JP2020097901A - 保持シール材及び保持シール材の製造方法 - Google Patents

保持シール材及び保持シール材の製造方法 Download PDF

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雄太 向後
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【課題】ケーシングへの圧入を容易に行うことができ、巻き付け性に優れた保持シール材を提供すること。【解決手段】無機繊維と、無機繊維に付着された無機粒子、有機バインダ及びオイルとからなる保持シール材であって、上記オイルは保持シール材の全体に分散して分布しており、圧入により測定した荷重が保持シール材の空隙かさ密度0.28g/cm3において3.1N/cm2以下であることを特徴とする保持シール材。【選択図】図1

Description

本発明は、保持シール材及び保持シール材の製造方法に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、パティキュレートマター(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境や人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、COやHC、NOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境や人体に及ぼす影響についても懸念されている。
そこで、排ガス中のPMを捕集したり、有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、炭化ケイ素やコージェライトなどの多孔質セラミックからなる排ガス処理体と、排ガス処理体を収容するケーシングと、排ガス処理体とケーシングとの間に配設される保持シール材とから構成される排ガス浄化装置が種々提案されている。この保持シール材は、自動車の走行等により生じる振動や衝撃により、排ガス処理体がその外周を覆うケーシングと接触して破損するのを防止することや、排ガス処理体とケーシングとの間から排気ガスが漏れることを防止すること等を主な目的として配設されている。
このような用途で用いられる保持シール材は、排ガス処理体の周囲に巻き付けられ、ケーシングに圧入されることにより配設されている。
特許文献1には、保持シール材が開示されており、無機コロイドを含浸することによって無機繊維の表面を改質し、繊維表面の摩擦を高め、保持力を高めることが記載されている。
特許文献2には、金属製シェル等への適用場所への装着を容易にするために、アルミナ繊維質マットの少なくとも片面に液体潤滑剤による塗布面を形成した耐熱性マットが開示されている。
特表2008−505276号公報 特開2002−173875号公報
特許文献1及び特許文献2に記載された保持シール材は、保持シール材内部の柔軟性に乏しいため、巻き付け性が不十分であった。また、ケーシングへの圧入に必要な荷重(圧入荷重)が高く圧入を容易にすることができなかった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ケーシングへの圧入を容易に行うことができ、巻き付け性に優れた保持シール材を提供することを目的とする。
本発明の保持シール材は、無機繊維と、
無機繊維に付着された無機粒子、有機バインダ及びオイルとからなる保持シール材であって、
上記オイルは保持シール材の全体に分散して分布しており、
圧入により測定した荷重が保持シール材の空隙かさ密度0.28g/cmにおいて3.1N/cm以下であることを特徴とする。
保持シール材においてオイルが保持シール材の全体に分散して分布していると、保持シール材の全体にわたって無機繊維同士の滑り性が向上し、巻き付け性に優れる。また、保持シール材の表面にもオイルが存在するために無機繊維とケーシングとの間の摩擦力及び圧入荷重が低下し、ケーシングへの圧入を容易に行うことのできる保持シール材となる。
本発明の保持シール材では、上記オイルがシリコーンオイルであることが好ましい。
オイルがシリコーンオイルであると化学構造にシリコーン系が加わり炭素結合が低減するので悪臭が発生しにくい。
本発明の保持シール材では、上記無機粒子は、チタニア、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、ジルコニア及び窒化ホウ素からなる群から選ばれる少なくとも一つの無機粒子であることが好ましい。
本発明の保持シール材では、無機粒子がチタニア粒子であることが好ましい。無機粒子がチタニア粒子であると保持シール材の保持力を向上させるとともに、断熱性を向上させることができる。
本発明の保持シール材では、摩擦試験により測定した動摩擦力が保持シール材の空隙かさ密度0.30g/cmにおいて5.4N/cm以下であることが好ましい。
動摩擦力が保持シール材の空隙かさ密度0.30g/cmにおいて5.4N/cm以下であるとケーシングへの圧入をより容易に行うことができる。
本発明の保持シール材の製造方法は、無機繊維を含むマットを準備するマット準備工程と、上記マットを無機粒子、有機バインダ及びオイルを含む結合剤溶液に浸漬して上記結合剤溶液を上記マットに付与する付与工程とからなることを特徴とする。
マットを結合剤溶液に浸漬することによってオイルを保持シール材の全体に分散して分布させることができる。
図1は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。 図2(a)、図2(b)及び図2(c)は、排ガス浄化装置の作製方法及び圧入荷重の測定方法を模式的に示す斜視図である。 図3は、保持シール材の摩擦試験装置を示す概略図である。 図4は、各実施例及び比較例における圧入荷重及び治具通過後荷重の測定結果を示すグラフである。 図5は、各実施例及び比較例における動摩擦力の測定結果を示すグラフである。 図6は、各実施例及び比較例におけるSeam GAPの測定結果を示すグラフである。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の保持シール材及び保持シール材の製造方法について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
本発明の保持シール材は、無機繊維と、無機繊維に付着された無機粒子、有機バインダ及びオイルとからなる保持シール材であって、上記オイルは保持シール材の全体に分散して分布しており、圧入により測定した荷重が保持シール材の空隙かさ密度0.28g/cmにおいて3.1N/cm以下であることを特徴とする。
図1は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、本発明の保持シール材10は、所定の長さ(図1中、両矢印Lで示す)、幅(図1中、両矢印Wで示す)及び厚さ(図1中、両矢印Tで示す)を有する平面視略矩形の平板状のマット形状を有している。
図1に示す保持シール材10では、保持シール材10の長さ方向側の端部のうち、一方の端部には凸部12が形成されており、他方の端部には凹部13が形成されている。保持シール材10の凸部12及び凹部13は、後述する排ガス浄化装置を組み立てるために排ガス処理体に保持シール材10を巻き付けた際に、ちょうど互いに嵌合するような形状となっている。
保持シール材は、無機繊維と、無機繊維に付着された無機粒子、有機バインダ及びオイルとからなる。
無機繊維は、特に限定されず、アルミナ−シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維等であってもよい。また、ガラス繊維や生体溶解性繊維であってもよい。耐熱性や耐風蝕性等、保持シール材に要求される特性等に応じて変更すればよく、各国の環境規制に適合できるような太径繊維や繊維長のものを使用するのが好ましい。
この中でも、低結晶性アルミナ質の無機繊維が好ましく、ムライト組成の低結晶性アルミナ質の無機繊維がより好ましい。加えて、スピネル型化合物を含む無機繊維がさらに好ましい。
また、アルミナ成分を85〜98重量%及びシリカ成分を2〜15重量%含むアルミナ繊維であることも好ましい。アルミナ繊維がこのようにアルミナリッチであると、アルミナ繊維の耐熱性が向上する。
保持シール材は、種々の方法により得ることができるが、例えば、抄造法又はニードリング法により製造することができる。抄造法とニードリング法については後の保持シール材の製造方法の項目で説明する。
また、保持シール材の目付量(単位面積当たりの重量)は、特に限定されないが、200〜4000g/mであることが好ましく、900〜3000g/mであることがより好ましい。
また、保持シール材の厚みは5〜20mmであることが好ましい。
無機繊維には無機粒子が付着している。
無機粒子としてはチタニア、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、ジルコニア及び窒化ホウ素等の粒子が挙げられる。これらの粒子は無機ゾル分散溶液(チタニアゾル、アルミナゾル、シリカゾル、ジルコニアゾル等)に由来することが好ましい。
無機繊維に無機粒子が付着していると、無機繊維間の摩擦力が向上するため保持シール材の反り力が向上する。そのため、保持シール材が排ガス処理体に巻き付けられて金属ケーシングと排ガス処理体の間に挟まれて保持シール材として配置された場合には排ガス処理体の保持力が向上する。
また、無機粒子はチタニア粒子であることが好ましい。無機粒子がチタニア粒子であると保持シール材の保持力を向上させるとともに、断熱性を向上させることができる。
有機バインダとしては、アクリル樹脂、アクリレート系ラテックス、ゴム系ラテックス、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコール等の水溶性有機重合体、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
オイルとしては、シリコーンオイル又は植物由来オイルを含むことが好ましい。
シリコーンオイルとしては特に限定されるものではないが、その例としては、ストレートシリコーンオイル(ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等)、変性シリコーンオイル(アミノ変性した反応性シリコーンオイル、エポキシ変性した反応性シリコーンオイル、カルボキシ変性した反応性シリコーンオイル、カルビノール変性した反応性シリコーンオイル、メタクリル変性した反応性シリコーンオイル、メルカプト変性した反応性シリコーンオイル、フェノール変性した反応性シリコーンオイル、ポリエーテル変性した非反応性シリコーンオイル、メチルスチリル変性した非反応性シリコーンオイル、アルキル変性した非反応性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性した非反応性シリコーンオイル、フッ素変性した非反応性シリコーンオイル等)が挙げられる。
オイルがシリコーンオイルであると化学構造にシリコーン系が加わり炭素結合が低減するので悪臭が発生しにくい。
植物由来オイルとしては、ヒマシ油、ナタネ油、ゴマ油、キャノーラ油、コーン油、ココナッツオイル、パーム油、ヒマワリ油、ツバキ油、大豆油、綿実油、ピーナッツ油、及びオリーブオイルからなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。これらの中ではヒマシ油がより好ましい。
植物由来オイルを使用すると、カーボンニュートラルの観点から石油由来材料に比べて好ましい。
また、他の植物由来成分としてポリ乳酸をオイル状にしたものもオイルとして使用することができる。
なお、本明細書においてオイルとは、アクリル樹脂等の固形のバインダ成分とは異なる形態であることを意味している。平板に滴下して平板を直角に傾けた際にオイルが平板上を流れる程度の流動性を少なくとも有する液体であることが好ましい。
本発明の保持シール材は、オイルに加えてさらに界面活性剤を含むことが好ましい。オイルは通常は水に不溶であるが、界面活性剤を用いることにより水で希釈して薄めてエマルジョンにして無機繊維に付着させることができる。
界面活性剤としては、オイルを水に分散(乳化)させる作用のあるものであれば特に限定されず、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれを使用することもできるが、ノニオン性界面活性剤を使用することが好ましい。ノニオン性界面活性剤の中でもソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80等)を使用することがより好ましい。
本発明の保持シール材ではオイルが保持シール材の全体に分散して分布している。
本明細書においてオイルが保持シール材の全体に分散しているとは、オイルが保持シール材の表面のみに塗布されているのではなく保持シール材の厚さ方向の全体にわたって存在していることを意味する。
保持シール材を厚さ方向に表面部、中間部、裏面部と3等分して測定試料を作製し、それぞれの測定試料を600℃、1時間で加熱して気化した成分の組成分析を行い、オイル由来成分が検出された場合にオイルが存在していることが確認できる。
とくにオイルがシリコーンオイルの場合はSiの検出によりシリコーンオイルの存在を確認することができる。
上面、中央、下面のいずれにおいてもオイルが存在していることが確認できた場合に、保持シール材の厚さ方向の全体にわたってオイルが存在していると判断する。
保持シール材においてオイルが保持シール材の全体に分散して分布していると、保持シール材の全体にわたって無機繊維同士の滑り性が向上し、巻き付け性に優れる。また、保持シール材の表面にもオイルが存在するために無機繊維とケーシングとの間の摩擦力及び圧入荷重が低下し、ケーシングへの圧入を容易に行うことのできる保持シール材となる。
本発明の保持シール材は、圧入により測定した荷重が保持シール材の空隙かさ密度0.28g/cmにおいて3.1N/cm以下である。
本明細書において、当該荷重を「圧入荷重」ともいう。
図2(a)、図2(b)及び図2(c)は、排ガス浄化装置の作製方法及び圧入荷重の測定方法を模式的に示す斜視図である。
図2(a)に示すように、まず、排ガス処理体120の周囲に保持シール材10が巻き付けられた巻付体140を用意する。
巻付体140は、後述する排ガス処理体(ハニカム構造体)120の外周に、図1に示す保持シール材10の凸部12と凹部13とが嵌合するようにして保持シール材10を巻き付けることによって製造することができる。
さらに、圧入治具を準備する。
図2(a)に示す圧入治具150は、全体として略円筒状であり、その内部が一端から他端に向かってテーパー状に広がっている。
圧入治具150の一端は、金属ケーシング130の内径よりわずかに小さな径に相当する内径を有する短径側端部151となっている。また、圧入治具150の他端は、少なくとも巻付体140の外径に相当する内径を有する長径側端部152となっている。
続いて、図2(b)に示すように、巻付体140を圧入治具150の長径側端部152側から押し込むことにより、巻付体140を金属ケーシング130に圧入することができる。
圧入の際、圧入治具150の内表面に保持シール材10が接触して滑りながら金属ケーシング130の側に進む。
上記方法により巻付体を圧入することによって、図2(c)に示すように圧入が行われて排ガス浄化装置100を作製することができる。
上記のようにして行う圧入の際、保持シール材が圧入治具の短径側端部に接して進む際に排ガス処理体120に加わる荷重[N/cm]を測定する。
荷重の向きは図2(a)及び図2(b)で矢印Xで示す向きである。
保持シール材の空隙かさ密度が0.28g/cmとなる条件で圧入を行う。
空隙かさ密度は、GBD(Gap Bulk Density)とも呼ばれるかさ密度である。
保持シール材の空隙かさ密度は、圧入後の保持シール材のかさ密度であり、圧入後の保持シール材10の重量及び排ガス処理体120と金属ケージング130の間の間隔から求めることができる。
上記条件により測定した、圧入により測定した荷重が3.1N/cm以下であると、ケーシングへの圧入が容易である。
また、圧入の際、保持シール材が圧入治具の短径側端部を過ぎて巻付体全体がケーシング内を進む際の荷重(治具通過後荷重という)が2.7N/cm以下であることが好ましい。
本発明の保持シール材では、摩擦試験により測定した動摩擦力が保持シール材の空隙かさ密度0.30g/cmにおいて5.4N/cm以下であることが好ましい。
摩擦試験は、保持シール材を切断して形状の等しい(例えば50mm×50mm)試験片を作製し、ステンレス板を両側から上記試験片で挟み、上記試験片の空隙かさ密度が0.30g/cmとなるように上記試験片を圧縮し、上記ステンレス板を上記試験片の間から引き抜き速度500mm/minで引き抜く試験により行う。
上記試験は、ステンレス板と上記試験片の間の温度を25℃とした状態で行う。
以下、図面を用いて摩擦試験をより具体的に説明する。
図3は、保持シール材の摩擦試験装置を示す概略図である。
摩擦試験装置600では、装置の左右に、ステンレス鋼製のヒーター(左ヒーター610及び右ヒーター620)がそれぞれ対向するように配置されている。また、左ヒーター610はロードセルとなっており、左ヒーター610の右側の面(試験片と接する側の面)に加わる荷重を測定することができる。
まず、左ヒーター610、試験片10a、ステンレス板630、試験片10b、右ヒーター620の順になるように、2枚の試験片10a及び10bとステンレス板630とを配置する。
試験片10aは左ヒーター610及びステンレス板630で挟まれ、試験片10bはステンレス板630及び右ヒーター620で挟まれる。
また、ステンレス板630はロードセルとなっており、ステンレス板630に加わる荷重を測定することができる。
左ヒーター610と試験片10aの間、及び、右ヒーター620と試験片10bの間(板と保持シール材の間)で滑らないように、左ヒーター610及び右ヒーター620の表面には突起部材640を設ける。
まず、左ヒーター610及び右ヒーター620に対してステンレス板630の方向に圧力をかけ、試験片の空隙かさ密度(GBD)が0.30g/cmとなるまで圧縮する。
その圧縮状態で20分保持(緩和)する。
次に、ステンレス板630を図3中の矢印で示す向き(上方)に500mm/minの速度で移動させ、ステンレス板630を引き抜く。
この際、ステンレス板が移動する際に加わる動摩擦力を測定する。
動摩擦力が保持シール材の空隙かさ密度0.30g/cmにおいて5.4N/cm以下である場合、このような保持シール材を使用するとケーシングへの圧入をより容易に行うことができる。
本発明の保持シール材におけるオイルの付着量は、0.05〜5.0重量%であることが好ましい。
本発明の保持シール材は、排ガス処理体に巻き付けて巻付体として、巻付体をケーシングに圧入することで排ガス浄化装置として使用することができる。
排ガス処理体は、多孔質セラミック等のセラミック質のハニカム構造体であり、触媒担体として使用される。触媒担体においては、排ガス流入側端面及び排ガス流出側端面がともに開口した貫通孔に排ガスが流入し、貫通孔を隔てる隔壁に担持させた触媒の作用により排ガスが浄化される。
また、排ガス処理体は貫通孔のいずれかの端部が交互に封止されてなるDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)であってもよい。
排ガス処理体を構成する素材は特に限定されないが、炭化ケイ素質及び窒化ケイ素質等の非酸化物、並びに、コージェライト及びチタン酸アルミニウム等の酸化物を用いることができる。
続いて、本発明の保持シール材の製造方法について説明する。
本発明の保持シール材の製造方法は、無機繊維を含むマットを準備するマット準備工程と、上記マットを無機粒子、有機バインダ及びオイルを含む結合剤溶液に浸漬して上記結合剤溶液を上記マットに付与する付与工程とからなることを特徴とする。
(a)マット準備工程
本発明の保持シール材の製造方法では、まず、無機繊維を含むマットを準備するマット準備工程を行う。
保持シール材を構成するマットは、種々の方法により得ることができるが、例えば、ニードリング法又は抄造法により製造することができる。
ニードリング法の場合、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、まず、例えば、塩基性塩化アルミニウム水溶液とシリカゾル等とを原料とする紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して3〜10μmの平均繊維径を有する無機繊維前駆体を作製する。続いて、上記無機繊維前駆体を圧縮して所定の大きさの連続したシート状物を作製し、これにニードルパンチング処理を施し、その後、焼成処理を施すことによりマットの準備が完了する。
抄造法の場合、アルミナ繊維、シリカ繊維等の無機繊維と、無機バインダと、水とを原料液中の無機繊維の含有量が所定の値となるように混合し、攪拌機で攪拌することで混合液を調製する。混合液には、必要に応じて、高分子化合物や樹脂からなるコロイド溶液が含まれていてもよい。続いて、底面にろ過用のメッシュが形成された成形器に混合液を流し込んだ後に、混合液中の水を、メッシュを介して脱水することにより原料シートを作製する。その後、原料シートを所定の条件で加熱圧縮することによりマットの準備が完了する。
(b)付与工程
次に、マットを無機ゾル分散溶液、有機バインダ及びオイルを含む結合剤溶液に浸漬して結合剤溶液をマットに付与する。
まず、無機粒子を含む無機ゾル分散溶液と、有機バインダ溶液と、オイルを含む結合剤溶液を調製する。
また、結合剤溶液には高分子系分散剤、界面活性剤をさらに加えてもよい。
結合剤溶液を構成する各成分が分離せず、一液状態となっていることが好ましい。
無機ゾル分散溶液、有機バインダ溶液及びオイルとしては、特に限定されず、本発明の保持シール材の説明において述べたものを使用することができる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、本発明の保持シール材の説明においてオイルを水に分散(乳化)させる作用のある界面活性剤として挙げたものを使用することができる。
高分子系分散剤の種類は特に限定されないが、ポリカルボン酸及び/又はその塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物及び/又はその塩、ポリアクリル酸及び/又はその塩、ポリメタクリル酸及び/又はその塩、ポリビニルスルホン酸及び/又はその塩、等のアニオン性高分子系分散剤、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等のノニオン性高分子系分散剤、などの親水性合成高分子物質;ゼラチン、カゼイン、水溶性でんぷん等の天然親水性高分子物質;カルボキシメチルセルロース等の親水性半合成高分子物質等が挙げられる。
これらの中では、親水性合成高分子物質が好ましく、アニオン性高分子系分散剤がより好ましい。アニオン性高分子系分散剤の数平均分子量は500〜100000であることが好ましい。アニオン性高分子系分散剤の数平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)による分子量測定から算出することができる。
結合剤溶液における各成分の濃度については、無機ゾル分散溶液について無機粒子の固形分換算で3.9〜51.2重量%が好ましい。有機バインダについて固形分換算で0.5〜2.0重量%が好ましい。オイルについて0.05〜5.0重量%が好ましい。
マットを結合剤溶液に浸漬することによってオイルを保持シール材の全体に分散して分布させることができ、本発明の保持シール材を製造することができる。
ここでいう浸漬とは、マットの全体が結合剤溶液全体に触れるような方法であればよく、結合剤溶液の入った容器にマットを漬ける態様でもよく、マットの全体に結合剤溶液が浸みこむようにカーテンコート(フローコート)等のコート法によって結合剤用液を付与する方法であってもよい。カーテンコートの場合はマットの厚さ方向全体が結合剤溶液に触れるように結合剤溶液を充分な量、低速でコートするようにすることが好ましい。
また、保持シール材に対するオイルの付着量が0.05〜5.0重量%となるように結合剤溶液の濃度を調整して、保持シール材を結合剤溶液に浸漬することが好ましい。
その後、必要に応じて保持シール材の乾燥を行い、結合剤溶液中の溶媒を蒸発除去する。
さらに、図1に示すような凸部と凹部を備えた形状の保持シール材とするためには、保持シール材を所定の形状に切断する切断工程をさらに行えばよい。
上述の工程により本発明の保持シール材を製造することができる。
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(a)マット準備工程
まず、以下の手順により無機繊維を含むマットを準備した。
(a−1)紡糸工程
Al含有量が70g/lであり、Al:Cl=1:1.8(原子比)となるように調製した塩基性塩化アルミニウム水溶液に対して、焼成後の無機繊維における組成比が、Al:SiO=72:28(重量比)となるようにシリカゾルを配合し、さらに、有機重合体(ポリビニルアルコール)を適量添加して混合液を調製した。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して繊維径の平均が5.1μmである無機繊維前駆体を作製した。
(a−2)圧縮工程
上記工程(a−1)で得られた無機繊維前駆体を圧縮して、連続したシート状物を作製した。
(a−3)ニードルパンチング工程
上記工程(a−2)で得られたシート状物に対して、以下に示す条件を用いて連続的にニードルパンチング処理を行ってニードルパンチング処理体を作製した。
まず、ニードルが21個/cmの密度で取り付けられたニードルボードを準備した。次に、このニードルボードをシート状物の一方の表面の上方に配設し、ニードルボードをシート状物の厚さ方向に沿って一回上下させることによりニードルパンチング処理を行い、ニードルパンチング処理体を作製した。この際、ニードルの先端部分に形成されたバーブがシート状物の反対側の表面に完全に貫出するまでニードルを貫通させた。
(a−4)焼成工程
上記工程(a−3)で得られたニードルパンチング処理体を最高温度1250℃で連続して焼成し、アルミナとシリカとを72重量部:28重量部で含む無機繊維からなる焼成シート状物を製造した。このようにして得られた焼成シート状物は、空隙かさ密度が0.15g/cmであり、目付量が1240g/mである。
(a−5)切断工程
上記工程(a−4)で得られた焼成シート状物を切断して、無機繊維を含むマットを作製した。
(b)付与工程
(b−1)結合剤溶液調製工程
自己架橋性樹脂(アクリレート系ラテックス)を含む有機結合剤(日本ゼオン社製 Nipol LX811H(固形分濃度:50wt%))、チタニア(キンセイマテック社製 ルチールフラワーS)、シリコーンオイル(竹本油脂社製、IBDN−005)を混合して結合剤溶液を作製した。
(b−2)付与工程
上記工程(b−1)で得られた結合剤溶液を、カーテンコート法により(a)マット準備工程で得られたマットに付与した。
(b−3)脱水工程
上記工程(b−2)で得られた、結合剤溶液が付与されたマットを脱水機で吸引脱水することにより結合剤溶液が、無機繊維100重量部に対して52重量部付与された状態となるように調製した。
(c)その他の工程
上記工程(b−3)を終えたマットを、温度100℃の熱風により熱風乾燥し、図1に示すような凸部と凹部を有する平面視略矩形のマット形状となるように打ち抜き加工して、保持シール材とした。
作製した保持シール材の寸法は長さ335mm×幅70mm×厚さ7mmである。
(比較例1)
実施例1において、(b−1)で結合剤溶液を得る際にシリコーンオイルを配合しない他は同様にして結合剤溶液を作製した。
その他は実施例1と同様にして保持シール材を作製した。
その後、実施例1で使用したものと同じシリコーンオイルを保持シール材の両方の主面にスプレーで塗布して、シリコーンオイルが保持シール材の両方の主面だけに塗布された保持シール材を作製した。シリコーンオイルの付与量は実施例1と同じとした。
(比較例2)
実施例1において(b−1)で結合剤溶液を得る際にシリコーンオイルを配合しない他は同様にして結合剤溶液を作製した。
その他は実施例1と同様にして保持シール材を作製した。
[圧入荷重の評価]
本明細書において図2(a)、図2(b)及び図2(c)を用いて説明した方法により、保持シール材の空隙かさ密度0.28g/cmにおける圧入荷重を測定した。
また、治具通過後荷重も併せて測定した。
排ガス処理体の寸法はφ102mm、長さ105mmとし、ケーシングの内径はφ111mmとした。
図4は、各実施例及び比較例における圧入荷重及び治具通過後荷重の測定結果を示すグラフである。
[動摩擦力の評価]
本明細書において図3を用いて説明した方法により、保持シール材の空隙かさ密度0.30g/cmにおける保持シール材の動摩擦力を測定した。
図5は、各実施例及び比較例における動摩擦力の測定結果を示すグラフである。
[巻き付け性の評価]
φ102mm、長さ105mmの円柱状の排ガス処理体に対し、各実施例及び比較例で製造した保持シール材をそれぞれ巻き付けた。
巻き付けた際の、凸部と凹部が嵌合する位置での凸部と凹部の間の隙間(Seam GAP)を測定した。Seam GAPの値が小さいほど巻き付け性に優れているといえる。
図6は、各実施例及び比較例におけるSeam GAPの測定結果を示すグラフである。
実施例1の保持シール材は圧入荷重及び治具通過後荷重が比較例1及び2に比べて低くなっている。また、Seam GAPも比較例1及び2に比べて小さくなっている。
このことから、オイルを保持シール材の全体に分散させて分布させることで、保持シール材の巻き付け性が向上し、圧入が容易になることが分かる。
また、実施例1の保持シール材は動摩擦力も低いので、このことも圧入を容易にすることに寄与している。
10 保持シール材
10a、10b 試験片
12 凸部
13 凹部
100 排ガス浄化装置
120 排ガス処理体
130 金属ケーシング
140 巻付体
150 圧入治具
151 圧入治具の短径側端部
152 圧入治具の長径側端部
600 摩擦試験装置
610 左ヒーター
620 右ヒーター
630 ステンレス板
640 突起部材

Claims (6)

  1. 無機繊維と、
    無機繊維に付着された無機粒子、有機バインダ及びオイルとからなる保持シール材であって、
    前記オイルは保持シール材の全体に分散して分布しており、
    圧入により測定した荷重が保持シール材の空隙かさ密度0.28g/cmにおいて3.1N/cm以下であることを特徴とする保持シール材。
  2. 前記オイルがシリコーンオイルである請求項1に記載の保持シール材。
  3. 前記無機粒子は、チタニア、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、ジルコニア及び窒化ホウ素からなる群から選ばれる少なくとも一つの無機粒子である請求項1又は2に記載の保持シール材。
  4. 前記無機粒子がチタニア粒子である請求項3に記載の保持シール材。
  5. 摩擦試験により測定した動摩擦力が保持シール材の空隙かさ密度0.30g/cmにおいて5.4N/cm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の保持シール材。
  6. 無機繊維を含むマットを準備するマット準備工程と、前記マットを無機粒子、有機バインダ及びオイルを含む結合剤溶液に浸漬して前記結合剤溶液を前記マットに付与する付与工程とからなることを特徴とする保持シール材の製造方法。
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