以下、図面を参照して、本発明の第1〜第7実施形態について説明する。先ず、第1〜第7実施形態に共通する車両システム100の構成について説明する。
(車両システム100の構成)
図1は、燃料電池システム10が搭載された車両システム100の構成を示す図である。図示のように、車両システム100は、主に、燃料タンク200と、空気ブロア300と、燃料電池システム10と、を備えている。
燃料タンク200は、エタノール混合水等の液体の原燃料を貯留するタンクである。燃料タンク200には、燃料配管20に接続された燃料ポンプ200aが設けられている。燃料ポンプ200aは、燃料タンク200内に貯留された原燃料を燃料配管20を介して燃料電池システム10内の要素(特に改質器50)に圧送する。すなわち、燃料タンク200及び燃料ポンプ200aは、原燃料供給源として機能する。
空気ブロア300は、空気配管30に接続される。そして、空気ブロア300は、外部の空気を吸入し、空気配管30を介して燃料電池システム10内に圧送する。すなわち、空気ブロア300は、空気供給源として機能する。
本実施形態の燃料電池システム10は、第1収容部としてのシステム収容筐体H1及びこれに収容された後述する各要素により構成される。また、システム収容筐体H1は、上述の燃料配管20、空気配管30、及び排気配管400が挿通されている。
システム収容筐体H1は、金属材料等の比較的放熱性の高い材料で構成される。そして、システム収容筐体H1の内部は、高温領域HAと低温領域LAに分割されている。
高温領域HAは、システム収容筐体H1内に設けられた断熱筐体42に囲まれた空間として構成される。また、低温領域LAは、システム収容筐体H1における断熱筐体42の外の空間として構成される。
高温領域HAを画定する断熱筐体42の内部には、改質器50と、空気熱交換器52と、燃料電池としての燃料電池スタック54と、排気装置としての燃焼器56と、を有している。
改質器50は、燃料タンク200から燃料配管20を介して供給される原燃料を、燃料電池スタック54に供給するために適切な状態とすべく改質する。例えば、改質器50は、図示しない熱交換器等の加熱装置によって原燃料を気化させたガスを改質用触媒を用いて改質反応させることで、原燃料から水素を主成分とする燃料ガスを生成する。また、改質器50には、燃料電池スタック54のアノード極54aに繋がる燃料ガス通路60が接続されている。したがって、改質器50で生成された燃料ガスは、燃料ガス通路60を介して燃料電池スタック54に供給される。
空気熱交換器52は、空気ブロア300から空気配管30を介して供給される空気を燃焼器56で生成される燃焼ガスと熱交換させて加熱する装置である。また、空気熱交換器52には、燃料電池スタック54のカソード極54bに繋がる空気供給通路62が接続されている。空気熱交換器52で加熱された空気は、空気供給通路62を介して燃料電池スタック54に供給される。
なお、空気配管30における空気熱交換器52の上流に、当該空気熱交換器52をバイパスするバイパス通路を設けるとともに、当該バイパス通路にバイパス弁(温度調整弁)を配置しても良い。これにより、バイパス弁の開度を調節することで、燃料電池スタック54に供給する空気の内、燃焼器56で生成される燃焼ガスと熱交換させる空気の量を調節できる。すなわち、バイパス弁の開度調節によって燃料電池スタック54の温度を制御することができる。
燃料電池スタック54は、複数の燃料電池又は燃料電池単位セルを積層して構成され、発電源である個々の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)により構成される。
燃料電池スタック54のアノード極54aの入口は、燃料ガス通路60に接続される。また、アノード極54aの出口は、発電反応後のアノードオフガスを流すためのアノードオフガス通路64に接続される。
燃料電池スタック54のカソード極54bの入口は、空気供給通路62に接続される。また、カソード極54bの出口は、発電反応後のカソードオフガスを流すためのカソードオフガス通路66に接続される。
さらに、燃料電池スタック54の端子には、発電電力をシステム外部に出力する電力ライン68が接続される。電力ライン68は、低温領域LAに設けられた制御コンポーネント12を介してシステム収容筐体H1の外部に配置されるヒューズボックス500に接続される。
したがって、燃料電池スタック54は、燃料ガス通路60及び空気供給通路62を介して供給された燃料ガス及び空気を電気化学反応させて発電を行い、発電電力を電力ライン68によりヒューズボックス500を介してシステム収容筐体H1の外部の電気機器(バッテリ及びインバータなど)に出力する。
燃焼器56は、例えば燃料配管20から分岐させた図示しない配管を用いて燃料タンク200から供給される原燃料、アノードオフガス通路64を介して供給されるアノードオフガス、及びカソードオフガス通路66を介して供給されるカソードオフガスを混合して触媒燃焼させて燃焼ガスを生成する。
また、燃焼器56の燃焼室56aは、改質器50及び空気熱交換器52に亘って伸長し、燃焼ガスの流れ方向の下流端部に排気配管400が接続されている。したがって、燃焼器56で生成した燃焼ガスは、改質器50及び空気熱交換器52の加熱に用いられた後に、排気配管400を介して排気される。
次に、低温領域LAについて説明する。低温領域LAには、燃料配管20を介した改質器50への燃料供給流量、空気配管30を介した空気熱交換器52への空気供給流量、及び燃料電池スタック54の発電電力を制御する電力制御装置などを含む制御コンポーネント12が配置されている。制御コンポーネント12は、高温領域HAに配置された要素と比較して動作温度が低く、当該高温領域HAから伝達される熱から保護すべき部品である。制御コンポーネント12の構成については後述の実施形態ごとに説明する。
図2は、車両システム100を搭載した車両Vのレイアウトの概要を説明する図である。図示のように、空気ブロア300は車両Vの前方に設置され、燃料電池システム10は車両後方に設置される。そして、燃料タンク200は、燃料電池システム10よりも前方で前後方向における後輪と略同じ位置に配置される。空気配管30は、空気ブロア300と燃料電池システム10を接続するように、車両Vの前後方向に沿って伸長して設けられる。また、燃料配管20は、燃料タンク200と燃料電池システム10を接続するように、車両Vの幅方向に延在して設けられる。
以下では、上記燃料電池システム10に関する第1実施形態〜第4実施形態の構成、及び車両システム100に関する第5実施形態〜第7実施形態の構成について説明する。
(第1実施形態)
図3は、第1実施形態による燃料電池システム10の概略断面図である。
図示のように、低温領域LAには、燃料配管20が挿通される。そして、燃料配管20における低温領域LA内の部分である低温領域内燃料配管20aには、第2収容部H2として機能する3つの筐体が介在されている。より具体的には、原燃料供給源である燃料ポンプ200a側を上流として順に、調圧弁筐体H21と、噴射弁筐体H22と、電気部品筐体H23と、が介在されている。
特に、低温領域内燃料配管20aは、システム収容筐体H1(低温領域LA)の燃料配管入口70と高温領域HAの燃料配管入口72を繋ぐように構成されている。より詳細には、本実施形態の低温領域内燃料配管20aは、燃料配管入口70、調圧弁筐体H21、噴射弁筐体H22、電気部品筐体H23、噴射弁筐体H22、及び高温領域HAの燃料配管入口72を順に通過するように構成されている。
また、本実施形態の低温領域内燃料配管20aは、最上流部分となる燃料配管入口70が、システム収容筐体H1の天井面に形成されている。したがって、低温領域内燃料配管20aは、低温領域LAの入口である燃料配管入口70に近い位置が相対的に高くなるように構成されることとなる。
また、低温領域LAには、空気配管30が挿通される。空気配管30における低温領域LA内の部分である低温領域内空気配管30aは、調圧弁筐体H21を介して高温領域HAの空気配管入口76に挿通されている。すなわち、低温領域内空気配管30aは、低温領域LAの空気配管入口74と高温領域HAの空気配管入口76を繋ぐように構成されている。
そして、調圧弁筐体H21、噴射弁筐体H22、及び電気部品筐体H23は、それぞれ、空気熱交換器52を介した燃料電池スタック54への空気供給流量を調節する空気調圧弁12b、改質器50への燃料供給流量(燃料噴射量)を調節する燃料噴射弁12a、及び燃料電池スタック54の発電電力を制御するDCDCコンバータ等の電力制御装置12cを収容する金属材料等で構成される。
すなわち、本実施形態の制御コンポーネント12は、空気調圧弁12bを収容する調圧弁筐体H21、燃料噴射弁12aを収容する噴射弁筐体H22、及び電力制御装置12cを収容する電気部品筐体H23により構成される。したがって、本実施形態では、低温領域内燃料配管20aにおいて、上流から順に、空気調圧弁12b、燃料噴射弁12a、及び電力制御装置12cが配置されることとなる。以下、調圧弁筐体H21、噴射弁筐体H22、及び電気部品筐体H23の構成について説明する。
図4Aは、調圧弁筐体H21の概略断面構造を示す図である。また、図4Bは、噴射弁筐体H22の概略断面構造を示す図である。さらに、図4Cは、電気部品筐体H23の概略断面構造を示す図である。
調圧弁筐体H21、噴射弁筐体H22、及び電気部品筐体H23には、空気調圧弁12b、燃料噴射弁12a、及び電力制御装置12cに対して、各図の紙面直交方向において並列に隣接して燃料溜まり部22が形成される。
燃料溜まり部22は、低温領域内燃料配管20aに連通するように接続され、当該低温領域内燃料配管20aの流路断面積よりも広い空間として構成されている。燃料溜まり部22は、貯留された原燃料の冷熱によって空気調圧弁12b、燃料噴射弁12a、及び電力制御装置12cを冷却するいわゆるウォータージャケットとして機能する。これにより、低温領域内燃料配管20aを流れる原燃料は、当該燃料溜まり部22において一定量貯留される。
この構成により、燃料溜まり部22内の原燃料によって、空気調圧弁12b、燃料噴射弁12a、及び電力制御装置12cの冷却することができる。すなわち、外気温(例えば20℃)程度の比較的低温で保管された燃料タンク200(図1参照)から供給される改質前の原燃料によって、各制御コンポーネント12を好適に冷却することができる。特に、液体の状態である原燃料は、空気よりも熱容量が大きい。そのため、本実施形態における原燃料を用いた冷却によって、空気による冷却に比べてより高い冷却効果を得ることができる。結果として、ラジエータ等の冷却のための設備を設けることなく、各制御コンポーネント12に対する好適な冷却が実現される。
一方、SOFCで構成される燃料電池スタック54を作動させる燃料電池システム10の高温領域HA内(断熱筐体42内)は、熱源である改質器50、空気熱交換器52、燃料電池スタック54、及び燃焼器56の作動によって、例えば700℃以上の高温となる。これに対して、低温領域LA内は、上記空気調圧弁12b、燃料噴射弁12a、及び電力制御装置12c等の部品類に対する熱保護の観点から、例えば140℃程度の低温となっている。
したがって、このような燃料電池システム10では、高温領域HA内と低温領域LA内の温度差に起因した熱勾配によって、高温領域HAから断熱筐体42を介して低温領域LA内に熱が伝達することがある。
これに対して、本実施形態では、燃料溜まり部22に貯留された低温の原燃料による各制御コンポーネント12の冷却に加えて、高温領域HAからの熱を当該原燃料で吸収することができる。すなわち、燃料溜まり部22に貯留される原燃料の温度は、低温領域LA内の温度と比較しても低く、且つ液体の原燃料は比較的高い熱容量を持つ。このため、高温領域HAからの熱は、制御コンポーネント12よりも燃料溜まり部22に貯留された原燃料に優先的に伝達され、当該原燃料に吸収される。すなわち、低温且つ高い熱容量の原燃料の潜熱及び顕熱を用いて上記高温領域HAからの熱を効果的に吸収することができる。結果として、高温領域HAから制御コンポーネント12への熱伝達を好適に抑制することができる。
さらに、上述のように、燃料溜まり部22内の原燃料が高温領域HAからの熱を吸収することで加熱される。一方で、加熱された後の原燃料は、最終的に高温領域HA内の改質器50に供給されることとなる(図3参照)。ここで、改質器50においては、燃焼器56により生成される燃料ガスを用いて原燃料を改質処理に適した温度まで加熱されることとなる。したがって、燃料溜まり部22内の原燃料が高温領域HAからの熱を吸収することで加熱されても、後の改質器50における改質処理を阻害しないか、或いは改質処理のための原燃料の加熱を助長することとなる。すなわち、原燃料の主要な用途(改質及び発電)を阻害することなく、燃料溜まり部22内の原燃料を用いた冷却及び熱の吸収を実行することができる。
以上説明した構成を有する本実施形態の燃料電池システム10によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の燃料電池システム10は、燃料を改質する改質器50と、改質された燃料と空気の供給を受けて発電する固体酸化物形の燃料電池である燃料電池スタック54と、燃料電池スタック54からの排気(オフガス)を処理する排気装置としての燃焼器56と、所定の原燃料供給源である燃料タンク200及び燃料ポンプ200aから燃料配管20を介して少なくとも改質器50に原燃料を供給する原燃料供給装置としての燃料噴射弁12aと、所定の空気供給源である空気ブロア300から空気配管30を介して少なくとも燃料電池スタック54に空気を供給する空気供給装置としての空気調圧弁12bと、燃料電池スタック54の発電電力を制御する電力制御装置12cと、改質器50、燃料電池スタック54、燃焼器56、燃料噴射弁12a、空気調圧弁12b、及び電力制御装置12cを収容する第1収容部としてのシステム収容筐体H1と、を有する。
そして、システム収容筐体H1の内部は、高温領域HAと低温領域LAに分割される。高温領域HAには、燃料電池スタック54、改質器50、及び燃焼器56が配置される。低温領域LAには、燃料噴射弁12a、空気調圧弁12b、及び電力制御装置12cが配置される。また、燃料電池システム10は、燃料噴射弁12a、空気調圧弁12b、及び電力制御装置12c(制御コンポーネント12)をそれぞれ収容する第2収容部H2としての噴射弁筐体H22、調圧弁筐体H21、及び電気部品筐体H23を備える。そして、調圧弁筐体H21、噴射弁筐体H22、及び電気部品筐体H23の内部には、燃料配管20に接続される燃料溜まり部22が設けられる。
これにより、低温領域LAに配置される各制御コンポーネント12の冷却を、各第2収容部H2にそれぞれ設けられた燃料溜まり部22に貯留された原燃料により実行することができる。すなわち、空気よりも熱容量の大きい液体の原燃料を用いて各制御コンポーネント12の冷却を実行するため、空気を用いる場合に比べてより高い冷却効果を得ることができる。結果として、燃料電池システム10にラジエータ等の冷却のための設備を別途設けることなく、各制御コンポーネント12の冷却を行うことができる。特に、作動温度が比較的高温である固体酸化物形燃料電池を有するシステムの場合、冷却が不十分であると熱保護が要求される各種部品(低温部に配置される部品)への伝熱が懸念されるが、本実施形態の構成であれば。当該システムにおいても好適な冷却を実行することができる。
また、燃料電池システム10の運転にともない、高温領域HA内からの熱が低温領域LA内に伝達してきた場合であって、当該熱を燃料溜まり部22に貯留された原燃料で吸収することができる。すなわち、原燃料の潜熱及び顕熱を用いて上記高温領域HAからの熱を効果的に吸収することができるので、高温領域HAから各制御コンポーネント12への熱伝達を好適に抑制して熱から保護することができる。
また、本実施形態の燃料電池システム10では、低温領域LAには、燃料配管20の一部である低温領域内燃料配管20aが配置される。そして、低温領域内燃料配管20aは、該低温領域LAの燃料配管入口70と高温領域HAの燃料配管入口72を繋ぐように構成され、低温領域内燃料配管20aに調圧弁筐体H21、噴射弁筐体H22、及び電気部品筐体H23が介在される。
これにより、燃料タンク200から改質器50に原燃料を供給するための燃料配管20の経路において、それぞれ、燃料溜まり部22を有する調圧弁筐体H21、噴射弁筐体H22、及び電気部品筐体H23を配置するという簡易な構成で、上述した各制御コンポーネント12の冷却機能及び熱保護機能を実現することができる。
さらに、本実施形態の燃料電池システム10では、低温領域内燃料配管20aは、低温領域LAの入口である燃料配管入口70に近い領域が相対的に高くなるように構成される。
本実施形態の燃料電池システム10の構成によれば、燃料溜まり部22内の原燃料が高温領域HAからの熱を受けて加熱されて自然対流又は気化することが想定される。
この場合に、低温領域内燃料配管20aが燃料配管入口70に近いほど高く構成されることで、相対的に高温の気化した燃料を含むガス成分が上方の燃料配管入口70から排出されやすくなる。したがって、低温領域内燃料配管20a及び燃料溜まり部22内に相対的に熱容量の低いガス成分が溜まることを好適に抑制することができる。結果として、燃料溜まり部22内に貯留される原燃料による各制御コンポーネント12に対する熱保護効果をより好適に発揮させることができる。
また、本実施形態の燃料電池システム10では、空気調圧弁12bは、低温領域内燃料配管20aにおいて、燃料噴射弁12a、及び電力制御装置12cよりも上流に配置される。
本実施形態の燃料電池システム10の構成では、空気調圧弁12bには、空気配管30を介して空気ブロア300により圧縮された空気が送られてくる。このため、空気調圧弁12bの運転温度は、原燃料の流量を調節する燃料噴射弁12a、及び電気系部品である電力制御装置12cよりも高くなる傾向にある。
これに対して、本実施形態の燃料電池システム10では、燃料噴射弁12a及び電力制御装置12cに比べて保有熱量が高くなる空気調圧弁12bが最も上流(上方)に配置される。特に、低温領域内燃料配管20aにおいて、運転温度の高い順に上流から順に、空気調圧弁12b、燃料噴射弁12a、及び電力制御装置12cが配置されている。
したがって、空気調圧弁12bが発する熱が、空気調圧弁12bよりも下流に配置された相対的の低い運転温度の燃料噴射弁12a及び電力制御装置12cに伝達されることをより好適に抑制できる。
なお、燃料電池システム10の構成及び運転の態様によって、燃料噴射弁12aの運転温度が空気調圧弁12bの運転温度よりも高くなる傾向にある場合には、低温領域内燃料配管20aにおいて、燃料噴射弁12aを、空気調圧弁12b及び電力制御装置12cより上流に配置するようにしても良い。すなわち、低温領域内燃料配管20aにおいて上流から順に、燃料噴射弁12aを、空気調圧弁12b、及び電力制御装置12cを配置しても良い。
また、上記実施形態では、空気調圧弁12b、燃料噴射弁12a、及び電力制御装置12cのそれぞれを、燃料溜まり部22を備えた調圧弁筐体H21、噴射弁筐体H22、及び電気部品筐体H23で収容する態様について説明した。しかしながら、空気調圧弁12b、燃料噴射弁12a、及び電力制御装置12cの少なくとも一つを、燃料溜まり部22を備えた第2収容部H2で収容しても良い。
例えば、図5Aに示すように、空気調圧弁12b及び燃料噴射弁12aをそれぞれ、燃料溜まり部22を備えた調圧弁筐体H21及び噴射弁筐体H22に収容して、電力制御装置12cを第2収容部H2に収容しない構成を採用しても良い。また、図5Bに示すように、空気調圧弁12bのみを燃料溜まり部22を備えた調圧弁筐体H21に収容して、噴射弁筐体H22及び電力制御装置12cを第2収容部H2に収容しない構成を採用しても良い。
さらに、図4により説明した調圧弁筐体H21、噴射弁筐体H22、及び電気部品筐体H23の構成も種々変更が可能である。
例えば、図5Cに示すように、燃料溜まり部22と制御コンポーネント12(図5Cでは代表して空気調圧弁12bを示す)を上下方向に対して並列に隣接させて配置するように第2収容部H2を構成しても良い。また、図5Dに示すように、上下方向に対して並列に隣接させた態様で別体に構成された第2収容部H2のそれぞれの内部に、燃料溜まり部22及び制御コンポーネント12(図5Cでは代表して空気調圧弁12bを示す)を配置する構成としても良い。
さらに、燃料溜まり部22が制御コンポーネント12よりも高温領域HAに近い側に配置されるように第2収容部H2を配置しても良い。これにより、高温領域HAにより近く位置された燃料溜まり部22に貯留される原燃料により、当該高温領域HAからの熱をより好適に吸収することができる。
また、制御コンポーネント12に対する熱保護機能をより高める観点から、調圧弁筐体H21、噴射弁筐体H22、及び電気部品筐体H23の少なくとも一つを断熱材料で構成するか、又はこれら筐体に別途断熱材を設けても良い。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図6は、第2実施形態による燃料電池システム10の構成を示す図である。図示のように、本実施形態では、低温領域内燃料配管20aにおいて、上流から順に、調圧弁筐体H21、電気部品筐体H23、及び噴射弁筐体H22が配置されている。すなわち、本実施形態の燃料電池システム10は、第1実施形態に対して噴射弁筐体H22と電気部品筐体H23の上下流の位置関係が逆になっている。
したがって、燃料噴射弁12aを収容した噴射弁筐体H22が、低温領域内燃料配管20aにおいて最下流(最下方)に位置することとなる。
以上説明した構成を有する本実施形態の燃料電池システム10によれば、以下の作用効果を奏する。
燃料噴射弁12aは、低温領域内燃料配管20aにおいて、空気調圧弁12b、及び電力制御装置12cよりも下流に配置される。より詳細には、低温領域内燃料配管20aにおいて、上流から順に、空気調圧弁12b、電力制御装置12c、及び燃料噴射弁12aが配置される。
低温領域内燃料配管20a又は燃料溜まり部22内の原燃料が高温領域HAからの熱を吸収すること気化してガス成分が発生した場合、相対的に高温の当該ガス成分は低温領域内燃料配管20aの上流(上方)に向かう傾向となる。そのため、低温領域内燃料配管20aにおいて最下流に位置する燃料噴射弁12aには、高温のガス成分が到達し難くなる。結果として、改質器50への燃料供給流量を制御することを想定した燃料噴射弁12aにおいて、供給すべき燃料にガス成分が混じることに起因する制御性の低下を抑制することができる。
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態又は第2実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図7は、第3実施形態による燃料電池システム10の構成を示す図である。図示のように、本実施形態では、調圧弁筐体H21と噴射弁筐体H22が一体の筐体に構成されている。より具体的には、調圧弁筐体H21と噴射弁筐体H22からなる一体の筐体は、図4、図5C、又は図5Dの形態で構成された空気調圧弁12bを収容する調圧弁筐体H21、及び図4、図5C、又は図5Dの形態で構成された燃料噴射弁12aを含む噴射弁筐体H22が、低温領域内燃料配管20aにおける流路方向において相互に並列した状態で結合した構成をとる。
以上説明した構成を有する本実施形態の燃料電池システム10によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の燃料電池システム10では、第2収容部H2としての調圧弁筐体H21及び噴射弁筐体H22は、燃料噴射弁12a及び空気調圧弁12bを収容するように一体に構成されている。これにより、低温領域内燃料配管20aの構成を簡素化することができる。
なお、調圧弁筐体H21と噴射弁筐体H22を一体とする構成に代えて、調圧弁筐体H21と電気部品筐体H23を一体とする構成、噴射弁筐体H22と電気部品筐体H23を一体とする構成、又は調圧弁筐体H21、噴射弁筐体H22、及び電気部品筐体H23の全てを一体とする構成を採用しても良い。
なお、第2収容部H2における少なくとも2つの筐体を一体として構成しつつ、各第2収容部H2に、第1実施形態又は第2実施形態で説明した燃料溜まり部22の容積よりも大きい容積(例えば2〜3倍)とした一つの燃料溜まり部22を当該一体とした筐体内に設けるようにしても良い。これにより、上述した低温領域内燃料配管20aの簡素化を実現しつつ、燃料溜まり部22による熱の吸収能力及び各制御コンポーネント12の冷却能力も好適に発揮することができる。
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について説明する。なお、第1〜3実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8は、第4実施形態による燃料電池システム10の構成を示す図である。図示のように、本実施形態の燃料電池システム10は、図2で説明した第1実施形態の燃料電池システム10において、低温領域内燃料配管20aは、燃料配管入口70から調圧弁筐体H21までの第1管路20a1と、調圧弁筐体H21から噴射弁筐体H22までの第2管路20a2と、噴射弁筐体H22から電気部品筐体H23までの第3管路20a3と、電気部品筐体H23から噴射弁筐体H22までの第4管路20a4と、を有している。
そして、それぞれの管路の径が、第4管路20a4、第3管路20a3、第2管路20a2、及び第1管路20a1の順で大きくなるように構成されている。すなわち、本実施形態の燃料電池システム10では、低温領域内燃料配管20aは、上流の燃料配管入口70に近づくにつれて流路断面積が大きくなる。
以上説明した構成を有する本実施形態の燃料電池システム10によれば、以下の作用効果を奏する。
低温領域内燃料配管20aは、低温領域LAの入口である燃料配管入口70に近づくにつれて流路断面積が大きくなるように構成される。
これにより、熱が比較的集まり易い上流の燃料配管入口70に相対的に近い位置の低温領域内燃料配管20aの流路断面積が大きくなる。したがって、低温領域内燃料配管20a又は燃料溜まり部22内の原燃料が高温領域HAからの熱を吸収することによって、自然滞留又は気化が発生した場合であっても、熱及びガス成分を燃料配管入口70から好適に外部に放出することができる。また、燃料配管入口70に近い相対的に上流の位置に配置される第2収容部H2(図8では調圧弁筐体H21)の燃料溜まり部22に貯留された原燃料によって、低温領域内燃料配管20a内の相対的に下流の位置から伝達してきた熱を吸収することができる。結果として、低温領域LA内の温度が過剰に上昇することを抑制できるため、各制御コンポーネント12に対する熱保護機能をより向上させることができる。
(第5実施形態)
以下、第5実施形態について説明する。なお、第1〜4実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図9は、第5実施形態による車両システム100の構成を示す図である。
本実施形態の車両システム100は、第1〜4実施形態のいずれかの構成を有する燃料電池システム10に対して、既に説明した原燃料供給源としての燃料タンク200及び燃料ポンプ200aと、既に説明した空気供給源としての空気ブロア300と、コントローラ80と、を備えて構成される。
コントローラ80は、中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたコンピュータ、特にマイクロコンピュータで構成される。そして、コントローラ80は、本実施形態に係る各処理を実行可能となるようにプログラムされている。
本実施形態のコントローラ80は、例えば、車両システム100の全体を制御するVCM(Vehicle control module)の機能に組み込まれており、システム収容筐体H1の外部に配置される例を示している。しかしながら、コントローラ80を、VCMとは装置として構成しても良い。また、このようにVCMとは別に構成されたコントローラ80を、システム収容筐体H1の内部の低温領域LA内に配置しても良い。
また、コントローラ80は一つのハードウェアにより構成されていても良いし、複数のハードウェアを用いて各制御を分散処理する態様で構成されていても良い。
本実施形態のコントローラ80は、燃料ポンプ200a、燃料噴射弁12a、空気ブロア300をそれぞれ操作して、低温領域内燃料配管20a内の燃料圧力、改質器50への燃料供給流量、及び空気熱交換器52(燃料電池スタック54)への空気供給流量をそれぞれ制御する。
特に、コントローラ80は、例えば、車両のユーザー(ドライバ)によって所定の操作スイッチに対する操作に基づいた燃料電池システム10の停止要求又はアイドルストップ指令信号(以下、「通常停止要求」とも記載する)を検出すると、予め定められた通常停止処理のプログラムにしたがう制御を実行する。通常停止処理では、燃料電池システム10を好適に停止させる観点から各部の冷却を行うべく、空気ブロア300を作動させて空気配管30及び空気供給通路62に空気を流す冷気運転を行う。以下、本実施形態の通常停止処理についてより詳細に説明する。
図10は、本実施形態の燃料電池システム10の通常停止制御の流れを説明するフローチャートである。なお、コントローラ80は、本フローチャートに示す通常停止制御を、上述の通常停止要求を検出したことをトリガとして実行する。
通常停止要求を検出すると、ステップS110において、コントローラ80は、燃料噴射弁12aを閉塞する。すなわち、改質器50への燃料供給を停止する。
ステップS120において、コントローラ80は、制御コンポーネント12(空気調圧弁12b、燃料噴射弁12a、及び電力制御装置12c)の温度と、低温領域内燃料配管20a内の燃料圧力と、を取得する。
ここで、制御コンポーネント12の温度は、例えば、低温領域LA内の所定位置に設けた温度センサの検出値として取得する。特に、調圧弁筐体H21、噴射弁筐体H22、及び電気部品筐体H23内にそれぞれ設けた温度センサの各検出値の代表値又は平均値などを制御コンポーネント12の温度とみなして取得しても良い。
また、低温領域内燃料配管20a内の燃料圧力は、図示しない圧力センサの検出値として取得することができる。
次に、ステップS130において、コントローラ80は、燃料圧力及び空気供給流量を設定する。
本実施形態において、コントローラ80は、空気ブロア300の出力、及び必要に応じて空気調圧弁12bの開度を操作して空気供給流量を冷気運転における目標値に制御する。その一方で、本実施形態のコントローラ80は、は、燃料圧力を通常停止要求の前(通常運転時)と同じ値に維持するように燃料ポンプ200aの出力を操作する。
そして、ステップS140において、コントローラ80は、制御コンポーネント12の温度が予め定められる温度(以下、「冷却完了判定温度」)よりも低いか否か判定する。なお、この冷却完了判定温度は、例えば、燃料電池システム10の停止後において、制御コンポーネント12の温度が熱保護の観点などから十分に冷却されているか否かを判断し得る閾値に定められる。
コントローラ80は、ステップS140の判定結果が否定的である場合にはステップS130の処理を継続する。そして、コントローラ80は、ステップS140の判定結果が肯定的である場合に、ステップS150に移行する。
ステップS150において、コントローラ80は、燃料ポンプ200a及び空気ブロア300を停止する。その後、コントローラ80は、燃料電池システム10を停止させるための他の処理(電力系の停止など)を実行する。
図11は、本実施形態による燃料電池システム10の通常停止制御を説明するタイミングチャートである。
図示のように、燃料電池システム10の通常停止時において、コントローラ80は、通常停止要求の検出(時刻t1)において、燃料圧力を通常停止要求の前の通常運転時と同じ値に維持する。そして、制御コンポーネント12の温度が冷却完了判定温度よりも低くなったとき(時刻t2)に、燃料ポンプ200aを停止して後の停止処理に移行する。
以上、説明した本実施形態の車両システム100によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の車両システム100は、第1〜4実施形態のいずれかの構成を有する燃料電池システム10と、原燃料供給源としての燃料ポンプ200aと、空気供給源としての空気ブロア300と、燃料ポンプ200a、燃料噴射弁12a、及び空気ブロア300をそれぞれ操作して、燃料配管20としての低温領域内燃料配管20a内の燃料圧力、改質器50への燃料供給流量、及び燃料電池スタック54への空気供給流量を制御するコントローラ80と、を備える。
これにより、第1〜4実施形態のいずれかの構成を有する燃料電池システム10において、制御コンポーネント12に対する冷却を行う観点から、燃料圧力、燃料流量、及び空気流量を好適に制御し得る車両システム100が提供されることとなる。
特に、本実施形態の車両システム100では、コントローラ80は、燃料電池システム10の停止要求である通常停止要求を検出すると、燃料流量をゼロに設定し(図11の時刻t1)、低温領域内燃料配管20a内の燃料圧力を、停止要求を検出する前の燃料圧力に設定する(図11の時刻t1〜t2)。
これにより、本来であれば改質器50への燃料供給を停止する通常停止要求の検出後において、低温領域内燃料配管20a内の燃料圧力が維持される。このため、低温領域内燃料配管20a内の原燃料による制御コンポーネント12に対する冷却を通常停止要求の後に実行することができ、通常停止時における制御コンポーネント12の好適な冷却が実現される。
特に、本実施形態では、通常停止要求の検出後も低温領域内燃料配管20a内の燃料圧力を維持することで、低温領域内燃料配管20a内の燃料の飽和蒸気圧及び沸点を高い状態に維持することができる。このため、低温領域内燃料配管20a内の燃料の気化が抑制されるので、通常停止要求の検出後であっても、低温領域内燃料配管20a内の燃料による各制御コンポーネント12の熱保護機能が好適に確保されることとなる。
なお、上述した燃料圧力を通常停止要求の前と同じ値に維持する制御に代えて、燃料圧力を通常停止要求の前よりも大きくする制御を採用しても良い。
すなわち、図12のタイミングチャートに示すように、コントローラ80が通常停止要求を検出すると、燃料圧力が通常停止要求の検出前よりも大きくなるように燃料ポンプ200aの出力を調節する構成としても良い。これにより、通常停止要求の検出後における低温領域内燃料配管20a内の燃料の自然滞留及び気化を抑制する効果がより向上する。
また、コントローラ80が通常停止要求を検出すると、上記ステップS130において、上述した冷気運転における目標値に関らず、空気ブロア300を停止(空気供給流量をゼロに設定)する制御を採用しても良い。すなわち、上述した通常停止要求の検出前後において、低温領域内燃料配管20a内の燃料圧力を維持又は増加させる制御によって、低温領域内燃料配管20a内又は燃料溜まり部22内の原燃料により、空気を供給せずとも各制御コンポーネント12の冷却効果を適切に得られる場合には、空気ブロア300を停止することもできる。
(第6実施形態)
以下、第6実施形態について説明する。なお、第5実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、特に、上記ステップS130において、コントローラ80は、燃料圧力を通常停止要求の前と同じ値に維持するように燃料ポンプ200aの出力を調節しつつ、空気供給流量も通常停止要求の前と同じ値に維持するように空気ブロア300の出力を調節する。
図13は、本実施形態の燃料電池システム10の通常停止の流れを説明するフローチャートである。
図示のように、本実施形態では、時刻t1の前後において、燃料圧力及び空気供給流量の双方が、通常停止要求の前と同じ値に維持されている。すなわち、本実施形態では、上述した冷気運転における目標値に関らず、空気供給流量が通常停止要求の前に設定されていた空気供給流量に維持されるように、空気ブロア300の出力、及び必要に応じて空気調圧弁12bの開度を操作する。
以上、説明した本実施形態の車両システム100によれば、以下の作用効果を奏する。
コントローラ80は、通常停止要求を検出する前後において空気供給流量を維持する。
これにより、通常停止要求を検出した後において、第2収容部H2内を供給される空気により冷却することができる。したがって、通常停止時において、当該供給される空気により低温領域内燃料配管20a及び燃料溜まり部22内の原燃料の温度上昇を抑え、当該原燃料の気化をより好適に抑制することができる。結果として、通常停止時において燃料溜まり部22内に貯留された原燃料の燃料による各制御コンポーネント12の熱保護機能をより確実に維持することができる。
なお、本実施形態では、通常停止要求の検出後において、燃料圧力及び空気供給流量の双方を通常停止要求の前と同じ値に維持する例を示した。一方で、これに限られず、図12で説明した通常停止要求の後に燃料圧力を通常停止要求の前より大きく設定する場合において、図13に示した空気供給流量を通常停止要求の前と同じ値に維持する制御を実行しても良い。
(第7実施形態)
以下、第7実施形態について説明する。なお、第5実施形態又は第6実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態のコントローラ80は、例えば、車両システム100及び燃料電池システム10内の各種要素に何らかの異常の発生、及び車両のユーザーによる緊急停止スイッチへの操作等に基づく緊急停止指令を検出した場合に、燃料電池システム10を速やかに停止させるために予め定められた緊急停止処理のプログラムにしたがう制御を実行する。以下、本実施形態の制御についてより詳細に説明する。
図14は、本実施形態の燃料電池システム10の緊急停止制御の流れを説明するフローチャートである。なお、コントローラ80は、本フローチャートに示す緊急停止制御を、上述の緊急停止指令を検出したことをトリガとして実行する。
ステップS210及びステップS220において、コントローラ80は、燃料噴射弁12aを閉塞するとともに、空気ブロア300を停止する。すなわち、緊急停止時には、通常停止時とは異なり、燃料電池システム10をできるだけ安全に停止させる観点から強電部品である空気ブロア300を、速やかに停止させるべく空気供給流量をゼロに設定する。このため、緊急停止時には、通常停止制御における空気ブロア300によって空気を供給する冷気運転は実行されない。
そして、ステップS230において、コントローラ80は、制御コンポーネント12の温度と、低温領域内燃料配管20a内の燃料圧力と、を取得する。
ステップS240において、コントローラ80は、燃料圧力を設定する。本実施形態において、コントローラ80は、燃料圧力を緊急停止指令の前(通常運転時)と同じ値に維持するように燃料ポンプ200aの出力を調節する。
そして、ステップS250において、コントローラ80は、制御コンポーネント12の温度が冷却完了判定温度よりも低いか否か判定する。
コントローラ80は、ステップS250の判定結果が否定的である場合にはステップS240の処理を継続する。そして、コントローラ80は、ステップS250の判定結果が肯定的である場合に、ステップS260に移行する。
ステップS260において、コントローラ80は、燃料ポンプ200aを停止する。その後、コントローラ80は、燃料電池システム10を緊急停止させるための他の処理(電力系の停止など)を実行する。
図15は、本実施形態による燃料電池システム10の緊急停止を説明するタイミングチャートである。
図示のように、燃料電池システム10の緊急停止時において、コントローラ80は、緊急停止指令の検出(時刻t1´)において、燃料電池スタック54への空気供給を停止して、燃料圧力を緊急停止指令の前の通常運転時と同じ値に維持する。
特に、本実施形態にかかる緊急停止時の場合には、緊急停止指令の検出タイミングで空気ブロア300を停止させるため、第5実施形態又は第6実施形態で説明した冷気運転のように、冷却のための空気の供給を行うことができない。しかしながら、コントローラ80が燃料圧力を緊急停止指令の前の通常運転時と同じ値に維持することによって、当該燃料による各制御コンポーネント12の冷却機能及び熱保護機能が好適に維持される。
以上、説明した本実施形態の車両システム100によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の車両システム100では、コントローラ80は、燃料電池システム10の緊急停止指令を検出すると、燃料供給流量及び空気供給流量をゼロに設定し(図14のステップS210及びステップS220)、燃料圧力を、緊急停止要求を検出する前の燃料圧力に設定する(図15の時刻t1´〜t2´)。
これにより、燃料電池システム10の緊急停止時においても、低温領域内燃料配管20a内の燃料圧力を維持して制御コンポーネント12に対する熱保護機能を発揮させることができる。特に、緊急停止時において、燃料電池システム10をできるだけ安全に停止させる観点などから空気ブロア300を速やかに停止させることに起因して、各制御コンポーネント12に対して空気による冷却(冷気運転)を実行しないシーンであっても、低温領域内燃料配管20a内又は燃料溜まり部22内の原燃料による各制御コンポーネント12の冷却機能及び熱保護機能を好適に確保することができる。
なお、上述した燃料圧力を通常停止要求の前と同じ値に維持する制御に代えて、燃料圧力を通常停止要求の前よりも大きくする制御を採用しても良い。
すなわち、図16のタイミングチャートに示すように、コントローラ80が通常停止要求を検出すると、燃料圧力が緊急停止指令の検出前よりも大きくなるように燃料ポンプ200aの出力を調節する構成としても良い。これにより、通常停止要求の検出後における低温領域内燃料配管20a内の燃料の自然滞留及び気化を抑制する効果がより向上する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記各実施形態及び各変形例は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記各実施形態及び各変形例の第2収容部H2は、低温領域LA内において、内部に燃料溜まり部22を有し、空気調圧弁12b、燃料噴射弁12a、及び電力制御装置12cの少なくとも一つを個別に覆う態様をとっている。しかしながら、第2収容部H2を、システム収容筐体の壁部と断熱筐体42の壁部の間の空間(すなわち、低温領域LA)と見立て、空気調圧弁12b、燃料噴射弁12a、及び電力制御装置12cの少なくとも一つの周辺において、原燃料を一定程度滞留させることのできる部分(例えば、螺旋状等の巻回形状)を低温領域内燃料配管20aに形成し、これを燃料溜まり部22として構成して良い。
また、上記実施形態では、原燃料供給装置として改質器50への燃料供給流量を調節する燃料噴射弁12a、及び空気供給装置として空気熱交換器52への空気供給圧力を調節する空気調圧弁12bを採用し、これらを、燃料溜まり部22を有する調圧弁筐体H21及び噴射弁筐体H22に収容する例を説明した。
しかしながら、他の原燃料供給装置又は空気供給装置を、燃料溜まり部22を有する第2収容部H2に収容しても良い。例えば、原燃料供給装置として燃焼器56への燃料噴射弁、及び空気供給装置として空気バイパス弁(温度調節弁)を採用して、燃料溜まり部22を有する第2収容部H2によりこれらを収容する構成としても良い。また、燃料電池システム10が改質器50へ空気を供給する系統を有する場合には、改質器50に供給する空気の流量を調節する改質反応弁を空気供給装置として採用し、当該改質反応弁を燃料溜まり部22を有する第2収容部H2により収容する構成としても良い。
また、上記実施形態は適宜、組み合わせが可能である。