JP2020090697A - 高い耐摩耗性を有する高靭性の冷間工具鋼 - Google Patents
高い耐摩耗性を有する高靭性の冷間工具鋼 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2020090697A JP2020090697A JP2018227662A JP2018227662A JP2020090697A JP 2020090697 A JP2020090697 A JP 2020090697A JP 2018227662 A JP2018227662 A JP 2018227662A JP 2018227662 A JP2018227662 A JP 2018227662A JP 2020090697 A JP2020090697 A JP 2020090697A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel
- less
- carbide
- wear resistance
- hardness
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Abstract
Description
質量%で、C:0.8〜0.9%、Si:0.4〜0.9%、Mn:0.3〜0.5%、Cr:3.0〜7.0%、Mo+W/2:2.2〜3.2%、V+Nb/2:0.4〜0.7%を有し、
式A=5.6C+1.3Si+1.1Crとするとき、式Aの値は8.8〜13.7で、
式B=11V−Cr−(Mo+Nb)とするとき、式Bの値は−5.6以上であり、
(ただし式A、Bにおける各化学成分は%における数値を代入した値である。)、
N:299ppm以下であって、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼であって、
この鋼の焼入焼戻し後の炭化物の面積率は10.0〜16.0%となり、
焼入焼戻し後の直径10μm以下の炭化物中に占める各炭化物の質量分率が、MC:6%以上、M6C:20%以上、M7C3+M23C6:65%以下であり、M7C3/M23C6の質量分率比:0.12以上となり、
1030℃で焼入れし500〜600℃で焼戻した後の最大硬さが63HRC以上となること、を特徴とする高い耐摩耗性を有する高靭性の冷間工具鋼である。
Cは、硬質炭化物を形成し、鋼の硬さ、耐摩耗性を向上させるとともに、焼入性を高める元素である。しかし、Cが0.8%未満であると、これらの効果は得られない。一方、Cが0.9%より多いと、粗大な炭化物を形成して鋼の靭性および加工性を悪化する。そこで、Cは0.8〜0.9%とする。
Siは、精錬時の脱酸剤として作用し、かつ基地の硬さを向上させるために必要な元素である。しかし、Siが0.4%未満であると、これらの効果は得られない。一方、Siが0.9%より多いと、得られた鋼の靭性および加工性が悪化する。そこで、Siは0.4〜0.9%とする。
Mnは、製錬時の脱酸剤として作用し、かつ鋼の焼入性を増進する元素である。しかし、Mnが0.3%未満であると、これらの効果は得られない。一方、Mnが0.5%より多いと、得られた鋼のマトリックスを脆化させるので、靭性が悪化する。そこで、Mnは0.3〜0.5%とする。
Crは、硬質炭化物を形成し、硬さ、耐摩耗性を向上させるとともに、焼入性を高める元素である。しかし、Crが3.0%未満であると、これらの効果は得られない。一方、Crが7.0%より多いと、得られた鋼に粗大な炭化物を形成して、靭性および加工性を悪化する。そこで、Crは3.0〜7.0%とし、望ましくは3.5〜6.5%とする。
Mo+W/2は、硬質炭化物を形成し、硬さ、耐摩耗性を向上させるとともに、焼入性および焼戻し軟化抵抗性を高める元素である。しかし、Mo+W/2が2.2%未満であると、これらの効果は得られない。一方、Mo+W/2が3.2%より多いと、得られた鋼に粗大な炭化物を形成して、靭性および加工性を悪化する。そこで、Mo+W/2は2.2〜3.2%とする。
V+Nb/2は、硬質炭化物を形成し、硬さ、耐摩耗性および焼入性を向上させるとともに、焼入れ時の結晶粒の粗大化を抑制する効果があり、靭性の向上に寄与する元素である。しかし、V+Nb/2が0.4%未満であると、これらの効果は得られない。一方、V+Nb/2が0.7%より多いと、得られた鋼に粗大な炭窒化物を形成して、靭性および加工性を悪化する。そこで、V+Nb/2は0.4〜0.7%とする。
Nは、窒化物を形成するために必要な元素であり、形成された窒化物が耐摩耗性を向上させるとともに、結晶粒の粗大化を防止して靭性の低下を抑制する効果を有する。その効果を得るためには、Nが299ppm以下とする必要がある。一方、Nが299ppmより多いとこれらの効果は得られず、粗大な窒化物を形成し靭性および加工性を悪化する。そこで、Nは299ppm以下、望ましくは200ppm以下とする。
5.6C+1.3Si+1.1Crを式Aとする。この式Aは、M23C6の析出しやすさを表しており、この式Aの値が高くなる程、M23C6は析出しやすくなる。M23C6は、耐摩耗性の向上に寄与する。しかし、M23C6が析出することで、他の種類の炭化物を形成するために必要なC量が少なくなる結果、二次硬化に寄与する炭化物が析出しにくくなる。そのために、M23C6の析出を限定する必要がある。そこで、式Aの値を8.8〜13.7とする。
11V−Cr−(Mo+Nb)を式Bとする。この式Bは、MCの析出しやすさを表す。ところで、このMCは微細な炭化物を形成しやすく、かつ二次硬化への寄与が特に大きい。これらの効果を得るために必要なMCを十分に形成させるためには、式Bの値を−5.6以上とする必要がある。そこで、式Bの値は−5.6以上とする。
十分な耐摩耗性を得るためには、焼入焼戻し後の炭化物面積率は10.0%以上が必要である。ただし、多すぎると靭性の低下を招くため、上限は16.0%とした。そこで、焼入焼戻し後の炭化物面積率は10.0〜16.0%とする。
MCおよびM6Cは、二次硬化を得るために必要な炭化物であり、必要な焼戻し硬さを得るためには、MCは6%以上、M6Cは20%以上の質量分率が必要である。M7C3+M23C6は、耐摩耗性を向上させる炭化物であるが、それらの量が多すぎると粗大化炭化物を形成しやすくなり、靭性や疲労強度の低下を招くだけでなく、他の炭化物を形成するために必要なC量が少なくなる結果、二次硬化に寄与する炭化物を析出しにくくなる。そのために、M23C6+M7C3の質量分率の上限を65%とした。また、M7C3は、二次硬化に寄与するとともに、M23C6が増えることで、粗大化炭化物になりやすいM23C6の析出を抑制するため、M7C3とM23C6の比であるM7C3/M23C6≧0.12とする。
本発明は、高い耐摩耗性を得るために、1030℃で焼入れし、500〜600℃で焼戻した後の最大硬さの下限値を63HRCとする。
本願の高い耐摩耗性かつ高靭性を有する冷間工具鋼工程について説明する。
先ず、表1の発明鋼No.1〜14と比較鋼No.15〜30に示した各化学成分と残部Feおよび不可避不純物とからなるNo.1〜30の各材料を、それぞれ100kgを真空誘導溶解炉にて溶製し、各発明鋼No及び比較鋼No.の得られた鋼をそれぞれ角50mmの棒鋼に鍛伸した。次いで、これらの棒鋼を1030℃に加熱し、この温度から空冷して焼入れした後、500〜600℃に加熱した後に空冷する焼戻し処理を少なくとも2回行なった。なお、表1には、発明鋼および比較鋼の合金成分である化学成分と、式A=5.6C+1.3Si+1.1Crの値と式B−11V−Cr−Moの値をそれぞれ示している。
63HRC以上の硬さが得られる鋼種であるJIS鋼種のSKH51は、焼戻し硬さが63HRCのとき3000N/mm2の抗折力の靭性を有する。こうしたSKH51鋼を基準に、より抗折力の高い3500N/mm2以上の抗折力が得られていれば靱性に優れているといえるので、表2においては3500N/mm2以上の抗折力が得られていれば○と評して示した。
一方、3500N/mm2未満と抗折力が低ければ悪いものとし、表2においては×として示した。
Claims (1)
- 質量%で、C:0.8〜0.9%、Si:0.4〜0.9%、Mn:0.3〜0.5%、Cr:3.0〜7.0%、Mo+W/2:2.2〜3.2%、V+Nb/2:0.4〜0.7%を有し、
式A=5.6C+1.3Si+1.1Crとするとき、式Aの値は8.8〜13.7で、
式B=11V−Cr−(Mo+Nb)とするとき、式Bの値は−5.6以上であり、
(ただし式A、Bにおける各化学成分は%における数値を代入した値である。)、
N:299ppm以下であって、残部Feおよび不可避不純物からなる鋼であって、
この鋼の焼入焼戻し後の炭化物の面積率は10.0〜16.0%となり、
焼入焼戻し後の直径10μm以下の炭化物中に占める各炭化物の質量分率が、MC:6%以上、M6C:20%以上、M7C3+M23C6:65%以下であり、M7C3/M23C6の質量分率比:0.12以上となり、
1030℃で焼入れし500〜600℃で焼戻しした後の最大硬さが63HRC以上となること、
を特徴とする高い耐摩耗性を有する高靭性の冷間工具鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2018227662A JP7214313B2 (ja) | 2018-12-04 | 2018-12-04 | 高い耐摩耗性を有する高靭性の冷間工具鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2018227662A JP7214313B2 (ja) | 2018-12-04 | 2018-12-04 | 高い耐摩耗性を有する高靭性の冷間工具鋼 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2020090697A true JP2020090697A (ja) | 2020-06-11 |
| JP7214313B2 JP7214313B2 (ja) | 2023-01-30 |
Family
ID=71012437
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2018227662A Active JP7214313B2 (ja) | 2018-12-04 | 2018-12-04 | 高い耐摩耗性を有する高靭性の冷間工具鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP7214313B2 (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2022109036A (ja) * | 2021-01-14 | 2022-07-27 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 高速度鋼 |
| JP2022118887A (ja) * | 2021-02-03 | 2022-08-16 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 表面処理特性に優れた冷間工具鋼および工具 |
| CN115058652A (zh) * | 2022-06-23 | 2022-09-16 | 宝钢轧辊科技有限责任公司 | 具有抗辊印性能的森吉米尔轧机工作辊及其制造方法 |
Citations (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2000328195A (ja) * | 1999-05-20 | 2000-11-28 | Daido Steel Co Ltd | 短時間焼入れ性に優れた工具鋼 |
| JP2012107265A (ja) * | 2010-11-15 | 2012-06-07 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 耐焼付き性に優れたアルミ製缶用工具およびその製造方法 |
| JP2014009396A (ja) * | 2012-07-02 | 2014-01-20 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 高硬度高靭性の冷間工具鋼 |
| CN104195450A (zh) * | 2014-08-21 | 2014-12-10 | 宜兴市永昌轧辊有限公司 | 一种具备高耐磨及抗辊印性能冷轧工作辊的热处理方法 |
| JP2016216753A (ja) * | 2015-05-14 | 2016-12-22 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 高硬度で高靱性な冷間工具鋼 |
-
2018
- 2018-12-04 JP JP2018227662A patent/JP7214313B2/ja active Active
Patent Citations (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2000328195A (ja) * | 1999-05-20 | 2000-11-28 | Daido Steel Co Ltd | 短時間焼入れ性に優れた工具鋼 |
| JP2012107265A (ja) * | 2010-11-15 | 2012-06-07 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 耐焼付き性に優れたアルミ製缶用工具およびその製造方法 |
| JP2014009396A (ja) * | 2012-07-02 | 2014-01-20 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 高硬度高靭性の冷間工具鋼 |
| CN104195450A (zh) * | 2014-08-21 | 2014-12-10 | 宜兴市永昌轧辊有限公司 | 一种具备高耐磨及抗辊印性能冷轧工作辊的热处理方法 |
| JP2016216753A (ja) * | 2015-05-14 | 2016-12-22 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 高硬度で高靱性な冷間工具鋼 |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2022109036A (ja) * | 2021-01-14 | 2022-07-27 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 高速度鋼 |
| JP7629305B2 (ja) | 2021-01-14 | 2025-02-13 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 高速度鋼 |
| JP2022118887A (ja) * | 2021-02-03 | 2022-08-16 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 表面処理特性に優れた冷間工具鋼および工具 |
| JP7731206B2 (ja) | 2021-02-03 | 2025-08-29 | 山陽特殊製鋼株式会社 | 表面処理特性に優れた冷間工具鋼および工具 |
| CN115058652A (zh) * | 2022-06-23 | 2022-09-16 | 宝钢轧辊科技有限责任公司 | 具有抗辊印性能的森吉米尔轧机工作辊及其制造方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP7214313B2 (ja) | 2023-01-30 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| US7264684B2 (en) | Steel for steel pipes | |
| KR101842825B1 (ko) | 오스테나이트계 스테인리스 강 및 그 제조 방법 | |
| JP7479787B2 (ja) | 熱伝導率に優れる熱間工具鋼 | |
| JP6366326B2 (ja) | 高靱性熱間工具鋼およびその製造方法 | |
| JP6384629B2 (ja) | 高周波焼入れ用鋼 | |
| JP6384626B2 (ja) | 高周波焼入れ用鋼 | |
| JP6581782B2 (ja) | 被削性および軟化抵抗性に優れた高靱性熱間工具鋼 | |
| JP2021031695A (ja) | 靱性に優れた熱間工具鋼 | |
| JPWO2021090472A1 (ja) | 高炭素冷延鋼板およびその製造方法並びに高炭素鋼製機械部品 | |
| JP7629269B2 (ja) | 熱伝導率に優れる熱間工具鋼 | |
| JP6384627B2 (ja) | 高周波焼入れ用鋼 | |
| JP6384628B2 (ja) | 高周波焼入れ用鋼 | |
| JPWO2020203570A1 (ja) | 遠心鋳造製圧延用複合ロール及びその製造方法 | |
| KR20190028781A (ko) | 고주파 담금질용 강 | |
| KR100511652B1 (ko) | 단조성과 피삭성이 우수한 강 | |
| CN109790602B (zh) | 钢 | |
| JP7214313B2 (ja) | 高い耐摩耗性を有する高靭性の冷間工具鋼 | |
| JP7544488B2 (ja) | 製造性及び熱伝導率に優れる熱間工具鋼 | |
| WO2021095831A1 (ja) | 高温強度及び靭性に優れる熱間工具鋼 | |
| KR102884941B1 (ko) | 강재 | |
| JP7689817B2 (ja) | 熱伝導率に優れる熱間工具鋼 | |
| JP2022143564A (ja) | 軟化抵抗性と焼入性に優れた熱間工具鋼 | |
| JP7220750B1 (ja) | 高温強度と靭性に優れた熱間工具鋼 | |
| JPH11269603A (ja) | 被削性および工具寿命に優れた熱間工具鋼 | |
| JP4513206B2 (ja) | 被削性に優れた機械構造用鋼およびその製造方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20211004 |
|
| A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220922 |
|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221005 |
|
| A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20221205 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221206 |
|
| TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230117 |
|
| A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230117 |
|
| R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7214313 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
| R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
