特許文献1に記載の技術は、トラクタが圃場の縁を移動することにより圃場形状データを生成しているが、耕運に用いられるトラクタの移動経路は、田植機に比べて位置精度が低く、生成される圃場形状データの精度の観点から改善の余地がある。
一方、田植機の移動経路はトラクタの移動経路に比べて位置精度が高いが、圃場全体に亘って作業ポイントを取得した場合、データ量が膨大となる。そこで、特許文献2に記載の技術では、GPS座標平面の複数の方向角度に対する最大作業ポイントを抽出することにより演算負荷を減少させている。しかしながら、特許文献2に記載の技術は、方向角度を多くすれば演算負荷が増大し、方向角度を少なくすれば圃場形状データの精度が低下する問題がある。
そこで、精度の高い圃場形状データを生成する利便性の高い圃場形状生成システム及び圃場形状生成装置が望まれている。
本発明に係る圃場形状生成システムの特徴構成は、農作業車の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記農作業車が圃場の最外周側を走行したときにおける走行軌跡から圃場形状データを生成する生成部と、を備え、前記生成部は、前記圃場形状データに含まれる複数の点座標における隣り合う前記点座標どうしを結んだ複数の直線のうち、隣接する直線の内角が所定角度以上且つ前記点座標どうしの間隔が所定値以下であれば、隣接する直線の交点となる前記点座標を除外して前記圃場形状データを生成する点にある。
本構成のように、農作業車が圃場の最外周側を走行したときにおける走行軌跡から圃場形状データを生成すれば、圃場全体における農作業車の走行軌跡から圃場形状データを生成する場合に比べて、演算負荷を大幅に低減させることができる。
また、本構成の生成部は、圃場形状データに含まれる複数の点座標における隣り合う点座標どうしを結んだ複数の直線のうち、隣接する直線の内角が所定角度以上且つ点座標どうしの間隔が所定値以下であれば、隣接する直線の交点となる点座標を除外して、圃場形状データを生成している。その結果、圃場形状データの生成にあたり使用する点座標を大幅に削減することが可能となり、演算負荷をさらに低減させることができる。
しかも、隣接する直線の内角が所定角度以上であれば、圃場形状の輪郭線が直線に近似されるため、圃場形状データの精度が低下することがない。例えば、農作業車をトラクタとした場合であっても、圃場形状の輪郭線が直線区間であるにも拘らず、トラクタが蛇行走行することによって圃場形状に歪みが生じるといった不都合を防止できる。このように、精度の高い圃場形状データを生成する利便性の高い圃場形状生成システムを提供できた。
他の特徴構成は、前記位置情報取得部と前記農作業車の所定部位との平面距離を記憶した記憶部をさらに備え、前記生成部は、前記位置情報取得部で取得した前記位置情報を、前記記憶部に記憶した前記平面距離により補正した補正位置情報に基づいて、前記圃場形状データを生成し、前記所定部位は、前記農作業車の後端部に設定されている点にある。
本構成では、位置情報取得部で取得した位置情報を、位置情報取得部と農作業車の所定部位との平面距離に基づいて補正している。そして、この補正位置情報に基づいて圃場形状データを生成している。つまり、位置情報取得部の配置位置に関らず、農作業車のうち畦と圃場との境界付近に位置する所定部位の補正位置情報に基づいて、圃場形状データを生成することが可能となる。その結果、圃場面積が最大限確保され、圃場形状データの精度を高めることができる。
他の特徴構成は前記農作業車が前記圃場の外周を反時計回りに走行するときは、前記所定部位が前記農作業車の右後端部に設定されており、前記農作業車が前記圃場の外周を時計回りに走行するときは、前記所定部位が前記農作業車の左後端部に設定されている点にある。
本構成のように、農作業車の走行方向に応じて所定部位を左右何れかの後端部に設定して位置情報を補正すれば、畦に近い補正位置情報を取得することが可能となる。その結果、圃場形状データの精度をさらに向上させることができる。
本発明に係る圃場形状生成システムの特徴構成は、田植機、コンバイン及びトラクタの少なくとも1つで構成される農作業車の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記農作業車が圃場の最外周側を走行したときにおける走行軌跡から圃場形状データを生成する生成部と、前記圃場形状データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された複数の前記圃場形状データのうち、最も精度の高い前記圃場形状データを選択する選択部と、を備えた点にある。
本構成のように、農作業車が圃場の最外周側を走行したときにおける走行軌跡から圃場形状データを生成すれば、圃場全体における農作業車の走行軌跡から圃場形状データを生成する場合に比べて、演算負荷を大幅に低減させることができる。
また、選択部により、複数の圃場形状データのうち最も精度の高い圃場形状データを選択するので、圃場形状データの精度を高めることができる。しかも、本構成のように複数の圃場形状データを記憶すれば、過去の農作業車における作業履歴に基づいて圃場形状データを蓄積することが可能となるので、毎年、圃場形状データを取得する必要がない。このように、精度の高い圃場形状データを生成する利便性の高い圃場形状生成システムを提供できた。
他の特徴構成は、前記選択部は、前記田植機、前記コンバイン、前記トラクタの順に優先順位を設定し、最も優先順位の高い前記農作業車における前記圃場形状データを選択する点にある。
本構成のように、圃場形状データを生成するための農作業車として田植機、コンバイン、トラクタの順に圃場形状データを選択すれば、圃場形状データの精度をさらに向上させることができる。
他の特徴構成は、前記選択部は、同一の前記農作業車における複数の前記圃場形状データがあるとき、前記圃場形状データに含まれる点座標が最も多い前記圃場形状データを選択する点にある。
本構成では、例えば田植機の位置情報により生成された圃場形状データが複数あれば、点座標が最も多い圃場形状データを選択することとなる。その結果、圃場形状が複雑な形状である場合でも、圃場形状データの精度を高めることができる。
他の特徴構成は、前記選択部は、同一の前記農作業車における複数の前記圃場形状データがあるとき、最も衛星写真に近似する前記圃場形状データを選択する点にある。
本構成のように、衛星写真に近似する圃場形状データを選択すれば、現状に近い圃場形状となるため、圃場形状データの精度を高めることができる。
他の特徴構成は、前記生成部は、前記農作業車が農作業中であるときに前記圃場形状データを生成する点にある。
本構成のように、農作業車が農作業中のときに圃場形状データを同時に生成すれば、圃場形状データ生成用の農作業車を別途走行させる必要がないため、利便性が高い。
他の特徴構成は、前記生成部で前記圃場形状データを生成した前記農作業車と異なる種類の農作業車が農作業を行うとき、前記生成部で生成された前記圃場形状データを用いる点にある。
本構成では、例えばトラクタで耕運したときの圃場形状データを用いて、田植機が田植えをすることができる。つまり、圃場形状データ生成用の農作業車を別途走行させる必要がないため、利便性が高い。しかも、トラクタで耕運した圃場形状データであるため、現状に則した圃場形状データを用いることができる。
他の特徴構成は、前記生成部は、前記農作業車としてのトラクタが畦塗作業を行ったときに前記圃場形状データを生成する点にある。
本構成のように、畦塗作業は田打ちの後に行われ、畦と圃場との境界が明確になるため、圃場形状データの精度をより高めることができる。
他の特徴構成は、前記生成部は、前記農作業車が農作業前であるときに前記圃場形状データを生成する点にある。
本構成のように、農作業車が農作業前である農閑期に圃場形状データを生成すれば、農作業効率を低下させること無く、現状に則した圃場形状データを生成することができる。
本発明に係る圃場形状生成システムの特徴構成は、農作業車の位置情報を取得する位置情報取得部と、圃場形状データを生成する生成部と、を備え、前記位置情報取得部は、前記農作業車から着脱自在に構成されており、前記生成部は、離脱された前記位置情報取得部が取得する位置情報に基づいて前記圃場形状データを生成する点にある。
本構成のように、位置情報取得部を農作業車から着脱自在に構成すれば、圃場形状データ生成用の位置情報取得部を別途用意する必要がなく、作業コストを節約できる。しかも、本構成では、離脱された位置情報取得部が取得する位置情報に基づいて圃場形状データを生成するので、畦と圃場との境界点をピンポイントに測定することが可能となり、圃場形状データの精度を高めることができる。このように、精度の高い圃場形状データを生成する利便性の高い圃場形状生成システムを提供できた。
本発明に係る圃場形状生成装置の特徴構成は、位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報取得部に電源を供給する電源供給部と、前記位置情報取得部及び前記電源供給部を支持する支持部材と、圃場形状データを生成する生成部と、を備え、前記生成部は、前記支持部材の移動に伴い前記位置情報取得部が取得する位置情報に基づいて前記圃場形状データを生成する点にある。
本構成では、支持部材の移動に伴い位置情報取得部が位置情報を取得するので、畦と圃場との境界点をピンポイントに測定することが可能となり、圃場形状データの精度を高めることができる。しかも、位置情報取得部及び電源供給部を支持部材に支持させた自立型測定装置であるため、可搬性に優れる。このように、精度の高い圃場形状データを生成する利便性の高い圃場形状生成システムを提供できた。
他の特徴構成は、前記支持部材に支持された表示装置をさらに備えた点にある。
本構成のように表示装置をさらに備えれば、利用者は画面で作業状態を確認しながら測定作業を行うことができるため、利便性が高まる。
他の特徴構成は、前記生成部で生成された前記圃場形状データを農作業車に送信する送信部をさらに備えた点にある。
本構成のように、自立型測定装置で生成された圃場形状データを農作業車に送信すれば、農作業車の農作業に精度の高い圃場形状データを活用することができる。
以下に、本発明に係る圃場形状生成システム及び圃場形状生成装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、圃場形状生成システム及び圃場形状生成装置として、農作業中の乗用田植機(農作業車の一例、田植機の一例)を用いて圃場形状データを生成する一例を説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
〔圃場形状生成システム〕
以下の説明では、乗用型田植機の走行車体1に関し、図1〜図2に示される矢印Fの方向を「車体前方」、矢印Bの方向を「車体後方」、図2に示される矢印Rの方向を「車体右方」、矢印Lの方向を「車体左方」とする。図1に示すように、本実施形態にて例示された乗用田植機は、乗用型で四輪駆動形式の走行車体1、走行車体1の後方にリンク機構2を介して昇降可能に連結された苗植付装置3、及び、走行車体1の後方に配置された施肥装置4等を備えている。本実施形態における苗植付装置3は、8条植付けが可能に構成されている。
図2に示すように、苗植付装置3は、8条分のマット状苗が載置される苗載せ台12と、苗載せ台12の左右往復移動を案内する摺動板17と、摺動板17を保護する左右一対の摺動板ガード18と、植付アーム13と、植付伝動ケース14と、回転ケース15と、フロート16と、を有している。回転ケース15は、植付伝動ケース14の後部の左右両側部の夫々に回転可能に支持されている。植付アーム13は、左右往復移動させた苗載せ台12から苗を取り出して田面に植え付ける。植付アーム13は、回転ケース15の両遊端部の夫々に回転可能に支持されている。エンジンEの駆動力が植付伝動ケース14を介して回転ケース15に伝達されることにより、回転ケース15が回転駆動されて、植付アーム13による苗の植付けが行われる。
図1〜図3に示すように、走行車体1は、走行車体1の前方に防振搭載されたエンジン5と、静油圧式の無段変速装置などを有してエンジン5からの動力を変速する変速ユニット6と、変速ユニット6による変速後の動力で駆動される操舵可能な左右の前輪7と、変速ユニット6による変速後の動力で駆動される左右の後輪8と、走行車体1の位置及ぶ方位を測定する測位ユニット20と、圃場形状データ41及び走行経路データ42を生成する生成部30と、圃場形状データ41,走行経路データ42及び平面距離データ43を記憶する記憶部40と、エンジン5,変速ユニット6,苗植付装置3及び施肥装置4等の作動を制御する制御部9と、運転席Sの前方に設けられた表示装置10と、を備えている。生成部30及び制御部9は、CPUやメモリを中核とするコンピュータで構成されており、記憶部40は、RAMやHDDといったハードウェアで構成されている。
また、走行車体1は、両横側に設けられた作業用ステップ19と、作業用ステップ19よりも前方の両横側に設けられた予備苗貯留装置28と、予備苗貯留装置28の前方に設けられ、植付けが行われた隣接する列の指標となる条合わせ用の隣接マーカーMと、を備えている。左右の予備苗貯留装置28の夫々は、1列4つの予備苗載台28aが2列設けられており、1つの予備苗載台28aに2個の予備苗を載置可能であるので、最大で32個の予備苗を搭載可能に構成されている。
測位ユニット20は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例である公知のGPS(Global Positioning System)を利用して走行車体1の位置及び方位としての点座標(位置情報の一例、以下、「位置情報」と言う)を測定する衛星航法装置21(位置情報取得部の一例)、及び、3軸のジャイロスコープ(図示せず)と3方向の加速度センサ(図示せず)とを有して走行車体1のヨー角、ピッチ角、ロール角、などを計測する慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)22等を備えている。GPSを利用した測位方法には、DGPS(Differential GPS)やRTK−GPS(Real Time Kinematic GPS)などがあるが、本実施形態においては、移動体の測位に適したRTK−GPSが採用されている。
衛星航法装置21は、GPS衛星(図示せず)から送信された電波と、既知位置に設置された基準局(図示せず)から送信された測位データとを受信する衛星航法用のアンテナユニット23を備えている。基準局は、GPS衛星からの電波を受信して得た測位データを衛星航法装置21に送信する。衛星航法装置21は、GPS衛星からの電波をアンテナユニット23が受信して得た測位データと、基準局からの測位データとに基づいて、走行車体1の位置情報を求める。
生成部30は、乗用田植機の走行車体1が圃場の最外周側(畦Aの内側)を走行したときにおける走行軌跡(図4における外周側周回経路Rbb)から圃場形状データ41を生成する圃場形状生成部31と、記憶部40に記憶された複数の圃場形状データ41のうち、最も精度の高い圃場形状データ41を選択する選択部32と、乗用田植機の走行車体1の圃場での走行経路Rとなる走行経路データ42を生成する走行経路生成部33と、を有している。
圃場形状生成部31は、衛星航法装置21で取得した位置情報を、後述する記憶部40に記憶した平面距離に基づいて補正位置情報を演算する補正位置演算部31aを有している。本実施形態における補正位置演算部31aは、走行車体1の前方中央の上部に設置された衛星航法装置21と、畦Aと圃場との境界付近に位置する所定部位(例えば、摺動板ガード18等)との平面距離に基づいて補正位置情報を演算することとしている。この補正位置情報は、衛星航法装置21で測定した位置情報を原点とした所定部位の座標(平面距離)を加味して所定部位の位置情報として補正することで演算され、この補正位置情報に含まれる点座標を結んだ線が圃場形状となる。このように、衛星航法装置21の配置位置に関らず、乗用田植機のうち畦Aと圃場との境界付近に位置する所定部位の補正位置情報に基づいて、圃場形状データ41を生成することが可能となる。その結果、圃場面積が最大限確保され、圃場形状データ41の精度を高めることができる。
選択部32は、圃場形状データ41を選択するにあたり、圃場形状データ41の生成に使用された農作業車の種類に応じて優先順位を設定する優先順位設定部32aと、圃場形状データ41に含まれる点座標を計数する点座標計数部32bと、人工衛星に搭載されたセンサで取得されたデジタルデータである衛星写真34と圃場形状とをテンプレートマッチング等により比較する衛星写真比較部32cと、を有している。なお、選択部32は、優先順位設定部32a,点座標計数部32b及び衛星写真比較部32cの少なくとも1つを有していれば良い。
本実施形態では、優先順位設定部32aが圃場形状データ41の生成に使用された農作業車として、乗用田植機、コンバイン、トラクタの順に優先順位を設定し、記憶部40に記憶された複数の圃場形状データ41のうち、優先順位の高い農作業車を用いて生成された圃場形状データ41を選択することとしている。このとき、同一の農作業車における複数の圃場形状データ41が記憶部40に記憶されている場合、点座標計数部32bで計測された点座標の数が最も多い圃場形状データ41を選択しても良い。また、同一の農作業車における複数の圃場形状データ41が記憶部40に記憶されている場合、衛星写真比較部32cが衛星写真34と圃場形状とを比較して、衛星写真34に最も近似する(類似度の高い)圃場形状データ41を選択しても良い。
記憶部40には、作業対象となる各圃場の位置及び形状などの各種の情報が記録された圃場形状データ41と、乗用田植機の走行車体1の圃場での走行経路Rとなる走行経路データ42と、走行車体1の前方中央の上部に設置された衛星航法装置21と走行車体1の所定部位(例えば、摺動板ガード18の外側端)との平面距離である平面距離データ43と、が記憶されている。また、記憶部40には、苗植付装置3の作業幅W、圃場に対する入出経路Rzの位置、圃場における障害物の位置及び形状、車載物の給排に関する補助作業を行う特定の補助作業地点、トラクタ又はコンバインなどの他の作業車が走行した既走行経路となる走行経路データ42、圃場の日当たり具合、及び、圃場での風通しなどが格納されている。
図2及び図4に示すように、走行車体1の所定部位としては、一対の摺動板ガード18の後端部ED1が設定されている。なお、摺動板17の両端部、予備苗載台28aの前方最外端部、走行車体1の両前側端部、前輪7、後輪8、一対の隣接マーカーMの先端部、植付アーム13の植付爪や植付点又は作業用ステップ19の最外端部等を走行車体1の所定部位としても良い。
制御部9は、走行車体1の走行を制御する。制御部9は、運転モードとして自動運転モードが選択されている場合、衛星航法装置21が測定した走行車体1の位置情報や慣性計測装置が計測した走行車体1の姿勢に基づいて、エンジン5,変速ユニット6,苗植付装置3及び施肥装置4等の作動や左右の前輪7の自動操舵を制御する。また、制御部9は、手動運転モードが選択されている場合、作業者におけるハンドルHやレバーK等の操作量に基づき、エンジン5,変速ユニット6,苗植付装置3及び施肥装置4等の作動や左右の前輪7の操舵量を制御する。
表示装置10は、作業者が入力操作可能なディスプレイで構成されており、圃場形状データ41に基づく圃場の形状の選択や圃場形状データ41に関する生成条件(圃場形状作成モードの選択等)の入力を受け付ける圃場形状指示部51と、走行経路データ42に基づく走行経路Rの選択や走行経路データ42に関する生成条件(走行性重視、補助作業性重視、苗の育成重視の選択等)の入力を受け付ける走行経路指示部52と、自動運転モード又は手動運転モードの選択を受け付ける運転モード指示部53とを有している。
圃場形状生成部31における矩形の圃場での圃場形状データ41を生成について、図4〜図5を用いて説明する。
図4の例では、作業者は表示装置10の圃場形状指示部51で圃場形状作成モードを選択することで、圃場形状データ41の生成が開始される。このとき、表示装置10の運転モード指示部53で作業者が手動運転モードを選択することが好ましい。これにより、作業者自らが乗用田植機を畦際に沿って走行させることで、最適な圃場形状データ41を生成することができる。そして、周回走行経路Rbに含まれる外周側周回経路Rbb(最外周側の走行軌跡の一例)において、作業者は、第15作業経路R15から順に入出経路Rzに向けて車体を時計回りに周回走行させる(第15作業経路R15〜第18作業経路R18)。なお、苗補給辺となる第2圃場端Abにおける外周側周回経路Rbbについては、苗の補給作業を考慮して2条植付け又は4条植付けとしているが、他の走行経路Rと同様に8条植付けでも良い。
本実施形態では、圃場形状指示部51で圃場形状作成モードが選択されたとき、走行車体1の所定部位が摺動板ガード18の後端部ED1に設定されている。具体的には、乗用田植機が圃場の最外周を反時計回りに走行するときは、走行車体1の所定部位が摺動板ガード18の右後端部ED1に設定されており、乗用田植機が圃場の最外周を時計回りに走行するときは、走行車体1の所定部位が摺動板ガード18の左後端部ED1に設定されている。図4の例では、乗用田植機が圃場の最外周を時計回りに走行しているので、走行車体1の所定部位が摺動板ガード18の左後端部ED1に設定されることとなる。これにより、衛星航法装置21の配置位置に関らず、田植機のうち畦Aと圃場との境界付近に位置する所定部位の補正位置情報に基づいて、圃場形状データ41を生成することが可能となる。その結果、圃場面積が最大限確保され、圃場形状データ41の精度を高めることができる。
また、本実施形態における圃場形状生成部31は、圃場形状データ41に含まれる複数の点座標における隣り合う点座標どうしを結んだ複数の直線のうち、隣接する直線の内角が所定角度以上且つ点座標どうしの間隔の最大値が所定値以下であれば、隣接する直線の交点となる点座標を除外して圃場形状データ41を生成することとしている(図5参照)。ここで、所定角度は、畦Aと圃場との境界線の形状に応じて適宜設定され、所定値は、圃場の大きさに応じて点座標の数がある程度確保されるように適宜設定される。この所定角度や所定値は、複数の圃場で取得した教師データに基づいて機械学習により設定しても良い。
次いで、第1作業経路R1〜第14作業経路R14において、運転モード指示部53で作業者が自動運転モードを選択する。このとき、第1圃場端Aaと第2圃場端Abのうち、長さの長い第2圃場端Abの側を往復走行経路Raにおける方向転換用の端部とし、走行経路Rが、一対の第1圃場端Aaに亘って車体を往復走行させる往復走行経路Raと、往復走行経路Raの最外周形状に沿って周回させる周回走行経路Rbに含まれる内周側周回経路Rbaとして構成されている。本実施形態では乗用田植機であるため、往復走行経路Raに含まれる複数の往路作業経路Raa及び複数の復路作業経路Rabのうち、入出経路Rzから最も離れた往路作業経路Raaを第1作業経路R1とし、第18作業経路R18から第1作業経路R1に走行車体1を移動させ、第1作業経路R1から順に入出経路Rzに向けて走行車体1が往復走行する(第1作業経路R1〜最終経路R10)。そして、内周側周回経路Rbaにおいて、往復走行経路Raの最終経路R10に隣接する経路を往復走行経路Raの最終経路R10に続く第11作業経路R11とし、この第11作業経路R11から順に入出経路Rzに向けて走行車体1が反時計回りに周回走行する(第11作業経路R11〜第14作業経路R14)。
図5には、図4において、第16作業経路R16と第17作業経路R17とが交差する付近にある第1圃場端Aaと第2圃場端Abとの角部において、圃場形状生成部31が点座標を削除する一例が示されている。図5の(1)では、点座標P1と点座標P2を結んだ直線L1と、点座標P2と点座標P3を結んだ直線L2とが隣接する直線となり、この隣接する直線L1,L2の内角が角θ2となる。そして、この角θ2が所定角度(例えば170度)以上であり、点座標P1,P2又は点座標P2,P3どうしの間隔である直線L1,L2の最大値が所定値以下であるので、点座標P2が削除される。
次いで、図5の(2)では、点座標P1と点座標P3を結んだ直線L3と、点座標P3と点座標P4を結んだ直線L4とが隣接する直線となり、この隣接する直線L3,L4の内角が角θ3となる。そして、この角θ3が所定角度(例えば170度)以上であり、点座標P1,P3又は点座標P3,P4どうしの間隔である直線L3,L4の最大値が所定値以下であるので、点座標P3が削除される。次いで、図5の(3)では、点座標P1と点座標P4を結んだ直線L5と、点座標P4と点座標P5を結んだ直線L6とが隣接する直線となり、この隣接する直線L5,L6の内角が角θ4となる。そして、この角θ4が所定角度(例えば170度)以上であり、点座標P1,P4又は点座標P4,P5どうしの間隔である直線L5,L6の最大値が所定値以下であるので、点座標P4が削除される。次いで、図5の(4)では、点座標P1と点座標P5を結んだ直線L7と、点座標P5と点座標P6を結んだ直線L8とが隣接する直線となり、この隣接する直線L7,L8の内角が角θ5となる。そして、この角θ5が所定角度(例えば170度)以上であり、点座標P1,P5又は点座標P5,P6どうしの間隔である直線L7,L8の最大値が所定値以下であるので、点座標P5が削除される。
以上より、点座標P2〜P5が削除され、点座標P1と点座標P6の間隔が所定値より大きいため、点座標P6は削除されない。同様の演算を、点座標P6を起点として繰り返し、図4に示す点座標の集合が圃場の輪郭線となる。このように、圃場形状生成部31により圃場の輪郭線を生成して、点座標の集合を圃場形状データ41として記憶部40に格納する。なお、図5の例では、点座標を時計回りに順に結んで直線を形成して隣接する直線の内角が所定角度以下であるか否か判定したが、点座標P1からの間隔が所定値以下となる点座標P2〜P5については、隣接する直線の内角を演算せずに消去しても良い。
本実施形態のように、乗用田植機が圃場の最外周側を走行したときにおける外周側周回経路Rbbから圃場形状データ41を生成すれば、圃場全体における農作業車の走行経路Rから圃場形状データ41を生成する場合に比べて、演算負荷を大幅に低減させることができる。また、圃場形状生成部31は、圃場形状データ41に含まれる複数の点座標における隣り合う点座標どうしを結んだ複数の直線のうち、隣接する直線の内角が所定角度以上且つ点座標どうしの間隔が所定値以下であれば、隣接する直線の交点となる点座標を削除して、圃場形状データ41を生成している。その結果、圃場形状データ41の生成にあたり使用する点座標を大幅に削減することが可能となり、演算負荷をさらに低減させることができる。しかも、隣接する直線の内角が所定角度以上であれば、圃場形状の輪郭線が直線に近似されるため、圃場形状データ41の精度が低下することがない。例えば、農作業車をトラクタとした場合であっても、圃場形状の輪郭線が直線区間であるにも拘らず、トラクタが蛇行走行することによって圃場形状に歪みが生じるといった不都合を防止できる。
図4では、走行車体1が外周側周回経路Rbbを走行して圃場形状生成部31が圃場形状データ41を生成した後に、往復走行経路Ra,内周側周回経路Rbaの順に走行車体1を走行させた例を示した。これに代えて、外周側周回経路Rbbを全て8条植付けとし、往復走行経路Ra,内周側周回経路Rba,外周側周回経路Rbbの順に走行車体1を走行させ、外周側周回経路Rbbにおいて圃場形状生成部31が圃場形状データ41を生成しても良い。この場合、外周側周回経路Rbbにおける走行車体1の走行方向は反時計回りとなり、走行車体1の所定部位が摺動板ガード18の右後端部ED1に設定されることとなる。なお、苗補給辺となる第2圃場端Ab側における内周側周回経路Rbaについては、苗の補給作業を考慮して2条植付けや4条植付けとするのが好ましい。
このように圃場形状データ41が生成される度に、記憶部40に記憶される。記憶部40が複数の圃場形状データ41を記憶すれば、過去の農作業車における作業履歴に基づいて圃場形状データ41を蓄積することが可能となるので、毎年、圃場形状データ41を取得する必要がない。
走行経路生成部33は、乗用田植機が農作業を行う前に、圃場形状データ41に基づいて、走行車体1の圃場での走行経路Rとなる走行経路データ42を生成する。このとき、上述した選択部32は、記憶部40に記憶された複数の圃場形状データ41のうち、最も精度の高い圃場形状データ41を選択する。選択部32の優先順位設定部32aにより、圃場形状データ41を生成するための農作業車として田植機、コンバイン、トラクタの順に圃場形状データ41を選択すれば、圃場形状データ41の精度をさらに向上させることができる。また、選択部32の点座標計数部32bにより、同一の農作業車における複数の圃場形状データ41があるとき、圃場形状データ41に含まれる点座標が最も多い圃場形状データ41を選択すれば、圃場形状が複雑な形状である場合でも、圃場形状データ41の精度を高めることができる。また、衛星写真34に近似する圃場形状データ41を選択すれば、現状に近い圃場形状となるため、圃場形状データ41の精度を高めることができる。
ここで、圃場形状データ41が同一の圃場であるか否かは、選択部32により、重なっている面積比や形状等を比較して判断される。また、圃場形状データ41に対応する圃場番号が入力されて記憶部40に格納されている場合は、選択部32が圃場番号に基づいて同一の圃場に関する圃場形状データ41を抽出しても良い。
走行経路生成部33は、例えば図4に示す矩形の圃場での走行経路Rを生成する。このとき、走行経路生成部33は、作業者による走行経路指示部52の生成条件の選択がない場合は、走行経路Rの生成に関する基本条件である、乗用田植機の作業幅W、圃場の外周形状及び圃場に対する入出経路Rzの位置に基づいて走行経路Rを生成する。本実施形態における走行経路生成部33は、圃場の縦方向に延びる一対の第1圃場端Aaと圃場の横方向に延びる一対の第2圃場端Abとが苗植付装置3の作業幅Wの整数倍又は略整数倍の長さを有しているか否かを判定する。第2圃場端Abの長さのみが作業幅Wの整数倍又は略整数倍である場合は、走行車体1を第1圃場端Aaに沿って往復作行させる往復走行経路Raと、圃場の外周領域において走行車体1を圃場の外周形状に沿って周回させる周回走行経路Rbとを生成する。
そして、記憶部40は、走行経路生成部24により生成された走行経路Rに関する走行経路データ42を格納するように構成されている。このように走行経路Rを生成することにより、苗植付装置3の植付け条数を変更する各条クラッチ(図示せず)を使用することなく、往復走行経路Raに従って走行車体1を連続的に効率良く走行させることができる。
〔圃場形状生成装置〕
図6には、圃場形状生成装置の一例が示されている。
本実施形態の圃場形状生成装置は、位置情報を取得する衛星航法装置21(位置情報取得部の一例)と、衛星航法装置21に電源を供給するバッテリ66(電源供給部の一例)と、衛星航法装置21及びバッテリ66を支持する柱状の支持部材67と、圃場形状データ41を生成する圃場形状生成部31と、を備えている。そして、圃場形状生成部31は、支持部材67の移動に伴い衛星航法装置21が取得する位置情報に基づいて圃場形状データ41を生成する。また、衛星航法装置21は支持部材67の最上端に設置されており、信号受信状態が良好なものとなっている。衛星航法装置21や圃場形状生成部31は上述した実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
このように支持部材67の移動に伴い衛星航法装置21が位置情報を取得するので、畦Aと圃場との境界点をピンポイントに測定することが可能となり、圃場形状データ41の精度を高めることができる。しかも、衛星航法装置21及びバッテリ66を支持部材67に支持させた自立型測定装置であるため、可搬性に優れる。なお、支持部材67を背中に背負える形状の治具で構成しても良い。
また、本実施形態における圃場形状生成装置は、支持部材67に支持された表示装置65を備え、この表示装置65が圃場形状生成部31で生成された圃場形状データ41を農作業車に送信する送信部68を有している。表示装置65は、圃場形状データ41を確認可能に構成するだけでも良いし、作業者が指示情報を入力できる構成を含んでいても良い。本実施形態のように表示装置65をさらに備えれば、作業者は画面で作業状態を確認しながら測定作業を行うことができるため、利便性が高まる。また、自立型である圃場形状生成装置で生成された圃場形状データ41を乗用田植機に送信すれば、乗用田植機の農作業に精度の高い圃場形状データ41を活用することができる。
なお、表示装置65の表示機能を省略して、衛星航法装置21で取得された位置情報を、送信部68により農家が所有するパソコン又はタブレットや農機メーカが所有する農業支援システムに送信するように構成しても良い。この場合、圃場形状生成部31が、農家が所有するパソコン又はタブレットや農機メーカが所有する農業支援システムに備えられることとなる。
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明に関する代表的な別実施形態を例示する。
〔1〕図4の例では、乗用田植機が農作業中であるときに、圃場形状生成部31は圃場形状データ41を生成する一例を示したが、走行経路生成部33において使用する圃場形状データ41が記憶部40に記憶されていない場合には、自動走行ができない。このため、農作業車が農作業をしない農閑期に、作業者は表示装置10の圃場形状指示部51で圃場形状作成モードを選択し、農作業車を外周側周回経路Rbbに沿って走行させることにより圃場形状データ41を生成しても良い。
〔2〕圃場形状生成システムの各機能部の一部は、農家が所有するパソコン又はタブレットや農機メーカが所有する農業支援システムなどにおいて構築されていても良い。例えば、記憶部40を農業支援システムに設け、複数の農作業車がアクセスできるように構成すれば、圃場形状データ41を一元管理できる。また、生成部30を農家が所有するパソコン又はタブレットや農業支援システムに設ければ、生成部30を構成するソフトウェアを各農作業車にインストールする必要がなく、効率的である。この場合は、農作業車が、データを送受信する通信部を備えることとなる。
記憶部40が農業支援システムに設けられている場合は、農作業車を起動した際に通信部が農業支援システムにアクセスして、現在の農作業車の位置周辺の圃場形状データ41を取得するように構成されている。また、農作業車を起動した際に圃場形状データ41を表示装置10に一覧表示し、作業者が圃場形状指示部51で圃場形状データ41を選択するように構成しても良いし、農業支援システムの側で予め選択された圃場形状データ41を農作業車に送信するように構成しても良い。
〔3〕圃場形状生成装置の各機能部の一部は、農家が所有するパソコン又はタブレットや農機メーカが所有する農業支援システムなどにおいて構築されていても良い。
〔4〕畦塗作業,耕運作業又は代掻作業を行うトラクタの農作業中に圃場形状データ41を生成し、次に農作業を行う乗用田植機が農作業をするときにこの圃場形状データ41を用いても良い。また、乗用田植機の農作業中に圃場形状データ41を生成し、農作物の収穫を行うコンバインが農作業をするときにこの圃場形状データ41を用いても良い。この場合、圃場形状データ生成用の農作業車を別途走行させる必要がないため、利便性が高い。しかも、例えば乗用田植機で農作業を行う直前の農作業車の農作業により生成された圃場形状データ41であるため、現状に則した圃場形状データ41を用いることができる。特に、トラクタを用いた畦塗作業は、畦Aと圃場との境界が明確になるため、圃場形状データ41の精度をより高めることができる。この場合、トラクタが畦Aと圃場との境界を反時計回りに走行するときは、走行車体1の所定部位が摺動板ガード18の左後端部ED1に設定されることとなる、トラクタが畦Aと圃場との境界を時計回りに走行するときは、走行車体1の所定部位が摺動板ガード18の右後端部ED1に設定されることとなる。
〔5〕衛星航法装置21を走行車体1から着脱自在に構成して、図6に示すような圃場形状生成装置を形成しても良い。この場合、圃場形状生成システム(圃場形状生成装置)は、農作業車の位置情報を取得する衛星航法装置21(位置情報取得部の一例)と、圃場形状データ41を生成する生成部30と、を備え、衛星航法装置21は、農作業車から着脱自在に構成されており、生成部30は、離脱された衛星航法装置21が取得する位置情報に基づいて圃場形状データ41を生成することとなる。このように、衛星航法装置21を走行車体1から着脱自在に構成すれば、圃場形状データ生成用の衛星航法装置21を別途用意する必要がなく、作業コストを節約できる。しかも、離脱された衛星航法装置21が取得する位置情報に基づいて圃場形状データ41を生成するので、畦Aと圃場との境界点をピンポイントに測定することが可能となり、圃場形状データ41の精度を高めることができる。
〔6〕記憶部40は、圃場形状生成部31で圃場形状データ41の生成のために用いた点座標を全て記憶しておいても良い。
〔7〕圃場形状生成システムの各機能部は、トラクタ、コンバイン、乗用管理機、直播機などの他の農作業車において構築されていてもよい。