JP2020094110A - 重荷重用タイヤ用ゴム組成物及び重荷重用タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤの耐摩耗性、低燃費性、及び作業性のバランスに優れる重荷重用タイヤ用ゴム組成物及びこれを用いた重荷重用タイヤを提供する。【解決手段】共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位を含有する多元共重合体を含むゴム成分と、カーボンブラックを含む充填剤とを含み、前記カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対し、30質量部以上60質量部以下であり、前記充填剤中の前記カーボンブラックの含有量が52質量%以上90質量%以下である重荷重用タイヤ用ゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、重荷重用タイヤ用ゴム組成物及び重荷重用タイヤに関する。
一般に、重荷重用タイヤには、高い耐摩耗性が求められており、かかる要求を満たすために、高耐摩耗性のゴム材料が望まれている。
上記問題点に関し、例えば、ブタジエン中の1,4−シス結合量が70重量%以上であり、かつ1,2−ビニル結合量が10重量%未満であるスチレン−ブタジエン共重合体ゴム5〜40重量部と天然ゴム95〜60重量部とからなる重荷重タイヤ用ゴム組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−137893号公報
しかし、特許文献1に記載の手法では、タイヤの耐摩耗性及び低燃費性、並びにゴム組成物の作業性を並立することができなかった。
本発明は、タイヤの耐摩耗性、低燃費性、及び作業性のバランスに優れる重荷重用タイヤ用ゴム組成物及びこれを用いた重荷重用タイヤを提供することを目的とし、該目的を解決することを課題とする。
<1> 共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位を含有する多元共重合体を含むゴム成分と、カーボンブラックを含む充填剤とを含み、前記カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対し、30質量部以上60質量部以下であり、前記充填剤中の前記カーボンブラックの含有量が52質量%以上90質量%以下である重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
<2> 前記ゴム成分が、更に天然ゴムを含み、前記ゴム成分中の前記多元共重合体の含有量が5質量%以上95質量%以下であり、前記ゴム成分中の前記天然ゴムの含有量が5質量%以上95質量%以下である<1>に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
<3> 前記充填剤が、更に、ゴム成分100質量部に対し、5質量部以上28質量部以下のシリカを含む<1>または<2>に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
<4> 前記多元共重合体は、前記共役ジエン単位の含有量が1〜50mol%で、前記非共役オレフィン単位の含有量が40〜97mol%で、且つ、前記芳香族ビニル単位の含有量が2〜35mol%である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
<5> 前記多元共重合体は、0〜120℃における示差走査熱量計(DSC)で測定した吸熱ピークエネルギーが10〜150J/gである<1>〜<4>のいずれか1つに記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
<6> 前記多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が30〜130℃である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
<7> 前記多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度が0℃以下である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
<8> 前記多元共重合体は、結晶化度が0.5〜50%である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
<9> 前記多元共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなる<1>〜<8>のいずれか1つに記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
<10> 前記非共役オレフィン単位が非環状の非共役オレフィン単位である<1>〜<9>のいずれか1つに記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
<11> 前記非環状の非共役オレフィン単位がエチレン単位のみからなる<10>に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
<12> 前記芳香族ビニル単位がスチレン単位を含む<1>〜<11>のいずれか1つに記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
<13> 前記共役ジエン単位が1,3−ブタジエン単位及びイソプレン単位からなる群より選択される少なくとも1つを含む<1>〜<12>のいずれか1つに記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
<14> <1>〜<13>のいずれか1つに記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物を用いた重荷重用タイヤ。
本発明によれば、タイヤの耐摩耗性、低燃費性、及び作業性のバランスに優れる重荷重用タイヤ用ゴム組成物及びこれを用いた重荷重用タイヤを提供することができる。
以下に、本発明をその実施形態に基づき詳細に例示説明する。
なお、以下の説明において、数値範囲を示す「A〜B」の記載は、端点であるA及びBを含む数値範囲を表し、「A以上B以下」(A<Bの場合)、又は「A以下B以上」(B<Aの場合)を表す。
また、質量部及び質量%は、それぞれ、重量部及び重量%と同義である。
<重荷重用タイヤ用ゴム組成物>
本発明の重荷重用タイヤ用ゴム組成物は、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位を含有する多元共重合体を含むゴム成分と、カーボンブラックを含む充填剤とを含み、カーボンブラックの含有量が、ゴム成分100質量部に対し、30質量部以上60質量部以下であり、充填剤中のカーボンブラックの含有量が52質量%以上90質量%以下である。
以下、「重荷重用タイヤ用ゴム組成物」を、単に「ゴム組成物」と称することがある。
従来は、重荷重用タイヤのように、耐久性と耐摩耗性が求められるタイヤには、充填剤としてカーボンブラックを多くゴム組成物に配合する必要があった。更に高い低燃費性、耐摩耗性、ゴム組成物の作業性が求められているが、従来手法ではバランスを改良することが困難であった。
これに対し、本発明のゴム組成物は、上記構成であることで、ゴム組成物の作業性と、ゴム組成物を加硫して得られる重荷重用タイヤの耐摩耗性と、低燃費性との3特性のバランスに優れる。これは、次の理由によるものと推察される。
本ゴム組成物に含まれる多元共重合体は、非共役オレフィン由来の結晶成分を含むことから、多元共重合体の歪みが低い時は結晶が疑似架橋点としてふるまい、エネルギーロスを低減することができる。一方、多元共重合体の歪みが高い時は結晶融解によるエネルギー散逸により、耐摩耗性に優れると考えられる。かかる多元重合体を含むゴム組成物の加硫ゴムで重荷重用タイヤを得ることで、重荷重用タイヤは耐摩耗性と低燃費性に優れると考えられる。更に、強度に優れた多元共重合体を含むことで、カーボンブラックの配合過多に頼らずに、重荷重用タイヤの強度を上げることができるため、ゴム組成物の粘度が大きくなりすぎず、作業性にも優れると考えられる。
以上より、本発明のゴム組成物は、ゴム組成物の作業性と、ゴム組成物を加硫して得られる重荷重用タイヤの耐摩耗性と、低燃費性とのバランスに優れると考えられる。
以下、本発明のゴム組成物について詳細に説明する。
〔ゴム成分〕
本発明のゴム組成物は、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを含有する多元共重合体を含むゴム成分を含む。
ゴム組成物が、ゴム成分として、多元共重合体を含むことで、加硫ゴムの耐摩耗性及び低燃費性に優れ、また、ゴム組成物の作業性にも優れる。
(多元共重合体)
ゴム成分に含まれる多元共重合体(以下、本発明の多元重合体と称することがある)は、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを含有する。
多元共重合体が非共役オレフィン単位を含むことで、ベルト層又はカーカスが大きく歪み、タイヤが大きく歪んだ際に、非共役オレフィン単位に由来する結晶成分が崩壊し、融解エネルギーによって、多元共重合体は、エネルギーを散逸することができる。その結果、タイヤは、優れた耐摩耗性、耐亀裂進展性、剛性等の耐久性を実現することができる。一方、タイヤの歪みが低い時は、非共役オレフィン単位に由来する結晶が疑似架橋点としてふるまい、エネルギーロスを低減することができる。その結果、タイヤは、低燃費性を実現することができる。
本発明の多元共重合体は、少なくとも共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを含有するが、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位のみからなっていてもよいし、さらに他の単量体単位を含有していてもよい。
共役ジエン単位は、単量体としての共役ジエン化合物に由来する構成単位である。
共役ジエン単位を含むことで、多元共重合体は加硫することができ、また、タイヤは弾力性及び強度を発現する。
ここで、共役ジエン化合物とは、共役系のジエン化合物を指す。共役ジエン化合物は、炭素数が4〜8であることが好ましい。かかる共役ジエン化合物として、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。共役ジエン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
多元共重合体の単量体としての共役ジエン化合物は、タイヤの耐久性を効果的に向上させる観点から、1,3−ブタジエン及びイソプレンからなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、1,3−ブタジエン及びイソプレンからなる群より選択される少なくとも1つのみからなることがより好ましく、1,3−ブタジエンのみからなることがさらに好ましい。
別の言い方をすると、多元共重合体における共役ジエン単位は、1,3−ブタジエン単位及びイソプレン単位からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、1,3−ブタジエン単位及びイソプレン単位からなる群より選択される少なくとも1つのみからなることがより好ましく、1,3−ブタジエン単位のみからなることがさらに好ましい。
多元共重合体は、共役ジエン単位の含有量が、1mol%以上であることが好ましく、3mol%以上であることがより好ましく、また、50mol%以下であることが好ましく、40mol%以下であることがより好ましく、30mol%以下であることがさらに好ましく、25mol%以下であることがよりさらに好ましく、15mol%以下であることがより一層好ましい。共役ジエン単位の含有量が、多元共重合体全体の1mol%以上であると、伸びに優れるタイヤが得られるので好ましく、また、50mol%以下であると、タイヤは耐摩耗性と低燃費性に優れる。
また、共役ジエン単位の含有量は、多元共重合体全体の1〜50mol%の範囲が好ましく、3〜40mol%の範囲がさらに好ましい。
非共役オレフィン単位は、単量体としての非共役オレフィン化合物に由来する構成単位である。
タイヤが大きく歪んだ際に、非共役オレフィン単位に由来する結晶成分が崩壊することによって、多元重合体からエネルギーが散逸される。
ここで、非共役オレフィン化合物とは、脂肪族不飽和炭化水素で、炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物を指す。非共役オレフィン化合物は、炭素数が2〜10であることが好ましい。かかる非共役オレフィン化合物として、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィン、ピバリン酸ビニル、1−フェニルチオエテン、N−ビニルピロリドン等のヘテロ原子置換アルケン化合物等が挙げられる。非共役オレフィン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
多元共重合体の単量体としての非共役オレフィン化合物は、タイヤの耐摩耗性と低燃費性をより向上させる観点から、非環状の非共役オレフィン化合物であることが好ましく、また、非環状の非共役オレフィン化合物は、α−オレフィンであることがより好ましく、エチレンを含むα−オレフィンであることがさらに好ましく、エチレンのみからなることが特に好ましい。
別の言い方をすると、多元共重合体における非共役オレフィン単位は、非環状の非共役オレフィン単位であることが好ましく、また、当該非環状の非共役オレフィン単位は、α−オレフィン単位であることがより好ましく、エチレン単位を含むα−オレフィン単位であることがさらに好ましく、エチレン単位のみからなることが特に好ましい。
多元共重合体は、非共役オレフィン単位の含有量が、40mol%以上であることが好ましく、45mol%以上であることがさらに好ましく、55mol%以上であることがより一層好ましく、60mol%以上であることが特に好ましく、また、97mol%以下であることが好ましく、95mol%以下であることがさらに好ましく、90mol%以下であることがより一層好ましい。
非共役オレフィン単位の含有量が、多元共重合体全体の40mol%以上であると、結果として共役ジエン単位又は芳香族ビニル単位の含有量が減少して、タイヤの耐摩耗性と低燃費性が向上する。また、非共役オレフィン単位の含有量が97mol%以下であると、結果として共役ジエン単位又は芳香族ビニル単位の含有量が増加し、タイヤの高温での耐久性が向上する。また、非共役オレフィン単位の含有量は、多元共重合体全体の40〜97mol%の範囲が好ましく、45〜95mol%の範囲がより好ましく、55〜90mol%の範囲がより一層好ましい。
芳香族ビニル単位は、単量体としての芳香族ビニル化合物に由来する構成単位である。
多元重合体が芳香族ビニル単位を含有することで、非共役オレフィン単位由来の過度の結晶化が抑制され、多元共重合体の剛性を向上しつつも、得られる加硫ゴムの弾性を損ねにくい。
ここで、芳香族ビニル化合物とは、少なくともビニル基で置換された芳香族化合物を指し、共役ジエン化合物には包含されないものとする。芳香族ビニル化合物は、炭素数が8〜10であることが好ましい。かかる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン等が挙げられる。芳香族ビニル化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
多元共重合体の単量体としての芳香族ビニル化合物は、タイヤの耐摩耗性と低燃費性を向上させる観点から、スチレンを含むことが好ましく、スチレンのみからなることがより好ましい。別の言い方をすると、多元共重合体における芳香族ビニル単位は、スチレン単位を含むことが好ましく、スチレン単位のみからなることがより好ましい。
なお、芳香族ビニル単位における芳香族環は、隣接する単位と結合しない限り、多元共重合体の主鎖には含まれない。
多元共重合体は、芳香族ビニル単位の含有量が、2mol%以上であることが好ましく、3mol%以上であることがさらに好ましく、また、35mol%以下であることが好ましく、30mol%以下であることがさらに好ましく、25mol%以下であることがより一層好ましい。芳香族ビニル単位の含有量が2mol%以上であると、タイヤの高温における耐摩耗性と低燃費性が向上する。また、芳香族ビニル単位の含有量が35mol%以下であると、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位による効果が顕著になる。また、芳香族ビニル単位の含有量は、多元共重合体全体の2〜35mol%の範囲が好ましく、3〜30mol%の範囲がより好ましく、3〜25mol%の範囲がより一層好ましい。
多元共重合体の単量体の種類の数としては、多元共重合体が共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを含有する限り、特に制限はない。多元共重合体は、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位以外の、その他の構成単位を有していてもよいが、その他の構成単位の含有量は、所望の効果を得る観点から、多元共重合体全体の30mol%以下であることが好ましく、20mol%以下であることがより好ましく、10mol%以下であることがさらに好ましく、含有しないこと、即ち、含有量が0mol%であることが特に好ましい。
前記多元共重合体は、タイヤの耐摩耗性と低燃費性及び多元共重合体の結晶性を好ましいものとする観点から、単量体として、一種のみの共役ジエン化合物、一種のみの非共役オレフィン化合物、及び一種の芳香族ビニル化合物を少なくとも用いて重合してなる重合体であることが好ましい。
別の言い方をすると、多元共重合体は、一種のみの共役ジエン単位、一種のみの非共役オレフィン単位、及び一種のみの芳香族ビニル単位を含有する多元共重合体であることが好ましく、一種のみの共役ジエン単位、一種のみの非共役オレフィン単位、及び一種のみの芳香族ビニル単位のみからなる三元共重合体であることがより好ましく、1,3−ブタジエン単位、エチレン単位、及びスチレン単位のみからなる三元共重合体であることがさらに好ましい。ここで、「一種のみの共役ジエン単位」には、異なる結合様式の共役ジエン単位が包含される。
本発明のゴム組成物において、多元共重合体は、共役ジエン単位の含有量が1〜50mol%で、非共役オレフィン単位の含有量が40〜97mol%で、且つ、前記芳香族ビニル単位の含有量が2〜35mol%であることが好ましい。この場合、タイヤの耐摩耗性と低燃費性がさらに向上する。
多元共重合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が10,000〜10,000,000であることが好ましく、100,000〜9,000,000であることがより好ましく、150,000〜8,000,000であることがさらに好ましい。多元共重合体のMwが10,000以上であることにより、タイヤの機械的強度を十分に確保することができ、また、Mwが10,000,000以下であることにより、本発明のゴム組成物の作業性を損ねにくい。
多元共重合体は、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が10,000〜10,000,000であることが好ましく、50,000〜9,000,000であることがより好ましく、100,000〜8,000,000であることがさらに好ましい。多元共重合体のMnが10,000以上であることにより、タイヤの機械的強度を十分に確保することができ、また、Mnが10,000,000以下であることにより、本発明のゴム組成物の作業性を損ねにくい。
多元共重合体は、分子量分布[Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)]が1.00〜4.00であることが好ましく、1.50〜3.50であることがより好ましく、1.80〜3.00であることがさらに好ましい。多元共重合体の分子量分布が4.00以下であれば、多元共重合体の物性に十分な均質性をもたらすことができる。
なお、多元共重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として求める。
多元共重合体は、0〜120℃における示差走査熱量計(DSC)で測定した吸熱ピークエネルギーが10〜150J/gであることが好ましく、30〜120J/gであることがさらに好ましい。多元共重合体の吸熱ピークエネルギーが10J/g以上であれば、多元共重合体の結晶性が高くなり、タイヤの耐摩耗性及び低燃費性をさらに向上することができる。また、多元共重合体の吸熱ピークエネルギーが150J/g以下であれば、本発明のゴム組成物の作業性が向上する。
ここで、吸熱ピークエネルギーは、実施例に記載の方法で測定した値である。
多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が30〜130℃であることが好ましく、30〜110℃であることがさらに好ましく、30〜90℃であることがより好ましい。多元共重合体の融点が30℃以上であれば、多元共重合体の結晶性が高くなり、タイヤの耐摩耗性及び低燃費性をさらに向上させることができる。また、多元共重合体の融点が130℃以下であれば、本発明のゴム組成物の作業性が向上する。
ここで、融点は、実施例に記載の方法で測定した値である。
多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が0℃以下であることが好ましく、−100〜−10℃であることがさらに好ましい。多元共重合体のガラス転移温度が0℃以下であれば、本発明のゴム組成物の作業性が向上する。
ここで、ガラス転移温度は、実施例に記載の方法で測定した値である。
多元共重合体は、結晶化度が0.5〜50%であることが好ましく、3〜45%であることがさらに好ましく、5〜45%であることがより一層好ましい。多元共重合体の結晶化度が0.5%以上であれば、非共役オレフィン単位に起因する多元共重合体の結晶性を十分に確保して、タイヤの耐摩耗性及び低燃費性をさらに向上することができる。また、多元共重合体の結晶化度が50%以下であれば、本発明のゴム組成物の混練の際の作業性が向上し、また、本発明のゴム組成物の粘着性が上がり、タッキネスが向上するため、本発明のゴム組成物から作製したゴム部材同士を貼り付け、タイヤ等のゴム物品を成形する際の作業性も向上する。
ここで、結晶化度は、実施例に記載の方法で測定した値である。
多元共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることが好ましい。これにより、タイヤの耐摩耗性及び低燃費性をさらに向上させることができる。
なお、多元共重合体の主鎖が環状構造を有するか否かの確認には、NMRが主要な測定手段として用いられる。具体的には、主鎖に存在する環状構造に由来するピーク(例えば、三員環〜五員環については、10〜24ppmに現れるピーク)が観測されない場合、その多元共重合体の主鎖は、非環状構造のみからなることを示す。
多元共重合体は、共役ジエン化合物と、非共役オレフィン化合物と、芳香族ビニル化合物とを単量体として用いる重合工程を経て製造でき、さらに、必要に応じ、カップリング工程、洗浄工程、及びその他の工程を経てもよい。
ここで、多元共重合体の製造においては、重合触媒の存在下で、共役ジエン化合物を添加せずに非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物のみを添加し、これらをまず重合させることが好ましい。特に後述の触媒組成物を使用する場合には、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物より共役ジエン化合物の方が、反応性が高いことから、共役ジエン化合物の存在下で非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物のいずれか一方または両方を重合させにくい。また、先に共役ジエン化合物を重合させ、後に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物を付加的に重合させることも、触媒の特性上困難となり易い。
重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
重合工程は、一段階で行ってもよく、二段階以上の多段階で行ってもよい。
一段階の重合工程とは、重合させる全ての種類の単量体、即ち、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、芳香族ビニル化合物、及びその他の単量体、好ましくは、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、及び芳香族ビニル化合物を一斉に反応させて重合させる工程である。
また、多段階の重合工程とは、1種類又は2種類の単量体の一部又は全部を最初に反応させて重合体を形成し(第1重合段階)、次いで、第1重合段階で添加しなかった種類の単量体、第1重合段階で添加した単量体の残部等を添加して重合させる1以上の段階(第2重合段階〜最終重合段階)を行って重合させる工程である。特に、多元共重合体の製造では、重合工程を多段階で行うことが好ましい。
重合工程において、重合反応は、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。重合反応の重合温度は、特に制限されないが、例えば、−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。また、上記重合反応の圧力は、共役ジエン化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましい。
また、重合反応の反応時間も特に制限がなく、例えば、1秒〜10日の範囲が好ましいが、重合触媒の種類、重合温度等の条件によって適宜選択することができる。
また、共役ジエン化合物の重合工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合を停止させてもよい。
重合工程は、多段階で行うことが好ましい。より好ましくは、少なくとも芳香族ビニル化合物を含む第1単量体原料と、重合触媒とを混合して重合混合物を得る第1工程と、前記重合混合物に対し、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む第2単量体原料を導入する第2工程とを実施することが好ましい。さらに、第1単量体原料が共役ジエン化合物を含まず、且つ第2単量体原料が共役ジエン化合物を含むことがより好ましい。
第1工程で用いる第1単量体原料は、芳香族ビニル化合物とともに、非共役オレフィン化合物を含有してもよい。また、第1単量体原料は、使用する芳香族ビニル化合物の全量を含有してもよく、一部のみを含有してもよい。また、非共役オレフィン化合物は、第1単量体原料及び第2単量体原料の少なくともいずれかに含有される。
第1工程は、反応器内で、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。第1工程における温度(反応温度)は、特に制限はないが、例えば、−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。また、第1工程における圧力は、特に制限はないが、芳香族ビニル化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましい。また、第1工程に費やす時間(反応時間)は、重合触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、反応温度を25〜80℃とした場合には、5分〜500分の範囲が好ましい。
第1工程において、重合混合物を得るための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサノン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
第2工程で用いる第2単量体原料は、共役ジエン化合物のみ、又は、共役ジエン化合物及び非共役オレフィン化合物、又は、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物、又は、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物であることが好ましい。
なお、第2単量体原料が、共役ジエン化合物以外に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1つを含む場合には、予めこれらの単量体原料を溶媒等と共に混合した後に重合混合物に導入してもよく、各単量体原料を単独の状態から導入してもよい。また、各単量体原料は、同時に添加してもよく、逐次添加してもよい。
第2工程において、重合混合物に対して第2単量体原料を導入する方法としては、特に制限はないが、各単量体原料の流量を制御して、重合混合物に対して連続的に添加すること(所謂、ミータリング)が好ましい。ここで、重合反応系の条件下で気体である単量体原料(例えば、室温、常圧の条件下における非共役オレフィン化合物としてのエチレン等)を用いる場合には、所定の圧力で重合反応系に導入することができる。
第2工程は、反応器内で、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。第2工程における温度(反応温度)は、特に制限はないが、例えば、−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。なお、反応温度を上げると、共役ジエン単位におけるシス−1,4結合の選択性が低下することがある。また、第2工程における圧力は、特に制限はないが、共役ジエン化合物等の単量体を十分に重合反応系に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましい。また、第2工程に費やす時間(反応時間)は、重合触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、0.1時間〜10日の範囲が好ましい。
また、第2工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合反応を停止させてもよい。
ここで、上記の共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、芳香族ビニル化合物の重合工程は、触媒成分として、下記(A)〜(F)成分の1種以上の存在下で、各種単量体を重合させる工程を含むことが好ましい。なお、重合工程には、下記(A)〜(F)成分を1種以上用いることが好ましいが、下記(A)〜(F)成分の2種以上を組み合わせて、触媒組成物として用いることがさらに好ましい。
(A)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物
(B)成分:有機金属化合物
(C)成分:アルミノキサン
(D)成分:イオン性化合物
(E)成分:ハロゲン化合物
(F)成分:置換又は無置換のシクロペンタジエン(シクロペンタジエニル基を有する化合物)、置換又は無置換のインデン(インデニル基を有する化合物)、及び、置換又は無置換のフルオレン(フルオレニル基を有する化合物)から選択されるシクロペンタジエン骨格含有化合物
上記(A)〜(F)成分については、例えば、国際公開第2018/092733等を参照することによって、重合工程に用いることができる。
カップリング工程は、重合工程において得られた多元共重合体の高分子鎖の少なくとも一部(例えば、末端)を変性する反応(カップリング反応)を行う工程である。
カップリング工程において、重合反応が100%に達した際にカップリング反応を行うことが好ましい。
カップリング反応に用いるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)等のスズ含有化合物;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;グリシジルプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)が、反応効率と低ゲル生成の点で、好ましい。
なお、カップリング反応を行うことにより、多元重合体の数平均分子量(Mn)を増加することができる。
洗浄工程は、重合工程において得られた多元共重合体を洗浄する工程である。
なお、洗浄に用いる媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられるが、重合触媒としてルイス酸由来の触媒を使用する際は、特にこれらの溶媒に対して酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸等)を加えて使用することができる。添加する酸の量は溶媒に対して15mol%以下が好ましい。添加量が15mol%以下であることで、酸が多元共重合体中に残存しにくく、本発明のゴム組成物の混練及び加硫時の反応に悪影響を及ぼしにくい。
この洗浄工程により、多元共重合体中の触媒残渣量を好適に低下させることができる。
(ジエン系ゴム)
ゴム成分は、本発明の多元共重合体に加えて、更に、ジエン系ゴムを含でいることが好ましい。
なお、本発明の多元共重合体は、共役ジエン単位を含むが、本発明においては、本発明の多元共重合体はジエン系ゴムに含まれないものとする。
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)及び合成ジエン系ゴムが挙げられる。
合成ジエン系ゴムは、具体的には、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。
ジエン系ゴムは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
ジエン系ゴムは、以上の中でも、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、及びポリブタジエンゴムが好ましく、天然ゴムがより好ましい。
ゴム成分は、非ジエン系ゴムを含んでいてもよい。非ジエン系ゴムとしては、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM(EPMとも称する))、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマーとの共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー等が挙げられる。
タイヤの耐摩耗性及び低燃費性を向上し、また、ゴム組成物の作業性を向上する観点から、ゴム成分中の多元共重合体の含有量は、5質量%以上95質量%以下であることが好ましい。ゴム成分中の多元共重合体の含有量が5質量%以上であることで、加硫ゴムの剛性が向上し、エネルギーロスをより低下することができるので、タイヤの耐摩耗性及び低燃費性をより向上することができる。また、ゴム成分中の多元共重合体の含有量が95質量%以下であることで、ゴム組成物の作業性を損ねにくい。
タイヤの耐摩耗性及び低燃費性をより向上する観点から、ゴム成分中の多元共重合体の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、ゴム組成物の作業性の観点から、ゴム成分中の多元共重合体の含有量は、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%未満であることが更に好ましい。
また、タイヤの耐摩耗性及び低燃費性を向上し、また、ゴム組成物の作業性を向上する観点から、ゴム成分中のジエン系ゴムの含有量は、5質量%以上95質量%以下であることが好ましい。ゴム成分中のジエン系ゴムの含有量が5質量%以上であることで、加硫ゴムの剛性が向上し、エネルギーロスをより低下することができるので、タイヤの耐摩耗性及び低燃費性をより向上することができる。また、ゴム成分中のジエン系ゴムの含有量が95質量%以下であることで、ゴム組成物の作業性を損ねにくい。
タイヤの耐摩耗性及び低燃費性をより向上する観点から、ゴム成分中のジエン系ゴムの含有量は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%を超えることがより好ましい。また、ゴム組成物の作業性の観点から、ゴム成分中のジエン系ゴムの含有量は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
ゴム成分は、多元共重合体と天然ゴムとを含み、ゴム成分中の多元共重合体の含有量が5質量%以上95質量%以下であり、ゴム成分中の天然ゴムの含有量が5質量%以上95質量%以下であることが好ましい。また、ゴム成分中の多元共重合体の含有量と天然ゴムの含有量との合計が100質量%であることが好ましい。
〔充填剤〕
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含む充填剤を含有する。また、ゴム組成物中のカーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対し、30質量部以上60質量部以下であり、充填剤中のカーボンブラックの含有量が52質量%以上90質量%以下である。
ゴム組成物中のカーボンブラックの含有量が、ゴム成分100質量部に対し、30質量部未満であると、耐摩耗性を確保することができない。ゴム組成物中のカーボンブラックの含有量が、ゴム成分100質量部に対し、60質量部を超えると、低燃費性を確保することができない。
また、充填剤中のカーボンブラックの含有量が52質量%未満であると、耐摩耗性を確保することができない。充填剤中のカーボンブラックの含有量が90質量%を超えると、低燃費性を確保することができない。
ゴム組成物中のカーボンブラックの含有量は、耐摩耗性の観点から、ゴム成分100質量部に対し、30質量部以上であることが好ましく、35質量部以上であることがより好ましい。また、低燃費性の観点から、ゴム組成物中のカーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対し、45質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。
充填剤中のカーボンブラックの含有量は、低燃費性の観点から、55質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。また、耐摩耗性の観点から、充填剤中のカーボンブラックの含有量は、85質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
カーボンブラックは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。カーボンブラックは、例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのものが好ましく、HAF、ISAF、SAFグレードのものがより好ましく、HAFグレードのものが更に好ましい。
また、エネルギーロスをより下げる観点から、カーボンブラックは、アグリゲート構造の発達度合いが低い低ストラクチャーのカーボンブラックが好ましい。具体的には、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が90cm/100g以下であることが好ましく、85cm/100g以下であることがより好ましく、80cm/100g以下であることが更に好ましい。加硫ゴムの補強性の観点から、カーボンブラックのDBP吸油量は、40cm/100g以上あればよい。
なお、DBP吸油量は、JIS K 6217−4:2001「DBP吸収量の求め方」に記載の方法により測定され、カーボンブラック100g当りに吸収されるジブチルフタレート(DBP)の体積mlで表示される。
カーボンブラックは、タイヤの耐久性の観点から、窒素吸着比表面積が40m/g以上であることが好ましい。また、95m/g以下であると、ゴム組成物中でのカーボンブラックの分散性に優れ、タイヤの耐摩耗性等に優れる。
同様の観点から、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は50〜95m/gであることがより好ましく、60〜95m/gであることがさらに好ましい。
窒素吸着比表面積(NSA)はJIS K 6217−2:2001に基づき測定される。
充填剤は、充填剤中の含有量が10質量%以上48質量%以下の範囲で、カーボンブラック以外の充填剤を更に含む。
充填剤としては、例えば、シリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニア等の金属酸化物、水酸化アルミニウム等が挙げられる。中でも、タイヤの補強性と低燃費性に優れる観点から、シリカを用いることが好ましい。
(シリカ)
シリカは特に限定されず、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、コロウダルシリカ等が挙げられる。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対し、5質量部以上28質量部以下であることが好ましい。ゴム組成物中のシリカの含有量がゴム成分100質量部に対し、5質量部以上であることで、タイヤの耐摩耗性に優れ、28質量部以下であることでタイヤの低燃費性とゴム組成物の作業性に優れる。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対し、7質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることが更に好ましく、また、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましい。
シリカは、タイヤの耐摩耗性及び低燃費性の観点から、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド吸着法(CTAB)によって測定した吸着比表面積(CTAB吸着比表面積)が、50〜350m/gであることが好ましく、100〜300m/gであることがより好ましい。
CTAB吸着比表面積は、ASTM−D3765−80の方法に準拠した方法で測定することができる。
CTAB吸着比表面積が50〜350m/gのシリカは、市販品でもよく、例えば、東ソー・シリカ株式会社のNIPSIL AQ(商品名)、ローディア社のZeosil 1115MP(商品名)、エボニックデグッサ社のVN−3(商品名)として、入手することができる。
[シランカップリング剤]
シリカ−ゴム成分間の結合を強化して補強性をさらに高めた上で、シリカの分散性を向上させるために、本発明のゴム組成物は、更に、シランカップリング剤を用いることが望ましい。
ゴム組成物中のシランカップリング剤の含有量は、シリカの含有量に対して5〜15質量%以下であることが好ましい。シランカップリング剤の含有量がシリカの含有量に対して15質量%以下であることで、加硫ゴムの補強性及び分散性を改良する効果が得られ、経済性も損ないにくい。また、シランカップリング剤の含有量が、シリカの含有量に対して5質量%以上であることで、ゴム組成物中のシリカの分散性を高めることができる。
なお、シランカップリング剤としては、特に制限されず、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールトリスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド等が好適に挙げられる。
〔硫黄〕
本発明のゴム組成物は硫黄を含有することが好ましい。
ゴム組成物中の加硫剤の含有量は、通常、ゴム成分100質量部に対して、4〜12質量部であり、5〜10質量部であることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、上記成分とともに、必要に応じて、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、老化防止剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して含有していてもよい。
本発明のゴム組成物は、多元共重合体、ジエン系ゴム、充填剤、硫黄等の各成分を配合して、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練機を用いて混練することによって、製造することができる。本発明のゴム組成物の製造で配合する各成分は、本発明のゴム組成物中の各成分の含有量として示した量を配合量として配合することが好ましい。
各成分の混練は、全一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
<重荷重用タイヤ>
本発明の重荷重用タイヤは、本発明の重荷重用タイヤ用ゴム組成物を加硫した加硫ゴムであり、耐摩耗性と低燃費性に優れる。本発明の重荷重用タイヤは、特に、本発明の重荷重用タイヤ用ゴム組成物をトレッドに用い重荷重用タイヤであることが好ましい。
本発明のゴム組成物を成形加工した後、加硫を行うことで、タイヤトレッドを製造することができる。タイヤトレッドは、特にトレッド接地部として好適に用いられる。
また、本発明のゴム組成物をトレッドに用いて通常のタイヤの製造方法によってタイヤが製造される。すなわち、前記のように各種成分を含有させた本発明のタイヤ用ゴム組成物が未加硫の段階でタイヤトレッドに加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
<ゴム組成物の調製及びタイヤの作製>
表1の配合に従って各成分を配合して混練し、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物をトレッドゴムに適用し、サイズ:11R22.5の重荷重用タイヤを常法に従って試作した。
表1中の成分の詳細は次のとおりである。
(1)ゴム成分
・天然ゴム:TSR20
・多元共重合体:下記製造方法により製造した三元共重合体
・スチレンブタジエンゴム:スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、JSR(株)製、商品名「SBR #1500」
(2)充填剤
・カーボンブラック(CB):旭カーボン(株)製、商品名「#70L」(DBP吸油量=75cm/100g;窒素吸着比表面積(NSA)=77m/g)
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製、商品名「ニップシールAQ」(CTAB吸着比表面積:150m/g)
(3)シランカップリング剤:信越化学工業(株)製、商品名「ABC−856」
(4)ステアリン酸:新日本理化(株)製、商品名「ステアリン酸50S」
(5)酸化亜鉛:ハクスイテック社製、商品名「3号亜鉛華」
(6)老化防止剤:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクラック 6C」
(7)オイル:JX日鉱日石エネルギー社製、A/O MIX
(8)ワックス:日本精蝋(株)製、商品名「オゾエース−0701」
(9)加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーCZ」
(10)加硫剤:硫黄、鶴見化学工業(株)製、商品名「粉末硫黄」
〔三元共重合体の製造方法〕
十分に乾燥した1000mLの耐圧ステンレス反応器に、スチレン160gと、トルエン600mLを加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ(ビス(1,3−tert−ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミドガドリニウム錯体{1,3−[(t−Bu)MeSi]Gd[N(SiHMe}0.25mmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[MeNHPhB(C]0.275mmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド1.1mmolを仕込み、トルエン40mLに溶解させて触媒溶液とした。
該触媒溶液を、前記耐圧ステンレス反応器に加え、70℃に加温した。
次いで、エチレンを圧力1.5MPaで、該耐圧ステンレス反応器に投入し、さらに1,3−ブタジエン20gを含むトルエン溶液80mLを8時間かけて該耐圧ステンレス反応器に投入し、70℃で計8.5時間共重合を行った。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mlを、該耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、三元共重合体を得た。
得られた三元共重合体は、数平均分子量(Mn)が163,000であり、重量平均分子量(Mw)が399,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が2.4であった。また、三元共重合体は、ブタジエン単位の含有量が8mol%であり、エチレン単位の含有量が85mol%であり、スチレン単位の含有量が7mol%であった。更に、三元共重合体は、融点(T)が63℃、吸熱ピークエネルギーが43.1J/g、ガラス転移温度(Tg)が−28℃、結晶化度が14.7%であった。
三元共重合体の13C−NMRスペクトルチャートにおいて、10〜24ppmにピークが観測されなかったことから、合成した三元共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることを確認した。
これらの物性は、下記の方法で測定した。
〔三元共重合体の物性測定方法〕
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー社製HLC−8121GPC/HT、カラム:東ソー社製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定温度は40℃である。
(2)ブタジエン単位、エチレン単位、スチレン単位の含有量
共重合体中のブタジエン単位、エチレン単位、スチレン単位の含有量(mol%)を、H−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:6ppm)の各ピークの積分比より求めた。
(3)融点(T
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121−1987に準拠して、共重合体の融点を測定した。
(4)吸熱ピークエネルギー
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121−1987に準拠して、10℃/分の昇温速度で−150℃から150℃まで昇温し、その時(1st run)の0〜120℃における吸熱ピークエネルギーを測定した。
(5)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121−1987に準拠して、共重合体のガラス転移温度(Tg)を測定した。
(6)結晶化度
100%結晶成分のポリエチレンの結晶融解エネルギーと、得られた共重合体の融解ピークエネルギーを測定し、ポリエチレンと共重合体とのエネルギー比率から、結晶化度を算出した。なお、融解ピークエネルギーは、示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)で測定した。
(7)主鎖構造の確認
合成した共重合体について、13C−NMRスペクトルを測定した。
<評価>
1.耐摩耗性
得られた加硫ゴムについて、ランボーン式摩耗試験機(A&D社製)を用い、室温におけるスリップ率60%での摩耗量を測定する。
比較例1の加硫ゴムの摩耗量の逆数を100として指数表示した。指数値が大きい程、加硫ゴムの摩耗量が少なく、加硫ゴムを用いたタイヤは耐摩耗性に優れることを示す。
2.低燃費性
得られた加硫ゴムについて、損失係数(tanδ)を、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を用い、温度60℃、歪み5%、周波数15Hzの条件で測定した。得られたtanδの値は、比較例1の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、加硫ゴムを用いたタイヤは低燃費性に優れ、良好であることを示す。
3.作業性(未加硫粘度)
JIS−K6300−1:2001に準拠して、ムーニー粘度計(モンサント社製RPA)によって、L型ローターを用い、130℃の条件下で、ゴム組成物のムーニー粘度[ML1+4/130℃]を測定した。
得られたゴム組成物のムーニー粘度の値は、比較例1の値を100として指数表示した。なお、作業性指数の値が大きいほど、ゴム組成物の流れ性が良く、ゴム組成物は作業性に優れることを意味する。
4.耐摩耗性、低燃費性、及び作業性のバランス
下記式にて、バランス指数を算出した。
バランス指数=(耐摩耗性指数+低燃費性指数+作業性指数)/3
バランス指数が大きいほど、タイヤの耐摩耗性及び低燃費性、及びゴム組成物の作業性のバランスに優れることを意味する。許容範囲は、103以上である。
表1からわかるように、多元共重合体を含まない比較例1〜3のゴム組成物は、タイヤの耐摩耗性、低燃費性及びゴム組成物の作業性のいずれも、指数が100を越えるような秀でた評価結果が得られなかった。多元共重合体を含んでも、ゴム組成物中のカーボンブラックの含有量が多すぎる比較例4のゴム組成物と充填剤中のカーボンブラックの含有割合が少なすぎる比較例5のゴム組成物は、タイヤの低燃費性とゴム組成物の作業性に優れなかった。
これらに対し、実施例のゴム組成物は、いずれも、タイヤの耐摩耗性、低燃費性及びゴム組成物の作業性のいずれもが100以上であり、かつ、1つ以上の評価において指数が100を越える秀でた結果を示した。そのため、実施例は、イヤの耐摩耗性、低燃費性及びゴム組成物の作業性のバランスに優れることがわかる。

Claims (14)

  1. 共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位を含有する多元共重合体を含むゴム成分と、
    カーボンブラックを含む充填剤と
    を含み、
    前記カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対し、30質量部以上60質量部以下であり、前記充填剤中の前記カーボンブラックの含有量が52質量%以上90質量%以下である重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記ゴム成分が、更に天然ゴムを含み、前記ゴム成分中の前記多元共重合体の含有量が5質量%以上95質量%以下であり、前記ゴム成分中の前記天然ゴムの含有量が5質量%以上95質量%以下である請求項1に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記充填剤が、更に、ゴム成分100質量部に対し、5質量部以上28質量部以下のシリカを含む請求項1又は2に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記多元共重合体は、前記共役ジエン単位の含有量が1〜50mol%で、前記非共役オレフィン単位の含有量が40〜97mol%で、且つ、前記芳香族ビニル単位の含有量が2〜35mol%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記多元共重合体は、0〜120℃における示差走査熱量計(DSC)で測定した吸熱ピークエネルギーが10〜150J/gである請求項1〜4のいずれか1項に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が30〜130℃である請求項1〜5のいずれか1項に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
  7. 前記多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度が0℃以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
  8. 前記多元共重合体は、結晶化度が0.5〜50%である請求項1〜7のいずれか1項に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
  9. 前記多元共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなる請求項1〜8のいずれか1項に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
  10. 前記非共役オレフィン単位が非環状の非共役オレフィン単位である請求項1〜9のいずれか1項に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
  11. 前記非環状の非共役オレフィン単位がエチレン単位のみからなる請求項10に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
  12. 前記芳香族ビニル単位がスチレン単位を含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
  13. 前記共役ジエン単位が1,3−ブタジエン単位及びイソプレン単位からなる群より選択される少なくとも1つを含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の重荷重用タイヤ用ゴム組成物を用いた重荷重用タイヤ。
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