモータ駆動回路24(図5)を制御することにより、電動モータ22に発電機としての機能を発揮させ、電動モータ22により、制動がかけられるときの回生エネルギを回収する。これによって、車両には、電動モータ22による回生ブレーキ力が発生し、電動モータ22により回収された回生エネルギは、発電電力としてバッテリ23(図5)に充電される。具体的には、制御装置70は、アクセルペダルがオフで、左右の後車軸の平均回転速度により算出された車速が所定値以上の場合には、駆動切換スイッチ52がどの位置であろうと電動モータ22(図2)で回生ブレーキ力を発生させる(回生ブレーキがONされる)。
図13を用いて回生ブレーキの制御方法を説明する。以下では、適宜、図2、図12の符号を用いて説明する。図13の制御処理は制御装置70で実行される。
ステップS42において、ペダルセンサ54の検出信号からアクセルペダル60がオフされているか否かが判定される。ステップS42の判定が肯定(S42がYES)の場合には、ステップS43で車速が所定値以上であるか否かが判定される。ステップS43の判定が肯定(S43がYES)の場合には、ステップS44に移行する。ステップS44では、電動モータ22で回生ブレーキ力を発生させる(回生ブレーキがONされる)。
一方、ステップS42,S43の判定が否定(S42,S43がNO)の場合には、ステップS45において、電動モータ22で回生ブレーキの発生を停止させる(回生ブレーキがOFFされる)。ステップS44、S45の処理の終了によって、回生ブレーキの制御処理が終了する。
上記の構成によれば、図14に示すように車両10cが四輪駆動で坂道を下るときに、アクセルペダルのオフで、電動モータ22による回生ブレーキ力が発生し、電動モータ22により回収された回生エネルギは発電電力としてバッテリに充電される。これにより、坂道を下るときの車両10cの制動力を高くできるので、ブレーキペダルの踏み込み量を小さくでき、かつ、その踏み込みの頻度を少なくできる。これとともに、バッテリに回生エネルギとしての発電電力を充電できるので、車両10cのエネルギ効率を高くできる。本例において、その他の構成及び作用は、図1〜7の構成と同様である。
上記では、左右の後車軸の平均回転速度から車速を算出しているが、前車軸速度センサ56(図12)の検出信号から左右の前車軸の平均回転速度を求めて、その平均回転速度から車速を算出してもよい。
図15は、実施形態の別例において、回生ブレーキの制御方法を示すフローチャートである。本例の構成では、図12〜図14の構成において、図12を参照して示すように、制御装置70には傾斜センサ96が接続されている。傾斜センサ96は、車体に取り付けられる。傾斜センサ96は、水平面に対する車両の進行方向の向きの角度である車両傾斜角度θ(図14)を検出する。車両傾斜角度θは、車両が位置する地面の、水平面に対する傾斜角度と一致する。傾斜センサ96の検出値を表す検出信号は、制御装置70に送信される。制御装置70は、車両傾斜角度θが所定値以上の場合にだけ、電動モータ22(図2)に回生ブレーキ力を発生させる。また、制御装置70は、この場合に、車両傾斜角度θに応じて回生ブレーキ力を変更する。具体的には、制御装置70は、車両傾斜角度θが大きくなるほど回生ブレーキ力を大きくする。これにより、制動時の車両の挙動が制御しやすくなる。
図15を用いて回生ブレーキの制御方法を説明する。以下では、適宜、図2、図12の符号を用いて説明する。図15の制御処理は制御装置70で実行される。ステップS52〜S53の処理は、図13のステップS42〜S43の処理と同様である。ステップS53の処理の終了後、ステップS54において、水平面に対する車両傾斜角度θが所定値以上か否かが判定される。ステップS54の判定が肯定(S54がYES)の場合には、ステップS55に移行する。ステップS54の判定が否定(S54がNO)の場合には、ステップS56で回生ブレーキがOFFされる。ステップS55では、電動モータ22で回生ブレーキ力を発生させる(回生ブレーキをONする)とともに、車両傾斜角度θに応じて回生ブレーキ力を変更する。具体的には、車両傾斜角度θが大きくなるほど、回生ブレーキ力を大きくする。
上記の構成によれば、車両が傾斜路を下るときに車両傾斜角度θが所定値以上の場合にだけ、電動モータ22に回生ブレーキ力が発生するので、傾斜路に比べて大きなブレーキ力を必要としない平地走行時では回生ブレーキが発生しない。これにより平地走行での車両の制動時の挙動を、ブレーキペダルの操作で制御しやすくなる。本例において、その他の構成及び作用は、図1〜7の構成と同様である。
図16は、実施形態の別例において、制御装置70に対する入力及び出力と、制御装置70の構成を示すブロック図である。図17は、実施形態の別例において、回生ブレーキ及びCVTの制御方法を示すフローチャートである。
本例の構成は、図12、図13の構成のように車速に応じて回生ブレーキ力を発生させる車両において、ベルトの耐久性を高めることを目的とする。このために、本例の構成では、制御装置70が、回生ブレーキ制御部74aと、CVT制御部76とを有する。CVT制御部76は、CVT26の可動シーブ27b(図3)を移動させるアクチュエータ26aの駆動を制御する。
制御装置70は、アクセルペダル60(図1)がオフで、左右の後車軸38(図2)の平均回転速度により算出された車速が所定値以上の場合には、回生ブレーキ制御部74aにより、モータ駆動回路24を制御して電動モータ22(図2)で回生ブレーキ力を発生させる(回生ブレーキがONされる)。これとともに、制御装置70は、CVT制御部76により、アクチュエータ26aを制御して、図3に示した可動シーブ27bを固定シーブ27aから大きく離すことで、ベルト29の張力をゼロとする。
さらに、制御装置70は、その後にまだ車速が所定値以上となる場合には、CVT制御部76により、アクチュエータ26aを制御して、図3の可動シーブ27bを固定シーブ27aに近づけることで、ベルト29の張力を増大させる(アップさせる)。
図17を用いて回生ブレーキ及びCVTの制御方法を説明する。以下では、適宜、図2、図3、図16の符号を用いて説明する。図17の制御処理は制御装置70で実行される。
ステップS62において、ペダルセンサ54の検出信号からアクセルペダル60がオフされているか否かが判定される。ステップS62の判定が肯定(S62がYES)の場合には、ステップS63で車速が所定値以上であるか否かが判定される。ステップS63の判定が肯定(S63がYES)の場合には、ステップS64に移行する。ステップS64では、CVT26のベルト張力をゼロとし、電動モータ22で回生ブレーキ力を発生させる(回生ブレーキがONされる)。
次に、ステップS65において、再度、車速が所定値以上であるか否かが判定される。ステップS65の判定が肯定(S65がYES)の場合には、ステップS66に移行する。ステップS66では、CVT26のベルト張力を増大させ(アップさせ)る。これにより、電動モータ22の回生ブレーキとともに、エンジンブレーキが作動して、より強く車両を制動させることができる。例えば、車両が下る坂道の傾斜がきつく、回生ブレーキだけでは車速が低下しない場合に、エンジンブレーキでより強く車両を制動させることができる。
なお、ステップS64と、ステップS65との間に、ステップS64の実行後、所定時間が経過したか否かを判定し、所定時間を経過した場合にだけステップS65に移行するようにしてもよい。
一方、ステップS62の判定が否定(S62がNO)の場合には、ステップS67において、CVT26の通常の変速制御を行って処理を終了する。また、ステップS63,S65の判定が否定(S63、S65がNO)の場合には、ステップS68において、電動モータ22で回生ブレーキの発生を停止させる(回生ブレーキがOFFされる)。そして、ステップS69において、CVT26のベルト張力をゼロとするように、CVT制御部76によりアクチュエータ26aを制御して、固定シーブ27aから可動シーブ27bを大きく離す。このとき、車両の運転者は、ブレーキペダルの踏み込みによるブレーキディスクの挟み込みによって車両を制動させることができる。
上記の構成によれば、強いブレーキ力が必要なときには回生ブレーキのブレーキ力にエンジンブレーキのブレーキ力を加えることができ、車速が低下するときにはCVT26のベルト張力をゼロとするので、エンジンブレーキを常に発生させる必要がない。これにより、強いブレーキ力を発生可能な構成で、CVT26のベルト29の耐久性を高めることができる。本例において、その他の構成及び作用は、図1〜7の構成、または図12、図13の構成と同様である。
なお、上記の各例では、後輪16をエンジン21により駆動しているが、後輪を後側動力源としての第2の電動モータにより駆動してもよい。例えば、電動モータ22及び第2の電動モータの駆動で四輪駆動が実現される。
10,10c 車両、11 フレーム、12 プラットフォーム、13 フロントカバー、14 運転席、15 前輪、16 後輪、18 操作要素群、19 荷台、20 移動体駆動ユニット、21 エンジン、22 電動モータ、22a 回転軸、23 バッテリ、24 モータ駆動回路、25 後側動力伝達部、26 CVT、26a アクチュエータ、27 入力プーリ、28 出力プーリ、29 ベルト、30 歯車変速装置、31 入力軸、32 変速軸、33 ファイナル軸、35 後側ケース、36 デファレンシャル装置、37 出力軸、38 後車軸、39 ユニバーサルジョイント、40 前側ケース、41 前側動力伝達部、42 歯車機構、43 デファレンシャル装置、44 出力軸、45 前車軸、46 ユニバーサルジョイント、50 センサスイッチ群、52 駆動切換スイッチ、53 第1レバーセンサ、54 ペダルセンサ、55 後車軸速度センサ、56 前車軸速度センサ、57 エンジン速度センサ、58 操作角センサ、59 第2レバーセンサ、60 アクセルペダル、61 ステアリング操作子、62 前後進レバー、63 モードレバー、70 制御装置、71 エンジン制御部、72 モータ制御部、74,74a 回生ブレーキ制御部、76 CVT制御部、80 操舵機構。

Claims (3)

  1. 前輪及び後輪を備える移動体に用いられる移動体駆動ユニットであって、
    前記前輪を駆動する電動モータと、
    前記後輪を駆動する後側動力源と、
    硬路面での走行に適した硬路面モード及び軟路面での走行に適した軟路面モードの切換を指示するモード指示部と、
    ユーザの操作によって加速を指示する加速指示部の操作に応じて、前記電動モータ及び前記後側動力源の駆動を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記モード指示部により前記硬路面モードが指示された場合に、前記後輪の回転速度に前記前輪の回転速度を一致させるように制御し、前記モード指示部により前記軟路面モードが指示された場合に、前記後輪の回転速度より前記前輪の回転速度を高くするように制御する、
    移動体駆動ユニット。
  2. 請求項1に記載の移動体駆動ユニットにおいて、
    前記前輪及び前記後輪は、それぞれ差動装置を介して連結された一対で構成され、
    前記前輪の回転速度は、一対の前記前輪の平均回転速度であり、
    前記後輪の回転速度は、一対の前記後輪の平均回転速度である、
    移動体駆動ユニット。
  3. 請求項2に記載の移動体駆動ユニットにおいて、
    前記移動体の旋回を指示する旋回指示部と、
    前記旋回指示部による指示に応じて前記一対の前輪の方向を変化させる操舵機構とを備え、
    前記制御装置は、前記モード指示部により前記軟路面モードが指示された場合に、前記旋回指示部による旋回量が大きくなるほど、前記一対の後輪の平均回転速度に対する前記一対の前輪の平均回転速度の増加量が大きくなるように制御する、
    移動体駆動ユニット。
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