JP2020008447A - 膜厚計測方法、膜厚計測装置、及び当該膜厚計測装置を備える塗装装置 - Google Patents

膜厚計測方法、膜厚計測装置、及び当該膜厚計測装置を備える塗装装置 Download PDF

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Abstract

【課題】湿潤状態の膜の膜厚を、非接触で計測することが可能な膜厚計測方法等を提供する。【解決手段】膜厚計測方法は、テラヘルツ波を膜に照射し(ステップA1)、膜の表面で反射したテラヘルツ波の第1反射波と、膜を進行し膜との他の物質との間の界面で反射したテラヘルツ波の第2反射波とを検出し(ステップA2)、第1反射波の反射率から膜の屈折率を算出し(ステップA3、A4)、第1反射波及び第2反射波の各検出の時間差を計測し(ステップA5)、算出した屈折率と時間差に基づいて時間差を計測したときの膜の膜厚を算出する(ステップA6)。【選択図】図5

Description

本開示は、テラヘルツ時間領域分光法による膜厚計測方法、膜厚計測装置、及び膜厚計測装置を備える塗装装置に関する。
テラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS: THz time-domain spectroscopy)は、フェムト秒レーザの登場によって確立した分光法である。THz-TDSでは、フェムト秒レーザを用いて、試料に入射するテラヘルツ(THz)のパルス波の発生と、当該試料を透過した後のパルス波の波形の時間分解計測とを行う。得られた波形のフーリエ変換により周波数スペクトルが得られので、この周波数スペクトルから試料の誘電率や屈折率の周波数依存性などを評価することできる。
特許文献1は、このテラヘルツ時間領域分光法を利用した膜厚計測装置を開示している。特許文献1の膜厚計測では、試料の表面に形成された膜にテラヘルツ波を照射した後、膜の表面で反射したテラヘルツ波の波形と、膜内を一旦進行してその後に反射したテラヘルツ波の波形とを時間分解して計測する。その後、膜の屈折率と各テラヘルツ波を検出した時間の差に基づいて、膜の膜厚(膜厚)を算出している。
特開2016−17750号公報
従来の膜厚計測装置としては、超音波膜厚計や電磁膜厚計が知られている。これらの膜厚計は、何れも測定対象である膜と接触する必要がある。従って、塗装膜のように、形成当初は湿潤状態にある膜の膜厚を計測する場合、計測の前に当該膜を十分に乾燥させなければならない。換言すれば、計測による膜の変形が懸念される状況では、これらの膜厚計による計測までに十分な待機時間を確保しなければならない。
また、膜が湿潤状態にあるとき、当該膜は水や有機溶剤などの蒸発成分(揮発成分)を多く含んでいる。この場合、膜の屈折率は乾燥時のものと異なる可能性がある。また、屈折率も、蒸発成分の量に応じて変化する可能性がある。
本開示はこのような事情を鑑みて成されたものである。即ち、本開示は、乾燥前の塗装膜のように湿潤状態にある膜の膜厚を、非接触で計測することが可能な膜厚計測方法、膜厚計測装置、及び膜厚計測装置を備える塗装装置の提供を目的とする。
本開示の第1の態様はテラヘルツ時間領域分光法による膜厚計測方法であって、テラヘルツ波を膜に照射し、前記膜の表面で反射した前記テラヘルツ波の第1反射波と、前記膜を進行し前記膜との他の物質との間の界面で反射した前記テラヘルツ波の第2反射波とを検出し、前記第1反射波の反射率から前記膜の屈折率を算出し、前記第1反射波及び前記第2反射波の各検出の時間差を計測し、算出した前記屈折率と前記時間差に基づいて前記時間差を計測したときの前記膜の膜厚を算出することを要旨とする。
前記膜厚計測方法は、前記膜厚の収束値を推定することを含んでもよい。前記膜厚計測方法は、乾燥前の前記膜に対して前記テラヘルツ波を照射することを含んでもよい。前記膜厚計測方法は、前記膜を形成する塗料を塗装対象に向けて噴射することを含んでもよい。
本開示の第2の態様はテラヘルツ時間領域分光法による膜厚計測装置であって、テラヘルツ波を膜に照射する照射部と、前記膜の表面で反射した前記テラヘルツ波の第1反射波と、前記膜を進行し前記膜との他の物質との間の界面で反射した前記テラヘルツ波の第2反射波とを検出する検出部と、前記第1反射波の反射率から前記膜の屈折率を算出し、前記検出部による前記第1反射波及び前記第2反射波の各検出の時間差を計測し、算出した前記屈折率と前記時間差に基づいて前記時間差を計測したときの前記膜の膜厚を算出する制御部とを備えることを要旨とする。
前記制御部は、前記照射部及び前記検出部の制御によって繰り返し計測された前記時間差から前記膜厚の収束値を推定してもよい。前記制御部は、乾燥前の前記膜に対して前記テラヘルツ波を照射するように前記照射部を制御してもよい。
本開示の第3の態様は、第2の態様に係る膜厚計測装置を備え、前記膜を形成する塗料を塗装対象に向けて噴射する塗装装置である。
本開示によれば、湿潤状態にある膜の膜厚を非接触で計測することが可能な膜厚計測方法、膜厚計測装置、及び膜厚計測装置を備える塗装装置を提供することができる。
参照試料によるテラヘルツ波の反射を示す図である。 検出素子によるテラヘルツ波の計測波形(電場強度)の一例を示す図である。 測定試料によるテラヘルツ波の反射を示す図である。 図3に示したテラヘルツ波の反射波と検出時間の関係を示す図である。 本実施形態に係る膜厚計測の各処理を示すフローチャートである。 膜厚が経時変化する膜に対して、異なる時刻に計測した反射波の波形の一例を示す図である。 複数回の計測によって得られた膜厚の経時変化の一例を示す図である。 本実施形態に係る膜厚計測装置の構成図である。 本実施形態に係る塗装装置の模式図である。
以下、本開示の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
(原理)
まず、本実施形態に係る膜厚計測方法の原理について説明する。下記の通り、この方法は上述のテラヘルツ時間領域分光法(以下THz-TDS)を利用している。THz-TDSは、物質と相互作用した後のテラヘルツ波の波形を時間分解計測し、その波形を解析することで当該物質の種々の特性を評価する。
図1は、参照試料2によるテラヘルツ波1の反射を示す図である。図2は、検出素子によって得られるテラヘルツ波1の波形(電場強度)の一例を示す図である。
テラヘルツ波1は約3mmから約3μmの波長を有する電磁波である。THz-TDSに使用されるテラヘルツ波1は、フェムト秒レーザのレーザ光を、光伝導スイッチ素子(光伝導アンテナ)などの放射素子に照射することで得られる。テラヘルツ波1は極めて短い時間幅を持つパルス波であり、例えばピコ秒(ps)オーダーの時間幅を有する。
図1に示すように、テラヘルツ波1は、参照試料2に照射され、参照試料2の表面で反射される。参照試料2の表面はテラヘルツ波1に対して高い反射率を有し、テラヘルツ波1の多重反射が十分に抑制されている。このような反射率は、例えば、金や銀などによる参照試料2の表面へのコーティングによって得られる。以下、説明の便宜上、参照試料2の表面で反射されたテラヘルツ波1を反射波3で表す。
テラヘルツ波1の反射波3は、光伝導スイッチ素子などの検出素子によって検出される。検出素子は、フェムト秒レーザのレーザ光が照射された時のみ、テラヘルツ波1を検出する。レーザ光の半値幅は、例えば約10−15sec(=1fs)のオーダーである。つまり、検出素子による検出時間も同程度となる。
THz-TDSでは、反射波3の波形の全体を計測する。このために必要な時間は、レーザ光の時間幅よりも1桁以上長い。つまり、検出素子を用いた一回の計測だけでは、反射波3の波形全体を計測することは不可能である。
そこで、THz-TDSでは、検出素子による反射波3の電場強度の計測を、検出タイミングをずらしながら実行する。検出タイミングは、レーザ光を検出素子に入射させる時間を段階的に(或いは連続的に)遅延させることによって調整される。
例えば図2に示すように、所定の時刻からの遅延時間をt1に設定した状態でテラヘルツ波1を検出し、その後、遅延時間をt2に変更した上で次のテラヘルツ波1を検出する。同様に、遅延時間をt3、t4、t5・・・と順に変化させた上でテラヘルツ波1の反射波3を検出することにより、反射波3の波形(換言すれば、電場強度の時間変化)全体を計測することができる。
(膜厚計測方法)
次に、THz-TDSによる膜厚計測方法について説明する。図3は測定試料4によるテラヘルツ波1の反射を示す図である。図4は、図3に示したテラヘルツ波1の反射波と検出時間の関係を示す図である。図5は、本実施形態に係る膜厚計測方法を説明するためのフローチャートである。
測定試料4は、基板5と、基板5上に形成された膜(層)6とを有する。膜6はテラヘルツ波1に対して透過性を有する。測定試料4に照射されたテラヘルツ波1の一部は膜6の表面で反射され、その残りは膜6内を進行し、その後、膜6と基板5との界面で反射される。以下、説明の便宜上、膜6の表面で反射されたテラヘルツ波1を反射波(第1反射波)3a、膜6と基板5の界面で反射されたテラヘルツ波1を反射波(第2反射波)3bで表す。なお、基板5は膜6と異なる成分を有する物質(他の物質)であるが、その厚さは任意である。従って、基板5は板状、或いは、膜状(層状)に形成された物質である。
測定試料4における反射波3a及び反射波3bの測定は、参照試料2における反射波3の計測と基本的に同一である。即ち、測定試料4の膜6にテラヘルツ波1を照射する(ステップA1)。その後、上述の検出素子を用いて、反射波3a及び反射波3bを、検出タイミングをずらしながら計測する(ステップA2)。ただし、この測定データには、異なるタイミングで検出された反射波3aと反射波3bが重畳している。従って、反射波3aと反射波3bを特定するために、測定データからこれらを分離(抽出)する必要がある。
測定データから反射波3aと反射波3bを抽出するため、測定データに対して回帰分析を実行する。具体的には、参照試料2による反射波3を参照波形として予め計測(取得)しておき、この参照波形を基に、測定データに対して回帰分析を実行する。回帰分析により、測定データから反射波3a及び反射波3bの各波形を分離することができる。
反射波3aと反射波3bの各波形のピーク或いはディップ等の特定によって、反射波3a及び反射波3bの検出の時間差Δt(図4参照)を算出する(ステップA5)。さらに、この時間差Δtと膜6の屈折率n1とから、下記の式(1)を用いて膜6の膜厚dを算出する(ステップA6)。なお、式(1)中のcは光速である。
Figure 2020008447
・・・(1)
冒頭で述べた通り、湿潤状態の膜には、水や有機溶剤などの蒸発成分(揮発成分)が多く含まれている。蒸発成分を多く含んでいる場合、膜の屈折率は乾燥時のものと異なる可能性がある。また、屈折率も蒸発成分の量に応じて変化する可能性がある。さらに、テラヘルツ波に対して屈折率が既知の物質もまだ少数である。従って、膜が湿潤状態にある場合、一定の屈折率を仮定した上述の膜厚算出処理では、算出された膜厚に大きな誤差が含まれる可能性がある。
そこで、本実施形態では、膜6の膜厚を算出する前に膜6の屈折率n1を算出する。具体的には、ステップA1として乾燥前の膜6に対してテラヘルツ波1を照射した後、ステップA2の処理を経て、反射波3aを検出した時刻(検出時刻)Tにおける反射波3aの強度(例えば波形のピーク値P(図5参照))から反射率R(T)を算出する(ステップA3)。なお、反射率R(T)の算出の際の基準強度としては、参照試料2などによって予め得られた測定値を用いることができる。
膜6の反射率R(T)と膜6の屈折率n1(T)との間には次の式(2)の関係がある。なお、式(2)中のn0は大気の屈折率である。
Figure 2020008447
・・・(2)
従って、反射率R(T)を算出した後、この式(2)に基づき、検出時刻Tにおける屈折率n1(T)を算出する(ステップA4)。なお、テラヘルツ波1の入射角を考慮し、反射率R(T)を補正した上で、屈折率n1(T)を算出してもよい。
屈折率n1(T)の算出後、上述のステップA5における時間差Δtの算出と、ステップA6における膜6の膜厚d(T)の算出を行う。なお、膜厚dも検出時刻Tで得られる値である。従って、式(1)は次の式(3)で表すことができる。
Figure 2020008447
・・・(3)
上述の通り、本実施形態に係る膜厚計測方法では、反射波3aを用いて、これらの検出時刻Tにおける膜6の反射率R(T)及び屈折率n1(T)を算出し、得られた反射率R(T)及び屈折率n1(T)を用いて検出時刻Tにおける膜の膜厚d(T)を算出する。膜厚d(T)を算出する際に屈折率n1(T)を毎回算出するので、屈折率n1(T)の経時変化の有無に関わりなく、膜6の膜厚d(T)を非接触で計測することができる。例えば、膜6が乾燥状態、湿潤状態の何れにあっても、膜6の膜厚d(T)を非接触で計測することができる。
膜6が湿潤状態にある場合、その膜厚d(T)は膜6が完全に乾燥するまでに変化する可能性がある。しかしながら、本実施形態に係る膜厚計測方法では、経時変化する膜厚d(T)も計測できる。即ち、ステップA1からステップA6までの一連の処理を、所定の時間間隔(例えば数秒〜数分)で所定回数(例えばN回)繰り返し(ステップA7)、膜厚d(T)の経時変化を測定することができる。
膜厚d(T)の経時変化について図6及び図7を用いて説明する。
図6は、膜厚d(T)が経時変化する膜6に対して、異なる時刻T1、T2(T1<T2)に計測した反射波3a、3bの波形の一例を示す図である。この図では、時間の経過に伴って反射波3aが反射波3bに接近し、反射波3a、3bの検出の時間差Δt(T)が短くなっている。つまり、この傾向は、膜6の膜厚d(T)が、時間の経過に伴って徐々に薄くなっていることを意味する。なお、図6に示す計測結果では、反射波3aのピーク値Pが経時変化していない。この場合、屈折率n1(T)は概ね変化していないことが推定できる。
図7は、複数回の計測によって得られた膜厚d(T)の経時変化の一例を示す図である。各四角は計測した膜厚d(T)を示している。図中の太線の曲線で示すように、膜厚d(T)は指数関数的に減少し、一定の値に収束することが判る。この点に着目し、本実施形態では、ステップA7の処理後、膜厚d(T)の最終膜厚(収束値)を推定する(ステップA8)。この最終膜厚は、異なる時刻に得られた複数の膜厚d(T)に対する回帰分析によって得ることができる。
本実施形態によれば、膜6の完全乾燥前に、最終膜厚の推定値を取得できる。従って、膜厚計測までの十分な乾燥が必要な従来の手法に比べ、膜6の形成から最終膜厚の特定までの時間を短縮化できる。従って、所望の膜厚をもつ膜の作製工程を短縮化できる。
なお、最終膜厚の推定に必要な膜厚d(T)の計測数は、回帰分析における相関の度合いに応じて規定される。例えば、膜6の成分の特性(例えば揮発性)を考慮して規定できる。また、膜6を形成する際の周囲の環境(例えば、温度、湿度など)を考慮して規定してもよい。
(膜厚計測装置)
次に、本実施形態に係る膜厚計測装置10について説明する。図8は、本実施形態に係る膜厚計測装置10の構成図である。膜厚計測装置10は、上述の膜厚計測方法によって膜厚を計測する装置である。
膜厚計測装置10は、照射部11と、検出部12と、制御部20とを備える。照射部11は、上述のテラヘルツ波1を測定試料4の膜6に照射する。照射部11は、放射素子13と、軸外放物面ミラー14aと、反射ミラー15aとを備える。放射素子13は、例えば光伝導スイッチ素子であり、レーザ光源18からの第1パルス光7aを受けることで、数十THz以上のテラヘルツ波1を発生する。テラヘルツ波1は、軸外放物面ミラー14aと反射ミラー15aを介して測定試料4の膜6に照射される。
検出部12は、測定試料4で反射したテラヘルツ波1の第1反射波3aと、テラヘルツ波1の第2反射波3bとを検出する。検出部12は、反射ミラー15bと、軸外放物面ミラー14bと、検出素子16とを備える。第1反射波3aと第2反射波3bは、反射ミラー15bと軸外放物面ミラー14bを介して検出素子16に入射する。
検出素子16は、例えば光伝導スイッチ素子であり、レーザ光源18からの第2パルス光7bが入射したときの第1反射波3a又は第2反射波3bの電場強度を検出し、その電気信号を制御部20へ出力する。検出素子16は、第2パルス光7bが入射した時点のみ、テラヘルツ波1を検出する。
図8に示すように、照射部11と検出部12は、単体の計測アタッチメント(筐体)17に収容されている。レーザ光源18からの第1パルス光7a及び第2パルス光7bは、光ファイバ9a、9bを介して、計測アタッチメント17内の放射素子13及び検出素子16に導入される。光ファイバ9a、9bの長さはレーザ光の減衰が許容される範囲内で自由に設定できる。従って、計測アタッチメント17(換言すれば、照射部11及び検出部12)は、膜厚計測装置10の他の機器から離れた場所に設置することができる。
制御部20は、演算部、記憶部、入出力部等を備えるコンピュータを含む。制御部20は、少なくとも、上述の膜厚計測方法における各演算処理の実行、及び、膜厚計測装置内の各装置の制御を行う。即ち、制御部20は、少なくとも、第1反射波3aの反射率R(T)から膜6の屈折率n1(T)を算出し、検出部12による第1反射波3a及び第2反射波3bの各検出の時間差Δt(T)を計測し、算出した屈折率n1(T)と時間差Δt(T)に基づいて時間差Δt(T)を計測したとき(即ち時刻T)の膜6の膜厚d(T)を算出する。
膜厚計測装置10のその他の構成は、THz-TDSを利用した周知の膜厚計測装置と同様の構成が適用できる。
レーザ光源18はフェトム秒レーザであり、パルス光としてのレーザ光7を繰り返し出力する。レーザ光7の半値幅は例えば数フェムト秒(fs)である。なお、レーザ光7のパルスの間隔は、例えば、テラヘルツ波1の波形の時間幅(例えば10ピコ秒(ps))以上であってもよい。
ビームスプリッタ19は、レーザ光7を第1パルス光7aと第2パルス光7bに分岐する。第1パルス光7aは、ビームスプリッタ19を透過して放射素子13に入射する。第2パルス光7bは、ビームスプリッタ19及び反射ミラー15cで反射して、リニアステージ21に入射する。
リニアステージ21には、第2パルス光7bの反射器21aが設けられている。反射ミラー15cから出射した第2パルス光7bは、反射器21aによって反射し、その後、光ファイバ9bを介して、検出素子16に入射する。リニアステージ21は、第2パルス光7bの光路長を変更し、第2パルス光7bが検出素子16に到着するタイミングをずらす機能を有する。従って、リニアステージ21は、反射器21aから検出素子16までの第2パルス光7bの光路長が変化するように、移動可能に構成されている。
なお、リニアステージ21には、後述の第1再帰反射器25も設けられている。従って、リニアステージ21の移動に合わせて、反射器21a及び第1再帰反射器25は同方向に同距離だけ移動する。リニアステージ21の移動に伴って、検出素子16への第2パルス光7bの到達の遅延時間も変化する。後述するように、この遅延時間は、光検出器27による混合光8cの検出によって計測される。
レーザ光源22は、例えばHe−Neレーザであり、連続光としてのレーザ光8を出力する。レーザ光8は、反射ミラー23で反射され、ビームスプリッタ24に入射する。ビームスプリッタ24は、レーザ光8を第1連続光8aと第2連続光8bに分岐する。
第1再帰反射器25はリニアステージ21に設けられている。第1再帰反射器25は、ビームスプリッタ24からの第1連続光8aを、ビームスプリッタ24に向けて反射する。この時の往復の光路長はリニアステージ21の移動によって変化する。
第2再帰反射器26は、ビームスプリッタ24に対して一定の距離だけ離れた所定位置に設けられている。第2再帰反射器26は、ビームスプリッタ24からの第2連続光8bをビームスプリッタ24に向けて反射する。
ビームスプリッタ24では、第1再帰反射器25で反射された第1連続光8aと、第2再帰反射器26で反射された第2連続光8bが合流し、混合光8cとして光検出器27に入射する。光検出器27は、この混合光8cを受け、その強度に応じた信号を時間演算部28に出力する。
混合光8cの強度は、第1連続光8aと第2連続光8bの位相差によって変化する。時間演算部28は、光検出器27の出力から第1連続光8aと第2連続光8bの位相差による混合光8cの強度変化から、リニアステージ21(第1再帰反射器25)の移動量を算出する。更に、時間演算部28は、算出した移動量から第2パルス光7bの光路長の変化量を算出する。
時間演算部28は、算出された変化量に基づき、検出素子16への第2パルス光7bの到達の遅延時間(図2に示すt1等)を算出し、その結果を制御部20に送信する。制御部20は、それぞれの遅延時間における反射波3a、3bの強度を、検出部12(検出素子16)を介して取得している。従って、制御部20は、それぞれの遅延時間とその時の反射波3a、3bの強度とを対応付け、図2に示す波形を得る。その後、制御部20は、上述の演算処理を実行し、時刻Tにおける膜6の膜厚d(T)を算出する。
(塗装装置)
本実施形態に係る方法及び装置は、湿潤状態の(即ち、乾燥前の)膜6へのテラヘルツ波の照射によって、その状態の膜6の膜厚を計測することができる。従って、当該方法及び当該装置を膜6の形成装置に装備させることで、膜6の膜厚を形成直後から計測することができる。換言すれば、膜6に対するインプロセス膜厚計測が可能である。更に、膜6の最終膜厚、即ち、乾燥した時の膜6の膜厚を推定できる。従って、実際に乾燥させた上での膜厚計測を必要とせず、所望の膜厚をもつ膜6の作製工程を短縮化できる。或いは、所望の膜厚に至る膜6の作製工程を短縮化できる。このような利点があるため、本実施形態に係る膜厚計測装置10は、例えば、後述の塗装装置に適用できる。
図9は、本実施形態に係る塗装装置30の概略構成図である。この図に示すように、塗装装置30は、塗料31を噴射するノズル32と、可動アーム33とを備えた所謂塗装ロボットである。ノズル32は、可動アーム33の先端に取り付けられている。可動アーム33は、複数の関節34を有しており、所望の領域に所望の角度でノズル32を配置させることができる。
塗装装置30は、更に、上述の膜厚計測装置10を備える。塗料31は、塗装対象である基板5に向けてノズル32から噴射され、基板5上に付着し、膜6としての塗装膜6aを形成する。その後、膜厚計測装置10は、塗装膜6aの膜厚d(T)を乾燥前から計測する。
上述の通り、膜厚計測装置10の計測アタッチメント17(照射部11及び検出部12)は、光ファイバ9a、9bを用いた接続により、レーザ光源18等の比較的大型な設備から離れた位置に設置できる。そこで、本実施形態の塗装装置30では、少なくとも膜厚計測装置10の計測アタッチメント17が、ノズル32の近傍に取り付けられている。なお、計測アタッチメント17の取付け位置は図9に示すものに限られず、テラヘルツ波1による塗装膜6aの膜厚計測が可能な範囲で任意に設定できる。
本実施形態に係る塗装装置30では、塗装のタイミングと連動して塗装膜6aの膜厚d(T)を計測する。例えば、塗装膜6aの形成直後(即ち乾燥前)から塗装膜6aの膜厚d(T)を計測する。即ち、塗装作業中に塗装膜6aの膜厚d(T)を計測することができる。
また、膜厚d(T)を非接触に計測できるので、塗装膜6aの変形や損傷を回避できる。更に、完全に乾燥した後での計測が必要な従来の膜厚計測と比べて、最終膜厚を早い段階で特定できる。例えば、変形や混合等のおそれが無い場合、塗装膜6aが完全に乾燥する前から、その上に新たな塗装膜を形成することもできる。つまり、所望の膜厚をもつ多層膜の作製時間を短縮化できる。
また、計測アタッチメント17は可動アーム33に取り付けられている。従って、塗装装置30は、可動アーム33の走査(スキャン)により、塗装膜6aの2次元分布(2次元マップ)を取得してもよい。この2次元分布から、塗装膜6aの膜厚に対する評価(例えば合否判定)に応用できる。なお、塗装の際の可動アーム33の走査制御を、膜厚計測時にも適用してもよい。この場合、可動アーム33の制御に係る製造コストの削減が図れる。
塗装装置30は、可動アーム33の代わりに、塗装時は姿勢が固定されたアーム(図示せず)を備えてもよい。この場合、基板5が載置されるステージ35が可動機構を有する。
なお、本開示は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含む。
1…テラヘルツ波、2…参照試料、3…反射波、3a…第1反射波、3b…第2反射波、4…測定試料、5…基板、6…膜(層)、6a…塗装膜、7…レーザ光、7a…第1パルス光、7b…第2パルス光、8…レーザ光、8a…第1連続光、8b…第2連続光、8c…混合光、9a、9b…光ファイバ、10…膜厚計測装置、11…照射部、12…検出部、13…放射素子、14a、14b…軸外放物面ミラー、14b…軸外放物面ミラー、15a、15b、15c…反射ミラー、16…検出素子、17…計測アタッチメント(筐体)、18…レーザ光源、19…ビームスプリッタ、20…制御部、21…リニアステージ、21a…反射器、22…レーザ光源、23…反射ミラー、24…ビームスプリッタ、25…第1再帰反射器、26…第2再帰反射器、27…光検出器、28…時間演算部、30…塗装装置、31…塗料、32…ノズル、33…可動アーム、34…関節、35…ステージ、d…膜厚、n1…屈折率、P…ピーク値、R…反射率、Δt…時間差

Claims (8)

  1. テラヘルツ時間領域分光法による膜厚計測方法であって、
    テラヘルツ波を膜に照射し、
    前記膜の表面で反射した前記テラヘルツ波の第1反射波と、前記膜を進行し前記膜との他の物質との間の界面で反射した前記テラヘルツ波の第2反射波とを検出し、
    前記第1反射波の反射率から前記膜の屈折率を算出し、
    前記第1反射波及び前記第2反射波の各検出の時間差を計測し、
    算出した前記屈折率と前記時間差に基づいて前記時間差を計測したときの前記膜の膜厚を算出する、
    膜厚計測方法。
  2. 前記膜厚の収束値を推定すること、
    を含む請求項1に記載の膜厚計測方法。
  3. 乾燥前の前記膜に対して前記テラヘルツ波を照射すること、
    を含む請求項1または2に記載の膜厚計測方法。
  4. 前記膜を形成する塗料を塗装対象に向けて噴射すること、
    を含む請求項1〜3のうちの何れか一項に記載の膜厚計測方法。
  5. テラヘルツ時間領域分光法による膜厚計測装置であって、
    テラヘルツ波を膜に照射する照射部と、
    前記膜の表面で反射した前記テラヘルツ波の第1反射波と、前記膜を進行し前記膜との他の物質との間の界面で反射した前記テラヘルツ波の第2反射波とを検出する検出部と、
    前記第1反射波の反射率から前記膜の屈折率を算出し、
    前記検出部による前記第1反射波及び前記第2反射波の各検出の時間差を計測し、
    算出した前記屈折率と前記時間差に基づいて前記時間差を計測したときの前記膜の膜厚を算出する制御部と
    を備える膜厚計測装置。
  6. 前記制御部は、前記照射部及び前記検出部の制御によって繰り返し計測された前記時間差から前記膜厚の収束値を推定する、
    請求項5に記載の膜厚計測装置。
  7. 前記制御部は、乾燥前の前記膜に対して前記テラヘルツ波を照射するように前記照射部を制御する、
    請求項5または6に記載の膜厚計測装置。
  8. 請求項5〜7のうちの何れか一項に記載の膜厚計測装置を備え、前記膜を形成する塗料を塗装対象に向けて噴射する塗装装置。
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