JP2020008720A - 反射型回折光学素子、反射型回折光学素子の製造方法 - Google Patents
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一方、反射型回折光学素子で目的の配光分布を得ようとする場合には、金属の表面を加工して回折光学素子を形成することができる。又は、加工しやすい樹脂やガラス等を用いて回折光学素子を形成し、その回折光学素子の凹凸形状の表面に金属や誘電体多層膜等の反射面を形成することにより、反射型回折光学素子が形成できる(例えば、特許文献1参照)。
一方、特許文献1に開示されている反射型回折光学素子の構成では、回折格子面に金属を成膜することにより、反射型回折光学素子を実現している。
しかし、金属成膜においては成膜工程が必要になり、生産性がよいとはいえない。また、反射層を薄膜で構成すると、透過する光が存在するため、回折効率が低下するとともに迷光が発生するおそれがあった。その逆に、反射層を厚膜で構成すると、反射層を構成する前の元となる回折格子形状に対し、成膜による形状歪みが発生するおそれがあり、その場合、目的とする配光特性を得られなかったり、回折効率が低下したりすることがあった。
図1は、本発明による反射型回折光学素子の第1実施形態を示す断面図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書において、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
本明細書中において、シート面とは、各シートにおいて、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。なお、板面、フィルム面に関しても同様であるとする。
また、本発明において透明とは、少なくとも利用する波長の光を透過するものをいう。例えば、仮に可視光を透過しないものであっても、赤外線を透過するものであれば、赤外線用途に用いる場合においては、透明として取り扱うものとする。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において規定する具体的な数値には、一般的な誤差範囲は含むものとして扱うべきものである。すなわち、±10%程度の差異は、実質的には違いがないものであって、本件の数値範囲をわずかに超えた範囲に数値が設定されているものは、実質的には、本件発明の範囲内のものと解釈すべきである。
基材層11は、高屈折率部12を賦型する際のベースとなる部材である。基材層11としては、例えば、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、メタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレン(MBS)樹脂、メタクリル酸メチル・スチレン(MS)樹脂、アクリル・スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂等の透明樹脂を用いることができる。なお、図示していないが、基材層11上には、塗布された紫外線硬化樹脂等との密着性を高めるための密着層をさらに形成してもよい。
高屈折率部12は、例えば、クオーツ(SiO2、合成石英)をエッチング処理により加工して形成してもよい。また、高屈折率部12は、凹凸パターンが形成された原版を用いて、例えば、基材上に塗布された紫外線硬化樹脂を賦型して凹凸パターンを転写し、紫外線を照射して硬化させることにより形成してもよい。
紫外線硬化樹脂としては、例えば、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリチオール系、ブタジエンアクリレート等を用いることができる。なお、高屈折率部12を形成するための材料は、紫外線硬化樹脂に限定されない。高屈折率部12は、例えば、電子線硬化樹脂で形成してもよい。また、高屈折率部12は、熱硬化型や紫外線硬化型のSOG(Spin on Glass)を用いて構成してもよい。また、上記各パターンは、原版から賦型により転写する例に限らず、上記各パターンの凹凸形状を有する原版から作製された樹脂の中間版を用いて賦型してもよい。このような周期構造の物を製造する方法は、様々な手法が公知であり、透過型回折格子層10の高屈折率部12は、それら公知の手法を利用して、適宜作製することができる。
また、高屈折率部12の凸部12aの間に形成されている凹部13及び凸部12aの頂部付近の空間を含む図1の上方の部分は、空気が存在しており、高屈折率部12よりも屈折率が低い低屈折率部14となっている。これら高屈折率部12及び低屈折率部14が交互に並んで配置された周期構造により、光を整形する作用を備える回折層15が構成されている。
ここで、本実施形態の凸部12aは、鋸歯形状を多段階の輪郭形状により模した形状であるが、段数をより多くして実質的に鋸歯形状とみなせる形態としてもよい。
反射層20は、回折層15に沿った単一の面に形成されている。ここで、単一の面とは、平面であるか曲面であるかは問わず、凸部12aのような微細な凹凸を伴わない平坦(平面に限るものではない)であって、滑らかな面を指している。よって、反射層20は、製造が容易であり、例えば、既存の板状(シート状や、フィルム状でもよい)の反射性の高い素材をそのまま用いることも可能である。
また、反射層20は、利用する光源からの光を反射するときの反射率が高いものであれば、どのような素材及び形態であってもよい。なお、図1では、反射層20を一層として図示しているが、例えば反射層を構成するための基材層等がさらに設けられていてもよい。
本実施形態の反射層20は、既存の反射板として市販されている平面ガラス表面にアルミニウムを成膜したミラーを用いている。
ここで、中間層30としては、様々な構成を適用可能である。例えば、回折層15と反射層20とを接合する接合材としての機能を中間層30に備えてもよい。また、反射層20の上に直接回折層を樹脂賦型して構成するような場合、賦型用の樹脂と反射層20との接合性を高めるプライマーとして中間層30を設けてもよい。さらに、回折層15と反射層20との間に空隙を設けて構成してもよいが、その場合には、空気層、又は、その空隙に封入された気体層が中間層30に相当する。なお、回折層15と反射層20とを直接積層して構成してもよく、その場合には、中間層30は、省略されることとなる。
また、中間層30は、反射層20で反射する光を遮らないように、通常は透明な素材とすることが望ましい。ただし、完全に透明であることを要求するものではなく、例えば、特定の波長成分のみを通過させたり、ある程度の減光作用を追加したりしてもよい。
本実施形態の中間層30は、回折層15と反射層20とを接合する粘着剤として設けられている。具体的には、光学粘着剤を中間層30として用いている。
なお、図2は、反射型回折光学素子1を回折層15側から見た状態として示しているが、説明に必要な構成のみを示しているので、実際の見た目がこの図2のようになっているものではない。また、単位セル15aとして図示した回折格子のパターンについても、理解を容易にするために模式的に示しているので、実際の回折格子のパターンを表したものではない。
反射型回折光学素子1に対して入射角θ1で光が入射すると、先ず、透過型回折格子層10を通過するときに、回折層15によって回折されて所定の配光となって反射層20へ向けて照射される。なお、図3では、理解を容易にするために、透過型回折格子層10が光を3本に分けて配光するものとして示している。反射層20に到達した回折光は、反射層20によって反射されて透過型回折格子層10へ向かう。反射層20から透過型回折格子層10に到達した回折光は、透過型回折格子層10を通過するときに、回折層15によって再度回折されて所定の配光となって出射する。すなわち、2回目に透過型回折格子層10を通過するときには、3本の光が来ているので、それぞれが3本に分けて配光されて、合計9本の光を出射する。このように、本実施形態の反射型回折光学素子1では、2回の回折作用を受けるので、透過型回折格子層10を2回通過する場合と同等の配光特性を有しており、2枚の透過型回折格子層10を配置したところに光を照射する場合と同等な作用を光に対して与える。
なお、先に説明したように、回折層15は、光の照射位置が反射型回折光学素子1の面内で大きく移動しても回折層15により回折される光の回折特性、すなわち、配光特性は変化しないように構成されている。したがって、反射層20で反射された光が再度回折層15に到達するときに照射位置が入射したときの位置からずれてしまっていても、回折特性に変化は生じない。
先の図3に示した回折光の挙動は、図4のように2枚の全く同じ構成の透過型回折格子層10を配置した場合と同等であり、これをモデルとして説明することが可能である。また、反射による向きの変化がない分、図4のモデルでは図が単純化されることから理解が容易である。そこで、本実施形態の反射型回折光学素子1の配光特性について、2枚の透過型回折格子層10を配置したモデルを用いて、より詳細に説明する。なお、図4及び図5では、説明の便宜上、2枚の透過型回折格子層10のうち、最初に光が入射する側を透過型回折格子層10−1とし、その次に光が入射する側を透過型回折格子層10−2として説明する。
また、0次光L01が透過型回折格子層10−2に到達すると、最初に透過型回折格子層10−1へ入射した入射光L1の場合と同様に回折される1次回折光と、回折されずにそのまま進む0次光(L01のまま)とに分かれるが、回折される1次回折光は、0次光L02と重なるので、ここでは図示していない。
図6は、反射型回折光学素子1によって反射された光をスクリーンに投影して撮影した写真である。
図7は、図6の写真に説明用に補助線等を追加した図である。
図6及び図7に示すように、実際の反射型回折光学素子1を用いた場合にも、先に説明した投影パターンP2と、投影パターンP01と、投影パターンP02とが投影されている。
図8の上方の(a)には、配光特性が円柱型である透過型回折格子層10のみによる配光特性を示しており、図8の下方の(b)には、この透過型回折格子層10を備えた反射型回折光学素子1の配光特性を示している。
図8に示すように、透過型回折格子層10の配光特性が円柱型である場合には、反射型回折光学素子1の配光特性は、なだらかな山形にすることができる。
図9の上方の(a)には、配光特性が円環型である透過型回折格子層10のみによる配光特性を示しており、図9の下方の(b)には、この透過型回折格子層10を備えた反射型回折光学素子1の配光特性を示している。
図9に示すように、透過型回折格子層10の配光特性が円環型である場合には、反射型回折光学素子1の配光特性は、中央の一部を除いて、フラットで均一な配光特性とすることができる。
比較例として、反射型回折光学素子1の表面を平坦とした形態、すなわち、高屈折率部12の凸部12aを形成せず平面とした素子を用意して、回折層15側の表面の反射率を、本実施形態の反射型回折光学素子1と比較した。
比較例では、表面反射率は、8.9%であった。
これに対して、本実施形態の反射型回折光学素子1の表面反射率(0次反射)は、3.3%であった。なお、本実施形態の反射型回折光学素子1の1次反射の反射率は、0.9%であった。
このように、本実施形態の反射型回折光学素子1では、表面反射を抑える効果も得ることができる。
表面反射の解析シミュレーションには、厳密結合波理論(RCWA(rigorous coupled−wave analysis)に基づいた演算を用いた。RCWAは、数学的には、行列の固有値問題と一次方程式を解くことに帰着されるので、原理的な困難さはない。また、このRCWAに基づいた電磁場解析のシミュレーション結果と現実とでは、現物における形状エラー等を除けば、基本的に合致する。
図10は、第1実施形態の反射型回折光学素子1の製造工程を示す図である。
第1実施形態の反射型回折光学素子1は、透過型回折格子層10と、反射層20とを、それぞれ別々に製造して、それらを中間層30の粘着剤によって貼り合わせることにより製造される。反射層は、単一の面に形成される。透過型回折格子層10の回折層15は、従来から公知の手法で作製される。このような製造方法によれば、反射層には、既存の製品を利用することも可能である。また、透過型回折格子層10は、従来の透過型回折格子素子と同様な製造方法で製造が可能である。また、透過型回折格子層10と反射層20とを粘着剤で貼り合わせる工程も特段難しい工程ではない。よって、第1実施形態の反射型回折光学素子1は、容易に製造が可能である。
図11は、本発明による反射型回折光学素子の第2実施形態を示す断面図である。
第2実施形態の反射型回折光学素子1Bは、反射層20の上に高屈折率部12を直接賦型、すなわち、透過型回折格子層10を直接形成した形態である。
なお、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図12は、第2実施形態の反射型回折光学素子1Bの製造工程を示す図である。
第2実施形態の反射型回折光学素子1Bを製造するには、先ず、反射層20上に、未硬化の紫外線硬化性樹脂等の賦型用樹脂層120を積層する(図12(a))。次に、別途作製された成形型200により賦型用樹脂層120に対して賦型を行ない(図12(b))、そのまま紫外線を照射する等して硬化(図12(c))する。成形型200から取り外せば、図11に示した形態の反射型回折光学素子1Bが完成する。なお、反射層20と賦型用樹脂層120との間にプライマーを挟んでもよい。
図13は、本発明による反射型回折光学素子の第3実施形態を示す断面図である。
第3実施形態の反射型回折光学素子1Cは、透過型回折格子層10を反射層20に対して貼り合わせる向きが表裏逆になっている他は、第1実施形態の反射型回折光学素子1と同様である。ただし、中間層30の粘着剤については、高屈折率部12に対して屈折率の低い材料を用いることが必要である。
図14は、第3実施形態の反射型回折光学素子1Cの製造工程を示す図である。
第3実施形態の反射型回折光学素子1Cは、図14に示すように、第1実施形態の反射型回折光学素子1と同様にして製造可能である。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
1B 反射型回折光学素子
1C 反射型回折光学素子
10 透過型回折格子層
11 基材層
12 高屈折率部
12a 凸部
13 凹部
14 低屈折率部
15 回折層
15a 単位セル
20 反射層
30 中間層
120 賦型用樹脂層
200 成形型
Claims (10)
- 複数の凸部が並んで配置されている高屈折率部と、
前記高屈折率部よりも屈折率が低く、少なくとも前記凸部の間に形成されている凹部を含む低屈折率部と、
を有する回折層と、
前記回折層に沿った単一の面に形成された反射層と、
を備える反射型回折光学素子。 - 請求項1に記載の反射型回折光学素子において、
前記反射層は、前記凸部が突出する側とは反対側に配置されていること、
を特徴とする反射型回折光学素子。 - 請求項1に記載の反射型回折光学素子において、
前記反射層は、前記凸部が突出する側に配置されていること、
を特徴とする反射型回折光学素子。 - 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の反射型回折光学素子において、
前記回折層と前記反射層との間に挟まれる位置に設けられた中間層をさらに備えること、
を特徴とする反射型回折光学素子。 - 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の反射型回折光学素子において、
前記回折層は、複数の異なる回折特性を有する回折格子が形成されて特定の配光特性が得られるように構成され、平面視において矩形形状の単位セルが周期的に配列されていること、
を特徴とする反射型回折光学素子。 - 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の反射型回折光学素子において、
前記凸部は、鋸歯形状、又は、鋸歯形状を多段階の輪郭形状により模した形状であること、
を特徴とする反射型回折光学素子。 - 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の反射型回折光学素子において、
前記回折層は、当該反射型回折光学素子の表面に対して入射角が0度を越える角度を持った特定の入射角で入射する光を特定の配光特性で配光可能なように構成されていること、
を特徴とする反射型回折光学素子。 - 請求項7に記載の反射型回折光学素子と、
前記特定の入射角で光を前記反射型回折光学素子へ入射させる位置に配置された光源部と、
を備える光配向装置。 - 複数の凸部が並んで配置されている高屈折率部と、
前記高屈折率部よりも屈折率が低く、少なくとも前記凸部の間に形成されている凹部を含む低屈折率部と、
を有する回折層と、
前記回折層に沿った単一の面に形成された反射層と、
を備える反射型回折光学素子を製造する方法であって、
単一の面に形成された反射層を形成する工程と、
前記反射層上に未硬化の樹脂組成物を塗布する工程と、
前記樹脂組成物を賦型して硬化し前記回折層を形成する工程と、
を備える反射型回折光学素子の製造方法。 - 複数の凸部が並んで配置されている高屈折率部と、
前記高屈折率部よりも屈折率が低く、少なくとも前記凸部の間に形成されている凹部を含む低屈折率部と、
を有する回折層と、
前記回折層に沿った単一の面に形成された反射層と、
を備える反射型回折光学素子を製造する方法であって、
単一の面に形成された反射層を形成する工程と、
前記回折層を形成する工程と、
前記反射層と前記回折層とを中間層を介して接合する工程と、
を備える反射型回折光学素子の製造方法。
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