JP2020007467A - インクジェット用インク及びインクジェット記録システム - Google Patents

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Abstract

【課題】インクを用いて画像が形成される記録媒体における印字濃度を高めつつ、優れた吐出安定性を維持することが可能なインクジェット用インク及びインクジェット記録システムを提供する。
【解決手段】インクジェット用インクは、顔料と、第1樹脂を含む第1粒子と、第2樹脂を含む第2粒子と、保湿剤とを含有する。第1樹脂は、メタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位を、第1樹脂中の全繰り返し単位に対して30質量%以上70質量%以下の割合で含有する。第2樹脂中のメタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位の含有割合は、第2樹脂中の全繰り返し単位に対して30質量%未満である。保湿剤は、α,ω−アルカンジオールを含む。インクジェット記録システム100は、インクジェット記録ヘッド11の複数のノズルからインクジェット用インクを吐出することにより、搬送部1によって搬送される記録媒体Pにドットを形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット用インク及びインクジェット記録システムに関する。
インクジェット記録システムの記録ヘッドとしては、ライン型の記録ヘッドが知られている。また、インクジェットの印刷方式としては、マルチパス方式、及びシングルパス方式が挙げられる。マルチパス方式は、記録ヘッドを記録媒体上で複数回往復させながら、記録ヘッドからインクジェット用インク(以下、「インク」と略記する場合がある。)を吐出する方式である。シングルパス方式は、記録ヘッドを記録媒体上で一回だけ通過させて、記録ヘッドからインクを吐出する方式である。シングルパス方式には、印刷の高速化が図れるという利点がある。
そこで、印刷の高速化の観点から、ライン型の記録ヘッドとシングルパス方式とを組み合わせた画像形成装置が検討されている。しかしながら、ライン型の記録ヘッドとシングルパス方式とを用いて記録媒体に画像を形成する場合、記録ヘッドが記録媒体上を一回しか通過しないため、画像の重ね描きができない。そのため、記録媒体として特に普通紙を用いた場合に、形成される画像の濃度(印字濃度)の低下、及びインクの滲みが生じやすい。
また、ライン型の記録ヘッドとシングルパス方式とを用いて記録媒体に画像を形成する場合、インクが記録媒体内部に過度に浸透して、記録媒体の画像を形成していない面(裏面)に画像が透けて見える、裏抜けという現象も生じやすい。このように、ライン型の記録ヘッドとシングルパス方式とを用いて記録媒体に画像を形成する場合、形成される画像の画質が極端に劣る傾向がある。
形成される画像の画質低下を抑制するために、樹脂エマルションを含むインクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のインクでは、通常のインクに用いられる合成樹脂エマルションよりも、酸価が低い樹脂エマルションを用いることにより、非吸収性基材への密着性と、耐薬品性にバランス良く優れる水性インクジェットインクが得られるとされている。
国際公開第2013/133418号
しかしながら、特許文献1に記載の技術だけでは、インクを用いて画像を形成する際の記録媒体における印字濃度を高めつつ、優れた吐出安定性を維持することは難しい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、インクを用いて画像を形成する際の記録媒体における印字濃度を高めつつ、優れた吐出安定性を維持することが可能なインクを提供する。更に、本発明は、このようなインクを用いて画像を形成する際の記録媒体における印字濃度を高めつつ、優れた吐出安定性を維持することが可能なインクジェット記録システムを提供する。
本発明に係るインクジェット用インクは、顔料と、第1樹脂を含む第1粒子と、第2樹脂を含む第2粒子と、保湿剤とを含有する。前記第1樹脂は、メタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位を、前記第1樹脂中の全繰り返し単位に対して30質量%以上70質量%以下の割合で含有する。前記第2樹脂中のメタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位の含有割合は、前記第2樹脂中の全繰り返し単位に対して30質量%未満である。前記保湿剤は、α,ω−アルカンジオールを含む。なお、本明細書中では、α,ω−アルカンジオールは、炭素主鎖の両末端にヒドロキシル基を有するアルカンジオールをいう。
本発明に係るインクジェット記録システムは、記録媒体を搬送する搬送部と、インクジェット記録ヘッドとを備える。前記インクジェット記録ヘッドは、前記記録媒体の搬送方向と直交する方向に配列された複数のノズルを有するノズル列を複数備える。複数の前記ノズル列は、前記記録媒体の搬送方向に並設されている。前記インクジェット記録ヘッドの前記複数のノズルから上述した本発明に係るインクジェット用インクを吐出することにより、前記搬送部によって搬送される前記記録媒体にドットを形成する。
本発明によれば、インクを用いて画像を形成する際の記録媒体における印字濃度を高めつつ、優れた吐出安定性を維持することが可能である。
インクジェット記録システムの構成を示す図である。 図1に示すインクジェット記録システムの搬送ベルトを上方からみた図である。 (a)は、図2に示す記録ヘッドの吐出ユニットを示す図であり、(b)は、(a)のIIIB−IIIB線における断面図である。 インクジェット記録システムの構成を示すブロック図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下において、体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、動的光散乱式粒径分布測定装置(シスメックス株式会社製「ゼータサイザーナノZS」)を用いて測定された値である。また、酸価の測定値は、何ら規定していなければ、「JIS(日本工業規格)K0070−1992」に従い測定した値である。また、質量平均分子量(Mw)の測定値は、何ら規定していなければ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値である。
<第1実施形態:インク>
以下、本発明の第1実施形態に係るインクを説明する。本実施形態に係るインクは、顔料と、第1樹脂を含む第1粒子と、第2樹脂を含む第2粒子と、保湿剤とを含有する。第1樹脂は、メタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位(以下、MMA単位と記載することがある。)を、第1樹脂中の全繰り返し単位に対して30質量%以上70質量%以下の割合で含有する。第2樹脂中のMMA単位の含有割合は、第2樹脂中の全繰り返し単位に対して30質量%未満である。なお、第2樹脂中のMMA単位の含有割合は、0質量%であってもよい。すなわち、第2樹脂は、MMA単位を含まなくてもよい。保湿剤は、α,ω−アルカンジオールを含む。
本実施形態に係るインクは、上述の構成を備えることにより、インクを用いて画像を形成する際の記録媒体における印字濃度を高めつつ、優れた吐出安定性を維持することができる。その理由は、以下のように推測される。なお、印字濃度は、インクが記録媒体の表面に留まれば留まるほど、高くなる。
第1粒子に含まれる第1樹脂中のMMA単位の含有割合は、第1樹脂中の全繰り返し単位に対して30質量%以上である。このような第1粒子を含むインクは、紙面上に留まりやすい。また、第2粒子に含まれる第2樹脂中のMMA単位の含有割合は、第2樹脂中の全繰り返し単位に対して30質量%未満である。このような第2粒子を含むインクは、顔料の分散性が高くなる傾向がある。よって、本実施形態のインクを用いて画像を形成すると、顔料の分散性が高いインクが紙面上に留まりやすくなる。よって、本実施形態のインクによれば、画像を形成する際の記録媒体における印字濃度を高めることができる。
また、本実施形態のインクでは、第1粒子に含まれる第1樹脂中のMMA単位の含有割合が、第1樹脂中の全繰り返し単位に対して70質量%以下である。このような第1粒子を含むインクを使用すると、ノズルが乾きにくくなる傾向がある。更に、本実施形態のインクでは、保湿剤がα,ω−アルカンジオールを含む。α,ω−アルカンジオールは、分子内において親水部分(ヒドロキシル基)が対称的に配置されているため、水との接触面積が比較的大きくなる。そのため、α,ω−アルカンジオールは、比較的吸湿性が高い。よって、本実施形態のインクによれば、MMA単位の含有割合が70質量%以下の第1樹脂を含む第1粒子と、比較的吸湿性が高いα,ω−アルカンジオールとを併用することで、ノズルの乾燥が抑制され、優れた吐出安定性を維持できる。
以下、本実施形態のインクに含有される成分について説明する。更に、インクの製造方法についても説明する。
[第1粒子]
上述したように、第1粒子は第1樹脂を含む。インクを用いて画像を形成する際の記録媒体における印字濃度を高めつつ、優れた吐出安定性を容易に維持するためには、第1樹脂としては、質量平均分子量(Mw)が10000以上160000以下の樹脂が適している。第1樹脂は、MMA単位を、第1樹脂中の全繰り返し単位に対して30質量%以上70質量%以下の割合で含有する。
第1樹脂の質量平均分子量(Mw)は、第1樹脂の重合条件(より具体的には、重合開始剤の使用量、重合温度、重合時間等)を変えることによって調整できる。重合開始剤の使用量は、モノマー混合物1モルあたり、0.001モル以上5モル以下であることが好ましく、0.01モル以上2モル以下であることがより好ましい。重合温度は50℃以上70℃以下であることが好ましい。重合時間は10時間以上24時間以下であることが好ましい。
本実施形態のインクでは、第1粒子中に第1樹脂以外の樹脂が含まれてもよい。第1粒子中の第1樹脂の含有割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
本実施形態のインクでは、第1樹脂は、MMA単位に加えて、アクリル酸ブチル(BA)に由来する繰り返し単位(BA単位)及びアクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)に由来する繰り返し単位(2EHA単位)を更に含有することが好ましい。第1樹脂中のBA単位の含有割合は、第1樹脂中の全繰り返し単位に対して10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。また、第1樹脂中の2EHA単位の含有割合は、第1樹脂中の全繰り返し単位に対して10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
インクを用いて画像を形成する際の記録媒体における印字濃度をより高めつつ、優れた吐出安定性を維持するためには、第1粒子の体積中位径(D50)が30nm以上200nm以下であることが好ましく、80nm以上160nm以下であることがより好ましい。同様の理由から、インクにおける第1粒子の含有量は、インクの全質量に対して1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。同様の理由から、第1樹脂は、繰り返し単位として、MMA単位、BA単位及び2EHA単位のみを含むことが好ましい。
[顔料]
顔料としては、例えば、黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、紫色顔料、及び黒色顔料が挙げられる。黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー(74、93、95、109、110、120、128、138、139、151、154、155、173、180、185、及び193)が挙げられる。橙色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ(34、36、43、61、63、及び71)が挙げられる。赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド(122及び202)が挙げられる。青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー(15、より具体的には15:3)が挙げられる。紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット(19、23、及び33)が挙げられる。黒色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラック(7)が挙げられる。
インクにおける顔料の含有量は、インクの全質量に対して4質量%以上8質量%以下であることが好ましい。顔料の含有量が4質量%以上であると、所望の画像濃度の画像が得られ易い。また、顔料の含有量が8質量%以下であると、インクの流動性が確保されることにより所望の画像濃度の画像が得られ易くなり、記録媒体に対するインクの浸透性を確保し易くなる。
インクの色濃度、色相、又は安定性を向上させるためには、顔料を構成する顔料粒子の体積中位径(D50)が30nm以上200nm以下であることが好ましく、70nm以上130nm以下であることがより好ましい。
[第2粒子]
上述したように、第2粒子は第2樹脂を含む。第2樹脂は、MMA単位の含有割合が、第2樹脂中の全繰り返し単位に対して30質量%未満である。第2粒子は、顔料を構成する顔料粒子を被覆していることが好ましい。この場合、第2樹脂(以下、顔料分散樹脂と記載することがある。)からなる被膜(層)が、顔料粒子の表面に形成されることで、顔料粒子の凝集を抑制することができる。第2粒子が顔料粒子を被覆する場合、顔料粒子の凝集をより抑制するためには、第2樹脂中のMMA単位の含有割合が第2樹脂(顔料分散樹脂)中の全繰り返し単位に対して20質量%以下であることが好ましい。また、第2粒子が顔料粒子を被覆する場合、第2粒子はアニオン性を有することが好ましい。
本実施形態のインクでは、第2粒子中に第2樹脂以外の樹脂が含まれてもよい。第2粒子中の第2樹脂の含有割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
インクを用いて画像を形成する際の記録媒体における印字濃度をより高めつつ、優れた吐出安定性を維持するためには、第2粒子の体積中位径(D50)が30nm以上200nm以下であることが好ましく、80nm以上150nm以下であることがより好ましい。同様の理由から、インクにおける第2粒子の含有量は、インクの全質量に対して1質量%以上13質量%以下であることが好ましい。
第2樹脂は、例えば、公知の顔料分散樹脂から適宜選択して使用できる。第2樹脂の具体例としては、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、及びビニルナフタレン−マレイン酸共重合体が挙げられる。スチレン−アクリル樹脂は、スチレンに由来する繰り返し単位と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選択される1種以上のモノマーに由来する繰り返し単位とを含む樹脂である。スチレン−アクリル樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸アルキルエステル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、及びスチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体が挙げられる。これらの顔料分散樹脂の中では、調製が容易で、顔料の分散効果に優れることから、スチレン−アクリル樹脂が好ましく、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸アルキルエステル−アクリル酸アルキルエステル共重合体がより好ましく、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体が特に好ましい。
また、第2樹脂の酸価は、100mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましい。第2樹脂の酸価が上記範囲内であれば、顔料の分散性及びインクの保存安定性の双方を高めることができる。
第2樹脂の酸価は、第2樹脂を合成する際に使用するモノマーの量を変えることによって調整できる。第2樹脂の合成の一例では、酸性の官能基(例えば、カルボキシル基)を有するモノマー(より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸等)が使用される。酸性の官能基を有するモノマーの使用量を増やすことによって第2樹脂の酸価を高めることができる。
第2樹脂の質量平均分子量(Mw)は、10000以上160000以下であることが好ましい。第2樹脂の質量平均分子量(Mw)が上記範囲内であれば、インクの粘度上昇を抑制しつつ、所望の画像濃度を有する画像を容易に得ることができる。
第2樹脂の質量平均分子量(Mw)は、第2樹脂の重合条件(より具体的には、重合開始剤の使用量、重合温度、重合時間等)を変えることによって調整できる。重合開始剤の使用量は、モノマー混合物1モルあたり、0.001モル以上5モル以下であることが好ましく、0.01モル以上2モル以下であることがより好ましい。重合温度は50℃以上70℃以下であることが好ましい。重合時間は10時間以上24時間以下であることが好ましい。
第2樹脂の含有量は、顔料100質量部に対して15質量部以上100質量部以下の範囲にあることが好ましい。第2樹脂の含有量が顔料100質量部に対して15質量部以上である場合、画像形成後の記録媒体の裏抜けを抑制できる。一方、第2樹脂の含有量が顔料100質量部に対して100質量部以下である場合、記録媒体上にインクが広がりやすくなり、その結果、所望の画像濃度が得られやすくなる。
[顔料分散体]
上述の顔料と、第2樹脂(顔料分散樹脂)を含む第2粒子とは、顔料分散体を構成してもよい。顔料分散体は、顔料粒子と、顔料粒子を覆う第2粒子(顔料分散樹脂)とから構成されることが好ましい。つまり、顔料分散体は、顔料粒子と、顔料粒子の表面を覆うように存在する顔料分散樹脂層(第2粒子からなる被膜)とから構成されることが好ましい。なお、インク中には、顔料粒子に吸着されていない顔料分散樹脂(未吸着樹脂)が存在していてもよい。インク中の顔料分散樹脂のうち、顔料粒子に吸着している顔料分散樹脂(吸着樹脂)の割合は95質量%以上100質量%以下であることが好ましい。以下、顔料分散体の製造方法について説明する。
[顔料分散体の製造方法]
顔料粒子を顔料分散樹脂で被覆することにより、顔料分散体を得ることができる。顔料分散体を製造する方法としては、公知の方法を用いることができる。好適な方法としては、ナノグレンミル(浅田鉄工株式会社製)、MSCミル(日本コークス工業株式会社製)、ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「DYNO(登録商標)−MILL」のようなメディア型湿式分散機を用いて、水のような適切な液状媒体中で、顔料と第2粒子とを混練して、顔料分散体(具体的には、顔料分散体を含む顔料分散液)を得る方法が挙げられる。メディア型湿式分散機による処理では、例えば小粒径のビーズを用いる。ビーズの粒径は特に限定されないが、例えば、0.5mm以上1.0mm以下である。また、ビーズの材質としては、特に限定されないが、ガラス、ジルコニアのような硬質の材料が好ましい。
顔料分散体を製造する際の液状媒体の使用量(質量)は、顔料と顔料分散樹脂との質量の合計に対して、0.1倍以上5倍以下であることが好ましく、0.5倍以上4倍以下であることがより好ましい。
顔料分散体を製造する際の分散条件は、顔料分散体の体積中位径(D50)が、例えば70nm以上130nm以下(好ましくは、80nm以上120nm以下)になるように調整される。例えば、ビーズの粒径を変えることにより、顔料の分散度、及び未吸着樹脂の量(顔料粒子を被覆していない顔料分散樹脂の量)を調整することができる。具体的には、ビーズの粒径が小さいほど、顔料分散体を微粒子化することができる。また、ビーズの粒径が小さいほど、顔料粒子に対する顔料分散樹脂の被覆量を多くすることができる。
顔料分散体の体積中位径(D50)は、例えば、顔料分散体が含まれる顔料分散液をイオン交換水で300倍に希釈した溶液について、動的光散乱式粒径分布測定装置(シスメックス株式会社製「ゼータサイザーナノZS」)を用いて測定することができる。
[保湿剤]
本実施形態のインクは、保湿剤として、α,ω−アルカンジオールを含む。本実施形態に係るインク中のα,ω−アルカンジオールの含有割合は、3質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。α、ωアルカンジオールの含有割合が3質量%以上30質量%以下であれば、インクを用いて画像を形成する際の記録媒体における印字濃度をより高めつつ、ノズルの乾燥を防ぎ、優れた吐出安定性を実現することが可能である。
保湿剤は、α,ω−アルカンジオールを、保湿剤の全質量に対して5質量%以上100質量%以下の割合で含有することが好ましい。保湿剤は、α,ω−アルカンジオールのうちの1種を単独で含んでもよいし、α,ω−アルカンジオールのうちの2種以上を含んでもよい。
印字濃度をより高めつつ、優れた吐出安定性を容易に維持するためには、α、ωアルカンジオールは、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなる群より選択される1種以上であることが好ましく、3−メチル−1,5−ペンタンジオールであることがより好ましい。以下、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなる群より選択される1種以上のα,ω−アルカンジオールを、特定α,ω−アルカンジオールと記載することがある。
特定α,ω−アルカンジオールは、粘度及び沸点が高過ぎない。そのため、インクを記録媒体に浸透させてインクに含まれる揮発成分を蒸発させた後のインクの乾燥粘度を、好適な範囲とすることができる。このようなインクは、記録媒体への浸透性に優れるため、印字濃度をより高めつつ、ノズルの乾燥を防ぎ、優れた吐出安定性を維持することが可能である。
保湿剤は、α,ω−アルカンジオールに加えて、更に別の保湿剤を含有してもよい。別の保湿剤としては、例えばアルカントリオール及びグリコールエーテルが挙げられる。別の保湿剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
[浸透剤]
本実施形態のインクは、浸透剤を更に含有してもよい。記録媒体の縦方向(厚さ方向)のインク浸透性を向上させるためには、浸透剤としては、1,2−オクタンジオールが好ましい。記録媒体の縦方向(厚さ方向)のインク浸透性をより向上させるためには、浸透剤の含有量は、インクの全質量に対して、0.5質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
1,2−オクタンジオールは、室温(例えば、25℃)で液体である。インク調製時の温度(室温)で固体である浸透剤を使用すると、画像形成において記録媒体からインク中の揮発成分が蒸発する際に、浸透剤の一部が析出する傾向がある。このような析出により、インクの記録媒体への浸透が阻害されやすくなる。そのため、室温(例えば、25℃)で液体である1,2−オクタンジオールが、浸透剤として好適に用いられる。
[界面活性剤]
本実施形態のインクは、界面活性剤を更に含有してもよい。界面活性剤は、インクに含まれる成分の相溶性と分散安定性とを向上させる目的、及び記録媒体に対するインクの浸透性(濡れ性)を向上させる目的で使用される。インクに含まれる成分の相溶性と分散安定性とをより向上させるためには、界面活性剤としてはノニオン界面活性剤が好ましい。
本実施形態のインクがノニオン界面活性剤を含有すると、インクが記録媒体に濡れて浸透する際に、インクからの界面活性剤の分離が抑制され、インクに含まれる各成分が分離し難くなる。これにより、浸透性の高いインクの液状成分だけが記録媒体に先に浸透することを抑制できる。その結果、インク全体の記録媒体内部への浸透性が向上し、インクを用いて画像が形成された記録媒体における印字濃度をより高めつつ、ノズルの乾燥を防ぎ、優れた吐出安定性を維持することができる。
ノニオン界面活性剤としては、アクリル酸ポリアルキレングリコールアルキルエーテル−アクリル酸アルキル−アクリル酸ポリアルキレングリコール−アクリル酸ラウリル−メタクリル酸アルキル共重合体が好ましく、アクリル酸ポリエチレングリコールメチルエーテル−アクリル酸ブチル−アクリル酸ポリプロピレングリコール−アクリル酸ラウリル−メタクリル酸メチル共重合体がより好ましい。
インクを用いて画像が形成された記録媒体において凸カールの発生を抑制しつつ、所望の印字濃度を得るためには、界面活性剤の含有量は、インクの全質量に対して0.3質量%以上0.8質量%以下であることが好ましい。
[他の成分]
本実施形態のインクには、必要に応じて、公知の添加剤(より具体的には、溶解安定剤、乾燥防止剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、防カビ剤等)が含有されてもよい。溶解安定剤は、インクに含まれる成分を相溶化してインクの溶解状態を安定化させる目的で使用される。溶解安定剤としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びγ−ブチロラクトンが挙げられる。これらの溶解安定剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。インクが溶解安定剤を含有する場合、溶解安定剤の含有量は、インクの全質量に対して1.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態のインクに乾燥防止剤が含有される場合、乾燥防止剤としてはグリセリンが好ましい。
本実施形態のインクとしては、水を含有するインク(水性インク)が好ましい。本実施形態のインクが水性インクである場合、インクにおける水の含有量は、インクの全質量に対して20質量%以上90質量%以下であることが好ましく、25質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
[インクの製造方法]
本実施形態のインクの製造方法は、顔料、第1粒子、第2粒子、保湿剤、及び必要に応じて配合される他の成分を均一に混合することができる限り、特に限定されない。インクの製造方法の具体例としては、インクの各成分を攪拌機により攪拌して、均一に混合した後、フィルター(例えば孔径5μm以下のフィルター)により異物及び粗大粒子を除去する方法が挙げられる。
以上、第1実施形態に係るインクについて説明した。本実施形態のインクによれば、インクを用いて画像を形成する際の記録媒体における印字濃度を高めつつ、優れた吐出安定性を維持することが可能である。
<第2実施形態:インクジェット記録システム>
次に、本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録システムを説明する。第2実施形態のインクジェット記録システムは、記録媒体を搬送する搬送部と、インクジェット記録ヘッド(以下、「記録ヘッド」と記載する場合がある。)とを備える。第2実施形態のインクジェット記録システムでは、第1実施形態のインクが用いられる。以下、図面を参照して第2実施形態のインクジェット記録システムについて説明する。なお、参照する図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の大きさ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。
図1は、インクジェット記録システム100の構成を示す図である。図2は、図1に示すインクジェット記録システム100の搬送ベルト5を上方からみた図である。
図1に示すように、インクジェット記録システム100は、搬送部1と、記録ヘッド11とを備えるインクジェット記録装置である。インクジェット記録システム100は、給紙トレイ2、給紙ローラー3、給紙従動ローラー4、搬送ベルト5、ベルト駆動ローラー6、ベルト従動ローラー7、排出ローラー8、排出従動ローラー9及び排紙トレイ10を更に備える。搬送ベルト5、ベルト駆動ローラー6及びベルト従動ローラー7は、搬送部1の一部を構成する。インクジェット記録システム100の図中左端部には、給紙トレイ2が設けられている。給紙トレイ2は、記録用紙P(記録媒体)を収容する。給紙トレイ2の一端部には、給紙ローラー3と、給紙従動ローラー4とが設けられている。給紙ローラー3は、収容された記録用紙Pを、最上位置の記録用紙Pから順に一枚ずつ取り出し、搬送ベルト(搬送部)5に搬送し給紙する。給紙従動ローラー4は、給紙ローラー3に圧接されて従動回転する。
給紙ローラー3及び給紙従動ローラー4の用紙搬送方向下流側(図1において右側)には、搬送ベルト5が回転自在に配設されている。搬送ベルト5は、ベルト駆動ローラー6とベルト従動ローラー7とに掛け渡されている。ベルト駆動ローラー6は、用紙搬送方向下流側に配置される。ベルト駆動ローラー6は、搬送ベルト5を駆動する。ベルト従動ローラー7は、用紙搬送方向上流側に配置される。ベルト従動ローラー7は、搬送ベルト5を介してベルト駆動ローラー6に従動して回転する。ベルト駆動ローラー6が時計方向に回転駆動されることにより、記録用紙Pが矢印で示される搬送方向Xに搬送される。
また、搬送ベルト5の用紙搬送方向下流側には、排出ローラー8と排出従動ローラー9とが設けられている。排出ローラー8は、図中時計回りに駆動され、画像が記録された記録用紙Pを装置筐体外へ排出する。排出従動ローラー9は、排出ローラー8の上部に圧接され従動回転する。排出ローラー8及び排出従動ローラー9の下流側には、排紙トレイ10が設けられている。排紙トレイ10には、装置筐体外に排出された記録用紙Pが積載される。
記録ヘッド11は、記録ヘッド11C、11M、11Y及び11Kを含む。記録ヘッド11C、11M、11Y及び11Kは、搬送ベルト5の上方において、記録用紙Pの搬送方向Xの上流側から下流側に向けて、この順に配設されている。記録ヘッド11C〜11Kの各々は、搬送ベルト5の上面に対して所定の間隔が形成されるような高さで支持されている。記録ヘッド11C〜11Kは、搬送ベルト5上を搬送される記録用紙Pに画像を記録する。記録ヘッド11C〜11Kには、それぞれ異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)のインクが充填されている。記録ヘッド11C〜11Kの各々からインクを吐出することにより、記録用紙P上にカラー画像が形成される。
図2に示すように、記録ヘッド11C〜11Kは、各々、記録用紙Pの搬送方向Xと直交する方向(図2の上下方向)に沿って延びている。記録ヘッド11C〜11Kの各々は、ノズル列N1とノズル列N2とを備える。ノズル列N1、N2は、各々、記録用紙Pの搬送方向Xと直交する方向に配列された複数のノズルを有する。また、ノズル列N1、N2は、記録用紙Pの搬送方向Xに並設されている。記録ヘッド11C〜11Kは、ライン型の記録ヘッド、又は長尺インクジェット記録ヘッドとも呼ばれる。記録ヘッド11C〜11Kは、搬送される記録用紙Pの幅以上の記録領域を有している。ノズル列N1、N2は、各々、搬送ベルト5上を搬送される記録用紙Pに対して、一括して1行分の画像を記録することができる。
なお、本実施形態のインクジェット記録システム100では、記録ヘッド11C〜11Kの本体の長手方向に複数のノズルを配列させることで、記録用紙Pの幅以上の記録領域を有するように構成された記録ヘッド11C〜11Kを用いている。しかしながら、例えば複数のノズルを備えた短尺の記録ヘッドユニットを搬送ベルト5の幅方向に複数配列することにより、搬送される記録用紙Pの幅方向の全幅にわたって画像を記録できるように構成された記録ヘッドを用いることもできる。
続いて、図3(a)及び図3(b)を参照して、記録ヘッド11C〜11Kの各々に備えられる吐出ユニット30の構成について説明する。図3(a)は、吐出ユニット30を示す図であり、図3(b)は、図3(a)のIIIB−IIIB線における断面図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、吐出ユニット30は、ノズル12と、アクチュエーター31と、振動板31aと、孔32と、加圧室33と、ノズル流路34とを有する。孔32、加圧室33、ノズル流路34、及びノズル12は連通している。また、加圧室33は、孔32を介して共通流路201と連通している。インクは、図示しないインクタンクから、例えば、ポンプにより共通流路201に供給される。
アクチュエーター31は、例えば圧電素子を含む。圧電素子(アクチュエーター31)に電圧を加えると、逆圧電効果により圧電素子が変形する。圧電素子の変形は振動板31aを介して加圧室33に伝わる。これにより、加圧室33が圧縮される。共通流路201から孔32を通って加圧室33に送られたインクは、加圧室33でアクチュエーター31により加圧され、ノズル流路34を通ってノズル12から吐出される。
図4は、本実施形態のインクジェット記録システム100の構成を示すブロック図である。図1及び図2と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。インクジェット記録システム100は、制御部20、インターフェイス21、ROM22、RAM23、エンコーダー24、モーター制御回路25、記録ヘッド制御回路26、電圧制御回路27及び記録媒体搬送用モーター28を更に備える。制御部20には、インターフェイス21、ROM22、RAM23、エンコーダー24、モーター制御回路25、記録ヘッド制御回路26、及び電圧制御回路27が接続されている。
インターフェイス21は、例えば、パソコンのようなホスト装置とデータの送受信を行う。制御部20は、インターフェイス21を介して受信された画像信号を、必要に応じて変倍処理又は階調処理して画像データに変換する。そして、後述する各種制御回路に制御信号を出力する。
ROM22は、例えば、記録ヘッド11C〜11Kを駆動させて画像を記録するために使用される制御プログラムを記憶している。RAM23は、制御部20により変倍処理又は階調処理された画像データを所定の領域に格納する。
エンコーダー24は、ベルト駆動ローラー6に接続されている。エンコーダー24は、ベルト駆動ローラー6の回転軸の回転変位量に応じてパルス列を制御部20に出力(送信)する。制御部20は、エンコーダー24から送信されるパルス数をカウントすることで回転量を算出し、記録用紙Pの送り量(用紙位置)を把握する。制御部20は、エンコーダー24からの信号に基づいて、モーター制御回路25及び記録ヘッド制御回路26に制御信号を出力する。
モーター制御回路25は、制御部20からの出力信号により記録媒体搬送用モーター28を駆動する。記録媒体搬送用モーター28の駆動により、ベルト駆動ローラー6を回転させる。
記録ヘッド制御回路26は、制御部20からの出力信号に基づいて、RAM23に格納された画像データを記録ヘッド11C〜11Kへ転送する。記録ヘッド制御回路26は、転送する画像データに基づいて記録ヘッド11C〜11Kからのインクの吐出を制御する。記録ヘッド制御回路26による記録ヘッド11C〜11Kのインク吐出制御と、モーター制御回路25による記録用紙Pの搬送の制御とにより、記録用紙Pへの記録処理が行われる。
電圧制御回路27は、制御部20からの出力信号に基づいて給紙側のベルト従動ローラー7に電圧を印加することにより交番電界を発生させる。発生した交番電界により、用紙が搬送ベルト5に静電吸着される。静電吸着の解除は、制御部20からの出力信号に基づいて、ベルト従動ローラー7又はベルト駆動ローラー6を接地させることにより行われる。なお、本実施形態は、ベルト従動ローラー7に電圧を印加する構成である。しかしながら、ベルト駆動ローラー6に電圧を印加する構成であってもよい。
ここで、本実施形態のインクジェット記録システム100においては、図2に示すように、各記録ヘッド11C〜11Kのノズル列N1、N2が、記録用紙Pの搬送方向X(図2の左右方向)に2列ずつ並列に配置される。搬送方向Xに並ぶ2つのノズル列N1、N2の複数のノズルから、第1実施形態のインクを吐出することにより、搬送ベルト5によって搬送される記録用紙Pにドットを形成する。
以上、第2実施形態に係るインクジェット記録システムについて説明した。第2実施形態のインクジェット記録システムは、第1実施形態のインクを用いるため、ライン型の記録ヘッドとシングルパス方式とを組み合わせて画像を形成しても、記録媒体における印字濃度を高めつつ、優れた吐出安定性を維持することが可能である。
以上、第2実施形態に係るインクジェット記録システムについて説明したが、本発明は、第2実施形態に限定されない。例えば以下のように変形して実施することもできる。
第2実施形態では、4色のインクに対応する記録ヘッド11C〜11Kを備えたインクジェット記録装置を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明は、1つの記録ヘッドを備えたモノクロ用のインクジェット記録装置にも同様に適用可能である。また、本発明は、複合機にも適用可能である。複合機は、例えばスキャナー、複写機、プリンター、及びファクシミリの機能を有する。また、画像形成以外の用途(例えば、データの記録)に本発明のインクを用いてもよい。
また、記録ヘッド11C〜11Kのノズル列N1、N2を構成するノズルの個数、及びノズル間隔は、装置の仕様に応じて適宜設定することができる。
また、第2実施形態では2つのノズル列N1、N2を搬送方向Xに並列に配置したが、3つ以上のノズル列を並列に配置し、各ノズル列のノズルを順次用いてドット列を形成することも可能である。ノズル列の数が多くなるほどドット列中における不良ドットの出現頻度も低くなるため、白筋がより目立ち難くなる。
以下、本発明の実施例を説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
<顔料分散液L1の調製方法>
顔料(トーヨーカラー株式会社製「リオノール(登録商標)ブルーFG−7330」、成分:銅フタロシアニン、カラーインデックス:ピグメントブルー15:3)、後述する樹脂粒子A、アセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物(日信化学工業株式会社製「オルフィン(登録商標)E1010」)、及びイオン交換水を、表1に示す割合で、容量0.6Lのベッセルに入れた。次いで、ベッセルの内容物をメディア型湿式分散機(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製「DYNO(登録商標)−MILL」)を用いて分散させた。
Figure 2020007467
樹脂粒子Aとしては、メタクリル酸(MAA)−メタクリル酸メチル(MMA)−アクリル酸ブチル(BA)−スチレン(ST)共重合体(質量平均分子量(Mw)20000、酸価100mgKOH/g)を水酸化カリウムで中和したアルカリ可溶性樹脂(第2樹脂に相当する樹脂)から構成される樹脂粒子(体積中位径(D50):100nm)を用いた。樹脂粒子Aは、アニオン性を有していた。樹脂粒子Aを構成する樹脂において、MAAに由来する繰り返し単位と、MMAに由来する繰り返し単位と、BAに由来する繰り返し単位と、STに由来する繰り返し単位との質量比(MAA単位/MMA単位/BA単位/ST単位)は、40/15/30/15であった。
なお、上記水酸化カリウムを用いた中和は、105質量%のKOH水溶液による等量中和により行った。KOHの添加量は中和する共重合体の質量に基づいて計算した。なお、表1のイオン交換水の質量は、KOH水溶液に含まれる水の質量と、中和反応で生じた水の質量とを含む。
続けて、メディア(ジルコニアビーズ)をベッセル内に充填して、所望の顔料分散体の体積中位径(D50)となるように分散条件を調整した。すなわち、ベッセル容量に対して70容量%となるようにメディア(粒径0.5mmのジルコニアビーズ)をベッセル内に充填して、温度10℃、周速8m/秒の条件で、水冷しながら、ベッセルの内容物を分散させた。その結果、体積中位径(D50)100nmの顔料分散体(顔料粒子が樹脂粒子Aによって被覆された顔料分散体)を含む顔料分散液L1を得た。
上記顔料分散体の体積中位径(D50)は、顔料分散液L1をイオン交換水で300倍に希釈した溶液を測定試料とし、動的光散乱式粒径分布測定装置(シスメックス株式会社製「ゼータサイザーナノZS」)を用いて測定した。この際、測定試料数を10個とし、10個の測定試料のそれぞれについて体積中位径(D50)を求め、得られた10個の測定値の算術平均値を、顔料分散体の体積中位径(D50)とした。
<インクの調製方法>
[樹脂粒子の準備]
以下の表2に示す樹脂粒子P1〜P8を準備した。樹脂粒子P1〜P8の体積中位径(D50)は、何れも110nmであった。なお、表2において、「MMA単位」の欄の各数値は、樹脂粒子を構成する樹脂中の全繰り返し単位に対する、メタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位の含有割合(単位:質量%)である。「BA単位」の欄の各数値は、樹脂粒子を構成する樹脂中の全繰り返し単位に対する、アクリル酸ブチルに由来する繰り返し単位の含有割合(単位:質量%)である。「2EHA単位」の欄の各数値は、樹脂粒子を構成する樹脂中の全繰り返し単位に対する、アクリル酸−2−エチルヘキシルに由来する繰り返し単位の含有割合(単位:質量%)である。
Figure 2020007467
[インク(A−1)の調製]
(樹脂粒子エマルションの調製工程)
50質量部の樹脂粒子P4と、5質量部の界面活性剤(花王株式会社製「エマルゲン(登録商標)1135S−70」)と、45質量部のイオン交換水とを混合して、樹脂粒子エマルションP4−1を調製した。
(混合工程及びろ過工程)
以下の表3に示す各成分を、表3に示す含有量となるように攪拌機(新東科学株式会社製「スリーワンモーター BL−600」)に投入し、攪拌機を用いて回転数400rpmで攪拌して均一に混合した。続けて、異物及び粗大粒子を除去するため、孔径5μmのフィルターを用いて混合液をろ過した。その結果、インク(A−1)を得た。
Figure 2020007467
表3に示されるノニオン界面活性剤S1としては、アクリル酸ポリエチレングリコールメチルエーテル(PEGA)−アクリル酸ブチル(BA)−アクリル酸ポリプロピレングリコール(PPGA)−アクリル酸ラウリル(LA)−メタクリル酸メチル(MMA)共重合体を用いた。この共重合体において、PEGAに由来する繰り返し単位と、BAに由来する繰り返し単位と、PPGAに由来する繰り返し単位と、LAに由来する繰り返し単位と、MMAに由来する繰り返し単位との質量比(PEGA単位/BA単位/PPGA単位/LA単位/MMA単位)は、60/10/10/12/8であった。ノニオン界面活性剤S1の表面張力は30.5mN/mであり、質量平均分子量(Mw)は5000であった。ノニオン界面活性剤S1は水に可溶であった。なお、ノニオン界面活性剤S1の表面張力は、表面張力計(協和界面科学株式会社製「CBVP−Z」)を用いて、ウィルヘルミー法により液温25℃にて測定した。
また、ノニオン界面活性剤S1の質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製「HLC−8020GPC」)を用いて下記条件により測定した。検量線は、東ソー株式会社製のTSKgel標準ポリスチレンであるF−40、F−20、F−4、F−1、A−5000、A−2500、及びA−1000と、n−プロピルベンゼンとを用いて作成した。
(質量平均分子量の測定条件)
・カラム:東ソー株式会社製「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」(4.6mmI.D.×15cmのセミミクロカラム)
・カラム本数:3本
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:0.35mL/分
・サンプル注入量:10μL
・測定温度:40℃
・検出器:IR検出器
[インク(A−2)、(A−3)及び(B−1)〜(B−5)の調製]
樹脂粒子エマルションの調製工程において、樹脂粒子P4の代わりに表4に示す種類の樹脂粒子(P1〜P3及びP5〜P8の何れか)を用いたこと以外は、インク(A−1)の調製と同様の方法でインク(A−2)、(A−3)及び(B−1)〜(B−5)を、それぞれ調製した。
<評価方法>
得られたインク(A−1)〜(A−3)及び(B−1)〜(B−5)の各々に対して、印字濃度及びノズルの乾燥性(ノズル乾き)を評価した。以下、印字濃度及びノズル乾きの評価方法について説明する。
<印字濃度の評価方法>
評価機として、上述したインクジェット記録システム100の構成を備えたインクジェット記録装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の試作評価機)を使用した。評価機の記録ヘッドにインク(評価対象のインク)を充填した。続いて、温度25℃かつ湿度60%RHの常温常湿環境下で、A4の普通紙(富士ゼロックス株式会社製「C2」、PPC用紙)に大きさ10cm×10cmのソリッド画像を形成した。この際、記録ヘッドから吐出されるインクの量はインク一滴あたり11pLになるように制御し、各インクについて同一条件で画像を形成した。
ソリッド画像が形成された普通紙を、温度25℃かつ湿度60%RHの常温常湿環境下で、1時間静置した後、形成されたソリッド画像の画像濃度を反射濃度計(X−Rite社製「RD−19」)により測定した。測定は、ソリッド画像中において無作為に選択した10箇所について、それぞれ画像濃度を測定し、得られた測定値の算術平均値を評価対象のインクの評価値(印字濃度)とした。得られた印字濃度が1.20以上の場合を良好と評価し、得られた印字濃度が1.20未満の場合を不良と評価した。
<ノズル乾きの評価方法>
上記<印字濃度の評価方法>により印字濃度を測定した後、温度25℃かつ湿度10%RHの環境下、評価機のノズルを評価機のノズルクリーニング機能によりクリーニングした。引き続き温度25℃かつ湿度10%RHの環境下で評価機を1時間放置した後、評価機のノズルの乾燥性(ノズル乾き)を下記の基準に従い評価した。
A(良好):ノズル乾きが抑制されており、印字可能であった。
B(不良):ノズル乾きが抑制されておらず、印字不可能であった。
インク(A−1)〜(A−3)及び(B−1)〜(B−5)の各々について、印字濃度及びノズル乾きの評価結果を、表4に示す。
Figure 2020007467
表2及び表4に示すように、インク(A−1)〜(A−3)では、MMA単位の含有割合が30質量%以上70質量%以下の樹脂(第1樹脂に相当する樹脂)から構成される樹脂粒子P4〜P6の何れかを用いた。また、インク(A−1)〜(A−3)では、保湿剤として、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(α,ω−アルカンジオール)を用いた。インク(A−1)〜(A−3)では、印字濃度が良好であり、かつノズル乾きがA(良好)であった。
表2及び表4に示すように、インク(B−1)〜(B−3)では、メタクリル酸メチル(MMA)に由来する繰り返し単位の含有割合が0質量%以上25質量%以下の樹脂粒子P1〜P3の何れかを用いた。インク(B−1)〜(B−3)では、ノズル乾きはA(良好)であったが、印字濃度は不良であった。
表2及び表4に示すように、インク(B−4)及び(B−5)では、メタクリル酸メチル(MMA)に由来する繰り返し単位の含有割合が、75質量%以上80質量%以下の樹脂粒子P7及びP8の何れかを用いた。インク(B−4)及び(B−5)では、印字濃度は良好であったが、ノズル乾きはB(不良)であった。
<保湿剤としてのα,ω−アルカンジオールに関する評価結果>
インクの調製に用いられる保湿剤としてのα,ω−アルカンジオールの種類を変更して、印字濃度及びノズル乾きに与える影響を検討した。α,ω−アルカンジオールとしては、表5に示す、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオールの何れかを用いた。また、α、ω−アルカンジオール以外のアルカンジオールを用いた例についても評価した。α、ω−アルカンジオール以外のアルカンジオールとしては、表6に示す、1,2−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール及び1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)の何れかを用いた。なお、表5及び表6に示すアルカンジオールは、何れも水に対する溶解度が比較的高いアルカンジオールである。
Figure 2020007467
Figure 2020007467
表5及び表6に記載のアルカンジオールの何れかを用いて、表7に示す組成を有するインクを上述したインク(A−1)と同様の方法で調製した。表7に示すアルカンジオールDは、表5及び表6に記載のアルカンジオールの何れかである。調製したインク(A−4)〜(A−7)及び(B−6)〜(B−9)について、印字濃度及びノズル乾きを評価した。印字濃度及びノズル乾きの評価方法は、何れも上述したインク(A−1)〜(A−3)及び(B−1)〜(B−5)と同じ評価方法であった。印字濃度及びノズル乾きの評価結果を表8に示す。
Figure 2020007467
Figure 2020007467
表8に示すように、α,ω−アルカンジオールを用いたインク(A−4)〜(A−7)では、印字濃度が1.25以上と良好な値を示し、かつノズル乾きもA(良好)であった。一方、α,ω−アルカンジオール以外のアルカンジオールを用いたインク(B−6)〜(B−9)では、印字濃度は良好であったが、ノズル乾きはB(不良)であった。
以上の結果から、本発明によれば、インクを用いて画像が形成される記録媒体における印字濃度を高めつつ、優れた吐出安定性を維持できることが示された。
本発明に係るインクは、例えばカラープリンターにおいて画像を形成するために用いることができる。
1 搬送部
11、11C、11M、11Y、11K 記録ヘッド(インクジェット記録ヘッド)
12 ノズル
100 インクジェット記録システム
N1、N2 ノズル列

Claims (9)

  1. 顔料と、第1樹脂を含む第1粒子と、第2樹脂を含む第2粒子と、保湿剤とを含有するインクジェット用インクであって、
    前記第1樹脂は、メタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位を、前記第1樹脂中の全繰り返し単位に対して30質量%以上70質量%以下の割合で含有し、
    前記第2樹脂中のメタクリル酸メチルに由来する繰り返し単位の含有割合は、前記第2樹脂中の全繰り返し単位に対して30質量%未満であり、
    前記保湿剤は、α,ω−アルカンジオールを含む、インクジェット用インク。
  2. 前記α,ω−アルカンジオールは、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオールからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. 前記α,ω−アルカンジオールの含有割合は、3質量%以上30質量%以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
  4. 前記第1樹脂は、アクリル酸ブチルに由来する繰り返し単位及びアクリル酸2−エチルヘキシルに由来する繰り返し単位を更に含有する、請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェット用インク。
  5. 前記第1樹脂中の前記アクリル酸ブチルに由来する繰り返し単位の含有割合は、前記第1樹脂中の全繰り返し単位に対して10質量%以上50質量%以下であり、
    前記第1樹脂中の前記アクリル酸2−エチルヘキシルに由来する繰り返し単位の含有割合は、前記第1樹脂中の全繰り返し単位に対して10質量%以上50質量%以下である、請求項4に記載のインクジェット用インク。
  6. 浸透剤を更に含有する、請求項1〜5の何れか一項に記載のインクジェット用インク。
  7. 界面活性剤を更に含有する、請求項1〜6の何れか一項に記載のインクジェット用インク。
  8. 前記界面活性剤は、ノニオン界面活性剤である、請求項7に記載のインクジェット用インク。
  9. 記録媒体を搬送する搬送部と、インクジェット記録ヘッドとを備えたインクジェット記録システムであって、
    前記インクジェット記録ヘッドは、前記記録媒体の搬送方向と直交する方向に配列された複数のノズルを有するノズル列を複数備え、
    複数の前記ノズル列は、前記記録媒体の搬送方向に並設されており、
    前記インクジェット記録ヘッドの前記複数のノズルから請求項1〜8の何れか一項に記載のインクジェット用インクを吐出することにより、前記搬送部によって搬送される前記記録媒体にドットを形成する、インクジェット記録システム。
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