JP2020008497A - 窒化ガリウム結晶基板およびその結晶評価方法 - Google Patents
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Abstract
Description
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
図面に基づいて、以下に本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、GaN(窒化ガリウム)結晶基板の結晶評価方法について説明し、次いで、かかる結晶評価方法により評価される結晶品質が高く極性を有するGaN結晶基板について説明する。本願の明細書、特許請求の範囲および図面において、六方晶系結晶であるGaN結晶について、ある特定の結晶面を(hkil)で表し、結晶の対称性から等価な結晶面の組を{hkil}で表す。また、ある特定の方向を[hkil]で表し、結晶の対称性から等価な方向の組を<hkil>で表す。ここで、h、k、i、およびlは、ミラー指数である。ここで、i=−(h+k)の関係が有る。通常、ミラー指数は、0、自然数、および自然数の上にバーを付した数で示すが、本明細書および図面においては、バーを付した自然数は、その自然数の前にマイナス符号をつけて表す。たとえば、(11−20)の表記は、「イチ・イチ・ニ/バー・ゼロ」の結晶面と読み、[1−100]の表記は、「イチ・イチ/バー・ゼロ・ゼロ」の方向と読む。
図1〜図3を参照して、本実施形態のGaN結晶基板の結晶評価方法は、少なくとも1つの主面を有し、主面が(0001)面および(000−1)面の少なくともいずれかからのオフ角が0°以上2°以下の面(以下、「略(0001)面および略(000−1)面の少なくともいずれかの面」という)であるGaN結晶基板の結晶を、入射側にX線キャピラリーレンズ(発散角0.3°)を使用して0.5mm×0.5mm、0.8mm×0.8mm、1.5mm×0.8mm、および3.0mm×0.8mmのクロススリットにより照射面積を変えることによりX線強度を変化させたCuKα1単色X線の小発散角入射X線平行ビームを用い、受光側に反射率測定用の0.27°スリットを付けた0.27°のコリメータおよびグラファイト平板モノクロメータを用いたX線回折測定により評価する方法である。X線多重回折ピークの測定には、X線の強度を増すために、受光側の0.27°スリットを除いて行う場合もある。
X線回折装置は、モノクロメータにより単色X線を検出することができ、発散角の小さい平行ビームを利用すること以外は特に制限はないが、操作性および作業性が高い観点から、4軸のゴニオメータ方式の採用が好ましい。X線の光軸は固定で、入射角ω、回折角(反射角)2θ、GaN結晶基板位置の座標x、y、z、GaN結晶基板の回転角φ、GaN結晶基板の煽り角χなどが設定される。
本実施形態のGaN結晶基板の結晶評価方法においては、0001対称禁制ブラッグ反射および000−1対称禁制ブラッグ反射の少なくともいずれかの反射の[0001]軸を回転軸としたφスキャンパターン測定のために、X線回折装置の入射X線の発散角を小さくする必要があることから、図1に示すような平行ビーム法を用いる。
図1および図2を参照して、平行ビーム法において、X線の平行ビームを得るために、X線管球に加えて、X線キャピラリーレンズおよびモノキャピラリーの少なくともいずれかを用いる。X線キャピラリーレンズを用いた平行ビーム法では角0.3mm×0.3mmのビーム径が得られ、モノキャピラリーを用いた平行ビーム法では直径0.1mmのビーム径が得られる。X線キャピラリーレンズを用いてもモノキャピラリーを用いてもX線の発散角は同じであり、モノキャピラリーを用いるとX線の強度が低下するため、X線キャピラリーレンズを用いた平行ビーム法が好ましい。本実施形態においては、X線管球として、ポイントフォーカスCuX線管球を電圧45kVおよび電流40mAで作動させる。さらに、X線キャピラリーレンズを使用して0.5mm×0.5mm、0.8mm×0.8mm、1.5mm×0.8mm、および3.0mm×0.8mmのクロススリットにより照射面積を変えることによりX線強度を変化させた小発散角入射X線平行ビームを得る。ここで、クロススリットの開きには幅Wと高さHとが有り、幅Wは試料表面横方向のX線の照射長さに対応し、高さHは試料表面縦方向のX線の広がりを意味しX線の発散角の量に対応し、クロススリットの開き面積W×HはX線の照射面積に対応する。X線キャピラリーレンズは、モノキャピラリーレンズを束ねて構成されているため、照射面積が変化してもX線の平行ビームの発散角が同一であり、多重回折には影響しない。なお、本実施形態においては、受光側にグラファイト平板モノクロメータ(CuKα1単色X線選択用の分光器)を配置してCuKα1単色X線としているが、入射側にCuKα1単色X線選択用の分光器を配置することも可能である。
図1および図3を参照して、入射X線の発散角の小さい回折X線を検出するため、受光側においても0.27°コリメータと反射率測定用の0.27°スリットを利用する。GaN結晶基板の軸立てには上記スリットは必要であるが、X線多重回折ピークの測定にはX線強度を強くする目的で上記スリットは取り除いてもよい。また、CuKα1単色X線を選択する必要があることから、CuKα1単色X線選択用の平行板グラファイトモノクロメータを使用する。コリメータの後方に上記スリットを入れて、横方向に広がったX線をカットすることにより、受光部で検出されるX線の強度は小さくなる。上記スリットを入れることにより、検出されるX線は、強度が小さくなるが、散乱X線の混入が防止される。なお、入射側にCuKα1単色X線選択用の分光器を配置する場合は、CuKα1単色X線選択用の平行板グラファイトモノクロメータを省略できる場合がある。
試料台として、2軸傾斜試料台を用いる。図4Aおよび図4Bを参照して、2軸傾斜試料台とは、試料台の一部が2層構造になり、上層部下側の中央を支点にしてx軸とy軸方向の傾斜角を調整できるようにx軸およびy軸の各負側にSx、Syなるネジを、x軸およびy軸の各正側下部にバネ付き固定点を取り付けて、試料台の上層部表面の法線方向を調整できるようになっている試料台をいう。GaN結晶基板は、GaN結晶からの切り出しにより、主面((0001)面または(000−1)面からのオフ角が0°以上2°以下の面)の法線方向と結晶面である(0001)面または(000−1)面の法線方向とは必ずしも一致しておらず、試料台の回転軸であるφ軸と、試料台の上層部に貼り付けられたGaN結晶基板の(0001)面および(000−1)面)の法線である<0001>軸とが必ずしも一致していない。しかし、上記のSxおよびSyのネジを利用してx軸方向とy軸方向の上層部の2軸傾斜を調節すること(GaN結晶基板の軸立てともいう、以下同じ)により、2軸傾斜試料台のφ軸と、2軸傾斜試料台の上層部に貼り付けられたGaN結晶基板の(0001)面および(000−1)面の法線である<0001>軸と、を一致させることができる。
まず、2軸傾斜試料台にGaN結晶基板を配置する工程は、2軸傾斜試料台の上層部上に、GaN結晶基板を、その主面が露出するように、配置する。
図6を参照して、0001対称禁制ブラッグ反射の<0001>軸を回転軸としたφスキャンパターン測定を行なう工程において、GaN結晶基板の回転角φを−180°から180°までスキャンさせると、対称性の高い回折パターンが現れる(図12および図13を参照)。図5および図6を対比すると、0002対称ブラッグ反射測定における入射角ωが17.2833°であるのに対して、0001対称禁制ブラッグ反射測定における入射角ωは8.5428°と略半分となっているため、結晶表面近傍の結晶品質を詳細に知ることができる。
結晶表面である主面の近傍の結晶品質は、φスキャンパターン測定から得られるX線多重回折ピークの対称性およびバックグランド強度に対する少なくとも(1−100)および(−1100)に由来する第1基準多重回折ピーク強度の比である第1基準ピーク強度比の大きさから評価する。ここで、結晶品質の高いGaN結晶基板ほど、X線多重回折ピークの対称性が高くかつ第1基準ピーク強度比が高くなることから、X線多重回折ピークの対称性が高くかつ第1基準ピーク強度比が高いほどGaN結晶基板の結晶品質が高いと評価する。
0001対称禁制ブラッグ反射または000−1対称禁制ブラッグ反射の[0001]軸を回転軸としたφスキャンパターン測定とGaN結晶基板の結晶構造との関係について、以下に説明する。
GaN結晶基板を形成するGaN結晶は、六方晶系のウルツ鉱型の結晶構造を有する。格子定数は、a(a1=a2=a3)が0.31891nm、cが0.51855nmである。結晶面として、図7に示す(0001)面および(000−1)面(両者を合わせて{0001}面(c面)という)、図8に示す(0002)面および(000−2)面(両者を合わせて{0002}面((c/2)面という)などがある。図8は、結晶格子におけるGa原子およびN原子の配置を示す。図6〜図8を参照して、GaN結晶基板は、その結晶構造とGa原子およびN原子の配置とから、<0001>軸(c軸)方向に極性を有する。(0001)面はGa原子により構成されるGa面であり、(000−1)面はN原子により構成されるN面である。
GaN結晶基板を形成するGaN結晶は、六方晶系のウルツ鉱型の結晶構造を有し、空間群No.186のP63mcの6回回反対称性を有するが、c軸に垂直な平面においては3回回転対称性を有する。そこで、GaN結晶基板は、その[1−100]方向をφ=0°の方向と一致させるとき、図10に示す結晶方位を有し、c軸に垂直な結晶面を、3回回転対称であるA領域(φが−60°から60°までの領域)、B領域(φが60°から180°までの領域)およびC領域(φが−180°から−60°までの領域)の3領域に分ける。
図15〜図18を参照して、各基本区分領域において、GaN結晶基板の略(0001)の主面における14本のX線多重回折ピークの強度と、同じGaN結晶基板の略(000−1)の主面における14本のX線多重回折ピークの強度との差は、対応する対称関係を有するX線多重回折ピークの間で異なる。たとえば、比較的強度の高いX線多重回折ピークのうち、ピークNo.8の第1基準X線多重回折ピーク(S1)では略(0001)面(すなわち略Ga面;Ga面からのオフ角が0°以上2°以下の面、以下同じ)に比べて略(000−1)面(すなわち略N面;N面からのオフ角が0°以上2°以下の面、以下同じ)のピーク強度が極めて高くなるのに対して、ピークNo.7のX線多重回折ピークは略(0001)面におけるピーク強度と略(000−1)面におけるピーク強度とが略同じである。このため、表1に示す少なくとも(02−21)および(0−220)に由来するピークNo.7のX線多重回折ピークを第2基準X線多重回折ピーク(S2)とするとき、GaN結晶基板の極性は、第1基準X線多重回折ピーク(S1)の強度に対する第2基準X線多重回折ピーク(S2)の強度の比である第2基準ピーク強度比(S2/S1比)の大きさにより評価される。具体的には、第2基準ピーク強度比が0.18以上となるとき、好ましくは0.20以上になるとき、そのときの主面は略(0001)面(すなわち略Ga面)と評価される。第2基準ピーク強度比が0.18未満となるとき、好ましくは0.16以下となるとき、そのときの主面は略(000−1)面(すなわち略N面)と評価される。
上述のように、GaN結晶基板の結晶品質は、第1基準ピーク強度比(バックグランド強度に対する第1基準X線多重回折ピークの強度比)の大きさにより評価される。また、GaN結晶基板においては、結晶品質が同程度であっても、その極性により、略(0001)面(略Ga面)の主面における第1基準X線多重回折ピークの強度と略(000−1)面(略N面)の主面における第1基準X線多重回折ピークの強度とが異なる。したがって、GaN結晶基板は、その極性を考慮して、主面が略(0001)面(略Ga面)のときの第1基準ピーク強度比が500以上および/または主面が略(000−1)面(略N面)のときの第1基準ピーク強度比が750以上のとき結晶品質が高く、主面が略(0001)面(略Ga面)のときの第1基準ピーク強度比が650以上および/または主面が略(000−1)面(略N面)のときの第1基準ピーク強度比が950以上のとき結晶品質がより高く、主面が略(0001)面(略Ga面)のときの第1基準ピーク強度比が800以上および/または主面が略(000−1)面(略N面)のときの第1基準ピーク強度比が1150以上のとき結晶品質がさらに高い、と評価される。ここで、上記の第1基準ピーク強度比および第2基準ピーク強度比は、入射側にX線キャピラリーレンズ(発散角0.3°)を使用して0.5mm×0.5mmのクロススリットにより得られるCuKα1単色X線の小発散角入射X線平行ビームを用い、受光側に反射率測定用の0.27°のコリメータ(0.27°スリットは設けない)およびグラファイト平板モノクロメータを用いたX線回折測定において得られたものとする。
[実施形態2−1]
図13および図15〜図18を参照して、本実施形態のGaN結晶基板は、少なくとも1つの主面を有するGaN結晶基板であって、主面が略(0001)面(すなわち、(0001)面からのオフ角が0°以上2°以下の面)である。小発散角入射X線平行ビームを用いたX線回折測定において、2軸傾斜試料台上に主面が露出するようにGaN結晶基板を配置し、(0001)面の法線である<0001>軸とφ軸とが一致し、かつ、[1−100]方向をφ=0°の方向とするように調整し、0001対称禁制ブラッグ反射についての入射角ωおよび回折角2θにおけるφ軸を回転軸としたφスキャンパターン測定におけるφが−180°から180°までの測定において、結晶内におけるX線の多重回折により現われるX線多重回折パターンは、φが−180°から−60°まで、−60°から60°まで、および60°から180°までの120°毎に繰り返す3回回転対称性を有する3つの120°回転対称ピーク領域を備える。各120°回転対称ピーク領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸を含む面を鏡映面として互いに鏡映対称性を有する−領域と+領域とを備える。各−領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸の交点を中心として互いに回反対称性を有する−L領域と−R領域とを備える。各+領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸の交点を中心として互いに回反対称性を有する+L領域と+R領域とを備える。各−L領域、各−R領域、各+L領域、および各+R領域の少なくとも1領域において、バックグランド強度に対する少なくとも(1−100)および(−1101)に由来する第1基準X線多重回折ピークの強度の比である第1基準ピーク強度比が500以上であり、第1基準X線多重回折ピークの強度に対する少なくとも(02−21)および(0−220)に由来する第2基準多重回折ピークの強度の比である第2基準ピーク強度比が0.18以上である。本実施形態のGaN結晶基板は、略(0001)面(略Ga面)を主面とするX線多重回折パターンにおいて、従来のGaN結晶基板に比べて、高い対称性と大きな第1基準ピーク強度比とを有しているため、結晶品質が高い。
本実施形態の主面が略(0001)面(略Ga面)であるGaN結晶基板は、その厚さが250μm以上が好ましく、300μm以上がより好ましく、400μm以上がさらに好ましいる。かかるGaN結晶基板は、結晶品質が高い厚さが250μm以上の基板であるため、半導体デバイスの製造に好適に用いられる。また、本実施形態のGaN結晶基板は、その直径が50mm以上が好ましく、75mm以上がより好ましく、100mm以上がさらに好ましい。かかるGaN結晶基板は、結晶品質が高い直径が50mm以上の基板であるため、半導体デバイスの製造に好適に用いられる。なお、2インチとは正確には50.8mmであるが、当業界においては直径50mmの基板を2インチ基板とよぶ場合もある。
本実施形態の主面が略(0001)面(略Ga面)であるGaN結晶基板の製造方法は、下地基板上にGaN結晶を成長させる工程と、成長させたGaN結晶を窒素ガス雰囲気中900℃以上かつ1800気圧以上の高温高圧条件下で2回以上熱処理する工程と、熱処理したGaN結晶をGaN結晶基板に加工する工程と、を備える。本実施形態のGaN結晶基板の製造方法は、900℃以上かつ1800気圧以上の高温高圧条件下で2回以上熱処理されたGaN結晶を加工することにより結晶品質の高いGaN結晶基板が得られる。
図14〜図18を参照して、本実施形態のGaN結晶基板は、少なくとも1つの主面を有するGaN結晶基板であって、主面が略(000−1)面(すなわち、(000−1)面からのオフ角が0°以上2°以下の面)である。小発散角入射X線平行ビームを用いたX線回折測定において、2軸傾斜試料台上に主面が露出するようにGaN結晶基板を配置し、(000−1)面の法線である<0001>軸とφ軸とが一致し、かつ、[1−100]方向をφ=0°の方向とするように調整し、000−1対称禁制ブラッグ反射についての入射角ωおよび回折角2θにおけるφ軸を回転軸としたφスキャンパターン測定におけるφが−180°から180°までの測定において、結晶内におけるX線の多重回折により現われるX線多重回折パターンは、φが−180°から−60°まで、−60°から60°まで、および60°から180°までの120°毎に繰り返す3回回転対称性を有する3つの120°回転対称ピーク領域を備える。各120°回転対称ピーク領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸を含む面を鏡映面として互いに鏡映対称性を有する−領域と+領域とを備える。各−領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸の交点を中心として互いに回反対称性を有する−L領域と−R領域とを備える。各+領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸の交点を中心として互いに回反対称性を有する+L領域と+R領域とを備える。各−L領域、各−R領域、各+L領域、および各+R領域の少なくとも1領域において、バックグランド強度に対する少なくとも(1−100)および(−1101)に由来する第1基準X線多重回折ピークの強度の比である第1基準ピーク強度比が750以上であり、第1基準X線多重回折ピークの強度に対する少なくとも(02−21)および(0−220)に由来する第2基準多重回折ピークの強度の比である第2基準ピーク強度比が0.18未満である。本実施形態のGaN結晶基板は、(0001)面(Ga面)を主面とするX線多重回折パターンにおいて、従来のGaN結晶基板に比べて、高い対称性と大きな第1基準ピーク強度比とを有しているため、結晶品質が高い。
図13〜図18を参照して、本実施形態のGaN結晶基板は、2つの主面を有するGaN結晶基板であって、1つの主面が略(0001)面(すなわち(0001)面からのオフ角が0°以上2°以下の面)であり、他の主面が略(000−1)面(すなわち(000−1)面からのオフ角が0°以上2°以下の面)である。各主面についての小発散角入射X線平行ビームを用いたX線回折測定において、2軸傾斜試料台上に各主面が露出するようにGaN結晶基板を配置し、(0001)面および(000−1)面の法線である<0001>軸とφ軸とが一致し、かつ、[1−100]方向をφ=0°の方向とするように調整し、主面が略(0001)面のときは0001対称禁制ブラッグ反射について、主面が略(000−1)面のときは000−1対称禁制ブラッグ反射についての入射角ωおよび回折角2θにおけるφ軸を回転軸としたφスキャンパターン測定におけるφが−180°から180°までの測定において、結晶内におけるX線の多重回折により現われるX線多重回折パターンは、φが−180°から−60°まで、−60°から60°まで、および60°から180°までの120°毎に繰り返す3回回転対称性を有する3つの120°回転対称ピーク領域を備える。各120°回転対称ピーク領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸を含む面を鏡映面として互いに鏡映対称性を有する−領域と+領域とを備える。各−領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸の交点を中心として互いに回反対称性を有する−L領域と−R領域とを備える。各+領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸の交点を中心として互いに回反対称性を有する+L領域と+R領域とを備える。各−L領域、各−R領域、各+L領域、および各+R領域の少なくとも1領域において、2つの主面における少なくとも(1−100)および(−1101)に由来する第1基準X線多重回折ピークの強度に対する少なくとも(02−21)および(0−220)に由来する第2基準多重回折ピークの強度の比である第2基準ピーク強度比の値は互いに異なり、より大きな第2基準ピーク強度比を与える主面が略(0001)面である。本実施形態のGaN結晶基板は、略(0001)面を主面とするX線多重回折パターンおよび略(000−1)面を主面とするX線多重回折パターンのいずれにおいても、従来のGaN結晶基板に比べて、高い対称性を有しているため、結晶品質が高い。また、本実施形態のGaN結晶基板は、上記2つの主面についてのX線多重回折パターンからそれぞれ得られる2つの第2基準ピーク強度比の大小から略(0001)面(略Ga面)(極性面)である主面が判別されるため、当該GaN結晶基板を破壊しなくても極性が判別される。
1.GaN結晶基板の作製
直径76mmのサファイア基板上にMOCVD(有機金属化学気相堆積)法によりGaNを成長した(0001)面からのオフ角が0°以上2°以下の面を主面とするテンプレート基板を準備し、これを下地基板として、直径85mmで厚さ20mmのSiCコーティングしたカーボン製の基板ホルダー上に置いてHVPE(ハイドライド気相成長)装置のリアクター内に配置した。リアクター内を1020℃まで加熱後、HClガスをGaと反応して発生したGaClガスと、NH3ガスと、をリアクター内へ供給した。このような下地基板の上でのGaN層成長工程において、リアクター温度1020℃を29時間保持し、また、成長圧力を1.01×105Paとし、GaClガスの分圧を6.52×102Paとし、NH3ガスの分圧を7.54×103Paとし、HClガスの分圧を3.55×101Paとした。GaN層成長工程終了後、リアクター内を室温まで降温し、GaN結晶を得た。得られたGaN結晶は、(0001)面を結晶成長面として結晶成長しており、触針式の膜厚計で測定した厚さは3.5mmであった。
(1)2軸傾斜試料台へのGaN結晶基板の配置と調整
X線回折装置(スペクトリス株式会社製PANalytical X’Pert MRD)の2軸傾斜試料台に、上記GaN結晶基板をその結晶成長面側の主面が露出するように配置した。配置したGaN結晶基板を、x軸、y軸およびz軸を調整して、入射角ωのオフセット値、煽り角χのオフセット値、および回転角φのオフセット値を定めることにより、(0001)面および(000−1)面の法線である<0001>軸とφ軸とが一致し、かつ、[1−100]方向をφ=0°の方向となるように調整した。かかる調整には、小発散角入射X線平行ビーム(入射側:ポイントフォーカスCuX線管球を電圧45kVおよび電流40mAで作動させて発生するCuKα1線について、発散角0.3°のX線キャピラリーレンズおよび幅W0.5mm×高さH0.5mmのクロススリットを用いて得られるX線平行ビーム、受光側:0.27°コリメータ(0.27°スリットは設けない)およびグラファイト平板モノクロメータを通して、Xe比例計数管により検出)を用いた。
上記の小発散角入射X線平行ビームを用いて、測定φ角度ステップ0.02°、測定φの角度範囲に応じて、各ステップでの計測時間が1秒から50秒の範囲の測定条件で、0001対称禁制ブラッグ反射または000−1対称禁制ブラッグ反射の位置(入射角ω:8.5428°、回折角2θ:17.0856°)にてφスキャンを測定した。図13および図15〜図18と同様のX線多重回折ピークが測定された。A領域(φが−60°から60°までの領域、すなわちA-L領域、A-R領域、A+L領域およびA+R領域の4つの区分領域で構成される領域)の主なX線多重回折ピークについての結果を表2および表3にまとめた。
上記GaN結晶基板の上記主面上に、MOCVD法により、エピタキシャル層として、厚さ3μmのGaN層を成長させた。成長させたエピタキシャル層のフォトルミネッセンスの発光強度を測定し、その結果を表6にまとめた。
実施例1と同様のGaN結晶基板を作製した。得られたGaN結晶基板を、結晶成長面と反対側の面側の主面を露出させて、2軸傾斜試料台に配置したこと以外は、実施例1と同様にして、(0001)面および(000−1)面の法線である<0001>軸とφ軸とが一致し、かつ、[1−100]方向をφ=0°の方向となるように調整し、実施例1と同様の条件でX線多重回折ピークを測定した。図14〜図18と同様のX線多重回折ピークが測定された。A領域(φが−60°から60°までの領域、すなわちA-L領域、A-R領域、A+L領域およびA+R領域の4つの区分領域で構成される領域)の主なX線多重回折ピークについての結果を表4および表5にまとめた。
結晶成長後の2回の熱処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてGaN結晶基板を作製した。得られたGaN結晶基板について、結晶成長面と反対側の面側の主面を露出させて、2軸傾斜試料台に配置したこと以外は、実施例1と同様にして、(0001)面および(000−1)面の法線である<0001>軸とφ軸とが一致し、かつ、[1−100]方向をφ=0°の方向となるように調整し、実施例1と同様の条件でX線多重回折ピークを測定した。A-L領域、A-R領域、A+L領域およびA+R領域の4つの区分領域において、バックグランド(BG)強度に対する第1基準X線多重回折ピーク(S1)の強度の比である第1基準ピーク強度比(S1/BG比)は320〜400と500未満であり、結晶品質は高くないと評価された。さらに、A-L領域、A-R領域、A+L領域およびA+R領域の4つの区分領域において、第1基準X線多重回折ピーク(S1)の強度に対する第2基準X線多重回折ピーク(S2)の強度の比である第2基準ピーク強度比(S2/S1比)は0.34〜0.41と0.18以上であり、本実施例の結晶成長面側の主面が略(0001)面(すなわち略Ga面)であると評価された。
参考例1と同様のGaN結晶基板を作製した。得られたGaN結晶基板を、結晶成長面と反対側の面側の主面を露出させて、2軸傾斜試料台に配置したこと以外は、実施例1と同様にして、(0001)面および(000−1)面の法線である<0001>軸とφ軸とが一致し、かつ、[1−100]方向をφ=0°の方向となるように調整し、実施例1と同様の条件でX線多重回折ピークを測定した。A-L領域、A-R領域、A+L領域およびA+R領域の4つの区分領域において、バックグランド(BG)強度に対する第1基準X線多重回折ピーク(S1)の強度の比である第1基準ピーク強度比(S1/BG比)は375〜550と750未満であり、結晶品質は高くないと評価された。さらに、A-L領域、A-R領域、A+L領域およびA+R領域の4つの基本区分領域において、第1基準X線多重回折ピーク(S1)の強度に対する第2基準X線多重回折ピーク(S2)の強度の比である第2基準ピーク強度比(S2/S1比)は0.15〜0.16と0.18未満であり、本実施例の結晶成長面と反対側の側の主面が略(000−1)面(すなわち略N面)であると評価された。
Claims (7)
- 少なくとも1つの主面を有する窒化ガリウム結晶基板であって、
前記主面が(0001)面からのオフ角が0°以上2°以下の面であり、
小発散角入射X線平行ビームを用いたX線回折測定において、2軸傾斜試料台上に前記主面が露出するように前記窒化ガリウム結晶基板を配置し、(0001)面の法線である<0001>軸とφ軸とが一致し、かつ、[1−100]方向をφ=0°の方向とするように調整し、
0001対称禁制ブラッグ反射についての入射角ωおよび回折角2θにおける前記φ軸を回転軸としたφスキャンパターン測定におけるφが−180°から180°までの測定において、結晶内におけるX線の多重回折により現われるX線多重回折パターンは、φが−180°から−60°まで、−60°から60°まで、および60°から180°までの120°毎に繰り返す3回回転対称性を有する3つの120°回転対称ピーク領域を備え、
各前記120°回転対称ピーク領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸を含む面を鏡映面として互いに鏡映対称性を有する−領域と+領域とを備え、
各前記−領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸の交点を中心として互いに回反対称性を有する−L領域と−R領域とを備え、
各前記+領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸の交点を中心として互いに回反対称性を有する+L領域と+R領域とを備え、
各前記−L領域、各前記−R領域、各前記+L領域、および各前記+R領域の少なくとも1領域において、バックグランド強度に対する少なくとも(1−100)および(−1101)に由来する第1基準X線多重回折ピークの強度の比である第1基準ピーク強度比が500以上であり、
前記第1基準X線多重回折ピークの強度に対する少なくとも(02−21)および(0−220)に由来する第2基準多重回折ピークの強度の比である第2基準ピーク強度比が0.18以上である、窒化ガリウム結晶基板。 - 少なくとも1つの主面を有する窒化ガリウム結晶基板であって、
前記主面が(000−1)面からのオフ角が0°以上2°以下の面であり、
小発散角入射X線平行ビームを用いたX線回折測定において、2軸傾斜試料台上に前記主面が露出するように前記窒化ガリウム結晶基板を配置し、(000−1)面の法線である<0001>軸とφ軸とが一致し、かつ、[1−100]方向をφ=0°の方向とするように調整し、
000−1対称禁制ブラッグ反射についての入射角ωおよび回折角2θにおける前記φ軸を回転軸としたφスキャンパターン測定におけるφが−180°から180°までの測定において、結晶内におけるX線の多重回折により現われるX線多重回折パターンは、φが−180°から−60°まで、−60°から60°まで、および60°から180°までの120°毎に繰り返す3回回転対称性を有する3つの120°回転対称ピーク領域を備え、
各前記120°回転対称ピーク領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸を含む面を鏡映面として互いに鏡映対称性を有する−領域と+領域とを備え、
各前記−領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸の交点を中心として互いに回反対称性を有する−L領域と−R領域とを備え、
各前記+領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸の交点を中心として互いに回反対称性を有する+L領域と+R領域とを備え、
各前記−L領域、各前記−R領域、各前記+L領域、および各前記+R領域の少なくとも1領域において、バックグランド強度に対する少なくとも(1−100)および(−1101)に由来する第1基準X線多重回折ピークの強度の比である第1基準ピーク強度比が750以上であり、
前記第1基準X線多重回折ピークの強度に対する少なくとも(02−21)および(0−220)に由来する第2基準多重回折ピークの強度の比である第2基準ピーク強度比が0.18未満である、窒化ガリウム結晶基板。 - 2つの主面を有する窒化ガリウム結晶基板であって、
1つの前記主面が(0001)面からのオフ角が0°以上2°以下の面であり、他の前記主面が(000−1)面からのオフ角が0°以上2°以下の面であり、
各前記主面についての小発散角入射X線平行ビームを用いたX線回折測定において、2軸傾斜試料台上に各前記主面が露出するように前記窒化ガリウム結晶基板を配置し、(0001)面および(000−1)面の法線である<0001>軸とφ軸とが一致し、かつ、[1−100]方向をφ=0°の方向とするように調整し、
前記主面が(0001)面からのオフ角が0°以上2°以下の面のときは0001対称禁制ブラッグ反射について、前記主面が(000−1)面からのオフ角が0°以上2°以下の面のときは000−1対称禁制ブラッグ反射についての入射角ωおよび回折角2θにおける前記φ軸を回転軸としたφスキャンパターン測定におけるφが−180°から180°までの測定において、結晶内におけるX線の多重回折により現われるX線多重回折パターンは、φが−180°から−60°まで、−60°から60°まで、および60°から180°までの120°毎に繰り返す3回回転対称性を有する3つの120°回転対称ピーク領域を備え、
各前記120°回転対称ピーク領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸を含む面を鏡映面として互いに鏡映対称性を有する−領域と+領域とを備え、
各前記−領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸の交点を中心として互いに回反対称性を有する−L領域と−R領域とを備え、
各前記+領域は、その領域のφの範囲の中央のφの角度を示す線および<0001>軸の交点を中心として互いに回反対称性を有する+L領域と+R領域とを備え、
各前記−L領域、各前記−R領域、各前記+L領域、および各前記+R領域の少なくとも1領域において、2つの前記主面における少なくとも(1−100)および(−1101)に由来する第1基準X線多重回折ピークの強度に対する少なくとも(02−21)および(0−220)に由来する第2基準多重回折ピークの強度の比である第2基準ピーク強度比の値は互いに異なり、より大きな前記第2基準ピーク強度比を与える前記主面が(0001)面からのオフ角が0°以上2°以下の面である、窒化ガリウム結晶基板。 - 少なくとも1つの主面を有し、前記主面が(0001)面および(000−1)面の少なくともいずれかからのオフ角が0°以上2°以下の面である窒化ガリウム結晶基板の結晶を、小発散角入射X線平行ビームを用いたX線回折測定により評価する方法であって、
2軸傾斜試料台上に前記主面が露出するように前記窒化ガリウム結晶基板を配置し、(0001)面および(000−1)面の法線である<0001>軸とφ軸とが一致し、かつ、[1−100]方向をφ=0°の方向とするように調整する工程と、
前記主面が(0001)面からのオフ角が0°以上2°以下の面のときは0001対称禁制ブラッグ反射について、前記主面が(000−1)面からのオフ角が0°以上2°以下の面のときは000−1対称禁制ブラッグ反射についての入射角ωおよび回折角2θにおいて、前記φ軸を回転軸としたφスキャンパターン測定を行なう工程と、を含み、
前記φスキャンパターン測定から得られるX線多重回折ピークの対称性の高さおよびバックグランド強度に対する少なくとも(1−100)および(−1101)に由来する第1基準X線多重回折ピークの強度の比である第1基準ピーク強度比の大きさから、前記窒化ガリウム結晶基板の結晶の品質を評価する、窒化ガリウム結晶基板の結晶評価方法。 - 前記主面における前記第1基準X線多重回折ピークの強度に対する少なくとも(02−21)および(0−220)に由来する第2基準多重回折ピークの強度の比である第2基準ピーク強度比の大きさから、前記窒化ガリウム結晶基板の結晶の極性を評価する、請求項4に記載の窒化ガリウム結晶基板の結晶評価方法。
- 前記主面における前記第2基準ピーク強度比が0.18以上となるときの前記主面を(0001)面からのオフ角が0°以上2°以下の面と評価し、前記主面における前記第2基準ピーク強度比が0.18未満となるときの前記主面を(000−1)面からのオフ角が0°以上2°以下の面と評価する、請求項5に記載の窒化ガリウム結晶基板の結晶評価方法。
- 前記窒化ガリウム結晶基板は2つの前記主面を有し、
2つの前記主面における前記第1基準X線多重回折ピークの強度に対する少なくとも(02−21)および(0−220)に由来する第2基準多重回折ピークの強度の比である第2基準ピーク強度比の値は互いに異なり、
より大きな前記第2基準ピーク強度比を与える前記主面を(0001)面からのオフ角が0°以上2°以下の面と評価する、請求項5に記載の窒化ガリウム結晶基板の結晶評価方法。
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