詳細な説明
定義
別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および材料と類似した、またはそれと等しい任意の方法および材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、本明細書には、好ましい方法、デバイス、および材料が記載されている。本明細書において引用された技術刊行物および特許公報は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書における全てが、本発明が先行発明の理由でそのような開示に先立つ権利が与えられないことを容認するものと解釈されるべきではない。
本発明の実施には、別段の指定のない限り、当技術分野の技術の範囲内である、組織培養、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学および組換えDNAの従来の技法を使用する。例えば、SambrookおよびRussell編(2001年)Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版;Ausubelら編(2007年)Current Protocols in Molecular Biologyシリーズ; Methods in Enzymology(Academic Press, Inc.,N.Y.)シリーズ;MacPhersonら(1991年)PCR 1:A Practical Approach(IRL Press at Oxford University Press);MacPhersonら(1995年)PCR 2:A Practical Approach;HarlowおよびLane編(1999年)Antibodies、A Laboratory Manual;Freshney(2005年)Culture of Animal Cells:A Manual of Basic Technique、第5版;Gait編(1984年)Oligonucleotide Synthesis;米国特許第4,683,195号;HamesおよびHiggins編(1984年)Nucleic Acid Hybridization;Anderson(1999年)Nucleic Acid Hybridization;HamesおよびHiggins編(1984年)Transcription and Translation;Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press(1986年));Perbal(1984年)A Practical Guide to Molecular Cloning;MillerおよびCalos編(1987年)Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(Cold Spring Harbor Laboratory);Makrides編(2003年)Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells;MayerおよびWalker編(1987年)Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology(Academic Press、London);およびHerzenbergら編(1996年)Weir’s Handbook of Experimental Immunologyを参照されたい。
範囲を含めた全ての数字表示、例えば、pH、温度、時間、濃度、および分子量は近似であり、1.0または0.1単位で、必要に応じて、またはその代わりに、+/−15%、あるいは10%あるいは5%あるいは2%の変動で(+)または(−)に変動する。必ずしも明記されているとは限らないが、全ての数字表示に「約」という用語が先行することが理解されるべきである。本明細書に記載の試薬はただ単に例示的なものであり、その等価物が当技術分野で公知であることも、必ずしも明記されているとは限らないが、理解されるべきである。
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」および「the(その)」は、文脈によりそうでないことが明確に規定されない限り、複数の参照対象を含む。例えば、「ポリペプチド」という用語は、複数のポリペプチドを、それらの混合物を含めて包含する。
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、組成物および方法が、列挙された要素を含むが、他のものを排除しないことを意味するものとする。「から本質的になる(consisting essentially of)」は、組成物および方法を定義するために使用される場合、意図された使用のための組合せのための任意の本質的に重要な他の要素を排除することを意味するべきである。したがって、本明細書で定義されている要素から本質的になる組成物は、単離および精製方法由来の微量汚染物質および薬学的に許容されるキャリア、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、保存料などを排除しない。「からなる(consisting of)」は、他の成分の微量要素および本発明の組成物を投与するための実質的な方法のステップを超えるものを排除することを意味するべきである。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
「バイオフィルム」とは、構造物の表面に接着する微生物の薄い層を意味し、有機または無機であり得、それらが分泌するDNAなどのポリマーと一緒にあり得る。バイオフィルムは、微生物(microbiotics)および抗菌剤に対して非常に耐性である。バイオフィルムは、歯肉組織、歯および修復物に生息し、歯周プラーク疾患としても公知の齲歯および歯周病を引き起こす。バイオフィルムは、慢性中耳感染症も引き起こす。バイオフィルムは、歯科インプラント、ステント、カテーテル線およびコンタクトレンズの表面上にも形成され得る。バイオフィルムは、ペースメーカー、心臓弁置換物、人工関節および他の外科用インプラントの上で増殖する。Centers for Disease Control)は、院内の感染(nosocomial infection)(院内感染(hospital−acquired infection))の65%超はバイオフィルムによって引き起こされると推定している。真菌バイオフィルムはまた、頻繁に、医療デバイスを汚染する。バイオフィルムは、慢性膣感染症を引き起こし、免疫系が妨げられている人において生命にかかわる全身感染症を導く。バイオフィルムは、多数の疾患にも関与する。例えば、嚢胞性線維症の患者は、抗生物質耐性のバイオフィルムをもたらすことも多いシュードモナスおよびB.cenocepacia感染を有する。
「を阻害すること、それと競合することまたはその力価を決定すること」という用語は、微生物バイオフィルムの構成成分であるDNA/タンパク質マトリックスの形成を減らすことまたは予防することを意味する。
「DNA BIIポリペプチドまたはDNA BIIタンパク質」とは、DNA結合性ドメインで構成され、したがって、微生物DNAに対して特異的であるまたは一般的な親和性を有するDNA結合性のタンパク質またはポリペプチドを意味する。一態様では、DNA BIIポリペプチドまたはDNA BIIタンパク質は、DNAに、副溝において結合する。DNA BIIタンパク質の非限定的な例は、組込み宿主因子(IHF)タンパク質である。バイオフィルムと関連する可能性がある他のDNA結合性タンパク質としては、DPS(Genbank受託番号:CAA49169)、H−NS(Genbank受託番号:CAA47740)、Hfq(Genbank受託番号:ACE63256)、CbpA(Genbank受託番号:BAA03950)およびCbpB(Genbank受託番号:NP_418813)が挙げられる。
「組込み宿主因子」タンパク質は、バクテリオファージがそのDNAを宿主細菌に組み入れるために使用する細菌のタンパク質である。これらは、細胞外の微生物DNAにも結合する。
「HMGB1」は、DNAの副溝に結合すること、およびそれを歪めることが報告されている高移動性群ボックス(HMGB)1タンパク質であり、干渉作用剤の例である。組換え型の、または単離されたタンパク質およびポリペプチドは、Atgenglobal、ProSpecBio、Protein1およびAbnovaから市販されている。
「HU」とは、一般にはE.coliに付随するヘテロ二量体タンパク質のクラスを指す。HUタンパク質は、DNAジャンクションに結合することが公知である。他の微生物から関連するタンパク質が単離されている。E.coli HUの完全なアミノ酸配列は、Laineら(1980年)Eur. J. Biochem. 103巻(3号):447〜481頁によって報告された。HUタンパク質に対する抗体がAbcamから市販されている。
「HU」または「E.coli U93株由来のヒストン様タンパク質」とは、一般にはE.coliに付随するヘテロ二量体タンパク質のクラスを指す。HUタンパク質は、DNAジャンクションに結合することが公知である。他の微生物から関連するタンパク質が単離されている。E.coli HUの完全なアミノ酸配列は、Laineら(1980年)Eur. J. Biochem, 103巻(3号):447〜481頁によって報告された。HUタンパク質に対する抗体がAbeamから市販されている。E.coliにおけるHUタンパク質サブユニットをコードする遺伝子は、それぞれ配列番号28および29に対応するhupAおよびhupBである。他の生物体においてこれらの遺伝子に対するホモログが見いだされ、他の生物体由来のこれらの遺伝子に対応するペプチドは、表4に見いだすことができる。
「微生物DNA」は、バイオフィルムを生じる微生物由来の一本鎖DNAまたは二本鎖DNAを意味する。
バイオフィルムを「阻害、予防または破壊すること」とは、バイオフィルムの構造を予防的または治療的に縮小させることを意味する。
「干渉作用剤」とは、微生物DNAに対するIHFなどのDNA BIIポリペプチドに対して競合、阻害、予防、滴定または閉塞のうちの任意の1つまたは複数をする作用剤、または微生物バイオフィルムの破壊もする作用剤を意味する。干渉作用剤は、化学分子または生物分子の任意の1つまたは複数であってよい。例えば、IHFは、例えば、4方向のジャンクション、シス−白金付加物、DNAループまたは塩基のバルジを含有するDNAなどのDNA構造に特異的に結合する、それを屈曲させるまたは歪めることができる。そのような作用剤の例としては、これらに限定することなく、(1)IHFのDNA結合活性を阻害する小分子、(2)DNAへの結合においてIHFと競合する、ポリアミンおよびスペルミンなどの小分子、(3)DNAへの結合においてIHFと競合する、IHFのペプチド断片などのポリペプチド、(4)IHFを対象とする抗体またはその断片、または(5)4方向のポリヌクレオチドまたは屈曲したポリヌクレオチド、またはIHF−結合性について競合する屈曲したDNA構造または歪んだDNA構造を含有する他の種類のポリヌクレオチドが挙げられる。「IHFの核酸への結合を阻害する小分子」とは、上記の(1)または(2)を指し、DNAに、副溝において結合する小分子、すなわち、副溝結合性分子を包含する。「4方向のポリヌクレオチド」とは、DNAの4つの鎖間にホリデイジャンクションとしても公知の4方向のジャンクションを含有するポリヌクレオチドを意味する。
「屈曲したポリヌクレオチド」とは、他の鎖と対にならない1本の鎖上に小さなループを含有する二本鎖ポリヌクレオチドを意味する。いくつかの実施形態では、ループは、1塩基から約20塩基までの長さ、あるいは2塩基から約15塩基までの長さ、あるいは約3塩基から約12塩基までの長さ、あるいは約4塩基から約10塩基までの長さである、あるいは、約4塩基、5塩基、または6塩基、または7塩基、または8塩基、または9塩基、または10塩基を有する。
「DNAへの結合においてIHFと競合するポリペプチド」とは、屈曲したDNA構造または歪んだDNA構造を閉塞させるかまたはそのDNA結合への結合においてIHFと競合するが、DNAとバイオフィルムを形成しないタンパク質またはペプチドを意味する。例としては、これらに限定することなく、IHFの1つまたは複数のDNA結合ドメインを含むIHFの断片、またはその生物学的等価物が挙げられる。DNA結合ドメインは図9に示されている。
診断または処置の「被験体」は、細胞または動物、例えば、哺乳動物またはヒトなどである。診断または処置のための非ヒト動物被験体、感染または動物モデルのための非ヒト動物被験体は、例えば、サル、ネズミ科の動物、例えば、ラット、マウス、チンチラなど、イヌ科の動物、例えば、イヌ、ウサギ科の動物、例えば、ウサギなど、家畜、競技動物、および愛玩動物である。
「タンパク質」、「ペプチド」および「ポリペプチド」という用語は、互換的に使用され、それらの最も広範な意味では、2つ以上のサブユニットのアミノ酸、アミノ酸の類似体またはペプチド模倣薬の化合物を指す。サブユニットは、ペプチド結合によって連結されていてよい。別の実施形態では、サブユニットは、他の結合、例えば、エステル結合、エーテル結合などによって連結されていてよい。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならず、最大数のアミノ酸に対する制限はなく、タンパク質の配列またはペプチドの配列を含んでよい。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸および/または非天然アミノ酸または合成アミノ酸のいずれかを指し、グリシンおよびD光学異性体とL光学異性体の両方、アミノ酸の類似体およびペプチド模倣薬を含める。
「C末端のポリペプチド」とは、ポリペプチドのC末端側半分を意図する。一例として、90アミノ酸を含有するポリペプチドについて、C末端のポリペプチドは、アミノ酸46〜90を含む。別の態様では、この用語は、カルボキシ末端から20個のC末端のアミノ酸を意味する。
「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は互換的に使用され、任意の長さのポリマーの形態のヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのいずれか、またはその類似体を指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有してよく、公知または未知の任意の機能を果たし得る。以下はポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片(例えば、プローブ、プライマー、ESTタグまたはSAGEタグ)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、RNAi、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブおよびプライマー。ポリヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチド、例えば、メチル化されたヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体などを含んでよい。存在する場合、ヌクレオチド構造の修飾は、ポリヌクレオチドの組立ての前に、またはその後に付与することができる。ヌクレオチドの配列を非ヌクレオチド構成成分で遮ることができる。ポリヌクレオチドは、重合後に、例えば、標識化構成成分とコンジュゲートすることによってさらに修飾することができる。この用語はまた、二本鎖分子と一本鎖分子の両方を指す。別段の指定または要求がない限り、ポリヌクレオチドである本発明の任意の実施形態は、二本鎖の形態と、二本鎖の形態を成すことが公知であるまたは予測される2つの相補的な一本鎖の形態のそれぞれの両方を包含する。
ポリヌクレオチドは、特異的な配列の4つのヌクレオチド塩基:アデニン(A);シトシン(C);グアニン(G);チミン(T);およびポリヌクレオチドがRNAである場合はチミンの代わりにウラシル(U)で構成される。したがって、「ポリヌクレオチド配列」という用語は、ポリヌクレオチド分子のアルファベット表示である。このアルファベット表示は、中央処理装置を有するコンピュータ内のデータベースに入力し、バイオインフォマティクスの適用、例えば、機能ゲノム科学および相同性検索などのために使用することができる。
「単離された」または「組換え型の」という用語は、本明細書において核酸、例えば、DNAまたはRNAなどに関して使用される場合、それぞれ、巨大分子ならびにポリペプチドの天然の供給源に存在する他のDNAまたはRNAから分離された分子を指す。「単離されたかまたは組換え型の核酸」という用語は、断片として天然に存在せず、自然の状態で見いだされない核酸断片を含むものとする。「単離された」という用語は、本明細書では、他の細胞タンパク質から単離されたポリヌクレオチド、ポリペプチドおよびタンパク質を指すためにも使用され、精製されたポリペプチドと組換え型のポリペプチドの両方を包含するものとする。他の実施形態では、「単離されたかまたは組換え型の」という用語は、細胞、組織、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体またはその断片(複数可)が天然で通常付随する構成物、細胞および他の物から分離されていることを意味する。例えば、単離された細胞は、異なる表現型または遺伝子型の組織または細胞から分離された細胞である。単離されたポリヌクレオチドは、そのネイティブな環境または天然の環境、例えば、染色体上では通常付随する3’および5’の連続したヌクレオチドから分離されている。当業者には明らかであるように、天然に存在しないポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体またはその断片(複数可)は、その天然に存在する対応物と区別するために「単離」を必要としない。
明示的な列挙がなくとも、また別段の意図がなければ、本発明がポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチドまたは抗体に関する場合、本発明の範囲内でその等価物または生物学的等価物が意図されることが推定されるべきである。本明細書で使用される場合、「生物学的なその等価物」は、参照のタンパク質、抗体、ポリペプチドまたは核酸について言及される場合、「その等価物」という用語と同義であるものとし、所望の構造または機能性を依然として維持しながら最小の相同性または配列同一性を有するものを意味する。本明細書において具体的に列挙されていなければ、本明細書で言及されているポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはタンパク質はいずれも、その等価物も包含すると考えられる。例えば、別の態様では、等価物とは、少なくとも約60%、あるいは少なくとも約65%、あるいは少なくとも約70%、あるいは少なくとも約75%、あるいは少なくとも約80%、あるいは少なくとも約85%、あるいは少なくとも約90%、あるいは少なくとも約95%、あるいは98%の相同性または配列同一性の百分率を意味し、参照タンパク質、参照ポリペプチドまたは参照核酸と実質的に等しい生物活性を示す。生物学的に等価なポリペプチドの例は表2において提供され、Arm断片は、表2において同定され、そこでは好ましいアミノ酸配列への保存されたアミノ酸置換が同定されている。
別の配列に対して特定の百分率(例えば、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%)の「配列同一性」を有するポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド領域(または、ポリペプチドまたはポリペプチド領域)は、アラインメントすると、比較されている2つの配列の塩基(またはアミノ酸)の百分率が同じであることを意味する。アラインメントおよび相同性または配列同一性の百分率は、当技術分野で公知のソフトウェアプログラム、例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubelら編、1987年)付録30、セクション7.7.18、表7.7.1に記載のものを使用して決定することができる。アラインメントのために初期状態のパラメータを使用することが好ましい。好ましいアラインメントプログラムは、初期状態のパラメータを使用したBLASTである。具体的には、好ましいプログラムは、以下の初期状態のパラメータを使用したBLASTNおよびBLASTPである:遺伝暗号(Genetic code)=標準;フィルター(filter)=なし;鎖(strand)=両方;カットオフ(cutoff)=60;エクスペクト(expect)=10;行列(Matrix)=BLOSUM62;デスクリプション(Descriptions)=50配列;ソート(sort by)=HIGH SCORE;データベース(Databases)=非冗長性、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+SwissProtein+SPupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、以下のインターネットアドレスにおいて見いだすことができる:ncbi.nlm.nih.gov/cgi−bin/BLAST。
「相同性」または「同一性」または「類似性」とは、2つのペプチド間または2つの核酸分子間の配列類似性を指す。相同性は、比較するためにアラインメントすることができる各配列内の位置を比較することによって決定することができる。比較される配列内の位置が同じ塩基またはアミノ酸によって占有されている場合、それらの分子は、その位置において相同である。配列間の相同性の程度は、それらの配列が共有する、一致するまたは相同である位置の数の関数である。「無関係の」または「非相同な」配列は、本発明の配列の1つと40%未満の同一性、あるいは25%未満の同一性を共有する。
「相同性」または「同一性」または「類似性」は、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする2つの核酸分子を指す場合もある。
「ハイブリダイゼーション」とは、1つまたは複数のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合によって安定化された複合体を形成する反応を指す。水素結合は、ワトソン・クリック塩基対合、フーグスティーン結合によって、または任意の他の配列特異的な様式で起こり得る。複合体は、二重鎖構造を形成している2つの鎖、多数鎖複合体を形成している3つ以上の鎖、単一の自己ハイブリダイズ性(self−hybridizing)鎖、またはこれらの任意の組合せを含んでよい。ハイブリダイゼーション反応は、より大規模なプロセスのステップ、例えば、PCR反応の開始、またはリボザイムによるポリヌクレオチドの酵素的切断などを構成し得る。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては、約25℃〜約37℃のインキュベーション温度;約6×SSC〜約10倍SSCのハイブリダイゼーション緩衝液の濃度;約0%〜約25%のホルムアミド濃度;および約4×SSC〜約8×SSCの洗浄溶液が挙げられる。中程度のハイブリダイゼーション条件の例としては、約40℃〜約50℃のインキュベーション温度;約9×SSC〜約2×SSCの緩衝液の濃度;約30%〜約50%のホルムアミド濃度;および約5×SSC〜約2×SSCの洗浄溶液が挙げられる。高ストリンジェンシー条件の例としては、約55℃〜約68℃のインキュベーション温度;約1×SSC〜約0.1×SSCの緩衝液の濃度;約55%〜約75%のホルムアミド濃度;および約1×SSC、0.1×SSCの洗浄溶液、または脱イオン水が挙げられる。一般に、ハイブリダイゼーションのインキュベート時間は、5分から24時間の間であり、1つ、2つ、またはそれ以上の洗浄ステップを伴い、洗浄インキュベート時間は約1分、2分、または15分である。SSCは0.15MのNaClおよび15mMのクエン酸緩衝液である。他の緩衝系を用いたSSCの等価物を使用することができることが理解される。
本明細書で使用される場合、「発現」とは、ポリヌクレオチドがmRNAに転写されるプロセスおよび/または転写されたmRNAがその後、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は、真核細胞におけるmRNAのスプライシングを含んでよい。
「コードする」という用語は、ポリヌクレオチドに適用される場合、そのネイティブな状態にある場合、または当業者に周知の方法によって操作される場合、転写および/または翻訳してポリペプチドおよび/またはその断片に対するmRNAを作製することができるポリペプチドを「コードする」と考えられているポリヌクレオチドを指す。アンチセンス鎖は、そのような核酸の相補物であり、それからコード配列を推定することができる。
本明細書で使用される場合、「処置すること(treating)」、「処置(treatment)」などの用語は、本明細書では、所望の薬理的効果および/または生理的効果を得ることを意味するために使用される。効果は、障害またはその徴候または症状を完全にまたは部分的に予防するという点で予防的であってよい、および/または、障害および/または障害に起因する有害作用に対する部分的または完全な治癒という点で治療的であってよい。
予防するとは、障害または影響の素因がある系または被験体において障害または影響をin vitroまたはin vivoで予防することを意図する。その例は、バイオフィルムを生じることが公知の微生物に感染した系においてバイオフィルムの形成を予防することである。
「組成物」は、活性薬剤、および不活性な別の化合物または組成物(例えば、検出可能な作用剤またはラベル)または活性な別の化合物または組成物、例えば、アジュバントなどの組合せを意味するものとする。
「医薬組成物」は、in vitro、in vivoまたはex vivoでの診断または処置における使用に適した組成物を成す活性薬剤と不活性または活性なキャリアの組合せを含むものとする。
「薬学的に許容されるキャリア」とは、本発明の組成物に使用することができる任意の希釈剤、賦形剤、ポリマー、ミセル、リポソーム(lipsome)、ベクター、プラスミドまたはキャリアを指す。薬学的に許容されるキャリアとしては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミンなど、緩衝物質、例えば、ホスフェートなど、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和型の植物脂肪酸の部分的なグリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩など、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。適切な医薬キャリアは、この分野における標準の参照テキストであるRemington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Companyに記載されている。適切な医薬キャリアは、意図された投与形態、すなわち、経口的な錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ剤などに関して選択すること、および従来の医薬の慣習と一致することが好ましい。
注射用途に適切な医薬組成物としては、滅菌水溶液(成分が水溶性である場合)または分散液および滅菌注射用溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が挙げられ得る。静脈内投与の場合、適切なキャリアには、生理食塩液、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)、またはリン酸緩衝生理食塩液(PBS)が含まれる。いずれの場合にも、非経口投与のための組成物は、無菌でなければならず、シリンジ注射が容易に可能となる程度の流体であるべきである。医薬組成物は、製造および貯蔵条件下で安定であるべきであり、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対抗して保存されなければならない。
経口組成物としては、一般に、不活性希釈剤または食用キャリアが挙げられる。治療用経口投与のために、活性化合物を、賦形剤と共に組み入れ、錠剤、トローチ、またはカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形態で使用することができる。経口組成物を、含嗽剤として使用するために液体キャリアを使用して調製することもできる。薬学的に適合性の結合剤および/またはアジュバント材料は、組成物の一部として組み入れることができる。錠剤、丸薬、カプセル、トローチなどは、以下の成分または類似の性質の化合物:微晶質セルロース、トラガカントガム、もしくはゼラチンなどの結合剤;デンプンもしくはラクトースなどの賦形剤;アルギン酸、Primogel、もしくはトウモロコシデンプンなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotesなどの潤滑剤;コロイド性二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロースもしくはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ芳香剤などの芳香剤のうちのいずれかを含有し得る。
吸入投与の場合、化合物は、適切な高圧ガス、例えば、二酸化炭素などのガスを含有する高圧容器もしくは高圧分注器、または噴霧器からのエアゾールスプレーの形態で送達することができる。
本発明の「生物学的に活性な作用剤」または活性薬剤とは、単離されたかまたは組換え型のポリペプチド、単離されたかまたは組換え型のポリヌクレオチド、ベクター、単離された宿主細胞、または抗体、ならびにそれらのうちの1つまたは複数を含有する組成物のうちの1つまたは複数を意味する。
「投与」は、処置の過程全体を通して、1回用量で、連続的に、または断続的に実施することができる。最も有効な手段および投与量を決定する方法は、当業者に公知であり、療法に使用される組成物、療法の目的、処置されている標的細胞、および処置されている被験体によって変動する。単回投与または多数回の投与は、処置にあたっている医師によって選択された用量のレベルおよびパターンを用いて行うことができる。適切な投薬の処方および作用剤を投与する方法は当技術分野で公知である。投与経路を決定することができ、最も有効な投与経路を決定する方法は当業者に公知であり、処置に使用される組成物、処置の目的、処置されている被験体の健康状態または疾患の病期、および標的細胞または組織によって変動する。投与経路の非限定的な例としては、経口投与、経鼻投与、注射、および局所塗布が挙げられる。
本発明の作用剤は、療法のために、任意の適切な投与経路によって投与することができる。好ましい経路は、レシピエントの状態および年齢、ならびに処置されている疾患によって変動することも理解されよう。
「有効量」という用語は、所望の効果を実現するために十分な数量を指す。治療的または予防的な適用に関して、有効量は、問題の状態の種類および重症度ならびに個々の被験体の特性、例えば、全体的な健康、年齢、性別、体重、および医薬組成物に対する寛容性などに左右される。免疫原性組成物に関して、いくつかの実施形態では、有効量は、病原体に対する防御応答をもたらすために十分な量である。他の実施形態では、免疫原性組成物の有効量は、抗原に対する抗体生成をもたらすために十分な量である。いくつかの実施形態では、有効量は、それを必要とする被験体に受動免疫を付与するために必要な量である。免疫原性組成物に関して、いくつかの実施形態では、有効量は、上記の因子に加えて、意図された使用、特定の抗原性化合物の免疫原性の程度、および健康/被験体の免疫系の応答性に左右される。当業者は、これらおよび他の因子に応じて適量を決定することができる。
in vitroでの適用の場合では、いくつかの実施形態では、有効量は、問題の適用のサイズおよび本質に左右される。有効量は、in vitroにおける標的および使用されている方法の本質および感度にも左右される。当業者は、これら他の考察に基づいて有効量を決定することができる。有効量は、実施形態に応じて、組成物を1回または複数回投与することを含んでよい。
「コンジュゲートした部分」という用語は、単離されたキメラポリペプチドに、キメラポリペプチドの残基と共有結合を形成することによって付加することができる部分を指す。部分は、キメラポリペプチドの残基と直接結合させることができる、または、リンカーとの共有結合を形成し、次にリンカーとキメラポリペプチドの残基の共有結合を形成することができる。
「ペプチドコンジュゲート」とは、1つまたは複数のポリペプチドと別の化学的または生物学的な化合物との共有結合または非共有結合による結びつきを指す。非限定的な例では、ポリペプチドと化学化合物の「コンジュゲーション」により、意図された目的に対するポリペプチドの安定性または効力が改善される。一実施形態では、ペプチドをキャリアとコンジュゲートし、ここでキャリアは、リポソーム、ミセル、または薬学的に許容されるポリマーである。
「リポソーム」は、同心脂質二重層からなる顕微鏡レベルの小胞である。構造的に、リポソームは、数百オングストロームから数分の1ミリメートルまでの寸法を有する長い管から球体まで、サイズおよび形状に幅がある。小胞形成性脂質は、外層の脂質組成物をもたらす最終的な複合体の特定の程度の流動性または剛性が実現されるように選択する。これらは、中性(コレステロール)または双極性であり、リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルイノシトール(PI)、およびスフィンゴミエリン(SM)など、およびこれらに限定されないが、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を含めた他の種類の双極性の脂質を含み、炭化水素の鎖長は14〜22の範囲内であり、飽和型であるまたは1つまたは複数のC=C2重結合を有する。単独で、または他の脂質構成成分と組み合わせて安定なリポソームを作製することができる脂質の例は、リン脂質、例えば、水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジステアロイルホスファチジルエタン(distearoylphosphatidylethan)−オラミン(DSPE)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(palmitoyloleoylphosphatidylcholine)(POPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(palmitoyloleoylphosphatidylethanolamine)(POPE)およびジオレオイルホスファチジルエタノールアミン4−(N−マレイミド−メチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(DOPE−mal)などである。リポソームに組み入れることができる、脂質を含有する非亜リン酸のさらなるものとしては、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキル−アリール硫酸塩、アセチルパルミテート(acetyl palmitate)、グリセロールリシノレエート(glycerol ricinoleate)、ヘキサデシルステアレート(hexadecyl
stereate)、両性のアクリルポリマー、ポリエチルオキシレート化(polyethyloxylated)脂肪酸アミド、および上記のカチオン性脂質(DDAB、DODAC、DMRIE、DMTAP、DOGS、DOTAP(DOTMA)、DOSPA、DPTAP、DSTAP、DC−Chol)が挙げられる。負に荷電した脂質としては、小胞を形成することができるホスファチジン酸(PA)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、およびジセチルホスフェート(dicetylphosphate)が挙げられる。一般には、リポソームは、それらの全体的なサイズおよびラメラ構造の本質に基づいて3つのカテゴリーに分けることができる。New York Academy Sciences Meeting、「Liposomes and Their Use in Biology and Medicine」、1977年12月によって展開された3つの分類は、多層状の小胞(MLV)、小さな単層の小胞(SUV)および大きな単層の小胞(LUV)である。生物活性のある作用剤を、本明細書に記載の方法に従って投与するためにそのようなものに封入することができる。
「ミセル」は、液体コロイド中に分散した界面活性物質分子の凝集体である。典型的な水溶液中ミセルは、周囲の溶媒と接触した親水性の「頭部」領域を有し、ミセルの中心に疎水性の尾部領域が隔離された凝集体を形成する。この種類のミセルは、順相ミセル(水中油ミセル)として公知である。逆ミセルは、頭部基を中心に有し、尾部が突き出している(油中水ミセル)。ミセルは、本明細書に記載のポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体または組成物を付着させて、標的の細胞または組織への効率的な送達を容易にするために使用することができる。
「薬学的に許容されるポリマー」という句は、本明細書に記載の1つまたは複数のポリペプチドとコンジュゲートすることができる化合物の群を指す。ポリマーをポリペプチドとコンジュゲートすることにより、in vivoおよびin vitroでのポリペプチドの半減期を延長することができると考えられる。非限定的な例としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、糖、ポリオールならびにそれらの混合物が挙げられる。生物活性のある作用剤は、本明細書に記載の方法に従って投与するために、薬学的に許容されるポリマーとコンジュゲートすることができる。
「遺伝子送達ビヒクル」は、挿入されたポリヌクレオチドを宿主細胞内に運ぶことができる任意の分子と定義される。遺伝子送達ビヒクルの例は、リポソーム、ミセル、天然ポリマーおよび合成ポリマーを含めた生体適合性ポリマー;リポタンパク質;ポリペプチド;多糖;リポ多糖;人工ウイルス外被;金属粒子;および細菌、またはウイルス、例えば、バキュロウイルス、アデノウイルスおよびレトロウイルスなど、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、真菌のベクター、ならびに、種々の真核生物宿主および原核生物宿主における発現について記載されており、遺伝子療法のために、ならびに単純なタンパク質の発現のために使用することができる、当技術分野で一般に使用される他の組換え型ビヒクルである。
本発明のポリヌクレオチドは、遺伝子送達ビヒクルを使用して細胞または組織に送達することができる。「遺伝子送達」、「遺伝子移入」、「形質導入」などは、本明細書で使用される場合、導入するために使用する方法に関係なく、外因性のポリヌクレオチド(時には「導入遺伝子」と称される)を宿主細胞に導入することに関する用語である。そのような方法としては、種々の周知の技法、例えば、ベクターに媒介される遺伝子移入(例えば、ウイルス感染症/トランスフェクション、または種々の他のタンパク質ベースまたは脂質ベースの遺伝子送達複合体による)、ならびに、「裸の」ポリヌクレオチドの送達を容易にする技法などが挙げられる(例えば、電気穿孔、「遺伝子銃」送達およびポリヌクレオチドを導入するために使用する種々の他の技法など)。導入したポリヌクレオチドは、宿主細胞内で安定にまたは一過性に維持することができる。安定に維持するためには、一般には、導入したポリヌクレオチドが宿主細胞と適合する複製開始点を含有すること、または、宿主細胞のレプリコン、例えば、染色体外のレプリコン(例えば、プラスミド)または核内染色体またはミトコンドリア染色体などに組み込まれることが必要である。当技術分野で公知であり、また本明細書に記載されている通り、いくつものベクターが、遺伝子の哺乳動物の細胞への移入を媒介することができることが公知である。
「プラスミド」は、染色体DNAと独立して複製することができる、染色体DNAから分離される染色体外のDNA分子である。多くの場合、プラスミドは環状の二本鎖である。プラスミドにより、微生物の集団内に水平に遺伝子移入するための機構がもたらされ、また、一般には、所与の環境状態下で選択的な利点がもたらされる。プラスミドは、競合的な環境的ニッチにおいて天然に存在する抗生物質に対する耐性をもたらす遺伝子を保有してよい、あるいは、産生されるタンパク質は同様の状況の下で毒素としての機能を果たし得る。
遺伝子工学において使用される「プラスミド」は、「プラスミドベクター」と称される。そのような使用のための多くのプラスミドが市販されている。複製しようとする遺伝子を、細胞を特定の抗生物質に対して耐性にする遺伝子およびDNA断片をこの場所に容易に挿入することを可能にするいくつかの一般に使用される制限部位を含有する短い領域である多重クローニング部位(MCS、またはポリリンカー)を含有するプラスミドのコピーに挿入する。プラスミドの別の主要な使用は、大量のタンパク質を生産することである。この場合、研究者は、対象の遺伝子を有するプラスミドを含有する細菌を増殖させる。細菌はタンパク質を産生してその抗生物質耐性を付与するのと同じように、挿入された遺伝子から大量のタンパク質を産生するように誘導することもできる。これは、遺伝子、または次にそれがコードするタンパク質を大量生産する安価かつ容易なやり方である。
「酵母人工染色体」または「YAC」とは、大きなDNA断片(100kbよりも大きく、最大3000kb)をクローニングするために使用されるベクターを指す。これは、人工的に構築された染色体であり、酵母細胞において複製および保存されるために必要なテロメア配列、セントロメア配列、および複製開始点配列を含有する。最初の環状のプラスミドを使用して築き、制限酵素を使用することによって直線化し、次いでDNAリガーゼにより、突出末端を使用することによって対象の配列または遺伝子を線形の分子に付加することができる。酵母発現ベクター、例えば、YAC、YIp(酵母組込みプラスミド)、およびYEp(酵母エピソームプラスミド)などは、酵母はそれ自体が真核細胞であるので、翻訳後修飾された真核生物のタンパク質産物を得ることができるので非常に有用であるが、YACはBACよりも不安定であり、キメラ的な影響を生じることが見いだされている。
「ウイルスベクター」は、宿主細胞に送達しようとするポリヌクレオチドを含む、in
vivo、ex vivoまたはin vitroのいずれかで組換えによって作製されるウイルスまたはウイルス粒子と定義される。ウイルスベクターの例としては、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、アルファウイルスベクターなどが挙げられる。感染性のタバコモザイクウイルス(TMV)ベースのベクターは、タンパク質の製造に使用することができ、タバコの葉においてGriffithsinを発現することが報告されている(O’Keefeら(2009年)Proc. Nat. Acad.Sci. USA 106巻(15号):6099〜6104頁)。アルファウイルスベクター、例えば、セムリキ森林ウイルスベースのベクターおよびシンドビスウイルスベースのベクターなどが、遺伝子療法および免疫療法において使用するために開発されている。Schlesinger & Dubensky(1999年)Curr. Opin. Biotechnol. 5巻:434〜439頁およびYingら(1999年)Nat. Med. 5巻(7号):823〜827頁を参照されたい。遺伝子移入がレトロウイルスベクターによって媒介される態様では、ベクター構築物とは、レトロウイルスのゲノムまたはその一部、および治療的な遺伝子を含むポリヌクレオチドを指す。
本明細書で使用される場合、「レトロウイルス媒介性遺伝子移入」または「レトロウイルスの形質導入」は同じ意味を有し、ウイルスが細胞に侵入し、そのゲノムを宿主細胞ゲノム内に組み込むことによって遺伝子または核酸配列が宿主細胞に安定に移入されるプロセスを指す。ウイルスは、その通常の感染機構によって宿主細胞に侵入することができる、または、細胞に侵入するために異なる宿主細胞の表面受容体またはリガンドに結合するように修飾することができる。本明細書で使用される場合、レトロウイルスベクターとは、ウイルスまたはウイルス様の侵入機構によって外因性の核酸を細胞に導入することができるウイルス粒子を指す。
レトロウイルスは、それらの遺伝情報をRNAの形態で保有する;しかし、ウイルスが細胞に感染すると、RNAはDNAの形態に逆転写され、感染した細胞のゲノムDNAに組み込まれる。組み込まれたDNA形態はプロウイルスと称されている。
遺伝子移入がDNAウイルスベクター、例えば、アデノウイルス(Ad)またはアデノ随伴ウイルス(AAV)などによって媒介される態様では、ベクター構築物とは、ウイルスのゲノムまたはその一部、および導入遺伝子を含むポリヌクレオチドを指す。アデノウイルス(Ad)は、比較的よく特徴付けられたウイルスの均一な群であり、50を超える血清型を含む。例えば、国際PCT公開第WO95/27071号を参照されたい。Adは、宿主細胞ゲノムへの組込みを必要としない。組換え型のAd由来ベクター、特に野生型ウイルスの組換えおよび生成の潜在性を低下させるものも構築されている。国際PCT公開第WO95/00655号および同第WO95/11984号を参照されたい。野生型AAVは宿主細胞のゲノムへの組込みに高い感染性および特異性を有する。Hermonat & Muzyczka(1984年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81巻:6466〜6470頁およびLebkowskiら(1988年)Mol. Cell. Biol. 8巻:3988〜3996頁を参照されたい。
プロモーターと、ポリヌクレオチドを作動可能に連結することができるクローニング部位の両方を含有するベクターは当技術分野で周知である。そのようなベクターはRNAをin vitroまたはin vivoで転写することができ、Stratagene(La Jolla、CA)およびPromega Biotech(Madison、WI)などの供給源から市販されている。発現および/またはin vitro転写を最適化するために、クローンの5’非翻訳部分および/または3’非翻訳部分を除去、付加または変更して、転写レベルまたは翻訳レベルのいずれかで発現に干渉するまたは発現を低下させる可能性がある余分の潜在的な不適切な代替翻訳開始コドンまたは他の配列を排除することが必要であり得る。あるいは、発現を増強するために、コンセンサスリボソーム結合部位を開始コドンのすぐ5’側に挿入することができる。
遺伝子送達ビヒクルは、DNA/リポソーム複合体、ミセルおよび標的ウイルスタンパク質−DNA複合体も包含する。本発明の方法では、ターゲティング抗体またはその断片も含むリポソームを用いることができる。タンパク質トランスフェクションの非限定的な技法により、ポリヌクレオチドを細胞または細胞集団に送達することに加えて、本明細書に記載のタンパク質を細胞または細胞集団に直接導入することができる、あるいは発現を増強し、かつ/または本発明のタンパク質の活性を促進する培養条件が他の非限定的な技法である。
本明細書で使用される場合「eDNA」という用語は、病原性の(例えば、細菌性の)バイオフィルムに対する構成成分として見いだされる細胞外のDNAを指す。
本明細書で使用される場合、「抗体」および「免疫グロブリン」という用語は、任意のアイソタイプの抗体または免疫グロブリン、これらに限定されないが、Fab、Fab’、F(ab)2、Fv、scFv、dsFv、Fd断片、dAb、VH、VL、VhH、およびV−NARドメインを含めた、抗原への特異的な結合を保持する抗体の断片;ミニ抗体(minibody)、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体およびカッパ抗体(kappa body);抗体断片から形成された多特異性の抗体断片および1つまたは複数の単離されたもの;CDRまたは機能的パラトープ;キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、および抗体の抗原結合性部分を含む融合タンパク質および非抗体タンパク質も包含する。免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体(Ab)の定常領域は、免疫グロブリンの宿主組織への結合を媒介することができる。
本明細書中の用語「抗体」を、最も広範な意味で使用し、特に、所望の生物学的活性を示す限り、全長モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ヒトモノクローナル抗体、組換えヒト抗体、キメラ抗体、抗体誘導体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体フラグメント、抗原結合断片が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」とは、実質的に同種の抗体集団から得られた抗体を指す。モノクローナル抗体は、そのそれぞれが抗原上の単一の決定因子を対象とするので、高度に特異的である。抗体は、例えば、放射性同位元素、検出可能な産物を生成する酵素、蛍光タンパク質などを用いて検出可能に標識することができる。抗体は、さらに他の部分、例えば、特異的結合対のメンバー、例えば、ビオチン(ビオチン−アビジン特異的結合対のメンバー)などとコンジュゲートすることができる。抗体は、これらに限定されないが、ポリスチレンのプレートまたはビーズなどを含めた固体支持体に結合させることもできる。
モノクローナル抗体は、当技術分野で公知のハイブリドーマ法または組換えDNA法を用いて生成することができる。抗体を生成または選択するための代替の技法としては、in vitroでリンパ球を被験体の抗原に曝露させること、および細胞、ファージ、または同様の系において抗体表出ライブラリーをスクリーニングすることが挙げられる。
「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を含むものとする。本発明のヒト抗体としては、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列にコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダム変異誘発または部位特異的変異誘発によって、またはin vivoでの体細胞変異によって導入された変異)を挙げることができる。しかし、「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植された抗体を含まないものとする。したがって、本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、タンパク質の実質的に全ての部分(例えば、CDR、フレームワーク、CLドメイン、CHドメイン(例えば、CH1、CH2、CH3)、ヒンジ、(VL、VH))が、ヒトにおいて実質的に非免疫原性であり、軽微な配列の変化または変異のみを伴う抗体を指す。同様に、霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター、など)および他の哺乳動物に指定された抗体は、そのような種、亜属、属、サブファミリー、ファミリーに特異的な抗体を示す。さらに、キメラ抗体は、上記の任意の組合せを含む。そのような変化または変異は、場合によって、ヒトまたは他の種において、修飾されていない抗体と比較して、免疫原性を保持する、または免疫原性が低いことが好ましい。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体とは異なる。ヒト抗体は、機能的に再編成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖および/または軽鎖)遺伝子を発現することができる非ヒト動物または原核細胞または真核細胞によって作製することができることが指摘されている。さらに、ヒト抗体が単鎖抗体である場合、ヒト抗体は、ネイティブなヒト抗体においては見いだされないリンカーペプチドを含んでよい。例えば、Fvは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域をつなぐリンカーペプチド、例えば、2個〜約8個のグリシンまたは他のアミノ酸残基などを含んでよい。そのようなリンカーペプチドは、ヒト起源のものであるとみなされる。
本明細書で使用される場合、ヒト抗体は、抗体が、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスを免疫化することによって、またはヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることによってヒト免疫グロブリン配列を用いて系から得られる場合、特定の生殖系列配列「に由来する」。ヒト生殖系列免疫グロブリン配列「に由来する」ヒト抗体は、ヒト抗体のアミノ酸配列とヒト生殖系列免疫グロブリンのアミノ酸配列を比較することによって、そのようなものとして同定することができる。選択されたヒト抗体は、一般には、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子にコードされるアミノ酸配列と、アミノ酸配列が少なくとも90%同一であり、他の種(例えば、ネズミ生殖系列配列)の生殖系列免疫グロブリンアミノ酸配列と比較してヒト抗体をヒトであると同定するアミノ酸残基を含有する。ある場合では、ヒト抗体は、生殖系列免疫グロブリン遺伝子にコードされるアミノ酸配列と、少なくとも95%、または、少なくとも96%、97%、98%、または99%までも、アミノ酸配列が同一である。一般には、特定のヒト生殖系列配列に由来するヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子にコードされるアミノ酸配列と10アミノ酸以下の差異を示す。ある場合では、ヒト抗体は、5以下、または、さらには4以下、3以下、2以下、1以下までの、生殖系列免疫グロブリン遺伝子にコードされるアミノ酸配列とのアミノ酸の差異を示し得る。
「ヒトモノクローナル抗体」とは、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する単一の結合特異性を示す抗体を指す。この用語は、組換えヒト抗体も意味する。これらの抗体を作出するための方法は、本明細書に記載されている。
「組換えヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、組換え手段によって調製した、発現させた、創出した、または単離したヒト抗体、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックまたは染色体導入体(transchromosomal)またはそれから調製されるハイブリドーマである動物(例えば、マウス)から単離された抗体、抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から、例えば、トランスフェクトーマ(transfectoma)から単離された抗体、組換え型の、コンビナトリアルなヒト抗体ライブラリーから単離された抗体、およびヒト免疫グロブリン遺伝子配列をスプライシングして他のDNA配列にすることを伴う任意の他の手段によって調製した、発現させた、創出した、または単離した抗体などの全てを包含する。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する。しかし、ある特定の実施形態では、そのような組換えヒト抗体は、in vitroでの変異誘発(または、ヒトIg配列に対する動物トランスジェニックを使用する場合は、in vivoでの体細胞の変異誘発)に供することができ、したがって、組換え型の抗体のVH領域およびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列のVH配列およびVL配列に由来し、それと関連するが、in vivoでのヒト抗体生殖系列レパートリーに天然に存在しない可能性がある配列である。これらの抗体を作出するための方法は、本明細書に記載されている。
本明細書で使用される場合、キメラ抗体は、その軽鎖遺伝子および重鎖遺伝子が、一般には、遺伝子工学によって、異なる種に属する抗体可変性領域遺伝子および抗体定常領域遺伝子から構築された抗体である。
本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」または「ヒト化免疫グロブリン」という用語は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するヒト/非ヒトキメラ抗体を指す。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの可変領域由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)、例えば、マウス、ラット、ウサギなど、または非ヒト霊長類の可変領域由来の残基と交換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体においては見いだされない残基を含んでよい。ヒト化抗体は、場合によって、一般にはヒト免疫グロブリンの、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分も含んでよい。非ヒト抗体は、フレームワーク領域、定常領域またはCDRに、ヒト抗体由来の同様に位置づけされたアミノ酸と置換されている1つまたは複数のアミノ酸を含有する。一般に、ヒト化抗体は、同じ抗体の非ヒト化型と比較して、ヒト宿主において生じる免疫応答を低減することが予測される。ヒト化抗体は、抗原結合性または他の抗体機能に対する影響を実質的に有さない保存されたアミノ酸置換を有し得る。保存された置換のグループ分けとしては、グリシン−アラニン、バリン−ロイシン−イソロイシン、フェニルアラニン−チロシン、リジン−アルギニン、アラニン−バリン、セリン−トレオニンおよびアスパラギン−グルタミンが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「抗体誘導体」という用語は、例えば、第2の分子に対する抗体を連結するために、アミノ酸の1つまたは複数がアルキル化、ペグ化、アシル化、エステル形成またはアミド形成などによって化学修飾されている全長の抗体または抗体の断片を含む。抗体誘導体としては、これらに限定されないが、ペグ化された抗体、システイン−ペグ化された抗体、およびその変異体が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「免疫コンジュゲート」という用語は、第2の作用剤、例えば、細胞傷害性作用剤、検出可能な作用剤、蛍光標識、放射性作用剤、ターゲティング作用剤、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、合成抗体、半合成抗体、または多特異性抗体などに結びついたまたは連結した抗体または抗体誘導体を含む。
本明細書で使用される場合、「検出可能な標識」という用語は、「標識された」組成物を生成するために、検出しようとする組成物に直接または間接的にコンジュゲートした、直接または間接的に検出可能な化合物または組成物、例えば、N末端ヒスチジン(histadine)タグ(N−His)、磁気的に活性な同位元素、例えば、115Sn、117Snおよび119Sn、非放射性同位元素、例えば、13Cおよび15Nなど、ポリヌクレオチドまたはタンパク質、例えば抗体などを意味する。この用語は、ポリヌクレオチドとコンジュゲートした、挿入配列が発現されるとシグナルをもたらす配列、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)なども包含する。標識は、単独で検出可能であってよい(例えば、放射性同位元素標識または蛍光標識)、または、酵素的な標識の場合では、基質である化合物または組成物の検出可能な化学的変質を触媒することができる。標識は、小規模な検出に適していてよい、またはハイスループットなスクリーニングのためにより適していてよい。そのように、適切な標識としては、これらに限定されないが、磁気的に活性な同位元素、非放射性同位元素、放射性同位元素、蛍光色素、発光化合物、色素、および酵素を含めたタンパク質が挙げられる。標識は、単に検出することができる、または、数量化することができる。単に検出する反応は、一般には、ただ単にその存在が確認される反応を含み、一方、数量化する反応は、一般には、数量化できる(例えば、数値で報告することができる)値、例えば、強度、偏光、および/または他の性質などを有する反応を含む。発光アッセイまたは蛍光アッセイでは、検出可能な反応を、実際に結合に関与するアッセイの構成成分と結びつけた発光団またはフルオロフォアを使用して直接生成する、または別の(例えば、レポーターまたは指示薬)構成成分と結びつけた発光団またはフルオロフォアを使用して間接的に生成することができる。
シグナルを生じる発光標識の例としては、これらに限定されないが、生物発光および化学発光が挙げられる。検出可能な発光反応は、一般には、発光シグナルの変化または出現を含む。発光標識化アッセイの構成成分のための適切な方法および発光団は、当技術分野で公知であり、例えば、Haugland, Richard P.(1996年)Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(第6版)に記載されている。発光プローブの例としては、これらに限定されないが、エクオリンおよびルシフェラーゼが挙げられる。
適切な蛍光標識の例としては、これらに限定されないが、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラカイトグリーン(Malacite green)、スチルベン、ルシファーイエロー、Cascade Blue(商標)、およびTexas Redが挙げられる。他の適切な光学色素は、Haugland, Richard P.(1996年)Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(第6版)に記載されている。
別の態様では、蛍光標識に官能性をもたせて、細胞または組織の内部または表面上に存在する細胞の構成成分、例えば、細胞表面マーカーなどへの共有結合性の付着を容易にする。これらに限定されないが、イソチオシアネート基、アミノ基、ハロアセチル基、マレイミド、スクシンイミジルエステル、およびハロゲン化スルホニルを含めた適切な官能基は全て、蛍光標識を第2の分子に付着させるために使用することができる。蛍光標識の官能基の選択は、リンカー、作用剤、マーカー、または第2の標識用作用剤のいずれかに付着させる部位に左右される。
適切な蛍光標識の例としては、これらに限定されないが、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラカイトグリーン(Malacite green)、スチルベン、ルシファーイエロー、Cascade Blue(登録商標)、およびTexas Red(登録商標)が挙げられる。他の適切な光学色素は、Haugland, Richard P.(1996年)Handbook of Fluorescent Probes and
Research Chemicals(第6版)に記載されている。
別の態様では、蛍光標識に官能性をもたせて、細胞または組織の内部または表面上に存在する細胞の構成成分、例えば、細胞表面マーカーなどへの共有結合性の付着を容易にする。これらに限定されないが、イソチオシアネート基、アミノ基、ハロアセチル基、マレイミド、スクシンイミジルエステル、およびハロゲン化スルホニルを含めた適切な官能基は全て、蛍光標識を第2の分子に付着させるために使用することができる。蛍光標識の官能基の選択は、リンカー、作用剤、マーカー、または第2の標識用作用剤のいずれかに付着させる部位に左右される。
「真核細胞」は、モネラ界を除いた生物界の全てを含む。真核生物は、膜に結合した核によって容易に区別することができる。動物、植物、真菌、および原生生物は、その細胞が内部の膜および細胞骨格によって複雑な構造に組織化された真核生物または生物体である。最も特徴的な膜に結合した構造は核である。特に列挙がなければ、「宿主」という用語は、例えば、酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物の細胞を含めた真核生物の宿主を包含する。真核細胞または宿主の非限定的な例としては、サル、ウシ、ブタ、ネズミ、ラット、鳥類、爬虫類およびヒトが挙げられる。
「原核細胞」は、通常、核または任意の他の膜に結合した細胞小器官を欠き、2つの界、細菌および古細菌に分けられる。さらに、染色体DNAを有することの代わりに、これらの細胞の遺伝情報は、プラスミドと称される環状のループ内にある。細菌細胞は、非常に小さく、およそ動物ミトコンドリアのサイズである(直径約1〜2μm、長さ10μm)。原核細胞は、3つの主要な形状:ロッド形状、球状、およびスパイラルを特徴とする。真核生物のような精巧な複製プロセスを行う代わりに、細菌細胞は二分裂によって分裂する。例としては、これらに限定されないが、Bacillus細菌、E.coli細菌、およびSalmonella細菌が挙げられる。
「ネイティブな」または「天然の」抗原は、エピトープを含有する、天然の生物学的な供給源から単離された、かつ被験体において抗原受容体、具体的には、T細胞抗原受容体(TCR)に特異的に結合することができるポリペプチド、タンパク質または断片である。
「抗原」および「抗原性」という用語は、抗体によって認識される能力を有する、または別のように抗体−リガンド対のメンバーとしての機能を果たす分子を指す。「特異的な結合」とは、抗原と免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の可変領域の相互作用を指す。抗体−抗原結合は、in vivoまたはin vitroで起こり得る。当業者は、タンパク質、核酸、脂肪酸、脂質、リポ多糖および多糖を含めた巨大分子は、抗原としての機能を果たす潜在性を有することを理解されよう。当業者は、さらに、抗体リガンドとしての機能を果たす潜在性を有するタンパク質をコードする核酸は、必ず抗原をコードすることを理解されよう。当業者は、さらに、抗原は、全長の分子に限定されず、部分的な分子も含んでよいことを理解されよう。「抗原性」という用語は、抗原の性質を有する分子に対する形容詞的参照である。この用語は、免疫原性である物質、すなわち免疫原、ならびに免疫学的不応答性、またはアネルギーを誘導する物質、すなわちアネルゲン(anergen)を包含する。
「変化した抗原」は、対応する野生型抗原の一次配列とは異なる一次配列を有する抗原である。変化した抗原は、合成方法または組換え方法によって作出することができ、それらとしては、これらに限定されないが、翻訳の間に、または翻訳後に、例えば、リン酸化、グリコシル化、架橋、アシル化、タンパク質分解性の切断、抗体分子、膜分子または他のリガンドへの連結によって示差的に修飾された抗原性ペプチドが挙げられる(Fergusonら(1988年)Ann. Rev. Biochem. 57巻:285〜320頁)。本発明の合成抗原または変化した抗原は、天然のエピトープと同じTCRに結合するものとする。
本明細書ではネイティブな抗原または野生型抗原とも称される「自己抗原」は、被験体において、抗原に対する自己免疫寛容に起因して、免疫応答をわずかに誘導する、または全く誘導しない抗原性ペプチドである。自己抗原の例は、黒色腫特異的抗原gp100である。
「主要組織適合性遺伝子複合体」または「MHC」という用語は、T細胞への抗原提示のため、および急速な移植片拒絶のために必要な細胞表面分子をコードする遺伝子の複合体を指す。ヒトでは、MHCは「ヒト白血球抗原」または「HLA」複合体としても公知である。MHCにコードされるタンパク質は、「MHC分子」として公知であり、クラスI MHC分子およびクラスII MHC分子に分類される。クラスI MHCは、β2−ミクログロブリンと非共有結合的に連結したMHCにおいてコードされるα鎖でできている膜ヘテロ二量体タンパク質を含む。クラスI MHC分子は、ほぼ全ての有核細胞によって発現され、CD8+T細胞への抗原の提示において機能することが示されている。クラスI分子は、ヒトにおけるHLA−A、HLA−B、およびHLA−Cを含む。クラスII MHC分子は、非共有結合的に結びついたα鎖およびβ鎖からなる膜ヘテロ二量体タンパク質も含む。クラスII MHC分子は、CD4+T細胞において機能することが公知であり、ヒトでは、HLA−DP、HLA−DQ、およびHLA−DRを含む。好ましい実施形態では、本発明の組成物およびリガンドは、任意のHLA型のMHC分子と複合体を形成し得る。当業者は、HLAの血清型および遺伝子型に詳しい。bimas.dcrt.nih.gov/cgi−bin/molbio/hla coefficient viewing page、Rammensee H. G.、Bachmann J.、およびStevanovic S. MHC Ligands and Peptide Motifs(1997年)Chapman & Hall Publishers;Schreuder G. M. Th.ら The HLA dictionary(1999年)Tissue Antigens 54巻:409〜437頁を参照されたい。
「免疫応答」とは、広範には、外来物質に対するリンパ球の抗原特異的な応答を指す。「免疫原」および「免疫原性」という用語は、免疫応答を引き出す能力を持つ分子を指す。この応答は抗体産生または免疫細胞の活性化を含み得る。応答は、in vivoまたはin vitroで起こり得る。当業者は、タンパク質、核酸、脂肪酸、脂質、リポ多糖および多糖を含めた種々の巨大分子が免疫原性である潜在性を有することを理解されよう。当業者は、さらに、免疫応答を引き出すことができる分子をコードする核酸は必ず免疫原をコードすることを理解されよう。当業者は、さらに、免疫原は、全長の分子に限定されず、部分的な分子を含んでよいことを理解されよう。
「受動免疫」という用語は、ある対象から別の対象への、抗体の伝達を通じた免疫の伝達を指す。受動免疫は、母親の抗体が胎児に伝達される場合など、天然に起こり得る。受動免疫は、抗体組成物を非免疫の対象に投与する場合など、人工的にも起こり得る。抗体のドナーおよびレシピエントはヒト対象または非ヒト対象であってよい。抗体はポリクローナルまたはモノクローナルであってよく、in vitroまたはin vivoで生成することができ、また、実施形態に応じて、精製されていてよい、部分的に精製されていてよい、または精製されていなくてよい。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、受動免疫は、それを必要とする対象に、特定の抗原を特異的に認識する、またはそれに結合する抗体または抗原結合性断片を投与することによって付与される。いくつかの実施形態では、受動免疫は、特定の抗原を特異的に認識する、またはそれに特異的に結合する抗体または抗原結合性断片をコードする、単離されたかまたは組換え型のポリヌクレオチドを投与することによって付与される。
本発明に関しては、「リガンド」はポリペプチドである。一態様では、本明細書で使用される「リガンド」という用語は、別の分子上の特定の部位に結合する任意の分子を指す。言い換えれば、リガンドは、免疫エフェクター細胞またはタンパク質に対する抗体またはタンパク質に対するDNAとの応答においてタンパク質の特異性を付与する。一態様では、タンパク質内のリガンド部位が、免疫エフェクター細胞上の相補的な結合部位と直接組み合わさる。
本明細書で使用される場合、「固相支持体」または「固体支持体」は互換的に使用され、特定の種類の支持体に限定されない。それどころか、多数の支持体が利用可能であり、当業者に公知である。固相支持体としては、シリカゲル、樹脂、誘導体化プラスチックフィルム、ガラスビーズ、綿、プラスチックビーズ、アルミナゲルが挙げられる。本明細書で使用される場合、「固体支持体」は、合成の抗原提示マトリックス、細胞、およびリポソームも包含する。適切な固相支持体は、所望の最終用途および種々のプロトコールに対する適合性に基づいて選択することができる。例えば、ペプチド合成に関しては、固相支持体とは、樹脂、例えば、ポリスチレン(例えば、Bachem Inc.,Peninsula Laboratoriesなどから得られるPAM−樹脂)、POLYHIPE.RTM樹脂(Aminotech、Canadaから得られる)、ポリアミド樹脂(Peninsula Laboratoriesから得られる)、ポリエチレングリコールをグラフトしたポリスチレン樹脂(TentaGel.RTM、Rapp Polymere、Tubingen、Germany)またはポリジメチルアクリルアミド樹脂(Milligen/Biosearch、Calif.から得られる)などを指し得る。
固相支持体の例としては、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然セルロース、修飾されたセルロース、ポリアクリルアミド、斑糲岩、および磁鉄鉱が挙げられる。キャリアの本質は、いくらかの程度まで可溶性であってよい、または不溶性であってよい。支持材料は、カップリングされた分子が、ポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは抗体に結合することができる限りは、実質的にいかなる可能性のある構造的な立体配置を有してもよい。したがって、支持体の立体配置は、ビーズのように球状であってよい、または、試験管の内側表面、またはロッド外面のように円柱状であってよい。あるいは、表面は、例えばシート、試験紙など平らであってよい、あるいはポリスチレンビーズであってよい。当業者は、抗体または抗原に結合する多くの他の適切なキャリアを知っている、または常套的な実験を使用することによってそれらを確認することができるであろう。
開示を実施するための形態
嚢胞性線維症(CF)は、コーカソイドが罹患する最も一般的な致死性の遺伝的障害である。医学が進歩しても、CFは短命であり、患者は典型的には38歳までしか生存できない。Burkholderia cenocepacia(B.cenocepacia)によってCF肺が感染したこれらの患者は、臨床的にこの微生物が事実上全ての抗生物質に耐性を示し、伝染性が高く、CF患者がこの微生物に感染することにより、しばしば最後の救命選択肢である肺移植の対象外となるので、医学的管理が例外的に困難である。本発明者らは、免疫介入のためにB.cenocepaciaバイオフィルムの以下の2つの豊富な成分を標的にした:細胞外DNAおよびDNABIIタンパク質(後者は細菌核酸結合タンパク質である)。これらのDNABIIタンパク質のうちの1つ(組込み宿主因子、すなわちIHF)に指向する抗血清でのB.cenocepaciaバイオフィルムの処置により、バイオフィルムが有意に破壊された。さらに、B.cenocepaciaバイオフィルムの抗IHF媒介性の不安定化と伝統的な抗生物質への暴露とが組み合わされた場合、バイオフィルム内に常在し、それにより典型的には抗生物質作用に高い耐性を示すB.cenocepaciaは直ちに死滅するようになった。通常は摂取されたB.cenocepaciaを有効に分解することができないネズミCFマクロファージへの暴露前の抗IHF血清とのB.cenocepaciaのプレインキュベーションにより、貪食されたB.cenocepaciaの死滅が統計的に有意に増加した。まとめると、これらの所見は、DNABIIタンパク質のターゲティングはCF患者、特に肺がB.cenocepaciaに感染されたCF患者の処置のための新規のアプローチであることを示す。
診断方法および治療方法
本開示は、Burkholderiaによって産生されたバイオフィルムを阻害するか、それと競合するか、その力価を決定する方法であって、バイオフィルムを有効量の抗組込み宿主因子(抗IHF)抗体と接触させ、それにより、バイオフィルムを阻害するか、それと競合するか、その力価を決定する、接触させることを含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる方法を提供する。本方法をin vitroまたはin vivoで行うことができる。一態様では、抗IHF抗体の接触を、DNアーゼ処置を使用せずに実施する。一態様では、治療から排除されるDNアーゼ処置は、DNA骨格内のホスホジエステル結合の切断を触媒する酵素を含む。治療から排除され、且つ十字構造だけでなく、DNAの多様な二次構造も標的とすることが公知であるDNアーゼ酵素についての3つの非限定的な例には、DNアーゼI、T4 Endo VII、およびT7 Endo Iが含まれる。一態様では、治療から排除されるDNアーゼ処置は、プルモザイム(登録商標)(ドルナーゼアルファ;Genentech、Inc.)を含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる。
別の態様では、本方法は、バイオフィルムまたはBurkkholderiaを有効量のバイオフィルムを生じるBurkkholderiaの増殖を阻害する抗菌薬と接触させることをさらに含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる。かかる抗菌薬の非限定的な例には、アンピシリン、アモキシシリン−クラブラナート、セフタジジム(ceftazidine)、シプロフロキサシン、イミペネム、ミノサイクリン、およびセフジニルが含まれる。接触をin vitro(in vitro in)またはin vivoで行うことができる。
被験体におけるBurkholderia感染に原因する感染または疾患を処置する方法であって、被験体に有効量の抗IHF抗体を投与し、それによりBurkholderia感染に原因する感染または疾患を処置する、投与することを含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる方法も本明細書中に提供する。
本開示はまた、感染の再発の処置または防止を必要とするCF患者において感染の再発を処置または防止する方法であって、患者に有効量の抗IHF抗体を投与し、それによりCF患者における感染の再発を処置または防止する、投与することを含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる方法も提供する。
一態様では、抗IHF抗体を、DNアーゼ処置を使用せずに投与する。一態様では、治療から排除されるDNアーゼ処置は、DNA骨格内のホスホジエステル結合の切断を触媒する酵素を含む。治療から排除され、且つ十字構造だけでなく、DNAの多様な二次構造も標的とすることが公知であるDNアーゼ酵素についての3つの非限定的な例には、DNアーゼI、T4 Endo VII、およびT7 Endo Iが含まれる。一態様では、治療から排除されるDNアーゼ処置は、プルモザイム(登録商標)(ドルナーゼアルファ;Genentech,Inc.)を含む、またはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる。なおさらなる態様では、本方法は、被験体に有効量のバイオフィルムを生じるBurkholderiaの増殖を阻害する抗菌薬を投与することをさらに含む、またはそれからなおさらに本質的になる、またはさらにそれからなる。かかる抗菌薬の非限定的な例には、アンピシリン、アモキシシリン−クラブラナート、セフタジジム(ceftazidine)、シプロフロキサシン、イミペネム、ミノサイクリン、およびセフジニルが含まれる。
上記の各方法では、Burkholderiaの非限定的な例は、Burkholderia cenocepacia(B.cenocepacia)、B.multivorans、B.mallei、B.cepaci、またはB.pseudomalleiである。
上記方法で用いる抗IHF抗体は、1つまたは複数の抗IHFα抗体または抗IHFβ抗体である。1つのさらなる態様では、抗IHF抗体はIgG抗体である。抗体は、本明細書中に記載の種々の抗体のうちのいずれかであり得、かかる抗体の非限定的な例には、所望の生物学的活性を示す限り、全長モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ヒトモノクローナル抗体、組換えヒト抗体、キメラ抗体、ベニア化抗体、二特異性抗体、ヒト化抗体、抗体誘導体、組換えヒト化抗体、そのフラグメントまたは抗原結合断片が含まれる。一態様では、フラグメントは、抗体のCDRを含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる。一態様では、抗体は、検出可能に標識されているか、抗体にコンジュゲートした検出可能な標識をさらに含む。
抗IHF抗体の非限定的な例を本明細書中に記載し、一態様では、表2において同定されるポリペプチドもしくは表2において同定されるArm断片、またはかかるポリペプチドの等価物、または1つまたは複数の以下の配列を含むポリヌクレオチドもしくはポリペプチドを特異的に認識して結合する1つまたは複数の抗体である:
またはその等価物、またはこれらと少なくとも60%、あるいは少なくとも65%、あるいは少なくとも70%、あるいは少なくとも75%、あるいは80%、あるいは少なくとも85%、あるいは少なくとも90%、あるいは少なくとも95%同一であるか、ポリペプチド配列については、高ストリンジェンシー条件下でかかるポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチドにハイブリッド形成するポリヌクレオチドまたはその相補物によってコードされるポリヌクレオチドもしくはペプチド。高ストリンジェンシー条件を上に記載し、この条件は本明細書中で参考として援用される。出願人は、太字で下線を引いたアミノ酸が高度に保存されていることを確認しており、したがって、一態様では、これらのアミノ酸は等価なポリペプチドのデザインにおいて改変または変更されない。等価なポリペプチドのさらなる例としては、例えば、アミン末端上またはカルボキシ末端上のいずれか(または両方上)に25まで、あるいは20、あるいは15、あるいは10まで、あるいは5までの無作為なアミノ酸が付加された上記ポリペプチドからなるかこれを含むポリペプチドが含まれる。
これらの方法のために、感染は、in vivoおよび哺乳動物宿主(ヒト患者など)で生じ、例えば、未成熟の哺乳動物宿主または小児患者で生じる。
本開示はまた、CF中に存在するかCFに寄与するバイオフィルム(例えば、B.cenocepacia誘導性バイオフィルム)を阻害するか、それと競合するか、その力価を決定する方法であって、バイオフィルムを干渉作用剤と接触させ、それにより、バイオフィルムを阻害するか、それと競合するか、その力価を決定する、接触させることを含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる方法を提供する。接触は、in vitroまたはin vivoで実施することができる。
別の態様では、CF患者またはCFに寄与する感染を保有する患者における細菌バイオフィルムを阻害するか、防止するか、破壊する方法であって、バイオフィルムを干渉作用剤と接触させ、それにより、細菌バイオフィルムを阻害するか、防止するか、破壊する、接触させることを含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる方法を提供する。患者は、動物、哺乳動物、またはヒトの患者であり得る。
in vitroで実施する場合、方法は、本発明のポリペプチド、ポリヌクレオチド、抗体、宿主細胞、小分子および組成物と同じ、類似したまたは逆の力を有する干渉作用剤をスクリーニングまたは確認するために有用である。あるいは、方法を使用して、微生物感染症を処置するためにはどの干渉作用剤が最適であるかを同定することができる。例えば、新しい作用剤または併用療法を、例えば、2つの試料にDNA BIIポリペプチドおよび微生物DNAまたはバイオフィルムおよび試験される作用剤を含有させることによってスクリーニングすることができる。第2の試料は、DNA BIIポリペプチドおよび微生物DNAまたはバイオフィルムおよび活性であることが公知の作用剤、例えば、抗IHF抗体または陽性対照としての機能を果たす小分子を含有する。別の態様では、いくつかの試料を準備し、干渉作用剤を、希釈度を増しながら系に加えて、臨床の場で対象を処置することにおいて有効だと思われる最適な用量を決定する。当業者には明らかであるように、DNA BIIポリペプチドおよび微生物DNAまたはバイオフィルムを含有する陰性対照を準備することができる。別の態様では、DNA BIIポリペプチドおよび微生物DNAまたはバイオフィルムを、例えば、互いに密接に接触させるとシグナルを放出する発光分子を用いて検出可能に標識する。試料を、作用剤がDNA BIIポリペプチドと微生物DNAまたはバイオフィルムの間の相互作用を阻害する、それと競合するまたはその力価を決定するために有効な時間、同様の条件下で含有し、次いで試料を、発光分子からのシグナルの放出についてアッセイする。試料からシグナルが放出されれば、その作用剤は結合を阻害するために有効ではない。
別の態様では、ヒト/動物から、CF感染症を引き起こしている微生物の(例えば細菌などの)単離株を単離し、次いで、それを培養してin vitroでバイオフィルムとして増殖させることができる小型化チャンバースライド系においてin vitroにおける方法を実施する。干渉作用剤(例えば、抗IHF抗体など)または潜在的な干渉作用剤バイオフィルムを、単独で、または別の作用剤と組み合わせて、潜在的な干渉作用剤または干渉作用剤、例えば、抗IHFなど(または他の抗体、小分子、作用剤など)の希釈度を増しながら、または増さずに培養物に加えて、対象の感染症が存在する箇所に送達した場合に、その患者を処置することにおいて有効であると思われる最適用量を見いだす。当業者には明らかであるように、陽性対照および陰性対照を同時に実施することができる。
別の態様では、フローセル中の干渉作用剤(例えば、抗IHF抗体など)および/または潜在的な干渉作用剤(単独で、または別の作用剤と組み合わせて)を用いて、ハイスループットなプラットフォームにおいて方法を実施する。干渉作用剤(例えば、抗IHF抗体など)または潜在的な干渉作用剤バイオフィルムを、単独で、または別の作用剤と組み合わせて、潜在的な干渉作用剤または干渉作用剤、例えば、抗IHFなど(または他の抗体、小分子、作用剤など)の希釈度を増しながら、または増さずに培養物に加えて、対象の感染症が存在する箇所に送達した場合に、その患者を処置することにおいて有効であると思われる最適用量を見いだす。バイオフィルム単離体を超音波処理して、微生物DNAに結合したIHFなどのDNA BIIポリペプチドからバイオフィルム細菌を分離する。DNA BIIポリペプチド−DNA複合体をプラットフォーム上の抗IHF抗体によって単離する。次いで、付加したバイオフィルム細菌を同定するために使用するために、微生物DNAを、例えば、塩洗浄を用いて放出させる。次いで、遊離したDNAを、例えば、PCRによる配列決定によって同定する。DNAが遊離されなければ、干渉作用剤(複数可)は、首尾よく機能したまたは微生物DNAに結合した。DNAが試料に見いだされれば、作用剤はDNA BIIポリペプチド−微生物DNAの結合に干渉しなかった。当業者には明らかであるように、陽性対照および/または陰性対照を同時に実施することができる。
上記の方法は、所与の細菌種が、ある作用剤よりも別の作用剤によるそのバイオフィルムの逆転によく応答する可能性があるので、診断検査としても用いることができ、この急速なハイスループットなアッセイシステムにより、当業者が可能性のある抗IHF様作用剤のパネルをアッセイして最も効果的な群を同定することが可能になる。
これらの方法の利点は、大部分の病院内の臨床的な微生物学研究所にはすでに、液体培地中で(または浮遊状態で(planktonically))増殖している細菌を用いてこれらの種類のアッセイ(すなわち、MIC値、MBC値の決定)を実施する設備が整っていることである。当業者には明らかであるように、細菌は、一般に、疾患を引き起こすときには浮遊状態では増殖しない。その代わりに、細菌は、安定なバイオフィルムとして増殖し、これらのバイオフィルムは抗生物質、抗体または他の処置法による処置に対して著しくより耐性である。この耐性が、大部分のMIC/MBC値によりin vivoにおける効力を正確に予測することができない理由である。したがって、作用剤のどの「用量」がin vitroで細菌バイオフィルムを逆転させることができるかを決定することにより(上記の通り)、出願人らの前臨床的なアッセイは、個人向けの医学の適用としてさえも、臨床的な効力のより信頼できる予測になる。
臨床の場に加えて、この方法は、工業の場において有効な干渉作用剤を同定し、かつ/または確認するために使用することができる。
上記の方法の別の態様では、感染症が阻害される可能性があるかどうかを決定するために、基礎をなす感染症の増殖を阻害することが公知である抗生物質または抗菌薬を逐次的にまたは同時に加える。バイオフィルムの阻害をアッセイするために、欠けている複合体を加える前に干渉作用剤を微生物DNAまたはDNA BIIポリペプチドに加えることも可能である。
非ヒト動物においてin vivoで実施する場合、方法は、単独で、または他の作用剤と組み合わせてバイオフィルムを分解するために使用することができる干渉作用剤を同定するための前臨床的なスクリーニングを提供する。
別の態様では、CF患者またはCFに寄与する感染を保有する患者における細菌バイオフィルムを阻害するか、防止するか、破壊し、そして/または細菌感染を除去する方法であって、バイオフィルムを干渉作用剤と接触させ、それにより、細菌感染または細菌バイオフィルムを阻害するか、防止するか、破壊し、そして/または除去する、接触させることを含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる方法を提供する。患者は、動物、哺乳動物、またはヒトの患者であり得る。
CF患者またはバイオフィルム形成に寄与する感染の発症リスクのある患者におけるバイオフィルムの再発を処置または防止する方法であって、有効量の干渉作用剤を患者に投与し、それにより、CF患者における細菌感染の再発を処置または防止する、投与することを含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる方法も提供する。CF患者は、動物、哺乳動物、またはヒトの患者であり得る。
CFにおける感染再発の処置または防止を必要とする患者において感染再発を処置または防止する方法であって、患者に有効量の干渉作用剤を投与することを含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる方法も提供する。
治療をさらに補助するために、干渉作用剤を抗菌薬と組み合わせることができる。したがって、任意の上記方法は、有効量の抗菌薬の投与または抗菌薬との接触をさらに含む、またはそれから基本的になる、またはさらにそれからなることができる。抗菌薬の非限定的な例には、・・・が含まれる。
上記のin vitro法およびin vivo法のための干渉作用剤および干渉組成物は、米国特許出願公開第2011/0236306号、特に、段落番号238〜263および277〜329(本明細書中で参考として援用される)に記載されている。
別の態様では、方法は、対象に抗菌薬、抗原性ペプチドまたはアジュバントのうちの1つまたは複数を有効量で投与することをさらに含む、あるいはそれから基本的になる、またはさらにそれからなる。
抗菌剤の非限定的な例は、別の他のワクチン構成成分、例えば、表面抗原、例えば、IV型Pilinタンパク質などである(JurcisekおよびBakaletz(2007年)J. of Bacteriology 189巻(10号):3868〜3875頁)。
本発明の作用剤および組成物は、互いに、あるいは他の抗菌剤および/または表面抗原と、同時にまたは逐次的に投与することができる。特定の一態様では、投与は、例えば、直接的な注射または吸入による、感染部位への局部的なものである。投与の他の非限定的な例としては、経真皮的に(transdermally)、尿道に、舌下に、直腸に、膣に、眼に、皮下に、筋肉内に、腹腔内に、鼻腔内に、吸入によってまたは経口的に投与することを含む1種または複数種の方法によるものが挙げられる。
本発明の方法によって処置することができる微生物感染症および疾患としては、CF感染症をもたらすかまたはそれと関連する感染症が挙げられる。これらの微生物感染症は、上気道、中気道および下気道に存在し得る(耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、同様に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪、慢性咳、嚢胞性線維症(CF)の合併症および/または主因ならびに市中感染性肺炎(CAP)。したがって、本発明のin vivoにおける方法を実施することによって、これらの感染症由来のこれらの疾患および合併症も予防または処置することができる。
したがって、本発明の方法に適用可能な投与経路としては、鼻腔内、筋肉内、尿道、気管内、皮下、皮内、局所塗布、静脈内、直腸、経鼻、経口的、吸入、および他の経腸および非経口的な投与経路が挙げられる。投与経路は、所望であれば組み合わせることができる、または作用剤および/または所望の効果に応じて調整することができる。活性薬剤は、単回投与または複数回投与で投与することができる。送達するために適したこれらの方法および経路の実施形態としては、全身性または局在型の経路が挙げられる。一般に、本発明の方法に適した投与経路としては、これらに限定されないが、直接注射経路、経腸経路、非経口的経路、または吸入による経路が挙げられる。
吸入による投与以外の非経口的な投与経路としては、これらに限定されないが、局所経路、経皮(transdermal)経路、皮下経路、筋肉内経路、眼窩内経路、嚢内経路、脊髄内経路、胸骨内経路、および静脈内経路、すなわち、消化管を通る経路以外の任意の投与経路が挙げられる。非経口投与は、阻害剤の全身送達または局所送達をもたらすように行うことができる。全身送達が望まれる場合、投与は、一般には、医薬調製物の侵襲的または全身的に吸収される局所投与または粘膜を通じた投与を伴う。
本発明の干渉作用剤は、経腸投与によって対象に送達することもできる。経腸投与経路としては、これらに限定されないが、経口的送達、尿道送達および直腸送達(例えば、坐薬を用いる)が挙げられる。
皮膚または粘膜を通じた活性物質の投与方法としては、これらに限定されないが、適切な医薬調製物の局所塗布、経皮的(transdermal)伝達、注射および上皮の投与が挙げられる。経皮的伝達については、吸収促進剤またはイオン泳動が適切な方法である。イオン泳動的な伝達は、その生成物を数日またはそれ以上の期間にわたって、損なわれていない皮膚を通じて電気的なパルスによって連続的に送達する市販の「パッチ」を使用して実現することができる。
本発明の方法の種々の実施形態では、干渉作用剤は、吸入によって、注射または経口的に、連続的に、毎日、1日当たり少なくとも1回(QD)、および種々の実施形態では、1日2回(BID)、1日3回(TID)、または、さらには1日4回、投与する。一般には、治療的に有効な1日用量は、少なくとも約1mg、または少なくとも約10mg、または少なくとも約100mg、または約200mg〜約500mg、および時には、化合物に応じて、約1g〜約2.5gと同程度に至るまでである。
投薬は、本発明の方法に従って、カプセル剤、錠剤、経口用懸濁剤、筋肉内注射用懸濁剤、静脈内注入用懸濁剤、局所塗布用ゲル剤もしくはクリーム剤、または関節内注射用懸濁剤を使用して実現することができる。
本明細書に記載の組成物の投与量、毒性および処置効果は、細胞培養物または実験動物における標準の薬学的手順、例えば、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための手順によって決定することができる。毒性効果と処置効果の間の用量比は処置指数であり、LD50/ED50比として表すことができる。高い処置指標を示す組成物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物を用いることができるが、感染していない細胞に対する潜在的な損傷を最小限にし、それによって副作用を軽減するために、そのような化合物を患部組織部位にターゲティングする送達系を設計するために注意を払うべきである。
ヒトにおいて使用するための投与量の範囲を処方するために、細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータを用いることができる。そのような化合物の投与量は、毒性をほとんど伴わず、または毒性を全く伴わずにED50を含む循環濃度の範囲内にあることが好ましい。投与量は、使用する剤形および利用する投与経路に応じて、この範囲内で変動してよい。方法において使用する任意の化合物について、最初に細胞培養アッセイから処置有効量を推定することができる。用量は、動物モデルにおいて、細胞培養において決定される、IC50(すなわち、最大半量の症状の阻害が実現される試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度の範囲が実現されるように処方することができる。そのような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
いくつかの実施形態では、処置効果または予防効果を実現するために十分な有効量の組成物は、投与当たり体重1キログラム当たり約0.000001mgから投与当たり体重1キログラム当たり約10,000mgまでにわたる。投与量の範囲は、投与当たり体重1キログラム当たり約0.0001mgから投与当たり体重1キログラム当たり約100mgまでであることが適切である。投与は、初回投与、その後の1回または複数回の「ブースター」投与としてもたらすことができる。ブースター投与は、初回投与の1日後、2日後、3日後、1週間後、2週間後、3週間後、1カ月後、2カ月後、3カ月後、6カ月後または12カ月後にもたらすことができる。いくつかの実施形態では、ブースター投与は、前の投与に対する対象の応答を評価した後に投与される。
当業者は、これらに限定されないが、疾患または障害の重症度、以前の処置、対象の全体的な健康および/または年齢、および存在する他の疾患を含めた特定の因子が対象を有効に処置するために必要な投与量およびタイミングに影響を及ぼす可能性があることを理解されたい。さらに、本明細書に記載の処置用組成物を処置有効量で用いた対象の処置は、単一の処置または一連の処置を含んでよい。
本発明の組成物および関連する方法は、他の療法の投与と組み合わせて用いることができる。これらには、DNアーゼ酵素、抗生薬、抗菌薬、または他の抗体の投与が含まれるがそれらに限定されない。
一部の実施形態では、方法および組成物が、抗DNABII抗体と共に相乗作用するデオキシリボヌクレアーゼ(DNアーゼ)酵素を包含する。DNアーゼとは、DNA骨格におけるホスホジエステル結合の切断を触媒する任意の酵素である。十字構造だけでなく、DNAの多様な二次構造も標的とすることが公知であるDNアーゼ酵素についての3つの非限定的な例には、DNアーゼI、T4 Endo VII、およびT7 Endo Iが含まれる。特定の実施形態では、DNアーゼと組み合わせると、バイオフィルムを不安定化させるのに必要とされる抗DNABII抗体の有効量が低減される。in vitroで投与する場合、DNアーゼは、アッセイに直接添加することもでき、この酵素を安定化させることが公知である適切な緩衝液により添加することもできる。DNアーゼの有効単位用量およびアッセイ条件は変化する場合があり、当技術分野で公知の手順に従い最適化することができる。
他の実施形態では、方法および組成物を、抗生薬および/または抗菌薬と組み合わせることもできる。抗菌薬とは、細菌、真菌、または原虫などの微生物を死滅させるまたはそれらの増殖を阻害する物質である。バイオフィルムは一般に、抗生薬の作用に対して耐性であるが、本明細書で説明される組成物および方法を用いて、バイオフィルムを伴う感染症を、感染症を処置するための従来の療法に対して感作することができる。他の実施形態では、抗生薬または抗菌薬を、本明細書で説明される方法および組成物と組み合わせて用いることにより、抗菌薬および/またはバイオフィルム低減剤の有効量を低減することが可能となる。本発明の方法との組合せに有用な抗菌薬および抗生薬についての一部の非限定的な例には、アモキシシリン、アモキシシリン−クラブラン酸、セフジニル、アジトロマイシン、およびスルファメトキサゾール−トリメトプリムが含まれる。バイオフィルム低減剤と組み合わされる抗菌薬および/または抗生薬の処置有効量は、従来の方法により容易に決定することができる。一部の実施形態では、バイオフィルム低減剤と組み合わされる抗菌薬の用量が、他の細菌感染症、例えば、感染症の病因がバイオフィルムを包含しない細菌感染症において有効であることが示されている平均有効用量である。他の実施形態では、用量が、平均有効用量の0.1、0.15、0.2、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、または5倍である。抗生薬または抗菌薬は、抗DNABII抗体を添加する前に付加することもでき、それと共時的に付加することもでき、その後で付加することもできる。
他の実施形態では、方法および組成物を、細菌感染症を処置する抗体と組み合わせることもできる。本明細書で説明される方法および組成物と組み合わせるのに有用な抗体の一例は、非類縁外膜タンパク質(すなわち、OMP P5タンパク質)を指向する抗体である。この抗体単独による処置は、in vitroにおいてバイオフィルムをデバルキングすることがない。この抗体と、バイオフィルム低減剤および/または抗菌薬とによる組
合せ療法は、同じ濃度のいずれかの試薬を単独で用いることにより達成され得る効果より大きな効果を結果としてもたらす。バイオフィルム低減剤またはバイオフィルムを縮小させる方法と組み合わせて用いると相乗効果をもたらし得る他の抗体には、抗rsPilA
抗OMP26、抗OMP P2、および抗全OMP抗体調製物が含まれる。
本明細書で説明される組成物および方法を用いて、バイオフィルムを伴わない細菌感染症を処置するのには有効であるが、それ以外の、バイオフィルムを伴う細菌感染症を処置するには有効でない、一般的な処置モダリティーに対して、バイオフィルムを伴う細菌感染症を感作することができる。他の実施形態では、本明細書で説明される組成物および方法を、バイオフィルムを伴う細菌感染症を処置するのに有効な処置モダリティーと組み合わせて用い得るが、このような追加的な療法とバイオフィルム低減剤またはバイオフィルム低減法との組合せは、バイオフィルム低減剤または追加的な治療薬の有効量を低減し得るような相乗効果をもたらす。他の場合には、このような追加的な療法とバイオフィルム低減剤またはバイオフィルム低減法との組合せが、処置を増強するような相乗効果をもたらす。処置の増強は、感染症を処置するのに必要とされる時間の長さの短縮により証拠立てることができる。
追加的な治療的処置は、バイオフィルムを縮小させるのに用いられる方法または組成物の前に付加することもでき、それと共時的に付加することもでき、その後で付加することもでき、同じ形態(formation)中に含有させることもでき、別個の処方物として含有さ
せることもできる。
キット
本明細書で説明されるin vitro法およびin vivo法を実施するのに必要な作用剤および指示書を含有するキットもまた、特許請求される。したがって、本発明は、本発明の干渉することを包含し得る方法を実施するためのキットのほか、組織を回収すること、および/またはスクリーニングを実施すること、および/または結果を解析すること、および/または本明細書で規定される有効量の干渉作用剤を投与することなど、本発明の方法を実施するための指示書も提供する。これらは、単独で用いることもでき、他の適切な抗菌薬と組み合わせて用いることもできる。
例えば、キットは、単離されたもしくは組換え型の組込み宿主因子(IHF)ポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはそのそれぞれの断片もしくは等価物;表1、表2において同定される単離されたかまたは組換え型のタンパク質ポリペプチド、表2、表3、表4において同定されるArm断片、図9において同定されるDNA結合性ペプチド、またはそのそれぞれの断片もしくは等価物;配列番号1〜33または341〜348の単離されたもしくは組換え型のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたはそのそれぞれの断片もしくは等価物;配列番号6〜11、28、29の単離されたもしくは組換え型のC末端のポリペプチド、または表1、表4において同定される単離されたもしくは組換え型のC末端のポリペプチド、またはそのそれぞれの断片もしくは等価物;微生物DNAへの結合について組込み宿主因子と競合するポリペプチド;ホリデイジャンクションと似ている4方向ジャンクションポリヌクレオチド、複製フォークと似ている3方向ジャンクションポリヌクレオチド、固有の柔軟性を有するポリヌクレオチドまたは屈曲したポリヌクレオチド;上記で言及したポリペプチドのうちの任意の1つをコードする、単離されたかまたは組換え型のポリヌクレオチド;上記で言及したポリペプチドのうちの任意の1つを特異的に認識する、またはそれに特異的に結合する抗体、またはその等価物もしくは断片;またはDNABIIタンパク質またはDNABIIポリペプチドの微生物DNAへの結合と競合する小分子の群のうちの任意の1つまたは複数の作用剤と、使用指示書とを含む場合もあり、あるいはそれから本質的になる場合もあり、さらにまたそれからなる場合もある。キットは、アジュバント、抗原性ペプチド、または抗菌薬のうちの1つまたは複数をさらに含み得る。キャリアの例には、液体のキャリア、薬学的に許容されるキャリア、固相のキャリア、薬学的に許容されるキャリア、薬学的に許容されるポリマー、リポソーム、ミセル、インプラント、ステント、ペースト、ゲル、歯科インプラント、または医療用インプラントが含まれる。
ポリペプチド
本明細書では、本明細書に記載の方法において使用するためのポリペプチド干渉作用剤および組成物も提供され、前記干渉作用剤は、
(a)単離されたかまたは組換え型の組込み宿主因子(IHF)ポリペプチド、またはそのそれぞれの断片もしくは等価物、
(b)E.coliのU93株由来の単離されたかまたは組換え型のヒストン様タンパク質(HU)ポリペプチド、またはそのそれぞれの断片もしくは等価物、
(c)表1、表2において同定される単離されたかまたは組換え型のタンパク質ポリペプチド、表2、表3、表4において同定されるArm断片を含むかまたはそれからなるポリペプチド、あるいは図9において同定されるDNA結合性ペプチド、またはそのそれぞれの断片もしくは等価物、
(d)配列番号1〜348の単離されたかまたは組換え型のポリペプチド、またはその断片もしくは等価物、
(e)配列番号6〜11、28、29、42〜100、表1の単離されたかまたは組換え型のC末端のポリペプチド、または表4において同定されるC末端のポリペプチド、またはそのそれぞれの断片もしくは等価物、または
(f)微生物DNAへの結合について組込み宿主因子と競合するポリペプチドまたはポリヌクレオチド
の群のものである。
特定の一態様では、干渉作用剤は、単離されたかまたは組換え型のDNABIIポリペプチド、またはそのそれぞれの断片もしくは等価物である。その非限定的な例は、IHFまたはHUのアルファポリペプチドまたはベータポリペプチド;IHF αポリペプチド;Moraxella catarrhalis HU;E.coli HupA、HupB、himA、himD;E.faecalis HU(例えば、V583など)、HMGB1および表1において同定されるものである。
別の態様では、干渉作用剤は、配列番号1〜5または12〜27、30〜35、101〜340から選択されるアミノ酸配列または図9において同定されるDNA結合性ペプチドから本質的になる単離されたかまたは組換え型のポリペプチドである。
別の態様では、単離されたかまたは組換え型のポリペプチドは、配列番号1または2を含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなるが、配列番号6〜11、28、29、または42〜100のいずれでもない。
別の態様では、単離されたかまたは組換え型のポリペプチドは、配列番号3、4、または5を含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなるが、配列番号6〜11、28、29、または42〜100のいずれでもない。
別の態様では、単離されたかまたは組換え型のポリペプチドは、配列番号12、14、16、18、20、22、24、26、30、または32を含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなるが、配列番号6〜11、28、29、または42〜100のいずれでもない。
別の態様では、単離されたかまたは組換え型のポリペプチドは、配列番号13、15、17、19、21、23、25、27、31、33、34、または35を含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなるが、配列番号6〜11、28、29、または42〜100のいずれでもない。
別の態様では、単離されたかまたは組換え型のポリペプチドは、
配列番号12および13を含むポリペプチド、
配列番号14および15を含むポリペプチド、
配列番号16および17を含むポリペプチド、
配列番号18および19を含むポリペプチド、
配列番号20および21を含むポリペプチド、
配列番号23および24を含むポリペプチド、
配列番号25および26を含むポリペプチド、
配列番号30および31を含むポリペプチド、
配列番号32および33を含むポリペプチド、
配列番号34および35を含むポリペプチド、
配列番号337および338を含むポリペプチド、または
配列番号339および340を含むポリペプチド
からなる群の単離されたかまたは組換え型のポリペプチドを含む、またはそれから本質的になる、またはさらにそれからなるポリペプチドであって、IHFアルファ、IHFベータのうちの任意の1つの野生型または配列番号6〜11、28、29、または42〜100のいずれでもない。
別の態様では、単離されたかまたは組換え型のポリペプチドは、
配列番号12および13から本質的になるポリペプチド、
配列番号14および15から本質的になるポリペプチド、
配列番号16および17から本質的になるポリペプチド、
配列番号18および19から本質的になるポリペプチド、
配列番号20および21から本質的になるポリペプチド、
配列番号23および24から本質的になるポリペプチド、
配列番号25および26から本質的になるポリペプチド、
配列番号30および31から本質的になるポリペプチド、
配列番号32および33から本質的になるポリペプチド、
配列番号34および35から本質的になるポリペプチド、
配列番号337および338から本質的になるポリペプチド、または
配列番号339および340から本質的になるポリペプチド
からなる群の単離されたかまたは組換え型のポリペプチドであって、IHFアルファ、IHFベータのうちの任意の1つの野生型または配列番号6〜11、28、29、または42〜100のいずれでもない。
1つまたは複数の以下の配列を含む単離されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドも本明細書中に提供する:
またはその等価物、またはこれらと少なくとも60%、あるいは少なくとも65%、あるいは少なくとも70%、あるいは少なくとも75%、あるいは80%、あるいは少なくとも85%、あるいは少なくとも90%、あるいは少なくとも95%同一であるか、ポリペプチド配列については、ポリヌクレオチドまたは高ストリンジェンシー条件下でかかるポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチドにハイブリッド形成するその相補物によってコードされるポリヌクレオチドもしくはペプチド。高ストリンジェンシー条件を上に記載し、この条件は本明細書中で参考として援用される。出願人は、太字で下線を引いたアミノ酸が高度に保存されていることを確認しており、したがって、一態様では、これらのアミノ酸は等価なポリペプチドのデザインにおいて改変または変更されない。等価なポリペプチドのさらなる例としては、例えば、アミン末端上またはカルボキシ末端上のいずれか(または両方上)に25まで、あるいは20、あるいは15、あるいは10まで、あるいは5までの無作為なアミノ酸が付加された上記ポリペプチドからなるかこれを含むポリペプチドが含まれる。一態様では、単離されたポリペプチドを、1つまたは複数の検出可能な標識、キャリア(薬学的に許容され得るキャリアなど)、またはアジュバントと組み合わせる。
本発明の方法において使用するための作用剤として、上記の単離されたかまたは組換え型のポリペプチドの断片または等価物がさらに提供される。断片の例は、C末端のポリペプチドである。別の態様では、単離されたかまたは組換え型のポリペプチドは、上記の単離されたかまたは組換え型のポリペプチドのうちの2つ以上を含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる。
例えば、単離されたかまたは組換え型のポリペプチドは、配列番号1〜5、12〜27または30〜33、または断片もしくは等価なポリペプチドのうちの任意の1つを含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる。その例は、表1において同定される、または表2に示される、あるいは、Arm断片は表2、表3または表4に同定される。一態様では、単離された野生型ポリペプチドは排除される、すなわち、ポリペプチドは、配列番号6〜11、28、29、または表1において同定されるまたは表2に示されている野生型配列のいずれでもない。
一態様では、本発明は、配列番号1〜5、12〜27または30〜35、1〜6および13〜35の群のアミノ酸配列から本質的になる単離されたかまたは組換え型のポリペプチド、またはHaemophilus influenzae IHFαまたはHaemophilus influenzae IHFβのβ−3断片および/またはα−3断片に対応するアミノ酸を含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなるポリペプチドを提供し、その非限定的な例としては、配列番号12〜27、またはそのそれぞれの断片もしくは等価物が挙げられる。別の態様では、本発明は、配列番号1〜4、またはそのそれぞれの断片もしくは等価物の群のアミノ酸配列を含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる単離されたかまたは組換え型のポリペプチド、またはHaemophilus influenzae IHFαまたはHaemophilus influenzae IHFβのβ−3断片および/またはα−3断片に対応するアミノ酸を含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなるポリペプチドを提供し、その非限定的な例としては、それぞれ独立に、ポリペプチドのアミノ末端および/またはカルボキシル末端に、少なくとも2個、あるいは少なくとも3個、あるいは少なくとも4個、あるいは少なくとも5個、または少なくとも6個、あるいは少なくとも7個、あるいは少なくとも8個、あるいは少なくとも9個あるいは少なくとも10個のアミノ酸をさらに含む配列番号12〜27またはその断片もしくは生物学的等価物が挙げられる。一態様では、単離された野生型DNA結合性ポリペプチドは排除される、すなわち、ポリペプチドは、配列番号6〜11、28、29、または42〜100または表1に列挙されているもしくは表2に示されている単離された野生型ポリペプチド配列のいずれでもない。
別の態様では、本発明は、配列番号1または2のみを含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなるか、Haemophilus influenzae IHF−αまたはIHFβのβ−3断片および/またはα−3断片に対応するアミノ酸を含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなるポリペプチドと組み合わせた単離されたかまたは組換え型のポリペプチドを提供し、その非限定的な(on−limiting)例には配列番号12〜27またはそのそれぞれの断片もしくは生物学的等価物が含まれる。一態様では、単離された野生型DNA結合ポリペプチドが排除される。すなわち、ポリペプチドは、配列番号6〜11、28、29、42〜100、表1に列挙されたか表2に示された単離されたポリペプチド配列ではない。
なおさらなる態様では、本発明は、配列番号3または4またはそのそれぞれの断片もしくは等価物のみを含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなるか、Haemophilus influenzae IHF−αまたはIHFβのβ−3断片および/またはα−3断片に対応するアミノ酸を含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなるポリペプチドと組み合わせた単離されたかまたは組換え型のポリペプチドを提供し、その非限定的な例には配列番号12〜27および34〜35またはそのそれぞれの生物学的等価物が含まれる。一態様では、単離された野生型DNA結合ポリペプチドが排除される。すなわち、ポリペプチドは、配列番号6〜11、28、29、42〜100、表1に列挙されたか表2に示された単離された野生型ポリペプチド配列ではない。
本発明は、全部で14種の単離されたポリペプチドのうち2種以上、または3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、10種以上、11種以上、12種以上、13種以上を含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる単離されたかまたは組換え型のポリペプチド、またはそのそれぞれの断片もしくは等価物も提供する。その例としては、配列番号1〜4、例えば、配列番号1および2、あるいは1および3、あるいは1および4、あるいは2および3、あるいは配列番号1、2および3、あるいは、2、3および4、あるいは1、3および4を含む単離されたかまたは組換え型のポリペプチドが挙げられる。ポリペプチドは任意の方向、例えば、配列番号1、2、および3または配列番号3、2および1あるいは2、1および3、あるいは、3、1および2であってよい。これらのポリペプチドの生物学的等価物もさらに本発明に含まれるが、その配列は、単離された野生型配列、例えば、表1、2および3において同定されるものなどを含まない。
別の態様では、本発明は、配列番号1または2および3または4、またはそのそれぞれの断片もしくは等価物を含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなるが、配列番号6〜11のいずれでもなく、また、配列番号11〜26、例えば、11および12、あるいは1および11、あるいは2および11、あるいは、1および12、あるいは2および12、あるいは11、12および1、あるいは2、11および12のうちの任意の1つまたは複数をさらに含み得る単離されたかまたは組換え型のポリペプチドを提供する。この実施形態では、配列番号1または2は、配列番号3または4の上流またはアミノ末端に位置するが、そのアミノ酸配列は単離された野生型ポリペプチドではなく、例えば、配列番号6〜11、28および29のいずれでもない。別の態様では、単離されたポリペプチドは、配列番号1または2の上流またはアミノ末端に位置する配列番号3または4を含む。これらのポリペプチドの生物学的等価物がさらに本発明に含まれるが、その配列は、単離された野生型ポリペプチドを含まない。
一実施形態では、野生型ポリペプチドまたはPedullaら(1996年)PNAS
93巻:15411〜15416頁に開示されているものに対して配列同一性を有するポリペプチドまたはタンパク質はいずれも本発明から排除される。
上記の実施形態のいずれにおいても、ポリペプチドのN末端またはC末端にペプチドリンカーを付加することができる。「リンカー」または「ペプチドリンカー」とは、ポリペプチド配列のN末端またはC末端のいずれか連結したペプチド配列を指す。一態様では、リンカーは、約1アミノ酸残基から約20アミノ酸残基までの長さ、あるいは2アミノ酸残基〜約10アミノ酸残基、約3アミノ酸残基〜約5アミノ酸残基の長さである。ペプチドリンカーの例は、Gly−Pro−Ser−Leu−Lys−Leu(配列番号37)である。他の例としては、Gly−Gly−Gly;Gly−Pro−Ser−Leu(配列番号38);Gly−Pro−Ser;Pro−Ser−Leu−Lys(配列番号39);Gly−Pro−Ser−Leu−Lys(配列番号40)およびSer−Leu−Lys−Leu(配列番号41)が挙げられる。
本発明の単離されたポリペプチドは、原核宿主細胞および真核宿主細胞から単離された野生型および組換えによって作製されたポリペプチドおよびタンパク質、ならびに変異タンパク質、類似体およびその断片を含むものとし、そのような細胞の例は上記されている。いくつかの実施形態では、この用語は、本明細書に記載の抗体および抗イディオタイプ抗体も包含する。そのようなポリペプチドは、当技術分野で公知であり、本明細書に簡単に記載されている方法を用いて単離または作製することができる。
野生型ポリペプチドまたはタンパク質の機能的等価物または変異体、例えば、アミノ酸の保存されたアミノ酸置換を有するものも本発明の範囲内であることが理解される。例えば、表2を参照されたい。他の類似体としては、抗原提示マトリックスとつながったポリペプチドを含み得る本発明のタンパク質またはポリペプチドを含む融合タンパク質が挙げられる。
別の態様では、ポリペプチドは、検出可能な標識にコンジュゲートしているかまたは連結している。適切な標識は、当技術分野で公知であり、本明細書に記載されている。
さらなる態様では、検出可能な標識を伴うポリペプチドまたは伴わないポリペプチドを宿主原核生物または真核宿主細胞、例えば、樹状細胞などの表面上に含めることができるまたはそこで発現させることができる。
タンパク質およびポリペプチドは、当業者に公知のいくつものプロセスによって得られ、そのプロセスとしては、精製、化学合成および組換え方法が挙げられる。ポリペプチドは、調製物、例えば、宿主細胞系などから、抗体を用いた免疫沈降などの方法、および標準の技法、例えば、ゲル濾過、イオン交換、逆相クロマトグラフィー、およびアフィニティークロマトグラフィーなどによって単離することができる。そのような方法体系については、例えば、Deutscherら(1999年)Guide To Protein
Purification:Methods In Enzymology(182巻、Academic Press)を参照されたい。したがって、本発明は、これらのポリペプチドを得るためのプロセスならびにこれらのプロセスによって得ることができる生成物および得られた生成物も提供する。
ポリペプチドは、市販の自動ペプチド合成機、例えば、Perkin/Elmer/Applied Biosystems,Inc.、モデル430Aまたは431A、Foster City、Calif.、USAによって製造されたものなどを使用した化学合成によっても得ることができる。合成されたポリペプチドは、沈殿させ、さらに、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製することができる。したがって、本発明は、タンパク質の配列および試薬、例えば、アミノ酸および酵素などをもたらし、アミノ酸を適切な方向および直線配列に連結し合わせることによって本発明のタンパク質を化学的に合成するためのプロセスも提供する。
あるいは、タンパク質およびポリペプチドは、本明細書に記載の宿主細胞およびベクター系を使用して、例えば、Sambrookら(1989年)上記に記載のものなどの周知の組換え方法によって得ることができる。
本出願は、診断方法において使用するための、検出可能な作用剤とコンジュゲートした本明細書に記載のポリペプチドも提供する。例えば、検出可能に標識したポリペプチドは、カラムに結合させ、抗体を検出し、精製するために使用することができる。検出可能に標識したポリペプチドは、下記の通り、抗体を産生させるための免疫原としても有用である。本発明のポリペプチドは、細胞プロセスを調節する作用剤または薬物をスクリーニングするためのin vitroアッセイ系において有用である。
本発明のペプチドを修飾して特性を変更することができることは当業者には周知である。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸および/または非天然アミノ酸または合成アミノ酸のいずれかを指し、グリシンおよびD光学異性体またはL光学異性体の両方、およびアミノ酸の類似体およびペプチド模倣薬を含める。3つ以上のアミノ酸のペプチドは、一般に、ペプチド鎖が短ければオリゴペプチドと称される。ペプチド鎖が長ければ、ペプチドは、一般に、ポリペプチドまたはタンパク質と称される。
本発明のペプチドは、非天然アミノ酸を含むように修飾することができる。したがって、ペプチドは、ペプチドに特別な性質を伝えるために、D−アミノ酸、 とL−アミノ酸の組合せ、および種々の「デザイナー」アミノ酸(例えば、ベータ−メチルアミノ酸、C−アルファ−メチルアミノ酸、およびN−アルファ−メチルアミノ酸など)を含んでよい。さらに、特定のカップリングステップにおいて特定のアミノ酸を割り当てることにより、アルファ−へリックス、ベータターン、ベータシート、ガンマ−ターンを有するペプチド、および環式のペプチドを生成することができる。一般に、アルファ−ヘリックスの二次構造またはランダムな二次構造が好ましいと考えられている。
本発明のポリペプチドは、種々の固相キャリア、例えば、インプラント、ステント、ペースト、ゲル、歯科インプラント、もしくは医療用インプラントなど、または液相キャリア、例えば、ビーズ、滅菌溶液または水溶液、薬学的に許容されるキャリア、薬学的に許容されるポリマー、リポソーム、ミセル、懸濁液およびエマルションなどと組み合わせることもできる。非水系の溶媒の例としては、プロピルエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよび植物油が挙げられる。in vivoで抗体を調製するためまたは免疫応答を誘導するために使用する場合、キャリアは、特異的な免疫応答を非特異的に増大するために有用なアジュバントも含んでよい。当業者は、アジュバントが必要かどうかを容易に決定し、それを選択することができる。しかし、ただ単に例示する目的で、適切なアジュバントとしては、これらに限定されないが、フロイント完全アジュバントおよびフロイント不完全アジュバント、無機塩類およびポリヌクレオチドが挙げられる。他の適切なアジュバントとしては、モノホスホリルリピドA(MPL)、E.coliの熱に不安定なエンテロトキシンの変異体誘導体、コレラ毒素の変異体誘導体、CPGオリゴヌクレオチド、およびスクアレンに由来するアジュバントが挙げられる。
本発明は、本発明のポリペプチド、類似体、変異タンパク質、または断片のうちの任意のものを、単独で、または互いにまたは抗生物質および許容できるキャリアまたは固体支持体のような他の作用剤と組み合わせて含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる医薬組成物も提供する。これらの組成物は、本明細書に記載の種々の診断方法および処置方法のために有用である。
ポリヌクレオチド
本発明は、上で同定された単離されたかまたは組換え型のポリペプチドのうちの1つまたは複数をコードする単離されたかまたは組換え型のポリヌクレオチドおよびそれらのそれぞれの相補鎖も提供する。単離されたかまたは組換え型のポリヌクレオチドを含むベクターがさらに提供され、その例は、当技術分野で公知であり、本明細書に簡単に記載されている。2種以上の単離されたかまたは組換え型のポリヌクレオチドを単一の単位として発現させようとする一態様では、単離されたかまたは組換え型のポリヌクレオチドは、ポリシストロニックベクター内に含有されてよい。ポリヌクレオチドは、DNA、RNA、mRNAまたは干渉RNA、例えば、siRNA、miRNAもしくはdsRNAなどであってよい。
別の態様では、本発明は、DNA BIIポリヌクレオチドが微生物DNAに結合することを処置または阻害する、ならびにバイオフィルムの形成および関連する感染症および障害を処置、予防または阻害することができる、ホリデイジャンクションと似ている4方向のジャンクションポリヌクレオチド、複製フォークと似ている3方向のジャンクションポリヌクレオチド、固有の柔軟性を有するポリヌクレオチドまたは屈曲したポリヌクレオチドである干渉作用剤を提供する。当業者は、そのようなポリヌクレオチドを、本明細書において提供される情報および当業者の知見を用いて作出することができる。GoodmanおよびKay(1999年)J. Biological Chem. 274巻(52号):37004〜37011頁およびKamashevおよびRouviere−Yaniv(2000年)EMBO J. 19巻(23号):6527〜6535頁を参照されたい。
本発明は、さらに、RNA転写のプロモーター、ならびにDNAまたはRNAの複製および/または一過性発現、または安定発現のための他の調節配列に作動可能に連結した単離されたかまたは組換え型のポリヌクレオチドを提供する。本明細書で使用される場合、「作動可能に連結した」という用語は、プロモーターが、DNA分子からRNAの転写を導くように位置づけられていることを意味する。そのようなプロモーターの例は、SP6、T4およびT7である。ある特定の実施形態では、挿入されたポリヌクレオチドを細胞特異的に発現させるために細胞特異的なプロモーターを使用する。プロモーターまたはプロモーター/エンハンサーを含有し、そのプロモーターに作動可能に連結することができる終結コドンおよび選択マーカー配列、ならびにDNAの小片が挿入されたクローニング部位を伴うベクターは、当技術分野で公知であり、市販されている。一般的な方法体系およびクローニング戦略については、Gene Expression Technology(Goeddel編、Academic Press, Inc.(1991年))およびそこで引用されている参照文献、ならびに種々の適切なベクターについてのマップ、機能的性質、商業的な供給者およびGenEMBL受託番号の参照を含有するVectors:Essential Data Series(GacesaおよびRamji編、John Wiley & Sons、N.Y.(1994年))を参照されたい。
一実施形態では、本発明のポリヌクレオチドに由来するポリヌクレオチドは、本明細書に記載の診断的および治療的な有用性を有するポリペプチドまたはタンパク質、ならびに存在する可能性があるまたは存在しない可能性があるタンパク質の転写物を同定するためのプローブをコードする。これらの核酸断片は、例えば、より大きなポリヌクレオチドを制限酵素消化することによって調製し、次いで検出可能なマーカーで標識することができる。あるいは、分子のニックトランスレーションを用いてランダムな断片を生成することができる。そのような断片を調製および標識するための方法体系については、Sambrookら(1989年)上記を参照されたい。
これらの核酸を含有する発現ベクターは、タンパク質およびポリペプチドを作製するための宿主ベクター系を得るために有用である。これらの発現ベクターは宿主生物体において、エピソームとして、または染色体DNAの不可欠な一部として複製可能でなければならないことが示されている。適切な発現ベクターの非限定的な例としては、プラスミド、酵母ベクター、ウイルスベクターおよびリポソームが挙げられる。アデノウイルスベクターは、in vitroおよびin vivoのどちらでも発現が高レベルであり、細胞を効率的に形質転換するので、in vivoで遺伝子を組織に導入するために特に有用である。核酸を、適切な宿主細胞、例えば、原核細胞または真核細胞および宿主細胞複製物に挿入する場合、タンパク質は、組換えによって作製することができる。適切な宿主細胞はベクターに左右され、また、適切な宿主細胞としては、公知の方法を用いて構築した哺乳動物細胞、動物細胞、ヒト細胞、サル細胞、昆虫細胞、酵母細胞、および細菌細胞を挙げることができる。Sambrookら(1989年)上記を参照されたい。外因性の核酸を細胞に挿入するためのウイルスベクターの使用に加えて、核酸は、当技術分野で公知の方法、例えば、細菌細胞の形質転換;哺乳動物の細胞に対する、リン酸カルシウム沈降を使用したトランスフェクション;またはDEAE−デキストラン;電気穿孔;またはマイクロインジェクションなどによって宿主細胞に挿入することができる。方法体系についてはSambrookら(1989年)上記を参照されたい。したがって、本発明は、タンパク質またはポリペプチドまたは抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞、例えば、哺乳動物細胞、動物細胞(ラットまたはマウス)、ヒト細胞、または原核生物細胞、例えば、細菌細胞なども提供する。
ベクターがin vivoまたはex vivoでの遺伝子療法のために使用される場合、薬学的に許容されるベクター、例えば、複製能力のないレトロウイルスまたはアデノウイルスベクターなどが好ましい。本発明の核酸を含有する、薬学的に許容されるベクターは、挿入されたポリヌクレオチドを一過性にまたは安定に発現させるためにさらに修飾することができる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容されるベクター」という用語としては、これらに限定されないが、核酸を、分裂している細胞に選択的にターゲティングし、導入する力を有するベクターまたは送達ビヒクルが挙げられる。そのようなベクターの例は、ウイルスタンパク質を産生することができず、感染した宿主細胞におけるベクター伝播が妨げられることによって定義される「複製能力のない」ベクターである。複製能力のないレトロウイルスベクターの例は、LNL6(Millerら(1989年)BioTechniques 7巻:980〜990頁)である。遺伝子マーカーのレトロウイルス媒介性遺伝子移入のために複製能力のないレトロウイルスを使用する方法体系が確立されている(Bordignon(1989年)PNAS USA 86巻:8912〜8952頁;Culver(1991年)PNAS USA 88巻:3155頁;およびRill(1991年)Blood 79巻(10号):2694〜2700頁)。
本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含有し、かつ/または発現する遺伝子改変された細胞も提供する。遺伝子改変された細胞は、上流の調節配列、例えば、プロモーターまたは遺伝子活性化因子などを挿入することによって作製することができる(米国特許第5,733,761号を参照されたい)。
ポリヌクレオチドは、検出可能なマーカー、例えば、細胞における核酸および/または遺伝子の発現を検出するための酵素標識または放射性同位元素とコンジュゲートすることができる。検出可能なシグナルを生じることができる蛍光リガンド、放射性リガンド、酵素的リガンドまたは他のリガンド、例えば、アビジン/ビオチンなどを含めた多種多様な適切な検出可能なマーカーが当技術分野で公知である。一態様では、放射性試薬または他の環境的に望ましくない試薬の代わりに、蛍光標識または酵素タグ、例えば、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼまたはペルオキシダーゼなどを使用することが望まれる可能性がある。酵素タグの場合では、熱量測定的指示基質を使用して、相補的な核酸含有試料との特異的なハイブリダイゼーションを同定するための、ヒトの眼による、または分光光度的な可視手段をもたらすことができる。したがって、本発明は、さらに、一本鎖のポリヌクレオチドまたはその相補物を、相補的な一本鎖のポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションが可能になる条件下で(中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件であることが好ましい)、またはより好ましくは、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、標的の一本鎖のポリヌクレオチドと本発明のポリヌクレオチドの一部である標識された一本鎖のポリヌクレオチド(プローブ)を接触させることによって検出するための方法を提供する。ハイブリダイズしたポリヌクレオチド対をハイブリダイズしていない一本鎖のポリヌクレオチドから分離する。ハイブリダイズしたポリヌクレオチド対は、当業者に公知の、例えば、Sambrookら(1989年)上記に記載の方法を使用して検出する。
本発明の態様のポリヌクレオチドは、化学合成、組換えクローニング方法、PCR、またはそれらの任意の組合せを用いて得ることができる。化学的なポリヌクレオチド合成の方法は当技術分野で公知であり、本明細書において詳しく記載する必要はない。当業者は、DNA合成機を使用することによって、または商業的なサービスを注文することによって所望のポリヌクレオチドを得るために、本明細書において提供される配列データを使用することができる。
本発明のポリヌクレオチドは、PCRを用いて単離または複製することができる。PCR技術は、米国特許第4,683,195号;同第4,800,159号;同第4,754,065号;および同第4,683,202号の主題であり、また、PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullisら編、Birkhauser Press、Boston(1994年))またはMacPhersonら(1991年)および(1995年)上記、およびそこに引用されている参考文献に記載されている。あるいは、当業者は、本明細書において提供される配列および商業的なDNA合成機を使用して、DNAを複製することができる。したがって、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを、ポリヌクレオチドの直線配列、ヌクレオチド、適切なプライマー分子、酵素などの化学物質、およびそれらを複製するための指示をもたらし、ヌクレオチドを、適切な方向に化学的に複製または連結してポリヌクレオチドを得ることによって得るためのプロセスも提供する。別の実施形態では、これらのポリヌクレオチドをさらに単離する。さらに、当業者は、複製し、増幅するために、ポリヌクレオチドを適切な複製ベクターに挿入し、そのベクターを適切な宿主細胞(原核生物または真核生物)に挿入することができる。そうして増幅されたDNAは、当業者に公知の方法によって細胞から単離することができる。この方法によってポリヌクレオチドを得るためのプロセスならびにそうして得られたポリヌクレオチドがさらに本明細書において提供される。
RNAは、まず、DNAポリヌクレオチドを適切な宿主細胞に挿入することによって得ることができる。DNAは、任意の適切な方法によって、例えば、適切な遺伝子送達ビヒクル(例えば、リポソーム、プラスミドまたはベクター)を使用することによって、または電気穿孔によって送達することができる。細胞が複製され、DNAがRNAに転写されたら、次いで、当業者に公知の方法、例えば、Sambrookら(1989年)上記に記載の方法を用いてRNAを単離することができる。例えば、mRNAは、種々の溶菌酵素または化学的な溶液を使用して、Sambrookら(1989年)上記に記載の手順に従って単離することができる、または製造者によって提供される添付の説明書に従って、核酸結合性樹脂によって抽出することができる。
本発明のポリヌクレオチドに対する配列相補性または相同性を示すポリヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションプローブとして有用である。転写物の完全なコード配列は公知であるので、この配列または相同な配列の任意の部分を本発明の方法において用いることができる。
特異的なハイブリダイゼーションのために「完全に一致する」プローブは必要ないことが当技術分野では公知である。プローブ配列の軽微な変化は、ハイブリダイゼーションの特異性に影響を及ぼさない少数の塩基の置換、欠失または挿入によって実現される。一般に、20%程度の塩基対のミスマッチ(最適にアラインメントした場合)が容認され得る。上述のmRNAを検出するために有用なプローブは、相同領域と少なくとも約80%同一であることが好ましい。プローブは、相同な領域とアラインメントした後に、対応する遺伝子配列と85%同一であることがより好ましい;プローブは90%の同一性を示すことがさらに好ましい。
これらのプローブをラジオアッセイ(例えば、サザンブロット分析およびノーザンブロット分析)において用いて、これらの細胞を含有する種々の細胞または組織を検出、予後決定、診断またはモニターすることができる。プローブは、本発明のポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現を検出するためのハイスループットなスクリーニングアッセイにおいて使用するために、固体支持体またはアレイ、例えば、チップなどに付着させることもできる。したがって、本発明は、ハイスループットなスクリーニングにおいて使用するために固体支持体に付着させた、本発明のポリヌクレオチド、またはその等価物、またはその相補物、またはその断片を含むまたはそれに対応するプローブも提供する。
断片の全体のサイズ、ならびに相補的なひと続きのサイズは、特定の核酸セグメントの意図された使用または適用に左右される。より小さな断片は、一般には、ハイブリダイゼーションの実施形態において使用され、相補領域の長さは変動してよく、例えば、少なくとも5〜10ヌクレオチドから約100ヌクレオチドの間である、または、検出することが望まれる相補配列に従って全長でさえあってよい。
ハイブリッドの安定性および選択性を増し、それにより、得られる特定のハイブリッド分子の特異性を改善するために、5〜10ヌクレオチドの長さを超えるひと続きにわたる相補配列を有するヌクレオチドプローブが一般に好ましい。10ヌクレオチド以上または、50ヌクレオチド超の長さ、または所望の場合、さらに長い遺伝子相補的なひと続きのポリヌクレオチドを設計することができることがより好ましい。そのような断片は、例えば、化学的な手段によって断片を直接合成することによって、核酸複製(reproduction)技術、例えば、米国特許第4,603,102号に記載の2種のプライマーオリゴヌクレオチドを用いたPCR技術などを適用することによって、または組換え作製のために、選択された配列を組換えベクターに導入することによって、容易に調製することができる。一態様では、プローブは、約50〜75ヌクレオチドまたはそれ以上、あるいは、50〜100ヌクレオチドの長さである。
本発明のポリヌクレオチドは、本明細書に記載の細胞において発現させる遺伝子または遺伝子転写物を検出するためのプライマーとしての機能を果たし得る。この場合、増幅とは、標的配列を妥当な忠実度で複製することができるプライマー依存性のポリメラーゼを使用する任意の方法を意味する。増幅は、天然DNAポリメラーゼまたは組換えDNAポリメラーゼ、例えば、T7 DNAポリメラーゼ、E.coli DNAポリメラーゼのクレノウ断片、および逆転写酵素などによって行うことができる。ただ単に例示する目的で、プライマーは、プローブについて示されているのと同じ長さである。
ポリヌクレオチドを増幅するための1つの方法はPCRであり、PCR増幅のためのキットが市販されている。増幅した後、生じたDNA断片は、当技術分野で公知の任意の適切な方法によって、例えば、アガロースゲル電気泳動した後に、臭化エチジウム染色および紫外線照明を用いて可視化することによって検出することができる。
有効量の遺伝子送達ベクターまたはビヒクルを細胞に投与するための方法が開発されており、それは当業者に公知であり本明細書に記載されている。細胞における遺伝子発現を検出するための方法は当技術分野で公知であり、その方法としては、例えば、DNAマイクロアレイへのハイブリダイゼーション、in situハイブリダイゼーション、PCR、RNアーゼ保護アッセイおよびノーザンブロット分析などの技法が挙げられる。そのような方法は、細胞における遺伝子の発現を検出し、数量化するために有用である。あるいは、コードされるポリペプチドの発現は、種々の方法によって検出することができる。具体的には、標的ポリペプチドに特異的に応答するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体を調製することが有用である。そのような抗体は、例えば、免疫組織学的方法、ELISA、およびウェスタンブロット法などの技法を用いてポリペプチドを発現している細胞を視覚化するために有用である。これらの技法を使用して、発現されたポリヌクレオチドの発現レベルを決定することができる。
抗体およびそれらの誘導体
本発明はまた、本発明の方法において用いられる、単離されたポリペプチドを特異的に認識し、かつ/またはそれに結合する抗体も提供する。抗体は、本明細書で説明される各種の抗体のうちのいずれかであることが可能であり、このような抗体の非限定的な例には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ベニア化抗体、ダイアボディー、ヒト化抗体、抗体誘導体、組換えヒト化抗体、またはそれらの誘導体もしくは抗原結合断片が含まれる。一態様では、断片が、抗体のCDRを含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる。一態様では、抗体が、検出可能に標識されている、またはそれにコンジュゲートした検出可能な標識をさらに含む。また、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株も提供される。本明細書では、上記の実施形態のうちの1つもしくは複数を含む、あるいはそれから本質的になる、またはさらにそれからなる組成物もさらに提供される。抗体および断片のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドのほか、抗体のポリペプチドおよびそれらの断片を組換えにより産生する方法もさらに提供される。抗体のポリペプチドは、真核細胞内で産生することもでき、原核細胞内で産生することもでき、当技術分野において公知であり、本明細書で説明される他の方法を介して産生することもできる。
抗体は、当技術分野において公知であり、文献中で十分に説明されている従来の技法を用いて産生することができる。ポリクローナル抗体を産生するには、いくつかの方法が存在する。例えば、ポリクローナル抗体は、ニワトリ、ヤギ、モルモット、ハムスター、ウマ、マウス、ラット、およびウサギなどであるがそれらに限定されない適切な哺乳動物を免疫化することにより産生することが典型的である。抗原を哺乳動物に注射すると、これが、Bリンパ球を誘導して、この抗原に特異的な免疫グロブリンを産生させる。免疫グロブリンは、哺乳動物の血清から精製することができる。IHFαおよびIHFβに特異的な抗体は、IHFαおよびIHFβの異なるエピトープに対応するポリペプチドを注射することにより産生することができる。例えば、抗体を、IHFαについてのTFRPGQKLKSRVENASPKDE(配列番号34)およびIHFβについてのKYVPHFKPGKELRDRANIYG(配列番号35)などの各サブユニットの20アミノ酸を使用して生成することができるか、あるいは1つまたは複数の以下の配列を含むポリヌクレオチドまたはペプチドを特異的に認識して結合する抗体であり得る:
またはこれらと少なくとも60%、あるいは少なくとも65%、あるいは少なくとも70%、あるいは少なくとも75%、あるいは80%、あるいは少なくとも85%、あるいは少なくとも90%、あるいは少なくとも95%同一であるか、ポリペプチド配列については、ポリヌクレオチドまたは高ストリンジェンシー条件下でかかるポリペプチド配列をコードするポリヌクレオチドにハイブリッド形成するその相補物によってコードされるポリヌクレオチドもしくはペプチド。高ストリンジェンシー条件を上に記載し、この条件は本明細書中で参考として援用される。出願人は、太字で下線を引いたアミノ酸が高度に保存されていることを確認しており、したがって、一態様では、これらのアミノ酸は等価なポリペプチドのデザインにおいて改変または変更されない。等価なポリペプチドのさらなる例としては、例えば、アミン末端上またはカルボキシ末端上のいずれか(または両方上)に25まで、あるいは20、あるいは15、あるいは10まで、あるいは5までの無作為なアミノ酸が付加された上記ポリペプチドからなるかこれを含むポリペプチドが含まれる。さらなる例には、表2において同定されたポリペプチドを特異的に認識して結合する抗体が含まれる(本明細書中で参考として援用される)。この方法の変化形には、産生を最適化し、動物を人道的に取り扱うための、アジュバント、投与経路および投与部位、部位1カ所当たりの注射容量および動物1匹当たりの部位数の改変が含まれる。例えば、抗原に対する免疫応答を改善または増強するために、アジュバントを用いることが典型的である。大半のアジュバントは、注射部位における抗原貯留をもたらし、それにより、抗原の排出リンパ節内への緩徐な放出が可能となる。他のアジュバントには、タンパク質抗原分子の濃縮を広大な表面積にわたり促進する界面活性剤、および免疫賦活性分子が含まれる。ポリクローナル抗体を産生するためのアジュバントの非限定的な例には、フロイントによるアジュバント、Ribiアジュバント系、およびTitermaxが含まれる。ポリクローナル抗体は、当技術分野において公知の方法を用いて産生することができ、それらのうちの一部は、米国特許第7,279,559号;同第7,119,179号;同第7,060,800号;同第6,709,659号;同第6,656,746号;同第6,322,788号;同第5,686,073号;および同第5,670,153号において説明されている。
モノクローナル抗体は、当技術分野において公知であり、文献中で十分に説明されている従来のハイブリドーマ法を用いて産生することができる。例えば、ハイブリドーマは、適切な不死細胞株(例えば、Sp2/0細胞、Sp2/0−AG14細胞、NSO細胞、NS1細胞、NS2細胞、AE−1細胞、L.5細胞、P3X63Ag8.653細胞、Sp2 SA3細胞、Sp2 MAI細胞、Sp2 SS1細胞、Sp2 SA5細胞、U397細胞、MLA 144細胞、ACT IV細胞、MOLT4細胞、DA−1細胞、JURKAT細胞、WEHI細胞、K−562細胞、COS細胞、RAJI細胞、NIH 3T3細胞、HL−60細胞、MLA 144細胞、NAMAIWA細胞、NEURO 2A細胞、CHO細胞、PerC.6細胞、YB2/O細胞などであるがそれらに限定されない骨髄腫細胞株)など、あるいはヘテロ骨髄腫、これらの融合産生物、またはそれらに由来する任意の細胞もしくは融合細胞、あるいは当技術分野において公知の他の任意の適切な細胞株(以下のウェブアドレス、例えば、2007年11月26日に最終アクセスされたatcc.org、lifetech.com.における細胞株を参照されたい)を、単離されたかまたはクローニングされた脾臓細胞、末梢血細胞、リンパ球、扁桃腺細胞、または他の免疫細胞もしくはB細胞を含有する細胞、あるいは組換えまたは内因性のウイルス、細菌、藻類、原核生物、両生類、昆虫、爬虫類、魚類、哺乳動物、齧歯動物、ウマ、ヒツジ(ovine)、ヤギ、ヒツジ(sheep)、霊長動物、真核生物のゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNAもしくはミトコンドリアRNA、クロロプラストDNAもしくはクロロプラストRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、一本鎖核酸、二本鎖核酸、または三本鎖核酸、ハイブリダイズした核酸など、あるいはそれらの任意の組合せの核酸としての内因性核酸または異種核酸としての、重鎖定常配列もしくは重鎖可変配列もしくは重鎖フレームワーク配列もしくは重鎖CDR配列または軽鎖定常配列もしくは軽鎖可変配列もしくは軽鎖フレームワーク配列もしくは軽鎖CDR配列を発現する他の任意の細胞などであるがそれらに限定されない抗体産生細胞と融合させることにより産生する。抗体産生細胞はまた、対象の抗原で免疫化したヒトまたは他の適切な動物の末梢血、または好ましくは脾臓もしくはリンパ節から得ることもできる。また、他の任意の適切な宿主細胞も、本発明の抗体、指定された断片、またはそれらの変異体をコードする異種核酸または内因性核酸を発現させるのに用いることができる。融合細胞(ハイブリドーマ)または組換え細胞は、選択培養条件または他の適切な公知の方法を用いて単離することができ、限界希釈法、もしくは細胞分取法、または他の公知の方法を介してクローニングすることができる。
ペプチドライブラリーまたはタンパク質ライブラリー(例えば、バクテリオファージディスプレイライブラリー、リボソームディスプレイライブラリー、オリゴヌクレオチドディスプレイライブラリー、RNAディスプレイライブラリー、cDNAディスプレイライブラリーなどであるがそれらに限定されないライブラリー;例えば、当技術分野において公知の方法を用いる、MorphoSys(Martinsreid/Planegg、Del.)、BioInvent(Lund、Sweden)、Affitech(Oslo、Norway)など、各販売元から市販されているライブラリー)から組換え抗体を選択する方法が含まれるがそれらに限定されない、必須の特異性を有する抗体を産生または単離する他の適切な方法を用いることができる。当技術分野で公知の方法は、特許文献において説明されており、それらのうちの一部には、米国特許第4,704,692号;同第5,723,323号;同第5,763,192号;同第5,814,476号;同第5,817,483号;同第5,824,514号;同第5,976,862号が含まれる。代替的な方法は、トランスジェニック動物(例えば、SCIDマウス; Nguyenら(1977年)、Microbiol. Immunol.、41巻:901〜907頁(1997年);Sandhuら(1996年)、Crit. Rev. Biotechnol.、16巻:95〜118頁;Erenら(1998年)、Immunol.、93巻:154〜161頁)の免疫化に依存し、それにより、当技術分野において公知であり、かつ/または本明細書でも説明されるヒト抗体のレパートリーを産生することが可能である。このような技法には、リボソームディスプレイ(Hanesら(1997年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、94巻:4937〜4942頁;Hanesら(1998年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、95巻:14130〜14135頁)、単一細胞による抗体産生法(例えば、選択リンパ球抗体法(「SLAM」)(米国特許第5,627,052号、Wenら(1987年)、J. Immunol.、17巻:887〜892頁;Babcookら(1996年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、93巻:7843〜7848頁)、ゲルマイクロ液滴法およびフローサイトメトリー法(Powellら(1990年)、Biotechnol.、8巻:333〜337頁;One Cell Systems(Cambridge、Mass);Grayら(1995年)、J. Imm. Meth.、182巻:155〜163頁;ならびにKennyら(1995年)、Bio. Technol.、13巻:787〜790頁)、B細胞選択法(Steenbakkersら(1994年)、Molec. Biol. Reports、19巻:125〜134頁)が含まれるがそれらに限定されない。
本発明の抗体誘導体はまた、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドを、ヤギ、ウシ、ウマ、ヒツジなど、それらのミルク中にこのような抗体を産生するトランスジェニック動物またはトランスジェニック哺乳動物を提供するように、適切な宿主に送達することにより調製することもできる。当技術分野ではこれらの方法が公知であり、例えば、米国特許第5,827,690号;同第5,849,992号;同第4,873,316号;同第5,849,992号;同第5,994,616号;同第5,565,362号;および同第5,304,489号において説明されている。
「抗体誘導体」という用語は、抗体または断片の直鎖状ポリペプチド配列に対する翻訳後修飾を包含する。例えば、米国特許第6,602,684B1号は、免疫グロブリンのFc領域と等価の領域を包含し、Fcを介する細胞傷害作用が増強されている全抗体分子(whole antibody molecule)、抗体断片、または融合タンパク質を含めた抗体の修飾
糖形態を産生する方法、およびこのようにして産生された糖タンパク質について説明している。
本発明の抗体は、抗体が抗イディオタイプ応答を引き起こすことを共有結合が予防しないように、任意の種類の分子を抗体に共有結合させることにより修飾した誘導体を包含する。抗体誘導体には、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロッキング基(protecting/blocking groups)を介する誘導、タンパク質分解性切断、細胞内リガンドまたは他のタンパク質への結合などにより修飾されている抗体が含まれるがそれらに限定されない。加えて、誘導体は、1つまたは複数の非古典的アミノ酸を含有し得る。
抗体誘導体はまた、本発明のポリヌクレオチドを送達して、このような抗体、指定された部分、または変異体を、植物部分またはそれらに由来して培養された細胞において産生する、トランスジェニック植物および培養植物細胞(例えば、タバコ、トウモロコシ、およびウキクサであるがこれらに限定されない)を作製することにより調製することもできる。例えば、Cramerら(1999年)、Curr. Top. Microbol. Immunol.、240巻:95〜118頁、およびこの文献において引用された参考文献は、例えば、誘導性プロモーターを用いる、大量の組換えタンパク質を発現するトランスジェニックのタバコ葉の産生について説明している。トランスジェニックトウモロコシは、他の組換え系で産生されたまたは天然の供給源から精製された哺乳動物タンパク質と等価の生物学的活性を伴う哺乳動物タンパク質を、市販品生産のレベルで発現させるのに用いられている。例えば、Hoodら(1999年)、Adv. Exp. Med. Biol.、464巻:127〜147頁、およびこの文献において引用された参考文献を参照されたい。抗体誘導体はまた、タバコの種子および馬鈴薯の塊茎を含め、単鎖抗体(scFv)などの抗体断片を包含するトランスジェニック植物の種子からも大量に産生されている。例えば、Conradら(1998年)、Plant Mol. Biol.、38巻:101〜109頁、およびこの文献において引用された参考文献を参照されたい。したがって、抗体はまた、公知の方法に従いトランスジェニック植物を用いても産生することができる。
抗体誘導体はまた、例えば、外因性配列を付加して、免疫原性を修飾する、または結合、アフィニティー、オン速度、オフ速度、アビディティー、特異性、半減期、もしくは他の任意の適切な特徴を低減、増強、もしくは修飾することにより産生することもできる。一般に、可変領域および定常領域の非ヒト配列をヒトアミノ酸または他のアミノ酸で置換しながら、非ヒトCDR配列またはヒトCDR配列のうちの一部または全部を維持する。
一般に、CDR残基は、抗原の結合への影響に直接的に、かつ、最も実質的に関与している。抗体のヒト化または操作は、米国特許第5,723,323号;同第5,976,862号;同第5,824,514号;同第5,817,483号;同第5,814,476号;同第5,763,192号;同第5,723,323号;同第5,766,886号;同第5,714,352号;同第6,204,023号;同第6,180,370号;同第5,693,762号;同第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,225,539号;および同第4,816,567号において説明されている方法などであるがそれらに限定されない任意の公知の方法を用いて実施することができる。
本発明のキメラ抗体、ヒト化抗体、または霊長動物化抗体は、標準的な分子生物学の技法を用いて調製されるネズミのモノクローナル抗体の配列に基づき調製することができる。重鎖免疫グロブリンおよび軽鎖免疫グロブリンをコードするDNAは、対象のネズミハイブリドーマから得、標準的な分子生物学の技法を用いて、ネズミ以外の(例えば、ヒトの)免疫グロブリン配列を含有するように操作することができる。例えば、キメラ抗体を創出するには、当技術分野において公知の方法(米国特許第4,816,567号)を用いて、ネズミ可変領域を、ヒト定常領域に連結することができる。ヒト化抗体を創出するには、当技術分野において公知の方法(米国特許第5,225,539号、ならびに米国特許第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,693,762号;および同第6,180,370号)を用いて、ネズミCDR領域を、ヒトフレームワーク内に挿入することができる。同様に、霊長動物化抗体を創出するには、当技術分野において公知の方法(WO93/02108およびWO99/55369)を用いて、ネズミCDR領域を、霊長動物フレームワーク内に挿入することができる。
本発明の抗体はまた、キメラ抗体を創出するように修飾することもできる。キメラ抗体とは、抗体の重鎖および軽鎖の多様なドメインが、複数の種に由来するDNAによりコードされる抗体である。例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい。
代替的に、本発明の抗体はまた、ベニア化抗体を創出するように修飾することもできる。ベニア抗体とは、第1の種の抗体が、第2の種において免疫原性とならず、それにより、この抗体の免疫原性を低減するように、1つの種の抗体の外部のアミノ酸残基を、第2の種の外部のアミノ酸残基で慎重に置換または「ベニア化」された抗体である。タンパク質の免疫原性は、主に、その表面の性質に依存するので、別の哺乳動物種の抗体中に通常見いだされる残基とは異なる露出残基を置換することによれば、抗体の免疫原性を低減し得るであろう。このように外部残基を慎重に置換すれば、内部ドメインまたはドメイン間の接合部にはほとんどまたは全く影響が及ばないはずである。したがって、可変領域のフレームワーク残基に限定される変更の結果として、リガンドの結合特性に影響が及ぶことはないはずである。変更するのは抗体の外面または皮膚だけであり、支持残基は攪乱されずに維持されるので、このプロセスを、「ベニア化」と称する。
「ベニア化」の手順は、Kabatら(1987年)、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、4版、Bethesda、Md.、National Institutes of Healthによりコンパイルされたヒト抗体可変ドメインについての検索可能な配列データ、このデータベースに対する更新、ならびに米国および海外の他の検索可能なデータベース(核酸およびタンパク質両方のデータベース)を活用する。ベニア化抗体を産生するのに用いられる方法の非限定的な例には、EP519596、米国特許第6,797,492号が含まれ、Padlanら(1991年)、Mol. Immunol.、28巻(4〜5号):489〜498頁においても説明されている。
「抗体誘導体」という用語はまた、2つの抗原結合部位を伴う小型の抗体断片であって、断片が、同じポリペプチド鎖内の軽鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む「ダイアボディー」も包含する(例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHollingerら(1993年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、90巻:6444〜6448頁を参照されたい)。同じ鎖の2つのドメイン間における対合を可能とするには短すぎるリンカーを用いることにより、これらのドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対合し、2つの抗原結合部位を創出することを余儀なくされる(また、1種または複数種のアミノ酸が親抗体の超可変領域内に挿入され、標的抗原に対する結合アフィニティーが、この抗原に対する親抗体の結合アフィニティーの少なくとも約2倍強い抗体変異体について開示する、Chenらによる米国特許第6,632,926号も参照されたい)。
「抗体誘導体」という用語は、操作抗体分子、操作抗体断片、およびscFv、dAb、ナノボディー、ミニボディー、ユニボディー、およびアフィボディーなどの操作抗体単一ドメインもさらに包含する(HolligerおよびHudson(2005年)、Nature Biotech、23巻(9号):1126〜36頁;米国特許公開第US2006/0211088号;PCT公開第WO2007/059782号;米国特許第5,831,012号)。
「抗体誘導体」という用語は、「直鎖状抗体」もさらに包含する。当技術分野では、直鎖状抗体を作製するための手順が公知であり、Zapataら(1995年)、Protein Eng.、8巻(10号):1057〜1062頁においても説明されている。略述すると、これらの抗体は、抗原結合領域の対を形成する、タンデムのFdセグメント対(VH−CH1−VH−CH1)を含む。直鎖状抗体は、二重特異性の場合もあり、単一特異性の場合もある。
本発明の抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウム沈殿またはエタノール沈殿、酸抽出、アニオン交換クロマトグラフィーまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、およびレクチンクロマトグラフィーが含まれるがそれらに限定されない公知の方法により、組換え細胞培養物から回収および精製することができる。精製にはまた、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)も用いることができる。
本発明の抗体には、天然の精製産生物、化学合成手順の産生物、ならびに、例えば、酵母、高等植物、昆虫、および哺乳動物細胞を含めた真核生物宿主に由来する組換え法、または、代替的に、上記で説明した原核生物宿主に由来する組換え法を介して産生される産生物が含まれる。BirchおよびRadner(2006年)、Adv. Drug Delivery Rev.、58巻:671〜685頁では、多くの抗体産生系が説明されている。
「抗体」という用語はまた、全ての免疫グロブリンアイソタイプおよび免疫グロブリンサブクラスの抗体を包含することも意図する。モノクローナル抗体の特定のアイソタイプは、最初の融合体から選択することにより直接調製することもでき、Steplewskiら(1985年)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、82巻:8653頁、またはSpiraら(1984年)、J. Immunol. Methods、74巻:307頁において説明されている手順を用いてクラススイッチ変異体を単離するためのsib選択法を用いることにより、異なるアイソタイプのモノクローナル抗体を分泌する親ハイブリドーマから二次的に調製することもできる。代替的に、組換えDNA法も用いることができる。
また、本明細書で説明されるモノクローナル抗体の特異性を伴う他のモノクローナル抗体の単離も、抗イディオタイプ抗体を産生することを介して、当業者により達成され得る(Herlynら(1986年)、Science、232巻:100頁)。抗イディオタイプ抗体とは、対象のモノクローナル抗体において存在する固有の決定基を認識する抗体である。
本発明の一部の態様では、抗体を検出可能に、または治療的に標識することが有用であろう。適切な標識については、前出で説明されている。当技術分野では、抗体を、これらの作用剤とコンジュゲートする方法が公知である。例示だけを目的として述べると、放射性原子、発色団、フルオロフォアなどの検出可能な部分で抗体を標識することができる。このような標識抗体は、in vivoまたは単離された被験試料における診断法に用いることができる。
抗体を、低分子量のハプテンに連結することにより、アッセイにおける抗体の感受性を増大させることができる。次いで、第2の反応により、ハプテンを特異的に検出することができる。例えば、アビジンと反応するビオチン、または特定の抗ハプテン抗体と反応し得るジニトロフェノール、ピリドキサール、およびフルオレセインなどのハプテンを用いることが一般的である。HarlowおよびLane(1988年)、前出を参照されたい。
VH CDR 1領域および/もしくはVL CDR 1領域、VH CDR 2領域および/もしくはVL CDR 2領域、ならびに/またはVH CDR 3領域および/もしくはVL CDR 3領域内のアミノ酸残基を変異させて、抗体の1つまたは複数の結合特性(例えば、アフィニティー)を改善することにより、本発明の抗体の可変領域を修飾することができる。変異は、部位指向性変異誘発またはPCR媒介変異誘発を介して導入することができ、抗体の結合または対象の他の機能的特性に対する効果は、適切なin vitroアッセイまたはin vivoアッセイにおいて評価することができる。保存的修飾を導入し、CDR領域内の1、2、3、4、または5つ以下であることが典型的な残基を変化させることが好ましい。変異は、アミノ酸の置換、付加、または欠失であり得る。
例えば、1つまたは複数のフレームワーク残基を、対応する生殖細胞系列の配列へと「復帰変異」させることにより、抗体にフレームワーク修飾を施し、免疫原性を低下させることができる。
加えて、本発明の抗体を操作して、Fc領域内に、血清半減期、補体の結合、Fc受容体の結合、および/または抗原依存性細胞傷害作用など、抗体の1つまたは複数の機能的特性を変化させる修飾を包含させることもできる。このような修飾には、軽鎖および重鎖のアセンブリーを容易にする、または抗体の安定性を増大させる、もしくは減少させる、ヒンジ領域におけるシステイン残基数の変化(米国特許第5,677,425号)、ならびに抗体の生物学的半減期を短縮する、Fcヒンジ領域におけるアミノ酸の変異(米国特許第6,165,745号)が含まれるがそれらに限定されない。
加えて、本発明の抗体は、化学修飾することもできる。例えば、抗体配列内の1つまたは複数のグリコシル化部位を修飾して、抗原に対する抗体のアフィニティーを増大させることにより、抗体のグリコシル化を変化させることができる(米国特許第5,714,350号;および同第6,350,861号)。代替的に、抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用を増大させるには、グリコシル化機構を変化させた宿主細胞内で抗体を発現させることにより、フコシル残基の量を低減した低フコシル化抗体、またはバイセクティングGlcNac構造を増大させた抗体を得ることもできる(Shieldsら、2002年、J. Biol. Chem.、277巻:26733〜26740頁;Umanaら、1999年、Nat. Biotech.、17巻:176〜180頁)。
本発明の抗体またはその断片を、1つまたは複数のポリエチレングリコール(PEG)基がこの抗体または抗体断片に結合する条件下で、PEGまたはPEGの反応性エステルもしくはPEGのアルデヒド誘導体と反応させることにより、これらの抗体をペグ化して、生物学的半減期を延長することができる。抗体のペグ化は、反応性のPEG分子(または類似する反応性の水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応を介して実施することができる。本明細書で用いられる「ポリエチレングリコール」という用語は、モノ(C1〜C10)アルコキシポリエチレングリコールもしくはアリールオキシポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコールマレイミドなど、他のタンパク質を誘導体化するのに用いられているPEGの形態のいずれかを包含することを意図する。ペグ化される抗体は、非グリコシル化抗体であり得る。当技術分野では、タンパク質をペグ化する方法が公知であり、本発明の抗体に適用することができる(EP0154316およびEP0401384)。
加えて、抗体の抗原結合領域を、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質とコンジュゲートする、または融合させることにより、抗体を化学修飾して、結果として得られる分子の半減期を延長することもできる。このような手法は、例えば、EP0322094およびEP0486525において説明されている。
本発明の抗体またはそれらの断片を、診断薬とコンジュゲートして診断に用い、例えば、疾患の発症または増悪をモニタリングし、所与の処置レジメンの有効性を決定することができる。診断薬の例には、酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料、放射性材料、各種の陽電子放射トモグラフィーを用いる陽電子放出性金属、および非放射性常磁性金属イオンが含まれる。検出可能な物質は、抗体またはその断片に直接的に連結またはコンジュゲートすることもでき、当技術分野で公知の技法を用いるリンカーを介して、抗体またはその断片に間接的に連結またはコンジュゲートすることもできる。適切な酵素の例には、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが含まれる。適切な補欠分子族複合体の例には、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが含まれる。適切な蛍光材料の例には、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、またはフィコエリトリンが含まれる。発光材料の例には、ルミノールが含まれる。生物発光材料の例には、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが含まれる。適切な放射性材料の例には、125I、131I、インジウム111、ルテチウム171、ビスマス212、ビスマス213、アスタチン211、銅62、銅64、銅67、イットリウム90、ヨウ素125、ヨウ素131、リン32、リン33、スカンジウム47、銀111、ガリウム67、プラセオジム142、サマリウム153、テルビウム161、ジスプロシウム166、ホルミウム166、レニウム186、レニウム188、レニウム189、鉛212、ラジウム223、アクチニウム225、鉄59、セレン75、ヒ素77、ストロンチウム89、モリブデン99、ロジウム105、パラジウム109、プラセオジム143、プロメチウム149、エルビウム169、イリジウム194、金198、金199、および鉛211が含まれる。モノクローナル抗体は、これらの抗体に共有結合する二官能性のキレート化剤を用いることにより、放射性金属イオンと間接的にコンジュゲートすることができる。キレート化剤は、アミン(Mearesら、1984年 Anal. Biochem.、142巻:68〜78頁)、アミノ酸残基のスルフヒドラール基(Koyama、1994年、Chem. Abstr.、120巻:217262t頁)、および炭水化物基(Rodwellら、1986年、PNAS USA、83巻:2632〜2636頁;Quadriら、1993年、Nucl. Med. Biol.、20巻:559〜570頁)を介して結合させることができる。
さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントを、治療薬(例えば、Burklederia感染の再発を処置または防止するであろう抗菌薬)にコンジュゲートすることができる。適切な治療薬には、セフタジジム、シプロフロキサシン、イミペネム、およびミノサイクリンが含まれる。
追加的な適切なコンジュゲートされた分子には、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼI、アンチセンス核酸、siRNA分子などの阻害性RNA分子、免疫賦活性核酸、アプタマー、リボザイム、三重鎖形成分子、および外部ガイド配列が含まれる。アプタマーとは、ステムループまたはGカルテットなど、規定の二次構造および三次構造へとフォールディングされる、15〜50塩基の範囲の長さの低分子核酸であり、ATP(米国特許第5,631,146号)およびテオフィリン(米国特許第5,580,737号)などの低分子のほか、逆転写酵素(米国特許第5,786,462号)およびトロンビン(米国特許第5,543,293号)などの高分子にも結合し得る。リボザイムとは、化学反応を分子内的にまたは分子間的に触媒することが可能な核酸分子である。リボザイムは、その後に切断される標的基質を認識し、それに結合することにより、核酸基質を切断することが典型的である。三重鎖形成機能を有する核酸分子は、三重鎖を形成することにより二本鎖核酸と相互作用する場合もあり、一本鎖核酸と相互作用する場合もあり、この場合、DNAの三本鎖は、ワトソン−クリックによる塩基対合およびフーグスティーンによる塩基対合の両方に依存して複合体を形成する。三重鎖分子は、高度なアフィニティーおよび特異性により、標的領域と結合し得る。
機能性核酸分子は、標的分子により保有される特異的活性のエフェクター、阻害剤、調節剤、および刺激剤として作用する場合もあり、他の分子には依存しない新規の活性を保有する場合もある。
利用可能な多数の方法のうちのいずれかを用いて、治療薬を、直接的にまたは間接的に、抗体に連結することができる。例えば、作用剤を、還元した抗体成分のヒンジ領域に、N−スクシニル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)などの架橋形成剤を用いるジスルフィド結合形成を介して結合させることもでき、抗体のFc領域における炭水化物部分を介して結合させることもできる(Yuら、1994年、Int. J. Cancer、56巻:244頁;Upeslacisら、「Modification of Antibodies by Chemical Methods」、Monoclonal antibodies: principles and applications、Birchら(編)、187〜230頁(Wiley−Liss, Inc.、1995年);Price、「Monoclonal antibodies: Production, engineering and clinical application」内の「Production and Characterization of Synthetic Peptide−Derived Antibodies」、Ritterら(編)、60〜84頁(Cambridge University Press、1995年))。
治療薬を抗体とコンジュゲートする技法は、周知である(Amonら、「Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy」内の「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」、Reisfeldら(編)、243〜56頁(Alan R. Liss, Inc.、1985年);Hellstromら、「Controlled Drug Delivery」(2版)内の「Antibodies For Drug Delivery」、Robinsonら(編)、623〜53頁(Marcel Dekker, Inc.、1987年);Thorpe、「Monoclonal Antibodies ’84: Biological And Clinical Applications」内の「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review」、Pincheraら(編)、475〜506頁(1985年);「Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy」内の「Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody in Cancer Therapy」、Baldwinら(編)、303〜16頁(Academic Press、1985年)、およびThorpeら、「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates」、1982年、Immunol. Rev.、62巻:119〜58頁)。
本発明の抗体またはそれらの抗原結合領域は、別の抗体または受容体のリガンドなど、別の機能性分子に連結して、少なくとも2種以上の異なる結合部位または標的分子に結合する、二重特異性分子または多重特異性分子を産生することができる。抗体を、別の抗体、抗体断片、ペプチド、または結合模倣体など、1種または複数種の他の結合分子に連結することは、例えば、化学的連結、遺伝子融合、または非共有結合的会合を介して行うことができる。多重特異性分子は、第1および第2の標的エピトープに加えて、第3の結合特異性をさらに包含し得る。
当技術分野で公知の方法を用いて、二重特異性分子および多重特異性分子を調製することができる。例えば、二重特異性分子の結合単位を個別に産生し、次いで、これらを互いとコンジュゲートすることができる。結合分子がタンパク質またはペプチドである場合は、各種の連結剤または架橋形成剤を、共有結合的コンジュゲーションに用いることができる。架橋形成剤の例には、プロテインA、カルボジイミド、N−スクシンイミジル−S−アセチル−チオアセテート(SATA)、5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)、o−フェニレンジマレイミド(oPDM)、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、およびスルホスクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−I−カルボキシレート(スルホ−SMCC)(Karpovskyら、1984年、J. Exp. Med.、160巻:1686頁;Liuら、1985年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、82巻:8648頁)が含まれる。結合分子が抗体である場合は、2つの重鎖のC末端のヒンジ領域をスルフヒドリル結合させることにより、それらをコンジュゲートすることができる。
本発明の抗体またはそれらの断片は、この抗体が結合して「枯渇」抗体を形成する、細胞に対して毒性である部分に連結することができる。これらの抗体は、NK細胞を枯渇させることが所望される適用において、特に有用である。
本発明の抗体はまた、固体支持体に結合させることもでき、これはイムノアッセイまたは標的抗原の精製に特に有用である。このような固体支持体には、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリプロピレンが含まれるがそれらに限定されない。
抗体はまた、多くの異なるキャリア(例えば、薬学的に許容されるキャリア)にも結合させることができる。したがって、本発明はまた、抗体および活性または不活性な別の物質を含有する組成物も提供する。周知のキャリアの例には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然セルロースおよび修飾セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、およびマグネタイトが含まれる。キャリアの性質は、本発明の目的に応じて、可溶性の場合もあり、不溶性の場合もある。当業者は、抗体に適する他のキャリアについても承知している、または日常的な実験を用いて、このようなキャリアを確認し得るであろう。
以下の実施例は、本発明の例示を意図し、本発明を制限することを意図しない。
実験手順
実験番号1
材料と方法
倫理に関する記述。Nationwide Children’s Hospitalでの小児患者からの痰の採取前に、書面によるインフォームドコンセントおよび許可を、親または法的に委任された代表者から得た。この手順は、全ての施設および連邦政府のガイドラインに従い、Nationwide Children’s Hospital,Columbus,Ohioの施設内審査委員会によって承認されたプロトコールに従って実施した。
in vitroでのバイオフィルム形成。B.cenocepacia株(K56−2株、DFA2株、およびJRL2株が含まれる)を、凍結ストックからLBブロス(BBL)中に播種し、200rpmにて振とうしながら37℃で一晩増殖させた。次いで、培養物を新鮮なブロスで100倍希釈し、600nmでの光学密度を読み取り、106 CFU B.cenocepacia/ml培地の最終濃度に調整した。細菌をLBブロスで2500倍にさらに希釈し、200μlの細菌懸濁液をLabTek II 8−ウェルチャンバーカバーガラス(LabTek)の各ウェルに添加した。スライドを加湿雰囲気下にて37℃で16時間静置してインキュベートし、この時点で培地を吸引し、新鮮なLBブロスと置換した。さらに8時間後(総インキュベーション時間は24時間)、バイオフィルムを、染色するか抗血清または抗生物質で処置した。アッセイを最低3回行った。
B.cenocepaciaバイオフィルム内のIHFおよびDNAの分布。B.cenocepacia株によって形成されたバイオフィルム内のIHFの相対分布を試験するために、24時間非固定バイオフィルムを、ナイーブウサギ血清またはウサギ抗E.coli IHF(Goodmanら(2011)Mucosal Immunol.4:625−637)とインキュベートし、AlexaFluor 594(Invitrogen)にコンジュゲートしたヤギ抗ウサギIgGを使用して明らかにした。バイオフィルム内のDNAを、抗dsDNA抗体(Abcam,Inc.)で染色し、AlexaFluor 647(Molecular Probes)にコンジュゲートしたヤギ抗マウスIgGを使用して明らかにした。インタクトな細菌細胞を、製造者の説明書に従って膜染料FilmTracer(商標)FM(登録商標)1−43 Green Biofilm Stain(Molecular Probes)を使用して染色した。63X対物レンズを使用したZeiss 510 meta−レーザー走査型共焦点顕微鏡(Carl Zeiss)を使用して画像を収集した。AxioVision Rel.4.8(Carl Zeiss)を使用して三次元画像を再構築した。
B.cenocepaciaによって形成された24時間バイオフィルム中のeDNAの相対存在量を決定するために、DNA−細菌比を、FilmTracer(商標)に対する抗dsDNA標識の相対蛍光強度を比較するZeiss画像収集ソフトウェアを使用して決定した。分類不能型Haemophilus influenzaeによって形成されたバイオフィルムも確立し(Goodmanら(2011)Mucosal Immunol.4:625−637;Jurcisekら(2011)J.Vis.Exp.)、同様に染色した。
ヒト痰内のIHFの分布。ヒト痰を使用してIHF標識を視覚化するために、痰サンプルを3人のCF小児患者から採取し、このサンプルは、承認されたIRBプロトコール下でB.cenocepaciaについて陽性の培養物でもあった。痰をOCTコンパウンド(Fisher Scientific)に包埋し、液体窒素の気相中で瞬間凍結した。10ミクロンの連続切片に切断し、スライドガラスに接着させた。スライドを風乾し、冷アセトン中で固定し、0.05M Tris−HCl、0.15M NaCl、および0.05%Tween20(pH7.4)を含む緩衝液中で平衡化し、次いで、image−iT FX signal enhancer(Molecular Probes)およびBackground Sniper(BioCare Medical)を使用してブロッキングした。切片をポリクローナル抗体抗IHFまたはナイーブウサギ血清とインキュベートし、ヤギ抗ウサギIgG−Alexafluor 594(Invitrogen)を使用して明らかにした。DNAを、DAPI含有Prolong Gold褪色防止用封入剤(Molecular Probes)を使用して対比染色した。前述のように画像を観察した。
確立されたB.cenocepaciaバイオフィルムの分解。抗血清がin vitroで形成されたバイオフィルムを分解する能力を評価するために、24時間バイオフィルムを、記載のようにK56−2株を使用して最初に確立し、次いで、LBブロスで50倍希釈したナイーブウサギ血清またはウサギ抗E.coli IHF、またはLBブロスのみのいずれかに16時間暴露した。次いで、バイオフィルムを、以前に記載のように(Jurcisekら(2011)J.Vis.Exp.)顕微鏡法のためのLIVE/DEAD(登録商標)BacLight(商標)Bacterial Viabilityキット(Molecular Probes)を使用して染色し、次いで、16%パラホルムアルデヒド−2.5%グルタルアルデヒド−4%酢酸を含む0.2Mリン酸緩衝液の溶液(pH7.4)で固定後、直ちに前に記載のように共焦点顕微鏡法によって画像化した。平均厚さおよび平均バイオマスを、COMSTAT2分析によって定量した(Heydornら(2000)Microbiology 146(Pt 10):2409−2415)。ナイーブ血清および免疫ウサギ血清を適用しても細胞死が誘導されなかったことを確認するためのさらなる基準として、プランクトン様およびバイオフィルム接着性B.cenocepaciaの両方を処置16時間後に回収し、フローサイトメトリー用のLIVE/DEAD(登録商標)BacLight(商標)Bacterial Viability and Countingキット(Molecular Probes)を使用して非固定細胞を染色し、C6補正フローサイトメーター(Accuri)を使用して生細菌と死細菌とを区別した。アッセイを最低3回行った。
全血清由来のIgGの富化。バイオフィルム分解が抗体によって媒介されたが、他の血清成分によって媒介されなかったことを確認するために、IgGを、製造者の説明書にしたがってHiTrap Protein G HPカラム(GE Healthcare)を使用してウサギ抗IHF血清から精製し、血清の適用後にカラムを通過した溶離液およびIgG富化画分の両方を回収した。抗IHFおよびIgG富化抗IHFがB.cenocepacia K56−2株によって発現された未変性IHFに加えて精製IHFを認識したことを証明するために、SDS−PAGEおよびウェスタンブロッティングを行った。簡潔に述べれば、0.5μg精製IHF([25];Howard Nash,NIHから授与)および5μgのB.cenocepaciaのホールセルライセートを、Tris/グリシン/SDS緩衝液(BioRad)含有4〜15%Mini−PROTEAN TGXゲル(BioRad)上で分離し、次いで、ニトロセルロース膜(Invitrogen)に移した。膜を、3%スキムミルクを含む0.5%Tween20含有Tris緩衝化生理食塩水(Fisher Scientific)中にて4℃で一晩ブロッキング後、ウサギ抗IHFまたはIgG富化抗IHF、その後にヤギ抗ウサギIgG−HRP(Invitrogen)とインキュベートした。CN/DAB基質キット(Pierce)を使用してブロットを発色させ、BioRad GS800デンシトメーターを使用して画像をキャプチャーした。
バイオフィルム分解における抗IHFおよび抗生物質の相乗効果。
B.cenocepacia K56−2株によって形成されたバイオフィルムに適用した場合のIHFに指向する抗血清と組み合わせた抗生物質の相乗効果の試験には、B.cenocepacia K56−2株のプランクトン様培養物のためのいくつかの抗生物質の最小阻止濃度(MIC)を決定することが必要であった。そのためには、100CFUのB.cenocepaciaを、以下の抗生物質の2倍系列希釈物を含むLBブロスに播種した:セフタジジム、シプロフロキサシン、イミペネム、メロペネム、ミノサイクリン、スルファメトキサゾール−トリメトプリム、またはトブラマイシン(Sigma)。培養物を24時間静置してインキュベートし、培養物の濁度を評価した。プランクトン様B.cenocepaciaのMICを、細菌増殖が認められない抗生物質の濃度として同定した。この情報を使用して、確立されたB.cenocepaciaバイオフィルムを、抗IHFの50倍希釈物、決定したMICの抗生物質、抗IHF+抗生物質、または培地のみで16時間処置後、LIVE/DEAD(登録商標)BacLight(商標)Bacterial Viabilityキットを使用して生存度染色を行い、前に記載のように共焦点顕微鏡法によって視覚化した。以下の抗生物質濃度を使用した:セフタジジム−16μg/ml、シプロフロキサシン−2μg/ml、イミペネム−32μg/ml、メロペネム−16μg/ml、ミノサイクリン−4μg/ml、スルファメトキサゾール−トリメトプリム−16μg/ml、およびトブラマイシン−512μg/ml。平均厚さおよび平均バイオマスを、COMSTAT2分析によって定量した。アッセイを最低3回行った。
確立されたバイオフィルムのプルモザイム(登録商標)での処置。確立されたB.cenocepacia K56−2株バイオフィルムのプルモザイム(登録商標)(ドルナーゼアルファ;Genentech,Inc.)での処置の結果を試験するために、確立されたバイオフィルムを、抗IHFの50倍希釈物、0.25mgのプルモザイム(登録商標)、抗IHF+プルモザイム(登録商標)、または培地のみで16時間処置後、生存染色を行い、共焦点顕微鏡法によって視覚化した。平均厚さおよび平均バイオマスを、COMSTAT2分析によって定量した。アッセイを最低3回行った。
マクロファージ内のB.cenocepacia生存に及ぼす抗IHF抗体の影響。ゲンタマイシン感受性を付与する抗生物質排出ポンプの変異を有するが、マクロファージ中の変異体の輸送を変化させないB.cenocepacia MHK1株(Hamadら(2010)Appl.Environ.Microbiol.76:3170−3176)を本アッセイのために使用した。MHK1株を上記のように培養し、次いで、1000倍希釈の濃度のナイーブ血清または抗IHF血清で15分間処置した。次いで、処置したB.cenocepaciaをネズミ骨髄由来マクロファージに1時間添加した。細胞外細菌を死滅させるために、10%熱失活FBS(GIBCO)および50μgゲンタマイシン/ml(GIBCO)を含むIscove培地(GIBCO)を30分間添加した。感染から2、4、および6時間後にマクロファージを溶解し、ライセートをプレートしてCFU B.cenocepacia/mlを決定した。アッセイを最低3回行った。
DNアーゼフットプリント実験。386bpのBCAL0339およびBCAL0340由来の上流DNAを、PCR反応によって増幅した。同位体で末端標識した(32P)アンプリコンを、結晶学的に純粋なE.coli IHFとの結合反応(Riceら(1996)Cell 87:1295−1306;Howard Nash,NIHからの譲渡)で使用し、その後にDNアーゼIフットプリントアッセイ(Hungら(2011)J.Bacteriol.193:3642−3652)で使用した。
統計学的方法。平均バイオフィルム厚さおよび平均バイオマスならびにマクロファージ結合アッセイにおける有意差を決定するために、対応のある2標本t検定を、GraphPad Prismソフトウェア、バージョン6.00を使用して行った。
結果
in vitroでB.cenocepaciaによって形成されたバイオフィルム中の豊富な細胞外DNA(eDNA)の存在の証拠。in vitroで形成された場合のB.cenocepaciaバイオフィルムの基本構造を最初に特徴づけるために、B.cenocepacia K56−2株をチャンバースライド中で24時間静置にて増殖させた後、FilmTracer FM 1−43で標識した。図1Aに示すように、B.cenocepaciaは、特徴的な塔状の高さおよそ26μmの頑強なバイオフィルムを形成した。ここでB.cenocepaciaがそのバイオフィルムマトリックス内にDNAを組み込んだかどうかを決定するために、非固定バイオフィルムをモノクローナル抗体で標識してdsDNAの存在(白色)を検出した。形成されたバイオフィルムは大量のeDNAを含んでおり、このeDNAはバイオフィルムの底部で特に密度が高く(図1B)、このマトリックス成分がバイオフィルム発生の初期における細菌の接着および係留で必須の役割を果たし得ることが示唆された。興味深いことに、視覚的に明らかであるが、B.cenocepaciaバイオフィルムおよび分類不能型Haemophilus influenzae(NTHI)によって形成されたバイオフィルムの両方のさらなるCOMSTAT分析(データ示さず)、その後の同一の様式での標識および個別のレーザーチャネル(細菌およびDNAを検出するため)の使用により、より客観的な様式でB.cenocepaciaがこのさらなる重要なヒト気道病原体よりもそのバイオフィルム内への細菌細胞あたりのeDNAの組込みがおよそ30%高いことが確認された(Jurcisekら(2007)J.Bacteriol.189:3868−3875)。
B.cenocepaciaによって生成されたバイオフィルム内のDNABIIタンパク質の証明。B.cenocepacia K56−2株によって形成されたバイオフィルムがDNABIIタンパク質ファミリーのメンバーを含んでいたかどうかを決定するために、B.cenocepacia K56−2株によってin vitroで形成されたバイオフィルムをウサギ抗IHF抗体(複数のDNABIIファミリーメンバーと交差反応するE.coli IHFに対する抗血清(Goodmanら(2011)Mucosal Immunol.4:625−637))とインキュベートし、バイオフィルム全体の標識を観察した(図1C)。
ここでin vitroでの所見がCF患者の臨床症状に関連していたかどうかを評価し、同様に、NTHI(20)で認められるように、B.cenocepaciaによって形成されたバイオフィルム内に存在するeDNA鎖の交点にIHFが位置したかどうかを決定するために、B.cenocepacia感染が既知のCF患者から痰サンプルを得た。サンプルを瞬間凍結し、同一の抗IHF抗体を使用して免疫標識した。発明者らは、今まで回収された痰サンプルの3/3(100%)で強い標識を認めた。特に、これらのサンプル内に存在する重複dsDNA鎖によって形成された交点の実質的に100%で特異的標識が認められた(図2)。B.cenocepacia産生バイオフィルムのEPSマトリックス内に存在する大量のeDNAおよびIHFがこのマトリックス内に決定的に存在するようであるといいう事実を考慮すると、介入のためにこのタンパク質をターゲティングすることによりバイオフィルムの構造が崩壊し得るということが言えた。この崩壊が起こった場合、免疫エフェクター、抗生物質、または他の治療薬のEPSによって以前に保護された細菌へのアクセスを非常に容易にし、したがってその根絶を促進し得るとさらに推論された。
抗IHFがin vitroでB.cenocepaciaによって形成されたバイオフィルムを破壊する能力の証明。これらの仮説の1つを試験するために、B.cenocepacia K56−2株の24時間バイオフィルムを、培地(図3A)、ナイーブウサギ血清(50倍希釈)(図3B)、またはウサギ抗IHF血清(任意に選択した50倍希釈物)(図3C)のいずれかで処置した。インキュベーション24時間後、これらのバイオフィルムを、COMSTATソフトウェアによって分析し、ナイーブウサギ血清での処置によりバイオフィルム厚さは小さく且つ統計的に有意でない変化があったが、平均バイオマスは滅菌培地を使用した場合に認められる平均バイオマスを超える効果はなかったことが見出された(図3Gおよび3H)。この効果は、複数のグラム陰性細菌の外膜タンパク質と交差作用する全ウサギ血清内の非特異的抗体に寄与する。しかし、逆に、IHFに指向する抗血清での処置により、ナイーブ血清と比較して、厚さが44%減少し、バイオマスが56%減少し、高さが52%減少した。これらの後者の効果は、滅菌培地またはナイーブ血清のいずれかの使用と比較して統計的に有意であった(図3Gおよび3H)。IHFに指向する抗血清での処置では常在細菌は死滅せず、したがってバイオフィルムの破壊が認められたことを説明するために、処置後、本発明者らは培養培地内に含まれる細菌のプランクトン様亜集団およびバイオフィルム内に残存する細菌亜集団の両方を回収し、両調製物をフローサイトメトリーによる分析に供して生細菌の死滅細菌に対する相対比を決定した。使用した処置と無関係に、本発明者らは、プランクトン様亜集団内の細菌の80%以上およびバイオフィルム内に残留している細菌の93%以上が生存していることを見出した。この結果は、抗IHFでの処置がプランクトン様相内への生細菌の放出を媒介していることを示唆していた。
ウサギ抗IHF血清での処置の際に認められるバイオフィルム破壊活性が主にこのポリクローナルであるが過免疫の血清中のIHFに指向するIgG抗体に起因することを証明するために、本発明者らは方法(上記)に記載のようにこのIgGの血清を富化し、次いで、IgGが富化した画分(図3D)およびカラムを通過した血清画分(図3E)の両方を、予め形成されたB.cenocepaciaバイオフィルムを破壊する相対能力についてアッセイした。図3Dおよび3Eで認められ、3Gおよび3Hに描画されるように、IgG富化抗血清調製物は全ウサギ抗IHFの活性を保持していたが、濃縮カラム由来の溶出物はバイオフィルムを同様に破壊する能力はなかった。ウェスタンブロットを行って、全抗IHF血清内およびIgGが富化した画分内の両方に含まれる抗体が精製IHFタンパク質ならびにB.cenocepacia K56−2株のホールセルライセート内のこのタンパク質の単量体型、二量体型、および三量体型を認識することが証明され(図3F);DNABIIファミリーメンバーであるPG0121(Porphyromonas gingivalis由来のHUβ)もSDS PAGE中に多量体を維持する能力を示す(S.Goodman,私信)。
抗IHFと伝統的な抗生物質との間の相乗的相互作用の証明。抗IHF媒介性バイオフィルム破壊が常在細菌を他の既存の潜在的治療薬での処置により感受性を示すようにすることができるかどうかを確認するために、予め形成されたB.cenocepaciaバイオフィルムを、7つの各抗生物質(実験手順に記載のようにそれぞれのプランクトン様に増殖したB.cenocepacia K56−2株の所定のMICを使用)に単独または抗IHF血清(50倍希釈)と組合せて暴露した。図4(例としてセフタジジム(16μg/mlで)とのインキュベーションを使用)に示すように、抗IHFでの処置(図4D)によってバイオフィルムの高さ、厚み、およびバイオマスが未処置バイオフィルム(図4A)よりも減少したのに対して、これらの処置では大量の細菌細胞死を誘導しなかった(図4BおよびE)。さらに、抗生物質処置のみではB.cenocepacia誘導性バイオフィルムに及ぼす観察可能な影響はほとんどなく(図4G)、細菌細胞死は滅菌培地または抗IHFのみのいずれかでの処置後に認められた細菌細胞死より増加した一方で、この影響は最小であった(図4H)。しかし、共に使用した場合、抗生物質を単独で使用した場合より高さの43%減少(図4J)および細菌細胞死(赤色/橙色で示される)の自明且つ顕著な減少(図4K)が認められ(図4HとKとを比較のこと)、抗IHFとセフタジジムとの間の相乗的相互作用が示唆された。抗IHF+抗生物質での処置と抗生物質のみでの処置との間の平均バイオフィルム高さ(図4M)およびバイオマス(図4N)の有意な減少は、シプロフロキサシン+抗IHF、イミペネム+抗IHF、およびミノサイクリン+抗IHFでのB.cenocepaciaバイオフィルムの処置後に同様に得られた(p<0.05)。
プルモザイム(DNアーゼ)の使用はB.cenocepacia感染したCF患者に禁忌であり得ることの証明。DNアーゼでの処置は、CF患者ケアの標準として使用されており、B.cenocepaciaが大量のeDNAをそのバイオフィルム内に組み込むことを考慮して、本発明者らは、本発明者らがNTHIを用いて以前に示したように(Goodmanら(2011)Mucosal Immunol.4:625−637)、DNアーゼと組み合わせた抗IHFの使用はin vitroでのB.cenocepacia誘導性バイオフィルム内の細菌の減量および根絶に関して潜在的に相乗効果も有すると仮定した。しかし、これは真実ではなかった。実際、複数回繰り返したアッセイにおいて、B.cenocepaciaバイオフィルムのDNアーゼへの暴露によって希釈物のみでの処置(図5A)より平均厚さに関して有意により頑強なバイオフィルムが誘導された(図5BおよびD)。これらのDNアーゼ処置したバイオフィルムは、最大高さがわずかにのみ増加したが(32μmと28μmとを比較のこと)、表面−体積比の平均増加は12%であった。バイオマスの平均増加は174%であり、平均厚さについて比較した場合、DNアーゼで処置したB.cenocepaciaによって形成されたバイオフィルムの厚さは希釈物のみで処置したB.cenocepaciaによって形成されたバイオフィルムより204%厚かった。IHFに指向する抗血清はこれらの増強されたバイオフィルムを依然として有効に減少させることができたのに対して(図5C、DおよびE)、DNアーゼのみを用いて得られた予想外の結果を考慮して、潜在的な相乗的使用についてのこの一連の調査を追求すると直感に反するようになった。重要なことに、DNアーゼの反復使用がその疾患を実際に悪化させ、これらの患者が被る非常に不良な臨床成績に寄与し得るので、この結果はB.cenocepacia感染したCF患者において有意に有望な臨床上の意義を有する。
ナイーブ血清ではなくDNABIIタンパク質に指向する抗体とのB.cenocepaciaのインキュベーションによりマクロファージからの細菌回収が減少したことの証明。B.cenocepaciaは、ネズミおよびヒトのCFマクロファージ内で持続および複製することができる。しかし、WTネズミマクロファージまたは非CF患者由来のマクロファージは、分解のためのリソソームへの生物の輸送によってB.cenocepacia感染を制限する。尿路病原性E.coliに関連するIHFがこの細菌の膀胱に効率的にコロニー形成する能力に影響を及ぼすことが最近証明されたことを考慮して(Justiceら(2012)PLoS One 7:e48349)、CF肺からの細菌のクリアランスにおけるこの宿主細胞の重要性を考慮して、本発明者らはB.cenocepaciaのIHFに指向する抗血清とのインキュベーションがマクロファージとのその相互作用に影響を及ぼし得ると考えた。ゲンタマイシン感受性が導入されたK56−2株のバリアント(MHK1株)を使用して、(ゲンタマイシン処置による細胞外細菌の死滅後の)B.cenocepaciaの細胞内増幅数を決定した。感染2時間後のマクロファージ関連B.cenocepacia数がナイーブ血清での予備処置と抗IHF血清(1000倍希釈)での予備処置との間で有意に異ならず、この時点でのマクロファージによる等価な取り込みが示唆されたのに対して、感染6時間後までに抗IHF血清で予備処置されたB.cenocepaciaはCFマクロファージ内での増殖を有意に妨害された(p<0.05)(図6)。したがって、B.cenocepaciaの抗IHFでの予備処置はCFマクロファージによるそのクリアランスを促進したが、この所見の根底にある機構は依然として決定されず、進行中の研究における対象である。
T3SSまたはT6SSのB.cenocepaciaバイオフィルムマトリックス内へのDNABIIタンパク質の組込みとの関連の証明。B.cenocepaciaがeDNAおよびDNABIIタンパク質の両方をそのバイオフィルム内に組み込む分子機構を解明し始めるために、本発明者らは、B.cenocepacia K56−2株(親分離株)、B.cenocepacia JRL2株(ΔbcsV;タイプIII分泌系変異体−T3SS)、またはB.cenocepacia DFA2株(ΔBcsK;タイプVI分泌系変異体−T6SS)のいずれかによって24時間で形成されたバイオフィルムを抗IHF抗体とインキュベートした(Aubertら(2010)J.Biol.Chem.285:35988−35998)。親分離株によって形成されたバイオフィルムでは、前に記載のようにバイオフィルム全体に陽性標識が分布した(図7A)。T3SS変異体によって形成されたバイオフィルムでは、バイオフィルム自体が親分離株によって形成されたバイオフィルムより全体的に頑強性が低かったのに対して(バイオマスは親分離株の18μm3/μm2と比較して4.5μm3/μm2;平均厚さは親分離株の25.2μmと比較して5.5μm)、抗IHF血清による標識もバイオフィルム全体に存在したが、親分離株を使用して認められるように、標識はバイオフィルムの底部ではるかに強いようであった(図7B)。しかし、逆に、T6SS変異体によって形成されたバイオフィルムの標識は非常に少なく(図7C)、このバイオフィルムも親分離株によって形成されたバイオフィルムより有意に頑強性が低かった(バイオマス2.9μm3/μm2;厚さ3.9μm)。B.cenocepaciaのT6SSがバイオフィルム形成に関連することが公知であるので(Aubertら(2008)Infect.Immun.76:1979−1991)、この後者の所見は予想外であった。しかし、まとめると、これらのデータは、DNABIIタンパク質(おそらくeDNAも同様)の搬出がB.cenocepaciaのT6SSに依存することを示唆していた。
in vitroで樹立されたバイオフィルム中に存在するIHFおよびeDNAの相対量に及ぼすT6SS変異体の影響(図8)を考慮すると、本発明者らはIHFがB.cenocepaciaにおいてT6SS遺伝子クラスター(BCAL0340〜BCAL0348;BcsK遺伝子はBCAL0342と等価である)の転写に影響を及ぼすように細胞内で作用する可能性があるかどうかに疑念を持った。これに関する第1の工程として、この遺伝子クラスターの上流領域を試験し、配列TCTCAACGATTTAを同定した(IHF結合コンセンサス配列WATCAANNNNTTR(ここで、WはAまたはTであり、Nは任意のヌクレオチドであり、RはAまたはGである)とほぼ完全に適合した)。50nMのE.coli IHFの存在下で、強いDNアーゼフットプリントが視覚可能であり(図7D)、これはBCAL0340のコード配列の25〜52bp上流の領域を対象とし、このコンセンサス配列との適合と重複する。この結果は、IHF自体がその放出およびおそらくバイオフィルムマトリックスに組み込まれるeDNAの放出を自己調節することを示し得る。
考察
嚢胞性線維症(CF)は、現在の処置方法を受け入れない慢性持続性疾患の特徴的な例である。CF患者の肺内に生息するバイオフィルムは、病理発生および慢性の両方に有意に寄与する。バイオフィルムは、不活性なまたは生物学的な表面に付着した細胞外ポリマーマトリックスまたは物質(またはEPS)で覆われた高度に組織化された多細胞共同体であり、事実上全ての細菌の好ましい生活様式である。バイオフィルム内の細菌集団は、そのプランクトン様または自由生活性の対応物と対照的に、増殖速度が遅く(栄養制限に起因する)、トランスクリプトームが異なり(Postら(2007)Curr.Opin.Otolaryngol.Head Neck Surg.15:347−351;Postら(2004)Curr.Opin.Otolaryngol.Head Neck Surg.12:185−190)、先天免疫および後天免疫のフェクターに対してだけでなく、抗生物質作用に対する耐性も実質的に高い(Slingerら(2006)Diagn.Microbiol.Infect.Dis.56:247−253)。さらに、EPSは、食細胞および他の細菌クリアランス機構(物理学的および生理学的の両方)に手強い物理的バリアを提供し、それにより、バイオフィルムは根絶するのが非常に困難である(Flemmingら(2010)Nat.Rev.Microbiol.8:623−633)。したがって、バイオフィルムが病理発生および慢性で重要な役割を果たす疾患(CFなど)は、新規の処置方法および防止方法が必要である。バイオフィルムのEPSの組成が属間で非常に多様であり、また、形成された環境に影響を受けるのに対して、非常に一般的且つ重要な構成要素は細胞外DNA(eDNA)の組み込みである。eDNAが微生物によって放出され、そして/またはバイオフィルムマトリックス内に組み込まれる機構は多数の病原体について依然として解明されていないが、それでもなおeDNAはその生物学的機能性およびバイオフィルムの構造成分としてのその役割の両方に関して非常に興味深い。
Burkholderia cenocepaciaが大量のeDNAを形成したバイオフィルム内に組み込むことを本明細書中に開示する。この大量のeDNAの存在が物理的バリアとして常在性B.cenocepaciaを例外的に防御する可能性が高く、本発明者らが最近示したように、バイオフィルム内のeDNAは先天免疫のエフェクターに結合することもでき(Jonesら(2012)J.Innate Immun)、したがって、バイオフィルム内の細菌細胞への接近を制限または防止することができる。特にB.cenocepaciaに関して、Peetersら(Peetersら(2008)J.Hosp.Infect.70:361−368)は、固着性のB.cenocepaciaがクロルヘキシジン、過酸化水素、および5%漂白剤に対して5分間の処置後でさえも高い耐性を示すことを示した。さらに、1998年から2006年までの非無菌医薬製品のFDA製品リコールデータの分析により、リコールのうち48%がB.cepacia、Pseudomonas species、またはRalstonia pickettiのいずれかによる汚染に起因することが示された(Jimenez(2007)PDA J.Pharm.Sci.Technol.61:383−399)。非無菌製品および無菌製品について、B.cenocepaciaは、最も頻繁に分離された種であった。まとめると、これらのデータは、表面、装置、および薬学的デバイスにおけるおそらくバイオフィルムの形態のB.cenocepaciaの汚染がCF患者だけでなく、CFを発症していない任意の入院患者、人工呼吸患者(Graindorgeら(2010)Diagn.Microbiol.Infect.Dis.66:29−40;Luceroら(2011)Am.J.Infect.Control.39:775−778)、および/または免疫低下患者(Vandammeら(1997)Int.J.Syst.Bacteriol.47:1188−1200)における感染源として働くことを示す。これらの所見により、CF患者、特にB.cenocepacia感染したCF患者のための新規の免疫治療ストラテジーを開発することにした。これを行うために、eDNAおよびこの細胞外DNAに結合することが公知のタンパク質ファミリー(DNABIIタンパク質)に注目した。
B.cenocepaciaが大量のeDNAをそのバイオフィルム内に組み込むことを本明細書中に開示する。このeDNAはE.coliによって産生された単離未変性IHFに指向する抗血清と相互作用するDNABIIタンパク質に関連する。このDNABIIタンパク質の空間分布を決定するためにB.cenocepaciaバイオフィルムを試験する場合、NTHIについて認められるように(Goodmanら(2011)Mucosal Immunol.4:625−637)、陽性標識がバイオフィルム内に存在するeDNA鎖の各交点に関連することが見出された。B.cenocepaciaによって産生されたバイオフィルムは、in vitroアッセイ系においてナイーブ血清ではなく抗IHFによる破壊に感受性を示した。さらに、IHFに指向する抗血清のこの破壊効果により、B.cenocepacia誘導性バイオフィルム内の細菌がCF患者を処置するために使用されてきたいくつかの抗生物質の伝統的であるが通常は無効な死滅作用に感受性を示すようになった。これらの抗生物質は、抗IHF血清を使用した処置を行わないin vitroでのバイオフィルム内のB.cenocepaciaの死滅に有効でなかったか、有効性が有意に低かった。抗IHF血清の作用により、これらのバイオフィルム内で認められた格子構造内へのeDNAの屈曲および安定化を担う基軸タンパク質(lynchpin protein)をターゲティングすることによってB.cenocepaciaが形成したバイオフィルムが破壊されたのに対して、DNアーゼは、in vitroでB.cenocepaciaバイオフィルムとインキュベートした場合に有効であることが見出されなかった。実際、NTHI(Gustaveら(2012)J.Cyst.Fibros.)またはP.aeruginosa(Whitchurchら(2002)Science 295:1487)のいずれかによって形成されたバイオフィルムを使用して認められた減少効果と異なり、DNアーゼでのB.cenocepaciaバイオフィルムの処置により顕著により頑強なバイオフィルムの形成が誘導され、B.cenocepaciaに感染したCF患者の処置では禁忌であることが示唆された。感染6時間後に抗IHFで処置した摂取B.cenocepaciaの死滅はナイーブ血清でプレインキュベートした摂取B.cenocepaciaの死滅より統計的に有意に増加したので、IHFに指向する抗血清でのB.cenocepaciaの前処置がネズミCFマクロファージ内のより有効な分解経路への摂取B.cenocepaciaの経路指示を容易にするようであることも証明された。この所見の機構は依然として知られていないのに対して、本発明者らは、抗IHFの細菌細胞関連細胞外IHFへの結合がこれに関して役割を果たしたかもしれないと仮定する。最後に、B.cenocepaciaがeDNAおよびDNABIIタンパク質の両方をそのバイオフィルム内に組み込む分子機構の解明を開始するために、本発明者らは、本明細書中で使用したK56−2単離株のT3SS変異体およびT6SS変異体の両方によって構築されたバイオフィルムを試験した。両変異体のバイオフィルムが相対的バイオフィルムの頑強性に関して全体的に損なわれたのに対して、T6SS変異体によって構築されたバイオフィルムがIHFに指向する抗血清による標識を欠き、このことは、このタンパク質の分泌および頑強なバイオフィルム形成が活性T6SSに依存することを示唆していた。さらに、本発明者らはT6SS遺伝子クラスターの直ぐ上流に推定IHF結合部位を同定し、IHF自体の排出を調節することができることが示唆された。実際、IHF欠損変異体の正式な転写分析によりB.cenocepacia病理発生におけるIHFの役割をさらに詳細に説明することができ;IHFが細胞外基質の両方の部分であり、尿路病原性E.coliにおける病原性因子発現を調節することが既知である(Justiceら(2012))。これらの所見の根底にある機構は、さらに調査中である。
最近の大幅な進歩によりCF患者をより良好に管理することができるにもかかわらず、これらの患者は、今でさえ30代半ばまで生存することしか期待できない。少なくとも90%のCF患者は長年の慢性、再発性、および持続性の肺の細菌感染後に呼吸不全のために死亡する。CF患者の肺内のバイオフィルム内に細菌が生息すると、手強い障害をもたらす。それにより、CFに特徴的な長期間の細菌感染をより良好に処置および/または防止するための新規且つ有効なストラテジーをデザインするために、バイオフィルムの両方の固有の生物学的性質を理解し、どのようにしてこれらの構造を弱体化して治療的または防止的な「治癒」を媒介することができるのかを決定することが必要である。本明細書中に、本発明者らは、バイオフィルム内に存在するeDNAを安定化する細菌タンパク質のターゲティングがin vitroでのバイオフィルムの構造の減少または根絶に非常に有効であることを示した。さらに、B.cenocepacia誘導性バイオフィルムの抗IHFでの処置により、常在性細菌細胞が感受性を示して死滅するように複数の標準的な抗生物質と相乗的に作用した。最後に、本発明者らは、B.cenocepaciaのIHFに指向する抗血清での前処置によりネズミCFマクロファージによって摂取された場合にその生存が有意に阻害されることを発見した。今日までに得られたデータに基づいて、B.cenocepaciaバイオフィルム内のeDNAに関連するDNABIIタンパク質をターゲティングするアプローチは、CF患者、特にB.cenocepaciaがコロニー形成したCF患者の処置のための有望な新規のアプローチが得られる見込みがある。最も重要には、複数のヒト病原体が、バイオフィルム内のeDNAが核酸結合タンパク質のDNABIIファミリーのメンバーに関連する類似のストラテジーを使用するようであることを考慮して、本明細書中で開発したアプローチは、しばしばCF肺のB.cenocepacia感染に先行して増殖する他の気道病原体に有用である可能性が高い(Georgeら(2009)FEMS Microbiol.Lett.300:153−164)。
実験番号2
細菌株、バイオフィルム形成、IHF、および血清
NTHI 86−028NPは、慢性中耳炎のために中耳腔換気用チューブ挿入を受けた小児の上咽頭から培養した最小継代数の臨床分離株である。8ウェルチャンバーカバーガラススライド中のNTHIバイオフィルムの形成は、記載されている(Jurcisekら(2011)J.Vis.Esp)。全バイオフィルムアッセイのために、二連のウェルをZeiss510Meta−レーザー走査型共焦点顕微鏡で観察し、画像をZeiss Zenソフトウェアでコンパイルし、バイオマスおよび/または平均バイオフィルム厚さの値を、COMSTAT2ソフトウェアを使用して計算した(Heydornら(2000)Microbiology 146(Pt10):2395−2407)。全てのバイオフィルムアッセイを別の日に最低3回繰り返した。データを平均±SEMで示す。
精製E.coli IHFおよび精製E.coli IHFに指向するウサギ抗血清(「抗IHFE.coli」)を、Howard Nashから提供を受けた(Granstonら(1993)J.Mol.Biol.234:45−59;Riceら(1996)Cell 87:1295−1306)。ナイーブウサギ血清をSpring Valley Laboratoriesから購入した。
IHF特異的IgGの定量
IHF特異的IgGを、HiTrap Protein G HPカラム(GE Healthcare)を使用してポリクローナル血清から精製した。ポリクローナルおよびIgG富化抗IHFE.coliの両方におけるIHF特異的IgGを、スロットブロット対精製IHFE.coliによって定量した。ウサギ基準血清対精製ウサギIgG(Bethyl Laboratories,Inc.)を使用して検量線を作成し、AlphaViewソフトウェア(ProteinSimple)を使用してバンド強度を分析した。
成熟バイオフィルムの分解
バイオフィルムを、24時間、48時間、および96時間、または1週間および2週間確立させた。細菌生存を維持するために、培地(それぞれ2μg/ml−1のβ−NADおよびヘムを補足した脳心臓滲出物ブロス)を1日2回交換した。バイオフィルムを、培地、抗IHFE.coli(50倍希釈物(48時間以下のバイオフィルムのための4.4μgのIHF特異的IgG/ウェル−1に等価)または10倍希釈物(96時間以上のバイオフィルムのための22.0μgのIHF特異的IgG/ウェル−1に等価))、または等体積のナイーブ血清とインキュベートした。16時間後、バイオフィルムを、BacLight(商標)細菌生存キット(Molecular Probes)で染色し、1.6%パラホルムアルデヒド、2.5%グルタルアルデヒド、および4.0%酢酸を含む0.1Mリン酸緩衝液の溶液中で固定し、記載のように観察した。
バイオフィルムの分解動態学
24時間確立したバイオフィルムを、培地または抗IHFE.coliもしくはナイーブ血清(50倍希釈物)のいずれかと0、6、12、16、または24時間インキュベート後、記載のように生存染色および固定を行った。0時間のために、処置を施し、次いで直ちに除去した。24時間処置したバイオフィルムの細菌生存を維持するために、16時間後に処置物を置換し、さらに8時間インキュベートした。24時間バイオフィルムを完全に根絶させるために、抗IHFE.coliまたは等体積のナイーブ血清の5倍希釈物を適用した。
抗IHF抗体とNTHIバイオフィルムとの間の直接接触の阻害
IgG富化抗IHFE.coliを、AminoLink Plusキット(Thermo Scientific)によってアガロースビーズ(直径45μm超)に共有結合性にカップリングさせた。抗IHFE.coli抗体のバイオフィルムとの直接接触が分解の誘導に必要であるか決定するために、24時間バイオフィルムをオプティカルボトム96ウェルプレート中で確立し、次いで、培地、抗IHFE.coliの50倍希釈物、または等体積のナイーブ血清とインキュベートし、バイオフィルム(総体積80μl)に直接適用したか、ポアサイズ5μmのHTS Transwell(Corning)の96ウェルプレートへの挿入後、培地、0.5μg、5.0μg、または50.0μgのアガロースビーズに共有結合させたIgG富化抗IHFE.coli、または等体積のアガロースビーズに結合させたIgG富化ナイーブ血清をアピカル側チャンバー内に入れた(総体積80μl)。バイオフィルムを16時間インキュベーション後、記載のように処理した。IHF特異的抗体がバソラテラル側チャンバー内に拡散しなかったことを確認するために、バソラテラル側チャンバー由来の上清を回収し、ウェスタンブロッティングによって精製IHFE.coliに対する反応性についてアッセイした。
抗IHFE.coliによるバイオフィルム分解を立体障害によって阻止することができるかどうかを決定するために、80μlの裸のアガロースビーズをアピカル側チャンバーに添加し、1時間後に50.0μgのビーズに結合したIgG富化抗IHFE.coliまたは同等な体積のビーズにカプリングしたナイーブ血清から富化したIgGを重層した。プレートをさらに16時間インキュベートし、次いで、バイオフィルムを染色し、観察し、記載のように分析した。
IHF特異的抗体が遊離IHFを隔絶する能力が相対的接近能によって制限されるかどうかを同定するために、50.0μgのビーズにコンジュゲートしたIgG富化抗IHFE.coliまたは等体積のビーズに結合したIgG富化ナイーブ血清(IgG−enriched from naive serum)を、バソラテラル側チャンバーが24時間NTHIバイオフィルムを含んでいるトランスウェルのアピカル側チャンバーに適用した。6時間後、アピカル側チャンバーの内容物を攪拌によって混合し、さらに10時間インキュベートし、次いで、バイオフィルムを染色し、観察し、記載のように分析した。
抗IHFE.coliの吸着
抗IHFE.coli媒介性のバイオフィルム減量を無効にするために、IHF特異的抗体を、精製IHFE.coliとのインキュベーションによって血清から吸着させた。抗IHFE.coliのアリコート(4.4μgのIHF特異的IgG)を、2.2μgまたは4.4μgの精製IHFE.coli、生理食塩水希釈物、または「rsPilA」と呼ばれる等価な分子質量の組換えタンパク質(Novotnyら(2009)PLoS One 8:e67629)と1時間インキュベートした。ウェスタンブロットを行って抗IHFE.coliの吸着を確認した。抗IHFE.coli吸着の機能的意義を評価するために、次いで、吸着した血清を、標準的な処置および処理プロトコールにしたがって24時間NTHIバイオフィルムに適用した。
抗IHFE.coliおよび抗生物質のNTHIバイオフィルムに対する相乗作用
NTHI感染を処置するために典型的に使用される抗生物質への暴露の際にNTHIバイオフィルムの生存能の変化を視覚化するために、24時間バイオフィルムを確立し、抗IHFE.coliまたはナイーブ血清の50倍希釈物、アンピシリン(32.0μg/ml−1)、セフジニル(0.25μg/ml−1)、またはアモキシシリン(1.0μg/ml−1)+クラブラナート−リチウム(0.5μg/ml−1)と16時間インキュベートした。各抗生物質を、標準的なブロス微量希釈法によって決定する場合にプランクトン様NTHIのMIC90で使用した(Biedenbachら(2003)Diagn.Microbiol.Infect.Dis.46:55−61;Tristamら(2007)Clin.Microl.Rev.20:368−389)。
処置後のバイオフィルム内のNTHI接着およびプランクトン様形態に新規に放出された細菌を定量するために、24時間バイオフィルムをMIC90の各抗生物質またはその4倍もしくは8倍希釈物と抗血清を用いるか用いずにインキュベートした。新規に放出されたNTHIを培養するために、吸引によって上清を回収し、バイオフィルムは無菌生理食塩水で2回穏やかに洗浄して弱く接着した細菌を除去し、バイオフィルム内のNTHIを強いピペット操作の反復によって回収した。プランクトン様細菌および接着性細菌を個別にプレートしてCFU NTHI/ml−1を決定し、これらの値を組み合わせて示すように総CFU細菌を証明した。データを、3つの独立したアッセイの平均±SEMで示す。
プランクトン様NTHIに対する抗IHFE.coliおよび抗生物質の相乗作用
NTHIを記載のように調製し(Jurcisekら(2011)J.Vis.Exp.)、106CFU NTHIを96ウェルプレートのウェル内に播種後、MIC90の抗生物質またはその4倍もしくは8倍希釈物と抗IHFE.coliまたは等体積のナイーブ血清の50倍希釈物を用いるか用いずにインキュベートした。16時間後、培養物を連続希釈し、チョコレート寒天上に半定量的CFU NTHI/ウェルまでプレートした。データを、3つの独立したアッセイの平均±SEMで示す。
NTHI IHFのエピトープマッピング
IHF内の免疫優性領域を同定するために、一連の12種の5残基が重複した20マー合成ペプチドを、NTHI 86−028NP株によって発現されることが予想されるIHF(「IHFNTHI」)のα−サブユニットのN末端からC末端を模倣するように合成した。全合成ペプチドの合成、精製、および配列確認を、Ohio Peptide,LLCによって行った。未変性IHFE.coliまたは過剰な二本鎖DNAに予め結合させたIHFE.coliのいずれかを用いて免疫しているチンチラから回収したポリクローナル血清の得られたサンプル(archived sample)(Goodmanら(2011)Mucosal.Immunol.4:625−637)を使用して、IHFの免疫優性エピトープをマッピングした。IHFNTHI合成ペプチドとチンチラ血清中に存在する抗体との間の相互作用を、記載のようにBiacore 3000(GE
Healthcare)を使用して分析した(Novotnyら(2000)Infect.Immun.68:2119−2128;Novotnyら(2009)Vaccine 28:279−289)。IHFNTHIペプチドに対するチンチラ血清の反応性を、PyMolソフトウェア(Schroedinger)を使用して描画して3Dモデル画像を作成した。
NTHIバイオフィルムを破壊するためのIHFNTHIエピトープ特異的抗血清の評価
エピトープマッピング研究から得た結果にもとづいて、IHFNTHIα−サブユニット内の2つの領域を、以下のポリクローナルチンチラ抗血清を生成するために選択した:
IhfA−3NTHI(非反応性領域)およびIhfA−5NTHI(IHFE.coliに対する抗体に反応性を示すが、DNAに予め結合させた抗IHFE.coliに反応性を示さない)。24時間確立させたNTHIバイオフィルムを、以下のチンチラ血清の50倍希釈物で処置した:抗IHFE.coli、DNAに予め結合させた抗IHFE.coli、ナイーブ血清、抗IhfA−3NTHI、または抗IhfA−5NTHIで16時間。その後に染色および評価を行った。NIH実験動物の管理と使用に関する指針に従い、且つNationwide Children’s Hospitalの実験動物委員会に承認されたプロトコール下で動物実験を行った。
統計分析
GraphPad Prismソフトウェアを使用して統計分析を行った。バイオフィルムのバイオマスおよび厚さを、一元配置分散分析(ANOVA)後、5%に設定したチューキーの多重比較検定を使用して比較した。処置後のCFU NTHIの有意差を、一元配置ANOVAおよびその後の多重比較のためのホルム−シダック検定によって決定した;0.05以下のp値を有意と見なした。
結果
NTHIバイオフィルムの抗IHF誘導性分解
以前の研究では、50倍希釈で使用したE.coli IHFに対するポリクローナルウサギ抗血清(すなわち、「抗IHFE.coli」)(50倍希釈で使用、4.4μgのIHF特異的IgG/ml−1と等価)が24時間NTHIバイオフィルムをin vitroで破壊することを証明している(Goodmanら(2011)Mucosal Immunol.4:625−637)。次に、本発明者らは、初期に形成されたNTHIバイオフィルムおよび成熟NTHIバイオフィルムの両方に及ぼす抗IHFE.coliの相対有効性を試験した。処置の16時間前、24時間前、48時間前、または96時間前および1週間前もしくは2週間前に形成されたバイオフィルムは、抗IHFE.coliとのインキュベーション後に残存バイオフィルムが顕著に減少した一方で、ナイーブ血清に暴露したバイオフィルムは、培地中で維持されたバイオフィルムに匹敵した(図10A)。定量的には、抗IHFE.coliに暴露した16時間、24時間、および48時間バイオフィルムのバイオマスは、ナイーブ血清と比較して、それぞれ94%、86%、および74%有意に減少した(p<0.05、図10B)。より成熟したバイオフィルムに対して類似の影響を達成するために、抗IHFE.coliを10倍希釈した。結果的に、96時間または1週間もしくは2週間のバイオフィルムのバイオマスは、ナイーブ血清と比較してそれぞれ74%、43%、57%有意に減少した(p<0.01または0.05)。NTHIバイオフィルムがin vitroで成熟するにつれて、eDNAの相対量が増加し(Jonesら(2013)J.Innate Immun.5:24−38)、したがって、より高い濃度のIHF特異的抗血清がこれらの「より古く」且つ高密度のバイオフィルムのバイオマスの類似の減少に必要であることは予想されなかった。まとめると、これらのデータは、抗IHFE.coliが有意に有効であり、初期形成NTHIバイオフィルムおよび成熟NTHIバイオフィルムの両方を破壊することができることを証明した。
次いで、抗IHF媒介性破壊の動態学を試験した。24時間確立させたバイオフィルムを、その後に0、6時間、12時間、16時間、または24時間培地または50倍希釈の抗IHFE.coliもしくはナイーブ血清のいずれかで処置した。処置の適用、その後の即時除去は培地と比較してバイオフィルムバイオマスの変化を誘導しなかった(図11Aおよび11B)。しかし、抗IHFE.coliを6時間、12時間、16時間、または24時間暴露したバイオフィルムは、それぞれ、ナイーブ血清と比較してバイオマスが76%、43%、65%、67%減少し(p<0.01)、6時間で最大減少が認められた。非SPF動物由来のナイーブ血清の中程度の影響を培地中で維持されたバイオフィルムと比較したことが以前に報告されていた(Goodmanら(2011)Mucosal Immunol.4:625−637;Novotnyら(2013)PLoS One 8:e67629)。本発明者らは、次に、より高い濃度の抗IHFE.coliまたは暴露時間の延長が予め形成されたバイオフィルムをさらに減少させるか根絶することができるかどうかを試験した。NTHIバイオフィルムの5倍希釈した抗IHFE.coliとのインキュベーションにより、ナイーブ血清と比較してバイオマスが86%減少した(p<0.01;図11Aおよび11B)。より高い濃度の抗IHFE.coliや24時間までの処置時間の延長では全生菌を完全に根絶しなかったので、この結果が最大のようであった。いずれの場合も、処置後に単層の細菌が残存し、これらの単層中に抗IHFE.coliの標的は存在しなかったことが示唆された。
NTHIバイオフィルムを破壊するために抗IHFに直接接触は必要なかった。
ここまでで、抗IHFをNTHIバイオフィルムに直接適用した。抗IHFE.coliとバイオフィルムとの間の直接接触が必要であるかどうかをここで決定するために、NTHIバイオフィルムをトランスウェルのバソラテラル側チャンバー中に確立した。アガロースビーズに共有結合させたIgG富化抗IHFE.coliをアピカル側チャンバーに入れ、したがって、膜の存在によって抗体がバイオフィルムから物理的に分離された。本発明者らは、ウェスタンブロットによるトランスウェルのアピカル側チャンバー中の抗体結合ビーズの配置から24時間後のバソラテラル側チャンバー内の培地の回収によって、アガロースビーズにカップリングした抗IHFE.coliがバソラテラル側チャンバー中に分散されなかったことを最初に確認した(図18)。IHFE.coliのバイオフィルムへの直接的な適用と比較して(図12A)、トランスウェルのアピカル側チャンバー内のアガロースビーズに係留した抗IHFE.coliの存在下でのバイオフィルムの減少は等価であり(図12C)、ナイーブ血清由来の係留IgGと比較してバイオマスの有意な減少(p<0.05)が認められた(図12Bおよび12F)。3つの濃度のアガロースビーズにカップリングした抗体をアッセイしたが、全てが有効であり、用量依存性バイオフィルム破壊が認められなかった。これらのデータは、バイオフィルム培地とトランスウェル膜との間の境界の利用可能な抗体結合部位の飽和を示唆した。この理論を試験するために、裸のアガロースビーズの層をIHFE.coli抗体が結合している層の下に配置し、したがって、「遊離」IHFへの結合能力が立体的にブロッキングされた。予測通り、バイオフィルムの破壊は認められなかった(図12Dおよび12F)。しかし、バイオフィルム破壊は、裸のビーズおよび抗IHF結合抗体の混合の際に修復された(図12E)。まとめると、これらのデータは、抗IHFE.coliは破壊を媒介するためにNTHIバイオフィルムと直接接触する必要はなく、さらに、このタンパク質がバイオフィルム内のeDNAから天然に解離した(すなわち、「オフ」状態にある)場合に遊離IHFが抗体によって捕捉されるので、この破壊は、強制的平衡シフトによって媒介される可能性が高いことを証明していた。
認められたバイオフィルム破壊がIHFに指向する抗体によって特異的に媒介され、過免疫ウサギ血清(この血清は使用前に熱失活されていなかったので)内の他の成分の影響に起因しなかったことを証明するために、抗IHFE.coliのアリコートを、精製IHF(すなわち、陰性対照として)またはrsPilAと呼ばれる類似の分子質量のNTHIタンパク質のいずれかを使用して吸着させた(Novotnyら(2009)Vaccine 28:279−289)。本発明者らは、バイオフィルムアッセイで利用した抗血清の任意に選択した50倍希釈物が各バイオフィルムへの4.4μgのIHF特異的IgGが適用されることと同一であることを最初に確認した。ウェスタンブロッティングにより、漸増濃度の精製IHFとのインキュベーション後にIHF特異的抗体の反応性が減少することが明らかとなった(図19)。関連しない組換えNTHIタンパク質とのインキュベーションによって反応性の減少が認められなかったので、この結果は特異的であった。さらに、バイオフィルムのIHF吸着血清とのインキュベーションにより、全血清と比較して予め形成されたバイオフィルムを有効に破壊する能力が減少した(図13Aおよび13B)。これらのデータにより、認めれたNTHIバイオフィルム破壊がポリクローナルウサギ血清内のIHF特異的抗体によって媒介されることが明らかとなった。
抗IHFの抗生物質との相乗作用
本発明者らは、次に、抗IHFE.coliによるバイオフィルム破壊がNTHI感染処置で一般に使用される抗生物質による死滅に対するバイオフィルム常在細菌の感受性を増加させるかどうか試験した。プランクトン様に増殖したNTHIの90%の増殖を阻害するために必要な最小阻止濃度(MIC90)を以前に記載のように決定し(Tristramら(2007)Clin.Microbiol.Rev.20:368−389)、以下の濃度を使用した:アンピシリン(32μg/ml−1)、アモキシシリン−クラブラナート(それぞれ、1μg/ml−1および0.5μg/ml−1)、およびセフジニル(0.25μg/ml−1)。次いで、24時間NTHIバイオフィルムを、50倍希釈した抗IHFE.coli、抗生物質、または抗IHFE.coli+抗生物質の組み合わせに曝露した。予測通り、抗IHFE.coliは有意なバイオフィルム破壊を媒介し(図14A)、しかし、プランクトン様NTHIのMIC90での3つの抗生物質のうちのいずれかとのインキュベーションにより、生存染色によって決定したところ細菌は死滅せず(図14B〜14D)、平均バイオフィルム厚さおよび平均バイオマスは、培地と抗生物質のみとの間で類似していた(図14E)。特に、確立されたNTHIバイオフィルムの抗IHFE.coliと3つの抗生物質のうちのいずれかとの組み合わせでの処置により、抗生物質のみでの処置と比較して、バイオフィルム構造の顕著な変化および平均バイオマスの統計的に有意な減少(p≦0.05)が誘導された。さらに、抗IHFE.coli+3つの抗生物質のうちのいずれかで処置したバイオフィルム内で細胞死が認められた。これらのデータは、NTHIバイオフィルムの抗IHF媒介性破壊により常在細菌が以前に無効であった抗菌剤の作用により感受性を示すようになったことを示唆していた。
予め形成されたバイオフィルムの物理的破壊の記述データの範囲外にこの一連の調査を拡大するために、抗IHFE.coli曝露が新規に放出された細菌の抗生物質媒介性の死滅を増大させるかどうかを試験した。そのためには、3つのターゲティングされた抗生物質を、プランクトン様NTHIのMIC90(Biedenbachら(2003)Diagn.Microbiol.Infect.Dis.46:291−294;Tristramら(2007)Clin.Microbiol.Rev.20:368−389)およびその4倍希釈または8倍希釈の両方でアッセイした。MIC90の3つの抗生物質のうちのいずれかとインキュベートした場合、培地と比較して接着性コロニー形成単位(CFU)細菌/ml−1(図15A〜15C)の有意差は認められなかった。しかし、抗IHFE.coliの添加により、培地と比較してチャンバースライドに接着したままであるNTHI数は有意に減少した(p<0.05)(Goodmanら(2011)Mucosal Immunol.4:625−637)。さらに、抗IHFE.coliと組み合わせたMIC90の任意の抗生物質の使用により、培地のみと比較して接着性細菌数のなおさらなる有意な減少が誘導された(p<0.05)。この減少は、アンピシリン濃度の1/8(4μg/ml−1)およびアモキシシリン−クラブラナート(clavulante)濃度の1/8(それぞれ0.125μg/ml−1および0.0625μg/ml−1)ならびにセフジニル濃度の1/4(0.0625μg/ml−1)で維持された。
接着性集団およびプランクトン様集団の両方における細菌の抗IHFE.coli媒介性の死滅の増強によるバイオフィルムの破壊を証明するために、抗IHFE.coliを用いるか用いずに送達させた各抗生物質での処置後の総生菌/ウェル(図16D〜16F)を試験した。全抗生物質について、抗IHFE.coliの50倍希釈物と組み合わせてMIC90またはその4倍もしくは8倍希釈のいずれかの抗生物質を使用した場合、全生存CFU NTHI/チャンバースライドウェルが有意に減少した。すべての場合において、これらの相違は、抗生物質のみ、抗IHFE.coliのみ、または抗生物質+ナイーブ血清を使用した処置と比較して有意であった(p<0.05)。
新規に放出されたNTHI、または恐らく破壊されたバイオフィルムと低ストリンジェントに会合したNTHIが通常はこれらの抗生物質作用に感受性を示すかどうかを決定するために、NTHIブロス培養物を、単独またはアンピシリン、アモキシシリン/クラブラナート、もしくはセフジニルの存在下で送達させた抗IHFE.coliまたはナイーブ血清のいずれかの50倍培養物で処置した。抗生物質を、プランクトン様NTHIのMIC90およびその4倍希釈または8倍希釈の両方で使用した。プランクトン様に増殖したNTHIの抗IHFE.coliのみへの曝露の際に抗生物質媒介性の死滅は増強されず(図20A〜20C)、抗IHFE.coli作用によってバイオフィルムから新規に放出されたNTHIがそのバイオフィルムまたはプランクトン様対応物のいずれかと表現型が異なることが示唆された。
IHF内の免疫優性領域の同定
以前の研究で、未変性IHFE.coliでのチンチラの免疫化により抗体形成が誘導され、実験OM中にチンチラ中耳内の確立されたNTHIバイオフィルムが迅速に分解されたことが示された。しかし、DNAと予め複合体化されているIHFE.coli(疾患時に天然に存在する可能性が高い形態)での免疫化により疾患は回復しなかった(Goodmanら(2011)Mucosal Immunol.4:625−637)。まとめると、これまでのデータは、多数の細菌のDNABIIタンパク質内にバイオフィルム構造の有効な破壊のためにターゲティングすることができる保存ドメイン(IHFおよびHU)が存在し、IHF/HUがDNAに会合する場合にこのドメインがマスキングまたは閉塞されることを意味する。この有効な/マスキングされたドメインの位置を決定するために、NTHI由来のIHF(「IHFNTHI」という)を、このDNABIIタンパク質のα−サブユニットの推定されるN末端からC末端を模倣するようにデザインされた一連の20量体の重複ペプチドを使用してエピトープマッピングした。これらのペプチドを、未変性IHFE.coliまたは過剰量のDNAと複合体化されているIHFE.coliのいずれかで免疫されているチンチラから回収した抗血清を使用してスクリーニングした(Goodmanら(2011)Mucosal Immunol.4:625−637)。未変性IHFE.coliに対する抗血清はDNA結合先端領域を示すと予想されるペプチドに反応性を示し(図16A)、これに対して、IHFE.coli−DNA複合体に対する抗血清によりIHFNTHIのN末端テールを示すペプチドに対して最も高い反応性が得られた(図16B)。図16Cに示すようにIHFE.coliがDNAに結合した場合にDNA結合先端領域が閉塞される可能性が高いので、この結果は論理上当然であった。したがって、テール領域が曝露されるのに対して、先端結合領域は免疫学的に接近不可能であると予想される。
本発明者らのエピトープマッピング研究によって血清抗体が反応性を示すIHF分子内の特異的領域が明らかとなったので、本発明者らは、次に、このターゲティングされたエピトープに指向する抗体が未変性タンパク質に指向する抗体と同等の有効性を示すかどうかを決定することを試みた。そのためには、チンチラ中で免疫血清を生成するための以下の2つのペプチドを選択した:ペプチドIhfA−5NTHI(IHFのα−サブユニット内に反応性DNA先端結合領域を示す)(図16D)および陰性対照としてのIhfA−3 NTHI(同一サイズであるがエピトープマッピングによって非反応性を示したペプチドを示す)(図16D)。精製IHFE.coliおよびDNAと予め複合体化したIHFE.coliを比較免疫原として使用した。予想通り、未変性チンチラ血清と比較して、DNAと複合体化した抗IHFE.coliまたは抗IhfA−3 NTHIとインキュベートしたNTHIバイオフィルムは、バイオフィルムの形態やバイオマスが変化しなかった(図16Eおよび16F)。しかし、抗IHFE.coliを使用して認められたバイオフィルムと同様に、抗IhfA−5NTHIとのインキュベーションはナイーブ血清と比較してバイオフィルムのバイオマスの有意な減少(p<0.01)を誘導するのに等しく有効であった。
考察
細菌バイオフィルムは、ほとんどの再発性および慢性の細菌性疾患(気道、尿生殖路、および口腔の疾患が含まれる)に有意に寄与する。バイオフィルムは宿主免疫系および抗菌剤の作用に不応性を示し、バイオフィルム成分を有する疾患のための新規の処置方法を開発することが必要である。eDNAは多数の微生物のバイオフィルムEPSの一般的な成分であり、本発明者らは、IHFに指向する抗体へのバイオフィルムの曝露が有意な破壊を媒介するので、タンパク質のDNABIIファミリーのメンバーがバイオフィルム構造の安定化で重要な役割を果たすと以前に証明している(Goodmanら(2011)Mucosal Immunol.4:625−637)。
NTHIバイオフィルムが成熟するにつれてEPS内のeDNA濃度が増加し(Jonesら(2013)J.Innate Immun.5:24−38)、推論の結果として、それに調和して会合したDNABIIタンパク質の濃度が相対的に増加する。したがって、本発明者らは、本明細書中に、バイオフィルムが古いほど破壊を媒介するためにはより高い濃度の抗IHFE.coliが必要であることを示した。抗IHFE.coliが確立された24時間NTHIバイオフィルムを破壊する能力は迅速であり、曝露6時間以内に最大の効果を示し(ナイーブ血清と比較してバイオマスが76%減少し、平均厚さが71%減少した)、単一処置を使用したさらなる24時間のインキュベーション後にさらなる破壊は生じなかった。抗IHFE.coli抗体の濃度または暴露時間の相対的増加と無関係に、NTHIの完全な根絶は達成することができなかった。その代わりに、生菌の単層が残存し、eDNAおよびIHFを含むEPSの非存在下では抗IHF指向治療の標的は存在しないことが示唆された。
それにより、組み合わせアプローチが理想的であり、これらの疾患を回復させるために既存の抗生物質または他の治療薬を使用することができる可能性が高いであろう。
作用機構をより良好に定義するために、バイオフィルムと抗IHFE.coli抗体との間の直接的接触がバイオフィルム破壊に必要であるのかどうかを調査した。なぜならかかる必要性が真実でないと以前に仮定されているからである(Goodmanら(2011)Mucosal Immunol.4:625−637)。予想通り、微多孔膜によるバイオフィルムからのアガロースビーズに係留した抗体の分離によりバイオフィルム破壊が阻害されず、直接的な接触は必要ないことが示唆された。その代わりに、まとめると、データは、DNAを有するIHF間の通常の平衡の一部としてバイオフィルム内のeDNAから遊離IHFが解離したので、IHFE.coliに指向する抗体が遊離IHFを捕捉したことを示した。実際、エピトープマッピング実験により、抗体作用部位としてのIHFのDNA結合ドメインの競合的阻害が指摘される。したがって、過剰量のIHFに対する抗体の存在がこの平衡をシフトさせ、バイオフィルム構造の崩壊または破壊を媒介する。
バイオフィルムの抗IHFでの処置がプランクトン様相内への細菌の放出を媒介するので(Goodmanら(2011)Mucosal Immunol.4:625−637)、抗IHFE.coliが伝統的な抗生物質との組み合わせ様式でその死滅能力を増大させるように作用することができるかどうかを試験した。NTHIに起因する治療抵抗性気道感染を処置するために伝統的に使用される3つの抗生物質について、これが実際に真実であると判断した。確立されたバイオフィルムの抗IHFE.coli+抗生物質での処置により、常在細菌が死滅に対して感受性を示すようになった。さらに、これらの新規に放出された細菌は、死滅に対する感受性が増大し、この死滅は抗IHFE.coliのみへの曝露が原因ではなかった。3つ全ての試験した抗生物質は、プランクトン様増殖細胞のMIC90の1/4〜1/8の濃度で使用した場合に死滅を媒介することができ、したがって、真の相乗作用が証明された。これらの所見はまた、バイオフィルム内に生息するNTHIまたはプランクトン様に増殖したNTHIのいずれかと比較してバイオフィルム増殖から新規に放出されているNTHIの固有の表現型の可能性があることを示唆した。重要なことに、バイオフィルムから放出された肺炎球菌が、いくつかの処置によって媒介された場合、バイオフィルムとして増殖する細菌および富栄養培地中で増殖したプランクトン様細菌の両方(Marksら(2013)MBio.4)と比較して固有のトランスクリプトームを有し、且つ病原性が増大することを見出したAnders Hakanssonによる先駆的研究におけるS.pneumoniaeと類似の所見が得られた。
まとめると、これらのデータは、IHFに対する抗血清が確立されたバイオフィルムの破壊を誘導する機構を説明するためのモデルを支持する。バイオフィルムの抗IHFへの曝露により、バイオフィルム内(またはバイオフィルム「上」)のeDNAに結合したIHF分子と「オフ」状態のIHF分子との間の平衡シフトが誘導される。周囲の水性環境中に遊離したIHF分子が除去され、結合したIHFがバイオフィルムeDNAから強制的に解離され、したがって、バイオフィルム構造の崩壊が媒介される。これらの所見は、バイオフィルム成分を有する複数の疾患の処置のためにバイオフィルムの完全性に重要な構造の分子をターゲティングすることが可能であることを証明している。
別段に定義しない限り、本明細書で用いられる技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で提示される全てのヌクレオチド配列は、5’から3’への方向で示される。
本明細書において例示的に説明された本発明は、本明細書で具体的に開示されていない、1つまたは複数の任意の要素、1つまたは複数の任意の限定が存在しない場合にも、適切に実施することができる。したがって、例えば、「〜を含む」、「〜を包含する」、「〜を含有する」などの用語は、外延的に、かつ限定なしに読まれるものとする。加えて、本明細書で用いられる用語および表現は、説明を目的として用いられるものであり、限定を目的として用いられるものではなく、示され、かつ、説明される特徴またはその部分の任意の等価物を除外する、このような用語および表現の使用を意図するものではなく、特許請求される本発明の範囲内にある多様な改変が可能であると認識される。
したがって、本発明は、好ましい実施形態により具体的に開示されているが、本明細書で開示される任意選択の特徴、改変、改善、および変更も当業者により回復される場合があり、このような改変、改善、および変更は、本発明の範囲内にあるものと考えられることを理解されたい。本明細書で提示される材料、方法、および例は、好ましい実施形態を示すものであり、例示的なものであり、本発明の範囲に対する限定として意図されるものではない。
本明細書では、本発明について、広範かつ一般的に説明してきた。本一般的な開示の範囲内に収まる、より狭い範囲内にある種類、および亜属の群分けのそれぞれもまた、本発明の一部を形成する。これは、除外される材料が、本明細書で具体的に列挙されているかどうかにかかわらず、属から任意の対象物を除外する条件または否定的限定を伴う本発明の一般的な説明を包含する。
加えて、本発明の特徴または態様が、マーカッシュ群との関係で説明される場合、当業者は、本発明がまた、それにより、マーカッシュ群の任意の個別のメンバーまたはマーカッシュ群のメンバーの亜群との関係でも説明されることを認識するであろう。
本発明を、上記の実施形態と共に説明してきたが、前出の説明および例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明の範囲の限定を目的とするものではないことを理解されたい。本発明の範囲内にある他の態様、利点、および改変は、本発明が関連する技術分野における当業者には明らかであろう。