JP2020008148A - 高圧タンク - Google Patents

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JP2020008148A JP2018132096A JP2018132096A JP2020008148A JP 2020008148 A JP2020008148 A JP 2020008148A JP 2018132096 A JP2018132096 A JP 2018132096A JP 2018132096 A JP2018132096 A JP 2018132096A JP 2020008148 A JP2020008148 A JP 2020008148A
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片野 剛司
Koji Katano
剛司 片野
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Abstract

【課題】タンクが落下して衝突面で跳ね上がり、その後再び落下して衝突面に衝突する際の、タンクの損傷を抑える。
【解決手段】高圧タンクは、円筒状のシリンダ部の両側の各々に半球面形状のドーム部を有するライナと、ライナの外表面を覆う補強層と、ライナの両端の少なくとも一方において、ドーム部に形成された補強層の上に配置されたプロテクタと、を備える。プロテクタは、高圧タンクが落下して衝突面に衝突して跳ね上がるときに、高圧タンクが有する運動エネルギの一部として、高圧タンクを周方向に回転させる力を生じさせる回転促進部を備える。
【選択図】図2A

Description

本発明は、高圧タンクに関する。
高圧の流体を貯蔵・密封するためのタンクとして、流体を貯蔵する空間を形成するライナと、ライナの外表面を覆う補強層と、を備えるタンクが知られている。また、上記タンクにおいて、タンク取扱い時にタンクが落下したときの耐衝撃性を確保するために、タンク両端の半球面形状のドーム部を含むタンクの外表面に、外部からの衝撃に対してタンクを保護するためのプロテクタを設ける構成が知られている。このようなプロテクタの構造としては、プロテクタの内側に金属製プレートや炭素繊維強化プラスチックプレートを配置して剛性を高めたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2017−101763号公報
しかしながら、タンクが落下すると、衝突面でタンクが跳ね上がり、その後再び落下して衝突面に再衝突する。このような、タンクが落下して衝突面で跳ね上がった後にタンクが再度衝突する際の、タンクの損傷に係る問題については、従来、十分に検討されておらず、再衝突時のタンクの損傷を抑える技術が望まれていた。
本発明は、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の一形態によれば、高圧タンクが提供される。この高圧タンクは、円筒状のシリンダ部の両側の各々に半球面形状のドーム部を有し、流体を密封するための内部空間が形成されたライナと;前記ライナの外表面を覆う補強層と;前記ライナの両端の少なくとも一方において、前記ドーム部に形成された前記補強層の上に配置されたプロテクタと;を備え;前記プロテクタは、前記高圧タンクが落下して衝突面に衝突して跳ね上がるときに、前記高圧タンクが有する運動エネルギの一部として、前記高圧タンクを周方向に回転させる力を生じさせる回転促進部を備える。
この形態の高圧タンクによれば、回転促進部を備えることにより、高圧タンクが落下して跳ね上がる際に高圧タンクが周方向に回転する運動エネルギが生じ、高圧タンクが跳ね上がる高さが低くなる。そのため、衝突面に2度目に衝突するときに高圧タンクが受ける衝撃力を低減することができる。その結果、2度目の衝突に起因する高圧タンクの損傷を抑えることができる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、高圧タンクの製造方法等の形態で実現することができる。
高圧タンクの構成を示す説明図である。 内表面側からプロテクタを見た様子を表わす平面図である。 2B−2B断面の様子を表わすプロテクタの断面図である。 高圧タンクが落下する様子を模式的に表わす説明図である。 跳ね上がり時に高圧タンクが回転運動する様子を表わす説明図である。 外表面側からプロテクタを見た様子を表わす平面図である。 5B−5B断面の様子を表わすプロテクタの断面図である。 外表面側からプロテクタを見た様子を表わす平面図である。 6B−6B断面の様子を表わすプロテクタの断面図である。 プロテクタの構成を表わす説明図である。 プロテクタの外観の概略を表わす斜視図である。
A.第1実施形態:
(A−1)タンクの全体構成:
図1は、本発明の第1実施形態としての高圧タンク10の構成を示す説明図である。図1において、上半分は断面図であり、下半分は正面図である。図1において、高圧タンク10の中心軸AXは、一点鎖線により示している。図1では、互いに直交するX軸、Y軸、およびZ軸を示している。X軸方向は、中心軸AXに平行な方向であり、Y軸方向は、高圧タンク10の径方向に平行な方向である。図1に示す上記した各軸の方向は、後述する図2A、図2B、図5A〜図7に示すX軸、Y軸、およびZ軸の方向に一致している。
高圧タンク10は、ライナ20と、ライナ20の外周面を被覆する補強層30と、高圧タンク10の両端にそれぞれ設けられたプロテクタ40,41とを備える。この高圧タンク10は、例えば、水素を貯蔵するためのタンクとして使用される。
ライナ20は、流体を密封するための空間を内部に形成する。ライナ20は、例えば、高圧タンク10の長手方向の中央で2分割した形状の2つのライナパーツを接合することによって形成されている。ライナ20は、例えば、ナイロン系樹脂(ポリアミド系樹脂)やポリエチレン系樹脂等の合成樹脂、あるいは、アルミニウム合金等の金属によって形成することができ、本実施形態ではナイロンによって形成している。ライナ20は、中空円筒状のシリンダ部22と、シリンダ部22の両側に続く略半球面形状の2つのドーム部24とに区分可能である。ライナ20の両端の各々には、ドーム部24の頂上の位置に、第1口金12あるいは第2口金14が配置されている。第1口金12は、高圧タンク10の内部の空間と連通する貫通孔15を有すると共に、第1口金12の開口部を開閉する図示しないバルブを備える。このバルブには、高圧タンク10が所定温度以上になったときにライナ20内部の流体を外部に放出するための溶栓弁が含まれる。第2口金14は、有底孔16を有する。これら第1口金12および第2口金14は、例えば、ライナパーツの成形時に、インサート成形によってライナパーツに接合される。
補強層30は、繊維強化プラスチック(FRP)によって形成される層であり、ライナ20の外表面全体を覆っている。具体的には、樹脂を含浸させた繊維束を、フィラメントワインディング法(以下、「FW法」と呼ぶ)によりライナ20の表面に巻回し、その後、樹脂を硬化させた層である。典型的なFW法では、ライナ20のシリンダ部22の外周を被覆するためのフープ巻きと、ドーム部24の外周を被覆するためのヘリカル巻きとが利用される。補強層30の樹脂としては、エポキシ樹脂や、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、補強層30を構成する繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、およびアラミド繊維等が挙げられる。補強層30は、複数種類(例えば、ガラス繊維とカーボン繊維)の繊維を用いたFW法による巻回を順次行うことで、異なる繊維を備える層を積層させて形成することもできる。本実施形態では、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から成る層とガラス繊維強化プラスチック(GFRP)から成る層とを順次積層して、補強層30を形成している。
プロテクタ40,41は、ライナ20の両端のドーム部24において補強層30の上に配置されており、外部から受ける衝撃と、高圧タンク10の内圧による応力から高圧タンク10を保護する保護部材である。第1口金12側のドーム部24上には、プロテクタ40が配置されており、第2口金14側のドーム部24上には、プロテクタ41が配置されている。プロテクタ40,41は、ドーム部24の形状に沿うように、略半球形状に形成されて、補強層30上に固定されている。プロテクタ40,41は、上記半球形状の頭頂部に貫通孔42を有しており、貫通孔42において、第1口金12あるいは第2口金14が露出する。
プロテクタ40,41は、例えば、金属、発泡ポリウレタン等の樹脂、または繊維強化プラスチック等によって形成することができる。上記した材料のうちの異なる種類の材料によって構成される複数の層を積層して、プロテクタ40,41を構成することとしてもよい。プロテクタ40,41のうち、第2口金14側に配置されたプロテクタ41は、さらに、高圧タンク10の表面で露出する外層として、耐熱性および耐火性を向上させるための層を設けてもよい。このような外層は、例えば、膨張黒鉛を含む層として形成することができ、膨張黒鉛と発泡ポリウレタンとの混合物を成型することによって形成することができる。なお、第1口金12側に配置されたプロテクタ40は、上記外層を有しないこととすればよい。既述したように第1口金12は安全弁としての溶栓弁を備えているため、溶栓弁の動作を確保する観点から、上記外層を有しないことが望ましい。プロテクタ40,41を複数の層を積層して構成する場合には、各層間は、例えば接着剤を用いて貼り合わせればよい。本実施形態の高圧タンク10は、プロテクタ40,41の形状等に特徴がある。以下では、プロテクタ40,41の形状について、詳しく説明する。
(A−2)プロテクタの構成:
図2Aおよび図2Bは、プロテクタ40の構成を表わす説明図である。以下では、プロテクタ40について説明するが、プロテクタ41も、同様の形状を有している。図2Aは、プロテクタ40の内表面側から、すなわち、X軸に沿って−X方向に向かってプロテクタ40を見た様子を表わす平面図である。図2Bは、図2Aに示す2B−2B断面の様子を表わす断面図である。
図2Aに示すように、本実施形態のプロテクタ40には、補強層30に接する内表面に、4つのねじれ溝50が形成されている。各ねじれ溝50は、プロテクタ40の内表面において、外周近傍から中心側の貫通孔42に向かって延びるように形成される凹部であり、いずれも、同じ方向にねじれた形状を有している。具体的には、プロテクタ40の外周側から一定の方向(本実施形態では右回りの方向)に湾曲する形状を有している。このようなねじれ溝50は、例えば、切削加工により形成することができる。ねじれ溝50は、「回転促進部」とも呼ぶ。
(A−3)落下時の動作:
図3は、高圧タンク10が鉛直方向下方に落下する様子を模式的に表わす説明図である。図3では、高圧タンク10の中心軸AXが水平方向に対して斜めの角度で落下する場合を示す。中心軸AXが水平方向に対して斜めの角度で落下する場合には、中心軸AXが水平な状態で側面から落下する場合とは異なり、高圧タンク10は、ドーム部24に対応する部位の比較的狭い領域で衝突面CSに衝突する。プロテクタ40,41をドーム部24上に形成することで、このように斜めの角度で高圧タンク10が落下したときに、高圧タンク10を保護することが可能になる。
しかしながら、高圧タンク10が落下して衝突面CSに衝突すると、高圧タンク10は、衝突面CSからの衝突反力によって跳ね上がった後、再び落下して衝突面CSに衝突する。本実施形態のプロテクタ40,41が備えるねじれ溝50は、このような再度の落下に起因する高圧タンク10の損傷を抑えるための構造である。
落下の前後における高圧タンク10のエネルギ状態は、大まかに、以下のように捉えることができる。すなわち、落下前の、衝突面CSからの高さが高さhであるポイントαに位置する高圧タンク10が有するエネルギの総量Aは、ポイントαに位置するときの位置エネルギであり、以下の(1)式で表わされる。
A = mgh … (1)
(mは高圧タンク10の質量であり、gは重力加速度である。)
ここで、本実施形態の高圧タンク10に代えて、ねじれ溝50を有しないプロテクタを備える高圧タンクが鉛直方向下方に落下して、プロテクタにおいて衝突面CSに衝突する場合を想定すると、ポイントαにおける高圧タンクのエネルギの総量Aは、上記(1)式で表わすとおりである。そして、 高圧タンクが鉛直方向下方に落下して衝突面CSに衝突すると、高圧タンクは、衝突面CSから、鉛直方向上向きの衝撃荷重を加えられる。そのため、衝突後の高圧タンクは、鉛直方向上方に向かって移動する。このような高圧タンクが衝突面CSのポイントβに衝突して高さが0になるとき、高圧タンクに係る上記したエネルギの総量Aは、以下の(2)式で表わされる。なお、ここでは、高圧タンク10の落下を自由落下とみなして、落下時に失われるエネルギは無視している。
A = B + C + D … (2)
(Bは、高圧タンクが衝突面CSに対して垂直な上方に向かう直線運動の運動エネルギであり、Cは、高圧タンクが重心を中心として回転する回転運動の運動エネルギであり、Dは、熱エネルギである。)
図4は、跳ね上がり時に高圧タンク10が回転運動する様子を表わす説明図である。斜めの角度で落下して跳ね上がった高圧タンク10は、図4に矢印Cで示すように、高圧タンク10の重心Gを中心として回転する。そのため、高圧タンクのエネルギの総量Aの一部は、図4に矢印Cで示す重心Gを中心とする回転運動の運動エネルギCとなる。
また、高圧タンクが衝突面CSに衝突すると、衝突時の摩擦やプロテクタの構成部材が圧縮されることにより、熱が生じる。以上より、高圧タンク10が有していたエネルギの総量Aは、式(2)に示すように、一部が熱エネルギDとして失われ、一部は回転運動の運動エネルギCとなり、残余の直線運動の運動エネルギBのみが、上方への跳ね上がりに寄与すると考えることができる。
本実施形態の高圧タンク10は、既述したように、ねじれ溝50を設けたプロテクタ40,41を備える。そのため、このような高圧タンク10が鉛直方向下方に落下して、プロテクタ40,41において衝突面CSに衝突すると、中心軸AXを中心として高圧タンク10を回転させる力、すなわち、高圧タンク10を周方向に回転させる力が働く。中心軸AXを中心として高圧タンク10を回転運動させる力が働く様子を、図4において矢印Eで示す。
プロテクタ40,41において、ねじれ溝50が形成される部分は、ねじれ溝50が形成されていない部分に比べて密度が低いといえる。そして、ねじれ溝50は、ねじれ形状を有するため、ねじれ溝50の近傍において衝突面CSに衝突する場合には、加えられる鉛直方向上向きの衝撃荷重に対してプロテクタ40,41の密度が不均一な状態になる。すなわち、プロテクタ40,41において衝突面CSとの接点から鉛直方向上向きの様子を考えると、プロテクタ40,41の密度が不均一な状態になる。そのため、衝突時には、衝撃荷重が鉛直方向上向きに伝わる際に不均一に伝達されて、プロテクタ40,41において、高圧タンク10を運動させる力として、鉛直方向上向き以外の向きの成分を有する力が生じる。このような、鉛直方向上向き以外の向きの成分を有する力によって、衝突後の高圧タンク10は、中心軸AXを中心として回転運動する。すなわち、ねじれ溝50を設けることにより、高圧タンク10が落下して衝突面CSに衝突して跳ね上がるときに、高圧タンク10が有する運動エネルギの一部として、高圧タンク10を周方向に回転させる力が生じる。本実施形態の高圧タンク10が衝突面CSのポイントβに衝突して高さが0になるときの、高圧タンク10に係る上記したエネルギの総量Aは、以下の(3)式で表わされる。
A = B + C + D + E … (3)
(B、C、Dは、(2)式と同じ。Eは、高圧タンク10が中心軸AXを中心として回転する回転運動の運動エネルギである。)
プロテクタ40,41がねじれ溝50を有していても、上記した回転運動の運動エネルギCと熱エネルギDとは、ほとんど変わらないと考えられる。そのため、ねじれ溝50を有するプロテクタ40,41において衝突面CSに衝突して跳ね上がる際に、高圧タンク10が中心軸AXを中心として回転することにより、高圧タンク10の鉛直方向上方への跳ね上がりに係る運動エネルギBは、ねじれ溝50を設けない場合に比べて、運動エネルギEだけ減少する。したがって、プロテクタ40,41がねじれ溝50を有することにより、高圧タンク10が衝突面CSのポイントβで跳ね上がった後に到達する最高点であるポイントγの高さh2は、プロテクタがねじれ溝50を有しない場合に比べて低くなる。すなわち、高圧タンク10が衝突面CSのポイントβで跳ね上がった後に到達する最高点で有する位置エネルギは、プロテクタがねじれ溝50を有しない場合に比べて小さくなる。その結果、高圧タンク10が2度目に衝突面CSに衝突する際には(図3においてポイントδで表わす)、高圧タンク10が受ける衝撃力(衝撃荷重)は、プロテクタがねじれ溝50を有しない場合に比べて小さくなる。なお、2度目の衝突時にも、高圧タンク10がプロテクタ40,41において衝突面CSと衝突する場合には、同様にして、3度目に衝突面CSに衝突する際に高圧タンク10が受ける衝撃力も、より小さくなる。
以上のように構成された本実施形態の高圧タンク10によれば、プロテクタ40,41がねじれ溝50を有するため、高圧タンク10が落下して跳ね上がる際に高圧タンク10が周方向に回転する運動エネルギが生じ、高圧タンク10が跳ね上がる高さが低くなる。そのため、衝突面CSに2度目に衝突するときに高圧タンク10が受ける衝撃力を低減することができる。その結果、2度目の衝突に起因する高圧タンク10の損傷を抑えることができる。
本実施形態では、プロテクタ40,41の各々に4つのねじれ溝50を設けたが、ねじれ溝50の数は、4以外の任意の整数とすることができる。ただし、2度目の衝突時の衝撃力を抑える効果を高めるためには、ねじれ溝50は複数であることが望ましく、より数が多い方が上記効果を高めやすい。2度目の衝突時の衝撃力を抑えるためには、ねじれ溝50の近傍で1回目の衝突が起こることが望ましいためである。ねじれ溝50の数が多いほど、1回目の衝突時にねじれ溝の近傍で衝突する可能性が高まり、ねじれ溝の近傍で衝突するほど、衝突時に加えられる鉛直方向上向きの衝撃荷重に対してプロテクタ40,41の密度が不均一となり易い。その結果、高圧タンク10を運動させる力において、鉛直方向上向き以外の向きの成分が大きくなり、2度目の衝突時の衝撃力を抑える効果を高め易い。
本実施形態では、図2Aに示すように、同じ形状の複数のねじれ溝50を、均等な間隔で均一に配置したが、異なる構成としてもよい。例えば、隣り合うねじれ溝50間の間隔は、不均一であってもよい。また、プロテクタ40,41に複数のねじれ溝50を設ける場合には、個々のねじれ溝50は異なる大きさであってもよく、異なる向きにねじれるねじれ溝50が存在していてもよい。ただし、高圧タンク10が中心軸AXを中心として回転する動作を、衝突時に効率良く得るには、複数設けるねじれ溝50のねじれの向きは、全体として同じであることが望ましい。なお、プロテクタ40,41の内表面を含む部分が、発泡ポリウレタン層など、比較的柔らかい部材で形成される場合には、ねじれ溝50を形成する加工が容易となり望ましい。
B.第2実施形態:
図5Aおよび図5Bは、第2実施形態のプロテクタ140の構成を表わす説明図である。プロテクタ140は、第1実施形態の高圧タンク10と同様の高圧タンク10において、プロテクタ40に代えて用いられる。以下の説明では、第1実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明を省略する。なお、第2実施形態の高圧タンク10において、第1実施形態のプロテクタ41に代えて用いられるプロテクタも、プロテクタ140と同様の形状を有している。図5Aは、プロテクタ140の外表面側から、すなわち、X軸に沿って+X方向に向かってプロテクタ140を見た様子を表わす平面図である。図5Bは、図5Aに示す5B−5B断面の様子を表わす断面図である。
図5Aに示すように、第2実施形態のプロテクタ140には、外表面に、4つのねじれ溝150が形成されている。各ねじれ溝150は、プロテクタ140の外表面において、外周近傍から中心側の貫通孔42に向かって延びるように形成される凹部であり、いずれも、同じ方向にねじれた形状を有している。具体的には、プロテクタ140の外周側から一定の方向(本実施形態では右回りの方向)に湾曲する形状を有している。このようなねじれ溝150は、例えば、切削加工により形成することができる。ねじれ溝150は、「回転促進部」とも呼ぶ。
このような構成としても、第1実施形態と同様に、高圧タンク10が落下して跳ね上がる際に高圧タンク10が周方向に回転する運動エネルギが生じるため、衝突面CSに2度目に衝突するときに高圧タンク10が受ける衝撃力を低減して高圧タンク10の損傷を抑える同様の効果が得られる。プロテクタ140の外表面にねじれ溝150を設ける場合にも、衝突時に加えられる鉛直方向上向きの衝撃荷重に対してプロテクタ140の密度が不均一となり、高圧タンク10を運動させる力として、鉛直方向上向き以外の向きの成分を有する力が生じるためである。
第1実施形態のねじれ溝50の場合と同様に、ねじれ溝150の数は、4以外の任意の整数とすることができ、上記効果を高めるためには、より多くねじれ溝150を設けることが望ましい。また、隣り合うねじれ溝150間の間隔は、均一であってもよく、不均一であってもよい。複数のねじれ溝150を設ける場合には、個々のねじれ溝150は、同じ大きさであってもよく、異なる大きさであってもよい。また、複数のねじれ溝150を設ける場合には、異なる向きにねじれるねじれ溝150が存在していてもよい。ただし、高圧タンク10が中心軸AXを中心として回転する動作を、衝突時に効率良く得るには、複数設けるねじれ溝150のねじれの向きは、全体として同じであることが望ましい。
C.第3実施形態:
図6Aおよび図6Bは、第3実施形態のプロテクタ240の構成を表わす説明図である。プロテクタ240は、第1実施形態の高圧タンク10と同様の高圧タンク10において、プロテクタ40に代えて用いられる。以下の説明では、第1実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明を省略する。なお、第3実施形態の高圧タンク10において、第1実施形態のプロテクタ41に代えて用いられるプロテクタも、プロテクタ240と同様の形状を有している。図6Aは、プロテクタ240の外表面側から、すなわち、X軸に沿って+X方向に向かってプロテクタ240を見た様子を表わす平面図である。図6Bは、図6Aに示す6B−6B断面の様子を表わす断面図である。
図6Aに示すように、第3実施形態のプロテクタ240には、外表面に、4つのねじれ凸部250が形成されている。各ねじれ凸部250は、プロテクタ240の外表面において、外周近傍から中心側の貫通孔42に向かって延びるように形成される凸部であり、いずれも、同じ方向にねじれている。具体的には、プロテクタ240の外周側から一定の方向(本実施形態では右回りの方向)に湾曲する形状を有している。このようなねじれ凸部250は、例えば、別部材として形成した凸部を貼り付けることにより形成することができる。ねじれ凸部250は、「回転促進部」とも呼ぶ。
このような構成としても、第1実施形態と同様の効果が得られる。プロテクタ240の外表面にねじれ凸部250を設ける場合にも、衝突時に加えられる鉛直方向上向きの衝撃荷重に対してプロテクタ240の密度が不均一となり、高圧タンク10を運動させる力として、鉛直方向上向き以外の向きの成分を有する力が生じるためである。
第1実施形態のねじれ溝50の場合と同様に、ねじれ凸部250の数は、4以外の任意の整数とすることができ、上記効果を高めるためには、より多くねじれ凸部250を設けることが望ましい。また、隣り合うねじれ凸部250間の間隔は、均一であってもよく、不均一であってもよい。複数のねじれ凸部250を設ける場合には、個々のねじれ凸部250は、同じ大きさであってもよく、異なる大きさであってもよい。また、複数のねじれ凸部250を設ける場合には、異なる向きにねじれるねじれ凸部250が存在していてもよい。ただし、高圧タンク10が中心軸AXを中心として回転する動作を、衝突時に効率良く得るには、複数設けるねじれ凸部250のねじれの向きは、全体として同じであることが望ましい。
D.第4実施形態:
図7は、第4実施形態のプロテクタ340の構成を表わす説明図である。プロテクタ340は、第1実施形態の高圧タンク10と同様の高圧タンク10において、プロテクタ40に代えて用いられる。以下の説明では、第1実施形態と共通する部分には同じ参照番号を付して、詳しい説明を省略する。なお、第4実施形態の高圧タンク10において、第1実施形態のプロテクタ41に代えて用いられるプロテクタも、プロテクタ340と同様の形状を有している。図7は、プロテクタ340の内表面側から、すなわち、X軸に沿って−X方向に向かってプロテクタ340を見た様子を表わす平面図である。
図7に示すように、第4実施形態のプロテクタ340には、内表面に、複数の溝部350が形成されている。各溝部350は、プロテクタ340の内表面において、外周近傍から中心部に向かって直進して延びるように形成される凹部である。各溝部350は、第1実施形態のねじれ溝50に比べて細く形成されており、プロテクタ340の内表面では、溝部350が比較的密に形成されている領域と、比較的疎に形成されている領域とが存在する。プロテクタ340に形成される溝部350は、全体として、「回転促進部」を構成する。
プロテクタ340に形成される溝部350は、高圧タンク10がプロテクタ340から落下する衝突時に、プロテクタ340に加えられる鉛直方向上向きの衝撃荷重に対してプロテクタ340の密度が十分に不均一になるように、各溝部350の幅や溝部の数、および、疎密を有する複数の溝部350の配置が設定されている。そのため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
第4実施形態では、プロテクタ340の内表面に複数の溝部350を設けたが、異なる構成としてもよい。例えば、プロテクタの外表面に、径方向に直線的に延びる複数の溝部を形成しても良い。あるいは、プロテクタの外表面に、径方向に直線的に延びる複数の凸部を形成しても良い。このような場合にも、上記複数の溝部あるいは複数の凸部を形成する際に、比較的密に形成する領域と、比較的疎に形成する領域とを設ければよい。そして、高圧タンク10が斜めに傾いた状態で鉛直方向下方に落下する衝突時に、プロテクタに加えられる鉛直方向上向きの衝撃荷重に対してプロテクタの密度が十分に不均一になるように、各溝部や凸部の幅や数、および、疎密を有する複数の溝部や凸部の配置を設定することで、同様の効果を得ることができる。
E.他の実施形態:
(E1)上記した各実施形態では、回転促進部として、プロテクタの内表面または外表面において、凹部や凸部を形成したが、異なる構成としてもよい。例えば、凹部や凸部を設けることなくプロテクタの密度を異ならせて、回転促進部を形成してもよい。具体的には、例えば、既述した第1実施形態、第2実施形態、あるいは第4実施形態のプロテクタに設けた凹部(ねじれ溝あるいは溝部)を、プロテクタの他の箇所よりも密度が低い発泡体で塞ぐこととしてもよい。あるいは、プロテクタの内層を、発泡ポリウレタン等の発泡樹脂層で形成する場合に、このような発砲樹脂層の一部において、局所的に気孔率を異ならせることとしてもよい。このような場合にも、落下時にプロテクタに加えられる鉛直方向上向きの衝撃荷重に対してプロテクタの密度を不均一とすることで、高圧タンクを運動させる力として、鉛直方向上向き以外の向きの成分を有する力を生じさせて、各実施形態と同様の効果を得ることができる。
(E2)図8は、さらに他の実施形態におけるプロテクタ440の外観の概略を表わす斜視図である。プロテクタ440は、第1実施形態の高圧タンク10と同様の高圧タンク10において、プロテクタ40に代えて用いられる。本実施形態の高圧タンク10において、第1実施形態のプロテクタ41に代えて用いられるプロテクタも、プロテクタ440と同様の形状を有している。
プロテクタ440は、外表面に、回転促進部として2つの錘部450を備える。この錘部450は、互いに近接した位置に設けられており、プロテクタ440において偏った配置となっている。既述した各実施形態では、落下時にプロテクタに加えられる鉛直方向上向きの衝撃荷重に対してプロテクタの密度が不均一となるように回転促進部を形成することで、高圧タンクの跳ね上がり時に高圧タンクを運動させる力として、鉛直方向上向き以外の向きの成分を有する力を生じさせている。これに対して、本実施形態では、プロテクタ440に錘部450を設けることで、高圧タンク10が落下して跳ね上がる際に、偏って配置される錘部450によって、高圧タンク10が中心軸AXを中心として回転させられる。その結果、既述した実施形態と同様の効果が得られる。
なお、錘部450の数は、2以外の整数としてもよく、跳ね上がって上昇する高圧タンク10を回転させる上記力を生じさせることができればよい。また、錘部450は、上昇する高圧タンク10を回転させる上記力を生じることができる程度に重ければよいため、プロテクタの構成材料は、プロテクタの他の部位を構成する材料よりも密度が高い材料の中から、高圧タンク10全体の質量を考慮して、適宜選択すればよい。このような錘部450は、例えば、プロテクタ440の表面に接着剤を用いて貼り付けることにより配置することができる。
また、回転促進部としての錘部450は、図8のようにプロテクタ440の外表面から突出する以外の形状としてもよい。例えば、プロテクタの内表面または外表面で露出するように、あるいはプロテクタの内部に埋没されるように、偏った配置にてプロテクタ内に錘部を埋め込むこととしてもよい。
(E3)既述した各実施形態では、第1口金12側に配置するプロテクタと、第2口金14側に配置するプロテクタとの形状を同じにしたが、異なる形状としてもよい。例えば、既述した各実施形態のうちの異なる2種類のプロテクタの一方を第1口金側に配置し、他方を第2口金14側に配置してもよい。また、第1口金12側と第2口金14側とのうちの一方のみに、プロテクタを設けてもよい。あるいは、高圧タンクの両端にプロテクタを設ける場合に、一方のプロテクタのみに、回転促進部を設けることとしてもよい。このような構成としても、回転促進部を備えるプロテクタが衝突面に衝突するように高圧タンクが落下したときには、既述した実施形態と同様の効果が得られる。
(E4)既述した各実施形態では、高圧タンク10が斜めに傾いた状態で落下する場合に、プロテクタによって高圧タンク10を保護する態様を説明したが、異なる角度で高圧タンク10が落下したときに、プロテクタによって高圧タンク10を保護することとしてもよい。例えば、プロテクタを、より厚く形成することによって、あるいは、プロテクタを、シリンダ部22と重なる領域まで広げて設けることによって、高圧タンク10の中心軸AXが水平な状態で落下した場合にも、プロテクタによって衝撃を受けることとしてもよい。このとき、プロテクタが既述した回転促進部を備えるならば、高圧タンク10が水平な状態で落下する場合にも、衝突面CSへの衝突後に跳ね上がる際に周方向に回転する運動エネルギを生じさせることができ、既述した実施形態と同様の効果が得られる。
(E5)既述した各実施形態では、高圧タンクを、加圧水素の貯蔵に用いたが、水素以外の他の加圧流体の貯蔵に用いてもよい。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…高圧タンク、12…第1口金、14…第2口金、15…貫通孔、16…有底孔、20…ライナ、22…シリンダ部、24…ドーム部、30…補強層、40,41,140,240,340,440…プロテクタ、42…貫通孔、50,150…ねじれ溝、250…ねじれ凸部、350…溝部、450…錘部、AX…中心軸、CS…衝突面、G…重心

Claims (1)

  1. 高圧タンクであって、
    円筒状のシリンダ部の両側の各々に半球面形状のドーム部を有し、流体を密封するための内部空間が形成されたライナと、
    前記ライナの外表面を覆う補強層と、
    前記ライナの両端の少なくとも一方において、前記ドーム部に形成された前記補強層の上に配置されたプロテクタと、
    を備え、
    前記プロテクタは、前記高圧タンクが落下して衝突面に衝突して跳ね上がるときに、前記高圧タンクが有する運動エネルギの一部として、前記高圧タンクを周方向に回転させる力を生じさせる回転促進部を備える
    高圧タンク。
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