JP2020008086A - ピン取り出し工具、及びピン取り出し工具の使用方法 - Google Patents

ピン取り出し工具、及びピン取り出し工具の使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ピストン対向型ディスクブレーキのパッドピン取り外し時に、周辺部材への傷発生や塗装剥がれを抑制できるピン取り出し工具、及びピン取り出し工具の使用方法を提供する。【解決手段】ディスクブレーキのパッドピンの、装着時に用いられるピン取り出し工具、及びピン取り出し工具の使用方法であって、握り部と、ピンを押し込むための金属軸とを備え、かつ、パッドピンと接する金属軸の先端部がすり鉢構造を有し、また、金属軸が、ハードクロム等によるメッキ層を有しており、更には、金属軸の所定箇所に、緩衝材が設けられている。【選択図】 図1

Description

本発明は、ピン取り出し工具、及びピン取り出し工具の使用方法に関する。
特に、ピストン対向型ディスクブレーキのパッドピンを押し込むためのピン取り出し工具、及びピン取り出し工具の使用方法であって、パッドピン取り外し時の周辺部材(キャリパー等)への傷の発生や塗装の剥がれを、有効に防止できるピン取り出し工具、及びピン取り出し工具の使用方法に関する。
従来、ピストン対向型ディスクブレーキは、ディスクの両面に摺接させる対のパッドの支持を、ディスクキャリパーのディスク回入側と回出側に取り付けたパッドピンによって行っている。
かかるピストン対向型ディスクブレーキにおいて、パッドピンを挿入するピン孔の孔面と、パッドピンと、の間に遊びがある。
そのため、パッドが車の走行中にグラつきやすいことから、板ばね製のパッドスプリングを設け、そのパッドスプリングでパッドを特定の方向に押圧し、グラつきを防止する手法が取られている。
そして、このようなピストン対向型ディスクブレーキにおいて、より大きな制動力を得るため、ブレーキサイズを大型化した場合、パッドスプリングのセット荷重が増大化して、取り外しが困難となる傾向がある。
そこで、パッドスプリングのセット荷重が増大化した場合でも、取り外しを容易に行えるピストン対向型ディスクブレーキが提案されている(特許文献1参照)。
より具体的には、複数のパッドスプリングの両端のピン保持部のうち、少なくとも一方のピン保持部の曲げ半径(r1)をパッドピンの半径(r)よりも大きくする構成である。
そして、ピン保持部の折り返し部を直線にし、この直線の折り返し部とパッドピンの接触部に働く摩擦力(Fr・μ)と、接触部に働くばね力の折り返し部と、平行かつ折り返し部の自由端側を向く分力(Ft)につき、Fr・μ>Ftの条件を満足するピストン対向型ディスクブレーキである。
特開2014−224581号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1においては、複数のパッドピンを取り外す際に使用されるピン取り出し工具については、特に言及されていない。
そのため、通常、ピン孔と先端部のサイズが近いマイナスドライバー等を用いて、パッドピンを押し込んで、ブレーキキャリパーから取り外す手法がとられている。
ここで、高級車やレーシングカー用に生産されるディスクブレーキは、純正品として非常に高価な場合が多く、僅かな傷や塗装の剥がれが確認されただけでも不良品と見なされる。
しかるに、マイナスドライバー等を用いる押し込み手法では、パッドピンの端部が球形であったり、あるいは、押し込みに用いるピン取り出し工具の固定が困難であったりする。
したがって、それぞれピン取り出し工具のズレにより、ブレーキキャリパー等の周辺部材に対する傷発生や塗装の剥がれが生じやすいという問題があった。
そのため、整備工場等で同製品を扱う場合、僅かな傷や塗装の剥がれに応じて、補償費用が発生し、経済的に不利になりやすいという問題が見られた。
そこで、本発明の発明者は鋭意検討した結果、ピン取り出し工具として、所定構造とすることによって、パッドピンと、ピン取り出し工具との間の接触面を増大させ、それにより、ブレーキキャリパー等の周辺部材に対する傷発生や塗装の剥がれの発生を極限まで減少できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、周辺部材に対する傷発生や塗装剥がれを生じさせることなく、パッドピンを迅速かつ適切に取り外すことができる、ピン取り出し工具、及び、このようなパッドピンを迅速かつ適切に取り出すための、ピン取り出し工具の使用方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、パッドピンの取り外し時に用いられるピン取り出し工具であって、握り部と、パッドピンを押し込むための金属軸と、を具備しており、パッドピンと接する金属軸の先端部を、すり鉢構造とすることを特徴とするピン取り出し工具が提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、本発明のピン取り出し工具であれば、金属軸の先端部に、すり鉢構造を有することから、端部が球形であるパッドピンであっても、それとの接触面が増大する。
したがって、ピン取り出し工具と、パッドピンとの間のズレを有効に防止できるため、パッドピンの取り出しが迅速かつ適切に行え、周辺部材に傷発生や塗装剥がれが生じる可能性を極限まで低下させることができる。
また、本発明のピン取り出し工具を構成するにあたり、金属軸が、クロムモリブデン鋼及びニッケルクロムバナジウム鋼、あるいはいずれかの構成材料を含むことが好ましい。
このように所定材料を用いて構成することにより、パッドピン取り外し作業時に、金属軸が変形や破損を起こさない程度の剛性と靭性を確保する事ができる。
また、本発明のピン取り出し工具を構成するにあたり、金属軸の、パッドピンのピン孔に挿入される部位が、ピン孔の口径よりも細い場合には、金属軸の握り部に当たる部位を、ピン孔の口径よりも太くすることが好ましい。
このような構造とすることにより、金属軸がピン孔に深く入りすぎることを防ぎ、パッドピン取り外し作業時に、周辺部材に傷発生や塗装剥がれが生じる可能性を低減させることができる。
また、本発明のピン取り出し工具を構成するにあたり、金属軸において、当該金属軸の太さ(φ1)と、すり鉢構造における太さ(φ2)とが異なる、拡大すり鉢構造であることが好ましい。
すなわち、すり鉢構造における太さ(φ2)を、金属軸の太さ(φ1)よりも大きくしてなる拡大すり鉢構造とすることが好ましい。
このように金属軸の太さを変えた構成することにより、金属軸の太さを好適に保ちつつ、すり鉢構造の大きさを適宜大きく調整することができ、ピン取り出し工具が、パッドピンの先端部に対する位置合わせが良好になって、かつ、パッドピンの先端部を好適に包みこむ形状とすることができる。
また、本発明のピン取り出し工具を構成するにあたり、金属軸のパッドピンのピン孔に挿入される部位と、握り部との間に、緩衝材を設けることが好ましい。
このように緩衝材を設けて構成することにより、ピン取り出し工具が、ブレーキキャリパー等に対して直接接触することがなくなり、簡易構造であっても、周辺部材の傷や塗装の剥がれを、より効果的に防ぐことができる。
また、本発明のピン取り出し工具を構成するにあたり、金属軸が、当該金属軸の構成材料と異なる金属材料又はセラミック材料によるメッキ層を備えていることが好ましい。
このようにメッキ層を備えていることにより、金属部の摩擦を低減でき、周辺部材に接触した場合の塗装の剥がれが発生するリスクを抑えることができる。
また、本発明の別の態様は、ピン取り出し工具の使用方法であって、ピン取り出し工具が、握り部と、パッドピンを押し込むための金属軸と、を具備してなり、パッドピンと接する金属軸の先端部が、すり鉢構造を有しており、かつ、下記工程(a)〜(e)を含むことを特徴とするピン取り出し工具の使用方法である。
(a)部品交換対象であるブレーキキャリパーを備えたディスクブレーキを用意する工程
(b)ブレーキキャリパー内のパッドピンを固定している封止部材(コッターピンや樹脂封止部材材等)を抜取る工程
(c)パッドピンに対して、ピン取り出し工具の先端部を押し当て、反対側のピン孔から抜き取れるよう、当該パッドピンを押し込んで、取り出す工程
(d)ブレーキキャリパー及びそれに付随する部品の検査工程、及び、必要に応じて付随する部品の交換工程
(e)ブレーキキャリパーを備えたディスクブレーキの組立工程
すなわち、本発明のピン取り出し工具の使用方法であれば、工程(c)の端部が球形であるパッドピンの取り外しにおいて、パッドピンと、ピン取り出し工具との間の接触面を増加させ、ピン取り出し工具のズレ等を有効に防止することができる。
したがって、ブレーキキャリパー等の周辺部材に対して、傷発生や塗装剥がれの発生を極限まで抑えることができる。
その上、工程(c)のブレーキキャリパーの取り外しや、ピン取り出し工具によるパッドピンの取り出し時間や、更には、工程(d)のブレーキキャリパーを備えたディスクブレーキの組立工程等も所要時間が大幅に短縮化されるという利点も得られる。
また、本発明のピン取り出し工具の使用方法を実施するにあたり、金属軸のパッドピンのピン孔に挿入される部位と、握り部との間に、緩衝材が設けてあることが好ましい。
このように緩衝材を設けたピン取り出し工具を使用することにより、簡易構造であっても、当該ピン取り出し工具が所定箇所以外のブレーキキャリパー等の周辺部材に直接接触することをさらに有効に防止し、ひいては、このような簡易構造であっても、周辺部材の傷や塗装の剥がれを、より確実かつ効果的に防ぐことができる。
図1は、本発明のピン取り出し工具における金属軸、握り部、及びすり鉢構造の構成を説明するために供する図である。 図2は、本発明のピン取り出し工具における緩衝材の構成を説明するために供する別の図である。 図3(a)〜(d)は、本発明のピン取り出し工具における、それぞれすり鉢構造及びその表面のメッキ層との関係を説明するために供する図である。 図4(a)〜(b)は、本発明のピン取り出し工具における、それぞれ拡大すり鉢構造を説明するために供する図である。 図5は、本発明のピン取り出し工具における、すり鉢構造の直径と傷発生防止性、塗装剥がれ防止性の関係性を説明するために供する図である。 図6は、本発明のピン取り出し工具における、すり鉢構造の深さと傷発生防止性、塗装剥がれ防止性の関係性を説明するために供する図である。 図7は、本発明のピン取り出し工具を用いた使用方法を説明するために供する図である。 図8aは、緩衝材を含むピン取り外し用工具の全体図(写真)である。 図8bは、緩衝材を含まないピン取り外し用工具の全体図(写真)である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1に例示するように、パッドピン(図示せず。)の取り外し時に用いられるピン取り出し工具1であって、握り部11と、パッドピンを押し込むための金属軸10を具備してなり、パッドピンと接する金属軸10の先端部をすり鉢構造12とすることを特徴とするピン取り出し工具1である。
以下、第1の実施形態のピン取り出し工具1について、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
1.金属軸
図1に示すように、ピン取り出し工具1は、基部として、金属軸10を有することを特徴とする。
そして、かかる金属軸10は、マイナスドライバー等のピン取り出し工具と同様に、基本的に、円柱状、楕円柱状、あるいは四角柱状等であることが好ましい。
この理由は、円柱状、楕円柱状、あるいは四角柱状等であれば、先端部をすり鉢構造とすることが比較的容易かつ精度良く形成できることから、そのため、周辺部材に接触した際の、傷発生や塗装剥がれを効果的に抑制することができるためである。
したがって、金属軸の長さは、ブレーキキャリパー等の大きさにもよるが、通常、30〜200mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる金属軸の長さが、30mm未満の値になると、適応できるパッドピンの種類が過度に制限されたり、先端部をすり鉢構造とすることが困難となったりするためである。
一方、かかる金属軸の長さが、200mmを超えた値になると、ピン取り出し工具を構成して、殴打した際に、直進移動することが困難となって、パッドピンが変形したり、パッドピンの取り出しが困難になったりする場合があるためである。
したがって、金属軸の長さを80〜180mmの範囲内の値とすることがより好ましく、100〜150mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
また、金属軸を構成する材料物質としては、パッドピンの取り外し作業時に、変形や破損を起こさない程度の剛性と靭性、更には耐腐食性等を備えていれば、特に制限されるものではない。
より具体的には、例えば、クロムモリブデン鋼やニッケルクロムバナジウム鋼等の、剛性及び靭性に優れた構成材料が挙げられる。
また、かかる金属軸は、基本的に金属材料から構成されていることが好ましいが、同様の硬度や加工性を有するのであれば、セラミック軸や強化プラスチック軸等によって、金属軸10の全部又は一部を代用することができる。
また、図1に示すように、金属軸10のパッドピン20のピン孔に挿入される部位は、ピン孔の口径よりも細くすることが好ましい。
より具体的には、金属軸10の最も細い部位の直径(L3)を1〜8mmの範囲内の値とすることが好ましい。
これは、金属軸10の最も細い部位の直径(L3)が8mmを超えた場合、ピン取り出し工具をピン孔に挿入する際に、周辺部材に対して、ピン取り出し工具が接触するリスクが増加するためである。
一方、金属軸10の最も細い部位の直径(L3)が1mm未満であった場合、先端部をすり鉢構造とすることが困難となったり、あるいは、金属軸の強度が低下し、パッドピンの取り外し作業時に、金属軸が変形する場合があるためである。
また、図1に示すように、金属軸10の握り部に当たる部位は、ピン孔の口径よりも太くすることが好ましい。
これは、ピン取り出し工具がピン孔に過度に挿入された場合、ピン取り出し工具が安定性を失い、滑って係合がはずれて、周辺部材に接触する可能性が高くなるためである。
なお、金属軸の握り部に当たる部位の太さは、ピン孔の口径よりも太く、かつピン取り出し工具として好適な太さであれば、特に制限されるものではないが、通常、ピン孔の口径を100%としたときに、金属軸10の握り部に当たる部位の太さを120〜500%の範囲内の値とすることが好ましい。
その上、ピン孔の口径を100%としたときに、金属軸の握り部に当たる部位の太さを150〜300%の範囲内の値とすることがより好ましく、180〜250%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
2.すり鉢構造
また、図1に示すように、金属軸10の一方の先端部に、パッドピン20の一部を包み込むように、正確な位置で係合するための、すり鉢構造12を備えることが好ましい。
これは、パッドピン20と、ピン取り出し工具1とが、所定状態かつ正確な位置で好適に係合することで、ピン取り出し工具が固定され、取り外し作業時のピン取り出し工具1のズレによる、周辺部材における傷発生や塗装剥がれを有効に防止できるためである。
そのため、すり鉢構造12は、図3〜図4に示すように、パッドピン20の直径より大きく、かつ、パッドピン20と正確な位置において、かつ容易に係合するサイズであることが好ましい。
より具体的には、すり鉢構造の直径(L1)を2〜10mmの範囲内の値とすることが好ましく、3〜8mmの範囲内の値とすることがより好ましく、4〜7mmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
すなわち、図6に示すように、すり鉢構造の直径(L1)を所定範囲内の値にすることによって、良好な傷発生防止性/塗装剥がれ防止性の評価を得ることができる。
また、すり鉢構造の深さ(L2)を1〜8mmの範囲内の値とすることが好ましく、2〜6mmの範囲内の値とすることがより好ましく、3〜5mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
すなわち、図7に示すように、すり鉢構造の深さ(L2)を所定範囲内の値にすることによって、良好な傷発生防止性/塗装剥がれ防止性の評価を得ることができる。
また、すり鉢構造の直径(L1)が、金属軸10の最も細い部位の直径(L3)を上回った場合、図5に示すように、金属軸10がすり鉢構造において、その太さを変えることが好ましい。すなわち、拡大すり鉢構造とすることが好ましい。
この理由は、金属軸10の太さを先端部に向かって拡大することにより、金属軸10が周辺部材に接触するリスクと、金属軸10が強度不足により変形するリスクを低減でき、更に、すり鉢構造12が、パッドピン20の一部を包み込むように、正確な位置で係合するための形状を保つことができるためである。
また、すり鉢構造12は、上記の条件を満たしていれば、図3(a)〜図5(a)に示すように、段差のない滑らかな構造であっても、図3(b)〜図5(b)に示すように、細かな段差のある構造であってもよい。
この理由は、上記の条件を満たしていれば、段差のない滑らかな構造であっても、細かな段差のある構造であっても、ほとんど差異なくピン取り出し工具を固定できるためである。
なお、機械加工装置(エンドミル装置)を用いて、先端部にすり鉢構造を形成するに際しては、細かな段差のある構造とするほうが、より容易に形成できると言える。
3.メッキ層
図1に示すように、金属軸10は、その表面を、金属軸の構成材料と異なる別な金属種やセラミック種によって、メッキ層13が形成してあることが好ましい。
より具体的には、金属軸10の表面に、厚さ0.01〜50μmのメッキ層を形成することが好ましい。
この理由は、潤滑性の高い金属材料やセラミック材料、例えば、金属メッキ(ハードクロム、ステンレス等)やセラミックメッキでメッキ層を形成することにより、金属部の摩擦を低減でき、周辺部材に接触した場合の、傷発生や塗装剥がれが発生するリスクを更に抑えるためである。
なお、図4に示すように、金属軸10の先端部であるすり鉢構造12についても、他表面と同様に、さび等の発生防止のために、ハードクロム等のメッキ層を設けていてもよい。
4.緩衝材
また、図2に示すように、金属軸10のパッドピンのピン孔に挿入される部位と、握り部11との間に、緩衝材15を設けることが好ましい。
この理由は、かかる緩衝材15を設けることにより、ピン取り出し工具1でパッドピン20を押し込む際に、金属軸10が周辺部材に接触することを防ぎ、傷や塗装の剥がれの発生を、より効果的に防ぐことができるためである。
かかる緩衝材15の形状としては、図2に示すように、穴の空いた円柱状であることが好ましく、当該穴の大きさは、握り部11よりも小さいものであることが好ましい。
これは、緩衝材15の穴の大きさを、握り部11よりも小さくすることで、ピン取り出し工具1がピン孔に過度に挿入された場合に、緩衝材15がストッパーとして働くようになるためである。
また、緩衝材15を構成する材料物質としては、柔軟であり、かつ衝撃を和らげることに必要な緩衝性を持つものであれば、周辺部材の傷発生や塗装剥がれを十分に防ぐことができる。
よって、材料物質としては、特に制限されるものではないが、例えば、ゴム材料(天然ゴム、合成ゴム、ブチルゴム、架橋ゴム材料等の少なくとも一つ)、合成樹脂材料(ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ塩化ビニール樹脂等の少なくとも一つ)、熱可塑性樹脂(SBS、SIS等)の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
なお、かかる緩衝材の硬度についても特に制限されるものではないが、JIS K 6301 Aに準じて測定されるゴム硬度(ショアーA測定)を10〜90の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるゴム硬度が10未満の値になると、所定形状に維持することが困難となったり、あるいは、周辺部材の傷発生や塗装剥がれを十分に防ぐことが困難となったりする場合があるためである。
一方、かかるゴム硬度が90を超えると、取り扱いが困難となったり、あるいは、耐久性が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、ゴム硬度(ショアーA測定)を20〜80の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜70の範囲内の値とすることが更に好ましい。
5.握り部
ピン取り出し工具1は、図1に示すように、金属軸10の先端部におけるすり鉢構造12を残した形で、握り部11を備えることが好ましい。
これは既知のマイナスドライバー等の握り部と同様、作業時の手滑り等を防ぎ、ピン取り出し工具がぶつかることによる、周辺部材の傷発生や塗装剥がれを、より効果的に防ぐことができるためである。
かかる握り部11を構成する材料物質としては、滑り止めとしての効果を有するものであって、摩擦の大きい材質及び形状を好適に使用できる。
より具体的には、木材や樹脂素材、あるいは凹凸により摩擦を大きくした金属素材などが挙げられる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、ピン取り出し工具が、握り部と、パッドピンを押し込むための金属軸と、を具備してなり、パッドピンと接する金属軸の先端部が、すり鉢構造を有しており、かつ、下記工程(a)〜(e)を含むことを特徴とするピン取り出し工具の使用方法である。
(a)部品交換対象であるブレーキキャリパーを備えたディスクブレーキを用意する工程
(b)ブレーキキャリパー内のパッドピンを固定している封止部材(コッターピンや樹脂封止部材等)を抜取る工程
(c)パッドピンに対して、ピン取り出し工具の先端部を押し当て、反対側のピン孔から抜き取れるよう、当該パッドピンを押し込んで、取り出す工程
(d)ブレーキキャリパー及びそれに付随する部品の検査工程、及び、必要に応じて付随する部品の交換工程
(e)ブレーキキャリパーを備えたディスクブレーキの組立工程
以下、第2の実施形態のピン取り出し工具の使用方法について、適宜図面を示しながら具体的に説明する。
1.工程(a)
工程(a)は、図7に記号S1で示されるように、パッドピン取り外し対象のブレーキキャリパーを装着したディスクブレーキを準備する工程である。
すなわち、ディスクブレーキの部品交換等のために、パッドピンを取り外す必要があるが、その対象としてのパッドピン以外に、ブレーキキャリパーやコッターピン等を含むディスクブレーキを準備する工程である。
2.工程(b)
工程(b)は、図7に記号S2で示すように、ディスクブレーキに固定されたブレーキキャリパーから、パッドピンを、当該ピンの長さ方向に対して、通常、垂直方向に固定している止ピンであるコッターピン(テーパーピンやテーパーボルトと称する場合もある。)又は樹脂封止を、取り外す工程である。
すなわち、コッターピン又は樹脂封止によって、ブレーキキャリパーに固定され、動作を制限されているパッドピンにつき、所定力で押圧することにより、それを取り外すための前工程である。
3.工程(c)
工程(c)は、図7に記号S3で示されるように、パッドピンに対して、第1の実施形態のピン取り出し工具の先端部を押し当て、それを押圧して、反対側のピン孔から抜き取れるよう、当該パッドピンを押し込み、所定方向に移動させて、取り出す工程である。
すなわち、パッドピンの端部を包み込むように、第1の実施形態のピン取り出し工具の先端部を接触させ、次いで、金槌やプレス装置等により、ピン取り出し工具の後端部を殴打して、所定方向に移動させてなるパッドピンを、反対側のピン孔から取り出す工程である。
したがって、工程(c)の端部が球形であるパッドピンの取り外しにおいて、パッドピンと、ピン取り出し工具との間の接触面を増加させ、ピン取り出し工具のズレ等を有効に防止し、ブレーキキャリパー等の周辺部材に対して、傷発生や塗装剥がれの発生を極限まで抑えることができる。
その上、工程(c)のブレーキキャリパーの取り外しや、ピン取り出し工具によるパッドピンの取り出し時間や、更には、工程(d)のブレーキキャリパーを備えたディスクブレーキの組立工程等も所要時間が大幅に短縮化されるという利点も得られる。
4.工程(d)
工程(d)は、図7に記号S4で示すように、所定の検査工程と、必要があれば、ブレーキパッド交換を行う工程である。
すなわち、ピン取り出し工具が接触等することによる、周辺部材の傷発生や塗装剥れが生じているか、いないかを目視あるいは電気的検査装置や光学的検査装置を用いて、検査するとともに、必要があれば、摩耗による交換対象であるブレーキパッド等を交換する工程である。
5.その他の工程
その他の工程は、図7に記号S5示すように、所定の組立工程であって、任意工程である。
すなわち、取り外したパッドピンに清掃を施した後、レンチ等の工具を用いてブレーキキャリパーに取り付け、コッターピン又は樹脂封止にて固定する工程である。
以下、実施例を参照して、本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
1.ピン取り出し工具の製造
(1)金属軸の準備
金属軸として、クロムモリブデン鋼からなる棒材(直径:10mm、長さ:120mm)を用意した。
次いで、機械加工装置(エンドミル装置)を用いて、先端部(長さ(L4):40mm、直径:5.7mm)、テーパ部(長さ(L5)5:8mm、直径:5.7〜10mmのテーパ状)、握り部(長さ(L6):72mm、直径:10mm)とを形成した。
次いで、金属軸の先端部に、機械加工装置(エンドミル装置)を用いて、図3(a)に示すような、すり鉢構造12を形成した。
すなわち、形成されたすり鉢構造12は、段差がない滑らかな曲面形状12bを有しており、直径(L1)が5.7mm、深さ(L2)が4mmであった。
更に、加工後、すり鉢構造を含めて、金属軸全体に対して、ハードクロムをメッキ法によって、厚さ1μmのメッキ層を形成した。
(2)握り部の形成
金属軸のすり鉢構造を有さない一端に、樹脂素材(ポリアセタール樹脂)を被覆して、握り部を形成した。
すなわち、握り部は、ほぼ円筒であって、直径(L1´)が10mm、長さ(L2´)が40mmであった。但し、金属軸の後端部を殴打できるように、金属軸の後端部が長さ8mmほど露出するように、握り部を形成した。
なお、ピン取り出し工具を殴打等する際にすべらないように、握り部の表面に、複数本(一例として、6本)の滑り止め用溝を形成した。
(3)緩衝材の設置
図8(a)に示すように、金属軸のパッドピンのピン孔に挿入される部位と、握り部との間に、弾性ゴム(EPゴム、ショア硬度:70)によって成形された、ドーナツ状の緩衝材(厚さ:5mm、外径:10mm、内径:8mm)を設けてなるピン取り出し工具(写真)を示す。
なお、参考として、図8(b)に示すように、緩衝材を設けないピン取り出し工具(写真)を併せて示す。
2.対向型ブレーキキャリパーの準備
対向型ブレーキキャリパーを用意し、取り外すパッドピンとして、ピンシャフト経4.8mm、長さ53mmのステンレス製パッドピン((株)デイトナ製、ステンレスパッドピン、ブレンボ標準車)を準備した。
3.評価
(1)装着性
パッドピンと、ピン取り出し工具とが、噛み合った状態で、正しい位置において係合するか否かの装着性を、下記基準に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:10秒以内に、噛み合った状態で、正しい位置において係合する。
○:30秒以内に、噛み合った状態で、正しい位置において係合する。
△:60秒以内に、噛み合った状態で、正しい位置において係合する。
×:60秒以内では、噛み合った状態で、正しい位置において係合することができない。
(2)殴打性
パッドピンと、ピン取り出し工具とが、噛み合った状態で、正しい位置において係合したのち、金槌でピン取り出し工具の後端部を殴打して、係合が滑って乖離するか、否かの殴打性を、下記基準に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:30回以上の殴打でも、噛み合った状態で、正しい位置において係合している。
○:10回以上の殴打でも、噛み合った状態で、正しい位置において係合している。
△:3回以上の殴打でも、噛み合った状態で、正しい位置において係合している。
×:3回未満の殴打でも、噛み合った状態で、正しい位置において係合していない。
(3)傷発生及び塗装剥がれ性
用意したパッドピンを、ピン取り出し工具を用いて取り外した後、ブレーキキャリパー等に対する傷発生及び塗装剥がれについて、目視観察し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:傷発生や塗装の剥がれが全く確認されない。
○:傷発生や塗装剥がれがほとんど観察されない。
△:傷発生や塗装剥がれが少々観察される。
×:顕著な傷発生や塗装剥がれが観察される。
[実施例2]
実施例2においては、図3(a)に示すように、すり鉢構造部分のみメッキ層を形成せずに、すり鉢構造の直径(L1)を4.8mm、深さ(L2)を3.3mmとしたほかは、実施例1と同様に、緩衝材を設けたピン取り出し工具を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例3においては、図1あるいは図3(b)に示すように、すり鉢構造を、複数の段差構造とし、すり鉢構造の直径(L1)を4.0mm、深さ(L2)を3.0mmとしたほかは、実施例1と同様に、緩衝材を設けたピン取り出し工具を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例4においては、金属軸の最も細い部位の直径(L3)を、すり鉢構造の直径(L1)よりも細く加工し、直径L1を2.7mm、深さL2を2.5mmとしたほかは、実施例1と同様に、緩衝材を設けたピン取り出し工具を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1においては、すり鉢構造を設けずにおいたほかは、実施例1と同様に、緩衝材を設けたピン取り出し工具を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す(すり鉢上構造の直径欄には金属軸の直径を示した)。
[比較例2]
比較例2においては、すり鉢構造を設けず、緩衝材を設けなかったほかは、実施例1と同様にピン取り出し工具を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す(すり鉢上構造の直径欄には金属軸の直径を示した)。
本発明のピン取り出し工具及びその使用方法によれば、ピン取り出し工具は、握り部と、ピストン対向型ディスクブレーキの、パッドピンを押し込むための金属軸を具備してなり、当該パッドピンと接する金属軸の先端部が、すり鉢構造を備えており、更には、金属軸の所定箇所に緩衝材を設けることにより、パッドピン取り外し時の周辺部材への傷や塗装の剥がれを、好適に防止することができるようになった。
したがって、本発明のピン取り出し工具は、車両の整備工場や生産工場での生産性に、著しく寄与することが期待される。
1:ピン取り出し工具、10:金属軸、11:握り部、12:すり鉢構造、12a:すり鉢構造の段差、12b:すり鉢構造の平滑曲面、12c:メッキ層、13:メッキ層(ハードクロムメッキ層)、14:拡大すり鉢構造、15:緩衝材、20:パッドピン、110、116、119:滑り止め溝

Claims (8)

  1. パッドピン取り外し時に用いられるピン取り出し工具であって、
    握り部と、前記パッドピンを押し込むための金属軸を具備してなり、
    前記パッドピンと接する金属軸の先端部を、すり鉢構造とすることを特徴とするピン取り出し工具。
  2. 前記金属軸が、クロムモリブデン鋼及びニッケルクロムバナジウム鋼、あるいはいずれかの構成材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のピン取り出し工具。
  3. 前記金属軸の、前記パッドピンのピン孔に挿入される部位が、ピン孔の口径よりも細い場合には、前記金属軸の、前記握り部に当たる部位を、ピン孔の口径よりも太くすることを特徴とする請求項1又は2に記載のピン取り出し工具。
  4. 前記金属軸において、当該金属軸の太さと、前記すり鉢構造における太さとが異なる、拡大すり鉢構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のピン取り出し工具。
  5. 前記金属軸の前記パッドピンのピン孔に挿入される部位と、前記握り部との間に、緩衝材を設けることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のピン取り出し工具。
  6. 前記金属軸が、当該金属軸の構成材料と異なる金属材料又はセラミック材料によるメッキ層を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のピン取り出し工具。
  7. ピン取り出し工具の使用方法であって、ピン取り出し工具が、握り部と、パッドピンを押し込むための金属軸と、を具備してなり、パッドピンと接する金属軸の先端部が、すり鉢構造を有しており、かつ、下記工程(a)〜(e)を含むことを特徴とするピン取り出し工具の使用方法。
    (a)部品交換対象であるブレーキキャリパーを備えたディスクブレーキを用意する工程
    (b)前記ブレーキキャリパー内の前記パッドピンを固定している封止部材を抜取る工程
    (c)前記パッドピンに対して、ピン取り出し工具の先端部を押し当て、反対側のピン孔から抜き取れるよう、当該パッドピンを押し込んで、取り出す工程
    (d)ブレーキキャリパー及びそれに付随する部品の検査工程、及び、必要に応じて付随する部品の交換工程
    (e)ブレーキキャリパーを備えたディスクブレーキの組立工程
  8. 前記金属軸の前記パッドピンのピン孔に挿入される部位と、前記握り部との間に、緩衝材が設けてあることを特徴とする請求項7に記載のピン取り出し工具の使用方法。
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