JP2020007614A - 鉄微粒子水分散体とその製造方法、インクジェットインク - Google Patents
鉄微粒子水分散体とその製造方法、インクジェットインク Download PDFInfo
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Abstract
【課題】鉄微粒子の酸化が抑制された鉄微粒子水分散体を提供する。【解決手段】動的光散乱法による平均粒径D50が5nm以上、250nm以下を、アセチルトコフェノール、尿酸、没食子酸、グルタチオン、グリシン、グリシルグリシン、L−システイン塩酸塩より選ばれる少なくとも一種の還元剤と、分散剤とを含有する水中に分散させて鉄微粒子分散体とする。【選択図】なし
Description
本発明は、微小な鉄微粒子を水に分散させた鉄微粒子水分散体とその製造方法、該鉄微粒子水分散体を用いたインクジェットインクに関する。
電子機器の小型化や薄型化に伴い、金属材料の微細配置技術や薄膜形成技術が検討されており、例えば、微細且つ緻密な電子機器の製造においては、プリンテッドエレクトロニクス製造技術の開発が進んでいる。係るプリンテッドエレクトロニクス製造技術では、平均粒径が100nm以下である金属ナノ微粒子を溶媒中に分散させた金属ナノインクを調製し、インクジェット印刷法やスクリーン印刷法で微細なパターン形状に塗布形成する。金属微粒子は、バルク金属とは異なり、粒子サイズが小さいためファインパターンへの対応に最適であるだけでなく、粒子サイズが小さくなると融点が下がるなどの特性を示す。そのため、バルク金属の融点温度未満の低温での処理も期待され、様々な工業材料への利用が有望視されている。
金属ナノインクに使用される金属としては、銀微粒子や銅粒子での検討が多くなされており、例えば、特許文献1では、銅微粒子を用いた金属ナノ粒子インクが提案されている。インクジェット印刷法に適用するインクの場合、金属微粒子の平均分散粒径が500nmを超えるとインクジェットヘッドノズルの目詰まり等が発生するため、安定して印刷するためには平均分散粒径300nm以下が望ましいとされている。しかしながら、実際は微粒子化が進むことで表面エネルギーが増加して金属微粒子が凝集し易くなる、という技術課題があり、微粒子化するほどインクジェットノズル内での凝集粒子の目詰まりによる吐出エラーを引き起こすことが懸念される。
また特許文献1に記載のインクは主としてギ酸が用いられているが、作業環境への負荷と地球環境への負荷をともに低減させる観点から、金属ナノインクに用いられる主溶媒としては水が求められている。しかしながら、水は金属表面を酸化させやすく微粒子化が進むとさらに金属表面での反応性が増加し、酸化が促進され金属酸化物を形成することが分かっており金属自身の特性が変化してしまう。特に工業的に使用用途が多い鉄については銀や銅よりも酸化しやすく、安定的な鉄ナノ微粒子の水分散体を製造するのは困難が多かった。
特許文献2には、水分散体中の金属微粒子の酸化を防止する方法として、1,2,3トリアゾール基を有する有機化合物で金属微粒子の表面を被覆する方法が開示されている。
金属ナノインクに使用される金属としては、銀微粒子や銅粒子での検討が多くなされており、例えば、特許文献1では、銅微粒子を用いた金属ナノ粒子インクが提案されている。インクジェット印刷法に適用するインクの場合、金属微粒子の平均分散粒径が500nmを超えるとインクジェットヘッドノズルの目詰まり等が発生するため、安定して印刷するためには平均分散粒径300nm以下が望ましいとされている。しかしながら、実際は微粒子化が進むことで表面エネルギーが増加して金属微粒子が凝集し易くなる、という技術課題があり、微粒子化するほどインクジェットノズル内での凝集粒子の目詰まりによる吐出エラーを引き起こすことが懸念される。
また特許文献1に記載のインクは主としてギ酸が用いられているが、作業環境への負荷と地球環境への負荷をともに低減させる観点から、金属ナノインクに用いられる主溶媒としては水が求められている。しかしながら、水は金属表面を酸化させやすく微粒子化が進むとさらに金属表面での反応性が増加し、酸化が促進され金属酸化物を形成することが分かっており金属自身の特性が変化してしまう。特に工業的に使用用途が多い鉄については銀や銅よりも酸化しやすく、安定的な鉄ナノ微粒子の水分散体を製造するのは困難が多かった。
特許文献2には、水分散体中の金属微粒子の酸化を防止する方法として、1,2,3トリアゾール基を有する有機化合物で金属微粒子の表面を被覆する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献2に記載されているように1,2,3トリアゾール基を有する有機化合物を添加するだけでは鉄微粒子を水中に分散させる効果が十分ではないことがあった。
本発明の課題は、鉄微粒子の酸化が抑制された鉄微粒子水分散体を提供することにあり、さらには、該鉄微粒子水分散体を用いたインクジェットインクを提供することにある。
本発明の課題は、鉄微粒子の酸化が抑制された鉄微粒子水分散体を提供することにあり、さらには、該鉄微粒子水分散体を用いたインクジェットインクを提供することにある。
本発明の第一は、水を分散媒として鉄微粒子が分散した鉄微粒子水分散体であって、
前記鉄微粒子の動的光散乱法による平均粒径d50が5nm以上、250nm以下であり、
前記分散媒は、アセチルトコフェノール、尿酸、没食子酸、グルタチオン、グリシン、グリシルグリシン、L−システイン塩酸塩より選ばれる少なくとも一種の還元剤と、分散剤と、を含有することを特徴とする。
本発明の第二は、鉄元素を金属として含む金属塩を含有する原料溶液に、第一の還元剤を含有する還元溶液を添加して、前記金属塩を還元して鉄微粒子を得る還元工程と、
前記還元工程で得られた鉄微粒子を、水を分散媒として分散させる分散工程と、を有し、
前記分散工程において、上記分散媒は、分散剤を含有し、
前記分散工程中、或いは、前記分散工程後に、アセチルトコフェノール、尿酸、没食子酸、グルタチオン、グリシン、グリシルグリシン、L−システイン塩酸塩より選ばれる少なくとも一種の第二の還元剤を前記分散媒に添加することを特徴とする鉄微粒子水分散体の製造方法である。
本発明の第三は、鉄微粒子水分散体を含有することを特徴とするインクジェットインクである。
前記鉄微粒子の動的光散乱法による平均粒径d50が5nm以上、250nm以下であり、
前記分散媒は、アセチルトコフェノール、尿酸、没食子酸、グルタチオン、グリシン、グリシルグリシン、L−システイン塩酸塩より選ばれる少なくとも一種の還元剤と、分散剤と、を含有することを特徴とする。
本発明の第二は、鉄元素を金属として含む金属塩を含有する原料溶液に、第一の還元剤を含有する還元溶液を添加して、前記金属塩を還元して鉄微粒子を得る還元工程と、
前記還元工程で得られた鉄微粒子を、水を分散媒として分散させる分散工程と、を有し、
前記分散工程において、上記分散媒は、分散剤を含有し、
前記分散工程中、或いは、前記分散工程後に、アセチルトコフェノール、尿酸、没食子酸、グルタチオン、グリシン、グリシルグリシン、L−システイン塩酸塩より選ばれる少なくとも一種の第二の還元剤を前記分散媒に添加することを特徴とする鉄微粒子水分散体の製造方法である。
本発明の第三は、鉄微粒子水分散体を含有することを特徴とするインクジェットインクである。
本発明によれば、動的光散乱法による平均粒径d50が5nm以上、250nm以下の鉄微粒子が水に良好に分散した鉄微粒子水分散体において、鉄微粒子の酸化が抑制される。よって、本発明の鉄微粒子水分散体を用いることにより、インクジェットノズル内での鉄微粒子の目詰まりが抑制されて吐出エラーが低減されたインクジェットインクが提供される。
一般的に粒子を分散させる方法は複数あり、粒子を微粒化することにより分散媒との接する表面積が増加するため、分散媒とのぬれ性が増加して分散安定させることができる。また粒子表面に分散剤や分散基の導入することにより、静電反発や立体反発能を粒子に持たせることで分散安定させる方法があり、それら手法等を組み合すことで粒子を分散安定させることができる。しかしながら、鉄粒子を微粒化して水に分散させた場合には、表面積が増すことにより水との反応性が増し、酸化が促進されてしまう。このような金属の水による酸化され易さは標準酸化還元電位で記述することができ、銀や銅といった貴金属は正の値(銀はE0=+0.7991[V]、銅はE0=+0.340[V])をとるため、水中でも酸化されにくい。しかしながら、鉄はE0=−0.440[V]であるため、水中で酸化され易く、微粒化による表面積の増大はより酸化を促進させ鉄酸化物となってしまうと考えられる。分散剤の使用や鉄微粒子への分散基の導入で改善されるものの、長時間保管により酸化することがわかった。
本発明等は、特定の還元剤を用いることによって、水中での鉄微粒子の酸化を抑制し分散安定させ得ることを知見し、本発明に至った。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対して適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に含まれる。
本発明の鉄微粒子水分散体は、動的光散乱法(DLS法)による平均粒径d50が5nm以上、250nm以下の微細な鉄微粒子を、水を分散媒として分散させたものである。本発明において、鉄微粒子水分散体は平均粒径d50が5nm以上で酸化防止作用を保持しうる表面積となり、250nm以下で分散状態を保持しうる比重となる。本発明においては、係る分散媒が、アセチルトコフェノール、尿酸、没食子酸、グルタチオン、グリシン、グリシルグリシン、L−システイン塩酸塩より選ばれる少なくとも一種の還元剤と、分散剤と、を含有することを特徴とする。
〔還元剤〕
本発明において鉄微粒子を分散させる分散媒に含有させる還元剤は、アセチルトコフェノール、尿酸、没食子酸、グルタチオン、グリシン、グリシルグリシン、L−システイン塩酸塩より選ばれる少なくとも一種である。還元剤の量については飽和濃度以下であればなるべく多いほうが良いが、多くなりすぎてしまうと分散媒である水分子が還元剤の溶媒としてとられてしまい、貧水となり鉄微粒子の分散不安定性を招くおそれがある。よって、後述するインクジェットインクや鉄微粒子水分散体中に、0.01乃至10質量%が好ましく、さらに好ましくは0.01乃至5質量%、望ましくは0.01乃至0.05質量%である。また、還元剤は、鉄微粒子100質量部に対して、0.01乃至30質量部含まれていることが好ましく、より好ましくは0.1乃至10質量部である。
本発明において鉄微粒子を分散させる分散媒に含有させる還元剤は、アセチルトコフェノール、尿酸、没食子酸、グルタチオン、グリシン、グリシルグリシン、L−システイン塩酸塩より選ばれる少なくとも一種である。還元剤の量については飽和濃度以下であればなるべく多いほうが良いが、多くなりすぎてしまうと分散媒である水分子が還元剤の溶媒としてとられてしまい、貧水となり鉄微粒子の分散不安定性を招くおそれがある。よって、後述するインクジェットインクや鉄微粒子水分散体中に、0.01乃至10質量%が好ましく、さらに好ましくは0.01乃至5質量%、望ましくは0.01乃至0.05質量%である。また、還元剤は、鉄微粒子100質量部に対して、0.01乃至30質量部含まれていることが好ましく、より好ましくは0.1乃至10質量部である。
〔分散剤〕
本発明において鉄微粒子を分散させる分散媒に含有させる分散剤は、水溶性樹脂、界面活性剤のいずれも好ましく使用することができるが、本発明においては、分散媒が水であることから、水溶性のものが用いられる。好ましくは、不飽和脂肪酸、ドデシル硫酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、及びこれらの塩、水溶性高分子より選ばれる少なくとも一種である。中でも、不飽和脂肪酸及びその塩が好ましく、係る不飽和脂肪酸としては、炭素数が14乃至24のモノ不飽和脂肪酸が好ましい。具体的には、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸が挙げられる。また、これらの不飽和脂肪酸塩のカウンターイオンとしては、ナトリウム、カリウム、及び下記一般式(1)で示される化合物のイオンであることが好ましい。
本発明において鉄微粒子を分散させる分散媒に含有させる分散剤は、水溶性樹脂、界面活性剤のいずれも好ましく使用することができるが、本発明においては、分散媒が水であることから、水溶性のものが用いられる。好ましくは、不飽和脂肪酸、ドデシル硫酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、及びこれらの塩、水溶性高分子より選ばれる少なくとも一種である。中でも、不飽和脂肪酸及びその塩が好ましく、係る不飽和脂肪酸としては、炭素数が14乃至24のモノ不飽和脂肪酸が好ましい。具体的には、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸が挙げられる。また、これらの不飽和脂肪酸塩のカウンターイオンとしては、ナトリウム、カリウム、及び下記一般式(1)で示される化合物のイオンであることが好ましい。
上記のような有機アミン系のカウンターイオンを用いた場合、加熱・焼結によって除去可能であるため、鉄の金属としての性能をより大きく発現することが可能となる。
また、水溶性高分子としては、アクリル系高分子、ポリウレタン系高分子、ポリアルキレンポリアミン、ポリエチレンイミンなどが好ましく用いられる。
分散剤は、鉄微粒子水分散体中に0.1乃至20質量%含まれていることが好ましく、さらに好ましくは1乃至10質量%である。分散剤が0.1質量%以上で鉄微粒子の分散効果が得られ、酸化の抑制効果も得られる。また、20質量%以下で粘度も適当な範囲となる。
本発明においては、鉄微粒子水分散体の分散破壊を起こさないものであれば、さらに他の分散剤を添加してもよい。
本発明においては、鉄微粒子水分散体の分散破壊を起こさないものであれば、さらに他の分散剤を添加してもよい。
〔製造方法〕
以下、本発明の鉄微粒子水分散体の製造方法について説明する。
金属微粒子の作製方法としては、大きく分けて物理的方法と化学的方法の二つがある。物理的方法とは大きい塊から細かく砕いていく方法であり、大量生産に向いているが、大きさや形の制御は難しい。また化学的方法は水中等で金属イオンの還元により作製する方法であり、所望の大きさや構造のものを作ることができる。本発明の鉄微粒子水分散体に用いる鉄微粒子は物理的方法、化学的方法どちらで作製されたものでも問題はないが、粒径を制御する上で、化学的方法で作製するほうが好ましい。以下、化学的方法で鉄微粒子を作製する方法について説明する。
以下、本発明の鉄微粒子水分散体の製造方法について説明する。
金属微粒子の作製方法としては、大きく分けて物理的方法と化学的方法の二つがある。物理的方法とは大きい塊から細かく砕いていく方法であり、大量生産に向いているが、大きさや形の制御は難しい。また化学的方法は水中等で金属イオンの還元により作製する方法であり、所望の大きさや構造のものを作ることができる。本発明の鉄微粒子水分散体に用いる鉄微粒子は物理的方法、化学的方法どちらで作製されたものでも問題はないが、粒径を制御する上で、化学的方法で作製するほうが好ましい。以下、化学的方法で鉄微粒子を作製する方法について説明する。
化学的方法で本発明の鉄微粒子水分散体を製造する方法は、還元工程と分散工程とからなる。還元工程では、鉄元素を金属として含有する原料溶液に、第一の還元剤を含有する還元溶液を添加して鉄微粒子を得、分散工程では、該還元工程で得られた鉄微粒子を、第二の還元剤を含む水を分散媒として分散させる。
〈還元工程〉
(イ)原料溶液と還元溶液の調整
鉄元素を金属として含む金属塩(鉄塩)を脱イオン水又は/及びアルコール類中に完全に溶解させ、原料溶液を得る。原料溶液中の鉄塩の濃度は0.1乃至20質量%が好ましい。また、別途、第一の還元剤を脱イオン水又は/及びアルコール類中に完全に溶解させ、還元溶液を得る。第一の還元剤の量は、使用する鉄塩に対して、モル濃度で1倍乃至20倍とすることが好ましい。
(イ)原料溶液と還元溶液の調整
鉄元素を金属として含む金属塩(鉄塩)を脱イオン水又は/及びアルコール類中に完全に溶解させ、原料溶液を得る。原料溶液中の鉄塩の濃度は0.1乃至20質量%が好ましい。また、別途、第一の還元剤を脱イオン水又は/及びアルコール類中に完全に溶解させ、還元溶液を得る。第一の還元剤の量は、使用する鉄塩に対して、モル濃度で1倍乃至20倍とすることが好ましい。
鉄微粒子は鉄塩からの還元によって得ることができる。本発明に用いられる鉄塩はFe(II)塩、Fe(III)塩のいずれでも用いることができ、カウンターのアニオンは水中でイオンに乖離するものであれば限定されない。例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、硫酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、酢酸鉄(II)、酢酸鉄(III)、アセチルアセトナト鉄などが挙げられる。
第一の還元剤としては、一般的に金属の還元に用いられる還元剤を用いることができる。例として、ホウ素化水素ナトリウム、ホウ素化水素リチウム、水素化ナトリウム、水素化リチウム、ヒドラジン、アスコルビン酸などが挙げられる。還元剤濃度は高いほうが好ましく、1質量%以上で室温での飽和溶液とすることが好ましい。
原料溶液及び還元溶液の溶媒としては主として脱イオン水、アルコール類を使用する。アルコール類としては例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられ、1種又は2種以上を用いてもよく、脱イオン水と混合して使用してもよい。また水溶性溶媒を添加してもよい。水溶性溶媒としてはグリセリンやエチレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセロール、ポリエチレングリコールなどが挙げられ、1種又は2種以上を用いてもよく、脱イオン水やアルコール類と混合して使用してもよい。
還元工程においては、特定の制御剤を用いることにより、還元によって生成する鉄微粒子の形状や粒径を制御することができる。その理由として、還元剤によって成長している結晶表面にこれらの制御剤が吸着することで、結晶成長を阻害し、鉄微粒子の1次粒径を抑制するためと考えられる。
係る制御剤としては、ポリエチレングリコール(PEG)や、下記一般式(2)で示されるピロリドン系化合物、及びポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン共重合体(PVP共重合体)が挙げられる。
係る制御剤としては、ポリエチレングリコール(PEG)や、下記一般式(2)で示されるピロリドン系化合物、及びポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン共重合体(PVP共重合体)が挙げられる。
上記ピロリドン系化合物としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メタノールピロリドン、N−エタノールピロリドンが挙げられる。
制御剤として含まれるPVP又はPVP共重合体の質量平均分子量は1000乃至100000の範囲内が好ましい。また、分子量分布の異なるPVPを複数混合して広い分子量分布を持たせて添加することにより、多様な結晶面と相互作用でき、鉄微粒子の粒径の肥大化を抑制できる。
上記制御剤は、原料溶液、還元溶液のいずれか一方に添加すればよいが、還元溶液は還元剤自体の高濃度の溶液とすることが望ましいので、原料溶液に添加することが好ましい。また、制御剤は、鉄塩100質量部に対して、20乃至200質量部用いられることが好ましい。
本発明においては、上記制御剤を用いることにより、鉄微粒子水分散体中の鉄微粒子の平均粒径d50を200nm以下に制御することができる。
本発明においては、上記制御剤を用いることにより、鉄微粒子水分散体中の鉄微粒子の平均粒径d50を200nm以下に制御することができる。
(ロ)還元
還元を行う際には、析出する鉄微粒子の酸化反応を抑制するために、不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等の不活性ガスが好ましい。原料溶液を30乃至70℃の水浴中で加温しながら撹拌し、還元溶液を0.05乃至5.0mL/秒の速度で原料溶液に滴下する。滴下直後から黒色の鉄微粒子懸濁液が得られる。反応時間はその懸濁液が十分に得られる程度の時間行うことが好ましい。
還元を行う際には、析出する鉄微粒子の酸化反応を抑制するために、不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等の不活性ガスが好ましい。原料溶液を30乃至70℃の水浴中で加温しながら撹拌し、還元溶液を0.05乃至5.0mL/秒の速度で原料溶液に滴下する。滴下直後から黒色の鉄微粒子懸濁液が得られる。反応時間はその懸濁液が十分に得られる程度の時間行うことが好ましい。
(ハ)洗浄
還元が終了した懸濁溶液を脱イオン水で洗浄する。洗浄方法としては、デカンテーション、遠心法、限外濾過などいずれの方法も用いることができる。鉄微粒子は磁性を持つことから磁石で吸着させ、デカンテーションを行う方法が簡便である。洗浄は、除去した溶液中に含まれる還元剤又は還元剤の構成元素の濃度が100ppm以下になるまで行う。洗浄後、高濃度の鉄微粒子ペーストが得られる。
還元が終了した懸濁溶液を脱イオン水で洗浄する。洗浄方法としては、デカンテーション、遠心法、限外濾過などいずれの方法も用いることができる。鉄微粒子は磁性を持つことから磁石で吸着させ、デカンテーションを行う方法が簡便である。洗浄は、除去した溶液中に含まれる還元剤又は還元剤の構成元素の濃度が100ppm以下になるまで行う。洗浄後、高濃度の鉄微粒子ペーストが得られる。
〈分散工程〉
還元工程で得られた鉄微粒子ペーストに分散剤、第二の還元剤、溶媒を加えて十分に撹拌後、鉄微粒子の分散を行う。分散は超音波撹拌、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、ビーズミル、ホモジナイザー、ナノマイザー等の方法又はこれらの方法の組み合わせにて行う。分散条件は特に制限はなく、実際に使用する装置によって異なるが、処理対象とする鉄微粒子の種類、濃度、分散剤の種類、濃度など処理量に応じて、均一な分散体が形成されるように適宜設定すればよい。
還元工程で得られた鉄微粒子ペーストに分散剤、第二の還元剤、溶媒を加えて十分に撹拌後、鉄微粒子の分散を行う。分散は超音波撹拌、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、ビーズミル、ホモジナイザー、ナノマイザー等の方法又はこれらの方法の組み合わせにて行う。分散条件は特に制限はなく、実際に使用する装置によって異なるが、処理対象とする鉄微粒子の種類、濃度、分散剤の種類、濃度など処理量に応じて、均一な分散体が形成されるように適宜設定すればよい。
係る工程において、鉄微粒子は粒径が小さくなることにより水と反応し酸化してしまう恐れがあるが、本発明においては、第二の還元剤を用いることによって、上記酸化を抑制することができる。第二の還元剤は分散工程中に投入するのが好ましいが、分散剤と鉄微粒子の吸着能の違いによっては、分散工程後に投入してもよいと考えらえる。
〔インクジェットインク〕
本発明の鉄微粒子水分散体は、インクジェットインク(以下、「インク」と記す)に好ましく適用される。係るインクは、本発明の鉄微粒子水分散体以外に、水溶性有機溶剤、界面活性剤、樹脂粒子、添加剤を含有していても良い。これらの添加によって、鉄微粒子水分散体にインクジェット適性を付与することが可能となる。インクの液物性である粘度、表面張力、pHは、使用するインクジェットヘッドに合わせて、上記水溶性有機溶剤、界面活性剤、樹脂粒子、添加剤によって、適宜調整を行えば良い。
本発明の鉄微粒子水分散体は、インクジェットインク(以下、「インク」と記す)に好ましく適用される。係るインクは、本発明の鉄微粒子水分散体以外に、水溶性有機溶剤、界面活性剤、樹脂粒子、添加剤を含有していても良い。これらの添加によって、鉄微粒子水分散体にインクジェット適性を付与することが可能となる。インクの液物性である粘度、表面張力、pHは、使用するインクジェットヘッドに合わせて、上記水溶性有機溶剤、界面活性剤、樹脂粒子、添加剤によって、適宜調整を行えば良い。
〈水溶性有機溶剤〉
本発明のインクは、水及び水溶性有機溶剤を含有する。水は本発明の鉄微粒子水分散体の分散媒として含まれるが、別途、脱イオン水(イオン交換水)を加えても良い。インク中の水の含有量は、10乃至90質量%であることが好ましい。
本発明のインクは、水及び水溶性有機溶剤を含有する。水は本発明の鉄微粒子水分散体の分散媒として含まれるが、別途、脱イオン水(イオン交換水)を加えても良い。インク中の水の含有量は、10乃至90質量%であることが好ましい。
本発明に用いられる「水溶性有機溶剤」とは、「水に対する20℃における溶解度が500g/L以上である有機溶剤」を意味する。水溶性有機溶剤としては、インクに使用可能なものとして公知のものを何れも用いることができる。例えば、アルコール類、グリコール類、アルキレングリコール類、ポリエチレングリコール類、含窒素化合物類、含硫黄化合物類などが挙げられる。具体的には、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、重量平均分子量が10,000以下であるポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジグリセロール、2−ピロリドンが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
インク中における水溶性有機溶剤の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上45質量%以下がより好ましく、5質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。
インク中における水溶性有機溶剤の含有量は、50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上45質量%以下がより好ましく、5質量%以上30質量%以下であることが特に好ましい。
〈界面活性剤〉
本発明のインクは、界面活性剤を含むことができる。界面活性剤としては従来公知のものを何れも用いることができるが、中でもノニオン性界面活性剤であるアセチレングリコール等のエチレンオキサイド付加物、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤が好ましい。中でも、アセチレングリコール等のエチレンオキサイド付加物及びフッ素系界面活性剤を用いることがより好ましい。
アセチレングリコール等のエチレンオキサイド付加物としては、例えば、Surfynol 104、440、465(以上、エアプロダクツ製)、アセチレノール E40、E60、E100(以上、川研ファインケミカル製)、Dynol 604、607、800、810(以上、エアプロダクツ製)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては例えば、FS−3100、FS−30、FSN−100(デュポン製)、メガファックF−444(DIC製)、DSN403N(ダイキン工業製)が挙げられる。
本発明のインクは、界面活性剤を含むことができる。界面活性剤としては従来公知のものを何れも用いることができるが、中でもノニオン性界面活性剤であるアセチレングリコール等のエチレンオキサイド付加物、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤が好ましい。中でも、アセチレングリコール等のエチレンオキサイド付加物及びフッ素系界面活性剤を用いることがより好ましい。
アセチレングリコール等のエチレンオキサイド付加物としては、例えば、Surfynol 104、440、465(以上、エアプロダクツ製)、アセチレノール E40、E60、E100(以上、川研ファインケミカル製)、Dynol 604、607、800、810(以上、エアプロダクツ製)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては例えば、FS−3100、FS−30、FSN−100(デュポン製)、メガファックF−444(DIC製)、DSN403N(ダイキン工業製)が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、インク中に0.1乃至3.0質量%であることが好ましく、0.2乃至1.5質量%であることがより好ましい。0.1質量%以上で十分な大きさのドット径が得られて良好に描画部を埋めることができ、3.0質量%以下で、鉄微粒子が記録媒体深く浸透して鉄濃度が局所的に低下するのを抑制することができる。
これらの界面活性剤は2種類以上組み合わせて添加しても良い。特にアセチレングリコール等のエチレンオキサイド付加物とフッ素系界面活性剤またはシリコン系界面活性剤を組みわせることで、ドット径を大きくする効果が得られる。
〈添加剤〉
本発明のインクには、必要に応じて、上記以外の界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を添加してもよい。pH調整剤としては、緩衝能を有するアミン化合物を用いることが好ましく、中でもN−ブチルジエタノールアミンを用いることが好ましい。
本発明のインクには、必要に応じて、上記以外の界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、及びキレート化剤などの種々の添加剤を添加してもよい。pH調整剤としては、緩衝能を有するアミン化合物を用いることが好ましく、中でもN−ブチルジエタノールアミンを用いることが好ましい。
〔立体物の造形〕
本発明のインクは、アディティブマニファクチャリング(AM)システム、三次元プリンタ、ラピッドプロトタイピングシステムなどと呼ばれる造形装置における造形プロセスに用いることができる。本発明のインクを用いた立体物の造形プロセスは、粒径が小さくなるほど融点が低くなり、数十nm程度以下のサイズを有するナノ粒子においてより顕著になる、という金属微粒子の特徴を利用したものである。本発明のインクに含まれる鉄微粒子は平均粒径d50が250nm以下であり、粒径を制御してさらに小さい粒径とすることが可能である。よって、平均粒径が1μm以上の粒径の大きな粒子と組み合わせて用いることで、上記造形プロセスを実施することができる。以下に本発明のインクを用いた立体物の造形プロセスの一実施形態を、図1を参照して説明する。尚、図1は、後述する粉末層11の厚さ方向の断面模式図である。
本発明のインクは、アディティブマニファクチャリング(AM)システム、三次元プリンタ、ラピッドプロトタイピングシステムなどと呼ばれる造形装置における造形プロセスに用いることができる。本発明のインクを用いた立体物の造形プロセスは、粒径が小さくなるほど融点が低くなり、数十nm程度以下のサイズを有するナノ粒子においてより顕著になる、という金属微粒子の特徴を利用したものである。本発明のインクに含まれる鉄微粒子は平均粒径d50が250nm以下であり、粒径を制御してさらに小さい粒径とすることが可能である。よって、平均粒径が1μm以上の粒径の大きな粒子と組み合わせて用いることで、上記造形プロセスを実施することができる。以下に本発明のインクを用いた立体物の造形プロセスの一実施形態を、図1を参照して説明する。尚、図1は、後述する粉末層11の厚さ方向の断面模式図である。
本例の立体物の造形プロセスは、以下の工程からなる。
工程1:ステンレス粒子を含む粉末層を形成する。
工程2:粉末層のうちの造形領域に、本発明のインクを付与する。
工程3:インクに含まれる鉄微粒子を焼結し、造形領域内のステンレス粒子同士を固定する。
工程4:造形領域外のステンレス粒子を取り除く。
工程1:ステンレス粒子を含む粉末層を形成する。
工程2:粉末層のうちの造形領域に、本発明のインクを付与する。
工程3:インクに含まれる鉄微粒子を焼結し、造形領域内のステンレス粒子同士を固定する。
工程4:造形領域外のステンレス粒子を取り除く。
〈工程1〉
予め取得したスライスデータに基づき、ステンレス粒子を含む粉末層11を形成する(図1(a))。スライスデータは、造形対象物の3次元形状を所定の間隔(厚み)でスライスして得られるデータであり、断面の形状、層の厚み、材料の配置などの情報を含むデータである。
予め取得したスライスデータに基づき、ステンレス粒子を含む粉末層11を形成する(図1(a))。スライスデータは、造形対象物の3次元形状を所定の間隔(厚み)でスライスして得られるデータであり、断面の形状、層の厚み、材料の配置などの情報を含むデータである。
ステンレス粒子の平均粒径は、粉末層11を良好に形成するために、凝集が起こらない程度の寸法にすることが好ましい。また、係る平均粒径は、工程2で付与するインク12の拡散、工程3の加熱処理におけるステンレス粒子の固定、さらには立体物の強度や機能の要求に適した寸法にすることが好ましい。具体的には、ステンレス粒子の体積平均粒径が、1μm以上、500μm以下の範囲から選択されるとよく、好ましくは、1μm以上、100μm以下の範囲から選択されるとよい。平均粒径が1μm以上であることで、粉末層11形成時の粒子の凝集が抑えられ、欠陥の少ない層形成が容易になる傾向にある。
ステンレス粒子の平均粒径の測定は、レーザ回折/散乱式粒径分布測定装置「LA−950」(HORIBA社製)を用いて行う。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフトを用いる。具体的な測定方法としては、先ず、測定溶媒(有機溶媒)が入ったバッチ式セルをレーザ回折/散乱式粒径分布測定装置「LA−950」(HORIBA社製)にセットし、光軸の調整、バックグラウンドの調整を行う。測定対象の粉末を、タングステンランプの透過率が95%乃至90%になるまでバッチ式セルに添加し、粒径分布の測定を行い、得られた測定結果から体積基準の平均粒径を算出する。
〈工程2〉
造形対象物のスライスデータに基づき、ステンレス粒子からなる粉末層11のうちの造形領域に、本発明のインク12をインクジェット装置によって付与し、必要に応じて乾燥させる(図1(b))。
造形対象物のスライスデータに基づき、ステンレス粒子からなる粉末層11のうちの造形領域に、本発明のインク12をインクジェット装置によって付与し、必要に応じて乾燥させる(図1(b))。
本発明のインク12に含まれる鉄微粒子は、平均粒径d50が250nm以下であり、粉末層11を形成するステンレス粒子の平均粒径に比べて大幅に小さい。そのため、インク12に含まれる鉄微粒子の焼結又は溶融開始温度は、ステンレス粒子の焼結又は溶融開始温度よりも低い。よって、工程3において、ステンレス粒子の焼結又は溶融開始温度よりも低く、インク12に含まれる鉄微粒子の焼結又は溶融開始温度より高い温度に加熱することによって、インク12を付与した領域のステンレス粒子同士を鉄微粒子を介して固定することができる。
〈工程3〉
ステンレス粒子の焼結又は溶融開始温度よりも低く、インク12に含まれる鉄微粒子の焼結又は溶融開始温度より高い温度に加熱する。これにより、インク12が付与された領域のステンレス粒子同士を、インク12に含まれる鉄微粒子を介して固定する(図1(c))。図1(c)中の13は、ステンレス粒子同士が鉄微粒子を介して固定された領域を示す。
ステンレス粒子の焼結又は溶融開始温度よりも低く、インク12に含まれる鉄微粒子の焼結又は溶融開始温度より高い温度に加熱する。これにより、インク12が付与された領域のステンレス粒子同士を、インク12に含まれる鉄微粒子を介して固定する(図1(c))。図1(c)中の13は、ステンレス粒子同士が鉄微粒子を介して固定された領域を示す。
図1(d)乃至(f)に示すように、上記工程1から工程3を繰り返し、目的とする立体物を内部に含む積層体14が形成される(図1(g))。
尚、本例では、工程1から工程3を繰り返して積層体14を得る例を示したが、工程1から工程2を繰り返した後に、工程3を1回行って積層体14を得ることも可能である。
〈工程4〉
積層体14から造形領域以外のステンレス粒子を除去し、立体物15を得る(図1(h))。工程2でインク12を付与されていない領域のステンレス粒子は、工程3を経ても固定されていないため、本工程において、容易に除去することができる。尚、本工程後に、立体物15全体を工程3における加熱温度よりも高い温度で加熱して、ステンレス粒子同士を焼結させても良い。
積層体14から造形領域以外のステンレス粒子を除去し、立体物15を得る(図1(h))。工程2でインク12を付与されていない領域のステンレス粒子は、工程3を経ても固定されていないため、本工程において、容易に除去することができる。尚、本工程後に、立体物15全体を工程3における加熱温度よりも高い温度で加熱して、ステンレス粒子同士を焼結させても良い。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1乃至28,比較例1乃至6)
以下の実施例、比較例で用いた制御剤、分散剤、還元剤は以下の通りである。
以下の実施例、比較例で用いた制御剤、分散剤、還元剤は以下の通りである。
〈制御剤〉
C−1:PEG1000 (Mw:1000)
C−2:PVP K−30 (Mw:30000)
〈分散剤〉
D−1:オレイン酸アンモニウム
D−2:オレイン酸カリウム
D−3:オレイン酸−N−ブチルジエタノールアミン
D−4:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
D−5:ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム
D−6:ドデシル硫酸ナトリウム
D−7:ポリアクリル酸ナトリウム
D−8:マリアリムFA−1150A(日油(株)製、水性櫛形ポリマー)
〈還元剤〉
R−1:没食子酸
R−2:グルタチオン酸化型
R−3:グルタチオン還元型
R−4:グリシン
R−5:グリシルグリシン
R−6:尿酸
R−7:アセチルトコフェノール
R−8:L−システイン塩酸塩
R−9:DL−αリポ酸
R−10:L−アスコルビン酸
C−1:PEG1000 (Mw:1000)
C−2:PVP K−30 (Mw:30000)
〈分散剤〉
D−1:オレイン酸アンモニウム
D−2:オレイン酸カリウム
D−3:オレイン酸−N−ブチルジエタノールアミン
D−4:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
D−5:ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム
D−6:ドデシル硫酸ナトリウム
D−7:ポリアクリル酸ナトリウム
D−8:マリアリムFA−1150A(日油(株)製、水性櫛形ポリマー)
〈還元剤〉
R−1:没食子酸
R−2:グルタチオン酸化型
R−3:グルタチオン還元型
R−4:グリシン
R−5:グリシルグリシン
R−6:尿酸
R−7:アセチルトコフェノール
R−8:L−システイン塩酸塩
R−9:DL−αリポ酸
R−10:L−アスコルビン酸
鉄塩として3.7gのFeCl2・4H2Oをナス型フラスコにとり、エタノールを50.0g、脱イオン水を50.0g加えた溶液に制御剤を加え、50℃の水浴中で加温して原料溶液を調製した。次に、第一の還元剤として1.0gのNaBH4を脱イオン水2.0gに加えて溶解させて還元溶液を調製し、50℃に加温した上記原料溶液に0.1g/秒の速度で滴下した。原料溶液は、還元溶液の添加後ただちに黒色懸濁溶液となり、鉄微粒子が生成した。その後、鉄微粒子を脱イオン水で十分に洗浄し、洗浄液のナトリウムイオン濃度が100ppm以下になったところで終了し、鉄微粒子ペーストを得た。この鉄微粒子ペーストにはTG−DTAによる熱分析から、50質量%以上の鉄微粒子が含まれ、制御剤を用いた例では、0.1質量%の制御剤が含まれていた。
この鉄微粒子ペーストに脱イオン水10gと分散剤と第二の還元剤とを添加し、室温にて30分撹拌した。脱イオン水は30分以上、窒素ガスバブリングしてガス置換した後使用した。その後、ホモジナイザーT−25(IKA製)で8,600rpm、1時間かけて鉄微粒子を分散させ、鉄微粒子水分散体を得た。得られた鉄微粒子水分散体について、以下の方法で平均粒径d50の測定と酸化評価を行った。用いた鉄塩、制御剤、分散剤、第二の還元剤の種類と使用量[g]を表1乃至3に示す。
〈平均粒径d50の測定〉
DLS法による粒径測定装置ナノトラック150(マイクロトラック社製)を用いて180秒間の測定を3回行い、その平均粒径d50を求めた。結果を表4に示す。
〈酸化評価〉
実施例、比較例の鉄微粒子水分散体を室温に静置し、1日後、3日後に脱イオン水で100倍希釈した状態を目視で観察し、以下の基準によって酸化度を評価した。結果を表4に示す。
○:灰色又は黒色
×:赤みがかっている又はその他の色
DLS法による粒径測定装置ナノトラック150(マイクロトラック社製)を用いて180秒間の測定を3回行い、その平均粒径d50を求めた。結果を表4に示す。
〈酸化評価〉
実施例、比較例の鉄微粒子水分散体を室温に静置し、1日後、3日後に脱イオン水で100倍希釈した状態を目視で観察し、以下の基準によって酸化度を評価した。結果を表4に示す。
○:灰色又は黒色
×:赤みがかっている又はその他の色
(実施例29)
37gのFeCl2・4H2Oをナス型フラスコにとり、PVP K−30を20g、エタノールを500g、脱イオン水を500g加えて溶解させ、原料溶液を調製した。また、第一の還元剤として10gのNaBH4を脱イオン水20gに加えて溶解させ、還元溶液を調製した。
37gのFeCl2・4H2Oをナス型フラスコにとり、PVP K−30を20g、エタノールを500g、脱イオン水を500g加えて溶解させ、原料溶液を調製した。また、第一の還元剤として10gのNaBH4を脱イオン水20gに加えて溶解させ、還元溶液を調製した。
続いて原料溶液を50℃の水浴中で強制撹拌機にて400rpmで撹拌しながら加温し、溶液温度が50℃になった後、該原料溶液に上記還元溶液を0.1g/秒の速度で滴下した。原料溶液は、還元溶液の添加後ただちに黒色懸濁溶液となり、鉄微粒子が生成した。その後、鉄微粒子を脱イオン水で十分に洗浄し、洗浄液のナトリウムイオン濃度が100ppm以下になったところで終了し、鉄微粒子ペーストを得た。この鉄微粒子ペーストには熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)(リガク社製)による熱分析から、50質量%以上の鉄微粒子が含まれ、PVPが0.1質量%含まれていた。
上記鉄微粒子ペーストに、10.0gのオレイン酸アンモニウム、30gの脱イオン水、0.5gの没食子酸を添加し、室温にて30分撹拌した。その後、ホモジナイザー(IKA製「T−25」)で8,600rpm、1時間かけて鉄微粒子を分散させ、鉄微粒子水分散体を得た。得られた鉄微粒子水分散体を用い、下記の組成で混合し、60分間撹拌した後、フィルタを透過させインクジェット装置用のインクを調製した。
〈インク組成〉
鉄微粒子水分散体 79質量部
グリセリン 5質量部
ジエチレングリコール 5質量部
PEG1000(Mw:1000) 10質量部
アセチレノールE100 1質量部
鉄微粒子水分散体 79質量部
グリセリン 5質量部
ジエチレングリコール 5質量部
PEG1000(Mw:1000) 10質量部
アセチレノールE100 1質量部
得られたインクジェットインクに含まれる鉄微粒子の平均粒径d50は86nmであり、酸化は確認されなかった。また、TG−DTAにて、鉄微粒子水分散体を白金パン中に10mg入れ、エアフロー中、900℃(昇温速度:10℃/分)で分析した。最終的な残分から、鉄微粒子の濃度(質量%)を求めた。この時、有機物は全て蒸発したとし、鉄はすべて酸化鉄(Fe3O4)に変化したとして残分の69%が鉄成分として計算を行ったところ、インク中の鉄濃度は5.0質量%であった。得られたインクをピエゾヘッド「KJ4B」(京セラ製)を搭載した描画装置を用いて吐出し、パターンを描画できることを確認した。
(実施例30)
実施例29で得られたインクと、体積平均粒径が30μmのSUS粒子を用いて、立体物を造形した。図2に本例で用いた造形装置の概要を示す。図2の造形装置には、搬送モータ103を備える軸上にSUS粒子を供給する粉末供給装置201、供給した粉末を均すローラ202、インクを塗布する塗布装置203、が移動可能に設置されている。粉末供給装置201から、200mm×200mmの造形ステージ101に、1層分のSUS粒子を含む粉末を供給した後、ローラ202によって粉末を均して厚さ2mmの粉末層301を形成した。形成された粉末層301には、作製する造形物の形状に応じて、10mm×10mmの範囲に実施例29で調整したインクを浸透深さが2mmとなるまで塗布装置203によって塗布した。インク塗布後、造形ステージ101を1層分下降させ、再びSUS粒子を含む粉末を供給して、200mm×200mm、厚さ2mmの粉末層301を形成した。先にインクを塗布した領域と重心が合うように、20mm×10mmの範囲に浸透深さが2mmとなるまでインクを塗布装置203によって塗布した。
実施例29で得られたインクと、体積平均粒径が30μmのSUS粒子を用いて、立体物を造形した。図2に本例で用いた造形装置の概要を示す。図2の造形装置には、搬送モータ103を備える軸上にSUS粒子を供給する粉末供給装置201、供給した粉末を均すローラ202、インクを塗布する塗布装置203、が移動可能に設置されている。粉末供給装置201から、200mm×200mmの造形ステージ101に、1層分のSUS粒子を含む粉末を供給した後、ローラ202によって粉末を均して厚さ2mmの粉末層301を形成した。形成された粉末層301には、作製する造形物の形状に応じて、10mm×10mmの範囲に実施例29で調整したインクを浸透深さが2mmとなるまで塗布装置203によって塗布した。インク塗布後、造形ステージ101を1層分下降させ、再びSUS粒子を含む粉末を供給して、200mm×200mm、厚さ2mmの粉末層301を形成した。先にインクを塗布した領域と重心が合うように、20mm×10mmの範囲に浸透深さが2mmとなるまでインクを塗布装置203によって塗布した。
得られた積層体を、形状を崩さないように造形ステージ101ごと電気炉に入れ、鉄ナノ粒子の焼結開始温度以上、SUS粒子の焼結開始温度未満の温度で1時間熱処理した。熱処理後は、積層体のうち、インクを塗布した部分Aの粉末は固化していた。顕微鏡で観察したところ、SUS粒子は、粒子間に存在する鉄微粒子によって固定されていた。インクを塗布していない部分の粉末を除去することで所望の造形物を得ることができた。得られた造形物は、第一層よりも第二層の方が大きいオーバーハング構造を有しており、特に形状の歪みは見られなかった。
Claims (20)
- 水を分散媒として鉄微粒子が分散した鉄微粒子水分散体であって、
前記鉄微粒子の動的光散乱法による平均粒径d50が5nm以上、250nm以下であり、
前記分散媒は、アセチルトコフェノール、尿酸、没食子酸、グルタチオン、グリシン、グリシルグリシン、L−システイン塩酸塩より選ばれる少なくとも一種の還元剤と、分散剤と、を含有することを特徴とする鉄微粒子水分散体。 - 前記還元剤が、没食子酸であることを特徴とする請求項1に記載の鉄微粒子水分散体。
- 鉄微粒子100質量部に対して、前記還元剤が0.01乃至30質量部含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄微粒子水分散体。
- 前記分散剤は、前記鉄微粒子水分散体に0.1乃至20質量%含まれていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の鉄微粒子水分散体。
- 前記分散剤が、不飽和脂肪酸、ドデシル硫酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、及びこれらの塩、水溶性高分子より選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の鉄微粒子水分散体。
- 前記分散剤が、炭素数が14乃至24のモノ不飽和脂肪酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項5に記載の鉄微粒子水分散体。
- 前記モノ不飽和脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項6に記載の鉄微粒子水分散体。
- 鉄元素を金属として含む金属塩を含有する原料溶液に、第一の還元剤を含有する還元溶液を添加して、前記金属塩を還元して鉄微粒子を得る還元工程と、
前記還元工程で得られた鉄微粒子を、水を分散媒として分散させる分散工程と、を有し、
前記分散工程において、上記分散媒は、分散剤を含有し、
前記分散工程中、或いは、前記分散工程後に、アセチルトコフェノール、尿酸、没食子酸、グルタチオン、グリシン、グリシルグリシン、L−システイン塩酸塩より選ばれる少なくとも一種の第二の還元剤を前記分散媒に添加することを特徴とする鉄微粒子水分散体の製造方法。 - 前記第二の還元剤が、没食子酸であることを特徴とする請求項10に記載の鉄微粒子水分散体の製造方法。
- 前記第二の還元剤は、鉄微粒子100質量部に対して0.01乃至30質量部添加されることを特徴とする請求項10又は11に記載の鉄微粒子水分散体の製造方法。
- 前記分散剤は、前記鉄微粒子水分散体に0.1乃至20質量%含まれるように、前記分散媒に添加されることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の鉄微粒子水分散体の製造方法。
- 前記分散剤が、不飽和脂肪酸、ドデシル硫酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、及びこれらの塩、水溶性高分子より選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の鉄微粒子水分散体の製造方法。
- 前記分散剤が、炭素数が14乃至24のモノ不飽和脂肪酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項14に記載の鉄微粒子水分散体の製造方法。
- 前記モノ不飽和脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項15に記載の鉄微粒子水分散体の製造方法。
- 前記制御剤は、鉄塩100質量部に対して、20乃至200質量部用いられることを特徴とする請求項18に記載の鉄微粒子水分散体の製造方法。
- 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の鉄微粒子水分散体を含有することを特徴とするインクジェットインク。
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2018
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